JP2018026207A - リチウム空気電池の正極構造 - Google Patents

リチウム空気電池の正極構造 Download PDF

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Abstract

【課題】 正極集電体と外装材とを接合して、電解液の漏洩を防止でき、縦置のリチウム空気電池セル等に好適な構造とすることができ、レイアウトの自由度を向上し、かつ長時間に亘る安定した放電を可能とするリチウム空気電池の正極構造が提供される。
【解決手段】 本発明に係るリチウム空気電池の正極構造は、正極材と正極集電体と外装材とを少なくとも備えるリチウム空気電池の正極構造であって、前記正極材が第一の正極材と第二の正極材とを備え、平面視において、前記第一の正極材が前記第二の正極材を全周に亘って包囲し、前記第一の正極材と前記第二の正極材との大きさの差異によって形成する領域が、前記第一の正極材と前記正極集電体との接触領域を形成してなり、前記接触領域にて前記正極集電体と前記外装材とが接合されていることとした。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム空気電池の正極構造に関する。
リチウム空気電池は、そのエネルギー密度が現在車載が始まっているリチウムイオン電池の7倍以上であり、本格的な電気自動車(EV)の普及に必要とされる700Wh/kgのエネルギー密度を得られることから、盛んに研究されている。このようなリチウム空気電池は、負極活物質として金属リチウム又は金属リチウムを主成分とする合金若しくは化合物を使用する構造を有し、電解液の種類により、水溶液系電解液と非水系電解液との2つに大別される。
水溶液系リチウム空気電池の正極構造として、正極と負極層との間に電解液を配置し、正極の外側にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のフィルタを配置し、これらをガスバリア性のラミネートフィルム内に封入し、PTFE側のラミネートフィルムのみに窓を開けて空気と接触させるリチウム空気電池セルの構造が知られている(例えば、非特許文献1)。しかしながら、非特許文献1に記載の構造では、リチウム空気電池を横にすると電解液が漏洩してしまう虞がある。また、リチウム空気電池を長時間に亘って使用する場合に、放電電圧を所望の値に維持できない傾向がある。
株式会社ジーエス・ユアサ・コーポレーションのレポート「水溶液系リチウム/空気電池の現状と課題」(2010年6月)
前記課題に照らして、本発明は、電解液の漏洩を防止でき、縦置のリチウム空気電池セル等に好適な構造とすることができ、レイアウトの自由度を向上し、かつ長時間に亘る安定した放電を可能とするリチウム空気電池の正極構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は1つの側面でリチウム空気電池の正極構造であり、正極材と正極集電体と外装材とを少なくとも備えるリチウム空気電池の正極構造であって、前記正極材が第一の正極材と第二の正極材とを備え、平面視において、前記第一の正極材が前記第二の正極材を全周に亘って包囲し、前記第一の正極材と前記第二の正極材との大きさの差異によって形成される領域が、前記第一の正極材と前記正極集電体との接触領域を形成し、前記接触領域にて前記正極集電体と前記外装材とが接合されている。
本発明によれば、電解液の漏洩を防止でき、縦置のリチウム空気電池セル等に好適な構造とすることができ、レイアウトの自由度を向上し、かつ長時間に亘る安定した放電を可能とするリチウム空気電池の正極構造が提供される。
図1は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造が適用されるリチウム空気電池の基本的概念を説明する模式的な断面図である。 図2(a)は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第一実施の形態について、正極材の構成を概略的に示す模式図であり、図2(b)は、図2(a)中の矢印の方向から正極材を視た平面視での正極材の構成を概略的に示す模式図である。 図3は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第一実施の形態について、正極構造を概略的に示す断面図である。 図4は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造を採用するリチウム空気電池セルの構造を概略的に示す部分断面図である。 図5は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第二実施の形態について、正極構造を概略的に示す部分断面図である。 図6は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第三実施の形態について、正極構造を概略的に示す部分断面図である。 図7は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第四実施の形態について、正極構造を概略的に示す部分断面図である。 図8は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造について、実施例の正極構造の一部を概略的に示す模式図である。 図9は、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造について、比較例のリチウム空気電池セルの構造を概略的に示す模式図である。 図10は、本発明に係るリチウム空気電池セルの正極構造について、実施例及び比較例の放電特性を示すグラフである。
