JP2018025292A - 双アーチ形飛移り座屈板バネ装置及びそれを応用したマグネットキャッチ - Google Patents
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Abstract
【課題】機械要素として用いられるアーチ形飛移り座屈板バネを、如何なるアーチ形成方法によるものでも両端支持できるものとし、かつ、両端支持の負荷を軽減し、飛移り座屈時の無用な変形を防止しつつ、その応用を容易にする。【解決手段】略細長形の板バネ1の中央部に座体3を固定して剛体化し、2分された板バネ主体部に夫々均等なアーチ形飛移り座屈板バネを形成した上、座体の移動を板バネの直角方向に制限するガイド手段9を具備し、飛移り座屈時の無用な変形を防止する。そして、板バネの両端部に、その断面を屈曲したクッション部を形成して板バネを両端支持するか、又は、板バネの裏側に略凹形の裏板バネ2を設け、裏板バネと板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具7により連結して、裏板バネの中央部を支持し、表裏何れの方向へも座体への一定以上の負荷により、両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を繰り返し生起させる。【選択図】図2
Description
本発明は、アーチ形飛移り座屈現象を略細長形板バネに応用した双アーチ形飛移り座屈板バネ装置と、それを応用したマグネットキャッチに関する。
一般に、スナップスルー現象(以下、「飛移り座屈」と記す)は「荷重対変位の、あるつり合い状態から、それと連続しない他の安定なつり合い状態へと動的に移行する現象」と説明されている。この現象の応用は近年、宇宙機器用太陽光発電パネルの自己展開構造等で注目されつつあるが、この現象の最も基本的な例としては、構造力学に関する多くの教本に解説されているものに、「ウィリアムのトグル」と呼ばれるものがある。これは図7(A)に示すように、平板バネの両端をヒンジで把持し、該両端間隔を弾性領域内で圧縮することにより、板バネを表側または裏側へアーチ状に湾曲させるものである。その両端位置を固定して、表側アーチとなった板バネの中央部にバネとは直角方向に押すと、中央部が凹状に変形していくが、荷重が一定以上大きくなると突然アーチが反転し、図のような裏側へのアーチとなって安定静止する。
次にこれに一定以上の逆方向荷重を掛ける(引張)と、前記と正反対の変形経路を辿って、元の状態に戻りまた静止する。この例では、両端間隔の圧縮を除去すると、板バネは当然元の単なる平板に戻る(以下、ここではこの方式を「平板方式」と記す)。
一方、前記飛移り座屈現象は、細長形の板バネ分野では髪留めやドレスクリップ等の日用品にも単品として応用され、市販されている。これらの製品では何れも、両端間隔を圧縮せずに球殻の一部様のアーチ形状を形成できるよう、特許文献1に記載の通り、板バネの内幅中央部を一部切欠いてその端部に特殊な加工を施す等の工夫がなされている(以下、この方式を「中抜き方式」と記す)。このような板バネは、図7(B)に示したように、両端が搖動(X)自在で、両端間隔(Y)が伸縮自由という条件下でないと、円滑な飛移り座屈を生起させ難い。
本発明に於ける「アーチ形飛移り座屈板バネ」は、これら二つの方式を含め、飛移り座屈を生起する板バネであれば、そのアーチの形成方法には拘らないものとする。
次にこれに一定以上の逆方向荷重を掛ける(引張)と、前記と正反対の変形経路を辿って、元の状態に戻りまた静止する。この例では、両端間隔の圧縮を除去すると、板バネは当然元の単なる平板に戻る(以下、ここではこの方式を「平板方式」と記す)。
一方、前記飛移り座屈現象は、細長形の板バネ分野では髪留めやドレスクリップ等の日用品にも単品として応用され、市販されている。これらの製品では何れも、両端間隔を圧縮せずに球殻の一部様のアーチ形状を形成できるよう、特許文献1に記載の通り、板バネの内幅中央部を一部切欠いてその端部に特殊な加工を施す等の工夫がなされている(以下、この方式を「中抜き方式」と記す)。このような板バネは、図7(B)に示したように、両端が搖動(X)自在で、両端間隔(Y)が伸縮自由という条件下でないと、円滑な飛移り座屈を生起させ難い。
本発明に於ける「アーチ形飛移り座屈板バネ」は、これら二つの方式を含め、飛移り座屈を生起する板バネであれば、そのアーチの形成方法には拘らないものとする。
図7(A)及び(B)に示すように、板バネはその両端を結ぶ基準線より表側では一つの安定した経路上で挙動し、これが第1の変形経路となる。これに飛移り座屈を生起させ反転させると、裏側ではまた別の安定した経路上で挙動し、これが第2の変形経路となる。板バネが均質な平板で、両端での搖動抵抗が零であれば、それら表裏の変形は基準線に対して対称(荷重対変位曲線では、両変形経路の中間点を基準に点対象)と考えられるから、前記板バネは一つのバネでありながら、通常板バネに比して遥かに大きな変位量を持って、二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。但し、両変形経路間には不安定領域があり、工夫なしでは予期した反転アーチ以外の変形が生起する可能性がある。
このようにアーチ中央部を押すと飛移り座屈により瞬発的に反転して外力零では安定静止し、これに一定以上の逆荷重を掛けると反転し元に戻る特徴の上記板バネは、特異な存在である。しかし、特に中抜き方式で両端支持のものは機械要素としての応用が見当らないなど、その応用が一般に余り普及していないのは、中抜き方式のものでは、端部の支持方式に上記した条件があること、平板方式のものでは両端支持に大きな負担が掛かり易いこと等、何れもその取扱いがやや容易ではないことが一因と思われる。
このようにアーチ中央部を押すと飛移り座屈により瞬発的に反転して外力零では安定静止し、これに一定以上の逆荷重を掛けると反転し元に戻る特徴の上記板バネは、特異な存在である。しかし、特に中抜き方式で両端支持のものは機械要素としての応用が見当らないなど、その応用が一般に余り普及していないのは、中抜き方式のものでは、端部の支持方式に上記した条件があること、平板方式のものでは両端支持に大きな負担が掛かり易いこと等、何れもその取扱いがやや容易ではないことが一因と思われる。
一方、戸と戸口枠体の何れか一方に磁石、他方に鉄片を配する簡素な構造の従来のマグネットキャッチは、戸を開く過程(以下、「戸開時」と記す。これに対し、戸が完全に戸口枠体から離れた時は「戸開放時」と記す)で一気にやや強い力が必要であり、往々にして円滑な戸の開閉を実現していないという大きな弱点がある。そして特に軽快な引戸には、戸を閉める過程(以下、「戸閉時」と記す。これに対し、戸が閉じられて完全に静止した時は「戸閉止時」と記す)で荒締めや戸口枠体を含めた経年変化等により隙間ができ易いという問題があるが、前記弱点の故にマグネットキャッチは殆ど用いられていない。
これらの問題を解決するため、様々な商品が既に開発され普及しているが、既存の戸にも安価で手軽に取り付け可能なものは、未だ少ないように見受けられる。その対策案の一つとして、マグネットキャッチの磁着受部側に片持ち支持の板バネを配設し、該板バネ主体部に表裏両方向への飛移り座屈を生起するアーチ形飛移り座屈板バネを形成する構造の発明(特許文献1)がなされている。
この発明に於いては、板バネは図7(C)のように一端のみを固定するから、両端間隔は問題にならない。そして両端部は、主体部端から一定以上の長さにして、表裏方向搖動自在としている。
これらの問題を解決するため、様々な商品が既に開発され普及しているが、既存の戸にも安価で手軽に取り付け可能なものは、未だ少ないように見受けられる。その対策案の一つとして、マグネットキャッチの磁着受部側に片持ち支持の板バネを配設し、該板バネ主体部に表裏両方向への飛移り座屈を生起するアーチ形飛移り座屈板バネを形成する構造の発明(特許文献1)がなされている。
この発明に於いては、板バネは図7(C)のように一端のみを固定するから、両端間隔は問題にならない。そして両端部は、主体部端から一定以上の長さにして、表裏方向搖動自在としている。
このように、アーチ形飛移り座屈板バネは幾つかの特異な特徴を有するから、これをより容易に応用できるようなものとすれば、この特徴を活かした機械要素として、一般機械器具の中で活用できる多くの可能性があると思われる。
そして、特許文献1記載のマグネットキャッチは、バネ固定端から磁着受部までの距離が略バネ全長となるため、作動音が大きくなり易いことや、磁着受部は固定端を支点として円弧状に移動するため、磁石との着脱時に両者の摺動が起こり易く、吸着と摺動の組合せによる摩耗が懸念されること等、片持ち支持構造のアーチ形飛移り座屈板バネの弱点が見られる。
そして、特許文献1記載のマグネットキャッチは、バネ固定端から磁着受部までの距離が略バネ全長となるため、作動音が大きくなり易いことや、磁着受部は固定端を支点として円弧状に移動するため、磁石との着脱時に両者の摺動が起こり易く、吸着と摺動の組合せによる摩耗が懸念されること等、片持ち支持構造のアーチ形飛移り座屈板バネの弱点が見られる。
本発明が解決しようとする課題は、機械要素として用いられたアーチ形飛移り座屈板バネを、中抜き方式のものでも両端支持できるものとし、平板方式のものでは両端支持荷重を軽減し、何れの方式でも飛移り座屈時の無用な変形を防止しつつ、その応用を容易にすることである。そしてその簡易な一応用例として戸開閉装置用マグネットキャッチにこれを応用し、作動音を一層抑制して磁石と磁着受部との摺動をなくしつつ、より小型化してソフトな感触の戸開閉を実現すると共に、引戸に対しても隙間発生機会を低減し、既存の戸への取付けも手軽に可能とする比較的簡素な戸閉装置を提供しようとするものである。
請求項1記載の発明は、略細長形の板バネの中央部に一定寸法の剛性部材たる座体を固定し、該板バネ中央部と板バネ端部との間の2つの部位たる両板バネ主体部に夫々均等なアーチ形飛移り座屈板バネを形成し、
前記座体の移動を前記板バネの直角方向に制限するガイド手段を具備し、
前記板バネの両端部またはそれらに固着し延長した支持板に、その断面を屈曲したクッション部を形成して、前記板バネを両端支持し、
または、前記板バネの裏側に略凹形の裏板バネを設け、該裏板バネと前記板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具により連結して、前記裏板バネの中央部を支持し、
表裏何れの方向へも前記座体への一定以上の負荷により、前記両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させることを特徴とする双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
前記座体の移動を前記板バネの直角方向に制限するガイド手段を具備し、
前記板バネの両端部またはそれらに固着し延長した支持板に、その断面を屈曲したクッション部を形成して、前記板バネを両端支持し、
または、前記板バネの裏側に略凹形の裏板バネを設け、該裏板バネと前記板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具により連結して、前記裏板バネの中央部を支持し、
表裏何れの方向へも前記座体への一定以上の負荷により、前記両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させることを特徴とする双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項2記載の発明は、上記板バネの両端支持部間隔を調整自在とする手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に於ける構成部材または手段の一部を、該板バネ装置の装着対象装置の一部として具備し、該両装置で共用した双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項4記載の発明は、戸開閉装置に於いて、開閉時に戸を戸口枠体の側壁または戸当りに対して直角に移動させる機構を上記ガイド手段とする請求項3記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置を、戸または戸口枠体の一方に固定し、それと対向して他の一方に磁石を配設し、
