[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1には、SU−MIMOによる無線通信システムの構成例が示されている。無線通信システムは、データ送信局100と、データ受信局200とを備える。以下、データ送信局100からデータ受信局200への向きを、「下り」という。また、データ受信局200からデータ送信局100への向きを、「上り」という。
データ受信局200は、データ受信局200−1,…,データ受信局200−m,…,データ受信局200−Mのように、複数台(Mは、2以上の整数)でもよい。しかし、第1実施形態ではSU−MIMOについて説明するため、データ受信局200が1台(M=1)であるものとして説明する。
データ送信局100は、無線パケットを生成する。生成された無線パケットには、データ送信局100を識別するための識別子と、データ受信局200を識別するための識別子とが含まれてもよい。データ送信局100は、データ受信局200との間で無線パケット通信を実行する。この無線パケット通信は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとに分けることができる。
例えば、この無線パケット通信は、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance:搬送波検知多重アクセス/衝突回避)方式により、同一周波数チャネルを使用する通信でもよい。データ送信局100は、例えば、無線LAN(Local Area Network)におけるアクセスポイント(AP)である。
データ受信局200(STA:Station)は、データ送信局100との間で無線パケット通信を実行する。データ受信局200は、データ送信局100が生成する無線パケットの宛先となる装置である。データ受信局200は、例えば、コンピュータ、携帯型の情報電子機器である。
次に、データ送信局の構成例を説明する。
図2は、データ送信局の構成例を示すブロック図である。データ送信局100は、アンテナ102と、受信部104と、復調部109と、伝搬チャネル推定部108と、送信重み付け値算出部116と、補正値算出部115と、データ変換インターフェース部110と、チャネル推定信号生成部114と、変調部105と、重み付け演算部106と、送信部103と、を備える。
アンテナ102は、無線パケットを示す信号を、データ受信局200との間で送受信する。以下、データ送信局100には、複数(N本)のアンテナ102が備えられているものとして、説明を続ける。つまり、データ送信局100には、アンテナ102−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)が備えられている。以下、アンテナ102−nの全てに共通する事項については、符号「−n」を省略して、「アンテナ102」と表記する。
送信部103は、データ送信局100に、アンテナ102毎に備えられる。送信部103−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)には、下り送信する無線パケットを示す信号が、重み付け演算部106から入力される。以下、送信部103−nの全てに共通する事項については、符号「−n」を省略して、「送信部103」と表記する。
送信部103は、下り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システムで規定される所定の周波数に変換する。また、送信部103は、下り送信する無線パケットを示す信号の送信電力の調整等を実行し、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ102−nに出力する。
受信部104は、データ送信局100に、アンテナ102毎に備えられる。受信部104−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)は、アンテナ102−nを介して上り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号の受信電力の調整等を実行し、無線パケットを示す信号を復調部109に出力する。以下、受信部104−nの全てに共通する事項については、符号「−n」を省略して、「受信部104」と表記する。
復調部109には、上り受信した無線パケットを示す信号が、受信部104−nから入力される。復調部109は、上り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。復調部109は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部108、補正値算出部115、及び、データ変換インターフェース部110に出力する。ここで、復調した無線パケットを示す信号が、上り送信された伝搬チャネル情報フィードバック(CSI−FB:Channel State Information − Feedback)である場合、復調部109は、下り伝搬チャネル情報を、補正値算出部115に出力することになる。
伝搬チャネル推定部108には、復調した無線パケットを示す信号が、復調部109から入力される。復調した無線パケットを示す信号には、例えば、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI−FB)がある。伝搬チャネル推定部108は、伝搬チャネル情報フィードバックのプリアンブル(予め定められた信号)に基づいて上り伝搬チャネル情報を推定し、推定された上り伝搬チャネル情報を、補正値算出部115、及び、送信重み付け値算出部116に出力する。
また、復調した無線パケットを示す信号には、例えば、上り送信された伝搬チャネル推定信号(ヌル・データ・パケット(NDP))がある。伝搬チャネル推定部108は、上り送信された伝搬チャネル推定信号に基づいて上り伝搬チャネル情報を推定し、推定された上り伝搬チャネル情報を、補正値算出部115、及び、送信重み付け値算出部116に出力する。
補正値算出部115には、推定された下り伝搬チャネル情報が、復調部109から入力される。また、補正値算出部115には、推定された上り伝搬チャネル情報が、伝搬チャネル推定部108から入力される。補正値算出部115は、上り伝搬チャネル情報と、下り伝搬チャネル情報とに基づいて、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報の違いを校正するための補正値を算出する。補正値算出部115は、補正値を示す情報を、送信重み付け値算出部116に出力する。
送信重み付け値算出部116には、推定された上り伝搬チャネル情報が、伝搬チャネル推定部108から入力される。また、送信重み付け値算出部116には、補正値を示す情報が、補正値算出部115から入力される。送信重み付け値算出部116は、推定された上り伝搬チャネル情報と、補正値を示す情報とに基づいて送信重み付け値(送信ウエイト)を算出し、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部106に出力する。
ここで、送信重み付け値を算出する方法としては、線形演算による方法であるZF(Zero Forcing)法、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法などが用いられてもよい。また、送信重み付け値を算出する方法としては、非線形演算による方法であるTHP(Tomlinson Harashima Precoding)法、VP(Vector Perturbation)法などが用いられてもよい。
データ変換インターフェース部110には、復調した無線パケットを示す信号が、復調部109から入力される。データ変換インターフェース部110は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置する。データ変換インターフェース部110は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
また、データ変換インターフェース部110は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)から受信する。データ変換インターフェース部110は、外部のネットワーク(不図示)から受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部105に出力する。
チャネル推定信号生成部114は、伝搬チャネル情報を推定するための伝搬チャネル推定信号(NDP)を生成し、伝搬チャネル推定信号を変調部105に出力する。ここで、伝搬チャネル推定信号は、既知信号であるものとする。
変調部105には、変換したデータ信号が、データ変換インターフェース部110から入力される。また、変調部105には、伝搬チャネル推定信号が、チャネル推定信号生成部114から入力される。変調部105は、変換したデータ信号を、無線パケットを示す信号に変調し、変調された無線パケットを示す信号を、重み付け演算部106に出力する変調された無線パケットを示す信号を、重み付け演算部106に出力してもよい。
重み付け演算部106には、変調された無線パケットを示す信号が、変調部105から入力される。また、重み付け演算部106には、送信重み付け値を示す情報が、送信重み付け値算出部116から入力される。重み付け演算部106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。重み付け演算部106は、下り送信する無線パケットを示す信号を、送信部103−nに出力する。
次に、データ受信局の構成例を説明する。
図3は、データ受信局の構成例を示すブロック図である。データ受信局200は、アンテナ202と、送信部203と、受信部204と、変調部205と、伝搬チャネル推定部208と、復調部209と、データ変換インターフェース部210と、チャネル推定信号生成部214と、を備える。
アンテナ202は、無線パケットを示す信号を、データ送信局100との間で送受信する。以下、データ受信局200には、1本のアンテナ202が備えられているものとして、説明を続ける。
送信部203には、上り送信する無線パケットを示す信号が、変調部205から入力される。送信部203は、上り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システムで規定される所定の周波数に変換する。また、送信部203は、上り送信する無線パケットを示す信号の送信電力の調整等を実行し、上り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ202に出力する。
受信部204は、アンテナ202を介して下り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部204は、下り受信した無線パケットを示す信号の受信電力の調整等を実行し、無線パケットを示す信号を、復調部209に出力する。
復調部209には、下り受信した無線パケットを示す信号が、受信部204から入力される。復調部209は、下り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。復調部209は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部208、及び、データ変換インターフェース部210に出力する。
データ変換インターフェース部210には、復調した無線パケットを示す信号が、復調部209から入力される。データ変換インターフェース部210は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置する。データ変換インターフェース部210は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
なお、データ変換インターフェース部210は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)から受信してもよい。データ変換インターフェース部210は、外部のネットワーク(不図示)から受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部205に出力してもよい。
伝搬チャネル推定部208には、復調した無線パケットを示す信号が、復調部209から入力される。復調した無線パケットを示す信号には、例えば、下り送信された伝搬チャネル推定信号(NDP)がある。伝搬チャネル推定部208は、下り送信された伝搬チャネル推定信号と、予め定められた伝搬チャネル推定信号とを比較する。伝搬チャネル推定部208は、この比較結果に基づいて下り伝搬チャネル情報を推定し、推定された下り伝搬チャネル情報を、変調部205に出力する。
チャネル推定信号生成部214は、伝搬チャネル推定信号を生成し、伝搬チャネル推定信号を変調部205に出力する。伝搬チャネル推定信号は、既知信号であるものとする。
変調部205には、伝搬チャネル推定信号が、チャネル推定信号生成部214から入力される。また、変調部205には、推定された下り伝搬チャネル情報が、伝搬チャネル推定部208から入力される。変調部205は、変換したデータ信号を、無線パケットを示す信号に変調し、変調された無線パケットを示す信号を、送信部203に出力する。
また、変調部205は、伝搬チャネル推定信号(NDP)を、無線パケットを示す信号に変調し、変調された無線パケットを示す信号を、送信部203に出力する。変調部205は、推定された下り伝搬チャネル情報を、無線パケットを示す信号に変調し、変調された無線パケットを示す信号(CSI−FB)を、送信部203に出力する。
次に、無線通信システムの動作手順の例を説明する。
図4は、無線通信システムの動作手順例を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートに示す無線パケット通信は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとに分けることができる。なお、このタイミングチャートに示す動作手順は、繰り返し実行される。
図4では、校正ステップには、ステップS1及びS2が含まれる。また、上りチャネル推定ステップには、ステップS3が含まれる。また、下りデータ送信ステップには、ステップS4及びS5が含まれる。
(ステップS1)データ送信局100のアンテナ102−n(図2を参照)は、伝搬チャネル推定信号(NDP)(トレーニング信号)を、データ受信局200に送信する。
(ステップS2)データ受信局200のアンテナ202(図3を参照)は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI−FB)を、データ送信局100に送信する。復調部109(図2を参照)は、復調した伝搬チャネル情報フィードバックに基づいて、下り伝搬チャネル情報を推定する。復調部109は、推定した下り伝搬チャネル情報を、補正値算出部115に出力する。
伝搬チャネル推定部108(図2を参照)は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI−FB)のプリアンブルに基づいて上り伝搬チャネル情報を推定し、推定された上り伝搬チャネル情報を、補正値算出部115及び送信重み付け値算出部116に出力する。
補正値算出部115(図2を参照)には、下り伝搬チャネル情報が、復調部109から入力される。また、補正値算出部115には、上り伝搬チャネル情報が、伝搬チャネル推定部108から入力される。補正値算出部115(図2を参照)は、上り伝搬チャネル情報と、下り伝搬チャネル情報とに基づいて、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報の違いを校正するための補正値Cを算出する。
下り伝搬チャネル情報HDは、式(1)で表される。
ここで、GRSは、データ受信局200の受信部204及びアンテナ202の特性を示す。Hは、空中の伝搬チャネル情報の応答(通信路応答)を示す。また、GTAは、データ送信局100の送信部103及びアンテナ102の特性を示す。GTAは、式(2)で表される。
また、上り伝搬チャネル情報HUは、式(3)で表される。
ここで、GTSは、データ受信局200の送信部203及びアンテナ202の特性を示す。また、GRAは、データ送信局100の受信部104及びアンテナ102の特性を示す。式(3)に示す[GRAHGTS]の右肩のTは、転置を表す。GRAは、式(4)で表される。
補正値算出部115は、下り伝搬チャネル情報HD、及び、上り伝搬チャネル情報HUに基づいて、補正値Cを算出する。補正値Cは、式(5)で表される。
なお、補正値算出部115は、所定期間(例えば、図4に示す校正ステップ)の無線パケット通信において、伝搬チャネル推定信号を繰り返し(例えば、M回)送信する(時間ダイバーシティを利用する)ことでも、高精度な補正値Cを得ることができる。
送信重み付け値算出部116には、上り伝搬チャネル情報HUが、伝搬チャネル推定部108から入力される。また、送信重み付け値算出部116には、補正値Cを示す情報が、補正値算出部115から入力される。送信重み付け値算出部116は、式(6)に示すように、上り伝搬チャネル情報HUに、補正値Cを右から乗算する。
送信重み付け値算出部116は、この乗算された情報HU’に基づいて、送信重み付け値を算出し、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部106に出力する。ここで、補正値Cは、βを任意の複素数として、「cn=β(gTA,n/gRA,n)」(nは、1〜Nのうち任意の整数)を満たせばよい。
データ受信局200のアンテナ202毎の仮補正値cn(m)は、式(7)で表される。
ここで、hD,m,n0は、下り伝搬チャネル情報HDの成分(式(1)を参照)のうち、m番目(第1実施形態では、m=1)のデータ受信局200−mの受信部204及びアンテナ202と、データ送信局100のn0番目の送信部103−n0及びアンテナ102−n0と、による成分である。なお、n0番目のアンテナ102−n0は、参照アンテナである。
また、hD,m,nは、下り伝搬チャネル情報HDの成分のうち、m番目(第1実施形態では、m=1)のデータ受信局200−mの受信部204及びアンテナ202と、データ送信局100のn番目の送信部103−n及びアンテナ102−nと、による成分である。
また、hU,m,n0は、上り伝搬チャネル情報HUの成分(式(3)を参照)のうち、m番目(第1実施形態では、m=1)のデータ受信局200−mの受信部204及びアンテナ202と、データ送信局100のn0番目の送信部103−n0及びアンテナ102−n0と、による成分である。
また、hU,m,nは、上り伝搬チャネル情報HUの成分のうち、m番目(第1実施形態では、m=1)のデータ受信局200−mの受信部204及びアンテナ202と、データ送信局100のn番目の送信部103−n及びアンテナ102−nと、による成分である。
送信重み付け値算出部116(図2を参照)は、推定された上り伝搬チャネル情報と、補正値Cとに基づいて送信重み付け値(送信ウエイト)を算出し、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部106に出力する。送信重み付け値算出部116は、高精度な補正値Cに基づいて送信重み付け値を算出するので、高精度な送信重み付け値を算出することができる。
重み付け演算部106(図2を参照)は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。
ここで、仮補正値cn(m)(式(7)を参照)は、データ送信局100の特性(アンテナ102及び回路の特性)のみを考慮したものであり、M台(第1実施形態では、M=1)のデータ受信局200の特性の違いが考慮されていない。これは、ビームフォーミング(ビーム形成)で送信された伝搬チャネル推定信号(NDP)による伝搬チャネル情報フィードバック(CSI−FB)基づく上り伝搬チャネル情報の推定により、データ受信局200の特性が、伝搬チャネル情報と一緒に推定可能だからである。つまり、重み付け演算部106は、データ受信局200の送受信回路の応答成分をキャンセルするように、送信アンテナ及び参照アンテナを選択することができる。
M台(第1実施形態では、M=1)のデータ受信局200の特性に影響される補正値Cの成分cn(式(5)を参照)は、雑音成分を除き同じ値となるはずである。そこで、補正値算出部115は、仮補正値cn(m)を、重み付けan(m)に基づいて重み付け合成することにより、高精度な補正値Cの成分cnを得ることができる。補正値Cの成分cnは、一例として、式(8)で表される。
ここで、重み付けan(m)は、一例として、式(9)で表される。
式(9)で表される重み付けan(m)は、チャネル利得毎に基づく重み付け法である。この重み付け法は、信頼度の高い補正値(最適な補正値)を優先させるため、精度を向上させることができる。
また、重み付けan(m)は、一例として、式(10)で表されてもよい。式(10)で表される重み付けan(m)は、チャネル利得に基づく重み付け法である。
(ステップS3)データ受信局200のアンテナ202は、データ送信局100に伝搬チャネル推定信号(NDP)を送信する。
(ステップS4)伝搬チャネル推定部108(図2を参照)は、下りデータを送信するために、伝搬チャネル推定信号に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。送信重み付け値算出部116(図2を参照)は、推定された上り伝搬チャネル情報と、補正値Cを示す情報とに基づいて送信重み付け値(送信ウエイト)を算出し、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部106に出力する。重み付け演算部106(図2を参照)は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)する。
送信部103は、下り送信する無線パケットを示す信号の送信電力の調整等を実行し、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ102−nに出力する。アンテナ102は、下り送信する無線パケット(図4では、データ1)を示す信号を、空間多重送信により、データ受信局200に送信する。
(ステップS5)データ受信局200は、下り送信された無線パケット(図4では、データ1)を示す信号を、復調部209(図3を参照)が誤りなく復号した場合、所定の応答確認信号(BA:Block Acknowledgement)を、データ送信局100に送信する。
以上のように、データ送信局100(無線通信装置)は、データ送信局100からデータ受信局200(他の無線通信装置)への伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と共にデータ受信局200から受信した予め定められた信号(例えば、プリアンブル)に基づいて、データ受信局200からデータ送信局100への伝搬チャネルを示す第1の上り伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定部108と、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報(校正ステップで推定)と、に基づいて、仮補正値cn(m)を算出し、チャネル利得に基づく重み付けan(m)を仮補正値cn(m)に乗算して合成することにより(例えば、式(8)を参照)、補正値C(例えば、式(5)を参照)を算出する補正値算出部115と、補正値Cと、第1の上り伝搬チャネル情報又は第2の上り伝搬チャネル情報(校正ステップで推定、又は、上りチャネル推定ステップで推定)と、に基づいて、送信重み付け値を算出する送信重み付け値算出部116と、送信重み付け値と、第2の上り伝搬チャネル情報(上りチャネル推定ステップで推定)と、に基づいて形成されたビームにより、データ受信局200に所定信号を無線送信する送信部103と、を備える。
無線通信システムは、データ送信局100からデータ受信局200への伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と共にデータ受信局200から受信した予め定められた信号に基づいて、データ受信局200からデータ送信局100への伝搬チャネルを示す第1の上り伝搬チャネル情報を推定するデータ送信局100の伝搬チャネル推定部108と、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、仮補正値を算出し、チャネル利得に基づく重み付けを仮補正値に乗算して合成することにより、補正値を算出するデータ送信局100の補正値算出部115と、補正値と、第1の上り伝搬チャネル情報又は第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、送信重み付け値を算出するデータ送信局100の送信重み付け値算出部116と、送信重み付け値と、第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて形成されたビームにより、データ受信局200に所定信号を無線送信するデータ送信局100の送信部103と、を備える。
