JP2018017183A - 蒸発燃料処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スロットル弁の作動の頻度に影響されることなく、蒸発燃料の濃度を適切に推定して処理することができる蒸発燃料処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、パージ通路と、キャニスタと、大気開放口と、大気開放弁と、パージ弁と、を含む蒸発燃料処理装置である。パージ通路上のキャニスタとパージ弁との間に設けられた加圧ポンプが、パージ通路内の気体をパージ弁側に強制給気する。圧力センサが、パージ通路上の加圧ポンプとパージ弁との間の検出領域内で、加圧ポンプによって強制給気された気体の圧力を検出する。制御部が、所定のエンジン運転状態において、大気開放弁が開放されパージ弁が閉じた状態で加圧ポンプを停止状態から所定の駆動条件で駆動させ、圧力センサの検出値に基づいて蒸発燃料の濃度を推定する。制御部は、また、当該推定した蒸発燃料の濃度に基づいて加圧ポンプの駆動回転数を制御しながら加圧ポンプを停止させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、自動車の燃料タンク中で発生した蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置に関する。
従来から、自動車の燃料タンク中で発生した蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置が知られている。一般的な蒸発燃料処理装置は、燃料タンクと、エンジンの上流側に接続されているエンジン吸気管と、の間に延びるパージ通路を備えている。また、パージ通路上には、燃料タンクから流れてきた蒸発燃料を受け入れて蓄積する、活性炭等を収容するキャニスタが設けられている。そして、燃料タンク内の蒸発燃料は、燃料タンクから排出され、パージ通路を通ってキャニスタに蓄積される。キャニスタに蓄積された蒸発燃料がエンジン吸気管に供給される場合、所定のパージタイミングにおいて、エンジン吸気管内のスロットル弁が絞られ、パージ通路内に負圧を発生させる。そして、パージ通路内で発生された負圧により、キャニスタに蓄積された蒸発燃料は、パージ通路下流側に向けて吸い出され、エンジン吸気管を通してエンジンに供給される。
近年では、燃費を向上させるべく、エンジンシリンダ内の燃焼条件、特に空燃比、を精密に制御することが求められている。従って、蒸発燃料をエンジンに供給するに際しては、蒸発燃料をエンジンシリンダ内に供給した際に目標空燃比を達成できるよう、エンジンシリンダに供給される蒸発燃料の濃度を正確に測定ないし推定することが求められている。蒸発燃料の濃度を測定することができる技術として、例えば、特許文献1が知られている。
特開2009−138561号公報
特許文献1に記載された蒸発燃料処理装置では、スロットル弁を絞ることにより、パージ通路内に負圧が発生されてキャニスタ内に蓄積された蒸発燃料がエンジン吸気管方向に吸引される際の絞り差圧に基づいて、キャニスタ内に蓄積された蒸発燃料の濃度を測定するように構成されている。
一方で、近年では、エンジンの上流側に配置されているスロットル弁を常に開弁状態とすることで、エンジンのポンプロスを低減するシステムの開発が進められている。このようなシステムでは、スロットル弁を絞る機会が殆どないため、特許文献1に記載された蒸発燃料処理装置とこのようなシステムとを併用すると、キャニスタ内の蒸発燃料の濃度を測定することが困難である。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、スロットル弁の作動の頻度に影響されることなく、蒸発燃料の濃度を適切に推定して処理することができる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、燃料タンクからエンジン吸気管に向けて延びるパージ通路と、前記パージ通路上に設けられ、前記燃料タンクから蒸発燃料を受け入れて蓄積するキャニスタと、前記キャニスタに接続された大気開放口と、前記パージ通路上の前記キャニスタの下流側に設けられたパージ弁と、前記パージ通路上の前記キャニスタと前記パージ弁との間に設けられ、前記パージ通路内の気体を前記パージ弁側に強制給気する加圧ポンプと、前記パージ通路上の前記加圧ポンプと前記パージ弁との間の検出領域内で、前記加圧ポンプによって強制給気された気体の圧力を検出する圧力センサと、前記パージ弁、前記加圧ポンプ及び前記圧力センサに接続された制御部と、を備え、前記制御部は、所定のエンジン運転状態において、前記パージ弁が閉じた状態で、前記加圧ポンプを停止状態から所定の駆動条件で駆動させ、前記圧力センサの検出値に基づいて蒸発燃料の濃度を推定し、当該推定した蒸発燃料の濃度に基づいて前記加圧ポンプの駆動回転数を制御しながら前記加圧ポンプを停止させることを特徴とする蒸発燃料処理装置である。
