JP2018004305A - 汚染土壌の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡素な工程で、低コストに放射性セシウムを含む汚染土壌を処理することが可能な汚染土壌の処理方法を提供する。
【解決手段】放射性セシウムを含む汚染土壌に、前記放射性セシウムを安定的に固定する汚染土壌の処理方法であって、前記汚染土壌を加熱して所定時間保持することにより、前記放射性セシウムを含む焼成物又は溶融物を生成させる熱処理工程を少なくとも備えたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

この発明は、放射性セシウムを含む汚染土壌に、放射性セシウムを安定的に固定化させる汚染土壌の処理方法に関するものである。
近年、原子力発電所の大きな事故によって、セシウムの同位体であるセシウム137およびセシウム134(以下、放射性セシウムと称する)が放出されて拡散し、原子力発電所の周辺の土壌が放射性セシウムによって広範囲に汚染されるという事態が生じている。放射性セシウムは、軽水炉の燃料として用いられるウラン235などの核分裂反応によって生じ、強いガンマ線を放射する。例えば、1gのセシウム137の放射能量は、約3.2TBqであり、半減期は約30年である。このため、放射性セシウムによって土壌が汚染されると、長期間に亘って人体に悪影響を与える懸念がある。このため、放射性セシウムによって汚染された土壌(以下、汚染土壌と称する)から放射性セシウムを分離、回収する、いわゆる除染が行われている。
従来、汚染土壌から放射性セシウムを除去する方法として、例えば、除染対象物と、CaO源及び/又はMgO源とを1200〜1350℃で加熱して、放射性セシウムを揮発、分離させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、除染対象物に無機カルシウム化合物と塩化ナトリウムとを添加して、900℃以上1200℃以下で30分以上120分以下の熱処理することにより、放射性セシウムを揮発させる方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特許第5159971号公報 特許第5175995号公報
特許文献1や特許文献2に開示された放射性セシウムの除去方法では、いずれも、汚染物(除染対象物)に対して固形状態や粉末状態の添加物を添加して熱処理を行い、放射性セシウムを他の土壌成分から分離させている。そして、分離させた放射性セシウムを回収手段によって回収している。
しかしながら、このような放射性セシウムを分離、回収する方法では、分離した放射性セシウムが濃縮されて高濃度になり、強い放射線を出す放射性廃棄物として、高度に管理された施設等に保管する必要が生じるという課題があった。
また、一般的に汚染土壌の除染は、農地や山林などを含む広範囲の表土が対象となるため、処理する量も非常に多く、特許文献1や特許文献2に示した放射性セシウムを分離させる方法では多量の添加物が必要になり、汚染土壌の除染処理を行うコストの大幅な増大を招くという課題もあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、簡素な工程で、低コストに放射性セシウムを含む汚染土壌を安定化することが可能な汚染土壌の処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のいくつかの態様は、次のような汚染土壌の処理方法を提供した。
すなわち、本発明の汚染土壌の処理方法は、放射性セシウムを含む汚染土壌に、前記放射性セシウムを安定的に固定する汚染土壌の処理方法であって、前記汚染土壌を加熱して所定時間保持することにより、前記放射性セシウムを含む焼成物又は溶融物を生成させる熱処理工程を少なくとも備えたことを特徴とする。
