JP2018016873A - コイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルを提供する。【解決手段】所定の化学組成と所定の複合組織を有し、コイル長手方向の所定の5箇所における引張強度の最大値と最小値の差が30MPa以下であり、引張強度と全伸びの積の最小値が10000MPa・%以上であり、引張強度と穴広げ率の積の最小値が30000MPa・%以上である冷延鋼板コイル。【選択図】なし
Description
本発明は、コイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイル及びその製造方法に関する。
自動車の構造部品に用いられる冷延鋼板は、プレス成形が施されるため、高強度であると共に、延性(伸び)と伸びフランジ性(穴広げ率)が共に優れることが求められている。これら機械特性を兼ね備えた冷延鋼板として、フェライトとマルテンサイトを主体とする複合組織からなる冷延鋼板がある(例えば、特許文献1)。
上記複合組織からなる冷延鋼板は、軟質なフェライトと硬質なマルテンサイトを複合させることにより、強度と加工性を両立させている。しかし、フェライトとマルテンサイトの特性が大きく異なるので、これらの分率が変化した場合には冷延鋼板の機械特性が大きく変化する。即ち、フェライトとマルテンサイトの組織分率を所望の値に適正制御できなかった場合には、冷延鋼板の機械特性ばらつきが大きくなりやすい。特に、冷間圧延後の焼鈍をフェライトとオーステナイトの二相域温度で行った場合には、オーステナイト単相域温度で行った場合よりも、機械特性ばらつきが顕著になる。
上記複合組織からなる冷延鋼板のコイル内での機械特性ばらつきを低減する技術として、特許文献1は、鋼板に0.5〜1.5質量%のAlを含有させることを開示している。これにより、冷間圧延後に施される焼鈍に際し、Ac1点とAc3点の温度幅が拡大し、焼鈍条件変動による組織変化が小さくなり、機械特性ばらつきの低減が実現される。
一方、特許文献2は、熱延材の先端部の巻取り温度及び後端部の巻取り温度が中央部の巻取り温度よりも高くなるように当該熱延材を巻き取り、次いで、巻き取った熱延材を保熱しながら冷却することを開示している。これにより、熱延材焼鈍(例えば、箱焼鈍等)を行うことなく、熱延材の全幅及び全長にわたって軟質なフェライト相を主体とする金属組織が生成する。そして、当該熱延材に冷間圧延及び焼鈍を施して得られた高強度冷延鋼板は、優れた延性を示す。
又、高強度熱延鋼帯が全長にわたって均一な機械特性を呈する技術として、特許文献3は、熱延材の先端部及び/又は後端部の巻取り温度を、中央部の巻取り温度よりも50〜300℃高温に制御することを開示している。これにより、巻取り終了後の冷却過程において、熱延材の中央部がCCT曲線のフェライトノーズを通過すると共に、熱延材の先端部及び後端部も当該フェライトノーズを通過して、熱延材各所に均質な金属組織が生成する。その結果、引張強度の最大値と最小値の差:80MPa未満が、鋼帯の全長にわたって実現される。
特許文献1に開示されたコイル内での機械特性ばらつきを低減する技術は、焼鈍条件変動を起因とする機械特性ばらつきを低減させる。しかし、この技術は、冷間圧延後に施される焼鈍よりも前に生じた材質変動に起因した機械特性ばらつきに対して効果を発揮しない。又、この技術は、Alを多量に添加して成分コストの増加を招く点でも好ましくない。
特許文献2に開示された高強度冷延鋼板が優れた延性を呈する技術は、先端部及び後端部の高温巻取りと保熱しながらの冷却とによって、軟質なフェライト相を主体とする金属組織を熱延材の全幅及び全長にわたって生成させる。しかし、この技術は、熱延材全体を高温で長時間保持するため、金属組織の粗大化が生じる。その結果、この熱延材から得られた冷延鋼板は、延性と伸びフランジ性を共に優れたものにすることはできず、自動車の構造部品に求められる成形性を満たさなくなる。又、熱延材金属組織の粗大化に起因して、冷延鋼板では機械特性ばらつきが増大する。他方、熱延材全体を高温で長時間保持することによって、内部酸化が進行する。その結果、この内部酸化を除去するために酸洗時間を増加させる等の対策が必要となり、酸洗工程での生産性が低下する。更に、この技術は保熱カバー等の保熱手段を別途設置する必要があり、設備コストの増加を招く点でも好ましくない。
特許文献3に開示された高強度熱延鋼帯が均一な機械特性を呈する技術は、フェライト分率のばらつきが全長にわたって10%未満となるようにフェライト変態を制御して、フェライトとパーライトからなる組織を生成させる。しかし、このフェライトとパーライトからなる組織は粗大化しやすい。又、当該熱延鋼帯が有する強度ばらつき(引張強度の最大値と最小値の差)は、自動車用冷延鋼板の冷延素材として過大である。仮に、この組織を有する熱延鋼帯を冷延素材として用いて冷延鋼板を作製した場合には、強度ばらつきの原因となる粗大化した熱延組織の影響を取り除くべく、冷間圧延後の焼鈍をオーステナイト単相域で行う必要がある。但し、オーステナイト単相域で焼鈍した場合には、フェライトとオーステナイトの二相域で焼鈍した場合と比べて、延性と伸びフランジ性を共に優れたものにすることはできず、自動車の構造部品に求められる成形性を満たさなくなる。そのため、当該熱延鋼帯を冷延素材として用いることは、冷延鋼板の優れた加工性(引張強度×延性及び引張強度×伸びフランジ性の優れた値での両立)を確保する観点から好ましくない。
ところで、自動車用鋼板は鋼板コイルの形態でプレス加工者に供給されることが多い。この場合、鋼板コイルは、プレス成形された部品の寸法精度を安定的に確保する観点から、コイル全長にわたって引張強度が一定であること、即ち、コイル内での強度ばらつきが小さいことが求められる。プレス成形品の品質向上及び生産性向上の観点から、引張強度×延性(TS×EL)及び引張強度×伸びフランジ性(TS×λ)が共に優れた値を示し、且つ、コイル全長に渡って強度ばらつきが小さいことが求められている。