以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。以下で例示する材料は、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
<ポリカーボネート樹脂組成物>
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、(A)ポリカーボネート樹脂(以下、場合により「(A)成分」という)と、ガラスフィラー(以下、場合により「(B)成分」という)と、を含有し、前記ガラスフィラーの平均長径が1000μm以下であり、スルホン酸の有機金属塩及びスルホンアミドの有機金属塩の合計量が、前記ポリカーボネート樹脂及び前記ガラスフィラーの合計量を基準として1質量%以下である。本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂と、ガラスフィラーと、スルホン酸の有機金属塩及びスルホンアミドの有機金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機金属塩(以下、場合により「(C)成分」という)と、を含有する態様であってもよく、前記(C)成分を含有しない態様であってもよい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、優れた難燃性及び耐着火性を有している。このような効果が得られる要因について、本発明者は下記のとおりであると推測している。すなわち、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物では、ポリカーボネート樹脂と、特定のガラスフィラーと、を用いた上で、前記有機金属塩の合計量が所定値以下であることにより、高温に加熱された際に樹脂組成物の分解により燃焼性ガスが発生したとしても、樹脂組成物が膨張することにより燃焼性ガスが内部に留められるため、燃焼性ガスが外部に漏出することが抑制される。また、ポリカーボネート樹脂と、特定のガラスフィラーと、を用いた上で、前記有機金属塩の合計量が所定値以下であることにより、樹脂組成物の分解速度が抑制されて燃焼性ガスの発生が抑制されやすい。これらにより、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、優れた難燃性及び耐着火性を有している。
((A)成分:ポリカーボネート樹脂)
(A)成分であるポリカーボネート樹脂としては、例えば、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、及び、ジヒドロキシジアリール化合物と炭酸エステル(ジフェニルカーボネート等)とを反応させるエステル交換法などにより得られる重合体が挙げられる。(A)成分を製造するに際しては、必要に応じて、分子量調節剤、触媒等を使用することができる。
ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホンなどが挙げられる。ジヒドロキシジアリール化合物は、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
ジヒドロキシジアリール化合物と、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等とを併用してもよい。
ジヒドロキシジアリール化合物と、3価以上のフェノール化合物とを併用してもよい。3価以上のフェノール化合物としては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス[4,4−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)シクロヘキシル]プロパン等が挙げられる。
(A)成分の粘度平均分子量は、優れた成形性が容易に得られる観点から、10000以上が好ましく、15000以上がより好ましく、17000以上が更に好ましく、18000以上が特に好ましく、20000以上が極めて好ましい。(A)成分の粘度平均分子量は、成形体(シート等)の表面の優れた外観が容易に得られる観点から、100000以下が好ましく、35000以下がより好ましく、28000以下が更に好ましく、25000以下が特に好ましい。これらの観点から、(A)成分の粘度平均分子量は、10000〜100000が好ましく、15000〜35000がより好ましく、17000〜28000が更に好ましく、18000〜25000が特に好ましく、20000〜25000が極めて好ましい。(A)成分の粘度平均分子量は、次の手順により得ることができる。まず、塩化メチレンを溶媒として用いて0.5質量%のポリカーボネート樹脂溶液を得る。次に、キャノンフェンスケ型粘度管を用いて温度20℃で比粘度(ηsp)を測定する。そして、濃度換算により極限粘度〔η〕を求め、下記SCHNELLの式から粘度平均分子量Mを算出することができる。
〔η〕=1.23×10−4M0.83
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を基準として下記の範囲が好ましい。(A)成分の含有量は、優れた成形性が容易に得られる観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましく、60質量%以上が特に好ましく、70質量%以上が極めて好ましい。(A)成分の含有量は、成形体(シート等)の表面の優れた外観が容易に得られる観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、87質量%以下が更に好ましく、85質量%以下が特に好ましく、80質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜87質量%が更に好ましく、60〜85質量%が特に好ましく、70〜80質量%が極めて好ましい。
(A)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。(A)成分の含有量は、優れた成形性が容易に得られる観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、55質量%以上が更に好ましく、60質量%以上が特に好ましく、65質量%以上が極めて好ましい。(A)成分の含有量は、成形体(シート等)の表面の優れた外観が容易に得られる観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、87質量%以下が更に好ましく、85質量%以下が特に好ましく、80質量%以下が極めて好ましく、70質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、40〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜87質量%が更に好ましく、60〜85質量%が特に好ましく、65〜80質量%が極めて好ましく、65〜70質量%が非常に好ましい。
