JP2018004025A - 減衰弁および緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】二輪車における乗り心地を効果的に向上可能な減衰弁およびこの減衰弁を備えた緩衝器の提供である。
【解決手段】本発明の減衰弁Vは、伸側室R1と圧側室R2を連通する伸側通路3と圧側通路4とを有するバルブディスク2と、バルブディスク2に離着座して伸側通路3を開閉する伸側弁体5と、バルブディスク2に離着座して圧側通路4を開閉する圧側弁体6と、伸側弁体5の開弁圧を制御する伸側制御弁CVeと、圧側弁体6の開弁圧を制御する圧側制御弁CVcと、伸側制御弁CVeと圧側制御弁CVcを駆動する制御部Sとを備えて構成されている。
【選択図】図2
【解決手段】本発明の減衰弁Vは、伸側室R1と圧側室R2を連通する伸側通路3と圧側通路4とを有するバルブディスク2と、バルブディスク2に離着座して伸側通路3を開閉する伸側弁体5と、バルブディスク2に離着座して圧側通路4を開閉する圧側弁体6と、伸側弁体5の開弁圧を制御する伸側制御弁CVeと、圧側弁体6の開弁圧を制御する圧側制御弁CVcと、伸側制御弁CVeと圧側制御弁CVcを駆動する制御部Sとを備えて構成されている。
【選択図】図2
Description
この発明は、減衰弁および緩衝器に関する。
従来、減衰力調整可能な減衰弁にあっては、たとえば、自動車等のサスペンションに用いられる緩衝器に適用されており、シリンダ内にピストンで区画された伸側室と圧側室を連通する伸側通路と圧側通路のそれぞれの出口端を開閉する伸側リーフバルブおよび圧側リーフバルブと、伸側リーフバルブおよび圧側リーフバルブを附勢する背圧を調整する圧力制御弁とで構成されるものがある。
この減衰弁は、圧力制御弁で前記した背圧を調整して、伸側リーフバルブおよび圧側リーフバルブの開弁圧を制御し、緩衝器の伸長側の減衰力と収縮側の減衰力を一つの圧力制御弁のみを使用して制御できるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。
従来の減衰弁は、前述のように一つの圧力制御弁で伸側リーフバルブと圧側リーフバルブの双方の背圧を調整するので、たとえば、減衰力をハードに設定して高い減衰力を発揮する場合、圧力制御弁の開弁圧を大きくする。すると、伸側リーフバルブと圧側リーフバルブを附勢する背圧が大きくなるので、伸側リーフバルブと圧側リーフバルブの双方とも開弁圧が大きくなって、伸側減衰力と圧側減衰力はともにハードに設定される。
同様に、減衰力をソフトに設定して低い減衰力を発揮する場合、従来の減衰弁では、圧力制御弁の開弁圧を小さくして、伸側リーフバルブと圧側リーフバルブの双方の開弁圧を小さくするために、伸側減衰力と圧側減衰力はともにソフトに設定される。このように、従来の減衰弁では、一つの圧力制御弁の制御によって伸側減衰力と圧側減衰力を調整でき四輪自動車における乗り心地を向上できる。
ところが、二輪車では、車体が四輪自動車に比較して非常に軽量で振動周波数が四輪自動車に比較すると高いので、伸側減衰力と圧側減衰力のレベルが同じに設定されると、つまり、伸側減衰力と圧側減衰力がともにハード或いはともにソフトに設定されると、緩衝器の伸縮の切換わりで減衰力の大きさを変更しようとしてもシステムの応答に時間がかかって減衰力調整が間に合わず却って車両における乗り心地を損なってしまうのが分かった。
よって、従来の減衰弁を適用した緩衝器を二輪車のサスペンションに用いて、減衰力調整を行い車体の振動を抑制しようとしても、車両における乗り心地を効果的に向上するには至らない。
そこで、本発明は、前記した点を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、二輪車における乗り心地を効果的に向上可能な減衰弁およびこの減衰弁を備えた緩衝器の提供である。
前記した目的を解決するために、本発明の減衰弁は、伸側室と圧側室を連通する伸側通路と圧側通路とを有するバルブディスクと、伸側通路を開閉する伸側弁体と、圧側通路を開閉する圧側弁体と、伸側弁体の開弁圧を制御する伸側制御弁と、圧側弁体の開弁圧を制御する圧側制御弁と、制御部とを備えて構成されている。本発明の減衰弁によれば、伸側減衰力をハードにする場合には圧側減衰力をソフトに調整でき、伸側減衰力をソフトにする場合には圧側減衰力をハードに調整でき、さらには、伸側減衰力をミディアムにする場合には圧側減衰力もミディアムに調整できる。
また、請求項2の減衰弁では、伸側制御弁が伸側背圧室と圧側室とを連通する伸側制御通路を開閉する伸側制御弁体と、伸側ばね受と、伸側制御弁体を附勢する伸側ばねとを有し、圧側制御弁が圧側背圧室と伸側室とを連通する圧側制御通路を開閉する圧側制御弁体と、圧側ばね受と、圧側制御弁体を附勢する圧側ばねとを有し、ソレノイドで伸側ばね受と圧側ばね受とを駆動するようになっている。このように減衰弁が構成されると、単一のソレノイドによって伸側減衰力と圧側減衰力の大きさを伸側と圧側とで反対となるように調整でき、コストが安価となる。