しかし、特許文献1〜3に開示された技術は、これらの要求、即ち、引張強度×延性と引張強度×伸びフランジ性の優れた値での両立、及びコイル全長に渡っての強度ばらつきの低減、に応えられていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コイル内での強度ばらつきが小さく、引張強度×延性及び引張強度×伸びフランジ性が共に優れた高強度高加工性冷延鋼板コイル及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、C:0.05〜0.3質量%、Si:0.01〜3質量%、Mn:0.5〜3質量%、P:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、S:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、Al:0.005〜0.1質量%、並びに、Ti、Nb及びVよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素を合計で0.01〜0.05質量%含み、残部が鉄及び不可避的不純物からなる化学組成を有する高強度高加工性冷延鋼板コイルであって、前記冷延鋼板コイルは、フェライトとマルテンサイトの総和が全組織に対する占積率で97面積%以上であり、前記フェライトが全組織に対する占積率で10〜50面積%であり、前記マルテンサイトが全組織に対する占積率で50〜90面積%である複合組織を有し、前記冷延鋼板コイルの幅方向中央部において、当該冷延鋼板コイルの先端から長手方向後方に10mの位置をa、当該冷延鋼板コイルの後端から長手方向前方に10mの位置をe、前記aと前記eの長手方向中央の位置をc、前記aと前記cの長手方向中央の位置をb、前記cと前記eの長手方向中央の位置をdとし、前記a、前記b、前記c、前記d及び前記eにおける引張強度、全伸び及び穴広げ率をそれぞれTS1、TS2、TS3、TS4及びTS5、EL1、EL2、EL3、EL4及びEL5、並びに、λ1、λ2、λ3、λ4及びλ5としたとき、前記TS1、前記TS2、前記TS3、前記TS4及び前記TS5のうちの最大値と最小値の差が30MPa以下であり、前記TS1と前記EL1の積、前記TS2と前記EL2の積、前記TS3と前記EL3の積、前記TS4と前記EL4の積及び前記TS5と前記EL5の積のうちの最小値が10000MPa・%以上であり、前記TS1と前記λ1の積、前記TS2と前記λ2の積、前記TS3と前記λ3の積、前記TS4と前記λ4の積及び前記TS5と前記λ5の積のうちの最小値が30000MPa・%以上である、コイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルである。
本発明の他の一局面は、前記化学組成を有する熱延素材を1100℃以上に加熱して、Ar3点以上の温度で熱間圧延を完了させて熱延材を得る熱延工程と、前記熱延材の長手方向先端部分をT、当該熱延材の長手方向後端部分をB、当該熱延材の長手方向における前記Tと前記Bの間の部分をMとし、前記Tの長手方向の長さを当該熱延材の先端から0m以上70m以下とし、前記Bの長手方向の長さを当該熱延材の後端から50m以上150m以下としたとき、前記Tの巻取り温度と前記Mの巻取り温度との差が0℃以上50℃以下に、且つ、前記Bの巻取り温度と前記Mの巻取り温度との差が50℃以上200℃以下になるように巻取り温度を制御して当該熱延材を巻き取り、熱延コイルを得る巻取り工程と、前記熱延コイルに酸洗を施して冷延素材を得る酸洗工程と、前記冷延素材に冷間圧延を施して冷延材を得る冷延工程と、前記冷延材にAc1点以上Ac3点以下の温度で焼鈍を施して高強度高加工性冷延鋼板コイルを得る焼鈍工程とを有する、高強度高加工性冷延鋼板コイルの製造方法である。
本発明によれば、コイル内での強度ばらつきが小さく、引張強度×延性及び引張強度×伸びフランジ性が共に優れた高強度高加工性冷延鋼板コイル及びその製造方法を提供することができる。
《高強度高加工性冷延鋼板コイル》
まず、本発明の一局面であるコイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルについて説明する。 本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、下記要件(1)〜(5)を満足する。
まず、本発明の一局面であるコイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルについて説明する。 本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、下記要件(1)〜(5)を満足する。
(1)化学組成が、C:0.05〜0.3質量%、Si:0.01〜3質量%、Mn:0.5〜3質量%、P:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、S:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、Al:0.005〜0.1質量%、並びに、Ti、Nb及びVよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素:合計で0.01〜0.05質量%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなること、
(2)金属組織は、フェライトとマルテンサイトの総和が全組織に対する占積率で97面積%以上であり、フェライトが全組織に対する占積率で10〜50面積%であり、マルテンサイトが全組織に対する占積率で50〜90面積%である複合組織であること、
そして、冷延鋼板コイルの幅方向中央部において、当該冷延鋼板コイルの先端から長手方向後方に10mの位置をa、当該冷延鋼板コイルの後端から長手方向前方に10mの位置をe、aとeの長手方向中央の位置をc、aとcの長手方向中央の位置をb、cとeの長手方向中央の位置をdとし、a、b、c、d及びeにおける引張強度、全伸び及び穴広げ率をそれぞれTS1、TS2、TS3、TS4及びTS5、EL1、EL2、EL3、EL4及びEL5、並びに、λ1、λ2、λ3、λ4及びλ5としたとき、
(3)TS1、TS2、TS3、TS4及びTS5のうちの最大値と最小値の差が30MPa以下であること、
(4)TS1とEL1の積、TS2とEL2の積、TS3とEL3の積、TS4とEL4の積及びTS5とEL5の積のうちの最小値が10000MPa・%以上であること、
(5)TS1とλ1の積、TS2とλ2の積、TS3とλ3の積、TS4とλ4の積及びTS5とλ5の積のうちの最小値が30000MPa・%以上であること。
(2)金属組織は、フェライトとマルテンサイトの総和が全組織に対する占積率で97面積%以上であり、フェライトが全組織に対する占積率で10〜50面積%であり、マルテンサイトが全組織に対する占積率で50〜90面積%である複合組織であること、
そして、冷延鋼板コイルの幅方向中央部において、当該冷延鋼板コイルの先端から長手方向後方に10mの位置をa、当該冷延鋼板コイルの後端から長手方向前方に10mの位置をe、aとeの長手方向中央の位置をc、aとcの長手方向中央の位置をb、cとeの長手方向中央の位置をdとし、a、b、c、d及びeにおける引張強度、全伸び及び穴広げ率をそれぞれTS1、TS2、TS3、TS4及びTS5、EL1、EL2、EL3、EL4及びEL5、並びに、λ1、λ2、λ3、λ4及びλ5としたとき、
(3)TS1、TS2、TS3、TS4及びTS5のうちの最大値と最小値の差が30MPa以下であること、
