JP2018009124A - 洗浄剤組成物及び洗浄方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、繊維油剤やオリゴマー等の汚れ成分を繊維表面上から除去できるとともに、繊維の精練、染色工程で問題となる汚れ成分が繊維や繊維機械装置の処理槽に付着することを抑制でき、また処理槽に付着した汚れ成分を容易に除去することができる洗浄剤組成物、および当該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法を提供することにある。【解決手段】 本発明の洗浄剤組成物は、酸無水物と水酸基を有する有機化合物との反応物である化合物(A)を含むものである。本発明の洗浄方法は、上記の洗浄剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄する工程を含むものである。【選択図】 なし

Description

本発明は、洗浄剤組成物及び当該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法に関するものである。
ポリエステル系繊維の染色は、十分に精練処理を行った後、100〜150℃の高温高圧の下、弱酸性領域で分散染料を用いて被染色物を浸漬する方法が一般的であるが、この際に種々の問題が発生する。
ポリエステル系繊維の精練処理については、精練が不十分であった場合や未精練の場合、被染色物に付着する繊維油剤が分散染料の分散能を低下させるため、分散染料のスペックが発生し易く、染色物の汚れや染色機の缶体汚染などのトラブルが発生する。
また、最近の染色加工において、多様な要求に対応すべく、多品種小ロット化の傾向にあり、加工コストが上昇ぎみである。そこで、加工コスト低減のため加工プロセスの短縮化あるいは簡略化がなされつつある。特に、生産性の向上および省エネルギー化を考えた場合、精練工程及び洗浄工程を簡略化もしくは省略する手段がとられてきている。従って、精練工程で除去されているはずの繊維油剤等が、被染色物に残存したまま染色工程に入ることになり、この場合、特に分散染料のスペックが発生し易く、染色物の汚れや染色機の缶体汚染などのトラブルが生じることが大きな問題となってきている。
また、通常、ポリエステル系繊維中には、その製造工程中において副生成するポリエステルオリゴマー(以下、オリゴマーという)が1〜5重量%含有されている。ここでオリゴマーは、主として環状エチレンテレフタレートである。ポリエステル系繊維を染色する際に、このようなオリゴマーがポリエステル繊維内部から繊維表面に溶出してくる。さらに、オリゴマーは染色浴中に溶出し、染色後の冷却において、ポリエステル系繊維表面に再付着する。このようなオリゴマーの付着に起因して様々な不具合を引き起こす。
例えば、ポリエステル系繊維をチーズ染色する場合、染色されたポリエステル系繊維において、フィルター現象によりオリゴマーが内層に蓄積する白化現象、色相のくすみ、内外層での色相の違い等の不具合を引き起こす。後工程では、製織工程における解舒性低下、糸切れ、ガイドロール部やエアーノズル部のスカムの蓄積等の工程トラブルを引き起こす。また、ポリエステル系繊維が布帛の場合には、影斑や不染等の不具合を引き起こす。このような問題は、ポリエステル系繊維に他の繊維素材が複合されたポリエステル系複合素材(以下、ポリエステル繊維とポリエステル複合素材を含めてポリエステル系繊維という)においても同様に発生する。
また、ポリエステル系繊維を染色する際に、染色浴中に未固着の染料や染色同浴加工剤及び染色助剤あるいはそれらの分解生成物等が残留し、あるいは繊維に付着した油剤成分、糊剤成分、オリゴマー、その他の汚れ成分(以下、これらをまとめて汚れ成分とする)が脱落してきて、染色機内に付着し、染色機械装置等が汚染する。これらの汚れ成分を完全に除去しないと染色作業時に汚れ成分が再度ポリエステル系繊維に付着し、ポリエステル系繊維の品位や作業効率の低下が発生する。
そこで、このような問題を解決するため、特許文献1〜3に記載の方法が提唱されている。特許文献1に記載の方法は、精練に起因する問題を解決するための方法であり、pHスライド剤を利用し、染色液をアルカリ性―酸性へと変化させることで、アルカリ性状態で精練し、酸性状態で染色するものである。しかし、この方法は、pHスライド剤の投入量の加減が難しく、またpHスライド剤の遊離酸がカルシウムやマグネシウムなどの二価の金属成分と結合しスケールを発生させることが懸念される。
特許文献2に記載の方法は、オリゴマーに起因する問題を解決するための方法であり、スルホン酸塩基を有する二塩基酸とポリエチレングリコールを含有する二価アルコール成分とを重縮合させたポリエステル共重合体を含有するオリゴマー除去剤が開示されている。
特許文献3に記載の方法は、缶体汚れに起因する問題を解決するための方法であり、テルペン炭化水素及び/またはテルペンアルコールと特定の含窒素系化合物を含む缶体洗浄剤組成物について開示されている。
しかしながら、これらの方法を用いてもそれぞれの性能は不足しており、更なる対策が必要であるのが現状である。
特開昭60−224884号公報 特開2007−308813号公報 特開平7−3296号公報
かかる背景技術に鑑み、本発明の目的は、繊維油剤やオリゴマー等の汚れ成分を繊維表面上から除去できるとともに、繊維の精練、染色工程で問題となる汚れ成分が繊維や繊維機械装置の処理槽に付着することを抑制でき、また処理槽に付着した汚れ成分を容易に除去することができる洗浄剤組成物、および当該洗浄剤組成物を用いた洗浄方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の化合物(A)を含む洗浄剤組成物であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、酸無水物と水酸基を有する有機化合物との反応物である化合物(A)を含む、洗浄剤組成物である。
前記化合物(A)は、下記一般式(1)で示される化合物であることが好ましい。
(ただし、式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して有機基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。lは0〜50の数である。mは1〜5の数である。Mは水素原子又はアルカリ性基である。)
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、下記一般式(2)で示される化合物(B)を含むことが好ましい。
(ただし、式(2)中、Rは水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。Yは炭素数7〜16のアラルキル基である。pは1〜4の数であり、qは0〜50の数であり、Mは水素原子又はアニオン性基である。)
