JP2018016876A - 圧縮機、および、圧縮機の製造方法 - Google Patents

圧縮機、および、圧縮機の製造方法 Download PDF

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Naoki Shimozono
直樹 下園
梶原 幹央
Mikio Kajiwara
幹央 梶原
知巳 横山
Tomomi Yokoyama
知巳 横山
功二 小島
Koji Kojima
功二 小島
福永 剛
Takeshi Fukunaga
剛 福永
小川 真帆波
Mahona Ogawa
真帆波 小川
安浩 山本
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Abstract

【課題】本発明の目的は、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜が形成されている圧縮機、および、その製造方法を提供することである。
【解決手段】圧縮機101は、ケーシング10の胴部11と、胴部11に取り付けられる底部13等の外付部品とを備える。外付部品は、胴部11に取り付けられる前に、外付部品の外表面の少なくとも一部において金属溶射が施されている。胴部11は、金属溶射が施された外付部品が胴部11に取り付けられた後に、胴部11の外表面の少なくとも一部において金属溶射が施されている。胴部11に取り付けられる前の外付部品に金属溶射を施すので、外付部品が複雑な形状を有していても、外付部品の外表面全体に適切な方向から溶射材を吹き付けて良好な金属被膜を形成することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、耐食性向上のために金属溶射被膜がケーシング外表面に形成された圧縮機、および、その製造方法に関する。
冷凍装置に用いられる圧縮機は、炭素鋼および鋳鉄等の金属で成形される複数の部材から構成されるケーシングを有する。圧縮機のケーシングの外表面には、錆等による損傷を抑制して耐食性を向上させるための表面処理が施されている。ケーシングの耐食性は、圧縮機の製品寿命を延ばすために重要な特性である。特に、海上環境で使用される圧縮機のケーシングは、海水成分を含む飛沫および霧に曝されやすく、急激な温度変化を受けやすいので、高い耐食性が要求される。海上環境で使用される圧縮機は、例えば、コンテナ船に積載され海洋を輸送される海上コンテナに用いられる冷凍装置の圧縮機である。
家庭用エアコン等に用いられる圧縮機では、耐食性向上のために、ケーシングの外表面に、ペンキおよび樹脂等の塗装による被膜が形成されている場合がある。しかし、このような塗装によって形成される被膜は、温度変化、界面への水分の浸入、および、物理的衝撃に対して脆弱である。そのため、使用環境によっては、被膜が割れたり、ケーシングの基材表面から被膜が剥離したりすることがある。海上環境で使用される圧縮機の場合、被膜の割れおよび剥離によってケーシングの基材が外気に露出すると、ケーシングの腐食が極めて進行しやすくなる。そして、ケーシングの腐食によって圧縮機が損傷すると、海上環境では圧縮機の修復が一般的には困難であるため、大きな経済的損失が発生するおそれがある。そのため、海上環境で使用される圧縮機のケーシングには、特に高い耐食性が求められている。
従来、特許文献1(特開2002−303272号公報)および特許文献2(特表2011−509342号公報)に開示されるように、海上環境で使用される圧縮機において、ケーシングの外表面に溶射による金属被膜を形成することで、ケーシングの耐食性を向上させる方法が用いられている。溶射とは、加熱により液滴化した溶射材を、処理対象である基材の表面に吹き付けることで、表面に被膜を形成する表面処理法である。圧縮機のケーシングの溶射処理の場合、溶射材としては、ケーシングの材質の主成分よりもイオン化傾向が大きい金属が用いられる。この場合、溶射によって形成された金属被膜である溶射被膜は、基材であるケーシングよりも腐食されやすいので、ケーシングの錆による腐食および損傷を抑える効果を有する。また、溶射被膜は、塗装による被膜と比べて、基材との密着力が高く、温度変化および物理的衝撃に対する耐久性が高い。そのため、溶射被膜が形成されたケーシング外表面は、被膜の割れおよび剥離によって外気に露出しにくい。
圧縮機のケーシングは、種種の突出部分を有し、複雑な形状を有している。突出部分とは、冷媒配管、ターミナルガードおよび取付脚等、ケーシング外表面から突出している部材である。突出部分の外表面、および、突出部分周辺のケーシング外表面には、影となるために溶射材の吹き付け工程が行いにくい溶射困難領域が形成される。溶射困難領域は、ケーシング外表面の他の領域と比べて、溶射被膜の厚みが小さく、耐食性が低くなりやすい。溶射困難領域にも、ケーシング外表面の他の領域と同程度の厚みの溶射被膜を形成するためには、溶射困難領域に対して直角に溶射材を吹き付ける必要がある。しかし、突出部分を有するケーシングは複雑な形状を有しているので、突出部分およびケーシングの外表面全体に均一な溶射被膜を形成することは困難である。特に、突出部分であるターミナルガードおよび取付脚は、それ自体複雑な形状を有しているので、外表面全体に適切な方向から溶射材を吹き付けることは困難である。
本発明の目的は、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜が形成されている圧縮機、および、その製造方法を提供することである。
本発明の第1観点に係る圧縮機は、本体と、本体に取り付けられる外付部品とを備える。外付部品は、本体に取り付けられる前に、外付部品の外表面の少なくとも一部において金属溶射が施されている。本体は、金属溶射が施された外付部品が本体に取り付けられた後に、本体の外表面の少なくとも一部において金属溶射が施されている。
この圧縮機は、本体であるケーシングの外表面から突出する外付部品を備える。外付部品は、例えば、圧縮機を設置するための取付脚である。外付部品の外表面には、耐食性を向上させるための金属被膜が溶射によって形成されている。本体に取り付ける前に外付部品のみを金属溶射する場合、本体に取り付けた後に外付部品を金属溶射する場合と比べて、溶射時における外付部品の取り回しがより容易である。そのため、外付部品が複雑な形状を有していても、外付部品の外表面全体に適切な方向から溶射材を吹き付けて良好な金属被膜を形成することができる。従って、この圧縮機では、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜が形成されている。