(4)TS1とEL1の積、TS2とEL2の積、TS3とEL3の積、TS4とEL4の積及びTS5とEL5の積のうちの最小値が10000MPa・%以上であること、
(5)TS1とλ1の積、TS2とλ2の積、TS3とλ3の積、TS4とλ4の積及びTS5とλ5の積のうちの最小値が30000MPa・%以上であること。
本発明において、「高強度」とは、引張強度(TS)が980MPa以上であることをいい、「高加工性」とは、引張強度×延性(TS×EL)の最小値が10000MPa・%以上であると共に、引張強度×伸びフランジ性(TS×λ)の最小値が30000MPa・%以上であることをいう。又、「コイル内での強度ばらつきが小さい」とは、冷延鋼板コイルの長手方向における引張強度の最大値と最小値の差が30MPa以下であることをいう。
尚、本明細書では、コイルの内周側一端をコイルの長手方向における先端といい、コイルの外周側一端をコイルの長手方向における後端という。又、コイルの先端側を前方といい、コイルの後端側を後方という。
以下、本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルの要件(1)〜(5)について説明する。
(1)化学組成について
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルの化学組成は、C:0.05〜0.3質量%、Si:0.01〜3質量%、Mn:0.5〜3質量%、P:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、S:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、Al:0.005〜0.1質量%、並びに、Ti、Nb及びVよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素:合計で0.01〜0.05質量%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる。こうした範囲を定めた理由は次の通りである。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルの化学組成は、C:0.05〜0.3質量%、Si:0.01〜3質量%、Mn:0.5〜3質量%、P:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、S:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、Al:0.005〜0.1質量%、並びに、Ti、Nb及びVよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素:合計で0.01〜0.05質量%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる。こうした範囲を定めた理由は次の通りである。
[C:0.05〜0.3質量%]
Cは、焼入れ性を高めて高強度を確保するのに必要な元素である。このような効果を有効に発揮させるために、C含有量は0.05%以上、好ましくは0.07%以上、より好ましくは0.09%以上、更に好ましくは0.12%以上とする。しかし、C含有量が多過ぎると、伸びフランジ性を劣化させる残留オーステナイトが多量に生成する他、溶接性が悪化する。従って、C含有量は0.3%以下、好ましくは0.27%以下、より好ましくは0.25%以下、更に好ましくは0.2%以下とする。
Cは、焼入れ性を高めて高強度を確保するのに必要な元素である。このような効果を有効に発揮させるために、C含有量は0.05%以上、好ましくは0.07%以上、より好ましくは0.09%以上、更に好ましくは0.12%以上とする。しかし、C含有量が多過ぎると、伸びフランジ性を劣化させる残留オーステナイトが多量に生成する他、溶接性が悪化する。従って、C含有量は0.3%以下、好ましくは0.27%以下、より好ましくは0.25%以下、更に好ましくは0.2%以下とする。
[Si:0.01〜3質量%]
Siは、鋼板の延性を劣化させることなく強度を高める元素であり、更には伸びフランジ性を劣化させる粗大な炭化物の析出を抑制する元素である。これらの効果を有効に発揮させるために、Siは0.01%以上、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.7%以上、更に好ましくは1%以上とする。しかし、Si含有量が多過ぎると、焼入れ性が損なわれて高強度の確保が難しくなる。従って、Si含有量は3%以下、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1.8%以下とする。
Siは、鋼板の延性を劣化させることなく強度を高める元素であり、更には伸びフランジ性を劣化させる粗大な炭化物の析出を抑制する元素である。これらの効果を有効に発揮させるために、Siは0.01%以上、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.7%以上、更に好ましくは1%以上とする。しかし、Si含有量が多過ぎると、焼入れ性が損なわれて高強度の確保が難しくなる。従って、Si含有量は3%以下、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1.8%以下とする。
[Mn:0.5〜3質量%]
Mnは、焼入れ性を向上させて強度を高めるのに有効な元素である。こうした効果を発揮させるために、Mn含有量は0.5%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上、更に好ましくは1.8%以上とする。しかし、Mn含有量が多過ぎると、延性を低下させて加工性が悪化する他、溶接性が悪化する。従って、Mn含有量は3%以下、好ましくは2.7%以下、より好ましくは2.5%以下とする。
Mnは、焼入れ性を向上させて強度を高めるのに有効な元素である。こうした効果を発揮させるために、Mn含有量は0.5%以上、好ましくは1%以上、より好ましくは1.5%以上、更に好ましくは1.8%以上とする。しかし、Mn含有量が多過ぎると、延性を低下させて加工性が悪化する他、溶接性が悪化する。従って、Mn含有量は3%以下、好ましくは2.7%以下、より好ましくは2.5%以下とする。
[P:0.1質量%以下(0質量%は含まない)]
Pは鋼中に不可避的に含まれる元素であり、鋼板の旧オーステナイト粒界に偏析しやすい。P含有量が過剰になると、粒界を脆化させて伸びフランジ性を低下させる。従って、P含有量は0.1%以下、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.05%以下とする。P含有量はできるだけ少ない方がよい。尚、P含有量の下限値は特に定めないが、工業的には0.0005%である。
