JP2018017277A - プーリユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で制振性能の高いプーリユニットを提供する。【解決手段】プーリユニット1は、フランジ部12を有する中空状のハブ10と、ハブ10と同軸状に配置され、内周面に第一の溝13bを有する中空状のプーリ13と、ハブ10の外周面に固定された第一のカム板14と、第一の溝13bと噛み合う第一の歯を有し、転動体16を挟んで第一のカム板14と軸方向に対向配置され、第一のカム板14に対して相対回転することにより軸方向に変位する第二のカム板15と、第二のカム板15に当接しているスラスト軸受18と、スラスト軸受18とフランジ部12との間に直列に配置され、第二のカム板15の軸方向の変位に伴って弾性変形する複数の弾性体EMと、を有し、複数の弾性体EMには、第一の弾性体24と、第一の弾性体24よりも弾性係数が大きい第二の弾性体23と、が含まれている。【選択図】図1
Description
本発明は、プーリユニットに関する。
エンジンの回転動力は、エンジンのクランクシャフトからベルトを介して補機に伝達される。エンジンには、爆発に伴う回転変動が発生する。そのため、クランクシャフトを通じてベルトにも回転変動が生じる。ベルトの張力が不足する場合には、ベルトとプーリの間に異常な滑りが発生する。そのため、特許文献1ないし5のプーリユニットでは、プーリの内部にトルクカムと弾性体を内蔵し、プーリユニットの制振性能を高めている。制振性能の高いプーリユニットを用いることで、プーリの回転変動が抑制され、ベルトの張力を低く設定することが可能となる。これにより、機械的なロスが削減され、燃費が向上する。
マイクロハイブリッド化により、ISG(Integrated Starter Generator)の採用が進められている。ISG用のプーリユニットは、モーターアシスト時(駆動時)と発電時(従動時)の両方のトルクを伝達する。駆動時と従動時ではトルクの大きさが異なるが、従来のプーリユニットではこの点が十分に考慮されていない。例えば、プーリユニットの制振性能を高めるためには、弾性体の弾性係数は小さいほうがよい。しかし、弾性体の弾性係数を小さくすると、高トルク時の制振性能を確保するために、弾性体の長さを長くしなければならない。そのため、プーリユニットを小型化することが難しくなる。
本発明の目的は、小型で制振性能の高いプーリユニットを提供することにある。
本発明の一態様に係るプーリユニットは、フランジ部を有する中空状のハブと、前記ハブと同軸状に配置され、内周面に第一の溝を有する中空状のプーリと、前記ハブの外周面に固定された第一のカム板と、前記第一の溝と噛み合う第一の歯を有し、転動体を挟んで前記第一のカム板と軸方向に対向配置され、前記第一のカム板に対して相対回転することにより前記軸方向に変位する第二のカム板と、前記第二のカム板に当接しているスラスト軸受と、前記スラスト軸受と前記フランジ部との間に直列に配置され、前記第二のカム板の前記軸方向の変位に伴って弾性変形する複数の弾性体と、を有し、前記複数の弾性体には、第一の弾性体と、前記第一の弾性体よりも弾性係数が大きい第二の弾性体と、が含まれている。
この構成によれば、トルクが小さい低負荷領域では、第一の弾性体と第二の弾性体の双方によってトルクが吸収されるため、プーリはハブに対して柔軟に回転する。そのため、高い制振性能が発揮される。トルクが大きい高負荷領域では、第二の弾性体によってトルクが吸収されるため、大きなトルクに対しても制振性能が確保される。弾性係数の大きい第二の弾性体は、弾性係数の小さい第一の弾性体よりも弾性変形によって生じる伸縮量(ストローク)が小さい。そのため、弾性係数の小さい弾性体のみを用いる場合に比べて、小型のプーリユニットが提供される。
例えば、前記スラスト軸受と前記フランジ部との間には、前記第一の弾性体の変形量を、前記第一の弾性体が弾性変形可能な最大の変形量よりも小さい変形量の範囲内に制限するストッパーが設けられている。
この構成によれば、高負荷領域では、第一の弾性体の変形がストッパーによって規制され、第一の弾性体に過大な荷重が付与されることが抑制される。そのため、第一の弾性体の耐久性が向上する。
