JP2018014308A - 塩化ビニル樹脂組成物並びに絶縁電線及びケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】エポキシ樹脂を塗布し硬化封止する際、エポキシ樹脂をはじく現象を抑制しうる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供する。【解決手段】絶縁電線10は、導体1の外周に、塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物及び可塑剤が含有されている塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層2を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、塩化ビニル樹脂組成物並びに絶縁電線及びケーブルに関し、特にUL規格に従った電線(通称「UL電線」)に適用できる難燃性の塩化ビニル樹脂組成物並びに絶縁電線及びケーブルに関する。
電子機器類の内部配線に使用される絶縁電線は、機器の発火事故などに際して電線を伝って火が広がらぬように難燃性であることが求められている。
内部配線材の難燃性の基準は、例えば米国のUL758規格等で定められている。UL758が要求する項目には垂直燃焼試験(以下「VW−1試験」という。)がオプションとして設けられているが、ほとんどの絶縁電線がこの試験に合格してULに認定されているため、オプションとはいえ、VW−1試験は、必須に近い項目である。
従来から、このような絶縁電線の被覆材の主原料として塩化ビニル樹脂(PVC)が用いられてきた。塩化ビニル樹脂は化学構造中にハロゲンである塩素を含んでおり、それ自体の難燃性は高い。しかし、塩化ビニル樹脂は硬質であるため、電線の絶縁材として使用する場合には軟化させるために可燃性の可塑剤を多量に添加して用いる。従って、難燃剤を添加しないと、上述した難燃性の基準を満たすことができない。
この難燃剤としては、一般的に三酸化アンチモンが使用されてきた。しかし、三酸化アンチモンは劇薬であるため、製造に当たっては厳格な管理が必要となり、使用を避けたい材料である。更には、稀少な金属類でもあり、最近では価格も上昇傾向にある。
そのため、三酸化アンチモンに代わる難燃剤として水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの水酸化金属が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、塩化ビニル樹脂と、水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムと、可塑剤と非鉛系安定剤とを含む塩化ビニル樹脂組成物であって、水酸化アルミニウム及び/又は水酸化マグネシウムの含有量が、前記塩化ビニル樹脂の含有量100質量部に対し8〜22質量部であり、アンチモンの含有量が1000ppm未満であり、成形後に架橋された塩化ビニル樹脂組成物が開示されている。
一方、塩化ビニル樹脂は成形加工時に170℃以上に加熱され、分子構造から塩素が離脱するので、引張伸びは低下し、高温環境下での耐電圧特性も著しく低下するという問題点も有する。これを防ぐために、従来は長期耐熱効果がある鉛及び鉛化合物系安定剤が使用されていたが、これらはEUのRoHS指令で禁止物質に指定される環境負荷物質である。そのため、その代替として、現在は殆どの絶縁電線で非鉛系安定剤が使用されている。
非鉛系安定剤は、鉛及び鉛化合物系安定剤ほどの効果が得られないが、用途に合わせて、バリウム亜鉛系、水酸化カルシウム系、カルシウム亜鉛系、ハイドロタルサイト系、オクチル酸金属等の非鉛系安定剤が適宜使用されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
また、前記絶縁電線は、温度センサー等のリード線として用いられるケースがある。その場合、絶縁電線(リード線)の一方端の絶縁層(絶縁体)を剥離し、導体を露出させた後、当該導体に温度センサー等を接続し、温度センサー等の全体、露出させた導体及びリード線の端部の絶縁層を連続に覆うようにエポキシ樹脂を塗布し硬化封止する。
特開2011−26427号公報 特許第3018367号公報 特開2003−40614号公報
しかしながら、エポキシ樹脂の塗布の際、絶縁層(絶縁体)を構成する塩化ビニル樹脂組成物にエポキシ樹脂がはじかれ、歩留まりを落とす問題点があった。
また、上述の従来技術では、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の塩基性水和物を含んでいる場合に、例えば100℃で20日前後の促進試験を実施すると、塩基起因による変色が発生し、電線形状にした場合に、色相判別に苦慮する問題点があった。また、表面に肌荒れや凹凸が発生し、外観が悪くなるという問題点があった。
また、電子機器類の内部配線に使用される絶縁電線は、絶縁層(絶縁体)を剥離し、導体を露出させた形で、機器内の制御用装置あるいは動力用装置に接続加工されるケースが多い。接続加工する際に加熱処理などを施すケースもある。このような作業において、図6に示されるように、2芯並行絶縁電線40等の多芯並行絶縁電線の場合、絶縁層42を剥離した後、各導体41の長さが均一に維持されず、接続加工時の作業効率を悪くする問題点があった。
そこで、本発明の目的は、エポキシ樹脂を塗布し硬化封止する際、エポキシ樹脂をはじく現象を抑制しうる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加え、絶縁層又はシースの塩基起因による変色を抑制でき、かつ絶縁層又はシース表面の肌荒れや凹凸の発生を抑制しうる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加え、多芯並行絶縁電線において絶縁層剥離後の各露出導体の長さを均一に維持して、接続加工時の作業効率を良好にすることが可能な塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、下記の塩化ビニル樹脂組成物、並びに絶縁電線及びケーブルを提供する。
[1]導体と、前記導体の外周に被覆された、塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層とを備え、前記塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物及び可塑剤が含有されている絶縁電線。
[2]前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する、前記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量が0.01〜10質量部である前記[1]に記載の絶縁電線。
[3]前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する、前記可塑剤の含有量が25〜70質量部である前記[1]又は前記[2]に記載の絶縁電線。
