JP2018007626A - 血中循環腫瘍細胞回収用試薬及び被検者の血液試料中の血中循環腫瘍細胞を回収するための方法 - Google Patents

血中循環腫瘍細胞回収用試薬及び被検者の血液試料中の血中循環腫瘍細胞を回収するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被検者の血液試料から血中循環腫瘍細胞を高生存率且つ高収率で簡便に回収することができる血中循環腫瘍細胞回収用試薬を提供する。【解決手段】本発明の血中循環腫瘍細胞回収用試薬は、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子を含むコーディング領域と、前記コーディング領域に作動可能に連結されたヒトテロメラーゼ逆転写酵素プロモーター(hTERTプロモーター)と、を含むプラスミドを備えることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、血中循環腫瘍細胞回収用試薬及び被検者の血液試料中の血中循環腫瘍細胞を回収するための方法に関する。
近年、末梢血中のガン細胞数を測定するCTC(Circulating Tumor Cells)検査が注目を集めている、CTCとは、「血中循環腫瘍細胞」又は「末梢血循環腫瘍細胞」と呼ばれ、原発腫瘍組織又は転移腫瘍組織から遊離し、血中へ浸潤した細胞である。ガンの死因の約90%は原発巣から他臓器への転移に起因している。腫瘍細胞塊から血管内へ浸潤するガン細胞の大半は自己免疫系により死滅する。しかし、その内ごく少数が免疫系の攻撃をすり抜け、CTCとして血液内を循環し、転移巣を形成すると考えられている。
従来のCT(Computed Tomography)による腫瘍サイズ測定、血清腫瘍マーカー測定では、タイムリー且つ正確なガン治療及び病態変化の予測が困難であった。しかし、治療前のガン患者の末梢血中にCTCが検出される症例は、思わしくない病状の経過と相関することが報告されている。また、治療によって血液中のCTCが消失しない症例も、思わしくない病状の経過と相関することが報告されている。さらに、化学療法の著効例では、治療開始後1サイクル時においてCTCが著しく減少することが報告されている。これらのことから、血液中のCTC数を測定することにより、積極的な治療の必要性の有無の判断、又は化学療法の治療効果の判定することができると考えられる。
CTCの測定方法としては、例えば、被検者から採取した血液試料中の細胞について、EpCAM(Epithelial cell adhesion molecule; 上皮細胞接着分子)陽性、サイトケラチン陽性、及びCD45(白血球共通抗原)陰性を指標として、CTCを測定する方法が挙げられる。
また、CTCの測定方法としては、例えば、被検者から採取した血液試料中の細胞に対して、クラゲの発光遺伝子を組み込んだ5型アデノウイルスの基本構造を有するウイルスであって、テロメラーゼ陽性細胞で特異的に蛍光発光を促すウイルスを感染させて、蛍光の発光量を測定することにより、CTCを測定する方法が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
再公表WO2006/036004号公報
上述の各種指標を用いてCTCを測定する方法では、細胞を固定する必要があり、生きたままの細胞を回収することができない。また、限られた表面抗原を指標として分離するため、分離できないCTCも多く存在する。
また、上述のウイルスを用いてCTCを測定する方法では、ウイルスの感染によりCTCが1週間程度で死滅するという課題がある。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、被検者の血液試料から血中循環腫瘍細胞を高生存率且つ高収率で簡便に回収することができる血中循環腫瘍細胞回収用試薬を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、被検者から採取された血液試料中に含まれる細胞に、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子と、該遺伝子に作動可能に連結されたヒトテロメラーゼ逆転写酵素プロモーター(hTERTプロモーター)を含むプラスミドを導入し、前記標識タンパク質に特異的に結合する物質を用いることで、血中循環腫瘍細胞を生きたまま回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子を含むコーディング領域と、前記コーディング領域に作動可能に連結されたヒトテロメラーゼプロモーター(hTERTプロモーター)と、を含むプラスミドを備えることを特徴とする血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
[2]前記hTERTプロモーターは、−1400から−1200の範囲のいずれかを起点とし、0から+100の範囲のいずれかを終点とする[1]に記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
[3]前記膜タンパク質が、β1インテグリンである[1]又は[2]に記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
[4]さらに、前記プラスミドがレポーター遺伝子を含む[1]〜[3]のいずれか一つに記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
[5]被検者の血液試料中の血中循環腫瘍細胞を回収するための方法であって、前記血中循環腫瘍細胞に[1]〜[4]のいずれか一つに記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬を導入する導入工程と、前記導入工程後の前記血中循環腫瘍細胞を培養し、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質を前記血中循環腫瘍細胞表面に発現させる発現工程と、前記発現工程後の前記血中循環腫瘍細胞に、前記標識タンパク質に特異的に結合する物質を接触させ、前記血中循環腫瘍細胞を回収する回収工程と、を備えることを特徴とする回収方法。
[6]さらに、前記導入工程の前に、被検者の血液試料中の顆粒球を分離し、除去する除去工程を備える[5]に記載の回収方法。
[7]前記導入工程において、エレクトロポレーション法を用いて、前記血中循環腫瘍細胞に前記血中循環腫瘍細胞回収用試薬を導入する[5]又は[6]に記載の回収方法。
本発明によれば、被検者の血液試料から血中循環腫瘍細胞を高生存率且つ高収率で簡便に回収することができる。
pSTET−1400の構成を示す概略図である。 試験例1における蛍光顕微鏡を用いた観察画像であって、左から10μgの実施例1で作製したpSTET−400をトランスフェクションした細胞でのTMRの蛍光検出画像、Alexa488の蛍光検出画像、TMRの蛍光とAlexa488の蛍光とをMergedした画像、及び明視下で観察した画像を示すものである。 試験例1における蛍光顕微鏡を用いた観察画像であって、10μg、20μg、40μgの実施例1で作製したpSTET−400をトランスフェクションした細胞でのTMRの蛍光検出画像(図3中、上の画像)及び明視下で観察した画像(図3中、下の画像)を示すものである。 (A)試験例1におけるFACS法による解析から10μg又は40μgの実施例1で作製したpSTET−400を導入した細胞におけるSTET陽性率を示すグラフである。(B)試験例1におけるFACS法による解析から10μg、20μg又は40μgの実施例1で作製したpSTET−400を導入した細胞における偽陽性細胞の数を示すグラフである。 1細胞ずつのTMR、Alexa488及び7−AADの蛍光を検出した結果である。