上記板バネの中央部または上記座体に磁着受部を固定し、
前記磁石の吸着力を、上記板バネの飛移り座屈を生起させる力以上とすることにより、
前記戸を開閉の都度、上記板バネに表裏両方向への飛移り座屈を順次生起させることを特徴とするマグネットキャッチである。
上記板バネの中央部または上記座体に磁着受部を固定し、
前記磁石の吸着力を、上記板バネの飛移り座屈を生起させる力以上とすることにより、
前記戸を開閉の都度、上記板バネに表裏両方向への飛移り座屈を順次生起させることを特徴とするマグネットキャッチである。
請求項1記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に依れば、板バネ(裏板バネと区分するために、以下、「主板バネ」と記す)中央部に一定寸法の剛性部材たる座体を固定し、隣接する二つの主板バネ主体部に夫々均等なアーチ形飛移り座屈板バネを形成するから、そのような主板バネ中央部は、一方の座屈が他方を引込んで両主板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させるよう、強く働く。
しかしそれだけでは直、主板バネ主体部が二つに分離されているため、主板バネ中央部への荷重が中心から一定以上偏り、または傾斜する場合には、その一方の主体部のみが飛移り座屈を生起し、主板バネがS字状となって反転アーチ形を得られないことがある。そこで、座体の移動を主板バネの直角方向に制限するガイド手段(以下、「直角ガイド」と記す)を具備したから、座体への荷重は直角方向に均等に働き、主板バネのS字状変形を一層確実に防止できる。
しかしそれだけでは直、主板バネ主体部が二つに分離されているため、主板バネ中央部への荷重が中心から一定以上偏り、または傾斜する場合には、その一方の主体部のみが飛移り座屈を生起し、主板バネがS字状となって反転アーチ形を得られないことがある。そこで、座体の移動を主板バネの直角方向に制限するガイド手段(以下、「直角ガイド」と記す)を具備したから、座体への荷重は直角方向に均等に働き、主板バネのS字状変形を一層確実に防止できる。
そして、上記クッション部を設ける場合には、表裏方向搖動自在、かつ、両端間隔が伸縮可能なように主板バネを両端支持できるから、主板バネ中央部への一定以上の負荷により、主板バネは両端支持で双翼の形を呈しつつ、主板バネ両端支持部への負荷を軽減しながら表裏両方向へのアーチ形飛移り座屈を円滑に生起させることができる。
また、上記裏板バネを設ける場合には、主板バネと裏板バネの両端を表裏方向搖動自在なように連結具を介して連結するだけで、両板バネ端部が表裏一体となって挙動するので、両端間隔の伸縮も自在であり、主板バネの両端支持が比較的容易である。更に、クッション部を設ける場合には装置全長が当然その分長くなるが、裏板バネに依る場合にはそれを短縮できる利点がある。尚、上記裏板バネの「略凹形」とはアーチ形状を含み、例えば多角形等、裏側へ凹状である限りその断面形状に拘らないものとし、また、必要に応じ中央付近で二つに分離しても良いものとする。
このような構成の本発明装置は、座体への一定以上の負荷により表裏何れかに飛移り座屈を生起した後一旦静止し、同様にして他の一方へ反転して元に復帰する行程を繰り返すことができる。
また、上記裏板バネを設ける場合には、主板バネと裏板バネの両端を表裏方向搖動自在なように連結具を介して連結するだけで、両板バネ端部が表裏一体となって挙動するので、両端間隔の伸縮も自在であり、主板バネの両端支持が比較的容易である。更に、クッション部を設ける場合には装置全長が当然その分長くなるが、裏板バネに依る場合にはそれを短縮できる利点がある。尚、上記裏板バネの「略凹形」とはアーチ形状を含み、例えば多角形等、裏側へ凹状である限りその断面形状に拘らないものとし、また、必要に応じ中央付近で二つに分離しても良いものとする。
このような構成の本発明装置は、座体への一定以上の負荷により表裏何れかに飛移り座屈を生起した後一旦静止し、同様にして他の一方へ反転して元に復帰する行程を繰り返すことができる。
請求項2記載の発明に依れば、請求項1記載の発明に於いて両端間隔を圧縮してアーチを形成する構造(即ち、平板方式)の場合、主板バネの両端支持部間隔を調整自在とする手段を具備したから、これにより主板バネの飛移り座屈を生起させるに要する荷重の大きさや最大変形量等を調整できるようにすることができる。
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に於ける構成部材または手段の一部を、本板バネ装置の装着対象装置の一部として具備し、両装置で共用したので、上記した請求項1または請求項2記載の発明装置の働きと全く同じでありながら、本板バネ装置本体の構造を簡素化できる。
請求項4記載の発明は、本板バネ装置を装着した戸開閉装置に用いるマグネットキャッチである。何れの戸開閉装置に於いても、開閉時、戸は戸口枠体の側壁または戸当りに対して必ず直角に移動する機構になっているので、それが請求項1記載の直角ガイドに該当し、よってこの場合の板バネ装置は請求項3記載の発明の一応用例でもある。
本発明に依れば、磁着受部(以下、「受部」と記す)から主板バネ固定部までの距離は主板バネ長さの略半分であるため、片持ち支持構造の場合より明らかに作動音が抑制され易くなる。また、戸開放時には受部が突出しており、戸閉時には主板バネが戸の勢いを和らげるブレーキとして働き、これに抗して更に戸を一定以上の力で押し込むと、主板バネは飛移り座屈を生起してアーチが反転し、戸を枠体に引き付けるように働く。戸開時には、磁石の吸着力は主板バネの飛移り座屈を生起させる力より大きいから、受部が磁石に吸着されたまま、主板バネは表側への座屈が生起するまで撓んで戸開時抵抗を和らげる。
このようにして、戸の開閉を円滑化し、かつ、引戸の隙間発生機会を低減するだけでなく、両端支持は片持ち支持に比して構造強度を向上させるから、本板バネ装置の小型化の効果を得ることができる。
本発明に依れば、磁着受部(以下、「受部」と記す)から主板バネ固定部までの距離は主板バネ長さの略半分であるため、片持ち支持構造の場合より明らかに作動音が抑制され易くなる。また、戸開放時には受部が突出しており、戸閉時には主板バネが戸の勢いを和らげるブレーキとして働き、これに抗して更に戸を一定以上の力で押し込むと、主板バネは飛移り座屈を生起してアーチが反転し、戸を枠体に引き付けるように働く。戸開時には、磁石の吸着力は主板バネの飛移り座屈を生起させる力より大きいから、受部が磁石に吸着されたまま、主板バネは表側への座屈が生起するまで撓んで戸開時抵抗を和らげる。
このようにして、戸の開閉を円滑化し、かつ、引戸の隙間発生機会を低減するだけでなく、両端支持は片持ち支持に比して構造強度を向上させるから、本板バネ装置の小型化の効果を得ることができる。
中抜き方式と平板方式の何れのアーチ形飛移り座屈板バネ装置でも、機械要素として容易に使えるよう、他の装置内で固定部への負荷を軽減しつつ両端支持し、中央部に負荷できるものとした。また、本板バネ装置を応用することにより、作動音を一層抑制でき、磁石と受部の摺動をなくしつつ戸開閉が円滑に行え、かつ、引戸の隙間発生機会を少なくする、より小型化したマグネットキャッチを、後付けも手軽に可能とするように、実現した。
図1は、請求項1または3に係る発明装置の中、主板バネ1の中心に棒状直角ガイド8を設けて他の装置の基盤10内に装着した実施例を示し、(A)は主板バネ1の中心線での断面図、(B)は正面図である。両主板バネ端部1Cにそれよりやや加工性の良い支持板5をカシメ材15により固着させ、その断面をV字状に屈曲させて適度な弾性を有するクッション部5Aを設けている。このクッション部5Aは主板バネ1の両端間隔を伸縮可能とするだけでなく、表裏方向搖動自在とする機能も兼ね備えている。その断面形状には拘らないが、本例のようなV字状が最も有利と思われる。
主板バネ1が平板方式の場合、両端間隔を圧縮して両主板バネ主体部1Aのアーチを形成しているから、両端固定部のネジ13には元から一定の荷重が掛かるが、本例では基盤10の側壁でその大部分を受けている。座体3に負荷すると、飛移り座屈に伴う両端方向変形の多くをクッション部5Aが吸収するので、両端方向への追加荷重は著しく軽減できる。但し、この構造は主板バネ1が中抜き方式であっても良く、その場合には、アーチ形成のためのネジ13への荷重はない。
主板バネ中央部1Bにはその中心を貫通し、フランジ付棒状の直角ガイド8が座体3を挟んで直角方向に固定され、装着基盤10に設けられた穴内で摺動するようになっている。
主板バネ1が平板方式の場合、両端間隔を圧縮して両主板バネ主体部1Aのアーチを形成しているから、両端固定部のネジ13には元から一定の荷重が掛かるが、本例では基盤10の側壁でその大部分を受けている。座体3に負荷すると、飛移り座屈に伴う両端方向変形の多くをクッション部5Aが吸収するので、両端方向への追加荷重は著しく軽減できる。但し、この構造は主板バネ1が中抜き方式であっても良く、その場合には、アーチ形成のためのネジ13への荷重はない。
主板バネ中央部1Bにはその中心を貫通し、フランジ付棒状の直角ガイド8が座体3を挟んで直角方向に固定され、装着基盤10に設けられた穴内で摺動するようになっている。
図2は、請求項1または3に係る発明装置の中、アーチ状の裏板バネ2を用いた実施例の断面図であり、(A)は主板バネ1が表側へのアーチ形、(B)は裏側へのアーチ形を成した時の状態を示す。裏板バネ2の中央部を2本のネジ13により装着基盤10に固定しているが、ネジ13の固定作業を容易にするため、裏板バネ2の中央部を適宜拡幅しても良い。主板バネ1の中央部には、座体3を挟んでコの字形の直角ガイド9が固定されており、その両端は基盤10の側壁と摺動して座体3の移動を主板バネ1の直角方向に制限するようになっている。
図2(A)に示すように、主板バネ1が表側へのアーチ形を成す時には裏板バネ2と二つのアーチ形を向かい合わせに連結具7たる蝶番により連結した形状を成している。裏側へ押す荷重を受けると、主板バネ1と裏板バネ2とは共に抵抗してクッションとなり、互いの中央部間隔を狭めて変形していくが、一定以上の荷重で主板バネ1は瞬時に飛移り座屈を生起し、図2(B)のように裏板バネ2と同じ向きに重ねた状態となって静止する。次に表側へ引張荷重を受けると、共に逆方向クッションとして抵抗するように働いた後、一定以上の荷重で飛移り座屈を生起し、元の状態に戻る。
このようにして本実施例でも実施例1と同様に働き、かつ、クッション部なしに両板バネが両端方向には一体となって変形するので、実施例1に比して本板バネ装置長さを短縮できる。
上記2つの実施例に示したように、本発明装置は主板バネ1のアーチ形成方式に拘わらず、図7(B)に示す形式で両端支持するものであり、両端支持荷重を軽減する。そして、座体3への負荷がその中心から偏り、または傾斜した場合でも、直角ガイド8または9の働きにより主板バネ1のS字状変形を確実に防止しつつ、他の装置に対して二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。
図2(A)に示すように、主板バネ1が表側へのアーチ形を成す時には裏板バネ2と二つのアーチ形を向かい合わせに連結具7たる蝶番により連結した形状を成している。裏側へ押す荷重を受けると、主板バネ1と裏板バネ2とは共に抵抗してクッションとなり、互いの中央部間隔を狭めて変形していくが、一定以上の荷重で主板バネ1は瞬時に飛移り座屈を生起し、図2(B)のように裏板バネ2と同じ向きに重ねた状態となって静止する。次に表側へ引張荷重を受けると、共に逆方向クッションとして抵抗するように働いた後、一定以上の荷重で飛移り座屈を生起し、元の状態に戻る。