本発明の第2観点に係る圧縮機は、第1観点に係る圧縮機であって、外付部品は、接合部と、接合部表面とを有する。接合部は、本体に取り付けられる部分である。接合部表面は、外付部品の外表面の一部であって、接合部における外表面を含む。外付部品は、本体に取り付けられる前に、接合部表面がマスキングされた状態で金属溶射が施されている。
この圧縮機では、金属溶射が施される前の外付部品の外表面の一部がマスキングされている。マスキングされる領域は、外付部品と本体との接合部における外表面を含む接合部表面である。外付部品を本体に取り付ける前に接合部表面に金属溶射が施されていると、本体に外付部品を正常に接合できないおそれがある。従って、この圧縮機では、外付部品の溶射時に接合部表面をマスキングによって保護することで、外付部品と本体との接合不良が抑制される。
本発明の第3観点に係る圧縮機は、第2観点に係る圧縮機であって、外付部品は、本体に取り付けられた後に、接合部表面において金属溶射が施されている。
この圧縮機では、接合部表面がマスキングされた状態で金属溶射が施された外付部品は、本体に取り付けられる前に、マスキングが取り除かれる。マスキングが取り除かれた外付部品は、接合によって本体に取り付けられた後、その接合部表面に金属溶射が施される。このとき、外付部品の接合部表面と共に、本体の外表面にも、金属溶射が施される。従って、この圧縮機では、本体および外付部品の金属溶射が効率的に施されている。
本発明の第4観点に係る圧縮機は、第1乃至第3観点のいずれか1つに係る圧縮機であって、本体は、外付部品が取り付けられた後に、本体および外付部品の外表面の一部がマスキングされた状態で金属溶射が施されている。
この圧縮機では、外付部品が本体に取り付けられた後に、本体および外付部品の外表面の一部であって、金属溶射が禁止されている部分がマスキングされている。金属溶射が禁止されている部分とは、例えば、既に金属溶射が施された外表面、冷媒配管等の外部配管と接合される部分、および、端子等の、電気配線と接合される部分を含む外表面である。従って、この圧縮機では、金属溶射が禁止されている部分のマスキングによって、金属溶射の重複による不要な溶射材の使用、および、外部配管および電気配線との接合不良が抑制される。
本発明の第5観点に係る圧縮機は、第1乃至第4観点のいずれか1つに係る圧縮機であって、本体および外付部品の少なくとも一方は、金属溶射が施される前に、金属溶射が施される表面を粗面化する処理が行われている。
この圧縮機では、本体および外付部品の少なくとも一方の外表面に金属溶射を施す前に、外表面を粗面化する処理が行われている。粗面化処理は、例えば、グリッドブラスト処理である。粗面化処理によって、外表面の表面粗さが増加する。これにより、外表面と溶射被膜との間の接触面積が増加するので、アンカー効果によって溶射被膜が表面から剥離しにくくなる。従って、この圧縮機では、本体および外付部品の溶射被膜の耐久性が向上している。
本発明の第6観点に係る圧縮機は、第1乃至第5観点のいずれか1つに係る圧縮機であって、本体は、円筒形状の胴部であり、外付部品は、底部、頂部、取付脚、吊り金具およびターミナルガードの少なくとも一つである。底部は、圧縮機を固定するための取付脚を有し、本体の下端部に取り付けられる。頂部は、圧縮機を吊り下げるための吊り金具を有し、本体の上端部に取り付けられる。ターミナルガードは、本体の外表面から突出している端子を保護する。
この圧縮機では、外付部品は、底部、頂部、取付脚、吊り金具およびターミナルガード等の複雑な形状を有する部品である。外付部品が複雑な形状を有する場合、本体に取り付ける前の外付部品に金属溶射を施すことで、外付部品の外表面に良好な金属被膜を形成することができる。従って、この圧縮機では、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜が形成されている。
本発明の第7観点に係る圧縮機の製造方法は、本体と、本体に取り付けられる外付部品とを備える圧縮機の製造方法であって、第1乃至第3工程を備える。第1工程は、外付部品の外表面の少なくとも一部に金属溶射を施す工程である。第2工程は、第1工程の後に、外付部品を本体に取り付ける工程である。第3工程は、第2工程の後に、本体の外表面の少なくとも一部に金属溶射を施す工程である。
この圧縮機の製造方法では、本体に取り付ける前に外付部品のみを金属溶射することで、溶射時における外付部品の取り回しが容易となる。そのため、外付部品が複雑な形状を有していても、外付部品の外表面に良好な金属被膜を形成することができる。従って、この圧縮機の製造方法は、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜を形成することができる。
第1観点および第6観点に係る圧縮機では、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜が形成されている。
第2観点に係る圧縮機では、外付部品の溶射時に接合部表面をマスキングによって保護することで、外付部品と本体との接合不良が抑制される。
第3観点に係る圧縮機では、本体および外付部品の金属溶射が効率的に施されている。
第4観点に係る圧縮機では、金属溶射の重複による不要な溶射材の使用、および、外部配管および電気配線との接合不良が抑制される。
第5観点に係る圧縮機では、本体および外付部品の溶射被膜の耐久性が向上している。
第7観点に係る圧縮機の製造方法は、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜を形成することができる。
実施形態に係る圧縮機101の正面図である。 底部13の正面図である。 底部13を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。 底部13を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。 頂部12の正面図である。 頂部12を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。 頂部12を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。 図8(a)は、ターミナルガード31の正面図である。図8(b)は、ターミナルガード31の下面図である。 ターミナルガード31を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。 ターミナルガード31を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。 図11(a)は、胴部11の外表面に取り付けられたターミナルガード31を正面から見た外観図である。図11(b)は、胴部11の外表面に取り付けられたターミナルガード31を側面から見た外観図である。 溶射の工程のフローチャートである。