本発明の汚染土壌の処理方法によれば、放射性セシウムを含む汚染土壌を加熱して所定時間維持する熱処理を行い、汚染土壌の構成成分による焼成物又は溶融物を形成することにより、この焼成物又は溶融物に放射性セシウムが取り込まれる。こうして得られた処理済土壌は、汚染土壌と比較して放射性セシウムが容易に飛散、拡散しない焼成物又は溶融物として存在しているため、放射能が溶出・流出することのない安全な処理済土壌として再利用や、一般的な保管場所で保管することができる。
従来の放射性セシウムを含む汚染土壌の処理では、放射性セシウムと結合する添加剤を加えて熱処理によって反応させ、分離した放射性セシウムが濃縮された放射性廃棄物を回収して高度に管理された施設等に保管する必要があった。しかし、本発明の汚染土壌の処理方法では、放射性セシウムを汚染土壌から分離せずに、汚染土壌内に安定的に固定することで、保管や再利用が極めて容易である。
また、放射性セシウムを汚染土壌から分離させず、熱処理を行うだけでよいので、放射性セシウムと結合する添加剤が不要であり、分離した放射性セシウムを回収する設備も不要であるため、大量の汚染土壌を低コストに処理することができる。また、熱処理によって処理済土壌は熱処理前よりも減量、減容することにより、保管する際の保管場所の確保も容易になる。
また、熱処理によって生成した放射性セシウムが取り込まれた焼成物又は溶融物は、土壌中に広く存在するアンモニウムイオンと接触しても放射性セシウムが溶出する虞が無く、処理済土壌を汚染土壌の採取地等に戻すなどの再利用を行っても、放射性セシウムが再拡散する虞が無い。
前記熱処理工程は、前記汚染土壌を1000℃以上、1600℃以下の範囲に昇温させ、少なくとも30分以上保持することを特徴とする。
汚染土壌を1000℃を超える高温で熱処理することによって、焼成物又は溶融物を確実に形成することができる。そして、汚染土壌を1000℃を超える高温で熱処理することで、土壌に含まれる有機物は熱分解されるため、処理済土壌を長期間保管しても有機物の腐食によるガス発生の虞が無く、安全に処理済土壌を保管することができる。
前記熱処理工程の前工程として、前記汚染土壌に融点降下剤を混合する融点降下剤混合工程を備えたことを特徴とする。
これによって、汚染土壌を溶融させる場合に汚染土壌の融点(完全溶融温度)を下げることができるため、熱処理を少ないエネルギーで短時間で行うことができ、熱処理に用いる加熱炉もより簡易な低コストのものを用いることができる。
本発明の汚染土壌の処理方法によれば、簡素な工程で、低コストに放射性セシウムを含む汚染土壌を処理することが可能になる。
本発明の汚染土壌の処理方法に適用可能な汚染土壌の処理装置の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る汚染土壌の処理方法を示すフローチャートである。 検証例1の結果を示すグラフである。 検証例1の結果を示すグラフである。 検証例3の結果を示す写真である。 検証例3の結果を示す写真である。 検証例3の結果を示す写真である。 検証例3の結果を示す写真である。 検証例4の結果を示す写真である。
以下、図面を参照して、本発明の汚染土壌の処理方法について説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、簡略化して示している場合があり、実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明の汚染土壌の処理方法に適用可能な汚染土壌の処理装置の一例を示す模式図である。
放射性セシウムを含む汚染土壌の処理に最適な、汚染土壌の処理装置(以下、単に処理装置と称する)10は、乾燥部11、熱処理部12、粉塵処理部13、および造粒部14を備えている。