((B)成分:ガラスフィラー)
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、優れた難燃性及び耐着火性が得られる観点から、(B)成分として、平均長径(最長の径の平均値)が1000μm以下のガラスフィラー(ガラスを含むフィラー)を含有する。ガラスフィラーの平均長径が1000μmを超えると、ガラスフィラー同士の間隔が広くなりやすく、ガラスフィラー間の隙間から燃焼性ガスが抜けやすくなるため、燃焼時に膨張現象が認められず充分な難燃性及び耐着火性が得られない。
ガラスフィラーの平均長径は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、500μm以下が更に好ましい。ガラスフィラーの平均長径は、成形体の充分な強度が容易に得られる観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、30μm以上が更に好ましく、40μm以上が特に好ましい。これらの観点から、ガラスフィラーの平均長径は、10〜1000μmが好ましく、20〜800μmがより好ましく、30〜600μmが更に好ましく、40〜500μmが特に好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、下記平均短径(最短の径の平均値)を有するガラスフィラーを含有することが好ましい。ガラスフィラーの平均短径は、成形体の充分な強度が容易に得られる観点から、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。ガラスフィラーの平均短径は、成形体(シート等)の表面の優れた外観が容易に得られる観点から、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が更に好ましく、12μm以下が特に好ましく、10μm以下が極めて好ましい。これらの観点から、ガラスフィラーの平均短径は、0.1〜25μmが好ましく、1〜20μmがより好ましく、5〜15μmが更に好ましく、5〜12μmが特に好ましく、5〜10μmが極めて好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、下記平均アスペクト比(平均長径/平均短径)を有するガラスフィラーを含有することが好ましい。ガラスフィラーの平均アスペクト比は、成形体(シート等)の表面の優れた外観が容易に得られる観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。ガラスフィラーの平均アスペクト比は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、100以下が好ましく、75以下がより好ましく、50以下が更に好ましく、40以下が特に好ましく、30以下が極めて好ましく、20以下が非常に好ましく、10以下がより一層好ましく、5未満が更に好ましく、4以下が特に好ましい。これらの観点から、ガラスフィラーの平均アスペクト比は、1〜100が好ましく、1〜75がより好ましく、1〜50が更に好ましく、1〜40が特に好ましく、1〜30が極めて好ましく、1〜20が非常に好ましく、1〜10がより一層好ましく、1以上5未満が更に好ましく、1〜4が特に好ましく、2〜4が極めて好ましい。ガラスフィラーの平均アスペクト比は、4以上であってもよく、10以上であってもよく、20以上であってもよく、40以上であってもよい。
「ガラスフィラーの長径(最長の径)」とは、ガラスフィラーを2枚の平行な板で挟んだときに、この2枚の板の距離が最も大きくなるときの当該距離に相当する長さを指す。「ガラスフィラーの短径(最短の径)」とは、ガラスフィラーを2枚の平行な板で挟んだときに、この2枚の板の距離が最も小さくなるときの当該距離に相当する長さを指す。互いに重ならないように支持体(ガラス板等)上に配置されたガラスフィラーを光学顕微鏡により40〜500倍で観察した撮影像において、任意に選択した1000個のガラスフィラーの各々について長径又は短径を求め、加算平均値を平均長径又は平均短径として得ることができる。ガラスフィラーの径(長径、短径等)として、市販品のカタログ値を採用することができる。
ガラスフィラーの形状としては、繊維状、フレーク状(鱗片状)等が挙げられる。ガラスフィラーとしては、ミルドファイバー(ガラス繊維ミルドファイバー)、ガラスフレーク、ガラスビーズ等が挙げられる。「ミルドファイバー」とは、ガラス繊維を粉砕して得られる繊維状の粉砕物であり、例えば、円柱状、角柱状等の略柱状である。ミルドファイバーは、長径として上記繊維長(1000μm以下の繊維長)を有しており、短径として繊維径を有している。ミルドファイバーを用いることにより、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる。「ガラスフレーク」とは、フレーク状のガラス粉末である。ガラスフレークは、長径として上記粒径(1000μm以下の粒径)を有している。「ガラスビーズ」とは、球状のガラス粉末である。ガラスビーズを用いることにより、収縮率の異方性を容易に改善することができると共に、成形体の反りを容易に改善することができる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、下記平均繊維径を有するミルドファイバーを含有することが好ましい。ミルドファイバーの平均繊維径は、成形体の充分な強度が容易に得られる観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。ミルドファイバーの平均繊維径は、成形体(シート等)の表面の優れた外観が容易に得られる観点から、25μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。これらの観点から、ミルドファイバーの平均繊維径は、1〜25μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、下記平均短径(例えば厚さ)を有するガラスフレークを含有することが好ましい。ガラスフレークの平均短径は、成形体の充分な強度が容易に得られる観点から、0.1μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。ガラスフレークの平均短径は、成形体(シート等)の表面の優れた外観が容易に得られる観点から、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましい。これらの観点から、ガラスフレークの平均短径は、0.1〜10μmが好ましく、1〜8μmがより好ましい。