本発明の実施形態に係る圧縮機、および、その製造方法について、図面を参照しながら説明する。圧縮機は、例えば、海上コンテナに取り付けられる冷凍装置に用いられる。圧縮機は、冷凍装置の冷媒回路を循環する冷媒ガスを圧縮する。
(1)圧縮機の全体構成
本実施形態の圧縮機101は、スクロール圧縮機である。スクロール圧縮機は、互いに噛み合う渦巻き形状のラップを有する一対のスクロール部材を用いて冷媒を圧縮する。しかし、圧縮機101は、スクロール圧縮機に限定されず、例えば、ロータリ圧縮機であってもよい。
図1は、圧縮機101の正面図である。圧縮機101は、ケーシング10を備える。ケーシング10は、ケーシング10の内部空間および外部空間の圧力および温度の変化によって変形および破損が起こりにくい剛性部材で成形されている。ケーシング10の材質は、例えば、炭素鋼および鋳鉄等の鉄を含む金属である。
ケーシング10の内部には、圧縮機構、駆動モータおよびクランクシャフト等が収納されている。圧縮機構は、クランクシャフトを介して駆動モータと連結されている。駆動モータは、ケーシング10外部の電源から供給される電力によって、クランクシャフトを回転させる。圧縮機構は、クランクシャフトの回転によって、一対のスクロール部材の一方を公転させて、一対のスクロール部材によって囲まれた空間の容積を変化させることで、冷媒を圧縮する。
ケーシング10は、円筒形状の胴部11と、椀状の頂部12と、椀状の底部13とから構成される。頂部12は、胴部11の上端部と気密状に接合されている。底部13は、胴部11の下端部と気密状に接合されている。以下、胴部11に取り付けられる部品を、外付部品と総称する。外付部品は、胴部11の外表面に取り付けられる部品だけではなく、頂部12および底部13も含む。外付部品の材質は、例えば、炭素鋼および鋳鉄等の鉄を含む金属である。
胴部11の側面には、外付部品として、吐出管20、ターミナルガード31およびセンサー取付座34が取り付けられている。頂部12の側面には、外付部品として、吸入管19およびインジェクション管35が取り付けられている。頂部12の上面には、外付部品として、吊り金具33が取り付けられている。底部13の下面には、外付部品として、取付脚32が取り付けられている。
ターミナルガード31は、ケーシング10内部の駆動モータに接続される端子41を保護するための部材である。端子41は、胴部11の外表面から突出している。ターミナルガード31は、端子41を取り囲むように、胴部11の外表面に取り付けられている。ターミナルガード31の詳細な構成については後述する。
取付脚32は、圧縮機101を設置面に固定するための部材である。取付脚32は、例えば、設置面にボルトで固定するためのボルト孔を有する。圧縮機101を海上コンテナ等に搭載する場合には、圧縮機101の振動が取付脚32を介して海上コンテナ全体に伝播することを抑制するために、取付脚32は、防振ゴムを介して設置面に固定されることが好ましい。
吊り金具33は、圧縮機101を吊り下げるための部材である。吊り金具33は、例えば、フック等を引っ掛けるための環状部を有する。吊り金具33は、圧縮機101の組み立て時および運搬時等に、圧縮機101を吊り下げるために用いられる。
センサー取付座34は、温度センサー等を胴部11に取り付けるための部材である。温度センサーは、例えば、胴部11の外表面の温度を測定して、圧縮機101内部の冷媒の温度を監視するために用いられる。
インジェクション管35は、冷凍サイクルの高効率化のために、圧縮機構の内部に中間圧力の冷媒を注入するための部材である。
(2)圧縮機の組み立て工程
圧縮機101の製造方法は、圧縮機101の組み立て工程を含む。圧縮機101の組み立て工程は、主として、ケーシング10の内部に収容される部品(圧縮機構、駆動モータおよびクランクシャフト等)を胴部11、頂部12および底部13に取り付ける工程と、外付部品を胴部11に取り付ける工程とから構成される。
次に、外付部品である底部13を胴部11に取り付ける工程、外付部品である頂部12を胴部11に取り付ける工程、および、外付部品であるターミナルガード31を胴部11に取り付ける工程について、それぞれ説明する。
(2−1)底部を胴部に取り付ける工程
外付部品である底部13を胴部11に取り付ける工程について説明する。図2は、底部13の正面図である。図3および図4は、底部13を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。底部13の外表面には、取付脚32が取り付けられている。胴部11には、頂部12が既に取り付けられている。胴部11の外表面には、吐出管20、ターミナルガード31およびセンサー取付座34が取り付けられている。頂部12の外表面には、吊り金具33、吸入管19およびインジェクション管35が取り付けられている。
最初に、底部13の接合部表面13bにマスキングが施される。図2において、接合部表面13bは、ハッチングされた領域として示されている。接合部表面13bは、底部13の外表面の一部であって、底部13の接合部13aにおける外表面を含む。底部13の接合部13aは、胴部11に取り付けられる部分であり、具体的には、底部13の上端部である。また、底部13の取付脚32のボルト孔にもマスキングが施されてもよい。
次に、底部13の外表面に溶射が施される。溶射とは、加熱により液滴化した溶射材を、処理対象である基材の表面に吹き付けることで、表面に被膜を形成する表面処理法である。以下、溶射によって形成される被膜を、溶射被膜と呼ぶ。溶射の工程の詳細については後述する。金属製の溶射材を用いて溶射を施すことで、底部13の外表面に金属の溶射被膜が形成される。マスキングされている接合部表面13bには、溶射被膜は形成されない。このように、マスキングは、溶射被膜の形成を防止するために用いられる。図2において、溶射被膜が形成される外表面は、ハッチングされていない領域に相当する。底部13の外表面に溶射が施された後、接合部表面13bのマスキングが取り除かれる。
