以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口に納められたサッシユニットの横枠(上枠、無目、巾木部等)の長手方向(即ち、ガラスの面内方向)を意味し、「見込方向」とは、屋内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に係るサッシユニット1を屋外側から見た姿図である。図2は、本実施形態のサッシユニット1の縦断面図であって、図1のA−A線断面図である。図3は、本実施形態のサッシユニット1の横断面図であって、図1のB−B線断面図である。なお、図2において、紙面左側が屋外側であり、右側が屋内側である。また、図3において紙面奥側が屋内側であり、手前側が屋外側である。
図1に示すように、建具としてのサッシユニット1は、例えば、店舗等の建築物に用いられるものであり、建築物に形成された開口に取り付けられる枠体2を備える枠ユニットである。
枠体2は、横材としての上枠21と、横材としての巾木部(下枠)22と、左右両側の縦材としての縦枠23,24と、縦材としての方立25と、横材としての無目26と、を備える。枠体2は、全体としては矩形に枠組みされている。上枠21、巾木部22、縦枠23,24、方立25及び無目26は、例えば、アルミニウムを押し出し成型することによって形成することができる。枠体2の内側の空間は、方立25によって見付方向に複数の開口部に区画されるとともに、無目26によって複数の開口部のそれぞれが上下方向に区画される。区画された上段の開口部にはFIX窓61が納められ、下段の開口部にはFIX窓62が納められる。
図2に示すように、上枠21は、屋内側に配置される上方に開放された断面略C字状である上枠本体部211と、上枠本体部211から屋外側に延設され下方側から上方側に窪む凹状部分を有する上枠ガラス保持部212と、を備える。
上枠本体部211は、内側の下部に形成されかつ上枠21の長手方向に延びる溝部211aと、内側の上部に形成されかつ上枠21の長手方向に延びる一対の爪部211b、211bと、を備える。
溝部211aは、上枠本体部211の内側の下部に配置される。溝部211aは、見付方向の縦枠23,24側から縦枠23,24を連結するため、又は、方立25側から方立25を連結するためのビス(図示せず)が差し込まれるネジ受けとなる。
一対の爪部211b,211bは、上枠本体部211の上部の開放端のそれぞれにおいて内側に突出して折れ曲がる。一対の爪部211b,211bには、アンカー213が差し込まれる。一対の爪部211b,211bに差し込まれたアンカー213は、ビス等の固定具により建物側に締結される。これにより、上枠21は、建物側に支持される。
上枠ガラス保持部212には、FIX窓61を構成するガラス61aの上端部を保持するガラス溝212aが形成される。また、上枠ガラス保持部212は、内側において見込方向の略中央を上下方向につなぐ部分に配置されかつ上枠21の長手方向に延びる溝部212bを有する。溝部212bは、後述する排水構造体8を縦枠23,24、方立25のガラス溝に固定する際に、縦枠23,24、方立25と、排水構造体8と、上枠21と、を連結するためのビス(図示せず)が差し込まれるネジ受けとなる。
無目26は、屋内側に配置されかつ中空部を備えるホロー構造である無目本体部261と、無目本体部261から屋外側に延設される無目ガラス保持部262と、無目ガラス保持部262に係止されるガラス保持部材263と、を備える。
無目本体部261は、内側に形成されかつ無目26の長手方向に延びる溝部261a,261bと、外側に形成されかつ無目26の長手方向に延びる溝部261cと、を備える。
溝部261aは、無目本体部261の内側上部の屋内側の角に配置される。溝部261bは、内側下部の屋内側の角に配置される。溝部261a,261bは、いずれも、見付方向の縦枠23,24側から縦枠23,24を連結するため、又は、方立25側から方立25を連結するためのビス(図示せず)が差し込まれるネジ受けとなる。
溝部261cは、無目本体部261の外側下部の屋外側に配置される。溝部261cには、FIX窓62を構成するガラス62aの上端部の屋内側を保持して止水する止水部材62kが差し込まれる。
無目ガラス保持部262には、FIX窓62を構成するガラス62aの上端部を保持するガラス溝262aが形成される。ガラス溝262aは、上部の下方側に形成されかつ無目26の長手方向に延びる溝部262bを備える。溝部262bは、後述する排水構造体8を縦枠23,24、方立25のガラス溝に固定する際に、縦枠23,24、方立25と、排水構造体8と、無目26と、を連結するためのビス(図示せず)が差し込まれるネジ受けとなる。
無目ガラス保持部262の屋外側の上端には、ガラス保持部材263を嵌合する嵌合部262cが形成される。
ガラス保持部材263は、嵌合部262cに嵌合される。無目本体部261及びガラス保持部材263によって、ガラス61aの下端部を保持するガラス溝263aが形成される。
ガラス61aは単板ガラスであり、上枠21と無目26との間で保持される。ガラス61aの保持について説明する。ガラス61aは、ガラス溝263aの内部に配置される支持部材61bによって下から支持される。ガラス61aの下端部は、ガラス溝263a内において、バックアップ材61c,61cによって挟まれる。更にバックアップ材61c,61cの上方には、シール材61d,61dが塗工される。ガラス61aの上端部は、ガラス溝212a内において、バックアップ材61f,61fによって挟まれる。更にバックアップ材61f,61fの下方には、シール材61e,61eが塗工される。
巾木部22は、中空部を備えるホロー構造である巾木本体部221と、巾木本体部221に係止されるガラス保持部材222と、巾木本体部221の屋外側の下端に形成される枠部223と、を備える。