本発明によれば、パージ通路上のキャニスタとパージ弁との間の加圧ポンプを駆動することによって、キャニスタ内の蒸発燃料をキャニスタから吸引するための負圧を発生させることができ、また、蒸発燃料の濃度が高いほど圧力センサの検出値が高くなるという性質に基づいて、圧力センサの検出値に基づいて蒸発燃料の濃度を高精度に推定することができる。そして、蒸発燃料の濃度の推定後、加圧ポンプを停止させる際、気体の逆流が生じて蒸発燃料が大気開放弁の方から漏洩してしまう懸念があるが、本発明の制御部は、推定した蒸発燃料の濃度に基づいて加圧ポンプの駆動回転数を制御しながら加圧ポンプを停止させるため、そのような漏洩の懸念を払拭することができる。
例えば、前記制御部は、前記推定した蒸発燃料の濃度が所定の閾値より大きい時に、前記加圧ポンプの駆動回転数を徐々に低下させることで前記加圧ポンプを停止させるようになっており、前記推定した蒸発燃料の濃度が所定の閾値以下である時に、前記加圧ポンプを一気に停止させるようになっている。この場合、蒸発燃料の漏洩が問題となり得るような高濃度の時だけ、加圧ポンプが徐々に停止されるため、エネルギー効率が良い。
また、前記制御部は、前記推定した蒸発燃料の濃度に基づく前記キャニスタに蓄積された蒸発燃料のパージ制御を実施するべく前記パージ弁を開放して前記加圧ポンプを駆動させるようになっており、前記所定のエンジン運転状態は、エンジン停止状態であり、前記制御部は、前記パージ制御を実施する前にエンジンを始動することが好ましい。すなわち、本発明によれば、エンジン停止状態であっても、蒸発燃料の濃度を高精度に推定することができる。そして、制御部は、エンジンを始動してパージ制御を有効に実施することができる。
また、好ましくは、前記制御部は、前記加圧ポンプの駆動回転数と前記圧力センサの検出値とに基づいて、蒸発燃料の濃度を推定するようになっている。加圧ポンプの駆動回転数が高い方が、圧力センサの検出値は高くなり、蒸発燃料の濃度をより高精度に推定することができる。もっとも、加圧ポンプの駆動に必要なエネルギーも高くなる。本件発明者の知見によれば、40000rpmが好適な駆動回転数である。
また、好ましくは、前記蒸発燃料の濃度を推定している時の前記加圧ポンプの駆動回転数は、前記パージ制御を実施している時の前記加圧ポンプの駆動回転数よりも高い。本件発明者の知見によれば、前者の好適な値は40000rpmであり、後者の好適な値は30000rpmである。
また、圧力センサの検出値を蒸発燃料の濃度に換算する工程は省略してもよい。この場合、本発明は、燃料タンクからエンジン吸気管に向けて延びるパージ通路と、前記パージ通路上に設けられ、前記燃料タンクから蒸発燃料を受け入れて蓄積するキャニスタと、前記キャニスタに接続された大気開放口と、前記パージ通路上の前記キャニスタの下流側に設けられたパージ弁と、前記パージ通路上の前記キャニスタと前記パージ弁との間に設けられ、前記パージ通路内の気体を前記パージ弁側に強制給気する加圧ポンプと、前記パージ通路上の前記加圧ポンプと前記パージ弁との間の検出領域内で、前記加圧ポンプによって強制給気された気体の圧力を検出する圧力センサと、前記パージ弁、前記加圧ポンプ及び前記圧力センサに接続された制御部と、を備え、前記制御部は、所定のエンジン運転状態において、前記大気開放弁が開放され前記パージ弁が閉じた状態で、前記加圧ポンプを停止状態から所定の駆動条件で駆動させ、前記圧力センサの検出値を取得し、当該検出値に基づいて前記加圧ポンプの駆動回転数を制御しながら前記加圧ポンプを停止させることを特徴とする蒸発燃料処理装置である。
この場合、前記制御部は、前記取得した検出値が所定の閾値より大きい時に、前記加圧ポンプの駆動回転数を徐々に低下させることで前記加圧ポンプを停止させるようになっており、前記取得した検出値が所定の閾値以下である時に、前記加圧ポンプを一気に停止させるようになっていることが好ましい。この場合、蒸発燃料の漏洩が問題となり得るような高濃度の時だけ、加圧ポンプが徐々に停止されるため、エネルギー効率が良い。
また、前記制御部は、前記取得した検出値に基づく前記キャニスタに蓄積された蒸発燃料のパージ制御を実施するべく前記パージ弁を開放して前記加圧ポンプを駆動させるようになっており、前記所定のエンジン運転状態は、エンジン停止状態であり、前記制御部は、前記パージ制御を実施する前にエンジンを始動することが好ましい。すなわち、本発明によれば、エンジン停止状態であっても、蒸発燃料の濃度を高精度に推定することができ、制御部は、エンジンを始動してパージ制御を有効に実施することができる。
