JP2018029160A - RFeB系磁石製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】拡散対象希土類元素を含有する金属体とRFeB系磁石から成る基材の表面との接触性がよい状態で粒界拡散処理を行うことができるRFeB系磁石の製造方法を提供する。
【解決手段】焼結又は熱間塑性加工により、1種又は複数種の希土類元素R、Fe及びBを主成分とする結晶粒を有する基材11を作製する基材作製工程と、前記基材が含有する希土類元素Rと異種又は同種の希土類元素である1種又は複数種の拡散対象希土類元素を含有する金属から成るR含有金属体12を基材11の表面に溶接する溶接工程と、基材11及びR含有金属体12を、拡散対象希土類元素が基材11内に拡散する所定温度に加熱する加熱工程とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】焼結又は熱間塑性加工により、1種又は複数種の希土類元素R、Fe及びBを主成分とする結晶粒を有する基材11を作製する基材作製工程と、前記基材が含有する希土類元素Rと異種又は同種の希土類元素である1種又は複数種の拡散対象希土類元素を含有する金属から成るR含有金属体12を基材11の表面に溶接する溶接工程と、基材11及びR含有金属体12を、拡散対象希土類元素が基材11内に拡散する所定温度に加熱する加熱工程とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、R(希土類元素)、Fe(鉄)及びB(硼素)を主成分とする合金粉末を焼結することにより得られるRFeB系焼結磁石、及び、合金を熱間塑性加工することにより得られるRFeB系熱間塑性加工磁石(本明細書では、これらRFeB系焼結磁石及びRFeB系熱間塑性加工磁石をまとめて「RFeB系磁石」と呼ぶ。)、並びにその製造方法に関する。
RFeB系焼結磁石は、RFeB系合金を粉砕して原料合金粉末(通常、平均粒径は0.2〜5μm)を作製し、該合金粉末を磁界中で配向させ、焼結することにより製造される。また、RFeB系熱間塑性加工磁石は、ナノ結晶粒から成るRFeB系合金を作製し、該RFeB系合金を熱間塑性加工を行うことで高密度化と配向を同時に行うことにより製造される。
RFeB系磁石は、1982年に佐川眞人らによって見出されたものであるが、それまでの永久磁石をはるかに凌駕する高い磁気特性を有するという特長を有する。RFeB系磁石は、従来より様々な用途に用いられてきたが、特に近年、ハイブリッド自動車や電気自動車の自動車用モータの回転子に用いる永久磁石として注目されている。
自動車用モータは使用中に温度が100〜180℃程度まで上昇する。このように温度が上昇すると、永久磁石では一般に、保磁力Hcjが低下するという問題が生じる。保磁力Hcjは、磁化の向きとは逆向きの外部磁界が磁石に印加されたときに磁化が0になる磁界の強さで表され、その値が大きいほど外部磁界への耐性が高いことを示す指標である。従って、自動車用モータの回転子には、該自動車用モータの使用時の前記高温環境下でも固定子から印加される外部磁界への十分な耐性を有する、保磁力Hcjの高い永久磁石を用いる必要がある。
RFeB系磁石の希土類元素Rには、RFeB系磁石の残留磁束密度Brが大きくなるという理由により、一般的にNd又はPrが用いられている。しかし、Nd又はPrのみを用いたRFeB系磁石は保磁力Hcjが低く、自動車用モータ等の回転子の磁石には適していない。また、希土類元素Rとして、Nd又はPrに、Dy(ディスプロシウム), Tb(テルビウム)及びHo(ホルミウム)のうちの少なくとも1種の希土類元素である重希土類元素を添加したものを用いることにより、Nd又はPrのみを用いる場合よりも保磁力Hcjが向上することが知られているが、その場合には残留磁束密度Brが低下してしまう。