<<血中循環腫瘍細胞回収用試薬>>
一実施形態において、本発明は、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子を含むコーディング領域と、前記コーディング領域に作動可能に連結されたヒトテロメラーゼ逆転写酵素プロモーター(hTERTプロモーター)と、を含むプラスミドを備える血中循環腫瘍細胞回収用試薬を提供する。
本実施形態の血中循環腫瘍細胞回収用試薬によれば、被検者の血液試料から血中循環腫瘍細胞を高生存率且つ高収率で簡便に回収することができる。
本明細書において、「血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cells:CTC)」とは、原発腫瘍組織又は転移腫瘍組織から遊離し、血中へ浸潤した細胞を意味する。CTCは、固形ガン患者の末梢血中に微小量存在し、他部位への転移能を有する細胞を含んでいると考えられている。よって、CTCを生きたまま回収することにより、固形ガン患者におけるガンに対する化学療法の治療効果の評価、抗ガン剤の感受性の確認、及び遺伝子発現解析を行うことができる。
一般的に、ガンの種類は発症する細胞により区別され、ガン細胞が集まって生じる「固形ガン」と、造血組織の異常により生じる「血液ガン」に大別される。さらに、「固形ガン」には、上皮細胞にできる「上皮細胞ガン」と、それ以外の「非上皮細胞ガン」とに分けられる。
固形ガンとしてより具体的には、例えば、乳ガン(例えば、浸潤性乳管ガン、非浸潤性乳管ガン、炎症性乳ガン等)、前立腺ガン(例えば、ホルモン依存性前立腺ガン、ホルモン非依存性前立腺ガン等)、膵ガン(例えば、膵管ガン等)、胃ガン(例えば、乳頭腺ガン、粘液性腺ガン、腺扁平上皮ガン等)、肺ガン(例えば、非小細胞肺ガン、小細胞肺ガン、悪性中皮腫等)、結腸ガン(例えば、消化管間質腫瘍等)、直腸ガン(例えば、消化管間質腫瘍等)、大腸ガン(例えば、家族性大腸ガン、遺伝性非ポリポーシス大腸ガン、消化管間質腫瘍等)、小腸ガン(例えば、非ホジキンリンパ腫、消化管間質腫瘍等)、食道ガン、十二指腸ガン、舌ガン、咽頭ガン(例えば、上咽頭ガン、中咽頭ガン、下咽頭ガン等)、頭頚部ガン、唾液腺ガン、肝臓ガン(例えば、原発性肝ガン、肝外胆管ガン等)、腎臓ガン(例えば、腎細胞ガン、腎盂と尿管の移行上皮ガン等)、胆嚢ガン、胆管ガン、膵臓ガン、子宮内膜ガン、子宮頸ガン、卵巣ガン(例、上皮性卵巣ガン、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣性胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍等)、膀胱ガン、尿道ガン、皮膚ガン(例えば、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞ガン等)、甲状腺ガン(例えば、甲状腺髄様ガン等)、副甲状腺ガン、鼻腔ガン、副鼻腔ガン、血管線維腫、隆起性皮膚線維肉腫、網膜肉腫、陰茎癌、精巣腫瘍、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、等の上皮細胞ガン;脳腫瘍(例えば、松果体星細胞腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、びまん性星細胞腫、退形成性星細胞腫等)、神経鞘腫、転移性髄芽腫、骨腫瘍(例えば、骨肉腫、ユーイング腫瘍、子宮肉腫、軟部組織肉腫等)、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫等の非上皮細胞ガン;例えば、ウィルムス腫瘍、小児腎腫瘍、胚細胞性腫瘍、ランゲルハンス細胞組織球症等の小児固形ガンが挙げられ、これらに限定されない。
<プラスミド>
本実施形態の血中循環腫瘍細胞回収用試薬はプラスミドを備える。従来のウイルス又はウイルスベクターを用いた試薬では、血中循環腫瘍細胞の生存率が低かったのに対し、本実施形態の試薬はプラスミドを用いることにより、生きた状態の血中循環腫瘍細胞を効率よく回収することができる。
本実施形態におけるプラスミドとしては、哺乳動物発現用であれば限定されず、SV40プロモーター、CMVプロモーター等を有するもの(pcDNA3、pGL3等)が挙げられる。
[融合タンパク質]
本実施形態におけるプラスミドは、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子を含むコーディング領域を有する。
本実施形態におけるプラスミドを発現させて得られる前記融合タンパク質において、膜タンパク質と標識タンパク質とは、直接又はリンカーを介すことで、物理的又は化学的に結合されていてよい。具体的には配位結合、共有結合、水素結合、疎水性相互作用、物理吸着であってよく、何れも公知の結合、リンカー及び結合方法であればよい。また、標識タンパク質の結合位置は、標識タンパク質が細胞外に提示される位置であればどこでもよく、例えば、膜タンパク質のN末端又はC末端のいずれでもよい。中でも、後述の通り、膜タンパク質はN末端側に膜移行シグナルを有することが好ましいため、標識タンパク質の結合位置は膜タンパク質のC末端であることが好ましい。
(膜タンパク質)
一般的に、「膜タンパク質」とは、主に細胞膜上に存在し、細胞の内外の物質輸送・排出に重要な役割を果たし、薬剤応答、エネルギー変換、免疫反応など生理的な機能に大きく影響しているタンパク質を意味する。膜タンパク質は、膜表在性タンパク質と膜内在性タンパク質とに大別される。膜表在性タンパク質は、疎水性相互作用、静電相互作用など共有結合以外の力によって脂質二重層または内在性膜タンパク質と一時的に結合しているタンパク質であり、膜内在性タンパク質は、常に膜に付着しているタンパク質である。
本実施形態における膜タンパク質は、膜内在性タンパク質であり、中でも、安定的に細胞膜に存在できる観点から、膜貫通型タンパク質であることが好ましい。膜貫通型タンパク質は、20〜25残基の疎水性アミノ酸からなるα−へリックスドメインを有する。
また、本実施形態における膜タンパク質をコードするアミノ酸配列は、N末端側に膜移行シグナル配列を有することが好ましい。さらに、本実施形態における融合タンパク質において、N末端側に後述の標識タンパク質を含む場合、前記融合タンパク質をコードするアミノ酸配列は、標識タンパク質をコードするアミノ酸配列よりもN末端側に膜移行シグナル配列を有することが好ましい。膜移行シグナル配列を有することにより、膜タンパク質の発現後、細胞質から血中循環腫瘍細胞の細胞膜に移行し、細胞膜に存在することができる。
膜移行シグナル配列としては、公知の配列を用いればよく、例えば、脂肪族アシル化シグナル配列、プレニル化シグナル配列等を挙げることができる。プレニル化シグナル配列は、通常は、ポリペプチドのC末端において機能し得るので、膜移行シグナル配列としては、脂肪族アシル化シグナル配列がより好ましい。脂肪族アシル化シグナル配列としては、パルミトイル化シグナル配列、ミリストイル化シグナル配列等を挙げることができる。プレニル化シグナル配列としては、ファルネシル化シグナル配列、ゲラニルゲラニル化シグナル配列等を挙げることができる。
