JP2018020447A - 液体吐出装置および液体吐出方法 - Google Patents

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岡本 英明
Hideaki Okamoto
英明 岡本
安田 淳司
Junji Yasuda
淳司 安田
公治 井上
Kimiharu Inoue
公治 井上
山本 隆二
Ryuji Yamamoto
隆二 山本
東山 拓
Taku Higashiyama
拓 東山
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Abstract

【課題】追加の構成を必要とせずに、吐出不良に対する補完吐出動作を実現可能な液体吐出装置を提供する。【解決手段】液体吐出装置は、複数の吐出部241〜243と、対向電極12と、各吐出電極231〜233と対向電極12との間に電位差を生じさせることで複数の吐出部241〜243を駆動し、記録媒体13に対して複数の吐出部241〜243から液体を吐出させる制御部とを有している。制御部は、吐出不良の吐出部がある場合、この吐出不良の吐出部に近接した吐出部242を補完吐出部として設定するとともに、補完吐出部242に近接した2つの吐出電極231,233を制御電極として設定し、2つの制御電極231,233と対向電極12との間に生じさせる電位差を互いに異ならせることで、吐出不良の吐出部が吐出不良でないときの記録媒体13上の目標着弾位置に向けて、補完吐出部242から液体を偏向させて吐出させる補完吐出動作を実行する。【選択図】図8

Description

本発明は、静電吸引力を利用して液体を吐出する液体吐出装置および液体吐出方法に関する。
従来から、インクジェット記録装置(液体吐出装置)のインク吐出方式として、吐出部(吐出電極)と対向電極との間に電界を形成し、その電界による静電気力(静電吸引力)を利用してインクを吐出する静電吸引方式が知られている。この静電吸引方式には、ピエゾ素子の変形による圧力を利用した電気機械変換方式や、発熱素子によるインクの発泡を利用した電気熱変換方式と比べて、堅牢なシステムを実現することができるという利点がある。
一方で、静電吸引方式のインクジェット記録装置には、吐出部先端への異物付着やインク固着、吐出部先端の破損や変形などにより、吐出部からインクが吐出されない吐出不良が発生するという問題もある。この対策として、吐出不良の吐出部に近接する吐出部からインクを偏向させて吐出させることで、吐出不良の吐出部が記録媒体に形成すべきドットを補完する方法が考えられている。
特許文献1には、吐出部から吐出されるインクの飛翔方向を意図的に偏向させる方法として、吐出部の周囲に方向制御用電極を配置し、その電極に印加する電圧を制御することで、インクの飛翔方向を調整する方法が記載されている。
特開平08−332724号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、インクを吐出する吐出部とは別に、インクの飛翔方向を偏向させる方向制御用電極が別途必要になり、不要なコストアップにつながってしまう。さらに、方向制御用電極に印加する電圧を切り替えるための高電圧耐性のスイッチング素子も別途必要になる。
そこで、本発明の目的は、追加の構成を必要とせずに、吐出不良に対する補完吐出動作を実現可能な液体吐出装置および液体吐出方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の液体吐出装置は、導電部材からなる複数の吐出電極を有する複数の吐出部と、複数の吐出部に対向する位置に配置され、導電部材からなる対向電極と、各吐出電極と対向電極との間に電位差を生じさせることで複数の吐出部を駆動し、対向電極に支持されて搬送される記録媒体に対して複数の吐出部から液体を吐出させて画像を形成する制御部とを有する液体吐出装置において、制御部は、複数の吐出部に吐出不良の吐出部がある場合、該吐出不良の吐出部に近接した吐出部を補完吐出部として設定するとともに、複数の吐出電極のうち補完吐出部に近接した少なくとも2つの吐出電極を制御電極として設定し、少なくとも2つの制御電極と対向電極との間に生じさせる電位差を互いに異ならせることで、吐出不良の吐出部が吐出不良でないときの目標着弾位置に向けて、補完吐出部から液体を偏向させて吐出させる補完吐出動作を実行することを特徴とする。
また、本発明の液体吐出方法は、導電部材からなる複数の吐出電極と、複数の吐出電極に対向する位置に配置され、導電部材からなる対向電極との間に電位差を生じさせることで、複数の吐出電極を有する複数の吐出部を駆動し、対向電極に支持されて搬送される記録媒体に対して複数の吐出部から液体を吐出させて画像を形成する液体吐出方法において、複数の吐出部に吐出不良の吐出部があるか否かを判定する工程と、複数の吐出部に吐出不良の吐出部があると判定された場合、該吐出不良の吐出部に近接する吐出部を補完吐出部として設定するとともに、複数の吐出電極のうち補完吐出部に近接する少なくとも2つの吐出電極を制御電極として設定する工程と、少なくとも2つの制御電極と対向電極との間に生じさせる電位差を互いに異ならせることで、吐出不良の吐出部が吐出不良でないときの目標着弾位置に向けて、補完吐出部から液体を偏向させて吐出させる工程と、を含むことを特徴とする。
このような液体吐出装置および液体吐出装置では、補完吐出部によって吐出不良の吐出部に対する補完吐出動作を行うために、補完吐出部に近接した他の吐出部が有する吐出電極を利用することができる。そのため、吐出不良が発生したときに備えて、追加の構成を用意しておく必要がなく、不要なコストアップを抑えることができる。
本発明によれば、追加の構成を必要とせずに、吐出不良に対する補完吐出動作を実現可能な液体吐出装置および液体吐出方法を提供することができる。
第1の実施形態に係る記録装置の概略斜視図である。 第1の実施形態に係る記録装置の制御系のブロック図である。 第1の実施形態に係る記録ヘッドの概略平面図である。 第1の実施形態に係る記録ヘッドの概略側面図である。 第1の実施形態に係る吐出部ユニットの概略斜視図である。 インクが吐出されるメカニズムについて説明するための図である。 記録媒体の同一走査線上にインクが着弾した様子を示す図である。 非対称な電界によってインクが吐出される様子を示す図である。 電界分布のシミュレーション結果を示す図である。 吐出電極間の電位差と着弾位置ずれ量との関係を示すグラフである。 第1の実施形態に係る記録装置の記録動作を示すフローチャートである。 第1の実施形態に係る吐出部ユニットの概略断面図である。 記録媒体の同一走査線上にインクが着弾した様子を示す図である。 吐出工程の第1の具体例を説明するための図である。 第2の具体例の通常吐出動作における電圧波形を示すグラフである。 第2の具体例の通常吐出動作を説明するための図である。 吐出工程の第2の具体例における電圧波形を示すグラフである。 吐出工程の第2の具体例を説明するための図である。 吐出部の先端に異物が付着した様子を示す図である。 吐出部の先端が破損している様子を示す図である。 不吐部によるインク吐出の影響を説明するための図である。 不吐検出用のチャートが出力された記録媒体を示す図である。 吐出駆動条件の変更方法を説明するための図である。 第2の実施形態に係る吐出部ユニットの概略断面図である。 第2の実施形態に係る吐出工程を説明するための図である。 第3の実施形態に係る吐出部ユニットの概略斜視図である。 中間電極間の電位差と着弾位置ずれ量との関係を示すグラフである。 第3の実施形態に係る吐出工程を説明するための図である。 第3の実施形態に係る吐出工程を説明するための図である。 第3の実施形態に係る吐出工程における電圧波形を示すグラフである。 第3の実施形態に係る吐出工程を説明するための図である。 第4の実施形態に係る吐出工程を説明するための図である。 第4の実施形態に係る吐出工程を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下の実施形態に示す構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
本明細書では、本発明の液体吐出装置について、液体としてインクを記録媒体に吐出して画像を記録するインクジェット記録装置を例に挙げて説明する。なお、ここでいう「記録」とは、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く、記録媒体上に、文字や図形などの画像、模様、パターンなどを形成したり、記録媒体を加工したりすることを意味する。また、「記録媒体」とは、紙、糸、繊維、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革など、液体を受容可能なものを意味する。さらに、「液体」とは、広く解釈されるべきものであり、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターンなどの形成、記録媒体の加工、あるいはインクまたは記録媒体の処理に供される液体を意味する。
(第1の実施形態)
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成について説明する。図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の構成を示す概略斜視図である。