[4]前記塩化ビニル樹脂組成物は、前記ベースポリマーにさらに(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックスが含有されており、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記(A)〜(D)の合計含量が1〜4.5質量部であって、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が0.25〜6である前記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[5]前記(A)脂肪酸金属塩は、(A1)脂肪酸亜鉛塩及び(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩からなり、前記(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩に対する前記(A1)脂肪酸亜鉛塩の含有質量比(A1/A2)が4〜9である前記[4]に記載の絶縁電線。
[6]前記(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩は、脂肪酸カルシウム塩、脂肪酸マグネシウム塩、及び脂肪酸アルミニウム塩から選ばれる1つ以上である前記[5]に記載の絶縁電線。
[7]前記(D)高密度酸化ポリエチレンワックスは、150℃における粘度が2500〜85000cpsの範囲内のものであり、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部含有される前記[4]〜[6]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[8]前記(A)脂肪酸金属塩、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、前記(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び前記(D)高密度酸化ポリエチレンワックスの合計含量に対する前記(A)脂肪酸金属塩の含有割合が35質量%以上である前記[4]〜[7]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[9]前記可塑剤は、トリメリット酸エステルである前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[10]前記可塑剤が、トリメリット酸エステルとエポキシ系可塑剤の併用系である前記[1]〜[8]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[11]前記エポキシ系可塑剤がエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルのうち1種以上からなる前記[10]に記載の絶縁電線。
[12]前記エポキシ系可塑剤の添加量が塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜10重量部からなる前記[10]又は[11]に記載の絶縁電線。
[13]前記塩化ビニル樹脂組成物は、ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム、焼成クレー及び酸化チタンのいずれか1種又は2種以上をさらに含有する前記[1]〜[12]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[14]塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物、(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)高密度酸化ポリエチレンワックス、及び可塑剤が含有されており、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する、前記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量が0.01〜10質量部、かつ前記(A)〜(D)の合計含量が1〜4.5質量部であって、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が0.25〜6である塩化ビニル樹脂組成物。
[15]前記導体は、裸軟銅線である前記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[16]絶縁電線は、前記導体を複数本備えた多芯並行絶縁電線である前記[1]〜[13]、[15]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[17]前記導体は、錫めっき厚が0.05〜0.2μmである錫めっき軟銅線であり、前記絶縁電線は、前記導体を複数本備えた多芯並行絶縁電線である前記[1]〜[13]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[18]塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物及び可塑剤が含有されている塩化ビニル樹脂組成物からなるシースを備えたケーブル。
[19]前記塩化ビニル樹脂組成物は、前記ベースポリマーにさらに(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックスが含有されており、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量が0.01〜10質量部、かつ前記(A)〜(D)の合計含量が1〜4.5質量部であって、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が0.25〜6である前記[18]に記載のケーブル。
[20]前記[1]〜[13]、[15]〜[17]のいずれか1つに記載の絶縁電線を備えた前記[18]又は前記[19]に記載のケーブル。
[21]前記絶縁層に接してエポキシ樹脂による封止が施された前記[1]〜[13]、[15]〜[17]のいずれか1つに記載の絶縁電線。
[22]前記シースに接してエポキシ樹脂による封止が施された前記[18]〜[20]のいずれか1つに記載のケーブル。
本発明によれば、エポキシ樹脂を塗布し硬化封止する際、エポキシ樹脂をはじく現象を抑制しうる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
また、上記[4]、[14]もしくは[19]の構成を有する本発明によれば、上記効果に加え、絶縁層又はシースの塩基起因による変色を抑制でき、かつ絶縁層又はシース表面の肌荒れや凹凸の発生を抑制しうる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
また、上記[4]、[14]もしくは[19]の構成を有する本発明によれば、上記効果に加え、多芯並行絶縁電線において絶縁層剥離後の各露出導体の長さを均一に維持して、接続加工時の作業効率を良好にすることが可能な塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す横断面図である。 本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す横断面図である。 本発明の実施の形態に係るケーブルの一例を示す横断面図である。 エポキシ樹脂をはじく現象を抑制する効果を説明するための概念図であり、(a)は従来例を示し、(b)は本発明の実施の形態の一例を示す。 本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す上面図である。 従来の絶縁電線の一例を示す横断面図である。 エポキシ樹脂をはじく現象を抑制する効果を説明するための概念図であり、(a)は従来例を示し、(b)は本発明の実施の形態の一例を示す。