このようにして本実施例でも実施例1と同様に働き、かつ、クッション部なしに両板バネが両端方向には一体となって変形するので、実施例1に比して本板バネ装置長さを短縮できる。
上記2つの実施例に示したように、本発明装置は主板バネ1のアーチ形成方式に拘わらず、図7(B)に示す形式で両端支持するものであり、両端支持荷重を軽減する。そして、座体3への負荷がその中心から偏り、または傾斜した場合でも、直角ガイド8または9の働きにより主板バネ1のS字状変形を確実に防止しつつ、他の装置に対して二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。
図3は、請求項2または3に係る発明装置の中、クッション部5Aと棒状直角ガイド8を設けた実施例であって、(A)は本発明装置の中心線での断面図、(B)は正面図である。図のように、比較的厚鋼板製でL字状の端部台20の上端はクッション部5Aと固着され、その下辺部近傍には間隔調整ネジ21が取り付けられ、これにより端部台20の下辺は左右の端部台抑え板22と基盤10間の溝内を摺動して、主板バネ1の両端間隔を調整できるようにしている。このことにより、平板方式の主板バネ1が飛移り座屈を生起するに要する荷重の大きさや、最大変形量等を調整することができる。
尚、本図ではクッション部5Aを主板バネ1の延長部として示しているが、このような加工が難しい場合は、実施例1のように支持板5を固着すれば良い。
尚、本図ではクッション部5Aを主板バネ1の延長部として示しているが、このような加工が難しい場合は、実施例1のように支持板5を固着すれば良い。
図4は、請求項4に係るマグネットキャッチの中、主板バネ1を中抜き方式とし、両支持板5に断面屈曲によるクッション部5Aを付帯させた実施例の主板バネ1周りを、一部分解して示した斜視図である。主板バネ1はバネ板材から必要寸法に切り出し、主板バネ中央部1Bを座体3の固定に十分な寸法とし、中心線に沿って上下残部の内幅の一部を切欠き、左右に分離した後、主板バネ端部1Cの左右を中心線に向かって寄せ合わせ、支持板5と共にカシメ材15によりカシメている。そのことにより二つの主板バネ主体部1Aに夫々アーチ形飛移り座屈板バネを形成し、表裏両方向に飛移り座屈が生起できるようにしている。
厚鉄片製の受部3Aは、その中央部で座体3を挟んで主板バネ中央部1Bへビス14により固定している。座体3は戸閉止時、受部3Aと主板バネ1の接触や、戸と戸口枠体間の隙間を発生させないよう、適切な厚さとしなければならない。
厚鉄片製の受部3Aは、その中央部で座体3を挟んで主板バネ中央部1Bへビス14により固定している。座体3は戸閉止時、受部3Aと主板バネ1の接触や、戸と戸口枠体間の隙間を発生させないよう、適切な厚さとしなければならない。
図5は、図4に示した板バネ装置を、マグネットキャッチによる戸開閉装置の一機械要素として開き戸に取付けた場合の断面図であるが、平板方式としても良い。磁石ケース4A内に納めた磁石4を戸口枠体12の上下辺に戸当りを兼ねて固定し、これに対向して主板バネ1が両端で支持板5とネジ13により、端部座6を挟んで戸11の内側上下端に水平方向に固定されている。開き戸の場合、戸は開閉時に戸当りを兼ねた磁石4に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドになっている。
端部座6は、戸閉止時、主板バネ中央部1B及びクッション部5Aが戸11に接触しないよう、適切な厚さとしなければならない。戸開放時には、図4のように主板バネ1は表側へのアーチ形を成しているから、その中央部に固定された受部3Aも突出しており、戸閉時に磁石4により押されると主板バネ1はクッション部5Aと共にブレーキとして働く。それに抗して更に戸11を押し込むと、主板バネ1は飛移り座屈を生起し、図5に示すように裏側へのアーチ形となって、戸11を戸口枠体12に引き付けるよう働く。
端部座6は、戸閉止時、主板バネ中央部1B及びクッション部5Aが戸11に接触しないよう、適切な厚さとしなければならない。戸開放時には、図4のように主板バネ1は表側へのアーチ形を成しているから、その中央部に固定された受部3Aも突出しており、戸閉時に磁石4により押されると主板バネ1はクッション部5Aと共にブレーキとして働く。それに抗して更に戸11を押し込むと、主板バネ1は飛移り座屈を生起し、図5に示すように裏側へのアーチ形となって、戸11を戸口枠体12に引き付けるよう働く。
図6は、請求項4に掛かるマグネットキャッチの中、裏板バネ2を設けた板バネ装置を引戸である戸11の正面(通常、正面上隅が良い)にL字形外付け固定金具16によって垂直方向に取付け、それに対向する枠体12の位置に磁石4を固定した場合の実施例を、一部分解して示した斜視図である。主板バネ1と受部3Aは実施例4と同様に、座体3を挟んで固定されており、更に、主板バネ1の裏側に略アーチ形の裏板バネ2が設けられ、両板バネはその両端で連結具7により連結されている。連結具7は蝶番とした場合を示しており、連結具7と主板バネ1または裏板バネ2とは、夫々カシメ材15により固着しているが、連結具7は必ずしも蝶番に限らず、適当な弾性材とすることも可能である。
図6では主板バネ1を中抜き方式で示したが、平板方式としても、両端方向に圧縮しつつ裏板バネ2と連結すれば、可能である。何れにしても、このように主板バネ1と裏板バネ2とがその両端で搖動自在に連結されているから、両板バネ端部が表裏一体となって挙動し、両端間隔を伸縮可能にすることができる。
裏板バネ2と外付け固定金具16の中央部は、2本のビス14により固定されている。このような外付け方法は、既存の引戸に手軽に後付けしたい場合に有用である。
本例は実施例4と共に請求項3に係る発明装置の実施例でもあり、引戸の場合、戸は戸口枠体の側壁に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドとなっており、その分本板バネ装置本体を簡素化できている。
図6では主板バネ1を中抜き方式で示したが、平板方式としても、両端方向に圧縮しつつ裏板バネ2と連結すれば、可能である。何れにしても、このように主板バネ1と裏板バネ2とがその両端で搖動自在に連結されているから、両板バネ端部が表裏一体となって挙動し、両端間隔を伸縮可能にすることができる。
裏板バネ2と外付け固定金具16の中央部は、2本のビス14により固定されている。このような外付け方法は、既存の引戸に手軽に後付けしたい場合に有用である。
本例は実施例4と共に請求項3に係る発明装置の実施例でもあり、引戸の場合、戸は戸口枠体の側壁に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドとなっており、その分本板バネ装置本体を簡素化できている。
1 主板バネ
1A 主板バネ主体部
1B 主板バネ中央部
1C 主板バネ端部
2 裏板バネ
3 座体
3A 受部
4 磁石
4A 磁石ケース
5 支持板
5A クッション部
6 端部座
7 連結具(蝶番)
8 (棒状)直角ガイド
9 (コの字形)直角ガイド
10 装着基盤
11 戸
12 戸口枠体
13 ネジ
14 ビス
15 カシメ材
16 外付け固定金具
20 端部台
21 間隔調整ネジ
22 端部台抑え板
1A 主板バネ主体部
1B 主板バネ中央部
1C 主板バネ端部
2 裏板バネ
3 座体
3A 受部
4 磁石
4A 磁石ケース
5 支持板
5A クッション部
6 端部座
7 連結具(蝶番)
8 (棒状)直角ガイド
9 (コの字形)直角ガイド
10 装着基盤
11 戸
12 戸口枠体
13 ネジ
14 ビス
15 カシメ材
16 外付け固定金具
20 端部台
21 間隔調整ネジ
22 端部台抑え板
本発明は、アーチ形飛移り座屈現象を略細長形板バネに応用した双アーチ形飛移り座屈板バネ装置と、それを応用したマグネットキャッチに関する。
一般に、スナップスルー現象(以下、「飛移り座屈」と記す)は「荷重対変位の、あるつり合い状態から、それと連続しない他の安定なつり合い状態へと動的に移行する現象」と説明されている。この現象の応用は、従来のマイクロスイッチ類やその他の軽薄短小な部品(文献1参照)への応用に加え、近年、宇宙機器用太陽光発電パネルの自己展開構造等で注目されつつあるが、この現象の最も基本的な例としては、構造力学に関する多くの教本に解説されているものに、「ウィリアムのトグル」と呼ばれるものがある。これは図7(A)に示すように、平板バネの両端をヒンジで把持し、該両端間隔を弾性領域内で圧縮することにより、板バネを表側または裏側へアーチ状に湾曲させるものである。その両端位置を固定して、表側アーチとなった板バネの中央部にバネとは直角方向に押すと、中央部が凹状に変形していくが、荷重が一定以上大きくなると突然アーチが反転し、図のような裏側へのアーチとなって安定静止する。
次にこれに一定以上の逆方向荷重を掛ける(引張)と、前記と正反対の変形経路を辿って、元の状態に戻りまた静止する。この例では、両端間隔の圧縮を除去すると、板バネは当然元の単なる平板に戻る(以下、ここではこの方式を「平板方式」と記す)。
次にこれに一定以上の逆方向荷重を掛ける(引張)と、前記と正反対の変形経路を辿って、元の状態に戻りまた静止する。この例では、両端間隔の圧縮を除去すると、板バネは当然元の単なる平板に戻る(以下、ここではこの方式を「平板方式」と記す)。
一方、前記飛移り座屈現象は、細長形の板バネ分野では髪留めやドレスクリップ等の日用品にも単品として応用され、市販されている。これらの製品では何れも、両端間隔を圧縮せずに球殻の一部様のアーチ形状を形成できるよう、特許文献2に記載の通り、板バネの内幅中央部を一部切欠いてその端部に特殊な加工を施す等の工夫がなされている(以下、この方式を「中抜き方式」と記す)。このような板バネは、図7(B)に示したように、両端が搖動(X)自在で、両端間隔(Y)が伸縮自由という条件下でないと、円滑な飛移り座屈を生起させ難い。
本発明に於ける「アーチ形飛移り座屈板バネ」は、これら二つの方式を含め、飛移り座屈を生起する板バネであれば、そのアーチの形成方法には拘らないものとする。
本発明に於ける「アーチ形飛移り座屈板バネ」は、これら二つの方式を含め、飛移り座屈を生起する板バネであれば、そのアーチの形成方法には拘らないものとする。
図7(A)及び(B)に示すように、上記板バネはその両端を結ぶ基準線より表側では一つの安定した経路上で挙動し、これが第1の変形経路となる。これに飛移り座屈を生起させ反転させると、裏側ではまた別の安定した経路上で挙動し、これが第2の変形経路となる。板バネが均質な平板で、両端での搖動抵抗が零であれば、それら表裏の変形は基準線に対して対称(荷重対変位曲線では、両変形経路の中間点を基準に点対象)と考えられるから、上記板バネは一つのバネでありながら、通常板バネに比して遥かに大きな変位量を持って、二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。但し、両変形経路間には不安定領域があり、工夫なしでは予期した反転アーチ以外の変形が生起する可能性がある。
このようにアーチ中央部を押すと飛移り座屈により瞬発的に反転して外力零では安定静止し、これに一定以上の逆荷重を掛けると反転し元に戻る特徴の上記板バネは、特異な存在である。しかし、特に中抜き方式で両端支持のものは機械要素としての応用が見当らないなど、その応用が一般に余り普及していないのは、中抜き方式のものでは、端部の支持方式に上記した条件があること、平板方式のものでは大型になると両端支持に大きな負担が掛かり易いこと等、何れもその取扱いがやや容易ではないことが一因と思われる。
