従来の方法では、記録領域の容量が一杯になると、連続記録された映像データが上書きされてしまう。連続記録された映像データに、ユーザが消去を欲しない映像データが含まれている場合、その映像データが、ユーザが気づかないまま消去されてしまうことが懸念される。
本発明の目的は、使い勝手の良いシステム等を提供することである。
(1)映像データを記録領域に記録していくサイクルを繰り返すシステムであって、
所定のサイクル終了条件が満たされると、現在進行中のサイクルを終了し、終了したサイクルで記録された映像データを古い順番に新しい映像データで上書きしていく新しいサイクルを開始し、現在進行中のサイクルで記録された映像データの容量、及び直前のサイクルで記録された映像データのうち上書きされていない映像データの容量の少なくとも一方に基づく、上書きしている位置についての情報(以下、上書き位置情報という)を出力手段に出力させるシステムとするとよい。
1つのサイクルの開始から終了までの間で、消去を欲しない映像データが記録されている位置に関する情報を記憶しているユーザは、出力手段に出力された上書き位置情報により、消去を欲しない映像データが新しい映像データで上書きされてしまいそうな状況に気づきやすい。例えば、消去を欲しない映像データが上書きされてしまう前に、上書きされてしまいそうな状況に気づくことが可能になる。これにより、ユーザにとって使い勝手の良いシステムが提供される。
映像データとして、カメラ等の撮像装置で撮像される映像データを採用するとよい。映像データは動画データであってもよい。例えば、映像データが動画データである場合、映像データは複数のフレームのデータで構成される。この映像データのフレームレートは、例えば、30fps、24fps等とするとよい。また、映像データとして、例えば一定時間間隔で時系列に取得される複数の静止画データを採用してもよい。
映像データの記録領域は、システムに着脱可能なリムーバブルメディア内に確保するとよい。リムーバブルメディア内の記憶領域の全域をこの映像データの記録領域として確保してもよいし、より望ましくはリムーバブルメディア内の記憶領域の一部をこの映像データの記録領域として確保するとよい。この場合、例えば、リムーバブルメディア内の記憶領域の他の領域は、他の用途に利用するとよい。
所定のサイクル終了条件として、例えば、サイクルの開始時点から所定時間経過したこととするとよく、より望ましくは、記録領域内において、映像データを記録可能な空き領域、または直前のサイクルで映像データを記録した領域内のうち映像データを上書き可能な領域が無くなったこととするとよい。例えば、空き領域または直前のサイクルで映像データを記録した領域内のうち映像データを上書き可能な領域の容量が、映像データの記録に必要な容量の下限値より少なくなったときに、サイクル終了条件が満たされたと判定するとよい。1つのサイクルで記録された映像データによって占められる記録領域内の容量を、記録領域の全域の容量に対応させるとよい。
1つのサイクルの開始時点及び終了時点における記録領域内の記録位置として、例えば、それぞれ記録領域内の先頭の物理アドレス及び後尾の物理アドレスで特定される位置を採用するとよい。この場合、例えば、時間の経過とともに、先頭の物理アドレスから後尾の物理アドレスに向かって映像データを記録していくとよい。または、記録領域を複数のセクタに区分して、セクタ番号で1つのセクタを特定してもよい。この場合には、例えば、1つのサイクルの開始時点及び終了時点における記録領域内の記録位置として、それぞれ記録領域内の先頭のセクタ番号及び後尾のセクタ番号で特定されるセクタを採用するとよい。
出力手段に出力させる情報は、例えば音声で出力するとよく、より望ましくは画像で出力するとよい。例えば、音声で出力する場合には、前記情報を示す数値を音声で出力してもよい。例えば、「今、全体の30%の位置に上書きしています。」という音声を出力するとよい。例えば、画像で出力する場合には、前記情報を数字で表示してもよく、より望ましくは図形で表示するとよい。数字で表示する場合には、例えば、現時点のサイクルで記録した映像データで占められている領域の容量と、記録領域の全域の容量との比を、分数やパーセントで表示するとよい。図形で表示する場合には、グラフで表示するとよく、より望ましくは円グラフや帯グラフで表示するとよい。例えば、円グラフで表示する場合には、記録領域の全域の容量を中心角360°の領域に対応させ、現時点のサイクルで記録した映像データで占められる領域の容量を扇形で示すとよい。例えば、帯グラフで表示する場合には、記録領域の全域の容量を帯グラフの全長に対応させ、現時点のサイクルで記録した映像データで占められる領域の容量を帯グラフの一端からの長さに対応させるとよい。
例えば、上書き位置情報を画像で表示する場合に、その情報を表示する画面と同じ画面に、取得した映像データに含まれる最新の映像を表示してもよい。例えば、画面に表示された映像に重ねて、画面の端に上書き位置情報を図形で表示するとよい。
(2)前記サイクル終了条件は、前記記録領域に、新たに記録すべき映像データを記録可能な空き容量または現在進行中のサイクルで上書き可能な容量が残っていないという条件を含むようにするとよい。
1つのサイクルで記録可能な記録領域の容量を最も大きくすることができる。その結果、古い映像データが上書きされてしまうまでの猶予時間が長くなる。
例えば、映像データは、ある記録単位毎に記録領域に記録してもよい。例えば、映像データを一旦バッファメモリに格納し、バッファメモリに格納された映像データを記録領域に転送してもよい。この場合、例えば、バッファメモリに一時的に記憶する映像データを、1つの記録単位に対応させるとよい。例えば、サイクル終了条件の判定において、記録領域に残っている空き容量または現在進行中のサイクルで上書き可能な容量と、この記録単位の容量とを比較するとよい。
(3)1つのサイクルで記録する映像データによって占められる前記記録領域中の容量は、前記記録領域の全域の容量に対応するものにするとよい。
1つのサイクルで記録領域の全域に対応する領域に映像データを記録することができる。これにより、1サイクルで記録する映像データの容量を大きくすることができる。
(4)前記出力手段は画像を表示する画面に対して出力を行い、前記上書き位置情報を前記画面に図形で表示させるシステムとするとよい。
ユーザは、表示された図形を見て、上書き位置情報を視覚的に認識することができる。これにより、消去を欲しない映像データが新しい映像データで上書きされてしまいそうな状況により気づきやすくなる。
(5)前記図形上に、サイクルの開始時点及び終了時点にそれぞれ対応する開始位置及び終了位置を定義し、
前記上書き位置情報は、前記図形上の前記開始位置と前記終了位置との間に表示される目印を含むシステムとするとよい。
ユーザは、図形の開始位置、終了位置、及び目印の相対的な位置関係を視認することにより、記録領域内で、最新の映像データが記録されている位置を視覚的に認識することができる。例えば、目印として、直線状の記号、三角形、矢印等の記号を用いてもよい。また、例えば、異なる色が付された領域の境界を目印として用いてもよい。
(6)前記図形上の第1の位置及び第2の位置が、それぞれ前記開始位置及び前記終了位置に対応し、前記開始位置から前記目印までの隔たりが、現在進行中のサイクルで記録された映像データによって占められている前記記録領域中の容量に対応するシステムとするとよい。
ユーザは、図形上において開始位置、終了位置、及び開始位置から目印までの隔たりから、記録領域の全体の中で最新の映像データを記録している位置を視覚的に認識することができる。記録領域への映像データの記録が行われていくに従って、目印を開始位置から終了位置に向かって移動させるとよい。
例えば、取得された映像データに含まれる最新の映像を、図形が表示される画面の上端領域及び下端領域の少なくとも一方を除く一部の領域(以下、映像表示領域という)に表示してもよい。例えば、画面に表示された映像に重ねて、上書き位置情報を示す図形を映像表示領域内に表示するとよい。例えば、図形として帯状の図形を縦に表示させるとよい。このとき、図形の上端を開始位置に対応させ、下端を終了位置に対応させるとよい。例えば、帯状の図形の上端及び下端が、映像表示領域からはみ出さないように表示するとよい。取得された映像データをリアルタイムで映像表示領域に表示させるとよい。この場合には、映像表示領域がカメラのファインダとして機能する。
(7)前記開始位置から前記目印までの部分と、前記目印から前記終了位置までの部分とに、異なる色を付して前記図形を表示させ、異なる色の部分の境界が前記目印となるシステムとするとよい。
ユーザは、同一の色が付された部分の大きさを直感的に把握することにより、表示された図形中における目印の位置を認識することができる。ユーザは、消去を欲しない映像データが記録されている位置に目印が迫ってくる状況を見て、消去を欲しない映像データが上書きされそうな状態を即座に認識することができる。
上書き位置情報を示す図形として、グラフを用いるとよい。ユーザは、表示されたグラフを見ることによって、数値的な情報を直感的に把握することができる。例えば、グラフとして、円グラフ、帯グラフ等を採用するとよい。例えば円グラフを採用する場合には、1つの半径を開始位置及び終了位置に対応させ、開始位置からある中心角だけ隔てられた位置の半径を目印に対応付けるとよい。例えば帯グラフを採用する場合には、一端を開始位置に対応させ、他端を終了位置に対応させ、開始位置からある長さだけ隔てられた位置に目印を付すとよい。
(8)前記図形の各部分の色は、新たなサイクルで上書きするまで不変であるシステムとするとよい。
ユーザは、上書きしないで残しておきたい映像データが、記録領域の全体の中でどの色の領域に記録されたかを記憶することができる。ユーザが記憶している色の領域が上書きされて小さくなっていくことにより、ユーザは、上書きしないで残しておきたい映像データが上書きされてしまう事態の発生を予見することができる。また、ユーザが記憶している色の領域が消失したことにより、ユーザは、残しておきたい映像データが上書きされてしまったことを認識することができる。
(9)前記記録領域は、初期化によって全域が空き領域にされ、
初期化後の最初のサイクルの進行中に記録された映像データの容量に基づく、記録している位置の情報(以下、記録位置情報という)を前記出力手段に出力し、
初期化後の最初のサイクルが進行しているときの前記記録位置情報と、2回目以降のサイクルが進行しているときの前記上書き位置情報とを異なる態様で前記出力手段に出力させるシステムとするとよい。
ユーザは、現在進行中のサイクルが初期化後の最初のサイクルか、2回目以降のサイクルかを容易に認識することができる。ユーザは、現在進行中のサイクルが最初のサイクルであるときには、古い映像データが上書きされてしまうことを心配する必要が無い。さらに、ユーザは、古い映像データが上書きされる可能性がある2回目以降のサイクルが開始されたことに気づきやすい。
例えば、記録位置情報及び上書き位置情報を図形で表示し、
初期化後の空き領域に対応する前記図形の部分に第1の色を付し、
最初のサイクルの進行中に、図形の開始位置から記録位置情報に基づく目印までの図形中の部分に前記第1の色とは異なる第2の色を付し、
2回目のサイクルの進行中に、図形の開始位置から上書き位置情報に基づく目印までの図形中の部分に、前記第1の色及び前記第2の色とは異なる第3の色を付してもよい。
2回目以降のサイクルの進行中には、図形の開始位置から上書き位置情報に基づく目印までの図形中の部分に付す色を、第1の色を含まない複数の色の候補から選択してもよい。選択する色は、サイクルの回数の増加に伴って、複数の色の候補を循環するようにするとよい。例えば、色の候補が第2の色と第3の色との2色である場合には、サイクルごとに第2の色と第3の色とを交互に選択する。
ユーザは、図形の色を視認することにより、現在進行中のサイクルが、上書きの心配をする必要がない最初のサイクルなのか、上書きの可能性のある2回目以降のサイクルなのかを容易に認識することができる。
第1の色、第2の色、及び第3の色は、色の三属性である色相、彩度、明度のいずれか1つの属性を異ならせて区別してもよく、より望ましくは色相を異ならせて区別するとよい。第1の色、第2の色、及び第3の色を色相で区別すると、ユーザは、色を、その色を表す言葉で記憶することができる。
(10)さらに、上書きを許可するか否かを示す上書きモードをユーザの操作によってオンオフすることができ、
前記上書きモードがオンのとき、前記出力手段に前記記録位置情報を示す前記図形を表示させるとともに、1つのサイクルが終了すると、新しいサイクルを開始し、
前記上書きモードがオフのとき、前記出力手段に前記記録位置情報を示す前記図形を表示させず、古い映像データを上書きしない態様の映像データの記録が終了すると、前記記録領域への映像データの記録を停止させるシステムとするとよい。
ユーザは、画面に表示された情報を見ることによって、現在、上書きモードがオンになっているのかオフになっているのかを容易に認識することができる。上書きモードがオンになっているときには、ユーザは、表示されている図形を見ることによって、消去を欲しない映像データが上書きされそうな状況に気づきやすくなる。
(11)前記上書きモードがオフのとき、現在進行中のサイクルで前記記録領域に映像データを記録可能な容量に基づいて記録可能な残り時間を算出し、算出された残り時間を示す情報を前記画面に表示させるシステムとするとよい。
ユーザは、上書きモードがオフのとき、記録可能な残り時間を容易に認識することができる。記録領域がリムーバブルメディア内に確保されている場合には、例えば、記録可能な残り時間は、ユーザにとってリムーバブルメディア交換の準備を行うか否かの有益な判断材料になる。また、上書きモードがオンのときには残り時間が表示されておらず、上書きモードがオフのときには残り時間が表示されているため、上書きモードがオンになっているかオフになっているかがわかりやすい。
(12)さらに、所定のイベントが発生したことを検知するイベント検知手段を有し、
前記イベント検知手段でイベントの発生を検知した時点の映像データを記録する前記記録領域内の位置に基づいて、イベント発生を通知するイベント発生マークを前記図形と対応付けて表示させるシステムとするとよい。
ユーザは、所定のイベントが発生した時点の映像データが新しい映像データで上書きされてしまいそうな状況に気づきやすい。例えば、所定のイベントが発生した時点の映像データが上書きされてしまう前に、上書きされてしまいそうな状況に気づくことが可能になる。これにより、ユーザは、所定のイベント発生時の残しておきたい映像データが上書きされてしまうことを回避するための操作を行うことができる。記録領域がリムーバブルメディア内に確保されている場合には、上書きを回避する操作として、例えば、ユーザがリムーバブルメディアをシステムから取り外すという操作が挙げられる。
例えば、イベントごとにイベント発生マークを異なる色にするとよい。このようにすることで、ユーザは、残しておきたいイベントの映像データが記録されている位置を容易に認識することができる。現在上書き中の位置を示す目印から、残しておきたいイベントの映像データが記録されている位置までの隔たりから、上書きの回避操作を行うまでの余裕時間を知ることができる。
(13)前記記録領域に記録する映像データは、車両において取得されるものであり、