巾木本体部221の内側には、巾木部22の長手方向に延びる溝部221b,221c,221d,221eが形成される。溝部221bは、内側であって屋外側の上部に配置される。溝部221cは、巾木本体部221の内側上部の屋内側の角に配置される。溝部221dは、巾木本体部221の内側下部の屋内側の角に配置される。溝部221eは、内側であって屋外側の下部に配置される。溝部221c,221dは、いずれも、見付方向の縦枠23,24側から縦枠23,24を連結するため、又は、方立25側から方立25を連結するためのビス(図示せず)が差し込まれるネジ受けとなる。
溝部221b,221eは、いずれも、後述する排水構造体8を縦枠23,24、方立25のガラス溝に固定する際に、縦枠23,24、方立25と、排水構造体8と、巾木部22と、を連結するためのビス73(図9参照)が差し込まれるネジ受けとなる。
巾木本体部221の屋外側の上端には、ガラス保持部材222を嵌合する嵌合部221aが形成される。
ガラス保持部材222は、嵌合部221aに嵌合される。巾木本体部221及びガラス保持部材222によって、ガラス62aの下端部を保持するガラス溝222aが形成される。
枠部223は、下方に開放された断面略C字状に形成される。枠部223には、その下部の開放端のそれぞれにおいて一対の係合端223a,223aが形成される。一対の係合端223a,223aには、アンカー(図示せず)が差し込まれる。一対の係合端223a,223aに差し込まれたアンカー(図示せず)がビス等の固定具により建物側に締結される。これにより、巾木部22は、建物側に支持される。
ガラス62aは単板ガラスであり、無目26と巾木部22の間で保持される。ガラス62aの保持について説明する。ガラス62aは、ガラス溝222aの内部に配置される支持部材62fによって下から支持される。ガラス62aの下端部は、ガラス溝222a内において、バックアップ材62g,62gによって挟まれる。更にバックアップ材62g,62gの上方には、シール材62h,62hが塗工される。ガラス62aの上端部は、ガラス溝262a内において、屋外側に配置されるバックアップ材62j及び屋内側に配置される止水部材62kによって挟まれる。更にバックアップ材62jの下方には、シール材62iが塗工される。
次に、縦枠23,24及び方立25について説明する。図1に示すように、縦枠23,24及び方立25は、FIX窓61及びFIX窓62の縦材を構成する。
本実施形態では、サッシユニット1が見付方向の中央に対して左右対称の構造である。そのため、縦枠23,24及び方立25において、本実施形態の説明では、屋外側から見て、サッシユニット1の左側の縦枠23及び方立25について説明し、屋外側から見て、サッシユニット1の右側の方立25及び縦枠24の説明を省略する。サッシユニット1の右側の方立25及び縦枠24の説明は、サッシユニット1の左側の方立25及び縦枠23の説明を援用できる。
図3に示すように、縦枠23は、屋内側に配置される左側が開放された断面略C字状である縦枠本体部231と、縦枠本体部231から屋外側に延設され右側から左側に窪む凹状部分を有する縦枠ガラス保持部232と、を備える。
縦枠本体部231は、内側の左側に形成されかつ縦枠23の長手方向に延びる一対の爪部231a、231aを備える。一対の爪部231a,231aは、縦枠本体部231の左側の開放端のそれぞれにおいて内側に突出して折れ曲がる。一対の爪部231a,231aには、アンカー233が差し込まれる。一対の爪部231a,231aに差し込まれたアンカー233は、ビス等の固定具により建物側に締結される。これにより、縦枠23は、建物側に支持される。
縦枠ガラス保持部232の凹状部分の内周面には、FIX窓62を構成するガラス62aの左側の端部を保持するガラス溝232aが形成される。縦材23のガラス溝232aは、上枠21、巾木部22、無目26のガラス溝212a、263a、262a、222aが連続する。ガラス溝232aの内部には、巾木部22(横材)に縦枠23が取り付けられる部分において、巾木部22の側方において、後述する排水構造体8が収納される。
方立25は、図3に示すように、屋外側から見て、右側に配置される第1方立部材31と、左側に配置される第2方立部材32と、を備える。
第1方立部材31は、左側が開放された断面略L字状の第1方立本体部311と、第1方立本体部311の屋外側に延設されかつガラス61aの左側の側端部が挿入されて保持されるガラス溝312aが形成される第1方立保持部312と、を備える。第1方立保持部312のガラス溝312aには、巾木部22のガラス溝222aが連続する。ガラス溝312aの内部には、巾木部22(横材)に方立25が取り付けられる部分において、後述する排水構造体8が収納される。
第1方立本体部311は、見付方向に延在する第1方立本体見付部311aと、第1方立本体見付部311aの右側の端部から見込方向の屋外側に延在する第1方立本体見込部311cと、を備える。第1方立本体見付部311aの左側の端部には、係合部311bが形成される。
第1方立保持部312は、左側から右側に窪む凹状に形成され且つ凹状の部分の内周面がガラス溝312aとして形成される曲面状部312bと、曲面状部312bの左側の外側から突出する一対の突出部312c、312cと、曲面状部312bの屋外側の端部から見込方向の屋外側に延出する第1方立保持見込部312dと、第1方立保持見込部312dの屋外側の端部から見付方向の左側に延在する第1方立保持見付部312eと、を備える。第1方立保持見付部312eの左側の端部には、係合部312fが形成される。
第2方立部材32は、見込方向に延在する第2方立本体部321と、第2方立本体部321の屋外側に設けられ且つガラス62aの右側の側端部が挿入されて保持されるガラス溝322aが形成される第2方立保持部322と、を備える。第2方立保持部322のガラス溝322aには、巾木部22のガラス溝222aが連続する。ガラス溝322aの内部には、巾木部22(横材)に方立25が取り付けられる部分において、後述する排水構造体8が収納される。