本発明によれば、パージ通路上のキャニスタとパージ弁との間の加圧ポンプを駆動することによって、キャニスタ内の蒸発燃料をキャニスタから吸引するための負圧を発生させることができ、また、蒸発燃料の濃度が高いほど圧力センサの検出値が高くなるという性質に基づいて、圧力センサの検出値に基づいて蒸発燃料の濃度を高精度に推定することができる。そして、蒸発燃料の濃度の推定後、加圧ポンプを停止させる際、気体の逆流が生じて蒸発燃料が大気開放弁の方から漏洩してしまう懸念があるが、本発明の制御部は、推定した蒸発燃料の濃度に基づいて加圧ポンプの駆動回転数を制御しながら加圧ポンプを停止させるため、そのような漏洩の懸念を払拭することができる。
本発明の一実施形態による蒸発燃料処理装置のシステム構成図である。 図1の蒸発燃料処理装置の動作の一例を示すフロー図である。 図1の蒸発燃料処理装置における、加圧ポンプの駆動回転数と、圧力センサの検出値と、それらから推定される蒸発燃料の濃度と、の相互関係を示すグラフである。 図2の動作の続きの一例(プロセスB)を示すフロー図である。 図4の動作に対応するタイムチャートである。 図2の動作の続きの別の一例(プロセスC)を示すフロー図である。 図5の動作に対応するタイムチャートである。 図2、図4及び図6の動作の続きの一例(プロセスD)を示すフロー図である。 図1の蒸発燃料処理装置において、外気温と燃料残量とから次回診断時間を対応させる3次元グラフである。 図1の蒸発燃料処理装置において、大気圧と燃料残量とに基づいて次回診断時間に対する補正係数を対応させる3次元グラフである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態による蒸発燃料処理装置について説明する。図1は、本実施形態による蒸発燃料処理装置のシステム構成図である。
図1に示す蒸発燃料処理装置1は、一般的な自動車に搭載されていて、エンジン吸気管3と、燃料タンク5、との間に延びるパージ通路7を備えている。そして、パージ通路7における燃料タンク5の下流側に、燃料タンク5内の蒸発燃料を受け入れて蓄積するキャニスタ9が設けられている。
キャニスタ9は、例えば活性炭等の吸着材を収容している。これによって、燃料タンク5から流れてくる蒸発燃料は、一旦キャニスタ9内の吸着材によって吸着されるようになっている。また、キャニスタ9は、大気開放弁11を介して、大気に向けて開放された大気開放口13と接続されている。
パージ通路7におけるキャニスタ9の下流側には、例えば遠心式ポンプやウエスコ式ポンプによって構成された加圧ポンプ15が設けられている。加圧ポンプ15の更に下流側に、パージ通路7を開閉するパージ弁17が設けられている。そして、パージ通路7における加圧ポンプ15とパージ弁17との間の領域は、圧力センサ21による圧力検出領域19となっている。具体的には、圧力検出領域19は、加圧ポンプ15の下流側とパージ弁17とを接続する管内の空間で、100cc〜300cc程度の容量を有する。そして、当該圧力検出領域19内に、圧力を検出するための圧力センサ21が設けられている。
また、蒸発燃料処理装置1は、大気開放弁11、加圧ポンプ15、パージ弁17及び圧力センサ21を含む車両の各種機器を制御するためのECU23(制御部)を備えている。ECU23には、更に記憶部25が接続されていて、当該記憶部25に、加圧ポンプ15の駆動回転数及び圧力センサ21の検出値と、それらから推定される蒸発燃料の濃度と、の対応関係を示すグラフまたはテーブルが記憶されている。
その他、ECU23には、後述されるプロセスDのために、当該自動車の外気温を測定する外気温センサ41と、当該自動車周りの大気圧を測定する大気圧センサ43と、燃料タンク5に設けられた燃料残量センサ45と、に接続されている。そして、記憶部25には、外気温と燃料残量とから次回診断時間を対応させる3次元グラフ(図9参照)と、大気圧と燃料残量とに基づいて前記次回診断時間に対する補正係数を対応させる3次元グラフ(図10参照)と、が記憶されている。
次に、以上のような蒸発燃料処理装置1の動作について詳述する。図2は、蒸発燃料処理装置の動作の一例を示すフロー図である。
図2に示す例では、まず、ECU23の制御に従って、濃度診断時期が到来しているか否かが判断される(ステップS01)。診断時期とは、例えば前回の濃度診断時から所定の時間経過した時期である。