本実施形態の無線通信方法は、無線通信装置における無線通信方法であって、伝搬チャネル推定部108が、自無線通信装置から他無線通信装置への伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と共に他無線通信装置から受信した予め定められた信号に基づいて、他無線通信装置から自無線通信装置への伝搬チャネルを示す第1の上り伝搬チャネル情報を推定するステップと、補正値算出部115が、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、仮補正値を算出し、チャネル利得に基づく重み付けを仮補正値に乗算して合成することにより、補正値を算出するステップと、送信重み付け値算出部116が、補正値と、第1の上り伝搬チャネル情報又は第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、送信重み付け値を算出するステップと、送信部103が、送信重み付け値と、第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて形成されたビームにより、他無線通信装置に所定信号を無線送信するステップと、を有する。
この構成により、補正値算出部115は、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報(校正ステップで推定)と、に基づいて、仮補正値cn(m)を算出し、チャ
ネル利得に基づく重み付けan(m)を、仮補正値cn(m)に乗算して合成することにより、補正値Cを算出する。
これにより、第1実施形態に係る無線通信装置、無線通信システム及び無線通信方法は、SU−MIMO伝送による通信の品質が高い。
つまり、第1実施形態に係る無線通信システムは、上り伝搬チャネル情報に基づいて送信重み付け値を算出し、算出した送信重み付け値に基づいて、SU−MIMO伝送を実行する。第1実施形態に係る無線通信システムは、データ送信局100とデータ受信局200との特性差情報に基づいて、伝搬チャネル情報を補正することにより、実効的なスループットを向上させることができる。
インプリシット・フィードバック・ビームフォーミング技術では、上り伝搬チャネル情報に基づいて、下り伝搬チャネル情報を算出する際に、上り伝搬チャネル情報と下り伝搬チャネル情報との違いを校正する。このように、第1実施形態に係る無線通信システムは、データ受信局200による仮補正値(例えば、時間ダイバーシティを利用する仮補正値)を単に公平に扱うことがないので、推定精度の低い仮補正値に引きずられて補正値Cの精度が劣化することがない。
第1実施形態に係る無線通信システムは、補正値Cを算出する際に、チャネル利得に基づいて、データ受信局200を重み付ける。ここで、第1実施形態に係る無線通信システムは、上述したように、時間ダイバーシティを利用してもよい。これにより、第1実施形態に係る無線通信システムは、信頼度の高い仮補正値cn(m)を、重み付けan(m)に基づいて優先し、高精度な補正値Cを算出することにより、SU−MIMOにおける通信品質を向上させることができる。
伝搬チャネル推定部108は、複数の予め定められた信号(例えば、プリアンブル)に基づいて、複数の第1の上り伝搬チャネル情報を推定してもよい。補正値算出部115は、複数の下り伝搬チャネル情報と、複数の第1の上り伝搬チャネル情報に基づいて、複数の仮補正値を算出してもよい。
つまり、無線通信システムは、時間的に繰り返し既知信号を送る(時間ダイバーシティを利用する)ことで、仮補正値を取得してもよい。
送信重み付け値算出部116は、第2の上り伝搬チャネル情報が推定される前(校正ステップ)に、第1の上り伝搬チャネル情報に基づいて、送信重み付け値を算出してもよい。
つまり、無線通信システムは、データ送信局100が補正値を算出する際に、データ受信局200の送受信回路応答成分をキャンセルするための送信アンテナ及び参照アンテナの選択を、校正ステップ時に実行し、最適な補正値を利用してもよい。
送信重み付け値算出部116は、第2の上り伝搬チャネル情報が推定される際(上りチャネル推定ステップ)に、第2の上り伝搬チャネル情報に基づいて、送信重み付け値を算出してもよい。
つまり、無線通信システムは、最適な送信アンテナ及び参照アンテナの選択を、上りチャネル推定ステップ時に実行してもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態では、データ受信局が複数である(マルチユーザである)点が、第1実施形態と相違する。第2実施形態では、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
図5は、MU−MIMOによる無線通信システムの構成例を示す図である。無線通信システムは、データ送信局100と、データ受信局200−1〜200−Mとを備える。
第2実施形態では、データ受信局200がM台であるものとして説明を続ける。以下、データ受信局200−mの全てに共通する事項については、符号「−m」を省略して、「データ受信局200」と表記する。
データ送信局100は、無線パケットを生成する。生成された無線パケットには、データ送信局100を識別するための識別子と、データ受信局200−1〜200−Mを識別するための識別子とが含まれてもよい。
データ送信局100は、データ受信局200−1〜200−Mとの間で、無線パケット通信を実行する。この無線パケット通信は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとに分けることができる。例えば、この無線パケット通信は、CSMA/CA方式により、同一周波数チャネルを使用する
通信でもよい。
データ受信局200は、データ送信局100との間で無線パケット通信を実行する。データ受信局200は、データ送信局100が生成する無線パケットの宛先となる装置である。データ受信局200は、例えば、コンピュータ、携帯型の情報電子機器である。
図6は、無線通信システムの動作手順例を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートに示す無線パケット通信は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとに分けることができる。なお、このタイミングチャートに示す動作手順は、繰り返し実行される。
図6では、校正ステップには、ステップSa1及びSa2が含まれる。また、上りチャネル推定ステップには、ステップSa3が含まれる。また、下りデータ送信ステップには、ステップSa4〜Sa7が含まれる。
(ステップSa1)データ送信局100のアンテナ102−n(図2を参照)は、伝搬チャネル推定信号(NDP)(トレーニング信号)を、データ受信局200−1〜200−Mに送信する。
(ステップSa2)データ受信局200−1〜200−Mの各アンテナ202(図3を参照)は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI−FB)を、データ送信局100に送信する。復調部109(図2を参照)は、データ受信局200のいずれか又は全てから受信して復調した伝搬チャネル情報フィードバックに基づいて、データ受信局200のいずれか又は全ての下り伝搬チャネル情報を推定する。復調部109は、データ受信局200のいずれか又は全ての推定した下り伝搬チャネル情報を、補正値算出部115に出力する。
伝搬チャネル推定部108(図2を参照)は、データ受信局200のいずれか又は全ての伝搬チャネル情報フィードバック(CSI−FB)のプリアンブルに基づいて上り伝搬チャネル情報を推定し、データ受信局200のいずれか又は全ての推定された上り伝搬チャネル情報を、補正値算出部115及び送信重み付け値算出部116に出力する。
補正値算出部115には、データ受信局200のいずれか又は全ての推定された下り伝搬チャネル情報が、復調部109から入力される。また、補正値算出部115には、データ受信局200のいずれか又は全ての推定された上り伝搬チャネル情報が、伝搬チャネル推定部108から入力される。
補正値算出部115は、データ受信局200のいずれか又は全ての上り伝搬チャネル情報と、データ受信局200のいずれか又は全ての下り伝搬チャネル情報とに基づいて、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報の違いを校正するための補正値を算出する。補正値算出部115は、補正値を示す情報を、送信重み付け値算出部116に出力する。
送信重み付け値算出部116には、データ受信局200のいずれか又は全ての推定された上り伝搬チャネル情報が、伝搬チャネル推定部108から入力される。また、送信重み付け値算出部116には、補正値を示す情報が、補正値算出部115から入力される。
送信重み付け値算出部116は、データ受信局200のいずれか又は全ての推定された上り伝搬チャネル情報と、補正値を示す情報とに基づいて送信重み付け値(送信ウエイト)を算出し、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部106に出力する。
データ送信局100のアンテナ数がN本であるため、式(7)について、データ送信局100の参照アンテナ(n0番目のアンテナ)は、N通りが考えられる。同様に、式(8)に示す補正値Cの成分cnも、N通りの計算が可能である。
補正値算出部115は、N通りの補正値Cの成分cnのうち、最も高精度な補正値Cの成分cnを、校正ステップで選択する。この選択の方法は、例えば、データ受信局200でヌル信号となるビーム形成をデータ送信局100が実行し、その電力が値0に最も近いものを選択する方法でもよい。
(ステップSa3)データ受信局200−1〜200−Mの各アンテナ202は、データ送信局100に、伝搬チャネル推定信号(NDP)を送信する。補正値算出部115は、式(7)について、N通りの参照アンテナ(n0番目のアンテナ)を選択する。
(ステップSa4)データ送信局100の送信部103は、下り送信する無線パケットを示す信号の送信電力の調整等を実行し、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ102−nに出力する。アンテナ102は、下り送信する無線パケット(図6では、データ1およびデータ2)を示す信号を、空間多重送信により、データ受信局200−1〜200−Mに送信する。
(ステップSa5)データ受信局200−1は、下り送信する無線パケット(図6では、データ1又はデータ2)を示す信号を、復調部209(図3を参照)が誤りなく復号した場合、所定の応答確認信号(BA)を、データ送信局100に送信する。
(ステップSa6)データ送信局100の送信部103は、所定の応答確認信号を要求するための信号(BAR:BA request)を、データ受信局200−Mに送信する。データ受信局200−2〜200−(M−1)に対しても、同様である。
(ステップSa7)データ受信局200−Mは、下り送信する無線パケット(図6では、データ1又はデータ2)を示す信号を、復調部209(図3を参照)が誤りなく復号した場合、所定の応答確認信号(BA)を、データ送信局100に送信する。データ受信局200−2〜200−(M−1)についても、同様である。
以上のように、データ送信局100(無線通信装置)は、データ送信局100からデータ受信局200−mへの伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と共にデータ受信局200−mから受信した予め定められた信号(例えば、プリアンブル)に基づいて、データ受信局200からデータ送信局100への伝搬チャネルを示す第1の上り伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定部108と、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報(校正ステップで推定)と、に基づいて、仮補正値cn(m)を算出し、チャ
ネル利得に基づく重み付けan(m)を仮補正値cn(m)に乗算して合成することにより、補正値Cを算出する補正値算出部115と、補正値Cと、第1の上り伝搬チャネル情
報又は第2の上り伝搬チャネル情報(校正ステップで推定、又は、上りチャネル推定ステップで推定)と、に基づいて、送信重み付け値を算出する送信重み付け値算出部116と、送信重み付け値と、第2の上り伝搬チャネル情報(上りチャネル推定ステップで推定)と、に基づいて形成されたビームにより、データ受信局200−mに所定信号を無線送信する送信部103と、を備える。
無線通信システムは、データ送信局100からデータ受信局200への伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と共にデータ受信局200から受信した予め定められた信号に基づいて、データ受信局200からデータ送信局100への伝搬チャネルを示す第1の上り伝搬チャネル情報を推定するデータ送信局100の伝搬チャネル推定部108と、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、仮補正値を算出し、チャネル利得に基づく重み付けを仮補正値に乗算して合成することにより、補正値を算出するデータ送信局100の補正値算出部115と、補正値と、第1の上り伝搬チャネル情報又は第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、送信重み付け値を算出するデータ送信局100の送信重み付け値算出部116と、送信重み付け値と、第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて形成されたビームにより、データ受信局200に所定信号を無線送信するデータ送信局100の送信部と、を備える。
本実施形態の無線通信方法は、無線通信装置における無線通信方法であって、伝搬チャネル推定部108が、自無線通信装置から他無線通信装置への伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と共に他無線通信装置から受信した予め定められた信号に基づいて、他無線通信装置から自無線通信装置への伝搬チャネルを示す第1の上り伝搬チャネル情報を推定するステップと、補正値算出部115が、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、仮補正値を算出し、チャネル利得に基づく重み付けを仮補正値に乗算して合成することにより、補正値を算出するステップと、送信重み付け値算出部116が、補正値と、第1の上り伝搬チャネル情報又は第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて、送信重み付け値を算出するステップと、送信部103が、送信重み付け値と、第2の上り伝搬チャネル情報と、に基づいて形成されたビームにより、他無線通信装置に所定信号を無線送信するステップと、を有する。
この構成により、補正値算出部115は、下り伝搬チャネル情報と、第1の上り伝搬チャネル情報(校正ステップで推定)と、に基づいて、仮補正値cn(m)を算出し、チャネル利得に基づく重み付けan(m)を、仮補正値cn(m)に乗算して合成することにより、補正値Cを算出する。
これにより、第2実施形態に係る無線通信装置、無線通信システム及び無線通信方法は、MU−MIMO伝送による通信の品質が高い。
つまり、第2実施形態に係る無線通信システムは、上り伝搬チャネル情報に基づいて送信重み付け値を算出し、算出した送信重み付け値に基づいて、MU−MIMO伝送を実行する。第2実施形態に係る無線通信システムは、データ送信局100とデータ受信局200−mとの特性差情報に基づいて、伝搬チャネル情報を補正することにより、実効的なスループットを向上させることができる。
インプリシット・フィードバック・ビームフォーミング技術では、上り伝搬チャネル情報に基づいて、下り伝搬チャネル情報を算出する際に、上り伝搬チャネル情報と下り伝搬チャネル情報との違いを校正する。このように、第2実施形態に係る無線通信システムは、データ受信局200−mによる仮補正値を単に公平に扱うことがないので、推定精度の低い仮補正値に引きずられて補正値Cの精度が劣化することがない。
第2実施形態に係る無線通信システムは、補正値Cを算出する際に、チャネル利得に基づいて、データ受信局200−mを重み付ける。ここで、第2実施形態に係る無線通信システムは、上述したように、時間ダイバーシティを利用してもよい。これにより、第2実施形態に係る無線通信システムは、信頼度の高い仮補正値cn(m)を、重み付けan(m)に基づいて優先し、高精度な補正値Cを算出して、MU−MIMOにおける通信品質を、より向上させることができる。
また、補正値算出部115は、複数の他無線通信装置のアンテナ毎に、複数の仮補正値を算出してもよい。
つまり、無線通信システムは、データ送信局が、相手局側の複数のアンテナ毎に、仮補正値を取得してもよい。
[第3実施形態]
第3実施形態では、無線通信システムがネットワーク制御サーバを備える点が、第1実施形態及び第2実施形態と相違する。第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態との相違点についてのみ説明する。
図7は、ネットワーク制御による無線通信システムの構成例を示すブロック図である。無線通信システムは、データ送信局100−1〜100−2と、データ受信局200−1〜200−Mと、ネットワーク制御サーバ300(サーバ装置)と、を備える。
データ送信局100−1は、固定設置され、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報を、ネットワーク制御サーバ300に送信する。データ送信局100−1は、補正値Cを示す情報または送信重み付け値を示す情報を、ネットワーク制御サーバ300から受信する。
データ送信局100−2は、固定設置され、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報を、ネットワーク制御サーバ300に送信する。データ送信局100−2は、補正値Cを示す情報または送信重み付け値を示す情報を、ネットワーク制御サーバ300から受信する。
ネットワーク制御サーバ300は、データ送信局100−1及びデータ送信局100−2と、有線で接続されている。ネットワーク制御サーバ300は、データ送信局100−1及びデータ送信局100−2の間で、データ通信を中継する。
ネットワーク制御サーバ300には、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報が、データ送信局100−1及びデータ送信局100−2から入力される。ネットワーク制御サーバ300は、補正値算出部115(図2を参照)と同様に、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報に基づいて、補正値Cを算出する。
ネットワーク制御サーバ300は、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。そして、ネットワーク制御サーバ300は、補正値Cを示す情報または送信重み付け値を示す情報を、データ送信局100−1及びデータ送信局100−2に通知する。
図8は、無線通信システムの動作手順例を示すタイミングチャートである。このタイミングチャートに示す無線パケット通信は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとに分けることができる。なお、このタイミングチャートに示す動作手順は、繰り返し実行される。
図8では、校正ステップには、ステップSb1〜ステップSb3が含まれる。また、上りチャネル推定ステップには、ステップSb4が含まれる。また、下りデータ送信ステップには、ステップSb5〜Sb8が含まれる。
ステップSb1及びSb2は、第2実施形態の図6に示すステップSa1及びSa2と同様である。ただし、この場合は、データ送信局100−1とデータ送信局100−2との間で情報(伝搬チャネル推定信号NDP)の通知が行われる。
(ステップSb3)ネットワーク制御サーバ300は、補正値Cおよび送信重み付け値を算出し、補正値Cを示す情報または送信重み付け値を示す情報を、データ送信局100−1及びデータ送信局100−2に通知する。
ステップSb4〜Sb8は、第2実施形態の図6に示すステップSa3〜Sa7と同様である。
以上により、データ送信局100の送信部103は、下り伝搬チャネル情報、第1の上り伝搬チャネル情報、及び、第2の上り伝搬チャネル情報の少なくとも一つを、ネットワーク制御サーバ300に送信する。つまり、無線通信システムは、データ送信局100−1とデータ送信局100−2との間で、既知信号を送受信し合い、得られるチャネル推定値の通知を、ネットワーク制御サーバ300を介して、通信する。本実施形態の無線通信装置、無線通信システム及び無線通信方法によれば、ネットワーク制御サーバ300が、上り伝搬チャネル情報及び下り伝搬チャネル情報を通知することに伴う圧縮誤差により、補正値Cの推定精度を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の第4〜第9実施形態における無線通信装置、及び無線通信方法を説明する。以下に説明する無線通信システムにおいて、無線通信装置としてのデータ送信局は、データ受信局からの上り回線の伝送で用いられたサブキャリアの伝搬チャネル情報又は送信重み付け値を取得する。データ送信局は、伝搬チャネル情報又は送信重み付け値を取得したサブキャリア以外のサブキャリアにおける伝搬チャネル情報又は送信重み付け値を、取得した伝搬チャネル情報又は送信重み付け値に基づいて補間する。データ送信局は、補間して得られた伝搬チャネル情報又は送信重み付け値を下り回線におけるMU−MIMO伝送で利用する。
図9は、本発明の第4〜第9実施形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。同図に示すように、無線通信システムは、データ送信局1100、並びに、データ送信局1100と無線パケット通信を行うデータ受信局1200−1及びデータ受信局1200−2を備えている。データ送信局1100と、データ受信局1200−1及びデータ受信局1200−2とは、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access /Collision Avoidance;搬送波検知多重アクセス/衝突回避)方式を用いて、同一周波数チャネルを用いて無線パケット通信を行う。データ送信局1100は、データ受信局1200−1及びデータ受信局1200−2にデータを送信する際には同一時刻に同一周波数帯を用いた空間多重伝送(MU−MIMO)を行う。
無線パケット通信において送受信される無線パケットには、送信局と宛先局とを示す識別子が含まれる。ここで、送信局とは無線パケットを生成し送信した装置である。宛先局とは無線パケットの宛先となる装置である。例えば、データ送信局1100は無線LANにおけるアクセスポイントなどであり、データ受信局1200−1及びデータ受信局1200−2は無線LANにおけるコンピュータや携帯型の情報電子機器などである。図9においては、無線通信システムが二台のデータ受信局1200(1200−1、1200−2)を備える例を示しているが、三台以上のデータ受信局1200を備えていてもよいし、一台のデータ受信局1200を備えていてもよい。
以下の説明において、データ送信局1100とデータ受信局1200−1との間のサブキャリア番号kの下り回線における伝搬チャネル情報をHd1,kとし、データ送信局1100とデータ受信局1200−2との間のサブキャリア番号kの下り回線における伝搬チャネル情報をHd2,kとする。また、データ送信局1100とデータ受信局1200−1との間のサブキャリア番号kの上り回線における伝搬チャネル情報をHu1,kとし、データ送信局1100とデータ受信局1200−2との間のサブキャリア番号kの上り回線における伝搬チャネル情報をHu2,kとする。
[第4実施形態]
第4実施形態における無線通信システムは、図9に示したように、データ送信局1100と複数のデータ受信局1200とを備えている。図10は、第4実施形態におけるデータ送信局1100の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、データ送信局1100は、アンテナ1101−1〜1101−Nと、受信部1102−1〜1102−Nと、復調部1103と、伝搬チャネル推定部1104と、伝搬チャネル校正部1105と、伝搬チャネル補間部1106と、送信重み付け値算出部1107と、データ変換インターフェース部1108と、変調部1109と、重み付け演算部1110と、送信部1111−1〜1111−Nとを備えている。