一方、戸と戸口枠体の何れか一方に磁石、他方に鉄片を配する簡素な構造の従来のマグネットキャッチは、戸を開く過程(以下、「戸開時」と記す。これに対し、戸が完全に戸口枠体から離れた時は「戸開放時」と記す)で一気にやや強い力が必要であり、往々にして円滑な戸の開閉を実現していないという大きな弱点がある。そして特に軽快な引戸には、戸を閉める過程(以下、「戸閉時」と記す。これに対し、戸が閉じられて完全に静止した時は「戸閉止時」と記す)で荒締めや戸口枠体を含めた経年変化等により隙間ができ易いという問題があるが、前記弱点の故にマグネットキャッチは殆ど用いられていない。
これらの問題を解決するため、様々な商品が既に開発され普及しているが、既存の戸にも安価で手軽に取り付け可能なものは、未だ少ないように見受けられる。その対策案の一つとして、マグネットキャッチの磁着受部側に片持ち支持の板バネを配設し、該板バネ主体部に表裏両方向への飛移り座屈を生起するアーチ形飛移り座屈板バネを形成する構造の発明(特許文献2)がなされている。
この発明に於いては、板バネは図7(C)のように一端のみを固定するから、両端間隔は問題にならない。そして両端部は、主体部端から一定以上の長さにして、表裏方向搖動自在としている。
これらの問題を解決するため、様々な商品が既に開発され普及しているが、既存の戸にも安価で手軽に取り付け可能なものは、未だ少ないように見受けられる。その対策案の一つとして、マグネットキャッチの磁着受部側に片持ち支持の板バネを配設し、該板バネ主体部に表裏両方向への飛移り座屈を生起するアーチ形飛移り座屈板バネを形成する構造の発明(特許文献2)がなされている。
この発明に於いては、板バネは図7(C)のように一端のみを固定するから、両端間隔は問題にならない。そして両端部は、主体部端から一定以上の長さにして、表裏方向搖動自在としている。
このように、アーチ形飛移り座屈板バネは幾つかの特異な特徴を有するから、これをより容易に応用できるようなものとすれば、この特徴を活かした機械要素として、一般機械器具の中で活用できる多くの可能性があると思われる。その具体的一例として、特許文献3の「緩衝装置」がある。これは、2本の弾性体を中央でヒンジ等により山形に接続して飛移り座屈が生起するようにしたものをパンタグラフ状に複数重ね、これに流体減衰機構を併設させた構造を特徴とするが、前記のような板バネが実現できれば、取付け方法に若干の工夫を加えるだけで、より安価に該装置に利用できると考えられる。
そして、特許文献2記載のマグネットキャッチは、バネ固定端から磁着受部までの距離が略バネ全長となるため、作動音が大きくなり易いことや、磁着受部は固定端を支点として円弧状に移動するため、磁石との着脱時に両者の摺動が起こり易く、吸着と摺動の組合せによる摩耗が懸念されること等、片持ち支持構造のアーチ形飛移り座屈板バネの弱点が見られる。
そして、特許文献2記載のマグネットキャッチは、バネ固定端から磁着受部までの距離が略バネ全長となるため、作動音が大きくなり易いことや、磁着受部は固定端を支点として円弧状に移動するため、磁石との着脱時に両者の摺動が起こり易く、吸着と摺動の組合せによる摩耗が懸念されること等、片持ち支持構造のアーチ形飛移り座屈板バネの弱点が見られる。
本発明が解決しようとする課題は、機械要素として用いられたアーチ形飛移り座屈板バネを、中抜き方式のものでも両端支持できるものとし、平板方式のものでは両端支持荷重を軽減し、何れの方式でも飛移り座屈時の無用な変形を防止しつつ、その応用を容易にすることである。そしてその簡易な一応用例として戸開閉装置用マグネットキャッチにこれを応用し、作動音を一層抑制して磁石と磁着受部との摺動をなくしつつ、より小型化してソフトな感触の戸開閉を実現すると共に、引戸に対しても隙間発生機会を低減し、既存の戸への取付けも手軽に可能とする比較的簡素な戸閉装置を提供しようとするものである。
請求項1記載の発明は、略細長形の板バネの中央部に一定寸法の剛性部材たる座体を固定し、該板バネ中央部と板バネ端部との間の2つの部位たる両板バネ主体部に夫々均等なアーチ形飛移り座屈板バネを形成し、
前記座体の移動を前記板バネの直角方向に制限するガイド手段を具備し、
前記板バネの両端部またはそれらに固着し延長した支持板に、その断面を屈曲したクッション部を形成して、前記板バネを両端支持し、
または、前記板バネの裏側に略凹形の裏板バネを設け、該裏板バネと前記板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具により連結して、前記裏板バネの中央部を支持し、
表裏何れの方向へも前記座体への一定以上の負荷により、前記両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させることを特徴とする双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
前記座体の移動を前記板バネの直角方向に制限するガイド手段を具備し、
前記板バネの両端部またはそれらに固着し延長した支持板に、その断面を屈曲したクッション部を形成して、前記板バネを両端支持し、
または、前記板バネの裏側に略凹形の裏板バネを設け、該裏板バネと前記板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具により連結して、前記裏板バネの中央部を支持し、
表裏何れの方向へも前記座体への一定以上の負荷により、前記両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させることを特徴とする双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項2記載の発明は、上記板バネの両端支持部間隔を調整自在とする手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に於ける構成部材または手段の一部を、該板バネ装置の装着対象装置の一部として具備し、該両装置で共用した双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項4記載の発明は、戸開閉装置に於いて、開閉時に戸を戸口枠体の側壁または戸当りに対して直角に移動させる機構を上記ガイド手段とする請求項3記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置を、戸または戸口枠体の一方に固定し、それと対向して他の一方に磁石を配設し、
上記板バネの中央部または上記座体に磁着受部を固定し、
前記磁石の吸着力を、上記板バネの飛移り座屈を生起させる力以上とすることにより、
前記戸を開閉の都度、上記板バネに表裏両方向への飛移り座屈を順次生起させることを特徴とするマグネットキャッチである。
上記板バネの中央部または上記座体に磁着受部を固定し、
前記磁石の吸着力を、上記板バネの飛移り座屈を生起させる力以上とすることにより、
前記戸を開閉の都度、上記板バネに表裏両方向への飛移り座屈を順次生起させることを特徴とするマグネットキャッチである。
請求項1記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に依れば、板バネ(裏板バネと区分するために、以下、「主板バネ」と記す)中央部に一定寸法の剛性部材たる座体を固定し、隣接する二つの主板バネ主体部に夫々均等なアーチ形飛移り座屈板バネを形成するから、そのような主板バネ中央部は、一方の座屈が他方を引込んで両主板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させるよう、強く働く。
しかしそれだけでは直、主板バネ主体部が二つに分離されているため、主板バネ中央部への荷重が中心から一定以上偏り、または傾斜する場合には、その一方の主体部のみが飛移り座屈を生起し、主板バネがS字状となって反転アーチ形を得られないことがある。そこで、座体の移動を主板バネの直角方向に制限するガイド手段(以下、「直角ガイド」と記す)を具備したから、座体への荷重は直角方向に均等に働き、主板バネのS字状変形を一層確実に防止できる。
しかしそれだけでは直、主板バネ主体部が二つに分離されているため、主板バネ中央部への荷重が中心から一定以上偏り、または傾斜する場合には、その一方の主体部のみが飛移り座屈を生起し、主板バネがS字状となって反転アーチ形を得られないことがある。そこで、座体の移動を主板バネの直角方向に制限するガイド手段(以下、「直角ガイド」と記す)を具備したから、座体への荷重は直角方向に均等に働き、主板バネのS字状変形を一層確実に防止できる。
そして、上記クッション部を設ける場合には、表裏方向搖動自在、かつ、両端間隔が伸縮可能なように主板バネを両端支持できるから、主板バネ中央部への一定以上の負荷により、主板バネは両端支持で双翼の形を呈しつつ、主板バネ両端支持部への負荷を軽減しながら表裏両方向へのアーチ形飛移り座屈を円滑に生起させることができる。
また、上記裏板バネを設ける場合には、主板バネと裏板バネの両端を表裏方向搖動自在なように連結具を介して連結するだけで、両板バネ端部が表裏一体となって挙動するので、両端間隔の伸縮も自在であり、主板バネの両端支持が比較的容易である。更に、クッション部を設ける場合には装置全長が当然その分長くなるが、裏板バネに依る場合にはそれを短縮できる利点がある。尚、上記裏板バネの「略凹形」とはアーチ形状を含み、例えば多角形等、裏側へ凹状である限りその断面形状に拘らないものとし、また、必要に応じ中央付近で二つに分離しても良いものとする。
このような構成の本発明装置は、座体への一定以上の負荷により表裏何れかに飛移り座屈を生起した後一旦静止し、同様にして他の一方へ反転して元に復帰する行程を繰り返すことができる。
また、上記裏板バネを設ける場合には、主板バネと裏板バネの両端を表裏方向搖動自在なように連結具を介して連結するだけで、両板バネ端部が表裏一体となって挙動するので、両端間隔の伸縮も自在であり、主板バネの両端支持が比較的容易である。更に、クッション部を設ける場合には装置全長が当然その分長くなるが、裏板バネに依る場合にはそれを短縮できる利点がある。尚、上記裏板バネの「略凹形」とはアーチ形状を含み、例えば多角形等、裏側へ凹状である限りその断面形状に拘らないものとし、また、必要に応じ中央付近で二つに分離しても良いものとする。
このような構成の本発明装置は、座体への一定以上の負荷により表裏何れかに飛移り座屈を生起した後一旦静止し、同様にして他の一方へ反転して元に復帰する行程を繰り返すことができる。
請求項2記載の発明に依れば、請求項1記載の発明に於いて両端間隔を圧縮してアーチを形成する構造(即ち、平板方式)の場合、主板バネの両端支持部間隔を調整自在とする手段を具備したから、これにより主板バネの飛移り座屈を生起させるに要する荷重の大きさや最大変形量等を調整できるようにすることができる。
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に於ける構成部材または手段の一部を、本板バネ装置の装着対象装置の一部として具備し、両装置で共用したので、上記した請求項1または請求項2記載の発明装置の働きと全く同じでありながら、本板バネ装置本体の構造を簡素化できる。
請求項4記載の発明は、本板バネ装置を装着した戸開閉装置に用いるマグネットキャッチである。何れの戸開閉装置に於いても、開閉時、戸は戸口枠体の側壁または戸当りに対して必ず直角に移動する機構になっているので、それが請求項1記載の直角ガイドに該当し、よってこの場合の板バネ装置は請求項3記載の発明の一応用例でもある。