乾燥部11は、被処理物である放射性セシウムを含む汚染土壌を乾燥させ、含有する水分を蒸発させる。汚染土壌としては、例えば、原子力発電所の事故等で排出された放射性セシウムによって汚染された土壌、汚染土壌の分級により得られる放射性セシウムが濃集した細粒分(シルト・粘土成分)、これら土壌が雨水などで洗い流された汚泥など、放射性セシウムを含むものである。なお、汚染土壌には、放射性セシウム以外の、原子力発電所事故由来の放射性物質によって汚染された土壌も含まれる。
乾燥部11は、こうした汚染土壌に含まれる水分を蒸発させるために、ヒータ装置や、自然乾燥設備などから構成される。乾燥部11は、乾燥された汚染土壌の飛散を防止するために、閉鎖的な構造にすることが好ましい。
熱処理部12は、乾燥部11によって乾燥された汚染土壌を、所定の温度まで昇温させ、所定の時間保持する。
熱処理部12としては、例えば、ロータリーキルン、高周波加熱装置、電気抵抗炉、反射炉などが挙げられる。
ロータリーキルンは、例えば、傾斜して配置された筒状の回転炉の一端から汚染土壌を導入し、回転炉の他端に達する間に、汚染土壌を所定の温度まで昇温させて所定の時間保持するものである。こうしたロータリーキルンを用いる場合には、汚染土壌を完全融解温度に達しない温度近傍まで昇温させて、汚染土壌を焼成することが好ましい。
高周波加熱装置は、例えば、ルツボなどの周囲に誘導コイルを配し、この誘導コイルに高周波電流を流すことによって、ルツボ内に導入した汚染土壌をジュール熱により所定の温度まで昇温させて所定の時間保持するものである。
こうした高周波加熱装置を用いる場合には、例えば、100kHz程度の超高周波電流によって、汚染土壌を完全融解温度以上に昇温させて、汚染土壌を溶融することが好ましい。
粉塵処理部13は、熱処理部12で汚染土壌を熱処理する際に発生する排ガス(揮発成分)に含まれる粉塵を除去する。
粉塵処理部13としては、例えば、重力式集塵機や洗浄集塵機などの集塵機、エアーフィルタなどの濾過設備などが挙げられる。なお、熱処理部12で汚染土壌を熱処理する際に発生する排ガスには、放射性セシウムはほとんど移行しない。よって、こうした粉塵処理部13は、放射性セシウム回収用の特別な機構は不要である。
造粒部14は、熱処理部12によって形成された、熱処理後の塊状になった汚染土壌を、再利用や保管のために適切な粒径にする。
造粒部14としては、例えば、破砕装置や造粒装置などが挙げられる。破砕装置としては、グラインドミルなどを用いることができる。造粒装置としては、転動造粒機、押出し造粒機、圧縮造粒機などを用いることができる。
なお、造粒部14は、熱処理部12の前段に形成することもできる。造粒部14を熱処理部12の前段に形成することによって、熱処理部12で熱処理を行う前の汚染土壌を、予め適切な粒径にした後、熱処理を行うことができる。さらに、造粒部14を熱処理部12の前段と後段の両方に形成することもできる。
なお、処理装置10には、更に乾燥部11の前段として、選別機を備えることも好ましい。汚染土壌が、例えば、農地やグラウンドなどの表土を削り取った土である場合、そのままの状態では金属、プラスチックなどの異物が混入していることがある。このため、汚染土壌を乾燥部11に導入する前工程として、選別機を設ける構成も好ましい。選別機としては、例えば、粒径によって選別を行う篩、磁性によって選別を行う磁石、比重によって選別を行う送風装置などが挙げられる。こうした選別機を用いて、大きな石、金属、プラスチックなどを汚染土壌から取り除けばよい。
以上のような処理装置10を用いた、本発明の汚染土壌の処理方法を説明する。
図2は、汚染土壌の処理方法を段階的に示したフローチャートである。
本発明の処理方法によって放射性セシウムを含む汚染土壌を処理する際には、まず、汚染土壌を乾燥部11で乾燥させて、汚染土壌から水分を蒸発させる(乾燥工程S1)。
次に、乾燥後の汚染土壌を熱処理部12によって熱処理する(熱処理工程S2)。熱処理工程S2では、少なくとも汚染土壌の構成物が焼成物又は溶融物を形成可能な温度以上になるように加熱し、この温度で所定時間保持する。これによって、放射性セシウムは、汚染土壌の熱処理によって生じる焼成物又は溶融物に取り込まれる。そして、放射性セシウムが容易に拡散しない状態で土壌の焼成物又は溶融物内に固定された、処理済の汚染土壌(以下、単に処理済土壌と称する)が得られる。