ガラスフィラーは、樹脂成分との接着性を向上させるために、有機シラン化合物、シリコーン化合物等の表面処理剤で表面処理したフィラーであってもよい。
ガラスフィラーは、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。ミルドファイバー、ガラスフレーク、ガラスビーズ等のそれぞれは、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、混合前における平均長径、平均短径、平均アスペクト比等の異なる複数種のガラスフィラー(ミルドファイバー、ガラスフレーク等)を混合して得られてもよい。
(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を基準として下記の範囲が好ましい。(B)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が極めて好ましい。(B)成分の含有量は、成形体の優れた外観が容易に得られる観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましく、40質量%以下が特に好ましく、30質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、13〜45質量%が更に好ましく、15〜40質量%が特に好ましく、20〜30質量%が極めて好ましい。
(B)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。(B)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、13質量%以上が更に好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が極めて好ましい。(B)成分の含有量は、成形体の優れた外観が容易に得られる観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下が更に好ましく、40質量%以下が特に好ましく、35質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、13〜45質量%が更に好ましく、15〜40質量%が特に好ましく、20〜35質量%が極めて好ましい。
(B)成分の含有量は、(A)成分の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。(B)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましく、40質量%以上が特に好ましい。(B)成分の含有量は、成形体の優れた外観が容易に得られる観点から、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、10〜80質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%が更に好ましく、40〜50質量%が特に好ましい。
((C)成分:有機金属塩)
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物において、スルホン酸の有機金属塩及びスルホンアミドの有機金属塩である(C)成分の合計量は、ポリカーボネート樹脂及びガラスフィラーの合計量を基準として1質量%以下である。これにより、ポリカーボネート樹脂組成物の難燃性及び耐着火性を向上させることができる。
有機金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、モリブテン(Mo)等が挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等が挙げられる。(C)成分は、ポリカーボネート樹脂組成物の燃焼時の炭化層形成を促進し、難燃性及び耐着火性が更に高まる観点、並びに、ポリカーボネート樹脂の機械的物性(例えば耐衝撃性)、耐熱性、電気的特性等の性質が良好に維持される観点から、アルカリ金属塩(有機アルカリ金属塩)及びアルカリ土類金属塩(有機アルカリ土類金属塩)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩及びセシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
有機金属塩としては、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、脂肪族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホン酸の金属塩、脂肪族スルホンアミドの金属塩、及び、芳香族スルホンアミドの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
脂肪族スルホン酸の金属塩としては、含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩等が挙げられる。含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩としては、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸の金属塩等が挙げられ、分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等が挙げられる。分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸としては、パーフルオロブタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩としては、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム等が挙げられる。分子中に少なくとも1つのC−F結合を有する含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩としては、パーフルオロブタンスルホン酸マグネシウム、パーフルオロブタンスルホン酸カルシウム、パーフルオロブタンスルホン酸バリウム、トリフルオロメタンスルホン酸マグネシウム、トリフルオロメタンスルホン酸カルシウム、トリフルオロメタンスルホン酸バリウム等が挙げられる。