Pは鋼中に不可避的に含まれる元素であり、鋼板の旧オーステナイト粒界に偏析しやすい。P含有量が過剰になると、粒界を脆化させて伸びフランジ性を低下させる。従って、P含有量は0.1%以下、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.05%以下とする。P含有量はできるだけ少ない方がよい。尚、P含有量の下限値は特に定めないが、工業的には0.0005%である。
[S:0.1質量%以下(0質量%は含まない)]
Sは、鋼中に不可避的に含まれる元素であり、MnS介在物を形成する。MnS介在物は穴拡げ時に亀裂の起点となるため、S含有量が過剰になると、伸びフランジ性を低下させる。従って、S含有量は0.1%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下とする。S含有量はできるだけ少ない方がよい。尚、S含有量の下限値は特に定めないが、工業的には0.0005%である。
Sは、鋼中に不可避的に含まれる元素であり、MnS介在物を形成する。MnS介在物は穴拡げ時に亀裂の起点となるため、S含有量が過剰になると、伸びフランジ性を低下させる。従って、S含有量は0.1%以下、好ましくは0.01%以下、より好ましくは0.005%以下とする。S含有量はできるだけ少ない方がよい。尚、S含有量の下限値は特に定めないが、工業的には0.0005%である。
[Al:0.005〜0.1質量%]
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような作用を有効に発揮させるために、Al含有量は0.005%以上、より好ましくは0.01%以上とする。しかし、Al含有量が過剰になると、Alの脱酸剤としての作用が飽和するだけでなく、焼鈍時にオーステナイトの生成を阻害してマルテンサイトの占積率を確保できなくなる。従って、Al含有量は0.1%以下、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.05%以下とする。
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような作用を有効に発揮させるために、Al含有量は0.005%以上、より好ましくは0.01%以上とする。しかし、Al含有量が過剰になると、Alの脱酸剤としての作用が飽和するだけでなく、焼鈍時にオーステナイトの生成を阻害してマルテンサイトの占積率を確保できなくなる。従って、Al含有量は0.1%以下、好ましくは0.08%以下、より好ましくは0.05%以下とする。
[Ti、Nb及びVよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素:合計で0.01〜0.05質量%]
Ti、V及びNbは、いずれも炭化物、窒化物、炭窒化物などの析出物を形成して、強度を高める他、結晶粒を微細化して微細均一組織を得るために必要な元素である。
これら元素は、それぞれ単独で用いてもよいし、いずれか二種を或いは全種を併用してもよい。このような効果を有効に発揮させるために、これら元素の含有量は合計で、0.01%以上、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上とする。しかし、これら元素の含有量が多過ぎると、伸びが劣化する。従って、これら元素の含有量は合計で、0.05%以下、好ましくは0.045%以下、より好ましくは0.04%以下とする。
Ti、V及びNbは、いずれも炭化物、窒化物、炭窒化物などの析出物を形成して、強度を高める他、結晶粒を微細化して微細均一組織を得るために必要な元素である。
これら元素は、それぞれ単独で用いてもよいし、いずれか二種を或いは全種を併用してもよい。このような効果を有効に発揮させるために、これら元素の含有量は合計で、0.01%以上、好ましくは0.015%以上、より好ましくは0.02%以上とする。しかし、これら元素の含有量が多過ぎると、伸びが劣化する。従って、これら元素の含有量は合計で、0.05%以下、好ましくは0.045%以下、より好ましくは0.04%以下とする。
[その他の成分]
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは上記成分を満足するものであり、残部成分は鉄及び不可避的不純物である。当該不可避的不純物として、鋼中に原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素(例えば、N、O、Pb、Bi、Sb、Sn、B(ホウ素)等)が挙げられる。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは上記成分を満足するものであり、残部成分は鉄及び不可避的不純物である。当該不可避的不純物として、鋼中に原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素(例えば、N、O、Pb、Bi、Sb、Sn、B(ホウ素)等)が挙げられる。
(2)金属組織について
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルの金属組織は、フェライトとマルテンサイトを主体とする複合組織である。フェライトとマルテンサイトの総和は、全組織に対する占積率で97面積%以上である。そして、フェライトは全組織に対する占積率で10〜50面積%であり、マルテンサイトは全組織に対する占積率で50〜90面積%である。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルの金属組織は、フェライトとマルテンサイトを主体とする複合組織である。フェライトとマルテンサイトの総和は、全組織に対する占積率で97面積%以上である。そして、フェライトは全組織に対する占積率で10〜50面積%であり、マルテンサイトは全組織に対する占積率で50〜90面積%である。
フェライトとマルテンサイトの総和が全組織に対する占積率で97面積%未満では、引張強度×延性及び/又は引張強度×伸びフランジ性が低下し、引張強度×延性と引張強度×伸びフランジ性を共に優れた値にすることができなくなる。
フェライトが全組織に対する占積率で10面積%未満では、延性が低下して、下記(TS×EL)minが10000MPa・%以上を確保できなくなる。一方、フェライトが全組織に対する占積率で50面積%超では、引張強度が低下すると共に伸びフランジ性が低下して、下記(TS×λ)minが30000MPa・%以上を確保できなくなる。
