JP2018024749A - 着色剤、着色組成物、着色硬化膜、表示素子、固体撮像素子、化合物及び重合体 - Google Patents

着色剤、着色組成物、着色硬化膜、表示素子、固体撮像素子、化合物及び重合体 Download PDF

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【課題】耐熱性及び耐溶剤性に優れ、かつ異物の発生が少ない着色硬化膜を得ることができる着色組成物を提供すること。【解決手段】重合性基を有するオニウムカチオンとアニオン性発色団とからなる着色剤(A)と、バインダー樹脂(B)と、重合性化合物(C)(但し、着色剤(A)を除く。)と、を含有する着色組成物とする。着色剤(A)は、オニウムイオンとして、ホスホニウム、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウム又はジアゾニウムを有していてもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、着色剤、着色組成物、着色硬化膜、表示素子、固体撮像素子、化合物及び重合体に関し、より詳しくは、カラー液晶表示素子、固体撮像素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等の着色硬化膜の製造に好適に用いられる着色剤及び当該着色剤を含む着色組成物等に関する。
カラーフィルタ等の着色硬化膜に用いる着色剤としては、染料が広く検討されている。着色剤として染料を使用することにより、染料自体の色純度やその色相の鮮やかさによって、画像表示させたときの表示画像の色相や輝度を高める上で有効と考えられるためである。着色硬化膜に用いる染料としては、キサンテン染料、ジピロメテン染料、キノフタロン染料、トリアリールメタン染料、キノンイミン染料等、種々のものが知られている。
しかしながら、着色硬化膜用の着色剤として通常用いられる染料は、一般に耐熱性が不足しており、実用化が難しいといった問題がある。また、一般に、染料は有機溶剤に対する溶解性に乏しいものが多く、溶解性が低いことに起因して、染料を含む着色組成物を用いて形成した画素に塗膜異物が発生する場合がある。こうした点に鑑み、従来、得られる着色硬化膜の耐熱性及び耐溶剤性を改善するべく、種々の着色剤及び着色組成物が提案されている(例えば特許文献1や特許文献2参照)。
特許第4492760号公報 特開2013−190776号公報
しかしながら、着色剤として染料を用いた場合、従来のものでは十分な耐熱性及び耐溶剤性を有しているとは必ずしも言えず、改善の余地がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、耐熱性及び耐溶剤性に優れ、かつ異物の発生が少ない着色硬化膜を得ることができる着色組成物を提供することを一つの目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明によれば、以下の着色剤、着色組成物、着色硬化膜、表示素子、固体撮像素子、化合物及び重合体が提供される。
[1] 重合性基を有するオニウムカチオンと、アニオン性発色団とからなる着色剤。
[2] 上記[1]の着色剤(A)と、バインダー樹脂(B)と、重合性化合物(C)(但し、前記着色剤(A)に該当するものを除く。)と、を含有する着色組成物。
[3] 上記[2]の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜。
[4] 上記[3]の着色硬化膜を具備する表示素子。
[5] 上記[3]の着色硬化膜を具備する固体撮像素子。
[6] 下記式(1A)又は式(2A)で表される化合物。
Figure 2018024749
(式(1A)中、Yは、リン原子又は窒素原子である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜Rの少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。Mb−は、b価のアニオン性発色団であり、aは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、bは1以上の整数である。)
Figure 2018024749
(式(2A)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、Xは、2価の連結基である。R〜R10は、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜R10の少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。Md−は、d価のアニオン性発色団でありcは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、dは1以上の整数である。)
[7] 下記式(3A)又は式(4A)で表されるカチオン性基を含む構造単位(a)を有し、かつ前記構造単位(a)と同一又は異なる構造単位中に重合性基を有する重合体。
Figure 2018024749
(式(3A)中、Yは、リン原子又は窒素原子であり、Qは、2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。Mb−は、b価のアニオン性発色団であり、aは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、bは1以上の整数である。)
Figure 2018024749
(式(4A)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、X及びQは、相互に独立に2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。Md−は、d価のアニオン性発色団であり、cは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、dは1以上の整数である。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。)
本発明の着色剤によれば、耐熱性及び耐溶剤性に優れ、かつ塗膜異物が発生しにくい着色硬化膜を形成することができる。したがって、当該着色剤を含む着色組成物は、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等の表示素子、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子の製造に好適に使用することができる。
以下、本開示の態様に関連する事項について詳細に説明する。なお、本明細書において、「〜」を用いて記載された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。
<着色剤>
本開示の着色剤は、重合性基を有するオニウムカチオンと、アニオン性発色団とからなる着色剤(以下、「着色剤(A)」ともいう。)である。
(重合性基を有するオニウムカチオン)
着色剤(A)を構成する、重合性基を有するオニウムカチオン(以下、「特定オニウムカチオン」ともいう。)について、オニウムイオンの種類は特に制限されないが、オニウムイオンとして、ホスホニウム、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウム又はジアゾニウムを有していることが好ましい。特定オニウムカチオンは、中でも、ホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが特に好ましい。
ホスホニウムカチオンとは、原子価が4であるリン原子が正の電荷を帯びたカチオン構造を包括する概念であり、リン原子を中心とするカチオンを有する限り、その構造は特に制限されるものではない。また、アンモニウムカチオンとは、原子価が4である窒素原子が正の電荷を帯びたカチオン構造を包括する概念であり、窒素原子を中心とするカチオンを有する限り、その構造は特に制限されるものではない。
特定オニウムカチオンが有する重合性基は、光や熱等によって重合可能な基であればよく、その具体例としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニルアリール基、ビニルオキシ基、エチニル基、アリル基、エポキシ基(オキシラニル基及びオキセタニル基を含む。)、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらのうち、得られる着色硬化膜の耐熱性の観点から、重合性不飽和結合を有する基であることが好ましい。より好ましくは、(メタ)アクリロイル基、ビニルアリール基又はアリル基であり、さらに好ましくは、ビニルベンジル基又は(メタ)アクリロイル基であり、ビニルベンジル基が特に好ましい。なお、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタアクリロイル基を含む概念である。
特定オニウムカチオンの価数は特に制限されず、1価であってもよく多価であってもよい。得られる着色硬化膜の耐熱性を良好にできる点、及び塗膜中の異物を少なくできる点で、好ましくは1〜4価、より好ましくは1価又は2価である。
特定オニウムカチオンは、低分子量(例えば、分子量1000以下)のものであってもよく、カチオン性基及び重合性基を側鎖に有する重合体であってもよい。特定オニウムカチオンの好ましい具体例としては、下記式(1)又は式(2)で表されるカチオン、及び下記式(3)又は式(4)で表されるカチオン性基を含む構造単位(a)を有し、かつ当該構造単位(a)と同一又は異なる構造単位中に重合性基を有する重合体が挙げられる。
Figure 2018024749
(式(1)中、Yは、リン原子又は窒素原子である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜Rの少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。)
Figure 2018024749
(式(2)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、Xは、2価の連結基である。R〜R10は、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜R10の少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。)
Figure 2018024749
(式(3)中、Yは、リン原子又は窒素原子であり、Qは、2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。)
Figure 2018024749
(式(4)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、X及びQは、相互に独立に2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。)
上記式(1)〜式(4)において、R〜R10の1価の有機基としては、例えば置換又は無置換の炭化水素基、複素環基等が挙げられる。
ここで、本明細書において「炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「脂肪族炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された飽和又は不飽和の炭化水素基を意味する。但し、鎖状構造は直鎖状であっても分岐状であってもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。但し、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
〜R10が1価の炭化水素基である場合の具体例としては、脂肪族炭化水素基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、イコサニル基等の炭素数1〜30のアルキル基;エテニル基、プロペニル基、ブテニル基等の炭素数1〜30のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数1〜30のアルキニル基等を挙げることができ、これらは直鎖状であっても分岐状であってもよい。また、脂環式炭化水素基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、クロヘキシルメチル基、シクロヘキセニル基、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル基等を;芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、ビニルベンジル基、ビニルベンジルアルキル基、ナフチル基、ビフェニレン基等を;それぞれ挙げることができる。