熱処理工程S2では、放射性セシウムと反応する添加物などを特に加えずに、汚染土壌を焼成、ないし溶融する。熱処理工程S2における熱処理条件としては、少なくとも汚染土壌の構成物が焼成物又は溶融物を形成可能な温度である完全溶融温度近傍、または完全溶融温度以上に加熱する。ここで、汚染土壌の完全溶融温度とは、一般的な土壌の主成分であるカリ長石、黒雲母、斜長石、斜方輝石、普通角閃石、スメクタイト、石英などが溶融可能である1500℃近傍の温度、例えば、1000℃以上、1600℃以下の範囲である。また、こうした熱処理温度を維持する所定時間は、汚染土壌全体に焼成物又は溶融物を形成するために充分な時間、例えば、30分以上である。なお、土壌の融点(完全溶融温度)は土壌の成分構成によって異なるため、汚染土壌の熱処理温度は、少なくとも汚染土壌の構成物が焼成物又は溶融物を形成可能な温度であればよい。
一般的な土壌成分であるカリ長石、黒雲母、斜長石、斜方輝石、普通角閃石、スメクタイト、石英などを含む土壌を、例えば1000℃程度まで加熱すると、土壌中の黒雲母は分解溶融し、斜長石やカリ長石は周縁部が溶融してガラス化する。こうして生じたガラス相は、カリウムを多く含む組成を示すとされている。
これにより、汚染土壌を完全溶融温度近傍の温度まで加熱し、所定時間保持すると、汚染土壌は部分融解し、カリウムに富む低融点組成の安定な焼成物又は溶融物が生成される。この時、放射性セシウムはカリウムと同じ化学挙動を示すと考えられ、カリウムに富む焼成物又は溶融物に放射性セシウムが取り込まれることによって、放射性セシウムが容易に拡散せずに汚染土壌内で安定化する。
こうした汚染土壌の構成成分による焼成物又は溶融物の生成は、土壌を完全溶融温度以下で、かつ完全溶融温度近傍(例えば1000℃程度)まで昇温させる焼成や、土壌を完全溶融温度以上(例えば1500℃程度)まで昇温させる溶融のいずれによっても行うことができる。
なお、この熱処理工程S2においては、汚染土壌を熱処理する際に排ガスが生じるが、こうした排ガス中に放射性セシウムは殆ど含まれず、放射性セシウム以外の土壌成分の加熱による粉塵を含むガスである。よって、一般的な集塵装置などからなる粉塵処理部13によって微細粉塵を取り除き、残りのガスは屋外の大気中に放出することができる。
また、熱処理工程S2に投入する汚染土壌に、予め融点降下剤を混合する融点降下剤混合工程S3を備えていることも好ましい。汚染土壌に予め融点降下剤を混合しておくことによって、上述した放射性セシウムを取り込んだ焼成物又は溶融物の生成温度を低下させ、熱処理工程S2での加熱に要する時間やエネルギーを節減することができ、より一層効率的に汚染土壌の熱処理を行うことができる。
次に、処理済土壌を造粒部14によって一定の粒径にする(造粒工程S4)。
熱処理工程S2を経て得られた処理済土壌は、汚染土壌を完全溶融温度近傍又は完全溶融温度以上まで加熱することにより、比較的サイズの大きい塊状になっている場合がある。こうした塊状の処理済土壌を、再利用や保管を容易にするために、粒径を一定の範囲にすることか好ましい。
造粒工程S4では、処理済土壌を転動造粒機、押出し造粒機、圧縮造粒機などの造粒機によって、一定の範囲の粒径の粒状体にする。なお、汚染土壌を完全溶融温度以上に加熱して溶融物にした場合、熱処理工程S2後の処理済土壌は塊状になっているので、造粒前に予め塊状の処理済土壌を、例えば、グラインドミルなどの破砕装置を用いて細粒化しておく。
なお、造粒工程S4を熱処理工程S2の前段側で行い、その後、熱処理工程S2で焼成を行う場合には、焼成後の処理済土壌は一定の範囲の粒径の焼成物になっているので、熱処理工程S2の後段で造粒工程S4を行う必要は無い。