さらに、請求項3の減衰弁では、伸側ばね受と圧側ばね受とを連係させる連係軸を有し、ソレノイドで連係軸を駆動して伸側ばね受と圧側ばね受を駆動する。このように減衰弁が構成されると、連係軸で伸側ばね受と圧側ばね受とを連係させて駆動できるので、簡単な構造で減衰弁を実現できる。なお、連係軸は、ピストン保持部材の保持軸に設けた中空部内に挿通される構造を採用すると、緩衝器のピストン部に無理なく連係軸を組み込めて、減衰弁を小型化できる。
また、請求項4の減衰弁では、伸側弁体および圧側弁体が環状のリーフバルブとされている。このように減衰弁が構成されると、伸側および圧側のリーフバルブはポペット弁等といった他の形態の弁に比較して軸方向の厚みが短く、緩衝器のピストン部に減衰弁を適用した場合に、減衰弁の全長を短くできる。なお、伸側弁体および圧側弁体には、リーフバルブ以外の形態のポペット弁等の他の形態の弁体の利用が可能である。
さらに、請求項5の緩衝器は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダ内に挿入されてピストンに連結されるピストンロッドとを備え、ピストンをバルブディスクとしている。このように緩衝器が構成されると、伸側減衰力をハードにする場合には圧側減衰力をソフトに調整でき、伸側減衰力をソフトにする場合には圧側減衰力をハードに調整でき、さらには、伸側減衰力をミディアムにする場合には圧側減衰力もミディアムに調整できる。
よって、本発明の減衰弁および緩衝器によれば、二輪車における乗り心地を効果的に向上できる。
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態における減衰弁Vは、図1および図2に示すように、緩衝器Dのピストン部に適用されている。具体的には、減衰弁Vは、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2に区画するとともに伸側室R1と圧側室R2を連通する伸側通路3と圧側通路4とを有するバルブディスクとしてのピストン2と、ピストン2に離着座して伸側通路3を開閉可能な伸側弁体としての伸側リーフバルブ5と、ピストン2に離着座して圧側通路4を開閉可能な圧側弁体としての圧側リーフバルブ6と、伸側リーフバルブ5の開弁圧を制御する伸側制御弁CVeと、圧側リーフバルブ6の開弁圧を制御する圧側制御弁CVcと、伸側制御弁CVeと圧側制御弁CVcを制御する制御部としてのソレノイドSとを備えて構成されている。
また、本実施の形態の減衰弁Vが適用される緩衝器Dは、本例では、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1に移動自在に挿入されてシリンダ1内を図中上方の伸側室R1と図中下方の圧側室R2と区画するピストン2と、シリンダ1内に移動自在に挿入されるとともにピストン2に連結されるピストンロッド12と、シリンダ1内にリザーバRを区画する仕切部材13と、仕切部材13に設けられて圧側室R2からリザーバRへ向かう流体の流れのみを許容しこの流れに抵抗を与えるベースバルブ14を有する排出通路15と、仕切部材13に設けられてリザーバRから圧側室R2へ向かう流体の流れのみを許容する逆止弁16を有する吸込通路17とを備えて構成されている。また、伸側室R1、圧側室R2およびリザーバR内には流体として作動油が充填されるとともにリザーバRには作動油の他に気体が充填されている。なお、流体には、作動油以外にも、減衰弁Vにて減衰力を発揮可能な流体を使用可能である。本例では、緩衝器Dは、図1に示すように、シリンダ10の下端に図外の二輪車の車軸を支持するアクスルブラケットABを介して連結されてシリンダ1の外周に設けられるインナーチューブITと、ピストンロッド12の上端が連結されてインナーチューブITが摺動自在に挿入されるアウターチューブOTとを備えた二輪車用のフロントフォークFに内蔵されている。なお、図2では、アウターチューブOTの記載を省略している。
前述のように構成された緩衝器Dは、収縮作動する際には、ピストン2が図1中下方へ移動して圧側室R2が圧縮され、圧側室R2内の作動油が圧側通路4を介して伸側室R1へ移動する。また、緩衝器Dの収縮動時には、ピストンロッド12がシリンダ1内に侵入するためシリンダ1内でピストンロッド侵入体積分の作動油が過剰となり、過剰分の作動油がシリンダ1から押し出されて排出通路15を介してリザーバRへ排出される。緩衝器D1は、シリンダ1内からリザーバRへ移動する作動油の流れにベースバルブ14で抵抗を与え、圧側室R2内の圧力を上昇させるとともに、圧側リーフバルブ6により圧側室R2から伸側室R1へ向かう流体の流れに抵抗を与えて圧側室R2と伸側室R1の圧力に差を生じせしめて圧側減衰力を発揮する。
反対に、緩衝器Dが伸長作動する際には、ピストン2が図1中上方へ移動して伸側室R1が圧縮され、伸側室R1内の作動油が伸側通路3を介して圧側室R2へ移動する。この伸長作動時には、ピストン2が上方へ移動してピストンロッド12がシリンダ1内から退出してシリンダ1内でピストンロッド退出体積分の作動油が不足するため、この不足分の作動油は吸込通路17を介してリザーバRから供給される。そして、緩衝器Dは、伸側室R1から圧側室R2へ移動する作動油の流れに伸側リーフバルブ5で抵抗を与え、伸側室R1内の圧力を上昇させて伸側室R1と圧側室R2の圧力に差を生じせしめて伸側減衰力を発揮する。