そこで、特許文献1及び2に記載のRFeB系磁石製造方法では、希土類元素RとしてNdを用いたRFeB系磁石の焼結体から成る基材の表面に、重希土類元素を含有する無機物(例えばフッ化物)の粉末、又は単体、合金若しくは金属間化合物の金属体を付着させ、所定の温度に加熱することにより、基材中の粒界を通して重希土類元素を基材内に拡散させるという、粒界拡散処理を行う。その際、粒界には結晶粒よりも希土類の含有率が高い希土類リッチ相が存在し、その希土類リッチ相が粒界拡散処理の際の加熱によって溶融することにより、重希土類元素が基材内に拡散し易くなる。この粒界拡散処理により、粒界を介してRFeB系磁石の結晶粒の表面付近に重希土類元素が拡散している。保磁力Hcjが低下する主な原因が個々の結晶粒の表面付近における結晶の欠陥に起因して外部磁界による磁化の反転が生じ易くなることにあることから、このように個々の結晶粒に重希土類元素が多く拡散することにより、粒界拡散処理後のRFeB系磁石全体の保磁力Hcjは該処理前よりも向上する。一方、結晶粒の表面付近以外には重希土類元素がほとんど拡散していないため、粒界拡散処理後のRFeB系磁石全体の残留磁束密度Brは該処理前と比較してほとんど低下しない。
特許文献1及び2では、具体的には以下の処理が行われる。特許文献1では、重希土類元素のフッ化物をエタノールと混合することでスラリーを作製する。次に、基材をこのスラリーに浸漬した後に引き上げ、乾燥させることにより、基材の表面に重希土類元素のフッ化物から成る無機物の粉末を付着させる。そして、無機物の粉末を付着させた基材を900℃に加熱することにより、重希土類元素を粒界を通して基材内部に拡散させる。特許文献2では、重希土類元素から成る金属体である箔又は粉末を基材の表面に接触させ、900℃に加熱することにより、重希土類元素を粒界を通して基材内部に拡散させる。
特許文献1に記載の方法では、基材の表面に付着させる無機物の粉末は基材の表面から剥がれ易く、それにより無駄が生じるうえに、基材表面との接触性が悪いため重希土類元素が基材内部に拡散し難い。また、スラリーの乾燥工程が必要になるうえに、粉末を作製する際に一般的に使用される潤滑剤を該粉末から除去する脱脂工程も必要となるため、粒界拡散処理に時間を要する。さらに、スラリーの乾燥や脱脂のために高温で処理を行う必要があり、結晶粒が微細なRFeB系磁石では、そのような高温での処理を行うと結晶粒が粗大化してしまうため適用できないという問題もある。
また、特許文献2に記載の方法では、重希土類元素の箔又は粉末を基材に接触させるだけであることから、基材の表面から剥がれ易く、また基材表面との接触性が悪いため重希土類元素が基材内部に十分拡散し難い。また、粉末を用いる場合には、酸化を抑制すること等の雰囲気制御を要する。
本発明が解決しようとする課題は、重希土類元素を含有する物とRFeB系磁石の焼結体から成る基材の表面との接触性がよい状態で粒界拡散処理を行うことができ、それにより、再現性良く保磁力Hcjの高いRFeB系磁石を製造することができる方法を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係るRFeB系磁石製造方法は、
a) 焼結又は熱間塑性加工により、1種又は複数種の希土類元素R、Fe及びBを主成分とする結晶粒を有する基材を作製する基材作製工程と、
b) 前記基材が含有する希土類元素Rと異種又は同種の希土類元素である1種又は複数種の拡散対象希土類元素を含有する金属から成るR含有金属体を前記基材の表面に溶接する溶接工程と、
c) 前記基材及び前記R含有金属体を、前記拡散対象希土類元素が該基材内に拡散する所定温度に加熱する加熱工程と
を有することを特徴とする。
a) 焼結又は熱間塑性加工により、1種又は複数種の希土類元素R、Fe及びBを主成分とする結晶粒を有する基材を作製する基材作製工程と、
b) 前記基材が含有する希土類元素Rと異種又は同種の希土類元素である1種又は複数種の拡散対象希土類元素を含有する金属から成るR含有金属体を前記基材の表面に溶接する溶接工程と、
c) 前記基材及び前記R含有金属体を、前記拡散対象希土類元素が該基材内に拡散する所定温度に加熱する加熱工程と
