JP2018013247A - 非接触環状シール - Google Patents

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Abstract

【課題】軸封特性に優れ且つ振動特性にも優れた非接触環状シールを提供すること。
【構成】ポンプの回転部と固定部との対向部位の間隙をシールするための非接触環状シールであって、前記回転部に軸封特性の優れた第1のシール構造45を備え、前記固定部に振動特性の優れた第2のシール構造47を備えている、非接触環状シール。
こと。
【選択図】図3

Description

本発明は、非接触環状シールに係り、特に、非圧縮性流体を扱う回転機械における、羽根車等とケーシングとの間の流体の漏洩量を低減しかつ振動を少なくし、安定した軸封特性を発揮する非接触環状シール、およびこれを用いた回転機械に関する。
液体を移送する回転機械(以下、「ポンプ」という)は、発電、化学プロセス、下水道、上水道、など各種のプラントや設備に幅広く使用されている。ポンプは、ケーシング内部に羽根車を装着した回転軸が、軸受により回転自由に支持されている。そして、吸込口から吸込まれた液体を、羽根車の回転により昇圧し、吐出口から吐出させる。ポンプ内部の流路において、固定部(ケーシング)と回転部(回転軸)との僅かな隙間は非接触でシールされ、昇圧された液体の低圧側への漏洩が少なくなるようにしている。これは、高圧側から低圧側への流体の漏洩が、ポンプ効率を低下させる大きな要因となるからである。
図1に示す典型的な多段遠心ポンプ(JISハンドブック ポンプ 第1版 第74頁から引用)を例にとると、非接触環状シールは、羽根車入口部や次の羽根車との間、最終羽根車出口と低圧側(ポンプ入口圧力)との間などに用いられることが多い(図中の円で囲まれた部位)。特に羽根車出口と低圧側の間は高圧側と低圧側の差圧が大きく、液体の漏洩が大きくなり、ポンプ性能に与える影響が大きい。このため、漏洩量を減らすことのできる様々な構造の非接触環状シールが考案されている。最も基本的な非接触環状シールとしては、平滑シール(シール内の固定部と回転部による流路が平行で平滑である二重円筒からなるシール)であるが、これに比べて、漏洩量が少なくなるシール構造として、平行溝シール、ダンパーシール、ネジ溝シール等がある。
平行溝シールとは、図7に示すように、シール内流路の回転部(回転軸111)の外周面は平滑であるが、固定部の表面に同心円状の溝をいくつも設けた構造の平行溝シール136である。この平行溝シール136は、シール内を流れる流体が溝を通過する際に発生する渦によるエネルギー損失や、流路の急拡大、急縮小に伴う圧力損失等による影響を受け、液体の漏洩量を低減することのできるシールである。
一方、ダンパーシールとは、図8、9に示すように、シール内流路の回転軸111の外周面は平滑であるが、シール流路の固定部の表面に複数の凹凸部を設けた構造である。この凹凸の形状としては、図8に示すハニカムパターン137や図9に示すホールパターン138等がある。ハニカムパターン137のシール構造の場合には、シールの固定部の表面がハニカム構造であり、多数の六角形の凹部を有している。この凹凸面を流れる流体の圧力損失により、流体の漏洩を減少させている。ホールパターン138のシールは、シールの固定部の表面に多数の円形凹部を設け、この凹凸部と回転軸111との隙間を流れる流体の圧力損失により、流体の漏れを減少させている。
また、図10に示すような、ネジ溝シール145というものもある。このネジ溝シール145は、回転部または固定部のいずれか、もしくは両方のシール部(図では、回転軸111)にネジを形成した構造である。このため、回転軸が回転すると、回転方向によっては、ポンピング効果によって流体を高圧側に押し戻し、漏洩量を大きく減少させることができる。これは、ネジ溝シールの大きな利点である。しかし、ポンピング効果により流体を高圧側に押し戻すため、このシールは、水などの液体である非圧縮性流体に使用される場合に、その実力を発揮する。
