JP2017214608A - 圧粉体からなる機械部品及びその製造方法 - Google Patents

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雅道 藤川
尚樹 八代
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尚樹 八代
大平 晃也
Akinari Ohira
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Abstract

【課題】所望の強度および耐食性を兼ね備えた機械部品を低コストに提供する。
【解決手段】金属粉末1を主原料とする圧粉体からなり、金属粉末1の粒子同士が、各粒子1の表面に形成された酸化物被膜3を介して結合されており、圧粉体の表面から深さ50μmの領域の断面における、金属粉末1に対する酸化物被膜3の面積比が20%以上である機械部品。圧環強さが150MPa以上であり、鉄粉からなることが好ましい機械部品。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧粉体からなる機械部品及びその製造方法に関する。詳しくは、金属粉末の圧粉体を、焼結させることなく高強度化させた機械部品及びその製造方法に関する。
焼結金属製の機械部品は、通常、金属粉末を主原料とした原料粉末の圧粉体を成形する圧縮成形工程、圧粉体を所定温度以上で加熱することにより金属粉末の粒子同士がネック結合した焼結体を得る焼結工程、及び、焼結体の寸法矯正を行う寸法矯正工程などを経ることで完成する。これら各種工程のうち、焼結工程では、圧粉体が鉄系粉末を主体としたものである場合、当該圧粉体を800℃〜1300℃程度の高温域で加熱するのが一般的であり、そのコストは焼結機械部品の製造コスト全体の1/4〜1/2程度を占める。また、焼結工程では、圧粉体が加熱・冷却されるのに伴って膨張−収縮が生じるため、必要とされる寸法精度を確保するには、焼結体にサイジング等の寸法矯正加工を施すことが必要不可欠となる。逆に言えば、上記のような高温域での熱処理を圧粉体に施さなくとも、機械部品に必要とされる強度を確保できれば、焼結工程およびその後の寸法矯正工程を省略することができ、機械部品の製造コストを大幅に低廉化できると考えられる。
そこで、本発明者らは、水蒸気処理に着目した。例えば下記の特許文献1には、鉄系粉末を主成分とする圧粉体に水蒸気処理を施して、粒子表面に酸化物被膜(主に四酸化三鉄の被膜)を形成することにより、この酸化物被膜を介して粒子同士を結合するとともに耐食性を付与することが記載されている。
特開昭63−72803号公報
しかしながら、特許文献1に開示された発明の目的は、磁性材料の部品のように、あまり強度が要求されない部品を低コストに製造可能とすることにある(第2頁左上欄第6−12行)。要するに、特許文献1に開示された技術手段の適用範囲は、同文献中に具体例として挙げられている軟磁性材料部品のように、それほど高い強度を必要としない用途に限定される。そのため、比較的高い強度を必要とする用途においては、特許文献1に開示された技術手段をそのまま採用しても、所望の強度を具備した機械部品を提供することができない。
また、特許文献1には、耐食性を高めるための具体的な条件等については、一切言及されていない。
本発明は、所望の強度および耐食性を兼ね備えた機械部品を低コストに提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、金属粉末を主原料とする圧粉体からなり、前記金属粉末の粒子同士が、各粒子の表面に形成された酸化物被膜を介して結合された機械部品であって、前記圧粉体の表面から深さ50μmの領域の断面における、前記金属粉末に対する前記酸化物被膜の面積比が20%以上であることを特徴とする機械部品を提供する。