第2方立本体部321の見込方向の屋内側の端部には、係合部321aが形成される。係合部321aは、第1方立本体部311の係合部311bに係合する。
第2方立保持部322は、右側から左側に窪む凹状に形成され且つ凹状の部分の内周面がガラス溝322aとして形成される曲面状部322bと、曲面状部322bの右側の外側から突出する一対の突出部322c、322cと、曲面状部322bの屋外側の端部から見込方向の屋外側に延出する第2方立保持見込部322dと、を備える。第2方立保持見込部322dの屋外側の端部には、係合部322eが形成される。突出部322c、322cは、見込方向において、第1方立保持部312の一対の突出部312c、312cの内側に配置される。係合部322eは、第1方立保持部312の係合部312fに係合する。
FIX窓62(ガラス62a)は、図1に示すように、サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の左側において、縦枠23と方立25の第2方立部材32との間で保持される。また、サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の中央において、隣り合う2つの方立25,25の間で保持される。また、FIX窓62(ガラス62a)は、サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の右側において、方立25の第1方立部材31と縦枠24との間で保持される。
ガラス62aの保持について説明する。ここでは、サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の左側及び中央におけるガラス62aの保持について説明する。なお、サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の右側の構造は、サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の左側の構造と左右対称の構造であるため、説明を省略する。
サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の左側で縦枠23と方立25の第2方立部材32との間で保持されるガラス62aにおいて、図3に示すように、ガラス62aの屋外側から見て左側の端部は、ガラス溝232a内において、屋外側に配置されるバックアップ材621a及び屋内側に配置される気密材621cによって挟まれる。更にバックアップ材621aの右側には、シール材621bが塗工される。
サッシユニット1における屋外側から見て見付方向の左側で縦枠23と方立25の第2方立部材32との間で保持されるガラス62aにおいて、ガラス62aの屋外側から見て右側の端部は、ガラス溝322a内において、屋外側に配置されるバックアップ材622a及び屋内側に配置される気密材622cによって挟まれる。更にバックアップ材622aの左側には、シール材622bが塗工される。
気密材621c,622cは、気密材ホルダ621d,622dに取り付けられる。本実施形態においては、気密材ホルダ621d,622dは、上下方向に延びて形成される。気密材ホルダ621d,622dは、着脱可能に設けられ、排水構造体8が配置される部分を避けて、縦枠23のガラス溝232a又は第2方立部材32のガラス溝322aにおけるガラス62aが収納される位置に配置される。気密材ホルダ621d,622dは、ガラス溝232a,322aの屋内側の見付方向に延びる見付面30b(図3、図7参照)において上下方向に沿って貼り付けられる。気密材ホルダ621d,622dは、ガラス62aをガラス溝232a,322aに組み込む前に、ガラス溝232a,322aの屋外側の見付面30bに貼り付けられて固定される。
方立25を挟んで隣り合う一対のガラス62a,62aは、それぞれ、ガラス溝312a,322aに対向する側端部が挿入されて保持される。ガラス溝312aとガラス溝322aとでは、ガラス溝322aの方が深い溝に形成される。
サッシユニット1における屋外側から見て隣合う2つの方立25,25の間で保持されるガラス62aにおいて、ガラス62aの屋外側から見て左側の端部は、ガラス溝312a内において、屋外側に配置されるバックアップ材623a及び屋内側に配置される気密材623cによって挟まれる。更にバックアップ材623aの右側には、シール材623bが塗工される。
気密材623cは、気密材ホルダ623dに取り付けられる。気密材ホルダ623dの構成は、前述の気密材ホルダ621d,622dと同様の構成を有するため、その説明を省略する。
第1方立部材31の曲面状部312bと第2方立部材32の曲面状部322bとは、互いが対向する凹状の最も奥側の部分同士が、締結部材としてのビス71によって連結されている。本実施形態では、ビス71は、方立25の長手方向に所定の間隔をあけて複数締結されている。本実施形態の第1方立本体部311及び第2方立本体部321は、組み合わされた状態で断面長方形の筒状に形成される。
以上のように構成される縦枠23及び方立25には、前述した巾木部22以外に、上枠21及び無目26にも連結されている。なお、縦枠23及び方立25と、上枠21又は無目26との連結の構成は、本実施形態における縦枠23及び方立25と、巾木部22との連結の構成と同様であるため、説明を省略する。
次に、排水構造体8について説明する。なお、図1においては、排水構造体8は、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a、312a、322a(図2及び図3参照)の内部に収納されているため、実際には、外部からは視認できない。ただし、図1においては、排水構造体8の位置を説明する便宜上、排水構造体8を実線で示している。
