JP2018009053A - 近赤外線吸収性粘着組成物、近赤外線吸収性粘着フィルム、並びに近赤外線吸収性光学部材 - Google Patents

近赤外線吸収性粘着組成物、近赤外線吸収性粘着フィルム、並びに近赤外線吸収性光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】長時間、高温高湿下に暴露されても、近赤外線吸収機能および色調が十分維持され、ヘイズの変化も抑制されている近赤外線吸収性粘着組成物、及び当該近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルム、並びに近赤外線吸収性光学部材を提供する。【解決手段】アクリル酸アルキルエステルモノマー、メタクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される1種以上のモノマーの重合物である(メタ)アクリル系重合体(A)と、硬化剤(B)と、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子(C)と、エポキシ化合物(D)とを、含有する近赤外線吸収性粘着組成物、及び当該近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルム、並びに近赤外線吸収性光学部材を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、複合タングステン酸化物微粒子をアクリル系粘着剤に分散させた近赤外線吸収機能を有する近赤外線吸収性粘着組成物、当該赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルム、並びに近赤外線吸収性光学部材に関する。
近赤外線吸収能を有する光学フィルム等の近赤外線吸収性光学部材は、近赤外線を遮断し、可視光を通過させる性質を有しており、各種の用途に使用されている。当該用途の一例として、薄型大画面ディスプレイとしてのプラズマディスプレイがあった。プラズマディスプレイでは、当該プラズマディスプレイから放出される近赤外線により、近赤外線リモコンを使用する電子機器が誤動作を起こす問題があり、近赤外線吸収フィルムをプラズマディスプレイの前面に設け、近赤外線をカットすることが行われていた。
近赤外線吸収能を有するフィルムとしては、(1)燐酸系ガラスに、銅や鉄などの金属イオンを含有したフィルム、(2)屈折率の異なる層を積層し、透過光を干渉させることで特定の波長を透過させる干渉フィルム、(3)共重合体に銅イオンを含有するアクリル系樹脂フィルム、(4)樹脂に色素を分散又は溶解した層を積層したフィルム、が提案されていた。これらの中で(4)のフィルムは、加工性、生産性が良好で、光学設計の自由度も比較的大きく、各種の構造や製造方法が提案されてきている。
これらの構造や製造方法の中には、プラズマディスプレイから放出される近赤外線を十分に遮断する能力を有するジイモニウム塩化合物を用いるものもあった。しかしながら、近赤外線吸収フィルター、断熱フィルム及びサングラス等に近赤外線吸収剤として広く利用されていたジイモニウム塩化合物は、末端基が直鎖のアルキル基を有する化合物が多い。そして、これらの化合物を用いる近赤外線吸収フィルターは、一般に、熱や光を受けた際に、当該化合物が変化しやすい等の原因から、近赤外線吸収能が低下するという問題があった。特に、熱を受けた際には、当該化合物の分解に伴いフィルター自身の可視透過率が低下し、その色調も緑みを帯びてくるという重大な課題があった。
前記の課題の解決法として、示差走査熱量測定において温度220℃以上に吸熱ピークを有するジイモニウム系化合物を含有する近赤外線吸収層を有する近赤外線吸収フィルムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、熱や酸化等による劣化に対抗するフィルターの耐久性は十分満足できるレベルには到っていなかった。
また、上記光学フィルターへは、近赤外線吸収能を発揮させることに加え、可視光線領域における特定波長吸収能を付与する色調調整、反射防止性能、表面の耐傷付き性能等の機能を付与することが検討されている。例えば、近赤外線吸収能を有する色素を透明な高分子樹脂中に分散させた近赤外線吸収フィルムと、電磁波吸収層、反射防止層、紫外線吸収層等の機能を有する機能フィルムを、前記近赤外線吸収フィルムと貼り合わせる方法により積層した多層近赤外線吸収フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
一方、特許文献3には、反射防止膜層、近赤外線吸収層を有する積層体を、透明性硬質基板に固定するための粘着層に紫外線吸収剤を配合して、当該積層体を透明性硬質基板に固定した近赤外線遮蔽用積層体が開示されている。しかし、開示されている積層構造では、紫外線吸収機能を有する粘着層が、近赤外線吸収機能を有する層への太陽光を吸収する場所に位置しておらず、太陽光中の紫外線による近赤外線吸収色素の劣化を抑制する効果は発現されない構成となっている。この為、当該近赤外線遮蔽用積層体は、太陽光による近赤外線吸収色素の耐候性を向上させるという市場要求を満足するものではなかった。
上記ジイモニウム系化合物を含有する近赤外線吸収層を有する近赤外線吸収フィルムの他に、高い熱線遮蔽性を有し、かつ高い可視光透過率を実現する熱線遮蔽ガラスとして、タングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物の微粒子と、UV励起着色防止剤を含むコーティング膜をガラス基板上に形成したものが提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
上述したように、例えばプラズマディスプレイの動作中において、前面パネルより放射される近赤外線(波長800〜1100nm程度)が周辺の電子機器に誤動作を引き起こしたり、伝送系光通信に悪影響を及ぼすことがあり、近赤外線を遮断しなければならないという課題がある。また、液晶装置においても、大型化が進み、それに伴って、液晶装置に使用するバックライトの強度も強くなってきていている。一般的に、バックライトに用いられている蛍光管は、オン−オフ時に近赤外線を発する傾向にあるため、こちらもコードレスフォンやリモートコントローラ等の電子機器の誤動作を引き起こす可能性があることが指摘されていた。
上述した状況の下で、本発明者らは特許文献5として、可視光線を透過させ近赤外線を遮蔽することのできるタングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子を含んでいるPDP用近赤外線吸収フィルターを開示した。当該タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子は、耐熱性、耐候性に優れており、多様な樹脂、金属酸化物への分散が可能であり、多様な硬化方法を採ることもできるため、耐久性に優れ、生産性も高いので安価に作製できる。
加えて、波長380nm〜780nmの可視光透過率の最大値が50%以上ありながら、波長800nm〜1100nmの近赤外線透過率の最小値が30%以下と近赤外線吸収力が大きいので、プラズマディスプレイ本体の輝度を低下させることなく、当該プラズマディスプレイ本体から発生する近赤外線によって、周囲の電子機器が誤動作を生じる事態を回避することができるという優れた機能を有している。
具体的には、タングステン酸化物微粒子または/及び複合タングステン酸化物微粒子が分散されている層を、2層以上の積層膜が形成され反射防止機能を発揮するプラズマディスプレイの前面パネルにおける高屈折率層とすることで、近赤外線吸収効果と反射防止効果とを同時に発揮させることで、光学特性の向上と生産コストとの低減を図るものであった。
しかし、上記PDP用近赤外線吸収フィルターには、積層数や積層工程数が多いためコストが高いという問題があった。そこで、当該積層数をできるだけ少なくするために、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能のような光学フィルター機能を一層の粘着剤層に集約することで上記の問題点を解決しようとする試みがなされている。
しかしながら、いずれのフィルターも長時間、高温高湿環境下にさらされると、近赤外線吸収機能の低下や色調変化、ヘイズの上昇が認められ、十分な実用性を有していなかった。
この課題に対して、本発明者等は、一般式WyOzで表記されるタングステン酸化物微粒子、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子から選択される1種以上の酸化物微粒子により構成される赤外線遮蔽材料微粒子が溶媒中に分散された分散液へ、粘着皮膜形成用材料として、(メタ)アクリル系ポリマーおよび架橋剤が添加されて形成される赤外線遮蔽粘着膜を特許文献6として開示している。当該特許文献6では、窓ガラス等への適用から応用展開された赤外線遮蔽粘着膜を具備したプラズマディスプレイパネル用多層フィルター並びにプラズマディスプレイパネルが記載されており、高い可視光透過率と近赤外線吸収性を維持したまま耐高温高湿性を発揮することを開示している。
特開2003−114323号公報 特許3308545号公報 特開2002−138203号公報 特開平08−281860号公報 特開2006−154516号公報 特開2011−65146号公報
上述したように、各種の建築物や車両の窓材等の分野において、可視光線を十分に取り入れながら近赤外領域の光を遮蔽し、明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制することを目的として、あるいは、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等の画像表示デバイスの表示画面から前方に放射される近赤外線が、コードレスフォンや家電機器のリモコンに誤動作を引き起こしたり、伝送系光通信に悪影響を及ぼしたりすることを防止することを目的として、高い可視光透過率と近赤外線吸収性を維持したまま、耐高温高湿性を有する赤外線遮蔽光学部材が提案されている。
しかしながら本発明者らの検討によると、これら従来の技術に係る赤外線遮蔽光学部材を長時間、高温高湿下に暴露した場合においては、近赤外線吸収機能が十分維持され色調変化もなく、ヘイズ変化も十分に抑制されているといえるレベルまでには至っていなかった。
