JP2018010187A - 開胸シミュレータ - Google Patents

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明美 石山
Akemi Ishiyama
明美 石山
元文 石森
Motofumi Ishimori
元文 石森
小崎 浩司
Koji Ozaki
浩司 小崎
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Abstract

【課題】従来よりもリアリティに富み、実際の手術の雰囲気により近い状況で心臓手術の手技訓練を可能とする開胸シミュレータを提供する。【解決手段】開胸シミュレータ110は、模擬心臓12を載置するための載置台112と、載置台112の周囲を覆うとともに、上壁126を有し、上壁126には模擬心臓12を露出させる開口部127が設けられた筐体114と、開口部127に設けられ、互いに接近及び離間する左右方向に変位可能な一対の可動蓋部材115と、一対の可動蓋部材115を互いに閉じる方向に弾性的に付勢する弾性部材118とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、心臓手術の訓練に用いられる開胸シミュレータに関する。
近年、心筋梗塞等の虚血性心疾患をもつ患者に対しては、カテーテルを利用した冠動脈拡張術やステント留置術に代表されるカテーテル治療が行われている。カテーテル治療は、患者に対して低侵襲であるものの、再狭窄の可能性があり、狭窄の程度によっては適用できない場合もある。
一方、カテーテル治療以外の処置方法としては、冠動脈バイパス手術(CABG)がある。冠動脈バイパス手術は、患者の胸部を開いて心臓を露出させ、狭窄又は閉塞の起こっている冠動脈に、他の血管から血液を送るためのバイパス用血管を吻合する。従来の冠動脈バイパス手術では、人工心肺装置を使用して体外循環を行うオンポンプCABGが行われてきた。しかし、オンポンプCABGは、心停止による心臓への負担、臓器の機能低下、免疫力の低下等の危険性がある。
このようなオンポンプCABGの危険性を回避するため、近年、心拍動下でバイパス手術を行う心拍動下冠動脈バイパス手術(オフポンプCABG)も行われるようになっている。オフポンプCABGでは、スタビライザと呼ばれる医療器具を用いて、冠動脈の縫合する部分のみ動きを止めて、心臓が動いている状態のまま手術を行う。オフポンプCABGは、技術的難易度が高い術式であるため、外科医にとっては訓練が必要不可欠である。
ところで、心臓手術の訓練に用いられるシミュレータ(トレーニング装置)が下記特許文献1に開示されている。このシミュレータは、板状のベースと、ベースに取り付けられた複数の支持アームと、支持アームに取り付けられたヒト又は動物から摘出された臓器の一例としての心臓とを備える。
米国特許出願公開第2014/0087344号明細書
特許文献1のシミュレータでは、ベース上に支持アームを介して心臓が支持されているだけであるため、シミュレータを使用した訓練は、心臓の周囲が露出した状態から開始することになる。しかしながら、実際の心臓手術では、患者の胸部を開胸器で開胸する手技も行われる。従って、実際の手術により近い雰囲気を提供することが望まれる。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、実際の手術の雰囲気により近い状況で心臓手術の手技訓練を可能とする開胸シミュレータを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の開胸シミュレータは、模擬心臓を載置するための載置台と、前記載置台の周囲を覆うとともに、上壁を有し、前記上壁には前記模擬心臓を露出させるための開口部が設けられた筐体と、前記開口部に設けられ、互いに接近及び離間する左右方向に変位可能な一対の可動蓋部材と、前記一対の可動蓋部材を互いに閉じる方向に弾性的に付勢する弾性部材と、を備えることを特徴とする。
上記の構成を採用した本発明の開胸シミュレータによれば、筐体の上壁の開口部には、左右方向に変位可能であって弾性部材によって閉じる方向に付勢された一対の可動蓋部材が配置されている。このため、開胸器をセット(位置合わせ)するところから、心臓手術の手技訓練が可能である。従って、実際の手術により近い雰囲気を提供することができる。また、術者の好みに応じて開胸の大きさを任意に変えられるため、術者がやりやすいトレーニング環境(視野)を提供することができる。
上記の開胸シミュレータにおいて、前記一対の可動蓋部材が可動範囲内で互いに最も近づいた状態で、前記一対の可動蓋部材の間には隙間が形成されてもよい。
この構成により、初期状態で一対の可動蓋部材間に隙間が形成されているため、開胸器を装着しやすい。
上記の開胸シミュレータにおいて、前記弾性部材は、弾性材料によってリング状に構成されており、前記一対の可動蓋部材に掛けられてもよい。
これにより、弾性部材を簡易構成で実現できるとともに、分解清掃が簡単である。
上記の開胸シミュレータにおいて、前記弾性部材は、前記一対の可動蓋部材の開閉方向と直交する方向の両端部において、前記一対の可動蓋部材間を延在してもよい。
この構成により、手技訓練の際に弾性部材が邪魔になることがない。
上記の開胸シミュレータにおいて、前記模擬心臓は、動物の心臓であり、前記載置台は、前記模擬心臓の外形形状に倣って形成された載置凹部を有し、前記載置凹部に模擬心臓が載置された状態で、前記模擬心臓はヒトの心臓と同様の向きで保持されてもよい。
この構成により、誰がやっても簡単に、ヒトの心臓と同様の向きに模擬心臓を載置台に載せることができる。
上記の開胸シミュレータにおいて、前記載置台は、硬質材料で構成された基台と、前記基台の上部に装着可能又は前記上部に固定され、前記載置凹部が設けられた軟質樹脂製の受け部材とを有してもよい。