また、本発明は、金属粉末を主原料とする原料粉末を圧縮して圧粉体を成形する工程と、前記圧粉体に水蒸気処理を施すことにより、前記金属粉末の粒子の表面に酸化物被膜を形成し、この酸化物被膜を介して前記金属粉末の粒子同士を結合する工程とを有し、前記圧粉体の表面から深さ50μmの領域の断面における、前記金属粉末に対する前記酸化物被膜の面積比が20%以上である機械部品の製造方法を提供する。
尚、ここで言う「圧環強さ」は、JIS Z 2507:2000中に規定された方法に基づいて得られる値である。
水蒸気処理は、酸化雰囲気中で、金属粉末を含む原料粉末の圧粉体を所定温度(例えば400〜700℃の範囲内)に加熱された水蒸気と反応させることにより、上記金属粉末の粒子表面、ひいては粒子相互間に酸化物被膜を形成する処理である。水蒸気処理は、その処理温度が、圧粉体を焼結する場合の加熱温度よりも格段に低いので、処理コストを大幅に低減することができる。そして、金属粉末の粒子間に形成される酸化物被膜が粒子同士を結合し、圧粉体を焼結したときに形成されるネッキングの役割を代替することにより、未焼結の圧粉体を、高強度化することができる。また、金属粉末の各粒子が酸化物被膜で覆われることで、圧粉体に耐食性が付与される。
特に、本発明者らの検証によれば、圧粉体に十分な時間の水蒸気処理を施すことで、金属粉末の粒子の表面に形成される酸化物被膜の膜厚(生成量)が増大し、強度及び耐食性が高められることが明らかになった。具体的には、前記圧粉体の表層(表面から深さ50μmの領域)の断面における、前記金属粉末に対する前記酸化物被膜の面積比を20%以上とすることにより、機械部品として使用可能なレベル、具体的には150MPa以上の圧環強さを有する程度にまで高強度化することができると共に、非常に優れた耐食性を付与できることが明らかになった。
以上のように、本発明によれば、所望の強度および耐食性を兼ね備えた機械部品を低コストに提供することができる。
(A)は、圧粉体の断面組織の拡大図である。(B)は、同圧粉体の脱脂後の断面組織の拡大図である。(C)は、同圧粉体の水蒸気処理後の断面組織の拡大図である。 水蒸気処理を1回(A図)、2回(B図)、3回(C図)施した試験片の表面付近の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る圧粉体からなる機械部品は、主に、圧縮成形工程、脱脂工程、および水蒸気処理工程を順に経て製造される。以下、上記の各工程について詳細に説明する。
[圧縮成形工程]
圧縮成形工程では、成形金型を用いて、金属粉末を含む原料粉末を圧縮することにより、完成品形状(例えば円筒状)の圧粉体を得る。圧粉体は、例えば一軸加圧成形法により成形することができるが、多軸CNCプレスによる成形、冷間等方圧加圧法、熱間等方圧加圧法等、公知のその他の成形法を採用しても構わない。なお、一軸加圧成形法であれば、その他の成形法に比べて圧粉体を低コストに得ることができるという利点がある。
金属粉末としては、酸化物被膜を形成可能なもの、具体的には、例えば鉄、アルミニウム、マグネシウム、クロム等のイオン化傾向が大きい金属粉末、あるいはこれらを含む合金粉末を使用できる。上記の金属粉末は、一種のみ用いてもよいし、複数種混合して用いてもよい。本実施形態では、鉄系粉末、特に鉄粉末を主原料とし、これに、所定量の固体潤滑剤を添加・混合した混合粉末を使用する。原料粉末に固体潤滑剤を含めることにより、粉末同士の摩擦、さらには粉末と金型間の摩擦を低減して圧粉体の成形性を高めることができる。この他、原料粉末に、銅粉末やスズ粉末、炭素系粉末(黒鉛粉末)等を添加してもよい。