次に、溶射被膜が形成された底部13が胴部11に溶接によって取り付けられる。底部13の接合部13aが、溶接によって胴部11の下端部に取り付けられる。図3は、底部13が取り付けられた胴部11を示す。図3において、既に溶射被膜が形成された外表面は、ハッチングされた領域として示されている。
次に、胴部11、頂部12および底部13の外表面の一部がマスキングされる。マスキングされる部分は、次の溶射の工程において、溶射が禁止されている部分である。溶射が禁止されている部分は、例えば、既に溶射が施された外表面、および、外部の部品と連結される部分を含む外表面である。図4において、マスキングされる部分は、ハッチングされた領域として示されている。胴部11において、マスキングされる部分は、吐出管20の端部、センサー取付座34の端部、および、端子41である。頂部12において、マスキングされる部分は、吸入管19の端部、および、インジェクション管35の端部である。底部13において、マスキングされる部分は、既に溶射被膜が形成された外表面である。
次に、底部13が取り付けられた胴部11の外表面に溶射が施される。胴部11の外表面に溶射が施される際には、同時に、頂部12の外表面、および、底部13の接合部表面13bにも溶射が施される。胴部11、頂部12および底部13の外表面に溶射が施された後、胴部11、頂部12および底部13の外表面のマスキングが取り除かれる。
以上の一連の工程によって、外付部品である底部13を胴部11に取り付ける工程が完了する。
(2−2)頂部を胴部に取り付ける工程
外付部品である頂部12を胴部11に取り付ける工程について説明する。図5は、頂部12の正面図である。図6および図7は、頂部12を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。頂部12の外表面には、吊り金具33、吸入管19およびインジェクション管35が取り付けられている。胴部11には、底部13が既に取り付けられている。胴部11の外表面には、吐出管20、ターミナルガード31およびセンサー取付座34が取り付けられている。底部13の外表面には、取付脚32が取り付けられている。
最初に、頂部12の接合部表面12bにマスキングが施される。図5において、接合部表面12bは、ハッチングされた領域として示されている。接合部表面12bは、頂部12の外表面の一部であって、頂部12の接合部12aにおける外表面を含む。頂部12の接合部12aは、胴部11に取り付けられる部分であり、具体的には、頂部12の下端部である。
次に、頂部12の外表面の一部がさらにマスキングされる。マスキングされる部分は、次の溶射の工程において、溶射が禁止されている部分である。マスキングされる部分は、外部の部品と連結される部分を含む外表面である。図5において、マスキングされる部分は、接合部表面12b以外のハッチングされた領域として示されている。頂部12において、マスキングされる部分は、吸入管19の端部、および、インジェクション管35の端部である。
次に、頂部12の外表面に溶射が施される。マスキングされている接合部表面12b、吸入管19の端部、および、インジェクション管35の端部には、溶射被膜は形成されない。図5において、溶射被膜が形成される外表面は、ハッチングされていない領域に相当する。頂部12の外表面に溶射が施された後、接合部表面12bのマスキングが取り除かれる。吸入管19の端部、および、インジェクション管35の端部のマスキングは、この時点では取り除かれない。
次に、溶射被膜が形成された頂部12が胴部11に溶接によって取り付けられる。頂部12の接合部12aが、溶接によって胴部11の上端部に取り付けられる。図6は、頂部12が取り付けられた胴部11を示す。図6において、既に溶射被膜が形成された外表面は、ハッチングされた領域として示されている。
次に、胴部11、頂部12および底部13の外表面の一部がマスキングされる。マスキングされる部分は、次の溶射の工程において、溶射が禁止されている部分である。溶射が禁止されている部分は、例えば、既に溶射が施された外表面、および、外部の部品と連結される部分を含む外表面である。図7において、マスキングされる部分は、ハッチングされた領域として示されている。胴部11において、マスキングされる部分は、吐出管20の端部、センサー取付座34の端部、および、端子41である。頂部12において、マスキングされる部分は、既に溶射被膜が形成された外表面である。頂部12において、吸入管19の端部、および、インジェクション管35の端部は、既にマスキングされている。底部13において、マスキングされる部分は、存在する場合には、既に溶射被膜が形成された外表面である。
次に、頂部12が取り付けられた胴部11の外表面に溶射が施される。胴部11の外表面に溶射が施される際には、同時に、底部13の外表面、および、頂部12の接合部表面12bにも溶射が施される。胴部11、頂部12および底部13の外表面に溶射が施された後、胴部11、頂部12および底部13の外表面のマスキングが取り除かれる。
以上の一連の工程によって、外付部品である底部13を胴部11に取り付ける工程が完了する。
(2−3)ターミナルガードを胴部に取り付ける工程
外付部品であるターミナルガード31を胴部11に取り付ける工程について説明する。図8(a)は、ターミナルガード31の正面図である。図8(b)は、ターミナルガード31の下面図である。図9および図10は、ターミナルガード31を胴部11に取り付ける工程を説明するための図である。胴部11には、頂部12および底部13が既に取り付けられている。胴部11の外表面には、吐出管20およびセンサー取付座34が取り付けられている。胴部11の外表面からは、端子41が突出している。頂部12の外表面には、吊り金具33、吸入管19およびインジェクション管35が取り付けられている。底部13の外表面には、取付脚32が取り付けられている。
ここで、ターミナルガード31の詳細について説明する。図11(a)は、胴部11の外表面に取り付けられたターミナルガード31を正面から見た外観図である。図11(b)は、胴部11の外表面に取り付けられたターミナルガード31を側面から見た外観図である。ターミナルガード31は、角部が湾曲した四角柱に近い形状を有している。ターミナルガード31は、胴部11に取り付けられる際に胴部11の外表面と接触する湾曲部31aを有する。湾曲部31aは、図8(b)に示されるように、胴部11の円筒形状に合わせて湾曲している。ターミナルガード31は、端子41が通過する端子孔41aと、後述するケーブルグラウンド31dが取り付けられるケーブル孔41bとを有する。端子孔41aは、湾曲部31aを有する面に形成される。ケーブル孔41bは、ターミナルガード31の下面に形成される。
