JP2018009222A - 粉末冶金部材およびその製造方法 - Google Patents

粉末冶金部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低温熱処理品でありながらも高強度でかつ高い含油率を有する粉末冶金部材を提供する。
【解決手段】原料粉末から圧紛体を成形し、圧紛体を酸化雰囲気下で400〜700℃程度の低温で加熱することで、原料粉末に含まれる粒子同士を酸化被膜で結合する。原料粉末に、前記加熱後も表面に前記酸化被膜が形成されず、かつ前記加熱後も多孔質組織に残存する、シリカ等の添加剤を添加する

【選択図】図3

Description

本発明は、粉末冶金技術によって形成された部材(粉末冶金部材)およびその製造方法に関するものである。
粉末冶金とは、JIS Z 2500によれば、金属粉の製造、又は金属粉からフォーミングと焼結工程によって製品を製造する冶金技術の部門のことで、鋳造や鍛造とは異なる技術であるとされている。粉末冶金では、以下のような工程で製品を製造するのが一般的である。
(1)原料となる金属、潤滑剤、黒鉛等の粉末の混合
(2)加圧プレス等による圧粉成形
(3)融点以下での焼結
(4)矯正(サイジング)
(5)(必要に応じた)熱処理、含油等の後加工
以上の工程の中でも、(3)の焼結工程は、鉄系材料の場合、800℃以上の高温域で処理されるのが一般的であり、そのコストは、製造コスト全体の1/4〜1/2を占める。さらに、高温での焼結工程により、圧粉体が膨張(あるいは収縮)する。膨張等した製品を目的の寸法ないし精度に収めるため、(4)の矯正工程が必要となる。
焼結工程を経ることで、金属粒子間の融着、ネッキングが起こり、強度が向上する。この際、低温での処理で十分な強度が担保されれば、製造コストが低減できるだけでなく、寸法変化を抑制でき、矯正工程も省略することが可能となる。
一方、(5)の含油工程は、製品の腐食を防止するために行われている。特に、すべり軸受に関しては、空孔内に含油することで使用時に軸受隙間に油が染み出し、潤滑の役割を担っている。一般的に製品に対する含油率が多い程、潤滑性が良好となり、すべり軸受の寿命が長くなる傾向にある。
これまでに、先に述べた(3)、(4)の工程の改良や、材料組成を検討することによる圧粉体の高強度化や、(5)工程での含油率を向上させる手法として、以下のような検討がなされている。例えば、特許文献1(国際公開公報WO2015-098407号公報)では、圧粉体を500℃程度の低温で水蒸気と反応させることで、表面に主に鉄由来の酸化被膜を生成させ、従来の圧粉体に比べ高強度化させ、かつ従来の焼結体に比べ寸法変化を抑えた圧粉体を提供している。また、特許文献2(特開2000-145780号公報)では、鉄粉末に銅をめっきし、錫を添加し、焼結することで添加元素の均一分散やFe中への固溶強化によって強度および含油率向上を図っている。さらに、特許文献3(特開平5-71540号公報)では、摺動面に合成樹脂シートを接着した焼結すべり軸受を用いることで、潤滑油との馴染みを向上させ、摺動性と強度の両立を図っている。
国際公開公報WO2015/098407号 特開2000−145780号公報 特開平5−71540号公報
しかし、特許文献1のように水蒸気処理し、酸化被膜により鉄粉同士を結合した構成では、すべり軸受への適用時に必要な圧環強さは確保されているにしても、酸化被膜により空孔が封孔されるため、含油率が低下する問題がある。実際、特許文献1に含油率の記載はなく、使用時の潤滑性が確保されているか不明である。
また、特許文献2のように、めっき粉を使用したのでは、めっき処理による材料コストの高騰が懸念される。また、高温焼結を行っているため、寸法変化が大きくサイジング工程が必要とされる。さらにめっき処理の分、工程増となり歩留まりが増加する可能性がある。
また、特許文献3の構成では、焼結金属すべり軸受に合成樹脂シートを接着する工程や、潤滑性確保のため合成樹脂に切欠部を多数設けなければならず、工程増による歩留まり低下の可能性がある。また、金属部は焼結を行っておりサイジング工程が必要である。さらに、異種材の接着であるため金属部と樹脂部の密着性の懸念がある。