この構成により、軟質樹脂製の受け部材により模擬心臓の形状個体差を吸収することで所定の向きで安定して保持できるとともに、硬質の基台により模擬心臓を安定して支持することができる。
上記の開胸シミュレータにおいて、前記筐体は、前記載置台の通過を許容する下部開口部を有してもよい。
この構成により、手術台に載置台をセットした後に、筐体をセットすることができるため、開胸シミュレータのセットアップが容易となる。
上記の開胸シミュレータにおいて、前記筐体内に収容可能であり、前記載置台を載置可能な内側トレイをさらに備えてもよい。
この構成により、内側トレイで血液を受け止めることができ、使用後の清掃が楽になる。
本発明の開胸シミュレータによれば、実際の手術の雰囲気により近い状況で心臓手術の手技訓練が可能となる。
手技シミュレータの全体概略構成図である。 チューブホルダの大動脈への固定状態を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る開胸シミュレータの斜視図である。 上記開胸シミュレータの分解斜視図である。 載置台の断面図である。 蓋部、一対の可動蓋部材及び弾性部材の分解斜視図である。 上記開胸シミュレータに心臓をセットした状態の断面図である。 上記開胸シミュレータに開胸器をセットした状態の平面図である。 上記開胸シミュレータに開胸器をセットした状態の断面図である。
以下、本発明に係る開胸シミュレータについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。
図1に示す手技シミュレータ10は、動物の心臓12と、心臓12の左心室12Lに挿入される第1バルーン14と、心臓12の右心室12Rに挿入される第2バルーン16と、第1バルーン14及び第2バルーン16を拡張及び収縮させるポンプシステム18と、心臓12の冠動脈13(左廻旋枝13a、左前下行枝13b、右冠動脈13c)に血液Bを直接供給する血液供給部20とを備える。この手技シミュレータ10は、外科医がオフポンプCABGの訓練を行う際に用いられる。
心臓12は、ヒトの模擬心臓として用いられるものであり、例えば、哺乳類の心臓が挙げられる。特に、ブタの心臓は、ヒトの心臓と構造や大きさが比較的近いことから、手技訓練用の心臓12として好適である。また、ブタの心臓は、比較的安価で入手も容易である。なお、心臓12としてはブタ以外の哺乳類の心臓、例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ等の心臓を用いてもよい。
第1バルーン14及び第2バルーン16は、作動液Lの給排により拡張及び収縮するように構成された袋状の部材である。第1バルーン14及び第2バルーン16は、スムーズな拡張及び収縮を行うため、弾力的伸縮性を有する材料(例えば、シリコーンゴム等のゴム材、エラストマー材)により構成されるのがよい。
第1バルーン14は、大動脈15を介して心臓12の左心室12Lに挿入可能であり、左心室12L内で拡張及び収縮することにより、心臓12の左心室12Lの収縮運動を模擬できるように構成されている。第2バルーン16は、肺動脈17を介して心臓12の右心室12Rに挿入可能であり、右心室12R内で拡張及び収縮することにより、心臓12の右心室12Rの収縮運動を模擬できるように構成されている。心臓12において、左心室12Lは右心室12Rよりも大きい。このため、第1バルーン14は、自然状態及び拡張状態の大きさ(太さ及び長さ)において、第2バルーン16よりも大きく形成されている。
第1バルーン14は、ポンプシステム18における通液ラインを構成する第1チューブ40に接続されている。第2バルーン16は、ポンプシステム18における通液ラインを構成する第2チューブ46に接続されている。
ポンプシステム18は、遠心ポンプ22と、遠心ポンプ22を制御するコントローラ24と、第1バルーン14と遠心ポンプ22とを接続する第1ライン26と、第2バルーン16と遠心ポンプ22とを接続する第2ライン28と、第2ライン28に接続されたリザーバ30とを有する。ポンプシステム18は、回路内で作動液Lを流動させることにより、第1バルーン14及び第2バルーン16を拡張及び収縮させる。作動液Lは、例えば、水である。作動液Lが液体の場合、術者が心臓12に触れたときの感触がより実物に近づく。
遠心ポンプ22は、ポンプ本体32と、ポンプ本体32を駆動する駆動部34とを有する。ポンプ本体32は、流入ポート36a及び流出ポート36bが形成されたハウジング36と、ハウジング36内に回転可能に配置されたインペラ38とを有する。インペラ38の回転中、流入ポート36aからインペラ38の中心部に流入した作動液Lは、インペラ38の回転に伴って加速されながらインペラ38の外周側へと流れ、流出ポート36bから吐出される。
コントローラ24は、遠心ポンプ22と第1バルーン14及び第2バルーン16との間で作動液Lを流動させ、作動液Lを介して第1バルーン14及び第2バルーン16を拡張及び収縮させるように遠心ポンプ22を制御する。具体的に、第1バルーン14及び第2バルーン16の動作によって心臓12の拍動を模擬するため、コントローラ24は、インペラ38が回転と停止を交互に繰り返すように遠心ポンプ22の駆動部34を制御する。
コントローラ24は、制御用プログラムを格納した専用コンピュータであってもよく、あるいはPC等の汎用コンピュータに制御用プログラムをインストールしたものであってもよい。
第1ライン26は、ポンプシステム18における流体回路の一部を構成する管状体であって、一端部が遠心ポンプ22に接続され、他端部が第1バルーン14に接続されている。本実施形態では、第1ライン26の一端部は、遠心ポンプ22の流出ポート36bに接続されている。第1ライン26は、第1バルーン14側を構成する第1チューブ40と、遠心ポンプ22側を構成する第1ポンプ側チューブ42とを有し、第1チューブ40と第1ポンプ側チューブ42とはコネクタ50を介して接続される。