ターミナルガード31は、4箇所の溶接ポイント51において、溶接によって胴部11の外表面に取り付けられている。図11(b)には、2箇所の溶接ポイント51が、点線で囲まれた円形領域として示されている。図11(b)に示されるターミナルガード31の側面の反対側においても、同様に、2箇所の溶接ポイント51が存在する。ターミナルガード31には、4個のカバー固定部材31bが取り付けられている。カバー固定部材31bは、湾曲部31aの反対側のターミナルガード31端部から外側に向かって突出する部材である。各カバー固定部材31bは、1つのボルト締結孔31cを有する。ボルト締結孔31cは、ターミナルカバー(図示せず)をターミナルガード31に固定するためのボルトを通すための孔である。ターミナルカバーによって、ターミナルガード31の開口部が完全に覆われる。
ターミナルガード31と胴部11との間の隙間は、コーキング剤によって充填されている。ターミナルガード31のケーブル孔41bには、ケーブルグラウンド31dが気密状に取り付けられている。ケーブルグラウンド31dは、端子41に接続されるケーブルが通る樹脂性の部品である。コーキング剤およびケーブルグラウンド31dによって、ターミナルカバーが取り付けられたターミナルガード31の内部に水等が浸入することが防止される。
ターミナルガード31を胴部11に取り付ける工程では、最初に、ターミナルガード31に溶射が施される。溶射の前に、ターミナルガード31の湾曲部31aの外表面にマスキングが施されてもよい。
次に、胴部11、頂部12および底部13の外表面の一部がマスキングされる。マスキングされる部分は、次の溶射の工程において、溶射が禁止されている部分である。溶射が禁止されている部分は、例えば、外部の部品と連結される部分を含む外表面である。図9において、マスキングされる部分は、ハッチングされた領域として示されている。胴部11において、マスキングされる部分は、吐出管20の端部、センサー取付座34の端部、および、端子41である。頂部12において、マスキングされる部分は、吸入管19の端部、および、インジェクション管35の端部である。底部13において、マスキングされる部分は、存在する場合には、既に溶射被膜が形成された外表面である。
次に、溶射被膜が形成されたターミナルガード31が胴部11の外表面に溶接によって取り付けられる。図10は、ターミナルガード31が取り付けられた胴部11を示す。
次に、ターミナルガード31が取り付けられた胴部11の外表面に溶射が施される。胴部11の外表面に溶射が施される際には、同時に、頂部12および底部13の外表面にも溶射が施される。胴部11、頂部12および底部13の外表面に溶射が施された後、胴部11、頂部12および底部13の外表面のマスキングが取り除かれる。
以上の一連の工程によって、外付部品であるターミナルガード31を胴部11に取り付ける工程が完了する。
(3)溶射の工程
溶射の工程について詳細に説明する。図12は、溶射の工程のフローチャートである。溶射の工程は、主として、脱脂処理と、マスキング処理と、ブラスト処理と、予熱処理と、溶射被膜形成処理と、封孔処理と、塗装処理と、検査処理とから構成される。次に、例として、頂部12および底部13が取り付けられた胴部11の外表面を溶射する工程について説明する。以下において、溶射被膜が形成される表面を、処理表面と呼ぶ。
(3−1)脱脂処理
脱脂処理は、処理表面に付着している油等の汚染物質を除去する処理である。脱脂処理は、溶射される前の処理表面が汚染物質によって錆びることを防ぐために行われる。また、脱脂処理は、処理表面に予め塗布された防錆油、および、処理表面に付着している汚染物質を除去するために行われる。頂部12および底部13を胴部11に取り付けて圧縮機101を組み立てた後に圧縮機101を移送する必要がある場合、ブラスト処理の開始までに時間がかかることがある。この場合、圧縮機101の移送中に、処理表面が汚染物質によって錆びるおそれがある。溶射被膜の形成時に錆、防錆油、および、その他の汚染物質が処理表面に存在していると、溶射被膜の密着力が低下して、処理表面の耐食性低下の原因になる。また、防錆処理のために防錆油が処理表面に予め塗布されている場合でも、溶射被膜の形成時に防錆油が処理表面に残存していると、溶射被膜の密着力が低下して処理表面の耐食性低下の原因になる。そのため、ブラスト処理の開始までに、汚染物質を処理表面から完全に除去しておく必要がある。
(3−2)マスキング処理
マスキング処理は、溶射被膜が形成されてはいけない部分であるマスキング領域を保護する処理である。マスキング領域は、上述の「溶射が禁止されている部分」に相当する。マスキング領域は、既に溶射が施された外表面、および、外部の部品と連結される部分を含む外表面である。胴部11のマスキング領域は、吐出管20の端部、センサー取付座34の端部、および、端子41等である。頂部12のマスキング領域は、接合部表面12b、吸入管19の端部、および、インジェクション管35の端部等である。底部13のマスキング領域は、接合部表面13b、および、取付脚32のボルト孔等である。
マスキング処理では、耐熱マスキングテープおよび耐熱マスキングキャップ等のマスキング治具でマスキング領域が覆われる。耐熱マスキングテープは、頂部12の接合部表面12b、および、底部13の接合部表面13b等の、実質的に凹凸がない表面であるマスキング領域に貼り付けられる。耐熱マスキングキャップは、吐出管20の端部、および、吸入管19の端部等の、表面から突出しているマスキング領域に被せられる。
(3−3)ブラスト処理
ブラスト処理は、処理表面を粗面化する処理、および、処理表面に付着している酸化スケールを除去する処理である。ブラスト処理の対象は、溶射被膜が形成される処理表面全体である。ブラスト処理は、処理表面への溶射被膜の密着性を向上させるために行われる。溶射被膜は、処理表面に対してアンカー効果によって機械的に密着する。そのため、処理表面の表面粗さが低すぎたり、処理表面に酸化スケール等の汚染物質が付着していたりすると、溶射被膜が処理表面から剥離しやすくなるおそれがある。
