JP2018018757A - 評価用セルおよび電池材料の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】全固体電池の特性評価を大気中で極めて容易に行なえ、さらには小型化、低コスト化も図ることが可能な評価用セルを提供する。【解決手段】キャップ継手100と、挿通孔から環状キャップ30に当接するよう挿し込まれる絶縁スリーブ110と、絶縁スリーブ110の中空部111に、環状キャップ30に当接するよう挿し込まれる第1の金属製シリンダー棒120と、評価対象である電池材料から形成される電池材料層130と、絶縁スリーブ110の中空部111に挿し込まれる第2の金属製シリンダー棒140とを備え、絶縁スリーブの内径は、第1の金属製シリンダー棒120の径および第2の金属製シリンダー棒140の径と略同一であり、締結部材20は、キャップ継手100と絶縁スリーブ110との間、および絶縁スリーブ110と第2の金属製シリンダー棒140との間をガスシールする。【選択図】図1

Description

本発明は、評価用セルおよび電池材料の評価方法に関し、詳しくは固体電解質材料の特性評価(リチウムイオン伝導度測定、電子電導度測定等)や固体電解質層を用いた全固体電池(例えば全固体リチウムイオン電池)の特性評価(充放電特性、サイクル特性等)に適用できる加圧可能な評価用セルおよび電池材料の評価方法に関する。
リチウムイオン二次電池(通称:リチウムイオン電池)は、エネルギー密度が大きく、充放電のサイクル特性に優れるため、携帯機器等の電子機器を中心に広く使用されている。一般的なリチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液、セパレータの基本要素で構成され、正極および負極は、これらの電極間に電解質を保持できるセパレータを介在させた状態で電解液(リチウム塩を溶解した有機溶剤)に浸漬され、容器(パッケージ)で覆われている。しかしながら、液体である電解液を電解質として用いるリチウムイオン二次電池では、電解液の主成分である有機溶剤が可燃性であるため、発火の危険性があり、また電解液の液漏れの心配もあるため、十分な安全性を有しているとは言えず、更に通常電池電圧4.5V程度以上では電解液の分解が生ずるため高電圧化による高容量化が困難で、かつ、容器(パッケージ)内のセル同士が電解液で電気的に繋がっているため、バイポーラ型の積層セル構造によるセルの高電圧化・小型化が困難等、今後の低コスト化や小型化・高性能化におのずと限界があった。
今現在、上記課題を克服するため、電解液に代えて固体電解質を用いる全固体二次電池の開発が進められている。全固体二次電池の基本セル構造は、各機能性膜(正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層)が積層された積層セル構造(正極集電体/正極活物質層/固体電解質層/負極活物質層/負極集電体)であり、この積層セル構造が複数積み重ねられたバイポーラ型積層セル構造(正極集電体/正極活物質層(1)/固体電解質層(1)/負極活物質層(1)/集電体/正極活物質層(2)/固体電解質層(2)/負極活物質層(2)/集電体/・・・/正極活物質層(n)/固体電解質層(n)/負極活物質層(n)/負極集電体;n回積層)が容易に実現できる。
前記バイポーラ型積層セル構造により、パッケージの薄型化・小型化、及び、一つのセル内での直列化(積層)でのセルの高電圧化等による低コスト化が可能という利点に加え、電位窓が広いためLiに対して高電位の正極活物質(5V系)の適用による高容量化をより一層図ることも可能となる。更に、固体電解質の優れた耐熱性や難燃性による安全性向上も期待できる。
ここで、使用する固体電解質は、酸化物系固体電解質と硫化物系固体電解質に大別される。例えば、硫化物系固体電解質の製造方法として、メカニカルミリング法(特許文献1参照)および溶融法(特許文献2参照)がある。メカニカルミリング法は、遊星ボールミル等の特殊な装置を必要とするものの、少量であれば、簡便に合成できるという利点がある。
特開平11−134937号公報 国際公開第2005/119706号
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された、従来の加圧可能な評価用セルでは、全固体二次電池の部分が外部雰囲気との間でガスシールされていないため、全固体二次電池の構成部材(以下、「電池材料」ともいう。)が水分や酸素によって劣化しないように、電池評価セル全体をアルゴンガス等の不活性雰囲気中に設置する必要がある。したがって、全固体二次電池の充放電特性評価なども、例えばグローブボックス等のような精密な雰囲気制御が可能な装置内で実施しなければならず、煩雑で作業効率が悪く、かつ雰囲気制御も含めた電池評価システム全体が大型化して高コストとなる問題があった。
評価用セルに外部雰囲気との間でガスシールできるように特別に設計して作製されたものも市販されてはいるものの、ガスシール機能の付与のために評価セルが大型化(例えば、5cm×5cm×5cm程度以上)し、かつ高価(例えば、数万円/個)であった。
そこで、加圧成形(プレス成膜)を含めた組立てが簡便で、かつ特性評価を大気中で容易に実施でき、さらには小型化、低コスト化も実現できる全固体電池(主に全固体二次電池)に適した評価用セルが望まれていた。
本発明は、安価な市販部品を活用することで、活物質粉末や固体電解質粉末等を含む各種粉末の加圧成形(プレス成膜)を簡便に実施でき、かつ外部雰囲気との間でガスシールしながら固体電解質、あるいはその固体電解質を用いた全固体電池(例えばリチウムイオン電池)の特性評価を大気中で極めて容易に行なえ、さらには小型化、低コスト化も図ることが可能な全固体電池に適した、新規かつ改良された評価用セルおよび電池材料の評価方法の提供を目的とする。
本発明者は、このような状況に鑑み、全固体電池に適した評価用セルの構造について鋭意研究を重ねた結果、市販の安価な配管用キャップ継手を活用することにより、小型かつ安価で、外部雰囲気とのガスシールを維持しながら加圧可能な評価用セルおよび電池材料の評価方法が得られることを見出したものである。