本発明は、上述の状況のもとでなされたものであり、その解決しようとする課題は、長時間、高温高湿下に暴露されても、近赤外線吸収機能および色調が十分維持され、ヘイズの変化も抑制されている近赤外線吸収性粘着組成物、及び当該近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルム、並びに近赤外線吸収性光学部材を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究をおこなった結果、色調調整剤(有機系色素)に対する反応性が低い粘着剤として、水酸基を主な架橋基に持つアクリル系粘着樹脂に想到した。そして当該水酸基を主な架橋基に持つアクリル系粘着樹脂中に近赤外線吸収材料である複合タングステン酸化物微粒子を均一分散し、さらに当該微粒子の表面劣化抑制剤としてエポキシ化合物を含有させることで、長時間、高温高湿環境下に暴露した場合でも、近赤外線吸収機能および色調、ヘイズの変化が極めて小さい近赤外線吸収性粘着組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
アクリル酸アルキルエステルモノマー、メタクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される1種以上のモノマーの重合物である(メタ)アクリル系重合体(A)と、硬化剤(B)と、一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3)で表記される複合タングステン酸化物微粒子(C)と、エポキシ化合物(D)とを、含有することを特徴とする近赤外線吸収性粘着組成物である。
第2の発明は、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)の分子構造上の側鎖に水酸基及びアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、当該重合体の重量平均分子量が5万以上100万以下であることを特徴とする第1の発明に記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第3の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子(C)の粒子直径が、1nm以上800nm以下であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子(C)が、六方晶、正方晶、立方晶から選択されるいずれかの結晶構造を有していることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第5の発明は、
前記硬化剤(B)が、イソシアネート系硬化剤、金属キレート硬化剤から選択される1種以上であることを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第6の発明は、
前記エポキシ化合物(D)が、分子内にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物であることを特徴とする第1から第5の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第7の発明は、
前記分子内にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物が、
(a)ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、
(b)脂環式エポキシ化合物、
(c)ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、
(d)芳香族エポキシ化合物の核水素化物、
(e)複素環式エポキシ化合物、
(f)グリシジルエステル系エポキシ化合物、
(g)グリシジルアミン系エポキシ化合物、
(h)ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物、
(i)多官能脂肪族エポキシ化合物、
(j)分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物、
(k)異種重合性官能基含有エポキシ化合物、
から選択される1種以上の化合物であることを特徴とする第6の発明に記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第8の発明は、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、エポキシ化合物(D)が0.05重量部以上5重量部以下含まれていることを特徴とする第1から第7の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第9の発明は、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、硬化剤(B)が0.2重量部以上5重量部以下含まれていることを特徴とする第1から第8の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第10の発明は、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、複合タングステン酸化物微粒子(C)が1重量部以上30重量部以下含まれていることを特徴とする第1から第9の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物である。
第11の発明は、
第1から第10の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物を含む粘着剤層が、基材フィルム上に形成されていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着フィルムである。
第12の発明は、
第1から第10の発明のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物を含む粘着剤層が、基材フィルム上に形成されており、画像表示デバイスの画像表示部前面に設置されていることを特徴とする近赤外線吸収性光学部材である。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物は、長時間、高温高湿下に暴露されても、近赤外線吸収機能および色調が十分維持され、ヘイズの変化も抑制されている。また、当該近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルム、並びに近赤外線吸収性光学部材も、長時間、高温高湿下に暴露されても、近赤外線吸収機能および色調が十分維持され、ヘイズの変化も抑制されている。
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子に含まれる六方晶の結晶構造の模式的な平面図である。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物は、アクリル酸アルキルエステルモノマー、メタクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される1種以上を重合させて得られる(メタ)アクリル系重合体(A)と、硬化剤(B)と、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子(C)と、エポキシ化合物(D)とを含有する。そして、本発明に係る近赤外線吸収性粘着フィルムは、近赤外線吸収性粘着組成物からなる粘着剤層が、基材フィルム上に形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明の近赤外線吸収性光学部材は、上記近赤外線吸収性粘着組成物からなる粘着剤層が基材フィルム上に形成されており、例えば、画像表示デバイスの画像表示部前面に設置される。
以下、本発明に係る「1.近赤外線吸収性粘着組成物」、それを用いて得られる「2.近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルム」、並びに「3.近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性光学部材」について、順次説明する。
1.近赤外線吸収性粘着組成物
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物に含まれる、[1]複合タングステン酸化物微粒子(C)、[2]エポキシ化合物(D)、[3](メタ)アクリル系重合体(A)、[4]硬化剤(B)、[5]近赤外線吸収性粘着組成物、について順次、詳細に説明する。
[1]複合タングステン酸化物微粒子(C)
一般に、自由電子を含む材料は、プラズマ振動によって波長200nmから2600nmの太陽光線の領域周辺にある電磁波に反射吸収応答を示すことが知られている。このような自由電子を含む材料の粉末の粒子を光の波長より小さい粒径の微粒子とすると、可視光領域(波長380nmから780nm)の幾何学散乱が低減されて可視光領域の透明性が得られる。尚、本発明において「透明性」とは、可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高いという意味で用いている。
一般に、WO中には有効な自由電子が存在しないため、WOは近赤外線領域の吸収反射特性が少なく赤外線遮蔽材料としては有効でない。一方、酸素欠損を持つ3酸化タングステンや、3酸化タングステンにNa等の陽性元素を添加したいわゆるタングステンブロンズは、導電性材料であり、自由電子を持つ材料である。さらに、これら材料の単結晶等を分析した結果からも、赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆されている。
本発明者等は、当該タングステンと酸素との組成範囲が特定範囲にあるとき、赤外線遮蔽材料として特に有効なものとなることを見出した。そして、当該可視光領域においては透明でありながら、赤外線遮蔽材料として特に有効な複合タングステン酸化物微粒子を、後述する(メタ)アクリル系重合体(A)に分散させることにより、近赤外線吸収性粘着組成物を得ることが出来た。