〜R10が置換された炭化水素基である場合、当該置換基としては、例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ホルミル基、カルボキシル基、ニトロ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、トリアルキルシリル基、複素環基、重合性基等が挙げられる。また、置換された炭化水素基は、当該炭化水素基のメチレン基が、−O−、−CO−、−COO−、−NH−、−NHCO−、−NH−CO−O−、−NH−CO−NH−、−S−、−SO−等の2価のヘテロ原子含有基で置換された基であってもよい。
〜R10が1価の複素環基である場合の具体例としては、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、キノリル基、ナフチリジニル基、フリル基、イミダゾリル基、フタルイミド基等が挙げられる。
上記式(1)〜式(4)において、各式中の隣接する2個のR(R〜R10)が結合して環を形成していてもよい。この場合、2個のRが結合して形成される基としては、例えばアルカンジイル基、アルケンジイル基等が挙げられる。
上記式(1)中のR〜R、及び上記式(2)中のR〜R10のそれぞれにおいて、少なくとも1個は重合性基を有する基である。重合性基の具体例及び好ましい例については、上記の説明が適用される。上記式(1)及び式(2)中の重合性基の数は、好ましくは1個又は2個である。
上記式(1)〜式(4)のR〜R10は、炭素数1〜20の置換又は無置換の1価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましい。
上記式(2)及び式(4)において、Xの2価の連結基としては、例えばアルカンジイル基、アルケンジイル基、1,4−フェニレンビス(アルカンジイル)基、オキシ基、オキシアルカンジイルオキシ基、アルカンジイルオキシアルカンジイル基等が挙げられる。
アルカンジイル基としては、炭素数1〜10のものが好ましい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基等が挙げられ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。
アルケンジイル基としては、炭素数2〜10のものが好ましく、具体的には、エテンジイル基、プロペンジイル基、ブテンジイル基等が挙げられる。
1,4−フェニレンビス(アルカンジイル)基としては、1,4−フェニレンビス(メチレン)基、1,4−フェニレンビス(エチレン)基等を;オキシアルカンジイルオキシ基としては、オキシメチレンオキシ基、オキシエチレンオキシ基、オキシトリメチレンオキシ基、オキシプロパン−1,2−ジイルオキシ基、オキシテトラメチレンオキシ基等を;アルカンジイルオキシアルカンジイル基としては、メチレンオキシメチレン基、エチレンオキシエチレン基、トリメチレンオキシトリメチレン基、エチレンオキシトリメチレン基、プロパン−1,2−ジイルオキシプロパン−1,2−ジイル基、エチレンオキシプロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレンオキシテトラメチレン基等を、それぞれ挙げることができる。
上記式(3)及び式(4)において、Qの2価の連結基としては、例えばアルカンジイル基、アルケンジイル基、−COO−R21−、−CONH−R21−、−O−R21−(但し、R21はアルカンジイル基である。)等が挙げられる。
特定オニウムカチオンが重合体である場合、当該重合体の主鎖は特に限定されないが、エチレン性不飽和単量体を用いて得られるビニル系重合体であることが好ましい。具体的には、構造単位(a)として、下記式(3B)又は式(4B)で表される構造単位を有する重合体であることが好ましい。
Figure 2018024749
(式(3B)中、Rは、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基である。Y、Q、及びR〜Rのそれぞれは上記式(3)と同義である。)
Figure 2018024749
(式(4B)中、Rは、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基である。Y、Y、X、Q及びR〜Rのそれぞれは上記式(4)と同義である。)
上記式(3B)及び式(4B)において、Rのアルキル基は、炭素数1〜10が好ましい。置換基としては、例えばフッ素原子、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。
としては、中でも水素原子又はメチル基が好ましい。
特定オニウムカチオンが重合体である場合、重合性基は、構造単位(a)中に含まれていてもよいし、構造単位(a)とは異なる構造単位中に含まれていてもよい。なお、重合性基が構造単位(a)中に含まれている場合、上記式(3)中のR〜Rの少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基であり、上記式(4)中のR〜Rの少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。重合性基を導入しやすい点で、重合性基は、構造単位(a)とは異なる構造単位が有していることが好ましい。
特定オニウムカチオンとしての重合体を得る方法は特に制限されない。一例としては、オニウムイオンを有するエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体(p)」ともいう。)と、その他のエチレン性不飽和単量体(以下、「単量体(q)」ともいう。)とを共重合することにより、オニウムイオンを側鎖に有するビニル系重合体を得て、次いで、重合性基を有する反応性化合物と、ビニル系重合体の側鎖の官能基とを反応させることにより、重合性基を側鎖に導入する方法が挙げられる。この方法によれば、重合性基を側鎖に導入しやすく、また重合性基の導入量を調整しやすい点で好適である。重合方法としては、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合、リビングカチオン重合等を採用することができる。
単量体(p)は、ホスホニウム又はアンモニウムを有していることが好ましい。こうした単量体(p)の具体例としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチル(トリメチル)アンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルオキシエチル(ジメチルベンジル)アンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルアミノプロピル(トリメチル)アンモニウムクロリド、(メタ)アクリロイルコリンクロリド、[2−((メタ)アクリロイルオキシ)エチル]トリオクチルホスホニウムクロリド、上記式(1)又は式(2)で表される化合物(ただし、重合性基としてエチレン性不飽和結合を有する。)等が挙げられる。なお、単量体(p)としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
単量体(q)としては、特に制限されないが、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリルアミド、スチレン又はその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アクリロニトリル、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。これらの単量体(q)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記重合に際し、単量体(p)の使用割合は、得られる重合体の溶剤に対する溶解性と着色性の観点から、上記ビニル系重合体の合成に使用する単量体の全量に対して、1〜70質量%とすることが好ましく、20〜60質量%とすることがより好ましい。
ビニル系重合体の側鎖に重合性基を導入するには、上記反応性化合物が有する官能基と、ビニル系重合体が側鎖に有する官能基(好ましくは、単量体(q)に由来する構造単位中の官能基)との反応を利用して行うことが好ましい。このときの反応は、ビニル系重合体の側鎖に重合性基を導入可能であれば特に限定されない。例えば、水酸基とイソシアネート基との反応や、水酸基とエポキシ基との反応、カルボキシル基とエポキシ基との反応等を利用することによって行う。ビニル系重合体と上記反応性化合物との反応は、官能基の種類に応じて公知の方法により行うことができる。
特定オニウムカチオンとしての重合体につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜100,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
特定オニウムカチオンとしては、例えば、以下の化合物群I〜VIIIに示されるオニウムカチオンが挙げられる。なお、以下の化合物群I〜VIII中、m、n、o及びpは、相互に独立に1以上の整数である。特定オニウムカチオンは、耐熱性の観点から、中でも上記式(1)又は式(2)で表されるカチオンが好ましい。
[化合物群I]
Figure 2018024749
[化合物群II]
Figure 2018024749
[化合物群III]
Figure 2018024749
[化合物群IV]
Figure 2018024749
[化合物群V]
Figure 2018024749
[化合物群VI]
Figure 2018024749
[化合物群VII]
Figure 2018024749
[化合物群VIII]
Figure 2018024749
(アニオン性発色団)
着色剤(A)を構成するアニオン性発色団としては、アニオン性官能基(例えば、SO3 、COO等)を有する発色団であれば特に限定されるものではないが、中でも、SO3 を有する発色団であることが好ましい。
アニオン性発色団としては、種々の発色団を適用することができるが、好ましくは、キサンテン系発色団、トリアリールメタン系発色団、アゾ系発色団、アントラキノン系発色団、フタロシアニン系発色団、キノリン系発色団、ニトロ系発色団、アジン系発色団、アクリジン系発色団又はインジゴ系発色団である。なお、これらのアニオン性発色団は、上記式(1A)、式(2A)、式(3A)及び式(4A)中のaMb−、cMd−の好ましい例に相当する。アニオン性発色団としては、これらの中でも、キサンテン系発色団、トリアリールメタン系発色団、アゾ系発色団、アントラキノン系発色団又はインジゴ系発色団であることがより好ましい。aMb−、cMd−で表されるアニオン性発色団について、b,dは1又は2が好ましく、1がより好ましい。a,cは、分子全体が電気的に中性になるように1以上の整数の中から選択される。
キサンテン系発色団としては、下記式(3−1)及び式(3−2)で表される発色団が好ましい。
Figure 2018024749