パルミトイル化シグナル配列としてより具体的には、例えば、Growth−associated protin−43(GAP43)のN末端パルミトイル化シグナル配列(MLCCMRRTKQVEKNDEDQKI:配列番号1)(参考文献:Moriyoshi, K., et al., Neuron, 16, p255-260, 1996)等を挙げることができ、これに限定されない。GAP−43のN末端パルミトイル化シグナル配列は、N末端側の10アミノ酸(MLCCMRRTKQ:配列番号2)があれば機能することが知られている(参考文献:M. X. Zuber, S. M. Strittmatter, and M. C. Fishman, “A membrane-targeting signal in the amino terminus of the neuronal protein GAP-43”, Nature, 341, p345-348, 1989.)。また、としては、ミリストイル化シグナル配列としてより具体的には、例えば、c−SrcのN末端ミリストイル化配列(MGSSKSKPKDPSQR:配列番号3)(参考文献:Y. Miyamoto, J. Yamauchi, N. Mizuno, and H. Itoh, “The adaptor protein Nck1 mediates endothelin A receptor-regulated cell migration through the Cdc42-dependent c-Jun N-terminal kinase pathway”, J. Biol. Chem., 279, p34336-34342, 2004. 及びW. Lu, S. Katz, R. Gupta, and B. J. Mayer, “Activation of Pak by membrane localization mediated by an SH3 domain from the adaptor protein Nck”, Curr. Biol., 7, p85-94, 1997.)
膜移行シグナル配列としては、上述の公知の膜移行シグナル配列の部分配列であってもよく、好ましくは6アミノ酸以上、より好ましくは8アミノ酸以上、さらに好ましくは10アミノ酸以上の長さを有し、且つ、膜移行シグナル機能を有する、部分配列であればよい。
また、膜移行シグナル配列としては、上述の公知の膜移行シグナル配列に少なくとも70%、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上の相同性を有し、且つ、膜移行シグナル機能を有するアミノ酸配列も含まれる。
本明細書において、「相同性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つのアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメント(好ましくは、前記アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方若しくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである。)における、オーバーラップする全アミノ酸残基に対する同一アミノ酸及び類似アミノ酸残基の割合(%)を意味する。
また、本明細書において、「類似アミノ酸」とは物理化学的性質において類似したアミノ酸を意味する。類似アミノ酸残基としては、例えば、芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、Val)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基性アミノ酸(Lys、Arg、His)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、水酸基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、側鎖の小さいアミノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)等の同じグループに分類されるアミノ酸が挙げられる。このような類似アミノ酸による置換はポリペプチドの表現型に変化をもたらさない(すなわち、保存的アミノ酸置換である)ことが予測される。保存的アミノ酸置換の具体例は、当該技術分野で周知である(参考文献:Bowie,et al., Science, 247, p1306-1310, 1990.)。
アミノ酸配列の相同性を決定するためのアルゴリズムとしては、例えば、「Karlin,et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, p5873-5877,1993.」に記載のアルゴリズム(前記アルゴリズムはNBLAST及びXBLASTプログラム(version 2.0)に組み込まれている(Altschul,et al., Nucleic Acids Res., 25, p3389-3402, 1997.)。)、「Needleman, et al., J. Mol. Biol., 48, p444-453, 1970.」に記載のアルゴリズム(前記アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み込まれている。)、「Myers and Miller, CABIOS, 4, p11-17, 1988.」に記載のアルゴリズム(前記アルゴリズムはCGC配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれている。)、「Pearson,et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, p2444-2448, 1988.」に記載のアルゴリズム(前記アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のFASTAプログラムに組み込まれている。)等が挙げられ、それらに限定されない。アミノ酸配列の相同性は、上記プログラムにより、そのデフォルトパラメータを用いて適宜算出され得る。例えば、アミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST−2(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(マトリックス=BLOSUM62;ギャップオープン=11;ギャップエクステンション=1;x_ドロップオフ=50;期待値=10;フィルタリング=ON)にて計算することができる。
また、本実施形態における膜タンパク質は、通常、血中循環腫瘍細胞の細胞膜に存在しない膜タンパク質であってもよい。
本実施形態における膜タンパク質としては、例えば、トランスポーター、イオンチャネル、受容体、酵素、細胞接着因子等が挙げられる。より具体的には、例えば、ヒトケモカイン受容体(例えば、CCR3、CCR4、CCR5等)、リゾリン脂質受容体としてのEdgファミリー、生体内アミン(例えば、ノルアドレナリン、ドパミン、セロトニン、ヒスタミン等)の受容体、プロスタグランジン類の受容体、ペプチドホルモンの受容体、ムスカリン受容体、グルタミン酸受容体、コラーゲン受容体CD36、スカベンジャー受容体クラスB(SR―B)、ホスファチジン酸ホスファターゼ、β1インテグリン、バクテリオロドプシン、グリコホリンA、ポリン等が挙げられ、これらに限定されない。中でも、本実施形態における膜タンパク質としては、β1インテグリンであることが好ましい。
(標識タンパク)
本明細書において、「標識タンパク質」とは、血中循環腫瘍細胞を標識するためのタンパク質を意味する。本実施形態における標識タンパク質は、前記標識物質に対する特異的結合物質を用いることで、血中循環腫瘍細胞を生きたまま、高収率で回収することができる。本実施形態における標識タンパク質としては、例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、プロテインA、β−ガラクトシダーゼ、マルトース−バインディングプロテイン(MBP)、FLAGタグタンパク質、T7タグ(登録商標)タンパク質等が挙げられ、これらに限定されない。