受信部1102−1〜1102−Nそれぞれは、接続されているアンテナ1101−1〜1101−Nを介して受信した受信信号の周波数をベースバンド周波数に変換するとともに、受信電力などの調整を行い、変換および調整がなされた受信信号を復調部1103に出力する。
復調部1103は、受信部1102−1〜1102−Nそれぞれから入力される受信信号を復調する。復調部1103は、復調により得られたデータ信号のうち、伝搬チャネル推定用の信号(既知信号)を伝搬チャネル推定部1104に出力し、他のデータ信号をデータ変換インターフェース部1108に出力する。
伝搬チャネル推定部1104は、復調部1103から入力される伝搬チャネル推定用の信号と、既知の伝搬チャネル推定用の信号とを比較することにより、アンテナ1101−1〜1101−Nそれぞれとデータ受信局1200との間の上り回線におけるサブキャリアごとの伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部1104は、推定した伝搬チャネル情報を伝搬チャネル校正部1105に出力する。
伝搬チャネル校正部1105は、伝搬チャネル推定部1104から入力される伝搬チャネル情報に対して予め定められた校正値を用いて、上り回線における伝搬チャネル情報から下り回線における伝搬チャネル情報を算出する。伝搬チャネル校正部1105は、算出した下り回線の伝搬チャネル情報を伝搬チャネル補間部1106に出力する。下り回線の伝搬チャネル情報Hd,kは、次式(11)を用いて算出される。なお、行列Hd,kは行列Hd1,kと行列Hd2,kとを要素とする行列である。
式(11)における行列Ckは、上り回線の伝搬チャネル情報Hu,kを下り回線の伝搬チャネル情報Hd,kへ校正するための校正行列(校正値)である。なお、行列Hu,kは行列Hu1,kと行列Hu2,kとを要素とする行列である。
伝搬チャネル補間部1106には、伝搬チャネル校正部1105から伝搬チャネル情報が入力される。伝搬チャネル補間部1106は、無線通信システムにおいて利用するすべてのサブキャリアのうち、伝搬チャネル校正部1105から入力された伝搬チャネル情報のサブキャリア以外のサブキャリアに対する伝搬チャネル情報を補間する。伝搬チャネル情報の補間は、例えば、入力された伝搬チャネル情報の複写や平均などにより行う。伝搬チャネル補間部1106は、入力された伝搬チャネル情報と、補間により得られた伝搬チャネル情報とを送信重み付け値算出部1107に出力する。
無線通信システムにおいて利用するサブキャリアのうち伝搬チャネル校正部1105から入力された伝搬チャネル情報のサブキャリア以外のサブキャリア(以下、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリア)における伝搬チャネル情報を複写により補間する場合について説明する。伝搬チャネル補間部1106は、入力された伝搬チャネル情報のサブキャリアのサブキャリア番号において、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアのサブキャリア番号kに最も近いサブキャリア番号を検出する。伝搬チャネル補間部1106は、検出したサブキャリア番号に対応する伝搬チャネル情報を、サブキャリア番号kのサブキャリアにおける伝搬チャネル情報に複写する。すなわち、伝搬チャネル補間部1106は、次式(12)により伝搬チャネル情報を補間する。
式(12)における「^(ハット)」が上に付されているkは、対応する伝搬チャネル情報が存在するサブキャリアのサブキャリア番号のうち、サブキャリア番号kに最も近いサブキャリアの番号を示す。以下、数式などにおいて「^(ハット)」が上に付されている文字は、「^」を文字の前に記して表す。例えば、式(12)の右辺における伝搬チャネル情報は、「Hd,^k」と表す。
伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアにおける伝搬チャネル情報を平均により補間する場合について説明する。伝搬チャネル補間部1106は、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアの近傍のサブキャリアのうち対応する伝搬チャネル情報が存在するサブキャリアの伝搬チャネル情報の平均値を算出する。伝搬チャネル補間部1106は、算出した伝搬チャネル情報の平均値を、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアの伝搬チャネル情報にして補間する。なお、近傍のサブキャリアとは、予め定めた範囲内のサブキャリアである。
例えば、サブキャリア番号(k−1)及びキャリア番号(k+1)に対応する伝搬チャネル情報が存在する場合、サブキャリア番号kに対応する伝搬チャネル情報は(Hd,k−1+Hd,k+1)/2となる。また、次式(13)を用いて伝搬チャネル情報の平均値を算出するようにしてもよい。なお、Nは平均数を示す。
送信重み付け値算出部1107は、伝搬チャネル補間部1106から入力される下り回線の伝搬チャネル情報に基づいて、各サブキャリアに対応する送信重み付け値を算出する。送信重み付け値算出部1107は、算出した送信重み付け値を重み付け演算部1110に出力する。送信重み付け値算出部1107が送信重み付け値を算出する方法として、線形演算ではZF(Zero Forcing)法やMMSE(Minimum Mean Squared Error)法などを用い、非線形演算ではTHP(Tomlinson Harashima Precoding)法やVP(Vector Perturbation)法などを用いることができる。なお、送信重み付け値算出部1107は、前述の手法のいずれか、又は他の手法を用いて送信重み付け値を算出する。
データ変換インターフェース部1108は、復調部1103から入力されるデータ信号を、外部の装置において用いられるパケットに変換し、変換により得られたパケットを外部の装置や外部のネットワークに出力する。また、データ変換インターフェース部1108は、外部の装置や外部のネットワークから入力されるパケットをデータ信号に変換し、変換により得られたデータ信号を変調部1109に出力する。
変調部1109は、データ変換インターフェース部1108から入力されるデータ信号を変調して無線パケット信号を生成し、生成した無線パケット信号を重み付け演算部1110に出力する。
重み付け演算部1110には、変調部1109から無線パケット信号が入力され、送信重み付け値算出部1107から送信重み付け値が入力される。重み付け演算部1110は、送信重み付け値ごとに無線パケット信号を乗算し、送信部1111−1〜1111−Nに乗算結果を示す送信信号を出力する。
送信部1111−1〜1111−Nそれぞれは、重み付け演算部1110から入力される送信信号の周波数を無線通信システムにおいて規定されている無線周波数に変換するとともに、送信電力の調整などを行い、変換および調整がなされた送信信号をアンテナ1101−1〜1101−Nから送出する。送信重み付け値を用いた送信により、データ送信局1100は各データ受信局1200宛のデータを多重化して送信することができる。
図11は、本実施形態におけるデータ受信局1200の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、データ受信局1200は、アンテナ1201と、受信部1202と、復調部1203と、データ変換インターフェース部1204と、伝搬チャネル情報推定信号生成部1205と、変調部1206と、送信部1207とを備えている。
受信部1202は、接続されているアンテナ1201を介して受信した受信信号の周波数をベースバンド周波数に変換するとともに、受信電力の調整などを行い、変換および調整がなされた受信信号を復調部1203に出力する。
復調部1203は、受信部1202から入力される受信信号を復調する。復調部1203は、復調により得られたデータ信号をデータ変換インターフェース部1204に出力する。
データ変換インターフェース部1204は、復調部1203から入力されるデータ信号を外部の装置において用いられるパケットに変換し、変換により得られたパケットを外部の装置や外部のネットワークに出力する。
伝搬チャネル情報推定信号生成部1205は、伝搬チャネル推定用の信号(既知信号)を生成し、生成した信号を変調部1206に出力する。
変調部1206は、伝搬チャネル情報推定信号生成部1205から入力される伝搬チャネル推定用の信号とデータ送信局1100宛に送信する信号とを変調して無線パケット信号を生成する。変調部1206は、生成した無線パケット信号を送信部1207に出力する。
送信部1207は、変調部1206から入力される無線パケット信号の周波数を無線通信システムにおいて規定されている無線周波数に変換するとともに、送信電力の調整などを行い、変換および調整がなされた無線パケット信号をアンテナ1201から送出する。
図12は、本実施形態における無線通信システムの通信動作例を示すタイムチャートである。同図に示す通信動作例では、データ送信局1100においてデータ受信局1200−1及びデータ受信局1200−2宛のパケットが連続的に生起し、データ伝送が連続で行われる場合の一部の動作が示されている。
時刻T1において、データ受信局1200−1は、データ送信局1100宛に時刻T1より前において受信したデータに対する応答確認信号(Block Acknowledge:BA)を送信する。なお、応答確認信号の送信は、従来規格のデータ送信局やデータ受信局などが受信できるように「20MHz×4の配置」の形式で行われる。
データ送信局1100は、データ受信局1200−1から応答確認信号を受信した後に、時刻T1より前においてデータ受信局1200−2宛に送信したデータを含むパケット信号をデータ受信局1200−2が誤りなく復号したか否かを確認するために、応答確認信号の送信を指示する応答確認指示信号(Block Acknowledge Request:BAR)をデータ受信局1200−2宛に送信する。
データ受信局1200−2は、データ送信局1100から応答確認指示信号を受信すると、指示に応じて応答確認信号を送信する。データ受信局1200−2による応答確認信号の送信も、「20MHz×4の配置」の形式で行われる。
データ送信局1100は、各データ受信局1200から受信した応答確認信号に含まれる既知信号(伝搬チャネル推定用の信号)に基づいて、上り回線の伝搬チャネル情報を推定する。データ送信局1100は、推定した上り回線の伝搬チャネル情報に対して伝搬チャネルの校正及び補間を行った後に送信重み付け値の算出を行う。
時刻T2において、データ送信局1100は、算出した送信重み付け値を用いて、データ受信局1200−1宛のデータ(Data1)を含む無線パケット信号とデータ受信局1200−2宛のデータ(Data2)を含む無線パケット信号との送信をMU−MIMOで行う。
時刻T3において、データ受信局1200−1は、時刻T2において送信された自データ受信局宛のデータ(Data1)を誤りなく復号すると、応答確認信号(BA)をデータ送信局1100宛に送信する。
データ送信局1100は、データ受信局1200−1から応答確認信号を受信した後に、時刻T2においてデータ受信局1200−2宛に送信したデータ(Data2)をデータ受信局1200−2が誤りなく復号したか否かを確認するために、応答確認信号の送信を指示する応答確認指示信号(Block Acknowledge Request:BAR)をデータ受信局1200−2宛に送信する。
データ受信局1200−2は、データ送信局1100から応答確認指示信号を受信すると、指示に応じて応答確認信号を送信する。
以上のように、本実施形態におけるデータ送信局1100は、各データ受信局1200から受信する応答確認信号に含まれる既知信号に基づいて、上り回線の伝搬チャネル情報を取得し、上り回線の伝搬チャネル情報を校正して下り回線の伝搬チャネル情報を算出する。データ送信局1100は、応答確認信号に基づいて下り回線の伝搬チャネル情報を得ることができなかったサブキャリアの下り回線の伝搬チャネル情報を、得られた伝搬チャネル情報に基づいた補間により取得する。
データ受信局1200が「20MHz×4の配置」の形式で送信した応答確認信号から伝搬チャネル情報を得ることができなかったサブキャリアが存在する場合でも、データ送信局1100は、当該サブキャリアにおける伝搬チャネル情報を補間することにより、下り回線のMU−MIMOを用いた送信において必要となる送信重み付け値を算出することができる。なお、データ受信局1200が「20MHz×4の配置」の形式で応答確認信号を送信した場合を一例として説明した。しかし、本実施形態はこの例に限られず、データ受信局1200から受信した信号に基づいて伝搬チャネル情報が得られないサブキャリアがあるときには、データ送信局1100が当該サブキャリアの伝搬チャネル情報を補間するようにしてもよい。
本実施形態のデータ送信局1100を用いることにより、基地局推定法を用いた場合においてデータ受信局1200−1やデータ受信局1200−2からの受信信号から伝搬チャネル情報が得られない場合においても、MU−MIMOで必要となる送信重み付け値を取得することができる。例えば、データ受信局1200が「20MHz×4の配置」の形式で応答確認信号などを送信した場合において既知信号が得られないサブキャリアが存在しても、各サブキャリアにおける送信重み付け値が得られるのでMU−MIMO伝送を適用することができ、MU−MIMO伝送の適用範囲を拡大させることができる。
[第5実施形態]
第5実施形態における無線通信システムでは、第4実施形態における無線通信システムが備えるデータ送信局1100に代えて、以下に説明するデータ送信局を備える。図13は、第5実施形態におけるデータ送信局1300の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、データ送信局1300は、アンテナ1101−1〜1101−Nと、受信部1102−1〜1102−Nと、復調部1103と、伝搬チャネル推定部1104と、伝搬チャネル校正部1105と、送信重み付け値算出部1107と、送信重み付け補間部1312と、データ変換インターフェース部1108と、変調部1109と、重み付け演算部1110と、送信部1111−1〜1111−Nとを備えている。
本実施形態におけるデータ送信局1300は、伝搬チャネル補間部1106に代えて送信重み付け補間部1312を備えている点が第4実施形態におけるデータ送信局1100(図10)と異なっている。データ送信局1300において、伝搬チャネル校正部1105から出力される伝搬チャネル情報が送信重み付け値算出部1107に入力され、送信重み付け補間部1312において算出される送信重み付け値が重み付け演算部1110に入力される。なお、データ送信局1300において、データ送信局1100が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
送信重み付け補間部1312には、送信重み付け値算出部1107において算出される送信重み付け値が入力される。データ送信局1300において、伝搬チャネル校正部1105から送信重み付け値算出部1107に入力される伝搬チャネル情報は、各データ受信局1200から受信した信号に基づいて得られたサブチャネルの伝搬チャネル情報である。そのため、送信重み付け値算出部1107において算出される送信重み付け値には、伝搬チャネル情報が得られなかったサブチャネルの送信重み付け値が欠けている。
送信重み付け補間部1312は、送信重み付け値が欠けているサブチャネルの送信重み付け値を、送信重み付け値算出部1107から入力された送信重み付け値に基づいて補間する。送信重み付け補間部1312による補間は、入力された送信重み付け値の複写や平均などによって行われる。送信重み付け補間部1312は、入力された送信重み付け値と、補間により得られた送信重み付け値とを重み付け演算部1110に出力する。
無線通信システムにおいて利用するサブキャリアのうち送信重み付け値算出部1107から入力された送信重み付け値のサブキャリア以外のサブキャリア(以下、送信重み付け値が不足しているサブキャリア)における送信重み付け値を複写により補間する場合について説明する。送信重み付け補間部1312は、入力された送信重み付け値のサブキャリアのサブキャリア番号において、送信重み付け値が不足しているサブキャリアのサブキャリア番号kに最も近いサブキャリア番号を検出する。送信重み付け補間部1312は、検出したサブキャリア番号に対応する送信重み付け値を、サブキャリア番号kのサブキャリアにおける送信重み付け値に複写する。すなわち、送信重み付け補間部1312は、次式(14)により送信重み付け値を補間する。
式(14)における行列Wkはサブキャリア番号kのサブキャリアにおける送信重み付け値を示す。行列W^kは、送信重み付け値算出部1107から入力された送信重み付け値のうちサブキャリア番号kに最も近いサブキャリア番号のサブキャリアにおける送信重み付け値である。
送信重み付け値が不足しているサブキャリアにおける送信重み付け値を平均により補間する場合について説明する。送信重み付け補間部1312は、送信重み付け値が不足しているサブキャリアの近傍のサブキャリアのうち対応する送信重み付け値が存在するサブキャリアの送信重み付け値の平均値を算出する。送信重み付け補間部1312は、算出した送信重み付け値の平均値を、送信重み付け値が不足しているサブキャリアの送信重み付け値にして補間する。なお、近傍のサブキャリアとは、予め定めた範囲内のサブキャリアである。
例えば、サブキャリア番号(k−1)及びサブキャリア番号(k+1)に対応する送信重み付け値が存在する場合、サブキャリア番号kに対応する伝搬チャネル情報は(Wk−1+Wk+1)/2となる。また、次式(15)を用いて送信重み付け値の平均値を算出するようにしてもよい。なお、Nは平均数を示し、近傍のサブキャリアを定める。
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第4実施形態における無線通信システムの通信動作と同じであるので説明を省略する。本実施形態におけるデータ送信局1300では、伝搬チャネル情報を補間することに代えて送信重み付け値を補間することにより、すべてのサブキャリアの伝搬チャネル情報を揃えてから送信重み付け値を算出する場合に比べてすべてのサブキャリアの送信重み付け値の算出に要する演算量を削減することができる。
[第6実施形態]
第6実施形態における無線通信システムでは、第4実施形態における無線通信システムが備えるデータ送信局1100に代えて、以下に説明するデータ送信局を備える。図14は、第6実施形態におけるデータ送信局1400の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、データ送信局1400は、アンテナ1101−1〜1101−Nと、受信部1102−1〜1102−Nと、復調部1103と、伝搬チャネル推定部1104と、伝搬チャネル校正部1105と、伝搬チャネル記憶部1413と、伝搬チャネル補間部1414と、送信重み付け値算出部1107と、データ変換インターフェース部1108と、変調部1109と、重み付け演算部1110と、送信部1111−1〜1111−Nとを備えている。
本実施形態におけるデータ送信局1400は、伝搬チャネル補間部1106に代えて伝搬チャネル補間部1414を備えている点と、伝搬チャネル記憶部1413を更に備えている点とが、第4実施形態におけるデータ送信局1100(図10)と異なっている。データ送信局1400において、伝搬チャネル校正部1105から出力される下り回線の伝搬チャネル情報は伝搬チャネル記憶部1413及び伝搬チャネル補間部1414に入力される。また、送信重み付け値算出部1107には伝搬チャネル補間部1414から出力される下り回線の伝搬チャネル情報が入力される。なお、データ送信局1400において、データ送信局1100が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
伝搬チャネル記憶部1413は、伝搬チャネル校正部1105から入力される下り回線の伝搬チャネル情報をサブキャリアごとに記憶する。データ受信局1200から受信した信号に基づいて下り回線の伝搬チャネル情報が得られる都度、得られた下り回線の伝搬チャネル情報が伝搬チャネル記憶部1413に記憶されることになる。例えば、データ受信局1200が「80MHzの配置」の形式で応答確認信号などを送信した際には下り回線の伝搬チャネル情報が多くのサブキャリアにおいて得られ、伝搬チャネル記憶部1413に記憶される。
なお、既に記憶している伝搬チャネル情報が存在するサブキャリアにおける伝搬チャネル情報が伝搬チャネル校正部1105から入力された場合には、伝搬チャネル記憶部1413は、記憶している伝搬チャネル情報を新たに入力された伝搬チャネル情報で上書きするようにしてもよい。あるいは、伝搬チャネル記憶部1413は、記憶している伝搬チャネル情報と入力された伝搬チャネル情報とに対して忘却係数に基づいた加重平均を算出し、算出結果で上書きするようにしてもよい。
伝搬チャネル補間部1414には、伝搬チャネル校正部1105から下り回線の伝搬チャネル情報が入力される。伝搬チャネル補間部1414は、無線通信システムにおいて利用するすべてのサブキャリアのうち、伝搬チャネル校正部1105から入力される伝搬チャネル情報のサブキャリア以外のサブキャリアに対する伝搬チャネル情報を補間する。伝搬チャネル情報の補間は、例えば、入力された伝搬チャネル情報と、伝搬チャネル記憶部1413に記憶されている伝搬チャネル情報とを用いて行う。伝搬チャネル補間部1414は、入力された伝搬チャネル情報と、補間により得られた伝搬チャネル情報とを送信重み付け値算出部1107に出力する。
伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアにおける伝搬チャネル情報の補間として二つの手法を例として説明する。一つ目の手法は、入力された伝搬チャネル情報のうち伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアのサブキャリア番号に最も近いサブキャリア番号に対応する伝搬チャネル情報と、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアに対応する伝搬チャネル情報であって伝搬チャネル記憶部1413に記憶されている伝搬チャネル情報との加重平均を算出することにより、伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアの伝搬チャネル情報を補間する。例えば、伝搬チャネル補間部1414は、次式(16)を用いて、サブキャリア番号kのサブキャリアにおける下り回線の伝搬チャネル情報を補間する。
式(16)において、αは重み係数であり、αの値は0から1までの範囲の値である。行列Hd,^kは、伝搬チャネル校正部1105から入力された伝搬チャネル情報のうちサブキャリア番号kに最も近いサブキャリア番号のサブキャリアにおける伝搬チャネル情報である。行列^Hd,kは伝搬チャネル記憶部1413に記憶されているサブキャリア番号kのサブキャリアにおける伝搬チャネル情報である。
二つ目の手法は、伝搬チャネル校正部1105から入力された伝搬チャネル情報のうち伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアのサブキャリア番号kの近傍のサブキャリア番号に対応する伝搬チャネル情報の平均値と、伝搬チャネル記憶部1413に記憶されているサブキャリア番号kに対応する伝搬チャネル情報との加重平均を算出することにより、サブキャリア番号kの伝搬チャネル情報を補間する。例えば、伝搬チャネル補間部1414は、次式(17)を用いて、サブキャリア番号kのサブキャリアにおける下り回線の伝搬チャネル情報を補間する。伝搬チャネル情報の平均値を算出する際の対象となる近傍のサブキャリアはN(平均数)で予め定められる。
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第4実施形態における無線通信システムの通信動作と同じであるので説明を省略する。本実施形態におけるデータ送信局1400では、直近の受信において得られた伝搬チャネル情報と、過去の受信において得られた伝搬チャネル情報とを用いて伝搬チャネル情報が不足しているサブキャリアの伝搬チャネル情報を補間することにより、伝搬チャネル情報を補間する精度を高くすることができ、MU−MIMO伝送の品質を向上させることができる。
[第7実施形態]