本実施形態のインクジェット記録装置(以下、単に「記録装置」という)1は、記録ヘッドユニット10と、対向電極12とを備えている。記録ヘッドユニット10は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の4色のカラーインクを吐出する4つの記録ヘッド11K,11C,11M,11Yから構成されている。対向電極12は、導電部材からなり、記録媒体13を介して記録ヘッドユニット10に対向する位置に配置され、記録媒体13を支持している。なお、対向電極12は、グランドに接地されている。
また、記録装置1は、搬送ローラ14と、搬送補助ローラ15と、補給ローラ16と、補給補助ローラ17とを備えている。送りローラ14は、送り補助ローラ15と共に記録媒体13を挟持しながら図中の矢印の方向に回転し、記録媒体13をy方向に搬送する。補給ローラ16と補給補助ローラ17は、記録媒体が積載されたトレイ(図示せず)から記録媒体13の補給を行うとともに、紙送りローラ14および補助ローラ15と同様に、記録媒体13を狭持する役割を果たしている。
図2は、本実施形態の記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
ホストコンピュータ30は、記録装置1に対して記録命令などの制御データと記録すべき画像データとを送信するとともに、記録装置1からステータス情報などを受信する。入出力インターフェース31は、ホストコンピュータ30から送信された制御データおよび画像データを受信するとともに、ステータス情報などをホストコンピュータ30に対して出力する。CPU32は、ホストコンピュータ30の命令に従い、記録装置1全体の動作を制御する制御部として機能する。ROM33は、制御プログラムやフォントなどのデータを格納し、RAM34は、記録データを一時的に格納する記録バッファやCPU32のワークエリアとして使用される。モータドライバ35は、CPU32の指令に従い、搬送ローラ14や補給ローラ16などを駆動する各種駆動用モータ36の駆動を制御する。ヘッドドライバ37は、CPU32の指令に従い、記録ヘッドユニット10の駆動を制御する。
ホストコンピュータ30から送信された画像データは、入出力インターフェース31内の受信バッファに一時的に格納され、記録装置1で処理可能な記録データに変換されてCPU32に供給される。CPU32は、ROM33に格納されている制御プログラムに基づき、CPU32に供給された記録データを各インク単位に分割し、RAM34の記録バッファに一旦格納する。RAM34の記録バッファに格納された記録データは、各インクの記録ヘッドの駆動順序に合わせて、CPU32に再度読み出される。そして、CPU32に読み出された記録データは、実際の吐出タイミングに合わせてヘッドドライバ37に出力され、対応する記録ヘッド11K,11C,11M,11Yが駆動されて記録媒体13にインクを吐出して記録が行われる。
図3および図4は、本実施形態の記録ヘッドの構成を示す概略平面図および概略側面図である。なお、本実施形態の4つの記録ヘッドは共通の構成を有しているため、以下では、インクの色に対応する添字を省略して説明する。
記録ヘッド11は、4つの吐出部ユニット20a〜20dを有している。各吐出部ユニット20a〜20dは、記録媒体13に向かって突出し、記録媒体13の搬送方向yと直交するx方向(以下、「吐出部配列方向」という)に150dpi(約169μm)のピッチで配置された複数の吐出部24a〜24dを有している。また、4つの吐出部ユニット20a〜20dは、吐出部配列方向xに約42.3μmずつずれて配置されている。すなわち、吐出部配列方向xに150dpiの解像度の吐出部ユニット20a〜20dが記録媒体13の搬送方向yに約42.3μmずつずれて4つ設けられているため、記録ヘッド11は600dpiの記録解像度を有することになる。なお、4つの吐出部ユニット20a〜20dは、記録媒体13の搬送方向yには互いに約8.46mmの間隔を置いて配置されている。
図5は、本実施形態の吐出部ユニットの構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態の4つの吐出部ユニットは共通の構成を有しているため、以下では、特にこれらを区別する必要がない場合、添字を省略して説明する場合がある。
吐出部ユニット20は、流路部材21と、吐出基板22と、複数の吐出電極23と、複数の吐出部24と、溝部25とを有している。櫛歯状の複数の吐出部24は、絶縁体で形成された吐出基板22の先端に設けられ、記録媒体13(図5には図示せず)の方向に突出している。複数の吐出部24には、導電部材からなる吐出電極23がそれぞれ設けられている。液体流路部材21は、図示しない液体供給手段に接続されている。
液体供給手段から供給されるインクは、図中の矢印に沿って液体流路部材21の溝部25を流れ、吐出部24の先端へと導かれ、そして、以下に示すメカニズムによって記録媒体13に吐出される。
ここで、図6を参照して、本実施形態の記録ヘッドにおいてインクが吐出されるメカニズムについて説明する。図6は、本実施形態の記録ヘッドの概略断面図である。
櫛歯状の複数の吐出部24の間には、液体供給手段(図示せず)から吐出基板22を介して供給されたインク41が満たされている。この状態で各吐出電極23と対向電極12との間に電位差を生じさせると、静電気力(静電吸引力)によりインク41中の帯電粒子が対向電極12に引き寄せられる。静電気力がインクの表面張力を上回ると、インク41はインク滴42として分裂して吐出部24から吐出され、電気力線に沿って飛翔して記録媒体13に着弾する。なお、インクは、高抵抗溶媒中に電荷を保持した粒子が分散したものでもよく、この場合にも、静電気力により対向電極12に引き寄せられ、同様の効果を示すことになる。
インク41がインク滴42として吐出されるためには、一定以上の電圧を吐出電極23に印加する必要がある。本実施形態では、吐出部24の先端と記録媒体13との距離は600μmであり、記録媒体13が金属媒体である場合、その電位は接地された対向電極12と同電位で0Vである。この状態では、吐出電極23に1200Vを上回る電圧を印加するとインク滴42の吐出を生じさせることができる。つまり、吐出部24と記録媒体13との間に1200V/600μm=2.0×10V/m以上の電界を形成することで、インク滴42を吐出させることができる。この電界が生じる電圧を吐出閾電圧Vtと呼ぶことにする。吐出閾電圧Vtについては、吐出部の形状やインクの物性、インク帯電量、電極間距離など諸々の条件により変わるため、実際の構成に応じた具体的な値を予め確認しておくことが好ましい。
また、パルス状の吐出電圧、例えば、20kHzの吐出周波数で1300Vの電圧を吐出電極23に印加すると、吐出量約2plのインク滴42を吐出させることができる。このとき、インク滴42は正に帯電しており、その飛翔速度と静電場計算から、約3×10−13Cの電荷量を保持している。なお、上記条件以外の電圧(>Vt)や吐出周波数においても、インク滴42の吐出量や帯電量はほぼ同じである。インク滴の吐出量や帯電量については、吐出部の形状やインクの物性、電極間距離など諸々の条件により変わるため、実際の構成に応じた具体的な値を予め確認しておくことが好ましい。
図7は、本実施形態の4つの吐出部ユニットから記録媒体の同一走査線上にインクが着弾した様子を示す概略平面図である。
図7を参照すると、第1の吐出部ユニット20a(図3参照)から吐出されて記録媒体13に着弾したインクが、ドット43a1〜43a6として示されている。同様に、第2、第3、および第4の吐出部ユニット20a,20b,20c(図3参照)から吐出されて記録媒体13に着弾したインクが、それぞれドット43b1〜43b5,43c1〜43c5,43d1〜43d5として示されている。なお、記録媒体13は、対向電極12の上を搬送速度8インチ/秒(約20.32cm/秒)で搬送され、各吐出部の駆動周波数は4.8kHzであり、記録媒体13の搬送方向yにおける記録解像度は600dpiである。
次に、図8および図9を参照して、吐出部と記録媒体との間に非対称な電界が発生することによるインク吐出の影響について説明する。図8は、記録媒体との間に非対称な電界が発生しているときに吐出部からインクが吐出される様子を示す、記録ヘッドの概略断面図である。図9は、吐出部と記録媒体との間の電界分布のシミュレーション結果を示す図である。
図8に示す3つの吐出電極231,232,233のうち、中央の吐出電極232には吐出周波数20kHzで1300Vの電圧が印加され、左側の吐出電極231には電圧1150V、右側の吐出電極233には電圧900Vがそれぞれ印加されている。この場合、中央の吐出部241の記録媒体13との間には、吐出部241に対して左右非対称の電界、より具体的には、吐出部241から記録媒体13に下ろした垂線(図8中の点線)に対して左右非対称な電界が形成される。図9には、このときの電界シミュレーションに基づいた、3つの吐出電極231,232,233により形成される等電位面が示されている。この非対称な電界により、中央の吐出部242から吐出されたインク滴42は、電位の低い(対向電極12との電位差がより小さい)右側の吐出電極233の方向へと曲がり、図8中の矢印の軌跡をたどって記録媒体13へ着弾する。図9には、上述の電界シミュレーションに基づいたインク滴42の飛翔軌道も示されている。
このように、吐出部232に対して両側の吐出電極231,233と対向電極12との間の電位差を互いに異ならせることで、インク滴42の着弾位置を目標着弾位置(対称な電界が生じているときの着弾位置)から意図的にずらすことが可能になる。より具体的には、吐出部232に対して、一方の吐出電極233と対向電極12との間の電位差を他方の吐出電極231と対向電極12との間の電位差よりも小さくすることで、一方の吐出電極233の側にインクを偏向させて吐出させることが可能になる。