ブラスト処理では、鉄および酸化アルミニウム製の粉状の研削材を処理表面に吹き付けることで、処理表面が粗面化され、処理表面に付着している酸化スケール等が除去される。溶射被膜と処理表面との間の高い密着力を得るためには、ブラスト処理後における処理表面の形状および清浄度が重要である。そのため、採用されるブラスト処理は、球状の研削材を用いるショットブラスト処理よりも、鋭角な形状を有する研削材を用いるグリッドブラスト処理の方が好ましい。グリッドブラスト処理では、ショットブラスト処理と比べて、鋭角な形状を有し表面粗さがより高い処理表面が形成されやすい。処理表面が鋭角な形状を有する度合いが大きいほど、処理表面の表面積が大きくなる。処理表面の表面積が大きいほど、処理表面と溶射被膜との間の接触面積が大きくなるので、処理表面への溶射被膜の密着性が向上する。また、処理表面に付着している酸化スケール等の汚染物質は、処理表面への溶射被膜の密着性を低下させ、溶射被膜の剥離の原因となる。そのため、ブラスト処理後における処理表面の清浄度は高いほど好ましい。グリッドブラスト処理では、ショットブラスト処理と比べて、処理表面に付着している汚染物質が除去されやすい。以上の理由により、本実施形態では、グリッドブラスト処理が採用される。
また、ブラスト処理で用いられる研削材の材質は、酸化アルミニウム等の硬度が高い物質であることが好ましい。研削材の硬度が高いほど、ブラスト処理後における処理表面の表面積および清浄度が高くなり、処理表面への溶射被膜の密着性が向上する傾向があるからである。
また、ケーシング10は、鋼、ステンレス、鋳物、真鍮等の硬度が異なる種種の材質から形成される。そのため、ブラスト処理の条件は、ケーシング10の材質に応じて、ケーシング10の外表面全体において良好な形状、表面粗さおよび清浄度が得られるように設定されることが好ましい。
(3−4)予熱処理
予熱処理は、処理表面に溶射被膜を形成する前に、処理表面を加熱する処理である。予熱処理は、処理表面への溶射被膜の密着性を向上させるために行われる。溶射被膜の形成時において、水および汚染物質が処理表面に付着していると、溶射被膜と処理表面との間の密着力の低下の原因となる。そのため、処理表面に付着している水および汚染物質を除去するために、溶射被膜の形成前に処理表面を予熱することが望ましい。ケーシング10の内部に収容される部品(圧縮機構、駆動モータおよびクランクシャフト等)および冷凍機油の劣化を抑制するために、予熱処理は、処理表面の温度が150°を超えないように行われることが好ましい。
(3−5)溶射被膜形成処理
溶射被膜形成処理は、溶射によって処理表面に金属の溶射被膜を形成する処理である。溶射被膜形成処理で用いられる溶射材は、金属である。圧縮機101が、海上コンテナに取り付けられる冷凍装置に用いられる場合、溶射材は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、および、これらのいずれかよりなる合金であることが好ましい。溶射方法は、溶射材に応じて、フレーム溶射、アーク溶射およびプラズマ溶射等から適切な方法が選択される。
溶射被膜の膜厚は、処理表面に要求される耐食性、圧縮機101の運転時に生じる処理表面の温度変化幅、および、圧縮機101の形状等に応じて、内部応力および熱膨張等による溶射被膜の割れが発生しないように、適切な値が設定される。ケーシング10の外表面のエッジ部は、溶射被膜の膜厚が薄くなりやすいので、面取りが予め施されることが好ましい。
ブラスト処理と溶射被膜形成処理との間の時間は、4時間以内が好ましい。なぜなら、ブラスト処理と溶射被膜形成処理との間の時間が長いほど、処理表面の活性が低下したり、処理表面に水分等が付着したりして、処理表面への溶射被膜の密着力が低下するおそれがあるからである。
(3−6)封孔処理
封孔処理は、処理表面に形成された溶射被膜の空孔を塞ぐ処理である。溶射被膜の空孔は、処理表面が外気に曝されることによる、処理表面の耐食性の低下の原因となる。そのため、封孔処理は、処理表面の耐食性の低下を抑制するために行われる。封孔処理では、溶射被膜が形成された処理表面に封孔処理剤が塗布される。
封孔処理は、溶射被膜形成処理を行った当日中に行うべきである。なぜなら、溶射被膜形成処理と封孔処理との間の時間が長くなるほど、水および汚染物質が溶射被膜に付着して封孔処理剤が溶射被膜に浸透しづらくなり、処理表面に要求される耐食性が得られないおそれがあるからである。
封孔処理剤のタイプは、シリコン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂およびフッ素樹脂等、種種のものがある。しかし、耐紫外線性、耐水性、水分透過性、撥水性、線膨張係数、および、溶射被膜への浸透のしやすさ等の観点から、圧縮機101の用途および使用環境に合わせて適切な封孔処理剤が選定されるべきである。
封孔処理剤を塗布する方法としては、刷毛塗り、スプレーによる吹付け、および、封孔処理剤浴への浸漬等、ケーシング10の外表面への通常の塗装と同様の工法を用いることができる。封孔処理剤を塗布する前に、溶射被膜が形成された処理表面を予熱して、封孔処理剤の密着力低下の原因となる水および汚染物質等を除去することが望ましい。
処理表面に塗布された封孔処理剤の膜厚は、処理表面に要求される耐食性、圧縮機101の運転時に生じる処理表面の温度変化幅、および、圧縮機101の形状等に応じて、内部応力および熱膨張等による溶射被膜の割れが発生しないように、適切な値が設定される。
(3−7)塗装処理
塗装処理は、溶射被膜が形成された処理表面にペンキ等の塗料を塗布して、外観を向上させる処理である。塗装処理で用いられる塗料は、溶射被膜との密着性が良好な塗料が好ましい。
(3−8)検査処理
検査処理は、溶射被膜が形成された処理表面を検査する処理である。具体的には、検査処理では、処理表面への溶射被膜の密着力、および、溶射被膜の厚みが測定され、測定値が所定の要件を満たしているか否かが判定される。
溶射被膜の密着力および膜厚を精度良く測定するためには、ケーシング10の外表面の一部であって、実質的に凹凸がない表面において、測定が行われることが好ましい。そのため、溶射被膜の密着力および膜厚を測定するための表面をケーシング10に予め形成しておくことが好ましい。
また、ケーシング10の外表面に形成された溶射被膜の密着力および膜厚を測定する代わりに、マスキング処理で用いられたマスキング治具の表面に形成された溶射被膜の密着力および膜厚を測定してもよい。この場合、マスキング治具の材質は、ケーシング10の材質と同一または類似していることが好ましい。
(4)特徴