こうして得られた粒状の処理済土壌は、再生土壌としての再利用や、放射線量が低減するまで所定の保管所で保管する。
以上のような構成の汚染土壌の処理方法の作用を説明する。本発明の汚染土壌の処理方法によれば、放射性セシウムを含む汚染土壌を完全溶融温度点近傍まで昇温させて所定時間維持する熱処理を行うことによって、汚染土壌の構成成分による焼成物又は溶融物が形成され、この焼成物又は溶融物に放射性セシウムが取り込まれる。こうして得られた処理済土壌は、汚染土壌と比較して放射性セシウムが容易に飛散、拡散しない焼成物又は溶融物として存在しているため、放射能が溶出・流出しない安全な処理済土壌として再利用や、一般的な保管場所で保管することができる。
従来の放射性セシウムを含む汚染土壌の処理では、放射性セシウムと結合する添加剤を加えて熱処理によって反応させ、分離した放射性セシウムが濃縮された高レベル放射性廃棄物を回収して高度に管理された施設等に保管する必要があった。しかし、本発明の汚染土壌の処理方法では、放射性セシウムを汚染土壌から分離せずに、汚染土壌内に安定的に固定することで、保管や再利用が極めて容易である。
また、放射性セシウムを汚染土壌から分離させず、熱処理を行うだけでよいので、放射性セシウムと結合する添加剤が不要であり、分離した放射性セシウムを回収する設備も不要であるため、大量の汚染土壌を低コストに処理することができる。また、熱処理によって処理済土壌は熱処理前よりも減量、減容することにより、保管する際の保管場所の確保も容易になる。
また、熱処理によって生成した放射性セシウムが取り込まれた焼成物又は溶融物は、土壌中に広く存在するアンモニウムイオンと接触しても放射性セシウムが溶出する虞が無く、処理済土壌を汚染土壌の採取地等に戻すなどの再利用を行っても、放射性セシウムが再拡散する虞が無い。
また、汚染土壌を1000℃を超える高温で熱処理することによって、土壌に含まれる有機物は熱分解されるため、処理済土壌を長期間保管しても有機物の腐食によるガス発生の虞が無く、安全に処理済土壌を保管することができる。
また、造粒工程によって処理済土壌を一定範囲の粒径の粒状体にすることによって、保管時の容器への収納や取出しなど取り扱い性が大幅に向上する。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明の効果を検証した実施例を説明する。
[検証例1]
2011年福島第一原子力発電所事故による放射性セシウムの拡散によって生じた汚染土壌(乾燥工程後に150μm以下に分級したもの)を用意した。この汚染土壌を箱形電気炉を用いて熱処理を行った。熱処理温度は800℃、1000℃、1100℃、1500℃として、上述したそれぞれの熱処理温度での保持時間を30分、60分、および120分に設定し、それぞれの処理済土壌の試料を得た。なお、熱処理中は炉内に乾燥空気を供給した。また、比較例として、熱処理を行わない汚染土壌を用意した。得られた処理済土壌、および熱処理を行わない汚染土壌を酢酸アンモニウム水溶液(濃度:1mol/L)を溶媒として放射性セシウムの溶出量を測定した(土壌溶出試験:環境省告示第18号に準拠、スラグ溶出試験:JIS K 0058-1に準拠)。
こうした検証例1の結果として、図3に、熱処理時間と放射性セシウムの溶出率との関係を、熱処理温度(800℃、1000℃、1100℃)ごとにに示した。また、図4に、熱処理温度と放射性セシウムの溶出率との関係を、熱処理時間(30分、60分、120分)ごとに示した。
図3に示す検証例1の結果によれば、汚染土壌を焼成を想定した1100℃で熱処理を行った場合、保持時間30分で放射性セシウムの溶出率0.4%、60分で検出下限以下になることが分かった。また、図4に示す検証例1の結果によれば、汚染土壌の溶融を想定した1500℃で加熱した場合、保持時間30分で溶出率が検出下限以下になることが分かった。
[検証例2]