即ち、本発明の一態様に係る評価用セルは、中心軸方向の一方に挿通孔が形成され、その他方に雄ネジが形成される袋ナットと、該雄ネジと螺合する雌ネジが形成される環状キャップと、該袋ナットを締め付ける締結部材とから構成されるキャップ継手と、前記挿通孔から前記環状キャップに当接するよう挿し込まれる絶縁スリーブと、前記絶縁スリーブの中空部に、前記環状キャップに当接するよう挿し込まれる第1の金属製シリンダー棒と、前記第1の金属製シリンダー棒の上に設けられ、評価対象である電池材料から形成される電池材料層と、前記電池材料層の上に設けられ、前記絶縁スリーブの中空部に挿し込まれる第2の金属製シリンダー棒とを備え、前記絶縁スリーブの内径は、前記第1の金属製シリンダー棒および前記第2の金属製シリンダー棒が前記絶縁スリーブに当接して挿入できるように、前記第1の金属製シリンダー棒の径および前記第2の金属製シリンダー棒の径と略同一であり、前記締結部材は、前記キャップ継手と前記絶縁スリーブとの間、および該絶縁スリーブと前記第2の金属製シリンダー棒との間をガスシールすることを特徴とする。
本発明の一態様では、活物質粉末、固体電解質粉末、導電助剤粉末、金属箔、金属板の群から選ばれる少なくとも一つ以上であることが好ましい。
本発明の一態様では、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層から形成されることが好ましい。
本発明の一態様では、前記締結部材は、フロントフェルールとバックフェルールとから構成され、前記フロントフェルールは、前記環状キャップおよび前記袋ナットの間に介在し、その先端部が楔状に形成され、前記バックフェルールは、前記フロントフェルールおよび前記袋ナットの間に介在し、その先端部が楔状に形成されることが好ましい。
また、本発明の他の態様に係る電池材料の特性評価方法は、上述した評価用セルを用いて、大気中において、前記電池材料層を加圧した状態で電池材料の特性を評価することを特徴とする。
本発明によれば、配管の開口端を閉塞させるための汎用の配管用キャップ継手を活用して外部雰囲気とのガスシールを維持しながら加圧可能な構造を実現しているため、活物質粉末や固体電解質粉末等を含む各種粉末の加圧成形(プレス成膜)を簡便に実施できるだけでなく、固体電解質、あるいはその固体電解質を用いた全固体電池(例えばリチウムイオン電池)の特性評価を大気中で極めて容易に行なえ、さらには小型化、低コスト化も図ることができる。
本発明の一形態に係る評価用セルの構造の一例を示す模式図である。 従来の評価用セルの構造の一例を示す模式図である。 本発明の一形態に係る評価用セルの構成過程の一例を示す模式図である。 実施例1に係る評価用セルの充放電曲線を示す図である。 実施例2に係る評価用セルの充放電曲線を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
[1−1.評価用セル]
図1は、本発明の一形態に係る評価用セルの構造の一例を示す模式図である。本実施の形態に係る評価用セル1は、図1に示すように、キャップ継手100と絶縁スリーブ110と第1の金属製シリンダー棒120と電池材料層130と第2の金属製シリンダー棒140とを備える。
(キャップ継手)
キャップ継手100は、袋ナット10と締結部材20と環状キャップ30とから構成される。キャップ継手は、具体的に、中心軸方向の一方に挿通孔が形成され、その他方に雄ネジが形成される袋ナットと、雄ネジと螺合する雌ネジが形成される環状キャップと、袋ナットを締め付ける締結部材とから構成される。
(袋ナット)
袋ナット10は、絶縁スリーブ110を挿通させた状態で、袋ナット10に形成された雄ネジ11と環状キャップ30に形成された雌ネジ31とが螺合される。袋ナット10は、環状ないし筒状の部材であり、その中心軸方向の一方が、環状キャップ30の雌ネジ31に対する雄ネジ11を螺合させるために開放されており、中心軸方向の他方に、絶縁スリーブ110を挿通させるための挿通孔12が形成されている。袋ナット10の挿通孔12の径は、絶縁スリーブ110の外径と略同一である。互いの径が略同一のため、締結部材20の作用により、電池材料が外部雰囲気と接触しないようにすることができる。なお、本明細書中の略同一とは、略同一だけでなく同一も含むものである。
(締結部材)
締結部材20は、袋ナット10の締め付けにより、環状キャップ30に押し込まれて絶縁スリーブ110側に変形し、絶縁スリーブ110を強く押し付けるため、この部分でガスシールが図られる。この締結部材20は、フロントフェルール21とバックフェルール22とから構成されるような分割型がよく用いられるが、例えば一体型のものでも良く、上記のような締結部材の機能を果たせば、特に限定されない。フロントフェルール21は、環状キャップ30および袋ナット10の間に介在し、その先端部21aが楔状に形成され、バックフェルール22は、フロントフェルール21および袋ナット10の間に介在し、その先端部22aが楔状に形成される。締結部材20として、フロントフェルール21とバックフェルール22とを使用することにより、袋ナット10を締め付けた際に、フロントフェルール21とバックフェルール22の双方が変形して、環状キャップ30や絶縁スリーブ110と強く密接することができる。その結果、電池材料が外部雰囲気と接触しないようにすることができる。
(環状キャップ)
環状キャップ30は、環状ないし筒状の部材であり、その中心軸方向の一方が、袋ナットの雄ネジ11に対する雌ネジ31を螺合させるために開放されており、中心軸方向の他方が、袋ナット10の挿通孔12から挿通させた絶縁スリーブ110がその支持面32に当接されるよう閉塞されている。
また、環状キャップの支持面32は、絶縁スリーブ110の外径に嵌入されるよう、環状キャップ30の支持面32の径は、絶縁スリーブ110をより固定するため、絶縁スリーブ110の外径と略同一であることが好ましい。これにより、評価用セル1が作製される際に、不要なガス成分が入り込む間隙を減らすことができる。