前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A/B)は90/10〜10/90であることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は繊維用又は繊維機械装置の処理槽用であることが好ましい。
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄する工程を含むものである。被洗浄物は、繊維又は繊維機械装置の処理槽であることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物及び本発明の洗浄方法によれば、繊維油剤やオリゴマー等の汚れ成分を繊維表面上から除去できるとともに、汚れ成分が繊維や繊維機械装置の処理槽(内壁)に付着することを抑制できる。また、繊維機械装置の処理槽(内壁)に付着した汚れ成分を容易に除去することができる。
オリゴマー除去性評価◎の電子顕微鏡写真。 オリゴマー除去性評価○の電子顕微鏡写真。 オリゴマー除去性評価△の電子顕微鏡写真。 オリゴマー除去性評価×の電子顕微鏡写真。
本発明の洗浄剤組成物は、特定の化合物(A)を含むものである。以下に詳細に説明する。
[化合物(A)]
化合物(A)は、酸無水物と水酸基を有する有機化合物との反応物(酸無水物と水酸基を有する有機化合物とを反応させることにより得られる化合物)である。このような化合物(A)を用いることで、繊維油剤やオリゴマー等の汚れ成分を繊維表面上から除去できるとともに、繊維の精練、染色工程で問題となる汚れ成分が繊維や繊維機械装置の処理槽(内壁)に付着することを抑制でき、また繊維機械装置の処理槽(内壁)に付着した汚れ成分を容易に除去することができる。化合物(A)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明でいう酸無水物とは、分子内においてカルボン酸2分子が脱水縮合した構造を1つ以上有する化合物をいう。分子内のカルボン酸2分子が脱水縮合した構造は、1つでもよく、酸二無水物のように2つ以上であってもよい。
酸無水物としては、例えば、マレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、フタル酸無水物、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、シクロヘキサ4−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、ナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、スチレン−マレイン酸無水物の共重合物、オレフィン−マレイン酸無水物の共重合物、メチルビニルエーテル−マレイン酸無水物の共重合物等が挙げられる。酸二無水物としては、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、グリセリンビストリメリテート二無水物モノアセテート、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2カルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−シクロヘキセン−1,2カルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
これらの中でも、マレイン酸無水物、フタル酸無水物、シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、4−メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4−フェニルエチニルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、シクロヘキサ4−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物、グリセリンビストリメリテート二無水物モノアセテート、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物が好ましく、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、シクロヘキサ4−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、ピロメリット酸無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビストリメリテート二無水物がさらに好ましい。
水酸基を有する有機化合物とは、分子内に水酸基を1つ以上有する化合物をいい、アルコールやフェノール類が挙げられる。水酸基を有する有機化合物としては、例えば、一価アルコール、多価アルコール、一価フェノール、多価フェノール、これらのアルキレンオキサイド付加物、これらの誘導体等が挙げられる。また、アルカノールアミンやアルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物等も挙げられる。
水酸基を有する有機化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、アリルアルコール、クロチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル(ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテル(ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレントリスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンナフチルエーテル等)、ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル等が挙げられる。また、これらの化合物に種々の置換基が結合していてもよい。
これらの中でも、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル(ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル等)、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテル(ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレントリスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンナフチルエーテル等)、ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルが好ましく、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシアルキレン多環アリールエーテル(ポリオキシアルキレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレントリスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジスチリルメチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンジクミルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンナフチルエーテル等)、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテルがさらに好ましい。