ここで、タングステン酸化物を一般式WyOzで表記したとき、当該タングステンと酸素との組成範囲は2.2≦z/y≦2.999であることが好ましい。このz/yの値が、2.2以上であれば、当該赤外線遮蔽材料中に目的以外であるWOの結晶相が現れるのを回避することが出来るとともに、材料としての化学的安定性を得ることが出来るので有効な赤外線遮蔽材料として適用できる。一方、このz/yの値が、2.999以下であれば必要とされる量の自由電子が生成され効率よい赤外線遮蔽材料となる。
次に、上述したWyOzへ自由電子を生成するM元素の添加をおこない、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物とすることで、タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現し、1000nm付近の近赤外線を吸収する近赤外線吸収材料として、さらに有効となる。
また、複合タングステン酸化物微粒子(C)は安定性の観点からも好ましく、赤外線遮蔽材料としての光学特性、耐候性を向上させる観点からも好ましい。
そして、複合タングステン酸化物微粒子(C)は、六方晶、または、正方晶、または、立方晶のいずれかの結晶構造を有していることが好ましい。
尤も、結晶構造によって、近赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶<正方晶<六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光線領域の吸収が少ないのは、六方晶、正方晶、立方晶の順であり、よって、より可視光領域の光を透過して、より赤外線領域の光を遮蔽する用途には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によって変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
上述したように、複合タングステン酸化物微粒子(C)が、六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子としては、例えばM元素として、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snから選択される元素の1種類以上を含むような複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。
この六方晶の結晶構造の模式的な平面図である図1を参照しながら説明する。図1において、符号10で示すWO単位にて形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中に符号20で示すM元素が配置して1箇の単位を構成し、この1箇の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。本発明において可視光領域の透過を向上させ、近赤外領域の吸収を向上させる効果を得るためには、複合タングステン酸化物微粒子(C)中に、図1で説明した単位構造(WO単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中にM元素が配置した構造)が含まれていればよく、当該複合タングステン酸化物微粒子(C)は、結晶質であっても非晶質であっても構わない。
この六角形の空隙にM元素の陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域の透過が向上し、近赤外領域の吸収が向上する。ここで、一般的には、イオン半径の大きなM元素を添加したとき当該六方晶が形成される、具体的には、上述したCs、K、Rb、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snから選択される元素の1種類以上を添加したときに六方晶が形成されやすい。勿論これら以外の元素でも、WO単位で形成される六角形の空隙にM元素が存在すれば良く、上記元素に限定される訳ではない。
ここで、複合タングステン酸化物微粒子(C)において、M元素の添加量を示すx/yの値について説明する。
x/yの値は、0.001以上1以下であることが好ましく、0.1以上0.5以下がさらに好ましく、0.33付近が最も好ましい。
x/yの値が0.001より大きければ、十分な量の自由電子が生成され目的とする赤外線遮蔽効果を得ることが出来る。そして、M元素の添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し、赤外線遮蔽効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、複合タングステン酸化物微粒子(C)中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
0.33付近が好ましいのは、六方晶の結晶構造から理論的に算出される値が0.33であり、M元素が六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。そして、この前後の添加量で好ましい光学特性が得られるからである。好ましい典型的な例としては、Cs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Tl0.33WOなどを挙げることができるが、x、yの値が上述の範囲に収まるものであれば、有用な熱線吸収特性を得ることができる。
次に、複合タングステン酸化物微粒子(C)において、酸素量の制御を示すz/yの値について説明する。
z/yの値は、2.2以上3.0以下であることが好ましい。
これは、MxWyOzで表記される赤外線遮蔽材料においても、上述したWyOzで表記される赤外線遮蔽材料と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0においても、上述したM元素の添加量による自由電子の供給があるためである。この結果、2.2≦z/y≦3.0が好ましく、さらに好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
尚、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子(C)を含有する赤外線遮蔽材料は、近赤外線領域、特に1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となる物が多い。
また、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子(C)の分散粒子径(赤外線遮蔽材料微粒子分散媒体中における赤外線遮蔽材料微粒子の粒子径)は、その使用目的によって、各々選定することができる。透明性を保持した用途に使用する場合には、複合タングステン酸化物微粒子(C)は、800nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。800nmよりも小さい分散粒子径を有していれば、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光領域の視認性を保持し、同時に効率よく透明性を保持することができるからである。特に可視光領域の透明性を重視する場合には、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。
また例えば、本発明の近赤外線近赤外線吸収性粘着組成物を、上述した可視光領域の透明性を重視する用途に使用する場合には、複合タングステン酸化物微粒子による散乱の低減を重視して、当該複合タングステン酸化物微粒子(C)の分散粒子径は200nm以下、好ましくは40nm以下がよい。
すなわち、複合タングステン酸化物微粒子(C)の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱またはミー散乱による波長400nm〜780nmの可視光線領域における光の散乱が低減され、光の散乱が低減することで、強い光が照射されたときに熱線遮蔽膜が曇りガラスのような外観になって鮮明な透明性が失われる事態を回避できるからである。より詳細に説明すると、複合タングステン酸化物微粒子(C)の分散粒子径が40nm以下になると、上述したように幾何学散乱またはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。そして、レイリー散乱領域では、散乱光が粒子径の6乗に反比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。更に、複合タングステン酸化物微粒子(C)の分散粒子径が25nm以下になると、散乱光は非常に少なくなりより好ましい。
このように光の散乱を回避する観点からは、複合タングステン酸化物微粒子(C)の分散粒子径は小さい方が好ましい。一方、分散粒子径が1nm以上であれば、工業的な製造は容易である。
上記分散粒子径を40nm以下とすることにより、複合タングステン酸化物微粒子(C)を媒体中に分散させた赤外線遮蔽材料微粒子分散体では、赤外線遮蔽性能を高め可視光透過率が85%以下となっても、ヘイズ値を3%以下とすることができる。ヘイズ値が3%よりも小さい値であれば、曇りガラスのような外観となることがなく鮮明な透明性が得られる。
また、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子(C)の表面が、Si、Ti、Zr、Alの一種類以上を含有する酸化物で被覆されていることは、当該赤外線遮蔽材料の耐候性の向上の観点から好ましい。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物における、複合タングステン酸化物(C)の含有量は、後述する(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、1重量部以上30重量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは1重量部以上10重量部以下である。複合タングステン酸化物の含有量が1重量部以上であれば、近赤外線吸収性粘着組成物として求められる光学的特性を発揮する。また、複合タングステン酸化物の含有量が30重量部以下であれば、十分な可視光線透過率を確保することが可能であり好ましい。