図4は、本実施形態の排水構造体8が、方立25のガラス溝312aに収納された状態を示す斜視図である。図5は、方立25のガラス溝312aに排水構造体8を収納する場合において、方立25、排水構造体8及び巾木部22を分解した状態を示す分解斜視図である。図6は、方立25のガラス溝312aに収納された排水構造体8を上方から視た図である。図7は、方立25のガラス溝312aに排水構造体8を収納する場合において、方立25、排水構造体8及び巾木部22を分解した状態を上方から視た図である。図8は、本実施形態の排水構造体8を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は基端面部81a側から見た側面図である。図9は、方立25のガラス溝312aに収納された排水構造体8の縦断面図である。図10は、方立25のガラス溝312aにカバー部材9を取り付けた状態を示す断面図である。
排水構造体8は、図1及び図2に示すように、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a、312a、322a(図3参照)の内部に収納されている。図2及び図3に示すように、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a、312a、322aは、上枠21、巾木部22、無目26とガラス溝212a、263a、222aに連続している。排水構造体8は、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a、312a、322aに浸入した水を、止水して、側方に連続する上枠21、巾木部22、無目26のガラス溝212a、263a、222aへ流すように構成される。
本実施形態においては、排水構造体8(排水ブロック81)は、図1及び図2に示すように、縦枠23,24、方立25における上枠21及び無目26に取り付けられる部分において、上枠21及び無目26の上下方向の幅の範囲内において、それぞれ、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a,312a,322aに沿って、1つ配置されている。
また、本実施形態においては、排水構造体8(排水ブロック81)は、図1及び図2に示すように、縦枠23,24、方立25における巾木部22に取り付けられる部分において、巾木部22の上下方向の幅の範囲内において、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a,312a,322aに沿って、2つ配置されている。巾木部22は、上枠21及び無目26よりも、上下方向の幅の長さが大きい。
本実施形態においては、図4及び図5に示すように、複数の排水構造体8のうち、横材としての巾木部22のガラス溝222aに連続する縦材としての方立25の第1方立部材31のガラス溝312aの内部に収容される排水構造体8について説明する。
なお、本実施形態においては、複数の排水構造体8について、排水ブロック81の見付方向の長さや見付方向の向きが異なる形状(左右が逆の形状)のものもある。しかし、排水構造体8の基本的な構造及びガラス溝への取り付けの構成は同じである。そのため、複数の排水構造体8の構造及びガラス溝への取り付けの構成については、本実施形態で説明する排水構造体8の説明を適用できる。
まず、排水構造体8が配置される第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状について説明する。第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状は、図6及び図7に示すように、ガラス溝312aにおける見込方向の中央において見付方向に延びる縦断面である仮想平面Mに対して、対称の形状である。
第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状は、図7に示すように、簡単な形状に形成される。ガラス溝312aの内周面の形状を簡単な形状にする理由は、第1方立部材31のガラス溝312aに収納する排水構造体8の形状を簡単な形状にすることで、複雑な形状のガラス溝を止水するよりも、第1方立部材31のガラス溝312aと排水構造体8との間の水密性を向上させるためである。
具体的には、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状は、図7に示すように、断面視で(水平面(方立25が延びる方向に直交する方向の平面)で切断した断面をガラス溝312aが延びる方向に視た場合に)、巾木部22と見付方向の反対側において凹状となる曲面状に形成される。言い換えると、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状は、排水構造体8が収納される場合における排水構造体8のガラス溝312aへの挿入方向の排水構造体8の先端側(巾木部22と見付方向の反対側)が配置される側が凹となるアールを有するアール形状の曲面状である。
第1方立部材31のガラス溝312aの内周面は、見込方向に延びる見込面30aと、見付方向に延びる一対の見付面30b,30bと、見込面30aの見込方向の両端部と見付面30bの一端部とを突状係止部30d(後述)を介してつなぐ一対の曲面30cと、を有する。見付面30b、突状係止部30d(後述)、曲面30c、見付面30b、曲面30c、突状係止部30d(後述)、見付面30bをこの順に通るガラス溝312aの内周面の形状は、全体として、U字形状の曲面状に形成される。
また、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面には、ガラス溝312aが延びる方向に沿って上下方向に延びる一対の突状係止部30d,30dが形成されている。一対の突状係止部30d,30dは、ガラス溝312aの見付面30bと曲面30cとの間においてガラス溝312aの内部側に突出し且つ第1方立部材31のガラス溝312aに沿って上下方向に延びる。一対の突状係止部30d,30dには、第1方立部材31のガラス溝312aにガラス62aを取り付けない場合に、図10に示すように、ガラス溝312aを塞ぐカバー部材9が取り付けられる。