本実施形態に係る圧縮機101は、ケーシング10の胴部11の外表面から突出する外付部品を備える。外付部品は、例えば、取付脚32が取り付けられた底部13、吊り金具33が取り付けられた頂部12、および、ターミナルガード31である。圧縮機101の耐食性を向上させるために、胴部11および外付部品の外表面には、金属の溶射被膜が形成されている。
外付部品の溶射被膜は、外付部品を胴部11に取り付ける前に形成されている。すなわち、外付部品の溶射被膜は、外付部品のみに対して溶射を施す工程により形成される。外付部品のみの溶射は、胴部11に取り付けられた後の外付部品の溶射と比べて、外付部品の取り回しがより容易である。具体的には、外付部品のみを溶射する場合、溶射時における外付部品の位置および角度を変更しやすい。そのため、外付部品が複雑な形状を有していても、外付部品の位置および角度を変更して、外付部品の外表面全体に適切な方向から溶射材を吹き付けることができる。これにより、外付部品の溶射時において、外付部品の外表面全体に良好な金属被膜を形成することができる。従って、圧縮機101では、胴部11の外表面から突出している外付部品にも良好な溶射被膜が形成されている。
また、圧縮機101では、溶射が施される前の外付部品の外表面の一部である接合部表面がマスキングされる。例えば、外付部品が底部13である場合、胴部11との接合部13aにおける外表面を含む接合部表面13bには、溶射前にマスキングが施される。底部13を胴部11に取り付ける際に接合部表面13bに溶射が施されていると、胴部11に底部13を正常に接合できないおそれがある。従って、圧縮機101では、外付部品の溶射時に、接合部表面をマスキングによって保護することで、外付部品と胴部11との接合不良が抑制される。
また、圧縮機101では、接合部表面がマスキングされた外付部品が胴部11に取り付けられた後に、外付部品のマスキングが取り除かれ、外付部品の接合部表面に溶射が施される。このとき、外付部品の接合部表面と共に、胴部11の外表面にも、溶射が施される。従って、圧縮機101では、胴部11および外付部品の溶射が効率的に施されている。
また、圧縮機101では、外付部品が胴部11に取り付けられた後に、胴部11および外付部品の外表面の一部であって、溶射が禁止されている部分がマスキングされている。溶射が禁止されている部分とは、例えば、既に溶射が施された外表面、および、冷媒配管等の外部の部品と接合される部分を含む外表面である。従って、圧縮機101では、溶射が禁止されている部分へのマスキングによって、既に溶射が施された外表面への溶射による溶射材の不要な使用、および、外部配管および電気配線等の外部の部品との接合不良が抑制される。
また、圧縮機101では、胴部11および外付部品の少なくとも一方の外表面に溶射を施す前に、外表面を粗面化する処理が行われている。粗面化処理には、グリッドブラスト処理が用いられる。粗面化処理によって、外表面の表面粗さが増加する。これにより、外表面と溶射被膜との間の接触面積が増加するので、アンカー効果によって溶射被膜が表面から剥離しにくくなる。従って、圧縮機101では、胴部11および外付部品の溶射被膜の耐久性が向上している。
本実施形態において、胴部11および外付部品の外表面に形成される溶射被膜として、金属の溶射被膜を形成することによる利点は、次の通りである。
第一に、溶射材として、胴部11および外付部品の材質の主成分である鉄よりもイオン化傾向が大きい金属(アルミニウム等)を溶射材として形成された溶射被膜は、基材である胴部11および外付部品よりも優先的に腐食される。そのため、溶射被膜が基材から剥離しない限り、錆による基材の腐食および損傷が抑えられる防食効果が持続する。
第二に、金属の溶射被膜は、樹脂を主成分とする塗料の被膜と比較して、胴部11および外付部品の材質の主成分である鉄との線膨張係数の差がより小さい。そのため、例えば、圧縮機101の運転中、胴部11の外表面において−40℃〜140℃のような幅広い温度変化が生じた場合でも、線膨張係数の差に起因する溶射被膜の割れが発生しにくい。
第三に、金属の溶射被膜は、樹脂を主成分とする塗料の被膜と比較して、水分をほとんど透過しない。そのため、溶射被膜と、基材である胴部11および外付部品の外表面との間の界面に、溶射被膜を透過した水分が集積することによる、溶射被膜の剥離が発生しにくい。
第四に、金属の溶射被膜は、樹脂を主成分とする塗料の被膜と比較して、延性が高い。そのため、飛び石等の物理的ストレスによる溶射被膜の傷および凹みが発生しにくい。
第五に、金属の溶射被膜は、樹脂を主成分とする塗料の被膜と比較して、基材である胴部11および外付部品の外表面との密着力が5倍ほど強い。そのため、経年劣化による溶射被膜の基材からの剥離が発生しにくい。
第六に、金属の溶射被膜は、樹脂を主成分とする塗料の被膜と比較して、熱伝導率が高い。そのため、圧縮機101が停止した際に、ケーシング10の外表面の高温部の熱が低温部に伝わりやすく、ケーシング10の外表面に付着した霜および氷が迅速に溶ける。
(5)変形例
(5−1)変形例A
実施形態では、吊り金具33が取り付けられた頂部12を外付部品として胴部11に取り付ける工程、および、取付脚32が取り付けられた底部13を外付部品として胴部11に取り付ける工程について説明した。しかし、外付部品として、吊り金具33のみ、または、取付脚32のみを、胴部11に取り付ける工程が行われてもよい。
吊り金具33のみを胴部11に取り付ける工程では、吊り金具33が取り付けられていない頂部12が胴部11に既に取り付けられている。最初に、吊り金具33のみの外表面に溶射が施される。次に、溶射被膜が形成された吊り金具33が頂部12に取り付けられる。次に、吊り金具33が取り付けられた頂部12の外表面に溶射が施される。このとき、胴部11および底部13の外表面に、同時に溶射が施されてもよい。吊り金具33と頂部12との接合部の外表面は、溶射が施される前にマスキングされてもよい。
取付脚32のみを胴部11に取り付ける工程では、取付脚32が取り付けられていない底部13が胴部11に既に取り付けられている。最初に、取付脚32のみの外表面に溶射が施される。次に、溶射被膜が形成された取付脚32が底部13に取り付けられる。次に、取付脚32が取り付けられた底部13の外表面に溶射が施される。このとき、胴部11および頂部12の外表面に、同時に溶射が施されてもよい。取付脚32と底部13との接合部の外表面は、溶射が施される前にマスキングされてもよい。
(5−2)変形例B