本実施形態における標識タンパク質に対する特異的結合物質としては、上述の標識タンパク質に対する抗体、抗体断片、アプタマー、リガンド等が挙げられる。
抗体は、例えば、マウス等のげっ歯類の動物に標識ペプチドを抗原として免疫することによって作製することができる。また、例えば、ファージライブラリーのスクリーニングにより作製することができる。抗体としては、例えば、標識タンパク質がプロテインAである場合、抗プロテインA抗体、例えば、標識タンパク質がFLAGタグ蛋白質である場合、抗FLAG抗体、例えば、標識タンパク質がT7タグタンパク質である場合、抗T7抗体等が挙げられる。
また、抗体断片としては、Fv、Fab、scFv等が挙げられる。
アプタマーとは、標識物質に対する特異的結合能を有する物質である。アプタマーとしては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。標識ペプチドに特異的結合能を有する核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponential enrichment(SELEX)法等により選別することができる。また、標識ペプチドに特異的結合能を有するペプチドアプタマーは、例えば酵母を用いたTwo−hybrid法等により選別することができる。
リガンドとは、特定の受容体に特異的に結合する物質である。リガンドとしては、例えば、標識タンパク質がGSTである場合、グルタチオン、例えば、標識タンパク質がMBPである場合、マルトース、例えば、標識タンパク質がSBPである場合、ストレプトアビジン等が挙げられる。
詳細については後述するが、本実施形態における標識タンパク質と前記特異的結合物質との結合を利用することで、血中循環腫瘍細胞を高収率で回収することができる。
[ヒトテロメラーゼプロモーター]
本実施形態におけるプラスミドは、前記融合タンパク質をコードする遺伝子を含むコーディング領域に作動可能に連結されたヒトテロメラーゼ逆転写酵素プロモーター(hTERTプロモーター)を有する。
本明細書において、「作動可能に連結」とは、遺伝子発現制御配列(例えば、プロモーター又は一連の転写因子結合部位)と発現させたい遺伝子(本実施形態においては、前記融合タンパク質をコードする遺伝子)との間の機能的連結を意味する。ここで、「発現制御配列」とは、その発現させたい遺伝子(本実施形態においては、前記融合タンパク質をコードする遺伝子)の転写を指向するものを意味する。
一般的に、テロメアを再伸長させる酵素であるテロメラーゼは正常細胞では発現していないが、ガン細胞では発現している。よって、ガン細胞においては、テロメラーゼの発現を制御するためのプロモーターがONの状態となっているため、hTERTプロモーターを有するプラスミドを用いることで、プラスミドが導入されたガン細胞においてのみ、前記融合タンパク質を発現させることができる。
hTERTプロモーターは全長3347bpであるが(参考文献:Takakura, M., et al., “Sequences Essential for Transcriptional Activation in Promoter and Identification of Proximal Core Promoter Cloning of Human Telomerase Catalytic Subunit (hTERT) Gene Immortalized and Cancer Cells”, Cancer Res., 59, p551-557, 1999.)、本発明者は、hTERTプロモーターとして、hTERTの遺伝子配列のうち転写開始点よりも100bp以内の下流の配列を含むことが転写活性能の向上の観点から好ましいことを見出した。
即ち、本実施形態において、hTERTプロモーターは、−3400から−300の範囲のいずれかを起点とし、0から+100の範囲のいずれかを終点とするものが好ましい。係るプロモーターとして、hTERTの遺伝子配列のうち開始点を0として、−378〜+77を含む配列番号4で表される断片、−1375〜+77を含む配列番号5で表される断片、−3338〜+77を含む配列番号6で表される断片が挙げられる。
更に、hTERTプロモーターは、−1400から−1200の範囲のいずれかを起点とし、0から+100の範囲のいずれかを終点とするものが好ましく、配列番号5で表される断片がより好ましい。
上記範囲をhTERTプロモーターとして用いることにより、効率的にプラスミドを細胞内導入することができ、高生存率を保ちながら、効率よく前記融合タンパク質を発現させ、細胞膜に移行させることができる。
また、本実施形態におけるhTERTプロモーターは、少なくとも455塩基の配列番号4で表される塩基配列からなる核酸を含むことが好ましく、1452塩基の配列番号5で表される塩基配列からなる核酸を含むことがさらに好ましい。本実施形態におけるhTERTプロモーターは、前記塩基配列を含むことにより、効率的にプラスミドを細胞に導入することができ、高生存率を保ちながら、効率よく前記融合タンパク質を発現させ、細胞膜に移行させることができる。
[プラスミドのその他構成]
本実施形態におけるプラスミドは、さらに、レポーター遺伝子を含んでいてもよい。
一般的に、レポーター遺伝子とは、細胞内での目的遺伝子(本実施形態では、前記融合タンパク質をコードする遺伝子)の発現を可視化するための外来遺伝子である。レポーター遺伝子としては、検出マーカーとして機能し得るレポータータンパク質をコードしているものであれば、特に制限されず、具体的には、例えば、緑色蛍光蛋白質(GFP)、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ等のタンパク質をコードしている遺伝子等が挙げられる。これらのレポーター遺伝子の塩基配列も公知である。例示した前記レポーター遺伝子の中でも、GFPをコードしている遺伝子は、蛍光の有無という簡便な手法で未分化細胞の同定、検出が可能になるので、本実施形態のプラスミドにおいて好適である。また、GFPが発現している細胞は、生きたまま回収でき、生物学的応用や医療応用が可能である点からも、本実施形態のプラスミドにおいて使用されるレポーター遺伝子としてGFPをコードしている遺伝子は好ましい。
本実施形態におけるプラスミドは、さらに、マルチクローニングサイト、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、複製起点等を含んでいてもよい。
<試薬のその他構成>
本実施形態における血中循環腫瘍細胞回収用試薬は、さらに、遺伝子導入薬剤等を備えていてもよい。
一般的に、「遺伝子導入薬剤」とは、核酸(通常遺伝子をコードするが、それに限定されない)の導入方法において、導入効率を促進するために用いられる試薬を意味する。遺伝子導入試薬としては、例えば、カチオン性高分子、カチオン性脂質、ポリアミン系試薬、ポリイミン系試薬、リン酸カルシウム等が挙げられ、これらに限定されない。トランスフェクションの際に利用される遺伝子導入薬剤の具体例としては、市販されている薬剤が挙げられ、例えば、Effectene Transfection Reagent(cat.no.301425,Qiagen,CA),TransFast(登録商標) Transfection Reagent(E2431,Promega,WI),Tfx(登録商標)−20 Reagent(E2391,Promega,WI),SuperFect Transfection Reagent(301305,Qiagen,CA),PolyFect Transfection Reagent(301105,Qiagen,CA),LipofectAMINE 2000 Reagent(11668−019,Invitrogen corporation,CA),JetPEI(×4)conc.(101−30,Polyplus−transfection,France)およびExGen 500(R0511,Fermentas Inc.,MD)等が挙げられ、これらに限定されない。
