JP2018023325A - 培養方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】培養装置を大型化させることなく処理液の流路の無菌化を実現できる培養方法を提供する。【解決手段】培養方法は、細胞の培養に用いられる第1の処理液9を、流路22を介してフラスコ5に供給する第1供給工程と、細胞の培養に用いられ、第1の処理液9とは異なる第2の処理液9を、流路22を介してフラスコ5に供給する第2供給工程と、を備え、第1供給工程と第2供給工程との間に流路22を交換する。【選択図】図2

Description

本発明は、フラスコ内で細胞を培養するための培養方法に関する。
近年、拡張型心筋症等の心疾患を治療するための新たな方法として、筋芽細胞シートを用いた治療方法が医薬品医療機器等法で承認された。筋芽細胞シートは、患者自身の大腿部等から採取した筋肉組織に含まれる筋芽細胞を培養して作製される。この筋芽細胞シートを疾患の心臓に貼り付けると、筋芽細胞シートから心臓にサイトカイン等の治療促進物質が供給され、この治療促進物質の作用により、心臓の治癒機能を高めることができる。このとき、筋芽細胞シートは患者自身の細胞(自家細胞)から作製されていることから、心臓に貼り付けても拒絶反応を起こすことがないという点でも優れた治療方法であるといえる。
一般に、動物細胞のほとんどは、培養容器内の培養液中で静置培養すると培養容器の内壁面に接着する。このような接着性を有する細胞を接着性細胞と呼ぶ。この接着性細胞から、上述の細胞シートを作製するためには大量の細胞が必要となる。そのため、細胞シートは、一例として、以下のようにして作製される。まず、患者から目的の細胞を含む組織を採取する。次に、細胞の培養を行うセルプロセッシングセンター(CPC)において、その組織を前処理して、目的の細胞を得た後、この細胞の培養を行う。培養された細胞は、細胞シート形成までは凍結状態で保存し、必要に応じて輸送をする。細胞シートを形成する際には、細胞を融解し、所定の培養容器(例えば細胞培養用フラスコや温度応答性培養容器など)で培養する。次いで、培養容器の底部に接着した細胞を所定の手段(例えば低温化や酵素法)で剥離することにより細胞シートが作製される。その後、作製された細胞シートは、患者の患部に貼り付けられる。
ここで、接着性細胞の培養は以下のようにして行われる。なお、大量に細胞が必要な場合はフラスコを使用することが多い。まず、接着性培養容器となるフラスコに接着性細胞を含んだ細胞液及び培養液(培地)を注入し、接着性細胞が培養液中に均一に分散するよう均一化処理を行う(播種操作)。その後、所定の温度及び二酸化炭素濃度の環境において培養する。このとき、培養された接着性細胞はフラスコ内で沈殿し、フラスコの内面に接着する。培養中には、培養液中の老廃物を除去し新たな栄養分を導入するため、所定の日数(例えば3日)ごとに培養液の交換が行われる(培地交換操作)。この培地交換操作は、まず、フラスコを傾けて培養液をフラスコから排出するデカンテーションや、ピペット等を用いた吸引により、フラスコ内から培養液を除去する。その後、フラスコ内に新たな培養液を注入する。その後、再度所定の温度及び二酸化炭素濃度の環境において培養する。上記の操作を繰り返すことにより、接着性細胞が培養される。ここで、細胞が増殖しすぎて細胞の濃度が密になると、細胞の形状、形態、性能の変化や、変異が起こり、細胞の正常性が低下することがある。したがって、接着性細胞を定期的に顕微鏡で観察し、接着性細胞の濃度が密になっていれば、継代培養を行う。
継代培養では、まず、デカンテーション又は吸引により、フラスコ内から培養液を除去する。次に、洗浄液をフラスコ内に注入し均一化処理を行い、その後、デカンテーション又は吸引により、フラスコから洗浄液を除去する(洗浄操作)。この洗浄操作は、必要に応じて複数回繰り返される。その後、剥離液をフラスコ内に注入し、所定の温度で所定の時間保持することで、剥離液に含まれる酵素の反応によりフラスコの内面に接着していた接着性細胞が剥離される(剥離操作)。その後、フラスコ内に反応停止液を注入して剥離液の酵素の反応を停止し、培養された細胞を回収する(回収操作)。回収された細胞は、その濃度が調整されて、培養液とともにフラスコに注入され、さらに培養される。
以上で説明した接着性細胞の培養における各操作は、全て作業者の手により行われていることから、各操作に時間がかかるという問題がある。操作の種類や操作すべきフラスコの数にもよるが、一つの操作を行うために数時間から半日程度を要することもある。この場合、最初に操作が行われたフラスコと最後に操作が行われたフラスコとでは、当該操作前及び操作後の工程の経過時間に数時間から半日程度の差が生じることになり、各フラスコ間での培養条件を同一にすることができなくなる。この場合、各フラスコで培養された接着性細胞の間に、形状、形態、性能等において差が生じてしまう虞がある。また、各操作に時間がかかると、作業者の人件費がかかり接着性細胞シートの製造コストが上昇するという問題もある。さらに、各操作が作業者の手で行われる場合、何らかのヒューマンエラーが生じる可能性が排除できない。
ところで、細胞の培養のための操作の一部を、装置を用いて自動で行うことが提案されている。特許文献1は、ターンテーブル上でシャーレを移動させる機能、溶液注入機能、吸引方式での排液機能、剥離機能、インキュベータ機能、制御機能を有し、細胞の継代を逐次自動で行う装置を開示している。特許文献2は、インキュベータ内に上下一組の円板を水平に配置し、下側の円板に細胞と培養液を入れたシャーレを保持し、上側円板に上蓋を保持した培養装置を開示している。この装置では、シャーレを、上蓋がかぶせられた状態と、上蓋をずらされてシャーレ内が一部露出した状態と、にすることができ、シャーレ内に培養液交換手段を挿入して培養液を交換して細胞培養を継続することができるようになっている。
特公平3−57744号公報 特許第5648765号公報