(式(3−1)中、R31〜R34は、相互に独立に、水素原子、−R56又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基(但し、芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R56、−OH、−OR56、−SO3H、−SO3M、−SO 、−COOH、−COO、−CO256、−SO356、−SO2NHR57又は−SO2NR5758で置換されていてもよい。)である。R35〜R40は、相互に独立に、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。;R41〜R45は、相互に独立に、−SO3H、−SO3M、−SO3 、−COOH、−CO256、−SO356、−SO2NHR57又は−SO2NR5758である。R56は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基(但し、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよく、また飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR56−で置換されていてもよい。)である。R57及びR58は、相互に独立に、炭素数1〜10の鎖状のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Zを示すか、あるいはR57及びR58が互いに結合して形成される炭素数1〜10の置換若しくは非置換の複素環基を示す。但し、該アルキル基及びシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Z、−CH=CH2又は−CH=CHR56で置換されていてもよく、また該アルキル基及びシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR56−で置換されていてもよく、該複素環基に含まれる水素原子は、−R56、−OH又は−Zで置換されていてもよい。Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を示す。;Zは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基(但し、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、R56、−OR56、−NO2、−CH=CH2、−CH=CHR56又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)である。但し、R31〜R34のうち少なくとも1つが−COO又は−SO3 を有する芳香族炭化水素基であるか、あるいはR41〜R45のうち少なくとも1つが−COO又は−SO3 である。
式(3−2)中、R46〜R51は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又はハロゲン原子である。R52〜R55は、相互に独立に、−OH、−SO3H、−SO3M、−SO3 、−COOH、−COO、−CO256、−SO356、−SO2NHR57又は−SO2NR5758である。M、R56、R57、R58は、式(3−1)におけるM、R56、R57、R58とそれぞれ同義である。)
トリアリールメタン系発色団としては、下記式(4)で表される発色団が好ましい。
Figure 2018024749
(式(4)中、Arは、下記式(4−a)及び式(4−b)のいずれかで表される基である。R71〜R74は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基又はエチレン性不飽和結合を有する基である。R75〜R82は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、−COOR’(R’は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)又はハロゲン原子である。)
Figure 2018024749
(式(4−a)中、R83〜R87は、相互に独立に、水素原子、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。「*」は、結合手であることを示す。但し、R83〜R87のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 である。
式(4−b)中、R88〜R94は、相互に独立に、水素原子、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。「*」は、結合手であることを示す。但し、R88〜R94のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 である。)
アゾ系発色団としては、下記式(5−1)及び式(5−2)のいずれかで表される発色団が好ましい。
Figure 2018024749
(式(5−1)中、R101は、下記式(5−a)、式(5−b)及び式(5−c)のいずれかで表される基である。R102〜R106は、相互に独立に、水素原子、−R121、−NR122123、−NO2、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。R121は、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基である。R122及びR123は、相互に独立に、水素原子、置換若しくは非置換のアリール基である。但し、R101が式(5−a)で表される基である場合、R102〜R106のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 であるか、あるいは−NR122123であって、該R122及びR123のうち少なくとも1つが−COO又は−SO3 を有するアリール基である。R101が式(5−b)で表される基である場合、R102〜R106及びR137〜R142のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 であるか、あるいは−NR122123であって、該R122及びR123のうち少なくとも1つが−COO又は−SO3 を有するアリール基である。R101が式(5−c)で表される基である場合、R102〜R106及びR144〜R150のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 であるか、あるいは−NR122123であって、該R122及びR123のうち少なくとも1つが−COO又は−SO3 を有するアリール基である。
式(5−2)において、R107〜R120は、相互に独立に、水素原子、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。但し、R107〜R120のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 である。)
Figure 2018024749
(式(5−a)中、R131〜R134は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基である。R135及びR136は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基である。「*」は、結合手であることを示す。
式(5−b)中、R137〜R142は、相互に独立に、水素原子、−NR124125、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。R124及びR125は、相互に独立に、水素原子、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基、アルキルカルボニル基又はシクロアルキルカルボニル基である。「*」は、結合手であることを示す。
式(5−c)中、R144〜R150は、相互に独立に、水素原子、−NO2、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。「*」は、結合手であることを示す。)
アゾ系発色団としては、下記式(5−3)で表される発色団を適用してもよい。
Figure 2018024749
(式(5−3)中、R151〜R154は、相互に独立に、水素原子、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。但し、R151〜R154のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 である。)
アントラキノン系発色団としては、下記式(6)で表される発色団が好ましい。
Figure 2018024749
(式(6)中、R171〜R180は、相互に独立に、水素原子、−R181、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。但し、R171〜R180のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 である。R181は、炭素数1〜6(好ましくは1〜4)のアルキル基を示す。)
インジゴ系発色団としては、下記式(9)で表される発色団が好ましい。
Figure 2018024749
(式(9)中、R251〜R258は、相互に独立に、水素原子、−OH、−COOH、−COO、−SO3H、−SO3M(Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子)又は−SO3 である。但し、R251〜R258のうち少なくとも1つは−COO又は−SO3 である。)
着色剤(A)は、例えば、重合性基を有するオニウムカチオンを含む化合物(以下、「化合物(X)」ともいう。)と、アニオン性発色団を有する化合物(以下、「化合物(Y)」ともいう。)と、を塩交換して製造することができる。より具体的には、化合物(X)と化合物(Y)とを溶媒に溶解し、攪拌することにより製造することができる。化合物(X)及び化合物(Y)は、それぞれ一種のみを使用してもよいし、複数種を使用してもよい。
この製造においては、必要に応じて溶液を加熱してもよい。このようにして得られた着色剤(A)は、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類をはじめとする種々の有機溶媒に可溶である一方、優れた耐溶剤性を有する。
化合物(Y)としては、公知の酸性染料の他、例えば下記に例示する化合物を挙げることができる。例えば、キサンテン系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドレッド51、C.I.アシッドレッド52、C.I.アシッドレッド87、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド94、C.I.アシッドレッド289、C.I.アシッドレッド388、C.I.アシッドオレンジ11、C.I.アシッドバイオレット9、C.I.アシッドバイオレット30等のキサンテン酸性染料の他、特開2010−32999号公報の合成例1〜3、特開2011−138094号公報に開示されているキサンテン酸性染料、特開2013−053292号公報の段落〔0010〕に記載された化合物、特開2013−100463号公報の実施例に記載の式(A1)〜(A6)で表される化合物、特開2012−181505号公報の段落〔0038〕〜〔0043〕及び段落〔0048〕〜〔0050〕、特開2013−007032号公報の段落〔0036〕〜〔0038〕等に記載された化合物を用いることができる。
トリアリールメタン系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッドブルー3、C.I.アシッドブルー5、C.I.アシッドブルー7、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー22、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブルー90、C.I.アシッドブルー93、C.I.アシッドブルー100、C.I.アシッドブルー103、C.I.アシッドブルー104、C.I.アシッドブルー109等のトリアリールメタン酸性染料の他、例えば、特開2001−011336号公報、特開2003−246935号公報、特開2008−304766号公報、特開2010−256598号公報、特開2011−007847号公報、特開2011−070172号公報、特開2011−227408号公報、国際公開第2011/152379号パンフレット、国際公開第2011/162217号パンフレット、特開2012−017425号公報、特開2012−037740号公報、国際公開第2012/036085号パンフレット、特開2012−073291号公報、国際公開第2012/053201号パンフレット、特開2012−083652号公報、特開2012−088615号公報、特開2012−098522号公報、特開2013−057053号公報、米国特許出願公開第2013/0141810号明細書、国際公開第2013/147099号パンフレット等に記載された化合物を挙げることができる。