<<被検者の血液試料中の血中循環腫瘍細胞を回収するための方法>>
一実施形態において、本発明は、被検者の血液試料中の血中循環腫瘍細胞を回収するための方法であって、前記血中循環腫瘍細胞に上述の血中循環腫瘍細胞回収用試薬を導入する導入工程と、前記導入工程後の前記血中循環腫瘍細胞を培養し、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質を前記血中循環腫瘍細胞表面に発現させる発現工程と、前記発現工程後の前記血中循環腫瘍細胞に、前記標識タンパク質に特異的に結合する物質を接触させ、前記血中循環腫瘍細胞を回収する回収工程と、を備える回収方法を提供する。
本実施形態の回収方法によれば、被検者の血液試料から血中循環腫瘍細胞を高生存率且つ高収率で簡便に回収することができる。
本実施形態の回収方法の各工程について、以下に詳細を説明する。
[導入工程]
まず、被検者から採取された血液試料を用いて、前記血液試料と上述の血中循環腫瘍細胞回収用試薬とを混合し、被検者から採取された血液試料に含まれる血中循環腫瘍細胞に上述の血中循環腫瘍細胞回収用試薬を導入する。
本明細書において、「被検者」としては、すでに固形ガンを発症している患者に限らず、固形ガンを有する疑いがある者、又は固形ガンを発症する危険性がある者(例えば、以前、固形ガンを発症し、完治又は寛解したと診断された者等)も含む。また、対象となる固形ガンとしては、上述の<<血中循環腫瘍細胞回収用試薬>>において、例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、本明細書において、「血液試料」としては、例えば、血液、血清、血漿等が挙げられる。
試薬の血中循環腫瘍細胞への導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、ヒートショック法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、パーティクル・ガン法、スフェロプラスト法(参考資料:Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,1929(1978))、酢酸リチウム法(参考資料:J.Bacteriol.,153,163(1983))、「Proc.Natl.Acad.Sci.USA,75,1929(1978)」に記載の方法等を挙げることができる。中でも、本実施形態における導入方法としては、エレクトロポレーション法を用いることが好ましい。エレクトロポレーション法を用いることにより、細胞の生存率を高く保ちながら、試薬を効率よく細胞に導入することができる。
エレクトロポレーション法を用いた導入方法において、具体的な条件としては、例えば、プラスミドDNA10μg含む前記血中循環腫瘍細胞回収試薬を用いて、細胞1.0×10個に対し、Poring pulse(Pp)の電圧が、好ましくは160V以上250V以下、より好ましくは165V以上2000V以下、さらに好ましくは170V以上180V以下、特に好ましくは175Vであり、Ppのパルス幅が、好ましくは1.0ms以上4.0ms以下、より好ましくは1.5ms以上3.0ms以下、特に好ましくは2.5msである。上記条件であることにより、細胞の生存率を高く保ちながら、試薬を効率よく細胞に導入することができる。
試薬の導入効率は、単位面積(例えば、1mmなど)あたりの導入外来物質(導入遺伝子)(例えば、レポーター遺伝子の産物、蛍光タンパク質GFPなど)の導入(発現)細胞数、又は総信号(蛍光タンパク質の場合は、蛍光)量を測定することによって算定することができる。
[発現工程]
次いで、導入工程後の血中循環腫瘍細胞を含む細胞を培養し、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質を前記血中循環腫瘍細胞表面に発現させる。
培養条件としては、血中循環腫瘍細胞を含む細胞の培養に適した方法であれば、特に限定されず、例えば、細胞を培地に播種する密度は、1×10〜1×10cells/mLが好ましく、1×10〜1×10cells/mLがより好ましい。培養温度は、25℃以上40℃以下が好ましく、30℃以上39℃以下がより好ましく、35℃以上39℃以下がさらに好ましい。培養時間は細胞の生育状態によって適宜設定することができ、例えば1時間以上100時間以下であればよく、例えば3時間以上72時間以下であればよく、例えば10時間以上60時間以下であればよい。
また、使用する培養培地としては、細胞の生存増殖に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン)等を含む基本培地であればよく、細胞の種類により適宜選択することができる。例えば、Minimum Essential Medium(MEM)、D−MEM、E−MEM、MEMα、RPMI−1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F−12(DMEM/F−12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)、Ham’s F−12等が挙げられ、これらに限定されない。
[回収工程]
次いで、前記発現工程後の細胞を含む培地に、標識タンパク質に対する特異的結合物質を添加し、細胞中の血中循環腫瘍細胞に、前記特異的結合物質を接触させ、特異的結合物質と結合した状態の血中循環腫瘍細胞を回収する。
使用する特異的結合物質としては、上述の(標識タンパク)で例示されたものと同様のもの等が挙げられる。また、特異的結合物質との接触時間は、用いる特異的結合物質の種類に応じて適宜設定することができ、例えば30分以上2時間以下であればよい。
また、特異的結合物質と結合した血中循環腫瘍細胞の回収方法としては、細胞を生きた状態で回収できる方法であればよく、例えば、蛍光活性化細胞選別法(FACS法:Fluorescence−activated cell sorting)又は核磁気細胞分離法(MACS法:Magnetic−activated cell sorting)を用いた回収方法等が挙げられる。
FACS法を用いた場合における具体的な回収方法としては、例えば、標識タンパク質に対する特異的結合物質に予め蛍光物質を結合させておき、血中循環腫瘍細胞に標識タンパク質に対する特異的結合物質を接触させ、血中循環腫瘍細胞と標識タンパク質に対する特異的結合物質との複合体を形成させる。次いで、フローサイトメーターに血中循環腫瘍細胞と標識タンパク質に対する特異的結合物質との複合体を含む試料を流して、前記蛍光物質の蛍光が観察される細胞を単離し、回収する。
FACS法を用いた回収方法において、使用可能な蛍光物質としては、特別な限定はなく、例えば、FAM(カルボキシフルオレセイン)、JOE(6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ2’ ,7’−ジメトキシフルオレセイン)、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)、TET(テトラクロロフルオレセイン)、HEX(5'−ヘキサクロロ−フルオレセイン−CEホスホロアミダイト)、Tetramethylrhodamine(TMR)、Cy3、Cy5、Alexa fluor488、Alexa fluor568、Alexa fluor647等が挙げられる。