芳香族スルホン酸の金属塩としては、分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホン酸の金属塩等が挙げられ、分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等が挙げられる。分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホン酸としては、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、(ポリ)スチレンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸、トリクロロベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩としては、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸セシウム、(ポリ)スチレンスルホン酸ナトリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸カリウム、(ポリ)スチレンスルホン酸セシウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸セシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸セシウム、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸カリウム、トリクロロベンゼンスルホン酸セシウム等が挙げられる。分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩としては、パラトルエンスルホン酸マグネシウム、パラトルエンスルホン酸カルシウム、パラトルエンスルホン酸ストロンチウム、パラトルエンスルホン酸バリウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸マグネシウム、(分岐)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム等が挙げられる。
脂肪族スルホンアミドの金属塩としては、含フッ素脂肪族スルホンアミドの金属塩等が挙げられる。含フッ素脂肪族スルホンアミドの金属塩としては、線状含フッ素脂肪族スルホンアミドの金属塩、環状含フッ素脂肪族スルホンアミドの金属塩等が挙げられ、線状含フッ素脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、環状含フッ素脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
線状含フッ素脂肪族スルホンアミドとしては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミド、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミド等が挙げられる。線状含フッ素脂肪族スルホンアミドの金属塩としては、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドカリウム、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドリチウム、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドナトリウム、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドリチウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ペンタフルオロエタン)スルホニルイミドカリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドリチウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドナトリウム、トリフルオロメタン(ノナフルオロブタン)スルホニルイミドカリウム等が挙げられる。
環状含フッ素脂肪族スルホンアミドとしては、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミド等が挙げられる。環状含フッ素脂肪族スルホンアミドの金属塩としては、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドリチウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドナトリウム、シクロ−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ビス(スルホニル)イミドカリウム等が挙げられる。
芳香族スルホンアミドの金属塩としては、分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホンアミドの金属塩等が挙げられ、分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホンアミドのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩等が挙げられる。分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホンアミドとしては、サッカリン、N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミド、N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミド、N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミド等が挙げられる。分子中に少なくとも1つの芳香族基を有する芳香族スルホンアミドの金属塩としては、サッカリンのリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩;N−(p−トリルスルホニル)−p−トルエンスルホイミドのリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩;N−(N’−ベンジルアミノカルボニル)スルファニルイミドのリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩;N−(フェニルカルボキシル)−スルファニルイミドのリチウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等が挙げられる。