第2ライン28は、ポンプシステム18における流体の回路の一部を構成する管状体であって、一端部が遠心ポンプ22に接続され、他端部が第2バルーン16に接続されている。本実施形態では、第2ライン28の一端部は、遠心ポンプ22の流入ポート36aに接続されている。第2ライン28は、第2バルーン16側を構成する第2チューブ46と、遠心ポンプ22側を構成する第2ポンプ側チューブ48とを有し、第2チューブ46と第2ポンプ側チューブ48とはコネクタ44を介して接続される。
なお、上記構成の変形例として、第1ライン26の一端部が遠心ポンプ22の流入ポート36aに接続され、第2ライン28の一端部が遠心ポンプ22の流出ポート36bに接続されてもよい。
第2ライン28の一端部と他端部との間を構成する中間部には、回路内の作動液Lの一部を貯留するリザーバ30が接続されている。図1において、リザーバ30は、槽30Aの形態を有する。ある変形例において、リザーバ30は、ゴム材等の弾力的伸縮性を有する材料で形成されたバルーンの形態を有していてもよい。
血液供給部20は、心臓12の3本の冠動脈13(左廻旋枝13a、左前下行枝13b、右冠動脈13c)に血液Bを落差圧により供給するように構成及び配置される。具体的に、本実施形態において、血液供給部20は、3本の冠動脈13にそれぞれ挿入されるように構成された3つの血液チューブ52と、3つの血液チューブ52に接続された血液バッグ54とを有する。
図1に示す構成例の場合、各血液チューブ52は、カテーテルの形態を有する。すなわち、血液チューブ52は、可撓性を有する長尺なチューブ状本体56と、チューブ状本体56の基端部に接続されたハブ58とを有する。チューブ状本体56は、心臓12の冠動脈13の内径よりも細く形成されている。
ハブ58は、三連活栓60の出口ポート62a〜62cにそれぞれ接続されている。三連活栓60の入口ポート64は、チューブ66を介して血液バッグ54に接続されている。三連活栓60は、3つのコック61a〜61cを有し、コック61a〜61cを個別に回動操作することにより、血液バッグ54と血液チューブ52との間の連通・遮断を切り換えられるように構成されている。
血液バッグ54に収容され、冠動脈13へと供給される血液Bは、人工物でもよいが、動物から採取された血液がより好ましい。血液Bとしては、心臓12と同じ動物の血液であるのがよい。従って、心臓12としてブタの心臓を用いる場合にはブタの血液を用いるのがよい。なお、心臓12と血液Bは、別々の動物のものであってもよい。
図2に示すように、血液チューブ52はさらに、冠動脈13への固定用バルーンとして、チューブ状本体56の先端外周部に設けられた拡張及び収縮可能な拡張部70を有する。拡張部70は、例えば、弾力的伸縮性を有する材料(ゴム材、エラストマー材等)によって構成され、拡張用流体(例えば、空気、水等)の給排によって、拡張及び収縮する。図2では、拡張状態の拡張部70が示されている。
冠動脈13内で拡張部70が拡張することにより、血液チューブ52(チューブ状本体56)の先端部が冠動脈13から抜け出ることが抑制される。また、血液チューブ52を介して冠動脈13内に導入された血液Bが、大動脈15側に漏れ出ることが抑制される。図1に示すように、ハブ58には、拡張部70に対する拡張用流体の給排を行うための図示しないデバイス(例えば、シリンジ)が接続可能な拡張用ポート59が設けられている。拡張用ポート59は、チューブ状本体56に形成された図示しない拡張用ルーメンを介して拡張部70の内腔と連通している。
図2に示すように、手技シミュレータ10は、さらに、第1チューブ40及び3本の血液チューブ52を大動脈15に固定するためのチューブホルダ72を備える。チューブホルダ72は、外力を加えた際に容易に変形可能な軟質材料(例えば、シリコーンゴム等のゴム材やエラストマー材等)により構成されるのがよい。
チューブホルダ72は、全体として円筒形である。チューブホルダ72には、第1チューブ40が挿通される第1チューブ保持孔74と、3本の血液チューブ52(チューブ状本体56)が挿通される血液チューブ保持孔76が、軸方向に貫通して形成されている。
第1チューブ保持孔74は略円形であって、その直径は、第1チューブ40の外径と略同じか、それよりも僅かに大きい。図2において、第1チューブ保持孔74は、チューブホルダ72の略中心に設けられている。なお、第1チューブ保持孔74は、チューブホルダ72の中心から偏心した位置に設けられてもよい。各血液チューブ保持孔76は略円形であって、その直径は、第1チューブ保持孔74の直径よりも小さく、且つチューブ状本体56の外径と同じか、それよりも僅かに大きい。
手技シミュレータ10の使用において、チューブホルダ72は、第1チューブ保持孔74に第1チューブ40が挿通され且つ血液チューブ保持孔76に血液チューブ52が挿通された状態で、心臓12に近い大動脈15内に配置及び固定される。チューブホルダ72を固定するには、例えば、紐状あるいはロープ状の締付部材77を、大動脈15を介してチューブホルダ72の外周部に巻き付けて縛る。複数の締付部材77を用いてチューブホルダ72を固定してもよい。
図1に示すように、手技シミュレータ10は、さらに、開胸シミュレータ110を備える。
図3及び図4に示すように、開胸シミュレータ110は、心臓12を載置するための載置台112と、載置台112の周囲を囲む筐体114と、筐体114に可動に設けられた一対の可動蓋部材115と、可動蓋部材115を弾性的に付勢する弾性部材118とを備える。