〔塩化ビニル樹脂組成物〕
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物及び可塑剤が含有されている。
また、本発明の別の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物、(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)高密度酸化ポリエチレンワックス、及び可塑剤が含有されており、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する、前記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量が0.01〜10質量部、かつ前記(A)〜(D)の合計含量が1〜4.5質量部であって、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が0.25〜6である。なお、本明細書において、A(数値)〜B(数値)は、A以上B以下を意味する。
(塩化ビニル樹脂を含むベースポリマー)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、ベースポリマーとして塩化ビニル樹脂を含有している。
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体(すなわちポリ塩化ビニル)のほか、塩化ビニルと他の共重合可能なモノマーとの共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。塩化ビニルと共重合可能なモノマーとしては、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル等が挙げられる。
塩化ビニル樹脂は、平均重合度1000〜2500のものを用いることが好ましい。平均重合度1000〜2000のものが耐熱性、耐寒性、成形性の面からより好ましい。重合度が低くなると成形性は向上するが耐熱性、耐寒性が低下する。逆に重合度が高くなると耐熱性、耐寒性は向上するが、成形性が悪くなる。
塩化ビニル樹脂は、必要に応じて、重合度の異なるものを2種以上ブレンドして用いても良い。また、本発明の効果を奏する限りにおいて、必要に応じて、ベースポリマーに、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン等を添加しても良い。ベースポリマー中の塩化ビニル樹脂の含有割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
(カルボン酸縮合物の部分エステル化合物)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、カルボン酸縮合物の部分エステル化合物が含有されている。これにより、本願発明の効果(エポキシ樹脂をはじく現象の抑制)を奏する。
カルボン酸縮合物の部分エステル化合物としては、例えば、炭素数30〜60のダイマー酸若しくはトリマー酸、又はこれらの無水物を、モノアルコール類やモノエポキシ化合物によりエステル化して得られる化合物を挙げることができる。エステル化率は、10〜90%が好ましく、酸価は10mg/KOH以上のものが好ましい。また、カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の分子量(GPCポリスチレン換算で重量平均分子量)としては、1000〜20000程度が好ましい。また、取扱い性を考慮し、カルボン酸縮合物の部分エステル化合物60〜70質量%に、40〜30質量%の二酸化ケイ素を添加して粉末状としたものを用いても良い。
上記モノアルコール類やモノエポキシ化合物としては、飽和脂肪族、不飽和脂肪族、脂環式化合物、芳香族のアルコール類やエポキシ化合物を挙げることができる。分子内にエーテル基を含むアルコール類やエポキシ化合物でもよい。具体的には、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、炭素数12以上のアルキルグリシジルエーテル、炭素数12以上の分岐アルキルのアルコール、オキソアルコールポリエチレンオキサイドエーテル、分子量200〜1200程度のアルコキシキシポリアルキレングリコール等を挙げることができる。ここで、アルコキシキシポリアルキレングリコールとしては、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール等を挙げることができる。
ベースポリマー中の塩化ビニル樹脂100質量部に対する上記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量は、0.01〜10質量部であることが好ましい。カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の添加量は少量でも効果が現れる。しかし、塩化ビニル樹脂100質量部に対する含有量が10質量部を超えると、後述する塩基起因の変色抑制効果が低減するため、10質量部以下とすることが好ましい。上記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、7質量部以下であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部であることがさらに好ましい。
((A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックス)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにさらに(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックスが含有されている。ベースポリマー中の塩化ビニル樹脂100質量部に対する上記(A)〜(D)の合計含量は、1〜4.5質量部である。これらの合計含量を上記範囲内とすることで塩基起因による変色の抑制等の効果を奏する。(A)〜(D)の合計含量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、1.1〜4.1質量部であることが好ましく、1.2〜3質量部であることがより好ましく、1.3〜2.5質量部であることがさらに好ましい。
A:脂肪酸金属塩
脂肪酸金属塩としては、例えば脂肪酸亜鉛塩を用いることが好ましく、脂肪酸亜鉛塩と脂肪酸カルシウム塩を併用することがより好ましい。また、必要に応じ、耐熱バランスを調整する上で脂肪酸マグネシウム塩や脂肪酸アルミニウム塩を併用しても良い。これらを用いる場合、(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩に対する(A1)脂肪酸亜鉛塩の含有質量比(A1/A2)が4〜9であることが好ましい。
(A)脂肪酸金属塩の含有割合は、(A)〜(D)の合計含量に対して35質量%以上であることが好ましい。