そこで、本発明は、低温熱処理品でありながらも高い含油率を有する粉末冶金部材を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明は、原料粉末を成形してなり、かつ原料粉末に含まれる粒子同士を酸化被膜で結合した多孔質の粉末冶金部材であって、含油率を向上させる機能を有する添加剤を有し、かつ含油率が15.0vol%以上であることを特徴とするものである。含油率の向上を添加剤の添加により達成しているので、原料粉末に添加剤を添加する、という簡単な操作だけで、高い含油率を得ることができ、工程増による歩留まりの低下を回避できる。また、かかる効果を得るにあたり、潤滑剤や必要に応じて添加される副原料粉末(銅粉、錫粉等)は既存のものをそのまま使用でき、成形、低温熱処理、含油などを行う各種設備も従来通りのものを使用することができる。従って、製造コストの高騰を防止することができる。添加剤としては、例えばシリカもしくはアルミナを使用することができる
酸化被膜は酸化雰囲気下で圧紛体を加熱することにより形成される。この場合において、添加剤として、その表面に加熱後も酸化被膜が形成されず、かつ加熱後も多孔質組織に残存するものを使用すれば、酸化被膜による空孔の封孔を防止することができ、多孔質体の表面付近に多数の連通気孔を形成することができる。従って、含油率を高めることができる。
粉末冶金部材における添加剤の含有量は0.3〜1.0wt%が好ましい。また、添加剤としては、多孔質体またはファイバー状のものを使用することができる。
粉末冶金部材を円筒状とし、かつ120MPa以上の圧環強さを有するようにすれば、すべり軸受としての使用に適合するものとなる。
また、本発明は、原料粉末から圧紛体を成形し、圧紛体を酸化雰囲気下で加熱することで、原料粉末に含まれる粒子同士を酸化被膜で結合した多孔質の粉末冶金部材を製造するもので、原料粉末に、前記加熱後も表面に前記酸化被膜が形成されず、かつ前記加熱後も多孔質組織に残存する添加剤を添加することを特徴とするものである。
この場合、酸化雰囲気下で、圧紛体を400℃〜700℃で加熱するのが好ましい。また、圧紛体の密度は、5.0〜7.6g/cm3にするのが好ましい。
本発明によれば、低温熱処理品でありながらも高い含油率を有する粉末冶金部材を提供することができる。また、低温熱処理品であることから、従来の高温焼結品に比べて低コスト化を図ることができる。
純鉄粉のSEM写真である。 シリカ粉末のSEM写真である。 試験片表層付近の断面SEM写真である。 図3の写真の主要部をスケッチした図である。 (a)図は添加剤を含まない場合の熱処理後の多孔質組織を示す図であり、(b)図は添加剤を含む場合の熱処理後の多孔質組織を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明にかかる粉末冶金部材は、例えば円筒状のすべり軸受として用いられる。この粉末冶金部材は、原料粉末の生成工程、圧紛体の成形工程、低温熱処理工程、および含油工程を順次経て製作される。
[原料粉末]
原料粉末の基材粉末として、金属粉、例えば鉄粉が使用される。鉄粉としては、成形性や価格などの面から還元法で製造したものを用いることができる。その他、水アトマイズ法やガスアトマイズ法、スタンプ法、カルボニル法で製造した鉄粉を用いても良い。ガスアトマイズ鉄粉は表面形状がほぼ球形をしており、粉末間の絡み合いが脆弱なため、成形性の低下が懸念される。これに対し、還元鉄粉や水アトマイズ鉄粉は、ガスアトマイズ鉄粉に比べて表面の平滑度が劣り、凹凸を持つ不定形な形状であることが多い。通常は、この凹凸が粉末同士の接触点を増加させ、また、圧縮成形性が良好であるために、圧粉体の強度は向上する。従って、鉄粉としては、還元鉄粉や水アトマイズ鉄粉のような粉末形状が不定形な粉末を使用する方が望ましい。
原料粉末は、後述の酸化被膜が形成されるものであれば任意の組成を採用することができる。従って、例えば原料粉末の基材粉末として、上記のように純鉄粉を使用する他、アルミニウム、マグネシウム、あるいはクロムと言ったイオン化傾向の大きな金属材料を含む金属粉を使用することもできる。基材粉末以外の副原料粉末として、銅粉末、錫粉末、あるいは炭素系粉末等を配合してもよい。