第7実施形態における無線通信システムでは、第5実施形態における無線通信システムが備えるデータ送信局1300に代えて、以下に説明するデータ送信局を備える。図15は、第7実施形態におけるデータ送信局1500の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、データ送信局1500は、アンテナ1101−1〜1101−Nと、受信部1102−1〜1102−Nと、復調部1103と、伝搬チャネル推定部1104と、伝搬チャネル校正部1105と、送信重み付け値算出部1107と、送信重み付け記憶部1513と、送信重み付け補間部1514と、データ変換インターフェース部1108と、変調部1109と、重み付け演算部1110と、送信部1111−1〜1111−Nとを備えている。
本実施形態におけるデータ送信局1500は、送信重み付け補間部1312に代えて送信重み付け補間部1514を備えている点と、送信重み付け記憶部1513を更に備えている点とが、第5実施形態におけるデータ送信局1300(図13)と異なっている。データ送信局1500において、送信重み付け値算出部1107から出力される送信重み付け値は送信重み付け記憶部1513及び送信重み付け補間部1514に入力され、重み付け演算部1110には送信重み付け補間部1514から出力される送信重み付け値が入力される。なお、データ送信局1500において、データ送信局1300が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
送信重み付け記憶部1513は、送信重み付け値算出部1107から入力される送信重み付け値をサブキャリアごとに記憶する。データ受信局1200から受信した信号に基づいて送信重み付け値が得られる都度、得られた送信重み付け値情報が送信重み付け記憶部1513に記憶されることになる。例えば、データ受信局1200が「80MHzの配置」の形式で応答確認信号などを送信した際には送信重み付け値を多くのサブキャリアにおいて得ることができ、得られた送信重み付け値情報が送信重み付け記憶部1513に記憶される。
なお、既に記憶している送信重み付け値が存在するサブキャリアにおける送信重み付け値が送信重み付け値算出部1107から入力された場合には、送信重み付け記憶部1513は、記憶している送信重み付け値を新たに入力された送信重み付け値で上書きするようにしてもよい。あるいは、送信重み付け記憶部1513は、記憶している送信重み付け値と入力された送信重み付け値に対して忘却係数に基づいた加重平均を算出し、算出結果で上書きするようにしてもよい。
送信重み付け補間部1514には、送信重み付け値算出部1107から送信重み付け値が入力される。送信重み付け補間部1514は、無線通信システムにおいて利用するすべてのサブキャリアのうち、送信重み付け値算出部1107から入力される送信重み付け値のサブキャリア以外のサブキャリアに対する送信重み付け値を補間する。送信重み付け値の補間は、例えば、入力された送信重み付け値と、送信重み付け記憶部1513に記憶されている送信重み付け値とを用いて行う。送信重み付け補間部1514は、入力された送信重み付け値と、補間により得られた送信重み付け値とを重み付け演算部1110に出力する。
送信重み付け値が不足しているサブキャリアにおける送信重み付け値の補間として二つの手法を例として説明する。一つ目の手法は、入力された送信重み付け値のうち送信重み付け値が不足しているサブキャリアのサブキャリア番号に最も近いサブキャリア番号に対応する送信重み付け値と、送信重み付け値が不足しているサブキャリアに対応する送信重み付け値であって送信重み付け記憶部1513に記憶されている送信重み付け値との加重平均を算出することにより、送信重み付け値が不足しているサブキャリアの送信重み付け値を補間する。例えば、送信重み付け補間部1514は、次式(18)を用いて、サブキャリア番号kのサブキャリアにおける送信重み付け値を補間する。
式(18)において、行列W^kは、送信重み付け値算出部1107から入力された送信重み付け値のうちサブキャリア番号kに最も近いサブキャリア番号のサブキャリアにおける送信重み付け値である。行列^Wkは送信重み付け記憶部1513に記憶されているサブキャリア番号kのサブキャリアにおける送信重み付け値である。
二つ目の手法は、送信重み付け値算出部1107から入力された送信重み付け値のうち送信重み付け値が不足しているサブキャリアのサブキャリア番号kの近傍のサブキャリア番号に対応する送信重み付け値の平均値と、送信重み付け記憶部1513に記憶されているサブキャリア番号kに対応する送信重み付け値との加重平均を算出することにより、サブキャリア番号kの送信重み付け値を補間する。例えば、送信重み付け補間部1514は、次式(19)を用いて、サブキャリア番号kのサブキャリアにおける送信重み付け値を補間する。送信重み付け値の平均値を算出する際の対象となるサブキャリアはN(平均数)で予め定められる。
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第5実施形態における無線通信システムの通信動作と同じであるので説明を省略する。本実施形態におけるデータ送信局1500では、直近の受信において得られた送信重み付け値と、過去の受信において得られた送信重み付け値とを用いて送信重み付け値が不足しているサブキャリアの送信重み付け値を補間することにより、補間の精度を高くすることができ、MU−MIMO伝送の品質を向上させることができる。
[第8実施形態]
第8実施形態における無線通信システムでは、第6実施形態における無線通信システムが備えるデータ送信局1400に代えて、以下に説明するデータ送信局を備える。図16は、第8実施形態におけるデータ送信局1600の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、データ送信局1600は、アンテナ1101−1〜1101−Nと、受信部1102−1〜1102−Nと、復調部1103と、伝搬チャネル推定部1104と、伝搬チャネル校正部1105と、伝搬チャネル記憶部1413と、伝搬チャネル相関算出部1614と、伝搬チャネル補間部1615と、送信重み付け値算出部1107と、データ変換インターフェース部1108と、変調部1109と、重み付け演算部1110と、送信部1111−1〜1111−Nとを備えている。
本実施形態におけるデータ送信局1600は、伝搬チャネル補間部1414に代えて伝搬チャネル補間部1615を備えている点と、伝搬チャネル相関算出部1614を更に備えている点とが第6実施形態におけるデータ送信局1400(図14)と異なっている。データ送信局1600において、伝搬チャネル校正部1105から出力される下り回線の伝搬チャネル情報は伝搬チャネル記憶部1413と伝搬チャネル相関算出部1614と伝搬チャネル補間部1615とに入力される。送信重み付け値算出部1107には伝搬チャネル補間部1615から下り回線の伝搬チャネル情報が入力される。なお、データ送信局1600において、データ送信局1400が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
伝搬チャネル相関算出部1614には、伝搬チャネル校正部1105から下り回線の伝搬チャネル情報が入力される。伝搬チャネル相関算出部1614は、入力された伝搬チャネル情報のサブキャリアと同じサブキャリアの伝搬チャネル情報を伝搬チャネル記憶部1413から読み出す。伝搬チャネル相関算出部1614は、入力された伝搬チャネル情報と、読み出した伝搬チャネル情報とに基づいて、周波数帯域ごとに相関値を算出する。伝搬チャネル相関算出部1614は、算出した各周波数帯域の相関値を伝搬チャネル補間部1615に出力する。ここで、相関値の算出対象となる周波数帯域は、無線通信システムにおいて利用する周波数帯を分割することによって得られる複数の周波数帯域のうちの予め定められた周波数帯域である。伝搬チャネル相関算出部1614は、例えば、次式(20)を用いて、周波数帯域ごとの相関値Sを算出する。
式(20)において、Aは行列Hd,k(サブキャリア番号kの下り回線の伝搬チャネル情報)の行数であり、Bは行列Hd,kの列数であり、hd,k,a,bは行列Hd,kにおけるa行b列の要素である。^hd,k,a,bは、行列^Hd,k(伝搬チャネル記憶部1413に記憶されているサブキャリア番号kの伝搬チャネル情報)におけるa行b列の要素である。また、^hd,k,a,bHは^hd,k,a,bの複素共役である。式(20)におけるkは周波数帯域それぞれに含まれるサブキャリアのサブキャリア
番号kである。
伝搬チャネル補間部1615には、伝搬チャネル校正部1105から伝搬チャネル情報が入力され、伝搬チャネル相関算出部1614から各周波数帯域の相関値が入力される。伝搬チャネル補間部1615は、相関値に基づいて各周波数帯域に含まれるサブキャリアの伝搬チャネル情報を補間する際の手法を切り替える。具体的には、相関値が予め定められた閾値より小さい場合、伝搬チャネル補間部1615は、第4実施形態における伝搬チャネル補間部1106と同様に、入力された伝搬チャネル情報の複写や平均などにより伝搬チャネル情報の補間を行う。相関値が閾値以上の場合、伝搬チャネル補間部1615は、第6実施形態における伝搬チャネル補間部1414と同様に、入力された伝搬チャネル情報と、伝搬チャネル記憶部1413に記憶されている伝搬チャネル情報とを用いて補間を行う。
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第6実施形態における無線通信システムの通信動作と同じであるので説明を省略する。本実施形態におけるデータ送信局1600では、伝搬チャネル記憶部1413に記憶されている伝搬チャネル情報と、受信信号に基づいて得られた伝搬チャネル情報との相関値を算出し、相関値に基づいて伝搬チャネル情報を補間する際の手法を選択する。例えば、伝搬チャネル記憶部1413に記憶されている伝搬チャネル情報と現在の伝搬チャネル情報との差が大きい場合には、記憶されている伝搬チャネル情報を用いずに伝搬チャネル情報を補間する。相関値に基づいて補間の手法を切り替えることにより、伝搬チャネル情報を補間する精度を更に高くすることができ、MU−MIMO伝送の品質を向上させることができる。
[第9実施形態]
第9実施形態における無線通信システムでは、第7実施形態における無線通信システムが備えるデータ送信局1500に代えて、以下に説明するデータ送信局を備える。図17は、第9実施形態におけるデータ送信局1700の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、データ送信局1700は、アンテナ1101−1〜1101−Nと、受信部1102−1〜1102−Nと、復調部1103と、伝搬チャネル推定部1104と、伝搬チャネル校正部1105と、送信重み付け値算出部1107と、送信重み付け記憶部1513と、送信重み付け相関算出部1714と、送信重み付け補間部1715と、データ変換インターフェース部1108と、変調部1109と、重み付け演算部1110と、送信部1111−1〜1111−Nとを備えている。
本実施形態におけるデータ送信局1700は、送信重み付け補間部1514に代えて送信重み付け補間部1715を備えている点と、送信重み付け相関算出部1714を更に備えている点とが第7実施形態におけるデータ送信局1500(図15)と異なっている。データ送信局1700において、送信重み付け値算出部1107から出力される送信重み付け値は送信重み付け記憶部1513と送信重み付け相関算出部1714と送信重み付け補間部1715とに入力される。重み付け演算部1110には送信重み付け補間部1715から送信重み付け値が入力される。なお、データ送信局1700において、データ送信局1500が備える機能部と同じ機能部に対しては同じ符号を付して説明を省略する。
送信重み付け相関算出部1714には、送信重み付け値算出部1107から送信重み付け値が入力される。送信重み付け相関算出部1714は、入力された送信重み付け値のサブキャリアと同じサブキャリアの送信重み付け値を送信重み付け記憶部1513から読み出す。送信重み付け相関算出部1714は、入力された送信重み付け値と、読み出した送信重み付け値とに基づいて、周波数帯域ごとに相関値を算出する。送信重み付け相関算出部1714は、算出した各周波数の相関値を送信重み付け補間部1715に出力する。送信重み付け相関算出部1714は、例えば、次式(21)を用いて、周波数帯域ごとの相関値Sを算出する。
式(21)において、Aは行列Wk(サブキャリア番号kの送信重み付け値)の行数であり、Bは行列Wkの列数であり、wk,a,bは行列Wkにおけるa行b列の要素である。^wk,a,bは行列^Wk(送信重み付け記憶部1513に記憶されているサブキャリア番号kの送信重み付け値)におけるa行b列の要素である。また、^wk,a,bHは^wk,a,bの複素共役である。式(21)におけるkは周波数帯域それぞれに含まれるサブキャリアのサブキャリア番号kである。
送信重み付け補間部1715には、送信重み付け値算出部1107から送信重み付け値が入力され、送信重み付け相関算出部1714から各周波数帯域の相関値が入力される。送信重み付け補間部1715は、相関値に基づいて、各周波数帯域に含まれるサブキャリアの送信重み付け値を補間する手法を切り替える。具体的には、相関値が閾値より小さい場合、送信重み付け補間部1715は、第5実施形態における送信重み付け補間部1312と同様に、入力された送信重み付け値の複写や平均などにより送信重み付け値の補間を行う。相関値が閾値以上の場合、送信重み付け補間部1715は、第7実施形態における送信重み付け補間部1514と同様に、入力された送信重み付け値と、送信重み付け記憶部1513に記憶されている送信重み付け値とを用いて補間を行う。
本実施形態における無線通信システムの通信動作は、第7実施形態における無線通信システムの通信動作と同じであるので説明を省略する。本実施形態におけるデータ送信局1700では、送信重み付け記憶部1513に記憶されている送信重み付け値と、受信信号に基づいて得られた送信重み付け値との相関値を算出し、相関値に基づいて送信重み付け値を補間する際の手法を選択する。例えば、送信重み付け記憶部1513に記憶されている送信重み付け値と現在の送信重み付け値との差が大きい場合には、記憶されている送信重み付け値を用いずに送信重み付け値を補間する。相関値に基づいて補間の手法を切り替えることにより、送信重み付け値を補間する精度を更に高くすることができ、MU−MIMO伝送の品質を向上させることができる。
第4〜第9実施形態における無線通信システムでは、データ送信局が受信信号に基づいて伝搬チャネル情報又は送信重み付け値を算出し、伝搬チャネル情報又は送信重み付け値を得られなかったサブキャリアに関しては、算出した伝搬チャネル情報又は送信重み付け値に基づいて補間を行う。伝搬チャネル情報又は送信重み付け値を補間することにより、複数のデータ受信局がデータ送信局に対して送信した信号から伝搬チャネル情報が得られない場合においても、複数のデータ受信局に対するMU−MIMO(同一時刻に同一周波数帯を用いた空間多重伝送)で必要となる送信重み付け値を取得することができる。
[第10実施形態]
本発明の第10実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図18は、本実施形態における、MU−MIMOによる無線通信システム2001の構成例を示す図である。無線通信システム2001は、データ送信局2100(基地局装置)と、データ受信局2200−1〜2200−M(Mは、2以上の整数)(端末局装置)とを備える。
以下、データ受信局2200−1〜2200−Mに共通する事項については、符号の一部を省略して、「データ受信局2200」と表記する。以下、データ送信局2100からデータ受信局2200への向きを、「下り」という。また、データ受信局2200からデータ送信局2100への向きを、「上り」という。
データ送信局2100は、無線通信装置である。データ送信局2100は、例えば、無線LAN(Local Area Network)におけるアクセスポイント(AP: Access Point)である。データ送信局2100は、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、データ送信局2100を識別するための識別子と、データ受信局2200を識別するための識別子とを含む。
データ送信局2100は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとを含む通信処理により、データ受信局2200との間で無線パケット通信を実行する。データ送信局2100は、CSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance:搬送波検知多重アクセス/衝突回避) 方式に基づき、同一周波数チャネルを用いて、データ受信局2200との無線パケット通信を実行する。
データ受信局2200(STA : Station)は、データ送信局2100との間で無線パケット通信を実行する。データ受信局2200は、データ送信局2100が生成する無線パケットの宛先となる装置である。データ受信局2200は、例えば、コンピュータ、携帯型の情報電子機器である。
次に、データ送信局2100の構成例を説明する。
図19は、本実施形態における、データ送信局2100の構成例を示す図である。データ送信局2100は、アンテナ2102と、送信部2103と、受信部2104と、変調部2105と、重み付け演算部2106と、受信信号強度算出部2107と、伝搬チャネル推定部2108と、復調部2109と、データ変換インターフェース部2110と、校正係数算出部2111と、相関処理部2112と、送信重み付け値算出部2116とを備える。
データ送信局2100は、アンテナ2102−1〜2102−N(Nは、2以上の整数)を備える。以下、アンテナ2102−1〜2102−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「アンテナ2102」と表記する。
データ送信局2100は、送信部2103を、アンテナ2102毎に備える。つまり、データ送信局2100は、送信部2103−1〜2103−Nを備える。以下、送信部2103−1〜2103−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「送信部2103」と表記する。
データ送信局2100は、受信部2104(取得部)を、アンテナ2102毎に備える。つまり、データ送信局2100は、受信部2104−1〜2104−Nを備える。以下、受信部2104−1〜2104−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「受信部2104」と表記する。
アンテナ2102は、無線パケットを示す信号を、データ受信局2200との間で送受信する。以下、データ送信局2100のアンテナ2102を介して送信することを、「下り送信」という。以下、データ送信局2100のアンテナ2102を介して受信することを、「上り受信」という。
受信部2104−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)は、アンテナ2102−nを介して、無線パケットを示す信号を受信する。受信部2104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部2104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号に対して、受信電力の調整等を実行する。受信部2104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号を、復調部2109と、受信信号強度算出部2107とに出力する。
この上り受信した無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSIFB:Channel State Information - Feedback)を含むことがある。また、この上り受信した無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報の推定に使用される既知の信号(以下、「既知信号」という。)を含むことがある。既知信号は、例えば、ヌル・データ・パケット(NDP: Null Data Packet)である。また、この上り受信した無線パケットを示す信号は、所定の応答確認信号(BA: Block Acknowledgement)を含むことがある。
受信信号強度算出部2107は、上り受信した無線パケットを示す信号を、受信部2104から取得する。受信信号強度算出部2107は、上り受信した無線パケットを示す信号に基づいて、受信信号強度(受信電力)(RSSI : Received Signal Strength Indicator)を算出する。受信信号強度算出部2107は、受信信号強度を示す情報を、復調部2109と、相関処理部2112とに出力する。
復調部2109(取得部)は、上り受信した無線パケットを示す信号を、受信部2104から取得する。復調部2109は、上り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。上り受信した無線パケットを示す信号は、データ送信局2100からいずれかのデータ受信局2200への下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ部分に含む場合がある。復調部2109は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部2108と、校正係数算出部2111と、データ変換インターフェース部2110とに出力する。
データ変換インターフェース部2110は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部2109から取得する。データ変換インターフェース部2110は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置するインターフェースである。データ変換インターフェース部2110は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
また、データ変換インターフェース部2110は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワークから受信する。データ変換インターフェース部2110は、外部のネットワークから受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部2105に出力する。
伝搬チャネル推定部2108は、上り受信した無線パケットを示す信号を、復調部2109から取得する。上り受信した無線パケットを示す信号は、データ送信局2100からいずれかのデータ受信局2200への下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ部分に含む場合がある。伝搬チャネル推定部2108は、下り伝搬チャネル情報を含む無線パケットを示す信号を取得した場合、下り伝搬チャネル情報をデータ部分に含むパケットのトレーニングプリアンブル部分に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
また、上り受信した無線パケットを示す信号は、既知信号(例えば、NDP)を、データ部分に含む場合がある。伝搬チャネル推定部2108は、上り受信した既知信号と、予め定められた推定用信号とを比較する。伝搬チャネル推定部2108は、この比較結果に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部2108は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とを、校正係数算出部2111と、送信重み付け値算出部2116とに出力する。
校正係数算出部2111は、下り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部2108から取得する。また、校正係数算出部2111は、いずれかのデータ受信局2200からデータ送信局2100への上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部2108から取得する。校正係数算出部2111は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、高精度化処理前の校正係数(以下、「処理前校正係数」という。)を算出する。つまり、校正係数算出部2111は、データ送信局2100における送信側の回路特性と受信側の回路特性との比に基づいて、処理前校正係数を算出する。校正係数算出部2111は、処理前校正係数を示す情報を、相関処理部2112に出力する。
相関処理部2112は、処理前校正係数を示す情報を、校正係数算出部2111から取得する。相関処理部2112は、受信信号強度を示す情報を、受信信号強度算出部2107から取得する。校正係数は、周波数方向に相関がある。相関処理部2112は、校正係数の周波数方向の相関に基づく高精度化処理を処理前校正係数に施すことにより、高精度化処理後の校正係数(以下、「処理後校正係数」という。)を算出する。相関処理部2112は、受信信号強度に基づく高精度化処理を処理前校正係数に施すことにより、高精度化処理後の校正係数(以下、「処理後校正係数」という。)を算出する。相関処理部2112は、処理後校正係数を示す情報を、送信重み付け値算出部2116に出力する。