これらの中でも、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、脂肪族スルホン酸の金属塩、芳香族スルホン酸の金属塩、及び、脂肪族スルホンアミドの金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、及び、脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、含フッ素脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、及び、線状含フッ素脂肪族スルホンアミドのアルカリ金属塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩が特に好ましい。具体的には、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、及び、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。(C)成分は、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(C)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性を得る観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量を基準として1質量%以下である。(C)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点、樹脂組成物の熱安定性に優れる観点、並びに、成形体の外観及び機械的強度に優れる観点から、(A)成分及び(B)成分の合計量を基準として、0.8質量%以下が好ましく、0.7質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.3質量%以下が特に好ましく、0.1質量%以下が極めて好ましく、0.08質量%以下が非常に好ましく、0.05質量%以下がより一層好ましい。(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を基準として、0質量%以上であってもよく、0質量%を超えていてもよく、0.01質量%以上であってもよく、0.02質量%以上であってもよく、0.04質量%以上であってもよい。これらの観点から、(C)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量を基準として、0〜1質量%であり、0質量%を超え1質量%以下であってもよく、0.01〜0.8質量%であってもよく、0.02〜0.7質量%であってもよく、0.04〜0.5質量%であってもよく、0.04〜0.3質量%であってもよく、0.04〜0.1質量%であってもよく、0.04〜0.08質量%であってもよく、0.04〜0.05質量%であってもよい。
(C)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点、樹脂組成物の熱安定性に優れる観点、並びに、成形体の外観及び機械的強度に優れる観点から、樹脂組成物の全質量を基準として、1質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましく、0.7質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が特に好ましく、0.3質量%以下が極めて好ましく、0.1質量%以下が非常に好ましく、0.08質量%以下がより一層好ましく、0.05質量%以下が更に好ましく、0.04質量%以下が特に好ましい。(C)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として、0質量%以上であってもよく、0質量%を超えていてもよく、0.01質量%以上であってもよく、0.02質量%以上であってもよく、0.03質量%以上であってもよい。これらの観点から、(C)成分の含有量は、樹脂組成物の全質量を基準として、0〜1質量%であってもよく、0質量%を超え1質量%以下であってもよく、0.01〜0.8質量%であってもよく、0.02〜0.7質量%であってもよく、0.03〜0.5質量%であってもよく、0.03〜0.3質量%であってもよく、0.03〜0.1質量%であってもよく、0.03〜0.08質量%であってもよく、0.03〜0.05質量%であってもよく、0.03〜0.04質量%であってもよい。
(C)成分の含有量は、(A)成分の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。(C)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.055質量%以上が特に好ましい。(C)成分の含有量は、優れた難燃性及び耐着火性が容易に得られる観点から、0.2質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.12質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、(C)成分の含有量は、0.01〜0.2質量%が好ましく、0.03〜0.15質量%がより好ましく、0.05〜0.12質量%が更に好ましく、0.055〜0.1質量%が特に好ましい。
(他の成分)