MACS法を用いた場合における具体的な回収方法としては、例えば、標識タンパク質に対する特異的結合物質に予め標識物質を結合させておき、血中循環腫瘍細胞に標識タンパク質に対する特異的結合物質を接触させ、血中循環腫瘍細胞と標識タンパク質に対する特異的結合物質との第1の複合体を形成させる。次いで、前記標識物質に対する特異的結合物質を有する磁気粒子と前記第1の複合体とを接触させ、血中循環腫瘍細胞と標識タンパク質に対する特異的結合物質と磁気粒子との第2の複合体を形成させる。次いで、公知の磁気分離技術を用いて、前記第2の複合体を単離し、回収する。
MACS法を用いた回収方法において、使用可能な標識物質としては、特別な限定はなく、例えば、ビオチン、抗体、抗原、酵素等が挙げられる。また、標識物質に対する特異的結合物質としては、標識物質の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、標識物質に対する抗体、抗体断片、アプタマー、リガンド等が挙げられる。
また、上記のMACS法を用いて、血中循環腫瘍細胞と磁気粒子とを前記標識物質に対する特異的結合物質を介して間接的に複合体を形成させ、回収する方法を例示したが、血中循環腫瘍細胞と磁気粒子とを直接的に複合体を形成させ、回収する方法を用いてもよい。
直接的に複合体を形成させ、回収する方法として、具体的には、例えば、まず、磁気粒子に予め標識タンパク質に対する特異的結合物質を結合させておき、血中循環腫瘍細胞に標識タンパク質に対する特異的結合物質を有する磁気粒子を接触させ、血中循環腫瘍細胞と磁気粒子との複合体を形成させる。次いで、公知の磁気分離技術を用いて、前記複合体を単離し、回収する。
また、本実施形態の回収方法において、導入工程の前に、被検者の血液試料中の顆粒球を分離し、除去する除去工程を備えていてもよい。
除去工程について、以下に詳細を説明する。
[除去工程]
まず、被検者から血液試料を採取し、市販の採血管に入れる。次いで、採血管を遠心分離し、血液試料を分画することにより、顆粒球を分離し、除去することで、末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cells;PBMCs)を得られる。採血管としては、顆粒球を取り除くことができるものであればよく、例えば、BD バキュテイナ(登録商標) CPT単核球分離用採血管(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)等の市販の単核球分離用採血管が挙げられる。市販の単核球分離用採血管には、抗凝固剤(例えば、ヘパリンナトリウム、クエン酸ナトリウム等)、ゲル、比重液等が充填されており、採血後、そのまま遠心分離することでゲルの上層にPBMCsが得られる。さらに、ゲルには適度な固さがあり、赤血球、顆粒球がゲル上に移動する虞はほとんどない。よって、顆粒球による偽陽性細胞を減少させることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]プラスミドの作製
(1)コンストラクトの設計
hTERTプロモーターの塩基配列のうち、配列番号4〜6で表される塩基配列からなるDNAを、MluI(5’末端)及びBglII(3’末端)の制限酵素配列を付けたPCRプライマーを用いて増幅させた。使用したプライマーの塩基配列を以下の表1に示す。
次いで、得られた3種類のPCR産物をそれぞれ、pGL3−Basic Vector(Promega社製)に組み込み、以下の3種類のコンストラクトを得た。
pGL3−hTERTp400(hTERTの遺伝子配列のうち開始点を0として、−378〜+77を含む)
pGL3−hTERTp1400(hTERTの遺伝子配列のうち開始点を0として、−1375〜+77を含む)
pGL3−hTERTp3300(hTERTの遺伝子配列のうち開始点を0として、−3338〜+77を含む)
次いで、pHalotag−ECS/PGK Vector(Promega社製)のHalotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質をコードする遺伝子を、HindIII(5’末端)及びXbaI(3’末端)の制限酵素配列を付けたPCRプライマーで増幅させた。使用したプライマーの塩基配列を以下の表2に示す。
次いで、上記で得られた3種類のコンストラクトをそれぞれHindIII/XbaIで制限酵素処理し、ルシフェラーゼ遺伝子に替えて、Halotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質をコードする遺伝子を挿入し、3種類のコンストラクト(以下、「pSTET−400」、「pSTET−1400」、「pSTET−3300」と称することがある。)を得た。図1は、pSTET−1400の構成を示す概略図である。
完成したコンストラクトから発現するヒトβ1インテグリンのN末端にはHalotagが結合した融合タンパク質となっている。
[参考例1]コントロールプラスミドDNAを用いたガン細胞株におけるエレクトロポレーションによるDNA導入効率の検討
(1)C33A細胞へのDNAのトランスフェクション
コントロールプラスミドDNAとして、pCMV−mCherry(Promega社製)10μgを、GFPが恒常的に発現するように遺伝子組み換えされた子宮頸がん細胞株(GFP発光C33A細胞)1.0×10個に添加し、エレクトロポレーション用キュベットに入れた。続いて、NEPA21(ネッパージーン株式会社製)を用いて、下記表3に示す各条件にてDNAをトランスフェクションした。また、コントロールとして、エレクトロポレーションを行わずにコントロールプラスミドDNAと混合しただけのものも準備した。次いで、回転させながら、各細胞を37℃で40時間インキュベーションした。
(2)細胞の生存率及びDNA導入効率の算出
次いで、インキュベーション後の細胞を1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。次いで、FACSバッファー(1%BSA及びPBS)を1mL添加し、懸濁後、1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。BD FACSAria Fusionセルソーター(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)を用いて、1細胞ずつGFP及びmCherryの蛍光を検出した。全細胞数に対するGFPの発光が検出された細胞数から細胞の生存率を算出し、全細胞数に対するmCherryの発光が検出された細胞数からDNA導入効率を算出した。結果を表3に示す。
表3から、Pp電圧が175Vであり、Ppハルス幅が2.5msであるエレクトロポレーションの条件6において、細胞の生存率及びDNA導入効率を高く保てることが確かめられた。
[試験例1]C33A細胞を用いたin vitroでのpSTET−400の導入実験
(1)C33A細胞含有血液試料の調製
健常者から採取した末梢血5mLに1.0×10個のC33A細胞を添加し、2,800rpmで15分遠心し、上清を除去した。次いで、PBS15mL添加し、5回転倒混和し、1,200rpmで15分遠心し、上清を除去した。次いで、10×BD Pharm Lyse(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)滅菌水を用いて1×BD Pharm Lyseに希釈した。次いで、遠心後のペレットをほぐし、1×BD Pharm Lyseを添加し、室温で遮光して5分間静置(溶血処理)した。次いで、1,200rpmで15分遠心し、上清を除去した。