脂肪酸金属塩の役割をカルシウム塩及び亜鉛塩を例に以下に説明する。
(C17H35COO)2Zn + 2HCL → ZnCL2 + C17H35COOH
(C17H35COO)2Ca + ZnCL2 → (C17H35COO)2Zn +CaCL2
熱や光により、塩化ビニル樹脂から発生する塩化水素を金属石鹸が捕捉し、金属塩が生成する。脂肪酸亜鉛と脂肪酸カルシウムを比較すると、脂肪酸亜鉛の方がその捕捉力が高いため、塩化亜鉛がまず生成する。塩化亜鉛が塩化ビニル樹脂混和物中に存在すると、短波長の色調となり、着色は改善される。しかし、塩化亜鉛は、塩化ビニル樹脂の脱塩化水素を促進することや脂肪酸亜鉛の大量添加は混和物の系が外部滑性過多となるため適量添加が必要となる。一方、脂肪酸カルシウムは、塩化水素を捕捉する以外に、上式の通り、塩化亜鉛との交換反応も進むので脱塩化水素抑制にも働く。
脂肪酸マグネシウム塩は、塩化水素捕捉能がカルシウム塩より優れ、上述の亜鉛塩で示した例で生成する塩化物が更に塩化ビニル樹脂からの脱塩化水素反応を促進させないため、脂肪酸亜鉛塩や脂肪酸カルシウム塩と併用されることが好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、例えば、C8〜C22の飽和脂肪酸やC8〜C22の不飽和脂肪酸を用いることができる。特にステアリン酸金属塩であることが好ましいが、金属当量を合わせた添加量とすればどの脂肪酸種を用いても良い。脂肪酸種は、単独で用いる場合のみならず、2種以上を併用してもよい。
B:シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体
シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体としては、イソシアヌル酸誘導体を用いることが好ましく、例えば、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)を用いることが特に好ましい。なお、ここでいう「又は」には、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体をそれぞれ単独で使用する場合のほか、シアヌル酸誘導体とイソシアヌル酸誘導体とを併用する場合も含まれる。
上記シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体(例えばイソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル))の役割は、金属塩のキレート化による塩化ビニル樹脂からの脱塩化水素を抑制するためのものである。
金属塩化物は、ポリエンとπ錯体を生成し、着色することが知られているが、本系材料が無色のキレート化合物を作るため、着色低減にも効果が発現する。但し、本系材料は、塩化ビニル樹脂との相溶性に劣るため、適量化することが好ましい。
C:ステアロイルベンゾイルメタン
ステアロイルベンゾイルメタンの役割を以下に説明する。
一般に塩化ビニル樹脂のアリル塩安定化剤としては、ジベンゾイルメタン(DBM)が用いられてきた。脂肪酸塩や金属化合物下で、次式(I)、(II)の通り働く。すなわち、アリル塩を安定化することで、結果として着色抑制剤として働く。

Figure 2018014308

Figure 2018014308
DBMの欠点としては、光増感性があることは知られているが、他にアリル塩を安定化するために1/2モルの金属塩を必要とすることと、反応が2段階であることである。1段階でより早期にアリル塩を安定化させる材料として、本発明においてはステアロイルベンゾイルメタンを用いた。下記に反応式(III)を示す。金属塩存在下で、アリル塩を1段階で安定化させる。

Figure 2018014308
上記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する上記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)は、0.25〜6である。当該含有質量比を上記範囲内とすることで塩基起因による変色の抑制等の効果を奏する。好ましい含有質量比(C/B)は0.25〜5であり、より好ましくは0.25〜4であり、さらに好ましくは0.25〜3である。
D:高密度酸化ポリエチレンワックス
ポリオレフィンワックスには、ポリエチレンホモポリマータイプ、酸化ポリエチレンタイプ、高密度酸化ポリエチレンタイプ、ポリプロピレンタイプ、エチレン・アクリル酸共重合タイプ、エチレン・酢酸ビニル共重合タイプ、酸化エチレン・酢酸ビニル共重合タイプ、低分子量アイオノマータイプ、エチレン−無水マレイン酸共重合タイプ、プロピレン−無水マレイン酸共重合タイプなど、さまざまなワックスが存在する。これらの中でも、以下の点に着眼し、高密度酸化ポリエチレンワックスを選定した。
(1)塩化ビニル樹脂、及び(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体や(C)ステアロイルベンゾイルメタンとの相溶性を考慮し、極性基を保有するワックスであること。
(2)国際規格ASTM−D3954ベースの滴点が本発明の塩化ビニル樹脂組成物の混練温度(130〜150℃)付近にあるワックスであること。
(3)本発明の塩化ビニル樹脂組成物の混練温度付近での粘度が高く、内部滑剤として働くワックスであること。
本発明の実施形態における高密度酸化ポリエチレンワックスは、密度が0.95〜1.1g/cm3、酸価が1〜45KOHmg/g、軟化点が100〜150℃であることが好ましい。密度は0.96〜1.0g/cm3であることがより好ましく、酸価は7〜41KOHmg/gであることがより好ましい。
また、本発明の実施形態における高密度酸化ポリエチレンワックスは、150℃における粘度が2500〜85000cpsの範囲内のものであり、前述の塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部含有されることが好ましい。150℃における粘度が8500〜85000cpsの範囲内のものであり、前述の塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.04〜0.1質量部含有されることが混練効率向上の観点からより好ましい。
また、本発明の効果を奏する限りにおいて、必要に応じて、高密度酸化ポリエチレンワックス以外のポリオレフィンワックスをさらに添加しても良い。
(可塑剤)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物には、可塑剤として、従来公知の可塑剤を添加することができる。特に限定はされないが、軟銅線との密着性及び耐熱性の観点からトリメリテート系可塑剤を使用することが好ましく、例えばトリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリノルマルアルキル、トリメリット酸トリイソデシル等のトリメリット酸エステルを挙げることができる。耐熱性、コストの観点からトリメリット酸トリ2−エチルヘキシルを用いることがより好ましい。フタル酸エステルでは十分な耐熱性が得られにくい。また、ポリエステル可塑剤では加水分解を招く恐れがある。可塑剤の含有量は、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、25〜70質量部であることが好ましく、熱変形量を抑える観点から25〜50質量部であることがより好ましい。25質量部未満では必要な耐寒性能が得られにくい。