上述した例では、インク滴42の目標着弾位置からの着弾位置ずれ量Δxは約67μmであるが、図10には、吐出電極231,233への印加電圧値を変化させたときのインク滴42の着弾位置ずれ量Δxが示されている。横軸は、吐出電極231の電圧値V1と吐出電極233の電圧値V3との差ΔV=V1−V3を示し、縦軸は、インク滴42の着弾位置ずれ量Δxを示している。これによれば、左右の吐出電極231,233間の電位差ΔVが大きくなるほど、すなわち、中央の吐出部242と記録媒体13との間に生じる電界の非対称性が強くなるほど、着弾位置ずれ量Δxが大きくなることが分かる。なお、着弾位置ずれ量Δxと電位差ΔVとの関係は、吐出部の形状やインクの物性、インク帯電量、電極間距離など諸々の条件により変わるため、図10に示す結果はあくまで一例であり、実際の構成に応じた具体的な関係を予め確認しておくことが好ましい。
したがって、吐出部242から吐出されるインク滴42の目標着弾位置からの着弾位置ずれ量Δxは、吐出部242に近接した吐出電極231,233間の電位差を変化させることで制御可能である。これを利用することで、吐出不良の吐出部が存在する場合に、この吐出不良の吐出部に近接する吐出部からインクを偏向させて吐出させ、吐出不良の吐出部が形成すべきドットを補完する補完吐出動作を行うことができる。ただし、所望の補完吐出動作を実現するためには、以下の2つの条件を満たす必要がある。
第一に、吐出性能を維持するために、吐出電極間での電流リークを防止する必要がある。すなわち、インクを吐出するための吐出電極と隣接する吐出電極との間の電位差が大きいと電流リークが生じてしまうため、この電位差を絶縁破壊電圧Vd以下に抑える必要がある。本実施形態では、複数の吐出部24が吐出部配列方向xに150dpiのピッチで配置され、吐出電極23の幅が20μmであるため、隣接する吐出電極間の距離は約150μmである。絶縁破壊電圧が3.55kV/mmであることから、隣接する吐出電極間の電位差をVd=532.5V未満に抑える必要がある。
第二に、飛翔するインクを偏向させるためには、吐出部と記録媒体との間に上述した非対称な電界を生成する必要があるが、この非対称な電界を生成するために隣接する吐出電極に印加する電圧は吐出閾電圧Vtよりも低く設定する必要がある。これは、隣接する吐出電極に吐出閾電圧Vt以上の電圧が印加されると、その吐出電極に対応する吐出部から意図しないインク吐出が生じ、画像が乱れてしまうためである。
次に、図11に示すフローチャートに沿って、本実施形態の記録装置における記録動作について説明する。
なお、以下に示す記録動作は、上述した補完吐出動作を含むものであり、複数の吐出部に吐出不良の吐出部(以下、「不吐部」という)があると判定された場合の記録動作であるが、不吐部があるか否かは公知の方法を用いて判定することができる。例えば、記録媒体に不吐検出用のチャートを出力し、出力された記録媒体をサービスマンやユーザが目視して不吐部を発見し、その不吐部の番号を記録装置に入力する方法を用いることができる。あるいは、記録媒体に出力した不吐検出用のチャートを記録装置内部に搭載したラインセンサによって読み取ることで、不吐部を特定することもできる。
まず、ホストコンピュータ30から画像データを受信し、受信した画像データをRAM34に格納する(ステップS1)。そして、RAM34に格納された画像データを、同じくRAM34に格納された不吐部の情報と比較し(ステップS2)、画像データ内に不吐部に吐出を要求するデータが存在するか否かを判定する(ステップS3)。
画像データ内に不吐部に吐出を要求するデータが存在する場合、画像データを2種類の記録データに分割する(ステップS4)。すなわち、不吐部に吐出を要求するデータ(以下、「補完吐出用データ」という)と、不吐部以外の吐出部に吐出を要求するデータ(以下、「通常吐出用データ」という)の2種類の記録データに分割する。
画像データの分割が行われると、不吐部に近接した吐出部を、補完吐出用データに基づいて補完吐出動作を実行する補完吐出部として設定し(ステップS5)、その補完条件を決定する(ステップS6)。ここで補完条件とは、補完吐出部から吐出されるインクの偏向量や、非対称電界を形成するために制御電極(補完吐出部の両側に隣接する吐出電極)に印加する駆動電圧を指す。そして、補完条件が決定されると、各吐出用データや補完条件がCPU32からヘッドドライバ37に出力し、補完吐出用データに基づいた補完吐出動作と、通常吐出用データに基づいた通常吐出動作とを時分割で実行する(ステップS7)。
その後、画像データの記録が終了するまで、ステップS7を繰り返し実行する(ステップS8)。なお、ステップS3において画像データ内に不吐部に吐出を要求するデータが存在しないと判定された場合には、画像データを2つに分割せずに、そのままの画像データに基づいた通常の記録動作を実行する(ステップS9)。
以下、2つの具体例を挙げて、補完吐出動作と通常吐出動作とを時分割で実行する本実施形態の吐出工程について詳細に説明する。
[第1の具体例]
まず、図12から図14を参照して、本実施形態における吐出工程の第1の具体例について説明する。ここでは、画像データが全ベタ画像であり、第2の吐出部ユニット20bの吐出部24b3が不吐部である場合を例に挙げて説明する。図12は、不吐部を含む吐出部ユニットからインクが吐出される様子を示す概略断面図である。図13は、図12に示す吐出部ユニットを含む4つの吐出部ユニットから記録媒体の同一走査線上にインクが着弾した様子を示す概略平面図である。図14は、本実施形態における吐出工程の第1の具体例を説明するための記録媒体の概略平面図である。
図12に示すように、第2の吐出部ユニット20bの吐出部24b3が不吐部であるとすると、画像データが全ベタ画像である場合、記録媒体13上では、図13に示すように、不吐部24b3が本来形成すべきドット43b3が抜けてしまう。この抜けたドット43b3を補完するために、これに隣接するドット43a3またはドット43c3を形成する吐出部を補完吐出部として設定することができる。すなわち、吐出部配列方向xにおいて不吐部24b3に最も近接した、第1の吐出部ユニット20aの吐出部24a3または第3の吐出部ユニット20cの吐出部24c3を、補完吐出部として設定することができる(図3参照)。以下では、第1の吐出部ユニット20aの吐出部24a3を補完吐出部として設定した場合を例に挙げて説明する。
まず、補完吐出部24a3から吐出されるインクの偏向量(補完吐出部24a3の目標着弾位置43a3から不吐部24b3の目標着弾位置43b3までの吐出部配列方向xの距離)を算出し、その偏向量を実現するための駆動電圧を決定する。本実施形態では、記録密度が600dpiであるため、抜けたドット43b3を補完するために必要な偏向量は約42.3μmである。この偏向量を実現するために、電界の非対称性ΔVと着弾位置ずれ量Δxとの相関関係(図10参照)に基づいて、補完吐出部24a3の両側に隣接する吐出部24a2,24a4の吐出電極間に156Vの電位差が生じるように、駆動電圧を設定する。なお、偏向量は、記録ヘッドの記録密度や吐出部の配置密度に応じて変わるため、不吐部に対する補完吐出部が設定された時点で、その都度偏向量を算出し、駆動電圧を決定する。
こうして補完条件が決定した後、補完吐出部24a3とその両側に隣接する吐出部24a2,24a4の駆動周波数を4.8kHzから9.6kHzに変更して、補完吐出部24a3の吐出動作を補完吐出動作と通常吐出動作との2つに時分割する。なお、記録媒体13の搬送速度は、8インチ/秒(約20.32cm/秒)のまま変更しない。また、吐出部24a2〜24a4以外の吐出部の通常吐出動作は時分割しないため、その駆動周波数は4.8kHzのまま変更しない。
第1のタイミングにおいて、補完吐出部24a3の吐出電極に1300Vの電圧が印加され、他の吐出電極にも同様に1300Vの電圧が印加される。このため、補完吐出部24a3を含むすべての吐出部24a1〜24a6において、それぞれの目標着弾位置に向けてインクを吐出する通常吐出動作が行われる。したがって、吐出部24a1〜24a6から吐出されるインクは、図14(a)に示すように、それぞれの目標着弾位置であるドット位置43a1〜43a6に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される。
その後、第2のタイミングにおいて、補完吐出部24a3の吐出電極に1300Vの電圧が印加され、吐出部24a2の吐出電極に1103V、吐出部24a4の吐出電極に947Vの駆動電圧がそれぞれ印加される。したがって、補完吐出部24a3と記録媒体13との間には、補完吐出部24a3に対して左右の吐出電極間の電位差が156Vの非対称電界が形成される。また、他の吐出電極には1000Vの電圧が印加される。こうして、補完吐出部24a3のみからインクが吐出され、補完吐出部24a3による補完吐出動作が行われる。第1のタイミングから第2のタイミングまでの間(9.6kHz)に、記録媒体13は搬送方向yに約21μm進んでいる。したがって、補完吐出部24a3から吐出されるインクは、図14(b)に示すように、その目標着弾位置43a3から吐出部配列方向xのドット位置43a4の側に約42μm、搬送方向yの下流側に約21μmずれたドット位置43a31に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される。
第1の吐出部ユニット20aによる上述した補完吐出動作と通常吐出動作が行われた後、他の3つの吐出部ユニット20b,20c,20dによる通常吐出動作が順次行われる。こうして、4つの吐出部ユニット20a〜20dから記録媒体13の同一走査線上にインクが着弾し、図14(c)に示すような記録画像を得ることができる。