濃度診断時期が到来している場合、本実施形態の蒸発燃料処理装置1が搭載されている走行中の自動車が、EV走行しているか否かが判定される(ステップS02)。YESであれば、エンジンは停止状態である。NOであれば、エンジンは稼働状態である。
YESの場合、大気開放弁11が、ECU23の制御に従って開弁状態に制御される(ステップS03)。この工程は、ECU23が大気開放弁11の状態を判定して、大気開放弁11が開弁状態にある場合に実行される(大気開放弁11が既に閉弁状態の場合には、その状態が確認される)。
そして、加圧ポンプ15が40000rpmの駆動回転数で所定時間(例えば5秒間)駆動される(ステップS04)。
加圧ポンプ15が以上のような駆動条件で駆動されると、大気開放口13及びキャニスタ9を介してパージ通路7内に流れ込む気流が発生する。当該気流により、キャニスタ9内に蓄積されていた蒸発燃料が、パージ通路7の下流側に向けて吸引されて流れる。
次いで、ECU23の制御に従って、パージ弁17が閉弁される(ステップS05)。この工程は、ECU23がパージ弁17の状態を判定して、パージ弁17が開弁状態にある場合に実行される(パージ弁17が既に閉弁状態の場合には、その状態が確認される)。このステップS05により、加圧ポンプ15の出力側とパージ弁17との間の圧力検出領域が、一定の容積を有する実質的な閉鎖空間となる。
実質的な閉鎖空間となった圧力検出領域19は、加圧ポンプ15の駆動によって圧力が上昇する。そして、圧力検出領域19の圧力が一定の圧力に達すると、加圧ポンプ15から給気されようとする気体が検出領域19に流入できなくなる。このような平衡状態で圧力検出領域19の圧力は安定し、加圧ポンプ15からの気体の流入量がゼロになる。そして、圧力センサ21は、このような平衡状態での(気体の流入量がゼロになったときの)圧力検出領域19内の圧力を検出する(ステップS06)。
次いで、ECU23は、記憶部25に記憶されているグラフまたはテーブルに基づいて、蒸発燃料の濃度を推定する。具体的には、ECU23は、40000rpmという本実施形態での加圧ポンプ15の駆動回転数と、圧力センサ21の検出値とに基づいて、蒸発燃料の濃度を推定する(ステップS07)。
例えば、図3は、本実施形態の蒸発燃料処理装置1における、加圧ポンプ15の駆動回転数と、圧力センサ21の検出値と、それらから推定される蒸発燃料の濃度(% )と、の相互関係を示すグラフである。(図3のグラフは、外気温センサ41によって測定される自動車周りの外気温や、大気圧センサ43によって測定される自動車周りの大気圧によって、補正(較正)されてもよい。更には、外気温センサ41の測定値の代わりに燃料温度を検知する燃料温度センサ47の測定値が用いられてもよい。)
次いで、ECU23は、推定された蒸発燃料の濃度を、所定の閾値と比較する(ステップS08)。推定された蒸発燃料の濃度が所定の閾値(例えば80%)よりも小さい場合には、パージ制御は実施しないで、後述のプロセスB(またはプロセスC)に移行する。推定された蒸発燃料の濃度が所定の閾値以上である場合には、確実にエバポの大気放出を防止すべく、エンジンを始動してパージ制御を開始する(ステップS10)。
図2の例では、ステップS02においてNOであった場合も、パージ制御が開始される。
パージ制御の開始にあたっては、ECU23が、蒸発燃料のパージ制御の実行条件が成立しているか否かを判断する(ステップS11)。具体的には、(i)安定して空燃比が出来ているか、(ii)燃料に関する学習プロセスが完了しているか、(iii)他の制御系からのパージ制御禁止要求が無いか、等の条件が判定される。
蒸発燃料のパージ制御の実行条件が成立していなければ、当該実行条件が成立するのを待つべく、ステップS11が繰り返される。
蒸発燃料のパージ制御の実行条件が成立していれば、加圧ポンプ15を30000rpmで駆動する(ステップS12)と共に、推定された蒸発燃料の濃度を考慮してパージ弁17の目標開度が決定されて(ステップS13)パージ制御が実施される。
ステップS13に関して、ステップS02においてNOであった場合でも、ステップS06、S07を一度実施して、蒸発燃料の濃度を推定した上で、ステップS13を実施する。あるいは、ステップS02においてNOであった場合には、エンジン稼働時にスロットル弁を絞ることでなされる従来公知の濃度推定技術(例えば特許文献1の技術)を援用して、蒸発燃料の濃度を推定した上で、ステップS13を実施する。