以下、減衰弁Vおよび緩衝器Dについて詳細に説明する。図2に示すように、ピストンロッド12は、本例では、ピストン2を保持するピストン保持部材24と、一端がピストン保持部材24に連結されてピストン保持部材24とともにソレノイドSを収容するソレノイド収容筒25と、一端がソレノイド収容筒25に連結されるとともに他端がシリンダ10の上端から外方へ突出するロッド部材26とで形成されている。
ピストン保持部材24は、外周に環状のピストン2が装着される小径部24bと小径部24bの基端側の大径部24cとを有する保持軸24aと、保持軸24aの図2中上端外周に設けフランジ状のガイド24dと、ガイド24dの図1中上端外周から立ち上がる筒部24eと、保持軸24aを上下に貫いて筒部24e内に通じる中空部24fと、小径部24bの側方から開口して中空部24fへ通じる三つの横孔24g,24h,24iと、大径部24cの側方から開口して中空部24fへ通じる横孔24jと、筒部24eを貫通して筒部24eの内外を連通する横孔24kと、ガイド24dを上下に貫く縦孔24mとを備えている。なお、筒部24eの外径は、ガイド24dの外径よりも大径とされており、また、保持軸24aの内周であって図1中ピストン2に対向する横孔24hと横孔24iとの間には、内周側へ向けて突出する環状仕切部24nが設けられている。
ソレノイド収容筒25は、有頂筒状の収容筒部25aと、収容筒部25aよりも外径が小径であって収容筒部25aの頂部から図2中上方へ伸びる筒状の連結部25bとを備えて構成されている。そして、ソレノイド収容筒25の収容筒部25aの内周にピストン保持部材24の筒部24eを螺着して、ソレノイド収容筒25にピストン保持部材24が一体化されるようになっている。
ロッド部材26は、筒状であって、図2中下端の内周にソレノイド収容筒25の連結部25bの挿入を許容し、この連結部25bの螺着を可能とする螺子部(符示せず)を備えている。このように、ロッド部材26、ソレノイド収容筒25およびピストン保持部材24を一体化すると、ピストンロッド12が形成される。また、ロッド部材26および連結部25b内には、後述するソレノイドSへ電力供給するハーネスHが挿通されており、ハーネスHの上端について図示はしないがロッド部材26の上端から外方へ伸びており、電源に接続される。
ピストン保持部材24の小径部24bの外周には、図2に示すように、環状のピストン2とともに、伸側リーフバルブ5と圧側リーフバルブ6が組み付けられており、これらが小径部24bの外周に螺着されるスプールホルダ27と大径部24cの段部とで挟持されて保持軸24aに固定されている。
ピストン2は、環状であって伸側室R1と圧側室R2を連通する伸側通路3と圧側通路4とを備えている。また、伸側通路3は、ピストン2の図1中上端外周から開口して斜め方向へ延びて内周に通じる斜通路3aと、ピストン2の図1中下端から開口して斜通路3aへ通じる縦通路3bとで構成されている。他方、圧側通路4は、ピストン2の図1中下端外周から開口して斜め方向へ延びて内周に通じる斜通路4aと、ピストン2の図1中上端から開口して斜通路4aへ通じる縦通路4bとで構成されている。
ピストン2がピストン保持部材24の保持軸24aに固定されると、伸側通路3における斜通路3aの内周側開口端は、保持軸24aに設けた横孔24hに対向し、伸側通路3が横孔24hを通じて中空部24f内に連通される。また、ピストン2がピストン保持部材24の保持軸24aに固定されると、圧側通路4における斜通路4aの内周側開口端は、保持軸24aに設けた横孔24iに対向し、圧側通路4が横孔24iを通じて中空部24f内に連通される。
伸側リーフバルブ5は、ピストン2の圧側室側に積層されて伸側通路3における縦通路3bの開口を閉じており、内周がスプールホルダ27と前記大径部24cの段部とで挟持されて固定され外周側が撓むと伸側通路3を開放するようになっている。圧側リーフバルブ6は、ピストン2の伸側室側に積層されて圧側通路4における縦通路4bの開口を閉じており、内周がスプールホルダ27と前記大径部24cの段部とで挟持されて固定され外周側が撓むと圧側通路4を開放するようになっている。
なお、小径部24bには、前述したピストン2、伸側リーフバルブ5および圧側リーフバルブ6とともに、伸側リーフバルブ5の最大撓み量を規制するバルブストッパ28と圧側リーフバルブ6の最大撓み量を規制するバルブストッパ29が装着されている。
スプールホルダ27は、ピストン保持部材24の保持軸24aに螺着されるナット部27aと、ナット部27aの図1中下端外周に設けられたフランジ27bと、フランジ27bの外周に設けたガイド筒27cと、ガイド筒27cの図1中下端外周に設けられたばね受部27dと、ナット部27aを図1中横方向に貫通する通路27eと、フランジ27bを図1中上下に貫通する通路27fとを備えて構成されている。スプールホルダ27をピストン保持部材24の保持軸24aに螺着すると、ナット部27aに設けた通路27eが保持軸24aの横孔24gに対向する。