本発明に依れば、磁着受部(以下、「受部」と記す)から主板バネ固定部までの距離は主板バネ長さの略半分であるため、片持ち支持構造の場合より明らかに作動音が抑制され易くなる。また、戸開放時には受部が突出しており、戸閉時には主板バネが戸の勢いを和らげるブレーキとして働き、これに抗して更に戸を一定以上の力で押し込むと、主板バネは飛移り座屈を生起してアーチが反転し、戸を枠体に引き付けるように働く。戸開時には、磁石の吸着力は主板バネの飛移り座屈を生起させる力より大きいから、受部が磁石に吸着されたまま、主板バネは表側への座屈が生起するまで撓んで戸開時抵抗を和らげる。
このようにして、戸の開閉を円滑化し、かつ、引戸の隙間発生機会を低減するだけでなく、両端支持は片持ち支持に比して構造強度を向上させるから、本板バネ装置の小型化の効果を得ることができる。
本発明に依れば、磁着受部(以下、「受部」と記す)から主板バネ固定部までの距離は主板バネ長さの略半分であるため、片持ち支持構造の場合より明らかに作動音が抑制され易くなる。また、戸開放時には受部が突出しており、戸閉時には主板バネが戸の勢いを和らげるブレーキとして働き、これに抗して更に戸を一定以上の力で押し込むと、主板バネは飛移り座屈を生起してアーチが反転し、戸を枠体に引き付けるように働く。戸開時には、磁石の吸着力は主板バネの飛移り座屈を生起させる力より大きいから、受部が磁石に吸着されたまま、主板バネは表側への座屈が生起するまで撓んで戸開時抵抗を和らげる。
このようにして、戸の開閉を円滑化し、かつ、引戸の隙間発生機会を低減するだけでなく、両端支持は片持ち支持に比して構造強度を向上させるから、本板バネ装置の小型化の効果を得ることができる。
中抜き方式と平板方式の何れのアーチ形飛移り座屈板バネ装置でも、機械要素として容易に使えるよう、他の装置内で固定部への負荷を軽減しつつ両端支持し、中央部に負荷できるものとした。また、本板バネ装置を応用することにより、作動音を一層抑制でき、磁石と受部の摺動をなくしつつ戸開閉が円滑に行え、かつ、引戸の隙間発生機会を少なくする、より小型化したマグネットキャッチを、後付けも手軽に可能とするように、実現した。
図1は、請求項1または3に係る発明装置の中、主板バネ1の中心に棒状直角ガイド8を設けて他の装置の基盤10内に装着した実施例を示し、(A)は主板バネ1の中心線での断面図、(B)は正面図である。両主板バネ端部1Cにそれよりやや加工性の良い支持板5をカシメ材15により固着させ、その断面をV字状に屈曲させて適度な弾性を有するクッション部5Aを設けている。このクッション部5Aは主板バネ1の両端間隔を伸縮可能とするだけでなく、表裏方向搖動自在とする機能も兼ね備えている。その断面形状には拘らないが、本例のようなV字状が最も有利と思われる。
主板バネ1が平板方式の場合、両端間隔を圧縮して両主板バネ主体部1Aのアーチを形成しているから、両端固定部のネジ13には元から一定の荷重が掛かるが、本例では基盤10の側壁でその大部分を受けている。座体3に負荷すると、飛移り座屈に伴う両端方向変形の多くをクッション部5Aが吸収するので、両端方向への追加荷重は著しく軽減できる。但し、この構造は主板バネ1が中抜き方式であっても良く、その場合には、アーチ形成のためのネジ13への荷重はない。
主板バネ中央部1Bにはその中心を貫通し、フランジ付棒状の直角ガイド8が座体3を挟んで直角方向に固定され、装着基盤10に設けられた穴内で摺動するようになっている。
主板バネ1が平板方式の場合、両端間隔を圧縮して両主板バネ主体部1Aのアーチを形成しているから、両端固定部のネジ13には元から一定の荷重が掛かるが、本例では基盤10の側壁でその大部分を受けている。座体3に負荷すると、飛移り座屈に伴う両端方向変形の多くをクッション部5Aが吸収するので、両端方向への追加荷重は著しく軽減できる。但し、この構造は主板バネ1が中抜き方式であっても良く、その場合には、アーチ形成のためのネジ13への荷重はない。
主板バネ中央部1Bにはその中心を貫通し、フランジ付棒状の直角ガイド8が座体3を挟んで直角方向に固定され、装着基盤10に設けられた穴内で摺動するようになっている。
図2は、請求項1または3に係る発明装置の中、アーチ状の裏板バネ2を用いた実施例の断面図であり、(A)は主板バネ1が表側へのアーチ形、(B)は裏側へのアーチ形を成した時の状態を示す。裏板バネ2の中央部を2本のネジ13により装着基盤10に固定しているが、ネジ13の固定作業を容易にするため、裏板バネ2の中央部を適宜拡幅しても良い。主板バネ1の中央部には、座体3を挟んでコの字形の直角ガイド9が固定されており、その両端は基盤10の側壁と摺動して座体3の移動を主板バネ1の直角方向に制限するようになっている。
図2(A)に示すように、主板バネ1が表側へのアーチ形を成す時には裏板バネ2と二つのアーチ形を向かい合わせに連結具7たる蝶番により連結した形状を成している。裏側へ押す荷重を受けると、主板バネ1と裏板バネ2とは共に抵抗してクッションとなり、互いの中央部間隔を狭めて変形していくが、一定以上の荷重で主板バネ1は瞬時に飛移り座屈を生起し、図2(B)のように裏板バネ2と同じ向きに重ねた状態となって静止する。次に表側へ引張荷重を受けると、共に逆方向クッションとして抵抗するように働いた後、一定以上の荷重で飛移り座屈を生起し、元の状態に戻る。
このようにして本実施例でも実施例1と同様に働き、かつ、クッション部なしに両板バネが両端方向には一体となって変形するので、実施例1に比して本板バネ装置長さを短縮できる。
上記2つの実施例に示したように、本発明装置は主板バネ1のアーチ形成方式に拘わらず、図7(B)に示す形式で両端支持するものであり、両端支持荷重を軽減する。そして、座体3への負荷がその中心から偏り、または傾斜した場合でも、直角ガイド8または9の働きにより主板バネ1のS字状変形を確実に防止しつつ、他の装置に対して二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。
図2(A)に示すように、主板バネ1が表側へのアーチ形を成す時には裏板バネ2と二つのアーチ形を向かい合わせに連結具7たる蝶番により連結した形状を成している。裏側へ押す荷重を受けると、主板バネ1と裏板バネ2とは共に抵抗してクッションとなり、互いの中央部間隔を狭めて変形していくが、一定以上の荷重で主板バネ1は瞬時に飛移り座屈を生起し、図2(B)のように裏板バネ2と同じ向きに重ねた状態となって静止する。次に表側へ引張荷重を受けると、共に逆方向クッションとして抵抗するように働いた後、一定以上の荷重で飛移り座屈を生起し、元の状態に戻る。
このようにして本実施例でも実施例1と同様に働き、かつ、クッション部なしに両板バネが両端方向には一体となって変形するので、実施例1に比して本板バネ装置長さを短縮できる。
上記2つの実施例に示したように、本発明装置は主板バネ1のアーチ形成方式に拘わらず、図7(B)に示す形式で両端支持するものであり、両端支持荷重を軽減する。そして、座体3への負荷がその中心から偏り、または傾斜した場合でも、直角ガイド8または9の働きにより主板バネ1のS字状変形を確実に防止しつつ、他の装置に対して二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。
図3は、請求項2または3に係る発明装置の中、クッション部5Aと棒状直角ガイド8を設けた実施例であって、(A)は本発明装置の中心線での断面図、(B)は正面図である。図のように、比較的厚鋼板製でL字状の端部台20の上端はクッション部5Aと固着され、その下辺部近傍には間隔調整ネジ21が取り付けられ、これにより端部台20の下辺は左右の端部台抑え板22と基盤10間の溝内を摺動して、主板バネ1の両端間隔を調整できるようにしている。このことにより、平板方式の主板バネ1が飛移り座屈を生起するに要する荷重の大きさや、最大変形量等を調整することができる。
尚、本図ではクッション部5Aを主板バネ1の延長部として示しているが、このような加工が難しい場合は、実施例1のように支持板5を固着すれば良い。
尚、本図ではクッション部5Aを主板バネ1の延長部として示しているが、このような加工が難しい場合は、実施例1のように支持板5を固着すれば良い。
図4は、請求項4に係るマグネットキャッチの中、主板バネ1を中抜き方式とし、両支持板5に断面屈曲によるクッション部5Aを付帯させた実施例の主板バネ1周りを、一部分解して示した斜視図である。主板バネ1はバネ板材から必要寸法に切り出し、主板バネ中央部1Bを座体3の固定に十分な寸法とし、中心線に沿って上下残部の内幅の一部を切欠き、左右に分離した後、主板バネ端部1Cの左右を中心線に向かって寄せ合わせ、支持板5と共にカシメ材15によりカシメている。そのことにより二つの主板バネ主体部1Aに夫々アーチ形飛移り座屈板バネを形成し、表裏両方向に飛移り座屈が生起できるようにしている。
厚鉄片製の受部3Aは、その中央部で座体3を挟んで主板バネ中央部1Bへビス14により固定している。座体3は戸閉止時、受部3Aと主板バネ1の接触や、戸と戸口枠体間の隙間を発生させないよう、適切な厚さとしなければならない。
厚鉄片製の受部3Aは、その中央部で座体3を挟んで主板バネ中央部1Bへビス14により固定している。座体3は戸閉止時、受部3Aと主板バネ1の接触や、戸と戸口枠体間の隙間を発生させないよう、適切な厚さとしなければならない。
図5は、図4に示した板バネ装置を、マグネットキャッチによる戸開閉装置の一機械要素として開き戸に取付けた場合の断面図であるが、平板方式としても良い。磁石ケース4A内に納めた磁石4を戸口枠体12の上下辺に戸当りを兼ねて固定し、これに対向して主板バネ1が両端で支持板5とネジ13により、端部座6を挟んで戸11の内側上下端に水平方向に固定されている。開き戸の場合、戸は開閉時に戸当りを兼ねた磁石4に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドになっている。
端部座6は、戸閉止時、主板バネ中央部1B及びクッション部5Aが戸11に接触しないよう、適切な厚さとしなければならない。戸開放時には、図4のように主板バネ1は表側へのアーチ形を成しているから、その中央部に固定された受部3Aも突出しており、戸閉時に磁石4により押されると主板バネ1はクッション部5Aと共にブレーキとして働く。それに抗して更に戸11を押し込むと、主板バネ1は飛移り座屈を生起し、図5に示すように裏側へのアーチ形となって、戸11を戸口枠体12に引き付けるよう働く。
端部座6は、戸閉止時、主板バネ中央部1B及びクッション部5Aが戸11に接触しないよう、適切な厚さとしなければならない。戸開放時には、図4のように主板バネ1は表側へのアーチ形を成しているから、その中央部に固定された受部3Aも突出しており、戸閉時に磁石4により押されると主板バネ1はクッション部5Aと共にブレーキとして働く。それに抗して更に戸11を押し込むと、主板バネ1は飛移り座屈を生起し、図5に示すように裏側へのアーチ形となって、戸11を戸口枠体12に引き付けるよう働く。
図6は、請求項4に掛かるマグネットキャッチの中、裏板バネ2を設けた板バネ装置を引戸である戸11の正面(通常、正面上隅が良い)にL字形外付け固定金具16によって垂直方向に取付け、それに対向する枠体12の位置に磁石4を固定した場合の実施例を、一部分解して示した斜視図である。主板バネ1と受部3Aは実施例4と同様に、座体3を挟んで固定されており、更に、主板バネ1の裏側に略アーチ形の裏板バネ2が設けられ、両板バネはその両端で連結具7により連結されている。連結具7は蝶番とした場合を示しており、連結具7と主板バネ1または裏板バネ2とは、夫々カシメ材15により固着しているが、連結具7は必ずしも蝶番に限らず、適当な弾性材とすることも可能である。
図6では主板バネ1を中抜き方式で示したが、平板方式としても、両端方向に圧縮しつつ裏板バネ2と連結すれば、可能である。何れにしても、このように主板バネ1と裏板バネ2とがその両端で搖動自在に連結されているから、両板バネ端部が表裏一体となって挙動し、両端間隔を伸縮可能にすることができる。
裏板バネ2と外付け固定金具16の中央部は、2本のビス14により固定されている。このような外付け方法は、既存の引戸に手軽に後付けしたい場合に有用である。