パージ制御は、具体的には、例えばECU23が所定のデューティーパルスに基づいてパージ弁17を開閉することにより行われる。パージ弁17の開閉デューティーは、推定された蒸発燃料の濃度に基づいて決定される。即ち、推定された蒸発燃料の濃度が高い場合には、キャニスタ9に蓄積されている蒸発燃料の量が多いため、エンジン供給管3に供給する蒸発燃料の量を抑制する必要がある。従って、この場合には、比較的短いパルス幅のデューティーパルスに従ってパージ弁17を駆動する。これにより、蒸発燃料の蓄積量が多い場合でも、適切な量の蒸発燃料をエンジン供給管3に供給することができる。
逆に、推定された蒸発燃料の濃度が低い場合には、キャニスタ9に蓄積されている蒸発燃料の量が少ないため、エンジン供給管3に供給する蒸発燃料の量を抑制する必要がない。従って、この場合には、比較的長いパルス幅のデューティーパルスに従ってパージ弁17を駆動する。これにより、蒸発燃料の蓄積量が少ない場合でも、十分な量の蒸発燃料をエンジン供給管3に供給することができる。
一方、加圧ポンプ15は、30000rpmの駆動回転数で所定時間(例えば5秒間)駆動され、当該所定時間の経過後、すなわち、所定時間のパージ制御実施後、加圧ポンプ15が停止され(ステップS14)、パージ弁17が閉弁され(ステップS15)、ステップS02でYESであった場合(EV走行であった場合)には、エンジンが停止してEV走行に戻る(ステップS16、S17)。その後、後述のプロセスDに進む。
以上のように、本実施形態によれば、エンジン停止状態であっても、パージ通路7上のキャニスタ9とパージ弁17との間の加圧ポンプ15を駆動することによって、キャニスタ9内の蒸発燃料をキャニスタ9から吸引するための負圧を発生させることができる。そして、蒸発燃料の濃度が高いほど圧力センサ21の検出値が高くなるという性質に基づいて、圧力センサ21の検出値に基づいて蒸発燃料の濃度を高精度に推定することができる。これにより、確実にエバポの大気放出を防止すべく、好適なタイミングでエンジンを始動してパージ制御を開始することができる。
また、本実施形態によれば、蒸発燃料の濃度推定時の加圧ポンプ15の駆動回転数が40000rpmであることにより、より高精度(高分解能)に濃度を推定することができる一方で、パージ制御時の加圧ポンプ15の駆動回転数が30000rpmであることにより、省エネルギーが図られている。
また、本実施形態によれば、推定された蒸発燃料の濃度に基づいて、キャニスタ9に蓄積された蒸発燃料のパージが行われるため、エンジン吸気管3に流入する蒸発燃料の量を考慮しながら、高精度にシリンダ内の空燃比を制御することができる。
なお、図2のフローでは、圧力センサ21の検出値に基づいて蒸発燃料の濃度を推定しているが、その工程(ステップS06)を省略して、ステップS07において圧力センサ21の検出値そのものを所定の閾値と比較してもよい。
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態のプロセスBについて説明する。図4は、図2の動作の続きの一例(プロセスB)を示すフロー図である。
図4のプロセスBでは、パージ制御は実施されないで、加圧ポンプ15の駆動が停止される。ここで、本件発明者は、加圧ポンプ15を停止させる際、気体の逆流が生じて蒸発燃料が大気開放口13から漏洩してしまう場合があることを知見した。そこで、本実施形態では、プロセスBを設けていて、ステップS08の閾値(例えば80%)よりは濃度が低く、すなわち、パージ制御が必要な程の高濃度では無いが、大気開放口13からの漏洩を許容することは好ましくない、というような中程度の濃度(例えば50〜80%)の場合、加圧ポンプ15を停止させる前に、大気開放弁11を閉鎖することにしている。
具体的には、図4に示すように、ECU23が、推定された蒸発燃料の濃度が第2の閾値(例えば50%)以上であるか否かを判断する(ステップS21)。
ECU23は、推定された蒸発燃料の濃度が所定の第2の閾値未満である時、大気開放弁11を開放したまま加圧ポンプ15を停止させる(ステップS22)。
一方、ECU23は、推定された蒸発燃料の濃度が所定の第2の閾値以上である時、大気開放弁11を閉鎖してから加圧ポンプ15を停止させる(ステップS23)。
このようなプロセスBによれば、蒸発燃料の漏洩が問題となり得るような高濃度の時だけ、大気開放弁11が閉鎖されるため、大気開放弁11の制御効率が良い。
また、本実施形態のプロセスBでは、大気開放弁11を閉鎖してから加圧ポンプ15を停止させた場合において、その後に圧力センサ21によって所定の圧力低下(例えば、圧力検出値が4kPa以下になったこと)が検出されれば(ステップS24)、ECU23が大気開放弁11を開放状態に戻す(ステップS25)。この態様に対応するタイムチャートが、図5に示されている。