以下、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、本実施の形態によって限定されない。また、添付図面は、本実施の形態の概要を説明するための図であり、付属する機器を一部省略している。
先ず、図1に、本発明に係る正極構造を適用するリチウム空気電池1を模式的に示す。図1に示すように、リチウム空気電池1は、触媒が担持された正極集電体を備える正極(空気極)2、水溶液系電解液3、固体電解質(隔離層)4、負極層5を備えている。緩衝層(保護層)6は、セパレータとも称され、固体電解質4と負極層5とが直接接触しないようにするための層である。なお、図中では、負荷7を模式的に示している。リチウム空気電池1は、負極層5及び正極2の各々にて、下記式(i)〜式(iii)で表される反応が起こるように構成されている。
Figure 2018026207
図1に示すように、正極2よりも内部側に水溶液系電解液3を配置している。また、リチウム空気電池1の放電の際に、空気中の酸素(O2)を正極活物質として使用するため、正極2では、空気を取り入れて、かつ有効な反応場を確保することが必要である。
1.第一実施の形態
図2(a)〜図3を用いて、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第一実施の形態を説明する。本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造は、正極材10と、正極集電体20と、正極外装材30と、熱溶着部材40とを少なくとも備えている。
先ず、図2(a)及び図2(b)では、本発明の理解を容易とするために、正極材10のみを図解している。
図2(a)に示すように、正極材10は、平板形状を有し、同一又は略同一の形状及び材料を有する第一の正極材11と第二の正極材12とを備えている。第一の正極材11は、その側面に第一の外周部11aを有している。第二の正極材12は、第一の正極材11よりも小さく、その側面に第二の外周部12aを有している。第一の正極材11の第一の外周部11aで規定する面は、第二の正極材12の第二の外周部12aで規定する面よりも大きい。したがって、第一の正極材11に第二の正極材12を載置することにより、第一の正極材11のうちの第二の正極材12の周囲(第二の外周部12aよりも外方)の面には、第一の正極材11と正極集電体20が接触するための領域(接触領域11b)が形成される。なお、本明細書で「同一の形状」とは、一般的に、相似形を意味する。
また、図2(b)に示すように、平面視において、第一の正極材11の第一の外周部11aは、第二の正極材12の第二の外周部12aを全周に亘って包囲している。言い換えれば、第一の外周部11aにより囲まれた領域は、第二の外周部12aにより囲まれた領域を包含している。また、第一の正極材11と第二の正極材12との大きさの差異によって形成する領域は、第一の正極材11と正極集電体20との接触領域11bを形成することとなる。すなわち、第一の正極材11の第二の外周部12aにより囲まれた領域以外の領域に、第一の正極材11と正極集電体20との接触領域11bを設けている。なお、本明細書では、正極を第二の正極側から水溶液系電解液に向かって見た平面を「平面視」として用いている。
第一の正極材11と第二の正極材12の形状は、平面視において、第二の正極材12の周囲に接触領域11bが形成され、第一の正極材11が第二の正極材12を全周に亘って包囲できる形状あればよく、互いに同一でもよく、異なっていてもよい。例えば、正極材10の形状は、図示する平板形状以外にも、円盤形、円形等を採用することができる。また、第一の正極材11及び第二の正極材12の外寸及び厚みは、接触領域11bにて水溶液系電解液13側から正極集電体20、熱溶着部材40及び外装材30を順に配置できる外寸及び厚みであればよい。
続いて、図3を用いて、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造について説明する。
図3に示すように、第一の正極材11は、第二の正極材12に対し、水溶液系電解液13側に位置している。また、第二の正極材12は、第一の正極材11に対し、大気側に位置し、大気中に露出するように構成している。なお、本明細書中、「大気側」とは、第二の正極材12が曝される大気側を指す。
正極集電体20は、少なくとも第一の正極材11の接触領域11bで、第一の正極材11と接触している。図示する例では、正極集電体20は、第一の正極材11と第二の正極材12との間を貫通し、互いに対向した第一の正極材11の外周部11aで規定される面及び第二の正極材12の外周部12aで規定される面の両方に接触するように構成されている。正極集電体20が第一の正極材11及び第二の正極材12と密着しているため、正極における抵抗を小さくできる。このような構造は、例えば、正極材10の混練物を第一の正極材11と第二の正極材12に分けて、これらで正極集電体20を挟持することによって製造できる。
