JP2018023343A - 細胞培養用培地、及び細胞培養方法 - Google Patents

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功 坂井田
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太郎 高見
祐希 相部
Yuki AIBE
祐希 相部
健二 米田
Kenji Yoneda
健二 米田
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Abstract

【課題】本発明は、特定のサイトカインを含有する培地を用いることにより、多くの細胞を短時間で増殖培養することが可能な培地を提供すること目的とする。
【解決手段】本発明は、細胞を増殖培養するための培地であって、前記培地中にMIG及びI−309が含まれている、細胞培養用培地に関する。
【選択図】図3

Description

本発明は、細胞培養用培地、及び細胞培養方法に関し、特に間葉系幹細胞の培養に用いる細胞培養用培地、及び間葉系幹細胞の細胞培養方法に関する。
細胞医療の分野において、細胞を利用して人体の各組織の治療を行うことが注目を浴びている。特に幹細胞は、自己複製能と多分化能を有しており、再生医療における細胞や組織の材料として想定されている。
これらの幹細胞は、多能性幹細胞と組織幹細胞の2つに大きく分けられ、生体の様々な組織に存在する。例えば、組織幹細胞のうち間葉系幹細胞は、骨髄液、脂肪組織、胎盤組織、臍帯組織、又は歯髄等に含まれていることが知られており、造血幹細胞は主に骨髄液に含まれ、末梢血、臍帯血にも存在することが知られている。
細胞医療の分野では治療に用いる細胞を患者に投与する場合、生体から採取した後、細胞の培養を行わずに患者に投与する方法もあれば、一度生体外で培養した後に再び患者に投与する方法もある。
前者の方法を用いて、本発明者らは、これまでに、骨髄液から分離した間葉系幹細胞が肝疾患の患者の治療に有効であることを明らかにしている。具体的には、肝疾患の患者から骨髄液を採取し、そこから間葉系幹細胞を含む成分を分離、濃縮して肝再生用骨髄細胞含有製剤を得た後に、当該製剤を再度その患者に点滴投与することにより、肝疾患を改善させ、肝機能を回復させることができた(特許文献1)。
一方、各種組織に含まれる幹細胞の量は極めて少なく、例えば間葉系幹細胞は、骨髄液中における存在率が0.05%程度であり、直接臨床に使用するには骨髄液を大量に採取する必要があり、生体への負担が大きくなってしまう。そのため、生体組織から採取した幹細胞は継代培養して用いることが望ましいとされている。
なお、間葉系幹細胞の培養について、採取した骨髄液の初代培養、継代培養を行い、目的とする量まで間葉系幹細胞を増殖させることは、従来既に公知である(特許文献2)。
特開2007−89532号公報 特開2011−67175号公報
そこで本発明者らは、肝疾患の患者から骨髄液を採取し、培養することによって、目的とする量にまで間葉系幹細胞を増殖することを試みた。本発明者らは当初、採取した骨髄液から間葉系幹細胞を分離した後に、市販の培地を用いて培養を行っていたが、間葉系幹細胞を分離せずに骨髄液中の全骨髄細胞をそのまま培養したところ、驚くべきことに、増殖させたい間葉系幹細胞のみを分離、培養した場合と比較して、より短時間に多くの細胞を培養できることを知見した。
本発明者らは、さらに鋭意研究を進めたところ、全骨髄細胞を培養した培養液に含まれる種々のタンパク質のうち、特定のサイトカインが、細胞の増殖に有効であることを見出した。すなわち、特定のサイトカインを含有する培地を用いることにより、少量の細胞であってもより短時間にかつ多くの細胞を増殖させることが可能となることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.細胞を増殖培養するための培地であって、MIG及びI−309を含有する、細胞培養用培地。
2.前記細胞が間葉系幹細胞である、前記1に記載の細胞培養用培地。
3.前記間葉系幹細胞が骨髄液由来である、前記2に記載の細胞培養用培地。
4.さらにIL−8及び/又はMIP−1αを含有する、前記1〜3のいずれか1に記載の細胞培養用培地。
5.細胞を、MIG及びI−309を含有する培地で増殖培養する、細胞培養方法。
6.前記細胞が間葉系幹細胞である、前記5に記載の細胞培養方法。
7.前記間葉系幹細胞が骨髄液由来である、前記6に記載の細胞培養方法。
8.前記培地が、さらにIL−8及び/又はMIP−1αを含有する、前記5〜7のいずれか1に記載の細胞培養方法。