酸無水物と水酸基を有する有機化合物とを反応させる際のモル比(酸無水物:水酸基を有する有機化合物)は、1:0.1〜2が好ましく、1:0.3〜2がより好ましく、1:0.5〜2がさらに好ましい。
酸無水物と水酸基を有する有機化合物とを反応させる方法としては、特に限定は無く、公知の方法を採用できる。例えば、窒素雰囲気下、酸無水物と水酸基を有する有機化合物とを混合して加熱し、100〜150℃で1〜6時間攪拌を行うことで、化合物(A)を得ることができる。
化合物(A)は、本発明の効果をより発揮させる点から、上記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
式(1)中、Rは有機基である。R−[AO]−は、上記水酸基を有する有機化合物の水酸基から水素原子を除いた残基となる。
Rとしては、下記一般式(A)で表される官能基又は下記一般式(B)に表される官能基であることが好ましい。
(ただし、式(A)中、R1aは水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基又は下記一般式(1a)で表される官能基である。)
(ただし、式(B)中、R1bは水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基又は炭素数1〜30のアルカノイル基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。l’及びl”はそれぞれ独立して0〜50の数である。Mは水素原子又は下記式(1b)で表される官能基である。)
(ただし、式(1a)中、Rは水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である。Dは炭素数7〜16のアラルキル基である。nは1〜4の整数である。)
(ただし、式(1b)中、Rは有機基である。mは1〜5の数である。Mは水素原子又はアルカリ性基である。)
1a及びR1bの炭化水素基は直鎖でも分岐構造を有してもよい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルカトリエニル基等が挙げられる。汚れ成分を一層低減することができる点から、炭化水素基の炭素数は、12〜30が好ましく、14〜24がさらに好ましい。また、同様な点から、炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基が好ましく、アルケニル基、アルカジエニル基がさらに好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、イソセチル基、ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられ、第一級、第二級、第三級のいずれでもよく、直鎖でも分岐構造を有してよい。また、アルキル基の分岐の数、位置に対して特に制限はない。
アルケニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基としては、ビニル基、アリル基、オレイル基等が挙げられ、第一級、第二級、第三級のいずれでもよく、直鎖でも分岐構造を有してもよい。アルケニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基を構成する炭素原子の分岐の数、不飽和結合の位置、トランス、シス等の異性体に対して、特に制限はない。
1bのアルカノイル基は直鎖でも分岐構造を有してもよい。汚れ成分を一層低減することができる点から、アルカノイル基の炭素数は、8〜30が好ましく、10〜24がさらに好ましい。
は、水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である。炭化水素基は直鎖でも分岐構造を有してもよく、また1種又は2種以上であってもよい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルカトリエニル基等が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜9がさらに好ましい。アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基については、R1a及びR1bで記載した例示で炭素数1〜24の範囲のものと同様である。
汚れ成分を一層低減することができる点から、Rは、水素原子、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。Rの位置は、いずれの位置でもよいが、メタ位、パラ位が好ましい。
は、炭素数7〜16のアラルキル基である。アラルキル基としては、ベンジル基、クミル基、スチリル基、α−メチルスチリル基、ジスチリル基、フェネチル基、メチルスチリル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。好ましくは、α−メチルベンジル基、スチリル基、ジスチリル基、フェネチル基であり、さらに好ましくは、α−メチルベンジル基、スチリル基、フェネチル基である。
nは1〜4の数である。中でも、汚れ成分を一層低減することができる点から、nは1〜3が好ましい。
Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上であってもよい。2種以上の場合、ブロック付加体、交互付加体、またはランダム付加体のいずれを構成してもよい。これらの中でも、汚れ成分を一層低減することができる点から、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を含むことが好ましく、オキシエチレン基を含むことがさらに好ましい。
l、l’及びl”はそれぞれ独立して0〜50の数である。中でも、汚れ成分を一層低減することができる点から、l及びl’は1〜30が好ましく、2〜25がさらに好ましく、2〜20が特に好ましい。l”は0〜30であることが好ましい。
mは1〜5の数である。中でも、汚れ成分を一層低減することができる点から、mは1〜4が好ましく、1〜3がさらに好ましい。
は有機基である。Rは、上記酸無水物からカルボン酸2分子が脱水縮合した構造を除いた残基となる。