上述した具体例では、不吐部24b3に対する補完吐出動作を吐出部24a3のみで行っているが、吐出部24c3のみで行うようになっていてもよく、2つの吐出部24a3,24c3を交互に利用しても行うようになっていてもよい。また、上述した具体例では、記録媒体13の搬送速度を変更していないが、吐出部の元々の駆動周波数が高く、補完吐出部24a3の駆動周波数を2倍にできない場合には、記録媒体13の搬送速度を1/2に減速することもできる。その場合、補完吐出部24a3とその両側に隣接する吐出部24a2,24a4以外の吐出部の駆動周波数を1/2にすることで、これら吐出部24a2〜24a4の時分割駆動を実行することができる。さらに、不吐部が複数存在する場合にも、同様に画像データを補完吐出用データと通常吐出用データの2種類の記録データに分割することで、補完吐出動作と通常吐出動作とを時分割で実行することができる。
不吐部が隣接している場合も同様である。例えば、吐出部24b2,24b3が不吐部である場合、それぞれ吐出部24a2,24c2および24a3,24c3で補完動作を行うことができる。また、多数の不吐部が連続している場合は、画像データ内の不吐部に吐出を要求するデータをさらに分割し、分割されたデータに基づいた吐出動作を時分割で実行することができる。例えば、吐出部24b2,24b3,24b4が不吐部である場合、画像データを、通常吐出用データと、不吐部24b2,24b4に対する補完吐出用データと、不吐部24b3に対する補完吐出用データの3つに分割する。そして、それぞれのデータに基づいた吐出動作を時分割で実行する。すなわち、第1のタイミングにおいて、通常吐出動作を行い、第2のタイミングにおいて、不吐部24b2,24b4に対する補完吐出動作を行い、第3のタイミングにおいて、不吐部24b3に対する補完吐出動作を行う。不吐部24b2,24b4に対する補完吐出動作は、吐出部24a2,24a4によって行い、不吐部24b3に対する補完吐出動作は、吐出部24a3,24c3のいずれかで行うことができる。
[第2の具体例]
本実施形態における吐出工程の第2の具体例は、不吐部が存在しない場合にも吐出部ユニットによる通常吐出動作が時分割で実行されることをベースにしたものである。そこで、第2の具体例を説明する前に、図15および図16を参照して、不吐部が存在しない場合の吐出部ユニットによる通常吐出動作について説明する。
各吐出部ユニット20a〜20dにおいて、すべての吐出部は、奇数吐出部と偶数吐出部の2つのグループに分けられて駆動される。図15(a)には、奇数吐出部の吐出電極に印加される電圧波形が示されており、図15(b)には、偶数吐出部の吐出電極に印加される電圧波形が示されている。図15(a)および図15(b)から分かるように、奇数吐出部および偶数吐出部の通常吐出動作は、それぞれ4.8kHzの駆動周波数で実行され、偶数吐出部の通常吐出動作は、奇数吐出部の通常吐出動作に対して19.2kHzの周期で実行される。
まず、第1のタイミングt1において、第1の吐出ユニット20aの奇数吐出部24a1,24a3,24a5の吐出電極に1300V(図15(a)参照)の電圧が印加される。それと同時に、偶数吐出部24a2,24a4,24a6の吐出電極に1150V(図15(b)参照)の電圧が印加される。このため、吐出閾電圧Vt=1200V以上の電圧が印加された奇数吐出部24a1,24a3,24a5において通常吐出動作が行われる。このとき、偶数吐出部24a2,24a4,24a6の吐出電極は同電位であるため、各奇数吐出部24a1,24a3,24a5の周りには左右対称な電界が形成される。その結果、奇数吐出部24a1,24a3,24a5から吐出されるインクは、図16(a)に示すように、それぞれの目標着弾位置からずれることなく、ドット位置43a1,43a3,43a5に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図15(a)および図15(b)参照)。
その後、第2のタイミングt2において、奇数吐出部24a1,24a3,24a5の吐出電極に1150V(図15(a)参照)、偶数吐出部24a2,24a4,24a6の吐出電極に1300V(図15(b)参照)の電圧がそれぞれ印加される。このため、第1のタイミングt1とは逆に、吐出閾電圧Vt=1200V以上の電圧が印加された偶数吐出部24a2,24a4,24a6において通常吐出動作が行われる。その結果、偶数吐出部24a2,24a4,24a6から吐出されるインクは、図16(b)に示すように、それぞれの目標着弾位置からずれることなく、ドット位置43a2,43a4,43a6に着弾する。なお、記録媒体13の搬送速度は8インチ/秒(約20.32cm/秒)であるため、第1のタイミングt1から第2のタイミングt2までの間(19.2kHz)に、記録媒体13は搬送方向yに約10.6μm進んでいる。したがって、偶数吐出部によるドット位置43a2,43a4,43a6は、奇数吐出部によるドット位置43a1,43a3,43a5に対して、搬送方向yの下流側に約10.6μmずれた位置である。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図15(a)および図15(b)参照)。
第1の吐出部ユニット20aによる上述した通常吐出動作が行われた後、他の3つの吐出部ユニット20b,20c,20dによる同様の通常吐出動作が順次行われる。こうして、4つの吐出部ユニット20a〜20dから記録媒体13のほぼ同一走査線上にインクが着弾し、図16(c)に示すような記録画像を得ることができる。なお、奇数吐出部および偶数吐出部の駆動周波数は、上述の通り、4.8kHzであるため、各吐出部から吐出されるインクは、記録媒体13の搬送方向yには約42.3μm(600dpi)のピッチで着弾する。
次に、図17および図18を参照して、本実施形態における吐出工程の第2の具体例について説明する。ここでは、第1の具体例と同様に、画像データが全ベタ画像であり、第2の吐出部ユニット20bの吐出部24b3が不吐部であるときに、第1の吐出部ユニット20aの吐出部24a3を補完吐出部として設定した場合を例に挙げて説明する。
第2の具体例では、第2から第4の吐出部ユニット20b〜20dによる通常吐出動作が行われた後、第1の吐出部ユニット20aによる補完吐出動作と通常吐出動作が行われる。具体的には、補完吐出部24a3による補完吐出動作が行われた後、第1の吐出部ユニット20aの奇数吐出部による通常吐出動作と偶数吐出部による通常吐出動作とが順次行われる。以下では、第2から第4の吐出部ユニット20b〜20dによる通常吐出動作が行われた後の、第1の吐出部ユニット20aによる補完吐出動作と通常吐出動作について説明する。
図17(a)には、奇数吐出部に含まれる補完吐出部24a3の吐出電極に印加される電圧波形が示されている。図17(b)には、偶数吐出部に含まれ、補完吐出部24a3に隣接する吐出部24a2の吐出電極に印加される電圧波形が示されている。図17(c)には、偶数吐出部に含まれ、補完吐出部24a3に隣接する吐出部24a4の吐出電極に印加される電圧波形が示されている。図17(a)から図17(c)から分かるように、補完吐出部24a3による補完吐出動作は、4.8kHzの駆動周波数で実行され、奇数吐出部および偶数吐出部による通常吐出動作も、それぞれ4.8kHzの駆動周波数で実行される。また、奇数吐出部の通常吐出動作は、補完吐出部24a3の補完吐出動作に対して19.2kHzの周期で実行され、偶数吐出部の通常吐出動作は、奇数吐出部の通常吐出動作に対して19.2kHzの周期で実行される。
第2から第4の吐出部ユニット20b〜20dによる通常吐出動作が行われ、図18(a)に示す記録画像が得られた後、図17(a)に示すように、第1のタイミングt1において、補完吐出部24a3の吐出電極に1300Vの電圧が印加される。それと同時に、吐出部24a2の吐出電極に1103V(図17(b)参照)、吐出部24a4の吐出電極に947V(図17(c)参照)の駆動電圧がそれぞれ印加される。したがって、補完吐出部24a3と記録媒体13との間には、補完吐出部24a3に対して左右の吐出電極間の電位差が156Vの非対称電界が形成される。また、他の吐出電極には1000Vの電圧が印加される。こうして、補完吐出部24a3のみからインクが吐出され、補完吐出部24a3による補完吐出動作が行われる。この補完吐出動作は、補完吐出部24a3による通常吐出動作よりも19.2kHzの周期だけ早く行われる。したがって、補完吐出部24a3から吐出されるインクは、図18(b)に示すように、不吐部24b3の目標着弾位置43b3から搬送方向yの上流側に約10.6μmずれたドット位置43a31に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図17(a)から図17(c)参照)。
その後、第2のタイミングt2において、補完吐出部24a3の吐出電極に1300Vの電圧が印加され(図17(a)参照)、他の奇数吐出部の吐出電極にも同様に1300Vの電圧が印加される。それと同時に、吐出部24a2,24a4の吐出電極に1150Vの電圧が印加され(図17(b)および図17(c)参照)、他の偶数吐出部の吐出電極にも同様に1150Vの電圧が印加される。こうして、補完吐出部24a3を含む奇数吐出部において通常吐出動作が行われる。その結果、奇数吐出部から吐出されるインクは、図18(c)に示すように、それぞれの目標着弾位置であるドット位置43a1,43a3,43a5に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図17(a)から図17(c)参照)。