トリメリテート系可塑剤と併用して適用する可塑剤としては、エポキシ系可塑剤が適している。
[図7]に示した効果が実証されたためである。
エポキシ系可塑剤はビスフェノール型エポキシ樹脂のようにエポキシ基の反応性の高いものは好ましくない。
以下の2つの理由による。
(1)エポキシ基は塩化ビニル樹脂の脱塩酸時の塩酸を捕捉しエピクロルヒドリン化合物を生成するが、金属石鹸併用で、エポキシ環を再生することが知られている。このエポキシ環の再生自体は問題ないが、金属石鹸が消費されるため、本材料の特徴である変色抑制効果を低下させてしまうためである。
(2)エポキシ基は塩化ビニル樹脂の脱塩酸で生成するアリル塩素の置換する働きが知られているが、この置換反応は金属塩存在下で促進される。本実施例は[化3]で示した反応を伴う。使用するエポキシ基の反応性が高いと[化3]の反応が抑制されるため、本材料の特徴である変色抑制効果を低下させてしまうためである。
エポキシ系可塑剤はエポキシ基がある程度の化学構造的な阻害を受けるエポキシ化大豆油やエポキシ化亜麻仁油、エポキシ価の小さいエポキシ化脂肪酸オクチルエステル、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルなどが適している。これらは1種で用いても良く、併用して適用しても良い。エポキシ系可塑剤の添加量は塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部からなることが好ましい。0.1質量部以上だとさらなるエポキシはじき抑制効果があらわれ、10質量部未満だと変色抑制があるためである。1〜6質量部で使用するのがより好ましい。
(安定剤)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物には、安定剤として、従来公知の安定剤を添加することができる。特に限定はされないが、安定剤は、鉛を含有しない非鉛系安定剤を用いることが、法規制上好ましい。非鉛系安定剤としては、ハイドロタルサイト系安定剤や、カルシウム−亜鉛系の複合安定剤を挙げることができる。前述の脂肪酸金属塩としてステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛等を添加した場合、これらを安定剤として機能させることもできる。
(その他の添加剤)
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物には、上記添加剤に加え、必要に応じて、難燃剤、充填剤、架橋剤、架橋助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、加工性改良剤、その他の改質剤などを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
難燃剤として、例えば、三酸化アンチモン、金属水和物、ハードクレーが挙げられる。金属水和物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト、カルシウムアルミネート水和物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が使用される。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填剤として、焼成クレー、水和クレー、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、フェライト系磁性粉、タルク等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の実施の形態に係る塩化ビニル樹脂組成物は、成形後に架橋を施しても良い。架橋の方法は、従来公知の方法を使用でき、特に限定はされないが、化学架橋、シラン架橋、放射線架橋等の方法を用いることができる。架橋度は、ゲル分率で40〜65%であることが好ましく、49〜60%であることがより好ましい。
架橋助剤として、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を使用することができ、塩化ビニル樹脂100質量部に対して、例えば2〜20質量部添加することができる。2質量部未満では、架橋が不十分になる場合があり、20質量部を超えると成形時に架橋してしまう場合がある。
〔絶縁電線〕
本発明の実施形態に係る絶縁電線は、導体と、導体の外周に被覆された、本発明の実施形態に係る上記塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層とを備えたことを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る絶縁電線の一例を示す横断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る絶縁電線10は、導体1と、導体1の外周に被覆された絶縁層2とを備える。被覆される導体1としては、例えば外径0.15〜7mmφ程度の導体を使用することができる。錫メッキ軟銅線を撚り合わせた導体などを好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。導体1は、図1のように1本である場合に限られず、複数本であってもよい。
図2は、本発明の実施の形態に係る絶縁電線の他の一例を示す横断面図である。
図2に示すように、本実施の形態に係る絶縁電線20は、並行させた2本の導体21と、2本の導体21の外周に一括被覆された絶縁層22とを備える。導体21としては、錫メッキされていない軟銅線、すなわち裸軟銅線を使用することが、絶縁層22を構成する樹脂組成物との密着性の観点から望ましい。導体21は、例えば外径0.15〜7mmφ程度の導体を使用することができる。裸軟銅線を複数本(図2では7本)撚り合わせた導体を好適に使用することができるが、これに限定されるものではない。導体21は、図2のように2芯を並行に配置させる場合に限られず、単芯であっても、3芯以上であってもよい。
絶縁層2、22は、本発明の実施の形態に係る上記の塩化ビニル樹脂組成物から構成されている。特に、絶縁層22は、前述の可塑剤を前述の含有割合で含む塩化ビニル樹脂組成物から構成されていることが望ましい。押出被覆等の成形手段により絶縁層として被覆した後、電子線照射等の方法により塩化ビニル樹脂を架橋することにより絶縁電線を得ることができる。なお、押出被覆は、架橋前の塩化ビニル系樹脂組成物をロール、バンバリー、押出機などで混練し、得られたペレットコンパウンドと導体とをクロスヘッドダイを付設した従来公知の電線用押出機で電線被覆押出成形することなどにより行うことができる。
本実施の形態においては、絶縁層を、単層で構成してもよく、また、多層構造とすることもできる。さらに、必要に応じて、セパレータ、編組等を施してもよい。
本発明の実施の形態に係る絶縁電線は、種々の用途に使用でき、例えば、温度センサー等のリード線として好適に使用できる。絶縁電線10,20は、絶縁層2、22に接してエポキシ樹脂による封止が施される。具体的には、例えば、絶縁電線10,20の一方端の絶縁層2、22を剥離し、導体1、21を露出させた後、当該導体1、21に温度センサー等を接続し、温度センサー等の全体、露出させた導体1、21及び絶縁電線10,20の端部の絶縁層2、22を連続に覆うようにエポキシ樹脂を塗布し硬化封止する。