送信重み付け値算出部2116は、上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部2108から取得する。送信重み付け値算出部2116は、処理後校正係数を示す情報を、相関処理部2112から取得する。送信重み付け値算出部2116は、上り伝搬チャネル情報と、処理後校正係数とに基づいて、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。送信重み付け値算出部2116は、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部2106に出力する。
送信重み付け値算出部2116は、ZF(Zero Forcing)法、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法などの線形演算による方法に基づいて、送信重み付け値を算出する。また、送信重み付け値算出部2116は、THP(Tomlison Harashima Precoding)法、VP(Vector Perturbation)法などの非線形演算による方法に基づいて、送信重み付け値を算出してもよい。なお、送信重み付け値を算出する方法は、どのような方法でもよく、特定の方法に限定されない。
変調部2105は、変換したデータ信号を、データ変換インターフェース部2110から取得する。変調部2105は、変換したデータ信号を、無線パケットを示す信号に変調する。変調部2105は、変調された無線パケットを示す信号を、重み付け演算部2106に出力する。
重み付け演算部2106は、変調された無線パケットを示す信号を、変調部2105から取得する。重み付け演算部2106は、送信重み付け値を示す情報を、送信重み付け値算出部2116から取得する。重み付け演算部2106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。下り送信する無線パケットを示す信号は、送信ビームの形成に使用される信号である。重み付け演算部2106は、下り送信する無線パケットを示す信号を、送信部2103に出力する。
送信部2103は、下り送信する無線パケットを示す信号を、重み付け演算部2106から取得する。送信部2103は、下り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システム2001で規定される所定の周波数に変換する。また、送信部2103−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)は、下り送信する無線パケットを示す信号に対して、送信電力の調整等を実行する。送信部2103−nは、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ2102−nに出力する。
次に、データ受信局2200の構成例を説明する。
図20は、本実施形態における、データ受信局2200の構成例を示す図である。データ受信局2200は、アンテナ2202と、送信部2203と、受信部2204と、変調部2205と、伝搬チャネル推定部2208と、復調部2209と、データ変換インターフェース部2210とを備える。
アンテナ2202は、無線パケットを示す信号を、データ送信局2100との間で送受信する。以下、データ受信局2200のアンテナ2202を介して送信することを、「上り送信」という。以下、データ受信局2200のアンテナ2202を介して受信することを、「下り受信」という。
受信部2204は、アンテナ2202を介して、無線パケットを示す信号を受信する。受信部2204は、下り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部2204は、下り受信した無線パケットを示す信号に対して、受信電力の調整等を実行する。受信部2204は、下り受信した無線パケットを示す信号を、復調部2209に出力する。
復調部2209は、下り受信した無線パケットを示す信号を、受信部2204から取得する。復調部2209は、下り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。復調部2209は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部2208と、データ変換インターフェース部2210とに出力する。
データ変換インターフェース部2210は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部2209から取得する。データ変換インターフェース部2210は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置するインターフェースである。データ変換インターフェース部2210は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
また、データ変換インターフェース部2210は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワークから受信する。データ変換インターフェース部2210は、外部のネットワークから受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部2205に出力してもよい。
伝搬チャネル推定部2208は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部2209から取得する。伝搬チャネル推定部2208は、下り受信した既知信号と、予め定められた推定用信号とを比較する。伝搬チャネル推定部2208は、この比較結果に基づいて、下り伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部2208は、下り伝搬チャネル情報を示す伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、変調部2205に出力する。
変調部2205は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、伝搬チャネル推定部2208から取得する。変調部2205は、伝搬チャネル情報フィードバックを変調する。変調部2205は、伝搬チャネル情報フィードバックを、送信部2203に出力する。変調部2205は、既知信号(NDP)を、データ変換インターフェース部2210から取得する。変調部2205は、既知信号を変調する。変調部2205は、所定の応答確認信号(BA)を、データ変換インターフェース部2210から取得する。変調部2205は、所定の応答確認信号を変調する。変調部2205は、上り送信する無線パケットを示す信号を、送信部2203に出力する。
変調部2205は、データ信号を、データ変換インターフェース部2210から取得する。変調部2105は、データ信号を、無線パケットを示す信号に変調する。変調部2205は、変調された無線パケットを示す信号を、送信部2203に出力する。
送信部2203は、上り送信する無線パケットを示す信号を、変調部2205から取得する。送信部2203は、上り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システムで規定される所定の周波数に変換する。送信部2203は、上り送信する無線パケットを示す信号に対して、送信電力の調整等を実行する。送信部2203は、上り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ2202に出力する。
この上り送信する無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSIFB)を含むことがある。また、この上り送信する無線パケットを示す信号は、既知信号を含むことがある。また、この上り送信する無線パケットを示す信号は、所定の応答確認信号(BA)を含むことがある。
次に、無線通信システム2001の動作例について説明する。
図21は、本実施形態における、無線通信システムの動作例を示すタイミングチャートである。データ送信局2100は、データ受信局2200に送信する送信データを生成する。データ送信局2100は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとを含む通信処理により、データ受信局2200との間で無線パケット通信を実行する。
(i)校正ステップ
データ送信局2100は、既知信号(NDP)を、データ受信局2200に送信する。データ受信局2200は、既知信号を受信する。データ受信局2200は、受信した既知信号に基づいて、下り伝搬チャネル情報を推定する。データ受信局2200は、下り伝搬チャネル情報をデータ部分に含む伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、データ送信局2100に送信する。
復調部2109は、下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ受信局2200から、受信部2104を介して取得する。
伝搬チャネル推定部2108は、伝搬チャネル情報フィードバックのトレーニングプリアンブル部分に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。以下、説明を簡便にするため、式(22)〜式(29)では、校正係数は、推定誤差を含まない表記で書かれる。
校正係数算出部2111は、下り伝搬チャネル情報と、推定された上り伝搬チャネル情報とに基づいて、校正係数C[k]を算出する。下り伝搬チャネル情報HD[k]は、式(22)で表される。
ここで、kは、サブキャリア番号を示す。Nは、データ送信局2100のアンテナ2102の数を示す。Mは、データ受信局2200の台数である。H[k]は、空中の伝搬チャネル情報の応答(通信路応答)を示す。GRS[k]は、データ受信局2200の受信部2204の回路特性を示す。GTA[k]は、データ送信局2100の送信部2103の回路特性を示す。
空中の伝搬チャネル情報の応答H[k]と、データ受信局2200の受信部2204の回路特性GRS[k]と、データ送信局2100の送信部2103の回路特性GTA[k]とは、式(23)で表される。
また、上り伝搬チャネル情報HU[k]は、式(24)で表される。
ここで、GTS[k]は、データ受信局2200の送信部2203の回路特性を示す。GRA[k]は、データ送信局2100の受信部2104の回路特性を示す。
データ受信局2200の送信部2203の回路特性GTS[k]と、データ送信局2100の受信部2104の回路特性GRA[k]とは、式(25)で表される。
式(26)に示す校正係数C[k]の算出には、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とが用いられる。
送信重み付け値算出部2116は、上り伝搬チャネル情報HU[k]と、校正係数C[k]とを、式(27)に示すように乗算する。送信重み付け値算出部2116は、校正済の上り伝搬チャネル情報HC[k]に基づいて、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。
式(27)に示す校正係数C[k]は、式(28)を満たす。式(28)に示すβ[k]は、任意の複素数である。
例えば、データ受信局2200−mとアンテナ2102−nとの間の伝搬チャネル情報の推定値を用いて得る校正係数cn(m)[k]は、式(29)で表される。
式(29)に示す校正係数cn(m)[k]は、推定誤差を含まない表記で書かれているが、実際には、伝搬チャネル情報が推定された際に推定誤差を含む。
以下、式中での変数hの上の記号「^」を、本文中では変数hの前に記載し、「(^h)」と表記する。また、以下、式中での変数cの上の記号「^」を、本文中では変数cの前に記載し、「(^c)」と表記する。また、以下、式中での変数cの上の記号「〜」は、本文中では変数cの前に記載し、「(〜c)」と表記する。以下、推定誤差を含む伝搬チャネル情報を、(^h)D,m,1[k]、(^h)U,m,1[k]、(^h)D,
m,n[k]、(^h)U,m,n[k]とそれぞれ表記する。
ここで、(^h)D,m,1[k]は、下り伝搬チャネル情報HDの成分のうち、m番目のデータ受信局2200−mの受信部2204及びアンテナ2202と、データ送信局2100の1番目の送信部2103−1及びアンテナ2102−1と、による成分である。
また、(^h)U,m,1[k]は、上り伝搬チャネル情報HUの成分のうち、m番目のデータ受信局2200−mの受信部2204及びアンテナ2202と、データ送信局2100の1番目の送信部2103−1及びアンテナ2102−1と、による成分である。
また、(^h)D,m,n[k]は、下り伝搬チャネル情報HDの成分のうち、m番目のデータ受信局2200−mの受信部2204及びアンテナ2202と、データ送信局2100のn番目の送信部2103−n及びアンテナ2102−nと、による成分である。
また、(^h)U,m,n[k]は、上り伝搬チャネル情報HUの成分のうち、m番目のデータ受信局2200−mの受信部2204及びアンテナ2202と、データ送信局2100のn番目の送信部2103−n及びアンテナ2102−nと、による成分である。
処理前校正係数(^c)n(m)[k]は、推定誤差を含むこれらの伝搬チャネル情報に基づいて得られる。処理前校正係数(^c)n(m)[k]は、式(30)で表される。
相関処理部2112は、式(30)に示す処理前校正係数(^c)n(m)[k]を示す情報を、校正係数算出部2111から取得する。相関処理部2112は、校正係数の周波数方向の相関を利用した高精度化処理を、式(30)に示す処理前校正係数(^c)(m)[k]に施す。相関処理部2112は、この高精度化処理により、処理後校正係数
(〜c)n(m)[k]を得る。相関処理部2112は、処理後校正係数(〜c)n(m)[k]を、式(27)に示す校正係数C[k]として、送信重み付け値算出部2116に出力する。
送信重み付け値算出部2116は、上り伝搬チャネル情報HU[k]と、式(27)に示す校正係数C[k]としての処理後校正係数(〜c)n(m)[k]とを、式(27)に示すように乗算することにより、送信重み付け値を算出する。重み付け演算部2106
は、変調された無線パケットを示す信号と、送信重み付け値とを乗算する。
(i−1)校正ステップにおける、周波数方向の単純な合成
以下、任意の一つのサブキャリアkに対し、一例として、データ受信局2200−mの処理前校正係数(^c)n(1)[k]を利用する方法について説明する。
相関処理部2112は、式(31)に示すように、処理前校正係数(^c)n(m)[k]と、周波数方向に予め定められた近隣(隣からR個まで)のサブキャリアに対応する
処理前校正係数(^c)n(m)[k±1],…,処理前校正係数(^c)n(m)[k±R]とを合成する。これにより、相関処理部2112は、雑音の影響を低減させることができる。
ここで、「a0,a±1,…,a±R」は、校正係数の周波数方向の相関に対応する重み係数である。周波数方向の相関に対応する重み係数は、式(32)を満たすように定められる。
一般に、重み係数の間には、「a0≧a±1≧…≧a±R≧0」の関係が成り立つ。重み係数a0は、校正係数の周波数方向の相関が低いほど、相対的に大きく定められる。Rは、利用する近隣のサブキャリアの数を示す。サブキャリアの数Rは、予め定められた定数でもよいし、適応的に定められてもよい。例えば、回路特性の周波数応答の振幅変動が所定閾値よりも大きい場合、サブキャリアの数Rは、所定数よりも小さくなるよう適応的に定められてもよい。
受信信号強度(RSSI)が小さいほど雑音の影響が大きいので、受信信号強度が小さいほど校正係数の周波数方向の相関を利用することによる効果は高くなる。受信信号強度が所定値よりも小さい場合、重み係数a0以外の重み係数が相対的に大きく、かつ、サブキャリアの数Rが相対的に大きく定められることにより、周波数方向の相関を利用することによる効果は高くなる。
(i−2)校正ステップにおける、重み付け合成校正方法との組み合わせ
複数の処理前校正係数(^c)n(1)[k],…,(^c)n(Mc)[k]を、任意の一つのサブキャリアkに対して利用する重み付け合成校正方法と、校正係数の周波数
方向の相関に対応する重み係数との組み合わせは、式(33)により表される。
校正係数の周波数方向の相関に対応する重み係数「a0,a±1,…,a±R」は、式(34)を満たすように定められる。
式(32)で説明したように、重み係数a0は、校正係数の周波数方向の相関が低いほど、相対的に大きく定められる。
相関処理部2112は、処理前校正係数(^c)n(m)[k]と、処理前校正係数(^c)n(m)[k±1],…,処理前校正係数(^c)n(m)[k±R]とのうちから、信号対雑音比 (SNR : Signal-to-Noise Ratio) が最も高い処理前校正係数を選択する。相関処理部2112は、選択した処理前校正係数を、処理後校正係数(〜c)n[k]と定める。
信号対雑音比は、式(30)により処理前校正係数(^c)n(m)[k]が表される場合、例えば、式(35)に示すように定義される。
(ii)上りチャネル推定ステップ
データ受信局2200は、既知信号(例えば、NDP)をデータ送信局2100に送信する。データ受信局2200が送信する既知信号は、上り伝搬チャネル情報HU[k]の推定に使用される。
復調部2109は、既知信号(例えば、NDP)を、データ受信局2200から、受信部2104を介して取得する。
伝搬チャネル推定部2108は、データ受信局2200が送信する既知信号に基づいて、上り伝搬チャネル情報HU[k]を推定する。
(iii)下りデータ送信ステップ
送信重み付け値算出部2116は、処理後校正係数(〜c)n[k]と、上記(ii)上りチャネル推定ステップで得られた上り伝搬チャネル情報HU[k]とを乗算する。送信重み付け値算出部2116は、校正済の上り伝搬チャネル情報HC[k]に基づいて、送信重み付け値を算出する。送信重み付け値は、送信ビームの形成に使用される。重み付け演算部2106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。
送信部2103は、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ2102に出力する。アンテナ2102は、下り送信する無線パケットを示す信号を、データ受信局2200に空間多重送信(MIMO伝送)する。
データ受信局2200は、無線パケットを示す信号を受信する。データ受信局2200は、無線パケットを示す信号を誤りなく復号できたか否かを判定する。データ受信局2200は、無線パケットを示す信号を誤りなく復号できた場合、所定の応答確認信号(BA)をデータ送信局2100に送信する。
データ送信局2100は、確認応答要求信号(BAR:BA Request)を、データ受信局2200に送信する。確認応答要求信号は、所定の応答確認信号(BA)の送信を要求するための信号である。データ受信局2200は、確認応答要求信号を受信した場合、応答確認信号をデータ送信局2100に送信する。データ送信局2100は、データ受信局2200が送信した応答確認信号を受信する。データ送信局2100は、データ受信局2200が無線パケットを示す信号を誤りなく復号できたか否かを、データ受信局2200が送信した応答確認信号に基づいて判定する。
以上のように、本実施形態のデータ送信局2100(無線通信装置)は、受信部2104と、復調部2109と、伝搬チャネル推定部2108と、校正係数算出部2111と、相関処理部2112と、送信重み付け値算出部2116と、重み付け演算部2106と、送信部2103とを備える。
受信部2104と復調部2109は、パケットを取得する。
伝搬チャネル推定部2108は、パケットに基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。例えば、伝搬チャネル推定部2108は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を含むパケットのトレーニングプリアンブル部分に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。また、例えば、伝搬チャネル推定部2108は、既知信号に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
校正係数算出部2111は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、処理前校正係数を算出する。
相関処理部2112は、処理前校正係数の周波数方向の相関に基づいて、処理後校正係数を決定する。
送信重み付け値算出部2116は、処理後校正係数と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、送信重み付け値を算出する。
重み付け演算部2106と送信部2103は、送信重み付け値に基づいて、データ受信局2200に所定信号を無線送信する。
また、本実施形態のデータ送信局2100(無線通信装置)における無線通信方法は、パケットを取得するステップと、上り伝搬チャネル情報を推定するステップと、処理前校正係数を算出するステップと、処理後校正係数を決定するステップと、送信重み付け値を算出するステップと、所定信号を無線送信するステップとを有する。
パケットを取得するステップでは、受信部2104と復調部2109は、パケットを取得する。
上り伝搬チャネル情報を推定するステップでは、伝搬チャネル推定部2108は、パケットに基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
処理前校正係数を算出するステップでは、校正係数算出部2111は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、処理前校正係数を算出する。
処理後校正係数を決定するステップでは、相関処理部2112は、処理前校正係数の周波数方向の相関に基づいて、処理後校正係数を決定する。
送信重み付け値を算出するステップでは、送信重み付け値算出部2116は、処理後校正係数と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、送信重み付け値を算出する。
無線送信するステップでは、重み付け演算部2106と送信部2103は、送信重み付け値に基づいて、データ受信局2200に所定信号を無線送信する。
この構成により、相関処理部2112が、処理前校正係数の周波数方向の相関に基づいて、処理後校正係数を決定する。つまり、相関処理部2112は、処理前校正係数の周波数方向の相関を利用して、校正精度を向上させる。これにより、データ送信局2100及び無線通信方法は、MIMO伝送による通信の品質を向上させることができる。
インプリシット・フィードバック・ビームフォーミング技術では、アップリンクの伝搬チャネル情報を用いて、ダウンリンクの伝搬チャネル情報を算出する際に、上りと下りにおける伝搬チャネル情報の違いを校正する校正係数cnの精度を向上させる必要がある。しかし、雑音や周波数選択性フェージングにより、校正係数の推定精度の劣化が生じ、伝送特性の劣化が生じる場合がある。
本実施形態の無線通信システム2001は、校正係数の周波数方向の相関を利用して、隣接する周波数の校正係数の推定精度を向上させる。これにより、無線通信システム2001は、MIMO−OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)システムにおける上り伝搬チャネル情報の校正精度を向上させることができる。無線通信システム2001は、送信重み付け値の精度を向上させることができる。また、無線通信システム2001は、送信ビーム形成を行う無線通信システムの伝送特性を向上させることができる。
本実施形態の相関処理部2112は、周波数方向に予め定められた近隣のサブキャリアに対応する処理前校正係数の相関に応じた重み付けに基づいて、近隣のサブキャリアに対応する処理前校正係数を合成する。本実施形態の相関処理部2112は、合成した結果に基づいて処理後校正係数を決定する。つまり、本実施形態の相関処理部2112は、処理前校正係数の相関を重みとした合成を実行する。
本実施形態の校正係数算出部2111は、処理前校正係数をデータ受信局2200ごとに算出する。つまり、本実施形態の校正係数算出部2111は、空間方向に、複数の処理前校正係数を算出する。
本実施形態の相関処理部2112は、チャネル利得に基づく重み付けと、周波数方向に予め定められた近隣のサブキャリアの相関とに基づいて、処理前校正係数を合成する。