を有することを特徴とする。
本発明に係るRFeB系磁石製造方法によれば、R含有金属体を基材の表面に溶接するため、該溶接後、R含有金属体内の拡散対象希土類元素が加熱工程で基材内に拡散するまで、R含有金属体が基材の表面から剥がれることを防ぐことができる。そのため、拡散対象希土類元素を無駄なく使用することができる。また、R含有金属体を基材の表面に溶接することにより両者の接触性が良くなるため、拡散対象希土類元素が基材の表面から主相粒子の粒界に拡散し易くなる。さらに、R含有金属体が基材の表面から剥がれることを防ぐことで、再現性良く保磁力Hcjの高いRFeB系磁石を製造することができる。
R金属含有体には、拡散対象希土類元素よりも融点が低い共晶合金を用いることが望ましい。800℃以下でR含有金属体の一部が溶融するような低融点金属を用いることにより、800℃以下でR含有金属体が溶けて粒界に拡散浸透することができるため、高温で結晶粒が粗大化しやすい微細結晶粒から成るRFeB系磁石に好適に適用することができる。
本発明において、残留磁束密度が高く保磁力が低い基材を用いて、残留磁束密度を低下させることなく保磁力を高くするためには、前記基材が含有する希土類元素RがNd, Pr, La, Ce及びSmのうちの少なくとも1種である軽希土類元素であり、前記拡散対象希土類元素がDy, Tb及びHoのうちの少なくとも1種である重希土類元素であることが望ましい。
一方、基材を作製する際に、希土類元素Rの一部が液相となって失われ、それにより保磁力Hcj等の磁気特性が低下することがあることから、基材が含有する希土類元素Rとは同種又は異種の希土類元素をRFeB系磁石の基材に拡散させることで希土類元素を補うことにより、磁気特性を高くすることができる。
なお、基材は希土類元素R、Fe及びB以外の元素を含有していてもよい。また、R含有金属体は、拡散対象希土類元素以外の元素を含有していてもよい。
また、R含有金属体を基材の表面に溶接する際には、R含有金属体と基材の表面との接触面の全面を溶接する必要はなく、接触面の一部を溶接するだけでよい。この場合にも、前述の基材表面からのR含有金属体の剥離の防止と接触性の向上という作用を有する。
R含有金属体を基材の表面に溶接する方法は特に問わない。例えば、取り扱いが容易であって広く普及している、市販のスポット溶接装置を用いて当該溶接を行うことができる。
R含有金属体の形状は特に問わないが、1個のR含有金属体で基材の表面の広い範囲に接触させることができるよう、箔状、帯状、板状といった形状のR含有金属体を用いることが望ましい。また、このような形状のR含有金属体を用いて前述のスポット溶接装置を用いて溶接を行う場合には、破損し難い範囲内で電流を流し易いという点で、R含有金属体には20〜150μmの範囲内の厚みを有するものを用いることが望ましい。R含有金属体は1個のみであってもよいし、複数個であってもよい。
このように、本発明に係るRFeB系磁石製造方法によれば拡散対象希土類元素が基材の表面から粒界に拡散し易くなるため、加熱工程における温度(前記所定温度)を従来よりも低くすることができる。前記所定温度は、500〜1000℃の範囲内の温度とすることができるが、以下の理由により、800℃以下とすることが望ましく、665℃以下とすることがより望ましい。
RFeB系磁石では、焼結又は熱間塑性加工後に800℃を超える温度に加熱すると、RFeB系磁石を構成する多数の結晶の一部が成長して粒径が大きくなり(異常粒成長)、それにより1個の粒内に磁化の方向が互いに異なる複数の磁区が形成され易くなって保磁力が低下する原因となる。この異常粒成長は、元の結晶の粒径が小さいほど低温で生じ易くなる。そのため、前記所定温度は800℃以下であることが望ましい。