図4及び図5に示すように、載置台112は、硬質材料で構成された基台120と、載置凹部122aが設けられた軟質樹脂製の受け部材122とを有する。本実施形態では、基台120は、中空円筒型に形成されている。なお、基台120は、多角筒型に形成されてもよい。基台120は、中実筒型に形成されてもよい。図5に示すように、基台120は、上下に貫通した中空部120aを有する。図4及び図5に示すように、基台120の上部における周方向の一部には、切欠部120bが設けられている。切欠部120bは、基台120の周壁を厚さ方向に貫通するとともに、上方に開口した溝形状を有する。
基台120の構成材料としては、例えば、塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ガラス等が挙げられる。
受け部材122は、基台120の上部に着脱可能に構成されている。なお、受け部材122は、基台120の上部に固定されてもよい。受け部材122は、心臓12を所定の姿勢で載せるための載置凹部122aと、載置凹部122aの周囲に設けられた周縁部122bとを有し、平面視で略円形状に形成されている。
載置凹部122aは、下方に向かって椀状に凹んでおり、心臓12の外形形状に倣って形成されている。すなわち、ヒトの心臓の前側(胸側)を上方に向けたときと同様の姿勢に心臓12を向けたときの当該心臓12の下側形状に沿うように、載置凹部122aが形成されている。動物の心臓12(心臓12がブタのものである場合には、ブタの心臓)から型を取り、当該型を用いて載置凹部122aを成形するとよい。受け部材122が基台120に取り付けられた(載せられた)状態で、載置凹部122aは、基台120の中空部120a内に配置される。
周縁部122bは、載置凹部122aの上部外周縁から径方向外方に突出している。周縁部122bが基台120の上端部に載る(引っ掛かる)ことで、受け部材122が基台120に支持される。周縁部122bの外端部には、下方に突出するリング状突起122cが設けられている。受け部材122が基台120に取り付けられた状態で、リング状突起122cは、基台120の上端部外周面を覆う。
受け部材122の上部における周方向の一部には、切欠部122dが設けられている。切欠部122dは、載置凹部122aの上部から周縁部に亘って設けられている。受け部材122の構成材料としては、例えば、シリコーンゴム等のゴム材やエラストマー材等が挙げられる。
図4に示すように、筐体114は、少なくとも側壁124(周囲壁)及び上壁126を有するとともに、心臓12を載せた載置台112を収容する大きさを有し、上壁126には心臓12を露出させるための開口部127が形成されている。具体的に、本実施形態において筐体114は、上下が開口した直方体状の胴部130と、胴部130から分離可能であり且つ胴部130の上部開口を部分的に閉じられる長方形状の蓋部132とを有する。胴部130が上記側壁124を構成し、蓋部132が上記上壁126を構成している。
胴部130の上部には、チューブ類(第1チューブ40等)を通すための切欠部130aが設けられている。代わりの切欠部が蓋部132に設けられてもよい。胴部130における互いに対向する壁部には、貫通孔130bが設けられている。貫通孔130bは、切欠部130aよりも下方に設けられている。貫通孔130bは、胴部130を移動させる際に作業者が指を入れる指掛け孔として用いることができる。なお、胴部130及び蓋部132は上記以外の形状でもよく、例えば、平面視で、正方形、円形、楕円形、四角形以外の多角形であってもよい。
筐体114(胴部130及び蓋部132)は、硬質で且つ耐水性、耐溶剤性に優れた材料で構成されるのがよい。また、筐体114は、壁厚を厚くすることにより、使用中に術者の肘等で押されても触れても容易にずれ動かないようにある程度の重量があるのがよい。また、筐体114は、セットアップの際に内部の様子を確認できるように、透明な材料で構成されているのがよい。筐体114の構成材料としては、例えば、塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ガラス等が挙げられる。
図6に示すように、開口部127は、蓋部132における略中央に、蓋部132を厚さ方向に貫通して設けられている。開口部127は、平面視で、四角形(図示例では長方形)に形成されている。開口部127の左右両側には、蓋部132における他の部分よりも薄い厚みを有するスライド支持部134が設けられている。
スライド支持部134には、左右方向(矢印Y方向)に延在する長孔状のガイド孔134aが設けられている。ガイド孔134aは、スライド支持部134を厚さ方向に貫通している。各スライド支持部134において、ガイド孔134aは、左右方向に直交する水平方向(矢印X方向)に間隔を置いて複数(図示例では2つ)設けられている。
蓋部132が胴部130上に載せられた際の蓋部132の位置ずれを防止するために、蓋部132の下面における外周部近傍には、下方に突出する位置決め突起132aが設けられている。なお、位置決め突起132aを設ける代わりに、蓋部132の下面における外周部以外の部分(外周部よりも内側の部分)が下方に突出させて段差を設けることにより、上述した位置ずれ防止機能を持たせてもよい。
図4に示すように、一対の可動蓋部材115は、蓋部132の開口部127に、互いに接近及び離間する左右方向に変位可能に設けられている。具体的に、一対の可動蓋部材115は、蓋部132の上述したスライド支持部134によって左右方向にそれぞれスライド可能に支持されている。一対の可動蓋部材115は、互いに同一形状を有するとともに、左右対称に配置されている。なお、以下では、一対の可動蓋部材115が互いに接近する方向を「開閉方向内側」と言う場合があり、一対の可動蓋部材115が互いに離間する方向を「開閉方向外側」と言う場合がある。