鉄粉末としては、例えば各種製法で製造されたものを使用可能であり、本実施形態では、多孔質状(海面状)をなし、含油性や圧縮成形性に優れ、比較的低価格な還元鉄粉を使用する。この他、鉄粉として、水アトマイズ法やガスアトマイズ法、スタンプ法、カルボニル法で製造したものを用いても良い。しかし、ガスアトマイズ鉄粉は各粒子がほぼ球形をしており、粒子間の絡み合いが脆弱なため成形性の低下が懸念される。一方、還元鉄粉や水アトマイズ鉄粉は、ガスアトマイズ鉄粉に比べて粒子の表面の平滑度が劣り、各粒子が凹凸を持ついびつな形状であることが多い。通常は、この凹凸が粒子同士の接触点を増加させ、また、圧縮成形性が良好であるために、圧粉体の強度は向上する。従って、鉄粉としては、還元鉄粉や水アトマイズ鉄粉のような粒子形状がいびつな粉末を使用する方が望ましい。また、コストや圧縮成形性を考慮すると、還元鉄粉としては、その平均粒径が60μm以上120μm以下のものを使用するのが好ましい。
固体潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウム等の金属石けん系、アミドワックスや合成ポリエチレンワックス等のワックス系、二硫化モリブデンや二硫化タングステン等の硫化物系、黒鉛等のグラファイト系など、一般的に入手可能なものを適宜選択使用することができる。例示した固体潤滑剤は、一種のみを用いても良いし、二種以上を混合して用いても良い。なお、鉄粉末に対する固体潤滑剤の添加量が多過ぎると、機械部品に必要とされる機械的特性を満足することが難しくなる。そのため、鉄粉末に対する固体潤滑剤の添加量は1.0wt%以下程度とする。
圧粉体の密度が低すぎると、金属粉末の粒子同士の接触が少なくなり、強度が不足する恐れがある。従って、圧粉体の密度は、5.8g/cm以上、好ましくは6.0g/cm以上、より好ましくは6.3g/cm以上とされる。また、圧粉体の密度が高すぎると、圧粉体の内部気孔に水蒸気(酸素)が侵入しにくくなり、圧粉体の内部に十分な酸化物被膜が形成されず、やはり強度が不足する恐れがある。従って、圧粉体の密度は、7.2g/cm以下、好ましくは7.0g/cm以下とされる。圧粉体の密度が上記の範囲となるように、圧縮成形工程における成形圧等の成形条件が設定される。尚、圧粉体の密度は、寸法測定法による。
こうして成形された圧粉体は、図1(A)に示すように、鉄粒子1の間の隙間に固体潤滑剤2が分散された内部組織を有する。
[脱脂工程]
脱脂工程では、圧粉体を固体潤滑剤の融点以上で所定時間加熱することにより、固体潤滑剤を分解・除去する。これにより、図1(B)に示すように、圧粉体中の固体潤滑剤が消失し、圧粉体が金属粉末(鉄粒子1)のみで構成される。固体潤滑剤として例えばアミドワックスを用いた場合、例えば、圧粉体を350℃で90分間加熱する。なお、この脱脂工程は必ずしも実施する必要はなく、必要に応じて実施すれば足りる。
[水蒸気処理工程]
水蒸気処理工程では、酸化雰囲気中に置かれた圧粉体を400〜700℃の高温水蒸気と反応させる。これにより、図1(C)に示すように、圧粉体に含まれるFe粒子1の表面に、主に四酸化三鉄(Fe)および三酸化二鉄(Fe)からなる酸化物被膜3が徐々に形成される。そして、酸化物被膜3が成長するのに伴って、隣接するFe粒子1同士が酸化物被膜3を介して結合し、これにより圧粉体が高強度化される。また、Fe粒子1の表面が酸化物被膜3で覆われることで、圧粉体に耐食性が付与される。
水蒸気処理の処理条件(温度、時間等)は、圧粉体の密度や寸法、原料粉末の組成等によって異なるが、圧粉体の表層(具体的には、表面から深さ50μmの領域)の断面において、鉄粉末に対する酸化物被膜3の面積比が20%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは27%以上となるように設定される。例えば、上記の温度範囲の水蒸気を用いて、60分以上、好ましくは80分以上、より好ましくは120分以上、圧粉体に対して水蒸気処理を施して、上記のような酸化物被膜3を形成する。尚、水蒸気処理の処理時間が長くなるほどコストが増大するので、処理時間は例えば200分以下とされる。