[2]エポキシ化合物(D)
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物において、上記複合タングステン酸化物微粒子(C)と、当該微粒子の表面劣化抑制剤となるエポキシ化合物(D)とを媒体中に混在させる構成とすることにより、複合タングステン酸化物微粒子の近赤外線吸収特性が高温高湿環境下で劣化することを抑制することが可能となる。
本発明で用いられるエポキシ化合物(D)は、複合タングステン酸化物微粒子(C)に対して悪影響を与える可能性がある、後述する粘着剤ポリマー中の(メタ)アクリル系重合体(A)の側鎖にある官能基や、未反応の硬化剤官能基を不活性化し、当該複合タングステン酸化物微粒子(C)表面の劣化を抑制する機能を備えている。
本発明に係るエポキシ化合物(D)としては、エポキシ基を分子内に複数個有する多官能エポキシ化合物が好ましいが、特に限定されるものではない。
当該多官能エポキシ化合物としては、(a)ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、(b)脂環式エポキシ化合物、(c)各種のノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、(d)芳香族エポキシ化合物の核水素化物、(e)複素環式エポキシ化合物、(f)グリシジルエステル系エポキシ化合物、(g)グリシジルアミン系エポキシ化合物、(h)ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物、(i)多官能脂肪族エポキシ化合物、(j)分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物、(k)異種重合性官能基含有エポキシ化合物、等が挙げられる。
これらは単独で用いても複数を組み合わせて用いてもよい。
以上の多官能エポキシ化合物について、多官能エポキシ化合物毎にさらに詳細に説明する。
(a)ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物
ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル) エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール) 、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、2,6−ジ(t−ブチル)ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、及びフェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物、から選択することが好ましい。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂等の芳香族エポキシ化合物;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1.6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物等;
ビスフェノールA・エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂等の、ビスフェノールA等のフェノール化合物とエピクロロヒドリンとを反応させて得られるグリシジルエーテル化物等;
が挙げられる。
(b)脂環式エポキシ化合物
脂環式エポキシ化合物は、脂環式エポキシ構造を有するエポキシ化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキセンオキシド基、トリシクロデセンオキシド基又はシクロペンテンオキシド基等を有するエポキシ化合物、から選択することが好ましい。脂環式エポキシ化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−オエポキシシクロヘキセンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオクチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、及び1,2,8,9−ジエポキシリモネンが挙げられる。
他の多官能脂環式エポキシ化合物としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキセン又は1,2−チオエポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキセン付加物等が挙げられる。
(c)ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物
ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、及びナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック化合物、キシリレン骨格含有フェノールノボラック化合物、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック化合物、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック化合物、並びに、フルオレン骨格含有フェノールノボラック化合物等の各種ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物から選択することが好ましい。
(d)芳香族エポキシ化合物の核水素化物
芳香族エポキシ化合物の核水素化物(ここで、核水素化とは、対象となる化合物の分子に存在する置換基は水素化せず、分子を構成するベンゼン環のみをシクロヘキサン環へ水素化することを意味する。)は、特に限定されるものではなく、例えば、フェノール化合物(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール等)のチオグリシジルエーテル化物、又は各種フェノール(フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等)の芳香環を核水素化したもの、並びに、ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物の核水素化物から選択することができる。
(e)複素環式エポキシ化合物
複素環式エポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、イソシアヌル環、及びヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ化合物から選択することができる。
(f)グリシジルエステル系エポキシ化合物
グリシジルエステル系エポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル及びテトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の、カルボン酸化合物から誘導されるエポキシ化合物から選択することができる。
(g)グリシジルアミン系エポキシ化合物
グリシジルアミン系エポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、アニリン、トルイジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン誘導体及びジアミノメチルベンゼン誘導体等のアミンをグリシジル化したエポキシ化合物から選択することが好ましい。
(h)ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物
ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、ブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、及びクロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジルエーテル化したエポキシ化合物から選択することができる。
(i)多官能脂肪族エポキシ化合物
多官能脂肪族エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には、製造が容易であり、組成物としてのコストが抑制でき、経済性に優れることから、以下の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]メタン、1,2−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]エタン、1,3−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]プロパン、1,2−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]プロパン、1−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−2−[(2,3−エポキシプロピル)メチル]プロパン、1,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]ブタン、1,3−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]ブタン、1−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−3−[(2,3−エポキシプロピル)メチル]ブタン、1,6−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]ヘキサン、1−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−5−[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]ヘキサン、1−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−2−{[2−(2,3−エポキシプロピル)オキシエチル]オキシ}エタン、1−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−2−{[2−(2−(2,3−エポキシプロピル)オキシエチル)オキシエチル]オキシ}エタン、テトラキス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]メタン、1,1,1−トリス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]プロパン、1−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−2,2−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−4−[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−3−チアヘキサン;
