JP2018019008A - 熱電モジュールおよびその製造方法 - Google Patents
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温度差を受けて電位差を生じる性質がある少なくとも1つの熱電変換素子と、前記少なくとも1つの熱電変換素子に電気的に接続される少なくとも1つの電極部材(電極または切り出されて電極となる電極用ブランク)を準備すること、
前記少なくとも1つの熱電変換素子に前記少なくとも1つの電極部材をレーザ溶接すること、
前記レーザ溶接において、
前記少なくとも1つの電極部材を部分的に前記少なくとも1つの熱電変換素子に重ね合わせること、
前記少なくとも1つの電極部材と前記少なくとも1つの熱電変換素子の重ね合わせ部分上で、前記少なくとも1つの電極部材にレーザビームを少なくとも一回は環状走査しながら照射して、前記少なくとも1つの電極部材および前記少なくとも1つの熱電変換素子を部分的に融合させて接合し、熱電モジュールの少なくとも一部を形成すること。
温度差を受けて電位差を生じる性質がある少なくとも1つの熱電変換素子と、前記少なくとも1つの熱電変換素子に電気的に接続される少なくとも1つの電極を有し、
前記少なくとも1つの電極および前記少なくとも1つの熱電変換素子は、非溶接部または非溶融部を囲む少なくとも1つの環状溶融部によって互いに接合している。
温度差を受けて電位差を生じる性質がある少なくとも1つの熱電変換素子と、前記少なくとも1つの熱電変換素子に電気的に接続される少なくとも1つの電極用ブランクを準備すること、
前記少なくとも1つの熱電変換素子に前記少なくとも1つの電極用ブランクをレーザ溶接すること、
前記少なくとも1つの熱電変換素子にレーザ溶接された前記少なくとも1つの電極用ブランクをレーザ切断して少なくとも1つの電極を形成し、熱電モジュールの少なくとも一部を形成すること。
(1)熱電変換素子と電極をレーザ溶接を用いて直接的に接合することにより、熱電モジュールの使用温度が母材である熱電変換素子と電極の使用可能温度まで拡大できる;
(2)熱電変換素子と電極の間に形成される溶融部(溶け込み部)の制御によって、十分な接合強度と起電力を有する実用的な熱電モジュールを提供できる。
(形態1)少なくとも1つの熱電変換素子上に配置された少なくとも1つの電極部材側から、前記少なくとも1つの電極部材上にレーザビームを少なくとも一回は環状走査しながら照射して、前記少なくとも1つの電極部材および前記少なくとも1つの熱電変換素子を部分的に融合させて接合し、熱電モジュールの少なくとも一部を形成する。
(形態2)レーザ溶接は、前記電極部材の前記熱電変換素子との重ね合わせ部分の中央部を残して、前記中央部の近位から遠位に向かって実行される。この形態によれば、電極部材が部分的に反って熱電変換素子から剥離する現象が抑制される。逆に、前記中央部の遠位から近位に向かって実行される形態でも、電極部材が部分的に反って熱電変換素子から剥離する現象が抑制される。
(形態3)レーザビームの環状走査は、前記中央部の近位から遠位に向かって、走査径を変えて複数回実行される。この形態によれば、熱電変換素子内に形成される溶融部(溶け込み部)を可及的に浅く、かつ十分な接合強度が得られる大きさで形成できる。また、この形態によれば、電極と熱電変換素子間の熱抵抗を小さくできる。この結果、レーザ溶接による組成変化によって低下する熱電変換素子の起電力低下が抑制される。
(形態4)少なくとも1つの電極および少なくとも1つの熱電変換素子は、非溶接部または非溶融部を囲む少なくとも1つの環状溶融部によって互いに接合している。前記環状溶融部は、電極および/または熱電変換素子の厚みないし深さ方向に沿って少なくとも一部に形成されていればよい。すなわち、環状溶融部の少なくとも1つの横断面に、非溶接部または非溶融部が残存すればよい。この形態によれば、電極の周辺部が反って熱電変換素子から剥離する現象が抑制され、かつ熱電変換素子内にレーザ溶接によって形成される溶融部のボリュームが減少する。