例えば、前記ストッパーは、前記第一の弾性体の内径側に配置された第一の筒状部と、前記第一の筒状部から径方向と突出し、前記第一の弾性体と前記第二の弾性体との間に挟まれた隔壁部と、を有する。
この構成によれば、第二のカム板がフランジ部側に大きく変位すると、第一の筒状部の端部が、第一の弾性体を挟んでストッパーと対向配置された構造物と接触する。これにより、第一の弾性体の弾性変形が規制される。
例えば、前記ストッパーは、前記第二の弾性体の内径側に配置された第二の筒状部を有する。
この構成によれば、第二のカム板がフランジ部側に大きく変位すると、第二の筒状部の端部が、第二の弾性体を挟んでストッパーと対向配置された構造物と接触する。これにより、第二の弾性体の弾性変形が規制される。
例えば、前記プーリは、大径部と、前記大径部よりも内径が小さい小径部と、を有し、前記第一の弾性体は、前記大径部に設けられている。
この構成によれば、大きなストロークを有する第一の弾性体が大径部に設けられることにより、軸長が短縮される。
例えば、前記第一のカム板の前記第二のカム板と対向する面および前記第二のカム板の前記第一のカム板と対向する面には、それぞれ複数のカム溝が設けられ、前記カム溝は、互いに逆向きに傾斜した一対のカム面を有し、相対的に大きい駆動トルクによって前記転動体が押し付けられるカム面のカムリードは、相対的に小さい駆動トルクによって前記転動体が押し付けられるカム面のカムリードよりも大きい。
この構成によれば、一対のカム面のカムリードが、駆動時と従動時のトルクの大きさに応じて異なっている。そのため、駆動時と従動時の双方で弾性体の可動範囲を有効に使うことができる。よって、駆動時と従動時の双方において高い制振性能が発揮される。
例えば、前記第一の溝の底の内径は、前記第一の溝の形成位置よりも前記軸方向一端側に位置する前記プーリの内周面の内径よりも小さい。
この構成によれば、第一の溝の形成位置よりも軸方向一端側に位置するプーリの内周面には、第一の溝の底よりも内径側に突出した構造物は存在しない。そのため、第一の溝をブローチ加工などによって容易に加工することができる。よって、安価で耐久性の高いプーリユニットが提供される。
本発明によれば、小型で制振性能の高いプーリユニットを提供することができる。
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
[第一の実施形態]
図1は、第一の実施形態に係るプーリユニット1の断面図である。図2は、プーリユニット1の分解図である。
図1は、第一の実施形態に係るプーリユニット1の断面図である。図2は、プーリユニット1の分解図である。
プーリユニット1は、エンジンの回転動力を補機に伝達する。また、プーリユニット1は、補機の回転動力をエンジンに伝達する。プーリユニット1は、補機のシャフトが挿入される中空状のハブ10と、ハブ10と同軸状に配置された中空状のプーリ13と、を有する。プーリ13の外周面には、ベルトを掛け渡すための複数のプーリ溝13aが設けられている。プーリ13は、ベルトによって駆動され、軸AXの周りに回転する。以下、軸AXと平行な方向を「軸方向」という。
ハブ10は、中空状の胴部11と、胴部11の軸方向一端側に設けられたフランジ部12と、を有する。フランジ部12は、胴部11からプーリ13側に突出している。フランジ部12の上にはすべり軸受25が設置されている。すべり軸受25は、フランジ部12とプーリ13との間に挟まれ、プーリ13をハブ10に対して相対回転可能に支持する。
胴部11の軸方向他端側には、ラジアル軸受28が設置されている。ラジアル軸受28の内輪は、止め輪26によってハブ10の外周面に固定されている。ラジアル軸受28は、胴部11とプーリ13との間に挟まれ、プーリ13をハブ10に対して相対回転可能に支持する。プーリ13は、すべり軸受25とラジアル軸受28によって両端部が支持される。胴部11とラジアル軸受28との間にOリング29が挟まれている。
ラジアル軸受28のフランジ部12側には、第一のカム板14が設けられている。第一のカム板14のフランジ部12側には、第二のカム板15が設けられている。第二のカム板15は、転動体16を挟んで第一のカム板14と軸方向に対向配置されている。第一のカム板14と第二のカム板15は、軸方向の厚みが周方向に沿って周期的に変化する板状の部材である。