上述のように、非接触環状シール技術で重要なことの一つは、軸封特性である。しかし、軸封特性の他に、振動特性も重要であり、軸封特性と振動特性との調和を図ることも重要な点である。ポンプには、様々な原因によって振動が発生するが、振動の原因の一つは不安定流体力である。不安定流体力は、シール内の流体の流速が円周方向成分を持った状態で軸が径方向に変位して、シール内の流体の流速の円周方向分布に不平衡が起こることで生じる力である。
一般的に、非接触環状シールの軸封特性と振動特性とはトレードオフの関係にあり、一つのシール構造で軸封性能と振動特性の両方に良好な性能を有するものはない。軸封特性と振動特性を平滑シールと他のシール構造で比べた場合、概ね以下のようなことが言える。すなわち、平行溝シールは、軸封特性は優れているが、シール内液膜の剛性効果、減衰効果は期待できず、振動特性が悪くなる。
一方、ネジ溝シールは、軸回転の方向により高圧側に流体を押し返すため、優れた軸封特性を有する。しかし、反面、高圧側に流体を押し返すのに流体に周方向の力を与えるため、不安定振動発生の大きな原因となり、振動特性に関しては大きなデメリットを持つシールである。
また、ダンバーシールは、流路面の凹凸によるエネルギー損失が大きく、上述の平行溝シールやネジ溝シールと比較して振動の減衰効率が優れており、回転軸の振動を安定化させる。しかし、軸封特性は際立って良いというわけではなく、平行溝シール、ネジ溝シールほどには期待できない。
本願発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、平滑シールに比べて、平行溝シールは漏れ防止性能に優れているが、振動特性が悪くなる。ネジ溝シールは、軸回転に伴い高圧側に流体を押し返すため、非常に優れたシール特性を有するが、流体の流速に周方向成分を与え不安定振動発生の大きな原因をつくり、振動特性が極めて悪い。ダンバーシールは振動減衰効果が優れており、軸の振動を低減することができるが、軸封特性は平行溝シール、ネジ溝シール程には期待できない。このように各シールともに長所、短所を有し、一つで軸封特性、振動特性共に優れているというシール構造は現在存在しない。
本発明が解決しようとする課題は、羽根車を取付けた軸を回転させ、流体を移送する回転機械において、羽根車によって昇圧された流体が低圧側に漏れることを低減し、回転機械の効率を上げ、且つ、回転機械の振動を少なくする非接触環状シール及び、その非接触環状シールを備えた回転機械(ポンプ)を提供することである。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の手段では、ポンプの回転部と固定部との対向部位の間隙をシールするための非接触環状シールであって、前記回転部に軸封特性の優れた第1のシール構造を備え、前記固定部に振動特性の優れた第2のシール構造を備えている非接触環状シールである。
第2の手段では、前記第1のシール構造は、前記回転部に設けられたネジ溝シール構造であり、前記第2のシール構造は、前記固定部に設けられたダンパーシール構造である、第1の手段に記載の非接触環状シールである。
第3の手段では、前記ダンパーシール構造は、ハニカムパターン凹部又はホールパターン凹部である、第2の手段に記載の非接触環状シールである。
第4の手段では、前記ハニカムパターン凹部を構成する六角形穴の最長対角線の長さ若しくはホールパターンを構成する円形穴の直径は3〜7mmであり、隣接する2つの六角形穴または2つの円形穴の相互間距離は4〜9mmである、第3の手段に記載の非接触環状シールである。
第5の手段では、電動機と、前記電動機と連結されて回転する主軸と、前記主軸に嵌合されてこの主軸と共に回転する羽根車と、前記羽根車を収容するケーシングと、前記ケーシングに取り付けられて、前記主軸を回転自在に支持する軸受と、上記第1から4の手段の何れかに記載の非接触環状シールを備える回転機械である。
上記手段によれば、非接触環状シールの中で第1のシール構造としてのネジ溝シールは、その軸封特性としてポンピングにより高圧側へ流体を押し戻すため、優れた軸封特性を有する。一方、軸封特性はそれほど高くはないが、ネジ溝シールの欠点とも言うべき振動特性(振動減衰効率)が優れている、第2のシール構造としてのダンパーシールもある。これらを組み合わせたことにより、各々単独のシール構造では解決できなかった互いの欠点を相殺し、互いの長所を生かすことができる。