本例は実施例4と共に請求項3に係る発明装置の実施例でもあり、引戸の場合、戸は戸口枠体の側壁に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドとなっており、その分本板バネ装置本体を簡素化できている。
図6では主板バネ1を中抜き方式で示したが、平板方式としても、両端方向に圧縮しつつ裏板バネ2と連結すれば、可能である。何れにしても、このように主板バネ1と裏板バネ2とがその両端で搖動自在に連結されているから、両板バネ端部が表裏一体となって挙動し、両端間隔を伸縮可能にすることができる。
裏板バネ2と外付け固定金具16の中央部は、2本のビス14により固定されている。このような外付け方法は、既存の引戸に手軽に後付けしたい場合に有用である。
本例は実施例4と共に請求項3に係る発明装置の実施例でもあり、引戸の場合、戸は戸口枠体の側壁に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドとなっており、その分本板バネ装置本体を簡素化できている。
1 主板バネ
1A 主板バネ主体部
1B 主板バネ中央部
1C 主板バネ端部
2 裏板バネ
3 座体
3A 受部
4 磁石
4A 磁石ケース
5 支持板
5A クッション部
6 端部座
7 連結具(蝶番)
8 (棒状)直角ガイド
9 (コの字形)直角ガイド
10 装着基盤
11 戸
12 戸口枠体
13 ネジ
14 ビス
15 カシメ材
16 外付け固定金具
20 端部台
21 間隔調整ネジ
22 端部台抑え板
1A 主板バネ主体部
1B 主板バネ中央部
1C 主板バネ端部
2 裏板バネ
3 座体
3A 受部
4 磁石
4A 磁石ケース
5 支持板
5A クッション部
6 端部座
7 連結具(蝶番)
8 (棒状)直角ガイド
9 (コの字形)直角ガイド
10 装着基盤
11 戸
12 戸口枠体
13 ネジ
14 ビス
15 カシメ材
16 外付け固定金具
20 端部台
21 間隔調整ネジ
22 端部台抑え板
本発明は、アーチ形飛移り座屈現象を略細長形板バネに応用した双アーチ形飛移り座屈板バネ装置と、それを応用したマグネットキャッチに関する。
一般に、スナップスルー現象(以下、「飛移り座屈」と記す)は「荷重対変位の、あるつり合い状態から、それと連続しない他の安定なつり合い状態へと動的に移行する現象」と説明されている。この現象の応用は、従来のマイクロスイッチ類やその他の軽薄短小な部品(文献1参照)への応用に加え、近年、宇宙機器用太陽光発電パネルの自己展開構造等で注目されつつあるが、この現象の最も基本的な例としては、構造力学に関する多くの教本に解説されているものに、「ウィリアムのトグル」と呼ばれるものがある。これは図7(A)に示すように、平板バネの両端をヒンジで把持し、該両端間隔を弾性領域内で圧縮することにより、板バネを表側または裏側へアーチ状に湾曲させるものである。その両端位置を固定して、表側アーチとなった板バネの中央部にバネとは直角方向に押すと、中央部が凹状に変形していくが、荷重が一定以上大きくなると突然アーチが反転し、図のような裏側へのアーチとなって安定静止する。
次にこれに一定以上の逆方向荷重を掛ける(引張)と、前記と正反対の変形経路を辿って、元の状態に復帰しまた静止する。この例では、両端間隔の圧縮を除去すると、板バネは当然元の単なる平板に復帰する(以下、ここではこの方式を「平板方式」と記す)。
次にこれに一定以上の逆方向荷重を掛ける(引張)と、前記と正反対の変形経路を辿って、元の状態に復帰しまた静止する。この例では、両端間隔の圧縮を除去すると、板バネは当然元の単なる平板に復帰する(以下、ここではこの方式を「平板方式」と記す)。
一方、前記飛移り座屈現象は、細長形の板バネ分野では髪留めやドレスクリップ等の日用品にも単品として応用され、市販されている。これらの製品では何れも、両端間隔を圧縮せずに略ドーム片状のアーチ形状を形成できるよう、特許文献2に記載の通り、板バネの内幅中央部を一部切欠いてその端部に特殊な加工を施す等の工夫がなされている(以下、この方式を「中抜き方式」と記す)。このような板バネは、図7(B)に示したように、両端が搖動(X)自在で、両端間隔(Y)が伸縮自由という条件下でないと、円滑な飛移り座屈を生起させ難い。
本発明に於ける「アーチ形飛移り座屈板バネ」とは、これら二つの方式を含めたものであり、飛移り座屈を生起する板バネであれば、そのアーチの形成方法には拘らないものとする。
本発明に於ける「アーチ形飛移り座屈板バネ」とは、これら二つの方式を含めたものであり、飛移り座屈を生起する板バネであれば、そのアーチの形成方法には拘らないものとする。
図7(A)及び(B)に示すように、上記板バネはその両端を結ぶ基準線より表側では一つの安定した経路上で挙動し、これが第1の変形経路となる。これに飛移り座屈を生起させ反転させると、裏側ではまた別の安定した経路上で挙動し、これが第2の変形経路となる。板バネが均質な平板で、両端での搖動抵抗が零であれば、それら表裏の変形は前記基準線に対して対称(荷重対変位曲線では、両変形経路の中間点を基準に点対称)と考えられるから、上記板バネは一つのバネでありながら、通常板バネに比して遥かに大きな変位量を持って、二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。但し、両変形経路間には不安定領域があり、工夫なしでは予期した反転アーチ以外の変形が生起する可能性がある。
このようにアーチ中央部を押すと飛移り座屈により瞬発的に反転して外力零では安定静止し、これに一定以上の逆荷重を掛けると反転し元に復帰する特徴の上記板バネは、特異な存在である。しかし、特に中抜き方式で両端支持のものは機械要素としての応用が見当らないなど、その応用が一般に余り普及していないのは、中抜き方式のものでは、端部の支持方式に上記した条件があること、平板方式のものでは大型になると両端支持に大きな負担が掛かり易いこと、何れの方式でも不安定領域での変形を制御する必要があること等、何れもその取扱いがやや容易ではないことが一因と思われる。
一方、戸と戸口枠体の何れか一方に磁石、他方に鉄片を配する簡素な構造の従来のマグネットキャッチは、戸を開く過程(以下、「戸開時」と記す。これに対し、戸が完全に戸口枠体から離れた時は「戸開放時」と記す)で一気にやや強い力が必要であり、往々にして円滑な戸の開閉を実現していないという大きな弱点がある。そして特に軽快な引戸には、戸を閉める過程(以下、「戸閉時」と記す。これに対し、戸が閉じられて完全に静止した時は「戸閉止時」と記す)で荒締めや戸口枠体を含めた経年変化等により隙間ができ易いという問題があるが、前記弱点の故にマグネットキャッチは殆ど用いられていない。
これらの問題を解決するため、様々な商品が既に開発され普及しているが、既存の戸にも安価で手軽に取り付け可能なものは、未だ少ないように見受けられる。その対策案の一つとして、マグネットキャッチの磁着受部側に片持ち支持の板バネを配設し、該板バネ主体部に表裏両方向への飛移り座屈を生起するアーチ形飛移り座屈板バネを形成する構造の発明(特許文献2)がなされている。
この発明に於いては、板バネは図7(C)のように一端のみを固定するから、両端間隔は問題にならない。そして両端部は、主体部端から一定以上の長さにして、表裏方向搖動自在としている。
これらの問題を解決するため、様々な商品が既に開発され普及しているが、既存の戸にも安価で手軽に取り付け可能なものは、未だ少ないように見受けられる。その対策案の一つとして、マグネットキャッチの磁着受部側に片持ち支持の板バネを配設し、該板バネ主体部に表裏両方向への飛移り座屈を生起するアーチ形飛移り座屈板バネを形成する構造の発明(特許文献2)がなされている。
この発明に於いては、板バネは図7(C)のように一端のみを固定するから、両端間隔は問題にならない。そして両端部は、主体部端から一定以上の長さにして、表裏方向搖動自在としている。
このように、アーチ形飛移り座屈板バネは幾つかの特異な特徴を有するから、これをより容易に応用できるようなものとすれば、この特徴を活かした機械要素として、一般機械器具の中で活用できる多くの可能性があると思われる。その具体的一例として、特許文献3の「緩衝装置」がある。これは、2本の弾性体を中央でヒンジ等により山形に接続して飛移り座屈が生起するようにしたものをパンタグラフ状に複数重ね、これに流体減衰機構を併設させた構造を特徴とするが、前記のような板バネが実現できれば、取付け方法に若干の工夫を加えるだけで、より安価に該装置に利用できると考えられる。
そして、特許文献2記載のマグネットキャッチは、バネ固定端から磁着受部までの距離が略バネ全長となるため、作動音が大きくなり易いことや、磁着受部は固定端を支点として円弧状に移動するため、磁石との着脱時に両者の摺動が起こり易く、吸着と摺動の組合せによる摩耗が懸念されること等、片持ち支持構造のアーチ形飛移り座屈板バネの弱点が見られる。
そして、特許文献2記載のマグネットキャッチは、バネ固定端から磁着受部までの距離が略バネ全長となるため、作動音が大きくなり易いことや、磁着受部は固定端を支点として円弧状に移動するため、磁石との着脱時に両者の摺動が起こり易く、吸着と摺動の組合せによる摩耗が懸念されること等、片持ち支持構造のアーチ形飛移り座屈板バネの弱点が見られる。
本発明が解決しようとする課題は、機械要素として用いられたアーチ形飛移り座屈板バネを、中抜き方式のものでも両端支持できるものとし、平板方式のものでは両端支持荷重を軽減し、何れの方式でも飛移り座屈時の無用な変形を防止しつつ、その応用を容易にすることである。そしてその簡易な一応用例として戸開閉装置用マグネットキャッチにこれを応用し、作動音を一層抑制して磁石と磁着受部との摺動をなくしつつ、より小型化してソフトな感触の戸開閉を実現すると共に、引戸に対しても隙間発生機会を低減し、既存の戸への取付けも手軽に可能とする比較的簡素な戸閉装置を提供しようとするものである。
請求項1記載の発明は、略細長形の板バネの中央部に一定寸法の剛性部材たる座体を固定し、該板バネ中央部と板バネ端部との間の2つの部位たる両板バネ主体部に、該板バネの幅方向中心線に対して幾何学的に対称で、かつ、長手方向に圧縮力を加えてアーチ状とするか、
または、該両板バネ主体部の内幅の一部を切欠いた後、略ドーム片状とするか、の何れかによって表裏両方向への飛び移り座屈を生起するようにして成るアーチ形飛移り座屈板バネを夫々形成し、
前記座体の移動を前記板バネの直角方向に制限するガイド手段を具備し、
前記板バネの両端部またはそれらに固着し延長した支持板に、その断面を屈曲したクッション部を形成して、前記板バネを両端支持し、
または、前記板バネの裏側に略凹形の裏板バネを設け、該裏板バネと前記板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具により連結して、前記裏板バネの中央部を支持し、
表裏何れの方向へも前記座体への一定以上の負荷により、前記両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させることを特徴とする双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
または、該両板バネ主体部の内幅の一部を切欠いた後、略ドーム片状とするか、の何れかによって表裏両方向への飛び移り座屈を生起するようにして成るアーチ形飛移り座屈板バネを夫々形成し、
前記座体の移動を前記板バネの直角方向に制限するガイド手段を具備し、
前記板バネの両端部またはそれらに固着し延長した支持板に、その断面を屈曲したクッション部を形成して、前記板バネを両端支持し、
または、前記板バネの裏側に略凹形の裏板バネを設け、該裏板バネと前記板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具により連結して、前記裏板バネの中央部を支持し、