そして、スプールホルダ27のガイド筒27cの外周には、伸側リーフバルブ5の反ピストン側(反バルブディスク側)に当接して伸側リーフバルブ5の背面に伸側背圧室ECを区画する筒状の伸側スプール30が摺動自在に装着されている。この伸側スプール30は、外周にばね受部30aを備えており、このばね受部30aとスプールホルダ27のばね受部27dとの間に介装されるばね31によって、伸側リーフバルブ5側へ押し付けられている。よって、伸側リーフバルブ5の反ピストン側には、内部の圧力で伸側リーフバルブ5をピストン2へ押し付ける伸側背圧室ECが設けられている。よって、伸側リーフバルブ5は、この伸側背圧室EC内の圧力とばね31とでピストン2側へ向けて附勢されている。つまり、伸側リーフバルブ5は、伸側背圧室EC内の圧力とばね31とで伸側通路3を閉じる方向へ附勢されている。なお、ばね31は、伸側スプール30が伸側リーフバルブ5から離間しないように伸側スプール30を附勢していればよいが、ばね31に与える初期荷重によって伸側リーフバルブ5の開弁圧のチューニングが可能である。
伸側背圧室ECは、スプールホルダ27のフランジ27bに設けられた通路27fを通じて圧側室R2に連通されるとともに、ナット部27aの通路27eおよびピストン保持部材24の横孔24gを通じて中空部24fに連通される。
また、スプールホルダ27のナット部27aの図2中下方には、伸側制御弁CVeが取り付けられている。伸側制御弁CVeは、ナット部27aに螺子締結される伸側弁座部材32と、伸側弁座部材32に積層される伸側制御弁体33と、伸側ばね受34と、伸側制御弁体33と伸側ばね受34との間に介装された伸側ばね35とを備えている。
伸側弁座部材32は、図2中上端がナット部27aに螺合する筒状の軸部32aと、軸部32aの外周に設けた環状のシート部32bと、シート部32bを図2中上下方向に貫いてスプールホルダ27の通路27fに連通されるポート32cを備えている。
伸側制御弁体33は、本例では、環状のリーフバルブとされていて伸側弁座部材32のシート部32bに積層されてポート32cを開閉するようになっている。ポート32cは、前述の通り、スプールホルダ27の通路27fに通じ、この通路27fを介して伸側背圧室ECに連通されており、伸側背圧室ECを圧側室R2に連通している。よって、伸側背圧室ECと圧側室R2とを連通する伸側制御通路は、本例では、ポート32cおよび通路27fとで形成されている。
伸側ばね受34は、伸側弁座部材32の軸部32aの外周に摺動自在に装着されており、図2中上下方向となる軸方向へ移動できるようになっている。そして、伸側ばね受34と伸側制御弁体33との間には、伸側ばね35が介装されており、伸側制御弁体33は、伸側ばね35によってポート32cを閉じる方向であるシート部32b側へ向けて附勢されている。なお、伸側ばね35は、弾発力を発揮して伸側制御弁体33を附勢できるものであればよい。
よって、伸側ばね受34を軸方向へ移動させると、伸側ばね35が伸側制御弁体33を附勢する附勢力が変化して、伸側制御弁体33が伸側制御通路を開放する際の開弁圧、つまり、伸側制御弁CVeの開弁圧を調整できる。
つづいて、ピストン保持部材24におけるガイド24dの外周には、圧側リーフバルブ6の反ピストン側(反バルブディスク側)に当接して圧側リーフバルブ6の背面に圧側背圧室CCを区画する筒状の圧側スプール40が摺動自在に装着されている。この圧側スプール40は、外周にばね受部40aを備えており、このばね受部40aとピストン保持部材24の筒部24eの図2中下端外周との間に介装されるばね41によって、圧側リーフバルブ6側へ押し付けられている。よって、圧側リーフバルブ6の反ピストン側には、内部の圧力で圧側リーフバルブ6をピストン2へ押し付ける圧側背圧室CCが設けられている。よって、圧側リーフバルブ6は、この圧側背圧室CC内の圧力とばね41とでピストン2側へ向けて附勢されている。つまり、圧側リーフバルブ6は、圧側背圧室CC内の圧力とばね41とで圧側通路4を閉じる方向へ附勢されている。なお、ばね41は、圧側スプール40が圧側リーフバルブ6から離間しないように圧側スプール40を附勢していればよいが、ばね41に与える初期荷重によって圧側リーフバルブ6の開弁圧のチューニングが可能である。
圧側背圧室CCは、ピストン保持部材24に設けられた横孔24kおよび縦孔24mを通じて伸側室R1に連通されるとともに、横孔24jを通じて中空部24fに連通される。
また、ピストン保持部材24の筒部24e内には、圧側制御弁CVcが収容されている。圧側制御弁CVcは、ピストン保持部材24のガイド24dの内周に螺子締結される圧側弁座部材42と、圧側弁座部材42に積層される圧側制御弁体43と、圧側ばね受44と、圧側制御弁体43と圧側ばね受44との間に介装された圧側ばね45とを備えている。
圧側弁座部材42は、図2中下端がピストン保持部材24のガイド24dの内周に螺合する筒状の軸部42aと、軸部42aの外周に設けた環状のシート部42bと、シート部42bを図2中上下方向に貫いて縦孔24mに連通されるポート42cを備えている。