ネジ溝シールは既に述べたように、ポンピング効果により流体を高圧側に押し戻すため、空気など気体である圧縮性流体には効果が低いかもしれないが、液体などの非圧縮性流体には効果的である。従って、取り扱う流体を非圧縮性流体に限定することが望ましい。また、ダンパーシールには、ホールパターンシールよりも振動減衰効果の高いハニカムパターンシールを用いることがより好ましい。即ち、ネジ溝シールとハニカムシールとを対向させて組み合わせた非接触環状シールがより好ましいといえる。更に好ましくは、回転部にネジ溝シールを用い、固定部にハニカムシールをネジ溝シールを中心線に対し対向して同心円状に設置する方が良い。
本発明によれば、回転部にネジ溝シールを設け、固定部にネジ溝シールと対向させかつ同心円状にハニカムシールを組み合わせている。このため、ネジ溝シールの軸封特性を生かすと同時に、ネジ溝シールの振動に対する不安定性を振動減衰特性の良好なハニカムシールが補足する事により、軸封特性が優れかつ回転軸の振動の少ないシールを提供することが可能となった。即ち、ポンピング効果により高圧側へ流体を押し返すネジ溝シールの優れた軸封特性を生かし、同時にネジ溝シールのでは低減できない振動を、振動減衰効果に優れたハニカムシールで低減させることにより、軸封特性が優れ且つ振動の少ない(振動特性の優れた)非接触環状シールを実現することができた。
非接触環状シールが設置される多段遠心ポンプの断面図である。 図1に開示した多段遠心ポンプの羽根車の拡大断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る非接触環状シール構造図であり、図3(A)は全体概要を示し、図3(B)はハニカムパターンシールの表面を示している。 本発明の第2の実施形態に係る非接触環状シール構造図であり、図4(A)は全体概要を示し、図4(B)はホールパターンシールの表面を示している。 従来技術と本発明に係る非接触環状シールの軸封性能を比較したグラフである。 従来技術と本発明に係る非接触環状シールの振動性能を比較したグラフである。 従来の平行溝シールの構造図である。 従来の平滑シールとハニカムパターンシールの組み合わせの構造図である。 従来の平滑シールとホールパターンシールの組み合わせの構造図である。 従来のネジ溝シールと平滑シールの組み合わせの構造図である。
次に、図面を参照しながら、本願発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明はあくまでも実施形態を例示するものであり、本願発明の技術的範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下に説明する各構成要素は、単独或いは任意の組み合わせで、発明を構成することができる。
[ポンプの全体概要]
図1は、本実施形態に係る非接触環状シールが適用される、高圧ポンプ(多段遠心ポンプ)1の断面図を示す。この断面図を用いて、流体の流れ漏洩箇所について説明する。この高圧ポンプは、電動機に連結されて回転する主軸11と、主軸11に嵌合されてこの主軸11と共に回転する羽根車21a、21b、21cと、羽根車21a、21b、21cを収容するケーシング31と、ケーシング31に取り付けられて、主軸11を回転自在に支持する軸受41a、41bとを備えている。この高圧ポンプを回転駆動するための電動機(図示略)は、主軸11の左端に嵌合されたカップリング13を介して連結される。
主軸11に締結された1段目羽根車21aは、主軸11の回転に伴い回転し、吸込み口33から流体をポンプ内へと導く。1段目羽根車21aにより昇圧された流体は、第1流路35aを通り、2段目羽根車21bへと導かれる。2段目羽根車21bによって昇圧された流体は、第2流路35bを通過し3段目羽根車21cへと導かれる。流体は3段目の羽根車21cで更に昇圧されて、吐出し口37より吐出され、図示していない配管によって移送される。すなわち流体は、1段目羽根車21a、2段目羽根車21bそして3段目羽根車21cによって昇圧されるのである。