プーリ13は、内周面に第一の溝13bを有する。第二のカム板15は、外周面に第一の溝13bと噛み合う第一の歯15aを有する。ハブ10は、外周面に第二の歯10aを有する。第一のカム板14は、内周面に第二の歯10aと噛み合う第二の溝14aを有する。
第一の溝13bと第一の歯15aと第二の歯10aと第二の溝14aは、例えば、軸方向に歯が延びる。第一のカム板14は、ラジアル軸受28の内輪に当接している。第一のカム板14は、軸方向の位置が固定された状態でハブ10と一体に回転する。プーリ13と第二のカム板15は、第一の溝13bと第一の歯15aとが噛み合った状態で軸方向に相対移動する。第二のカム板15は、第一のカム板14に対して相対回転することにより軸方向に変位する。
第一の溝13bの底GBの内径D1は、第一の溝13bの形成位置よりも軸方向一端側(ラジアル軸受28側)に位置するプーリ13の内周面の内径D2よりも小さい。第一の溝13bの形成位置よりも軸方向一端側に位置するプーリ13の内周面には、第一の溝13bの底GBよりも内径側に突出した構造物は存在しない。第一の溝13bは、例えば、プーリ13の軸方向一端側から挿入した工具によって、プーリ13の内周面にブローチ加工を施すことにより形成される。ブローチ加工の作業性を高めるために、内径D1は、第一の溝13bの形成位置よりも他端側(すべり軸受25側)に位置するプーリ13の内周面の内径D3よりも小さいことが好ましい。
転動体16は、例えば、ローラーである。しかし、転動体16はこれに限られない。例えば、転動体16として、ボールが用いられてもよい。第一のカム板14と第二のカム板15との間には、複数の転動体16が軸AXの周りに一定の間隔で配置されている。複数の転動体16は、保持器17によって保持されている。
第二のカム板15のフランジ部12側の面には、スラスト軸受18が設けられている。スラスト軸受18は第二のカム板15に当接し、第二のカム板15を回転可能に支持する。スラスト軸受18は、例えば、軸受本体19と、軸受軌道輪22(ワッシャー)と、を有する。軸受本体19は、複数の転動体21と、保持器20と、を有する。転動体21は、ボールでもよいしローラーでもよい。本実施形態では、転動体21として、ニードル状のローラーが用いられている。複数の転動体21は、軸AXの周りに一定の間隔で配置され、保持器20によって保持されている。
スラスト軸受18とフランジ部12との間には、複数の弾性体EMが直列に配置されている。複数の弾性体EMは、スラスト軸受18とフランジ部12との間に挟まれ、第二のカム板15の軸方向の変位に伴って弾性変形する。複数の弾性体EMには、互いに弾性係数が異なる複数の弾性体EMが含まれている。本実施形態では、複数の弾性体EMとして、第一の弾性体24と、第二の弾性体23と、が設けられている。第二の弾性体23は、第一の弾性体24よりも弾性係数が大きい。第一の弾性体24と第二の弾性体23は、例えば、フランジ部12側から順に設けられている。
弾性体EMは、例えば、皿ばねである。しかし、弾性体EMはこれに限られない。例えば、弾性体EMとして、コイルばねやゴムなどが用いられてもよい。弾性体EMとして皿ばねを用いた場合には、弾性係数は、バネ定数を意味する。
弾性係数の小さい第一の弾性体24は、ストロークが大きくなるように、例えば、複数の皿ばねを直列に組み合わせたものが用いられる。弾性係数の大きい第二の弾性体23は、高い荷重に耐えられるように、例えば、複数の皿ばねを並列に組み合わせたものが用いられる。
複数の弾性体EMは、スラスト軸受18の軸受軌道輪22とフランジ部12との間に挟まれている。軸受軌道輪22とフランジ部12は相対回転しない。そのため、プーリ13が回転しても、それぞれの弾性体EMは摩耗しにくい。
プーリ13は、大径部WPと、小径部NPと、を有する。小径部NPは、大径部WPよりも内径が小さい。第一の弾性体24は、大径部WPに設けられている。第二の弾性体23は、小径部NPに設けられている。大きなストロークを有する第一の弾性体24が大径部WPに設けられることにより、軸長が短縮される。