検証例1に用いた汚染土壌と同じ土壌を管状加熱炉に入れ、1100℃、および1500℃で60分間保持し、管状加熱炉の管内面、及び排ガス出口のフィルタ中のそれぞれの放射性セシウムの放射線量を測定した。なお、熱処理中は炉内に乾燥空気を供給した。この検証例2の結果を表1に示す。
表1に示す検証例2の結果によれば、いずれの測定箇所においても、1100℃、および1500℃共に放射性セシウムの排出ガス成分への移行率は検出下限以下であり、熱処理によって生じる排ガス中に放射性セシウムが揮発しないことが確認された。
[検証例3]
検証例1に用いた汚染土壌、および熱処理を行った後の処理済土壌のそれぞれについて、EPMA(電子線マイクロアナライザ)による分析を行った。熱処理前の汚染土壌を図5、1000℃:60分での加熱を図6、1100℃:60分での加熱を図7、1500℃:60分での加熱を図8に、それぞれ示す。
検証例3の結果によれば、加熱前の土壌にはカリ長石、黒雲母、斜長石、斜方輝石、普通角閃石、スメクタイト、石英を含んでいるが、1100℃に加熱すると汚染土壌中の黒雲母は分解溶融し、斜長石やカリ長石は周縁部が溶融してガラス化することが示された。この溶融したガラス相は、カリウムを多く含む組成を示すことが分かった。このことより、土壌を焼成すると土壌は部分融解し、カリウムに富む低融点組成の安定な焼成物又は溶融物が形成されると考えられる。放射性セシウムはカリウムと同じ化学挙動を示すと考えられるため、このカリウムに富むガラス相が放射性セシウムの安定化に重要な役割を果たしていると推定される。
[検証例4]
汚染土壌の熱処理の溶融挙動を明らかにするために、熱処理前の汚染土壌のXRF分析(組成)、熱処理前の汚染土壌の組成を元に化学熱力学データベースを用いた融点(完全融解温度及び最低融解温度)及び最低融解温度の部分溶融時の化学組成の解析(MELTS解析)、1100℃加熱時の部分溶融部分のEPMA分析による組成分析を実施した。こうした検証例4の結果を表2、表3に示す。表3に示すように、汚染土壌の最低融解温度は約780℃、完全融解温度は約1230℃であることが示された。放射性セシウムの溶出を抑制できる熱処理温度条件は、最低融解温度と完全融解温度の間で十分であることが分かった。
一方、汚染土壌を完全に溶融した場合は、土壌はガラス化することが確認できた。図9に汚染土壌を1400℃および1500℃まで熱処理した後の外観写真を示す。図8に示すように1400℃で熱処理を行った場合は、溶融した汚染土壌内に気泡が残留し、処理済土壌の体積が増加することが分かった。一方、汚染土壌を1500℃で熱処理した場合、溶融した汚染土壌内に残留する気泡は僅かであり、処理済土壌の減容効果が期待できることが分かった。よって、溶融温度まで熱処理を行う場合には、1500℃程度の温度条件にて熱処理することが好ましいことが分かった。
10 汚染土壌の処理装置
11 乾燥部
12 熱処理部
13 粉塵処理部
14 造粒部

Claims (3)

  1. 放射性セシウムを含む汚染土壌に、前記放射性セシウムを安定的に固定する汚染土壌の処理方法であって、
    前記汚染土壌を加熱して所定時間保持することにより、前記放射性セシウムを含む焼成物又は溶融物を生成させる熱処理工程を少なくとも備えたことを特徴とする汚染土壌の処理方法。
  2. 前記熱処理工程は、前記汚染土壌を1000℃以上、1600℃以下の範囲に昇温させ、少なくとも30分以上保持することを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の処理方法。
  3. 前記熱処理工程の前工程として、前記汚染土壌に融点降下剤を混合する融点降下剤混合工程を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の汚染土壌の処理方法。
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