さらに、キャップ継手100を構成する袋ナット10と締結部材20(フロントフェルール21、バックフェルール22)と環状キャップ30とは、各種金属(炭素鋼、ステンレススチール、ハステロイ、インコネル、モネル、チタン、その他合金等)の材質であり、各種の配管径(チューブ径)(ミリサイズでは、3、6、8、10、12、14、16、18、20、22、25等、インチサイズでは1/8、1/4、3/8、1/2、3/4、1等)のものが比較的安価(ステンレススチール製であれば数千円/個程度)で市販されているため、評価用セル1の小型化や低コスト化を図ることが可能である。
(絶縁スリーブ)
絶縁スリーブ110は、袋ナット10の挿通孔12から環状キャップ30に当接するよう挿し込まれる。この絶縁スリーブ110の形状は、中空部を有し、筒状に形成されている。この絶縁スリーブ110の材質は、電気を通さない絶縁性のものであれば特に限定されないが、できれば水蒸気や酸素等のガス透過性の小さいものが好ましく、フッ素樹脂やシリコンが好ましい。特に、フッ素樹脂からなる絶縁スリーブ110は、高度な絶縁性だけでなく、水蒸気バリア性、耐熱性、耐化学薬品性や耐候性にも優れている。
(金属製シリンダー棒)
第1の金属製シリンダー棒(以下、図1に示すように、「金属製シリンダー棒120」ともいう。)は、絶縁スリーブ110の中空部111に、環状キャップ30に当接するよう挿し込まれる。また、第2の金属製シリンダー棒(以下、図1に示すように、「金属製シリンダー棒140」ともいう。)は、電池材料層130を介して第1の金属製シリンダー棒120の反対側に設けられ、絶縁スリーブ110の中空部111に挿し込まれる。これらの金属製シリンダー棒120,140は、Cu、Mg、Ti、Fe、Co、Ni、V、Zn、Al、Ge、In、Au、Pt、Ag、Pd等、または、これらのいずれかを含む合金(例えばステンレススチール)から適宜選択し、円柱状である。これらの金属製シリンダー棒120,140は、市販のものでもよい。本実施形態では、これらの金属製シリンダー棒120,140は、正極集電体または負極集電体として、機能する。
これらの金属製シリンダー棒120,140の径は、金属製シリンダー棒120,140が絶縁スリーブ110に当接して挿入できるように、絶縁スリーブ110の内径と略同一である。例えば、設計の都合上、金属製シリンダー棒の径の方が、絶縁スリーブ110の径より僅かに小さくしてもよい。さらに、金属製シリンダー棒140の円柱表面は、鏡面のように優れた平滑性を有するようにしておく。これにより、後述する評価用セル1の製造方法において、作製された評価用セル1内の電池材料が不活性ガス(N2、Ar、He等)を含むと共に、評価用セル1内の密閉性を高めることで、金属製シリンダー棒140と絶縁スリーブ110との間隙を介して電池材料が外部雰囲気と接触しないようにすることができる。その結果、この評価用セル1では、電池材料が空気や水蒸気により劣化しないので、大気中で電池材料を評価してもより高い精度が望める。なお、金属製シリンダー棒120,140の径は、環状キャップ30の底面33の径と略同一である。
(電池材料層)
電池材料層は、金属製シリンダー棒120の環状キャップ30の底面33と反対側の面上に設けられ、評価対象である電池材料を用いて形成される。すなわち、本実施形態では、この電池材料層130は、金属製シリンダー棒120と金属製シリンダー棒140との間に設けられる。この電池材料層130は、金属製シリンダー棒120(正極集電体)の上記面上に、正極活物質層(不図示)、固体電解質層(不図示)、負極活物質層(不図示)がそれぞれ形成された積層構造(金属シリンダー棒120(正極集電体)/正極活物質層/固体電解質層/負極活物質層/金属製シリンダー棒140(負極集電体)であってもよいし、あるいは、その逆に、金属製シリンダー棒120(負極集電体)の上記面上に、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層がそれぞれ形成された積層構造(金属シリンダー棒120(負極集電体)/負極活物質層/固体電解質層/正極活物質層/金属製シリンダー棒140(正極集電体))であってもよい。
また、電池材料層130を形成する電池材料は、活物質粉末(正極活物質粉末および負極活物質粉末)、固体電解質粉末、導電助剤粉末、金属箔、金属板の群から選ばれる少なくとも一つ以上である。前記金属箔及び前記金属板は、金属リチウム(Li)、リチウム合金のいずれかを主成分として構成されている。
(正極活物質)
正極活物質層を形成する正極活物質は、リチウムイオンを離脱、吸着させ易く、多くのリチウムイオンを離脱、吸蔵させることが可能な物質で構成されていればよく、リチウム−コバルト酸化物(LiCoO[コバルト酸リチウム]、LiCo等)(LCOと呼ばれる。)、リチウム−ニッケル酸化物(LiNiO[ニッケル酸リチウム]、LiNi等)(LNOと呼ばれる。)、リチウム−マンガン酸化物(LiMnO[マンガン酸リチウム]、LiMn、LiMn等)(LMOと呼ばれる。)、リチウム−マンガン−コバルト酸化物(LiMnCoO、LiMnCoO等)、リチウム−ニッケル−マンガン−コバルト酸化物(Li(Ni−Mn−Co)O、LiNi1/3Mn1/3Co1/3等)(NMCまたはNCMと呼ばれる。)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム酸化物(Li(Ni−Co−Al)O、LiNi0.8Co0.15Al0.05等)(NCAと呼ばれる。)、リチウム−チタン酸化物(LiTi12、LiTi等)(LTOと呼ばれる。)、その他遷移金属を含むリチウム酸化物(LiCuO、LiCuO、LiVO、LiV、LiCrO、LiFeO、LiTiO、LiScO、LiYO、LiMnCrO、LiNiVO、LiCoVO等)、各種遷移金属を含むリチウムリン酸塩(LiFePO[リン酸鉄リチウム]、LiCuPO、LiNiPO、LiCoPO、LiMnPO、LiNiPOF、LiCoPOF、LiMnPOF、LiFePOF、LiVOPO、Li(PO等)、各種遷移金属を含むリチウムケイ酸塩(LiMnSiO、LiFeSiO、LiCoSiO、LiNiSiO等)、各種遷移金属の硫化物(TiS、MoS、FeS、FeS、CuS、Ni)、各種遷移金属の酸化物(Bi、BiPb、CuO、V、V13、Nb等)等を使用することができる。また、これらを混合して用いても良い。