前記システムへの電源供給の開始を契機とする時点から、電源供給の停止を契機とする時点までに記録された映像データを1つの単位とし、
前記図形において映像データの前記単位ごとの区切りを認識可能な態様で前記図形を表示させるシステムとするとよい。
ユーザは、画面に表示された図形を見て、映像データの前記単位の区切りを容易に認識することができる。また、現時点の映像データの前記単位の図形中の位置を覚えておくと、将来、現時点の映像データが記録されている位置を容易に特定することができる。
例えば、車両のアクセサリ電源がオンにされた時点及びオフにされた時点を、それぞれシステムへの電源供給の開始の契機及び停止の契機とするとよい。この場合には、例えば、車両のアクセサリ電源がオンにされてからオフにされるまでの期間に記録された映像データを1つの単位とするとよい。車両のアクセサリ電源がオンにされてからオフにされるまでの期間、その車両は主として走行していると考えられるため、この映像データの単位は、1つの走行単位に対応すると考えることができる。
画面に表示された図形が映像データの複数の単位に対応する部分を含むとき、これらの単位ごとに、図形の対応する部分に異なる色を付すとよい。ユーザは、消去を欲しない映像データがどの単位に含まれているかを、その単位に対応する部分に付された色で記憶することができる。ユーザは、現在上書き中の位置を示す目印が、記憶している色の図形中の領域に到達するまでは、上書きを行ってもよいことがわかる。現在上書き中の位置を示す目印から、記憶している色の図形中の領域までの隔たりにより、上書きの回避操作を行うべき時期を知ることができる。1つの図形に含まれると想定される映像データの単位の個数よりも多い色の種類を、これらの単位に対応する部分に付す色の候補として準備しておくとよい。
(14)前記記録領域に記録する映像データは車両において取得されるものであり、
前記システムへの電源供給の開始を契機とする時点から、電源供給の停止を契機とする時点までに記録された映像データを1つの単位とし、
前記記録領域に記録されている前記単位の開始時点の映像データの上書きが始まるまでの現時点からの猶予時間を算出し、
前記猶予時間が所定の時間よりも短くなると、現在上書き中の前記単位の次の前記単位の上書きが開始される旨を報知する機能を有するシステムとするとよい。
ユーザは、消去を欲しない映像データがどの単位に含まれているかを記憶しておくとよい。消去を欲しない映像データが含まれている単位の上書きが開始される旨の報知に気づくと、消去を欲しない映像データが消去されることを回避するための処置を行うことが可能になる。猶予時間と比較する前記所定の時間は、例えば、運転手が車両を安全な場所に停車させて、上書きを回避させる操作を行うことができるのに十分な時間(例えば3分)とするとよい。例えば、記録領域がリムーバブルメディア内に確保されている場合に、ユーザは、上書きを回避させる操作としてリムーバブルメディアを交換するとよい。
現在上書き中の前記単位の次の前記単位の上書きが開始される旨を報知する方法として、音声で出力する方法を採用するとよい。運転者は、視線を逸らすことなく、報知に気づくことができる。報知する際に、次に上書きが開始される単位の先頭の映像データが取得された日時、またはその単位の後尾の映像データが取得された日時を報知するとよい。例えば、「○月○日○時○分からの映像データへの上書きが間もなく始まります。」という音声、または「○月○日○時○分に終了した走行の期間に記録された映像データへの上書きが間もなく始まります。」という音声を出力手段から出力するようにするとよい。
上書きされる旨の報知の代わりに、上書きされるまでの猶予時間を報知してもよい。猶予時間は、ある時間刻み幅で報知するとよい。ユーザは、消去を欲しない映像データを含む単位の上書きが開始されるまでの猶予時間が、時々刻々と短くなっていることを認識することができる。
(15)前記記録領域に記録する映像データは車両において取得されるものであり、
前記システムへの電源供給の開始を契機とする時点から、電源供給の停止を契機とする時点までに記録された映像データを1つの単位とし、
前記システムへの電源供給の開始を契機とする時点に、現在上書きされている前記単位の次の前記単位の上書きを開始するまでの予定時間を算出し、前記予定時間を報知する機能を有するシステムとするとよい。
ユーザは、システムへの電源供給が開始された時点で、上書きされていない最も古い単位に対する上書きが開始されるまでの時間を認識することができる。例えば、上書きされていない最も古い単位の中に消去を欲しない映像データが含まれている場合、ユーザは、システムへの電源供給の開始時に、この映像データへの上書きを回避する操作を行うことができる。
(16)さらに、
前記サイクルで映像データを前記記録領域に記録する機能の他に、映像データを、前記記録領域と同一の記録メディア内に確保された他の記録領域に記録する機能と、
ユーザの操作により、前記記録領域の容量と前記他の記録領域の容量とを変更する機能と
を有し、
前記記録領域の容量と前記他の記録領域の容量とを変更したとき、前記記録領域と前記他の記録領域とを初期化して、映像データが記録されていない状態にするシステムとするとよい。
記録領域と他の記録領域との容量を変更したときに、容易に矛盾の発生しにくいシステムとすることができる。例えば、前記サイクルで映像データを記録する記録領域の容量が拡大されたか縮小されたかに関わらず、記録領域と、他の記録領域とを初期化するとよい。
(17)さらに、
前記記録領域が確保されたリムーバブルメディアを接続する接続手段と、
前記接続手段に接続されたリムーバブルメディアを初期化する機能と、
前記接続手段に接続されたリムーバブルメディア内の前記記録領域に対して行ったサイクルの全回数、初期化後に行ったサイクルの回数、及び初期化を行った回数の少なくとも1つの回数を前記接続手段に接続されたリムーバブルメディアに記憶させる機能と、
少なくとも1つの前記回数を前記出力手段に出力する機能と
を有するシステムとするとよい。
ユーザは、記録領域に対して行われたサイクルの全回数から、リムーバブルメディアの劣化度を推認することができる。例えば、この劣化度は、リムーバブルメディアを交換すべきか否かの判断を行うための有益な情報となる。
前記出力手段に出力する内容は、例えば「トータル上書き 10回/フォーマット後上書き 2回/フォーマット 2回」等という内容とするとよい。このように出力すると、ユーザにとって、いつリムーバブルメディアを交換すべきか、または初期化(フォーマット)すべきかがわかりやすい。ユーザは、初期化後に行ったサイクルの回数に基づいて、初期化を行うか否かを判断してもよい。劣化度に応じて変化する情報を出力手段に表示させてもよい。例えば、リムーバブルメディアを示すアイコンを表示し、そのアイコンを変化させてもよいし、上書き位置情報を示す図形を変化させてもよい。
ユーザは、平均して、何サイクルごとに初期化が行われたかを知ることができる。例えば、何サイクルごとに初期化を行うことが好ましいかを取扱説明書等に記載しておくとよい。ユーザは、初期化の頻度が多すぎたか少なすぎたかを知ることができる。
リムーバブルメディアを示すアイコンを表示する場合、例えば、劣化が進むに従ってアイコンがだんだん壊れていくようにしてもよい。その他に、劣化が進むに従って、アイコンがだんだん腐敗していくように表示してもよいし、アイコンの形状を、正常状態(新品の状態)からひび割れた状態、粉々になった状態に変化させてもよいし、アイコンの色を明るい色(例えば白色)から暗い色(例えば黒色)にだんだん変化させてもよい。
上書き位置情報を示す図形を変化させる場合、例えば、劣化が進むに従って図形を塗りつぶす色を変化させてもよく、図形の形状を変化させてもよい。図形を塗りつぶす色を変化させる場合、サイクル回数が増えるにつれて明るい色から暗い色へと変更していくとよい。このようにアイコンまたは図形を変化させると、ユーザは、リムーバブルメディアをいつ交換すればよいかを容易に知ることができる。
(18)前記記録領域に記録された映像データを、所定の区分条件に基づいて複数の処理単位に区分し、前記処理単位ごとの処理を実行するシステムとするとよい。
映像データを記録領域に記録した後に、映像データを複数の処理単位に区分することができる。処理単位に区分した後、処理単位ごとの処理を行うことができる。これにより、ユーザにとって、より使い勝手のよいシステムとなる。
所定の区分条件として、映像データを一定の時間間隔で区分するという条件とするとよい。システムへの電源供給の開始を契機とする時点及び停止を契機とする時点を区分条件としてもよい。さらに、種々のセンサによって取得された情報に基づいて区分条件を設定してもよい。システムへの電源供給の開始を契機とする時点及び停止を契機とする時点で区分するという区分条件と、一定の時間間隔で区分するという区分条件とを併用してもよい。
所定の区分条件は、例えば、ユーザの操作によってシステムに入力するようにするとよい。その他に、例えば、記録領域が確保されているメディアの記録領域以外の領域に記憶された区分条件を、システムが読み出すようにしてもよい。処理単位ごとの処理として、例えば、処理単位ごとに属性を付与する処理、処理単位の先頭から映像データを頭出し再生する処理、複数の処理単位を一覧にして表示する処理等とするとよい。
(19)前記処理単位ごとの処理は、前記処理単位ごとに前記処理単位の属性を前記出力手段に出力させる処理を含むシステムとするとよい。
ユーザは、表示手段を見て、容易に処理単位ごとの属性を確認することができる。処理単位ごとの属性として、例えば処理単位に含まれる先頭の映像データを取得した日時、先頭の映像データのサムネイル等を表示手段に表示させるとよい。ユーザは、日時の情報、またはサムネイルを見て、再生して確認したい映像データや、消去したい映像データを容易に見つけ出すことができる。
出力手段に出力された複数の処理単位の属性に基づいて、ユーザが一部の処理単位を選択可能とするとよい。ユーザが選択した一部の処理単位に対して処理を行うことができる。
(20)さらに、前記処理単位のうち一部の処理単位をユーザに選択させる機能を有し、
前記処理単位ごとの処理を、ユーザによって選択された前記処理単位に対して実行するシステムとするとよい。
ユーザは、すべての処理単位の中から、処理を行いたい一部の処理単位を選択して、選択された処理単位に対して処理を行うことができる。ユーザによって選択された処理単位に特定の属性を付与するようにするとよい。例えば、処理単位ごとの処理として、「再生対象から除外する」という属性を付与する処理を行うとよい。映像データの再生時に、「再生対象から除外する」という属性が付与された処理単位内の映像データを抜かして再生するようにするとよい。ユーザは、一部の処理単位に「再生対象から除外する」という属性を付与することにより、再生したくない映像データを抜かして再生させることができる。複数の処理単位の属性を、一覧表形式で出力手段に出力させてもよい。このとき、「再生対象から除外する」という属性が付与された処理単位は、表示手段に出力させないようにするとよい。
(21)さらに、前記区分条件をユーザに入力させる機能を有し、入力された前記区分条件に基づいて、前記記録領域に記録されている映像データを区分するシステムとするとよい。
ユーザが所望の区分条件を入力することにより、所望の区分条件で映像データを区分することができる。映像データの一部分に特定の属性を付与したいユーザは、その一部分が他の部分に対して区分されるような区分条件を入力するとよい。
(22)前記記録領域はリムーバブルメディア内に確保されており、
ユーザによって入力された前記区分条件を、前記リムーバブルメディアの前記記録領域とは異なる領域に記憶させるシステムとするとよい。
リムーバブルメディアをシステムの第1の装置と第2の装置との間で移動させることにより、記録領域に記録されている映像データ及び区分条件を第1の装置から第2の装置に、またはその逆に引き渡すことができる。例えば、第1の装置によって映像データが記録される場合、第1の装置とは異なる第2の装置で映像データを区分する区分条件を入力し、入力された区分条件を第1の装置に引き渡すことができる。その逆に、第1の装置で設定された区分条件に基づいて映像データを区分する機能を第2の装置に持たせてもよい。
例えば、映像データを取得する第1の装置を車両に搭載し、車両において収集された映像データを、外部のパソコン等の第2の装置で区分してもよい。一般的に、パソコン等の第2の装置の画面は、車両に搭載される第1の装置の画面より大きい。ユーザは、第2の装置で、各処理単位の先頭の映像データが取得された日時やサムネイルを容易に確認することができる。これにより、ユーザは、映像データに対する処理単位ごとの操作を容易に行うことができる。
(23)さらに、前記区分条件に基づいて前記記録領域に記録された映像データを複数の前記処理単位に区分した後、ユーザによって、現在の区分条件とは異なる区分条件が入力されると、入力された前記区分条件に基づいて映像データを再区分するシステムとするとよい。
ユーザは、映像データの現在の区分では、映像データに対する所望の処理を行うことが困難であるとき、区分条件を変更することにより、所望の処理を行いやすいように映像データを区分することができる。
映像データの記録にFATファイルシステムを用いている場合には、映像データをファイル単位に区分した後、異なる区分条件で再区分することは困難である。本システムにおいては、ユーザの所望の区分条件で映像データを再区分することができるため、ユーザにとって使い勝手がよい。
(24)さらに、複数の前記処理単位の各々の映像データが記録されている前記記録領域内の位置を特定する情報を記憶するシステムとするとよい。
複数の前記処理単位の各々の映像データが記録されている前記記録領域内の位置を特定する情報を記憶する場所は、例えばシステムのワークエリアとするとよい。ユーザが特定の処理単位を選択すると、システムは、記録領域内の位置を特定する情報を利用して、選択された処理単位の映像データに、短時間でアクセスすることができる。ユーザにとっては、操作性の向上が図られる。この情報は、処理単位内の先頭の映像データが記録されている記録領域内の位置を特定する情報とするとよい。例えば、頭出し再生時にこの情報を利用すると、処理単位の先頭の映像データの頭出し時間を短縮することができる。
(25)前記記録領域に記録する映像データは車両において取得されるものであり、
前記システムへの電源供給の開始を契機として前記記録領域への映像データの記録を開始し、前記システムへの電源供給の停止を契機として前記記録領域への映像データの記録を停止し、
前記区分条件は、前記システムへの電源供給の開始を契機として前記記録領域への映像データの記録を開始したこと、及び前記システムへの電源供給の停止を契機として前記記録領域への映像データの記録を停止したことという条件である電源条件を含むシステムとするとよい。
システムへの電源供給の開始を契機とした時点から、システムへの電源供給の停止を契機とした時点までの期間に取得された映像データを記録領域に記録することができ、これらの映像データを1つのまとまりとして処理することができる。映像データは、例えば車両に搭載されるカメラ等で撮像される動画とするとよい。システムへの電源供給の開始及び停止の契機として、例えば車両のアクセサリ電源のオン及びオフを用いるとよい。