図6に示すように、各可動蓋部材115は、上側プレート136と、下側プレート138と、上側プレート136と下側プレート138とを連結する連結部140とを有する。上側プレート136及び下側プレート138は、平面視で長方形状に形成されている。上側プレート136には、上側プレート136を厚さ方向に貫通する上側孔部136aが設けられている。上側プレート136において、上側孔部136aは、左右方向に直交する水平方向(矢印X方向)に間隔を置いて複数(図示例では2つ)設けられている。
下側プレート138には、下側プレート138を厚さ方向に貫通する下側孔部138aが設けられている。下側プレート138において、下側孔部138aは、左右方向に直交する水平方向(矢印X方向)に間隔を置いて複数(図示例では2つ)設けられている。上側孔部136aと下側孔部138aは、平面視で、同一位置に設けられている。
連結部140は、左右の可動蓋部材115の互いに対向する側(開閉方向内側)の端部において、上側プレート136と下側プレート138とを連結している。上側プレート136と下側プレート138との間には、連結部140の厚さ分だけ、隙間(以下、「溝部115a」という)が形成されている。すなわち、上側プレート136の下面と下側プレート138の上面とは、溝部115aを介して互いに対向している。上側プレート136の下面と下側プレート138の上面は、互いに平行である。可動蓋部材115において、溝部115aは、連結部140以外の箇所で外方に開口している。
連結部140は、左右方向に直交する水平方向(矢印X方向)に延在している。連結部140の長さは、上側プレート136及び下側プレート138の長さよりも短い。これにより、可動蓋部材115において、連結部140の延在方向の両側には、一対の可動蓋部材115の互いに対向する方向(開閉方向内側)に向かって開口する凹状溝115bが形成されている。また、連結部140の延在方向両端部には、延在方向外側に向かうに従って開閉方向内側に傾斜する傾斜部140aが設けられている。傾斜部140aに代えて、湾曲部が設けられてもよい。
可動蓋部材115は、上側プレート136と下側プレート138との間(溝部115a)にスライド支持部134が配置されるように、蓋部132に取り付けられる。可動蓋部材115が蓋部132に取り付けられた状態では、鍔部142aを有するガイドピン142が、上側孔部136a、ガイド孔134a及び下側孔部138aに挿入されるとともに、抜け止めピン144が、ガイドピン142のピン孔142bに挿入されている。これにより、可動蓋部材115がスライド支持部134から脱落することが防止される。抜け止めピン144をガイドピン142から抜き取るとともに、ガイドピン142を可動蓋部材115から抜き取ることにより、可動蓋部材115は蓋部132から取り外すことができる。
可動蓋部材115とガイドピン142とは一体となって左右方向(矢印Y方向)に変位する。従って、可動蓋部材115は、ガイドピン142がガイド孔134aによって規制された可動範囲内で、蓋部132に対して左右方向に変位可能である。
ガイド孔134aの開閉方向内側(開口部127側)の端部にガイドピン142が位置するときに、一対の可動蓋部材115は最も閉じた(近づいた)状態となる。ガイド孔134aの開閉方向外側(開口部127と反対側)の端部にガイドピン142が位置するときに、一対の可動蓋部材115は最も開いた(離間した)状態となる。すなわち、ガイド孔134aは、可動蓋部材115の可動範囲を規定している。図3及び図4に示すように、一対の可動蓋部材115が最も閉じた状態で、一対の可動蓋部材115間には、隙間127aが形成される。
図4において、弾性部材118は、一対の可動蓋部材115を互いに閉じる方向に弾性的に付勢する。本実施形態では、弾性部材118は、弾力的伸縮性を有する材料(ゴム材、エラストマー材等の弾性材料)によってリング状に構成されている。弾性材料により構成された紐状又はロープ状の部材の端部同士を結ぶことにより、リング状の弾性部材118が構成されてもよい。
図4において、弾性部材118は、一対の可動蓋部材115に装着されている。すなわち、弾性部材118の一部が、一方の可動蓋部材115の溝部115a(図6参照)に挿入されるとともに連結部140に引っ掛けられており、弾性部材118の他の一部が、他方の可動蓋部材115の溝部115aに挿入されるとともに連結部140に引っ掛けられている。弾性部材118のうち、一対の可動蓋部材115間を延在する部分は、凹状溝115b(図6参照)を介して開口部127に露出している。
このように構成及び配置された弾性部材118によって、一対の可動蓋部材115は、互いに閉じる方向に弾性的に付勢されている。このため、一対の可動蓋部材115に対して拡開力を作用させていない状態では、図4のように、一対の可動蓋部材115は、最も閉じた状態となっている。
なお、弾性部材118は、上述した弾性材料からなるリング状の構成に代えて、バネ(コイルバネ等)の形態を有していてもよい。この場合、一対の可動蓋部材115に対して共通のバネを設け、当該共通のバネにより一対の可動蓋部材115を閉じる方向に付勢してもよい。あるいは、一対の可動蓋部材115に対して個別にバネを設け、当該個別のバネにより一対の可動蓋部材115を閉じる方向にそれぞれ付勢してもよい。
図4に示すように、本実施形態では、開胸シミュレータ110は内側トレイ146をさらに備える。内側トレイ146は、筐体114内(胴部130)内に収容可能であるとともに、載置台112を載置可能に構成されている。具体的に、内側トレイ146は、底壁146aと、この底壁146aの外周部から上方に突出した周壁146bとを有し、上方に開口している。内側トレイ146は、平面視で、胴部130の内周形状よりも小さく、載置台112の外周形状よりも大きい。図4において、内側トレイ146は、平面視で、筐体114の胴部130と同様に四角形状に形成されているが、他の形状に形成されてもよい。