ここで、正極活物質と負極活物質には明確な区別はなく、2種類の化合物の充放電電位を比較して貴な電位のものを正極活物質に、卑な電位のものを負極活物質に用いれば良い。上記多くの正極活物質の中では、層状系材料としてのコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム酸化物(Li(Ni−Co−Al)O、LiNi0.8Co0.15Al0.05等)、リチウム−ニッケル−マンガン−コバルト酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3)、スピネル系材料としてのリチウム−マンガン酸化物(LiMn)、オリビン系材料としてのリン酸鉄リチウム(LiFePO)等が好適であり、一般的に用いられている。
なお、正極活物質層では、正極活物質からなる粒子が固体電解質のマトリックス中に分散した構造であり、必要に応じて、正極活物質層内の集電性(電子導電性)の向上のための導電助剤(ケッチェンブラック等のカーボン粉末、気相法炭素繊維(VGCF:Vapor Grown Carbon Fiber)の粉末等)、密着性や柔軟性付与のための結合剤(バインダー)が微量含有されていてもよい。
(負極活物質)
上述のように、負極活物質と正極活物質には明確な区別はなく、負極活物質層を形成する負極活物質は、リチウムイオンを吸着、離脱させ易く、多くのリチウムイオンを吸蔵、離脱させることが可能な物質であればよく、例えば、リチウム−チタン酸化物(LiTi12、LiTi等)、リチウム−チタン−ニオブ酸化物(Li(Ti2Nb)O12等)、各種金属酸化物(Nb、V、NiO、In、SnO、ZnO、TiO等)、各種単体元素(Si、Ge、Li、Mg、Al等)、各種シリコン合金(Si−Mn、Si−Co、Si−Ni等)、マグネシウム−リチウム合金(Mg−Li)、アルミニウム−リチウム合金(Al−Li系;AlLi等)、インジウム−リチウム合金(In−Li系;InLi等)、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛等)等を使用することができる。また、これらを混合して用いても良い。
負極活物質層も正極活物質層と同様に、負極活物質からなる粒子が前述した固体電解質のマトリックス中に分散した構造とすればよく、優れた電子伝導性を有する黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛等)等を除いては、必要に応じて、負極活物質層内の集電性(電子導電性)の向上のための導電助剤(ケッチェンブラック等のカーボン粉末、気相法炭素繊維(VGCF:Vapor Grown Carbon Fiber)の粉末等)を微量配合したり、密着性や柔軟性付与のための結合剤(バインダー)が微量含有されていてもよい。
上記多くの負極活物質の中で、金属リチウム(Li)、各種リチウム合金(例えばAlLi、InLi等)、黒鉛、チタン酸リチウム(LiTi12)等が一般的に用いられるが、高容量化という観点からすると、金属リチウム(Li)、または各種リチウム合金が好ましく、通常、これらは板状や箔状として負極活物質層に適用されている。
(固体電解質)
固体電解質層を形成する固体電解質は、酸化物系固体電解質と硫化物系固体電解質に大別される。例えば、酸化物系固体電解質では、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムに窒素を添加したLiPO(LiPONと呼ばれる。)、LiBO、LiNbO、LiTaO、LiSiO、LiSiO−LiPO、LiSiO−LiVO、LiO−B−P、LiO−SiO、LiO−B−ZnO、Li1+XAlTi2−X(PO(0≦X≦1)(LATPまたはLTAPと呼ばれる。)、Li1+XAlGe2−X(PO(0≦X≦1;具体的には、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)(LAGPと呼ばれる。)、LiTi(PO、Li3XLa2/3−XTiO(0≦X≦2/3;具体的には、Li0.33La0.56TiO、Li0.5La0.5TiO等)(LLTまたはLLTOと呼ばれる。)、LiLaTa12、LiLaZr12(LLZまたはLLZOと呼ばれる。)、LiBaLaTa12、Li3.6Si0.60.4等が挙げられる。一方、硫化物系固体電解質では、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiS−B、LiPO−LiS−SiS、LiPO−LiS−SiS、LiPO−LiS−SiS、LiI−LiS−P、LiI−LiPO−P、LiS−P等が挙げられる。この固体電解質は、酸化物系固体電解質に比べてリチウムイオン伝導度が高い硫化物系固体電解質が好適であり、中でもLiS−P系固体電解質(例えば、LiPS、Li11等)が高いリチウムイオン伝導度と低い電子伝導度を有し、かつ、低コスト(高価な金属元素を含まない)であり、固体電解質粉末の加圧成形(プレス成膜)において、比較的柔軟なため加圧による融着・緻密化が容易となる。
上記LiS−P系の固体電解質粉末は、硫化リチウム(LiS)と硫化リン(P)、または、硫化リチウム(LiS)と硫黄(S)とリン(P)を原料として、遊星ボールミルを用いる、乾式(無溶媒)のメカニカルミリング処理で少量であれば簡便に合成可能である。これにより、本実施の形態では、固体電解質を含む電池材料が水分を包含しないので、電池材料が空気や水蒸気により劣化せずに、電池材料の特性評価についてより高い精度が望める。なお、無溶媒で行うのは、硫化物系固体電解質は水分と反応すると有毒な硫化水素ガスを発生するという潜在的な課題を回避するためである。