細胞の培養に用いられる装置においては、培養されるべき細胞に細菌や他の種類の細胞が混入することを防止するために、細胞の培養に用いられる各種処理液を供給するための流路を無菌化しておくことが必要である。そして、特許文献1、特許文献2に開示された装置では、細胞の培養に用いられる各種処理液の供給の流路の無菌化手段については開示されていない。一般に、無菌化は、蒸気滅菌、薬剤滅菌、ガンマ線滅菌、ガス滅菌等の方法により行われる。これらの方法により滅菌を行う場合、蒸気発生装置、薬剤供給装置、ガンマ線照射装置、ガス発生装置等の大掛かりな装置が必要である。したがって、細胞の培養装置に滅菌装置を付加しようとすると、培養装置そのものが大型化及び複雑化する課題がある。また、これにともなって、培養装置のコストも上昇する。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、培養装置を大型化させることなく処理液の流路の無菌化を実現できる細胞の培養方法を提供することを目的とする。
本発明による培養方法は、
フラスコ内で細胞を培養する培養方法であって、
前記細胞の培養に用いられる第1の処理液を、流路を介して前記フラスコに供給する第1供給工程と、
前記細胞の培養に用いられ、前記第1の処理液とは異なる第2の処理液を、流路を介して前記フラスコに供給する第2供給工程と、を備え、
前記第1供給工程と前記第2供給工程との間に前記流路を交換する。
本発明による培養方法は、
フラスコ内で細胞を培養する培養方法であって、
前記細胞の培養に用いられる処理液を、流路を介して前記フラスコに供給する供給工程を備え、
前記細胞の培養の終了後に前記流路を交換する。
本発明によれば、培養装置を大型化させることなく処理液の流路の無菌化を実現できる培養方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、クリーンベンチ又は安全キャビネット内に配置された培養装置を示す斜視図である。 図2は、フラスコ及び各処理液源が組み込まれた状態で培養装置を示す図である。 図3Aは、培養装置におけるフラスコの向きの変更動作を説明するための図である。 図3Bは、培養装置におけるフラスコの向きの変更動作を説明するための図である。 図3Cは、培養装置におけるフラスコの向きの変更動作を説明するための図である。 図4は、培養装置における均一化処理動作を説明するための図である。 図5は、培養装置におけるデカンテーション動作を説明するための図である。 図6は、培養装置の一変形例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図6は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は、クリーンベンチ又は安全キャビネット内に配置された培養装置を示す図であり、図2は、フラスコ及び各処理液源が組み込まれた状態で培養装置を示す図である。
培養装置10は、フラスコ5内で動物(例えばヒト)の細胞を培養するための装置である。培養装置10は、一例として、ヒトの接着性細胞を培養するために用いることができる。本実施の形態の培養装置10は、フラスコ5へのキャップの着脱、接着性細胞の培養に用いられる各種の処理液9のフラスコ内への注入、処理液9をフラスコ5内で均一に分散させる均一化処理、処理液9をフラスコから排出するデカンテーション処理を、図示しない制御部により制御することができるように構成されている。これにより、接着性細胞の培養のための操作の一部を、培養装置10により自動で行うことができる。
フラスコ5は、その内部に接着性細胞及び処理液9を収容可能に構成されている。図2に示された例では、フラスコ5は、例えば、透明なプラスチックやガラス等で形成されており、全体として扁平形状を有した容器である。フラスコ5の内面には、コロナ処理、プラズマ処理等の親水性を向上させる処理を行っておくことが好ましい。フラスコ5は、開口部6を有しており、この開口部6を介して、細胞液や処理液9を注入及び排出することができる。フラスコ5の開口部6はキャップにより閉塞可能に構成されている。とりわけ、本実施の形態のフラスコ5では、開口部6は、スクリューキャップにより閉塞可能となるように、その外周面に図示しないネジ部が形成されている。そして、スクリューキャップの内周面に設けられたネジが、開口部6の外周面に設けられたネジと螺合することにより、スクリューキャップがフラスコ5の開口部6を閉塞する。なお、フラスコ5の開口部6を閉塞するキャップは、スクリューキャップに限られず、他の適宜のキャップを用いることもできる。
本実施の形態の培養装置10は、クリーンベンチ又は安全キャビネット1内に配置されて使用される。クリーンベンチ又は安全キャビネット1は、当該クリーンベンチ又は安全キャビネット1内に外部の塵埃、細菌、ウィルス等が侵入すること(コンタミネーション)を防止し、また、当該クリーンベンチ又は安全キャビネット1内で保管、操作される細菌、ウィルス等が外部に流出すること(バイオハザード)を防止する箱状の設備である。クリーンベンチ又は安全キャビネット1は、当該クリーンベンチ又は安全キャビネット1内の雰囲気(例えば空気)を所定の清浄度に維持する機能を有する。このため、クリーンベンチ又は安全キャビネット1には、清浄化された雰囲気を導入するための雰囲気導入口が設けられ、雰囲気導入口には、導入される雰囲気を清浄化するためのフィルターが設けられている。フィルターとしては、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルターや、UPLA(Ultra Low Penetration Air)フィルター等を用いることができる。クリーンベンチ又は安全キャビネット1には、ガラス板等の透明板で形成された閉鎖部材3が設けられている。クリーンベンチ又は安全キャビネット1内の装置等を操作する場合には、この閉鎖部材3を上方にスライドさせ、これにより形成された隙間から作業者がクリーンベンチ又は安全キャビネット1内に手を挿入して操作を行う。
図2に示された例では、培養装置10は、フラスコ5を保持する保持装置12と、接着性細胞の培養に用いられる処理液9を保持した処理液源8から処理液9を計量してフラスコ5に供給する分注機構20と、を備えている。また、図示された例では、培養装置10は、フラスコ5の開口部6に対するキャップの開閉を行うキャップ開閉装置14も有している。