次に、図1に示した手技シミュレータ10のセットアップ手順の一例を説明する。
心臓12のセットアップは、例えば、以下のように行う。予め冷凍しておいた心臓12を解凍し、大動脈15及び肺動脈17を適度の長さに切断して左心室12L及び右心室12Rの入口を作る。血液Bの漏れを防ぐため、心臓12に繋がった肺静脈及び大静脈は糸(縫合糸等)で縛って閉じる。
チューブホルダ72のセットアップは、例えば、以下のように行う。チューブホルダ72の第1チューブ保持孔74に、第1バルーン14が接続された第1チューブ40を挿通させるとともに、3つの血液チューブ保持孔76に3本の血液チューブ52をそれぞれ挿通させる。
回路のセットアップは以下のように行う。大動脈15を介して、左心室12L内に第1バルーン14を挿入するとともに、3本の血液チューブ52を3本の冠動脈13(左廻旋枝13a、左前下行枝13b、右冠動脈13c)にそれぞれ挿入する。この場合、血液チューブ52の先端部に設けられた拡張部70を冠動脈13内で拡張させることにより、冠動脈13から血液チューブ52が抜け出ることを抑制できる。
次に、チューブホルダ72を大動脈15内に挿入し、大動脈15の外側から締付部材77で縛ることにより、チューブホルダ72を大動脈15に対して固定する。これにより、チューブホルダ72が径方向内方に締め付けられて若干だけ変形するため、第1チューブ40及び血液チューブ52が第1チューブ保持孔74及び血液チューブ保持孔76にそれぞれ固定される。従って、第1チューブ40及び血液チューブ52は、チューブホルダ72を介して大動脈15に固定されることになる。
次に、肺動脈17を介して、右心室12R内に第2バルーン16を挿入するとともに、肺動脈17の外側を糸等の締付部材で縛ることにより第2チューブ46を肺動脈17に固定する。なお、右心室12R内への第2バルーン16の挿入・設置は、左心室12L内への第1バルーン14の挿入・設置の前に行ってもよい。
次に、作動液Lが充填された第1ポンプ側チューブ42と、作動液Lが充填された第1チューブ40とを接続して、第1ライン26を形成するとともに、作動液Lが充填された第2ポンプ側チューブ48と、作動液Lが充填された第2チューブ46とを接続して、作動液Lが充填された第2ライン28を形成する。これにより、作動液Lが充填され且つ遠心ポンプ22を介して流体連通した左心室12L側の回路と右心室12R側の回路が形成される。遠心ポンプ22及びコントローラ24は、心臓12において所望の拍動を模擬できるように(第1バルーン14及び第2バルーン16が所望の動きをするように)設定しておく。
三連活栓60を介して血液バッグ54を3本の血液チューブ52に接続する。そして、血液バッグ54を心臓12よりも高い位置に設置する(例えば、適宜のハンガーで吊下げる)ことにより、落差を利用して血液Bを3本の冠動脈13内へ流す。
開胸シミュレータ110のセットアップにより、心臓12は、図7のように開胸シミュレータ110内に配置される。このセットアップは、例えば、以下のように行う。筐体114の胴部130を手術台上に載せ、胴部130の内側に内側トレイ146を配置するとともに、内側トレイ146上に載置台112を載せる。
この場合、基台120の上部に受け部材122を載せた状態の載置台112を内側トレイ146に載せてもよく、あるいは、基台120を先に内側トレイ146に載せてから、基台120の上部に受け部材122を載せてもよい。内側トレイ146及び載置台112を手術台上に載せた後に、筐体114の胴部130を手術台に載せてもよい。基台120の上部に受け部材122を載せる際、基台120の切欠部120bと受け部材122の切欠部122dとの周方向位置を一致させておく。
次に、載置台112(受け部材122)の載置凹部122aに、所望の向きで心臓12を載せる。このとき、ヒトの心臓の前側(胸部側)を上方に向けて置いたときと同様の姿勢になるように心臓12を載せる。この場合、載置凹部122aの形状に合わせて、載置凹部122aに心臓12が自然に入り込むような向きで、心臓12を載置凹部122aに載せると、心臓12の姿勢が安定する。このため、載置凹部122aには、心臓12を適切な向きで簡単に載せることができる。なお、大動脈15は、基台120の切欠部120b及び受け部材122の122dに配置される(図8参照)。
図7に示すように、開胸シミュレータ110では、心膜を模擬した膜状部材150が用いられるとよい。膜状部材150は、柔軟な非通液性の部材からなり、好ましくは伸縮性を有する。また、膜状部材150は、図7に示すように、初期状態で、全体が袋状に形成され、心臓12を覆っているとよい。
次に、一対の可動蓋部材115が取り付けられた状態の蓋部132を胴部130に載せる。これにより、図7のように、開胸シミュレータ110内に心臓12が配置された状態となる。なお、筐体114内での心臓12の位置が、開口部127の下方(閉じた一対の可動蓋部材115の下方)に配置されるように、載置台112の位置を調整しておく。図7において、一対の可動蓋部材115は、弾性部材118の弾性付勢力によって、最も閉じた状態になっている。
次に、図1に示す遠心ポンプ22を作動させて心臓12の左心室12L及び右心室12Rにそれぞれ配置された第1バルーン14及び第2バルーン16を繰り返し拡張及び収縮させる。これにより、心臓12に模擬的な拍動が与えられる。以上により、手技シミュレータ10を用いた訓練のための準備が完了する。
次に、手技シミュレータ10を用いた心臓手術の訓練方法を説明する。