メカニカルミリング処理は、不活性ガス(N2、Ar、He等)雰囲気で行うのが好ましく、そのガス圧力を大気圧以上とするのが好ましい。メカニカルミリング処理は、高エネルギーミルが可能な装置で20時間以上行うことが好ましい。
固体電解質層においても、正極活物質層や負極活物質層と同様に、必要に応じて、密着性や柔軟性付与のための結合剤(バインダー)が微量含有されていてもよい。
固体電解質層の膜厚は、薄型化やリチウムイオンの移動距離を短くするという観点からできるだけ薄いことが望ましいが、薄すぎると固体電解質層にピンホ−ル(針穴)が発生し易くなるため、その防止の観点からすると、1〜1000μm程度、より好ましくは10〜500μm程度、さらに好ましくは20〜200μm程度が望ましい。
本実施形態に係る評価用セル1では、締結部材20によって、キャップ継手100と絶縁スリーブ110との間、および絶縁スリーブ110と金属製シリンダー棒140との間をガスシールされる。なお、ガスシールとは、材料が空気中の酸素や水分に触れて劣化しないよう、電池材料層130が不活性ガスで塞がれていることをいう。
次に、本実施形態に使用される評価用セルと従来から使用される評価用セルとの違いについて説明する。図2は、従来の評価用セル200の構造の一例を示す模式図である。従来より、硫化物系固体電解質を用いた全固体二次電池の開発において、充放電特性等の各種特性を評価するためには、図2に示すような構造を有する加圧可能な評価用セル200が一般に用いられている。すなわち、金属製ホルダー210内に挿入された絶縁スリーブ(フッ素樹脂等のプラスチックチューブ)220内には、正極集電体230、電池材料層240、負極集電体250の順に構成されている。全固体二次電池を構成する固体電解質粉末や活物質粉末等の各種粉末から形成される電池材料層240を正極集電体230と負極集電体250とで挟み、電池材料層240を負極集電体250で加圧成形(プレス成膜)し、例えば、測定対象物である電池材料層240を全固体二次電池とする場合には、正極活物質層/固体電解質層/負極活物質層の積層セル構造が形成されていた。
この評価用セル200では、全固体二次電池の構成部材が水分や酸素によって劣化しないように、評価用セル200を組み立てだけでなく、評価用セル200と繋げられた測定部260において電池材料について特性評価する際にも、不活性ガス雰囲気の下で評価用セル200を、図2に示す白抜き矢印のように加圧する必要があった。もし、不活性ガス雰囲気の下でなく、例えば、大気中で電池材料層240の電池材料について特性評価を実施した場合には、評価用セル200は、金属製ホルダー210と絶縁スリーブ220との間、正極集電体230と絶縁スリーブ220との間が閉塞されていないため、電池材料が空気や水蒸気と接触してしまう。その結果、評価用セル200では、電池材料が劣化するので、この電池材料について正確な特性評価ができない。このため、例えばグローブボックス等のような精密な雰囲気制御が可能な装置内で実施しなければならず、煩雑で作業効率が悪く、かつ雰囲気制御も含めた電池評価システム全体が大型化して高コストとなる問題があった。
しかしながら、本実施形態で使用される評価用セル1では、従来の評価用セル200と異なり、図1に示すように、キャップ継手100で構成されることにより、袋ナット10を締めると、前述したフロントフェルール21およびバックフェルール22の締結作用により、キャップ継手100と絶縁スリーブ110との間、および絶縁スリーブ110と金属製シリンダー棒140との間でガスシールされる。これにより、本実施形態では、評価対象である電池材料層130と外部雰囲気とを遮断することができるので、不活性ガス雰囲気の下でなくても、図1に示す白抜き矢印のように電池材料層130を加圧することで、評価用セル1と繋げられた測定部150において電池材料の特性評価を精度高く測定することができる。なお、測定部150では、伝導度測定や充放電評価等といった特性評価を行う。
このように、本実施形態に係る評価用セル1には、従来の評価用セル200と異なり、ガスシール性に優れている。また、この評価用セル1は、測定を大気圧中で行なえるため、不活性ガス雰囲気の制御も必要がなく、低コスト化といった特性もある。さらに、この評価用セル1では、評価用セル1の部材であるキャップ継手100と絶縁スリーブ110とシリンダー棒120,140と電池材料層130とは、市販品を用いることができるため、小型化も実現できる。
[1−2.評価用セルの製造方法]
図3(A)〜(D)は、本発明の一形態に係る評価用セル1の構成過程の一例を示す模式図である。本実施の形態に係る評価用セル1の製造方法は、図3(A)〜(D)に示すように、キャップ継手を組み立てる工程(以下、「組立工程」ともいう。)と、金属製シリンダー棒120を挿し込む工程(以下、「挿込工程」ともいう。)と、電池材料層130を形成する工程(以下、「形成工程」ともいう。)と、電池材料層130を外部雰囲気から遮断する工程(以下、「遮断工程」ともいう。)とを有する。
(組立工程)
まず、組立工程では、図3(A)に示すように、袋ナット10と締結部材20と環状キャップ30とから構成されるキャップ継手100を組み立てる。
(挿込工程)
次に、挿込工程では、図3(B)に示すように、袋ナット10の挿通孔12から環状キャップ30の支持面32に当接するよう絶縁スリーブ110を挿し込む。すなわち、金属製シリンダー棒120のみが環状キャップ30と接し、電池材料層130や金属製シリンダー棒140が環状キャップ30と接しないよう絶縁スリーブ110を挿し込んでいる。ここで、金属製シリンダー棒120の底面と環状キャップ30の底面33が接していれば、電池特性を確認する際に電気が流れるので、袋ナット10の挿通孔12から環状キャップ30の底面33に当接するよう絶縁スリーブ110を挿し込んでもよい。次いで、絶縁スリーブ110の中空部111を介して、金属製シリンダー棒120を環状キャップ30の底面33に当接するよう挿し込む。
(形成工程)