これは、パージ通路上の気体の圧力が均されて平衡状態に近づいた後であれば(サチレートした後であれば)、大気開放弁11を開放しても、蒸発燃料の漏洩のレベルが問題となる程には高くないということを反映させたものである。
なお、ステップS24において圧力低下を判断する代わりに、所定の時間の経過を判断して、すなわち、所定の時間経過後に(圧力低下が見込まれるとの予測の下で)大気開放弁11を開放状態に戻してもよい。
次に、図6及び図7を参照して、前記プロセスBに置換可能なプロセスCについて説明する。図6は、図2の動作の続きの一例(プロセスC)を示すフロー図である。
図6のプロセスCでも、パージ制御は実施されないで、加圧ポンプ15の駆動が停止される。ここで、前述のように、加圧ポンプ15を停止させる際、気体の逆流が生じて蒸発燃料が大気開放口13から漏洩してしまう場合がある。そこで、プロセスCでは、ステップS08の閾値(例えば80%)よりは濃度が低く、すなわち、パージ制御が必要な程の高濃度では無いが、大気開放口13からの漏洩を許容することは好ましくない、というような中程度の濃度(例えば50〜80%)の場合、加圧ポンプ15を停止させる前に、一気に(急激に)加圧ポンプ15を停止するのではなく、徐々に回転数を下げていくことにしている。
具体的には、図6に示すように、ECU23が、推定された蒸発燃料の濃度が第2の閾値(例えば50%)以上であるか否かを判断する(ステップS31)。
ECU23は、推定された蒸発燃料の濃度が所定の第2の閾値未満である時、従来通り加圧ポンプ15を一気に(急激に)停止させる(ステップS32)(例えば、電源入力を遮断する)。
一方、ECU23は、推定された蒸発燃料の濃度が所定の第2の閾値以上である時、加圧ポンプ15の駆動回転数を徐々に低下させていくことで加圧ポンプ15を停止させる(ステップS33)(例えば、5000rpm/秒の勾配で回転数を低下させていく)。
このようなプロセスCによれば、加圧ポンプ15を徐々に停止させるこで気体の逆流を効果的に抑制できる一方、蒸発燃料の漏洩が問題となり得るような高濃度の時だけ加圧ポンプ15を徐々に停止させるため、エネルギー効率が良い。
加圧ポンプ15の停止の態様と、その際に生じる気体の逆流によって大気開放口13から流出する気体の量と、の相関を示すタイムチャートが、図7に示されている。図7において、実線が従来の場合を示しており(キャニスタの吹抜け量に一時的な増大が認められる)、破線が本実施形態の場合を示している。
以上のプロセスCは、大気開放弁11が設けられていないタイプの蒸発燃料処理装置にも適用可能である。
また、以上のプロセスCは、第2の閾値を用いて、一気に(急激に)停止させるか、徐々に停止させるか、に二分した制御が実施されるものであるが、2つの閾値を段階的に設定しておいて、一気に(急激に)停止させるか、やや急峻な勾配で回転数を徐々に低下させていくか、極めて緩やかな勾配で回転数を低下させていくか、に三分した制御が実施されてもよい。同様に、3以上の閾値が段階的に設定されて場合分けされてもよい。
更には、推定された蒸発燃料の濃度に基づいて段階的に場合分けする態様に限定されず、推定された蒸発燃料の濃度を入力とし加圧ポンプ15を停止させる際の勾配(rpm/秒)または所要時間を出力とした連続的な関数(例えば一次関数(比例))等を予め設定しておいて、当該関数等を適用して推定された蒸発燃料の濃度に応じた加圧ポンプ15の停止制御を実施するようにしてもよい。
次に、図8乃至図10を参照して、本実施形態のプロセスDについて説明する。図8は、図2、図4及び図6の動作の続きの一例(プロセスD)を示すフロー図である。
図8のプロセスDは、図2のステップS01において判断基準として用いられる、前回の濃度診断時からの「所定の時間」を決定(再設定)するプロセスである。
具体的には、図8に示すように、外気温センサ41によって、当該自動車の外気温が測定され(ステップS41)、大気圧センサ43によって、当該自動車周りの大気圧が測定され(ステップS42)、燃料残量センサ45によって、燃料タンク5内の燃料残量が測定される(ステップS43)。
図9は、本実施形態の蒸発燃料処理装置1における、外気温(℃)と燃料残量(L)とから次回診断時間(次回診断が行われるべきタイミングまでの時間(min))を対応させる3次元グラフである。ECU23は、記憶部25に記憶されている当該グラフに基づいて、ステップS41にて測定された外気温とステップS43にて測定された燃料残量とに基づく次回診断時間を読み取る(ステップS44)。