及びMは、それぞれ独立して、水素原子又はアルカリ性基である。アルカリ性基としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRで示される基等が挙げられる。R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。
アルカリ金属としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、たとえば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等を挙げることができる。
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルカノール基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルカノール基としては、たとえば、メタノール基、エタノール基、n−プロパノール基、イソプロパノール基等が挙げられる。ポリオキシアルキレン基の炭素数は、2〜4が好ましい。このようなポリオキシアルキレン基としては、たとえば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
これらの中でも、M及びMは、アルカリ金属、NRで示される基が好ましい。
[化合物(B)]
本発明の洗浄剤組成物は、さらに、上記一般式(2)で示される化合物(B)を含むことが好ましい。化合物(A)に加え、化合物(B)を併用することで、除去した汚れ成分に対する分散性が向上する。化合物(B)は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
式(2)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である。炭化水素基は直鎖でも分岐構造を有してもよく、また1種又は2種以上であってもよい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はアルカトリエニル基等が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、1〜18が好ましく、1〜9がさらに好ましい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、イソセチル基、ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられ、第一級、第二級、第三級のいずれでもよく、直鎖でも分岐構造を有してよい。また、アルキル基の分岐の数、位置に対して特に制限はない。
アルケニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基としては、ビニル基、アリル基、オレイル基等が挙げられ、第一級、第二級、第三級のいずれでもよく、直鎖でも分岐構造を有してもよい。アルケニル基、アルカジエニル基、アルカトリエニル基を構成する炭素原子の分岐の数、不飽和結合の位置、トランス、シス等の異性体に対して、特に制限はない。
除去した汚れ成分に対する分散性が向上する点から、Rは、水素原子、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がさらに好ましい。Rの位置は、いずれの位置でもよいが、メタ位、パラ位が好ましい。
Oは、炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、1種又は2種以上であってもよい。2種以上の場合、ブロック付加体、交互付加体、又はランダム付加体のいずれを構成してもよい。これらの中でも、除去した汚れ成分に対する分散性が向上する点から、オキシエチレン基、オキシプロピレン基を含むことが好ましく、オキシエチレン基を含むことがさらに好ましい。
は炭素数7〜16のアラルキル基である。アラルキル基としては、ベンジル基、クミル基、スチリル基、α−メチルスチリル基、ジスチリル基、フェネチル基、メチルスチリル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。好ましくは、α−メチルベンジル基、スチリル基、ジスチリル基、フェネチル基であり、さらに好ましくは、α−メチルベンジル基、スチリル基、フェネチル基である。
pは1〜4の整数である。中でも、除去した汚れ成分に対する分散性が向上する点からpは1〜3が好ましく、1が特に好ましい。
は水素原子又はアニオン性基である。アニオン性基としては、アニオン性の官能基を含むものであれば特に制限はなく、カルボン酸塩、アルキレンカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸エステル塩、リン酸エステル塩、リン酸モノエステル塩、リン酸ジエステル塩、セスキホスフェート塩等が挙げられる。中でも、硫酸エステル塩が好ましい。
塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、4級アンモニウム塩等であればよい。アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。有機アミンとしては、アルキルアミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメチルアミン、ジメチルアミン等)、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等)等が挙げられる。
qは0〜50の整数である。中でも、除去した汚れ成分に対する分散性が向上する点から、qは0〜35が好ましく、0〜30がさらに好ましく、0〜25が特に好ましい。
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、上記の化合物(A)を必須に含む。洗浄剤組成物の不揮発分に占める化合物(A)の重量割合は、汚れ成分を一層低減することができる点から、20〜95重量%が好ましく、25〜90重量%がより好ましく、30〜85重量%がさらに好ましい。
洗浄剤組成物が化合物(B)を含む場合、洗浄剤組成物の不揮発分に占める化合物(B)の重量割合は、5〜80重量%が好ましく、10〜75重量%がより好ましく、15〜70重量%がさらに好ましい。ここで不揮発分(固形分ともいう)とは、試料の一定量をアルミシートに平らに広げて赤外線ランプ照射下110℃で乾燥し、150秒間の揮発分の変動幅が0.15重量%になった時を測定の終点とする場合の残分である。
洗浄剤組成物が化合物(B)を含む場合、化合物(A)と化合物(B)の重量比(A/B)は、汚れ成分を一層低減することができ、かつ除去した汚れ成分に対する分散性が向上する点から、90/10〜10/90が好ましく、85/15〜15/85がより好ましく、80/20〜20/80がさらに好ましく、75/25〜25/75が特に好ましい。