特定のサイトカインを含有する本発明の培地を用いることによって、少量の細胞であってもより短時間にかつ多くの細胞を増殖させることができる。特に、患者等の体内から採取した細胞を培養し、培養した細胞を再度患者の体内へ戻す治療を行うような細胞医療等の場合には、患者から採取する細胞の量を少なくすることができるので、患者の負担を軽減して治療を行うことができる。
図1は、試験例1において培養したヒト全骨髄細胞について、MTS assayの結果を示すグラフである。 図2は、実施例において培養したヒト骨髄間葉系幹細胞等の増殖曲線を示すグラフである。 図3は、実施例において培養したヒト骨髄間葉系幹細胞等について、MTS assayの結果を示すグラフである。 図4は、参考例において培養したヒト骨髄間葉系幹細胞等の増殖曲線を示すグラフである。 図5は、実施例において培養したヒト骨髄間葉系幹細胞が脂肪細胞へ分化したことを示す写真図である。
以下に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
[細胞培養用培地]
本発明は、細胞を増殖培養するための培地であって、MIG及びI−309を含有する、細胞培養用培地を提供するものである。
本発明の細胞培養用培地に用いることのできる基礎培地としては、特に限定されないが、通常細胞を増殖するに際して必須成分である、アミノ酸、ビタミン類、無機塩類などを含む。基礎培地としては、例えばイーグル基本培地(MEM)、アルファイーグル基本培地(αMEM)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ハムF−12培地などが挙げられる。
なお、本明細書における「基礎培地」とは、本発明の細胞培養用培地においてMIG及びI−309等が添加される前の培地を指し、上記のような市販の基本培地等が該当する。
本発明の細胞培養用培地は、少なくともMIG及びI−309を含有する。
MIGはタンパク質で、サイトカインの1種であり、CXCL9とも呼ばれるCXCケモカインファミリーの一つである。MIGは、インターフェロンγの刺激を受けた単球、マクロファージや内皮細胞から産生され、Th1リンパ球の走化性を示すことが知られている。また、腫瘍細胞増殖、血管新生、造血幹前駆細胞のコロニー形成を阻害するともいわれている。
I−309はタンパク質で、サイトカインの1種であり、CCL1とも呼ばれるCCケモカインファミリーの一つである。Tリンパ球、単球やマスト細胞で産生され、好中球、マクロファージ、血管平滑筋細胞を誘導し、一部の細胞の増殖を促進するといわれている。
本発明の細胞培養用培地は、培地全体に対して、好ましくはMIGを100〜1000ng/mL含有し、より好ましくは375〜500ng/mL含有する。1000ng/mLを超えると、培養コストの増加というおそれがある。
本発明の細胞培養用培地は、培地全体に対して、好ましくはI−309を50〜1000ng/mL含有し、より好ましくは100〜500ng/mL含有する。1000ng/mLを超えると、培養コストの増加というおそれがある。
また、本発明の細胞培養用培地は、MIGとI−309とを、質量比で、1:0.1〜1:1で含有することが好ましく、1:0.1含有することがより好ましい。前記範囲であることによって、より高い細胞増殖促進効果を得られる。
本発明の細胞培養用培地は、他のサイトカインとして、さらにIL−8及び/又はMIP−1αを含有していてもよい。IL−8及びMIP−1αもサイトカインの一種であるケモカインに分類され、さらにIL−8はCXCケモカインに、MIP−1αはCCケモカインに分類される。
本発明の細胞培養用培地は、上記サイトカイン以外にも、培養する細胞の種類や目的に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で任意の成分を含有していてもよい。
サイトカインとしては、例えば、MCP3、RANTES、MIP−1β、IL−6、IL−10、MCP2、CCL24、GRO、uPAR、M−CSF、NAP−2、sgp130、TIMP1、ENA−78、OPG、IGFBP2、ANG、IL−7、VEGF−A等を挙げることができる。
本発明の細胞培養用培地は、本発明の効果を損なわない範囲で、培養する細胞の種類や目的に応じて、栄養成分、血清、抗生物質等を含有してもよい。
栄養成分としては、例えば、脂肪酸等、ビタミン等を挙げることができる。