次に、形成工程では、図3(C)に示すように、金属製シリンダー棒120の環状キャップ30の底面33と反対側の面上で、電池材料を金属製シリンダー棒120,140で挟み込んで加圧することにより、電池材料層130を形成する。
電池材料層130は、以下のように形成する。不活性ガス(N2、Ar、He等)雰囲気中で固体電解質粉末を金属製シリンダー棒120の環状キャップ30の底面33と反対側の面上に設置し、絶縁スリーブ110内に第2の金属製シリンダー棒140を挿入し100MPa以上で加圧成形(プレス成膜)して固体電解層を形成する。次いで、不活性ガス雰囲気中で、第2の金属製シリンダー棒140を抜いた後、絶縁スリーブ110内にある固体電解層の面上に正極活物質層粉末(正極活物質粉末、固体電解質粉末、導電助剤粉末などの混合粉末)を設置し、絶縁スリーブ110内に第2の金属製シリンダー棒140を再度挿入し100MPa以上で加圧成形(プレス成膜)して正極活物質層を形成する。次いで、不活性ガス雰囲気中で、第2の金属製シリンダー棒140、固体電解質層、正極活物質層、第1の金属製シリンダー棒120を絶縁スリーブ110ごと取り出して第1の金属製シリンダー棒120を抜いた後、絶縁スリーブ110内にある固体電解質層の正極活物質層が形成されていない面上に負極活物質層粉末(負極活物質粉末、固体電解質粉末、導電助剤粉末などの混合粉末)、あるいは負極活物質金属(Liなどの箔や板)を設置し、絶縁スリーブ110内に金属製シリンダー棒120を再度挿入し、これをキャップ継手100内に再度セットしてから、100MPa以上で加圧成形(プレス成膜)して負極活物質層を形成する。ここでは、まず固体電解層から形成すればよく、正極活物質層と負極活物質層とを形成する順番は、特に限定されず、固体電解層、負極活物質層、正極活物質層の順番でもよい。
もし、電池材料層130について、正極活物質層または負極活物質層を形成した後、固体電解質層を形成した場合には、正極活物質層粉末または負極活物質層粉末が起因となるショートが発生するおそれがある。すなわち、正極活物質層粉末または負極活物質層粉末を金属製シリンダー棒120の環状キャップ30の底面33と反対側の面上に設置し、絶縁スリーブ110内に第2の金属製シリンダー棒140を挿入し加圧成形して最初に正極活物質層または負極活物質層を形成すると、絶縁スリーブ110と第2の金属製シリンダー棒140との間隙に正極活物質層粉末または負極活物質層粉末が入り込み、絶縁スリーブ110の内壁に少なからず付着し、完全な除去は極めて困難である。その後、絶縁スリーブ110内の正極活物質層または負極活物質層の面上に固体電解質層を形成すると、上記絶縁スリーブ110の内壁に付着残留した電子伝導性を有する正極活物質層粉末または負極活物質層粉末によって、上記固体電解質層に電子伝導性が付与されてしまうため、最終的に得られる電池材料層130において、負極活物質層と正極活物質層が短絡してしまう。このため、全固体電池として、電池材料層130の特性を評価する際に、ショートを起こすため、機能しない。したがって、上述したように、電池材料層130を形成する場合には、まず固体電解層から形成することが望ましい。
(遮断工程)
次に、遮断工程では、図3(D)に示すように、電池材料層130の上に、金属製シリンダー棒140を挿し込んで加圧する。次いで、袋ナット10を締め付けることにより電池材料層130を外部雰囲気から遮断する。
具体的には、電池材料層130の上に、金属製シリンダー棒140を挿し込み、不活性ガス雰囲気の下、10MPa以上の圧力を加えることで、金属製シリンダー棒140と電池材料層130とを一体化させる。次いで、袋ナット10の締め付けを、不活性ガス雰囲気で行うことで、電池材料層130を空気や水分と遮断することができる。例えば、この評価用セル1に使用される、上述した市販品の部材を利用すれば、評価用セル1は小型なものであるので、グローボックス内で図3(A)〜(D)における作業をすることができる。
以上より、本実施形態に係る評価用セル1では、全固体電池に用いる酸化物系や硫化物系の固体電解質粉末の特性評価(リチウムイオン伝導度測定、電子電導度測定等)や、前記固体電解質粉末を用いて得られる正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層の各層を有する全固体電池(主に全固体二次電池)の特性評価(充放電特性、サイクル特性等)において、配管の開口端を閉塞させるための汎用のキャップ継手100を活用して外部雰囲気とのガスシールを維持しながら加圧可能な構造を実現しているため、活物質粉末や固体電解質粉末等を含む各種粉末の加圧成形(プレス成膜)を簡便に実施できるだけでなく、固体電解質、あるいはその固体電解質を用いた全固体電池(例えばリチウムイオン電池)の特性評価を大気中で極めて容易に行なえ、さらには小型化、低コスト化も図ることができる。
[2.電池材料の特性評価方法]
本実施形態に係る電池材料の特性評価方法は、図1に示すように、上述した評価用セル1を用いて、大気中において、電池材料層130を加圧した状態で電池材料の特性を評価する。具体的には、本実施形態では、金属製シリンダー棒140を介して電池材料層130を0.01MPa以上の圧力を加えた状態で、電池材料の特性を評価する。
ここで、金属製シリンダー棒120と金属製シリンダー棒140は、それぞれ活物質層の集電体として機能しており、大気中で金属製シリンダー棒140を介して軽く加圧しながら全固体電池の特性評価(充放電特性、サイクル特性等)を行えば、締結部材20によって、キャップ継手100と絶縁スリーブ110との間、および絶縁スリーブ110と金属製シリンダー棒140との間をガスシールされているので、大気中の酸素や水蒸気等の影響を受けることなく、安定した評価結果を容易に得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、図1に示した、電池材料を評価するために加圧可能な評価用セルを下記のように作製した。
[固体電解質層粉末の作製]