尚、占積率(本明細書では、分率ともいう)とは、鋼板コイルの金属組織を構成する各相の全組織に対する比率(面積%)をいう。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルの金属組織は、フェライト及びマルテンサイト以外の相として、例えば、ベイナイト、パーライト、残留オーステナイト、セメンタイト等を3%未満の範囲で含んでいてもよい。但し、引張強度×延性と引張強度×伸びフランジ性を共に優れた値にするという観点から、フェライト及びマルテンサイト以外の相はできるだけ少ない方が好ましい。
(3)引張強度の最大値と最小値の差について
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、コイル長手方向の所定の5箇所(a、b、c、d及びe)における引張強度(TS1、TS2、TS3、TS4及びTS5)の最大値(TSmax)と最小値(TSmin)の差(ΔTS=TSmax−TSmin)が30MPa以下である(ΔTS≦30MPa)。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、コイル長手方向の所定の5箇所(a、b、c、d及びe)における引張強度(TS1、TS2、TS3、TS4及びTS5)の最大値(TSmax)と最小値(TSmin)の差(ΔTS=TSmax−TSmin)が30MPa以下である(ΔTS≦30MPa)。
プレス成形品の品質及び生産性を向上させる観点から、引張強度の最大値と最小値の差は25MPa以下であること(ΔTS≦25MPa)が好ましい。
(4)引張強度と全伸びの積の最小値について
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、コイル長手方向の所定の5箇所(a、b、c、d及びe)おける引張強度と全伸びの積(TS1×EL1、TS2×EL2、TS3×EL3、TS4×EL4及びTS5×EL5)の最小値((TS×EL)min)が10000MPa・%以上である((TS×EL)min≧10000MPa・%)。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、コイル長手方向の所定の5箇所(a、b、c、d及びe)おける引張強度と全伸びの積(TS1×EL1、TS2×EL2、TS3×EL3、TS4×EL4及びTS5×EL5)の最小値((TS×EL)min)が10000MPa・%以上である((TS×EL)min≧10000MPa・%)。
引張強度と全伸びの積の最小値は12000MPa・%以上であること((TS×EL)min≧12000MPa・%)が好ましく、12500MPa・%以上であること((TS×EL)min≧12500MPa・%)がより好ましい。
(5)引張強度と穴広げ率の積の最小値について
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、コイル長手方向の所定の5箇所(a、b、c、d及びe)における引張強度と穴広げ率の積(TS1×λ1、TS2×λ2、TS3×λ3、TS4×λ4及びTS5×λ5)の最小値((TS×λ)min)が30000MPa・%以上である((TS×λ)min≧30000MPa・%)。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、コイル長手方向の所定の5箇所(a、b、c、d及びe)における引張強度と穴広げ率の積(TS1×λ1、TS2×λ2、TS3×λ3、TS4×λ4及びTS5×λ5)の最小値((TS×λ)min)が30000MPa・%以上である((TS×λ)min≧30000MPa・%)。
引張強度と穴広げ率の積の最小値は40000MPa・%以上であること((TS×λ)min≧40000MPa・%)が好ましく、他方、50000MPa・%以下であること((TS×λ)min≦50000MPa・%)が好ましい。
尚、要件(3)〜(5)において、コイル長手方向の所定の5箇所(a、b、c、d及びe)として、鋼板コイルの先端から長手方向後方に10mの位置(a)、鋼板コイルの後端から長手方向前方に10mの位置(e)、両位置(a、e)の長手方向中央の位置(c)、当該両位置(a、e)と当該中央の位置(c)との長手方向中央の位置(b、d)が用いられる。
《製造方法》
次に、本発明の他の一局面であるコイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルの製造方法について説明する。
次に、本発明の他の一局面であるコイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルの製造方法について説明する。
本発明者は、引張強度×延性と引張強度×伸びフランジ性を共に優れた値にするという観点から冷間圧延後の焼鈍をフェライトとオーステナイトの二相域温度で行うことを前提に、本発明のコイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルを安定して製造する方法を種々検討した。その結果、熱延コイルの組織ばらつきをコイル全長にわたって低減することが、冷延鋼板コイルの強度ばらつきの抑制に有効であった。
この方策として、熱延材の長手方向における所定長さの先端部分及び後端部分の巻取り温度を、中央部分の巻取り温度より所定の温度だけ高くなるように制御することを見出し、本製造方法に至った。
本発明の高強度高加工性冷延鋼板コイルは、前記化学組成を有する熱延素材を1100℃以上に加熱して、Ar3点以上の温度で熱間圧延を完了させて熱延材を得る熱延工程と、前記熱延材の長手方向先端部分をT、当該熱延材の長手方向後端部分をB、当該熱延材の長手方向における前記Tと前記Bの間の部分をMとし、前記Tの長手方向の長さを当該熱延材の先端から0m以上70m以下とし、前記Bの長手方向の長さを当該熱延材の後端から50m以上150m以下としたとき、前記Tの巻取り温度と前記Mの巻取り温度との差が0℃以上50℃以下に、且つ、前記Bの巻取り温度と前記Mの巻取り温度との差が50℃以上200℃以下になるように巻取り温度を制御して当該熱延材を巻き取り、熱延コイルを得る巻取り工程と、前記熱延コイルに酸洗を施して冷延素材を得る酸洗工程と、前記冷延素材に冷間圧延を施して冷延材を得る冷延工程と、前記冷延材にAc1点以上Ac3点以下の温度で焼鈍を施して高強度高加工性冷延鋼板コイルを得る焼鈍工程とを経ることによって、製造することができる。
以下、各工程について説明する。
(熱延工程)
まず、上記化学組成からなる溶鋼を鋳造して得た熱延素材(例えば、鋼スラブ)を1100℃以上に加熱する。鋳造時に生じた組織ばらつきを低下させて、組織の均質化を図るためである。次に、熱延素材に熱間圧延を施して熱延材を得る。仕上げ圧延温度はAr3点以上とする。仕上げ圧延温度がAr3点未満では、最終圧延の段階で二相組織となってフェライト粒の著しい粗大化が起こり、冷延や焼鈍を行っても引張強度×延性及び引張強度×伸びフランジ性に優れた鋼板コイルが得られない。
(熱延工程)