表裏何れの方向へも前記座体への一定以上の負荷により、前記両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させることを特徴とする双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項2記載の発明は、上記板バネの両端支持部間隔を調整自在とする手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に於ける構成部材または手段の一部を、該板バネ装置の装着対象装置の一部として具備し、該両装置で共用した双アーチ形飛移り座屈板バネ装置である。
請求項4記載の発明は、戸開閉装置に於いて、開閉時に戸を戸口枠体の側壁または戸当りに対して直角に移動させる機構を上記ガイド手段とする請求項3記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置を、戸または戸口枠体の一方に固定し、それと対向して他の一方に磁石を配設し、
上記板バネの中央部または上記座体に磁着受部を固定し、
前記磁石の吸着力を、上記板バネの飛移り座屈を生起させる力以上とすることにより、
前記戸を開閉の都度、上記板バネに表裏両方向への飛移り座屈を順次生起させることを特徴とするマグネットキャッチである。
上記板バネの中央部または上記座体に磁着受部を固定し、
前記磁石の吸着力を、上記板バネの飛移り座屈を生起させる力以上とすることにより、
前記戸を開閉の都度、上記板バネに表裏両方向への飛移り座屈を順次生起させることを特徴とするマグネットキャッチである。
請求項1記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に依れば、板バネ(裏板バネと区分するために、以下、「主板バネ」と記す)中央部に一定寸法の剛性部材たる座体を固定し、隣接する二つの主板バネ主体部に、主板バネの幅方向中心線に対して幾何学的に対称で、かつ、平板方式または中抜き方式によるアーチ形飛移り座屈板バネを夫々形成するから、そのような主板バネ中央部は、一方の座屈が他方を引込んで両主板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させるよう、強く働く。
しかしそれだけでは直、主板バネ主体部が二つに分離されているため、主板バネ中央部への荷重が中心から一定以上偏り、または傾斜する場合には、その一方の主体部のみが飛移り座屈を生起し、主板バネがS字状となって反転アーチ形を得られないことがある。そこで、座体の移動を主板バネの直角方向に制限するガイド手段(以下、「直角ガイド」と記す)を具備したから、座体への荷重は直角方向に均等に働き、主板バネのS字状変形を一層確実に防止できる。
しかしそれだけでは直、主板バネ主体部が二つに分離されているため、主板バネ中央部への荷重が中心から一定以上偏り、または傾斜する場合には、その一方の主体部のみが飛移り座屈を生起し、主板バネがS字状となって反転アーチ形を得られないことがある。そこで、座体の移動を主板バネの直角方向に制限するガイド手段(以下、「直角ガイド」と記す)を具備したから、座体への荷重は直角方向に均等に働き、主板バネのS字状変形を一層確実に防止できる。
そして、上記クッション部を設ける場合には、表裏方向搖動自在、かつ、両端間隔が伸縮可能なように主板バネを両端支持できるから、主板バネ中央部への一定以上の負荷により、主板バネは両端支持で双翼の形を呈しつつ、主板バネ両端支持部への負荷を軽減しながら表裏両方向へのアーチ形飛移り座屈を円滑に生起させることができる。
また、上記裏板バネを設ける場合には、主板バネと裏板バネの両端を表裏方向搖動自在なように連結具を介して連結するだけで、両板バネ端部が表裏一体となって挙動するので、両端間隔の伸縮も自在であり、主板バネの両端支持が比較的容易である。更に、クッション部を設ける場合には装置全長が当然その分長くなるが、裏板バネに依る場合にはそれを短縮できる利点がある。尚、上記裏板バネの「略凹形」とはアーチ形状を含み、例えば多角形等、裏側へ凹状である限りその断面形状に拘らないものとし、また、必要に応じ中央付近で二つに分離しても良いものとする。
このような構成の本発明装置は、座体への一定以上の負荷により表裏何れかに飛移り座屈を生起した後一旦静止し、同様にして他の一方へ反転して元に復帰する行程を繰り返すことができる。
また、上記裏板バネを設ける場合には、主板バネと裏板バネの両端を表裏方向搖動自在なように連結具を介して連結するだけで、両板バネ端部が表裏一体となって挙動するので、両端間隔の伸縮も自在であり、主板バネの両端支持が比較的容易である。更に、クッション部を設ける場合には装置全長が当然その分長くなるが、裏板バネに依る場合にはそれを短縮できる利点がある。尚、上記裏板バネの「略凹形」とはアーチ形状を含み、例えば多角形等、裏側へ凹状である限りその断面形状に拘らないものとし、また、必要に応じ中央付近で二つに分離しても良いものとする。
このような構成の本発明装置は、座体への一定以上の負荷により表裏何れかに飛移り座屈を生起した後一旦静止し、同様にして他の一方へ反転して元に復帰する行程を繰り返すことができる。
請求項2記載の発明に依れば、請求項1記載の発明に於いて両端間隔を圧縮してアーチを形成する構造(即ち、平板方式)の場合、主板バネの両端支持部間隔を調整自在とする手段を具備したから、これにより主板バネの飛移り座屈を生起させるに要する荷重の大きさや最大変形量等を調整できるようにすることができる。
請求項3記載の発明では、請求項1または請求項2記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に於ける構成部材または手段の一部を、本板バネ装置の装着対象装置の一部として具備し、両装置で共用したので、上記した請求項1または請求項2記載の発明装置の働きと全く同じでありながら、本板バネ装置本体の構造を簡素化できる。
請求項4記載の発明は、本板バネ装置を装着した戸開閉装置に用いるマグネットキャッチである。何れの戸開閉装置に於いても、開閉時、戸は戸口枠体の側壁または戸当りに対して必ず直角に移動する機構になっているので、それが請求項1記載の直角ガイドに該当し、よってこの場合の板バネ装置は請求項3記載の発明の一応用例でもある。
本発明に依れば、磁着受部(以下、「受部」と記す)から主板バネ固定部までの距離は主板バネ長さの略半分であるため、片持ち支持構造の場合より明らかに作動音が抑制され易くなる。また、戸開放時には受部が突出しており、戸閉時には主板バネが戸の勢いを和らげるブレーキとして働き、これに抗して更に戸を一定以上の力で押し込むと、主板バネは飛移り座屈を生起してアーチが反転し、戸を枠体に引き付けるように働く。戸開時には、磁石の吸着力は主板バネの飛移り座屈を生起させる力より大きいから、受部が磁石に吸着されたまま、主板バネは表側への座屈が生起するまで撓んで戸開時抵抗を和らげる。
このようにして、戸の開閉を円滑化し、かつ、引戸の隙間発生機会を低減するだけでなく、両端支持は片持ち支持に比して構造強度を向上させるから、本板バネ装置の小型化の効果を得ることができる。
本発明に依れば、磁着受部(以下、「受部」と記す)から主板バネ固定部までの距離は主板バネ長さの略半分であるため、片持ち支持構造の場合より明らかに作動音が抑制され易くなる。また、戸開放時には受部が突出しており、戸閉時には主板バネが戸の勢いを和らげるブレーキとして働き、これに抗して更に戸を一定以上の力で押し込むと、主板バネは飛移り座屈を生起してアーチが反転し、戸を枠体に引き付けるように働く。戸開時には、磁石の吸着力は主板バネの飛移り座屈を生起させる力より大きいから、受部が磁石に吸着されたまま、主板バネは表側への座屈が生起するまで撓んで戸開時抵抗を和らげる。
このようにして、戸の開閉を円滑化し、かつ、引戸の隙間発生機会を低減するだけでなく、両端支持は片持ち支持に比して構造強度を向上させるから、本板バネ装置の小型化の効果を得ることができる。
中抜き方式と平板方式の何れのアーチ形飛移り座屈板バネ装置でも、機械要素として容易に使えるよう、他の装置内で固定部への負荷を軽減しつつ両端支持し、中央部に負荷できるものとした。また、本板バネ装置を応用することにより、作動音を一層抑制でき、磁石と受部の摺動をなくしつつ戸開閉が円滑に行え、かつ、引戸の隙間発生機会を少なくする、より小型化したマグネットキャッチを、後付けも手軽に可能とするように、実現した。
図1は、請求項1または3に係る発明装置の中、主板バネ1の中心に棒状直角ガイド8を設けて他の装置の基盤10内に装着した実施例を示し、(A)は主板バネ1の長手方向中心線での断面図、(B)は正面図である。両主板バネ端部1Cにそれよりやや加工性の良い支持板5をカシメ材15により固着させ、その断面をV字状に屈曲させて適度な弾性を有するクッション部5Aを設けている。このクッション部5Aは主板バネ1の両端間隔を伸縮可能とするだけでなく、表裏方向搖動自在とする機能も兼ね備えている。その断面形状には拘らないが、本例のようなV字状が最も有利と思われる。
主板バネ1が平板方式の場合、両端間隔を圧縮して両主板バネ主体部1Aのアーチを形成しているから、両端固定部のネジ13には元から一定の荷重が掛かるが、本例では基盤10の側壁でその大部分を受けている。座体3に負荷すると、飛移り座屈に伴う両端方向変形の多くをクッション部5Aが吸収するので、両端方向への追加荷重は著しく軽減できる。但し、この構造は主板バネ1が中抜き方式であっても良く、その場合には、略ドーム片状アーチ形成のためのネジ13への荷重はない。
主板バネ中央部1Bにはその中心を貫通し、フランジ付棒状の直角ガイド8が座体3を挟んで直角方向に固定され、装着基盤10に設けられた穴内で摺動するようになっている。
主板バネ1が平板方式の場合、両端間隔を圧縮して両主板バネ主体部1Aのアーチを形成しているから、両端固定部のネジ13には元から一定の荷重が掛かるが、本例では基盤10の側壁でその大部分を受けている。座体3に負荷すると、飛移り座屈に伴う両端方向変形の多くをクッション部5Aが吸収するので、両端方向への追加荷重は著しく軽減できる。但し、この構造は主板バネ1が中抜き方式であっても良く、その場合には、略ドーム片状アーチ形成のためのネジ13への荷重はない。
主板バネ中央部1Bにはその中心を貫通し、フランジ付棒状の直角ガイド8が座体3を挟んで直角方向に固定され、装着基盤10に設けられた穴内で摺動するようになっている。
図2は、請求項1または3に係る発明装置の中、アーチ状の裏板バネ2を用いた実施例の断面図であり、(A)は主板バネ1が表側へのアーチ形(平板方式と中抜き方式の何れでも良い)、(B)は裏側へのアーチ形を成した時の状態を示す。裏板バネ2の中央部を2本のネジ13により装着基盤10に固定しているが、ネジ13の固定作業を容易にするため、裏板バネ2の中央部を適宜拡幅しても良い。主板バネ1の中央部には、座体3を挟んでコの字形の直角ガイド9が固定されており、その両端は基盤10の側壁と摺動して座体3の移動を主板バネ1の直角方向に制限するようになっている。
図2(A)に示すように、主板バネ1が表側へのアーチ形を成す時には裏板バネ2と二つのアーチ形を向かい合わせに連結具7たる蝶番により連結した形状を成している。裏側へ押す荷重を受けると、主板バネ1と裏板バネ2とは共に抵抗してクッションとなり、互いの中央部間隔を狭めて変形していくが、一定以上の荷重で主板バネ1は瞬時に飛移り座屈を生起し、図2(B)のように裏板バネ2と同じ向きに重ねた状態となって静止する。次に表側へ引張荷重を受けると、共に逆方向クッションとして抵抗するように働いた後、一定以上の荷重で飛移り座屈を生起し、元の状態に復帰する。
このようにして本実施例でも実施例1と同様に働き、かつ、クッション部なしに両板バネが両端方向には一体となって変形するので、実施例1に比して本板バネ装置長さを短縮できる。