(26)前記区分条件は、前記電源条件の他にさらに他の区分条件を含み、前記電源条件に基づいて区分された映像データの先頭から後尾までの部分に対して、前記他の区分条件に基づいて区分を行うシステムとするとよい。
他の区分条件で区分されて得られた処理単位が、前記電源条件に基づいて区分して得られた処理単位にまたがることが防止される。前記電源条件に基づいて区分して得られた処理単位をさらに他の区分条件で区分する場合において、他の区分条件で区分できない長さの映像データが残ったとき、残りの映像データの全体を1つの処理単位にするとよい。
(27)前記区分条件は、前記記録領域に記録された映像データを一定時間間隔で区分するという条件を含むシステムとするとよい。
記録領域内の映像データの開始時点から所望の映像データまでの経過時間を覚えているユーザは、先頭から何個目の処理単位に所望の映像データが含まれているかを容易に計算することができる。これにより、ユーザは、所望の映像データが含まれている処理単位に容易にアクセスすることができる。
区分条件として電源条件のみを用いて映像データを区分すると、ユーザは、例えば車両のアクセサリ電源がオンになった時点の映像データを容易に探し出すことができる。区分条件として電源条件を用いることなく、一定時間間隔という条件のみを用いて映像データを区分すると、全ての処理単位の先頭の映像データから後尾の映像データまでの経過時間を一定にすることができる。このように区分すると、ユーザは、処理単位ごとの映像データの確認に要する負担を均一化することができる。
上記(26)のように、区分条件として電源条件と、一定時間間隔で区分するという区分条件とを併用して区分してもよい。電源条件によって1つの区分けを行うと、その時点から新たに一定時間間隔で区分けを行うとよい。これにより、例えば電源条件に基づいて区分して得られる処理単位(第1の処理単位という。)が、一定時間間隔で区分するという区分条件に基づいてより小さな処理単位(第2の処理単位という。)に区分される。第1の処理単位の先頭から所望の映像データまでの経過時間を覚えているユーザは、第1の処理単位の先頭から何個目の第2の処理単位に所望の映像データが含まれているかを容易に計算することができる。これにより、ユーザは、第1の処理単位内において、所望の映像データが含まれている第2の処理単位に容易にアクセスすることができる。
(28)前記処理単位ごとの処理は、前記処理単位に含まれる映像データを再生対象から除外する処理を含み、
前記記録領域に記録されている映像データを再生する際に、再生対象から除外された映像データを抜かして再生する機能を有するシステムとするとよい。
再生対象から除外された映像データが再生されることを防止できる。ユーザは、例えば第三者に見られたくない映像データを再生対象から除外することができる。再生対象から除外した処理単位の属性を「再生対象から除外する」に設定し、その他の処理単位を「再生対象から除外しない」に設定するとよい。映像データを再生する際に、再生対象から除外された映像データに達した時点で再生を停止するとよく、より望ましくは再生対象から除外された映像データを抜かして、再生対象から除外していない映像データの再生を継続するとよい。
再生対象から除外された処理単位内の映像データは、記録領域から削除されるわけではないため、一旦再生対象から除外した処理単位の属性を、「再生対象から除外しない」に戻すことができる。
(29)再生対象から除外する処理によって再生対象から除外された前記処理単位が、最新のサイクルで記録された映像データのうち最後尾の映像データを含むとき、前記記録領域に記録されている映像データを区分して得られたすべての前記処理単位のうち再生対象から除外されていない最後尾の前記処理単位の直後の映像データから古い順番に新しい映像データで上書きしていくシステムとするとよい。
現在進行中のサイクルで記録された最も古い映像データの上書きが開始されるまでの時間が長くなる。現在進行中のサイクルで消去を欲しない映像データが記録されている場合、例えば、ユーザが上書き回避の処理を行うまでの時間的余裕が得られる。現在進行中のサイクルで記録され、再生対象から除外されていた映像データの後尾まで上書きが進んだ後は、例えば、直前のサイクルで記録された映像データを、古い順番に新しい映像データで上書きしていくとよい。
(30)上記(1)から(29)までのいずれかに記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成するとよい。
(31)上記(18)から(26)までのいずれかのシステムの機能のうち、少なくとも、前記記録領域に記録された映像データを、所定の区分条件に基づいて複数の処理単位に区分し、前記処理単位ごとの処理を実行する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして構成するとよい。
記録領域に記録された映像データを、所定の区分条件に基づいて複数の処理単位に区分し、処理単位ごとの処理を実行する機能を、コンピュータに実行させることができる。
本発明によれば、ユーザにとって使い勝手のよいシステムを提供することができる。
[第1実施例]
以下、図1A〜図9を参照して、本発明の第1実施例として、本システムを車載用のドライブレコーダによって実現した例について説明する。
図1A、図1B、及び図1Cは、それぞれ第1実施例によるシステムに含まれるドライブレコーダ1を斜め前方から見た斜視図、斜め後方から見た斜視図、及び底面図である。ドライブレコーダ1に、前面に取り付けられたレンズ2を含むカメラが内蔵されている。一方の側面にDCジャック3が設けられており、他方の側面にSDカード挿入口4が設けられている。底面にスピーカ5及びHD出力端子6が設けられている。上面にジョイントレール7が設けられている。背面に、液晶ディスプレイ8、及び複数の操作ボタン9が設けられている。
レンズ2を含むカメラは、例えば車両の前方の映像を撮像する。DCジャック3は、電源ケーブルを介してDC電源に接続するためのジャックである。SDカード挿入口4はSDカードを挿入するための挿入口である。スピーカ5は、音や音声を出力する。HD出力端子6は、ケーブルを介して他の情報機器に接続するための端子である。ジョイントレール7は、ドライブレコーダ1を車両に搭載するためのジョイントを取り付けるためのものである。液晶ディスプレイ8は種々の画像を表示する。操作ボタン9は、ユーザが操作することによってドライブレコーダ1に種々の指令を入力するためのものである。
図2は、ドライブレコーダ1が車両に搭載された状態の車内のフロントガラス、ダッシュボード等を示す図である。ドライブレコーダ1は、車両のフロントガラス15の上部であって左右方向中央付近のルームミラー16に隣接する助手席側の位置に配置されている。ドライブレコーダ1は、両面テープ等の取り付け部材によりフロントガラス15に貼りつけて固定されている。ドライブレコーダ1のDCジャック3(図1A)が電源ケーブル17を介してシガーソケット18に接続されている。車両のアクセサリ電源がオンにされると、シガーソケット18からドライブレコーダ1に電力が供給される。
図3は、第1実施例によるドライブレコーダ1のブロック図である。ドライブレコーダ1は、コントローラ20、カメラ21、データベース22、GPS受信機23、SDカードリーダ24、加速度センサ25、スピーカ5、液晶ディスプレイ8、及び操作ボタン9を含む。なお、SDカードリーダ24は、厳密には「SDカードリーダライタ」というべきであるが、本明細書において、単に「SDカードリーダ」という。
スピーカ5、及び液晶ディスプレイ8は、ユーザに種々の情報を報知するための出力手段として機能する。スピーカ5は、コントローラ20の制御に基づいて、音や音声により警報や種々の情報を発出する。液晶ディスプレイ8は、コントローラ20の制御に基づいて種々の情報を画像で表示する。操作ボタン9は、ユーザがドライブレコーダ1に対して種々の指令を与える入力手段として機能する。
カメラ21は、画角内の動画を撮影する撮像装置として機能する。カメラ21は、撮影した動画を映像データとしてコントローラ20に出力する。コントローラ20は、カメラ21から入力された映像データに基づいて、SDカードリーダ24に接続されたSDカードに映像記録を行う。
データベース22は、例えばコントローラ20に外付けした不揮発性メモリ(例えばEEPROM)に格納されている。データベース22には、例えば地図データが含まれる。
GPS受信機23は、コントローラ20の指示に基づいて現在時刻における自車の位置情報を検出する。位置情報は、GPS衛星からの信号に基づいて求められた時刻、自車の速度、軽度、緯度、高度等を含む。コントローラ20は、これらの位置情報の履歴を記録する処理を行う。
SDカードリーダ24は、コントローラ20の制御に基づいて、SDカード挿入口4(図1B)に挿入されているSDカードのデータを読み取り、またはSDカードにデータを記憶させる。
加速度センサ25として、3軸(x軸、y軸、z軸)それぞれの方向の加速度及び傾きを検出する3軸タイプのセンサが用いられる。加速度センサ25が、常時、検出値をコントローラ20に出力する。コントローラ20は、例えば10msごとに3軸の加速度情報を取得する。
コントローラ20は、周知のCPU20a、ROM20b及びRAM20c等のメモリ、タイマ20d、その他の周辺回路等を有するパソコン等から構成されている。コントローラ20のROM20b内に各種プログラムが記憶されている。コントローラ20はこれらのプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。各種プログラムには、オペレーティングシステム(OS)、GPS情報処理プログラム、映像処理プログラム等が含まれる。
コントローラ20はGPS情報処理プログラムを実行することにより、GPS受信機23で受信されたGPS情報を、SDカードリーダ24に接続されたSDカードに保存する。コントローラ20は映像処理プログラムを実行することにより、カメラ21が撮影した映像と時刻とを関連付けた映像データをSDカードの所定の記録領域に常時録画する。本実施例においてドライブレコーダ1がSDカードに常時録画する映像データは動画データである。
次に、図4を参照して、ドライブレコーダ1がSDカードに記録する映像データのデータ構造について説明する。図4に示したSDカードのフォーマット形式として、FATファイルシステム(例えばFAT32)等の一般的なものではなく、本システム独自のフォーマット形式(YPフォーマットと呼ばれる。)が採用されている。
図4は、ドライブレコーダ1がSDカードに記録する映像データのデータ構造を示す図である。ドライブレコーダ1は、映像データをフレーム単位に時系列にSDカード30の記録領域31に記録する。SDカード30のメモリ空間は、例えば512バイトのセクタに区切られており、メモリ空間内の位置はセクタ番号で特定することができる。フレームは可変長であり、1フレームは、例えば数個のセクタに格納される。複数のフレームは、フレーム間予測を用いないで符号化されたフレーム(Iフレームという。)と、前方向予測のみを用いて圧縮符号化されたフレーム(Pフレームという。)で構成される。本実施例では、SDカード30のメモリ空間の全域が、映像データの常時録画を行うための記録領域31として確保されている。
ドライブレコーダ1が初期化した直後のSDカード30の記録領域31は全域が空き領域になっている。車両の電源がオンにされてドライブレコーダ1に電力の供給が開始されると、電力供給の開始を契機としてドライブレコーダ1(図3)は、カメラ21が撮像した映像データをSDカード30の記録領域31にセクタ番号の順番(セクタ順番)に記録していく。映像データの1つのフレームを格納するフレームフィールド内に、映像データ自体を格納するフィールドの他に、映像データの属性データを格納するフレームヘッダ部分が設けられている。属性データとして、フレーム番号及び走行単位番号をフレームヘッダ部分に格納する。車両の電源がオフにされてドライブレコーダ1への電力の供給が停止すると、電力供給の停止を契機としてドライブレコーダ1(図3)は映像データの記録を停止する。電源がオンにされてからオフにされるまでの期間に行われる映像データの記録を、「電源オン〜オフ記録」という。
1つの走行単位には、車両の電源がオンにされてからオフにされるまでの期間にドライブレコーダ1が常時録画した映像データのフレームが含まれる。ドライブレコーダ1は、1つの走行単位内のフレームには同一の走行単位番号を付与し、新しい走行単位を開始するごとに、走行単位番号を1ずつ増加させる。車両の電源がオンにされている期間、車両は常時走行しているわけではないが、通常は、走行している期間が大半を占めると考えられるため、ここでは、車両の電源がオンにされてからオフにされるまでの期間にドライブレコーダ1が常時録画した映像データの集まりを、1つの走行単位ということとする。
次に、図4及び図5を参照して、SDカード30の記録領域31に映像データを常時録画していく方法について説明する。ドライブレコーダ1は、上書きを許可するか否かを示す上書きモードに基づいて映像データを常時録画していく。上書きモードは、ユーザの操作によってオンまたはオフに設定される。上書きモードオンの設定は「上書きする設定」に相当し、上書きモードオフの設定は「上書きしない設定」に相当する。
まず、図5を参照して、上書きモードがオンに設定されているときの常時録画の方法について説明する。
図5は、映像データが記録されている記録領域31の使用状況を示す図である。図5の左側の図及び右側の図が、それぞれ記録領域31の全域を表している。図5の左側の図は、記録領域31の先頭のセクタから映像データの記録を開始し、後尾のセクタまで映像データを記録した状態を示している。記録領域31内には、例えば複数の走行単位32の映像データが記録されている。現時点の記録位置が後尾のセクタまで到達すると、先頭のセクタに戻って映像データの上書きを開始する。本明細書において、先頭のセクタから映像データの記録を開始して、後尾のセクタまで映像データを記録するまでの処理を「サイクル」ということとする。ドライブレコーダ1は、1つのサイクルが終了すると、新しいサイクルを開始することにより、このサイクルを繰り返す。1つのサイクルの開始時点及び終了時点における記録領域31内の記録位置として、それぞれ記録領域31内の先頭のセクタ番号及び後尾のセクタ番号で特定されるセクタを採用する。
現在進行中の走行単位32において1つのサイクルC(n)が終了すると、新しいサイクルC(n+1)を開始する。新しいサイクルC(n+1)では、終了した直前のサイクルC(n)で記録した映像データを古い順番に新しい映像データで上書きしていく。このとき、記録領域31には、図5の右図に示すように、現在進行中のサイクルC(n+1)で映像データを記録した領域と、直前のサイクルC(n)で記録され、現時点で上書きされていない映像データが残っている領域とが混在する。
次に、図6A〜図7を参照して、映像データを記録領域31に記録していく方法、及び1つのサイクルが終了したと判断する方法について説明する。