アゾ系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー18、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー25、C.I.アシッドイエロー36、C.I.アシッドイエロー38、C.I.アシッドイエロー42、C.I.アシッドイエロー44、C.I.アシッドイエロー54、C.I.アシッドイエロー59、C.I.アシッドイエロー72、C.I.アシッドイエロー78、C.I.アシッドイエロー151;C.I.アシッドレッド1、C.I.アシッドレッド2、C.I.アシッドレッド3、C.I.アシッドレッド4、C.I.アシッドレッド6、C.I.アシッドレッド8、C.I.アシッドレッド10、C.I.アシッドレッド11、C.I.アシッドレッド12、C.I.アシッドレッド14、C.I.アシッドレッド18、C.I.アシッドレッド26、C.I.アシッドレッド27、C.I.アシッドレッド33、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド53、C.I.アシッドレッド57、C.I.アシッドレッド88、C.I.アシッドレッド106、C.I.アシッドレッド108、C.I.アシッドレッド111、C.I.アシッドレッド114、C.I.アシッドレッド131、C.I.アシッドレッド137、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド151、C.I.アシッドレッド154、C.I.アシッドレッド158、C.I.アシッドレッド159、C.I.アシッドレッド173、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドレッド184、C.I.アシッドレッド186、C.I.アシッドレッド215、C.I.アシッドレッド257、C.I.アシッドレッド266、C.I.アシッドレッド296、C.I.アシッドレッド337;C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドオレンジ10、C.I.アシッドオレンジ12、C.I.アシッドオレンジ19、C.I.アシッドオレンジ20、C.I.アシッドオレンジ22、C.I.アシッドオレンジ28、C.I.アシッドオレンジ30、C.I.アシッドオレンジ52、C.I.アシッドオレンジ56、C.I.アシッドオレンジ74、C.I.アシッドオレンジ127;C.I.アシッドバイオレット11、C.I.アシッドバイオレット56、C.I.アシッドバイオレット58;C.I.アシッドブルー29、C.I.アシッドブルー92、C.I.アシッドブルー102、C.I.アシッドブルー113、C.I.アシッドブルー117;C.I.アシッドブラウン2、C.I.アシッドブラウン4、C.I.アシッドブラウン13、C.I.アシッドブラウン29、C.I.アシッドブラウン248;C.I.アシッドブラック1、C.I.アシッドブラック63等のアゾ酸性染料の他、例えば、特開平04−249549号公報、特開2005−120132号公報、特開2005−298636号公報、特開2007−197538号公報、特開2010−275531号公報、特開2012−141429号公報、特開2004−325864号公報、特開2010−275533号公報、特開2010−150416号公報、特開2010−152159号公報、特開2010−170074号公報、特開2011−016974号公報、特開2011−074270号公報、特開2011−145540号公報、米国特許出願公開第2013/0164681号明細書に記載の化合物を挙げることができる。
アントラキノン系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドブルー23、C.I.アシッドブルー25、C.I.アシッドブルー27、C.I.アシッドブルー35、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドブルー41、C.I.アシッドブルー43、C.I.アシッドブルー45、C.I.アシッドブルー47、C.I.アシッドブルー49、C.I.アシッドブルー51、C.I.アシッドブルー53、C.I.アシッドブルー55、C.I.アシッドブルー56、C.I.アシッドブルー62、C.I.アシッドブルー68、C.I.アシッドブルー69、C.I.アシッドブルー78、C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドブルー81:1、C.I.アシッドブルー111、C.I.アシッドブルー112、C.I.アシッドブルー124、C.I.アシッドブルー127、C.I.アシッドブルー127:1、C.I.アシッドブルー138、C.I.アシッドブルー140、C.I.アシッドブルー150、C.I.アシッドブルー175、C.I.アシッドブルー215、C.I.アシッドブルー230、C.I.アシッドブルー277、C.I.アシッドブルー344、C.I.アシッドグリーン25等のアントラキノン酸性染料の他、例えば、特開2013−053292号公報の段落〔0049〕に記載された化合物、特開2000−129150号公報、特開2008−015530号公報の段落〔0071〕に記載された化合物、特開2013−210621号公報等に記載された化合物を挙げることができる。
フタロシアニン系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドブルー249等を挙げることができる。キノリン系発色団を有する化合物としては、C.I. アシッドイエロー3等を挙げることができる。ニトロ系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3等を挙げることができる。アジン系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドブルー59、C.I.アシッドブルー102等を挙げることができる。アクリジン系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドイエロー3、C.I.アシッドイエロー5等を挙げることができる。インジゴ系発色団を有する化合物としては、C.I.アシッドブルー74等を挙げることができる。
本開示の着色剤(A)の好ましい例としては、上記式(1A)又は式(2A)で表される化合物、及び上記式(3A)又は式(4A)で表されるカチオン性基を含む構造単位(a)を有し、かつ構造単位(a)と同一又は異なる構造単位中に重合性基を有する重合体が挙げられる。当該重合体における構造単位(a)は、好ましくは、下記式(3A−1)又は式(4A−1)で表される構造単位である。
Figure 2018024749
(式(3A−1)中、Rは、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基である。Y、Q、及びR〜Rのそれぞれは上記式(3)と同義である。Mb−は、b価のアニオン性発色団であり、aは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、bは1以上の整数である。)
Figure 2018024749
(式(4A−1)中、Rは、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基である。
、Y、X、Q及びR〜Rのそれぞれは上記式(4)と同義である。Md−は、d価のアニオン性発色団であり、cは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、dは1以上の整数である。)
<着色組成物>
本開示の着色組成物は、上記着色剤(A)と、バインダー樹脂(B)と、重合性化合物(C)(但し、上記着色剤(A)に該当するものを除く。)と、を含有する。
本開示の着色組成物は、着色剤として上記着色剤(A)のみを含有していてもよいが、着色剤(A)と共に、その他の着色剤を含んでいてもよい。その他の着色剤としては、特に限定されることなく使用することが可能であり、カラーフィルタ等の用途に応じて、色彩や材質を適宜選択して使用できる。具体的には、その他の着色剤としては、顔料、染料を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物、即ち下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド264等の赤色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン59等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80等の青色顔料;
C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー179、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー211、C.I.ピグメントイエロー215等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ38等の橙色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23等の紫色顔料。
このほか、特表2011−523433号公報の式(Ic)で表されるブロモ化ジケトピロロピロール顔料を赤色顔料として使用することもできる。また、特開2001−081348号公報、特開2010−026334号公報、特開2010−191304号公報、特開2010−237384号公報、特開2010−237569号公報、特開2011−006602号公報、特開2011−145346号公報等に記載のレーキ顔料を使用してもよい。
本開示においては、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、これらの顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用してもよい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平8−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
染料としては特に限定されるものではなく、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてダイ(Dye)に分類されている化合物の他、公知の染料を用いることができる。
このような染料としては、発色団の構造面からは、例えば、キサンテン染料、トリアリールメタン染料、シアニン染料、アントラキノン染料、アゾ染料、ジピロメテン染料、キノフタロン染料、クマリン染料、ピラゾロン染料、キノリン染料、ニトロ染料、キノンイミン染料、フタロシアニン染料、スクアリリウム染料等を挙げることができる。
また、本開示の着色組成物に、更に公知の分散剤及び分散助剤を含有させてもよい。公知の分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系分散剤、ポリエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪酸エステル系分散剤、ポリエステル系分散剤、アクリル系分散剤等が挙げられ、また分散助剤としては顔料誘導体等を挙げることができる。
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系分散剤として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー(BYK)社製)等、ウレタン系分散剤として、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエチレンイミン系分散剤として、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)等、ポリエステル系分散剤として、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880、アジスパーPB881(以上、味の素ファインテクノ(株)社製)等の他、BYK−LPN21324(ビックケミー(BYK)社製)を、それぞれ挙げることができる。