上記2つの実施例に示したように、本発明装置は主板バネ1のアーチ形成方式に拘わらず、図7(B)に示す形式で両端支持するものであり、両端支持荷重を軽減する。そして、座体3への負荷がその中心から偏り、または傾斜した場合でも、直角ガイド8または9の働きにより主板バネ1のS字状変形を確実に防止しつつ、他の装置に対して二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。
図2(A)に示すように、主板バネ1が表側へのアーチ形を成す時には裏板バネ2と二つのアーチ形を向かい合わせに連結具7たる蝶番により連結した形状を成している。裏側へ押す荷重を受けると、主板バネ1と裏板バネ2とは共に抵抗してクッションとなり、互いの中央部間隔を狭めて変形していくが、一定以上の荷重で主板バネ1は瞬時に飛移り座屈を生起し、図2(B)のように裏板バネ2と同じ向きに重ねた状態となって静止する。次に表側へ引張荷重を受けると、共に逆方向クッションとして抵抗するように働いた後、一定以上の荷重で飛移り座屈を生起し、元の状態に復帰する。
このようにして本実施例でも実施例1と同様に働き、かつ、クッション部なしに両板バネが両端方向には一体となって変形するので、実施例1に比して本板バネ装置長さを短縮できる。
上記2つの実施例に示したように、本発明装置は主板バネ1のアーチ形成方式に拘わらず、図7(B)に示す形式で両端支持するものであり、両端支持荷重を軽減する。そして、座体3への負荷がその中心から偏り、または傾斜した場合でも、直角ガイド8または9の働きにより主板バネ1のS字状変形を確実に防止しつつ、他の装置に対して二つの相反するバネの働きを繰り返すことができる。
図3は、請求項2または3に係る発明装置の中、クッション部5Aと棒状直角ガイド8を設けた実施例であって、(A)は本発明装置の中心線での断面図、(B)は正面図である。図のように、比較的厚鋼板製でL字状の端部台20の上端はクッション部5Aと固着され、その下辺部近傍には間隔調整ネジ21が取り付けられ、これにより端部台20の下辺は左右の端部台抑え板22と基盤10間の溝内を摺動して、主板バネ1の両端間隔を調整できるようにしている。このことにより、平板方式の主板バネ1が飛移り座屈を生起するに要する荷重の大きさや、最大変形量等を調整することができる。
尚、本図ではクッション部5Aを主板バネ1の延長部として示しているが、このような加工が難しい場合は、実施例1のように支持板5を固着すれば良い。
尚、本図ではクッション部5Aを主板バネ1の延長部として示しているが、このような加工が難しい場合は、実施例1のように支持板5を固着すれば良い。
図4は、請求項4に係るマグネットキャッチの中、主板バネ1を中抜き方式とし、両支持板5に断面屈曲によるクッション部5Aを付帯させた実施例の主板バネ1周りを、一部分解して示した斜視図である。主板バネ1はバネ板材から必要寸法に切り出し、主板バネ中央部1Bを座体3の固定に十分な寸法とし、中心線に沿って上下残部の内幅の一部を切欠き、左右に分離した後、主板バネ端部1Cの左右を中心線に向かって寄せ合わせ、支持板5と共にカシメ材15によりカシメている。そのことにより二つの主板バネ主体部1Aに夫々略ドーム片状のアーチ形飛移り座屈板バネを形成し、表裏両方向に飛移り座屈が生起できるようにしている。
厚鉄片製の受部3Aは、その中央部で座体3を挟んで主板バネ中央部1Bへビス14により固定している。座体3は戸閉止時、受部3Aと主板バネ1の接触や、戸と戸口枠体間の隙間を発生させないよう、適切な厚さとしなければならない。
厚鉄片製の受部3Aは、その中央部で座体3を挟んで主板バネ中央部1Bへビス14により固定している。座体3は戸閉止時、受部3Aと主板バネ1の接触や、戸と戸口枠体間の隙間を発生させないよう、適切な厚さとしなければならない。
図5は、図4に示した板バネ装置を、マグネットキャッチによる戸開閉装置の一機械要素として開き戸に取付けた場合の断面図であるが、平板方式としても良い。磁石ケース4A内に納めた磁石4を戸口枠体12の上下辺に戸当りを兼ねて固定し、これに対向して主板バネ1が両端で支持板5とネジ13により、端部座6を挟んで戸11の内側上下端に水平方向に固定されている。開き戸の場合、戸は開閉時に戸当りを兼ねた磁石4に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドになっている。
端部座6は、戸閉止時、主板バネ中央部1B及びクッション部5Aが戸11に接触しないよう、適切な厚さとしなければならない。戸開放時には、図4のように主板バネ1は表側へのアーチ形を成しているから、その中央部に固定された受部3Aも突出しており、戸閉時に磁石4により押されると主板バネ1はクッション部5Aと共にブレーキとして働く。それに抗して更に戸11を押し込むと、主板バネ1は飛移り座屈を生起し、図5に示すように裏側へのアーチ形となって、戸11を戸口枠体12に引き付けるよう働く。
端部座6は、戸閉止時、主板バネ中央部1B及びクッション部5Aが戸11に接触しないよう、適切な厚さとしなければならない。戸開放時には、図4のように主板バネ1は表側へのアーチ形を成しているから、その中央部に固定された受部3Aも突出しており、戸閉時に磁石4により押されると主板バネ1はクッション部5Aと共にブレーキとして働く。それに抗して更に戸11を押し込むと、主板バネ1は飛移り座屈を生起し、図5に示すように裏側へのアーチ形となって、戸11を戸口枠体12に引き付けるよう働く。
図6は、請求項4に掛かるマグネットキャッチの中、裏板バネ2を設けた板バネ装置を引戸である戸11の正面(通常、正面上隅が良い)にL字形外付け固定金具16によって垂直方向に取付け、それに対向する戸口枠体12の位置に磁石4を固定した場合の実施例を、一部分解して示した斜視図である。主板バネ1と受部3Aは実施例4と同様に、座体3を挟んで固定されており、更に、主板バネ1の裏側に略アーチ形の裏板バネ2が設けられ、両板バネはその両端で連結具7により連結されている。連結具7は蝶番とした場合を示しており、連結具7と主板バネ1または裏板バネ2とは、夫々カシメ材15により固着しているが、連結具7は必ずしも蝶番に限らず、適当な弾性材とすることも可能である。
図6では主板バネ1を中抜き方式で示したが、平板方式としても、両端方向に圧縮しつつ裏板バネ2と連結すれば、可能である。何れにしても、このように主板バネ1と裏板バネ2とがその両端で搖動自在に連結されているから、両板バネ端部が表裏一体となって挙動し、両端間隔を伸縮可能にすることができる。
裏板バネ2と外付け固定金具16の中央部は、2本のビス14により固定されている。このような外付け方法は、既存の引戸に手軽に後付けしたい場合に有用である。
本例は実施例4と共に請求項3に係る発明装置の実施例でもあり、引戸の場合、戸は戸口枠体の側壁に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドとなっており、その分本板バネ装置本体を簡素化できている。
図6では主板バネ1を中抜き方式で示したが、平板方式としても、両端方向に圧縮しつつ裏板バネ2と連結すれば、可能である。何れにしても、このように主板バネ1と裏板バネ2とがその両端で搖動自在に連結されているから、両板バネ端部が表裏一体となって挙動し、両端間隔を伸縮可能にすることができる。
裏板バネ2と外付け固定金具16の中央部は、2本のビス14により固定されている。このような外付け方法は、既存の引戸に手軽に後付けしたい場合に有用である。
本例は実施例4と共に請求項3に係る発明装置の実施例でもあり、引戸の場合、戸は戸口枠体の側壁に対し必ず直角に移動するから、この機構が直角ガイドとなっており、その分本板バネ装置本体を簡素化できている。
1 主板バネ
1A 主板バネ主体部
1B 主板バネ中央部
1C 主板バネ端部
2 裏板バネ
3 座体
3A 受部
4 磁石
4A 磁石ケース
5 支持板
5A クッション部
6 端部座
7 連結具(蝶番)
8 (棒状)直角ガイド
9 (コの字形)直角ガイド
10 装着基盤
11 戸
12 戸口枠体
13 ネジ
14 ビス
15 カシメ材
16 外付け固定金具
20 端部台
21 間隔調整ネジ
22 端部台抑え板
1A 主板バネ主体部
1B 主板バネ中央部
1C 主板バネ端部
2 裏板バネ
3 座体
3A 受部
4 磁石
4A 磁石ケース
5 支持板
5A クッション部
6 端部座
7 連結具(蝶番)
8 (棒状)直角ガイド
9 (コの字形)直角ガイド
10 装着基盤
11 戸
12 戸口枠体
13 ネジ
14 ビス
15 カシメ材
16 外付け固定金具
20 端部台
21 間隔調整ネジ
22 端部台抑え板
Claims (4)
- 略細長形の板バネの中央部に一定寸法の剛性部材たる座体を固定し、該板バネ中央部と板バネ端部との間の2つの部位たる両板バネ主体部に夫々均等なアーチ形飛移り座屈板バネを形成し、
前記座体の移動を前記板バネの直角方向に制限するガイド手段を具備し、
前記板バネの両端部またはそれらに固着し延長した支持板に、その断面を屈曲したクッション部を形成して、前記板バネを両端支持し、
または、前記板バネの裏側に略凹形の裏板バネを設け、該裏板バネと前記板バネの両端を夫々表裏方向搖動自在とする連結具により連結して、前記裏板バネの中央部を支持し、
表裏何れの方向へも前記座体への一定以上の負荷により、前記両板バネ主体部に略同時に同方向の飛移り座屈を生起させることを特徴とする双アーチ形飛移り座屈板バネ装置。 - 上記板バネの両端支持部間隔を調整自在とする手段を具備したことを特徴とする請求項1記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置。
- 請求項1または請求項2記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置に於ける構成部材または手段の一部を、該板バネ装置の装着対象装置の一部として具備し、該両装置で共用した双アーチ形飛移り座屈板バネ装置。
- 戸開閉装置に於いて、開閉時に戸を戸口枠体の側壁または戸当りに対して直角に移動させる機構を上記ガイド手段とする請求項3記載の双アーチ形飛移り座屈板バネ装置を、戸または戸口枠体の一方に固定し、それと対向して他の一方に磁石を配設し、
上記板バネの中央部または上記座体に磁着受部を固定し、
前記磁石の吸着力を、上記板バネの飛移り座屈を生起させる力以上とすることにより、
前記戸を開閉の都度、上記板バネに表裏両方向への飛移り座屈を順次生起させることを特徴とするマグネットキャッチ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021191209A (ja) * | 2020-06-04 | 2021-12-13 | 住友重機械工業株式会社 | 変位拡大機構及びアクチュエータ |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54109227A (en) * | 1978-02-15 | 1979-08-27 | Matsushita Electric Works Ltd | Apparatus for halting folding door |
JPH07286474A (ja) * | 1994-04-18 | 1995-10-31 | Sanuki:Kk | 引き戸用緩衝ストッパー |
JP2004347000A (ja) * | 2003-05-21 | 2004-12-09 | Ito Seisakusho:Kk | 板バネ並びにそれを用いたアルミサッシ用補助錠及び打掛け金具 |
JP2014161843A (ja) * | 2013-02-28 | 2014-09-08 | Alps Electric Co Ltd | 板バネ |
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