まず、上記化学組成からなる溶鋼を鋳造して得た熱延素材(例えば、鋼スラブ)を1100℃以上に加熱する。鋳造時に生じた組織ばらつきを低下させて、組織の均質化を図るためである。次に、熱延素材に熱間圧延を施して熱延材を得る。仕上げ圧延温度はAr3点以上とする。仕上げ圧延温度がAr3点未満では、最終圧延の段階で二相組織となってフェライト粒の著しい粗大化が起こり、冷延や焼鈍を行っても引張強度×延性及び引張強度×伸びフランジ性に優れた鋼板コイルが得られない。
(巻取り工程)
熱延工程で得られた熱延材を次の巻取り条件1、2で巻き取り、熱延コイルを得る。巻取り条件1、2に従って巻き取ることにより、熱延コイルの長手方向における金属組織のばらつきは低減され、熱延板コイルの全長にわたって微細且つ均質な組織が得られる。その結果、当該熱延板コイルに冷間圧延及び焼鈍を施して得られた冷延鋼板コイルの強度ばらつきが小さくなる。
熱延工程で得られた熱延材を次の巻取り条件1、2で巻き取り、熱延コイルを得る。巻取り条件1、2に従って巻き取ることにより、熱延コイルの長手方向における金属組織のばらつきは低減され、熱延板コイルの全長にわたって微細且つ均質な組織が得られる。その結果、当該熱延板コイルに冷間圧延及び焼鈍を施して得られた冷延鋼板コイルの強度ばらつきが小さくなる。
[巻取り条件1(熱延材長手方向先端部分の巻取り条件)]
熱延材の長手方向先端部分(T)の巻取り温度(CTT)と、熱延材の長手方向中央部分(M)の巻取り温度(CTM)との差(ΔCTT=CTT−CTM)を0℃以上50℃以下とし、熱延材の長手方向先端部分(T)の長手方向の長さ(LT)を当該熱延材の先端から0m以上70m以下とする。即ち、0℃≦ΔCTT≦50℃,0m≦LT≦70mとする。
熱延材の長手方向先端部分(T)の巻取り温度(CTT)と、熱延材の長手方向中央部分(M)の巻取り温度(CTM)との差(ΔCTT=CTT−CTM)を0℃以上50℃以下とし、熱延材の長手方向先端部分(T)の長手方向の長さ(LT)を当該熱延材の先端から0m以上70m以下とする。即ち、0℃≦ΔCTT≦50℃,0m≦LT≦70mとする。
LT>70m又はΔCTT>50℃では、先端部分(T)の冷却速度が小さくなり、熱延コイルのコイル内周部の金属組織(熱延組織)が粗大になって最終製品である冷延鋼板コイルの強度ばらつきが大きくなりやすい。そして、LT>70m又はΔCTT>50℃の場合には、熱延コイル全体の熱量が過大であるため、先端部分(T)の表層では内部酸化が進行し、酸洗工程ではこの内部酸化を除去するために生産性が低下する。又、冷却速度が相対的に小さい中央部分においても表層の内部酸化が進行し、酸洗工程ではこれを除去するために生産性が低下する。
一方、ΔCTT<0℃では、先端部分(T)の巻取り温度(CTT)が中央部分(M)の巻取り温度(CTM)よりも低いため、先端部分(T)の冷却速度が中央部分(M)の冷却速度よりも大きくなりやすく、先端部分(T)で硬質組織が生成して、焼鈍後の強度が不均一になる。
LTの下限値を0mとしたのは、先端部分(T)と中央部分(M)における冷却速度の差が小さく、最終製品である冷延鋼板コイルの強度ばらつきが許容範囲に入るからである。冷延鋼板コイルの強度ばらつきをより小さくする観点から、LTの下限値は20mであることが好ましく、LTの上限値は50mであることが好ましい。
[巻取り条件2(熱延材長手方向後端部分の巻取り条件)]
熱延材の長手方向後端部分(B)の巻取り温度(CTB)と、熱延材の長手方向中央部分(M)の巻取り温度(CTM)との差(ΔCTB=CTB−CTM)を50℃以上200℃以下とし、熱延材の長手方向後端部分(B)の長手方向の長さ(LB)を当該熱延材の後端から50m以上150m以下とする。即ち、50℃≦ΔCTB≦200℃,50m≦LB≦150mとする。
熱延材の長手方向後端部分(B)の巻取り温度(CTB)と、熱延材の長手方向中央部分(M)の巻取り温度(CTM)との差(ΔCTB=CTB−CTM)を50℃以上200℃以下とし、熱延材の長手方向後端部分(B)の長手方向の長さ(LB)を当該熱延材の後端から50m以上150m以下とする。即ち、50℃≦ΔCTB≦200℃,50m≦LB≦150mとする。
LB<50m又はΔCTB<50℃では、熱延コイルのコイル外周部の金属組織が硬質組織となり、これに起因して最終製品である冷延鋼板コイルの強度ばらつきが発生する。
一方、LB>150m又はΔCTB>200℃では、後端部分(B)の冷却速度が過剰に小さくなり、熱延コイルのコイル外周部の金属組織(熱延組織)が粗大になって最終製品のある冷延鋼板コイルの強度ばらつきが大きくなったり、内部酸化が過剰に進行したりする。内部酸化が過剰に進行した場合には、過剰に生成した酸化物を除去する必要があり、酸洗工程の生産性が悪化する。
冷延鋼板コイルの強度ばらつきをより小さくする観点から、LBの下限値は70mであることが好ましく、LBの上限値は130mであることが好ましい。
尚、熱延材の長手方向中央部分(M)は、当該熱延材の長手方向において、長手方向先端部分(T)と長手方向後端部分(B)の間の部分である。中央部分(M)の巻取り温度(CTM)は、化学組成によって変動するが、例えば、500〜650℃である。
熱延材の長手方向後端部分(B)と中央部分(M)の巻取り温度の差(ΔCTB)が、先端部分(T)と中央部分(M)の巻取り温度の差(ΔCTT)よりも大きく、且つ、後端部分(B)の長手方向の長さ(LB)が先端部分(T)の長手方向の長さ(LT)よりも大きいのは、次の理由による。熱延コイルの巻取り方法としては、熱延コイルの全長に渡って一定の巻取り温度に制御する手法が一般的である。しかし、熱延コイルの外周部及び内周部は中央部と比較して冷えやすいため、この手法では中央部と比較して外周部及び内周部の巻取り以降の冷却速度は速くなり、熱延コイル全長に渡って均質な組織を得ることができなくなる。この問題に対し、本発明では、熱延コイルの外周部及び内周部の巻取り温度を中央部と比較して高温にすることにより、冷却速度差を緩和して、熱延コイル全長に渡って均質な組織を得ている。熱延コイル全長に渡って巻き取った場合には、熱延コイルの外周部は内周部と比較して冷却速度が大きく、中央部と比較した場合には冷却速度差はより一層顕著であり、外周部は内周部よりも更に硬質組織となりやすい。そのため本発明では、外周部及び内周部が中央部と同等の組織を得るために、巻取り温度を変化させる長さ(LT、LB)及び巻取り温度の変化量(ΔCTT、ΔCTB)について、後端部分(B)は先端部分(T)よりも大きくしている。
[巻取り温度の計測方法]
巻取り温度の計測方法は、常法に従って行えばよい。巻取り温度の計測範囲は、例えば、熱延材の長手方向先端部分(T)、長手方向中央部分(M)及び長手方向後端部分(B)それぞれに対して、長手方向全長を採ってもよいし、長手方向における所定長さを採ってもよい。そして、先端部分(T)、中央部分(M)及び後端部分(B)それぞれの計測範囲における平均値を、それそれの巻取り温度(CTT、CTM及びCTB)とすればよい。その一例を図1に示す。尚、計測に際して、異常値は当然に取り除いてよい。