1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−4−[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−4,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−4,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−2,4,5−トリス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]−2,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,3または1,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]シクロヘキサン、ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]シクロヘキシル}メタン、2,2−ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]シクロヘキシル}プロパン、ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)オキシ]シクロヘキシル}スルフィド、2,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)オキシエチルオキシメチル]−1,4−ジチアン、ビス(2,3−エポキシプロピル)スルフィド、ビス(2,3−エポキシプロピル)ジスルフィド、ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]メタン、ビス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオ]メタン、ビス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオ]エタン、ビス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオエチル]スルフィド、ビス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオエチル]ジスルフィド、1,2−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]エタン、1,3−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]プロパン、1,2−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]プロパン;
1−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−2−[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]プロパン、1,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]ブタン、1,3−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]ブタン、1−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−3−[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]ブタン、1,6−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]ヘキサン、1−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−5−[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]ヘキサン、1−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−2−{[2−(2,3−エポキシプロピル)チオエチル]チオ}エタン、1−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−2−{[2−(2−(2,3−エポキシプロピル)チオエチル)チオエチル]チオ}エタン、テトラキス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]メタン、テトラキス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオメチル]メタン、1,1,1−トリス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]プロパン、1,2,3−トリス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオ]プロパン、1,6−ビス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオメチル]−2−[(2,3−エポキシプロピル)ジチオエチルチオ]−4−チアヘキサン、1−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−2,2−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−4−チアヘキサン、1,5,6−トリス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−4−[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−3−チアヘキサン;
1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−4−[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−4,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−4,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−2,4,5−トリス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−3,6−ジチアオクタン、1,8−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]−2,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−3,6−ジチアオクタン、テトラ{2−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]アセチルメチル}メタン、1,1,1−トリ{2−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]アセチルメチル}プロパン、テトラ{2−[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]アセチルメチル}メタン、1,1,1−トリ{2−[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]アセチルメチル}プロパン、1,3または1,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオ]シクロヘキサン、1,3または1,4−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]シクロヘキサン、2,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)ジチオメチル]−1,4−ジチアン、2,5−ビス[(2,3−エポキシプロピル)チオエチルチオメチル]−1,4−ジチアン、ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]シクロヘキシル}メタン、2,2−ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]シクロヘキシル}プロパン、ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]シクロヘキシル}スルフィド、2,2−ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]シクロヘキシル}プロパン、ビス{4−[(2,3−エポキシプロピル)チオ]シクロヘキシル}スルフィドから選択することができる。
(j)分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物
分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物は、特に限定されるものではなく、例えば、下記式(1)で表される化合物から選択することができる。
(RSiO1/2(RSiO2/2(RSiO3/2(SiO4/2 (1)