その後、第3のタイミングt3において、補完吐出部24a3の吐出電極に1150Vの電圧が印加され(図17(a)参照)、他の奇数吐出部の吐出電極にも同様に1150Vの電圧が印加される。それと同時に、吐出部24a2,24a4の吐出電極に1300Vの電圧が印加され(図17(b)および図17(c)参照)、他の偶数吐出部の吐出電極にも同様に1300Vの電圧が印加される。こうして、吐出部24a2,24a4を含む偶数吐出部において通常吐出動作が行われる。その結果、偶数吐出部から吐出されるインクは、図18(c)に示すように、それぞれの目標着弾位置であるドット位置43a2,43a4に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図17(a)から図17(c)参照)。
なお、第2の具体例においても、不吐部24b3に対する補完吐出動作は、吐出部24c3のみで行うようになっていてもよく、2つの吐出部24a3,24c3を交互に利用しても行うようになっていてもよい。また、第2の具体例では、すべての吐出部が奇数吐出部と偶数吐出部の2つのグループに分けられて時分割で駆動されるようになっているが、3つ以上のグループに分けられて時分割で駆動されるようになっていてもよい。
ところで、静電吸引方式のインクジェット記録装置では、不吐部が存在する場合、その吐出不良の原因によっては、不吐部に近接した吐出部から吐出されるインクの着弾位置が目標着弾位置からずれる場合がある。したがって、通常吐出動作において不吐部に近接した吐出部から吐出されるインクの着弾位置を確認し、必要に応じて、その吐出駆動条件(印加電圧)を変更して着弾位置を補正する必要がある。
まず、この吐出駆動条件の変更方法について説明する前に、吐出不良の2種類の原因と、それによる周囲の吐出部からのインク吐出の影響について説明する。吐出部における吐出不良の原因として、一つには、吐出部先端への異物付着やインク固着によるものが考えられ、もう一つには、吐出部先端の破損や変形によるものが考えられる。図19は、吐出部の先端に異物が付着した様子を示す概略断面図であり、図20は、吐出部が破損している様子を示す概略断面図である。
なお、以下では、図15および図16において説明した通常吐出動作が時分割で実行される場合を例に挙げて説明する。奇数吐出部および偶数吐出部の駆動周波数や印加電圧、記録媒体の搬送速度については、特に言及しない限り、図15および図16において説明したものと同じである。
図19に示す不吐部24b3は、先端に異物51が付着していることで吐出不良となっているが、それ自体や吐出電極23b3に破損や変形はない。そのため、不吐部24b3の吐出電極23b3に吐出不良でないときと同じ電圧を印加すると、不吐部24b3からインクは吐出されないが、不吐部24b3と記録媒体13との間に、吐出不良でないときと同じ電界が形成される。
したがって、図19に示す吐出部ユニット20bから吐出されるインクの着弾位置は、不吐部24b3からインクが吐出されない以外、図15および図16において説明した場合と同様である。すなわち、第1のタイミングにおいて不吐部24b3以外の奇数吐出部24b1,24b5,・・・から吐出されるインクは、図21(a)に示すように、それぞれの目標着弾位置からずれることなく、ドット位置43a1,43a5,・・・に着弾する。同様に、第2のタイミングにおいて偶数吐出部24a2,24a4,24a6,・・・から吐出されるインクも、図21(b)に示すように、それぞれの目標着弾位置からずれることなく、ドット位置43a2,43a4,43a6,・・・に着弾する。
このように、吐出不良の原因が吐出部先端への異物付着やインク固着である場合、不吐部24b3以外の吐出部から吐出されるインクの着弾位置は、目標着弾位置からずれることがない。そのため、これら吐出部の通常吐出動作における吐出駆動条件を変更して着弾位置を補正する必要はない。
一方、図20に示す不吐部24b3は、先端が破損していることで吐出不良となっており、図中の点線は、破損していないときの吐出電極23b3の形状を表している。このとき、吐出電極23b3の先端52と対向電極12との間の距離は、吐出電極23b3が破損していないときの先端53と対向電極12との距離よりも大きくなる。そのため、不吐部24b3の吐出電極23b3に吐出不良でない(破損していない)ときと同じ電圧を印加しても、不吐部24b3と記録媒体13との間に形成される電界は、破損していないときに比べて小さくなる。
したがって、図20に示す吐出部ユニット20bから吐出されるインクの着弾位置は、不吐部24b3以外の奇数吐出部24b1,24b5,・・・については、図15および図16において説明した場合と同様である。すなわち、第1のタイミングにおいて不吐部24b3以外の奇数吐出部24b1,24b5,・・・から吐出されるインクは、図21(a)に示すように、それぞれの目標着弾位置からずれることなく、ドット位置43a1,43a5,・・・に着弾する。しかしながら、偶数吐出部24a2,24a4,24a6,・・・のうち、不吐部24b3に隣接した吐出部24a2,24a4の周囲には、上述した理由により左右非対称の電界が形成される。その結果、吐出部24a2,24a4から吐出されたインクは、電位が低い不吐部24b3の側に偏向して飛翔し、図21(c)に示すように、それぞれの目標着弾位置からΔx1だけずれたドット位置43b2,43b4に着弾する。なお、不吐部24b3から大きく離れた位置にある偶数吐出部24b6,・・・から吐出されるインクの着弾位置は、図21(c)に示すように、図15および図16において説明した場合と同様である。
このように、吐出不良の原因が吐出部先端の破損や変形である場合、この破損や変形に起因して、不吐部24b3に近接した吐出部24b2,24b4に対して非対称な電界が形成される。その結果、不吐部24b3に近接した吐出部24b2,24b4から吐出されるインクの着弾位置は目標着弾位置からずれることになる。
したがって、これら吐出部24b2,24b4の通常吐出動作を行う前に、インクの着弾位置が目標着弾位置からずれるか否かを判定し、その判定結果に基づいて、吐出電極24b1〜24b6に印加する電圧を改めて決定する必要がある。具体的には、上述の着弾位置ずれ量Δx1を検出し、着弾位置ずれ量Δx1が所定値以上である場合、吐出駆動条件を変更し、上述の非対称な電界を打ち消すような電界を形成して、着弾位置ずれ量Δx1が所定値を下回るようにする必要がある。画像密度や濃度などにより変化するが、人間の視認限界が約20μmであることから、Δx1<20μmとなるように吐出駆動条件を変更することが好ましい。
次に、通常吐出動作における吐出駆動条件を具体的に変更する方法について説明する。図22(a)および図22(b)は、図20において説明した構成および条件の下で記録媒体に出力した不吐検出用のチャートである。図22(a)は、吐出不良が発生していないときのチャートを示しており、図22(b)は、吐出不良が発生したときのチャートを示している。
図22(a)を参照すると、記録装置内部に搭載したラインセンサによって読み取られた吐出不良がないときにドット間隔は、約169μmである。これに対し、図22(b)を参照すると、記録装置内部に搭載したラインセンサによって読み取られた吐出不良が発生したときのドット間隔は、図の左から順に、約249μm、178μm、249μm、169μm、169μm、169μm、・・・である。すなわち、ドット43b1とドット43b2との間隔が約249μmであることから、ドット43b2の着弾位置ずれ量Δx1は、約80μm(=249−169μm)であることが分かる。同様に、ドット43b4とドット43b5との間隔が約249μmであることから、ドット43b2の着弾位置ずれ量Δx1は、約80μm(=249−169μm)であることが分かる。
電界の非対称性ΔVと着弾位置ずれ量Δxとの相関関係(図10参照)により、ドット43b2の着弾位置ずれ量Δx1が約80μmである場合、吐出部24b2と記録媒体13との間に約300Vの電位差の非対称電界が形成されていると推定される。同様に、ドット43b4の着弾位置ずれ量Δx1が約80μmである場合、吐出部24b4と記録媒体13との間に約300Vの電位差の非対称電界が形成されていると推定される。このことは、破損している不吐部24b3の吐出電極23b3に1150Vの電圧を印加しても、実質的には約850Vしか印加されていないのと同じであることを意味している。したがって、吐出部24b2,24b4からインクを偏向させずに吐出させるためには、少なくとも吐出電極23b1,23b5に印加する電圧を1150Vから850V前後に変更する必要があることが分かる。
より最適な吐出駆動条件(印加電圧)を決定するために、不吐部24b3以外の奇数吐出部24b1,24b5,・・・の吐出電極23b1,23b5,・・・への印加電圧を何種類か変えて不吐検出用のチャートを出力する方法を用いることができる。図23には、不吐部以外の奇数吐出部の吐出電極に印加する電圧を840V、850V、860Vの3種類に変更したときの不吐検出用のチャートが示されている。
図23を参照すると、印加電圧Vcがそれぞれ840V、850V、860Vのときに吐出部24b2,24b4から吐出されて記録媒体13に着弾したインクが、ドットライン44、45,46として示されている。印加電圧Vcが840Vのときのドットライン44の間隔は約344μmであり、着弾位置ずれ量Δx1は約3μm(=(344/2)−169μm)である。また、印加電圧Vcが850Vのときのドットライン45の間隔は約338μmであり、着弾位置ずれ量Δx1は0μm(=(338/2)−169μm)である。また、印加電圧Vcが860Vのときのドットライン46の間隔は約332μmであり、着弾位置ずれ量Δx1は約3μm(=169−(332/2)μm)である。