〔ケーブル〕
本発明の実施形態に係るケーブルは、本発明の実施形態に係る上記塩化ビニル樹脂組成物を被覆材料(シースないし絶縁層及びシース)として使用したことを特徴とする。
図3は、本発明の実施の形態に係るケーブルの一例を示す横断面図である。
図3に示すように、本実施の形態に係るケーブル30は、導体1に絶縁層2を被覆した絶縁電線10、3本を紙等の介在4と共に撚り合わせた三芯撚り線と、三芯撚り線の外周に施された押え巻きテープ5と、その外周に押出被覆されたシース3とを備える。三芯撚り線に限らず、絶縁電線1本(単芯)でもよく、三芯以外の多芯撚り線であってもよい。
シース3は、本発明の実施の形態に係る上記の塩化ビニル樹脂組成物から構成されている。絶縁層2も上記の塩化ビニル樹脂組成物から構成されていてもよい。押出被覆等の成形手段により絶縁層やシース層として被覆した後、電子線照射等の方法により塩化ビニル樹脂を架橋することによりケーブルを得ることができる。
本実施の形態においては、シースを、単層で構成してもよく、また、多層構造とすることもできる。さらに、必要に応じて、セパレータ、編組等を施してもよい。
本発明の実施形態に係る絶縁電線ないしケーブルの外径は、例えば0.4〜11mmφである。その用途としては、ドライヤー、炊飯器、トランス口出部、照明器具、エアコンなどの機器内の高温部での配線等を挙げることができる。
本発明の実施の形態に係るケーブルは、種々の用途に使用でき、例えば、温度センサー等のリード線として好適に使用できる。ケーブル30は、シース3に接してエポキシ樹脂による封止が施される。具体的には、例えば、ケーブル30の一方端のシース3や絶縁電線10の絶縁層2を剥離し、導体1を露出させた後、当該導体1に温度センサー等を接続し、温度センサー等の全体、露出させた導体1、絶縁電線10の端部の絶縁層2及びケーブル30の端部のシース3を連続に覆うようにエポキシ樹脂を塗布し硬化封止する。
〔本発明の実施形態の効果〕
(1)本発明の実施形態によれば、エポキシ樹脂を塗布し硬化封止する際、エポキシ樹脂をはじく現象を抑制しうる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。図4及び図7は、エポキシ樹脂をはじく現象を抑制する効果を説明するための概念図であり、(a)は従来例を示し、(b)は本発明の実施の形態の一例を示す。エポキシ樹脂13がはじかれる要因は、図4(a)及び図7(a)に示したように、PVC11の表面に浸出する極微量の可塑剤12の存在と考えられる。この微量可塑剤の影響を抑制する材料としてカルボン酸縮合物の部分エステル化合物14が有効に働いたと考えられる。図4(b)に示したように、部分エステル化合物部14bは可塑剤12と、カルボン酸縮合物部14aはエポキシ樹脂13と親和することから、エポキシ樹脂13をはじく現象の抑制効果が発現すると推察した。図7(b)は、PVC11中に予めエポキシ化合物15を添加した例を示している(この図では、カルボン酸縮合物の部分エステル化合物14の記載は省略)。エポキシ化合物15はPVC11の安定剤兼2次可塑剤として使用される。添加されたエポキシ化合物15は、極微量の可塑剤12とともにPVC11の表面に浸出する。含有するエポキシ化合物15のエポキシとディップするエポキシ樹脂13のエポキシの相互作用でエポキシ樹脂13をはじく現象の抑制効果がさらに発現する。
(2)本発明の実施形態によれば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の塩基性水和物を含んでいても、絶縁層又はシースの塩基起因による変色を抑制でき、かつ絶縁層又はシース表面の肌荒れや凹凸の発生を抑制しうる(良好な外観を可能とする)塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
(3)本発明の実施形態によれば、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が低い値(例えば1以下、さらには0.5以下、さらには0.4未満)であっても、絶縁層又はシースの塩基起因による変色を抑制しうる塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができるため、材料コスト(製造コスト)を下げることができる。
(4)(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩に対する(A1)脂肪酸亜鉛塩の含有質量比(A1/A2)が4以上となると外滑性過多により混練時間が長くかかってしまう傾向にあるが、本発明の実施形態によれば、(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩に対する(A1)脂肪酸亜鉛塩の含有質量比(A1/A2)が4以上であっても、混練時間を短縮でき、混練成形性が改善された電線被覆材料、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
(5)本発明の実施形態によれば、導体として裸軟銅線を使用した多芯並行絶縁電線において絶縁層剥離後に熱処理などの前処理を施しても図6のように一方が突き出すことなく、図5に示すように各露出導体の長さを均一に維持して、接続加工時の作業効率を良好にすることが可能な塩化ビニル樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線及びケーブルを提供することができる。
なお、絶縁層が前述の可塑剤を前述の含有割合で含む上記塩化ビニル樹脂組成物から構成されている本発明の実施形態によれば、導体として錫めっき軟銅線を使用した多芯並行絶縁電線においても、絶縁層剥離後に一方の導体が突き出す発生率をある程度、抑制することができる。この場合、錫めっき軟銅線の錫めっき厚を薄くしたものの方が上記発生率をより低減できる。錫めっき厚を0.05〜0.2μm程度(例えば0.1μm)まで薄くすると、錫と銅の酸化物合金層が形成されるためと考えられる。
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1の構造の絶縁電線10及び図2の構造の絶縁電線20を下記の通りの方法で製造し、評価を行なった。
(1)塩化ビニル樹脂組成物の作製
表1〜2に示す各材料を記載された割合で配合し、140℃に加熱したオープンロールミキサーで混練混合してペレット化し、各実施例及び比較例の塩化ビニル樹脂組成物を得た。用いた材料は、表4に示す通りである。
参考として混練性の評価を以下の方法で行なった結果、実施例1〜6及び比較例1では〇であり、比較例2〜3では×であった。
140℃に加熱したオープンロールミキサーで混練する際、5分以内で、フロントロールに巻き付いた混和物シートの外観が滑らかで、シートにたるみが生じないものを〇、外観荒れやシートにたるみが生じたものを×とした。×のものは、外部滑性が過多であることから生じる現象であり、連続混練機やバッチ式ミキサーで量産化した場合、均一に分散した混練物が得られない。
(2)絶縁電線の作製
(2−1)図1の構造の絶縁電線10の作製(実施例1〜6及び比較例1〜3)