洗浄剤組成物に含まれるその他の成分としては、水、溶剤、消泡剤、アルカリ剤、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、有機化合物、無機化合物、高分子化合物等が挙げられる。水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロパノール、1,1−ジメチルエタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1,1−ジメチルプロパノール、3−メチル−2−ブタノール、1,2−ジメチルプロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−へプタノール、2−へプタノール、3−へプタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ベンジルアルコール、ソルフィット、ポリアルキレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ペンチル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。消泡剤としては、シリコーン消泡剤、鉱物油消泡剤、ポリエーテル消泡剤、脂肪酸(塩)消泡剤等が挙げられる。
本発明の洗浄剤組成物に占める不揮発分の重量割合は、1〜95重量%が好ましく、5〜90重量%がより好ましく、10〜85重量%がさらに好ましい。
本発明の洗浄剤組成物を製造する方法としては、特に限定はなく、公知の手法が採用できる。例えば、洗浄剤組成物を構成する各成分を水中に投入して、撹拌混合する方法等が挙げられる。
本発明の洗浄剤組成物は、繊維用であること又は繊維機械装置の処理槽(内壁)用であることが好ましい。繊維用洗浄剤組成物としては、繊維の精練用の洗浄剤組成物(精練剤ともいう)、一浴で精練と染色の処理をするために用いられる染色同浴精練剤、ポリエステル繊維のオリゴマーを除去するために用いられるオリゴマー除去剤、ソーピング剤、還元洗浄剤等が挙げられる。
繊維を染色する際に、染色浴中に未固着の染料、染色同浴加工剤、染色助剤、それらの分解生成物等が残留し、あるいは繊維に付着した油剤成分、糊剤成分、オリゴマー、その他の汚れ成分(以下、これらをまとめて汚れ成分とする)が脱落してきて、染色機等の処理槽(内壁)に付着し、繊維染色機械装置等の繊維機械装置の処理槽(内壁)が汚染する。繊維機械装置の処理槽(内壁)用洗浄剤組成物とは、この汚れ成分を除去するために用いられる洗浄剤組成物をいう。繊維、繊維機械装置の処理槽(内壁)に関しては、本発明の洗浄方法で記載する。
[洗浄方法]
本発明の洗浄方法は、上記の洗浄剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄する工程を含むものである。被洗浄物としては、繊維又は繊維機械装置の処理槽(内壁)が好適である。
繊維としては、天然繊維、化学繊維が挙げられる。天然繊維としては、例えば、綿、大麻、亜麻、ヤシ、いぐさ等の植物繊維;羊毛、山羊毛、モヘア、カシミア、ラクダ、絹等の動物繊維;石綿等の鉱物繊維等を挙げることができる。化学繊維としては、例えば、ロックファイバー、金属繊維、グラファイト、シリカ、チタン酸塩等の無機繊維;レーヨン、キュプラ、ビスコース、ポリノジック、精製セルロース繊維等の再生セルロース系繊維;溶融紡糸セルロース繊維;牛乳タンパク、大豆タンパク等のタンパク質系繊維;再生絹、アルギン酸繊維等の再生・半合成繊維;ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリビニル繊維、ポリアクリルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニリデン繊維、ポリスチレン繊維、等の合成繊維を挙げることができる。また、これら繊維を2種以上複合(混紡、混繊、交織、交編等)されていてもよい。その中でも特に綿、レーヨン、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維及びこれらの複合繊維が好ましく、更にポリアミド繊維、ポリエステル繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維及びこれらの複合繊維が更に好ましい。
ポリエステル繊維としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のほかに、ポリ乳酸(PLA)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリアリレート繊維等エステル結合を形成する反応によって縮合させた高分子からなる繊維を意味する。ポリエステル繊維と複合される繊維としては、セルロース繊維、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維や天然繊維が挙げられる。
一般に、木綿、麻、羊毛などの天然繊維には、繊維由来の樹脂、ロウ分などの夾雑物が付着している。また、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、トリアセテート等の化合繊維、これらの混紡交織繊維、これらと天然繊維との混紡交織繊維等には、製織時に使用されるサイジング油剤、糊剤等の糊剤成分が付着している。この繊維に付着している夾雑物および/または糊剤成分を洗浄(精練)工程で充分に除去しないと、後の漂白、染色、柔軟等の処理工程でトラブルが生じる。
上記の繊維に付着している糊剤成分としては、ポリビニルアルコール、でんぷん(コーンスターチや小麦でんぷんなど)、加工でんぷん、カルボキシメチルセルロースおよびその誘導体、アクリル酸エステル系樹脂、ワックス成分(パラフィン、硬化油、カルナバワックス等)等が挙げられる。上記の繊維に付着している繊維由来の樹脂としてはペクチン等が挙げられ、ロウ分としては綿ロウ等が挙げられる。
繊維の形態としては、例えば、織物、編物、布帛、糸状、チーズ、かせ、(洗濯やクリーニングされる対象となる衣料)、不織布等の形態を挙げることができる。繊維の用途としては、例えば、アウター、ユニフォーム、スポーツ等の衣料;マスク、ガーゼ、紙おむつ等の衛生材料;自動車、航空機、鉄道、船舶等の車両内装材;布団、マットレス、シーツ、枕、カバー、毛布、タオルケット等の寝具類;カーテン、ブラインド、ソファー、椅子、座布団、壁紙、絨毯、カーペット、テーブルクロス、クッション、椅子、ふすま等のインテリア;どん帳、暗幕、工事用シート、テント、フィルターなどの産業資材等を挙げることができる。
繊維機械装置としては、繊維に対して繊維加工を施す機械装置であれば特に限定はないが、例えば、繊維染色機械装置、精練処理機等が挙げられる。繊維染色機械装置としては、パッケージ染色機、回転バック染色機、噴射式染色機、ロープ染色機、ウインス染色機、ジッガ染色機、ビーム染色機、液流染色機、チーズ染色機、パッドスチーム染色機、サーモゾル染色機、オーバーマイヤー染色機、トップ染色機等が挙げられる。
精練処理機としては、バッチ式精練処理機、連続式精練処理機等が挙げられる。