以上で説明したように、本実施形態に係る機械部品は、圧粉体を母材とし、圧粉体を構成する金属粉末の各粒子(鉄粒子1)の表面に形成された酸化物被膜3が、粒子同士を結合する。これにより、未焼結の圧粉体が高強度化されると共に、圧粉体に耐食性が付与される。特に、圧粉体の表層の断面における鉄粉末に対する酸化物被膜の面積比が20%以上であることで、未焼結の圧粉体を、機械部品として使用可能なレベル、具体的には150MPa以上、好ましくは180MPa以上の圧環強さを有する程度にまで高強度化することができると共に、圧粉体に非常に優れた耐食性を付与することができる。
また、酸化物被膜3を形成するために圧粉体に施される水蒸気処理は、その処理温度が、圧粉体を焼結する場合の加熱温度よりも格段に低いので、水蒸気処理の処理前後における圧粉体の寸法変化量を±0.1%以下程度にまで小さくすることができる。そのため、圧粉体を焼結した場合には、焼結工程後の実施が必要不可欠であったサイジング等の寸法矯正加工を省略することも可能になる。また、寸法変化量を小さくできれば、圧粉体を成形するための成形金型の設計が容易となる。さらに、処理温度が低ければ、処理時に必要なエネルギーも削減できるため、処理コストを低減できる。以上より、本発明によれば、所望の強度および耐食性を兼ね備えた機械部品を低コストに提供することができる。
以上のような圧粉体は、各種機械部品に適用することができ、例えば、すべり軸受、ギヤ、カム等、相手部材と摺動する摺動面を有する摺動部材や、摺動面を有さないその他の機械部品に適用可能である。
本発明の効果を確認するための試験ついて、以下に説明する。
試験片となる圧粉体の材料として、還元法で製造された純鉄粉(ヘガネス株式会社製のSC.100.26 粒径250μm以下)に、圧粉成形用潤滑剤としてアミドワックス系潤滑剤(ロンザジャパン製AcrawaxC)を0.7wt.%添加した混合粉末を用意した。この混合粉末を金型に充填し、所定の成形圧力において一軸加圧成形することにより円筒状圧粉体を得た。その後、圧粉体中に含まれる潤滑剤成分を350℃において90分間脱脂した上で、水蒸気処理又は焼結処理を行い、試験片を作製した。水蒸気処理及び焼結処理の詳細を下記の表1に示す。なお、水蒸気処理は510℃×40minを1回、2回、3回行った試験片を用意した。焼結処理はArガス雰囲気下で行った。試験片はリング状で、寸法は外径φ20mm、内径φ12mm、厚さ7mmである。
(圧環強さの評価)
上記で得られた試験片を、JIS Z 2507に記載の方法に従って測定、算出した圧環強さによって評価した。評価に用いたのは3個の試験片について測定した圧環強さの平均値である。使用した試験装置は、株式会社島津製作所製、オートグラフAG−5000Aである。圧環強さとは、圧環荷重から一定の方法で求められる円筒状焼結体または圧粉体の強さをいい、圧環荷重とは、円筒形の焼結体または圧粉体を軸に平行な二面で圧縮して割れが生じ始めたときの荷重をいう。圧環強さの評価基準を表2に示す。
各密度において各種処理を行った試験片の評価結果を表3に示す。なお、比較例6は成形したままの未処理品である。実施例1〜実施例6において、圧粉密度が6.0g/cm以上7.0g/cm以下、水蒸気処理回数2回以上(処理時間80分以上)で圧環強さが150MPa以上となった。比較例1〜3のように水蒸気処理1回(処理時間40分)では、十分な強度が確保できなかった。また、水蒸気処理回数2回、3回であっても、密度7.2g/cm以上では圧粉体内部まで十分な酸素が供給されず、酸化物被膜の形成が圧粉体の表層領域に限定されたため、圧環強さが低下したものと考える。以上より、圧粉密度6.0〜7.0g/cmの範囲で、水蒸気処理回数2回以上であれば、圧環強さ150MPa以上を付与することができる。