(式(1)中、a、b、c及びdはそれぞれ、a+b+c+d=1.0を満たす数値であり、0≦a/(a+b+c+d)≦1、0≦b/(a+b+c+d)≦1、0≦c/(a+b+c+d)≦1、且つ0≦d/(a+b+c+d)<1である。R〜Rのうち少なくとも1個は、エポキシ基を含有する基を表し、その他のR〜Rは、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1〜8の炭化水素基又は該炭化水素基がフッ素化された基を表す。これらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(k)異種重合性官能基含有エポキシ化合物
異種重合性官能基含有エポキシ化合物は、特に限定されるものではなく、例えば下記式(2)で表される化合物から選択することができる。
(上記式(2)中、R10〜R12は、チア化されていてもよい置換又は未置換の鎖状、分岐状、環状の脂肪族又は芳香族炭化水素基を示す。m、n、o及びpは、それぞれ独立に1以上の数を示す。Xは、エポキシ基を示す。Yは、単種の重合性官能基を示す場合、環状エーテル構造、環状チオエーテル構造、ラクトン構造、環状カーボネート構造、及びその含硫黄類縁構造、環状アセタール構造、及びその含硫黄類縁構造、環状アミン構造、環状イミノエーテル構造、ラクタム構造、環状チオウレア構造、環状ホスフィナート構造、環状ホスホナイト構造、環状ホスファイト構造、ビニル構造、アリル構造、(メタ)アクリル構造、シクロアルカン構造から選ばれる構造を示す。複数種の重合性官能基を示す場合、上記の群より選ばれる少なくとも2種の構造を示す。)
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物における、上記エポキシ化合物(D)の最適含有量は、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して0.05重量部以上5重量部以下、好ましくは0.1重量部以上1.5重量部以下で使用される。エポキシ化合物(D)の含有量が0.05重量部より多ければ、複合タングステン酸化物微粒子(C)への表面劣化抑制効果が十分に得られ、近赤外線吸収特性が高温高湿環境下で担保される。5重量部より少なければ(メタ)アクリル系重合体(A)の硬化を阻害することがないため、粘着組成物として基材との密着性が担保され好ましい。
[3](メタ)アクリル系重合体(A)
本発明に用いられる、(メタ)アクリル系共重合体(A)は、水酸基とアルキレンオキサイド鎖を有するものである。これは、水酸基を有するアクリル系モノマー(a)とアルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー(a)とを重合させるか、あるいは、前記両アクリル系モノマーと、前記両アクリル系モノマーと共重合可能で水酸基およびアルキレンオキサイド鎖をいずれも有していないアクリル系モノマー(a)とを重合させて、得られる重合体である。
以上、(a)水酸基を有するアクリル系モノマー、(a)アルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー、(a)アクリル系モノマー(a、a)と共重合可能で、水酸基およびアルキレンオキサイド鎖をいずれも有していないアクリル系モノマー、のアクリル系モノマー毎にさらに詳細に説明する。
(a)水酸基を有するアクリル系モノマー
本発明に用いられる水酸基を有するアクリル系モノマー(a)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
本発明において、水酸基を有する中性タイプの(メタ)アクリル系重合体が好ましい。例えば、画像表示デバイス内でガラス基板とPETフィルム基板などの異なる材質同士を接着する際、粘着特性及びヘイズ値が低く、透明性に優れるアクリル酸エステル系骨格を有する粘着樹脂が好ましい。これは、カルボキシル基を主に持つ酸基タイプのアクリル系粘着剤と比べて、本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物に含有させる色調調整剤(有機系色素)の劣化を抑制できることや、リワーク性に富むこと(被着体に対する粘着力を確保しつつ再剥離性を有する)、積層して形成されるメッシュ状、金属微粒子状の電磁波遮断層を腐食させにくい特徴をもつからである。
(a)アルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー
本発明に用いられる、アルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー(a)としては、エチレンオキサイド鎖を有するモノマー、プロピレンオキサイド鎖を有するモノマー、およびその両者を有するモノマーが挙げられる。
エチレンオキサイド鎖を有するモノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
プロピレンオキサイド鎖を有するモノマーとしては、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
(a)アクリル系モノマー(a、a)と共重合可能で、水酸基およびアルキレンオキサイド鎖をいずれも有していないアクリル系モノマー
本発明に用いられる、上記水酸基を有するアクリル系モノマー(a)とアルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー(a)との両アクリル系モノマーと共重合可能で、水酸基およびアルキレンオキサイド鎖をいずれも有していないアクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、ヘンイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、等を挙げることができる。
以上、アクリル系モノマー(a)〜(a)について説明したが、本発明においては粘着物性を確保するという観点から、炭素数が4〜12のアクリル系モノマー(a)を共重合に供することが好ましい。さらに好ましくは、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
これらのアクリル系モノマーは、粘着組成物として望ましい物性を得るため、適宜選択して、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
上記の水酸基を有するアクリル系モノマー(a)とアルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー(a)とを重合させたか、あるいは、前記両アクリル系モノマー(a、a)と、前記両アクリル系モノマーと共重合可能で、水酸基およびアルキレンオキサイド鎖をいずれも有していないアクリル系モノマー(a)とを共重合させてなる(メタ)アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、5万〜100万であることが好ましい。
重量平均分子量が5万以上であると、形成される粘着層の凝集力が担保され、被着体から剥離する際に糊残りを生じ難い。
一方、重量平均分子量(Mw)が100万以下であると、取扱いが容易であり、さらには凝集力が適度なので光学部材に対する接着力も適度である。
[4]硬化剤(B)
本発明に係る(メタ)アクリル系共重合体(A)の硬化剤(B)としては、イソシアネート系硬化剤、金属キレート系硬化剤が好ましく、両者を併用しても良い。
イソシアネート系硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサヘチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメリルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物;それらをトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと付加させた化合物、これらポリイソシアネート化合物のビュレット型化合物やイソシアヌレート化合物;これらポリイソシアネート化合物と公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等と付加反応させたウレタンプレポリマー型の分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、等が挙げられる。
金属キレート系硬化剤としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属にアセチレン、アセト酢酸エチルが配位した化合物が挙げられる。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物における硬化剤(B)の含有量としては、一般に、(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して0.2重量部以上5重量部以下、好ましくは0.4重量部以上1.8重量部以下である。硬化剤の含有量が0.2重量部より多ければ硬化が十分に進み、実用的な基板密着性が得られる。また、5重量部より少なければ(メタ)アクリル系重合体(A)の架橋反応が適宜なものとなり基材に対する塗工性が担保され好ましい。
粘着性を有する上記(メタ)アクリル系重合体(A)は、上記イソシアネート系硬化剤、金属キレート系硬化剤から選択される1種以上の硬化剤(B)が添加されることにより、上記アクリル系重合体(A)中の水酸基部との架橋反応で生成する高分子量体によって機械強度を向上させることができる。
[5]近赤外線吸収性粘着組成物
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物を作製するには、まず、上述した一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3)で表記される複合タングステン酸化物微粒子(C)を適量の微粒子分散用分散剤とともに溶剤中に混合し、媒体撹拌ミル等を用いて分散させて赤外線遮蔽材料微粒子分散液を作製する。
一方、上述した水酸基を有するアクリル系モノマー(a)とアルキレンオキサイド鎖を有するアクリル系モノマー(a)、あるいは、前記両アクリル系モノマーと、前記両アクリル系モノマーと共重合可能で、水酸基およびアルキレンオキサイド鎖をいずれも有していないアクリル系モノマー(a)と、を重合させて得られた(メタ)アクリル系重合体(A)と、上記エポキシ化合物(D)と、上記硬化剤(B)とを混合し混合組成物を得る。