スラスト軸受18とフランジ部12との間には、ストッパー40が設けられている。ストッパー40は、第一の弾性体24の変形量を、第一の弾性体24が弾性変形可能な最大の変形量よりも小さい変形量の範囲内に制限する。
ストッパー40は、例えば、第一の筒状部41と、隔壁部42と、を有する。第一の筒状部41は、第一の弾性体24の内径側に配置されている。隔壁部42は、第一の筒状部41から径方向に突出し、第一の弾性体24と第二の弾性体23との間に挟まれている。第二のカム板15がフランジ部12側に大きく変位すると、第一の筒状部41の端部が、第一の弾性体24を挟んでストッパー40と対向配置された構造物と接触する。これにより、第一の弾性体24の弾性変形が規制される。
第一の弾性体24とフランジ部12との間には、シム43が設けられている。シム43は、例えば、中空円板状のシム本体44と、シム本体44から第一の弾性体24側に突出した筒状部45と、を有する。シム本体44は、第一の弾性体24とフランジ部12との間に挟まれている。筒状部45は、第一の弾性体24の内径側に配置されている。第一の筒状部41と筒状部45とが接触することにより、ストッパー40が停止する。
弾性体EMとストッパー40との接触部、弾性体EMとスラスト軸受18との接触部、第二のカム板15とハブ10およびプーリ13との接触部(第一の溝13bと第一の歯15aとの接触部ならびに第二の歯10aと第二の溝14aとの接触部)には、例えば、硬質化処理が施されている。硬質化処理としては、DLC (Diamond−Like Carbon)コーティングなどが挙げられる。DLCコーティングは、主に炭素と水素で構成されるナノレベルの薄膜を金属表面にコーティングする技術である。
第一のカム板14と第二のカム板15と複数の転動体16によって、トルクカムTCが形成されている。トルクカムTCは、プーリ13またはハブ10に入力されたトルクを第二のカム板15の軸方向の変位に変換する。各弾性体EMは、第二のカム板15の軸方向の変位に伴って弾性変形する。
弾性体EMが弾性変形することにより、プーリ13またはハブ10に入力された駆動トルクの一部が弾性体EMに吸収される。弾性体EMに吸収されたトルクは熱などに変換される。また、弾性体EMの変形量に応じて、プーリ13とハブ10との間に回転位相差が生じ、従動するハブ10またはプーリ13の角速度が低減される。これにより、プーリユニット1に制振性能が付与される。前述の角速度が低減された後、第一のカム板14は、第二のカム板15とともに回転する。これにより、プーリ13とハブ10との間で動力の伝達が行われる。
プーリ13とハブ10との間の空間Sは、グリースなどの潤滑剤(図示略)で満たされている。これにより、トルクカムTCで発生する摩擦、すべり軸受25とフランジ部12およびプーリ13との間に発生する摩擦、第二のカム板15とハブ10およびプーリ13との間に発生する摩擦、スラスト軸受18で発生する摩擦および各弾性体EMで発生する摩擦が低減されている。
例えば、空間Sの容積のうち、少なくとも転動体16の内径よりも外側の領域が潤滑剤で満たされるように潤滑剤の充填率が決定されている。潤滑剤が外部に漏れないように、例えば、空間Sのフランジ部12側の端部はオイルシール27で液密に塞がれている。
図3は、第二のカム板15の拡大図である。図4は、第一のカム板14および第二のカム板15に設けられるカム溝の断面図である。図5および図6は、トルクカムTCの作用を説明する図である。
図3および図4に示すように、第二のカム板15の第一のカム板14と対向する面15Sには、径方向に延びる複数のカム溝15Gが設けられている。複数のカム溝15Gは、軸AXの周りに一定の間隔で配置されている。カム溝15Gは、互いに逆向きに傾斜した一対のカム面30を有する。本実施形態では、例えば、一対のカム面30として、軸AXと直交する平面に対して一定の傾斜角を有する第一のカム面31と第二のカム面32が設けられている。