圧側制御弁体43は、本例では、環状のリーフバルブとされていて圧側弁座部材42のシート部42bに積層されてポート42cを開閉するようになっている。ポート42cは、前述の通り、ピストン保持部材24の縦孔24mに通じ、この縦孔24mを介して圧側背圧室CCに連通されており、圧側背圧室CCを伸側室R1に連通している。よって、圧側背圧室CCと伸側室R1とを連通する圧側制御通路は、本例では、ポート42c、縦孔24mおよび横孔24jとで形成されている。
圧側ばね受44は、圧側弁座部材42の軸部42aの外周に摺動自在に装着されており、図2中上下方向となる軸方向へ移動できるようになっている。そして、圧側ばね受44と圧側制御弁体43との間には、圧側ばね45が介装されており、圧側制御弁体43は、圧側ばね45によってポート42cを閉じる方向であるシート部42b側へ向けて附勢されている。なお、圧側ばね45は、弾発力を発揮して圧側制御弁体43を附勢できるものであればよい。
よって、圧側ばね受44を軸方向へ移動させると、圧側ばね45が圧側制御弁体43を附勢する附勢力が変化して、圧側制御弁体43が圧側制御通路を開放する際の開弁圧、つまり、圧側制御弁CVcの開弁圧を調整できる。
つづいて、ピストン保持部材24の中空部24f内には、伸側ばね受34と圧側ばね受44とを連係させる連係軸50が軸方向となる図2中上下方向に移動可能に挿入されている。連係軸50は、中空部24f内に挿入されると、外周が中空部24f内に突出する環状仕切部24nに摺接して、横孔24hと横孔24iの中空部24fを介しての連通を遮断する。また、連係軸50は、環状仕切部24nには摺接するが、中空部24fの他の内周面との間には隙間が形成される。
よって、伸側室R1は、伸側通路3の斜通路3a、横孔24h、連係軸50とピストン保持部材24との間の前記隙間、横孔24gおよびスプールホルダ27の通路27eを介して伸側背圧室ECへ通じている。そして、連係軸50とピストン保持部材24との間の前記隙間は、作動油の通過に対して抵抗を与える絞り通路として機能している。また、前述の通り、伸側背圧室ECは、スプールホルダ27の通路27fおよび伸側弁座部材32のポート32cを通じて圧側室R2に通じている。よって、緩衝器Dの伸長時において伸側背圧室ECには、伸側室R1から絞り通路で減圧される伸側パイロット圧力が導かれる。そして、伸側背圧室EC内の伸側パイロット圧力は、伸側制御弁CVeの開弁圧の制御によって調整できるので、伸側制御弁CVeの制御で伸側リーフバルブ5の開弁圧を調整できる。
また、圧側室R2は、圧側通路4の斜通路4a、横孔24i、連係軸50とピストン保持部材24との間の前記隙間、横孔24jを介して圧側背圧室CCへ通じている。そして、連係軸50とピストン保持部材24との間の前記隙間は、作動油の通過に対して抵抗を与える絞り通路として機能している。また、前述の通り、圧側背圧室CCは、縦孔24m、ポート42cおよび横孔24kを通じて伸側室R1に通じている。よって、緩衝器Dの収縮時において、圧側背圧室CCには、圧側室R2から絞り通路で減圧される圧側パイロット圧力が導かれる。そして、圧側背圧室CC内の圧側パイロット圧力は、圧側制御弁CVcの開弁圧の制御によって調整できるので、圧側制御弁CVcの制御で圧側リーフバルブ6の開弁圧を調整できる。
戻って、連係軸50の先端には伸側ばね受34の図2中下端に当接する押圧部材52が取り付けられており、図2中上方側となる伸側室側の外径が大径とされて外周に段部50aが設けられている。なお、連係軸50の先端に、伸側ばね受34を直接連結してもよい。そして、連係軸50の段部50aには、圧側ばね受44の図2中上端に当接するプレート51が積層されている。プレート51は、連係軸50の段部50aに積層されており、連係軸50に対して図2中上方側への相対移動が規制されているので、連係軸50に対して圧側ばね受44も図2中上方側への相対移動が規制される。さらに、伸側ばね35は、伸側制御弁体33と伸側ばね受34との間に圧縮状態で介装されており、圧側ばね45もまた、圧側制御弁体43と圧側ばね受44との間に圧縮状態で介装されている。
よって、伸側ばね受34と圧側ばね受44は、連係軸50と伸側ばね35、圧側ばね45によって位置決めされており、両者の間隔が一定に保たれている。伸側ばね受34と圧側ばね受44が連係軸50に対して相対移動しないので、連係軸50を軸方向となる図2中上下方向へさせると、伸側ばね受34および圧側ばね受44は両者の間隔を一定に保ったまま、連係軸50とともに図2中上下方向へ移動する。なお、連係軸50が伸側ばね受34と圧側ばね受44の双方に連係するとは、連係軸50が伸側ばね受34と圧側ばね受44の双方に対して軸方向に相対移動しない関係性に保たれつつ、自身の移動によって伸側ばね受34と圧側ばね受44を軸方向へ駆動可能である状態を指している。よって、連係軸50は、伸側ばね受34と圧側ばね受44の双方に直接に連結されてもよいし、何らかの部材を介して間接的に連結されてもよい。
また、本例では、連係軸50は、制御部としてのソレノイドSによって駆動されるようになっている。ソレノイドSは、ソレノイド収容筒25内に収容されており、コイル46を備えた筒状のステータ47と、ステータ47内に移動自在に挿入された筒状の可動鉄心48と、可動鉄心48の内周に装着されて連係軸50に当接するプランジャ49とを備えている。そして、ソレノイド収容筒25の下端にピストン保持部材24を螺着すると、ソレノイドSがソレノイド収容筒25内に収容されて固定される。