図示された例において、処理液源8は、接着性細胞の培養に用いられる処理液9を保持する容器である。一例として、処理液源8は、処理液9が収容されたボトルである。処理液9としては、例えば、接着性細胞が成長するための栄養分を含んだ培養液(培地)、継代培養を行う際に培養液の成分を除去するための洗浄液、フラスコ5の底面に接着した細胞を当該底面から剥離するための酵素を含んだ剥離液、剥離液に含まれる酵素の反応を停止させる反応停止液等を挙げることができる。図2に示された例では、培養装置10は、二つの処理液源8を組み込むことができるように構成されている。後述するように、本実施の形態の培養装置10において、一つの工程で使用される処理液9は最大で2種類である。したがって、培養装置10に、2つの処理液源8を組み込むことができるように構成することで、各工程において必要とされる処理液9を使用可能にしつつ、培養装置10を小型化及び簡略化することができる。なお、これに限られず、培養装置10は、三つ以上の処理液源8を組み込み可能に構成されていてもよい。また、培養装置10は、処理液源8内の処理液9の残量を検知するセンサを有していてもよい。例えば、処理液源8が透明なボトルである場合、光電管を用いた液面センサを設けておき、この液面センサを用いて処理液源8内の処理液9の残量が少なくなったことを検知するようにしてもよい。
保持装置12は、フラスコ5を、その向きを可変に保持する機能を有している。そのため、保持装置12は、フラスコ5を、少なくとも直交する2軸の周りにそれぞれ回転することができる図示しない駆動装置を有している。保持装置12は、フラスコ5の向きを変化させることにより、少なくとも、後述する均一化処理及びデカンテーション処理を行うことができるように構成されている。なお、フラスコ5の具体的な向きの変更操作については後述する。
分注機構20は、接着性細胞の培養に用いられる処理液9を保持した処理液源8から処理液9を計量してフラスコ5に供給する機構である。そのため、分注機構20は、処理液源8からフラスコ5まで延びる流路22と、処理液9を計量する計量装置24と、を有している。上述のように、図2に示された例では、培養装置10は、二つの処理液源8を組み込むことができるように構成されている。そのため、図示された培養装置10は、各処理液源8に対応して、第1の分注機構201と第2の分注機構202とを有している。また、第1の分注機構201は、第1の流路221及び第1の計量装置241を有し、第2の分注機構202は、第2の流路222及び第2の計量装置242を有している。図示された例では、第1の分注機構201と第2の分注機構202とは同一に構成されている。したがって、以下の説明では、特に断りがない限り、分注機構20として説明した内容は、第1の分注機構201及び第2の分注機構202のいずれにも当てはまるものとし、流路22として説明した内容は、第1の流路221及び第2の流路222のいずれにも当てはまるものとし、計量装置24として説明した内容は、第1の計量装置241及び第2の計量装置242のいずれにも当てはまるものとする。
流路22は、処理液源8からフラスコ5へ延びるチューブ状の部材であり、当該流路内を通って処理液9が流れることができる。本実施の形態の流路22は、分岐点23で分岐するように構成されており、処理液源8及び分岐点23の間に配置された第1部分22aと、分岐点23及びフラスコ5の間に配置された第2部分22bと、分岐点23及び計量装置24の間に配置された第3部分22cと、有している。言い換えると、処理液源8及び分岐点23の間に配置された第1部分22aと、分岐点23及びフラスコ5の間に配置された第2部分22bと、分岐点23及び計量装置24の間に配置された第3部分22cと、が分岐点23で接続されることにより、第1部分22a、第2部分22b及び第3部分22cを含む流路22が形成されている。また、流路22の第1部分22a、第2部分22b及び第3部分22cは、分岐点23で互いに連通している。流路22は、例えば、樹脂やゴム等の材料で形成されている。一例として、使い捨て可能な流路22の材料として、ガス滅菌、放射線滅菌等が可能な樹脂製材料を用いることができる。
本実施の形態の流路22は、使用後に廃棄される使い捨てとされている。言い換えると、流路22は、使用後に洗浄、滅菌等が行われて再使用されることがない。一例として、流路22は、製造段階で滅菌されパッケージ内に密封された状態で供給され、このパッケージを開封して流路22を培養装置10に組み込む。培養装置10において、フラスコ5内で培養される接着性細胞の種類が変わるごとに、及び/又は、処理液9の種類が変わるごとに、流路22は培養装置10から取り外され廃棄される。すなわち、流路22は使い捨てられる。その後、新たな流路22がパッケージから取り出され、培養装置10に組み込まれる。これにより、培養装置10の流路22が交換される。なお、フラスコ5内で培養される接着性細胞の種類が変わることは、一つの接着性細胞の培養が終了することでもある。したがって、フラスコ5内で培養される接着性細胞の種類が変わるごとに流路が交換されることは、接着性細胞の培養の終了後に流路22を交換することをも意味する。
流路を、フラスコ内で培養される細胞の種類が変わるごとに、及び/又は、処理液の種類が変わるごとに、蒸気滅菌、薬剤滅菌、ガンマ線滅菌、ガス滅菌等の公知の方法により滅菌し再使用するものとすると、培養装置は、蒸気発生装置、薬剤供給装置、ガンマ線照射装置、ガス発生装置等の大掛かりな滅菌装置を備える必要がある。これにより培養装置が大型化及び複雑化する。これに対して、本実施の形態の培養装置10では、処理液9の流路22として、使い捨ての無菌化された流路22を用いることにより、使用後に流路22を滅菌する必要がないので、培養装置10から大掛かりな滅菌装置を省くことができる。したがって、簡単な構成により処理液9の流路22を無菌化することができる。これにより、培養装置10を小型化、簡略化することができる。また、このことは、培養装置10のコストダウンにも貢献する。
なお、接着性細胞の種類が変わるとは、細胞を採取された持ち主の患者が変わるとき、細胞を採取した部位が変わるとき、及び、培養装置10で新たに接着性細胞の培養を始めるとき、を含む。