巻取り温度の計測方法は、常法に従って行えばよい。巻取り温度の計測範囲は、例えば、熱延材の長手方向先端部分(T)、長手方向中央部分(M)及び長手方向後端部分(B)それぞれに対して、長手方向全長を採ってもよいし、長手方向における所定長さを採ってもよい。そして、先端部分(T)、中央部分(M)及び後端部分(B)それぞれの計測範囲における平均値を、それそれの巻取り温度(CTT、CTM及びCTB)とすればよい。その一例を図1に示す。尚、計測に際して、異常値は当然に取り除いてよい。
図1は、熱延材の巻取り温度計測範囲の一例を示すグラフである。グラフの横軸は巻き取られる熱延材の長手方向の長さ(m)を表し、図中左側は熱延材の長手方向先端側(巻き取られたコイルの内周側)を表し、図中右側は熱延材の長手方向後端側(巻き取られたコイルの外周側)を表す。グラフの縦軸は巻取り温度(℃)を表す。図中の折れ線は熱延材の長手方向における巻取り温度の分布を表し、図中の破線は巻き取られる熱延材の長手方向の中央位置を表す。
図1では、熱延材の長手方向先端部分(T)の計測範囲として、当該先端部分(T)の全長を採用し、この計測範囲における平均値を巻取り温度(CTT)としている。又、熱延材の長手方向後端部分(B)の計測範囲として、当該後端部分(B)の全長を採用し、この計測範囲における平均値を巻取り温度(CTB)としている。一方、熱延材の長手方向中央部分(M)の計測範囲として、熱延材の長手方向の中央位置から長手方向先端側及び長手方向後端側にそれぞれ50mまでの領域(即ち、熱延材の長手方向の中央位置を中心とした長手方向100mの領域)を採用している。そして、当該中央部分(M)の計測範囲における平均値を巻取り温度(CTM)としている。
図1は、熱延材の長手方向中央部分(M)の巻取り温度(CTM)が長手方向先端部分(T)の巻取り温度(CTT)よりも低く、且つ、長手方向後端部分(B)の巻取り温度(CTB)よりも低いことを示している。
尚、熱延材の長手方向中央部分(M)の計測範囲として、図1の上記領域に代えて、当該中央部分(M)の全長や、当該中央部分(M)の全長から温度遷移領域を除いた温度安定領域を採用してもよい。
(酸洗工程)
巻取り工程で得られた熱延コイルに、常法に従って酸洗を施して冷延素材を得る。
巻取り工程で得られた熱延コイルに、常法に従って酸洗を施して冷延素材を得る。
(冷延工程)
酸洗工程で得られた冷延素材に、常法に従って冷間圧延を施して冷延材を得る。例えば、冷延率はおおむね20〜70%とする。
酸洗工程で得られた冷延素材に、常法に従って冷間圧延を施して冷延材を得る。例えば、冷延率はおおむね20〜70%とする。
(焼鈍工程)
冷延工程で得られた冷延材に、常法に従ってAc1点以上Ac3点以下の温度(二相域温度)で焼鈍を施して冷延鋼板コイルを得る。焼鈍温度(本明細書では、均熱温度ともいう)をAc1点以上Ac3点以下とするのは、上記要件(2)で規定する金属組織を得て、冷延鋼板コイルの延性と伸びフランジ性を共に優れた値にするためである。焼鈍条件は、上記要件(2)で規定する金属組織が得られるように適宜すればよい。その一例を次に挙げる。
冷延工程で得られた冷延材に、常法に従ってAc1点以上Ac3点以下の温度(二相域温度)で焼鈍を施して冷延鋼板コイルを得る。焼鈍温度(本明細書では、均熱温度ともいう)をAc1点以上Ac3点以下とするのは、上記要件(2)で規定する金属組織を得て、冷延鋼板コイルの延性と伸びフランジ性を共に優れた値にするためである。焼鈍条件は、上記要件(2)で規定する金属組織が得られるように適宜すればよい。その一例を次に挙げる。
冷延材を(Ac3−50℃)〜(Ac3−20℃)の温度域まで加熱し、所定時間だけ均熱保持する。そして、550〜700℃まで、3〜30℃/秒の冷却速度で徐冷し、更にMs点以下の温度まで、30℃/秒以上の冷却速度で急冷し、その後200〜450℃の温度域まで再加熱する。尚、焼鈍温度に昇温する際の昇温速度は特に限定されない。例えば0.5〜50℃/秒程度の平均昇温速度を適宜選択すればよい。
Ac1点及びAc3点は、「レスリー鉄鋼材料学」(丸善株式会社、1985年5月31日発行、273頁)に記載されている下記(F1)式及び(F2)式から算出できる。式中[ ]は各元素の含有量(質量%)を示しており、鋼板に含まれない元素の含有量は0質量%として計算すればよい。
Ac1(℃)=723−10.7×[Mn]−16.9×[Ni]+29.1×[Si]+16.9×[Cr]+290×[As]+6.38×[W]・・・(F1)
Ac3(℃)=910−203×[C]1/2−15.2×[Ni]+44.7×[Si]+104×[V]+31.5×[Mo]+13.1×[W]−(30×[Mn]+11×[Cr]+20×[Cu]−700×[P]−400×[Al]−120×[As]−400×[Ti])・・・(F2)
Ac1(℃)=723−10.7×[Mn]−16.9×[Ni]+29.1×[Si]+16.9×[Cr]+290×[As]+6.38×[W]・・・(F1)
Ac3(℃)=910−203×[C]1/2−15.2×[Ni]+44.7×[Si]+104×[V]+31.5×[Mo]+13.1×[W]−(30×[Mn]+11×[Cr]+20×[Cu]−700×[P]−400×[Al]−120×[As]−400×[Ti])・・・(F2)
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
まず、表1の鋼種SA、SBに示す化学組成(残部は鉄及び不可避的不純物、表1において記号―が付された欄は元素を添加していないことを意味する)を有する鋼スラブを得た。次に、鋼スラブを1200℃に加熱し、Ar3点以上の温度で仕上げ熱間圧延を完了させて、熱延材を得た。そして、熱延材を表2に示す巻取り条件で巻き取り、幅1000mm、板厚2.3mmの熱延コイルを得た。熱延コイルに酸洗及び冷延を施し、その後、表2に示す焼鈍条件で焼鈍を施して、板厚1.4mmの冷延鋼板コイルを得た。
冷延鋼板コイルの上記位置a〜eに該当する長手方向5箇所からサンプルを採取し、JIS Z2241に基づいた引張試験とJIS Z2256に基づいた穴広げ試験を実施し、引張強度、全伸び及び穴広げ率を測定した。測定結果を表3に示す。尚、引張試験片は、圧延方向に対して垂直な方向が長手方向となるように幅方向中央部から採取し、JIS Z2201で規定される5号試験片の加工を行って得た。穴広げ試験片は引張試験片の近傍から採取した。