血清としては、異種血清および同種血清を用いることができる。異種血清は、細胞培養物を細胞医療等に用いる場合、そのレシピエントとは異なる種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ウシやウマに由来する血清、例えば、ウシ胎仔血清(FBS、FCS)、仔ウシ血清(CS)、ウマ血清(HS)などが異種血清に該当する。また、「同種血清」は、レシピエントと同一の種の生物に由来する血清を意味する。例えば、レシピエントがヒトである場合、ヒト血清が同種血清に該当する。同種血清は、自己血清(自家血清ともいう)、すなわち、レシピエントに由来する血清、およびレシピエント以外の同種個体に由来する同種他家血清を含む。
抗生物質としては、例えば、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン等が挙げられる。
本発明の培地で培養する細胞の動物種は特に制限されず、該細胞を使用する用途に応じて、例えば、ヒト、ラット、マウス、ブタ等を使用できる。
本発明の培地で培養する細胞の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、外胚葉系細胞、中胚葉系細胞、内胚葉系細胞、受精卵からこれらの細胞へ分化する過程に含まれる細胞、胚性幹細胞および体性幹細胞等を挙げることができる。
外胚葉系細胞としては、例えば、ニューロン細胞、アストロサイト細胞、オリゴデンドロサイト細胞およびこれらの幹細胞である神経幹細胞等を挙げることができる。
中胚葉系細胞としては、例えば、血管細胞、造血系細胞、間葉系細胞およびこれらの幹細胞等を挙げることができる。
造血系細胞としては、例えば、造血幹細胞、造血前駆細胞、赤血球細胞、リンパ球細胞、顆粒球細胞および血小板細胞等を挙げることができる。
間葉系細胞としては、例えば、骨細胞、軟骨細胞、筋細胞、心筋細胞、腱細胞、脂肪細胞、毛乳頭細胞、歯髄細胞およびこれらの幹細胞である間葉系幹細胞等を挙げることができる。間葉系幹細胞としては、例えば、骨髄液、脂肪組織、胎盤組織、臍帯組織、又は歯髄等に含まれるものを使用でき、好ましくは骨髄液由来の間葉系幹細胞である。
内胚葉系細胞としては、例えば、肝細胞、膵外分泌細胞、膵内分泌細胞、胆のう細胞およびこれらの幹細胞等を挙げることができる。
本発明の培地を用いて再生医療や細胞療法等に用いる細胞を培養する場合、細胞として好ましくは、幹細胞、より好ましくは間葉系幹細胞が挙げられる。間葉系幹細胞は、例えば、骨髄液由来、脂肪組織由来、又は臍帯血由来等のいずれの組織由来であってもよいが、本発明の効果の観点や、より多くの細胞を採取できるという観点から、好ましくは骨髄液由来の間葉系幹細胞である。
[細胞培養方法]
本発明は、細胞をMIG及びI−309が含まれた培地で増殖培養する、細胞培養方法を提供するものである。
本発明の細胞培養方法は、MIG及びI−309を含有する培地、すなわち上述した本発明の培地を用いて行う。
以下、本発明の細胞培養方法において、培養する細胞を間葉系幹細胞として説明をするが、本発明の細胞培養方法は間葉系幹細胞に限定されるものではない。細胞の培養条件等は、細胞の種類等によって適宜好ましい条件を採用できる。
間葉系幹細胞の入手方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス等の固体から単離することにより入手する方法、すでにクローン化された各細胞を、各種機関から入手する方法などが挙げられる。
また、本発明の培地を用いて、細胞を培養し、種々の疾患患者の体内へ戻す治療を行う場合は、該患者の体内から採取した細胞を用いることが好ましい。例えば、肝疾患の患者の治療を行うために、間葉系幹細胞を当該患者に投与する場合は、当該患者の骨髄液の間葉系幹細胞を含む対象液を少量採取して、本発明の培地で培養し、細胞の増殖を行うことが好ましい。
まず、患者から骨髄液を少量(10〜100mL)採取する。次にその骨髄液から間葉系幹細胞を分離する。骨髄液から間葉系幹細胞を分離する方法は、従来知られた種々の方法を採用できる。具体的には、例えば、骨髄液を分注したチューブにPBS(リン酸緩衝生理食塩水)、HES(赤血球沈降剤)等を使用して赤血球を沈降させる。その後上澄みを抽出し、遠心分離することにより間葉系幹細胞を含む対象液を分離することができる。これらの操作は無菌環境に維持されたアイソレータ内や安全キャビネット内で行われる。さらに、対象液を、培地を入れたフラスコ等に播種し、接着した細胞のみを継代・培養していくという方法を用いることができる。