実施形態では、溶射される前の処理表面に付着した汚染物質を除去するための脱脂処理が行われる。しかし、脱脂処理を行う代わりに、溶射される前の処理表面に塗料を塗布することで、簡易的な防錆処理が行われてもよい。この場合、処理表面をブラスト処理する時に、処理表面から容易に除去できる塗料を選択することが好ましい。
(5−3)変形例C
実施形態では、溶射される前の処理表面のうち、溶射被膜が形成されてはいけない部分であるマスキング領域を保護するためのマスキング処理が行われる。しかし、マスキング領域を保護する目的の他に、処理表面に所定の文字およびマーク等を刻印する目的で、マスキング処理が行われてもよい。具体的には、文字およびマーク等が切り抜かれたマスキング治具でマスキング領域を保護した後、処理表面へ溶射を施し、マスキング治具を取り外すマスキング処理が行われてもよい。これにより、溶射被膜の有無に応じて、処理表面に文字およびマーク等が刻印される。
(5−4)変形例D
実施形態では、グリッドブラスト処理によって処理表面を粗面化するブラスト処理が行われる。しかし、グリッドブラスト処理による粗面化処理の代わりに、処理表面に粗面形成剤を塗布することで、処理表面を粗面化する処理が行われてもよい。
(5−5)変形例E
実施形態では、溶射材として、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、および、これらのいずれかよりなる合金等が用いられる溶射被膜形成処理が行われる。しかし、溶射材として、セラミックス、または、金属とセラミックスとの混合物が用いられてもよい。このようなセラミックス系の溶射材によって形成された溶射被膜は、処理表面を外部環境から遮断する性能が高く、処理表面の耐食性が向上する。
(5−6)変形例F
実施形態では、処理表面に溶射被膜を形成する溶射被膜形成処理が行われる。しかし、溶射被膜は単層である必要はなく、複数の層からなる溶射被膜が処理表面に形成されてもよい。例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、および、これらのいずれかよりなる合金等を溶射材とする溶射被膜が処理表面に形成され、その溶射被膜上に、セラミックス、または、金属とセラミックスとの混合物を溶射材とする別の溶射被膜がさらに形成されてもよい。複数の層からなる溶射被膜は、単層の溶射被膜と比べて、処理表面を外部環境から遮断する性能が高く、処理表面の耐食性が向上する。
(5−7)変形例G
実施形態では、処理表面に形成された溶射被膜の空孔を塞ぐ封孔処理が行われる。封孔処理では、溶射被膜が形成された処理表面に、樹脂系の封孔処理剤が塗布される。しかし、封孔処理では、金属フレークを含有した封孔処理剤が使用されてもよい。この場合、いわゆるラビリンス効果によって、溶射被膜の水分透過率が低減されるので、処理表面の耐食性の低下が効果的に抑制される。
本発明に係る圧縮機、および、その製造方法は、ケーシング外表面から突出している部分に良好な溶射被膜が形成されている。
11 胴部(本体)
12 頂部(外付部品)
12a 接合部
12b 接合部表面
13 底部(外付部品)
13a 接合部
13b 接合部表面
31 ターミナルガード(外付部品)
32 取付脚(外付部品)
33 吊り金具(外付部品)
41 端子
101 圧縮機
特開2002−303272号公報 特表2011−509342号公報

Claims (7)

  1. 本体(11)と、
    前記本体に取り付けられる外付部品(12,13,31,32,33)と、
    を備え、
    前記外付部品は、前記本体に取り付けられる前に、前記外付部品の外表面の少なくとも一部において金属溶射が施されており、
    前記本体は、金属溶射が施された前記外付部品が前記本体に取り付けられた後に、前記本体の外表面の少なくとも一部において金属溶射が施されている、
    圧縮機(101)。
  2. 前記外付部品は、
    前記本体に取り付けられる部分である接合部(12a,13a)と、
    前記外付部品の外表面の一部であって前記接合部における外表面を含む接合部表面(12b,13b)と
    を有し、
    前記外付部品は、前記本体に取り付けられる前に、前記接合部表面がマスキングされた状態で金属溶射が施されている、
    請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記外付部品は、前記本体に取り付けられた後に、前記接合部表面において金属溶射が施されている、
    請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記本体は、前記外付部品が取り付けられた後に、前記本体および前記外付部品の外表面の一部がマスキングされた状態で金属溶射が施されている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の圧縮機。
  5. 前記本体および前記外付部品の少なくとも一方は、金属溶射が施される前に、金属溶射が施される表面を粗面化する処理が行われている、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の圧縮機。
  6. 前記本体は、円筒形状の胴部であり、
    前記外付部品は、
    前記圧縮機を固定するための取付脚(32)を有し、前記本体の下端部に取り付けられる底部(13)、
    前記圧縮機を吊り下げるための吊り金具(33)を有し、前記本体の上端部に取り付けられる頂部(12)、
    前記取付脚、
    前記吊り金具、および、
    前記本体の外表面から突出している端子(41)を保護するためのターミナルガード(31)
    の少なくとも一つである、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の圧縮機。
  7. 本体(11)と、前記本体に取り付けられる外付部品(12,13,31,32,33)とを備える圧縮機(101)の製造方法であって、
    前記外付部品の外表面の少なくとも一部に金属溶射を施す第1工程と、
    前記第1工程の後に、前記外付部品を前記本体に取り付ける第2工程と、
    前記第2工程の後に、前記本体の外表面の少なくとも一部に金属溶射を施す第3工程と、
    を備える、
    圧縮機の製造方法。
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