本実施形態のプロセスDでは、読み取った次回診断時間に対して、推定された蒸発燃料の濃度に基づく補正を行う(ステップS45)。具体的には、例えば「80%」をステップS07の閾値としている場合、濃度が50〜80%であれば、読み取った次回診断時間に0.6を掛け、濃度が30〜50%であれば、読み取った次回診断時間に0.8を掛け、濃度が30%未満であれば、読み取った次回診断時間をそのまま維持する。
更に、図10は、本実施形態の蒸発燃料処理装置1における、大気圧(絶対圧:kPa)と燃料残量(L)とに基づいて次回診断時間(min)に対する補正係数を対応させる3次元グラフである。ECU23は、記憶部25に記憶されている当該グラフに基づいて、ステップS42にて測定された大気圧とステップS43にて測定された燃料残量とに基づく補正係数を読み取る(ステップS46)。
そして、ステップS45で補正された(あるいは補正されないで維持された)次回診断時間に、ステップS46で読み取られた補正係数を掛け合わせることによって、最終的な次回診断時間(ステップS02の「所定の時間」)が決定される(ステップS47)。
以上のようなプロセスDによれば、外気温が高くて蒸発燃料が発生しやすい場合、次回診断時間がより短くなり、燃料残量が多くて蒸発燃料が発生しやすい場合も、次回診断時間がより短くなり、直前に推定された蒸発燃料の濃度が比較的高かった場合も、次回診断時間がより短くなり、大気圧が低くて蒸発燃料が発生しやすい場合も、次回診断時間がより短くなる。すなわち、以上のようなプロセスDによれば、外気温、燃料残量、直前に推定された蒸発燃料の濃度、及び、大気圧の全てを考慮に入れて、好適なタイミングで次回の濃度診断を実施することができる。
もっとも、外気温の代わりに、燃料温度(公知の燃料温度センサ47によって検知され得る)を考慮に入れてもよい。また、次回診断時間は、外気温/燃料温度、燃料残量、直前に推定した蒸発燃料の濃度、及び、大気圧の全てを考慮に入れて決定されずとも、外気温/燃料温度、燃料残量、直前に推定した蒸発燃料の濃度、及び、大気圧のうちのいずれか一つのみに基づいて決定されてもよい。
具体的には、外気温/燃料温度のみに依存して、外気温/燃料温度が高くて蒸発燃料が発生しやすい場合に、次回診断時間がより短く設定されるようになっていてもよい。あるいは、燃料残量のみに依存して、燃料残量が多くて蒸発燃料が発生しやすい場合に、次回診断時間がより短く設定されるようになっていてもよい。あるいは、直前に推定された蒸発燃料の濃度のみに依存して、当該濃度が比較的高かった場合に、次回診断時間がより短く設定されるようになっていてもよい。あるいは、大気圧がのみに依存して、大気圧が低くて蒸発燃料が発生しやすい場合に、次回診断時間がより短く設定されるようになっていてもよい。
更には、外気温/燃料温度、燃料残量、直前に推定した蒸発燃料の濃度、及び、大気圧のうちの二つのみに基づいて決定されてもよい。具体的には、外気温/燃料温度、燃料残量、直前に推定した蒸発燃料の濃度、及び、大気圧のうちの二つを入力パラメータとする3次元グラフを用意しておいて、好適な次回診断時間を決定してもよい。
更には、外気温/燃料温度、燃料残量、直前に推定した蒸発燃料の濃度、及び、大気圧のうちの三つに基づいて決定されてもよい。例えば、外気温/燃料温度、燃料残量、直前に推定した蒸発燃料の濃度、及び、大気圧のうちの二つを入力パラメータとする3次元グラフを用意しておいて、中間段階の次回診断時間を決定した後、三つ目の入力パラメータに基づく補正係数を掛け合わせることによって、最終的な次回診断時間を決定してもよい。
1 蒸発燃料処理装置
3 エンジン吸気管
5 燃料タンク
7 パージ通路
9 キャニスタ
11 大気開放弁
13 大気開放口
15 加圧ポンプ
17 パージ弁
19 圧力検出領域
21 圧力センサ
23 ECU
25 記憶部
41 外気温センサ
43 大気圧センサ
45 燃料残量センサ
47 燃料温度センサ

Claims (10)

  1. 燃料タンクからエンジン吸気管に向けて延びるパージ通路と、
    前記パージ通路上に設けられ、前記燃料タンクから蒸発燃料を受け入れて蓄積するキャニスタと、
    前記キャニスタに接続された大気開放口と、
    前記パージ通路上の前記キャニスタの下流側に設けられたパージ弁と、
    前記パージ通路上の前記キャニスタと前記パージ弁との間に設けられ、前記パージ通路内の気体を前記パージ弁側に強制給気する加圧ポンプと、
    前記パージ通路上の前記加圧ポンプと前記パージ弁との間の検出領域内で、前記加圧ポンプによって強制給気された気体の圧力を検出する圧力センサと、