図6Aは、映像データをSDカードの記録領域31に記録するときにおける記録領域31のメモリ空間の使用状態を示す図である。ドライブレコーダ1が、カメラ21が撮像した映像データを一時的にバッファメモリ20eに格納する。ドライブレコーダ1は、バッファメモリ20eを例えばRAM20c(図3)内に確保している。DMAコントローラが、コントローラ20の指示に基づいてバッファメモリ20e内の映像データを記録領域31内の所定の転送先の領域33に転送する。転送先の領域33は、現在進行中のサイクルC(n+1)の後尾の直後に位置する。すなわちドライブレコーダ1は、直前のサイクルC(n)で記録され、現時点で残っている映像データの最も古いものを新しい映像データで上書きする。
図6Bは、ドライブレコーダ1が新しい映像データを上書きした後の記録領域31のメモリ空間の使用状態を示す図である。現在進行中のサイクルC(n+1)で記録した映像データの後尾の位置(現時点の上書き位置)が、転送先の領域33の後尾の位置まで進む。
次に、上書きモードがオフに設定されているときの常時録画の方法について説明する。上書きモードがオフのときは、記録領域31の初期化後1回目のサイクルで、図4に示した記録領域31内に空き領域が無くなると、すなわち古い映像データを上書きしない態様の映像データの記録が終了すると、記録領域31への映像データの常時録画を停止させる。
図7は、映像データの転送単位となるブロック26のデータ構造を示す図である。転送すべき映像データを格納するフレームフィールド27がエリア情報フィールド28に挟まれている。フレームフィールド27に所定数、例えば60個のフレームの映像データを格納する。フレームフィールド27には、フレームごとに、映像データを格納するフィールドとフレームの属性を格納するフレームヘッダ部分とが設けられている。記録する映像データが30fpsの動画データであるとき、60個のフレームの映像データの時間長は2秒間に相当する。エリア情報フィールド28には、フレームフィールド27内の映像データの属性、過去に記録領域31に転送したブロック26の記録領域31内における位置へのリンク情報等を格納する。
次に、1つのサイクルを終了させて新しいサイクルを開始するサイクル終了条件について説明する。
記録領域31を初期化した後1回目のサイクルの終了条件は、記録領域31内に映像データを記録可能な空き領域が無くなったことという条件である。2回目以降のサイクルの終了条件は、古い映像データを新しい映像データで上書きしているときは、直前のサイクル(図5に示した直前のサイクルC(n))で記録した領域内のうち映像データを上書き可能な領域(以下、上書き可能領域という。)が無くなったことという条件である。すなわち、空き領域または上書き可能領域の容量が、映像データの記録に必要な容量の下限値より少なくなったときに、サイクル終了条件が満たされたと判定する。
映像データの記録に必要な容量として、ブロック26(図7)のひとつ分の容量を採用する。記録領域に残っている空き容量または現在進行中のサイクルで上書き可能な容量と、ブロック26(図7)のひとつ分の容量とを比較することにより、サイクル終了条件が満たされたか否かを判定することができる。このサイクル終了条件を採用する場合、1つのサイクルで記録した映像データによって占められる記録領域31内の容量が、記録領域31の全域の容量に対応することとなる。
次に、図8A、図8B、図9A〜図9Fを参照して、ドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8(図1B)に表示する画像について説明する。
図8Aは、上書きモードがオンに設定されているときに液晶ディスプレイ8に表示する画像の一例を示す図である。液晶ディスプレイ8の画面が、上端に位置する上端領域(以下、モード表示領域という。)41、下端に位置する下端領域(以下、時刻表示領域という。)42、及び両者に挟まれた映像表示領域40に区画されている。モード表示領域41に、種々のモードを示すアイコンを表示する。映像表示領域40に、カメラ21が撮像した現時点の映像をリアルタイムで表示する。映像表示領域40は、カメラ21のファインダとして機能する。時刻表示領域42に、現時点の時刻を数字で表示する。
ドライブレコーダ1は、映像表示領域40の内部、例えば右端近傍にインジケータ50を、カメラ21が撮像した現時点の映像に重ねて図形として表示する。インジケータ50は縦長の帯状の形状(例えば、バーの形状)を有する。ドライブレコーダ1(図3)は、インジケータ50を、その上端及び下端が映像表示領域40からはみ出さないように液晶ディスプレイ8に表示させる。インジケータ50の機能については、後に図9A〜図9Fを参照して説明する。
図8Bは、上書きモードがオフに設定されているときに液晶ディスプレイ8に表示する画像の一例を示す図である。以下、図8Aに示した上書きモードがオンに設定されているときの画像との相違点について説明する。
ドライブレコーダ1は、上書きモードがオフのときには、インジケータ50(図8A)を表示せず、時刻表示領域42に現在時刻の他に記録可能残り時間を数字で表示する。記録可能残り時間は、記録領域31(図4)内の空き領域の容量(現在進行中のサイクルで記録領域31に映像データを記録可能な容量)、映像データの転送単位であるブロック26(図7)の容量、及び1秒当たりのフレーム数に基づいてドライブレコーダ1(図3)が算出する。
次に、図9A〜図9Fを参照して、インジケータ50(図8A)の動作及び機能について説明する。図9A〜図9Fにおいて、緑色、水色、及びピンク色を、それぞれ最も低密度のドットパターン、中密度のドットパターン、及び高密度のドットパターンで表す。ドライブレコーダ1は、インジケータ50を縦に長い帯状の図形で構成する。
インジケータ50の長さ方向に関する位置が、記録領域31(図4)内の位置に対応する。インジケータ50の上端51が記録領域31の先頭のセクタ、すなわち1つのサイクルの開始時点に映像データを記録する位置に対応し、下端52が記録領域31の後尾のセクタ、すなわち1つのサイクルの終了時点に映像データを記録する位置に対応する。インジケータ50の上端51及び下端52を、それぞれ開始位置51及び終了位置52ということとする。
図9Aは、記録領域31(図4)を初期化した後、映像データを記録する前におけるインジケータ50を示す図である。初期化直後には、ドライブレコーダ1は、インジケータ50の開始位置51から終了位置52までの全域を緑色に塗りつぶす。すなわち、記録領域31内の空き領域に対応する部分が緑色に塗りつぶされている。
図9Bは、初期化後1回目のサイクルが進行中の期間のインジケータ50を示す図である。1回目のサイクルで映像データの常時録画が進むと、ドライブレコーダ1は、常時録画した映像データの記録領域31内の領域に合わせて、インジケータ50の緑色の部分を水色で塗りつぶしていく。緑色の部分と水色の部分との境界が、映像データを記録している現在位置を表す目印53となる。記録領域31への映像データの記録が行われていくに従って、目印53が開始位置51から終了位置52に向かって移動する。開始位置51から目印53までの隔たりが、現在進行中のサイクルで記録した映像データの容量、より厳密には映像データによって占められている記録領域31中の容量に対応する。終了位置52から目印53までの隔たりが、記録領域31中の空き領域の容量に対応する。インジケータ50の全長が記録領域31の全域の容量に対応する。
図9Cは、初期化後1回目のサイクルが終了した時点のインジケータ50を示す図である。ドライブレコーダ1は、インジケータ50の開始位置51から終了位置52までの全域を水色で塗りつぶす。上書きモードがオンに設定されている場合には、ドライブレコーダ1は、インジケータ50の全体を水色で塗りつぶしたら(常時録画するための記録領域31の全域への映像データの記録を行ったら)、2回目のサイクルを開始する。上書きモードがオフに設定されている場合には、インジケータ50の緑色だった領域をすべて水色で塗りつぶした時点で常時録画を停止する。
図9Dは、2回目のサイクルが進行中の期間のインジケータ50を示す図である。2回目のサイクルでは、ドライブレコーダ1は1回目のサイクルで記録した映像データを新しい映像データで上書きしていく。2回目のサイクルで常時録画によって上書きした領域に合わせて、水色の部分をピンク色で塗りつぶしていく。水色の部分とピンク色の部分との境界が、映像データを上書きしている現在位置を表す目印54となる。目印54が示されたインジケータ50は、上書き位置情報を示す図形としての役割を果たす。記録領域31への映像データの上書きが行われるに従って、目印54が開始位置51から終了位置52に向かって移動する。開始位置51から目印54までの隔たりが、現在進行中のサイクルで上書きした映像データの容量、より厳密には映像データによって占められている記録領域31中の容量に対応する。終了位置52から目印54までの隔たりが、直前のサイクルで記録され、現時点までに上書きされないで残っている映像データで占められている領域の容量に対応する。
図9Eは、2回目のサイクルが終了した時点のインジケータ50を示す図である。ドライブレコーダ1は、インジケータ50の開始位置51から終了位置52までの全域をピンク色で塗りつぶす。インジケータ50がピンク色の領域で満ちたら、3回目のサイクルを開始する。
図9Fは、3回目のサイクルが進行中の期間のインジケータ50を示す図である。3回目のサイクルでは、ドライブレコーダ1は直前の2回目のサイクルで記録した映像データを新しい映像データで上書きしていく。ドライブレコーダ1は、現在進行中の3回目のサイクルで常時録画によって上書きした領域に合わせて、ピンク色の部分を水色で塗りつぶしていく。その後は、ドライブレコーダ1は、新しいサイクルを開始するごとに、インジケータ50を塗りつぶしていく色として水色とピンク色とを交互に選択する。
[第1実施例の効果]
次に、上記第1実施例によるドライブレコーダ1の構成を採用することの効果について説明する。
ユーザは、インジケータ50の開始位置51、終了位置52、及び目印53、54(図9B、図9D、図9F)の相対的な位置関係を視認することにより、記録領域31内で、最新の映像データが記録されている位置を視覚的に認識することができる。
上書きモードがオンに設定されている場合、記録領域31に記録されている古い映像データが新しい映像データで上書きされていく。ところが、記録領域31に記録された映像データの中には、消去することなく残しておきたいものもある。ユーザは、消去を欲しない映像データが記録された時に、インジケータ50に表示されている目印53(図9B)または目印54(図9D、図9F)の位置を記憶しておくとよい。
ユーザは、新しいサイクルが始まった後、インジケータ50に示される目印54(図9D、図9F)の位置から、消去を欲しない映像データが記録された位置までの隔たりに基づいて、消去を欲しない映像データが新しい映像データで上書きされてしまいそうな状況に気づきやすい。消去を欲しない映像データが上書きされてしまう前に、上書きされてしまいそうな状況に気づくことが可能になるため、上書きを回避する操作を行うことができる。上書きを回避する操作として、例えばドライブレコーダ1の電源を切る、SDカードをSDカード挿入口4(図1B)から取り外す等の操作が挙げられる。
上記第1実施例では、現時点の上書き位置を示す情報が目印54を含むインジケータ50(図9D、図9F)として図形で表示される。このため、ユーザは、表示された図形を見て、上書き位置情報を視覚的に認識することができる。これにより、消去を欲しない映像データが新しい映像データで上書きされてしまいそうな状況により気づきやすくなる。
ユーザは、インジケータ50(図9A〜図9F)内の同一の色が付された部分の大きさを直感的に把握することにより、インジケータ50内における目印53、54(図9B、図9D、図9F)の位置を認識することができる。ユーザは、消去を欲しない映像データが記録されている位置に目印が迫ってくる状況を見て、消去を欲しない映像データが上書きされそうな状態を即座に認識することができる。
インジケータ50内の各部分の色は、新たなサイクルで上書きされるまでは不変であるため、ユーザは、上書きしないで残しておきたい映像データが、記録領域31の全体の中でどの色の領域に記録されたかを記憶することができる。ユーザが記憶している色の領域が上書きされて小さくなっていくことにより、ユーザは、上書きしないで残しておきたい映像データが上書きされてしまう事態の発生を予見することができる。また、ユーザが記憶している色の領域が消失したことにより、ユーザは、残しておきたい映像データが上書きされてしまったことを認識することができる。
例えば、過去に録画したものが上書きされそうかわかりやすい。昨日記録された映像データが上書きされるかがわかる。インジケータ50には、2つの色でしか塗り分けられないため、上書きの状態がわかりやすい。
上記第1実施例では、初期化後の最初のサイクルの進行中に表示されるインジケータ50(図9B、図9C)と、2回目以降のサイクルの進行中に表示されるインジケータ50(図9D〜図9F)とは、相互に異なる態様で表示されている。具体的には、最初のサイクルの進行中に表示されるインジケータ50(図9B、図9C)は、緑色と水色とで塗り分けられており、2回目以降のサイクルの進行中に表示されるインジケータ50(図9D〜図9F)は、水色とピンク色とで塗り分けられている。
ユーザは、インジケータ50の色を視認することにより、現在進行中のサイクルが初期化後の最初のサイクルか、2回目以降のサイクルかを容易に認識することができる。ユーザは、現在進行中のサイクルが最初のサイクルであるときには、古い映像データが上書きされてしまうことを心配する必要が無い。さらに、ユーザは、古い映像データが上書きされる可能性がある2回目以降のサイクルが開始されたことに気づきやすい。
上記第1実施例では、記録領域31を初期化した後1回目のサイクルの終了条件は、記録領域31内に映像データを記録可能な空き領域が無くなったこととされている。2回目以降のサイクルの終了条件は、上書き可能領域が無くなったこととされている。このようなサイクル終了条件を採用することにより、1つのサイクルで記録領域31の全域に対応する領域に映像データを記録することができる。これにより、1つのサイクルで記録可能な記録領域31の容量を最も大きくすることができる。その結果、古い映像データが上書きされてしまうまでの猶予時間が長くなる。
上記第1実施例では、上書きモードがオンのときに図8Aに示したようにインジケータ50が表示され、上書きモードがオフのときには図8Bに示したようにインジケータ50が表示されない。このようにすることにより、ユーザは、画面に表示された情報を見ることによって(インジケータ50の有無を確認することによって)、現在、上書きモードがオンになっているのかオフになっているのかを容易に認識することができる。上書きモードがオンになっているときには、ユーザは、表示されているインジケータ50を見ることによって、消去を欲しない映像データが上書きされそうな状況に気づきやすくなる。
さらに、上書きモードがオフのとき、図8Bに示したように記録可能な残り時間が表示される。ユーザは、表示された情報を見ることによって、記録可能な残り時間を容易に認識することができる。例えば、記録可能な残り時間は、ユーザにとってSDカード交換の準備を行うか否かの有益な判断材料になる。また、上書きモードがオンのときには残り時間が表示されておらず、上書きモードがオフのときには残り時間が表示されているため、上書きモードがオンになっているかオフになっているかがわかりやすい。