図8のように、術者(訓練者)は、開胸器152を開胸シミュレータ110にセットする。具体的には、まず、開胸器152の2本のアーム154を最も閉じた状態にして、2本のアーム154にそれぞれ設けられたフック156を、一対の可動蓋部材115間の隙間127a(図7参照)に挿入する。この隙間127aは、実際の手術において胸骨を切開した際にできるわずかな隙間を模している。そして、レバー158を回転させることで、2本のアーム154の相互間隔を広げる(2本のアーム154を開く)。
これにより、一対の可動蓋部材115が、弾性部材118の弾性付勢力に抗して、左右方向に拡開する。このように開胸器152によって一対の可動蓋部材115を開くことで、胸部外科手術における開胸が模擬される。一対の可動蓋部材115は、弾性部材118によって付勢されることにより、実際に、切開した胸骨を開く際に、術者が感じる抵抗力を再現できる。また、この場合、一対の可動蓋部材115の開き度合いは、術者の好みに応じて任意に調整することができる。実際には、術者の習熟度合いや治療範囲によって、心臓の露出具合、すなわち、胸部の開き度合いは異なる。可動蓋部材115の開き度合いを任意に調整できる構成にすることで、様々な術者の訓練に対応することができる。
開胸器152によって一対の可動蓋部材115を開くと、心臓12(本実施形態の場合、模擬心膜である膜状部材150に覆われた心臓12)が開口部127を介して露出し、開胸した状態が模擬される。このとき、開胸したヒトの胸のイメージが提供されるとともに、ポンプシステム18(図1)によって、心臓12には模擬的な拍動が与えられているため、リアリティに富む。
次に、術者は、開口部127を介して、適宜の切断器具(メス等)によって袋状の膜状部材150を切り開き、心臓12を露出させる。これにより、心膜を切る訓練を行うことができる。次に、術者は、図9のように、切り開いた膜状部材150の縁部150aに糸160を通すとともに、糸160を開胸器152のアーム154に引っ掛けて固定する。
図9の状態において、膜状部材150は、心臓12の上方を除く周囲を囲むように配置され、ある程度の血液Bを溜められるように、少なくとも下部が袋状に形成されている。この構成により、膜状部材150は、手技訓練中において冠動脈13(図1参照)から漏れ出る血液Bの受け皿としての役割を担う。
次に、術者は、図示しないスタビライザを開胸器152に取り付け、吻合を行う冠動脈13の周囲部分が動かないように当該スタビライザで固定する。そして、術者は、心臓12に対して所定の処置(オフポンプCABG)を行う。これにより、当該処置の訓練を行うことができる。
図1に示す手技シミュレータ10において、遠心ポンプ22のインペラ38の回転時には、流入ポート36aに接続された第2ライン28からは作動液Lが吸引される一方、流出ポート36bに接続された第1ライン26には作動液Lが吐出される。従って、右心室12R内の第2バルーン16は作動液Lの流出によって収縮するが、左心室12L内の第1バルーン14は作動液Lの流入によって拡張する。なお、この場合、リザーバ30内の作動液Lの一部が第2ライン28へ流入する。
一方、インペラ38が回転している状態からインペラ38が停止すると、第1バルーン14の弾性復元力によって、第1バルーン14内の作動液Lが第1ライン26へと押し出され、回路内の作動液Lは、インペラ38の回転時とは逆方向に流動する。これにより、第1バルーン14及び第2バルーン16は、インペラ38の回転時とは逆の動きを見せる。すなわち、左心室12L内の第1バルーン14は作動液Lの流出によって収縮するが、右心室12R内の第2バルーン16は作動液Lの流入によって拡張する。なお、この場合、第2ライン28内の作動液Lの一部がリザーバ30へ流入する。
このように、手技シミュレータ10によれば、ポンプシステム18による作動液Lの流動作用下に、左心室12L内で第1バルーン14が拡張及び収縮を繰り返し、右心室12R内で第2バルーン16が拡張及び収縮を繰り返すことにより、心臓12の拍動を模擬できる。しかも、遠心ポンプ22が回転と停止を繰り返すことにより、第1バルーン14と第2バルーン16においては、互いに逆の動作タイミングで拡張及び収縮が繰り返される。これにより、心臓12において、実際の心臓12の拍動に近い動きが模擬される。
冠動脈13へは血液供給部20より血液Bが供給されていることから、冠動脈13を切ると血液Bが流出するため、術者は、実際の手術と同様に冠動脈13からの出血を体験できる。
従って、この手技シミュレータ10によれば、生きた動物を使用することなく、低コストで、よりリアリティのある状況下でオフポンプCABGの訓練を行うことができる。
また、血液供給部20は、3本の冠動脈13a〜13cにそれぞれ挿入されるように構成された3本の血液チューブ52を有するので、3本の冠動脈13a〜13cに確実に血液Bを供給することができる。しかも、チューブホルダ72により、3本の血液チューブ52を心臓12に固定できるため、これらの血液チューブ52が冠動脈13からそれぞれ抜け出ることを抑制できる。また、チューブホルダ72により、血液チューブ52と一緒に第1チューブ40も心臓12に固定することができるため、第1バルーン14が左心室12Lから抜け出ることを抑制できる。
手技シミュレータ10では、遠心ポンプ22が回転と停止を繰り返すことにより、第1バルーン14と第2バルーン16の拡張及び収縮の動作タイミングをずらす。このため、1つの遠心ポンプ22で第1バルーン14と第2バルーン16の両方を動作させることができる。また、心臓12の動きを実際の拍動により近づけることができ、リアリティを一層向上させることができる。
また、図3等に示した本実施形態に係る開胸シミュレータ110によれば、筐体114の上壁126の開口部127には、左右方向に変位可能であって弾性部材118によって互いに閉じる方向に付勢された一対の可動蓋部材115が配置されている。このため、開胸器152をセット(位置合わせ)するところから、心臓手術の手技訓練が可能である。従って、実際の手術により近い雰囲気を提供することができる。また、術者の好みに応じて開胸の大きさを任意に変えられるため、術者がやりやすいトレーニング環境(視野)を提供することができる。