図4ないし図6に示すように、一対のカム面30のカムリードは互いに異なる。カムリードは、カム面30の傾きの大きさを表すパラメータである。カムリードは、カム面30を第二のカム板15の回転方向に沿って一周分だけ延長したときに、カム面30が軸方向に到達する高さとして定義される。軸AXと直交する面に対するカム面30の傾斜角をθとすると、カムリードの大きさは概ねtanθに比例する。そのため、以下の説明では、便宜上、カム面30の傾斜角をカムリードの大きさとして記載する。
第一のカム面31は、第二のカム板15が第一のカム板14よりも大きな回転位相で回転するときに転動体16が押し付けられるカム溝15Gの斜面である。第二のカム面32は、第一のカム板14が第二のカム板15よりも大きな回転位相で回転するときに転動体16が押し付けられるカム溝15Gの斜面である。
例えば、エンジンの回転動力をISGに伝達して発電を行う場合(従動時)には、プーリ13の回転に追従してハブ10が回転する。そのため、プーリ13によって駆動される第二のカム板15が第一のカム板14よりも大きな回転位相で回転する。ISGの回転動力によって車両の走行をアシストする場合(駆動時)には、ハブ10の回転に追従してプーリ13が回転する。そのため、ハブ10によって駆動される第一のカム板14が第二のカム板15よりも大きな回転位相で回転する。
ISGがハブ10を駆動する駆動トルクF1の大きさと、エンジンがプーリ13を駆動する駆動トルクF2の大きさと、は異なる。そのため、相対的に大きい駆動トルクによって転動体16が押し付けられるカム面30のカムリードは、相対的に小さい駆動トルクによって転動体16が押し付けられるカム面30のカムリードよりも大きい。例えば、本実施形態では、従動時の駆動トルクF2は駆動時の駆動トルクF1よりも大きい。そのため、第一のカム面31のカムリードθ1は第二のカム面32のカムリードθ2よりも大きい。
第一のカム板14の第二のカム板15と対向する面14Sにも、カム溝15Gと同様の構造を有する複数のカム溝14Gが設けられている。カム溝14Gは、互いに逆向きに傾斜した一対のカム面35を有する。本実施形態では、例えば、一対のカム面35として、軸AXと直交する平面に対して一定の傾斜角を有する第一のカム面33と第二のカム面34が設けられている。
第一のカム面33は、第二のカム板15が第一のカム板14よりも大きな回転位相で回転するときに転動体16が押し付けられるカム溝14Gの斜面である。第二のカム面34は、第一のカム板14が第二のカム板15よりも大きな回転位相で回転するときに転動体16が押し付けられるカム溝14Gの斜面である。
相対的に大きい駆動トルクによって転動体16が押し付けられるカム面35のカムリードは、相対的に小さい駆動トルクによって転動体16が押し付けられるカム面35のカムリードよりも大きい。例えば、本実施形態では、従動時の駆動トルクF2は駆動時の駆動トルクF1よりも大きい。そのため、第一のカム面33のカムリードθ3は第二のカム面34のカムリードθ4よりも大きい。これにより、駆動時と従動時の双方で弾性体EMの可動範囲を有効に使うことができる。駆動時と従動時で弾性体EMの変形量にも偏りが生じにくくなる。よって、駆動時と従動時の双方において高い制振性能が発揮される。
図7および図8は、弾性体EMおよびストッパー40の作用を説明する図である。図9は、プーリ13とハブ10の回転位相差とトルクとの関係を示す図である。
図7に示すように、第二のカム板15の変位量が小さいときには、第一の筒状部41は筒状部45と接触しない。第一の弾性体24および第二の弾性体23は、第二のカム板15の変位量に応じて弾性変形する。図8に示すように、第二のカム板15の変位量が大きくなると、第一の筒状部41と筒状部45との間の隙間が小さくなる。第二のカム板15の変位量が第一の閾値に達すると、第一の筒状部41と筒状部45とが接触し、第一の弾性体24がそれ以上変形しなくなる。
そのため、図9に示すように、トルクが小さい低負荷領域とトルクが大きい高負荷領域とでは、トルクの増加に対する回転位相差の増加の割合は異なる。低負荷領域では回転位相差の増加の割合は大きく、高負荷領域では回転位相差の増加の割合は小さい。低負荷領域では、プーリ13はハブ10に対して柔軟に回転する。そのため、高い制振性能が発揮される。高負荷領域では、第二の弾性体23によってトルクが吸収されるため、大きなトルクに対しても制振性能が確保される。