正極外装材30は、正極集電体20に対して大気側に位置し、第二の正極材12と同一又は略同一の形状の開口部31を有している。また、正極外装材30は、第二の正極材12と(熱溶着部材40が第二の正極材12との間にある場合は、熱溶着部材40を介して)接触し、溶着部40aにて正極集電体20と熱溶着部材40を介して接触するように構成している。正極外装材30の開口部31の面積は、第二の正極材12の外周部12aで規定される大気側の面の面積より小さく、かつ第二の正極材12に空気を取り込める面積であればよい。正極外装材30の形状、外寸及び厚みは、正極を熱圧着してなる正極構造にて、第二の正極材12と熱溶着部材40を介して接触し、溶着部40aで正極集電体20と接合できる形状、外寸及び厚みであればよい。
熱溶着部材40は、正極集電体20に対して大気側かつ正極外装材30に対して水溶液系電解液13側に位置し、第二の正極材12と同一又は略同一の形状の開口部41を有している。熱溶着部材40の開口部41は、正極外装材30の開口部31と同一又は略同一の位置に配置されている。また、熱溶着部材40は、溶着部40aにて溶融することにより正極集電体20と正極外装材30とを接合する。熱溶着部材40の開口部41の面積は、第二の正極材12の第二の外周部12aで規定される大気側の面の面積よりも小さく、溶着部40aにて正極集電体20と正極外装材30とを熱溶着により接合でき、かつ第二の正極材12に空気を取り込める面積であればよい。熱溶着部材40の形状、外寸及び厚みは、正極を熱圧着してなる正極構造にて、溶着部40aで正極集電体20と正極外装部材30とを接合できる形状、外寸及び厚みであればよい。
溶着部40aは、第一の正極材11の外周部11aで規定される接触領域11b側の面に位置し、正極を熱圧着することにより、熱溶着部材40を介して正極集電体20と正極外装体30とが接合される部分である。
以上の構成を備え、正極を熱圧着してなる正極構造では、第一の正極材11の接触領域11bで、第一の正極材11と正極集電体20とが接触し、接触領域11bの溶着部40aで、正極材10に接触した正極集電体20と正極外装材30とを熱溶着部材40を介して接合することとなる。このように、正極材10の大きな外周部と小さな外周部の間の領域に正極集電体20を設け、接合しにくい正極材10と正極外装材30の代わりに、正極集電体20と正極外装材30とを接合することによって、水溶液系電解液13の漏洩を防止することができる。また、平面視において、第一の正極材11を第二の正極材12を全周に亘って包囲できる大きさとすることにより、正極集電体20と正極外装材30との容易な接触を可能とし、第二の正極材12の大気に曝される部分を大きく維持し、かつ第一の正極材11が水溶液系電解液13と接触する部分を大きくすることができる。したがって、水溶液系電解液の漏洩を防止し、放電反応に必要な空気をリチウム空気電池の外部から正極に効率よく取り入れ、かつリチウム空気電池の反応に寄与する正極の部分を増加できる。その結果、長時間に亘って高い放電電圧を維持できる。
続いて、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造の材料について、主に説明する。
正極材10は、一般的に、導電助剤、結着剤(バインダ)及び正極集電体20に担持させるための触媒により構成している。触媒には、二酸化マンガン(MnO2)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)等の電気反応を促進できる触媒、白金(Pt)等の貴金属をカーボン等に担持した触媒等が挙げられる。導電助剤としては、カーボンブラック等の電極材料として使用可能なカーボン材料を用いることができる。結着剤としては、透気防水性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。結着剤をPTFEとすることにより、正極に優れた透気防水性を付与することができる。したがって、正極に空気を効率よく取り込み、かつ正極からの水溶液系電解液の漏洩を好適に防止することができる。結着剤の量としては、例えば正極材に対してPTFEを20重量%以上含有することが好ましく、20重量%以上50重量%以下がより好ましい。このような範囲であれば、水溶液系電解液の漏洩を好適に防止することができる。
正極集電体20は、耐食性と導電性を有する材料であればよい。具体的には、正極集電体20として、カーボンペーパ、カーボンクロス、カーボン不織布、多孔質の金属(金属の発砲体)、金属メッシュ等が挙げられる。これらのうち、金属メッシュが好ましい。正極集電体が金属メッシュであれば、例えば、熱溶着部材40及び正極材10に容易に結着して正極の作製を容易とすることができる。また、金属メッシュは、アルカリ水溶液に対する耐腐食性が高い金属メッシュであればよく、例えば白金(Pt)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)等のメッシュが挙げられる。これらのうち、金属メッシュは、チタンメッシュが好ましい。チタンメッシュは、アルカリ水溶液に対する耐腐食性が高く、比較的に軽量かつ安価であり、熱溶着部材40との接合性及び正極材10との密着性の両方を向上することができる。その結果、水溶液系電解液の漏洩を好適に防止することができ、かつ高い強度を正極及びリチウム空気電池に付与できる。