さらに、上書きモードの設定誤りに気付きやすい。例えば、上書きモードがオフに設定され、常時録画のための記録領域31(図4)の全体が記録済み状態(図9C)になっているときに、誤って上書きモードをオンに設定してしまうと、インジケータ50の水色の部分がピンク色の部分で侵食され始める。このため、ユーザは上書きモードを誤ってオンに設定してしまったことに気付きやすい。ピンク色の部分が水色の部分を侵食し始めた時点でSDカードを取り出せば、記録済みの映像データが誤って上書きされてしまう被害を最小限に食い止めることができる。
[第1実施例の変形例]
次に、上記第1実施例の種々の変形例について説明する。
第1実施例では、インジケータ50内で現在の記録位置を示す目印53(図9B)、及び現在の上書き位置を示す目印54(図9D、図9F)として、異なる色に塗られた2つの領域の境界を用いた。その他に、目印53、54として図10Aに示すようにインジケータ50の幅方向に延びる横線を用いてもよいし、図10Bに示すように三角形記号を用いてもよいし、図10Cに示すように矢印記号を用いてもよい。
第1実施例では、インジケータ50として帯状の図形(帯グラフ)を用いたが、インジケータ50として円グラフを用いてもよい。
図10Dに、円グラフで表示したインジケータ50の一例を示す。この場合、記録領域31の全域の容量を、中心角360°に対応させるとよい。ドライブレコーダ1が現時点のサイクルで記録した映像データで占められる領域の容量を扇形で示すとよい。例えば、1つの半径55を開始位置51及び終了位置52(図9A〜図9F)に対応させ、開始位置に対応する半径55からある中心角だけ隔てられた位置の半径56を目印53、54(図9B、図9D、図9F)に対応付けるとよい。
インジケータ50として帯グラフ、円グラフ等のグラフを用いることにより、ユーザは、表示されたグラフを見ることによって、数値的な情報を直感的に把握することが可能になる。
インジケータ50をグラフで表示する構成に代えて、図10Eに示すように数字で表示してもよい。例えば、現時点のサイクルで記録した映像データで占められている領域の容量と、記録領域31の全域の容量との比をパーセントで表示してもよい。また、この比を分数で表示してもよい。
インジケータ50を画面に表示する構成に代えて、スピーカ5(図1C、図3)から音声で出力してもよい。例えば、現時点のサイクルで記録した映像データで占められている領域の容量と、記録領域31の全域の容量との比を示す数値を音声で出力してもよい。例えば、「今、全体の30%の位置に上書きしています。」という音声を出力するとよい。
第1実施例では、インジケータ50(図9A〜図9F)を、緑色、水色、及びピンク色で塗り分けたが、その他の色で塗り分けてもよい。2回目以降のサイクルの進行中に、インジケータ50(図9D〜図9F)の開始位置51から目印54までの部分に付す色を、初期化後の空き領域に付す色を含まない複数の色の候補から選択してもよい。選択する色は、サイクルの回数の増加に伴って、複数の色の候補を循環するようにするとよい。
インジケータ50を塗り分ける複数の色は、色の三属性である色相、彩度、明度のいずれか1つの属性を異ならせて区別してもよく、より望ましくは色相を異ならせて区別するとよい。複数の色を色相で区別すると、ユーザは、色を、その色を表す言葉で記憶することができる。
1つのサイクルを終了させるサイクル終了条件として、第1実施例で用いた終了条件とは異なる終了条件を用いてもよい。例えば、サイクル終了条件として、サイクルの開始時点から所定時間経過したこととしてもよい。
第1実施例では、映像データを記録する記録領域31(図4)をSDカードのメモリ空間内に確保したが、他のリムーバブルメディア内に確保してもよい。SDカード以外のリムーバブルメディアを利用する場合には、SDカード挿入口4(図1)及びSDカードリーダ24(図3)に代えて、使用するリムーバブルメディアに対応した接続手段を設ければよい。第1実施例では、リムーバブルメディア内のメモリ空間の全体を記録領域31として用いたが、メモリ空間の一部を常時録画用の記録領域31として確保してもよい。この場合、例えば、リムーバブルメディア内のメモリ空間の他の領域は、他の用途に利用することができる。
第1実施例では、記録領域31に記録する映像データとして動画データを採用したが、例えば、カメラが一定時間間隔で時系列に取得する複数の静止画データを採用してもよい。
第1実施例では、1つのサイクルの開始時点及び終了時点における記録領域31内の記録位置として、それぞれ先頭のセクタ番号及び後尾のセクタ番号で特定されるセクタを採用したが、その他の方法で開始位置及び終了位置を特定してもよい。例えば、1つのサイクルの開始時点及び終了時点における記録領域31内の記録位置として、それぞれ記録領域内の先頭の物理アドレス及び後尾の物理アドレスで特定される位置を採用してもよい。この場合、時間の経過とともに、先頭の物理アドレスから後尾の物理アドレスに向かって映像データを記録していくとよい。
第1実施例では、SDカードのメモリ空間のフォーマット形式として本システム独自のフォーマット形式(YPフォーマットと呼ばれる。)を採用したが、他のフォーマット形式を採用してもよい。例えば、FATファイルシステム(例えばFAT32)等の一般的なフォーマット形式を採用してもよい。
[第2実施例]
次に、図11を参照して、第2実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第1実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
第1実施例では、図5に示したように車両の電源がオンにされてからオフにされるまでの期間にドライブレコーダ1が記録した映像データにより1つの走行単位32を構成した。ところが、図9A〜図9Fに示したように、インジケータ50には、走行単位32の区切りが表示されていない。第2実施例では、インジケータ50に走行単位32の区切りを表示する。
図11は、第2実施例によるドライブレコーダ1が表示するインジケータ50を示す図である。現在進行中のサイクルC(n+1)により、直前のサイクルC(n)の映像データが上書きされている。インジケータ50内に、複数の走行単位32に対応する部分が含まれている。これらの走行単位32ごとに、インジケータ50の対応する部分に異なる色を付している。
図11では、一例としてi番目の走行単位32の映像データが、直前のサイクルC(n)から現在進行中のサイクルC(n+1)に跨って記録されている。(i−2)番目の走行単位32の映像データが、現在進行中の(i+1)番目の走行単位32の映像データで上書きされている。上書き中の位置を示す目印54として、異なる色を付した部分の境界線の他に記号(例えば三角形の記号)が用いられている。
ユーザは、インジケータ50を見て、映像データの走行単位32の区切りを容易に認識することができる。また、現時点の映像データの走行単位32の図形中の位置を覚えておくと、将来、現時点の映像データが記録されている位置を容易に特定することができる。例えば、現時点の走行単位32である(i+1)番目の走行単位32が、インジケータ50の上から2番目の走行単位32であることを覚えておくとよい。「上から2番目」という情報に基づいて、将来、現時点の映像データが記録されている走行単位32のインジケータ50内の位置を特定することができる。
第2実施例では、走行単位32ごとに異なる色が付されているため、ユーザは、現時点の(i+1)番目の走行単位32を、その色で覚えておくことができる。すなわち、ユーザは、消去を欲しない映像データが含まれている走行単位32に対応する部分を、その走行単位32に対応する部分に付された色で記憶することができる。例えば、ユーザは、映像データを残しておきたいような事案が発生したときに、その時の走行単位32に対応する部分の色を覚えておくことができる。ユーザは、現在上書き中の位置を示す目印54が、消去を欲しない映像データが記録されている走行単位32の色の部分に到達するまでは(例えば、その色の部分を消し始める寸前までは)、上書きを行ってもよいことがわかる。上書き中の位置を示す目印54がその色の部分の直前まで達した時点でSDカードを交換すればよいことがわかる。現在上書き中の位置を示す目印54から、消去を欲しない映像データが記録されている走行単位32の色の部分までの隔たりにより、上書きの回避操作を行う時期を知ることができる。
1つのインジケータ50に含まれると想定される走行単位32の個数よりも多い色の種類を、これらの走行単位32に対応する部分に付す色の候補として準備しておくとよい。これにより、インジケータ50内に、同一色の部分が2箇所以上に現れることが回避される。インジケータ50内に、準備されている色の候補の数よりも多い数の走行単位32が現れた場合には、最も古い走行単位32に対応する部分に付した色から順番に循環使用するとよい。
第2実施例では、インジケータ50内の走行単位32ごとに異なる色を付したが、その他に、走行単位32ごとの区切りを認識可能な態様でインジケータ50を表示させてもよい。例えば、走行単位32の区切りの箇所に横線等の目印を付してもよく、より望ましくは第2実施例のように走行単位32ごとに色分けするとよい。
[第3実施例]
次に、図12A及び図12Bを参照して第3実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第1実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
第3実施例においては、映像データを記録領域31に常時録画している期間に、イベントの発生を検知する。イベントには、例えばGセンサイベントとワンタッチイベントとの2種類が含まれる。Gセンサイベントは、加速度センサ25(図3)が一定以上の衝撃を検知したときに発生する。ワンタッチイベントは、ユーザが操作ボタン9(図1、図3)によりイベント発生を通知する操作を行ったときに発生する。加速度センサ25、操作ボタン9、及びコントローラ20(図3)がイベント検知手段として機能する。
ドライブレコーダ1は、イベントの発生を検知すると、その時点の映像データを記録する記録領域31(図4)内の位置に基づいて、イベント発生を通知するイベント発生マークをインジケータ50と対応付けて表示させる。さらに、ドライブレコーダ1は、イベント発生時に記録する映像データに、「イベント発生」という属性を付与する。この属性は、エリア情報フィールド28(図7)、またはフレームフィールド27の各フレームのヘッダ部分に記憶する。
図12Aは、第3実施例によるドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示したインジケータ50及びイベント発生マーク57の一例を示す図である。ドライブレコーダ1は、直前のサイクルC(n)及び現在進行中のサイクルC(n+1)に対応する部分を、異なる色で塗りつぶす。この2つの領域の境界が、上書き位置を示す目印54となる。
ドライブレコーダ1は、インジケータ50の中のイベントが発生した箇所にイベント発生マーク57を表示する。イベント発生マーク57として、インジケータ50の幅方向に延びる横線をインジケータ50内に表示する。イベント発生マーク57となる横線には、イベントごとに異なる色を付す。
ユーザは、現在の上書き位置を示す目印54からイベント発生マーク57までの隔たりにより、所定のイベントが発生した時点の映像データが新しい映像データで上書きされてしまいそうな状況に気づきやすい。例えば、所定のイベントが発生した時点の映像データが上書きされてしまう前に、上書きされてしまいそうな状況に気づくことが可能になる。これにより、ユーザは、所定のイベント発生時の残しておきたい映像データが上書きされてしまうことを回避するための操作を行うことができる。記録領域31がSDカード内に確保されている場合には、上書きを回避するために、ユーザはSDカードをドライブレコーダ1から取り外せばよい。
第3実施例によるドライブレコーダがイベント録画機能のない常時録画専用機であっても、ユーザは、イベント発生の位置がわかるとともに、その位置の手前までは新しい映像データで上書きさせてもよいことがわかる。その位置に上書き位置が達するまでにSDカードを交換すればよい。
イベントごとにイベント発生マーク57の色が異なっているため、ユーザは、残しておきたいイベントの映像データが記録されている位置を容易に認識することができる。現在上書き中の位置を示す目印54から、残しておきたいイベントの映像データが記録されている位置までの隔たりから、上書きの回避操作を行うまでの余裕時間を知ることができる。
図12Bに示すように、イベント発生マーク57となる横線の近傍に、イベント種別に対応するアイコン59を表示してもよい。イベント種別には、Gセンサイベントとワンタッチイベントとが含まれる。ユーザは、映像データを残しておきたいイベントが発生した位置を、より記憶しやすくなる。
SDカードの記録領域31のフォーマット形式にFATファイルシステムを採用している場合には、映像データに付与する「イベント発生」という属性を、ファイル内の領域に記憶させておくとよい。
[第4実施例]
次に、図13A及び図13Bを参照して第4実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第1実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
図13Aは、第4実施例によるドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8(図1、図3)に表示したインジケータ50及び上書き中の位置を示す目印54の一例を示す図である。本実施例では、インジケータ50が、走行単位32ごとに異なる色に塗り分けられている。ドライブレコーダ1(図3)は、現時点から、現在上書き中の走行単位32の次の走行単位32の開始時点(常時記録の開始時点)の映像データの上書きが始まるまでの猶予時間T1を算出する。猶予時間T1は、現在上書き中の位置から現在上書き中の走行単位32の次の走行単位32の開始時点までの容量に基づいて求めることができる。猶予時間T1の算出は、一定の時間間隔で周期的に実行する。
ドライブレコーダ1(図3)は、予め決められている報知閾値T0と猶予時間T1とを比較する。図13Bに示すように、猶予時間T1が報知閾値T0以下になると、ドライブレコーダ1は、現在上書き中の走行単位32の次の走行単位32の上書きが開始される旨を音声で報知する。音声で報知する際には、次に上書きが開始される走行単位32の先頭の映像データが取得された日時、またはその走行単位32の後尾の映像データが取得された日時を報知する。例えば、「○月○日○時○分からの映像データへの上書きが間もなく始まります。」という音声、または「○月○日○時○分に終了した走行の期間に記録された映像データへの上書きが間もなく始まります。」という音声をスピーカ5(図1、図3)から発音させる。
ユーザは、消去を欲しない大事な映像データがどの走行単位32に含まれているかを記憶しておくとよい。消去を欲しない大事な映像データが含まれている走行単位32の上書きが開始される旨の報知に気づくと、消去を欲しない映像データが消去されることを回避するための処置を行うことが可能になる。報知閾値T0は、例えば、運転手が車両を安全な場所に停止させて、上書きを回避させる操作を行うことができるのに十分な時間(例えば3分程度)とするとよい。例えば、ユーザは、上書きを回避させる操作としてSDカードをドライブレコーダ1から抜き取る操作、SDカードを交換する操作を行うとよい。