図10は、プーリユニット1が適用される動力伝達機構100の概略図である。
動力伝達機構100は、複数のプーリPと、アイドラーIDと、テンショナーTEと、ベルトBと、を有する。本実施形態では、複数のプーリPとして、クランクプーリ101と、ISGプーリ102と、ウォーターポンププーリ103と、コンプレッサープーリ104と、が設けられている。クランクプーリ101は、エンジンのクランクに接続されている。ISGプーリ102は、ISGに接続されている。ウォーターポンププーリ103は、ウォーターポンプに接続されている。コンプレッサープーリ104は、コンプレッサーに接続されている。
複数のプーリP、アイドラーIDおよびテンショナーTEには、無端状のベルトBが掛け渡されている。エンジンの回転動力は、ベルトBを介してISG、ウォーターポンプおよびコンプレッサーに供給される。ベルトBの張力はテンショナーTEによって調整されている。ISGプーリ102には、図1および図2に示したプーリユニット1の構成が適用されている。ISGは、ISGプーリ102に伝達されたエンジン回転動力を用いて発電を行うとともに、発進時および加速時には、バッテリーからの電力によってISGプーリ102を回転させ、車両の走行をアシストする。
上述した本実施形態のプーリユニット1では、トルクが小さい低負荷領域では、第一の弾性体24と第二の弾性体23の双方によってトルクが吸収されるため、プーリ13はハブ10に対して柔軟に回転する。そのため、高い制振性能が発揮される。トルクが大きい高負荷領域では、第二の弾性体23によってトルクが吸収されるため、大きなトルクに対しても制振性能が確保される。弾性係数の大きい第二の弾性体23は、弾性係数の小さい第一の弾性体24よりも弾性変形によって生じる伸縮量(ストローク)が小さい。そのため、弾性係数の小さい弾性体のみを用いる場合に比べて、小型のプーリユニット1が提供される。
また、本実施形態のプーリユニット1には、第一の弾性体24の変形量を、第一の弾性体24が弾性変形可能な最大の変形量よりも小さい変形量の範囲内に制限するストッパー40が設けられている。そのため、高負荷領域では、第一の弾性体24の変形がストッパー40によって規制され、第一の弾性体24に過大な荷重が付与されることが抑制される。そのため、第一の弾性体24の耐久性が向上する。
[第二の実施形態]
図11は、第二の実施形態に係るプーリユニット2の断面図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図11は、第二の実施形態に係るプーリユニット2の断面図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、ハブ50が、フランジ部12の縁部から軸方向に沿ってラジアル軸受28側に折り返す折り返し部51を有する点である。第一の弾性体24は、折り返し部51と胴部11との間に配置されている。第一の弾性体24は、折り返し部51にガイドされながら軸方向に弾性変形する。
この構成では、第一の弾性体24の外周面がプーリ13と接触しない。そのため、プーリ13がハブ10に対して相対回転したときに、第一の弾性体24が摩耗しにくい。
[第三の実施形態]
図12は、第三の実施形態に係るプーリユニット3の断面図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図12は、第三の実施形態に係るプーリユニット3の断面図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、第一の弾性体53および第二の弾性体52がコイルばねである点と、プーリ13が大径部WP(図1参照)を備えない点である。第二の弾性体52を構成するコイルは、第一の弾性体53を構成するコイルよりも太い。第二の弾性体52を構成するコイルは、第一の弾性体53を構成するコイルよりも短い。この構成でも、第一の実施形態と同様の効果が得られる。
[第四の実施形態]