カバー部材9は、図10に示すように、カバー部材9における見込方向の中央において見付方向に延びる縦断面である仮想平面Mに対して、対称の形状に形成される。カバー部材9は、第1方立部材31のガラス溝312aを塞ぐ閉止面板91と、閉止面板91の見付方向の両端部それぞれから延びると共に第1方立部材31のガラス溝312aの見付面30bに沿って配置される一対の側面板92,92と、側面板92それぞれにおける閉止面板91とは反対側の端部に形成される突起93と、を有する。
これにより、第1方立部材31のガラス溝312aにガラス62aを取り付けない場合には、カバー部材9の一対の突起93,93を、カバー部材9を第1方立部材31のガラス溝312aの一対の突状係止部30d,30dに係止させることで、カバー部材9を第1方立部材31のガラス溝312aに取り付けて、第1方立部材31のガラス溝312aを塞ぐことができる。
一対の突状係止部30d,30dは、図7に示すように、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面から僅かに突出する程度であるため、ガラス溝312aの見付面30bと曲面30cとの間に配置されていても、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面が曲面状である構成は確保される。また、一対の突状係止部30d,30dは、アールを付けて緩やかに突出するように形成されており、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の簡単な曲面状の形状を妨げない形状に形成される。
以上のように、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状を簡単な形状とすることで、第1方立部材31のガラス溝312aにおいて止水する排水構造体8の形状を簡単な形状にできる。そのため、複雑な形状のガラス溝を止水よりも、第1方立部材31のガラス溝312aと排水構造体8との間の水密性を向上できる。
排水構造体8は、第1方立部材31のガラス溝312aに収納される。排水構造体8は、図8(a)及び図8(b)に示すように、排水ブロック81と、発泡材82と、第1水膨潤性止水材83と、第2水膨潤性止水材84と、を備える。排水ブロックは、樹脂製の部材であり、ブロック状に形成される。排水ブロック81は、ブロック本体811と、一対の突起812,812と、を有する。
ブロック本体811は、一定の厚さを有する平板状のブロック状に形成される。ブロック本体811は、排水構造体8が第1方立部材31のガラス溝312aに収納された場合に、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面に対応する外周面の形状が、前述の第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状に対応した形状に形成される。
ブロック本体811は、図9に示すように、排水構造体8が第1方立部材31のガラス溝312aに取り付けられた状態において、上面が、巾木部22のガラス溝222aの底面(上方側を向く面)と同一平面上に位置するように配置される。
ブロック本体811の外周面の形状は、図6〜図8(b)に示すように、ブロック本体811における見込方向の中央において見付方向に延びる縦断面である仮想平面Mに対して、対称の形状である。
ブロック本体811の外周面の形状は、図7に示すように、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状に対応した簡単な形状に形成される。具体的には、ブロック本体811の外周面の形状は、断面視で(水平面(方立25が延びる方向に直交する方向の平面)で切断した断面をガラス溝312aが延びる方向に視た場合に)、外周面における排水構造体8が収納される場合における排水構造体8のガラス溝312aへの挿入方向の先端側(巾木部22と見付方向の反対側)が凸となるアールを有するアール形状の曲面状である。
ブロック本体811の外周面は、図8に示すように、見込方向に延びる基端面部81aと、ブロック本体811における基端面部81aと反対側において見込方向に延びる先端面部81cと、見付方向に延びる一対の側面部81b,81bと、一対の側面部81b,81bと先端面部81cを凹部81e(後述)を介してつなぐ一対のブロック曲面81d,81dと、を有する。側面部81b、凹部81e(後述)、ブロック曲面81d、先端面部81c、ブロック曲面81d、凹部81e(後述)、側面部81bをこの順に通るブロック本体811の外周面の形状は、全体として、U字形状の曲面状に形成される。
ブロック本体811の外周面には、図6及び図7に示すように、一対の凹部81e,81eが形成されている。一対の凹部81e,81eは、ブロック本体811の外周面における側面部81bとブロック曲面81dとの間において外周面から窪んで形成され且つ厚さ方向に延びる。一対の凹部81e,81eは、排水構造体8が第1方立部材31に収納される場合において、第1方立部材31のガラス溝312aの一対の突状係止部30d,30dを避ける形状に形成されている。
一対の凹部81e,81eは、ブロック本体811の外周面から僅かに窪む程度であるため、側面部81bとブロック曲面81dとの間に配置されていても、ブロック本体811の外周面が曲面状である構成は確保される。また、一対の凹部81e,81eは、アールを付けて緩やかに窪むように形成されており、ブロック本体811の外周面の簡単な曲面状の形状を妨げない形状に形成される。