被洗浄物である繊維機械装置の処理槽は、繊維加工処理液が接触する部分であれば特に限定はなく、槽の内壁、配管等を含む概念であり、またいわゆる缶体を含む概念である。
洗浄剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄する工程としては、洗浄剤組成物を用いて、1)一浴で繊維の精練と染色を行う染色同浴精練工程、2)繊維を精練処理する工程、3)繊維機械装置の処理槽(内壁)に付着した汚れ成分を除去する洗浄工程、4)染色後に未固着の染料や活性剤等を除去する洗浄工程、5)繊維機械装置の処理槽(内壁)の汚れが付着した繊維を洗浄する工程(手直し、修正)等を挙げることができる。
1)一浴で繊維の精練と染色を行う染色同浴精練工程は、本発明の洗浄剤組成物および分散染料を含む一浴で、ポリエステル系繊維の精練と染色の処理を行うものである。つまり、一浴の処理浴で精練処理(洗浄)と染色処理を同時に行うものである。繊維機械装置としては、前述の繊維染色機械装置が用いられる。
分散染料は、アルカリ条件下で使用できる分散染料もあるが、本発明では酸性条件下で使用できる分散染料が好ましい。分散染料としては、特に限定はなく、公知のものを採用できる。例えば、Sumikaron染料、Kayalon Polyester染料、Miketon Polyester染料、Palanil染料、Dianix染料、TD染料、Kiwalon Polyester染料、Terasil染料、Foron染料、Serilene染料等が挙げられる。
染色同浴精練工程としては、まず、浴内に、本発明の洗浄剤組成物、分散染料および水を所定の比率で投入して混合撹拌し、pH調整剤を添加して所定のpH(25℃)に調整し、一浴での精練・染色液を調製する。次に、ポリエステル系繊維を浴内に投入し、その後、精練・染色液を所定の染色温度まで加温し、その温度で10分〜60分保持し、分散染料をポリエステル繊維の内部に浸透、染着させる。その際、精練も同時に行われている。精練・染色処理終了後、染色液を廃棄し、未固着の分散染料を洗い落とす目的から、湯洗い、水洗いまたは還元洗浄等を施す。その後、乾燥させて、ポリエステル系染色繊維を得ることができる。このような洗浄方法によれば、良好な精練性、オリゴマー除去性、染色性を有するポリエステル系染色繊維が得られる。
浴のpH(25℃)は、3〜6が好ましく、3.5〜5.5が好ましい。精練と染色を同時に酸性側で行うことができ、精練する際にはアルカリ性側とし、染色する際に酸性側に調整するような工程は不用である。また、pHスライド剤も不用であり、pHスライド剤の遊離酸がカルシウムやマグネシウムなどの二価の金属成分と結合しスケールを発生させるような懸念もない。
浴中でポリエステル系繊維を処理する際の染色温度は、80〜180℃が好ましく、90〜150℃が好ましく、100〜150℃がより好ましく、110〜140℃がさらに好ましい。
浴中における化合物(A)の濃度は、0.01〜80g/Lが好ましく、0.1〜60g/Lがより好ましく、0.2〜40g/Lがさらに好ましい。
洗浄剤組成物が化合物(B)を含有する場合、浴中における化合物(B)の濃度は、0.01〜70g/Lが好ましく、0.1〜60g/Lがより好ましく、0.2〜50g/Lがさらに好ましい。また、浴中における化合物(A)と化合物(B)との重量比(A/B)は、90/10〜10/90が好ましく、85/15〜15/85がより好ましく、80/20〜20/80がさらに好ましく、75/25〜25/75が特に好ましい。
処理浴中におけるポリエステル系繊維の重量比(浴比=繊維の重量:処理液の重量)は、1:3〜1:60が好ましく、1:4〜1:40がより好ましく、1:5〜1:20さらに好ましい。1:3未満の場合、処理浴液の循環が悪くなり、十分に精練性を発揮することができないことがある。1:50超の場合、処理する繊維に対し処理浴液が多く、効率的でない。
処理浴中における分散染料の濃度は、投入されるポリエステル系繊維に対して、0.01〜50重量%owf(on weight of fiber)が好ましく、0.1〜40重量%owfがより好ましく、0.2〜30重量%owfがさらに好ましい。
染色同浴精練工程では、洗浄剤組成物及び分散染料を含む浴において、さらに難燃剤および/または耐光剤を含み、精練と染色の処理に加え、難燃加工および/または耐光加工の処理を一浴で行うことが可能である。
難燃加工および/または耐光加工の処理は、通常、前述の難燃剤および/または耐光剤を水に分散させた薬剤(水分散体)が使用される。難燃剤、耐光剤としては、公知の剤を採用することができる。これら薬剤を調製する方法として特に限定はなく、公知の技術を採用できる。
このような薬剤は、精練・染色液を調製する際に、洗浄剤組成物、分散染料および水と同時に浴内に投入され、染色温度でポリエステル繊維に難燃剤および/または耐光剤の吸尽処理(難燃加工および/または耐光加工の処理)を行う。吸尽処理と精練・染色の処理は同時に行われるため、吸尽処理の条件は、前述の精練・染色の処理条件と同じである。
処理浴中における難燃剤の濃度は、0.01〜50重量%owfが好ましく、0.1〜40重量%owfがより好ましく、0.2〜30重量%owfがさらに好ましい。
処理浴中における耐光剤の濃度は、0.01〜50重量%owfが好ましく、0.1〜40重量%owfがより好ましく、0.2〜30重量%owfがさらに好ましい。
浴中には、本発明の洗浄剤組成物、分散染料以外に水が含まれる。本発明に使用する水としては、純水、蒸留水、精製水、軟水、イオン交換水、水道水等のいずれであってもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲でこれ以外のその他成分を含んでもよい。その他成分としては、pH調整剤、消泡剤、溶剤、脂肪酸(塩)等が挙げられる。pH調整剤としては、酢酸、酢酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、リン酸、リン酸ニ水素ナトリウム、リン酸水素ニナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。
2)繊維を精練処理する工程は、本発明の洗浄剤組成物および精練処理機を用いて、繊維の精練処理を行うものであり、例えば以下が挙げられる。
精練処理する工程は、精練処理機を用い、通常のバッチ方式、連続方式のいずれでもよい。バッチ式精練処理機では、処理浴中に紡糸用油剤、製織用油剤及び糊剤等の付着物(以下、付着成分等という)が付着している布帛(織布)を、本発明の洗浄剤(精練剤)組成物を含む水溶液(洗浄液)に浸漬させ、洗浄後、湯洗および/または水洗により充分に洗浄液と共に付着成分等を除去する。連続方式の精練処理機では、精練浴、湯洗および/または水洗槽からなる。例えば、連続方式の精練処理は精練浴に精練液を満たし、精練液と共に付着成分等を除去する。その後、湯洗および/または水洗により、充分に精練液と共に付着成分等を除去する。