導体として、外径0.16mmφ錫メッキ軟銅線の26本撚り導体(外径0.94mmφ、錫めっき厚0.5μm)を使用した。該導体上に上記(1)で表1に基づき作製した塩化ビニル樹脂組成物を溶融押出法により押出成形し、各塩化ビニル樹脂組成物で導体を被覆した試料(絶縁電線)を得た。塩化ビニル樹脂組成物から成る絶縁層の厚さは、0.5mmとなった。電線製造条件は、シリンダー温度170℃、ヘッド温度180℃にて、線速400m/分にて作業を実施した。
(2−2)図2の構造の絶縁電線20の作製(実施例7〜19及び比較例4〜8)
導体として、実施例7〜10、15〜19、比較例7、8では外径0.16mmφ軟銅線(裸軟銅線)を使用し、実施例11〜14及び比較例4〜6では外径0.16mmφ錫メッキ軟銅線の7本撚り導体(外径0.94mmφ、錫めっき厚0.5μm(実施例11〜12及び比較例4〜6)、錫めっき厚0.1μm(実施例13〜14))を使用した。該導体上に上記(1)で表2に基づき作製した塩化ビニル樹脂組成物を溶融押出法により押出成形し、各塩化ビニル樹脂組成物で導体を被覆した試料(2芯並行絶縁電線)を得た。得られた2芯並行絶縁電線の厚み(図2に示すX)は1.3mmであり、幅(図2に示すY)は2.6mmであった。電線製造条件は、シリンダー温度180℃、ヘッド温度190℃にて、線速250m/分にて作業を実施した。実施例11と13、実施例12と14は、それぞれ錫メッキ軟銅線の錫めっき厚のみが異なるものである。
(3)絶縁電線の評価1(エポキシ樹脂のはじき現象の抑制)
エポキシ樹脂100質量部と芳香族ポリアミン型硬化剤20質量部を常温で10分撹拌したものを、上記(2)で作製した絶縁電線の表面に刷毛を用いて100mm長塗布し、常温で48時間放置したあと、エポキシ樹脂のはじき痕を15倍の拡大鏡にて目視観察した。はじき痕が確認されなかったものを○、確認されたものを×とした。表1、2及び3に評価結果を示す。
(4)絶縁電線の評価2(色相変化)
上記各例の絶縁電線について、300mmの長さに切断した電線を100℃で500時間、ギヤーオーブン(強制循環式空気加熱老化試験機)に曝露し、曝露前後の色相変化を確認した。色相変化は5人による目視比較試験を行い、曝露前後で5人とも変色無と判断したものを◎、4人が変色無と判断したものを○、0〜3人が変色無と判断したものを×とした。表1、2及び3に評価結果を示す。
(5)絶縁電線の評価3(外観)
上記各例の絶縁電線について、外観を目視で評価した。表面に艶があり、表面がスムーズだったものを◎、表面がスムーズだが艶消し状態となったものを○、表面に肌荒れ又は凹凸を生じたものを×とした。表1、2及び3に評価結果を示す。
(6)絶縁電線の評価4(絶縁層剥離後の導体長さの均一性)
上記(2−2)で作製した2芯並行絶縁電線を長さ500mmに切断し、その電線の先端から絶縁層を5mm剥離し、図5に示す状態とした。その後、120℃で3時間ギアオーブンで加熱した後、ギアオーブンから取り出して、2芯導体の長さを計測した。加熱処理後の2芯導体の長さが4.5〜5.5mmの範囲内にあるものを良品と判定し、2芯導体のいずれかの長さが4.5mm未満又は5.5mmを超えたものは不良品と判定した。試験は、N=20で実施した。20本中20本が良品であったものを◎、20本中16本以上19本以下が良品であったものを○、20本中16本未満が良品であったものを×とした。表2及び3に評価結果を示す。
Figure 2018014308
Figure 2018014308
Figure 2018014308
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実施例1〜6においては、エポキシ樹脂のはじき現象の抑制、色相変化及び外観のいずれも良好であった。
実施例7〜19においては、エポキシ樹脂のはじき現象の抑制、色相変化、外観及び絶縁層剥離後の導体長さの均一性のいずれも良好であった。
比較例1〜8は、カルボン酸縮合物の部分エステル化合物が未添加であり、いずれもエポキシ樹脂のはじき現象の抑制が不合格であった。
比較例1においては、(D)高密度酸化ポリエチレンワックスを含有しておらず、A+B+C+Dの合計含量も少なく、また、C/Bの質量比及びA1/(A2+A3)の質量比が小さいため、色相変化の結果が悪かった。
比較例2においては、ポリエチレンワックスを含有するが、(D)高密度酸化ポリエチレンワックスを含有しておらず、C/Bの質量比及びA1/(A2+A3)の質量比が大きいため、色相変化及び外観ともに結果が悪かった。
比較例3においては、(C)ステアロイルベンゾイルメタン及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックスを含有しておらず、C/Bの質量比及びA1/(A2+A3)の質量比が小さいため、色相変化の結果が悪かった。
比較例4においては、(D)高密度酸化ポリエチレンワックスを含有しておらず、A+B+C+Dの合計含量も少なく、また、C/Bの質量比及びA1/(A2+A3)の質量比が小さいため、色相変化の結果が悪かった。また、導体として錫メッキ軟銅線を使用し、可塑剤の量が多いため、絶縁層剥離後の導体長さの均一性の結果も悪かった。
比較例5においては、C/Bの質量比及びA1/(A2+A3)の質量比が大きいため、色相変化及び外観ともに結果が悪かった。また、導体として錫メッキ軟銅線を使用し、可塑剤の量がやや少ないため、絶縁層剥離後の導体長さの均一性の結果も不合格のものが1割以上あった。
比較例6においては、導体として錫メッキ軟銅線を使用し、A+B+C+Dの合計含量が多く、また、A1/(A2+A3)の質量比が小さいため、色相変化の結果が悪く、絶縁層剥離後の導体長さの均一性の結果も不合格のものが2割以上あった。
比較例7においては、色相変化及び外観ともに結果が悪かった。また、絶縁層剥離後の導体長さの均一性の結果も不合格のものが4割あった。
比較例8においては、色相変化及び外観ともに結果が悪かった。また、絶縁層剥離後の導体長さの均一性の結果も不合格のものが1割以上あった。
以上の通り、カルボン酸縮合物の部分エステル化合物を用いることにより、エポキシ樹脂をはじく現象の抑制ができることを見出した。また、(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックスの4種を前述した適量域で用いることにより、塩化ビニル樹脂の塩基性化合物存在下での低温長期の変色抑制ができることを見出した。さらには、上記変色抑制と良好な押出成形(良好な外観)とを両立できることを見出した。また、導体として裸軟銅線を使用し、絶縁層として本発明の実施形態に係る塩化ビニル樹脂組成物を使用した2芯並行絶縁電線において、絶縁層剥離後の導体長さの均一性が優れることを見出した。
なお、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず種々に変形実施が可能である。
10、20、40:絶縁電線、30:ケーブル
1、21、41:導体、2、22、42:絶縁層
3:シース、4:介在、5:押さえ巻きテープ
11:PVC、12:可塑剤、13:エポキシ樹脂
14:カルボン酸縮合物の部分エステル化合物
14a:カルボン酸縮合物部、14b:部分エステル化合物部
15:エポキシ化合物

Claims (22)

  1. 導体と、前記導体の外周に被覆された、塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層とを備え、