正極外装材30は、少なくとも1層の金属箔のラミネートフィルムである。金属箔としては、アルミニウム(Al)、SUS(Stainless Used Steel)等の箔が挙げられる。これらのうち、正極外装材30は、Al箔であることが好ましく、Al箔を少なくとも含む3層以上の構造であることがより好ましい。3層構造を有する正極外装材30としては、中間層がAl箔であり、最外層がポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂であり、最内層がポリプレン(PP)樹脂であるラミネートフィルムが好ましい。このような層構造によって、最外層により優れた耐熱性及び強度を正極外装材に付与でき、かつ、最内層により低融点、優れた熱加工性及びヒートシール性を正極外装材に付与できる。なお、このような層構成に限らず、最外層として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ナイロン系樹脂等のフィルム、最内層として、PE樹脂等のフィルム等を使用することができる。また、4層以上の構造を有する外装材としては、3層の間にナイロンフィルム等のフィルムを1層以上含む構造を採用できる。
熱溶着部材40は、正極集電体20と正極外装材30とを熱によって溶着できる部材であればよい。熱溶着部材40としては、熱溶着シート、接着剤等が挙げられる。具体的には、熱溶着部材40は、熱溶着シートが好ましく、熱溶着シートとしては、酸変性ポリプロピレン樹脂等を基材としたシート等が挙げられる。熱溶着部材40を熱溶着シートとすれば、正極外装材30(特にPP)や正極集電体20の金属等と容易に接合することができる。また、正極外装材30を大気側から1回溶着するだけで正極集電体20と接合できる。したがって、正極及びリチウム空気電池を簡易に製造できるため、正極及びリチウム空気電池の生産性を向上することができる。また、正極集電体20と正極外装材30との接合強度を高くすることができるため、水溶液系電解液13の漏洩を確実に防止し、かつ正極及びリチウム空気電池が破損しにくくなる。なお、熱溶着部材40を接着剤とする場合、接合前に、正極外装材30の正極集電体20と接合面をエッチングすることが好ましい。
本実施の形態によれば、接合しにくい正極材10と外装材30ではなく、正極集電体20を活用して正極集電体20と外装材30とを接合することによって、正極からの水溶液系電解液13の漏洩を防止することができる。
また、本実施の形態によれば、電解液が漏洩することのない正極となるため、正極構造として、例えば、防湿性かつ気体透過性を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート等を別途設ける必要が無くなる。これにより、正極及びリチウム空気電池の部品点数を削減し、軽量化することができる。さらに、電解液が漏洩することのない正極となるため、縦置のリチウム空気電池セルに好適な構造とすることができ、レイアウトの自由度を向上することができる。さらにまた、電解液が漏洩することのない正極となるため、長時間に亘って安定した放電を可能とする。
さらに、本実施の形態よれば、第二の正極12を大気中に直接的に曝すことができるので、放電反応に必要な空気をリチウム空気電池の外部から効率良く供給でき、長時間に亘って安定した放電を可能とし、かつリチウム空気電池の平均放電電圧を向上できる。さらにまた、第一の正極材11が水溶液系電解液13と接触する部分を大きくすることができる。したがって、正極中に有効な反応場を確保することができる。その結果、長時間に亘って安定かつ高電圧の放電が可能となる。
[リチウム空気電気セル]
続いて、以上のような正極構造を有するリチウム空気電池セルについて、図4を用いて説明する。図4に、本発明に係るリチウム空気電池セルの第一実施の形態を部分的な断面図にて示す。本実施の形態のリチウム空気電池は、水溶液系電解液を用いたリチウム空気電池として説明する。また、前述の第一実施の形態に係る正極構造については、同一の番号を付し、特段の記載がない限りにおいて説明を省略している。
なお、以下の説明において、図中上方向に位置する要素を「上側」等のように表現している。しかし、これはあくまで説明上の便宜的なものであり、金属空気電池の配置される状態によって、上側として説明したものが下側となることもある。また、上下関係ではなく、左右関係に位置することもある。
図4に示すように、リチウム空気電池は、第一実施の形態に記載の正極構造を有する正極と負極複合体とを対向させ、それらの間に水溶液系電解液13を充填し、正極及び負極複合体の固体電解質54の各々を水溶液系電解液13に接するように構成している。
正極は、平板形状を有する。正極の一方の面は、負極複合体の一方の面(すなわち、固体電解質54側の面)に対向している。正極の正極外装材30の形状、層構造並びに材料は、前述の正極外装材と同一又は略同一の形状、層構造及び材料を採用することができる。図示の例では、正極外装材30の層構造を3層構造とし、3層構造のうちの中間層30aをAl箔とし、最外層30bをPET樹脂とし、最内層30cをPP樹脂としている。
第一の正極材11と正極外装材30の最内層30cとは、第一の正極材11と正極集電体20とを密着させて、かつ水溶液系電解液の漏洩を防ぐために、外周封止部材18により封止している。外周封止部材18は、第一の正極材11の水溶液系電解液13側の面を除いた領域を閉ざし、この領域内に、第一の正極材11、第二の正極材12、正極集電体20の一部、第二の正極材12、熱溶着部材40を封入するように構成している。外周封止部材18は、熱溶着シートや接着剤等が使用でき、好ましくは接着剤である。熱溶着シートとしては、酸変性ポリプロピレン等が挙げられる。接着剤としては、透湿性が低く、かつ、密閉性が高いものが好適であり、エポキシ系接着剤、オレフィン系接着剤、合成ゴム系接着剤等が挙げられる。