報知が音声出力により行われるため、運転者は視線を逸らすことなく、報知に気づくことができる。
上書きされる旨の報知の代わりに、上書きされるまでの猶予時間を報知してもよい。猶予時間は、ある時間刻み幅で報知するとよい。ユーザは、消去を欲しない映像データを含む走行単位32の上書きが開始されるまでの猶予時間が、時々刻々と短くなっていることを認識することができる。
[第5実施例]
次に、図14を参照して第5実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第4実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。第5実施例では、第4実施例で行った報知を、エンジン始動時(例えば常時記録開始時)等に行う。
図14は、第5実施例によるドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8(図1、図3)に表示したインジケータ50及び上書き中の位置を示す目印54の一例を示す図である。図13A及び図13Bに示した第4実施例では、一定の時間間隔で、現時点から、現在上書き中の走行単位32の次の走行単位32の開始時点の映像データの上書きが始まるまでの猶予時間T1を算出する。これに対し、第5実施例では、ドライブレコーダ1への電源供給の開始を契機とする時点に、現在上書きされている走行単位32の次の走行単位32の上書きを開始するまでの予定時間T2を算出する。ドライブレコーダ1(図3)は、算出した予定時間T2をスピーカ5から音声で報知する。例えば、ドライブレコーダ1は、「15分後に○月○日○時○分からの映像データへの上書きが始まります。」という音声をスピーカ5から出力する。
ユーザは、システムへの電源供給が開始された時点(例えば車両のアクセサリ電源をオンにした時点、またはエンジン始動時)に、上書きされていない最も古い走行単位32に対する上書きが開始されるまでの予定時間T2を認識することができる。例えば、上書きされていない最も古い走行単位32の中に消去を欲しない映像データが含まれている場合、ユーザは、システムへの電源供給の開始時に、この映像データへの上書きを回避する操作、例えばSDカードの交換等を行うことができる。
[第6実施例]
次に、図15を参照して第6実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第1実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
図15は、第6実施例によるドライブレコーダ1で用いられるSDカードのメモリ空間の利用形態を示す図である。第1実施例では、SDカードのメモリ空間の全域が常時録画用の記録領域31(図4)とされている。これに対し、第6実施例では、SDカードのメモリ空間に、常時録画用の記録領域31の他に、駐車監視記録領域38及びイベント記録領域39が確保されている。ドライブレコーダ1は、駐車監視記録領域38に、車両のアクセサリ電源をオフにして駐車している期間の映像データを記録する。イベント記録領域39には、イベント発生時の前後のある期間の映像データを記録する。
常時録画用の記録領域31は、最新のサイクルC(n+1)で映像データを記録した領域と、直前のサイクルC(n)で映像データを記録した領域とを含む。
ユーザの操作によって、常時録画用の記録領域31、駐車監視記録領域38、及びイベント記録領域39への記憶容量の割当量を変更することができる。図15においては、常時録画用の記録領域31及びイベント記録領域39への割当量を少なくし、駐車監視記録領域38への割当量を増やした場合の例を示す。
常時録画用の記録領域31、駐車監視記録領域38、及びイベント記録領域39への記憶容量の割当量を変更すると、ドライブレコーダ1は、常時録画用の記録領域31、駐車監視記録領域38、及びイベント記録領域39をすべて初期化する。この初期化は、各領域を拡大したか縮小したかに関わらず行う。初期化によって、これら全ての領域が空き領域になる。常時録画用の記録領域31を初期化すると同時に、または初期化した後、図9Aに示したようにインジケータ50の前記を緑色にする。
記録領域と他の記録領域との容量を変化させたときに全ての領域を初期化するため、矛盾が発生しにくい。例えば、常時記録用の記録領域31を拡大した場合には、拡大された領域を必ずしも初期化する必要は無い。第6実施例では、常時記録用の記録領域31が拡大された場合でも初期化を行うため、容量の割り当て変更によって発生し得る矛盾を容易に回避することができる。
[第7実施例]
次に、図16A〜図17Dを参照して第7実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第1実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。
図16Aは、第7実施例によるドライブレコーダ1で使用されるSDカード30のメモリ空間の利用区分を示す図である。SDカード30のメモリ空間に、常時録画用の記録領域31の他に、書き込み回数等を格納するための管理領域35が確保されている。ドライブレコーダ1(図3)は、記録領域31に映像データを記録したサイクルの全回数、記録領域31を初期化(フォーマット)した後に映像データを記録したサイクルの回数、及び初期化した回数をカウントし、カウント結果を管理領域35に格納する。
図16Bは、第7実施例によるドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示した画像の例を示す図である。第7実施例では、ドライブレコーダ1が、例えば時刻表示領域42に、記録領域31に映像データを記録したサイクルの全回数(合計上書き回数)、記録領域31を初期化した後に映像データを記録したサイクルの回数(初期化後上書き回数)、及び初期化回数のカウント結果を表示する。
ユーザは、常時録画用の記録領域31に対して行われたサイクルの全回数から、SDカード30の劣化度を推認することができる。例えば、この劣化度は、SDカード30を交換すべきか否かの判断を行うための有益な情報となる。例えば、記録領域31のフォーマット形式が、初期化後の上書き回数の増加に従ってファイルの断片化が進むような特性を持つ場合には、初期化した後に映像データを記録したサイクルの回数は、初期化を行うタイミングを決めるための有益な情報となる。ユーザは、初期化後に行ったサイクルの回数に基づいて、初期化を行うか否かを判断することができる。
ユーザは、サイクルの全回数と、初期化した回数とに基づいて、平均して、何サイクルごとに初期化が行われたかを知ることができる。例えば、何サイクルごとに初期化を行うことが好ましいかを、ドライブレコーダ1の取扱説明書等に記載しておくとよい。ユーザは、1回の初期化あたりのサイクル数と、取扱説明書に記載された推奨の回数とから、初期化の頻度が多すぎたか少なすぎたかを知ることができる。
[第7実施例の変形例]
次に、図17A〜図17Dを参照して第7実施例の変形例によるドライブレコーダ1について説明する。第7実施例では、合計上書き回数を時刻表示領域42に数字で表示したが、本変形例では、SDカード30の劣化度を画像で表示する。
図17Aは、第7実施例の変形例によるドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示した画像の一例を示す図である。ドライブレコーダ1は、例えばモード表示領域41にSDカード30(図16A)のアイコン44を表示する。SDカード30の合計上書き回数は、SDカード30の劣化度の指標となる。ドライブレコーダ1は、SDカード30の劣化度に応じて、ユーザが劣化度を認識しやすい態様でSDカード30のアイコン44を変化させる。
図17B〜図17Dは、SDカードのアイコン44の劣化度に応じた変化の様子の一例を示す図である。図17Bに示した例では、劣化が進むに従ってアイコン44がだんだん壊れていくように表示する。より具体的には、劣化が進むにしたがって、アイコン44が正常状態(新品の状態)からひび割れた状態、粉々になった状態に変化する。図17Cに示した例では、劣化が進むに従って、アイコン44がだんだん腐敗していくように表示する。図17Dに示した例では、劣化が進むに従って、アイコン44の色を明るい色(例えば白色)から暗い色(例えば黒色)にだんだん変化させる。
アイコン44の他に、SDカード30の劣化度に応じて変化する情報を液晶ディスプレイ8に表示させてもよい。例えば、インジケータ50の形状や色を変化させてもよい。例えば、劣化が進むに従ってインジケータ50を塗りつぶす色を変化させてもよく、インジケータ50の形状を変化させてもよい。インジケータ50を塗りつぶす色を変化させる場合、サイクル回数が増えるにつれて明るい色から暗い色へと変更していくとよい。
SDカード30の劣化度に応じてアイコン44またはインジケータ50を変化させると、ユーザは、SDカード30をいつ交換すればよいかを容易に知ることができる。
[第8実施例]
次に、図18A、図18B、図19A〜図19Gを参照して第8実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第1実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。第1実施例では、映像データを常時録画するために1枚のSDカードを用いたが、第8実施例では、2枚のSDカードが用いられる。
図18Aは、第8実施例によるドライブレコーダ1を斜め後方から見た斜視図である。ドライブレコーダ1の側面に2つのSDカード挿入口4が上下に並んで設けられている。2つのSDカード挿入口4が設けられたドライブレコーダ1は、ダブルスロット型と呼ばれる。2つのSDカード挿入口4にそれぞれSDカードが挿入される。常時録画用の記録領域31(図4)を、2枚のSDカードに跨って確保するモード(以下、ダブルモードという。)と、1枚のSDカードのみに常時録画用の記録領域31を確保し、他のSDカードには、その他の映像データを記録するモード(以下、シングルモードという。)が準備されている。ユーザの操作によって、どちらかのモードを選択することができる。ダブルモードが選択されているとき、ドライブレコーダ1は、一方のSDカード挿入口4に挿入されたSDカードから、他方のSDカード挿入口4に挿入されたSDカードに順に常時録画の映像データを記録していく。
図18Bは、第8実施例によるドライブレコーダ1でダブルモードが選択されているときに、ドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示した画像の一例を示す図である。ドライブレコーダ1(図3)は、映像表示領域40の右端近傍に、2本の縦長のインジケータ50を縦に並べて1本の直線状に表示する。上及び下のインジケータ50が、それぞれ上及び下のSDカード挿入口4(図18A)に挿入されたSDカードに確保された記録領域31を表している。上のインジケータ50の上端が常時録画用の記録領域31の記録の開始位置51となり、下のインジケータ50の下端が常時録画用の記録領域31の記録の終了位置52となる。
シングルモードが選択されている場合には、ドライブレコーダ1は、常時録画用の記録領域31を表す1本のインジケータ50のみを表示する。
2枚のSDカードの記録領域31を初期化すると、図19Aに示すようにドライブレコーダ1は、2本のインジケータ50の全域を緑色に塗りつぶす。常時記録中は、図19Bに示すように現在記録している位置を示す目印53が開始位置51から下方に移動する。目印53が上のインジケータ50の下端に達すると、図19Cに示すように目印53が下のインジケータ50の上端まで移動し、その後、上端からから終了位置52に向けての移動を開始する。図19Dに示すように2本のインジケータ50の全域を水色に塗りつぶした時点で1回目のサイクルを終了する。
ドライブレコーダ1が2回目のサイクルを開始すると、上のインジケータ50の開始位置51から下方に向かって目印54が移動し始め、開始位置51から目印54までの部分をピンク色に塗りつぶす。図19Fに示すように2本のインジケータ50の全域をピンク色に塗りつぶした時点で2回目のサイクルを終了する。その後、3回目のサイクルを開始すると、図19Gに示すように上のインジケータ50の開始位置51から下方に向かって目印54が移動し始める。このとき、開始位置51から目印54までの部分を水色に塗りつぶす。このように、2本のインジケータ50が組み合わされて、第1実施例の1本のインジケータ50と同様に変化する。
目印54が下のインジケータ50内に位置するとき、ドライブレコーダ1は、上のインジケータ50の全域と、下のインジケータ50の上端から目印54までの部分とを同じ色で塗りつぶす。
ユーザは、現在ダブルモードが選択されているのか、シングルモードが選択されているのかを、インジケータ50の表示を見るだけで直感的に把握することができる。
第8実施例では、シングルモードが選択されているときインジケータ50を1本のみ表示したが、インジケータ50を横に並べて表示してもよい。一方のインジケータ50が常時録画用の記録領域31に対応し、他方のインジケータ50が、その他の映像データを記録する領域に対応する。
第8実施例では、2枚のSDカードに常時録画用の記録領域31を確保したが、3枚以上のSDカードに常時録画用の記録領域31を確保してもよい。この場合には、SDカードの枚数分のインジケータ50を縦に並べて表示するとよい。
[第9実施例]
次に、図20を参照して第9実施例によるドライブレコーダ1について説明する。以下、第8実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。第8実施例では、2本のインジケータ50を異なる2色で塗りつぶしたが、第9実施例では、第2実施例(図11)と同様に走行単位32ごとに異なる色で塗りつぶす。
図20は、第9実施例によるドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示したインジケータ50の一例を示す図である。ドライブレコーダ1は、2本のインジケータ50を走行単位32ごとに異なる色で塗りつぶす。現在進行中のサイクルC(n+1)の後尾の位置に現在の上書き位置を示す目印54を表示する。
1つの走行単位32の映像データが2枚のSDカードに跨って記録された場合には、1つの走行単位32に対応する部分が上のインジケータ50と下のインジケータ50とに跨る。2本のインジケータ50に跨った1つの走行単位32に対応する部分は、同一色で塗りつぶす。
ユーザは、2枚のSDカードに跨って映像データが記録された走行単位32を直感的に把握することができる。2枚のSDカードに跨った走行単位32の映像データをパソコン等の他の情報機器で見たい場合、ユーザは、2枚のSDカードをドライブレコーダ1から取り外す必要があることを直感的に理解することができる。
[第10実施例]
次に、図21A〜図30を参照して、第10実施例によるシステムについて説明する。以下、第1実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。以下、第10実施例によるシステムを、車載用のドライブレコーダ、または車載用のドライブレコーダとパソコンとによって実現する例について説明する。