従来、希土類元素を含有する粉末をRFeB系磁石に付着させて粒界拡散処理を行う場合には、当該粉末を作製する際に、水素を吸蔵させることによって原料を脆化させたうえで解砕する水素解砕処理が行われていたが、それにより当該粉末に希土類の水素化物が生成され、希土類元素を拡散させる際に800℃以上の温度の真空下で脱水素処理を行う必要があった。そのため、前述のように平均粒径2μm以下の微細結晶粒を持つRFeB系磁石においては異常粒成長が生じるという問題が生じていた。また、粉末を用いると、比表面積が大きいため活性であって酸化し易く、歩留まりが低下する、という問題が生じる。それに対して本発明によれば、R含有金属体を前記基材の表面に溶接することから、水素解砕処理の必要がないため、高温真空下での脱水素処理を行う必要がない。それにより800℃を超える温度に加熱する必要がないため、異常粒成長を防ぐことができる。また、粉末よりもR含有金属体が酸化し難く、大気中でも取り扱うことができるため、低酸素雰囲気等を制御する設備を用いる必要がないうえに、歩留まりを向上させることができる。
粒界拡散処理の温度が三元共晶温度である665℃を超えると、RFeB系磁石中の結晶粒の一部が溶解するため、RFeB系磁石の磁化が低下したり、粒界中のFeの濃度が上昇することで保磁力が低下する原因となる。そのため、前記所定温度は665℃以下とすることがより望ましい。
本発明に係るRFeB系磁石製造方法によれば、重希土類元素を含有するR含有金属体を、焼結又は熱間塑性加工により作製されたRFeB系磁石の基材の表面に溶接することによって両者の接触性がよい状態で粒界拡散処理を行うことができ、それにより保磁力Hcjの高いRFeB系磁石を製造することができる。
図1〜図3を用いて、本発明に係るRFeB系磁石製造方法の実施形態を説明する。
まず、図1を参照しつつ、本発明に係るRFeB系磁石製造方法の一実施形態を説明する。
初めに、希土類元素R、Fe及びBを含有するRFeB系磁石から成る基材11を作製する(図1(a))。希土類元素Rには、Y及びランタン族を含む任意の希土類元素を用いることができる。基材11は、直方体、円板状等の種々の形状とすることができる。基材11の作製方法は特に問わないが、例えば特許文献3に記載の焼結法(後述)や、特許文献4に記載の熱間塑性加工法を用いることができる。
次に、基材11の1表面に、拡散対象希土類元素を含有する金属から成るR含有金属体12を接触させる(図1(b))。拡散対象希土類元素は、基材11が含有する希土類元素Rと異種の希土類元素であってもよいし、同種の希土類元素であってもよい。例えば、保磁力を高くするために、拡散対象希土類元素としてDy, Tb及びHoのうちの少なくとも1種(すなわち重希土類元素)を用いることができる。また、R含有金属体12は、1種類の拡散対象希土類元素のみ(単体)から成るものであってもよいし、2種又は3種を含有する合金であってもよい。さらに、R含有金属体12は、拡散対象希土類元素と他の金属元素との合金であってもよい。例えば、拡散対象希土類元素以外の元素として、Ni及び/又はAlを含有する合金を用いることができる。これらNi及びAlは、基材の粒界に存在する希土類元素に富んだRリッチ相の融点を低下させ、後述の加熱時に、融解した粒界を通して拡散対象希土類元素を基材内に拡散させやすくすることができる、という作用を奏する元素である。
R含有金属体12の形状及び大きさは、例えば直方体状の基材11が有する6つの表面のうちの1つや、円板状の基材11が有する円形の表面のうちの1つの全体を覆う程度のものであってもよいし、それら基材11の表面の一部のみを覆う程度のものであってもよい。基材11の表面の一部のみを覆うR含有金属体12を用いる場合には、1つの当該表面に対して複数個のR含有金属体12を接触させることが望ましい(図1(b'))。また、R含有金属体12は、後述のスポット溶接装置を用いて容易に溶接を行うことができるよう、厚みが20〜150μmの範囲内である箔状のものであることが望ましい。
続いて、基材11の表面に接触させたR含有金属体12を該表面に溶接する(図1(c), (c'))。溶接には、電流による抵抗溶接やレーザ光によるレーザ溶接等の方法を用いることができる。また、基材11とR含有金属体12の境界面のうち溶接を行う位置は、境界面全体であってもよいし、境界面全体のうち1又は複数の部分面状、線状又は点状の領域のみであってもよい。簡易な装置で容易に溶接することができる点で、抵抗スポット溶接やレーザスポット溶接等のスポット溶接を用いることができる。