正極の正極集電体20の寸法は、第一の正極材11と略同一としている。また、正極集電体20は、リチウム空気電池セルの外部まで延出するタブ部を備えている。タブ部の形状は、外周封止部材18による正極の気密性及びリチウム空気電池セルの気密を維持できる形状であればよく、正極集電体20と異なっていてもよい。タブ部の材料は、正極集電体20と異なってもよく、同一でもよい。
負極複合体は、負極層55と、緩衝層56と、固体電解質54との積層体を上側外装体60及び下側外装体70で挟持し、それらの間に非水系電解液80を充填している。また、負極複合体は、正極と対向するように、正極側から、上側外装材60、固体電解質54、緩衝層56、負極層55及び下側外装材70を順に配置して構成している。
上側外装材60及び下側外装材70の層構造並びに材料は、第一実施の形態の正極外装材30と同一又は略同一の層構造及び材料を採用することができる。図示の例では、上側外装材60及び下側外装材70の層構造を3層構造としている。具体的には、上側外装材60及び下側外装材70の材料について、3層構造のうちの中間層60a、70aをAl箔とし、最外層60b、70bをPET樹脂とし、最内層60c、70cをPP樹脂としている。上側外装材60及び下側外装材70の形状は、水溶液系電解液13を漏洩することなく、正極と接合できる形状であればよい。
固体電解質54は、リチウムイオンを透過させることができる電解質であり、負極複合体が水溶液系電解液13と接する面に位置している。固体電解質としては、イオン導電性に優れ、不燃性である点からガラスセラミックが挙げられる。ガラスセラミックとしては、NASICON型の結晶構造を有するリチウム(Li)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、リン(P)、珪素(Si)、酸素(O)等からなる酸化物であるLTAPが好ましい。固体電解質がLTAPであれば、良好な耐水性と高い強度とをリチウム空気電池に付与できる。
緩衝層56は、固体電解質54と負極層55の間に位置し、負極層55と固体電解質54との接触を防ぐように構成している。緩衝層は、有機電解液である電解質をセパレータ(多孔質のポリエチレンやポリプロピレン、セルロース等のシート)に浸み込ませた層である。
負極層55は、金属リチウム等の表面に銅(Cu)箔等の負極集電体57の一部分を貼り合わせて構成している。負極集電体57の残部は、負極複合体の両端部が熱溶着接合しても負極複合体から突出するように構成している。
非水系電解液80としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート系溶媒やテトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル系溶媒、およびこれら複数の溶媒の混合溶液に、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等の電解質を添加してなる電解液を使用できる。
また、上側外装体60の固体電解質54側の端部と固体電解質54とを、外周封止部材58により封止している。外周封止部材58は、固体電解質54の正極側の面を除いた領域を閉ざし、この領域内に負極集電体57の一部、負極層55、緩衝層56、固体電解質54の一部及び非水系電解液80を封入するように構成している。外周封止部材58の材料は、外周封止部材18と同様の部材を好適に採用できる。
以上の構成を有する負極複合体は、例えば、固体電解質と負極層が対向するように、上側外装材、固体電解質、緩衝層、負極層と、下側外装材とを順に重ね、上側外装材と下側外装材とを、非水系電解液の注入するための端面口を残すように、図示しない熱溶着シート等の熱溶着層を介してヒートシーラにより接合する。端面口から上側外装部材と下側外装部材内に非水系電解液を注入した後、この端面口をヒートシーラにより熱溶着接合することにより作製できる。
また、以上の構成を有するリチウム空気電池セルは、例えば、正極の下端面の外装体と負極複合体の上端面の外装体とを、水溶液系電解液の注入するための端面口を残すように、熱溶着シート等の熱溶着層90を介してヒートシーラにより接合し、水溶液系電解液を注入した後、端面口をヒートシーラにより熱溶着接合することにより作製できる。
2.第二実施の形態
図5に、第二実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造を概略的に示す。図5に示すように、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造は、外装材130及び熱溶着部材140を備える点において、第一実施の形態と主に相違する。第一実施の形態と同様の構成については、同一の番号を付し、説明を省略する。
正極外装材130は、正極集電体20に対して大気側に位置し、第二の正極材12と同一又は略同一の形状の開口部131を有している。また、正極外装材130は、溶着部140aにて正極集電体20と熱溶着部材140を介して接触するように構成している。正極外装材130の開口部131の面積は、第二の正極材12の第二の外周部12aで規定される大気側の面の面積よりも大きく、第一の正極材11の第一の外周部11aで規定される大気側の面の面積よりも小さく、かつ第二の正極材12に空気を取り込める面積であればよい。正極外装材130の形状、外寸及び厚みは、正極を熱圧着してなる正極構造にて、溶着部140aで正極集電体20と接合できる形状、外寸及び厚みであればよい。正極外装材130の材料及び層構造については、第一実施の形態と同様の材料及び層構造を採用できる。