第10実施例では、SDカードの常時録画用の記録領域31(図4)のフォーマット形式として独自のフォーマット形式(YPフォーマットと呼ばれる。)を採用する。YPフォーマット形式で初期化されたSDカードには、FATファイルシステムで採用されているブートセクタ等の予約領域、ファイルアロケーションテーブル領域が確保されていない。
図21Aは、第10実施例によるシステムの概略図である。本システムはドライブレコーダ1及びパソコン60を含む。ドライブレコーダ1に装着されてドライブレコーダ1によって映像データ等が記録されたSDカード30がドライブレコーダ1から抜き取られ、パソコン60に接続されたSDカードリーダ61に装着される。これにより、パソコン60で映像データに対する処理を行うことができる。逆に、パソコン60でSDカード30に記憶させた情報をドライブレコーダ1で読み出すことができる。
図21Bは、パソコン60のブロック図である。パソコン60は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)62を備えている。MPU62にROM63及びRAM64が接続されている。さらに、MPU62に、ハードディスクドライブ65、キーボード66、モニタ67が、対応するインタフェース等を介して接続されている。さらに、パソコン60のUSBポートを介して、MPU62にSDカードリーダ61、マウス68、プリンタ69が接続されている。ハードディスクドライブ65に、パソコン60のオペレーティングシステム(OS)、OS上で動作するアプリケーションプログラム、種々のデータ等が記憶されている。
ユーザは、マウス68を操作してアプリケーションプログラムの起動用アイコンをダブルクリックするなど、OSの機能を利用して所望のアプリケーションプログラムを起動させることができる。起動されたアプリケーションプログラムをMPU62が実行することにより、パソコン60がユーザ所望の機能を実現する。
第10実施例によるシステムは、ドライブレコーダ1で常時録画されている映像データを、常時録画中に所定の区分条件に基づいてより小さな映像データ(以下、処理単位という。)に区分することができる。さらに、ドライブレコーダ1が常時録画した映像データを、録画後にパソコン60(図21A)のアプリケーションプログラムによって所定の区分条件に基づいて処理単位に区分することができる。ドライブレコーダ1及びパソコン60は、さらに区分された処理単位ごとの処理を実行する。
図22A〜図23を参照して、ドライブレコーダ1で常時録画中に映像データを所定の区分条件に基づいて区分する処理について説明する。
図22Aは、ドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示した区分条件を入力するための画面を示す図である。MPU62(図21B)は、区分条件として、「1分」、「2分」、「3分」、及び「電源オン〜オフ」の4種類の区分条件を示すシンボルマーク70を液晶ディスプレイ8に表示する。これらの区分条件ごとにチェックボックス71を表示する。さらに、「戻る」ボタンと「OK」ボタンとを表示する。
「1分」、「2分」、「3分」という区分条件は、それぞれ映像データを一定の時間間隔、すなわち1分間隔、2分間隔、3分間隔で区分していくことを意味する。時間間隔は、動画のフレーム数に対応するため、一定の時間間隔で区分する際には、一定のフレーム数の単位に区分すればよい。映像データを区分するときには、映像データの転送単位となる1つのブロック26(図7)に含まれるフレームの間で区切られることはなく、ブロック26を1つの不可分のかたまりとして映像データを区分する。「電源オン〜オフ」という区分条件は、車両の電源をオンにした時点、及びオフにした時点で映像データを区分することを意味する。「電源オン〜オフ」という区分条件を、「電源条件」ということとする。
ユーザは、操作ボタン9(図1B、図3)を操作してチェックボックス71にチェックを入れることにより、1つの区分条件を選択することができる。1つの区分条件を選択した後、「OK」ボタンを選択すると、選択された区分条件がドライブレコーダ1に入力される。図22Aは「1分」という区分条件を選択した例を示し、図22Bは、「2分」という区分条件を選択した例を示している。
図23は、常時録画中のタイミングチャートである。車両の電源がオンにされると、ドライブレコーダ1は常時録画を開始し、車両の電源がオフにされると常時録画を停止する。図23では、常時録画が実行されている期間を太い実線で表し、常時録画が停止されている期間を破線で表している。車両の電源がオンにされている期間にドライブレコーダ1が記録した映像データが、1つの走行単位32を構成する。
図23には、車両の電源がオンにされた時点で区分条件が「1分」に設定されており、走行途中に、ユーザが区分条件を「2分」に変更した例を示している。区分条件が「1分」に設定されている期間、ドライブレコーダ1は常時録画されている映像データを1分間隔で区分する。これにより、映像データが録画時間1分の複数の処理単位36に区分される。区分条件が「2分」に変更されると、その時点から、ドライブレコーダ1は常時録画されている映像データを2分間隔で区分する。これにより、映像データが録画時間2分の複数の処理単位36に区分される。
区分条件を変更した時点で、現在記録中の映像データを最後に区分した時点から区分条件に相当する時間が経過していない場合には、区分条件で指定された時間より短い処理単位36が発生する。さらに、車両の電源をオフにした時点でも同様に、区分条件で指定された時間より短い処理単位36が発生する。
ドライブレコーダ1は、区分された処理単位36を特定する情報を、RAM20c(図3)に記憶する。処理単位36を特定する情報は、各処理単位36が記録されている記録領域31内の位置を特定する情報、例えば先頭のセクタ番号を含む。ドライブレコーダ1がRAM20cに記憶した処理単位36を特定する情報を、ファイルリストという。また、処理単位36に区分する処理をリスト化という。各処理単位36が記録されている記録領域31内の位置を特定する情報を作成する処理をリスト作成という。区分された処理単位36は、ファイルリスト単位ということもできる。
ドライブレコーダ1は、処理単位36ごとの処理を行うことができる。処理単位36ごとの処理の例として、例えば処理単位36ごとに処理単位36の属性を液晶ディスプレイ8に一覧表形式で表示する処理が挙げられる。
図22Cは、ドライブレコーダ1が、処理単位36(図23)ごとにその属性を液晶ディスプレイ8に一覧表形式で表示した画像の一例を示す図である。ドライブレコーダ1は、処理単位36ごとの属性として、例えばその処理単位36の先頭の映像データを取得した日時情報72、及び先頭の映像データのサムネイル73を表示する。さらに、ドライブレコーダ1は、スクロールバー、「1件消去」ボタン、「全消去」ボタンを表示する。「1件消去」、「全消去」の機能については後に図27を参照して説明する。
次に、図24A〜図26を参照して、ドライブレコーダ1が常時録画した映像データをパソコン60(図21A、図21B)が所定の区分条件に基づいて区分する処理について説明する。まず、ユーザは、ドライブレコーダ1(図21A)からSDカード30を取り外し、パソコン60のSDカードリーダ61に挿入する。
図24Aは、パソコン60がモニタ67(図21B)に表示した区分条件を入力するための画像を示す図である。図22Aに示したドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示した画像と同様に、パソコン60は、モニタ67に区分条件を示すシンボルマーク75とチェックボックス76を表示する。その他に、「戻る」ボタンと「OK」ボタンとを表示する。図24Aは、区分条件として「1分」が選択された例を示している。ユーザが「1分」を選択して「OK」ボタンをクリックすると、コンピュータは、SDカード30の記録領域31(図4)に記録されている映像データを1分間隔で区分する。
図26の1段目に、区分条件として「1分」が選択されたときの区分(リスト化)の仕方を示す。例えば、記録領域31に2つの走行単位32の映像データが記録されている。パソコン60は、走行単位32ごとに、映像データを1分間隔に区分する。これにより、走行単位32の各々の映像データが、録画時間が1分の複数の処理単位36(ファイルリスト単位)に区分される。走行単位32の各々の後尾には、録画時間が1分に満たない処理単位36が発生することになる。1つの走行単位32は、電源条件に基づいて区分された映像データの集まりということができる。すなわち、時間間隔1分の区分条件で映像データを区分することは、電源条件に基づいて区分された映像データ(走行単位32に対応)の先頭から後尾までの部分に対して、時間間隔1分の区分条件に基づいて区分を行うことに相当する。
図26の2段目及び3段目に、それぞれ区分条件として「2分」及び「3分」が選択されたときの映像データの区分の仕方を示す。それぞれ、録画時間が2分及び3分に相当する映像データからなる処理単位36に区分されている。このように、ファイルリスト作成時には、電源オン〜オフ(例えば、記録開始してから記録停止まで)の間を設定のフレーム数単位(例えば1分単位、2分単位、3分単位等)に分けてファイルリスト作成を行う。
図25Aに、区分条件として「電源オン〜オフ」が選択された状態のときに、パソコン60がモニタ67(図21B)に表示した画像を示す。「電源オン〜オフ」という区分条件に対応するチェックボックスにチェックが入れられている。図26の4段目に、区分条件として「電源オン〜オフ」が選択されたときの区分の仕方を示す。この場合には、区分された処理単位36が走行単位32と一致する。
パソコン60は、区分された処理単位36を特定する情報(ファイルリスト)を、RAM64(図21B)に記憶する。処理単位36を特定する情報は、ドライブレコーダ1で区分した場合と同様に、各処理単位36へのリンク情報、例えば先頭のセクタ番号を含む。
パソコン60は、処理単位36ごとに処理単位36の属性をモニタ67(図21B)に一覧表形式で表示する。
図24Bは、パソコン60が、処理単位36ごとにその属性をモニタ67に一覧表形式で表示した画像の一例を示す図である。図24Bは、区分条件として「1分」が選択された例を示している。パソコン60は、処理単位36ごとの属性として、例えばその処理単位36の先頭の映像データを取得した日時情報77、及び先頭の映像データのサムネイル78を表示する。さらに、パソコン60は、スクロールバー、「1件消去」ボタン、「全消去」ボタンを表示する。処理単位36の日時情報77は1分刻みで増加している。
図25Bに、区分条件として「電源オン〜オフ」が選択された場合にパソコン60がモニタ67に表示する画像の例を示す。処理単位36の日時情報77は電源がオンにされた時点の日時を表している。
パソコン60は、ある区分条件に基づいて既に区分されている映像データに対して、ユーザによって、現在の区分条件とは異なる区分条件が入力されると、入力された新しい区分条件に基づいて映像データを再区分する。
次に、図27A〜図28を参照して、処理単位36ごとの処理の例として映像を見えなくする処理について説明する。この処理は、ドライブレコーダ1及びパソコン60のいずれにおいても実行可能である。以下、パソコン60の処理について説明する。ドライブレコーダ1が実行する処理も、パソコン60の処理と同様である。
図27Aに示すように、例えば、ユーザが2016年1月1日12時2分0秒から始まる1つの処理単位36を選択し、「1件消去」ボタンをクリックした場合について具体的に説明する。
図28は、記録領域31に記録されている映像データのフレームの並びを示す図である。記録領域31に複数の走行単位32の映像データが記録されている。映像データが走行単位32ごとに複数の処理単位36に区分されている。走行単位32ごとに、複数のフレームに1から順番に通し番号が付されている。図28に示した例では、1つの処理単位36のフレーム数がn個にされている。例えば、記録領域31内の1番目の走行単位32の先頭のフレームFaが2016年1月1日12時2分0秒に記録した映像データに相当する。この走行単位32の先頭のフレームFaから後尾のフレームFbまでのフレームが消去処理の対象になる。
パソコン60は、記録領域31内の1番目の走行単位32のフレームFaから始まる処理単位36に対して消去処理を行う。消去処理においては、パソコン60は、ブロック26のフレームフィールド27(図7)内のフレームヘッダ部、及びエリア情報フィールド28に定義されているリストにしないフラグ(以下、非リスト化フラグという。)を立てる。消去処理によって消去処理の対象となったブロック26及びフレームFaからフレームFbが記録されている領域が空き領域になるわけではない。
図27Bは、非リスト化フラグが建てられた後に、処理単位36の属性をモニタ67に一覧表形式で表示させた画像の一例を示す図である。パソコン60(図21A、図21B)は、2016年1月1日12時2分0秒から始まる処理単位36を抜かして、他の複数の処理単位36の属性を表示する。パソコン60は、非リスト化フラグが立てられた処理単位36を一覧に表示しない。さらに、パソコン60は、映像データの再生時に、非リスト化フラグが立てられている処理単位36に含まれる映像データを抜かして再生する。すなわち、非リスト化フラグが立てられている処理単位36に含まれる映像データ(一部の映像データ)の再生をできなくする。従って、消去処理は、「再生対象から除外する処理」ということができる。また、非リスト化フラグが立てられた処理単位36は、一覧に表示さず、かつ再生もされないため、消去処理は、「見えなくする処理」ということもできる。
図28に示した例において、再生対象から除外されたフレームFaからフレームFbまでのフレームにドットパターンを付している。さらに、1件消去の処理を繰り返すことにより、複数の処理単位36を再生対象から除外することも可能である。図24Bに示した「全消去」ボンタンをユーザがクリックすると、パソコン60は、記録領域31内のすべての処理単位36を再生対象から除外する。
一部の処理単位36に非リスト化フラグを立てた映像データを再区分する際には、非リスト化フラグが立てられているブロック26(図7)またはフレームをリスト化の対象とせずリスト化をスキップして、非リスト化フラグが立てられていないブロック26またはフレームからなる映像データに対して区分を行う。
次に、一部のブロック26(図7)またはフレームに非リスト化フラグが立てられた映像データを記録したSDカードに対して常時録画を再開するときの処理について説明する。この処理は、最新のサイクルで記録した映像データの後尾に位置するブロック26またはフレームに非リスト化フラグが立てられているか否かによって異なる。