R含有金属体12を溶接する基材11の表面は1つの面のみであってもよいが、より均一に近く重希土類元素を基材11内部に拡散させるために、複数の表面であることが望ましい。例えば、板状の基材11に対して粒界拡散処理を行う場合には、厚み方向(厚みが最も薄い方向)に対向する2つの表面にR含有金属体12を溶接することが、基材11全体に重希土類元素を拡散させ易いという点で望ましい。このように基材11の複数の表面にR含有金属体12を溶接する場合には、1つの表面にR含有金属体12を溶接した(図1(b), (c))後、他のR含有金属体12を他の表面に接触させた(同(d))うえで溶接を行う(同(e))。なお、複数の表面にそれぞれR含有金属体12を接触させた状態で保持することが可能であれば、その状態で複数のR含有金属体12をそれぞれ基材11の表面に溶接するようにしてもよい。
このように基材11の1又は複数の面にR含有金属体12を溶接した後、500〜1000℃の範囲内の温度に加熱することにより、重希土類元素を基材11内部に拡散させる(図1(f))。これにより、内部に重希土類元素が拡散したRFeB系磁石10が得られる(図1(g))。なお、RFeB系磁石10の表面にはR含有金属体12の一部であるR含有金属体残渣12’が残存するが、R含有金属体残渣12’は研磨等を行って除去してもよいし、使用したR含有金属体12の成分によってはR含有金属体残渣12’がRFeB系磁石10を保護する保護層となることから、その場合にはR含有金属体残渣12’を残してもよい。
図2に、本実施形態のRFeB系磁石製造方法を実施するためのスポット溶接装置20を示す。このスポット溶接装置20は、ヘッド電極21、ベース電極22、ヘッド電極昇降部23、ベース電極移動部24、及び電源25を有する。
ヘッド電極21は針状の電極であり、ベース電極22は被溶接物が載置される板状の電極である。ヘッド電極昇降部23は、ヘッド電極21をベース電極22の板面に対して略垂直方向に移動させ、それにより、ベース電極22に載置された被溶接物(基材11とR含有金属体12)にヘッド電極21の先端を接触させたり離したりするものである。ベース電極移動部24は、ベース電極22をその板面に対して略平行方向(図2の左右方向及び紙面に垂直な方向)に移動させ、それによりヘッド電極21の先端と被溶接物が接触する位置を移動させるものである。
電源25は、ベース電極22に載置された被溶接物にヘッド電極21の先端を接触させた状態で、ヘッド電極21とベース電極22の間に流す電流を供給する電源である。本実施形態では、電源25には、最大30Vの電圧を最大30ミリ秒間印加する電源を用いた。
図3を用いて、スポット溶接装置20の使用方法を説明する。まず、ベース電極22の上にR含有金属体12を載置する。そして、R含有金属体12の上に基材11を載置することにより、R含有金属体12を基材11の表面に接触させる(図3(a))。このように、R含有金属体12の上に基材11を載置することで、基材11よりも薄いR含有金属体12を固定した状態で以下の作業を容易に行うことができる。なお、基材11とR含有金属体12の位置を逆にしてもよい。
次に、ヘッド電極昇降部23によりヘッド電極21を降下させ、ヘッド電極21の先端を基材11の表面に接触させる(図3(b))。この状態で、電源25から電流をヘッド電極21とベース電極22の間に供給する(図3(c))。これにより、基材11とR含有金属体12の境界面の一部分が溶接される。次に、ヘッド電極21を上昇させたうえで、ベース電極移動部24によりベース電極22並びにその上に載置された基材11及びR含有金属体12を横方向に移動させ(図3(d))、図3(b)及び(c)に示した操作を行うことにより、基材11とR含有金属体12の境界面のうち、前述の一部分とは異なる部分が溶接される。以下、図3(b)〜(d)の操作をを繰り返すことにより、基材11とR含有金属体12の境界面の広い範囲を溶接することができる。