流体には、各羽根車21a、21b、21cの吸込側と吐出側に必ず低圧側と高圧側が生じる。高圧側と低圧側が生じれば、必ず僅かな隙間を通して、高圧側から低圧側へ一部の流体は漏洩しようとする。それを封じるのが本実施形態の非接触環状シールである。図1のポンプでは、円で囲んだ部位に非接触環状シールが設けられる。当然ながら、液体の漏洩量が多ければポンプ効率は低下する。高圧ポンプは羽根車を何段も重ね、流体の圧力を高くしている。圧力が通常のポンプに比べ高くなる分、シールが難しいのは当然である。
図2は、図1に開示した羽根車21a、21b、21cの内の、1段目羽根車21aの拡大図を示す。ポンプにおける流体の漏洩箇所は主に、羽根車吸込口23の外周面とケーシング31aとの対向部位Xと、羽根車21aの背面の外周面とケーシング31bとの対向部位Yである。これら各対向部位X,Yに形成される隙間に、本実施形態に係る非接触環状シール41、43が設置される。
図2を用いて流体の漏洩のメカニズムを説明する。主軸11に嵌合された羽根車21aは、主軸11が回転すると同時に回転して、羽根車吸込口23から流体を吸込む。吸込まれた流体は、回転する羽根によってエネルギーを与えられ、流路内で高圧となり吐出される。吐出された高圧の流体は、多段ポンプであればケーシング31の流路を流れ次の2段目羽根車21bに移送される。単段ポンプ(図示略)の場合であれば、ケーシングの流路を通り吐出配管へと導かれる。勿論、多段ポンプであっても最終段の羽根車であれば、ケーシング31の流路から吐出し配管へと導かれる。しかし、高圧側の吐出口25から流れ出る流体のごく一部は、羽根車21aとケーシング31a、31bとの間の僅かな間隙から、低圧側に流れ出る。流れ出た流体は漏洩流体であり、当然ながらポンプの効率を低下させる。
ポンプの効率を低下させないために、通常のポンプの場合、図2に示すように、回転部としての羽根車21aと固定部としてのケーシング31a、31bの間隙に、非接触環状シール41、43を設けて隙間を狭くし、漏洩流量を少なくする工夫をしている。
しかし、高圧ポンプのように流体を高圧にするポンプの場合、羽根車21aの背面の高圧側の圧力と低圧側の圧力の差が大きく、平滑な面同士が対向する非接触環状シールが作り出すような隙間程度(数百μm)では、流体の漏洩量は大きい。このため、漏洩量を低減するためには、更にその隙間を狭くして、軸封特性を向上させなくてはならない。しかし、漏洩防止のために隙間を狭くすると、回転部と固定部の接触などの問題が生じるため、隙間を狭くするにはおのずと限界がある。
この漏洩を防ぐためのシール構造に関し、過去様々な工夫がされてきた。具体的には、既述した平行溝シール、ダンバーシール、ネジ溝シールなどがそれである。これらのシール構造は、シールの対向部位の表面に、溝や凹凸を設けて圧力損失を増やし、流体の圧力を低下させて漏洩流量を減少させるものである。しかし、各々のシール構造には、軸封特性が良ければ振動特性が悪かったり、逆に振動特性が良ければ軸封特性が悪いという特徴がある。
上記軸封特性に鑑み、一つのシール構造だけでは、優れた軸封特性を有するシール構造を実現することは出来ないので、複数の異なるシール構造を組み合わせて、流体の漏洩量を低減することを考えた。
[第1の実施形態]
第1の実施形態で用いる非接触環状シールとしては、軸封特性は優れているが振動特性については考慮しないシールとして、もっとも軸封性能の高いネジ溝シールを採用した。一方、軸封特性は考慮せず振動特性が優れたシールとして、ダンバーシールを採用した。ダンパーシールの中でも、特に軸封性能、振動特性が良好なハニカムパターンシールを採用した。
図3は、ネジ溝シール45とハニカムパターンシール47とを組み合わせた、非接触環状シールの構造を模式的に示す図である。この図において、回転軸11の表面には、非接触環状シールの長さに合わせてネジ溝シールが形成されている。そのネジ溝シールと対向する位置に、環状のハニカムパターンシール47が配置されている。ハニカムパターンシール47は、回転軸11の中心軸に対して同心円状に位置決めされている。ネジの外径とハニカムパターンシール47の内径との半径方向隙間は、軸径などの回転機械の寸法条件にもよるが、概ね数百μm程度である。また、ハニカムパターンの凹部の形状は様々あるが、本実施形態に用いた六角形状穴の径(最長対角線の長さに相当)が3〜7mm、隣接する六角形状穴の相互間距離が4〜9mmのシールである。