図29は、最新のサイクルC(n+1)の後尾に位置するブロック26またはフレームFcに非リスト化フラグが立てられていない場合の上書きの仕方を示す図である。図29において、非リスト化フラグが立てられているフレームにドットパターンが付されている。ドライブレコーダ1は、新たに常時録画を開始すると、直前のサイクルC(n)で記録した映像データを古い順番に新しい映像データで上書きしていく。記録領域31がいっぱいになって1つのサイクルが終了した場合、非リスト化フラグが立てられている処理単位36より以前の古い処理単位36(記録領域31の先頭に記録されているフレーム)から新しい映像データで上書きを行う。非リスト化フラグが立てられている処理単位36の映像データ(例えばフレーム)は、それより以前に記録された映像データを上書きした後に上書きされる。この上書き処理は、どのブロック26及びフレームにも非リスト化フラグが立てられていない状態の記録領域31に上書きを行う処理と同一である。
図30は、最新のサイクルC(n+1)の後尾に位置するブロック26またはフレームFd(例えば、最後にSDカードに記録した映像データ)に非リスト化フラグが立てられている場合の上書きの仕方を示す図である。フレームFdは、最新のサイクルC(n+1)で記録された映像データの最終フレームに相当する。図30において、非リスト化フラグが立てられているフレームにドットパターンが付されている。非リスト化フラグが立てられたブロック26またはフレームが最新のサイクルC(n+1)で記録された映像データの最後尾に位置している。ドライブレコーダ1は、新たに常時録画を開始すると、記録領域31に記録されている映像データを区分して得られたすべての処理単位36のうち非リスト化フラグが立てられていない後尾の処理単位36または後尾のフレームFeの直後の映像データ(見えなくされた映像データ)から古い順番に消去し、新しい映像データで上書きしていく。すなわち、上書き位置がフレームFdの位置からフレームFeの直後の位置まで遡る。
ドライブレコーダ1は、最新のサイクルC(n+1)で記録した後尾の映像データを上書きすると、その後は直前のサイクルC(n)で記録した映像データを古い順番に新しい映像データで上書きしていく。
[第10実施例の効果]
次に、上記第10実施例の優れた効果について説明する。
SDカードの書き込み速度を最大限引き出すため、及びすべての書き込みに対しDMAアクセスを可能にするため、SDカードアクセスはできる限り連続したセクタ番号(セクタアドレス)で行うことが望ましい。第10実施例では、独自のフォーマット形式(YPフォーマット)を採用することにより、映像データの連続するフレームを記録領域31(図4)内の連続したセクタ番号の領域に記録することができる。このため、SDカードの書き込み速度を最大限引き出すことができる。例えば、2つのカメラを用いて1080PHDの解像度で常時録画とイベント記録とを二重に記録することが可能になる。通常のFATファイルシステムを採用する場合には、一般的に1つのカメラを用いて1080PHDの解像度で常時録画とイベント記録とのどちらか一方しかSDカードに残すことができない。第10実施例によるドライブレコーダ1においては、書き込み速度の高速化及び安定化を図ることができる。
通常のFATファイルシステムでは、メモリ空間内にディレクトリーエントリーエリア等の管理エリアを設け、ファイル名やクラスタ位置をまとめて管理エリアに記録している。ドライブレコーダ1は、電源のオンオフ、SDカードの抜き差し、事故の発生等の突発的なイベントが発生し得る状況で使用される。このようなイベントの発生時に偶然管理エリアにデータを書き込んでいた場合、SDカード内のすべてのファイルが読み出せなくなってしまう危険性が出てくる。
第10実施例では、このような管理エリアを持たない独自のフォーマット形式を採用している。独自フォーマットでは、FATファイルシステムの管理エリアに匹敵する部分を、フレームフィールド27(図7)内の1つずつのフレーム単位のフレームヘッダ部分、及びエリア情報フィールド28(図7)に含ませている。このため、SDカード内のどの部分にデータを書き込んでいるときに突発的なイベントが発生しても、時系列のリンクが崩れることがない。もし、SDカードにデータを書き込んでいる最中にSDカードを引き抜いても、管理エリアの破壊に起因してSDカードの全域のデータが読み出せなくなってしまう事態が発生することを防止できる。このように、記録の安全性能アップを図ることができる。
さらに、独自のフォーマット形式を採用しているため、一般的な情報端末によって読み出し及び書き換えを容易に行うことができない。このため、第10実施例によるシステムは、セキュリティ要素、改ざん防止要素の高いものになる。このように、映像の信憑性が高まるとともに、セキュリティ性能の向上を図ることができる。
第10実施例では、映像データを記録領域31に記録した後に、映像データを複数の処理単位36に区分することができる。処理単位36に区分した後、処理単位36ごとの処理を行うことができる。処理単位ごとの処理として、例えば、処理単位36ごとに属性を付与する処理、処理単位36の先頭から映像データを頭出し再生する処理、複数の処理単位36を一覧にして表示する処理等を実現することができる。これにより、ユーザにとって、より使い勝手のよいシステムとなる。
ドライブレコーダ1への電源供給の開始を契機とする時点及び停止を契機とする時点を、映像データを区分するときの区分条件とすることができる。さらに、一定の時間間隔、例えば1分、2分、3分という間隔で区分するという区分条件でより小さな処理単位36に区分することができる。この区分条件は、例えば、ユーザの操作によってドライブレコーダ1やパソコン60に入力することができる。
ユーザが所望の区分条件を入力することにより、所望の区分条件で映像データを区分することができる。映像データの一部分に特定の属性を付与したいユーザは、その一部分が他の部分に対して区分されるような区分条件を入力するとよい。
ユーザは、ドライブレコーダ1が液晶ディスプレイ8に表示した一覧(図22C)、パソコン60がモニタ67に表示した一覧(図24B、図25B)を見て、容易に処理単位36ごとの属性を確認することができる。処理単位36ごとの属性として、例えば処理単位36に含まれる先頭の映像データを取得した日時、先頭の映像データのサムネイル等を表示すると、ユーザは、日時の情報、またはサムネイルを見て、再生して確認したい映像データや、消去したい映像データを容易に見つけ出すことができる。
ドライブレコーダ1の液晶ディスプレイ8やパソコン60のモニタ67に表示された複数の処理単位36の属性に基づいて、ユーザは処理を行いたい一部の処理単位36を選択することができる。これにより、ユーザが選択した一部の処理単位36に対して処理を行うことができる。ユーザは、選択した処理単位36に特定の属性を付与することができる。例えば、処理単位36ごとの処理として、「再生対象から除外する」という属性を付与する処理を行うことができる。
第10実施例で採用されているSDカードの独自のフォーマットでは、メモリ空間内のセクタをシーケンシャルに使用しているため、中間の一部のセクタの映像データのみを消去することが困難である。第10実施例では、映像データを消去する代わりに、処理単位36に「再生対象から除外する」という属性を付与することにより、その処理単位内の映像データを抜かして再生することができる。複数の処理単位36の属性を、一覧表形式で表示する際に、「再生対象から除外する」という属性が付与された処理単位36は一覧として表示しない。このため、映像データを消去したこととほぼ同等の機能を実現することができる。ユーザは、例えば第三者に見られたくない映像データを再生対象から除外することができる。
再生対象から除外された処理単位36内の映像データは、記録領域から削除されるわけではないため、一旦再生対象から除外した処理単位の属性を、「再生対象から除外しない」に戻すことができる。
ユーザは、映像データの現在の区分では、映像データに対する所望の処理を行うことが困難であるとき、区分条件を変更することにより、所望の処理を行いやすいように映像データを再区分することができる。
映像データの記録にFATファイルシステムを用いている場合には、映像データのファイル単位に区分した後、異なる区分条件で再区分することは困難である。第10実施例によるシステムにおいては、ユーザの所望の区分条件で映像データを再区分することができるため、ユーザにとって使い勝手がよい。さらに、再区分を行ってもフレームフィールド27(図7)内の映像データ自体は何ら変更されない。このため、映像データの再区分を行う際に、映像データのデコード及びエンコードを行う必要がない。すなわち、映像データを改ざんすることなく再区分を行うことができる。これに対し、FATファイルシステム等において映像データファイルの分割及び結合を行うには、映像データのデコード及びエンコードを行わなければならない。
ユーザが特定の処理単位36を選択すると、システムは、記録領域31内の位置を特定する情報を利用して、選択された処理単位36の映像データに短時間でアクセスすることができる。ユーザにとっては、操作性の向上が図られる。この情報は、処理単位36内の先頭の映像データが記録されている記録領域31内の位置を特定する情報とするとよい。例えば、頭出し再生時にこの情報を利用すると、処理単位36の先頭の映像データの頭出し時間を短縮することができる。
映像データを一定時間間隔で区分すると、記録領域31内の映像データの開始時点から所望の映像データまでの経過時間を覚えているユーザは、先頭から何個目の処理単位36に所望の映像データが含まれているかを容易に計算することができる。これにより、ユーザは、所望の映像データが含まれている処理単位に容易にアクセスすることができる。
ユーザは、走行単位32ごとに映像データの処理を行いたい場合が多い。第10実施例による区分方法においては、一定の時間間隔で区部するという区分条件で区分されて得られた処理単位36が、電源条件に基づいて区分して得られた2つの処理単位(走行単位)に跨ることが防止される。このため、ユーザの要望に沿った形態で処理単位36に区分することができる。走行単位32の先頭から所望の映像データまでの経過時間を覚えているユーザは、走行単位32の先頭から何個目の処理単位36に所望の映像データが含まれているかを容易に計算することができる。これにより、ユーザは、走行単位32内において、所望の映像データが含まれている処理単位36に容易にアクセスすることができる。
区分条件として電源条件のみを用いて映像データを区分すると、ユーザは、例えば車両のアクセサリ電源がオンになった時点の映像データを容易に探し出すことができる。
図30に示したように、最新のサイクルC(n+1)の後尾に位置する再生対象から除外した映像データを新しい映像データで上書きすることにより、現在進行中のサイクルC(n+1)で記録した最も古い映像データの上書きを開始するまでの時間が長くなる。現在進行中のサイクルC(n+1)で消去を欲しない映像データが記録されている場合、例えば、ユーザが上書き回避の処理を行うまでの時間的余裕が得られる。
[第10実施例の変形例]
次に、第10実施例の変形例について説明する。
第10実施例では、映像データの区分条件として一定の時間間隔及び電源条件を用いたが、その他に、種々のセンサによって取得された情報に基づいて区分条件を設定してもよい。
第10実施例では、映像データを再生する際に、再生対象から除外された映像データを抜かして、再生対象から除外していない映像データの再生を継続することとしたが、再生対象から除外された映像データに達した時点で再生を停止してもよい。
第10実施例では、一定の時間間隔で映像データを処理単位36に区分する際に、処理単位36が2つの走行単位32に跨らないように区分したが、走行単位32を考慮することなく、全体の映像データを一定の時間間隔で区分してもよい。これにより、記録領域31内のすべての処理単位36の先頭の映像データから後尾の映像データまでの経過時間を一定にすることができる。このように区分すると、ユーザは、処理単位36ごとの映像データの確認に要する負担を均一化することができる。
[第11実施例]
次に、図31を参照して第11実施例によるシステムについて説明する。以下、第10実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。第11実施例では、第1実施例〜第9実施例に示したインジケータ50(図8A、図9A〜図9F、図11等)を、ドライブレコーダ1の液晶ディスプレイ8またはパソコン60のモニタ67に表示する。
図31は、第11実施例によるシステムがドライブレコーダ1の液晶ディスプレイ8またはパソコン60のモニタ67に表示したインジケータ50を示す図である。最新のサイクルC(n+1)の後尾に、上書き中の位置を示す目印54が表示されている。走行単位32ごとにインジケータ50を異なる色で塗りつぶしている。映像データが処理単位36に区切られており、処理単位36の境界に相当する位置に区切り位置を示す目印58、例えば横線を表示する。
ユーザは、映像データを区切る機能によって区切られた位置を容易に把握することができる。区切り位置を示す目印58としての横線に代えて処理単位36ごとに異なる色を付し、異なる色の部分の境界を目印58としてもよい。
[第12実施例]
次に、図32を参照して第12実施例によるシステムについて説明する。以下、第10実施例との相違点について説明し、共通の構成については説明を省略する。第12実施例では、ドライブレコーダ1及びパソコン60が、映像データを区切った区切り条件をSDカード内に格納する。
図32は、第12実施例によるシステムで用いられるSDカード30のメモリ空間の割り当てを示す図である。SDカード30のメモリ空間に常時録画用の記録領域31の他に区分条件記憶領域37が確保されている。記録領域31は、最新のサイクルC(n+1)で映像データを記録した領域、及び直前のサイクルC(n)で映像データを記録した領域を含んでいる。
ドライブレコーダ1及びパソコン60は、ユーザによって入力された区分条件を、SDカード30の区分条件記憶領域37に記憶させる。
SDカード30を第12実施例によるシステムのドライブレコーダ1(第1の装置)とパソコン60(第2の装置)との間で移動させることにより、記録領域31に記録されている映像データ及び区分条件をドライブレコーダ1からパソコン60に、またはその逆に引き渡すことができる。例えば、映像データを記録したドライブレコーダ1とは異なる装置であるパソコン60で映像データを区分する区分条件を入力し、入力された区分条件をドライブレコーダ1に引き渡すことができる。その逆に、ドライブレコーダ1で設定された区分条件に基づいて映像データを区分する機能をパソコン60に持たせてもよい。
例えば、車両に搭載されたドライブレコーダ1が収集した映像データを、外部のパソコン60が区分するようにしてもよい。一般的に、パソコン60のモニタ67は、車両に搭載されるドライブレコーダ1の液晶ディスプレイ8より大きい。ユーザは、パソコン60で、各処理単位36の先頭の映像データを取得した日時やサムネイルを容易に確認することができる。これにより、ユーザは、映像データに対する処理単位ごとの操作を容易に行うことができる。
上述の各実施例は例示であり、異なる実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。各実施例に記載の各構成要素は、任意に組み合わせるとよい。また、課題を解決する手段に記載の発明や各構成要素を、各実施例の各構成要素の組み合わせにさらに適用してもよい。複数の実施例の同様の構成による同様の作用効果については実施例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。