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて、前記成分以外の公知の樹脂(ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂など)を含有することができる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて、前記成分以外の公知の添加剤を含有することができる。このような添加剤としては、酸化防止剤(リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、離型剤(グリセリン脂肪酸エステル等)、滑剤(パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等)、着色剤(酸化チタン、染料、顔料等)、充填剤(炭酸カルシウム、クレー、シリカ、カーボンブラック、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等)、流動性改良剤、展着剤(エポキシ化大豆油、流動パラフィン等)、難燃剤などが挙げられる。
(ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法)
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物は、構成成分を混合することにより得ることができる。構成成分の混合方法としては、特に制限はなく、例えば、任意の混合機(タンブラー、リボンブレンダー、高速ミキサー等)で混合した後に単軸押出機、二軸押出機、ニーダー等で溶融混練する方法が挙げられる。
各成分を予め混合せずに、又は、一部の成分のみを予め混合した後、サイドフィーダーを用いて構成成分を押出機に供給し、続いて、溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造することもできる。特に、ガラスフィラーの破砕を抑制するため、樹脂成分とは別に、押出機下流側に設置したサイドフィーダーからガラスフィラーを供給し、樹脂成分とガラスフィラーとを混合することが好ましい。
<成形体及びその製造方法>
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物を含む。本実施形態に係る成形体は、膜状であってもよく、平板状であってもよい。本実施形態に係る成形体としては、シート等が挙げられる。成形体(シート等)の断面は、半円形又は角型であってもよい。成形体(シート等)の表面にエンボス等の処理を施してもよい。難燃性及び耐着火性を更に高める観点から、成形体(シート等)の表面に無機物等で表面処理を施してもよく、別の層を積層してもよい。シートの幅は、例えば100〜2000mmである。シートの厚さは、例えば0.1〜5mmである。
本実施形態に係る成形体の製造方法は、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物を成形して成形体(シート等)を得る成形工程を備える。ポリカーボネート樹脂組成物の成形方法としては、特に制限はなく、公知の押出成形法(Tダイ成形法、カレンダー成形法、異形押出法等)、圧縮成形法、射出成形法、射出・圧縮成形法などを用いることができる。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物及び成形体は、幅広い分野において用いることが可能であり、例えば、家電部材、電気・電子機器部材、OA機器部材、情報端末機器部材、機械部品、車輌部品、建築部材、照明機器部材(例えば、照明カバー、表示灯及び蛍光管)、採光用部材(例えば、採光用ドーム、天窓、アーケード及び道路側壁板)、各種容器等において用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ペレットの作製>
表1及び表2に示す含有量の配合成分を準備した。次に、37mm径の二軸押出機(株式会社神戸製鋼所製、商品名:KTX−37)を用いてシリンダー温度280℃で前記配合成分を溶融混練し、各種ペレットを得た。
使用した配合成分の詳細は以下のとおりである。
[ポリカーボネート樹脂]
A−1:ビスフェノールA及びホスゲンから合成されたポリカーボネート樹脂、住化スタイロンポリカーボネート社製、商品名:カリバー200−13(粘度平均分子量:21000)
[ガラスフィラー]
B−1:ミルドファイバー、日東紡績株式会社製、商品名:PFE301S(平均繊維長:40μm、平均繊維径:10μm)
B−2:ミルドファイバー、日東紡績株式会社製、商品名:SS15−404(平均繊維長:500μm、平均繊維径:12μm)
B−3:ガラスフレーク、日本板硝子株式会社製、商品名:REFG−313(平均粒径(長径):150μm、平均厚み:5μm)
B−4:チョップドストランド、オーウェンスコーニング社製、商品名:FT737(平均繊維長:3mm、平均繊維経:13μm)
[有機金属塩]
C−1:パラトルエンスルホン酸ナトリウム、東豊化工股聞有限公司(Ton Fong Chemical;Industry Co, Ltd.)製
C−2:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウム、三菱マテリアル電子化成社製
C−3:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、ランクセス株式会社製
<平板の製造>
乾燥機を用いて前記ペレットを120℃で4時間乾燥した。次に、圧縮成形機(株式会社神藤金属工業所製、商品名:NF.37)を用いて、成形温度250℃、金型温度30℃で、100mm×100mm×厚さ1.5mmのサイズの平板を得た。実施例及び比較例のそれぞれについて平板を5枚準備した。
<評価:燃焼試験>
東洋精機株式会社製のコーンカロリーメータ(商品名:CONE CALORIEMETERIII)を用いて、ISO 5660−1に準拠して着火時間(単位:秒)及び最大発熱速度(単位:kW/m2)を測定した。実施例及び比較例のそれぞれについて、前記平板5枚の測定を行い、平均値を算出した。ヒーター設定温度750℃、ヒーターと平板との距離25mm、輻射量50.0kW/m2の条件で熱線を10分間平板に照射した。また、目視により、燃焼時の試料の膨張の有無を観察した。充分な膨張が観察された場合を「A」と評価し、若干の膨張が観察された場合を「B」と評価し、膨張が観察されなかった場合を「C」と評価した。各結果を表1及び表2に示す。
表1に示すとおり、実施例では、燃焼時に膨張が認められ、着火時間が長く、最大発熱速度が小さく、良好な結果が得られた。
一方、ガラスフィラー用いていない比較例1では、燃焼時に膨張が認められず、最大発熱速度が大きく劣っていた。
長径が1000μmを超えるガラスフィラーを用いた比較例2及び3では、燃焼時に膨張が認められず、着火時間及び最大発熱速度のいずれもが劣っていた。
有機金属塩の含有量が1質量%を超える比較例4では、燃焼時に若干の膨張は認められたものの、着火時間及び最大発熱速度のいずれもが劣っていた。