(耐食性の評価)
上記で得られた試験片の耐食性を調査するために、塩水噴霧試験を行った。本試験はJIS Z 2371に準拠して実施した。使用した装置は、スガ試験機株式会社製の塩水噴霧試験機STP−90V−2である。詳細な試験条件を表4に示す。耐食性の評価方法として質量法を用いた。従来の質量法は、試験後の腐食生成物を取り除いた後、試験前後で質量減少量を調べて判定するものである。しかし、焼結体では多数の空孔が存在するため試験片内部まで腐食され、完全な腐食生成物の除去は困難である。そこで、試験前後の重量増加を調べることで耐食性の判定基準とした。なお、試験後の重量は、圧粉体を十分洗浄、乾燥させることで塩、水分を除去した後、測定した。耐食性の評価基準を表5に示す。また、腐食後の試験片の圧環強さ低下率の評価基準を表6に示す。
各試験片における耐腐食性の結果一覧を表7に示す。各圧粉体の密度は6.5g/cmであり、比較例8は表3の比較例6と同様の試験片である。実施例7、8より、水蒸気処理2回以上においては48h塩水噴霧を行っても他に比べて腐食されておらず、重量増加率は1.2%未満であった。また、実施例7、8では、すべての試験時間において、腐食試験前後の圧環強さの低下率が10%未満であった。これは、水蒸気処理により鉄粒子間に酸化物被膜が形成されたため、それ以上腐食が進行せず、腐食されにくくなったためと考える。一方、水蒸気処理1回の比較例7では、鉄粒子間の酸化物被膜が形成されていたにも関わらず、耐腐食性は低かった。これは水蒸気処理1回の比較例7の酸化物被膜が、水蒸気処理2回以上の実施例7、8の酸化物被膜よりも膜厚が薄い(生成量が少ない)ため、耐腐食性が担保できなかったものと考える。
図2に、水蒸気処理が1回(A図)、2回(B図)、3回(C図)の試験片の表面付近の断面図を示す。これらの図から、圧粉体の表層の断面における、鉄粉末に対する酸化物被膜の面積比は、水蒸気処理が1回の場合で15%程度、水蒸気処理が2回の場合で20%程度、水蒸気処理が3回の場合で27%程度であった。以上から、圧粉体の表層の断面における、鉄粉末に対する酸化物被膜の面積比が20%以上であれば、十分な耐食性が確保できると言える。また、表3の圧環強さの向上も、酸化物被膜の膜厚が厚くなった(生成量が増えた)ことに由来すると考えられる。
1 鉄粒子
2 固体潤滑剤
3 酸化物被膜

Claims (5)

  1. 金属粉末を主原料とする圧粉体からなり、前記金属粉末の粒子同士が、各粒子の表面に形成された酸化物被膜を介して結合された機械部品であって、
    前記圧粉体の表面から深さ50μmの領域の断面における、前記金属粉末に対する前記酸化物被膜の面積比が20%以上であることを特徴とする機械部品。
  2. 圧環強さが150MPa以上である請求項1に記載の機械部品。
  3. 前記金属粉末が鉄系粉末である請求項1又は2に記載の機械部品。
  4. 金属粉末を主原料とする原料粉末を圧縮して圧粉体を成形する工程と、
    前記圧粉体に水蒸気処理を施すことにより、前記金属粉末の粒子の表面に酸化物被膜を形成し、この酸化物被膜を介して前記金属粉末の粒子同士を結合する工程とを有し、
    前記圧粉体の表面から深さ50μmの領域の断面における、前記金属粉末に対する前記酸化物被膜の面積比が20%以上である機械部品の製造方法。
  5. 前記金属粉末が鉄系粉末である請求項4に記載の機械部品の製造方法。
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