計量装置24は、流路22を介して処理液源8からフラスコ5へ供給される処理液9を計量する装置である。図2に示された例では、計量装置24は、シリンジ25と、シリンジ25内にシリンジ25に対して摺動可能に挿入されるピストン26と、を有している。シリンジ25は、先端側開口25a及び後端側開口25bを有している。シリンジ25の先端側開口25aは、流路22の第3部分22cに接続されて第3部分22cと連通している。また、ピストン26は、シリンジ25の後端側開口25bを介してシリンジ25内に挿入される。図示された例では、シリンジ25の内面とピストン26により、処理液9を計量するシリンジ室27が画成される。また、計量装置24は、ピストン26をシリンジ25に対して摺動移動させる図示しない駆動装置を有している。
図2に示された例では、計量装置24のシリンジ25及びピストン26は、いずれも使い捨てとされている。言い換えると、シリンジ25及びピストン26は、使用後に洗浄、滅菌等が行われて再使用されることがない。一例として、シリンジ25及びピストン26は、製造段階で滅菌されパッケージ内に密封された状態で供給され、このパッケージを開封してシリンジ25及びピストン26を培養装置10に組み込む。培養装置10において、フラスコ5内で培養される細胞の種類が変わるごとに、及び/又は、処理液9の種類が変わるごとに、シリンジ25及びピストン26は培養装置10から取り外され廃棄される。すなわち、シリンジ25及びピストン26は使い捨てられる。その後、新たなシリンジ25及びピストン26がパッケージから取り出され、培養装置10に組み込まれる。これにより、培養装置10のシリンジ25及びピストン26が交換される。とりわけ図示された例では、シリンジ25及びピストン26は、流路22とともに使い捨てられる。すなわち、シリンジ25及びピストン26は、流路22が使い捨てられるタイミングで、流路22とともに使い捨てられる。
図2に示された分注機構20は、流路22の第1部分22aの途中で第1部分22aを閉塞可能な第1ピンチバルブ28aと、第2部分22bの途中で第2部分22bを閉塞可能な第2ピンチバルブ28bと、を有している。ピンチバルブ28a,28bは、閉じた状態において流路22の部分22a,22bを閉塞し、開いた状態において流路22の部分22a,22bを開放する。
このような分注機構20を用いて処理液源8から処理液9を計量してフラスコ5へ供給するには、まず、計量装置24の駆動装置によりピストン26をシリンジ25内に押し込んでシリンジ室27の容積を最小にし、第1ピンチバルブ28aが開いた状態で第2ピンチバルブ28bを閉じて流路22の第2部分22bを閉塞する。次に、計量装置24の駆動装置によりピストン26をシリンジ25内で所定量分引き出すと、流路22の第1部分22a及び第3部分22cを介して、処理液源8からシリンジ室27内へ所定量の処理液9が流入する。次に、第1ピンチバルブ28aを閉じて流路22の第1部分22aを閉塞し、第2ピンチバルブ28bを開いて流路22の第2部分22bを開放する。その後、計量装置24の駆動装置によりピストン26をシリンジ室27の容積が最小になるまでシリンジ25内に押し込むと、流路22の第3部分22c及び第2部分22bを介して、シリンジ室27からフラスコ5内へ所定量の処理液9を注入することができる。
キャップ開閉装置14は、フラスコ5の開口部6に対するキャップの開閉を行うものである。図2に示された例では、キャップはスクリューキャップとして構成されており、スクリューキャップの内周面に設けられたネジが、開口部6の外周面に設けられたネジと螺合することにより、スクリューキャップがフラスコ5の開口部6を閉塞する。このため、図示された例では、キャップ開閉装置14は、キャップを把持し、当該キャップを開方向及び閉方向のいずれにも回転させることができるように構成されている。また、キャップ開閉装置14は、フラスコ5からキャップを取外した後に退避できるよう、上下方向に移動可能に構成されている。
次に、上述した培養装置10を用いた細胞の培養方法について説明する。
(播種工程)
まず、培養装置10に、フラスコ5、培養液が収容されたボトル(処理液源8)、流路22、計量装置24のシリンジ25及びピストン26、を培養装置10に組み込む。フラスコ5は、開口部6を有しており、この開口部6を介して、細胞液や処理液9を注入及び排出することができる。本実施の形態では、フラスコ5の開口部6はスクリューキャップにより閉塞されている。培養液は、本実施の形態における接着性細胞の培養に用いられる処理液9の一例であり、接着性細胞が成長するための栄養分を含んでいる。流路22は、プラスチックやゴム等の材料で形成されたチューブ状の部材である。流路22は、分岐点23で分岐するように構成されており、処理液源8及び分岐点23の間に配置される第1部分22aと、分岐点23及びフラスコ5の間に配置される第2部分22bと、分岐点23及び計量装置24の間に配置される第3部分22cと、有している。流路22の第1部分22a、第2部分22b及び第3部分22cは、分岐点23で互いに連通している。シリンジ25は先端側開口25aを有しており、先端側開口25aは、流路22の第3部分22cに接続されて第3部分22cと連通している。本実施の形態では、流路22、シリンジ25及びピストン26は、いずれも使い捨てとされている。流路22、シリンジ25及びピストン26は、製造段階で滅菌されパッケージ内に密封された状態で供給され、このパッケージを開封して培養装置10に取り付けられる。図2に示された例では、流路22の第1部分22aの分岐点23と反対側の端部が処理液源8内の培養液中に配置される。
培養装置10は、キャップ開閉装置14により、フラスコ5の開口部6を閉塞しているスクリューキャップをフラスコ5から取り外す。具体的には、培養装置10が、キャップ開閉装置14を下降させ、キャップ開閉装置14でスクリューキャップを把持する。培養装置10が、キャップ開閉装置14のキャップ把持部を回転させてスクリューキャップをフラスコ5から取り外す。その後、培養装置10は、キャップ開閉装置14を上昇させ、フラスコ5からキャップ開閉装置14を退避させる。その後、培養装置10は、流路22の第2部分22bの分岐点23と反対側の端部を、フラスコ5の開口部6内に配置する。