また、本発明では、原料粉末中の添加剤として、後述する酸化雰囲気での低温熱処理時にもそれ自身に酸化被膜が形成されず、かつ低温熱処理後も多孔質組織に残存する粒子が添加される。この添加剤として、例えばシリカ(SiO2)やアルミナ(Al23)といった酸化物の粒子を使用することができる。添加剤を構成する粒子の形態は任意で、多孔質状のもの、あるいはファイバー状のもの等が使用できる。原料粉末における添加剤の配合量は0.3〜1.0wt%程度が好ましい。添加剤としては、上記以外にセラミックや活性炭のような炭素も使用できる。多孔質体でかつ低温熱処理時の加熱温度(例えば700℃)で分解しないものであれば添加剤として使用できる。添加剤の粒径(平均粒径)は20μm以下が好ましい。
[圧紛体の成形]
次に、原料粉末は、例えば一軸加圧成形機等を用いて完成品に対応する形状(例えば円筒状)に成形される。成形手法の代表例として一軸加圧成形を挙げたが、粉末が押し固められるのであれば圧粉成形の手法は問わず、例えば多軸CNCプレスによる成形、射出成形(MIM)などを採用することもできる。
通常、焼結部品においては密度が高い方が強度は向上する。一方、圧粉密度が高すぎると、内部空孔量が減少するため含油率が低下し、好ましくない。しかしながら、圧粉密度が低すぎると、取扱い時に欠けや割れが発生してしまう(ラトラ値が大きい)懸念がある。以上の理由から、圧粉密度は5.0〜7.6g/cm3、好ましくは5.5〜7.0g/cm3、より好ましくは5.8g/cm3以上6.8g/cm3未満の範囲とするのが良い。なお、ここでの圧粉密度は寸法測定法(嵩密度)による。
[低温熱処理]
既存の鉄系の焼結部品では、圧紛体を鉄の融点以下(鉄系材料の場合800℃〜1,300℃)の高温に加熱することで、粒子間の融着(ネッキング)を形成して焼結を進行させ、高強度化を達成している。これに対し、本発明では、圧紛体は400℃〜700℃程度の比較的低温度の酸化雰囲気下で加熱される。かかる低温熱処理を行うことで、鉄粉表面に鉄由来の酸化物(Fe34)の被膜が形成される。この際、粒子間に渡って形成される酸化物被膜が、鉄粉同士のネッキングの役割を代替するため、圧粉体が高強度化する。低温熱処理は酸化被膜を形成し得る雰囲気下(酸化雰囲気下)で行えばよく、純空気中で行う他、水蒸気雰囲気や二酸化炭素雰囲気で行うこともできる。
一般に、圧粉成形時には被成形粉末と金型の潤滑および粉末同士の潤滑を担保するべく、金属石けんやアミドワックスなどの潤滑剤粉末が原料粉末に混合される。この潤滑剤粉末は圧粉体中に残存しているが、従来のように高温で焼結する場合には、圧紛体が高温に保持されるために潤滑剤粉末が分解し、焼結後の製品中には潤滑剤成分が含まれない。しかし、本発明では、圧紛体を低温で加熱する(低温熱処理)ため、圧粉体の密度や処理温度、保持時間によっては潤滑剤成分が加熱後の多孔質組織に残存し得る。そのため、低温熱処理に先立ち、予め潤滑剤成分を分解・除去するための脱脂工程を設け、脱脂工程後に連続して低温加熱処理する、といった手法を取ることが望ましい。もちろん強度に影響がなければ、脱脂工程を省略して、圧紛体に潤滑剤成分を含有したまま低温熱処理を行っても構わない。
低温熱処理は、通常の焼結工程に比べて低温での処理であることから、寸法変化が小さい(処理前後で±0.1%以下の寸法変化率)。そのため、通常、焼結後に寸法を矯正するためのサイジング工程を省略することが可能となる。また、製品および圧粉成形用金型の設計が容易となる利点も得られる。もちろん、処理温度が低いため、処理時に必要な(電気または熱)エネルギーが削減できる上、処理工程も削減できることから、製品の製造工程の短縮とコスト低減が可能となる。ちなみに、上記の低温熱処理は、焼結工程等と同じく雰囲気処理であるため、製品形状(円筒状、プレート状等)や寸法の大小によらず適用することができる。
[含油工程]
熱処理後、低温熱処理することで得た鉄系多孔質体(処理品)に真空含浸等の手法で潤滑油を含浸させる。これにより、本発明の粉末冶金部材が完成する。