本実施形態の校正係数算出部2111は、処理前校正係数を時刻ごとに算出する。つまり、本実施形態の校正係数算出部2111は、時間方向に、複数の処理前校正係数を算出する。
本実施形態の相関処理部2112は、周波数方向に予め定められた近隣のサブキャリアに対応する処理前校正係数のうちから、信号対雑音比(SNR)が最も高い処理前校正係数を、処理後校正係数として選択する。
本実施形態の相関処理部2112は、受信信号強度(RSSI)が所定値よりも小さい場合、校正に利用するサブキャリアの数を相対的に大きくする。
[第11実施形態]
本発明の第11実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図22は、本実施形態における、MU−MIMOによる無線通信システム3001の構成例を示す図である。無線通信システム3001は、データ送信局3100(基地局装置)と、データ受信局3200−1〜3200−M(Mは、2以上の整数)(端末局装置)とを備える。
以下、データ受信局3200−1〜3200−Mに共通する事項については、符号の一部を省略して、「データ受信局3200」と表記する。以下、データ送信局3100からデータ受信局3200への向きを、「下り」という。また、データ受信局3200からデータ送信局3100への向きを、「上り」という。
データ送信局3100は、無線通信装置である。データ送信局3100は、例えば、無線LAN(Local Area Network)におけるアクセスポイント(AP: Access Point)である。データ送信局3100は、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、データ送信局3100を識別するための識別子と、データ受信局3200を識別するための識別子とを含む。
データ送信局3100は、(i)校正ステップと、(ii)第1の下りデータ送信ステップと、(iii)確認応答及び上りチャネル推定ステップと、(iv)第2の下りデータ送信ステップとを含む通信処理により、データ受信局3200との間で無線パケット通信を実行する。データ送信局3100は、CSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance:搬送波検知多重アクセス/衝突回避) 方式に基づき、同一周波数チャネルを用いて、データ受信局3200との無線パケット通信を実行する。
データ受信局3200(STA : Station)は、データ送信局3100との間で無線パケット通信を実行する。データ受信局3200は、データ送信局3100が生成する無線パケットの宛先となる装置である。データ受信局3200は、例えば、コンピュータ、携帯型の情報電子機器である。
次に、データ送信局3100の構成例を説明する。
図23は、本実施形態における、データ送信局3100の構成例を示す図である。データ送信局3100は、アンテナ3102と、送信部3103と、受信部3104と、変調部3105と、重み付け演算部3106と、伝搬チャネル推定部3108と、復調部3109と、データ変換インターフェース部3110と、校正係数算出部3111と、指定部3113と、送信重み付け値算出部3116とを備える。
データ送信局3100は、アンテナ3102−1〜3102−N(Nは、2以上の整数)を備える。以下、アンテナ3102−1〜3102−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「アンテナ3102」と表記する。
データ送信局3100は、送信部3103を、アンテナ3102毎に備える。つまり、データ送信局3100は、送信部3103−1〜3103−Nを備える。以下、送信部3103−1〜3103−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「送信部3103」と表記する。
データ送信局3100は、受信部3104(取得部)を、アンテナ3102毎に備える。つまり、データ送信局3100は、受信部3104−1〜3104−Nを備える。以下、受信部3104−1〜3104−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「受信部3104」と表記する。
アンテナ3102は、無線パケットを示す信号を、データ受信局3200との間で送受信する。以下、データ送信局3100がアンテナ3102を介して送信することを、「下り送信」という。以下、データ送信局3100がアンテナ3102を介して受信することを、「上り受信」という。
受信部3104−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)は、アンテナ3102−nを介して、無線パケットを示す信号を受信する。受信部3104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部3104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号に対して、受信電力の調整等を実行する。受信部3104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号を、復調部3109に出力する。
この上り受信した無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSIFB)を含むことがある。また、この上り受信した無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報の推定に対応した既知の信号(以下、「既知信号」という。)を含むことがある。既知信号は、例えば、下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を含むパケットのフレームのトレーニングプリアンブルに含まれる場合がある。また、この上り受信した無線パケットを示す信号は、所定の応答確認信号(BA)を含むことがある。既知信号は、例えば、所定の応答確認信号(BA)を含むパケットのフレームのトレーニングプリアンブルに含まれる場合がある。
復調部3109(取得部)は、上り受信した無線パケットを示す信号を、受信部3104から取得する。復調部3109は、上り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。上り受信した無線パケットを示す信号は、データ送信局3100からいずれかのデータ受信局3200への下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ部分に含む場合がある。復調部3109は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部3108と、校正係数算出部3111と、データ変換インターフェース部3110とに出力する。
データ変換インターフェース部3110は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部3109から取得する。データ変換インターフェース部3110は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置するインターフェースである。データ変換インターフェース部3110は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
また、データ変換インターフェース部3110は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワークから受信する。データ変換インターフェース部3110は、外部のネットワークから受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部3105に出力する。
伝搬チャネル推定部3108は、上り受信した無線パケットを示す信号を、復調部3109から取得する。上り受信した無線パケットを示す信号は、データ送信局3100からいずれかのデータ受信局3200への下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ部分に含む場合がある。伝搬チャネル推定部3108は、下り伝搬チャネル情報を含む無線パケットを示す信号を取得した場合、下り伝搬チャネル情報をデータ部分に含むパケットのトレーニングプリアンブル部分に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
また、上り受信した無線パケットを示す信号は、既知信号(例えば、NDP)を、データ部分に含む場合がある。伝搬チャネル推定部3108は、上り受信した既知信号と、予め定められた推定用信号とを比較する。伝搬チャネル推定部3108は、この比較結果に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部3108は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とを、校正係数算出部3111と、送信重み付け値算出部3116とに出力する。
指定部3113は、送受信の形式をデータ受信局3200に対して指定する情報(以下、「形式指定情報」という。)を生成する。
形式指定情報は、例えば、予め定められた必要な帯域に対応した伝搬チャネル情報の推定に対応した既知信号を送信することを指定する情報を含む。形式指定情報は、例えば、受信時と同じアンテナ3202(後述)を使用して既知信号を送信するように、アンテナ3202を指定する情報を含む。この既知信号は、複数のアンテナ3202に対応する伝搬チャネル情報の推定に対応したトレーニング信号である。
形式指定情報は、例えば、校正係数が算出される場合における送信と受信とに共通して使用するアンテナ3202を選択するように、送受信に使用するアンテナ3202を指定する情報を含む。形式指定情報は、例えば、送受信に使用する複数のアンテナ3202に対応する上り伝搬チャネル情報の応答を推定することができるように、既知信号の形式を指定する情報を含む。この既知信号は、例えば、伝搬チャネル情報フィードバック(CSIFB:Channel State Information - Feedback)を含むパケットのプリアンブル部分に含まれる。
形式指定情報は、例えば、推定した下り伝搬チャネル情報をデータ受信局3200が分解せずに送信するように、送信の動作を指定する情報を含む。形式指定情報は、例えば、下り伝搬チャネル情報を含むパケットをアンテナ3202ごとに送信するように、送信の動作を指定する情報を含む。形式指定情報は、例えば、上り伝搬チャネル情報の推定を向上させる複数の既知信号を送信するように、送信の動作を指定する情報を含む。
指定部3113は、形式指定情報を変調部3105に出力する。変調部3105は、形式指定情報を変調し、変調された形式指定情報を含む信号を生成する。変調部3105により変調された形式指定情報を含む信号は、データ受信局3200に対して、アンテナ3102から送信される。
校正係数算出部3111は、下り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部3108から取得する。また、校正係数算出部3111は、いずれかのデータ受信局3200からデータ送信局3100への上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部3108から取得する。校正係数算出部3111は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、校正係数を算出する。つまり、校正係数算出部3111は、データ送信局3100における送信側の回路特性と受信側の回路特性との比に基づいて、校正係数を算出する。校正係数算出部3111は、校正係数を示す情報を、送信重み付け値算出部3116に出力する。
送信重み付け値算出部3116は、上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部3108から取得する。送信重み付け値算出部3116は、校正係数を示す情報を、校正係数算出部3111から取得する。送信重み付け値算出部3116は、上り伝搬チャネル情報と、校正係数とに基づいて、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。送信重み付け値算出部3116は、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部3106に出力する。
送信重み付け値算出部3116は、ZF(Zero Forcing)法、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法などの線形演算による方法に基づいて、送信重み付け値を算出する。また、送信重み付け値算出部3116は、THP(Tomlison Harashima Precoding)法、VP(Vector Perturbation)法などの非線形演算による方法に基づいて、送信重み付け値を算出してもよい。なお、送信重み付け値を算出する方法は、どのような方法でもよく、特定の方法に限定されない。
変調部3105は、変換したデータ信号を、データ変換インターフェース部3110から取得する。変調部3105は、変換したデータ信号を、無線パケットを示す信号に変調する。変調部3105は、変調された無線パケットを示す信号を、重み付け演算部3106に出力する。
重み付け演算部3106は、変調された無線パケットを示す信号を、変調部3105から取得する。重み付け演算部3106は、送信重み付け値を示す情報を、送信重み付け値算出部3116から取得する。重み付け演算部3106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。下り送信する無線パケットを示す信号は、送信ビームの形成に使用される信号である。重み付け演算部3106は、下り送信する無線パケットを示す信号を、送信部3103に出力する。
送信部3103は、下り送信する無線パケットを示す信号を、重み付け演算部3106から取得する。送信部3103は、下り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システム3001で規定される所定の周波数に変換する。また、送信部3103−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)は、下り送信する無線パケットを示す信号に対して、送信電力の調整等を実行する。送信部3103−nは、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ3102−nに出力する。
次に、データ受信局の構成例を説明する。
図24は、本実施形態における、データ受信局3200の構成例を示す図である。データ受信局3200は、アンテナ3202と、送信部3203と、受信部3204と、変調部3205と、伝搬チャネル推定部3208と、復調部3209と、データ変換インターフェース部3210と、判定部3211とを備える。
データ受信局3200は、アンテナ3202−1〜3202−P(Pは、2以上の整数)を備える。以下、アンテナ3202−1〜3202−Pに共通する事項については、符号の一部を省略して、「アンテナ3202」と表記する。
データ受信局3200は、送信部3203を、アンテナ3202毎に備える。つまり、データ受信局3200は、送信部3203−1〜3203−Pを備える。以下、送信部3203−1〜3203−Pに共通する事項については、符号の一部を省略して、「送信部3203」と表記する。
データ受信局3200は、受信部3204(取得部)を、アンテナ3202毎に備える。つまり、データ受信局3200は、受信部3204−1〜3204−Pを備える。以下、受信部3204−1〜3204−Pに共通する事項については、符号の一部を省略して、「受信部3204」と表記する。
アンテナ3202は、無線パケットを示す信号を、データ送信局3100との間で送受信する。以下、データ受信局3200のアンテナ3202を介して送信することを、「上り送信」という。以下、データ受信局3200のアンテナ3202を介して受信することを、「下り受信」という。
受信部3204は、アンテナ3202を介して、無線パケットを示す信号を受信する。受信部3204は、下り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部3204は、下り受信した無線パケットを示す信号に対して、受信電力の調整等を実行する。受信部3204は、下り受信した無線パケットを示す信号を、復調部3209に出力する。
復調部3209は、下り受信した無線パケットを示す信号を、受信部3204から取得する。復調部3209は、下り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。復調部3209は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部3208と、データ変換インターフェース部3210とに出力する。
データ変換インターフェース部3210は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部3209から取得する。データ変換インターフェース部3210は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置するインターフェースである。データ変換インターフェース部3210は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
また、データ変換インターフェース部3210は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワークから受信する。データ変換インターフェース部3210は、外部のネットワークから受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部3205に出力してもよい。
伝搬チャネル推定部3208は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部3209から取得する。伝搬チャネル推定部3208は、下り受信した既知信号と、予め定められた推定用信号とを比較する。伝搬チャネル推定部3208は、この比較結果に基づいて、下り伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部3208は、下り伝搬チャネル情報を示す伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、変調部3205に出力する。
判定部3211は、形式指定情報を復調部3209から取得する。判定部3211は、形式指定情報に基づいて、データ受信局3200による送受信の形式を判定する。判定部3211は、形式指定情報に基づいて、アンテナ3202から予め定められた必要な帯域に対応した伝搬チャネル情報の推定に対応した既知信号を送信させる。判定部3211は、形式指定情報に基づいて、受信時と同じアンテナ3202を使用して既知信号を送信するように、送信に使用するアンテナ3202を選択する。
判定部3211は、形式指定情報に基づいて、校正係数が算出される場合における送信と受信とに共通して使用するアンテナ3202を選択する。判定部3211は、形式指定情報に基づいて、送受信に使用する複数のアンテナ3202に対応する上り伝搬チャネル情報の応答を推定することができるように、既知信号の形式を決定する。
判定部3211は、形式指定情報に基づいて、推定した下り伝搬チャネル情報を分解せずに、下り伝搬チャネル情報を含むパケットを、アンテナ3202から送信させる。判定部3211は、形式指定情報に基づいて、下り伝搬チャネル情報を含むパケットを、アンテナ3202ごとに送信させる。判定部3211は、形式指定情報に基づいて、上り伝搬チャネル情報の推定を向上させる複数の既知信号を、アンテナ3202から送信させる。
変調部3205は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、伝搬チャネル推定部3208から取得する。変調部3205は、伝搬チャネル情報フィードバックを変調する。変調部3205は、伝搬チャネル情報フィードバックを、送信部3203に出力する。変調部3205は、所定の応答確認信号(BA)を、データ変換インターフェース部3210から取得する。変調部3205は、所定の応答確認信号を変調する。変調部3205は、上り送信する無線パケットを示す信号を、送信部3203に出力する。
変調部3205は、データ信号を、データ変換インターフェース部3210から取得する。変調部3205は、データ信号を、無線パケットを示す信号に変調する。変調部3205は、変調された無線パケットを示す信号を、送信部3203に出力する。
送信部3203は、上り送信する無線パケットを示す信号を、変調部3205から取得する。送信部3203は、上り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システムで規定される所定の周波数に変換する。送信部3203は、上り送信する無線パケットを示す信号に対して、送信電力の調整等を実行する。送信部3203は、上り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ3202に出力する。
この上り送信する無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSIFB)を含むことがある。また、この上り送信する無線パケットを示す信号は、所定の応答確認信号(BA)を含むことがある。
次に、無線通信システム3001の動作例について説明する。
図25は、本実施形態における、無線通信システムの動作例を示すタイミングチャートである。データ送信局3100は、データ受信局3200に送信する送信データを生成する。データ送信局3100は、(i)校正ステップと、(ii)第1の下りデータ送信ステップと、(iii)確認応答及び上りチャネル推定ステップと、(iv)第2の下りデータ送信ステップとを含む通信処理により、データ受信局3200との間で無線パケット通信を実行する。
(i)校正ステップ
指定部3113は、データ受信局3200が複数のアンテナ3202を介して信号を受信する場合、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)のフレームのトレーニングプリアンブルの形式を、複数のアンテナ3102とアンテナ3202に対応する伝搬チャネル情報を推定できる形式に指定する。
校正係数算出部3111は、データ受信局3200の回路特性(回路応答)の振幅が一定値に近似できない場合、IEEE802.11.ac規格で規定されている特異値分解の特異値と右特異ベクトル(V行列)とのみに基づいて、校正係数を算出することができない。そのため、指定部3113は、推定した下り伝搬チャネル情報の応答(通信路応答)をデータ受信局3200が分解せずに送信するように、形式指定情報を生成する。
データ送信局3100は、予め定められた信号に形式指定情報を格納する。この予め定められた信号は、例えば、ヌル・データ・パケット・アナウンスメント(NDPA : Null Data Packet Announcement)である。指定部3113は、例えば、NDPAフレームのMACフレーム内のビットを使用して、形式指定情報を定める。IEEE802.11.ac規格が拡張された場合、指定部3113は、例えば、「Sounding dialog token field」の「reserved 」部分に、指定ビットフィールドを生成する。データ送信局3100は、形式指定情報が格納された予め定められた信号を、データ受信局3200に送信する。
データ受信局3200は、形式指定情報が格納された予め定められた信号を受信する。判定部3211は、形式指定情報に基づいて、送信と受信とに共通のアンテナ3202を使用するよう、アンテナ3202を選択する。
データ送信局3100は、既知信号をデータ受信局3200に送信する。この既知信号は、例えば、ヌル・データ・パケット (NDP)である。
データ受信局3200は、受信した既知信号に基づいて、下り伝搬チャネル情報を推定する。データ受信局3200は、下り伝搬チャネル情報をデータ部分に含む伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、選択したアンテナ3202から、データ送信局3100に送信する。
復調部3109は、下り伝搬チャネル情報(CSI-FB)を、データ受信局3200から、受信部3104を介して取得する。
伝搬チャネル推定部3108は、伝搬チャネル情報フィードバックのトレーニングプリアンブル部分に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
校正係数算出部3111は、下り伝搬チャネル情報と、推定された上り伝搬チャネル情報とに基づいて、校正係数を算出する。