培養装置10は、フラスコ5に接着性細胞液及び培養液を供給する。培養液は、分注機構20を用いてフラスコ5に供給される。培養装置10は、まず、計量装置24の駆動装置によりピストン26をシリンジ25内に押し込んでシリンジ室27の容積を最小にしておき、第1ピンチバルブ28aが開いた状態で第2ピンチバルブ28bを閉じて流路22の第2部分22bを閉塞する。次に、培養装置10が、計量装置24の駆動装置によりピストン26をシリンジ25内で所定量分引き出すと、流路22の第1部分22a及び第3部分22cを介して、処理液源8からシリンジ室27内へ所定量の培養液が流入する。次に、培養装置10が、第1ピンチバルブ28aを閉じて流路22の第1部分22aを閉塞し、第2ピンチバルブ28bを開いて流路22の第2部分22bを開放する。その後、培養装置10が、計量装置24の駆動装置によりピストン26をシリンジ室27の容積が最小になるまでシリンジ25内に押し込むと、流路22の第3部分22c及び第2部分22bを介して、シリンジ室27からフラスコ5内へ所定量の培養液を注入することができる。
細胞液は、培養すべき接着性細胞を含んだ懸濁液である。接着性細胞液は、ピペット等の器具を用いて作業者が注入することができる。また、これに限られず、培養液と同様に分注機構20を用いてフラスコ5に供給されてもよい。接着性細胞液を作業者がフラスコ5に注入する場合、播種工程では、一つの分注機構のみを用いる。したがって、培養装置10には、流路22及び計量装置24として、第1の流路221及び第1の計量装置241、又は、第2の流路222及び第2の計量装置242のいずれかのみを取り付けるだけで良い。また、接着性細胞液を分注機構20を用いて注入する場合、播種工程では、二つの分注機構を用いる。したがって、培養装置10には、流路22及び計量装置24として、第1の流路221及び第1の計量装置241、並びに、第2の流路222及び第2の計量装置242の両方を取り付ける。
その後、培養装置10は、流路22の第2部分22bの分岐点23と反対側の端部を、フラスコ5の開口部6から退避させ、キャップ開閉装置14により、フラスコ5の開口部6をスクリューキャップで閉塞する。具体的には、培養装置10は、キャップ開閉装置14を下降させ、キャップ把持部を回転させてスクリューキャップでフラスコ5の開口部6を閉塞する。その後、培養装置10は、スクリューキャップの把持を解除し、キャップ開閉装置14を上昇させて、フラスコ5からキャップ開閉装置14を退避させる。
次に、培養装置10は、細胞液と培養液とを混合し、細胞液中に含まれる細胞を培養液中に均一に分散させるために、均一化処理を行う。図3A〜図4を参照して、この均一化処理について説明する。本実施の形態では、均一化処理及び後述のデカンテーション処理におけるフラスコ5の向きの変更は保持装置12により行われるが、図3A〜図5では保持装置12の図示は省略している。また、図3A〜図4では、フラスコ5の開口部6はキャップで閉塞されている。
図3Aに示された例では、フラスコ5は、キャップで閉塞された開口部6が上方を向くように位置している。図3A〜図5において、斜線部は、フラスコ5内の細胞液と培養液との混合液を示している。ここで、培養装置10は、駆動装置により保持装置12を駆動して、保持装置12で保持されたフラスコ5を図3Aの矢印に沿って回転させ、フラスコ5の向きを変更する。これにより、フラスコ5は、図3Bに示されているように、キャップで閉塞された開口部6が側方を向くようにして位置する。次に、培養装置10は、駆動装置により保持装置12を駆動して、保持装置12で保持されたフラスコ5を図3Bの矢印に沿って回転させ、フラスコ5の向きを変更する。これにより、フラスコ5は、図3Cに示されているように、キャップで閉塞された開口部6が側方を向き、フラスコ5を構成する面のうちの最も大きな面積を有する一対の面が上方及び下方を向くようにして位置する。
次に、培養装置10は、図4に示すように、駆動装置により保持装置12を駆動して、水平方向と平行をなす軸を中心としてフラスコ5を揺動させる。これにより、細胞液中に含まれる細胞を培養液中に均一に分散させることができる。
均一化処理がされたフラスコ5は、インキュベータ等の保管庫に移され、所定の温度及び所定の二酸化炭素濃度に保たれて接着性細胞の培養が行われる。一例として、インキュベータ内で、温度37℃、二酸化炭素濃度5%に保たれるようにすることができる。細胞の培養中に、細胞は培養液中で沈殿し、フラスコ5の底面に接着する。
以上のようにして、播種工程では、フラスコ5からのキャップの取外し、フラスコ5内への培養液の供給、フラスコ5へのキャップの取付け及び均一化処理が、培養装置10により、自動で行われる。
(培地交換工程)
培養にともなって、培養液中には接着性細胞から排出される老廃物が蓄積される。そこで、必要に応じて、所定期間ごと(例えば3日ごと)に培養液を交換する。まず、フラスコ5を、保管庫から培養装置10に移し、培養装置10の保持装置12で保持する。次に、培養装置10は、キャップ開閉装置14により、スクリューキャップをフラスコ5から取り外す。その後、培養装置10は、デカンテーション処理により、フラスコ5中の培養液をフラスコ5から排出する。図5に示すように、培養装置10は、駆動装置により保持装置12を駆動して、フラスコ5の開口部6が下方を向くようにフラスコ5の向きを変更する。これにより、フラスコ5中の培養液をフラスコ5から排出することができる。このとき、細胞は、フラスコ5の内面に接着しており、デカンテーション処理によってもフラスコ5から排出されない。なお、培養液のフラスコ5からの排出は、デカンテーション処理によるものに限られない。例えば、培養液を、ピペット等を用いてフラスコ5から吸引して排出するようにしてもよい。
培養装置10は、駆動装置により保持装置12を駆動して、フラスコ5の向きを、その開口部6が上方を向くように変更し、分注機構20を用いてフラスコ5内に所定量の新たな培養液を供給する(図2参照)。培養装置10が、キャップ開閉装置14により、フラスコ5の開口部6をスクリューキャップで閉塞し、均一化処理を行った後、フラスコ5は、保管庫に移され接着性細胞の培養が継続される。