本発明に係る方法によりRFeB系磁石を製造した例を説明する。
基材11は、以下の方法により作製した。原料として、ストリップキャスト法により作製され、組成がNd:27.8質量%、Pr:4.2質量%、B:0.97質量%、Al:0.27質量%、Fe:残部である原料合金を用意した。この原料合金を水素解砕した後、ジェットミルで粉砕することにより、平均粒径が3.7μmである原料合金粉末を作製した。この原料合金粉末をモールドに収容し、圧縮成形を行うことなく、5Tの磁界を印加することで原料合金粉末の粒子を配向させたうえで、真空中で880℃に加熱することによって原料合金粉末を焼結し、基材11を得た(基材作製工程)。作製した基材11の形状は直方体であり、その大きさは縦1.5mm、横1.5mm、厚み2.0mmであった。なお、このように圧縮成形を行うことなく焼結磁石を製造する方法は特許文献3に記載されている。この方法によれば、プレス機を使用する必要がないことから作業空間を小さくすることができるため、低酸素雰囲気(真空又は不活性ガス雰囲気)を形成しやすくなり、それにより原料合金粉末の酸化を防止しつつ該原料合金粉末の粒径を小さくすることができ、得られる焼結体の結晶粒も小さくできるため保磁力が高くなる、という利点がある。もちろん、プレス機を使用した通常の方法(プレス法)で基材11を作製してもよいし、特許文献4に記載の熱間塑性加工法で基材11を作製してもよい。
基材11は、以下の方法により作製した。原料として、ストリップキャスト法により作製され、組成がNd:27.8質量%、Pr:4.2質量%、B:0.97質量%、Al:0.27質量%、Fe:残部である原料合金を用意した。この原料合金を水素解砕した後、ジェットミルで粉砕することにより、平均粒径が3.7μmである原料合金粉末を作製した。この原料合金粉末をモールドに収容し、圧縮成形を行うことなく、5Tの磁界を印加することで原料合金粉末の粒子を配向させたうえで、真空中で880℃に加熱することによって原料合金粉末を焼結し、基材11を得た(基材作製工程)。作製した基材11の形状は直方体であり、その大きさは縦1.5mm、横1.5mm、厚み2.0mmであった。なお、このように圧縮成形を行うことなく焼結磁石を製造する方法は特許文献3に記載されている。この方法によれば、プレス機を使用する必要がないことから作業空間を小さくすることができるため、低酸素雰囲気(真空又は不活性ガス雰囲気)を形成しやすくなり、それにより原料合金粉末の酸化を防止しつつ該原料合金粉末の粒径を小さくすることができ、得られる焼結体の結晶粒も小さくできるため保磁力が高くなる、という利点がある。もちろん、プレス機を使用した通常の方法(プレス法)で基材11を作製してもよいし、特許文献4に記載の熱間塑性加工法で基材11を作製してもよい。
R含有金属体12として、Tb:90.4質量%、Cu:7.33質量%、Al:2.28質量%(端数処理の関係上、これらの数値の合計は100(質量%)にはならない)という組成を有し、厚みが90μmであって、直方体の基材11における6枚の表面のうち厚み方向に対向する2つの面の各々の全体を覆う大きさを有する薄膜を用意した。R含有金属体12は、上記のスポット溶接装置20を用いて、基材11の前記2面にそれぞれ、2箇所ずつスポット溶接することにより固定した(溶接工程)。その後、不活性ガス雰囲気中において温度690℃で10時間加熱すること(加熱工程)により、R含有金属体12中の各元素を基材11の粒界に拡散させ、RFeB系磁石を得た。その後、RFeB系磁石の表面を機械研磨することにより、該表面に残存していたR含有金属体12を除去した。
作製した基材11及びRFeB系磁石につき保磁力Hcjを測定したところ、基材11では10.2kOeであるのに対して、(粒界拡散処理後の)RFeB系磁石では19.4kOeであった。この結果から、本実施例により、確かにTb等の元素が基材11の粒界に拡散し、それによって保磁力Hcjが向上していることが確認できた。