上述した吐出駆動条件はいずれも、着弾位置ずれ量Δx1が20μm未満となるため、どの吐出駆動条件を選択してもよいが、より最適な吐出駆動条件としては、着弾位置ずれ量Δx1が0μmである印加電圧Vc=850Vを選択することができる。なお、上述した吐出駆動条件でも着弾位置ずれ量Δx1が20μm未満にならない場合には、吐出駆動条件を変更し、着弾位置ずれ量Δx1が20μm未満になるまで上述した手順を繰り返し、最適な吐出駆動条件を決定する。
着弾位置ずれ量Δx1の許容範囲は記録装置1のユーザによって選択可能になっていてもよい。例えば、記録装置1またはホストコンピュータ30から具体的な許容範囲を数値入力するようなっていてもよく、あるいは、記録装置1に設定された3種類の許容範囲モード(小・中・大)から選択するようになっていてもよい。
なお、本実施形態では、隣接する吐出部ユニット20a〜20dは記録媒体13の搬送方向yに約8.46mm離れて配置されている(図3参照)。そのため、第2の吐出部ユニット20bの不吐部24b3の周囲に形成される非対称な電界の影響は、隣接する第1および第3の吐出部ユニット20a,20cの吐出部に及ぶことはない。したがって、吐出駆動条件を変更するのは、不吐部24b3が存在する第2の吐出部ユニット20bのみであり、隣接する第1および第3の吐出部ユニット20a,20cの吐出駆動条件は、吐出不良がないときと同じである。隣接する第1および第3の吐出部ユニット20a,20cが不吐部24b3の周囲に形成される非対称な電界に影響を受けるような近距離に配置されている場合には、影響される吐出部の吐出駆動条件を前述と同様の方法で変更することができる。
以上、本実施形態によれば、補完吐出部によって吐出不良の吐出部に対する補完吐出動作を行うために、補完吐出部に近接した他の吐出部の吐出電極を利用することができる。そのため、吐出不良が発生したときに備えて、追加の構成を用意しておく必要がなく、不要なコストアップを抑えることができる。
なお、補完吐出部としては、吐出部配列方向において不吐部と異なる位置に配置されたものであればよく、上述した実施形態のように、不吐部24b3に最も近接した吐出部24a3または吐出部24c3に限定されるものではない。例えば、第2の吐出部ユニット20bの不吐部24b3に対して、第4の吐出部ユニット20dの吐出部24d3を補完吐出部として用いることもできる。
また、上述した実施形態では、補完吐出動作において非対称電界を形成するための制御電極として、補完吐出部24a3の両側に配置された2つの吐出電極が用いられているが、3つ以上の吐出電極が用いられていてもよい。また、制御電極としては、補完吐出部24a3に最も近接した吐出部24b2,24b4の吐出電極だけでなく、補完吐出部24a3から離れた位置にある吐出部の吐出電極を用いることもできる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、各記録ヘッドが単一の吐出部ユニットしか有しておらず、したがって、150dpiの記録解像度を有している点で、第1の実施形態と異なっている。その他の構成は第1の実施形態と同様であり、以下では、記録媒体13の搬送速度が8インチ/秒(約20.32cm/秒)であり、各吐出部の駆動周波数が1.2kHzである場合の、本実施形態における吐出工程の具体例のみ説明する。
図24は、不吐部を含む本実施形態の吐出部ユニットからインクが吐出される様子を示す概略断面図である。図25は、本実施形態における吐出工程を説明するための記録媒体の概略平面図である。
図24に示すように、吐出部ユニット20の吐出部243が不吐部であるとすると、画像データが全ベタ画像である場合、記録媒体13上では、不吐部243が本来形成すべきドット433が抜けてしまう。この抜けたドット433を補完するために、これに隣接するドット432またはドット434を形成する吐出部を補完吐出部として設定することができる。すなわち、不吐部243に隣接した吐出部242または吐出部244を、補完吐出部として設定することができる。以下では、吐出部242を補完吐出部として設定した場合を例に挙げて説明する。
まず、補完吐出部242から吐出されるインクの偏向量を算出し、その偏向量を実現するための駆動電圧を決定する。本実施形態では、記録密度が150dpiであるため、抜けたドット433を補完するために必要な偏向量は約169μmである。この偏向量を実現するために、電界の非対称性ΔVと着弾位置ずれ量Δxとの相関関係(図10参照)に基づいて、補完吐出部242の両側に隣接する吐出電極231,233の吐出電極間に626Vの電位差が生じるように、駆動電圧を設定する。
こうして補完条件が決定した後、補完吐出部242とその両側に隣接する吐出部241,243の駆動周波数を1.2kHzから2.4kHzに変更して、補完吐出部242の吐出動作を補完吐出動作と通常吐出動作との2つに時分割する。なお、記録媒体13の搬送速度は、8インチ/秒(約20.32cm/秒)のまま変更しない。また、吐出部241〜243以外の吐出部の通常吐出動作は時分割しないため、その駆動周波数は1.2kHzのまま変更しない。
第1のタイミングにおいて、すべての吐出電極231〜235に1300Vの電圧が印加される。このため、不吐部243を除くすべての吐出部241,242,244,245において、それぞれの目標着弾位置に向けてインクを吐出する通常吐出動作が行われる。したがって、吐出部241,242,244,245から吐出されるインクは、図25(a)に示すように、それぞれの目標着弾位置であるドット位置431、432,434,435に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される。
その後、第2のタイミングにおいて、補完吐出部242の吐出電極232に1300Vの電圧が印加され、吐出部241の吐出電極231に1100V、不吐部243の吐出電極233に474Vの駆動電圧がそれぞれ印加される。したがって、補完吐出部242と記録媒体13との間には、補完吐出部242に対して左右の吐出電極231,233間の電位差が626Vの非対称電界が形成される。また、他の吐出電極には1000Vの電圧が印加される。こうして、補完吐出部242のみからインクが吐出され、補完吐出部242による補完吐出動作が行われる。第1のタイミングから第2のタイミングまでの間(2.4kHz)に、記録媒体13は搬送方向yに約85μm進んでいる。したがって、補完吐出部242から吐出されるインクは、図25(b)に示すように、不吐部233の目標着弾位置433から搬送方向yの下流側に約85μmずれたドット位置4331に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される。こうして、吐出部ユニット20による補完吐出動作と通常吐出動作が完了する。
上述した具体例では、不吐部243に対する補完吐出動作を吐出部242のみで行っているが、吐出部244のみで行うようになっていてもよく、2つの吐出部242,244を交互に利用しても行うようになっていてもよい。また、第1の実施形態と同様に、補完吐出部として、不吐部243から離れた位置にある吐出部241または吐出部245が用いられていてもよい。同様に、制御電極が3つ以上の吐出電極であってもよく、制御電極として、補完吐出部232から離れた位置にある吐出部の吐出電極が用いられていてもよい。また、例えば、隣接する2つの吐出部242,243に吐出不良が発生した場合には、これらに隣接する吐出部241または吐出部244を補完吐出部として用いることができる。
(第3の実施形態)
上述した実施形態では、補完吐出動作と通常吐出動作とを時分割で実行することで、図14、図18、および図25に示すように、補完吐出動作によるインクの着弾位置に記録媒体13の搬送方向yのずれが生じてしまう。画像データが低密度あるいは低濃度であれば許容できる可能性もあるが、人間の視認限界が約20μmであることから、この位置ずれも20μm以内に収まっていることが好ましい。
本発明の第3の実施形態は、記録媒体13の搬送方向yにおけるこの位置ずれを抑制するためのものであり、第1の実施形態の各吐出部ユニットに新たに複数の中間電極が追加されたものである。これ以外の構成は第1の実施形態と同様であり、以下では、本実施形態において新たに追加された構成と、それに伴う吐出工程の変更点について説明する。
図26は、本実施形態の吐出部ユニットの構成を示す概略斜視図である。
吐出部ユニット20は、複数の吐出部24と対向電極12(図26には図示せず)との間に配置され、導電部材からなる2つの中間電極26a,26bを有している。2つの中間電極26a,26bは、吐出部配列方向xに延びるスリットを形成し、複数の吐出部24から吐出されるインクがこのスリットを通過するように、記録媒体13の搬送方向yに並んで配置されている。より具体的には、2つの中間電極26a,26bは、各吐出部24から記録媒体13に下ろした垂線を挟んで搬送方向yに対称に配置されている。
このような2つの中間電極26a,26bに互いに異なる電圧を印加することで、中間電極26a,26bの間に搬送方向yの電界を形成し、それにより、吐出部24から吐出されるインクの飛翔方向を搬送方向yに偏向させることができる。