間葉系幹細胞を培養する場合は、インキュベータにより例えば、温度37℃、5%COの条件下で培養する。培養時間に関しては、コンフルエント状態になる前に継代することが好ましい。間葉系幹細胞の継代数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の細胞培養方法により得られる細胞培養液、または該細胞培養液から細胞のみを分離して得られる細胞画分は、例えば、細胞の種類によって種々の細胞医療等に用いることができる。例えば間葉系幹細胞の場合、上述したように肝疾患の患者の治療に用いることができる。
[試験例1]サイトカインの同定(1)
試験例1では、ヒト全骨髄細胞を培養した培養液に含まれるサイトカインの種類を同定すべく、以下のようにヒト全骨髄細胞の培養を行い、得られた培養液の上清に対しサイトカインアレイ分析を行った。
〈ヒト全骨髄細胞の培養〉
非接着細胞である血球系の細胞と接着細胞である間葉系幹細胞を含むヒト全骨髄細胞の培養を行うため、非接着細胞と接着細胞を同時に培養することのできる培養皿Aを使用した。培養皿Aとしてはナノサイズの高分子ポリマーとクレイで培養皿表面をコーティングしたものを使用した。このように培養皿をコーティングすることにより、培養面の細胞接着力が増加する等により、通常の培養皿では接着しない細胞も接着するため、血球系の細胞と間葉系幹細胞を同時に培養することができる。この培養皿Aにダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ウシ胎仔血清、ゲンタマイシンを添加した培地(以下、培地Aと表記する)を用いて、ヒト全骨髄細胞(Lonza社製 BMSC、2M−125D)を温度37℃、5%COの条件下で培養を行った。
また、コントロールとして、上記コーティングを行っていない培養皿(IWAKIティッシュカルチャディッシュ3000−035:培養皿B)にダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、ウシ胎仔血清、ゲンタマイシンを添加したもの(以下、培地Bと表記する)を使用して、上記と同条件にてヒト全骨髄細胞の培養を行った。
〈培養上清を用いた細胞の培養〉
上記ヒト全骨髄細胞を培養した培地Aについて、2000Gで20分間の遠心分離を行い、培養上清を回収した(以下、上清Aと表記する)。コントロール培地である培地Bについても同様の操作を行い、培養上清を回収した(以下、上清Bと表記する)。
ヒト全骨髄細胞(P2:第2継代細胞、Lonza社製、2M−125D)を24well−plate(n=10each)、5×10細胞/wellの密度で播種し、そこへ上清Aと上清Bを、それぞれ異なるwellに添加し、5%CO、37℃で4日間培養を行った後、MTS assayを行った。MTS assayは、各Wellの培地除去後、CellTiter 96 AQueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega社)と基礎培地を質量比で、1:5で調整した試薬を各Wellに500ulずつ加え、5%CO、37℃で40分インキュベートし、490nmの吸光度をInfinite M200(TECAN社)を用いて測定することにより行った。その結果を図1に示す。図1の結果からわかるように、上清Aを添加して培養した細胞の方が、上清Bを添加して培養した細胞と比較して、細胞増殖性が高かった。
〈サイトカインアレイ分析〉
上記上清A及び上清Bについて、RayBio Human Cytokine Antibody Array G Series 1000によりサイトカインアレイ分析を行った。その結果、細胞の増殖促進効果の高かった上清Aには、上清Bと比較して、表1に示す19種類のサイトカインが高濃度に含まれることが分かった。
[試験例2]サイトカインの同定(2)
試験例2では、試験例1で同定した19種類のサイトカインのうち、細胞の増殖促進効果を有するサイトカインを同定する試験を行った。
〈培地の作製〉
DMEM+Gentamycin+10%FBS培地(基礎培地)を作製した。この基礎培地は下記表2に示す処方で作製した。
上記基礎培地に、試験例1で高濃度が観察された全19種類のサイトカインを下記表3の処方で添加した「サイトカイン添加培地1」を作製し、実施例1の培地とした。
また、上記基礎培地に、全19種類のサイトカインのうち4種類のサイトカインを下記表4の処方で添加した「サイトカイン添加培地2」を作製し、実施例2の培地とした。
また、上記基礎培地に、全19種類のサイトカインのうち2種類のサイトカインを下記表5の処方で添加した「サイトカイン添加培地3」を作製し、実施例3の培地とした。
〈細胞の培養〉