また、上記顔料誘導体としては、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。
着色剤の含有割合(但し、その他の着色剤を含む場合には、着色剤(A)とその他の着色剤との合計量)は、輝度及び耐熱性に優れた画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックス、ブラックスペーサーを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。ここで固形分とは、後述する溶媒以外の成分である。
着色組成物の調製に際し、本開示の着色剤(A)と共に顔料を使用する場合、着色剤(A)と顔料との配合割合は、着色組成物中の着色剤の全量に対して、着色剤(A)が1〜70質量%となる量とすることが好ましく、5〜60質量%となる量とすることがより好ましい。
(バインダー樹脂(B))
バインダー樹脂(B)としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」ともいう。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」ともいう。)と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」ともいう。)との共重合体を挙げることができる。バインダー樹脂は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。不飽和単量体(b1)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
また、不飽和単量体(b2)としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(重合度2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(重合度2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル;
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。なお、不飽和単量体(b2)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。なお、バインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第2007/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728号公報等に開示されている共重合体を挙げることができる。
また、例えば特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平9−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。本開示の着色組成物において、バインダー樹脂として側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を用いることにより、感度の高い着色組成物を得ることができ、また塗膜の硬化性を高めることができる点で好ましい。
バインダー樹脂につき、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。このような範囲とすることで、耐熱性及び耐溶剤性がより一層高められ、異物発生を効果的に抑制することができる。バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
本開示の着色組成物におけるバインダー樹脂の含有割合は、着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。このような範囲とすることで、耐熱性及び耐溶剤性を良好にできるだけでなく、着色組成物の保存安定性も高められるため、異物の発生を効果的に抑制することができる。
(重合性化合物(C))
本開示の着色組成物に配合される重合性化合物(C)は、2個以上の重合可能な基を有する化合物であることが好ましい。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。重合性化合物(C)としては、中でも、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。なお、重合性化合物(C)は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
重合性化合物(C)の具体例としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例として、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物〔多官能(メタ)アクリレート〕、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物〔カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート〕等を挙げることができる。これら重合性化合物(C)としては、公知の化合物を適宜選択して使用することができる。
重合性化合物(C)としては、中でも、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物〔多官能(メタ)アクリレート〕、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物の中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸との反応物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸との反応物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れ、かつ異物の発生し難い点で特に好ましい。
本開示の着色組成物中における重合性化合物(C)の含有割合は、着色剤100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、20〜700質量部がより好ましい。このような範囲とすることで、硬化性、アルカリ現像性が高められ、異物の発生を効果的に抑制することができる。
(光重合開始剤)
本開示の着色組成物には、光重合開始剤を含有させることができる。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、重合性化合物(C)の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。なお、光重合開始剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物、オニウム塩系化合物等を挙げることができる。中でも、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
本開示の着色組成物における光重合開始剤の含有量は、重合性化合物(C)100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、1〜100質量部が更に好ましい。このような範囲とすることで、異物の発生の抑制だけでなく、硬化性、被膜特性を良好にすることができる。
(溶媒)
本開示の着色組成物は、着色剤(A)、バインダー樹脂(B)、重合性化合物(C)及び任意的に配合されるその他の成分が、通常、有機溶媒に溶解又は分散された液状組成物として調製される。
上記有機溶媒としては、着色組成物の構成成分を分散又は溶解し、かつ各成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。有機溶媒としては、例えばエステル、アルコール、エーテル、ケトン、炭化水素、アミド、ラクタム等を挙げることができる。これらの有機溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル及び(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートから選択される少なくとも1種が好ましい。なお、有機溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
有機溶媒の含有割合は、特に限定されるものではないが、着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、10〜40質量%となる量がより好ましい。このような範囲とすることにより、分散性及び安定性が良好な着色剤分散液、並びに塗布性の良好な着色組成物を得ることができる。
(添加剤)
本開示の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲において、各添加剤に応じて適宜選択することができる。
本開示の着色組成物は、重合性基と反応する官能基を2個以上有する化合物(D)を更に含有していることが好ましい。こうした化合物(D)を配合することにより、得られる着色硬化膜の耐溶剤性を更に良好にできる点で好ましい。化合物(D)が有する上記官能基は、特定オニウムカチオンが有する重合性基と反応可能なものであれば特に限定されないが、中でも、チオール基であることが好ましい。
化合物(D)が多価チオール化合物である場合、その具体例としては、例えばヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールエタントリス(3−メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)等が挙げられる。なお、化合物(D)は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本開示の着色組成物における化合物(D)の配合割合は、着色組成物の固形成分の全体に対して、0.5〜20質量%とすることが好ましく、1〜10質量%とすることがより好ましい。
本開示の着色組成物は、適宜の方法により調製することができる。その調製方法としては、例えば、着色剤(A)を含む着色剤、バインダー樹脂(B)及び重合性化合物(C)を、溶媒や任意的に加えられる他の成分と共に混合することにより調製することができる。着色剤として着色剤(A)と共に顔料を用いる場合は、顔料を溶媒中、分散剤の存在下で、場合によりバインダー樹脂(B)の一部と共に、例えばビーズミル、ロールミル等を用いて粉砕しつつ、混合・分散して顔料分散液とし、次いで、この顔料分散液に、着色剤(A)、バインダー樹脂(B)及び重合性化合物(C)と、必要に応じて光重合開始剤、更に追加の溶媒や他の成分を添加し、混合することにより調製する方法が好ましい。
<着色硬化膜>
本開示の着色硬化膜は、着色剤(A)を含むものである。当該着色硬化膜は、着色剤(A)を含む着色組成物を用いて形成することができる。着色硬化膜の具体例としては、表示素子や固体撮像素子に用いられる各色画素、ブラックマトリックス、スペーサー、絶縁膜等を挙げることができる。以下、表示素子や固体撮像素子を構成するカラーフィルタに用いられる着色硬化膜及びその形成方法について説明する。
カラーフィルタを製造する第1の方法としては、次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、青色の感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、青色の画素パターン(着色硬化膜)が所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
次いで、緑色又は赤色の各感放射線性着色組成物を用い、上記と同様にして、各感放射線性着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び赤色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、各色の画素を形成する順序は上記のものに限定されない。ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