又、上記サンプルから金属組織を構成する各相の占積率を測定するための試験片を採取した。そして、試験片の圧延方向と平行な断面を研磨し、ナイタール腐食を行った後に、板厚の1/4位置にて、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率3000倍で5視野の観察を行い、画像解析によってフェライト及びマルテンサイトの占積率を測定し、それぞれの平均値を算出した。
表1に鋼種SA、SBのAc1点、Ac3点を示す。又、表2に、ΔTS、(TS×EL)min、(TS×λ)min、組織分率(即ち、フェライトの占積率及びマルテンサイトの占積率)を示す。
試験No.1〜4、8、15は、本発明に係る冷延鋼板コイルで規定する要件(1)〜(5)を満足する例である。製造方法に着目すると、試験No.1〜4、8、15は、本発明に係る製造方法の熱延工程、巻取り工程、酸洗工程、冷延工程及び焼鈍工程で規定する各条件を満足する例である。これらは、コイル全長において、引張強度×延性と引張強度×伸びフランジ性が共に優れた値を示すと共に、強度ばらつきが小さいことを示した。
一方、試験No.5〜7、9〜14、16〜19は、上記要件(1)〜(5)の少なくとも1つが外れた例である。製造方法に着目すると、試験No.5〜7、9〜14、16〜19は、本発明に係る製造方法の熱延工程、巻取り工程、酸洗工程、冷延工程及び焼鈍工程で規定する各条件の少なくとも1つが外れた例である。これらは、コイルのいずれかの場所において、引張強度×延性と引張強度×伸びフランジ性が共に優れた値を示すことができなかったか、強度ばらつきが大きいことを示した。
具体的には、試験No.5は、フェライト分率が過小でマルテンサイト分率が過大であるため、ΔTSが過大になると共に、(TS×EL)minが過小になった。
試験No.6は、LTとΔCTTが上限外れであるため、ΔTSが過大となった。又、LTとΔCTTの上限外れに起因して、粒界酸化除去のために酸洗工程の生産性が低下した。
試験No.7は、フェライト分率が過大でマルテンサイト分率が過小であるため、(TS×λ)minが過小になった。
試験No.9は、LBとΔCTBが上限外れであるため、ΔTSが過大となった。又、LBとΔCTBの上限外れに起因して、粒界酸化除去のために酸洗工程の生産性が低下した。
試験No.10は、LBとΔCTBが下限外れであるため、後端部分が硬質化してしまい、冷間圧延を施すことができなかった。
試験No.11は、ΔCTTが上限外れであるため、ΔTSが過大となった。又、ΔCTTの上限外れに起因して、粒界酸化除去のために酸洗工程の生産性が低下した。
試験No.12は、LTが上限外れであるため、ΔTSが過大となった。又、LTの上限外れに起因して、粒界酸化除去のために酸洗工程の生産性が低下した。
試験No.13は、ΔCTBが上限外れであるため、ΔTSが過大となった。又、ΔCTBの上限外れに起因して、粒界酸化除去のために酸洗工程の生産性が低下した。
試験No.14は、LBが上限外れであるため、ΔTSが過大となった。又、LBの上限外れに起因して、粒界酸化除去のために酸洗工程の生産性が低下した。
試験No.16は、ΔCTTが下限外れであるため、ΔTSが過大となった。
試験No.17は、LBが下限外れであるため、ΔTSが過大となった。
試験No.18は、ΔCTBが下限外れであるため、ΔTSが過大となった。
試験No.19は、オーステナイト単相域で焼鈍したため、穴広げ率が低下して引張強度×延性と引張強度×伸びフランジ性を共に優れた値にすることができなかった。
Claims (2)
- C:0.05〜0.3質量%、Si:0.01〜3質量%、Mn:0.5〜3質量%、P:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、S:0.1質量%以下(0質量%は含まない)、Al:0.005〜0.1質量%、並びに、Ti、Nb及びVよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素を合計で0.01〜0.05質量%含み、残部が鉄及び不可避的不純物からなる化学組成を有する高強度高加工性冷延鋼板コイルであって、
前記冷延鋼板コイルは、フェライトとマルテンサイトの総和が全組織に対する占積率で97面積%以上であり、前記フェライトが全組織に対する占積率で10〜50面積%であり、前記マルテンサイトが全組織に対する占積率で50〜90面積%である複合組織を有し、
前記冷延鋼板コイルの幅方向中央部において、当該冷延鋼板コイルの先端から長手方向後方に10mの位置をa、当該冷延鋼板コイルの後端から長手方向前方に10mの位置をe、前記aと前記eの長手方向中央の位置をc、前記aと前記cの長手方向中央の位置をb、前記cと前記eの長手方向中央の位置をdとし、前記a、前記b、前記c、前記d及び前記eにおける引張強度、全伸び及び穴広げ率をそれぞれTS1、TS2、TS3、TS4及びTS5、EL1、EL2、EL3、EL4及びEL5、並びに、λ1、λ2、λ3、λ4及びλ5としたとき、
前記TS1、前記TS2、前記TS3、前記TS4及び前記TS5のうちの最大値と最小値の差が30MPa以下であり、
前記TS1と前記EL1の積、前記TS2と前記EL2の積、前記TS3と前記EL3の積、前記TS4と前記EL4の積及び前記TS5と前記EL5の積のうちの最小値が10000MPa・%以上であり、
前記TS1と前記λ1の積、前記TS2と前記λ2の積、前記TS3と前記λ3の積、前記TS4と前記λ4の積及び前記TS5と前記λ5の積のうちの最小値が30000MPa・%以上である、コイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイル。 - 請求項1に記載のコイル内での強度ばらつきの小さい高強度高加工性冷延鋼板コイルを製造する方法であって、
請求項1に記載の化学組成を有する熱延素材を1100℃以上に加熱して、Ar3点以上の温度で熱間圧延を完了させて熱延材を得る熱延工程と、
前記熱延材の長手方向先端部分をT、当該熱延材の長手方向後端部分をB、当該熱延材の長手方向における前記Tと前記Bの間の部分をMとし、前記Tの長手方向の長さを当該熱延材の先端から0m以上70m以下とし、前記Bの長手方向の長さを当該熱延材の後端から50m以上150m以下としたとき、前記Tの巻取り温度と前記Mの巻取り温度との差が0℃以上50℃以下に、且つ、前記Bの巻取り温度と前記Mの巻取り温度との差が50℃以上200℃以下になるように巻取り温度を制御して当該熱延材を巻き取り、熱延コイルを得る巻取り工程と、
前記熱延コイルに酸洗を施して冷延素材を得る酸洗工程と、
前記冷延素材に冷間圧延を施して冷延材を得る冷延工程と、
前記冷延材にAc1点以上Ac3点以下の温度で焼鈍を施して高強度高加工性冷延鋼板コイルを得る焼鈍工程と
を有する、高強度高加工性冷延鋼板コイルの製造方法。
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