ヒト骨髄間葉系幹細胞(P4:第4継代細胞、Lonza社製、PT−2501)を48well−plate(n=3each)、6×10細胞/wellの密度で播種した。初日は、サイトカインを添加しない上記基礎培地で、5%CO、37℃で培養し、2日目よりサイトカイン添加培地1〜3それぞれに培地交換した。またコントロール群に関しては、初日同様のサイトカインを添加しない基礎培地に培地交換を行った。培地交換をして、5%CO、37℃の条件下で培養を行い、Incucyte(登録商標)ZOOM生細胞イメージングシステム(Essen BioScience社製)を用いて、各wellの底面積に占める細胞の割合を経時的に算出し、5日間培養後ヒト骨髄間葉系幹細胞の増殖曲線をそれぞれ作製した。結果を図2に示す。
また、培養後のサイトカイン添加培地1(実施例1)、サイトカイン添加培地3(実施例3)、及びコントロール培地(基礎培地)についてMTS assayを行った。MTS assayは、試験例1と同様にして測定を行った。この結果を図3に示す。
この結果、MIGとI−309を添加したサイトカイン添加培地3は、全19種類のサイトカインを添加したサイトカイン添加培地1と同等のヒト骨髄間葉系幹細胞の増殖促進効果が見られた。
また、MIGとI−309に加え、IL−8とMIP−1αを添加したサイトカイン添加培地2においても、全19種類のサイトカインを添加したものと同等の増殖促進効果が見られた。
[試験例3]
試験例2の実施例1の培地において、MIGとI−309の添加量を0としたことを除いては実施例1と同様に培地を作成し、これを参考例1の培地とした。すなわち、全19種類のサイトカインからMIGとI−309の2種類のサイトカインを除いた17種類のサイトカインを基礎培地に添加した参考例1の培地を作製した。そして、参考例1の培地を用いて試験例2と同様にヒト骨髄間葉系幹細胞の培養を行い、増殖曲線を作製した。また試験例2と同様に、全19種類のサイトカインを添加した培地(実施例1の培地)と、サイトカインを添加しない培地(コントロール培地)についても同様に試験を行った。結果を図4に示す。
この結果、全19種類のサイトカインから、MIGとI−309を除いた17種類のサイトカインを添加した培地では、全19種類のサイトカインを添加した培地と比較して、増殖促進効果が有意に減少した。このことから、MIGとI−309には細胞の増殖促進効果があることが確認できた。
[試験例4]分化能の確認
実施例3のサイトカイン添加培地3を用いて、ヒト骨髄間葉系幹細胞(P3:第3継代細胞、Lonza社製、PT−2501)を5%CO、37℃でコンフルエントになるまで培養した。その後培地を、下記表6処方の脂肪細胞の分化誘導培地に交換し、継続して細胞の培養を行った。培養開始から13日後に培養された細胞をOil Red O染色し、ヒト骨髄間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化能を評価した。Oil Red O染色の結果を図5に示す。
図5に示すように、培地中に脂肪細胞が観察されたことにより、ヒト骨髄間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化能が確認できた。すなわち、MIGとI−309を添加したサイトカイン添加培地3を用いて、ヒト骨髄間葉系幹細胞を培養することによって、分化能を有するヒト骨髄間葉系幹細胞を増殖培養することができることが確認できた。

Claims (8)

  1. 細胞を増殖培養するための培地であって、MIG及びI−309を含有する、細胞培養用培地。
  2. 前記細胞が間葉系幹細胞である、請求項1に記載の細胞培養用培地。
  3. 前記間葉系幹細胞が骨髄液由来である、請求項2に記載の細胞培養用培地。
  4. さらにIL−8及び/又はMIP−1αを含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の細胞培養用培地。
  5. 細胞を、MIG及びI−309を含有する培地で増殖培養する、細胞培養方法。
  6. 前記細胞が間葉系幹細胞である、請求項5に記載の細胞培養方法。
  7. 前記間葉系幹細胞が骨髄液由来である、請求項6に記載の細胞培養方法。
  8. 前記培地が、さらにIL−8及び/又はMIP−1αを含有する、請求項5〜7のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
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