以上のようにして、培地交換工程では、フラスコ5からのキャップの取外し、培養液の排出、フラスコ5内への新たな培養液の供給、フラスコ5へのキャップの取付け及び均一化処理が、培養装置10により、自動で行われる。
(継代培養工程)
接着性細胞が増殖しすぎてフラスコ5内の細胞の濃度が密になると、細胞の形状、形態、性能の変化や、変異が起こり、細胞の正常性が低下することがある。このため、培養されている接着性細胞を定期的に顕微鏡で観察し、細胞の濃度が密になっていれば、継代培養を行う。継代培養は、洗浄工程、剥離工程及び細胞濃度調整工程の3工程で行われる。
(洗浄工程)
洗浄工程では、細胞の培養に用いられる処理液9として、洗浄液が用いられる。洗浄液は、フラスコ5内に残留した培養液を洗浄するものである。洗浄液としては、例えば、リン酸バッファ等の緩衝液を用いることができる。ここで、細胞の培養に用いられる処理液9の種類が、培養液から洗浄液に変更される。本実施の形態では、培養液の供給に用いられた流路22、シリンジ25及びピストン26を廃棄し、新たな流路22、シリンジ25及びピストン26を培養装置10に取り付ける。
次に、継代培養を行うフラスコ5を培養装置10の保持装置12に保持させる。また、処理液源8として、洗浄液を収容したボトルを組み込む。培養装置10は、キャップ開閉装置14により、スクリューキャップをフラスコ5から取外した後、フラスコ5内から培養液を除去する。培養液の除去は、例えばデカンテーション処理により行うことができる。このとき、細胞は、フラスコ5の内面に接着しており、デカンテーション処理によってもフラスコ5から排出されない。培養装置10は、フラスコ5の向きを図2に示すように開口部6が上方を向くように変更し、分注機構20を用いて洗浄液をフラスコ5内に供給する。分注機構20の具体的な動作は播種工程における培養液のフラスコ5内への供給動作と同じであるので、詳細な説明は省略する。培養装置10は、キャップ開閉装置14により、フラスコ5の開口部6をスクリューキャップで閉塞した後、均一化処理を行い、フラスコ5内から洗浄液を除去する。洗浄液の除去は、例えばデカンテーション処理により行うことができる。必要に応じて、洗浄液の供給、均一化処理及び洗浄液の除去を繰り返す。これにより、フラスコ5内から培養液の成分を除去する。
以上のようにして、洗浄工程では、フラスコ5からのキャップの取外し、培養液の排出、フラスコ5内への洗浄液の供給、フラスコ5へのキャップの取付け及び均一化処理が、培養装置10により、自動で行われる。
(剥離工程)
剥離工程では、細胞の培養に用いられる処理液9として、剥離液及び反応停止液の2種類の処理液9が用いられる。剥離液としては、例えば、トリプシン等の酵素を含む溶液を用いることができる。また、反応停止液としては、緩衝液や培養液を用いることができる。ここで、細胞の培養に用いられる処理液9の種類が、洗浄液から剥離液及び反応停止液に変更される。本実施の形態では、洗浄液の供給に用いられた流路22、シリンジ25及びピストン26を廃棄し、新たな流路22、シリンジ25及びピストン26を培養装置10に取り付ける。また、剥離工程では、剥離液及び反応停止液の2種類の処理液9が用いられることから、第1の分注機構201及び第2の分注機構202の二つの分注機構20を用いる。したがって、培養装置10に、流路22及び計量装置24として、第1の分注機構201用の第1の流路221及び第1の計量装置241、並びに、第2の分注機構202用の第2の流路222及び第2の計量装置242の両方を取り付ける。
培養装置10に、処理液源8として、剥離液を収容したボトル及び反応停止液を収容したボトルを組み込む。例えば、第1の分注機構201に対応して、剥離液を収容したボトルを組み込み、第2の分注機構202に対応して、反応停止液を収容したボトルを組み込む。
培養装置10は、キャップ開閉装置14により、スクリューキャップをフラスコ5から取外した後、フラスコ5内から洗浄液を除去する。洗浄液の除去は、例えばデカンテーション処理により行うことができる。培養装置10は、フラスコ5の向きを図2に示すように開口部6が上方を向くように変更し、第1の分注機構201を用いて剥離液をフラスコ5内に供給する。第1の分注機構201の具体的な動作は播種工程における培養液のフラスコ5内への供給動作と同じであるので、詳細な説明は省略する。培養装置10は、キャップ開閉装置14により、フラスコ5の開口部6をスクリューキャップで閉塞した後、均一化処理を行い、所定温度で所定時間保持する。例えば温度37℃で5分間保持する。この間に、剥離液に含まれる酵素の反応により、フラスコ5の内面に接着していた細胞がフラスコ5から剥離される。
所定時間の経過後、培養装置10は、フラスコ5の向きを開口部6が上方を向くように変更し、キャップ開閉装置14により、スクリューキャップをフラスコ5から取外す。その後、培養装置10は、第2の分注機構202を用いて反応停止液をフラスコ5内に供給する。第2の分注機構202の具体的な動作は播種工程における培養液のフラスコ5内への供給動作と同じであるので、詳細な説明は省略する。培養装置10は、キャップ開閉装置14により、フラスコ5の開口部6をスクリューキャップで閉塞した後、均一化処理を行う。これにより、剥離液に含まれる酵素の反応を停止させることができる。その後、培養装置10は、スクリューキャップをフラスコ5から取外し、フラスコ5内の細胞を含む懸濁液を回収する。懸濁液の回収は、デカンテーション処理やピペットによる吸引処理により行うことができる。また、懸濁液の回収は、培養装置10を用いて自動で行ってもよいし、作業者が手動で行ってもよい。
(細胞濃度調整工程)
回収された懸濁液は、遠心分離器により遠心分離される。これにより懸濁液中の細胞が沈殿するので、この上澄み液を廃棄したのち所定量の培養液を添加することで、所定濃度の細胞懸濁液を得ることができる。添加する培養液が少量の場合は高濃度の細胞懸濁液を得ることができ、添加する培養液が大量の場合は低濃度の細胞懸濁液が得られ、さらに継代培養を行うことができる。
以上のようにして、剥離工程では、フラスコ5からのキャップの取外し、洗浄液の排出、フラスコ5内への剥離液の供給、フラスコ5へのキャップの取付け、均一化処理、所定温度及び所定時間での保持、フラスコ5からのキャップの取外し、フラスコ5内への反応停止液の供給、フラスコ5へのキャップの取付け及び均一化処理が、培養装置10により、自動で行われる。