熱溶着部材140は、正極集電体20に対して大気側かつ正極外装材130に対して水溶液系電解液13側に位置し、第二の正極材12と同一又は略同一の形状の開口部141を有している。熱溶着部材140の開口部141は、正極外装材130の開口部131と同一又は略同一の位置に配置されている。また、熱溶着部材140は、溶着部140aにて正極集電体20と正極外装材30とを熱溶着により接合するように構成している。熱溶着部材140の開口部141の面積は、第一の正極材11の外周部11aで規定される大気側の面の面積よりも小さく、第二の正極材12の外周部12aで規定される大気側の面の面積よりも大きく、溶着部140aにて正極集電体20と正極外装材130とを熱溶着により接合できる面積であればよい。熱溶着部材140の形状、外寸及び厚みは、正極を熱圧着してなる正極構造にて、溶着部140aで正極集電体20と正極外装部材130とを接合できる形状、外寸及び厚みであればよい。熱溶着部材140の材料については、第一実施の形態と同様の材料を採用できる。
溶着部140aは、第一の正極材11の第一の外周部11aで規定される接触領域11b側の面に位置し、正極を熱圧着することにより、熱溶着部材140を介して正極集電体20と正極外装体130とを接合する部分に位置している。
本実施の形態によれば、第一実施の形態と同様に、水溶液系電解液の漏洩を防止することができ、長時間に亘って安定した放電が可能とする。結果として、長時間に亘って安定かつ高電圧の放電が可能となる。さらに、第一実施の形態と比較して、正極を熱圧着し多構造としても第二の正極12上に正極外装体130と熱溶着部材140が積層することがないため、第一実施の形態よりも正極を薄く形成することができる。さらにまた、第二の正極12の第二の外周部12aで規定される大気側の面の全てが大気中に直接的に曝すことにより、第二の正極材12と大気との接触面積を増加させて、正極に取り入れる空気量を増加することができる。これにより、より長時間に亘って安定した放電が可能とし、リチウム空気電池の平均放電電圧を向上できる。
また、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造についても、第一実施の形態にて示したリチウム空気電池セル及びその負極複合体の構造を好適に採用することができる。
3.第三実施の形態
図6に、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第三実施の形態を示す。図6に示すように、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造は、正極集電体220を備える点において、第二実施の形態と主に相違する。第二実施の形態と同様の構成については、同一の番号を付し、説明を省略する。
正極集電体220は、接触領域11bに一端部を有し、第一の正極材11の接触領域11b、第一の正極材11の第一の外周部11a及び第一の正極材11の第一の外周部11aで規定される水溶液系電解液13側の面にて、第一の正極材11と接触している。また、正極集電体220は、正極を熱圧着してなる正極構造にて、溶着部140aにて熱溶着部材140を介して正極外装体130と接合するように構成している。正極外装材220の材料については、第一実施の形態及び第二実施の形態と同様の材料を採用できる。
本実施の形態によれば、第二実施の形態と同様に、第一実施の形態よりも正極を薄く形成できる。また、第一実施の形態及び第二実施の形態に比べて、正極構造を容易に形成することができる。例えば、正極材の混練物の片側の外周を切除することにより、正極材の混練物を二つに分けることなく、第一の正極材11と第二の正極材12を形成することができる。これにより、正極及びリチウム空気電池の製造コストを削減することができる。また、正極集電体220が第一の正極材11の第一の外周部11aで規定される水溶液系電解液13側の面と接触しているので、正極集電体と正極との接触面積を大きく維持できる。
また、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造についても、第一実施の形態にて示したリチウム空気電池セル及びその負極複合体の構造を好適に採用することができる。
4.第四実施の形態
図7に、本発明に係るリチウム空気電池の正極構造の第四実施の形態を示す。図7に示すように、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造は、正極集電体320を備える点において、第二実施の形態と主に相違する。第二実施の形態と同様の構成については、同一の番号を付し、説明を省略する。
正極集電体320は、第二の正極材12の第二の外周部12aで規定される大気側の面、第一の正極材11の接触領域11b、第一の正極材11の第一の外周部11a及び第一の正極材11の水溶液系電解液13側の面にて、第一の正極材11及び第二の正極材12と接触している。また、正極集電体320は、正極を熱圧着してなる正極構造にて、溶着部140aにて熱溶着部材140を介して正極外装体130と接合するように構成している。正極外装材320の材料については、第一実施の形態、第二実施の形態及び第三実施の形態と同様の材料を採用できる。