そして、ソレノイドSのプランジャ49は、連係軸36の図2中上端に接しており、ソレノイドSへ通電するとプランジャ49が図2中下方へ移動して、連係軸50が下方へ押し下げられる。連係軸50が押下げられると、圧側ばね45の圧縮量が大きくなり、反対に、伸側ばね35の圧縮量が小さくなるので、圧側ばね45と伸側ばね35の附勢力の合力は連係軸50を図2中上方側に附勢する方向に発揮される。また、ソレノイドSが連係軸50を下方へ押し下げる力はソレノイドSへの電流供給量に応じて調整される。よって、連係軸50は、ソレノイドSへの通電による推力と伸側ばね35および圧側ばね45の附勢力の合力とが釣り合った位置に停止するので、ソレノイドSへの電流供給量により連係軸50の位置を制御できる。また、ソレノイドSへ通電して連係軸50を下方へ押し下げた状態からソレノイドSへの通電を停止すると、伸側ばね35および圧側ばね45の附勢力が釣り合う位置まで連係軸50が移動する。図2では、ソレノイドSへの電流供給を停止した状態を図示したもので、この状態では、連係軸50は、図2中最上方に位置決めされる。なお、プレート51の軸方向移動範囲が圧側弁座部材42の軸部42aによって規制されており、連係軸50の段部50aにプレート51が積層されているので、連係軸50の移動範囲も圧側弁座部材42の軸部42aの図2中上下方向長さによって設定される。つまり、本例では、圧側弁座部材42が連係軸50の移動限界を規制するストッパとしても機能しているが、連係軸50が最大限にストロークしても、圧側弁座部材42にプレート51が接触しないようになっていてもよい。
このように、連係軸50を駆動すると、伸側ばね35と圧側ばね45の圧縮量を変更できる。連係軸50が図2に示す位置にある状態、つまり、ソレノイドSへ通電しない場合、伸側ばね35と圧側ばね45が発揮する附勢力は等しくなり釣り合っている状態となる。ソレノイドSへ最大電流を供給すると、連係軸50が図2中最下方へ移動し、伸側ばね35の圧縮量が最小となり、圧側ばね45の圧縮量が最大となる。
つまり、伸側ばね35の圧縮量は、ソレノイドSへ電流供給しないと大きくなり、ソレノイドSへ電流供給すると小さくなる。つまり、ソレノイドSへ電流供給しない場合における伸側ばね35が伸側制御弁体33を附勢する附勢力は、ソレノイドSへ電流供給する場合における伸側ばね35が伸側制御弁体33を附勢する附勢力よりも大きい。伸側制御弁CVeの開弁圧は、伸側ばね35の附勢力が大きくなるほど大きくなる。このように、伸側制御弁CVeは、ソレノイドSによって制御される。緩衝器Dの伸長時において伸側背圧室ECの伸側パイロット圧力は、伸側制御弁CVeの開弁圧に制御されるので、伸側制御弁Cveの開弁圧が高くなると、伸側背圧室EC内の伸側パイロット圧力も高くなって伸側リーフバルブ5の開弁圧も高くなる。
対して、圧側ばね45の圧縮量は、ソレノイドSへ電流供給しないと小さくなり、ソレノイドSへ電流供給すると大きくなる。つまり、ソレノイドSへ電流供給しない場合における圧側ばね45が圧側制御弁体43を附勢する附勢力は、ソレノイドSへ電流供給する場合における圧側ばね45が圧側制御弁体43を附勢する附勢力よりも小さい。また、圧側制御弁CVcの開弁圧は、圧側ばね45の附勢力が大きくなるほど大きくなる。このように、圧側制御弁CVcは、ソレノイドSによって制御される。緩衝器Dの収縮時において圧側背圧室CCの圧側パイロット圧力は、圧側制御弁CVcの開弁圧に制御されるので、圧側制御弁Cvcの開弁圧が高くなると、圧側背圧室CC内の圧側パイロット圧力も高くなって圧側リーフバルブ6の開弁圧も高くなる。
前述したところを整理すると、ソレノイドSへ電流供給しない状態では、伸側リーフバルブ5の開弁圧は大きくなるとともに圧側リーフバルブ6の開弁圧は小さくなり、ソレノイドSへ電流供給する状態では、伸側リーフバルブ5の開弁圧は小さくなるとともに圧側リーフバルブ6の開弁圧は大きくなる。
減衰弁Vおよび緩衝器Dは、以上のように構成されており、以下に作動を説明する。前述のとおり、ソレノイドSへ電流供給しない場合、伸側リーフバルブ5の開弁圧は大きく、圧側リーフバルブ6の開弁圧は小さい。
この状態では、緩衝器Dが伸長する場合、圧縮される伸側室R1の作動油は伸側リーフバルブ5を押し開いて伸側通路3を介して拡大される圧側室R2へ移動するが、伸側リーフバルブ5の開弁圧が大きく、伸側リーフバルブ5が作動油の流れ与える抵抗は大きい。よって、ソレノイドSへ電流供給しない場合、緩衝器Dが伸長する際に発生される伸側減衰力は高くなり、伸側減衰力はハードとなる。反対に、緩衝器Dが収縮する場合、圧縮される圧側室R2の作動油は圧側リーフバルブ6を押し開いて圧側通路4を介して拡大される伸側室R1へ移動するが、圧側リーフバルブ6の開弁圧が小さく、圧側リーフバルブ6が作動油の流れ与える抵抗は小さい。よって、ソレノイドSへ電流供給しない場合、緩衝器Dが収縮する際に発生される圧側減衰力は低くなり、圧側減衰力はソフトとなる。