基端面部81aは、図6に示すように、排水構造体8がガラス溝312aに収納された場合に、第1方立部材31の上下方向に延びる内側面31aと同一平面状に位置する。一対の側面部81b、81bは、ガラス溝312aの内周面の一対の見付面30b,30bに対向する。先端面部81cは、ガラス溝312aの内周面の見込面30aに対向する。一対のブロック曲面81d,81dは、ガラス溝312aの内周面の一対の曲面30c,30cに対向する。一対の凹部81e,81eは、ガラス溝312aの内周面の一対の突状係止部30d,30dに対向する。
以上のように、ブロック本体811の形状を、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状に対応させて、簡単な形状にできる。そのため、簡単な形状のガラス溝312aを、簡単な形状のブロック本体811を有する排水構造体8で止水できる。これにより、複雑な形状のガラス溝を止水するよりも、第1方立部材31のガラス溝312aと排水構造体8との間の水密性を向上できる。
一対の突起812,812は、図8に示すように、ブロック本体811の先端面部81c側の先端部において、上面及び下面に設けられる。一対の突起812,812は、ブロック本体811の上下方向(厚さ方向)の中央に対して上下対称の形状に形成される。一対の突起812,812は、図9に示すように、それぞれ、ブロック本体811の先端部の上面及び下面から、上面及び下面から離れる方向に突出し且つガラス溝312aの見込面30a側に突出する。
突起812の先端面812aは、排水構造体8が第1方立部材31のガラス溝312aに収納された場合に、図6及び図9に示すように、ガラス溝312aの見込面30aに平行に対向して形成され、見込方向及び上下方向(厚さ方向)に平面状に延びる。一対の突起812,812の先端面812aは、排水構造体8が第1方立部材31のガラス溝312aに収納された場合に、第1方立部材31のガラス溝312aの見込面30aに当接又は近接して配置される。これにより、ブロック本体811は、水平方向に対して傾いて配置されないように、ガラス溝312aの見込面30aに対して位置決めされる。そのため、一対の突起812,812は、ブロック本体811の厚さが薄い場合であっても、ブロック本体811が傾かないように位置決めできる。
ブロック本体811には、図8(a)及び図8(b)に示すように、貫通穴813が形成される。貫通穴813は、ブロック本体811の見込方向の略中央且つ厚さ方向の略中央において、見込方向に長い長穴状に形成され、見付方向に貫通して形成される。貫通穴813には、排水構造体8を、第1方立部材31及び巾木部22に固定する際に、ビス73が貫通される。貫通穴813が見込方向に長い長穴状に形成されるため、ビス73で固定する際に、ブロック本体811が見込方向にずれて取り付けられても、ビス7が貫通穴813を貫通する見込方向の範囲が、長穴の長さの分だけ見込方向に許容される。
発泡材82、第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84は、排水ブロック81と第1方立部材31のガラス溝312aとの間への水の浸入を抑制できる乾式シール材である。
発泡材82は、図8(a)及び図8(b)に示すように、厚みを有するシート状に形成され、排水ブロック81の外周面に設けられる。発泡材82は、独立気泡構造を有する。本実施形態においては、発泡材は、排水ブロック81の外周面におけるアール形状の部分(側面部81b、凹部81e、ブロック曲面81d、先端面部81c、ブロック曲面81d、凹部81e、側面部81bをこの順に通るブロック本体811の外周面)及び基端面部81aの見込方向の両端部に設けられている。
発泡材82は、例えば、軟質のポリ塩化ビニール(PVC)を基材の発泡体に、アクリル系粘着剤が塗布を片面に塗布した発泡シール材であり、柔軟性と独立気泡構造とを兼ね備えている。発泡材82は、独立気泡構造を有するため、水を透過することなく、低圧縮で高いシール効果を有する。また、発泡材82は、柔軟性を有するため、第1方立部材31のガラス溝312aの面に追従しやすく吸着しやすい。発泡材82としては、例えば、基材の密度が0.1g/cm3、全体の厚みが3.2mmのサンゴバン社製のノルシール(登録商標)などを使用できる。
本実施形態においては、発泡材82は、排水ブロック81の外周面に、片面に塗布されたアクリル系粘着剤を介して貼り付けられる。
第1水膨潤性止水材83は、厚みが薄いシート状に形成され、発泡材82の外周面に設けられる。本実施形態においては、第1水膨潤性止水材83は、排水ブロック81の外周面におけるアール形状の部分(側面部81b、凹部81e、ブロック曲面81d、先端面部81c、ブロック曲面81d、凹部81e、側面部81bをこの順に通るブロック本体811に対応する部分の外周面)及び基端面部81aの見込方向の両端部に対応して、発泡材82の外周面に設けられている。本実施形態においては、第1水膨潤性止水材83は、発泡材82の外周面に粘着剤を介して貼り付けられる。
第2水膨潤性止水材84は、厚みが薄いシート状に形成され、排水ブロック81の上面及び下面に設けられる。本実施形態においては、第2水膨潤性止水材84は、排水ブロック81の上面及び下面の形状と同じ形状に形成され、排水ブロック81の上面及び下面の全域に亘って、粘着剤を介して貼り付けられている。
本実施形態においては、第2水膨潤性止水材84を排水ブロック81の上面及び下面の両面に設けることで、上下方向に対称の構成としている。これにより、第2水膨潤性止水材84に関して、排水ブロック8を、上下のいずれの向きでも使用することが可能である。なお、これに限定されず、第2水膨潤性止水材84を、排水ブロック81の上面及び下面の両面に設けずに、例えば、排水ブロック81の上面のみに設けてもよい。
第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84は、例えば、ポリオルフィンを基材として、表面に吸収層を有し、表面と反対側の面には、アクリル系の粘着層が形成されている。吸収層は、例えば、高分子吸収体(Super Absorbent Polymer :SAP)を用いて形成される。高分子吸収体は、高吸収性ポリマーとも呼ばれ、第1水膨潤性止水材83及び第1水膨潤性止水材83に浸入した水を吸収してゲル状に変化させて膨張させる。これにより、第1水膨潤性止水材83及び第1水膨潤性止水材83は、発泡材82と第1方立部材31のガラス溝312aとの隙間を塞いで止水して、水漏れや浸水を防ぐことができる。