図27には、2つの中間電極26a,26bへの印加電圧値を変化させたときのインク滴の目標着弾位置からの着弾位置ずれ量Δyが示されている。横軸は、2つの中間電極26a,26bの電圧値Va,Vbが平均で750Vになるように設定したときの、上流側の中間電極26aの電圧値Vaと下流側の中間電極26bの電圧値Vbとの差ΔVmを示している。縦軸は、吐出部24から記録媒体13に下ろした垂線と記録媒体13との交点を基準としたときの搬送方向yにおける着弾位置ずれ量Δyを示している。これによれば、吐出部24から吐出されたインク滴は、電位の低い下流側の中間電極26bの方向へと曲がり、中間電極26a,26b間の電位差ΔVmが大きくなるほど、着弾位置ずれ量Δyが大きくなることが分かる。なお、着弾位置ずれ量Δyと電位差ΔVとの関係は、吐出部の形状やインクの物性、インク帯電量、電極間距離など諸々の条件により変わるため、図27に示す結果はあくまで一例であり、実際の構成に応じた具体的な関係を予め確認しておくことが好ましい。
このように、吐出部24から吐出されるインク滴の目標着弾位置からの着弾位置ずれ量Δyは、中間電極26a,26b間の電位差を変化させることで制御可能である。これを利用することで、吐出部配列方向xだけでなく記録媒体13の搬送方向yにもインクを偏向させて吐出させ、より正確な補完吐出動作を行うことができる。
次に、本実施形態における吐出工程の具体例について、第1の実施形態における吐出工程の第2の具体例と同様に、通常吐出動作が時分割で実行される構成に適用した場合を例に挙げて説明する。ここでは、第2の具体例と同様に、画像データは全ベタ画像であり、第2の吐出部ユニット20bの吐出部24b3が不吐部であるときに、第1の吐出部ユニット20aの吐出部24a2を補完吐出部として設定したものとする(図3参照)。さらに、図20から図23において説明したように、不吐部における吐出不良の原因は吐出部先端の破損であるとし、不吐部の吐出電極に1150Vの電圧を印加しても実質的には約850Vしか印加されていないものとする。偶数吐出部の駆動周波数や印加電圧、記録媒体の搬送速度については、特に言及しない限り、第1の実施形態における吐出工程の第2の具体例において説明したものと同じである。
本実施形態の吐出工程では、第4および第3の吐出部ユニット20d,20cによる通常吐出動作が行われた後、第2の吐出部ユニット20bによる通常吐出動作が行われ、その後、第1の吐出部ユニット20aによる補完吐出動作と通常吐出動作が行われる。以下では、4および第3の吐出部ユニット20d,20cによる通常吐出動作が行われた後の、第2の吐出部ユニット20bによる通常吐出動作から説明する。
図28は、本実施形態の吐出工程における第2の吐出部ユニットによる通常吐出動作を説明するための記録媒体の概略平面図である。図29は、本実施形態の通常吐出動作時の第2の吐出部ユニットの概略側面図である。
第4および第3の吐出部ユニット20d,20cによる通常吐出動作が行われ、図28(a)に示す記録媒体が得られた後、図15に示す電圧波形と同様の電圧波形によって、第2の吐出部ユニット20bによる通常吐出動作が行われる。
まず、第1のタイミングにおいて、奇数吐出部24b1,24b3,24b5の吐出電極に1300V、偶数吐出部24b2,24b4の吐出電極に1150Vの電圧がそれぞれ印加される。さらに、2つの中間電極26a,26bに750Vの電圧が印加される。これにより、不吐部24b3を除く奇数吐出部24b1,24b5からインクが吐出される。図29(a)には、このときの第2の吐出部ユニット20bの概略側面図が示されており、中間電極26a,26bが同電位であることから、奇数吐出部24b1,24b5から吐出されるインクは、搬送方向yには偏向せず真っ直ぐに飛翔する。そして、図28(b)に示すように、第4および第3の吐出部ユニット20d,20cによるドット位置43c1〜43c5,43d1〜43d5と同じライン上のドット位置43b1,43b5に着弾する。
その後、第2のタイミングにおいて、不吐部24b3を除く奇数吐出部24b1,24b5の吐出電極に850V、不吐部24b3の吐出電極に1150V、偶数吐出部24b2,24b4の吐出電極に1300Vの電圧がそれぞれ印加される。これにより、偶数吐出部24b2,24b4から吐出されるインクは、吐出部配列方向xには偏向せずに真っ直ぐに飛翔する。さらに、上流側の中間電極26aに752V、下流側の中間電極26bに748Vの電圧がそれぞれ印加される。図29(b)には、このときの第2の吐出部ユニット20bの概略側面図が示されており、中間電極26a,26b間に電界が形成されることから、偶数吐出部24b2,24b4から吐出されるインクは、搬送方向yの下流側に偏向して着弾する。このときの偏向量Δy1は、中間電極26a,26b間の電位差ΔVmが4Vであることから、約10.6μmである。一方で、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間(19.2kHz)に、記録媒体13は搬送方向yに約10.6μm進んでいる。したがって、偶数吐出部24b2,24b4から吐出されるインクは、図28(c)に示すように、奇数吐出部24b1,24b5によるドット位置43b1,43b5と同じライン上のドット位置43b2,43b4に着弾する。
こうして第2の吐出部ユニット20bによる通常吐出動作が行われた後、第1の吐出部ユニット20aによる補完吐出動作と通常吐出動作が行われる。具体的には、第1の吐出部ユニット20aの奇数吐出部による通常吐出動作と偶数吐出部による通常吐出動作とが順次行われた後、補完吐出部24a3による補完吐出動作が行われる。以下、図30および図31を参照して、第1の吐出部ユニット20aによる補完吐出動作と通常吐出動作について説明する。
図30(a)には、奇数吐出部に含まれる補完吐出部24a3の吐出電極に印加される電圧波形が示されている。図30(b)には、偶数吐出部に含まれ、補完吐出部24a3に隣接する吐出部24a2の吐出電極に印加される電圧波形が示されている。図30(c)には、偶数吐出部に含まれ、補完吐出部24a3に隣接する吐出部24a4の吐出電極に印加される電圧波形が示されている。図30(a)から図30(c)から分かるように、奇数吐出部および偶数吐出部による通常吐出動作は、それぞれ4.8kHzの駆動周波数で実行され、補完吐出部24a3による補完吐出動作も、4.8kHzの駆動周波数で実行される。また、偶数吐出部の通常吐出動作は、奇数吐出部の通常吐出動作に対して19.2kHzの周期で実行され、補完吐出部24a3の補完吐出動作は、偶数吐出部の通常吐出動作に対して19.2kHzの周期で実行される。
上述した第2の吐出部ユニット20bによる通常吐出動作が行われた後、図30(a)に示すように、第1のタイミングt1において、補完吐出部24a3の吐出電極に1300Vの電圧が印加される。また、他の奇数吐出部の吐出電極にも同様に1300Vの電圧が印加される。それと同時に、吐出部24a2,24a4の吐出電極に1150Vの電圧が印加され(図30(b)および図30(c)参照)、他の偶数吐出部の吐出電極にも同様に1150Vの電圧が印加される。こうして、補完吐出部24a3を含む奇数吐出部において通常吐出動作が行われる。
ここで、中間電極26a,26bには、いずれも75Vの電圧が印加される。その結果、奇数吐出部24a1,24a3,24a5から吐出されるインクは、搬送方向yには偏向せず真っ直ぐに飛翔し、図31(a)に示すように、他のドット位置と同じライン上のドット位置43a1,43a3,43a5に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図30(a)から図30(c)参照)。
その後、第2のタイミングt2において、補完吐出部24a3の吐出電極に1150Vの電圧が印加され(図30(a)参照)、他の奇数吐出部の吐出電極にも同様に1150Vの電圧が印加される。それと同時に、吐出部24a2,24a4の吐出電極に1300Vの電圧が印加され(図30(b)および図30(c)参照)、他の偶数吐出部の吐出電極にも同様に1300Vの電圧が印加される。こうして、吐出部24a2,24a4を含む偶数吐出部において通常吐出動作が行われる。
ここで、上流側の中間電極26aに752V、下流側の中間電極26bに748Vの電圧がそれぞれ印加され、中間電極26a,26b間に電位差ΔVmが4Vの電界が形成される。その結果、偶数吐出部24a2,24a4から吐出されるインクは搬送方向yに偏向するが、このときの偏向量Δy1(約10.6μm)は、第1のタイミングt1から第2のタイミングt2までの間に搬送される記録媒体13の搬送距離によって相殺される。そうして、偶数吐出部24a2,24a4から吐出されるインクは、図31(b)に示すように、他のドット位置と同じライン上のドット位置43a2,43a4に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図30(a)から図30(c)参照)。
その後、第3のタイミングt3において、補完吐出部24a3の吐出電極に1300Vの電圧が印加される(図30(a)参照)。それと同時に、吐出部24a2の吐出電極に1103V(図30(b)参照)、吐出部24a4の吐出電極に947V(図30(c)参照)の駆動電圧がそれぞれ印加される。したがって、補完吐出部24a3と記録媒体13との間には、補完吐出部24a3に対して左右の吐出電極間の電位差が156Vの非対称電界が形成される。また、他の吐出電極には1000Vの電圧が印加される。こうして、補完吐出部24a3のみからインクが吐出され、補完吐出部24a3による補完吐出動作が行われる。