硫化リチウム(LiS)(分子量:45.95)(Aldrich製、純度:>99%)1.16g、赤リン(P)(分子量:30.97)(関東化学製、純度:>98%)0.52g、および硫黄(S)(分子量:32.07)(関東化学製、純度:>99.5%)をメノウ乳鉢で予備混合後に、純度99.9%アルミナ容器(容量:80ml)内に、ジルコニアボール(φ10mm×20個)と共に投入し、遊星型ボールミル(フリッチュ製P−4)を用い、360rpm、100時間の条件で、乾式の(溶媒を用いない)メカニカルミリング処理して硫化物系固体電解質粉末(LiSP)(LiS:P=75:25[モル比])を得た。この硫化物系固体電解質粉末を、本実施形態に係る電池用評価セル1を用い、150MPaで平均厚み0.5mmの円柱状の圧粉体にした。この電池用評価セル1(金属製シリンダー棒120(ステンレス製、φ8mm)/固体電解質層/金属製シリンダー棒140(ステンレス製、φ8mm))をインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製、SI−1260)に接続して、交流インピーダンスを測定した。その結果、25℃条件下で、リチウムイオン伝導度は1.0×10−4S/cm(ジーメンス・パー・センチメートル)であった。また、直流抵抗測定で求めた、電子伝導度は1.0×10−9S/cm未満であった。
[正極活物質層粉末の作製]
正極活物質粉末として、粒径5〜15μmのリチウム−コバルト酸化物(LiCoO)の粉末(LCO粉末)(Aldrich製、純度:99.8%)を用いた。この正極活物質粉末0.7g、上述の硫化物系固体電解質粉末0.3g、および導電助剤粉末としての気相法炭素繊維(VGCF:Vapor Grown Carbon Fiber)の粉末(昭和電工製)0.03gをメノウ乳鉢で均一となるように良く混合して、正極活物質層粉末(LCO粉末:硫化物系固体電解質粉末:VGCF粉末=70:30:2[質量比])を得た。
[電池用評価セルの製造]
まず、評価用セル1の構成過程に従い固体電解質層を形成した。すなわち、キャップ継手100(環状キャップ30、袋ナット10、フロントフェルール21、バックフェルール22)(ステンレス製、チューブ径10mm用)を組み立てた。次いで、絶縁スリーブ110(フッ素樹脂、外径10mm×内径8mm)と正極集電体として金属製シリンダー棒120(ステンレス製、φ8mm)を挿し込んだ。
次に、アルゴンガス雰囲気中で絶縁スリーブ110(フッ素樹脂)内にある金属製シリンダー棒120の上面に前記硫化物系固体電解質粉末70mgを設置し、絶縁スリーブ110(フッ素樹脂)内に負極集電体として金属製シリンダー棒140(ステンレス製、φ8mm)を挿入し150MPaで加圧成形(プレス成膜)して固体電解質層を形成した。そして、金属製シリンダー棒140を抜いて、アルゴンガス雰囲気中で正極活物質層粉末14.9mgを上記固体電解質層上に設置し、再び金属製シリンダー棒140(ステンレス製、φ8mm)を絶縁スリーブ110内に挿入し400MPaで加圧成形(プレス成膜)して正極活物質層を形成して、正極活物質層と固体電解質層を一体化させた。
ここで、内部に正極活物質層と固体電解質層が形成された絶縁スリーブ110(フッ素樹脂)を金属製シリンダー棒120と金属製シリンダー棒140ごとキャップ継手から抜き出した後、アルゴンガス雰囲気中で金属製シリンダー棒120を抜いた。次いで、絶縁スリーブ110内の固体電解質層面(すなわち正極活物質層が形成されていない固体電解質層面)上に負極活物質層としてリチウム箔(厚さ100μm)とを設置した後、金属製シリンダー棒120を再び挿入し、これらを再度、キャップ継手100内に挿入し、100MPaで最終加圧して負極活物質層と固体電解質層を一体化させた。これにより、形成工程では、正極活物質層と固体電解質層と負極活物質層とを構成する電池材料層を形成した。上記一連の操作はアルゴンガス雰囲気中で実施した。
最後に、袋ナット10を締め込み、フロントフェルール21、バックフェルール22を締めることで、これらの締結部材20・絶縁スリーブ110・金属製シリンダー棒140のそれぞれの境界をガスシールして、正極集電体(金属製シリンダー棒140)/正極活物質層/固体電解質層/負極活物質層/負極集電体(金属製シリンダー棒120)の構造を有し、外部雰囲気から遮断された実施例1に係る電池用評価セル1(サイズ:2cm×1.8cm×3.5cm)を得た。
[特性評価]
得られた電池用評価セル1において、金属製シリンダー棒140を介して0.1MPaの加圧を行いながら、大気中で、充電電流20μAで充電カットオフ電圧4.3V、放電電流20μAで放電カットオフ電圧2.1Vで充放電を実施した。得られた充放電曲線を図4に示す。
<実施例2>
[固体電解質層粉末の作製]
実施例2では、硫化リチウム(LiS)(分子量:45.95)(Aldrich製、純度:>99%)1.16g、および五硫化二リン(P)(分子量:222.27)(Aldrich製、純度:99%)1.87gをメノウ乳鉢で予備混合後に、純度99.9%アルミナ容器(容量:80ml)内に、ジルコニアボール(φ10mm×20個)と共に投入し、遊星型ボールミル(フリッチュ製P−4)を用い、360rpm、20時間の条件で、乾式の(溶媒を用いない)メカニカルミリング処理して硫化物系固体電解質粉末(LiSP)(LiS:P=75:25[モル比])を得た。この硫化物系固体電解質粉末を、本実施形態に係る電池用評価セル1を用い、150MPaで平均厚み0.5mmの円柱状の圧粉体にした。この電池用評価セル1(金属製シリンダー棒120(ステンレス製、φ8mm)/固体電解質層/金属製シリンダー棒140(ステンレス製、φ8mm))をインピーダンスアナライザー(ソーラトロン社製、SI−1260)に接続して、交流インピーダンスを測定した。その結果、25℃条件下で、リチウムイオン伝導度は1.3×10−4S/cm(ジーメンス・パー・センチメートル)であった。また、直流抵抗測定で求めた、電子伝導度は1.0×10−9S/cm未満であった。
[正極活物質層粉末の作製]