図13は、第四の実施形態に係るプーリユニット4の断面図である。図14は、プーリ13とハブ10の回転位相差とトルクとの関係を示す図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図13は、第四の実施形態に係るプーリユニット4の断面図である。図14は、プーリ13とハブ10の回転位相差とトルクとの関係を示す図である。本実施形態において第一の実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施形態において第一の実施形態と異なる点は、ストッパー55が、第二の弾性体23の内径側に配置された第二の筒状部56を有する点である。
プーリユニット4では、第二のカム板15の変位量が第一の閾値に達すると、第一の筒状部41と筒状部45とが接触し、第一の弾性体24がそれ以上変形しなくなる。第二のカム板15の変位量が第一の閾値に達しても、第二の筒状部56は、スラスト軸受18と接触しない。第二のカム板15の変位量が、第一の閾値よりも大きい第二の閾値に達すると、第二の筒状部56とスラスト軸受18とが接触し、第二の弾性体23がそれ以上変形しなくなる。
そのため、図14に示すように、高負荷領域の中でも比較的トルクが小さい第一の高負荷領域と比較的トルクが大きい第二の高負荷領域とでは、トルクの増加に対する回転位相差の増加の割合は異なる。第二の高負荷領域では回転位相差の増加の割合はゼロである。そのため、第二の弾性体23に過大な荷重が付与されることが抑制される。そのため、第二の弾性体23の耐久性が向上する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。各実施形態の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変更することができる。例えば、上記の実施形態では、スラスト軸受18とフランジ部12との間に二つの弾性体EMが直列に配置された構成が例示されたが、弾性体EMの数は二つに限定されない。三つ以上の弾性体EMが、スラスト軸受18とフランジ部12との間に直列に配置されてもよい。
1,2,3,4 プーリユニット
10,50 ハブ
12 フランジ部
13 プーリ
13b 第一の溝
14 第一のカム板
14G,15G カム溝
15 第二のカム板
15a 第一の歯
16 転動体
18 スラスト軸受
23,52 第二の弾性体
24,53 第一の弾性体
30,31,32,33,34,35 カム面
40,55 ストッパー
41 第一の筒状部
42 隔壁部
56 第二の筒状部
EM 弾性体
NP 小径部
WP 大径部
10,50 ハブ
12 フランジ部
13 プーリ
13b 第一の溝
14 第一のカム板
14G,15G カム溝
15 第二のカム板
15a 第一の歯
16 転動体
18 スラスト軸受
23,52 第二の弾性体
24,53 第一の弾性体
30,31,32,33,34,35 カム面
40,55 ストッパー
41 第一の筒状部
42 隔壁部
56 第二の筒状部
EM 弾性体
NP 小径部
WP 大径部
Claims (7)
- フランジ部を有する中空状のハブと、
前記ハブと同軸状に配置され、内周面に第一の溝を有する中空状のプーリと、
前記ハブの外周面に固定された第一のカム板と、
前記第一の溝と噛み合う第一の歯を有し、転動体を挟んで前記第一のカム板と軸方向に対向配置され、前記第一のカム板に対して相対回転することにより前記軸方向に変位する第二のカム板と、
前記第二のカム板に当接しているスラスト軸受と、
前記スラスト軸受と前記フランジ部との間に直列に配置され、前記第二のカム板の前記軸方向の変位に伴って弾性変形する複数の弾性体と、
を有し、
前記複数の弾性体には、第一の弾性体と、前記第一の弾性体よりも弾性係数が大きい第二の弾性体と、が含まれている
プーリユニット。 - 前記スラスト軸受と前記フランジ部との間には、前記第一の弾性体の変形量を、前記第一の弾性体が弾性変形可能な最大の変形量よりも小さい変形量の範囲内に制限するストッパーが設けられている
請求項1に記載のプーリユニット。 - 前記ストッパーは、前記第一の弾性体の内径側に配置された第一の筒状部と、前記第一の筒状部から径方向と突出し、前記第一の弾性体と前記第二の弾性体との間に挟まれた隔壁部と、を有する