(2)C33A細胞へのDNAのトランスフェクション
次いで、10μg、20μg、40μgの実施例1で作製したpSTET−400を含むOpti−menメディウム100μLを、(1)で調製したC33A細胞含有血液試料にそれぞれ添加し、エレクトロポレーション用キュベットに入れた。次いで、RPMI1640を900μL添加し、NEPA21(ネッパージーン株式会社製)を用いて、下記表4に示す条件にてDNAをトランスフェクションした。次いで、回転させながら、各細胞を37℃で40時間インキュベーションした。
(3)TMRリガンドの結合
次いで、インキュベートした後のC33A細胞含有血液試料1mLにTMRリガンド(Promega社製)1μL添加し、37℃で15分間インキュベートした。次いで、1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。次いで、FACSバッファーを1mL添加し、懸濁後、1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。同じ操作をもう1回繰り返し、洗浄した。
なお、TMRリガンドは、C33A細胞のうち、pSTET−400が導入され、Halotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が細胞膜に発現している細胞において、Halotagと共有結合を形成するものであり、Halotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が発現している細胞を検出するためのものである。
(4)CD45抗体による染色
次いで、FACSバッファーを95μL添加し、さらにAlexa488結合マウス抗ヒトCD45抗体(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)5μL添加し、37℃で15分間インキュベートした。次いで、1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。次いで、FACSバッファーを1mL添加し、懸濁後、1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。
なお、CD45は白血球の細胞膜に発現している抗原タンパク質であり、血液試料に含まれる白血球を検出するためのものである。
(5)7−AAD(7−Amino−Actinomycin D)核染色液での染色
次いで、FACSバッファーを495μL添加し、さらに7−AAD(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)5μL添加し、室温、暗所で10分間静置した。
なお、7−AAD染色は、死細胞を染色するためのものであり、7−AAD陰性であるものが生細胞である。
(6)蛍光顕微鏡下での観察
CD45抗体による染色後、10μg、20μg、40μgの実施例1で作製したpSTET−400をトランスフェクションした細胞のうち一部について、蛍光顕微鏡を用いて観察した。図2は、10μgの実施例1で作製したpSTET−400をトランスフェクションした細胞でのTMRの蛍光検出画像、Alexa488の蛍光検出画像、TMRの蛍光とAlexa488の蛍光とをMergedした画像、及び明視下で観察した画像を示すものである。
図2から、TMRが検出され、Alexa488が検出されない細胞が存在したことから、Halotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が細胞膜に発現したC33A細胞が存在することが確かめられた。
また、図3は、10μg、20μg、40μgの実施例1で作製したpSTET−400をトランスフェクションした細胞でのTMRの蛍光検出画像(図3中、上の画像)及び明視下で観察した画像(図3中、下の画像)を示すものである。
図3から、10μg及び20μgのpSTET−400をトランスフェクションしたものでは、細胞膜の一部にHalotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が発現しており、蛍光強度が小さいのに対し、40μgのpSTET−400をトランスフェクションしたものでは、細胞膜全体にHalotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が発現しており蛍光強度が大きかった。
(7)FACS法を用いた解析
次いで、(5)においてインキュベーション後の細胞を1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。次いで、FACSバッファー(1%BSA及びPBS)を1mL添加し、懸濁後、1,500rpmで5分遠心し、上清を除去した。BD FACSAria Fusionセルソーター(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)を用いて、1細胞ずつのTMR、Alexa488及び7−AADの蛍光を検出した。全細胞数に対する7−AADの発光が検出されなかった細胞数から細胞の生存率を算出し、全細胞数に対するTMRの発光が検出され、Alexa488の発光が検出されなかった細胞数からHalotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が細胞膜において発現しているC33A細胞の割合(以下、「STET陽性率」と称することがある。)を算出した。結果を図4(A)及び図4(B)に示す。図4(B)における「偽陽性細胞数」とは、STET陽性であるが、C33A細胞ではなく、白血球細胞であるものを意味する。)である細胞を示す。
図4(A)から、C33A細胞のうち、80〜90%においてSTET陽性であることが確認された。よって、高効率にHalotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が発現していることが確かめられた。
また、図4(B)から、pSTET−400を40μg導入したものでは、14個の偽陽性細胞が存在することが確認された。
[試験例2]C33A細胞を用いたin vitroでの各プラスミドの導入実験
(1)バキュテイナ(登録商標) CPT単核球分離用採血管によるPBMC分画の回収
健常者から採取した末梢血8mLをバキュテイナ(登録商標) CPT単核球分離用採血管(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)に添加し、室温で静かに転倒混和した。次いで、2,800rpmで15分遠心した。ゲルバリア層の上にある細胞層を壊さないようにして、血漿層を約半分吸引した。次いで、ピペッティング後、細胞層を15mLチューブに約3mL移した。
(2)C33A細胞含有血液試料の調製
次いで、PBSを全量が15mLとなるように添加し、さらに1.0×10個のC33A細胞を添加し、5回転倒混和し、1,200rpmで15分遠心し、上清を除去した。次いで、10×BD Pharm Lyse(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)滅菌水を用いて1×BD Pharm Lyseに希釈した。次いで、遠心後のペレットをほぐし、1×BD Pharm Lyseを添加し、室温で遮光して5分間静置(溶血処理)した。次いで、1,200rpmで15分遠心し、上清を除去した。