(形態5)前記環状溶融部は、前記少なくとも1つの熱電変換素子の最大起電力の85%以上が得られるように構成される。この指標にしたがって、電極を熱電変換素子にレーザ溶接することにより、起電力、接合強度および電気抵抗のバランスがよい熱電モジュールを得ることができる。さらに好ましくは、熱電モジュールは、前記最大起電力の89%または90%が得られるような環状溶融部を有する。
(形態6)前記環状溶融部は、前記少なくとも1つの熱電変換素子の一面に全面的に前記電極部材を接合した場合の電気抵抗の100〜150%の範囲の電気抵抗が得られるように構成される。この指標にしたがって、電極を熱電変換素子にレーザ溶接することにより、起電力、接合強度および電気抵抗のバランスがよい熱電モジュールを得ることができる。
(形態7)少なくとも1つの熱電変換素子に少なくとも1つの電極用ブランクをレーザ溶接し、レーザ溶接された前記少なくとも1つの電極用ブランクをレーザ切断して少なくとも1つの電極(例えば直列回路)を形成する。この形態によれば、電極形成に関わる工数および設備が削減できる。例えば、レーザ溶接前に多数の電極をそれぞれ熱電変換素子上に位置決めする手間と位置決め用治具を削減できる。
(形態9)レーザビームの環状走査は複数回実行される。
(形態10)一の環状走査と他の環状走査は実質的に連続的に実行される。この形態によれば、熱電変換素子と電極間の接合面積ないし容積が拡大され、熱抵抗が減少する。
(形態11)一の環状走査と他の環状走査は実質的に不連続的に実行される。この形態によれば、熱電変換素子の起電力低下が抑制される。
(形態12)レーザビームの環状走査は、三角形、四角形およびそれ以上の多角形を含む矩形、楕円、長円もしくは半円径を含む円形に実行される。
(形態13)電極および熱電変換素子を接合する少なくとも1つの環状溶融部は、三角形、四角形およびそれ以上の多角形を含む矩形、楕円、長円もしくは半円形を含む円形の外形を有する。
(形態14)熱電変換素子は、例えば直方体または円柱状のバルク型立体構造を有する。
(1)熱電変換素子1と電極2の接合部の耐熱性が高い;
(2)熱電モジュール10の使用温度の上限が拡大される;
(3)熱電変換素子1内にレーザ溶接によって形成される環状溶融部Fzのボリュームが少ないため、レーザ溶接による熱電変換素子1の組成変化に起因する熱電変換素子1の起電力の低下が抑制される;
(4)熱電変換素子1側にも溶融部Fzが部分的に形成されることによって、熱電変換素子1と電極2の接合信頼性が向上される。
(1)接合材成分と、熱電変換素子および電極の材料との反応による性能低下および耐久性低下がない;
(2)ロウ材の印刷および塗布が不要となり、またクラッド材等のようなロウ材保持具が不要となるため、作業性が良く、製造コストを低減できる;
(3)半田を用いた場合には半田の加熱溶融のための時間が必要であるが、レーザ溶接の場合には瞬間的に母材が溶融し固化するため、接合プロセスに要する時間が短縮できる;
(4)熱電変換素子と電極の接合用治具を削減できる。また接合部に段差または凹凸のような3次元形状がある場合、ロウ材による接合ではロウ材の流動を考慮する必要があるために治具が複雑になる。これに対して、レーザ溶接によれば、瞬間的に溶融と固化が生じるために治具が簡素化できる。さらにモジュールの仕様毎に、ロウ材による接合では異なる治具が必要となる。
実験1では、表1に示すように、熱電変換素子1および電極2の寸法、ならびにレーザ溶接時にレーザ走査形状を変えて、試料No.1〜4の熱電モジュール10を作製してそれらの特性を測定した。得られた熱電モジュール10を切断して、レーザ溶接により形成された熱電変換素子1と電極2の接合部を観察した。実験1の条件を下記に説明する。
実験2では、図6(A)および(B)に示す構造の単体のP型熱電変換素子ユニット10a、N型熱電変換ユニット10bを、表3〜5に示すレーザ走査条件でそれぞれ作製して、起電力および電気抵抗を測定した。P型およびN型熱電変換素子1a、1bとしては、□4mm、高さ8mmのものを用い、銅電極としては10mm×50mm×t0.7mmのものを用いた。起電力測定では、200℃に加熱した銅板と水冷冷却板の間に、P型熱電変換素子ユニット10a、N型熱電変換ユニット10bをそれぞれ挟んで密着させ、ユニット10a,10bの各両端に発生した電圧を測定した。