本実施の形態によれば、第二実施の形態及び第三実施の形態と同様に、第一実施の形態よりも正極を薄く形成できる。また、第三実施の形態と同様に、正極構造を容易に形成することができる。さらに、第三実施の形態と比べて、正極集電体320が第二の正極材12の第二の外周部12aで規定する大気側の面及び外周部12aと接触しているので、正極集電体と正極との接触面積を大きく維持できる。
また、本実施の形態に係るリチウム空気電池の正極構造についても、第一実施の形態にて示したリチウム空気電池セル及びその負極複合体の構造を好適に採用することができる。
なお、前述した実施の形態では、正極集電体を1つの部材とする構造を例示した。本発明はこれに限定されない。例えば、水溶液系電解液等への耐食性が求められる部分(正極材を圧着する部分)にはチタン、その他の部分はアルミニウムにすることで軽量化が可能となる。
また、前述した実施の形態では、リチウム空気電池セルの作製するための手段として、正極の下端面と負極複合体の上端面とを、水溶液系電解液の注入するための端面口を残すように接合し、これに水溶液系電解液を直接注入する手段を例示した。本発明は、これに限定されない。例えば、電解液を吸収可能な材料に水溶液系電解液を吸収させ、これを水溶液系電解液(水溶液系電解質層)としてもよい。この場合、例えば、正極と負極複合体と共に水溶液系電解液を配置した後、正極の下端面と負極複合体の上端面を接合するだけでリチウム空気電池セルを作製できる。電解液を吸収させる材料としては、水分を吸収でき、電解液を保持できる材料であればよい。例えば、電解液を吸収させる材料として、セルロース、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の樹脂の多孔質体をシート形状で使用できる。また、水溶液系電解液を使用してゲル体を作製し、これを水溶液系電解質層として使用してもよい。この場合、電解液として、例えば、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等で作製したゲルを使用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明することにより、本発明の効果を明らかにする。本発明に係るリチウム空気電池の正極構造は、以下の実施例によって制限されない。
[実施例1]
1.正極の作製
正極を、以下の手順i)〜手順iii)で作製した。図8に、実施例にて作製した正極集電体及び熱溶着部材の構造を示す。
i)正極材として、酸素還元触媒である二酸化マンガン(MnO2)0.5gと、導電助剤である比表面積が800m2/gのケッチェンブラック0.07gと、結着剤であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)0.15gを計りとり、乳鉢内に移し、エタノール5mlを加えて混練し、混練物を得た。
ii)図8に示すように、正極集電体420としてチタンメッシュを25mm×25mmのサイズとし、その一部から正極集電体420のタブ部490として幅10mm、長さ60mmのチタンのサイズの延出部分が突出するように切断した。また、熱溶着部材440として熱溶着シートを外枠が35mm×35mm、内枠が18mm×18mmとなるように、切断した。この熱溶着シートを溶着部440aのサイズが外枠20mm×20mm、内枠が18mm×18mmとなるように、正極集電体420の一方側に配置した。
iii)手順i)で得られた混練物を第一の正極と第二の正極とに二等分し、ホットプレス機を使用して、チタンメッシュの正極材料圧着部(寸法:20mm×20mm)に両側から圧着した。図8の溶着部440aでは、水溶液系の電解液の漏洩を防止するために、一部の正極材料を熱溶着シートの上から圧着させた。正極材料の圧着部分からはみ出した混練物は除去した。その後、空気中で24時間自然乾燥させて、正極を作製した。
2.負極複合体の作製
アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、PP樹脂/Al箔/PET樹脂のラミネートフィルムの中心部分を20mm×20mm角に打ち抜いた外装材と、酸変性ポリプロピレンフィルムの打ち抜き品(外枠:30mm×30mm、内枠:20mm×20mm)と、25mm×25mm角の固体電解質(LTAP)と、酸変性ポリプロピレンフィルム打ち抜き品(外枠:30mm×30mm、内枠:20mm×20mm)とを順に重ねて、ヒートシーラで熱溶着接合し、開口部を有する上側外装材とした。
固体電解質(LTAP、株式会社オハラ製LICGC)と負極である金属Liとが対向するように、上側外装材、リチウムイオン電池用セパレータ(緩衝層)、銅箔(負極集電体)に金属Li(寸法:14.5mm×14mm、厚さ:200μm)を接合した接合体と、下側外装材である金属箔ラミネートフィルムとを順で重ね、その端部3辺をヒートシーラにより熱溶着接合した。続いて、接合していない端部より、非水系電解液(1MのLiPF6/EC:EMC=1:1)を接合体内に1ml注入した。残りの1辺の端部をヒートシーラで熱溶着接合して密閉し、負極複合体を作製した。
3.リチウム空気電池セルの作製