次に、基材11が含有する希土類元素Rと同種の拡散対象希土類元素を含有するR含有金属体12を用いた実施例を説明する。この実施例では、希土類元素Rの含有量を通常よりも少なくした、保磁力Hcjの低い基材11を用いた。具体的には、基材11の組成はNd:29.7質量%、Pr:0.07質量%、B:0.94質量%、Al:0.07質量%、Fe:残部であり、基材11の保磁力は5.5kOeである。この基材11に対して、組成がNd:84質量%、Cu:16質量%であるR含有金属体12を用いて本実施形態の粒界拡散処理(加熱温度575℃、加熱時間2時間)を行った。それにより得られたRFeB系磁石の保磁力は16.0kOeであった。また、これと同じ組成の基材11に対して、組成がNd:82.06質量%、Fe:2.12質量%、Cu:7.40質量%、Ga:8.42質量%であるR含有金属体12を用いて本実施形態の粒界拡散処理(加熱温度640℃、加熱時間1時間)をを行ったところ、得られたRFeB系磁石の保磁力は16.6kOeであった。
10…RFeB系磁石
11…基材
12…R含有金属体
12’…R含有金属体残渣
20…スポット溶接装置
21…ヘッド電極
22…ベース電極
23…ヘッド電極昇降部
24…ベース電極移動部
25…電源
11…基材
12…R含有金属体
12’…R含有金属体残渣
20…スポット溶接装置
21…ヘッド電極
22…ベース電極
23…ヘッド電極昇降部
24…ベース電極移動部
25…電源
Claims (8)
- a) 焼結又は熱間塑性加工により、1種又は複数種の希土類元素R、Fe及びBを主成分とする結晶粒を有する基材を作製する基材作製工程と、
b) 前記基材が含有する希土類元素Rと異種又は同種の希土類元素である1種又は複数種の拡散対象希土類元素を含有する金属から成るR含有金属体を前記基材の表面に溶接する溶接工程と、
c) 前記基材及び前記R含有金属体を、前記拡散対象希土類元素が該基材内に拡散する所定温度に加熱する加熱工程と
を有することを特徴とするRFeB系磁石製造方法。 - 前記基材が含有する希土類元素RがNd, Pr, La, Ce及びSmのうちの少なくとも1種である軽希土類元素であり、
前記拡散対象希土類元素がDy, Tb及びHoのうちの少なくとも1種である重希土類元素である
ことを特徴とする請求項1に記載のRFeB系磁石製造方法。 - 前記R含有金属体が、800℃以下の温度で溶融する共晶合金を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のRFeB系磁石製造方法。
- 前記R含有金属体が、665℃以下の温度で溶融する共晶合金を含有することを特徴とする請求項3に記載のRFeB系磁石製造方法。
- 前記R含有金属体が箔状、帯状、又は板状の形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のRFeB系磁石製造方法。
- 前記R含有金属体が20〜150μmの範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項5に記載のRFeB系磁石製造方法。
- 前記所定温度が500〜800℃の範囲内の温度であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のRFeB系焼結磁石製造方法。
- 前記所定温度が500〜665℃の範囲内の温度であることを特徴とする請求項7に記載のRFeB系焼結磁石製造方法。
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WO2021218701A1 (zh) * | 2020-04-30 | 2021-11-04 | 厦门钨业股份有限公司 | 一种钕铁硼磁体材料、原料组合物及制备方法、应用 |
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