そして、上述した赤外線遮蔽材料微粒子分散液を、(メタ)アクリル系重合体(A)の固形成分に対して所定の割合を持たせて、上記混合組成物に添加混合し、本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物を得る。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物には、さらに、目的に合わせて、ネオンカット色素、色調補正色素を含有させてもよい。
2.近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルム
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性粘着フィルムは、上述した近赤外線吸収性粘着組成物を基材上に塗布形成し、かつ、形成された塗布膜をエージング処理することにより得られる。尚、エージング処理の一例として、架橋反応が進行する温度で加熱処理することが挙げられる。
本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物が塗布される基材は、所望により選定可能である。形状はフィルムでもボードでも良く、限定されない。透明の上記基材の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)等のポリエチレン類、アクリル、ウレタン、ポリカーボネート、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ふっ素樹脂等が各種目的に応じて使用可能である。また、樹脂以外ではガラスを用いることができる。
また、本発明に係る近赤外線吸収性粘着組成物の塗布方法としては、対象基材面上に塗布膜を均一に形成できればよく、特に限定されないが、ドクターブレード法、バーコート法、グラビヤコート法、ディップコート法、スリットコート法等が例示される。
そして、当該近赤外線吸収性粘着組成物を塗布して得られる粘着剤層が基材フィルム上に形成されて本発明に係る近赤外線吸収性粘着フィルムが得られる。当該粘着剤層に含まれる上記複合タングステン酸化物微粒子は可視光領域での吸収が少ない材料であるため、本発明に係る近赤外線吸収性粘着フィルムは、意匠性を損なうことなく、好適に近赤外線吸収の性能を発揮することができる。尚、複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径が小さくなるに従って、レイリー散乱が減衰し、ヘイズ値が減少する特徴をもつ。
3.近赤外線吸収性粘着組成物を用いて得られる近赤外線吸収性光学部材
本発明に係る近赤外線吸収性光学部材は、近赤外線吸収性粘着組成物からなる粘着剤層が基材フィルム上に形成されたものである。そして例えば、画像表示デバイスの画像表示部前面に設置される。
また、本発明に係る赤外線吸収性光学部材は、上述した近赤外線吸収性粘着剤層に加え、電磁波遮断膜、外力吸収層等、複数の機能性基材を積層して、多層光学部材(積層体)を構成することができる。
以下、当該複数の機能性基材(フィルム)を備える多層光学部材(積層体)の製造方法について説明する。
(1)各機能性膜の構成材料を含んだ塗布液等を、対象となる画像表示デバイスの画像表示部前面板に直接塗布する等して多層近赤外線吸収性光学部材を形成する。
(2)複数の基材で構成される別体の多層光学部材(積層体)を予め作製し、この多層光学部材(積層体)を対象となる画像表示デバイスの画像表示部前面板上に貼付する等して多層近赤外線吸収性光学部材を形成する。
(3)上述した(1)、(2)の方法を、適宜組み合わせて多層近赤外線吸収性光学部材を形成する。
なお、本発明に係る上記近赤外線吸収性粘着組成物からなる粘着剤層が、画像表示デバイスの画像表示部前面部に多層光学部材(積層体)として組み込まれている場合も、本発明の近赤外線吸収性光学部材に含まれるものとする。
上述した近赤外線吸収性粘着組成物を含む粘着剤層が基材フィルム上に形成されている近赤外線吸収性光学部材において、当該粘着剤層内に電磁波遮蔽機能を有するメッシュ状または/および繊維状の金属層若しくは金属含有層が組み込まれた電磁波遮蔽層とすることにより、電磁波遮蔽機能を合わせて持たせることができ、赤外線遮蔽機能、電磁波遮蔽機能、接着機能の3種類の機能を1つの層で達成できるため好ましい。
上記電磁波遮蔽層の金属層若しくは金属含有層としては、電磁波遮蔽能を有するものであればその種類等は特に限定されるものではない。代表例としては、Cu、Fe、Ni、Cr、Al、Au、Ag、W、Tiあるいは、これらの合金の金属箔をメッシュ状に加工したもの、カーボンブラック、Cu、Niなどの導電性微粒子をバインダー樹脂に分散させたインクをパターン印刷したもの等が挙げられる。
更に、上述した近赤外線吸収性粘着組成物を含む粘着剤層が、画像表示デバイスの画像表示部前面部に多層光学部材(積層体)として組み込まれている場合、当該多層光学部材(積層体)に、外力吸収層を備えた外力吸収フィルム等を積層することも好ましい構成である。外力吸収層を備えた外力吸収フィルム等を積層することにより、衝撃緩和性に優れた近赤外線吸収性光学部材として構成された場合、外力吸収機能が付与されて、当該近赤外線吸収性光学部材が設置された画像表示部前面部に加えられた衝撃を緩和し、画像表示デバイスの破損を防ぐことができる。
当該構成により、これまで別々に設けてきた外力吸収層を含めて、1つの光学部材で赤外線遮蔽機能、衝撃緩和機能を達成することができるので好ましい。更に、上記メッシュ状の電磁波遮蔽層等を埋め込むことにより電磁波遮蔽能も合わせることができる。
このように本発明に係る、赤外線遮蔽機能を有する複合タングステン酸化物微粒子(C)と、分子構造上の側鎖に水酸基及びアルキレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリル系重合体(A)と、硬化剤(B)、エポキシ化合物(D)を含有する近赤外線吸収性粘着組成物から得られる粘着層は、これまで複数層に別けられていた赤外線遮蔽能、接着機能が1層で構成できることとなり、かつ、リワーク性に富み(被着体に対する粘着力を確保しつつ再剥離性を有する)、画像表示デバイス製造工程での生産性、廃棄時の分解のしやすさから製造コストの削減につながり、また、上記したような電磁波遮蔽層を埋め込むことがあった場合においても電磁波遮蔽膜の腐食を促進するような影響が少ないこと等から、粘着層の適用箇所が限定されないことから、工業的に極めて有用である。
以下、本発明を実施例と比較例によってより詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
尚、本実施例において、波長850nm透過率は、(株)日立ハイテクフィールディング製の分光光度計(U−4000)を用いて波長200〜2100nmの光の透過率を測定し、波長850nmの透過率を求めた。
膜のヘイズ値は、JIS K 7105に基づいた測定を行った。
耐高温高湿性の評価方法は、楠本化成(株)製の恒温恒湿槽(FX414P)を用い、作製した粘着層を、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露したとき、波長850nmの透過率の変化が7ポイント以下のものを良好とし、変化が7ポイントを超えるものは耐高温高湿性が不良とした。
膜強度(密着力)は、90°剥離強度を測定して評価した。基材フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製50μm厚PETフィルム、商品名テトロン(登録商標)HPE)上に形成した粘着層をガラス板(ソーダライムガラス)に貼合し、90°の角度で引き剥がした時にかかる応力を測定して90°剥離強度とした。
尚、本実施例において膜の光学特性値(可視光透過率、ヘイズ値)とは、基材フィルムを含む値を示す。当該基材フィルム自体の可視光透過率は90%、ヘイズ値は0.9%である。
(実施例1)
赤外線遮蔽材料として複合タングステン酸化物微粒子:Cs0.33WO微粒子(比表面積20m/g)を20重量部、キシレン74重量部、微粒子分散用分散剤6重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO微粒子の分散液(以下、本実施例、比較例において「A液」と記載する場合がある。)を作製した。
・A液:25重量部、
・水酸基系アクリル系重合体(綜研化学製、商品名SKダイン1811L、樹脂固形成分23%):435重量部、
・エポキシ化合物(綜研化学製、商品名E−20X、有効成分20%):2重量部、
・イソシアネート系硬化剤(綜研化学製、商品名TD−75、有効成分75%):1.6重量部、とを混合し実施例1に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、実施例1に係る光学部材を得た。
当該実施例1に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.0N/mであり、密着性が極めて高いことも確認できた。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は4.0ポイントと小さく、変化が少ないことがわかった。
以上の結果を表1に示す。
また、下記の実施例2〜5、比較例1〜4で作製した塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成と、得られた光学部材の特性測定結果についても表1に併せて示す。
(実施例2)
エポキシ化合物(綜研化学製、商品名E−20X、有効成分20%)の混合量を0.5重量部にした以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、実施例2に係る光学部材を得た。
当該実施例2に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.0%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.0N/mであり密着性が極めて高いことも確認できた。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は6.0ポイントと小さく、変化も少ないことがわかった。