ここで、上流側の中間電極26aに754V、下流側の中間電極26bに746Vの電圧がそれぞれ印加され、中間電極26a,26b間に電位差ΔVmが8Vの電界が形成される。その結果、補完吐出部24a3から吐出されるインクは搬送方向yに偏向するが、このときの偏向量Δy1(約21.2μm)は、第1のタイミングt1から第3のタイミングt3までの間に搬送される記録媒体13との搬送距離によって相殺される。そうして、補完吐出部24a3から吐出されるインクは、図31(c)に示すように、他のドット位置と同じライン上であって不吐部24b3の目標着弾位置でもあるドット位置43a3に着弾する。インク吐出が終了すると、各吐出電極に印加される電圧は、吐出閾電圧Vt以下、具体的には1000Vに制御される(図30(a)から図30(c)参照)。
このように、本実施形態では、中間電極26a,26b間の電位差を変化させることで、吐出動作を時分割で実行することによってインクの着弾位置が搬送方向yにずれることも補正することが可能になる。
なお、図26に示した構成例では、1つの吐出部ユニット20の複数の吐出部24に対して、2つの中間電極26a,26bが設けられているが、中間電極の数は2つに限定されるものではない。各吐出部24から吐出されるインクに対して搬送方向yに電界を付与することができるようになっていればよく、例えば、中間電極26a,26bの少なくとも一方が吐出部配列方向xにいくつかに分割されていてもよい。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、各記録ヘッドが単一の吐出部ユニットしか有しておらず、したがって、150dpiの記録解像度を有している点で、第3の実施形態と異なっているが、その他の構成は第3の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態は、第2の実施形態に対して、第3の実施形態の中間電極が追加された変形例である。以下では、本実施形態における吐出工程について、図24および図25において説明した第2の実施形態の吐出工程と異なる点のみ説明する。
不吐部243を除くすべての吐出部241,242,244,245による通常吐出動作(第1のタイミング)と補完吐出部242による補完吐出動作(第2のタイミング)との間の記録媒体13の搬送距離は、約85μmである(図25(b)参照)。本実施形態の吐出工程では、以下に示すように、通常吐出動作と補完吐出動作においてインクを搬送方向yに互いに逆向きに偏向させて吐出させることで、この搬送距離に相当するインクの偏向量を実現する。
まず、第1のタイミングにおいて、不吐部243を除くすべての吐出部241,242,244,245(図24参照)による通常吐出動作が行われる。このとき、上流側の中間電極26aには742Vの電圧が印加され、下流側の中間電極26bには758Vの電圧がそれぞれ印加され、したがって、中間電極26a,26b間に電位差ΔVmが−16Vの電界が形成される。図32(a)には、このときの吐出部ユニット20の概略断面図が示されている。吐出部241,242,244,245から吐出されるインクは、搬送方向yの上流側に偏向して着弾するが、このときの偏向量Δy1は約42μmである。この通常吐出動作によって吐出部241,242,244,245から吐出されるインクは、図33(a)に示すように、同じライン上のドット位置431,432,434,435に着弾する。
その後、第2のタイミングにおいて、補完吐出部243による補完吐出動作が行われる。このとき、上流側の中間電極26aには758Vの電圧が印加され、下流側の中間電極26bには742Vの電圧がそれぞれ印加され、したがって、中間電極26a,26b間に電位差ΔVmが16Vの電界が形成される。図32(b)には、このときの吐出部ユニット20の概略断面図が示されている。補完吐出部243から吐出されるインクは、第1のタイミングにおける通常吐出動作とは逆に、搬送方向yの下流側に偏向して着弾し、そのときの偏向量Δy2は約42μmである。
したがって、2つの偏向量Δy1,Δy2を合わせた偏向量(約85μm)が、第1のタイミングから第2のタイミングまでの間に搬送される記録媒体13の搬送距離によって相殺される。その結果、この補完吐出動作によって補完吐出部243から吐出されるインクは、図33(b)に示すように、ドット位置431,432,434,435と同じライン上であって不吐部243の目標着弾位置でもあるドット位置433に着弾する。
1つの吐出部ユニット20による上述した補完吐出動作と通常吐出動作が行われた後、他の3つの吐出部ユニットにおいても同様の工程を繰り返し行うことで、図33(c)に示すような記録画像を得ることができる。
1 インクジェット記録装置(液体吐出装置)
12 対向電極
13 記録媒体
23 吐出電極
24 吐出部
32 CPU(制御部)

Claims (12)

  1. 導電部材からなる複数の吐出電極を有する複数の吐出部と、前記複数の吐出部に対向する位置に配置され、導電部材からなる対向電極と、前記各吐出電極と前記対向電極との間に電位差を生じさせることで前記複数の吐出部を駆動し、前記対向電極に支持されて搬送される記録媒体に対して前記複数の吐出部から液体を吐出させて画像を形成する制御部とを有する液体吐出装置において、
    前記制御部は、前記複数の吐出部に吐出不良の吐出部がある場合、該吐出不良の吐出部に近接した吐出部を補完吐出部として設定するとともに、前記複数の吐出電極のうち前記補完吐出部に近接した少なくとも2つの吐出電極を制御電極として設定し、前記少なくとも2つの制御電極と前記対向電極との間に生じさせる電位差を互いに異ならせることで、前記吐出不良の吐出部が吐出不良でないときの目標着弾位置に向けて、前記補完吐出部から液体を偏向させて吐出させる補完吐出動作を実行することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向において前記吐出不良の吐出部と異なる位置に配置された吐出部を前記補完吐出部として設定する、請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向において前記吐出不良の吐出部に最も近接した吐出部を前記補完吐出部として設定する、請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記制御部は、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向において前記補完吐出部の両側に配置された少なくとも2つの吐出電極を前記制御電極として設定する、請求項2または3に記載の液体吐出装置。
  5. 前記制御部は、前記少なくとも2つの制御電極の一方の制御電極と前記対向電極との間の電位差を他方の制御電極と前記対向電極との間の電位差よりも小さくすることで、前記補完吐出部から前記一方の制御電極の側に液体を偏向させて吐出させる、請求項4に記載の液体吐出装置。
  6. 前記制御部は、前記補完吐出動作と、前記補完吐出部の目標着弾位置に向けて該補完吐出部から液体を吐出させる通常吐出動作とを時分割で実行する、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  7. 前記制御部は、前記複数の吐出部を複数のグループに分けて時分割で駆動する、請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  8. 前記複数の吐出部と前記対向電極との間に配置され、導電部材からなり、前記各吐出部から吐出される液体に対して前記記録媒体の搬送方向に電界を付与するように構成された複数の中間電極をさらに有し、
    前記制御部は、前記複数の中間電極によって付与される前記電界を前記時分割のタイミングで変化させる、請求項6または7に記載の液体吐出装置。
  9. 前記制御部は、前記吐出不良の吐出部に起因して該吐出不良の吐出部に近接した吐出部と前記記録媒体との間に前記近接した吐出部に対して非対称な電界が形成されるか否かを判定し、該判定した結果に基づいて、前記複数の吐出部を駆動する際に前記各吐出電極と前記対向電極との間に生じさせる電位差を決定する、請求項1から8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
  10. 前記制御部は、前記近接した吐出部から吐出される液体の前記記録媒体上の着弾位置が目標着弾位置からずれるか否かに基づいて、前記非対称な電界が形成されるか否かを判定する、請求項9に記載の液体吐出装置。
  11. 前記制御部は、前記目標着弾位置からのずれ量が所定値以上である場合、前記近接した吐出部と前記記録媒体との間に前記非対称な電界を打ち消すような電界が形成されるように、前記電位差を決定する、請求項10に記載の液体吐出装置。
  12. 導電部材からなる複数の吐出電極と、前記複数の吐出電極に対向する位置に配置され、導電部材からなる対向電極との間に電位差を生じさせることで、前記複数の吐出電極を有する複数の吐出部を駆動し、前記対向電極に支持されて搬送される記録媒体に対して前記複数の吐出部から液体を吐出させて画像を形成する液体吐出方法において、
    前記複数の吐出部に吐出不良の吐出部があるか否かを判定する工程と、
    前記複数の吐出部に吐出不良の吐出部があると判定された場合、該吐出不良の吐出部に近接する吐出部を補完吐出部として設定するとともに、前記複数の吐出電極のうち前記補完吐出部に近接する少なくとも2つの吐出電極を制御電極として設定する工程と、
    前記少なくとも2つの制御電極と前記対向電極との間に生じさせる電位差を互いに異ならせることで、前記吐出不良の吐出部が吐出不良でないときの前記記録媒体上の目標着弾位置に向けて、前記補完吐出部から液体を偏向させて吐出させる工程と、
    を含むことを特徴とする液体吐出方法。
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