対して、ソレノイドSに最大電流量を供給する場合、伸側リーフバルブ5の開弁圧は小さく、圧側リーフバルブ6の開弁圧は大きい。この状態では、緩衝器Dが伸長する場合、圧縮される伸側室R1の作動油は伸側リーフバルブ5を押し開いて伸側通路3を介して拡大される圧側室R2へ移動するが、伸側リーフバルブ5の開弁圧が小さく、伸側リーフバルブ5が作動油の流れ与える抵抗は小さい。よって、ソレノイドSへ電流供給しない場合、緩衝器Dが伸長する際に発生される伸側減衰力は低くなり、伸側減衰力はソフトとなる。反対に、緩衝器Dが収縮する場合、圧縮される圧側室R2の作動油は圧側リーフバルブ6を押し開いて圧側通路4を介して拡大される伸側室R1へ移動するが、圧側リーフバルブ6の開弁圧が大きく、圧側リーフバルブ6が作動油の流れ与える抵抗は大きい。よって、ソレノイドSへ電流供給しない場合、緩衝器Dが収縮する際に発生される圧側減衰力は低くなり、圧側減衰力はハードとなる。
つづいて、ソレノイドSに最大の二分の一の電流量を供給する場合、伸側リーフバルブ5の開弁圧も圧側リーフバルブ6の開弁圧も最大と最小の中間となる。この状態では、緩衝器Dが伸長しても収縮しても、緩衝器Dが発生する伸側減衰力および圧側減衰力は最小と最大の中間程度となり、伸圧両側で減衰力はミディアムとなる。
前述したとおり、二輪車では、車体が軽量で振動周波数が四輪自動車に比較すると高く、伸圧とも減衰力調整が同じに設定されると、伸縮の切換わりで減衰力の大きさを変更しようとしてもシステムの応答に時間がかかって減衰力調整が間に合わず却って車両における乗り心地を損なうと経験的に分かっている。これに対して、伸側減衰力をハードにした場合には圧側減衰力をソフトにし、伸側減衰力をソフトにした場合には圧側減衰力をハードにし、伸側減衰力をミディアムにした場合には圧側減衰力もミディアムにした場合、二輪車における車体振動を効果的に抑制できると発明者は知見するに至った。
本発明の減衰弁Vおよび緩衝器Dによれば、伸側減衰力をハードにする場合には圧側減衰力をソフトに調整でき、伸側減衰力をソフトにする場合には圧側減衰力をハードに調整でき、さらには、伸側減衰力をミディアムにする場合には圧側減衰力もミディアムに調整できる。よって、本発明の減衰弁Vおよび減衰弁Vを適用した緩衝器Dによれば、二輪車における乗り心地を効果的に向上できるのである。
また、本例の減衰弁Vでは、伸側制御弁Cveが伸側背圧室ECと圧側室R2とを連通する伸側制御通路を開閉する伸側制御弁体33と、伸側ばね受34と、伸側制御弁体33を附勢する伸側ばね35とを有し、圧側制御弁CVcが圧側背圧室CCと伸側室R1とを連通する圧側制御通路を開閉する圧側制御弁体43と、圧側ばね受44と、圧側制御弁体43を附勢する圧側ばね45とを有し、ソレノイドSで伸側ばね受34と圧側ばね受44とを駆動するようになっている。このように減衰弁Vが構成されると、単一のソレノイドSによって伸側減衰力と圧側減衰力の大きさを伸側と圧側とで反対となるように調整でき、コストが安価となる。
さらに、本例の減衰弁Vでは、伸側ばね受34と圧側ばね受44とを連係させる連係軸50を有し、ソレノイドSで連係軸50を駆動して伸側ばね受34と圧側ばね受44を駆動する。このように減衰弁Vが構成されると、連係軸50で伸側ばね受34と圧側ばね受44とを連係させて駆動できるので、簡単な構造で減衰弁Vを実現できる。なお、連係軸50は、ピストン保持部材24の保持軸24aに設けた中空部24f内に挿通される構造を採用すると、緩衝器Dのピストン部に無理なく連係軸50を組み込めて、減衰弁Vを小型化できる。
また、本例の減衰弁Vでは、伸側弁体および圧側弁体が環状のリーフバルブ5,6とされている。このように減衰弁Vが構成されると、伸側および圧側のリーフバルブ5,6はポペット弁等といった他の形態の弁に比較して軸方向の厚みが短く、緩衝器Dのピストン部に減衰弁Vを適用した場合に、減衰弁Vの全長を短くできる。なお、伸側弁体および圧側弁体には、リーフバルブ以外の形態のポペット弁等の他の形態の弁体の利用が可能である。
なお、減衰弁Vは、本例では、緩衝器Dのピストン部に組み込まれているが、バルブディスクをシリンダ1外に設け、減衰弁Vもバルブディスクとともにシリンダ1外に設けてもよい。ピストン2をバルブディスクとする場合、シリンダ1内に減衰弁Vを収容できるので、緩衝器Dの径方向の大きさを小型できる。
さらに、本例の減衰弁Vでは、伸側スプール30が伸側リーフバルブ5の外周に伸側ばね35の附勢力をさせ、圧側スプール40が圧側リーフバルブ6の外周に圧側ばね45の附勢力をさせている。このように伸側ばね35と圧側ばね45の附勢力をリーフバルブ5,6の外周に作用させると、リーフバルブ5,6が伸側通路3或いは圧側通路4を開閉する際にリーフバルブ5,6がビビるような振動を呈するのを防止でき、安定した伸側および圧側の減衰力を発揮できる。