感放射線性着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法(スリット塗布法)、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。プレベークは、通常70〜110℃で1〜10分程度である。塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8μm、好ましくは1.2〜5μmである。
露光する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は、190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m2が好ましい。
アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。アルカリ現像液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
ポストベークの条件は、通常180〜280℃で10〜60分程度である。このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5μm、好ましくは1.0〜3μmである。
また、カラーフィルタを製造する第2の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、青色の熱硬化性着色組成物の液状組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光したのち、ポストベークすることにより硬化させ、青色の画素パターンを形成する。
次いで、緑色又は赤色の各熱硬化性着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び赤色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、青色、緑色及び赤色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
なお、隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の熱硬化性着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第1の方法で使用されるブラックマトリックスに比べて膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークやポストベークの方法や条件は、上記した第1の方法と同様である。
このようにして得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成する。透明導電膜を形成した後、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された感放射線性着色組成物が用いられるが、本開示の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
本開示の着色組成物は、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等のいずれの着色硬化膜の形成にも好適に用いることができる。このようにして形成された本開示の着色硬化膜を有するカラーフィルタは、輝度及び色純度が高いため、カラー液晶表示素子、固体撮像素子、カラーセンサー、有機EL表示素子、電子ペーパー等に特に有用である。なお、後述する表示素子は、本開示の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜を少なくとも1以上具備するものであればよい。
<表示素子>
本開示の表示素子は、着色剤(A)を含む着色硬化膜を具備するものである。表示素子としては、カラー液晶表示素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等が挙げられる。
本開示の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、透過型でも反射型でもよく、適宜の構造を採ることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることができる。また、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造を採ることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。なお、後者の構造を採用する場合、ブラックマトリックスやブラックスペーサーは、カラーフィルタを形成した基板側、並びにITO電極を形成した基板側のどちらに形成されていてもよい。
本開示の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子は、冷陰極蛍光管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)の他、白色LEDを光源とするバックライトユニットを具備することができる。白色LEDとしては、例えば、赤色LEDと緑色LEDと青色LEDを組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色LEDと緑色蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、青色LEDとYAG系蛍光体の混色により白色光を得る白色LED、青色LEDと橙色発光蛍光体と緑色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED、紫外線LEDと赤色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と青色発光蛍光体を組み合わせて混色により白色光を得る白色LED等を挙げることができる。
本開示の着色硬化膜を具備するカラー液晶表示素子の駆動方式は特に限定されず、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In-Plane Switching)型、VA(Vertical Alignment)型、FFS(Fringe Field Switching)、OCB(Optically Compensated Birefringence)型等の適宜の液晶モードを適用できる。
本開示の着色硬化膜を具備する有機EL表示素子は、適宜の構造をとることが可能であり、例えば、特開平11−307242号公報に開示されている構造を挙げることができる。また、本開示の着色硬化膜を具備する電子ペーパーは、例えば特開2007−41169号公報に開示されている構造を挙げることができる。
<固体撮像素子>
本開示の固体撮像素子は、本開示の着色硬化膜を具備するものである。また、本開示の固体撮像素子は適宜の構造を採ることができる。例えば、1つの実施の形態として、本開示の着色組成物を用いて、CMOS基板などの半導体基板上に、前述と同様の操作により着色画素(着色硬化膜)を形成することにより、色分離性や色再現性に優れた固体撮像素子を作製することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、本実施例において重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算値である。
<カチオン性化合物の調製>
(合成例1:カチオン性化合物1の合成)
p−スチリルジフェニルホスフィン(10mmol、2.9g)とヨードブタン(15mmol、2.8g)をアセトニトリル(30mL)中で窒素気流下にて24時間加熱還流した。減圧濃縮で溶媒を留去後、酢酸エチル(50mL)を添加して−5℃に冷却し、10時間静置した。析出した固体をろ過して少量の酢酸エチルとヘキサンで洗浄し、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物1を3.6g(7.7mmol)得た。
(合成例2:カチオン性化合物2の合成)
p−スチリルジフェニルホスフィン(24mmol、6.9g)と1,4−ジヨードブタン(10mmol、3.1g)をアセトニトリル(60mL)中で窒素気流下にて24時間加熱還流した。減圧濃縮で溶媒を留去後、酢酸エチル(50mL)を添加して−5℃に冷却し、10時間静置した。析出した固体をろ過して少量の酢酸エチルとヘキサンで洗浄し、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物2を8.0g(9.0mmol)得た。
(合成例3:カチオン性化合物3の合成)
トリブチルホスフィン(8.8g、43mmol)と4−ビニルベンジルクロリド(4.6g、30mmol)をアセトニトリル(25mL)中で窒素気流下にて24時間加熱還流した。減圧濃縮で溶媒を留去後、酢酸エチル(50mL)を添加して−5℃に冷却し、10時間静置した。析出した固体をろ過して少量の酢酸エチルとヘキサンで洗浄し、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物3を9.9g(28mmol)得た。
(合成例4:カチオン性化合物4の合成)
ヨウ化カリウム(8.6g、52mmol)、トリブチルホスフィン(9.8g、48mmol)及び文献(Tetrahedron Lett. 1998, 39, 8695.)記載の方法に従い合成した4−(3−クロロプロピル)スチレン(5.8g、32mmol)をアセトニトリル(32mL)中で窒素気流下にて24時間加熱還流した。室温まで冷却後、アセトニトリル(30mL)を添加し、不溶物をろ過で除去した。溶液をヘキサン50mLで4回洗浄し、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物4を含む溶液を得た。トリフェニルホスフィンを内部標準物質として31P−NMRにてアセトニトリル溶液中のホスホニウムイオンを定量した結果、0.63mmol/gであった。
(合成例5:カチオン性化合物5の合成)
ヨウ化カリウム(2.3g、14mmol)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン(2.1g、5mmol)及び4−(3−クロロプロピル)スチレン(2.2g、12mmol)をアセトニトリル(10mL)中で窒素気流下にて24時間加熱還流した。室温まで冷却後、不溶物をろ過で除去した。アセトニトリル(10mL)を加え、溶液をヘキサン10mLで4回洗浄し、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物5を含む溶液を得た。トリフェニルホスフィンを内部標準物質として31P−NMRにてアセトニトリル溶液中のホスホニウムイオンを定量した結果、0.75mmol/gであった。
(合成例6:カチオン性化合物Aの合成)
トリブチルホスフィン(20.2g、100mmol)と2−クロロエタノール(12.1g、150mmol)を窒素気流下にて100℃で48時間加熱撹拌した。溶液をヘキサン20mLで4回洗浄し、さらに減圧濃縮してカチオン性化合物Aを27.2g(96mmol)得た。
(合成例7:カチオン性化合物6の合成)
カチオン性化合物A(2.8g、10mmol)をアセトニトリル20mLに溶解し、炭酸カリウム2.1g(15mmol)及びtert−ブチルヒドロキノン16mgを加えた。室温で撹拌しながらメタクリル酸クロリド1.1g(11mmol)を滴下し、滴下終了後、同温で10時間撹拌した。不溶物をろ過で除去し、ろ液をヘキサン20mLで4回洗浄した。減圧濃縮で溶媒を留去し、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物6を3.3g(9.5mmol)得た。
(合成例8:カチオン性化合物7の合成)
上記合成例7においてメタクリル酸クロリドをアクリル酸クロリド1.0g(11mmol)に変更した以外は同様にして、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物7を3.1g(9.4mmol)得た。
(合成例9:カチオン性化合物8の合成)
カチオン性化合物A(2.8g、10mmol)をアセトニトリル20mLに溶解し、トリエチルアミン50mg及びtert−ブチルヒドロキノン16mgを加えた。室温で撹拌しながら2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート1.6g(10mmol)を滴下し、滴下終了後40℃で10時間撹拌した。反応液をヘキサン10mLで4回洗浄し、減圧濃縮で溶媒を留去して、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物8を4.3g(9.8mmol)得た。