    前記パージ弁、前記加圧ポンプ及び前記圧力センサに接続された制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、所定のエンジン運転状態において、前記パージ弁が閉じた状態で、前記加圧ポンプを停止状態から所定の駆動条件で駆動させ、前記圧力センサの検出値に基づいて蒸発燃料の濃度を推定し、当該推定した蒸発燃料の濃度に基づいて前記加圧ポンプの駆動回転数を制御しながら前記加圧ポンプを停止させる
    ことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  2. 前記制御部は、
    前記推定した蒸発燃料の濃度が所定の閾値より大きい時に、前記加圧ポンプの駆動回転数を徐々に低下させることで前記加圧ポンプを停止させるようになっており、
    前記推定した蒸発燃料の濃度が所定の閾値以下である時に、前記加圧ポンプを一気に停止させるようになっている
    ことを特徴とする請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。
  3. 前記制御部は、前記推定した蒸発燃料の濃度に基づく前記キャニスタに蓄積された蒸発燃料のパージ制御を実施するべく前記パージ弁を開放して前記加圧ポンプを駆動させるようになっており、
    前記所定のエンジン運転状態は、エンジン停止状態であり、
    前記制御部は、前記パージ制御を実施する前にエンジンを始動する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸発燃料処理装置。
  4. 前記制御部は、前記加圧ポンプの駆動回転数と前記圧力センサの検出値とに基づいて、蒸発燃料の濃度を推定するようになっている
    ことを特徴とする請求項3に記載の蒸発燃料処理装置。
  5. 前記蒸発燃料の濃度を推定している時の前記加圧ポンプの駆動回転数は、前記パージ制御を実施している時の前記加圧ポンプの駆動回転数よりも高い
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の蒸発燃料処理装置。
  6. 燃料タンクからエンジン吸気管に向けて延びるパージ通路と、
    前記パージ通路上に設けられ、前記燃料タンクから蒸発燃料を受け入れて蓄積するキャニスタと、
    前記キャニスタに接続された大気開放口と、
    前記パージ通路上の前記キャニスタの下流側に設けられたパージ弁と、
    前記パージ通路上の前記キャニスタと前記パージ弁との間に設けられ、前記パージ通路内の気体を前記パージ弁側に強制給気する加圧ポンプと、
    前記パージ通路上の前記加圧ポンプと前記パージ弁との間の検出領域内で、前記加圧ポンプによって強制給気された気体の圧力を検出する圧力センサと、
    前記パージ弁、前記加圧ポンプ及び前記圧力センサに接続された制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、所定のエンジン運転状態において、前記大気開放弁が開放され前記パージ弁が閉じた状態で、前記加圧ポンプを停止状態から所定の駆動条件で駆動させ、前記圧力センサの検出値を取得し、当該検出値に基づいて前記加圧ポンプの駆動回転数を制御しながら前記加圧ポンプを停止させる
    ことを特徴とする蒸発燃料処理装置。
  7. 前記制御部は、
    前記取得した検出値が所定の閾値より大きい時に、前記加圧ポンプの駆動回転数を徐々に低下させることで前記加圧ポンプを停止させるようになっており、
    前記取得した検出値が所定の閾値以下である時に、前記加圧ポンプを一気に停止させるようになっている
    ことを特徴とする請求項6に記載の蒸発燃料処理装置。
  8. 前記制御部は、前記取得した検出値に基づく前記キャニスタに蓄積された蒸発燃料のパージ制御を実施するべく前記パージ弁を開放して前記加圧ポンプを駆動させるようになっており、
    前記所定のエンジン運転状態は、エンジン停止状態であり、
    前記制御部は、前記パージ制御を実施する前にエンジンを始動する
    ことを特徴とする請求項6または7に記載の蒸発燃料処理装置。
  9. 前記制御部は、前記加圧ポンプの駆動回転数と前記圧力センサの検出値とに基づいて、蒸発燃料の濃度を推定するようになっている
    ことを特徴とする請求項8に記載の蒸発燃料処理装置。
  10. 前記蒸発燃料の濃度を推定している時の前記加圧ポンプの駆動回転数は、前記パージ制御を実施している時の前記加圧ポンプの駆動回転数よりも高い
    ことを特徴とする請求項8または9に記載の蒸発燃料処理装置。
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