(3)C33A細胞へのDNAのトランスフェクション
次いで、10μg、20μg及び40μgのpSTET−400をトランスフェクションする代わりに、pSTET−400、pSTET−1400、pSTET−3300をそれぞれ50μgずつトランスフェクションした以外は試験例1の(2)と同様の方法を用いて、DNAをトランスフェクションした。
(4)Alexa488リガンドの結合
TMRリガンドの代わりに、Alexa488リガンドを用いた以外は試験例1の(3)と同様の方法を用いて、Halotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が発現している細胞にAlexa488リガンドを結合させた。
(5)CD45抗体による染色
次いで、Alexa488結合マウス抗ヒトCD45抗体(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)の代わりにBV421結合マウス抗ヒトCD45抗体HI30(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)を用いた以外は試験例1の(4)と同様の方法を用いて、CD45抗体による染色を行った。
(6)7−AADでの染色
次いで、試験例1の(5)と同様の方法を用いて、7−AADによる染色を行った。
(7)FACS法を用いた解析
次いで、試験例1の(7)と同様の方法を用いて、1細胞ずつのTMR、Alexa488及び7−AADの蛍光を検出した。全細胞数に対する7−AADの発光が検出されなかった細胞数から細胞の生存率を算出し、全細胞数に対するTMRの発光が検出され、Alexa488の発光が検出されなかった細胞数からHalotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が細胞膜において発現しているC33A細胞の割合(以下、「STET陽性率」と称することがある。)を算出した。結果を以下の表5に示す。
表5から、pSTET−1400を導入したものにおいて、細胞の生存率が高く、STET陽性率が高いことが明らかとなった。
また、いずれのプラスミドを導入したものにおいても、STET陽性であった細胞のうち、偽陽性細胞は見られなかった。
[試験例3]子宮体ガン患者の血液試料を用いた各プラスミドの導入実験
(1)バキュテイナ(登録商標) CPT単核球分離用採血管によるPBMC分画の回収
子宮体ガン患者から採取した末梢血8mLをバキュテイナ(登録商標) CPT単核球分離用採血管(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)に添加し、室温で静かに転倒混和した。次いで、2,800rpmで15分遠心した。ゲルバリア層の上にある細胞層を壊さないようにして、血漿層を約半分吸引した。次いで、ピペッティング後、細胞層を15mLチューブに約3mL移した。次いで、PBSを全量が15mLとなるように添加し、5回転倒混和し、1,200rpmで15分遠心し、上清を除去した。次いで、10×BD Pharm Lyse(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)滅菌水を用いて1×BD Pharm Lyseに希釈した。次いで、遠心後のペレットをほぐし、1×BD Pharm Lyseを添加し、室温で遮光して5分間静置(溶血処理)した。次いで、1,200rpmで15分遠心し、上清を除去した。
(2)C33A細胞へのDNAのトランスフェクション
次いで、10μg、20μg及び40μgのpSTET−400をトランスフェクションする代わりに、pSTET−1400を100μgトランスフェクションした以外は試験例1の(2)と同様の方法を用いて、DNAをトランスフェクションした。
(3)Alexa488リガンドの結合
次いで、TMRリガンドの代わりに、Alexa488リガンドを用いた以外は試験例1の(3)と同様の方法を用いて、Halotag−ヒトβ1インテグリン融合タンパク質が発現している細胞にAlexa488リガンドを結合させた。
(4)CD45抗体による染色
次いで、Alexa488結合マウス抗ヒトCD45抗体(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)の代わりにBV421結合マウス抗ヒトCD45抗体HI30(ベクトン・ディッキンソン株式会社製)を用いた以外は試験例1の(4)と同様の方法を用いて、CD45抗体による染色を行った。
(5)7−AADでの染色
次いで、試験例1の(5)と同様の方法を用いて、7−AADによる染色を行った。
(6)FACS法を用いた解析
次いで、試験例1の(7)と同様の方法を用いて、1細胞ずつのAlexa488、BV421及び7−AADの蛍光を検出した。結果を図5に示す。
図5から、STET陽性である細胞が16個検出された。またBV421陽性である偽陽性細胞は2416個認められた。
以上のことから、本発明の血中循環腫瘍細胞回収試薬を用いることで、固形ガン患者の血液から血中循環腫瘍細胞を高生存率且つ高収率で簡便に回収できることが確かめられた。
本発明によれば、被検者の血液試料から血中循環腫瘍細胞を高生存率且つ高収率で簡便に回収することができる。さらに、回収された血中循環腫瘍細胞を用いて、ガンに対する化学療法の治療効果の評価、抗ガン剤の感受性の確認、及び遺伝子発現解析を行うことができる。

Claims (7)

  1. 膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質をコードする遺伝子を含むコーディング領域と、
    前記コーディング領域に作動可能に連結されたヒトテロメラーゼ逆転写酵素プロモーター(hTERTプロモーター)と、
    を含むプラスミドを備えることを特徴とする血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
  2. 前記hTERTプロモーターは、−1400から−1200の範囲のいずれかを起点とし、0から+100の範囲のいずれかを終点とする請求項1に記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
  3. 前記膜タンパク質が、β1インテグリンである請求項1又は2に記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
  4. さらに、前記プラスミドがレポーター遺伝子を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬。
  5. 被検者の血液試料中の血中循環腫瘍細胞を回収するための方法であって、
    前記循環腫瘍細胞に請求項1〜4のいずれか一項に記載の血中循環腫瘍細胞回収用試薬を導入する導入工程と、
    前記導入工程後の前記血中循環腫瘍細胞を培養し、膜タンパク質と標識タンパク質との融合タンパク質を前記血中循環腫瘍細胞表面に発現させる発現工程と、
    前記発現工程後の前記血中循環腫瘍細胞に、前記標識タンパク質に特異的に結合する物質を接触させ、前記血中循環腫瘍細胞を回収する回収工程と、
    を備えることを特徴とする回収方法。
  6. さらに、前記導入工程の前に、
    被検者の血液試料中の顆粒球を分離し、除去する除去工程を備える請求項5に記載の回収方法。
  7. 前記導入工程において、エレクトロポレーション法を用いて、前記血中循環腫瘍細胞に前記血中循環腫瘍細胞回収用試薬を導入する請求項5又は6に記載の回収方法。
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