起電力について、P型の場合には電極を接合しないNo.5のユニットが発生する起電力を100として他の試験No.6〜10の起電力を表し、N型の場合には電極を接合しないNo.11のユニットが発生する起電力を100として他の試験No.12〜15の起電力を表し、またはN型の場合には電極を接合しないNo.16のユニットが発生する起電力を100として他の試験No.17〜23の起電力を表す。電気抵抗について、P型の場合には全面的溶接したNo.9の電気抵抗を100として他の試験No.6〜8および10の電気抵抗を表し、N型の場合には全面的溶接したNo.14のユニットの電気抵抗を100として他の試験No.12、13および15の電気抵抗を表し、またはN型の場合には全面的溶接したNo.17のユニットの電気抵抗を100として他の試験No.18〜23の電気抵抗を表す。なお、特記がない限り、実験2と実験1の条件は同じである。
1a P型熱電変換素子
1b N型熱電変換素子
2 電極(電極部材)
3 レーザビーム
4 溶融部Fzによって囲まれた凹部
10 熱電モジュール(Thermo Electronic Conversion Module)
10a P型熱電変換ユニット
10b N型熱電変換ユニット
12 電極用ブランク(電極部材)、電極用帯板、電極用平板
D 熱電変換素子1における溶融部Fzの形成深さ
H 熱電変換素子1の高さ(厚み)
Fz 環状の溶融部(Fusion Zone、JIS Z 3001-1参照)、環状の溶け込み部
St 走査軌跡(Scanning Traffic)
St1〜St5 第1〜5回の走査軌跡
CL 切断線(Cutting Line)
Claims (7)
- 温度差を受けて電位差を生じる性質がある少なくとも1つの熱電変換素子と、前記少なくとも1つの熱電変換素子に電気的に接続される少なくとも1つの電極部材を準備すること、
前記少なくとも1つの熱電変換素子に前記少なくとも1つの電極部材をレーザ溶接すること、
前記レーザ溶接において、
前記少なくとも1つの電極部材を部分的に前記少なくとも1つの熱電変換素子に重ね合わせること、
前記少なくとも1つの電極部材と前記少なくとも1つの熱電変換素子の重ね合わせ部分上で、前記少なくとも1つの電極部材にレーザビームを少なくとも一回は環状走査しながら照射して、前記少なくとも1つの電極部材および前記少なくとも1つの熱電変換素子を部分的に融合させて接合し、熱電モジュールの少なくとも一部を形成すること、
を特徴とする熱電モジュールの製造方法。 - 前記レーザ溶接は、前記電極部材の重ね合わせ部分の中央部を残して、前記中央部の近位から遠位に向かって実行されることを特徴とする請求項1記載の熱電モジュールの製造方法。
- 前記環状走査は、前記中央部の近位から遠位に向かって、走査径を変えて複数回実行されることを特徴とする請求項1記載の熱電モジュールの製造方法。
- 温度差を受けて電位差を生じる性質がある少なくとも1つの熱電変換素子と、前記少なくとも1つの熱電変換素子に電気的に接続される少なくとも1つの電極を有し、
前記少なくとも1つの電極および前記少なくとも1つの熱電変換素子は、非溶接部または非溶融部を囲む少なくとも1つの環状溶融部によって互いに接合していることを特徴とする熱電モジュール。 - 前記環状溶融部は、前記少なくとも1つの熱電変換素子の最大起電力の85%以上が得られるように構成されることを特徴とする請求項4記載の熱電モジュール。
- 前記環状溶融部は、前記少なくとも1つの熱電変換素子の一面に全面的に前記電極部材を接合した場合の電気抵抗の100〜150%の範囲の電気抵抗が得られるように構成されることを特徴とする請求項5記載の熱電モジュール。
- 温度差を受けて電位差を生じる性質がある少なくとも1つの熱電変換素子と、前記少なくとも1つの熱電変換素子に電気的に接続される少なくとも1つの電極用ブランクを準備すること、
前記少なくとも1つの熱電変換素子に前記少なくとも1つの電極用ブランクをレーザ溶接すること、
前記少なくとも1つの熱電変換素子にレーザ溶接された前記少なくとも1つの電極用ブランクをレーザ切断して少なくとも1つの電極を形成し、熱電モジュールの少なくとも一部を形成すること、
を特徴とする熱電モジュールの製造方法。
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