    前記塩化ビニル樹脂組成物は、塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物及び可塑剤が含有されている絶縁電線。
  2. 前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する、前記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量が0.01〜10質量部である請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する、前記可塑剤の含有量が25〜70質量部である請求項1又は請求項2に記載の絶縁電線。
  4. 前記塩化ビニル樹脂組成物は、前記ベースポリマーにさらに(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックスが含有されており、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記(A)〜(D)の合計含量が1〜4.5質量部であって、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が0.25〜6である請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  5. 前記(A)脂肪酸金属塩は、(A1)脂肪酸亜鉛塩及び(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩からなり、前記(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩に対する前記(A1)脂肪酸亜鉛塩の含有質量比(A1/A2)が4〜9である請求項4に記載の絶縁電線。
  6. 前記(A2)脂肪酸亜鉛塩以外の脂肪酸金属塩は、脂肪酸カルシウム塩、脂肪酸マグネシウム塩、及び脂肪酸アルミニウム塩から選ばれる1つ以上である請求項5に記載の絶縁電線。
  7. 前記(D)高密度酸化ポリエチレンワックスは、150℃における粘度が2500〜85000cpsの範囲内のものであり、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.01〜2質量部含有される請求項4〜6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  8. 前記(A)脂肪酸金属塩、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、前記(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び前記(D)高密度酸化ポリエチレンワックスの合計含量に対する前記(A)脂肪酸金属塩の含有割合が35質量%以上である請求項4〜7のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  9. 前記可塑剤は、トリメリット酸エステルである請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  10. 前記可塑剤が、トリメリット酸エステルとエポキシ系可塑剤の併用系である請求項1〜8のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  11. 前記エポキシ系可塑剤がエポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル、エポキシ化脂肪酸アルキルエステルのうち1種以上からなる請求項10に記載の絶縁電線。
  12. 前記エポキシ系可塑剤の添加量が塩化ビニル樹脂100質量部に対して0.1〜10重量部からなる請求項10又は請求項11に記載の絶縁電線。
  13. 前記塩化ビニル樹脂組成物は、ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウム、焼成クレー及び酸化チタンのいずれか1種又は2種以上をさらに含有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  14. 塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物、(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、(D)高密度酸化ポリエチレンワックス、及び可塑剤が含有されており、
    前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する、前記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量が0.01〜10質量部、かつ前記(A)〜(D)の合計含量が1〜4.5質量部であって、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が0.25〜6である塩化ビニル樹脂組成物。
  15. 前記導体は、裸軟銅線である請求項1〜13のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  16. 前記絶縁電線は、前記導体を複数本備えた多芯並行絶縁電線である請求項1〜13、15のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  17. 前記導体は、錫めっき厚が0.05〜0.2μmである錫めっき軟銅線であり、前記絶縁電線は、前記導体を複数本備えた多芯並行絶縁電線である請求項1〜13のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  18. 塩化ビニル樹脂を含むベースポリマーにカルボン酸縮合物の部分エステル化合物及び可塑剤が含有されている塩化ビニル樹脂組成物からなるシースを備えたケーブル。
  19. 前記塩化ビニル樹脂組成物は、前記ベースポリマーにさらに(A)脂肪酸金属塩、(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体、(C)ステアロイルベンゾイルメタン、及び(D)高密度酸化ポリエチレンワックスが含有されており、前記塩化ビニル樹脂100質量部に対する前記カルボン酸縮合物の部分エステル化合物の含量が0.01〜10質量部、かつ前記(A)〜(D)の合計含量が1〜4.5質量部であって、前記(B)シアヌル酸誘導体又はイソシアヌル酸誘導体に対する前記(C)ステアロイルベンゾイルメタンの含有質量比(C/B)が0.25〜6である請求項18に記載のケーブル。
  20. 請求項1〜13、15〜17のいずれか1項に記載の絶縁電線を備えた請求項18又は請求項19に記載のケーブル。
  21. 前記絶縁層に接してエポキシ樹脂による封止が施された請求項1〜13、15〜17のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  22. 前記シースに接してエポキシ樹脂による封止が施された請求項18〜20のいずれか1項に記載のケーブル。
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