(合成例10:カチオン性化合物9の合成)
上記合成例9において2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート1.4g(10mmol)に変更した以外は合成例8と同様にして、下記の化合物群αに示されるカチオン性化合物9を4.0g(9.5mmol)得た。
<化合物群α>
Figure 2018024749
(合成例11:カチオン性化合物12の合成)
トリブチルアミン(2.0g、11mmol)及び文献(Tetrahedron Lett. 1998, 39, 8695.)記載の方法に従い合成した4−(3−クロロプロピル)スチレン(1.8g, 10mmol)をアセトニトリル(15mL)中で窒素気流下にて24時間加熱還流した。室温まで冷却後、溶液をヘキサン20mLで4回洗浄し、減圧濃縮して、下記の化合物群βに示されるカチオン性化合物12を2.9g(7.9mmol)得た。
(合成例12:カチオン性化合物13の合成)
N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(3.9g、25mmol)、ジヨードブタン(3.1g、10mmol)をアセトニトリル(25mL)中、50℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却後、アセトン(100mL)へ添加し、撹拌後−5℃で10時間放置した。析出した固体をろ取し、少量のアセトンで洗浄して、下記の化合物群βに示されるカチオン性化合物13を5.0g(8.0mmol)得た。
(合成例13:カチオン性化合物14の合成)
上記合成例12において、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートをN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(3.6g、25mmol)に変更したこと以外は上記合成例12と同様にして、下記の化合物群βに示されるカチオン性化合物14を4.7g(7.9mmol)得た。
<化合物群β>
Figure 2018024749
<着色剤の合成>
(実施例1A)
攪拌子を入れた200mLのナス型フラスコに、キサンテン系酸性染料であるC.I.アシッドレッド52を5.8g(10.0mmol)、イオン交換水を35g加え、撹拌しながらオイルバスにてバス温50℃に加熱した。この溶液に対し、イオン交換水30gにカチオン性化合物1(4.7g)を溶解して得られた溶液を同温度で少しずつ添加した。全てを添加した後、同温度で1時間攪拌し、室温付近まで冷却した。析出物をろ取した後、イオン交換水で洗浄し、常温で12時間減圧乾燥することにより、赤紫色の固体を7.8g得た。得られた化合物を着色剤(A−1)とした。
(実施例2A〜26A)
実施例1Aにおいて、用いた染料及びカチオン性化合物の種類及び量を下記表1に示すように変更した以外は実施例1Aと同様の操作を行うことにより、着色剤(A−2)〜(A−26)を得た。
なお、C.I.アシッドレッド289はキサンテン系酸性染料であり、C.I.アシッドブルー7、C.I.アシッドブルー1、C.I.アシッドブルー90、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブルー93及びC.I.アシッドグリーン16はトリアリールメタン系酸性染料であり、C.I.アシッドブルー74はインジゴ系酸性染料であり、C.I.アシッドグリーン25はアントラキノン系酸性染料であり、C.I.アシッドブルー92はモノアゾ系染料である。実施例4A、5A及び17A〜26Aのカチオン性化合物の量は、上記の各合成例で得られたカチオン性化合物含有溶液の状態で配合した量を示す。
Figure 2018024749
表1中、化合物の略称は以下の意味である。
(染料)
R52;C.I.アシッドレッド52
R289;C.I.アシッドレッド289
B7;C.I.アシッドブルー7
B1;C.I.アシッドブルー1
B90;C.I.アシッドブルー90
B83;C.I.アシッドブルー83
B93;C.I.アシッドブルー93
G16;C.I.アシッドグリーン16
B74;C.I.アシッドブルー74
G25;C.I.アシッドグリーン25
B92;C.I.アシッドブルー92
(カチオン性化合物)
・カチオン性化合物10;メタクリロイルコリンクロリド(80%水溶液)、Aldrich社製
・カチオン性化合物11;アクリロイルコリンクロリド(80%水溶液)、Aldrich社製
・カチオン性化合物15;トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、東京化成工業製
・カチオン性化合物16;グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド(80%水溶液、東京化成工業製)
(実施例27A)
特開2011−148994号公報の段落[0155]〜[0162]に記載の方法に従い、下記式(Z−2)で表される化合物を合成した。
次に、下記式(Z−2)で表される化合物5.6gにN−メチル−2−ピロリドン40gを加えて溶解させた後、上記合成例4で得られたカチオン性化合物4を含む溶液(7.9g)を滴下して約2時間攪拌した。この溶液を水250gに注入し、析出物をろ過して得られた固体を減圧下50℃で乾燥し、赤橙色の化合物5.8gを得た。得られた化合物を着色剤(A−27)とした。
Figure 2018024749
(実施例28A)
特表平8−500912号公報の合成例H11を参考に、下記式(Z−3)で表される化合物を合成した。
次に、上記実施例27Aにおいて、上記式(Z−2)で表される化合物に代えて、下記式(Z−3)で表される化合物4.1gを用いた以外は上記実施例27Aと同様の操作を行うことにより、赤橙色の化合物4.9gを得た。得られた化合物を着色剤(A−28)とした。
Figure 2018024749
(実施例29A)
特開2012−212089号公報の段落[0198]〜[0202]に記載の方法に従い、下記式(Z−4)で表される化合物を合成した。
次に、上記実施例27Aにおいて、上記式(Z−2)で表される化合物に代えて、下記式(Z−4)で表される化合物4.8gを用いた以外は上記実施例27Aと同様の操作を行うことにより、赤橙色の化合物5.5gを得た。得られた化合物を着色剤(A−29)とした。
Figure 2018024749
(実施例30A)
撹拌子を入れ、滴下漏斗を取り付けた三口フラスコに、アセトニトリルを20質量部仕込み、窒素気流下で70℃に昇温した。別途用意したフラスコにメチルメタクリレートを3.4質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.8質量部、2−エチルヘキシルメタクリレートを2.8質量部、メタクリロイルコリンクロリド(80%水溶液、Aldrich社製)を5.8質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.65質量部、及びアセトニトリルを20.0質量部添加し、撹拌して均一にした溶液を作成した。この溶液を滴下漏斗へ移し、2時間かけて三口フラスコへ滴下した。滴下終了後、4時間加熱撹拌した後、減圧濃縮して溶媒を留去した。アセトニトリル50部を添加した後、体積がおよそ半分になるまで減圧濃縮した。ここへカレンズMOI(昭和電工製)を2.8部添加し、60℃で4時間反応して樹脂溶液を得た。
次いで、得られた樹脂溶液に、C.I.アシッドレッド52を12.2質量部加えた後、50℃で2時間反応させ、反応液を200部の水へ注入した。析出した固体を水で洗浄後、減圧下で乾燥し、赤色の化合物14.4質量部を得た。得られた化合物を着色剤(A−30)とした。
(実施例31A)
撹拌子を入れ、滴下漏斗を取り付けた三口フラスコに、アセトニトリルを20質量部仕込み、窒素気流下で70℃に昇温した。別途用意したフラスコにメチルメタクリレートを3.4質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを2.8質量部、2−エチルヘキシルメタクリレートを2.8質量部、上記合成例4で得られたカチオン性化合物4を含む溶液(0.63mmol/g)を30.8質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を0.65質量部、及びアセトニトリルを20.0質量部添加し、撹拌して均一にした溶液を作成した。この溶液を滴下漏斗へ移し、2時間かけて三口フラスコへ滴下した。滴下終了後、4時間加熱撹拌した後、減圧濃縮して溶媒を留去した。アセトニトリル50質量部を添加した後、体積がおよそ半分になるまで減圧濃縮した。ここへカレンズAOI(昭和電工製)を2.8質量部添加し、60℃で4時間反応して樹脂溶液を得た。
次いで、得られた樹脂溶液に、C.I.アシッドレッド52を10.1質量部加えた後、50℃で2時間反応し、反応液を200質量部の水へ注入した。析出した固体を水で洗浄後、減圧下で乾燥し、赤色の化合物18.1質量部を得た。得られた化合物を着色剤(A−31)とした。
・その他の着色剤の合成
(合成例14)
特許第4492760号公報の段落[0131]に記載の方法に従って、C.I.アシッドレッド52に由来するアニオン性発色団及びジステアリルジメチルアンモニウムを有する赤紫色の化合物を合成した。得られた化合物を着色剤(AR−1)とした。
(合成例15)
特開2013−190776号公報の段落[0180]に記載の方法に従い、C.I.アシッドレッド52に由来するアニオン性発色団及びトリブチルヘキサデシルホスホニウムを有する赤紫色の化合物を合成した。得られた化合物を着色剤(AR−2)とした。
(合成例16)
攪拌子を入れた200mLのナス型フラスコに、C.I.アシッドレッド52を2.9g、イオン交換水を29mL加え、撹拌しながらオイルバスにてバス温85℃に加熱した。この溶液に対し、イオン交換水60gにテトラブチルホスホニウムブロミド1.8gを室温で溶解して得られた溶液を同温度で少しずつ添加した。全てを添加した時点で、非水溶性の着色したオイル状物質が生成することを確認した。その後、同温度で1時間攪拌した後、アイスバスを使用して室温付近まで冷却した。上澄みをデカンテーションにて除去し、続いて残渣をイオン交換水で洗浄した。この残渣をメタノールに溶解して回収後、ロータリーエバポレーターを使用して減圧濃縮した。得られたオイル状の残渣を50℃で12時間減圧乾燥することにより、アシッドレッド52に由来するアニオン性発色団及びテトラブチルホスホニウムブロミドを有する赤紫色の固体を3.4g得た。得られた化合物を着色剤(AR−3)とした。
<着色剤溶液の調製>
(調製例1)
着色剤(A−1)10質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90質量部とを混合し、着色剤溶液(A−1)を調製した。
(調製例2〜34)
調製例1において、着色剤(A−1)に代えて着色剤(A−2)〜(A−31)、(AR−1)〜(AR−3)をそれぞれ用いた以外は調製例1と同様にして着色剤溶液(A−2)〜(A−31)、(AR−1)〜(AR−3)を調製した。
<顔料分散液の調製>
(調製例35)
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(A−35)を調製した。
(調製例36)
着色剤としてC.I.ピグメントイエロー138を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(A−36)を調製した。
(調製例37)
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254を15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)12.5質量部(固形分濃度40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート72.5質量部を用いて、ビーズミルにより処理して、顔料分散液(A−37)を調製した。
<バインダー樹脂の合成>
(合成例17)