精練処理の温度は、繊維の種類にもよるが20〜140℃である。汚れを効率よく除去するためには高温が好ましく、50〜110℃が好ましい。バッチ式では80℃以上が好ましい。連続方式では90℃以上が好ましく、95℃以上がより好ましい。
精練処理の時間は、付着している成分等の種類、付着量にもよるが、バッチ式精練処理機では5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、20分以上がさらに好ましい。連続方式の精練処理機では、1分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましい。
洗浄液中における化合物(A)の濃度は、0.01〜80g/Lが好ましく、0.1〜60g/Lがより好ましく、0.2〜40g/Lがさらに好ましい。
洗浄剤組成物が化合物(B)を含有する場合、洗浄液中における化合物(B)の濃度は、0.01〜70g/Lが好ましく、0.1〜60g/Lがより好ましく、0.2〜50g/Lがさらに好ましい。また、洗浄液中における化合物(A)と化合物(B)との重量比(A/B)は、90/10〜10/90が好ましく、85/15〜15/85がより好ましく、80/20〜20/80がさらに好ましく、75/25〜25/75が特に好ましい。
また、洗浄液中の不揮発分濃度は、0.05〜20g/Lが好ましく、0.07〜15g/Lがより好ましく、0.1〜10g/Lがさらに好ましい。
3)繊維機械装置の処理槽(内壁)に付着した汚れ成分を除去する洗浄工程は、繊維機械装置内に本発明の洗浄剤組成物を加え、熱処理を行うものである。特に染色工程等の後で繊維機械装置内が汚れ成分により汚染している場合に好適である。繊維機械装置としては、前述の繊維染色機械装置が用いられる。
繊維機械装置の処理槽(内壁)に付着した汚れ成分を除去する洗浄工程は、まず、繊維機械装置に、本発明の洗浄剤組成物、および水を所定の比率で投入して混合撹拌し、洗浄液を調製する。この際に、苛性ソーダ等のアルカリ剤、ハイドロサルファイトナトリウム塩や二酸化チオ尿素等の還元剤を加えても良い。その後、洗浄液を所定の温度まで加温し、その温度で10分〜60分保持し、洗浄を行う。また、本発明の洗浄剤組成物は上記記載のアルカリ剤や還元剤を併用しない場合についても良好な洗浄性を示す。
4)染色後に未固着の染料や活性剤等を除去する洗浄工程は、本発明の洗浄剤組成物およびアルカリ剤や還元剤を用いてポリエステル系繊維の染色後に繊維に付着した未固着の染料や活性剤成分等を除去するために行う工程である。
染色後に未固着の染料や活性剤等を除去する洗浄工程は、まず、本発明の洗浄剤組成物、および水を繊維染色機械装置に投入して混合撹拌し、洗浄液を調製する。この際に、苛性ソーダ等のアルカリ剤、ハイドロサルファイトナトリウム塩や二酸化チオ尿素等の還元剤を加えても良い。次に、ポリエステル系染色繊維を、洗浄液で満たされた染色機に投入し、洗浄液を対流させながら、所定の温度まで加温し、その温度で10分〜60分保持し、洗浄を行う。その後、洗浄液を排水し、再び給水して湯洗い処理や水洗い処理を行う。
5)繊維機械装置の処理槽(内壁)の汚れが付着した繊維を洗浄する工程(手直し、修正)は、本発明の洗浄剤組成物を用いてポリエステル系繊維の染色、ソーピング後に繊維に付着した缶体汚れ成分等を除去するために行う工程である。
当該汚れが付着した繊維を洗浄する工程(手直し、修正)は、まず、本発明の洗浄剤組成物、および水を繊維染色機械装置に投入して混合撹拌し、洗浄液を調製する。次に、ポリエステル系染色繊維を、洗浄液で満たされた染色機に投入し、洗浄液を対流させながら、所定の温度まで加温し、その温度で10分〜60分保持し、洗浄を行う。その後、洗浄液を排水し、再び給水して湯洗い処理や水洗い処理を行う。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」および「%」とあるのは、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
[化合物(A)の製造例]
[製造例1]
トリメリット酸無水物及びPOE(13)スチレン化フェノールをモル比1:1で混合し、窒素雰囲気下、110℃で3時間攪拌することにより、トリメリット酸無水物とPOE(13)スチレン化フェノールのエステル反応物である化合物A−1を得た。
[製造例2〜20]
製造例1において、表1に記載の酸無水物(a1)、水酸基を有する有機化合物(a2)それらのモル比(a1:a2)及び反応温度・時間に変更する以外は、製造例1と同様にして、化合物A−2〜A−8を得た。
なお、表1に記載の水酸基を有する有機化合物(a2)の詳細について、下記に示す。
・POE(13)スチレン化フェノール
POE(13)とは、オキシエチレン基の繰り返し数の平均が13であるという意味である。また、スチレン化フェノールのスチレン化度は重量比でモノ:ジ:トリ=15:50:35である。
・POE(10)スチレン化クレゾール
クレゾールはp−クレゾール:m−クレゾール=50:50であり、スチレン化クレゾールのスチレン化度は重量比でモノ:ジ=50:50である。
・POEO(3/7ランダム)アルキルエーテル
POEO(3/7ランダム)とは、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の繰り返し数の平均が3と7のランダム付加体であるという意味である。
(実施例1)
表2にあるように、化合物(A)として上記で調製した化合物A−1を60重量部、水40重量部を配合、撹拌して、洗浄剤組成物を得た。
(精練性、染色性の評価)
水が投入されたミニカラー専用染色ポット内に、上記で調製した洗浄剤組成物を1g/Lの濃度になるよう投入し、続いてKayalon Polyester Black RV−SF300(3重量%owf、日本化薬(株)社製)を30〜35℃の水に溶きながら投入し、その後、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液でpH4.5に調整して、精練染色浴を調製した。
次に、繊維に対して着油量1.1重量%(着油成分:鉱物油1.0重量%、ノニオン界面活性剤0.1重量%)のポリエステルトロピカル生機を調製した精練染色浴に投入し、ミニカラーにて処理した。その際の浴比としては、1:15であった。処理条件としては、1分間に2℃の割合で135℃まで加温し、135℃を30分間保った。その後、冷却し70℃になったところで、精練染色浴を廃棄し、5分間水洗いを行った。
次に、繊維を遠心分離装置により脱水し、90℃で1時間乾燥を行い、ポリエステル系染色繊維を得た。
得られたポリエステル系染色繊維の精練性および染色性について、下記方法により評価した。その結果を表4に示す。
<精練性>
得られたポリエステル系染色繊維について、n−ヘキサンを用いてソックスレー抽出装置で1時間抽出し、残脂量を測定した。ここでの残脂量は、ポリエステル系染色繊維に対して抽出された重量%をいう。この条件では、残脂量が0.25重量%以下であることが望ましい。
<染色性>
得られたポリエステル系染色繊維上の染色斑の有無を以下の基準で目視により評価した。