請求項2に記載のプーリユニット。 - 前記ストッパーは、前記第二の弾性体の内径側に配置された第二の筒状部を有する
請求項3に記載のプーリユニット。 - 前記プーリは、大径部と、前記大径部よりも内径が小さい小径部と、を有し、
前記第一の弾性体は、前記大径部に設けられている
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプーリユニット。 - 前記第一のカム板の前記第二のカム板と対向する面および前記第二のカム板の前記第一のカム板と対向する面には、それぞれ複数のカム溝が設けられ、
前記カム溝は、互いに逆向きに傾斜した一対のカム面を有し、
相対的に大きい駆動トルクによって前記転動体が押し付けられるカム面のカムリードは、相対的に小さい駆動トルクによって前記転動体が押し付けられるカム面のカムリードよりも大きい
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプーリユニット。 - 前記第一の溝の底の内径は、前記第一の溝の形成位置よりも前記軸方向一端側に位置する前記プーリの内周面の内径よりも小さい
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプーリユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016146718A JP2018017277A (ja) | 2016-07-26 | 2016-07-26 | プーリユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016146718A JP2018017277A (ja) | 2016-07-26 | 2016-07-26 | プーリユニット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018017277A true JP2018017277A (ja) | 2018-02-01 |
Family
ID=61076027
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016146718A Pending JP2018017277A (ja) | 2016-07-26 | 2016-07-26 | プーリユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018017277A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020004397A1 (ja) * | 2018-06-25 | 2020-01-02 | 三ツ星ベルト株式会社 | プーリ構造体、滑り軸受、及び、滑り軸受の製造方法 |
DE112018002040T5 (de) | 2017-04-17 | 2020-01-09 | Denso Corporation | Klimagerätgehäuse |
US11353058B2 (en) | 2018-06-25 | 2022-06-07 | Mitsuboshi Belting Ltd. | Pulley structure, sliding bearing, and production method for sliding bearing |
-
2016
- 2016-07-26 JP JP2016146718A patent/JP2018017277A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112018002040T5 (de) | 2017-04-17 | 2020-01-09 | Denso Corporation | Klimagerätgehäuse |
WO2020004397A1 (ja) * | 2018-06-25 | 2020-01-02 | 三ツ星ベルト株式会社 | プーリ構造体、滑り軸受、及び、滑り軸受の製造方法 |
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