[作用効果]
鉄系の圧紛体に対して低温熱処理を行うと、鉄粉表面を覆うように形成される酸化被膜が封孔作用を有するため、熱処理後の多孔質体における含油率が低下する傾向にある。本発明では、原料粉末に添加剤としてシリカ(SiO2)やアルミナ(Al23)といった酸化物を配合しているため、鉄系圧紛体を低温加熱する際に添加剤の周囲で酸化被膜の形成を阻害することができる。従って、表面近傍の空孔間に通油孔を形成することができ、含油率を向上させることが期待できる。
すなわち、原料粉末に上記添加剤を配合していない場合、図5(a)に示すように、隣接する鉄粒子1の間の隙間が酸化被膜2(グレー色部分)で封孔される。これに対し、本願発明のように原料粉末に所定の添加剤を配合した場合には、図5(b)に示すように、鉄粒子1間に入り込んだ添加剤の粒子3(散点模様で示す)は、それ自身の表面に酸化被膜が形成されないことから、粒子3の周辺での酸化被膜3の形成を阻害する。これにより、鉄粒子1間に気孔が形成されるようになるため、表面近傍の気孔が連通した通油孔となる。そのため、粉末冶金部材の含油率を高めることができる。
かかる効果は、原料粉末に、酸化雰囲気下で、その表面に酸化被膜が形成されない添加剤を添加するだけで得ることができる。従って、工程増による歩留まりの心配はない。また、かかる効果を得るにあたり、潤滑剤や必要に応じて添加される銅粉、スズ粉などの他成分粉末、成形や低温熱処理、含油などの各種設備は従来通りのものを使用することができる。また、処理温度が低いため、高温焼結時に比べて寸法変化が小さく、その後の矯正(サイジング)工程を省略することが可能となる。同じ理由で、製造工程が短縮化され、コストが低減できる。また、低温熱処理を行うことで、鉄粒子が酸化被膜に覆われるため、他処理に比べ耐腐食性が向上し防錆処理の不要および、機械部品として過酷な環境下での使用が可能となる。処理温度によっては、500℃を超える高温で変性、分解するような添加剤、例えば摺動性や耐摩耗性、潤滑性を有する材料などを添加してもよく、これにより粉末冶金部材の高機能化を達成できる。
以上の説明では、粉末冶金部材の一例としてすべり軸受を例示したが、粉末冶金部材の用途はこれに限らず、摺動パッド等の摺動部材、さらには歯車等の機械部品としても広く使用することができる。
以下、本発明を適用したすべり軸受の具体的実施例について説明する。
原料粉末として、還元法で製造された純鉄粉(ヘガネス(株)製のNC.100.24 平均粒径90μm)に、含油率向上のためにシリカ粉末を所定量添加し、圧粉成形用潤滑剤としてアミドワックス系潤滑剤(ロンザジャパン製のAcrawax C)を0.5wt%添加したものを用意した。使用する純鉄粉のSEM写真を図1に、シリカ粉末のSEM写真を図2に、シリカ粉末の詳細を表1に示す。
上記原料粉末を合金工具鋼SKD11製の金型に充填し、所定の成形圧力において一軸加圧成形することにより円筒状の圧粉体を得た。その後、圧粉体中に含まれる潤滑剤成分を350℃において90分間脱脂した上で、各種処理を行い、試験片を作製した。各種処理の詳細を表2に示す。なお、比較例1,2(リファレンス)として、焼結体およびシリカ粉末を含まない低温熱処理品を用意した。圧粉体を焼結する際の雰囲気はアルゴンガスとし、低温熱処理する際の雰囲気は純空気とした。試験片はリング状で、寸法は外径φ16mm、内径φ8mm、厚さ5mmである。
このようにして得られた試験片を、JIS Z 2507に記載の方法に従って測定、算出した圧環強さによって評価した。評価に用いたのは試験片3ケについて測定した圧環強さの平均値である。使用した試験装置は、株式会社島津製作所製、オートグラフAG−5000Aである。圧環強さとは、圧環荷重から一定の方法で求められる円筒状焼結体または圧粉体の強さをいい、圧環荷重とは、円筒形の焼結体または圧粉体を軸に平行な二面で圧縮して割れが生じ始めたときの荷重をいう。圧環強さの評価基準を表3に示す。また、試験片への潤滑油の含浸は、試験片に油を浸透させ、約70℃の真空雰囲気下で試験片を約1時間程度油に浸すことで行った。そして、含油前後の重量および試験片の体積から含油率を算出した。含油率の評価基準を表4に示す。