○:染色繊維上に染色斑発生部位が1割未満である。
△:染色繊維上に染色斑発生部位が1割以上4割未満である。
×:染色繊維上に染色斑発生部位が4割以上である。
(スペック防止性の評価)
スペック防止性については、水が投入されたミニカラー専用染色ポット内に、上記で調製した洗浄剤組成物を1g/Lの濃度になるよう投入し、続いてKayalon Polyester Black RV−SF300(5重量%owf、日本化薬(株)社製)を30〜35℃の水に溶きながら投入し、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液でpH4.5に調整して、精練染色浴を調製した。その後、編み立て油剤としてブリアンC−1800(2g/L、松本油脂製薬(株)社製)を浴内に投入した。その際の想定浴比としては、1:15とした。
次に、精練染色浴のみをミニカラーにて処理した。処理条件としては、1分間に2℃の割合で135℃まで加温し、135℃を30分間保った。その後、冷却し30℃になったところで、精練染色液をろ紙を用いてろ過を行った。評価はろ紙を自然乾燥させた状態で、以下の基準で行った。その結果を表4に示す。
<スペック防止性>
○:ろ紙に色がほとんど着かない。
○−:ろ紙にスペックが僅かに存在し、ろ紙に僅かに着色がみられる。
△:ろ紙全面にスペックが存在し、ろ紙に着色がみられる(○と×の中間レベル)。
×:ろ紙全面にスペックが存在し、ろ紙に激しい着色がみられる(精練染色助剤を投入しないブランク(BL)をミニカラーで処理した精練染色液をろ過した場合と同等レベル)。
(オリゴマー除去性の評価)
ポリエステル生機をカラーペット(テクサム技研 型式MC−UP12)にKayalon Polyester Black RV−SF 300(3重量%owf、日本化薬(株)社製)を30〜40℃の水に溶きながら投入し、その後、酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液でpH4.5に調整した。次いで、染色浴に上記で調製した洗浄剤組成物2g/Lを加え、染色浴を調製した。
ポリエステル生機を調製した染色浴に投入し、カラーペットにて処理した。その際の浴比としては、1:10であった。処理条件としては、1分間に2℃の割合で135℃まで加温し、135℃を60分間保った。その後、冷却し80℃になったところで、染色浴を廃棄し、10分間湯洗い、水洗いを行った。次に、繊維を遠心分離装置により脱水し、90℃で1時間乾燥を行い、染色繊維を得た。
得られたポリエステル系染色繊維のオリゴマー除去性について、下記方法により評価した。その結果も表4に示す。
<オリゴマー除去性>
得られたポリエステル系染色繊維について電子顕微鏡(KEYENCE 型式VE−8800)を用いてオリゴマーの観察を行った。評価は下記の様に行った。電子顕微鏡写真(倍率:300倍)の一例を図1〜4に示す。
◎:染色繊維上にオリゴマーがほとんど見られない(図1と同等レベル)。
○:染色繊維上にオリゴマーが僅かに見られる(図2と同等レベル)。
△:染色繊維上にオリゴマーが見られる(図3と同等レベル)。
×:染色繊維上にオリゴマーが大量に見られる(図4と同等レベル)。
(缶体洗浄性の評価)
缶体洗浄性とは、繊維機械装置の処理槽内壁に対する洗浄性をいう。
Kayalon Polyester Black RV−SF300とブリアンC−1800を10:2の比率で混合した後、混合物を絶乾し、絶乾物(汚れ成分)を作製した。次に水が投入されたミニカラー専用染色ポット内にこの汚れ成分を0.50重量%の濃度になるよう投入した後、上記で調製した洗浄剤組成物を5g/Lになるように投入し缶体洗浄浴を調製した。
次に、缶体洗浄浴をミニカラーにて処理した。処理条件としては、1分間に2℃の割合で135℃まで加温し、135℃を60分間保った。その後、冷却し30℃になったところで、缶体洗浄液をろ紙を用いてろ過を行った。ろ紙を自然乾燥させた状態及び残ったミニカラー専用染色ポット内の汚れ具合を目視にて確認を行い、以下の基準で評価を行った。
その結果も表4に示す。
◎:ろ紙に色がほとんど着いておらず、ポット内に汚れ成分がほとんど見られない。
○:ろ紙に色がほとんど着いておらず、ポット内に汚れ成分が僅かに見られる。
△:ろ紙全面にスペックが存在し、ろ紙に着色がみられるが、ポット内に汚れ成分が僅かに見られる。又はろ紙に色がほとんど着いていないが、ポット内に汚れ成分が大量に見られる。
×:ろ紙全面にスペックが存在し、ろ紙に激しい着色がみられる。更にポット内に汚れ成分が大量に見られる。
(実施例2〜28、比較例BL、1〜6)
実施例2〜28、比較例BL、1〜6は、実施例1の化合物(A)、化合物(B)及びその他の成分並びにそれらの重量割合を表2、3に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして評価をした。その結果を表4に示す。
表4より、本発明の洗浄剤組成物は、優れた精練性、染色性、スペック防止性、オリゴマー除去性、缶体洗浄性を示すことがわかる。

Claims (7)

  1. 酸無水物と水酸基を有する有機化合物との反応物である化合物(A)を含む、洗浄剤組成物。
  2. 前記化合物(A)が、下記一般式(1)で示される化合物である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
    (ただし、式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して有機基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。lは0〜50の数である。mは1〜5の数である。Mは水素原子又はアルカリ性基である。)
  3. さらに、下記一般式(2)で示される化合物(B)を含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
    (ただし、式(2)中、Rは水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である。AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。Yは炭素数7〜16のアラルキル基である。pは1〜4の数であり、qは0〜50の数であり、Mは水素原子又はアニオン性基である。)
  4. 前記化合物(A)と前記化合物(B)の重量比(A/B)が90/10〜10/90である、請求項3に記載の洗浄剤組成物。
  5. 繊維用又は繊維機械装置の処理槽用である、請求項1〜4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の洗浄剤組成物を用いて被洗浄物を洗浄する工程を含む、洗浄方法。
  7. 被洗浄物が繊維又は繊維機械装置の処理槽である、請求項6に記載の洗浄方法。
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