(実施例3)
イソシアネート系硬化剤(綜研化学製、商品名TD−75、有効成分75%)の混合量を4重量部にした以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、実施例3に係る光学部材を得た。
当該実施例3に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は7.0N/mであり密着性が極めて高いことも確認できた。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は4.2ポイントと小さく、変化も少ないことがわかった。
(実施例4)
硬化剤を錫キレート硬化剤(綜研化学製、商品名M−12AT、有効成分12%)に変更し、混合量を1.6重量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例4に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、実施例4に係る光学部材を得た。
当該実施例4に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.1%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は4.8N/mであり密着性が極めて高いことも確認できた。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は4.5ポイントと小さく、変化も少ないことがわかった。
(実施例5)
エポキシ化合物を(東洋インキ製造製、商品名BXX5983、有効成分5.0%)に変更し、混合量を8重量部とした以外は実施例1と同様にして、実施例5に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、実施例5に係る光学部材を得た。
当該実施例5に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは0.9%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.1N/mであり密着性が極めて高いことも確認できた。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は3.9ポイントと小さく、変化も少ないことがわかった。
(比較例1)
・A液25重量部、
・水酸基系アクリル系重合体(綜研化学製、商品名SKダイン1811L、樹脂固形成分23%)435重量部、
・イソシアネート系硬化剤(綜研化学製、商品名TD−75、有効成分75%)1.6重量部、とを混合し比較例1に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、比較例1に係る光学部材を得た。
当該比較例1に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.0%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は5.0N/mであり密着性が極めて高いことも確認できた。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は12.0ポイントと大きく、不良であった。これは、エポキシ化合物を添加しなかったため、実用的な耐高温高湿特性が得られなかった為と考えられる。
(比較例2)
エポキシ化合物(綜研化学製、商品名E−20X、有効成分20%)の混合量を30重量部にした以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、比較例2に係る光学部材を得た。
当該比較例2に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは1.1%であり、透明性が極めて高いことが確認できた。また、膜強度は0.5N/mであり密着性は非常に低下した。これは、エポキシ化合物の添加量が多すぎたため、塗膜の架橋を阻害した為と考えられる。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は3.5ポイントと小さく、変化は少ないことがわかった。
(比較例3)
イソシアネート系硬化剤(綜研化学製、商品名TD−75、有効成分75%)の混合量を8重量部にした以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
ところが塗布液がゲル化してしまい塗布膜は作製できなかった。これは、イソシアネート系硬化剤の添加量が過剰で反応が早すぎた為と考えられる。
(比較例4)
A液の混合量を175重量部にした以外は実施例1と同様にして、比較例4に係る塗布液を作製した。
当該塗布液における、水酸基系アクリル系重合体固形成分100重量部に対する各成分の組成を表1に示す。
得られた塗布液を、厚さ50μmのPETフィルムへドクターブレードを用いて塗布した後、80℃×2分間乾燥させ、塗布膜厚が25μmとなるように粘着層を形成した。これを厚さ3mmのガラス基板に貼り合わせ、比較例4に係る光学部材を得た。
当該比較例4に係る光学部材の初期特性を測定したところ、ヘイズは5.0%であり、透明性が極めて低かった。また、膜強度は1.0N/mであり、密着性も非常に低下していた。これは、Cs0.33WO微粒子の存在量が多く、CWO/PSA比率が高かった為と考えられる。
この光学部材の耐高温高湿特性を測定したところ、80℃−95%RHの高温高湿槽内に7日間暴露した前後における850nm透過率の増加量(△試験前後(%))は7.0ポイントと小さく、変化は少ないことがわかった。

Claims (12)

  1. アクリル酸アルキルエステルモノマー、メタクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される1種以上のモノマーの重合物である(メタ)アクリル系重合体(A)と、硬化剤(B)と、一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3)で表記される複合タングステン酸化物微粒子(C)と、エポキシ化合物(D)とを、含有することを特徴とする近赤外線吸収性粘着組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)の分子構造上の側鎖に水酸基及びアルキレンオキサイド鎖を有し、かつ、当該重合体の重量平均分子量が5万以上100万以下であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  3. 前記複合タングステン酸化物微粒子(C)の粒子直径が、1nm以上800nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  4. 前記複合タングステン酸化物微粒子(C)が、六方晶、正方晶、立方晶から選択されるいずれかの結晶構造を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  5. 前記硬化剤(B)が、イソシアネート系硬化剤、金属キレート硬化剤から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  6. 前記エポキシ化合物(D)が、分子内にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  7. 前記分子内にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物が、
    (a)ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、
    (b)脂環式エポキシ化合物、
    (c)ノボラック化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ化合物、
    (d)芳香族エポキシ化合物の核水素化物、
    (e)複素環式エポキシ化合物、
    (f)グリシジルエステル系エポキシ化合物、
    (g)グリシジルアミン系エポキシ化合物、
    (h)ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ化合物、
    (i)多官能脂肪族エポキシ化合物、
    (j)分子内にエポキシ基を有するシリコーン化合物、
    (k)異種重合性官能基含有エポキシ化合物、
    から選択される1種以上の化合物であることを特徴とする請求項6に記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  8. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、エポキシ化合物(D)が0.05重量部以上5重量部以下含まれていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  9. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、硬化剤(B)が0.2重量部以上5重量部以下含まれていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  10. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)100重量部に対して、複合タングステン酸化物微粒子(C)が1重量部以上30重量部以下含まれていることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物を含む粘着剤層が、基材フィルム上に形成されていることを特徴とする近赤外線吸収性粘着フィルム。
  12. 請求項1から10のいずれかに記載の近赤外線吸収性粘着組成物を含む粘着剤層が、基材フィルム上に形成されており、画像表示デバイスの画像表示部前面に設置されていることを特徴とする近赤外線吸収性光学部材。
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