本実施形態の非接触環状シールを、図1と同様の構造を持つ多段遠心ポンプにおける回転部と固定部との対向部位に設置して運転したところ、軸封特性が良くなり揚水性能が数%向上した。また、これまで軸封特性の良いシールの場合には回転軸の不安定な振動があったが、振動の少ない安定的な運転ができるようになった。
高圧側から低圧側に漏洩しようとする流体が水である場合は、それは非圧縮性流体である。このため、図3における回転部側のネジ溝シール45のポンピング効果が、圧縮性流体の漏洩量より大きく、これによって高圧側に流体が押し戻される。但し、この時、シール内の流体の周方向流速も大きくなり、不安定流体力が発生し、振動の原因となることが懸念される。しかしながら、ネジ溝シール45に対向する位置にはダンパーシールを設置した。このため、ダンパーシール、特にハニカムパターンシール47が、振動減衰効果を
発揮して振動を低減するように働き、懸念された振動が抑えられる。尚、ダンパーシールは、そのシール構造が有する凹凸により圧力損失を生じさせ、流体の漏洩量を減少させる効果もある。
以上述べたように、本実施形態に係る非接触環状シールは、回転軸11にネジ溝シール45を設けると共に、それに対向する固定部側の表面にダンパーシール、特にハニカムパターンシール47を組み合わせたことで、流体の漏洩が少なく振動特性の良いシール、およびそれを具備したポンプ(回転機械)を提供することができた。
ネジ溝シール45およびハニカムパターンシール47の材質は、SUS材、SS材、NI系合金、黄銅など金属系材料であればよく、場合によっては、複合材料、セラミックス材料、樹脂材料等であってもよい。また、ネジ溝シール45の最適なネジ溝形状(ピッチや幅、溝深さ)は、シール部に求められる条件により変わるが、流体の漏洩を低減できるピッチであれば任意でよく、特定のピッチ値に限定されるものではない。また、ハニカムパターンシールの六角形状穴の径、相互に隣接する六角形状穴の相互間距離、六角形状穴の深さ等についても、軸封条件によって最適値が異なるため、特定の寸法に限定されるものではない。
また、上記説明では、回転部(回転軸側)にネジ溝シールを設けた場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、固定部(ケーシング)側にネジ溝シールを設けると共に、回転部側にハニカムパターンやホールパターンのダンパーシールを設けるようにしてもよい。
[第2の実施形態]
次に、図4に基づいて、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、固定部側にホールパターンシール46を用いた非接触環状シールである。回転部側のネジ溝シールは図3に開示したものと同一であるので、以下では固定部側の構造についてのみ説明する。固定部側には、回転軸11のネジ溝シールを取り囲むように、環状のホールパターンシール46が形成されている。ホールパターンシール46は、固定部側の内周面に多数の円形穴(ホールパターンの凹部)が形成された構造である。 本発明に用いた円形穴の直
径は3〜7mmであり、相互に隣接する円形穴の間の距離は4〜9mmである。但し、これらの値も一例であって、これらの値に限定されるものではない。
当該実施形態のホールパターンシール36も、ネジ溝シールが形成された回転軸と同心状の関係となっている。なお、図に示すホールパターンシール36では、円形状穴が規則正しく配列されている。しかしながら、円形状穴は不規則に配列しても、回転軸の振動を低減することは可能である。この点は、上述のハニカムパターンシールを用いる場合も同様である。
[実験結果]
出願人は本実施形態に係る非接触環状シールを開発するにあたり、軸封特性と振動特性に関し、様々な種類のシール構造の比較を行った。比較は、軸封性能(漏洩流量)と振動特性(不安定性)に関して、従来技術(1)から(5)と、本実施形態(6)、(7)とによって行った。すなわち、従来技術としては、(1)平滑シール(回転部側:平滑+固定部側:平滑)