図4のリチウム空気電池セルについて説明した際と同様に、外装材であるアルミラミネートフィルム(PP樹脂/Al箔/PET樹脂)の中央に20mm×20mm角の穴を開け、この穴を正極材料圧着部で塞ぐように配置して、正極の端部とアルミラミネートフィルムを熱溶着シートで溶着した。このアルミラミネートフィルムの3辺を負極複合体と接合させ、残り1辺から水溶液系電解液(LiClが2Mの水溶液)2mlを注入した後、この1辺も接合して、空気電池セルとした。
[比較例1]
1.正極の作製
実施例1と同様の手順で正極を作製した。
2.負極複合体の作製
実施例1と同様の手順で正極を作製した。
3.リチウム空気電池セルの作製
図9に示すように、比較例で使用したリチウム空気電池セルを作製した。図4のリチウム空気電池セルについて説明した際と同様に、外装材530であるアルミラミネートフィルム(PP樹脂530c/Al箔530a/PET樹脂530b)の中央に20mm×20mm角の穴(開口部531)を開け、この穴をPTFEシート501で塞ぐように配置して、PTFEシート501の端部とアルミラミネートフィルム530を熱溶着シート540で溶着した。このアルミラミネートフィルム530と負極複合体の間に作製した正極を配置し、アルミラミネートフィルム530の3辺を負極複合体と接合させ、残り1辺から水溶液系電解液513(LiClが2Mの水溶液)2mlを注入した後、この1辺も接合して、リチウム空気電池セルとした。アルミラミネートフィルムと負極複合体は合計4辺で接合しているが、これらのうち1辺は正極のタブ部を挟んで接合させた。
4.放電試験
実施例1及び比較例1のリチウム空気電池セルについて、放電試験を実施し、放電電圧の経時的な変化を検討した。先ず、実施例1のリチウム空気電池セルについて、電流密度を84mAh相当の理論容量の0.05Cに相当する4mA/cm2とした。比較例1のリチウム空気電池も同一の電流密度とした。実施例1及び比較例1について、100%の放電試験を行った際の電圧の経時的な推移を25℃の温度にて電池充放電装置(北斗電工社製、HJ1001SD8)を用いて測定した。図10に、測定結果を示す。
図10に示すように、比較例1は、10000秒程度放電すると、放電電圧が2.2V程度まで著しく低下し、45000秒程度放電すると1.7V程度まで低下した。実施例1は、45000秒まで放電しても放電電圧を2.4V程度で維持しつつけた。
結果より、比較例1では、放電開始の初期に放電電圧が低下することがわかった。一方、実施例1では、放電開始の初期に電圧低下することはなく、安定した高い放電電圧を示すことがわかった。
本発明に係るリチウム空気電池の正極構造によれば、簡易な構造で電解液の漏洩を防止でき、縦置のリチウム空気電池セル等に好適な構造とすることができ、レイアウトの自由度を向上し、かつ長時間に亘る安定した放電を可能とする。
1 リチウム空気電池
2 正極(空気極)
3、13、513 水溶液系電解液
4、54、554 固体電解質(隔離層)
5、55、555 負極層
6、56、556 緩衝層(保護層)
7 負荷
10 正極材
11、511 第一の正極材
12、512 第二の正極材
11a 第一の外周部
11b 接合領域
12a 第二の外周部
18、58、558 外周封止部材
20、220、320、420、520 正極集電体
30、130、530 正極外装材
30a、530a 正極外装材の中間層
30b、530b 正極外装材の最外層
30c、530c 正極外装材の最内層
31、41、131、141、531 開口部
40、140、440、540 熱溶着部材
40a、140a、440a、540a 溶着部
57、557 負極集電体
60、560 上側外装材
60a、560a 上側外装材の中間層
60b、560b 上側外装材の最外層
60c、560c 上側外装材の最内層
70、570 下側外装材
70a、570a 下側外装材の中間層
70b、570b 下側外装材の最外層
70c、570c 下側外装材の最内層
80、580 非水系電解液
90、590 熱圧着層
490 正極集電体のタブ部
501 PTFEシート

Claims (5)

  1. 正極材と正極集電体と外装材とを少なくとも備えるリチウム空気電池の正極構造であって、
    前記正極材が第一の正極材と第二の正極材とを備え、
    平面視において、前記第一の正極材が前記第二の正極材を全周に亘って包囲し、前記第一の正極材と前記第二の正極材との大きさの差異によって形成される領域が、前記第一の正極材と前記正極集電体との接触領域を形成してなり、
    前記接触領域にて前記正極集電体と前記外装材とが接合されている、リチウム空気電池の正極構造。
  2. 前記正極集電体が、前記第一の正極材と前記第二の正極材との間を貫通している請求項1に記載のリチウム空気電池の正極構造。
  3. 前記正極集電体と前記外装材との間に、熱により溶着する熱溶着部材をさらに備える請求項1又は2に記載のリチウム空気電池の正極構造。
  4. 前記正極材が大気中に露出している請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム空気電池の正極構造。
  5. 前記リチウム空気電池の電解液が水溶液系電解液であり、前記正極集電体のうちの少なくとも前記電解液に接する部位がチタンからなる請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム空気電池の正極構造。
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