また、ソレノイドSは、通電時に連係軸50を図2中下方へ押し下げるプッシュ型のソレノイドとされているが、逆に、通電時に連係軸50を図2中上方へ押し上げるプル型のソレノイドとされてもよい。この場合には、ソレノイドSへの通電時には、伸側ばね35の圧縮量が大きくなるとともに圧側ばね45の圧縮量が小さくなり、非通電時には、伸側ばね35の圧縮量が小さくなるとともに圧側ばね45の圧縮量が大きくなる。このようにしても、伸側減衰力をハードにする場合には圧側減衰力をソフトに調整でき、伸側減衰力をソフトにする場合には圧側減衰力をハードに調整でき、さらには、伸側減衰力をミディアムにする場合には圧側減衰力もミディアムに調整できる。さらには、ソレノイドSをプッシュプル型のソレノイドとしてもよく、この場合も、伸側減衰力をハードにする場合には圧側減衰力をソフトに調整でき、伸側減衰力をソフトにする場合には圧側減衰力をハードに調整でき、さらには、伸側減衰力をミディアムにする場合には圧側減衰力もミディアムに調整できる。よって、ソレノイドSの形式によらず、本発明の減衰弁Vおよび減衰弁Vを適用した緩衝器Dによれば、二輪車における乗り心地を効果的に向上できるのである。
また、制御部は、本例ではソレノイドSとされているが、前述のように伸側制御弁CVeと圧側制御弁CVcの制御であれば、ソレノイド以外の装置に代替可能である。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
1・・・シリンダ、2・・・ピストン(バルブディスク)、3・・・伸側通路、4・・・圧側通路、5・・・伸側リーフバルブ(伸側弁体)、6・・・圧側リーフバルブ(圧側弁体)、12・・・ピストンロッド、33・・・伸側制御弁体、34・・・伸側ばね受、35・・・伸側ばね、43・・・圧側制御弁体、44・・・圧側ばね受、45・・・圧側ばね、50・・・連係軸、CC・・・圧側背圧室、Cve・・・伸側制御弁、CVc・・・圧側制御弁、D・・・緩衝器、EC・・・伸側背圧室、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室、S・・・ソレノイド(制御部)、V・・・減衰弁
Claims (5)
- 緩衝器における伸側室と圧側室を連通する伸側通路と圧側通路とを有するバルブディスクと、
前記バルブディスクに離着座して前記伸側通路を開閉可能であって前記伸側室から前記圧側室へ向かう流体の流れに抵抗を与える伸側弁体と、
前記バルブディスクに離着座して前記圧側通路を開閉可能であって前記圧側室から前記伸側室へ向かう流体の流れに抵抗を与える圧側弁体と、
前記伸側弁体の開弁圧を制御する伸側制御弁と、
前記圧側弁体の開弁圧を制御する圧側制御弁と、
前記伸側弁体の開弁圧を高くする場合には前記圧側弁体の開弁圧を低くし、前記伸側弁体の開弁圧を低くする場合には前記圧側弁体の開弁圧を高くするように、前記伸側制御弁と前記圧側制御弁を制御する制御部とを備えた
ことを特徴とする減衰弁。 - 前記伸側制御弁は、前記伸側弁体の反バルブディスク側に設けられる伸側背圧室と前記圧側室とを連通する伸側制御通路を開閉する伸側制御弁体と、伸側ばね受と、前記伸側制御弁体と前記伸側ばね受との間に介装されて前記伸側制御通路を閉じる方向へ前記伸側制御弁体を附勢する伸側ばねとを有し、前記伸側室から前記伸側背圧室へ導かれて前記伸側弁体を前記バルブディスクへ向けて附勢する伸側パイロット圧力を制御し、
前記圧側制御弁は、前記圧側弁体の反バルブディスク側に設けられる圧側背圧室と前記伸側室とを連通する圧側制御通路を開閉する圧側制御弁体と、圧側ばね受と、前記圧側制御弁体と前記圧側ばね受との間に介装されて前記圧側制御通路を閉じる方向へ前記圧側制御弁体を附勢する圧側ばねとを有し、前記圧側室から前記圧側背圧室へ導かれて前記圧側弁体を前記バルブディスクへ向けて附勢する圧側パイロット圧力を制御し、
前記制御部は、ソレノイドであって、前記伸側ばね受と前記圧側ばね受とを駆動する
ことを特徴とする請求項1に記載の減衰弁。 - 前記伸側ばね受と前記圧側ばね受とを連係させる連係軸を備え、
前記ソレノイドは、前記連係軸を駆動する
ことを特徴とする請求項2に記載の減衰弁。 - 前記伸側弁体および前記圧側弁体は、環状のリーフバルブである
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の減衰弁。 - シリンダと、
前記シリンダ内に摺動自在に挿入されて前記シリンダ内を前記伸側室と前記圧側室とに区画するピストンと、
前記シリンダ内に挿入されて前記ピストンに連結されるピストンロッドと、
請求項1から4のいずれか一項に記載の減衰弁とを備え、
前記ピストンを前記バルブディスクとした
ことを特徴とする緩衝器。
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JP2016134888A Pending JP2018004025A (ja) | 2016-07-07 | 2016-07-07 | 減衰弁および緩衝器 |
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-
2016
- 2016-07-07 JP JP2016134888A patent/JP2018004025A/ja active Pending
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