、(2)平行溝シール(回転部側:平滑+固定部側:平行溝)、(3)ダンパーシール(回転部側:平滑+固定部側:ハニカムパターン)、(4)回転部側ネジ溝シール(回転部側:ネジ
溝+固定部側:平滑)、(5)両側ネジ溝シール(回転部側:ネジ溝+固定部側:ネジ溝)
を比較例とした。一方、(6)および(7)が本実施形態に係る非接触環状シールであり、回転部側:ネジ溝+固定部側:ダンパーシールの組み合わせである。より詳しくは、(6)回転
部側:ネジ溝+固定部側:ホールパターン、(7)回転部側:ネジ溝+固定部側:ハニカム
パターンの性能を比較した。
図5は、作動媒体を水とした場合に、回転軸11の回転数が3000rpmでシール前後の圧力差が約1.0MPaであるときの、各シールの軸封特性(性能)を示しており、値が小さいほど良好な軸封特性であることを示している。この結果より、シールにとって最も重要な軸封性能が良いのは、従来技術では(5)両側ネジ溝シールであり、本実施形態
に係る発明である(6)および(7)の回転部側:ネジ溝+固定部側:ダンパーシールの組み合わせは、従来技術の両側ネジ溝シール並みに良く、特に、(7)の回転部側:ネジ溝+固定
部側:ハニカムパターンシールが良いことがわかる。
次に、図6は図5の場合と同一の条件下における各シールの振動特性を示している。振動特性は等価な減衰として指標化されている。本図では値が大きくなるほどシール単体での安定化作用が大きく、数値がマイナスになるとシール単体では不安定であることを示している。図示された結果からわかることは、振動特性は(3)回転部側:平滑+固定部側:
ダンパーシール(ハニカム)がもっとも良好で、(1)両側平滑シールおよび(2)固定部側:平行溝シール+回転部側:平滑が続いて良い、ということである。本実施形態の回転部側:ネジ溝+固定部側:ダンパーシールの組み合わせは、これらに次いで良いことがわかる。
以上の結果より、高い軸封性能を持ちながら良好な振動特性を示す条件を備えているシール構造としては、本実施形態の(7)回転部側:ネジ溝+固定部側:ダンパーシール(ハ
ニカム)がもっとも優れたシール構造であることが分かる。なお、(6)回転部側:ネジ溝
+固定部側:ダンパーシール(ホールパターン)の場合でも、(7)に比べて、軸封特性お
よび振動特性が僅かに劣るだけであって、両特性の調和は、従来技術の組み合わせ(1)か
ら(5)と比べて良好である。
本発明は、ポンプなどの回転機械の非接触環状シールに利用することができる。
11 ポンプ主軸
21a 1段目羽根車
21b 2段目羽根車
21c 3段目羽根車
33 ポンプ吸込口
35a、35b、35c 流路
37 ポンプ吐出口
41 非接触シール
43 非接触シール
36 低圧側流路
45 ネジ溝シール
47 ダンパーシール(ホールパターン)
47 ダンパーシール(ハニカムパターン)

Claims (5)

  1. ポンプの回転部と固定部との対向部位の間隙をシールするための非接触環状シールであって、
    前記回転部に軸封特性の優れた第1のシール構造を備え、
    前記固定部に振動特性の優れた第2のシール構造を備えている、非接触環状シール。
  2. 前記第1のシール構造は、前記回転部に設けられたネジ溝シール構造であり、
    前記第2のシール構造は、前記固定部に設けられたダンパーシール構造である、請求項1に記載の非接触環状シール。
  3. 前記ダンパーシール構造は、ハニカムパターン凹部又はホールパターン凹部である、請求項2に記載の非接触環状シール。
  4. 前記ハニカムパターン凹部を構成する六角形穴の最長対角線の長さ若しくはホールパターンを構成する円形穴の直径は3〜7mmであり、隣接する2つの六角形穴または2つの円形穴の相互間距離は4〜9mmである、請求項3に記載の非接触環状シール。
  5. 電動機と、
    前記電動機と連結されて回転する主軸と、
    前記主軸に嵌合されてこの主軸と共に回転する羽根車と、
    前記羽根車を収容するケーシングと、
    前記ケーシングに取り付けられて、前記主軸を回転自在に支持する軸受と、
    上記請求項1から4の何れかに記載の非接触環状シールと、を備えている回転機械。
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