一つの種類の接着性細胞の培養の終了後に、さらに他の種類の接着性細胞の培養を行う場合には、各種類の接着性細胞の培養の終了後に、流路22、シリンジ25及びピストン26を交換する。すなわち、使用された流路22、シリンジ25及びピストン26を廃棄し、新たな流路22、シリンジ25及びピストン26を培養装置10に取り付ける。
本実施の形態の培養方法は、細胞の培養に用いられる第1の処理液9を、流路22を介してフラスコ5に供給する第1供給工程と、細胞の培養に用いられ、第1の処理液9とは異なる第2の処理液9を、流路22を介してフラスコ5に供給する第2供給工程と、を備え、第1供給工程と第2供給工程との間に流路22を交換する。
ここで、第1の処理液9が培養液である場合には、第2の処理液9は洗浄液であってよく、第1の処理液9が洗浄液である場合には、第2の処理液9は剥離液であってよい。
また、本実施の形態の培養方法は、細胞の培養に用いられる処理液9を、流路22を介してフラスコ5に供給する供給工程を備え、細胞の培養の終了後に流路22を交換する。
本実施の形態の培養装置10は、フラスコ5を、その向きを可変に保持する保持装置12と、細胞の培養に用いられる処理液9を保持した処理液源8から処理液9を計量してフラスコ5に供給する分注機構20と、を備え、分注機構20は、処理液源8からフラスコ5まで延びる流路22と、処理液9を計量する計量装置24と、を有し、少なくとも流路22は使い捨てである。
また、流路22は、フラスコ5内で培養される細胞の種類が変わるごとに、及び/又は、処理液9の種類が変わるごとに、使い捨てられる。
培養装置における処理液源からフラスコへ延びる処理液の流路を、例えば、フラスコ内で培養される細胞の種類が変わるごとに、及び/又は、処理液の種類が変わるごとに、蒸気滅菌、薬剤滅菌、ガンマ線滅菌、ガス滅菌等の公知の方法により滅菌し再使用するものとすると、培養装置は、蒸気発生装置、薬剤供給装置、ガンマ線照射装置、ガス発生装置等の大掛かりな滅菌装置を備える必要がある。これにより培養装置が大型化及び複雑化する。
これに対して、本実施の形態の培養方法では、流路22として、使い捨ての無菌化された流路22を用いることが可能となる。これにより、本実施の形態の培養装置10では、細胞の培養に用いられる処理液9の流路22として、使い捨ての無菌化された流路22を用いることにより、フラスコ内で培養される接着性細胞の種類が変わるごとに、及び/又は、処理液の種類が変わるごとに、流路22を滅菌する必要がないので、培養装置10から大掛かりな滅菌装置を省くことができる。したがって、培養装置を大型化させることなく処理液9の流路22の無菌化を実現することができる。これにより、培養装置10を小型化、簡略化することができる。また、このことは、培養装置10のコストダウンにも貢献する。
また、従来、細胞の培養における各操作は、全て作業者の手により行われていることから、各操作に時間がかかるという問題があった。操作の種類や操作すべきフラスコの数にもよるが、多数のフラスコを用いて接着性細胞を培養しようとする場合、一つの操作を行うために数時間から半日程度を要することもある。この場合、最初に操作が行われたフラスコと最後に操作が行われたフラスコとでは、当該操作前及び操作後の工程の経過時間に数時間から半日程度の差が生じることになり、各フラスコ間での培養条件を同一にすることができなくなる。この場合、各フラスコで培養された細胞の間に、形状、形態、性能等において差が生じてしまう虞がある。また、各操作に時間がかかると、作業者の人件費がかかり細胞の培養コストが上昇するという問題もある。さらに、各操作が作業者の手で行われる場合、何らかのヒューマンエラーが生じる可能性が排除できない。
これに対して、本実施の形態の培養装置10では、各工程における操作の大部分を自動化することが可能であるため、多数のフラスコを用いて接着性細胞を培養しようとする場合であっても、一つの工程を行うためにかかる時間を大幅に短縮することができる。これにより、最初に操作が行われたフラスコと最後に操作が行われたフラスコとの間での、当該操作前及び操作後の工程の経過時間の差を大きく減少させることができ、各フラスコ間での培養条件の差を効果的に減少させることが可能となる。したがって、多数のフラスコを用いて均質な細胞を得ることができる。さらに、作業者の手間が大幅に減少することから、作業者の人件費を低減させることができ、細胞の培養コストを効果的に低減させることができる。また、各工程における操作の大部分を自動化することにより、ヒューマンエラーが生じる可能性を低くすることができる。
本実施の形態の培養装置10では、計量装置24は、使い捨てのシリンジ25及びピストン26を含み、シリンジ25及びピストン26は流路22とともに使い捨てられる。
このような培養装置10によれば、簡単な構成によりシリンジ25及びピストン26をも無菌化することができる。とりわけシリンジ25及びピストン26を流路22とともに使い捨てるようにしているので、流路22、シリンジ25及びピストン26を一度に交換することができ、交換にかかる時間及び手間を最小化することができる。
本実施の形態の培養装置10は、2つの分注機構20を有している。
本実施の形態の培養装置10において、一つの工程で使用される処理液9は最大で2種類である。したがって、2つの処理液源8を組み込むことができるよう、培養装置10に2つの分注機構20を設けることで、各工程において必要とされる処理液9を使用可能にしつつ、培養装置10を効果的に小型化及び簡略化することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図6は、培養装置10の一変形例を示す図である。図6は、培養装置10が組み込まれた培養システム30を概略的に示す断面図である。図6に示された例では、筐体31内に、培養装置10と、フラスコ5を保管する保管庫32と、培養装置10と保管庫32との間でフラスコ5を移送する移送装置34と、が設けられ、培養装置10、保管庫32及び移送装置34により培養システム30が構成されている。言い換えると、培養システム30は、培養装置10と、フラスコ5を保管する保管庫32と、培養装置10と保管庫32との間でフラスコ5を移送する移送装置34と、を有している。