第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84として、例えば、全体の厚みを280μmとして、吸収層の厚みが50μm、基材層の厚みが80μm、粘着層の厚みが150μmの層構造を有するものを使用できる。
次に、排水構造体8を第1方立部材31のガラス溝312aに取り付ける取り付け方法について説明する。
まず、図8(a)及び図8(b)に示すように、排水ブロック81の外周面に発泡材82を貼り付ける。そして、発泡材82の外周面に第1水膨潤性止水材83を貼り付ける。そして、排水ブロック81の上面に第2水膨潤性止水材84を貼り付ける。
このように構成された排水構造体8を、図7に示すように、第1方立部材31のガラス溝312aの側方の位置において、排水ブロック81の先端側が第1方立部材31のガラス溝312aに向くように配置する。
次に、排水ブロック81を、先端側から順に、第1方立部材31のガラス溝312aに押し込んで圧入する。これにより、排水構造体8における発泡材82が圧縮された状態で第1方立部材31のガラス溝312aに挿入される。排水構造体8は、発泡材82が、柔軟性を有するため、弾性復帰力により第1方立部材31のガラス溝312aの形状に追従して、発泡材82の外周面が、第1方立部材31のガラス溝312aに押圧された状態で圧入される。
ここで、第1方立部材31のガラス溝312aの内周面の形状は、ガラス溝312aにおける見込方向の中央において見付方向に延びる縦断面である仮想平面Mに対して、対称の形状である。また、排水ブロック81のブロック本体811の外周面の形状は、ブロック本体811における見込方向の中央において見付方向に延びる縦断面である仮想平面Mに対して、対称の形状である。
そのため、排水ブロック81を第1方立部材31のガラス溝312aに圧入する際に、排水ブロック81における見込方向の両側において圧力を均等に加わるように排水ブロック81を圧入できるため、排水ブロック81と第1方立部材31のガラス溝312aとの隙間をより塞ぐことができる。よって、排水ブロック81と第1方立部材31のガラス溝312aとの間の水密性をより向上できる。
また、排水ブロック81の先端側には、一対の突起812,812が設けられている。そのため、一対の突起812,812の先端面812aは、第1方立部材31のガラス溝312aの見込面30aに対応して配置され、第1方立部材31のガラス溝312aの見込面30aに当接又は近接して配置される。これにより、ブロック本体811が水平方向に対して傾いて配置されないように、ガラス溝312aの見込面30aに対して位置決めされる。よって、排水構造体8は、第1方立部材31のガラス溝312aにおいて、傾かないように安定して配置される。排水ブロック81と第1方立部材31のガラス溝312aとの間の水密性をより向上できる。
次に、図6に示すように、排水構造体8及び第1方立部材31と巾木部22の側端面との間に止水シート72を配置した状態で、巾木部22の側端面を、第1方立部材31に、取り付ける。ここで、ブロック本体811の上面は、図9に示すように、排水構造体8が第1方立部材31のガラス溝312aに取り付けられた状態において、巾木部22のガラス溝222aの底面(上方側を向く面)と同一平面上に位置するように配置される。
この状態で、図7に示すように、第1方立部材31における巾木部22とは反対側から、第1方立部材31の貫通穴31b、排水構造体8、止水シート72、巾木部22の順にビス73を貫通させて、第1方立部材31、排水構造体8、止水シート72及び巾木部22をビス73で共締めする。これにより、図6に示すように、排水構造体8を、第1方立部材31のガラス溝312a内に固定する。本実施形態においては、排水構造体8における発泡材82及び第1水膨潤性止水材83において、ビス73が貫通する箇所には、それぞれ貫通穴を予め形成している。
なお、ビス73で共締めする前に、発泡材82や第1水膨潤性止水材83に貫通穴が形成されていなくてもよい。すなわち、発泡材82や第1水膨潤性止水材83に貫通穴が形成されていない状態から、ビス73を貫通させることで、貫通穴が形成されるように構成してもよい。
このように、排水構造体8を第1方立部材31のガラス溝312aに圧入して、第1方立部材31、排水構造体8、止水シート72及び巾木部22をビス73で共締めすることで、排水構造体8を第1方立部材31のガラス溝312aに強固に取り付けることができる。また、第1水膨潤性止水材83におけるビス73により形成された貫通穴とビス73との間において、第1水膨潤性止水材83の貫通穴とビス73との隙間がない状態で貫通されるため、水密性を確保できる。
次に、第1方立部材31のガラス溝312aに浸入した水に対して、ガラス溝312aに収納された排水構造体8が水密性を向上させる作用について説明する。
本実施形態においては、図2に示すように、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a、312a、322a(図3参照)には、ガラス溝232a、312a、322aの上下方向に沿って、複数の排水構造体8が配置されている。そのため、縦枠23,24、方立25のガラス溝232a、312a、322aにおいて、水が浸入しても、ガラス溝232a、312a、322aの上方から下方に向かうにしたがって排水構造体8に達する水の量は少なくなる。
本実施形態においては、排水構造体8の作用について、方立25の第1方立部材31のガラス溝312aにおける巾木部22が取り付けられる位置の側方の位置に配置された排水構造体8に、雨水などの水が達した場合について説明する。