(ii)エクスプリシット・フィードバック(EFB)を使用する、第1の下りデータ送信ステップ
送信重み付け値算出部3116は、上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部3108から取得する。送信重み付け値算出部3116は、校正係数を示す情報を、校正係数算出部3111から取得する。送信重み付け値算出部3116は、上り伝搬チャネル情報と、校正係数とに基づいて、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。送信重み付け値算出部3116は、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部3106に出力する。
重み付け演算部3106は、変調された無線パケットを示す信号を、変調部3105から取得する。重み付け演算部3106は、送信重み付け値を示す情報を、送信重み付け値算出部3116から取得する。重み付け演算部3106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。
送信部3103は、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ3102に出力する。アンテナ3102は、下り送信する無線パケットを示す信号を、データ受信局3200に空間多重送信(MIMO伝送)する。
(iii)確認応答及び上りチャネル推定ステップ
データ受信局3200は、無線パケットを示す信号を受信する。データ受信局3200は、無線パケットを示す信号を誤りなく復号できたか否かを判定する。データ受信局3200は、無線パケットを示す信号を誤りなく復号できた場合、所定の応答確認信号(BA)をデータ送信局3100に送信する。
復調部3109は、応答確認信号(BA)を、受信部3104を介して取得する。伝搬チャネル推定部3108は、データ受信局3200が送信する応答確認信号に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
データ送信局3100は、確認応答要求信号(BAR:BA Request)を、データ受信局3200に送信する。確認応答要求信号は、所定の応答確認信号(BA)の送信を要求するための信号である。
図26は、本実施形態における、80[MHz]帯域でMU−MIMO伝送が行われる場合を説明する図である。データ受信局3200は、下りデータ送信が複数の周波数帯域で実行される場合、同じ複数の周波数帯域で応答確認信号を送信する。以下、HTは、ハイ・スループット(high throughput)を示す。VHTは、ベリー・ハイ・スループット(very high throughput)を示す。MU PPDUは、マルチユーザ・フィジカル・レイヤー・プロトコル・データ・ユニット(multiuser physical layer protocol data unit)を示す。LTFは、ロング・トレーニング・フィールド(long training field)を示す。C
BFは、協調ビームフォーミング(compressed beamforming)を示す。
図27は、本実施形態における、データ受信局3200が複数のアンテナ3202で受信する場合を説明する図である。データ受信局3200が複数のアンテナ3202を介して受信する場合、応答確認信号のトレーニングプリアンブルは、複数のアンテナ3202に対応する伝搬チャネル情報の推定に対応した形式となっている。また、データ送信局3100は、データ受信局3200の送信電力がデータ送信局3100の送信電力よりも小さい場合、データ受信局3200が応答確認信号(BA)のトレーニングシンボルの数を2n倍(このnは、1以上の任意の整数)にして送出するように、データ受信局3200に形式を指定する。
データ送信局3100は、各トレーニングシンボルで推定される結果を合成することにより、3n[dB](このnは、上記の2n倍に示す指数n)の改善を得る。データ送信局3100は、上記(ii)のステップで送出するデータフレームのMACフレーム内のコントロールフィールド内のビットを使用して、形式を指定する。IEEE802.11.ac規格が拡張された場合、指定部3113は、例えば、「HT Control Middle subfield」の「B1 Reserved」部分で、VHT=0、HEW(High Efficiency Wireless LAN)=1の切替を行い、HEW=1で、新しい指定ビットフィールドを作成する (非特許文献4、Fig. 8−8a)。
データ受信局3200は、確認応答要求信号を受信した場合、応答確認信号をデータ送信局3100に送信する。データ送信局3100は、データ受信局3200が送信した応答確認信号を受信する。データ送信局3100は、データ受信局3200が無線パケットを示す信号を誤りなく復号できたか否かを、データ受信局3200が送信した応答確認信号に基づいて判定する。
(iv)インプリシット・フィードバック(IFB)を使用する、第2の下りデータ送信ステップ(図25を参照)
送信重み付け値算出部3116は、上記(i)で得られた上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部3108から取得する。送信重み付け値算出部3116は、上記(i)で得られた校正係数を示す情報を、校正係数算出部3111から取得する。送信重み付け値算出部3116は、上り伝搬チャネル情報と、校正係数とに基づいて、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。送信重み付け値算出部3116は、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部3106に出力する。
重み付け演算部3106は、変調された無線パケットを示す信号を、変調部3105から取得する。重み付け演算部3106は、送信重み付け値を示す情報を、送信重み付け値算出部3116から取得する。重み付け演算部3106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。
送信部3103は、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ3102に出力する。アンテナ3102は、下り送信する無線パケットを示す信号を、データ受信局3200に空間多重送信(MIMO伝送)する。
以上のように、本実施形態のデータ送信局3100(無線通信装置)は、送受信の形式をデータ受信局3200に対して指定する形式指定情報を生成する指定部3113と、データ受信局3200に形式指定情報を無線送信する送信部3103(第1送信部)と、パケットを取得する受信部3104及び復調部3109(取得部)と、パケットに基づいて、データ受信局3200からデータ送信局3100への伝搬チャネルを示す上り伝搬チャネル情報を推定する伝搬チャネル推定部3108と、データ送信局3100からデータ受信局3200への伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、校正係数を算出する校正係数算出部3111と、校正係数と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、送信重み付け値を算出する送信重み付け値算出部3116と、送信重み付け値に基づいて、データ受信局3200に所定信号を無線送信する送信部3103(第2送信部)とを備える。
なお、本実施形態の送信部3103は、第1送信部と第2送信部の両方の機能を備える。第1送信部と第2送信部は、送信部3103とは別にデータ送信局3100に備えられてもよい。
また、本実施形態のデータ送信局3100(無線通信装置)における無線通信方法は、送受信の形式をデータ受信局3200に対して指定する形式指定情報を生成するステップと、データ受信局3200に形式指定情報を無線送信するステップと、パケットを取得するステップと、パケットに基づいて、データ受信局3200からデータ送信局3100への伝搬チャネルを示す上り伝搬チャネル情報を推定するステップと、データ送信局3100からデータ受信局3200への伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬 データ送信局4100は、例えば、無線LAN(Local Area Network)におけるアクセスポイント(AP: Access Point)である。データ送信局4100は、無線パケットを生成する。生成された無線パケットは、データ送信局4100を識別するための識別子と、データ受信局4200を識別するための識別子とを含む。
データ送信局4100は、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとを含む通信処理により、データ受信局4200との間で無線パケット通信を実行する。データ送信局4100aは、CSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access / Collision Avoidance:搬送波検知多重アクセス/衝突回避) 方式に基づき、同一周波数チャネルを用いて、データ受信局4200との無線パケット通信を実行する。
データ受信局4200(STA : Station)は、データ送信局4100との間で無線パケット通信を実行する。データ受信局4200は、データ送信局4100が生成する無線パケットの宛先となる装置である。データ受信局4200は、例えば、コンピュータ、携帯型の情報電子機器である。
次に、第12実施形態におけるデータ送信局4100(以下、「データ送信局4100a」という。)の構成例を説明する。
図29は、本発明の第12実施形態における、データ送信局4100aの構成例を示す図である。データ送信局4100aは、アンテナ4102と、送信部4103と、受信部4104と、変調部4105と、重み付け演算部4106と、伝搬チャネル推定部4108と、復調部4109と、データ変換インターフェース部4110と、校正係数算出部4111と、校正係数更新部4117と、校正係数記憶部4118と、送信重み付け値算出部4116とを備える。
データ送信局4100aは、アンテナ4102−1〜4102−N(Nは、データ送信局4100aが備える複数のアンテナの総数)を備える。以下、アンテナ4102−1〜4102−Nのうち任意のアンテナは、「アンテナ4102−n」(nは、1〜Nのうち任意の整数)と表記される。また、以下、アンテナ4102−1〜4102−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「アンテナ4102」と表記する。
データ送信局4100aは、送信部4103を、アンテナ4102毎に備える。つまり、データ送信局4100aは、送信部4103−1〜4103−Nを備える。以下、送信部4103−1〜4103−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「送信部4103」と表記する。
データ送信局4100aは、受信部4104を、アンテナ4102毎に備える。つまり、データ送信局4100aは、受信部4104−1〜4104−Nを備える。以下、受信部4104−1〜4104−Nに共通する事項については、符号の一部を省略して、「受信部4104」と表記する。
アンテナ4102は、無線パケットを示す信号を、データ受信局4200a(後述)との間で送受信する。以下、データ送信局4100aのアンテナ4102を介して送信することを、「下り送信」という。以下、データ送信局4100aのアンテナ4102を介して受信することを、「上り受信」という。
受信部4104−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)は、アンテナ4102−nを介して、無線パケットを示す信号(無線信号)を受信する。受信部4104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部4104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号に対して、受信電力の調整等を実行する。受信部4104−nは、上り受信した無線パケットを示す信号を、復調部4109に出力する。
この上り受信した無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSIFB:Channel State Information - Feedback)を含むことがある。また、この上り受信した無線パケットを示す信号は、既知信号を含むことがある。既知信号は、例えば、ヌル・データ・パケット(NDP: Null Data Packet)である。また、この上り受信した無線パケットを示す信号は、所定の応答確認信号(BA: Block Acknowledgement)を含むことがある。
復調部4109は、上り受信した無線パケットを示す信号を、受信部4104から取得する。復調部4109は、上り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。上り受信した無線パケットを示す信号は、データ送信局4100aからいずれかのデータ受信局4200aへの下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ部分に含む場合がある。復調部4109は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部4108と、校正係数算出部4111と、データ変換インターフェース部4110とに出力する。
データ変換インターフェース部4110は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部4109から取得する。データ変換インターフェース部4110は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置するインターフェースである。データ変換インターフェース部4110は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
また、データ変換インターフェース部4110は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワークから受信する。データ変換インターフェース部4110は、外部のネットワークから受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部4105に出力する。
伝搬チャネル推定部4108は、上り受信した無線パケットを示す信号を、復調部4109から取得する。上り受信した無線パケットを示す信号は、データ送信局4100aからいずれかのデータ受信局4200aへの下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ部分に含む場合がある。伝搬チャネル推定部4108は、下り伝搬チャネル情報を含む無線パケットを示す信号を取得した場合、下り伝搬チャネル情報をデータ部分に含むパケットのトレーニングプリアンブル部分に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
また、上り受信した無線パケットを示す信号は、既知信号(例えば、NDP)を、データ部分に含む場合がある。伝搬チャネル推定部4108は、上り受信した既知信号と、予め定められた推定用信号とを比較する。伝搬チャネル推定部4108は、この比較結果に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部4108は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とを、校正係数算出部4111と、送信重み付け値算出部4116とに出力する。
校正係数算出部4111は、下り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部4108から取得する。また、校正係数算出部4111は、いずれかのデータ受信局4200aからデータ送信局4100aへの上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部4108から取得する。校正係数算出部4111は、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、直近の校正係数(以下、「新校正係数」という。)を算出する。つまり、の回路特性との比に基づいて、新校正係数を算出する。校正係数算出部4111は、新校正係数を示す情報を、校正係数更新部4117に出力する。
校正係数更新部4117は、新校正係数を示す情報を、校正係数算出部4111から取得する。校正係数更新部4117は、新校正係数の履歴(以下、「旧校正係数」という。)を示す情報を、校正係数記憶部4118から取得する。
校正係数更新部4117は、新校正係数を示す情報と、旧校正係数を示す情報とに基づいて、値算出用の校正係数を算出する。校正係数更新部4117は、新校正係数を示す情報と、旧校正係数を示す情報とに基づいて、値算出用の校正係数をどのように算出してもよく、特定の算出方法に限定されない。例えば、校正係数更新部4117は、新校正係数と旧校正係数との平均値を、値算出用の校正係数として算出する。また、例えば、校正係数更新部4117は、重み付けに応じて旧校正係数を新校正係数に乗算することにより、重み付けに応じた平均値を、値算出用の校正係数として算出してもよい。
校正係数更新部4117は、値算出用の校正係数を示す情報を、送信重み付け値算出部4116に出力する。また、校正係数更新部4117は、旧校正係数を算出した時刻に対応付けて、旧校正係数を示す情報を校正係数記憶部4118に記憶させる。
校正係数記憶部4118は、旧校正係数を算出した時刻に対応付けて、旧校正係数を示す情報を記憶する。
送信重み付け値算出部4116は、上り伝搬チャネル情報を、伝搬チャネル推定部4108から取得する。送信重み付け値算出部4116は、値算出用の校正係数を示す情報を、校正係数更新部4117から取得する。送信重み付け値算出部4116は、上り伝搬チャネル情報と、値算出用の校正係数とに基づいて、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。送信重み付け値算出部4116は、送信重み付け値を示す情報を、重み付け演算部4106に出力する。
送信重み付け値算出部4116は、ZF(Zero Forcing)法、MMSE(Minimum Mean Squared Error)法などの線形演算による方法に基づいて、送信重み付け値を算出する。また、送信重み付け値算出部4116は、THP(Tomlison Harashima Precoding)法、VP(Vector Perturbation)法などの非線形演算による方法に基づいて、送信重み付け値を算出してもよい。なお、送信重み付け値を算出する方法は、どのような方法でもよく、特定の方法に限定されない。
変調部4105は、変換したデータ信号を、データ変換インターフェース部4110から取得する。変調部4105は、変換したデータ信号を、無線パケットを示す信号に変調する。変調部4105は、変調された無線パケットを示す信号を、重み付け演算部4106に出力する。
重み付け演算部4106は、変調された無線パケットを示す信号を、変調部4105から取得する。重み付け演算部4106は、送信重み付け値を示す情報を、送信重み付け値算出部4116から取得する。重み付け演算部4106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。下り送信する無線パケットを示す信号は、送信ビームの形成に使用される信号である。重み付け演算部4106は、下り送信する無線パケットを示す信号を、送信部4103に出力する。
送信部4103は、下り送信する無線パケットを示す信号を、重み付け演算部4106から取得する。送信部4103は、下り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システム4001で規定される所定の周波数に変換する。また、送信部4103−n(nは、1〜Nのうち任意の整数)は、下り送信する無線パケットを示す信号に対して、送信電力の調整等を実行する。送信部4103−nは、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ4102−nに出力する。
次に、第12実施形態におけるデータ受信局4200(以下、「データ受信局4200a」という。)の構成例を説明する。
図30は、本発明の第12実施形態における、データ受信局4200aの構成例を示す図である。データ受信局4200aは、アンテナ4202と、送信部4203と、受信部4204と、変調部4205と、伝搬チャネル推定部4208と、復調部4209と、データ変換インターフェース部4210とを備える。
アンテナ4202は、無線パケットを示す信号を、データ送信局4100aとの間で送受信する。以下、データ受信局4200aのアンテナ4202を介して送信することを、「上り送信」という。以下、データ受信局4200aのアンテナ4202を介して受信することを、「下り受信」という。
受信部4204は、アンテナ4202を介して、無線パケットを示す信号(無線信号)を受信する。受信部4204は、下り受信した無線パケットを示す信号の周波数を、所定の周波数に変換する。また、受信部4204は、下り受信した無線パケットを示す信号に対して、受信電力の調整等を実行する。受信部4204は、下り受信した無線パケットを示す信号を、復調部4209に出力する。
復調部4209は、下り受信した無線パケットを示す信号を、受信部4204から取得する。復調部4209は、下り受信した無線パケットを示す信号に、復調処理を施す。復調部4209は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部4208と、データ変換インターフェース部4210とに出力する。
データ変換インターフェース部4210は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部4209から取得する。データ変換インターフェース部4210は、物理層と媒体アクセス制御層との境界に位置するインターフェースである。データ変換インターフェース部4210は、復調した無線パケットを、所定の形式のデータパケットに変換し、変換したデータパケットを示す信号を、外部のネットワーク(不図示)に送信する。
また、データ変換インターフェース部4210は、所定の形式のデータパケットを示す信号を、外部のネットワークから受信する。データ変換インターフェース部4210は、外部のネットワークから受信したデータパケットを示す信号を、所定のデータ信号に変換し、変換したデータ信号を、変調部4205に出力してもよい。
伝搬チャネル推定部4208は、復調した無線パケットを示す信号を、復調部4209から取得する。伝搬チャネル推定部4208は、下り受信した既知信号と、予め定められた推定用信号とを比較する。伝搬チャネル推定部4208は、この比較結果に基づいて、下り伝搬チャネル情報を推定する。伝搬チャネル推定部4208は、下り伝搬チャネル情報を示す伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、変調部4205に出力する。
変調部4205は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、伝搬チャネル推定部4208から取得する。変調部4205は、伝搬チャネル情報フィードバックを変調する。変調部4205は、伝搬チャネル情報フィードバックを、送信部4203に出力する。変調部4205は、既知信号(NDP)を、データ変換インターフェース部4210から取得する。変調部4205は、既知信号を変調する。変調部4205は、所定の応答確認信号(BA)を、データ変換インターフェース部4210から取得する。変調部4205は、所定の応答確認信号を変調する。変調部4205は、上り送信する無線パケットを示す信号を、送信部4203に出力する。
変調部4205は、データ信号を、データ変換インターフェース部4210から取得する。変調部4105は、データ信号を、無線パケットを示す信号に変調する。変調部4205は、変調された無線パケットを示す信号を、送信部4203に出力する。
送信部4203は、上り送信する無線パケットを示す信号を、変調部4205から取得する。送信部4203は、上り送信する無線パケットを示す信号の周波数を、無線通信システムで規定される所定の周波数に変換する。送信部4203は、上り送信する無線パケットを示す信号に対して、送信電力の調整等を実行する。送信部4203は、上り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ4202に出力する。