各粒径のシリカを0.5wt%添加し、密度を変化させた時の圧環強さおよび含油率の評価結果を表5に示す。なお、比較例1は焼結を行った試験片である。実施例1〜実施例5から明らかなように、密度が5.7g/cm3以上6.5g/cm3以下で圧環強さが120MPa以上でかつ、含油率が15.0vol%以上となった。特にシリカ粒径4.0μm、密度6.0g/cm3とした時に圧環強さ140MPa以上、含油率17.0vol%以上となり、好ましい結果が得られた(実施例2)。比較例3,5のように密度が5.7g/cm3以下の場合、充分な圧環強さを確保できず、逆に比較例4,7のように7.0g/cm3以上の場合、含油率が確保できないことが明らかになった。比較例6では、密度が6.5g/cm3にもかかわらず、含油率が確保できていないが、その理由としては、酸化被膜の膜厚が1〜2μmであり、膜厚がシリカ粒径よりも大きいため十分な通油孔を確保できなかったためと考えられる。以上から、含油率を向上させるための添加剤は、酸化被膜の膜厚より粒径が大きいものがより好ましいと言える。
シリカ粒径4.0μm、密度6.0g/cm3の試験片表層付近の断面SEM写真を図3に示す。また、図4は図3の写真をスケッチしたものである。図3に丸印で示す領域(図4に散点で示す領域)にシリカ粒子が存在している。図3および図4に示すように、シリカ粒子は空孔内および酸化被膜間に位置している。グレー色で表した酸化被膜2の間にあるシリカが、酸化被膜2によって封孔されるはずであった空孔内に通油させる役割を担っていると考えられる。
次に、シリカの粒径を4.0μmに、密度を6.0g/cm3に統一し、シリカの添加量を変化させた時の圧環強さおよび含油率の評価結果を表6に示す。なお、比較例8,9は比較例1,2と同値である。実施例6〜9において、シリカの添加量が0.3〜1.0wt%の時、圧環強さが120MPa以上で含油率が17.0vol%以上であった。特に、実施例7においては、圧環強さ145MPa、含油率18.1vol%と最も良好な結果であった。添加量が0.3wt%未満だと、目的の含油率を満たさず、1.0wt%以上だと、目的の圧環強さを満たさない。以上から、圧環強さおよび含油率を同時に満たすシリカの添加量は0.3〜1.0wt%、より好ましくは0.3〜0.5wt%であることが判明した。
1 鉄粒子
2 酸化被膜
3 添加剤(粒子)

Claims (9)

  1. 原料粉末を成形してなり、かつ原料粉末に含まれる粒子同士を酸化被膜で結合した多孔質の粉末冶金部材であって、
    含油率を向上させる機能を有する添加剤を有し、含油率が15.0vol%以上である粉末冶金部材。
  2. 前記酸化被膜が酸化雰囲気下で加熱することにより形成され、前記添加剤として、その表面に前記加熱後も前記酸化被膜が形成されず、かつ前記加熱後も多孔質組織に残存するものが使用された請求項1に記載の粉末冶金部材。
  3. 前記添加剤が、シリカもしくはアルミナである請求項1または2記載の粉末冶金部材。
  4. 前記粒子の含有量が0.3〜1.0wt%である請求項1〜3何れか1項に記載の粉末冶金部材。
  5. 前記粒子が多孔質体またはファイバー状の形態をなす請求項1〜4何れか1項に記載の粉末冶金部材。
  6. 円筒状をなし、かつ120MPa以上の圧環強さを有する請求項1〜5何れか1項に記載の粉末冶金部材。
  7. 原料粉末から圧紛体を成形し、圧紛体を酸化雰囲気下で加熱することで、原料粉末に含まれる粒子同士を酸化被膜で結合した多孔質の粉末冶金部材を製造する際に、
    原料粉末に、前記加熱後も表面に前記酸化被膜が形成されず、かつ前記加熱後も多孔質組織に残存する添加剤を添加することを特徴とする粉末冶金部材の製造方法。
  8. 酸化雰囲気下で、圧紛体を400℃〜700℃で加熱する請求項7記載の粉末冶金部材の製造方法。
  9. 圧紛体の密度を、5.0〜7.6g/cm3にする請求項7記載の粉末冶金部材の製造方法。
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