正極活物質粉末として、粒径0.3〜1μmの1次粒子で構成された粒径5〜15μmのリチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム酸化物(Li1+xNi0.82Co0.15Al0.03;x=0.05)の粉末(NCA粉末)(住友金属鉱山製)を用いた。前記正極活物質粉末は、化学量論組成(LiNi0.82Co0.15Al0.03)に対し0.05倍(モル比)のリチウム酸化物(LiO0.5)を過剰に含有している。この正極活物質粉末0.7g、上述の硫化物系固体電解質粉末0.3g、および導電助剤粉末としての気相法炭素繊維(VGCF:Vapor Grown Carbon Fiber)の粉末(昭和電工製)0.03gをメノウ乳鉢で均一となるように良く混合して、正極活物質層粉末(NCA粉末:硫化物系固体電解質粉末:VGCF粉末=70:30:2[質量比])を得た。
[電池用評価セルの製造]
固体電解質層粉末70mg、正極活物質層粉末を11.3mg用いた以外は実施例1と同様に行ない、正極集電体(金属製シリンダー棒140)/正極活物質層/固体電解質層/負極活物質層/負極集電体(金属製シリンダー棒120)の構造を有し、外部雰囲気から遮断された実施例2に係る電池用評価セル1(サイズ:2cm×1.8cm×3.5cm)を得た。
[特性評価]
得られた評価用セルにおいて、負極集電体を介して0.1MPaの加圧を行いながら、大気中で、充電電流40μAで充電カットオフ電圧4.3V、放電電流40μAで放電カットオフ電圧2.1Vで充放電を実施した。得られた充放電曲線を図5に示す。
(実施例に基づく考察)
実施例1および2の全固体リチウムイオン電池の充放電曲線(図4、図5)によれば、本実施形態に係る評価用セルは、汎用のキャップ継手100を転用した極めて簡便な構造で、容易に評価用セル1を組立てできるにもかかわらず、電池材料を外部雰囲気(酸素や湿度)から確実に遮断でき、大気中においても安定した特性評価が可能なことを確認した。
さらに、本実施形態に係る評価用セル1は、上述したようにサイズが2cm×1.8cm×3.5cmと非常にコンパクトであり、この評価用セルの構成部品すべてが市販のものである。一方、図2に示した従来の評価用セル200では、雰囲気制御も含めた電池評価システム全体が大型化して高コストとなる問題があった。このため、本実施形態に係る評価用セル1では、小型化、低コスト化も図ることもできることを確認した。
本実施形態に係る電池用評価セル1によれば、全固体電池(例えば全固体リチウムイオン電池)に用いられる固体電解質粉末の特性評価(リチウムイオン伝導度測定、電子伝導度測定等)や前記固体電解質粉末を用いて得られる全固体電池の特性評価(充放電特性、サイクル特性等)を極めて簡便かつ安価に実施することができるため、全固体電池の特性評価の迅速化が期待できる。
1 評価用セル、10 袋ナット、11 雄ネジ、12 挿通孔、20 締結部材、21 フロントフェルール、22 バックフェルール、30 環状キャップ、31 雌ネジ、32 支持面、33 底面、100 キャップ継手、110 絶縁スリーブ、111 中空部、120 金属製シリンダー棒、130 電池材料層、140 金属製シリンダー棒、150 測定部、200 評価用セル、210 金属製ホルダー、230 正極集電体、240 電池材料層、250 負極集電体、260 測定部

Claims (6)

  1. 中心軸方向の一方に挿通孔が形成され、その他方に雄ネジが形成される袋ナットと、該雄ネジと螺合する雌ネジが形成される環状キャップと、該袋ナットを締め付ける締結部材とから構成されるキャップ継手と、
    前記挿通孔から前記環状キャップに当接するよう挿し込まれる絶縁スリーブと、
    前記絶縁スリーブの中空部に、前記環状キャップに当接するよう挿し込まれる第1の金属製シリンダー棒と、
    前記第1の金属製シリンダー棒の上に設けられ、評価対象である電池材料から形成される電池材料層と、
    前記電池材料層の上に設けられ、前記絶縁スリーブの中空部に挿し込まれる第2の金属製シリンダー棒とを備え、
    前記絶縁スリーブの内径は、前記第1の金属製シリンダー棒および前記第2の金属製シリンダー棒が前記絶縁スリーブに当接して挿入できるように、前記第1の金属製シリンダー棒の径および前記第2の金属製シリンダー棒の径と略同一であり、
    前記締結部材は、前記キャップ継手と前記絶縁スリーブとの間、および該絶縁スリーブと前記第2の金属製シリンダー棒との間をガスシールする評価用セル。
  2. 前記電池材料は、活物質粉末、固体電解質粉末、導電助剤粉末、金属箔、金属板の群から選ばれる少なくとも一つ以上であることを特徴とする請求項1記載の評価用セル。
  3. 前記金属箔及び前記金属板は、金属リチウム、リチウム合金のいずれかを主成分として構成されていることを特徴とする請求項2記載の評価用セル。
  4. 前記電池材料層は、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層から形成される請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載の評価用セル。
  5. 前記締結部材は、フロントフェルールとバックフェルールとから構成され、
    前記フロントフェルールは、前記環状キャップおよび前記袋ナットの間に介在し、その先端部が楔状に形成され、
    前記バックフェルールは、前記フロントフェルールおよび前記袋ナットの間に介在し、その先端部が楔状に形成される請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の評価用セル。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の評価用セルを用いて、大気中において、前記電池材料層を加圧した状態で電池材料の特性を評価する電池材料の特性評価方法。
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