この上り送信する無線パケットを示す信号は、伝搬チャネル情報フィードバック(CSIFB)を含むことがある。また、この上り送信する無線パケットを示す信号は、既知信号を含むことがある。また、この上り送信する無線パケットを示す信号は、所定の確応答認信号(BA)を含むことがある。
次に、無線通信システム4001の動作例について説明する。
図31は、本実施形態における、無線通信システムの動作例を示すタイミングチャートである。データ送信局4100aは、データ受信局4200aに送信する送信データを生成する。データ送信局4100aは、(i)校正ステップと、(ii)上りチャネル推定ステップと、(iii)下りデータ送信ステップとを含む通信処理により、データ受信局4200aとの間で無線パケット通信を実行する。
(i)校正ステップ
データ送信局4100aは、既知信号(NDP)を、データ受信局4200aに送信する。データ受信局4200aは、既知信号を受信する。データ受信局4200aは、受信した既知信号に基づいて、下り伝搬チャネル情報を推定する。データ受信局4200aは、下り伝搬チャネル情報をデータ部分に含む伝搬チャネル情報フィードバック(CSI-FB)を、データ送信局4100aに送信する。
復調部4109は、下り伝搬チャネル情報(例えば、CSI-FB)を、データ受信局4200aから、受信部4104を介して取得する。
伝搬チャネル推定部4108は、伝搬チャネル情報フィードバックのトレーニングプリアンブル部分に基づいて、上り伝搬チャネル情報を推定する。
校正係数算出部4111は、下り伝搬チャネル情報と、推定された上り伝搬チャネル情報とに基づいて、新校正係数C[k]を算出する。下り伝搬チャネル情報HD[k]は、式(36)で表される。
ここで、kは、サブキャリア番号を示す。Nは、データ送信局4100aのアンテナ4102の数を示す。Mは、データ受信局4200aの台数である。H[k]は、空中の伝搬チャネル情報の応答(通信路応答)を示す。GRS[k]は、データ受信局4200aの受信部4204の回路特性を示す。GTA[k]は、データ送信局4100aの送信部4103の回路特性を示す。
空中の伝搬チャネル情報の応答H[k]と、データ受信局4200aの受信部4204の回路特性GRS[k]と、データ送信局4100aの送信部4103の回路特性GTA[k]とは、式(37)で表される。
また、上り伝搬チャネル情報HU[k]は、式(38)で表される。
ここで、GTS[k]は、データ受信局4200aの送信部4203の回路特性を示す。GRA[k]は、データ送信局4100aの受信部4104の回路特性を示す。
データ受信局4200aの送信部4203の回路特性GTS[k]と、データ送信局4100aの受信部4104の回路特性GRA[k]とは、式(39)で表される。
式(40)に示す新校正係数C[k]の算出には、下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とが用いられる。
校正係数更新部4117は、新校正係数と旧校正係数に基づいて、値算出用の校正係数を算出する。校正係数更新部4117は、一例として式(41)を用いて、値算出用の校正係数cn[k]を算出する。
ここで、αは、「0<α<1」の範囲の値を示す。cnew[k]は、新校正係数を示す。cold[k]は、旧校正係数を示す。また、校正係数更新部4117は、校正係数記憶部4118が旧校正係数を示す情報を記憶していない場合には、旧校正係数を使わずに、新校正係数に基づいて値算出用の校正係数を算出してもよい。校正係数更新部4117は、値算出用の校正係数C[k]を、送信重み付け値算出部4116に出力する。
送信重み付け値算出部4116は、上り伝搬チャネル情報HU[k]と、値算出用の校正係数C[k]とを、式(42)に示すように乗算する。送信重み付け値算出部4116は、校正済の上り伝搬チャネル情報HC[k]に基づいて、送信重み付け値(送信ウエイト)を算出する。
式(42)に示す値算出用の校正係数C[k]は、式(43)を満たす。式(43)に示すβ[k]は、任意の複素数である。
例えば、データ受信局4200a−mとアンテナ4102−nとの間の伝搬チャネル情報の推定値を用いて得る、値算出用の校正係数cn(m)[k]は、式(44)で表される。
(ii)上りチャネル推定ステップ
データ受信局4200aは、既知信号(例えば、NDP)をデータ送信局4100aに送信する。データ受信局4200aが送信する既知信号は、上り伝搬チャネル情報HU[k]の推定に使用される。
復調部4109は、既知信号(例えば、NDP)を、データ受信局4200aから、受信部4104を介して取得する。
伝搬チャネル推定部4108は、データ受信局4200aが送信する既知信号に基づいて、上り伝搬チャネル情報HU[k]を推定する。
(iii)下りデータ送信ステップ
送信重み付け値算出部4116は、値算出用の校正係数C[k]と、上記(ii)上りチャネル推定ステップで得られた上り伝搬チャネル情報HU[k]とを乗算する。送信重み付け値算出部4116は、校正済の上り伝搬チャネル情報HC[k]に基づいて、送信重み付け値を算出する。送信重み付け値は、送信ビームの形成に使用される。重み付け演算部4106は、変調された無線パケットを示す信号に、送信重み付け値を乗算(重み付け合成)することにより、下り送信する無線パケットを示す信号を生成する。
送信部4103は、下り送信する無線パケットを示す信号を、アンテナ4102に出力する。アンテナ4102は、下り送信する無線パケットを示す信号を、データ受信局4200aに空間多重送信(MU−MIMO伝送)する。
データ受信局4200aは、無線パケットを示す信号を受信する。データ受信局4200aは、無線パケットを示す信号を誤りなく復号できたか否かを判定する。データ受信局4200aは、無線パケットを示す信号を誤りなく復号できた場合、所定の応答確認信号(BA)をデータ送信局4100aに送信する。
データ送信局4100aは、確認応答要求信号(BAR:BA Request)を、データ受信局4200aに送信する。確認応答要求信号は、所定の応答確認信号(BA)の送信を要求するための信号である。データ受信局4200aは、確認応答要求信号を受信した場合、応答確認信号をデータ送信局4100aに送信する。データ送信局4100aは、データ受信局4200aが送信した応答確認信号を受信する。データ送信局4100aは、データ受信局4200aが無線パケットを示す信号を誤りなく復号できたか否かを、データ受信局4200aが送信した応答確認信号に基づいて判定する。
以上のように、本実施形態のデータ送信局4100a(基地局装置としての無線通信装置)は、受信部4104と、復調部4109と、伝搬チャネル推定部4108と、校正係数算出部4111と、校正係数記憶部4118と、校正係数更新部4117と、送信重み付け値算出部4116と、変調部4105と、送信部4103とを備える。
また、本実施形態のデータ送信局4100aにおける無線通信方法は、基地局装置としての無線通信装置における無線通信方法であって、無線信号を受信するステップと、復調信号を生成するステップと、上り伝搬チャネル情報を推定するステップと、新校正係数を算出するステップと、旧校正係数を記憶するステップと、値算出用の校正係数を算出するステップと、送信重み付け値を算出するステップと、変調信号を生成するステップと、変調信号に基づく所定信号をデータ受信局4200aに無線送信するステップとを有する。
受信部4104は、無線信号を受信する。復調部4109は、無線信号を復調し、復調した結果に応じた復調信号を生成する。
伝搬チャネル推定部4108は、復調信号に基づいて、データ受信局4200aからデータ送信局4100aへの伝搬チャネルを示す上り伝搬チャネル情報を推定する。
校正係数算出部4111は、データ送信局4100aからデータ受信局4200aへの伝搬チャネルを示す下り伝搬チャネル情報と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、直近の校正係数として新校正係数を算出する。
校正係数記憶部4118は、新校正係数の履歴を旧校正係数として記憶する。
校正係数更新部4117は、新校正係数と、旧校正係数とに基づいて、値算出用の校正係数を算出する。
送信重み付け値算出部4116は、値算出用の校正係数と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、送信重み付け値を算出する。
変調部4105は、データを変調した結果に応じた変調信号を生成する。
送信部4103は、送信重み付け値に基づいて、変調信号に基づく所定信号をデータ受信局4200aに無線送信する。
この構成により、校正係数更新部4117は、新校正係数と、旧校正係数とに基づいて、値算出用の校正係数を算出する。送信重み付け値算出部4116は、値算出用の校正係数と、上り伝搬チャネル情報とに基づいて、送信重み付け値を算出する。データ送信局4100a及び無線通信方法は、エクスプリシット・フィードバック(EFB : Explicit Feedback)・シーケンスを用いて新校正係数を算出し、値算出用の校正係数を更新する。
これにより、第12実施形態のデータ送信局4100a及び無線通信方法は、MU−MIMO伝送による通信の品質を向上させることができる。つまり、第12実施形態のデータ送信局4100a及び無線通信方法は、値算出用の校正係数の精度を高く維持することができ、高スループットを実現することができる。
[第13実施形態]
第13実施形態では、値算出用の校正係数の更新方法が第12実施形態と相違する。第13実施形態では、第12実施形態との相違点についてのみ説明する。
校正係数更新部4117は、新校正係数を使用するか否かを、相関閾値に基づいて選択する。校正係数更新部4117は、新校正係数を使用すると選択した場合、新校正係数と旧校正係数との平均値を算出する。校正係数更新部4117は、算出した平均値に基づいて、値算出用の校正係数を更新する。
具体的には、校正係数更新部4117は、新校正係数Cnew[k]と旧校正係数Cold[k]との相関値を、式(45)を用いて算出する。
ここで、E[・]は平均を表し、*は複素共役を表す。
校正係数更新部4117は、相関値が相関閾値を超える場合、新校正係数と旧校正係数との平均値に基づいて、値算出用の校正係数を更新する。一方,校正係数更新部4117は、相関値が相関閾値を超えない場合、新校正係数を使用せずに、旧校正係数に基づいて、値算出用の校正係数を更新する。
以上のように、校正係数更新部4117は、校正係数算出部4111が新校正係数を算出するタイミングを、旧校正係数の変化に基づいて決定する。これにより、第13実施形態の校正係数更新部4117は、簡易な構成で、値算出用の校正係数を更新することができる。
[第14実施形態]
第14実施形態では、校正係数更新部4117が値算出用の校正係数を算出するタイミングを決定部4119が決定する点が、第12及び第13実施形態と相違する。第14実施形態では、第12及び第13実施形態との相違点についてのみ説明する。
図32は、本発明の第14実施形態におけるデータ送信局4100(以下、「データ送信局4100b」という。)の構成例を示す図である。データ送信局4100bは、アンテナ4102と、送信部4103と、受信部4104と、変調部4105と、重み付け演算部4106と、伝搬チャネル推定部4108と、復調部4109と、データ変換インターフェース部4110と、校正係数算出部4111と、校正係数更新部4117と、校正係数記憶部4118と、決定部4119と、送信重み付け値算出部4116とを備える。
決定部4119は、校正係数更新部4117が値算出用の校正係数を算出(更新)するタイミングを決定する。つまり、決定部4119は、校正係数更新部4117が旧校正係数を校正係数記憶部4118から取得するタイミングを決定する。
決定部4119は、値算出用の校正係数を算出するために使用する旧校正係数を、異なる時刻に算出された複数の旧校正係数に基づいて決定する。具体的には、決定部4119は、所定時刻に算出された新校正係数に基づいて、係数の閾値(以下、「係数閾値」という。)を定める。決定部4119は、校正係数算出部4111が算出する新校正係数がこの係数閾値未満となるまでの時間を、モデル化された新校正係数の時間変化に基づいて算出する。このモデル化は、例えば、プロセッサ(チップ)等の温度特性に基づいて事前に行われる。決定部4119は、新校正係数がこの係数閾値未満となるまでの時間を、値算出用の校正係数を更新する時間と定める。
決定部4119は、更新する時間が経過するまでに算出された新校正係数の履歴としての旧校正係数を、校正係数記憶部4118から取得するよう、校正係数更新部4117に指示する。つまり、校正係数更新部4117は、係数閾値以上の値を有する旧校正係数を、校正係数記憶部4118から取得する。決定部4119は、更新する時間が経過した場合、係数閾値以上の値を有する旧校正係数に基づいて、値算出用の校正係数を校正係数更新部4117に更新させる。
図33は、本発明の第14実施形態における、決定部4119の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、繰り返し実行されてもよい。
決定部4119は、所定時刻に算出された新校正係数に基づいて、係数閾値を定める(ステップS101)。
決定部4119は、校正係数算出部4111が算出する新校正係数がこの係数閾値未満となるまでの時間を、モデル化された新校正係数の時間変化に基づいて算出する(ステップS102)。
決定部4119は、新校正係数がこの係数閾値未満となるまでの時間を、値算出用の校正係数を更新する時間と定める(ステップS103)。
決定部4119は、更新する時間が経過したか否かを判定する(ステップS104)。更新する時間が経過していない場合(ステップS104:NO)、決定部4119は、旧校正係数を校正係数記憶部4118から取得するよう、校正係数更新部4117に指示する。決定部4119は、ステップS104に処理を戻す。一方、更新する時間が経過した場合(ステップS104:YES)、決定部4119は、校正係数更新部4117が取得した旧校正係数に基づいて値算出用の校正係数を更新するよう、校正係数更新部4117に指示する(ステップS105)。
以上のように、決定部4119は、校正係数算出部4111が新校正係数を算出するタイミングを、旧校正係数の変化に基づいて決定する。これにより、第14実施形態の校正係数更新部4117は、簡易な構成で、値算出用の校正係数を更新することができる。
[第15実施形態]
第15実施形態では、校正係数更新部4117が値算出用の校正係数を算出するタイミングを決定部4119が決定する方法が、第14実施形態と相違する。第15実施形態では、第14実施形態との相違点についてのみ説明する。
図34は、本発明の第15実施形態におけるデータ送信局4100(以下、「データ送信局4100c」という。)の構成例を示す図である。データ送信局4100cは、アンテナ4102と、送信部4103と、受信部4104と、変調部4105と、重み付け演算部4106と、伝搬チャネル推定部4108と、復調部4109と、データ変換インターフェース部4110と、校正係数算出部4111と、校正係数更新部4117と、校正係数記憶部4118と、決定部4119と、信号品質取得部4120と、送信重み付け値算出部4116とを備える。
復調部4109は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部4108と、校正係数算出部4111と、データ変換インターフェース部4110と、信号品質取得部4120とに出力する。
信号品質取得部4120は、復調した無線パケットを示す信号に基づいて、第15実施形態におけるデータ受信局4200(以下、「データ受信局4200c」という。)から通知された信号品質を示す情報を、決定部4119に出力する。信号品質とは、例えば、ビットエラーレート(BER:Bit Error Rate)、パケットエラーレート(PER:Packet Error Rate)、または、フレームエラーレート(FER:Frame Error Rate)である。
決定部4119は、信号品質と、品質の予め定められた閾値(以下、「品質閾値」という。)とを比較する。品質閾値は、例えば、ビットエラーレートで表現される閾値(以下、「ビットエラーレート閾値」という。)である。決定部4119は、信号品質がビットエラーレート閾値を超えている場合、校正係数更新部4117に旧校正係数を取得させて、値算出用の校正係数を算出させる。つまり、決定部4119は、信号品質がビットエラーレート閾値を超えている場合、校正係数記憶部4118から旧校正係数を取得するよう、校正係数更新部4117に指示する。
校正係数更新部4117は、決定部4119から指示を受けた場合、取得した旧校正係数に基づいて、値算出用の校正係数を算出(更新)する。
データ送信局4100cは、データ受信局4200cとの通信を実行する。なお、データ受信局4200cは、データ送信局4100cの配下で通信を行う端末局装置でもよいし、データ送信局4100c以外の基地局装置の配下で通信を行う端末局装置でもよい。
図35は、本発明の第15実施形態における、データ受信局4200cの構成例を示す図である。データ受信局4200cは、アンテナ4202と、送信部4203と、受信部4204と、変調部4205と、伝搬チャネル推定部4208と、復調部4209と、データ変換インターフェース部4210と、信号品質通知部4214とを備える。
復調部4209は、復調した無線パケットを示す信号を、伝搬チャネル推定部4208と、データ変換インターフェース部4210と、信号品質通知部4214とに出力する。
信号品質通知部4214は、復調した無線パケットを示す信号に基づいて、ビットエラーレート(BER)を算出する。信号品質通知部4214は、ビットエラーレートを示す情報を、変調部4205に出力する。
変調部4205は、ビットエラーレートを示す情報を、信号品質通知部4214から取得する。変調部4205は、ビットエラーレートを示す信号を、送信部4203に出力する。
送信部4203は、ビットエラーレートを示す信号を、アンテナ4202に出力する。
図36は、本発明の第15実施形態における、決定部4119の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、繰り返し実行されてもよい。
決定部4119は、信号品質を示す情報を、信号品質取得部4120から取得する(ステップS201)。
決定部4119は、信号品質がビットエラーレート閾値を超えているか否かを判定する(ステップS202)。
信号品質がビットエラーレート閾値を超えている場合(ステップS202:YES)、決定部4119は、校正係数更新部4117に旧校正係数を取得させて、値算出用の校正係数を算出させる(ステップS203)。一方、信号品質がビットエラーレート閾値を超えていない場合(ステップS202:NO)、決定部4119は、ステップS202に処理を戻す。
以上のように、決定部4119は、校正係数算出部4111が新校正係数を算出するタイミングを、データ送信局4100cの配下にあるデータ受信局4200c又はデータ送信局4100cの配下にない他無線通信装置で受信された所定信号の受信特性に基づいて決定する。
第15実施形態のデータ送信局4100c及び無線通信方法は、旧校正係数や信号品質(BER)に基づいて、値算出用の校正係数を算出するタイミングを決定する。データ送信局4100c及び無線通信方法は、エクスプリシット・フィードバック(EFB : Explicit Feedback)・シーケンスを用いて新校正係数を算出し、値算出用の校正係数を更新する。
[第16実施形態]
第16実施形態では、校正係数更新部4117が値算出用の校正係数を算出するタイミングを決定部4119が決定する方法が、第14及び第15実施形態と相違する。第16実施形態では、第14及び第15実施形態との相違点についてのみ説明する。なお、第16実施形態におけるデータ受信局4200は、第15実施形態で説明したデータ受信局4200cと同じ構成を有する。以下、第16実施形態におけるデータ受信局4200は、第15実施形態と同様に、「データ受信局4200c」と表記される。
図37は、本発明の第16実施形態におけるデータ送信局4100(以下、「データ送信局4100d」という。)の構成例を示す図である。データ送信局4100dは、アンテナ4102と、送信部4103と、受信部4104と、変調部4105と、重み付け演算部4106と、伝搬チャネル推定部4108と、復調部4109と、データ変換インターフェース部4110と、校正係数算出部4111と、校正係数更新部4117と、校正係数記憶部4118と、決定部4119と、信号品質取得部4120と、ヌル重み付け値生成部4121と、送信重み付け値算出部4116とを備える。
決定部4119は、信号品質を示す情報と、品質閾値とを比較する。品質閾値は、例えば、受信電力で表現される閾値(以下、「受信電力閾値」という。)である。決定部4119は、信号品質を示す情報が受信電力閾値を超えている場合、校正係数更新部4117に旧校正係数を取得させて、値算出用の校正係数を算出させる。つまり、決定部4119は、信号品質を示す情報が受信電力閾値を超えている場合、校正係数記憶部4118から旧校正係数を取得するよう、校正係数更新部4117に指示する。
校正係数更新部4117は、決定部4119から指示を受けた場合、取得した旧校正係数に基づいて、値算出用の校正係数を算出(更新)する。
ヌル重み付け値生成部4121は、データ受信局4200cへの送信電力を抑圧する送信重み付け値(以下、「ヌル重み付け値」という。)を算出する。ヌル重み付け値生成部4121は、ヌル重み付け値を示す情報を、重み付け演算部4106に出力する。重み付け演算部4106は信号を強めあうための重み付け値を計算し、計算された重み付け値を示す情報とヌル重み付け値生成部4121からのヌル重み付け値を示す情報とを合わせて送信部4103へ出力する。
データ送信局4100dは、データ受信局4200cとの通信を実行する。なお、データ受信局4200cは、データ送信局4100dの配下で通信を行う端末局装置でもよいし、データ送信局4100d以外の基地局装置の配下で通信を行う端末局装置でもよい。
データ受信局4200cの信号品質通知部4214は、復調した無線パケットを示す信号に基づいて、受信電力を算出する。信号品質通知部4214は、受信電力を示す情報を、変調部4205に出力する。
変調部4205は、受信電力を示す情報を、信号品質通知部4214から取得する。変調部4205は、受信電力を示す信号を、送信部4203に出力する。
送信部4203は、受信電力を示す信号を、アンテナ4202に出力する。
図38は、本発明の第16実施形態における、決定部4119の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示す動作は、繰り返し実行されてもよい。
決定部4119は、信号品質を示す情報を、信号品質取得部4120から取得する(ステップS301)。
決定部4119は、信号品質を示す情報が受信電力閾値を超えているか否かを判定する(ステップS302)。
信号品質を示す情報が受信電力閾値を超えている場合(ステップS302:YES)、決定部4119は、校正係数更新部4117に旧校正係数を取得させて、値算出用の校正係数を算出させる(ステップS303)。一方、信号品質を示す情報がビットエラーレート閾値を超えていない場合(ステップS302:NO)、決定部4119は、ステップS302に処理を戻す。
以上のように、決定部4119は、校正係数算出部4111が新校正係数を算出するタイミングを、データ送信局4100dの配下にあるデータ受信局4200c又はデータ送信局4100dの配下にない他無線通信装置で受信された所定信号の受信特性に基づいて決定する。
第16実施形態のデータ送信局4100d及び無線通信方法は、旧校正係数や信号品質(受信電力)に基づいて、値算出用の校正係数を算出するタイミングを決定する。データ送信局4100d及び無線通信方法は、エクスプリシット・フィードバック(EFB)・シーケンスを用いて新校正係数を算出し、値算出用の校正係数を更新する。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述した実施形態の構成要素同士を適宜組み合わせるようにしてもよい。
なお、以上に説明した無線通信装置(データ送信局、および、データ受信局)、ならびに、ネットワーク制御サーバをコンピュータで実現してもよい。その場合、それらの機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM(Read Only Memory)、CD(Compact Disc)−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM(Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。あるいは、上述した無線通信装置(データ送信局、および、データ受信局)、ならびに、ネットワーク制御サーバは、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。