筐体31は、上述のクリーンベンチ又は安全キャビネット1と同様に、当該筐体31内に外部の塵埃、細菌、ウィルス等が侵入すること(コンタミネーション)を防止し、また、当該筐体31内で保管、操作される細胞が外部に流出することを防止する箱状の設備である。筐体31は、当該筐体31内の雰囲気(例えば空気)を所定の清浄度に維持する機能を有する。このため、筐体31には、清浄化された雰囲気を導入するための雰囲気導入口が設けられ、雰囲気導入口には、導入される雰囲気を清浄化するためのフィルターが設けられている。フィルターとしては、例えばHEPAフィルターや、UPLAフィルター等を用いることができる。また、筐体31は、当該筐体31内、とりわけ培養装置10及び保管庫32、を所定の温度に保つ機能を有している。さらに、筐体31は、当該筐体31内の二酸化炭素濃度を所定の濃度に保つ機能を有していることが好ましい。一例として、筐体31は、当該筐体31内を温度37℃、二酸化炭素濃度5%に保つことができるように設定される。また、筐体31には、図示しないフラスコ搬出入口が設けられており、このフラスコ搬出入口を介して保管庫32内へのフラスコ5の搬入及び保管庫32からのフラスコ5の搬出を行う。なお、フラスコ5の搬入口と搬出口とを別に設けるようにしてもよい。さらに、筐体31には、外部から筐体31内を視認するための窓や、作業者が作業を行うための開閉可能な扉等が設けられていてもよい。このような筐体31は、一例として、ステンレス等の金属材料等で構成される。
保管庫32は、複数のフラスコ5を保管できることが好ましい。図6に示された例では、保管庫32は、培養装置10の下方に配置されている。具体的には、保管庫32は、培養装置10が設置された筐体31の下段内に配置されている。このような培養システム30によれば、培養装置10の下方の空間を有効に利用して保管庫32を設置することでできるので、培養システム30を小型化し、培養システム30の設置スペースを効果的に減少させることができる。
移送装置34は、例えば搬送ロボットであり、保管庫32からフラスコ5を取り出し、当該フラスコ5を培養装置10の保持装置12へ搬送する。また、培養装置10での処理が終了したフラスコ5を培養装置10の保持装置12から取り出し、当該フラスコ5を保管庫32へ搬送する。移送装置34に用いられる搬送ロボットは特に限られない。図6に示された例では、移送装置34は、雰囲気が所定の清浄度、温度及び二酸化炭素濃度に保たれた筐体31内に設けられ、当該筐体31内において培養装置10と保管庫32との間でフラスコ5を移送する。したがって、培養装置10と保管庫32との間でフラスコ5を移送する際にフラスコ5が外気に接触せず、これにより、フラスコ5内の細胞にコンタミネーションが生じたり、温度や二酸化炭素濃度の変化が生じたりすることを効果的に防止することができる。
本変形例に係る培養システム30は、培養装置10と、フラスコ5を保管する保管庫32と、培養装置10と保管庫32との間でフラスコ5を移送する移送装置34と、を有する。
このような培養システム30によれば、フラスコ5を保管庫32から取り出して培養装置10へ移送し、フラスコ5を培養装置10へ組み込み、培養装置10において、播種工程、培地交換工程、継代培養工程等の各工程を行い、各工程が終了したフラスコ5を保管庫32へ移送する一連の操作を、培養システム30により自動で行うことができる。したがって、一つの工程を行うためにかかる時間をさらに短縮することができる。これにより、最初に操作が行われたフラスコと最後に操作が行われたフラスコとの間での、当該操作前及び操作後の工程の経過時間の差をさらに大きく減少させることができ、各フラスコ間での培養条件の差を効果的に減少させることが可能となる。したがって、多数のフラスコを用いて均質な接着性細胞を得ることができる。また、作業者の手間が大幅に減少することから、作業者の人件費を低減させることができ、細胞の培養コストをさらに効果的に低減させることができる。また、本変形例に係る培養システム30では、細胞の培養のための各工程を完全に自動化することもでき、これにより、培養システム30の無人運転、夜間運転も可能になる。
他の変形例として、上述の実施の形態では、計量装置24がシリンジ25及びピストン26を有して、シリンジ室27において処理液9を計量する例を示したが、これに限られず、流路22の途中にペリスタポンプと流量計を設け、処理液源8内の処理液9を流路22を介して処理液源8からフラスコ5内へ供給するようにしてもよい。あるいはフラスコ5を重量計上に設置してもよい。さらには、流路22の途中に流量計を設け、処理液源8内の処理液9を加圧して、処理液源8内の処理液9を流路22を介して処理液源8からフラスコ5内へ供給するようにしてもよい。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 クリーンベンチ又は安全キャビネット
5 フラスコ
6 開口部
8 処理液源
9 処理液
10 培養装置
12 保持装置
14 キャップ開閉装置
20 分注機構
22 流路
22a 第1部分
22b 第2部分
22c 第3部分
23 分岐点
24 計量装置
25 シリンジ
26 ピストン
27 シリンジ室
28a ピンチバルブ
28b ピンチバルブ
30 培養システム
31 筐体
32 保管庫
34 移送装置

Claims (2)

  1. フラスコ内で細胞を培養する培養方法であって、
    前記細胞の培養に用いられる第1の処理液を、流路を介して前記フラスコに供給する第1供給工程と、
    前記細胞の培養に用いられ、前記第1の処理液とは異なる第2の処理液を、流路を介して前記フラスコに供給する第2供給工程と、を備え、
    前記第1供給工程と前記第2供給工程との間に前記流路を交換する、培養方法。
  2. フラスコ内で細胞を培養する培養方法であって、
    前記細胞の培養に用いられる処理液を、流路を介して前記フラスコに供給する供給工程を備え、
    前記細胞の培養の終了後に前記流路を交換する、培養方法。
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