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部、及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度33質量%)を得た。得られたバインダー樹脂(これを「バインダー樹脂(B1)」とする。)は、Mwが12,200、Mnが6,500であった。
<着色組成物の調製及び評価>
(実施例1B)
(1)着色組成物の調製
着色剤として着色剤溶液(A−1)4.1質量部及び顔料分散液(A−35)15.6質量部、バインダー樹脂としてバインダー樹脂(B1)溶液9.9質量部、架橋剤として東亞合成株式会社製M−402(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物)15.4質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、商品名IRGACURE369)1.8質量部及びNCI−930(株式会社ADEKA製)0.1質量部、界面活性剤としてメガファックF−554(DIC株式会社製)0.2質量部、並びに溶媒として乳酸エチルを混合して、固形分濃度20質量%の着色組成物を調製した。
(2)耐熱性の評価
上記(1)で調製した着色組成物を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO膜が表面に形成されたソーダガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。
次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/mの露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上にドットパターンを形成した。
得られたドットパターンについて、カラーアナライザー(大塚電子(株)製MCPD2000)を用い、C光源、2度視野にて、CIE表色系における色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定した。
次いで、上記基板を230℃で90分間追加ベークをした後に、色度座標値(x,y)及び刺激値(Y)を測定し、追加ベーク前後での色変化ΔE abを評価した。なお、ΔE ab値が小さいほど耐熱性が良好であると言える。ΔE abの値が2.0未満の場合を「良好(◎)」、2.0以上3.0未満の場合を「可(○)」、3.0以上の場合を「不良(×)」として評価した。その結果、この実施例では耐熱性「良好」の結果であった。
(3)塗膜異物の評価
上記(1)で調製した着色組成物を、上記(2)と同様にしてソーダガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介さずに、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/mの露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に200℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、評価用硬化膜を形成した。この塗膜につき、光学顕微鏡を用いて倍率50倍で観察し、視野中の確認可能な異物の数を数えた。この操作を塗膜の任意の5ヶ所で行い、確認された異物の合計から評価した。評価は、異物の合計数が5個未満の場合を「良好(◎)」、5個以上50個未満の場合を「可(○)」、50個以上の場合を「不良(△)」として行った。その結果、この実施例では「◎」の評価であった。
(4)耐溶剤性の評価
上記(1)で調製した着色組成物を、ナトリウムイオンの溶出を防止するSiO膜が表面に形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布した後、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、膜厚2.5μmの塗膜を形成した。次いで、この基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、各塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を400J/mの露光量で露光した。その後、これらの基板に対して、23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm(ノズル径1mm)で吐出することにより、90秒間シャワー現像を行った。その後、この基板を超純水で洗浄し、風乾した後、更に230℃のクリーンオーブン内で30分間ポストベークを行うことにより、基板上にドットパターンを形成した。その後、この基板を、80℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに40分間浸漬した。
浸漬前後の色度座標値(x、y)及び刺激値(Y)を測定し、浸漬前後での色変化ΔE abを評価した。なお、ΔE ab値が小さいほど耐溶剤性が良好であると言える。その結果、ΔE abの値が5.0未満の場合を「良好(○)」、5.0以上の場合を「不良(×)」として評価した。その結果、この実施例では耐溶剤性「良好」の評価であった。
(実施例2B〜34B、37B及び比較例1B〜3B)
着色剤の組成を下記表2に記載のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして着色組成物を調製した。また、得られた着色組成物について、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を下記表2に示した。
(実施例35B、36B)
着色剤の組成を下記表2に記載のとおりに変更した点、及び添加剤としてトリメチロールプロパントリスチオプロピオネート5質量部を添加した点以外は、実施例1と同様にして着色組成物を調製した。また、得られた着色組成物について、実施例1と同様にして各種評価を行った。評価結果を下記表2に示した。
Figure 2018024749
表2中、括弧内の数値は、着色組成物における各成分の配合割合(質量部)を示す。化合物の略称は以下のとおりである。
E−1:トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート
表2の結果から明らかなように、重合性基を有するオニウムカチオンと、アニオン性発色団とからなる着色剤(A)を含む着色組成物によれば、耐熱性及び耐溶剤性が良好な着色硬化膜が得られることが分かった。また、得られた着色硬化膜では異物の発生も少なかった。

Claims (13)

  1. 重合性基を有するオニウムカチオンと、アニオン性発色団とからなる着色剤。
  2. 前記重合性基を有するオニウムカチオンが、オニウムイオンとして、ホスホニウム、アンモニウム、スルホニウム、ヨードニウム又はジアゾニウムを有する、請求項1に記載の着色剤。
  3. 前記重合性基を有するオニウムカチオンは、下記式(1)又は式(2)で表されるカチオンである、請求項1又は2に記載の着色剤。
    Figure 2018024749
    (式(1)中、Yは、リン原子又は窒素原子である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜Rの少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。)
    Figure 2018024749
    (式(2)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、Xは、2価の連結基である。R〜R10は、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜R10の少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。)
  4. 前記重合性基を有するオニウムカチオンは、下記式(3)又は式(4)で表されるカチオン性基を含む構造単位(a)を有し、かつ前記構造単位(a)と同一又は異なる構造単位中に前記重合性基を有する重合体である、請求項1又は2に記載の着色剤。
    Figure 2018024749
    (式(3)中、Yは、リン原子又は窒素原子であり、Qは、2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。)
    Figure 2018024749
    (式(4)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、X及びQは、相互に独立に2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。)
  5. 前記重合性基は、重合性不飽和結合を有する基である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色剤。
  6. 前記アニオン性発色団が、キサンテン系発色団、トリアリールメタン系発色団、アゾ系発色団、アントラキノン系発色団、フタロシアニン系発色団、キノリン系発色団、ニトロ系発色団、アジン系発色団、アクリジン系発色団又はインジゴ系発色団である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色剤。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色剤(A)と、バインダー樹脂(B)と、重合性化合物(C)(但し、前記着色剤(A)に該当するものを除く。)と、を含有する着色組成物。
  8. 前記重合性基と反応する官能基を2個以上有する化合物(D)を更に含有する、請求項7に記載の着色組成物。
  9. 請求項7又は8に記載の着色組成物を用いて形成された着色硬化膜。
  10. 請求項9に記載の着色硬化膜を具備する表示素子。
  11. 請求項9に記載の着色硬化膜を具備する固体撮像素子。
  12. 下記式(1A)又は式(2A)で表される化合物。
    Figure 2018024749
    (式(1A)中、Yは、リン原子又は窒素原子である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜Rの少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。Mb−は、b価のアニオン性発色団であり、aは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、bは1以上の整数である。)
    Figure 2018024749
    (式(2A)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、Xは、2価の連結基である。R〜R10は、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。但し、R〜R10の少なくとも1つは、重合性基を有する1価の有機基である。Md−は、d価のアニオン性発色団であり、cは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、dは1以上の整数である。)
  13. 下記式(3A)又は式(4A)で表されるカチオン性基を含む構造単位(a)を有し、かつ前記構造単位(a)と同一又は異なる構造単位中に重合性基を有する重合体。
    Figure 2018024749
    (式(3A)中、Yは、リン原子又は窒素原子であり、Qは、2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。Mb−は、b価のアニオン性発色団であり、aは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、bは1以上の整数である。)
    Figure 2018024749
    (式(4A)中、Y及びYは、相互に独立にリン原子又は窒素原子であり、X及びQは、相互に独立に2価の連結基である。R〜Rは、相互に独立に水素原子又は1価の有機基であるか、又は隣接する2つが互いに結合して環を形成している。Md−は、d価のアニオン性発色団であり、cは、分子全体が電気的に中性に保たれるように選択される整数であり、dは1以上の整数である。「*」は、重合体の主鎖に結合する結合手であることを示す。)
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