本実施形態では、一対の可動蓋部材115が可動範囲内で互いに最も近づいた状態で、一対の可動蓋部材115の間には隙間127aが形成されている(図3、図4参照)。この構成により、初期状態で一対の可動蓋部材115間に隙間127aが形成されているため、開胸器152(図8参照)を装着しやすい。
本実施形態では、前記弾性部材118は、弾性材料によってリング状に構成されており、一対の可動蓋部材115に掛けられている。これにより、弾性部材118を簡易構成で実現できるとともに、分解清掃が簡単である。
本実施形態では、弾性部材118は、一対の可動蓋部材115の開閉方向と直交する水平方向(矢印X方向)の両端部において、一対の可動蓋部材115間を延在している。この構成により、手技訓練の際に弾性部材118が邪魔になることがない。
本実施形態では、載置台112は、心臓12の外形形状に倣って形成された載置凹部122aを有し、載置凹部122aに心臓12が載置された状態で、心臓12はヒトの心臓と同様の向きで保持される。この構成により、誰がやっても簡単に、ヒトの心臓と同様の向きに心臓12を載置台112に載せることができる。
本実施形態では、載置台112は、硬質材料で構成された基台120と、前記基台120の上部に装着可能又は前記上部に固定され載置凹部122aが設けられた軟質樹脂製の受け部材122とを有する(図4、図5参照)。この構成により、軟質樹脂製の受け部材122により心臓12の形状個体差を吸収することで所定の向きで安定して保持できるとともに、硬質の基台120により心臓12を安定して支持することができる。
本実施形態では、筐体114は、載置台112の通過を許容する下部開口部114a(図4参照)を有する。この構成により、手術台に載置台112をセットした後に、筐体114をセットすることができるため、開胸シミュレータ110のセットアップが容易となる。
本実施形態に係る開胸シミュレータ110は、筐体114内に収容可能であり、載置台112を載置可能な内側トレイ146をさらに備える(図4参照)。この構成により、内側トレイ146で血液Bを受け止めることができ、使用後の清掃が楽になる。
本実施形態では、心臓12から流出した血液Bは、膜状部材150によって受け止められるため、載置台112の血液Bによる汚れを抑制することができる。また、実際の手術においては心臓12の周囲に出血した血液が溜まるため、膜状部材150に溜まった血液Bは一層のリアリティをもたらす。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
10…手技シミュレータ 12…心臓
110…開胸シミュレータ 112…載置台
114…筐体 115…可動蓋部材
118…弾性部材 120…基台
122…受け部材 127…開口部
132…蓋部 134…スライド支持部
150…膜状部材

Claims (8)

  1. 模擬心臓を載置するための載置台と、
    前記載置台の周囲を覆うとともに、上壁を有し、前記上壁には前記模擬心臓を露出させるための開口部が設けられた筐体と、
    前記開口部に設けられ、互いに接近及び離間する左右方向に変位可能な一対の可動蓋部材と、
    前記一対の可動蓋部材を互いに閉じる方向に弾性的に付勢する弾性部材と、を備える、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
  2. 請求項1記載の開胸シミュレータにおいて、
    前記一対の可動蓋部材が可動範囲内で互いに最も近づいた状態で、前記一対の可動蓋部材の間には隙間が形成されている、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
  3. 請求項1又は2記載の開胸シミュレータにおいて、
    前記弾性部材は、弾性材料によってリング状に構成されており、前記一対の可動蓋部材に掛けられている、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
  4. 請求項3記載の開胸シミュレータにおいて、
    前記弾性部材は、前記一対の可動蓋部材の開閉方向と直交する方向の両端部において、前記一対の可動蓋部材間を延在している、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の開胸シミュレータにおいて、
    前記模擬心臓は、動物の心臓であり、
    前記載置台は、前記模擬心臓の外形形状に倣って形成された載置凹部を有し、前記載置凹部に模擬心臓が載置された状態で、前記模擬心臓はヒトの心臓と同様の向きで保持される、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
  6. 請求項5記載の開胸シミュレータにおいて、
    前記載置台は、
    硬質材料で構成された基台と、
    前記基台の上部に装着可能又は前記上部に固定され、前記載置凹部が設けられた軟質樹脂製の受け部材と、を有する、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の開胸シミュレータにおいて、
    前記筐体は、前記載置台の通過を許容する下部開口部を有する、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
  8. 請求項7記載の開胸シミュレータにおいて、
    前記筐体内に収容可能であり、前記載置台を載置可能な内側トレイをさらに備える、
    ことを特徴とする開胸シミュレータ。
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