第1方立部材31のガラス溝312aに浸入した雨水などの水は、例えば、第1方立部材31のガラス溝312aにおける巾木部22が取り付けられる位置の側方の位置に配置される排水構造体8に受け止められる。
排水構造体8において、図9に示すように、排水ブロック81の上面には、第2水膨潤性止水材84が設けられている。これにより、排水ブロック81の上面に設けられる第2水膨潤性止水材84に達した水は、排水ブロック81の上面において、第2水膨潤性止水材84の吸収層に吸収されてゲル状に変化して膨張する。第2水膨潤性止水材84は、排水ブロック81の上面においてゲル状に変化して膨張した水を、排水ブロック81の上面において保持する。これにより、ゲル状に変化して膨張した水は、排水ブロック81の上面を覆う。
排水ブロック81の上面において第2水膨潤性止水材84により水が膨張して保持された状態で、更に排水構造体8に水が到達して、第2水膨潤性止水材84で保持できる水の許容量を越えると、第2水膨潤性止水材84で保持できなくなった水は、第1方立部材31のガラス溝312aと排水構造体8とが密着しているため、第1方立部材31のガラス溝312aと排水構造体8との間には流れにくく、水の流路が確保された巾木部22のガラス溝222a側に流れる。巾木部22のガラス溝222aを流れた水は、巾木部22のガラス溝222aの途中に設けられた排水弁(図示せず)を介して外部に排出される。
また、排水ブロック81の外周面には、図6に示すように、発泡材82が設けられており、発泡材82の外周面には、第1水膨潤性止水材83が設けられている。
発泡材82は、柔軟性と独立気泡構造とを兼ね備えており、水を透過することなく、柔軟性を有して第1方立部材31のガラス溝312aの形状に追従して押圧されている。そのため、第1方立部材31のガラス溝312aと発泡材82との間に、上下方向に延びるピンホールのような隙間を生じさせ難い。これにより、第1方立部材31のガラス溝312aと発泡材82との間に、水が浸入することを低減できる。
また、発泡材82の外周面に第1水膨潤性止水材83を設けている。そのため、第1水膨潤性止水材83に到達した水は、ゲル状に変化して膨張する。これにより、第1方立部材31のガラス溝312aと発泡材82との間に、上下方向に延びるピンホールのような隙間を一層生じさせ難い。これにより、第1方立部材31のガラス溝312aと発泡材82との間に、水が浸入することを低減できる。
第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84は、水の浸入後に、水の浸入がなくなると、時間経過と共に乾燥して、元の状態に戻る。具体的には、第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84の吸収層に吸収された水は、吸収層において吸収されてゲル状になった後に、水の浸入がなくなると、徐々に蒸発する。そして、第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84は、吸収層に吸収された水が、蒸発後に乾燥して、乾燥後には、糊状に固まり、元の状態に戻る。元の状態に戻った第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84の吸収層は、その後に浸入した水を、前述のように再び吸収して再びゲル状に変化させて膨張させることができる。これにより、第1水膨潤性止水材83及び第2水膨潤性止水材84の吸収層は、水の吸収及び乾燥を繰り返して、止水機能を維持できる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態のサッシユニット1は、ガラス溝222aを有する巾木部22と、巾木部22のガラス溝222aに連続するガラス溝312aを有する方立25の第1方立部材31と、ガラス溝312aの内部に収納される排水ブロック81と、排水ブロック81の外周面に設けられる独立気泡構造の発泡材82と、を備える。
そのため、発泡材82のような乾式のシール材を用いても、第1方立部材31のガラス溝312aと発泡材82との間に、上下方向に延びるピンホールのような隙間を生じさせ難い。これにより、第1方立部材31のガラス溝312aと排水ブロック81との間の水密性を向上できる。
また、本実施形態のサッシユニット1は、発泡材82の外周面に設けられる第1水膨潤性止水材83を備える。そのため、第1水膨潤性止水材83に浸入した水は、第1水膨潤性止水材83に吸収されて膨張する。これにより、第1方立部材31のガラス溝312aと発泡材82との間に、上下方向に延びるピンホールのような隙間を一層生じさせ難い。よって、第1方立部材31のガラス溝312aと排水ブロック81との間の水密性をより向上できる。
また、本実施形態のサッシユニット1においては、第1方立部材31のガラス溝312aは、内周面における巾木部22と反対側の形状が、断面視で曲面状に形成される。そのため、第1方立部材31のガラス溝312aにおける内周面における巾木部22と反対側の形状が簡単な形状となる。これにより、排水ブロック81の形状を簡単にできるため、複雑な形状のガラス溝を止水するよりも、第1方立部材31のガラス溝312aと排水ブロック81との間の水密性をより向上できる。
また、本実施形態のサッシユニット1においては、排水ブロック81の上面に設けられる第2水膨潤性止水材84を備える。そのため、排水ブロック81の上面から第2水膨潤性止水材84に達した水は、第2水膨潤性止水材84に吸収されて膨張する。これにより、第1方立部材31のガラス溝312aと排水ブロック81との間の水密性をより向上できる。
また、本実施形態のサッシユニット1においては、第1方立部材31のガラス溝312aにおけるガラス62aが収納される位置に着脱可能に設けられる気密材ホルダ612dを備える。従来、方立の成型の際に、方立とガラス溝に形成される気密材ホルダとは一体的に形成されていた。そのため、従来の方立を用いてガラス溝に排水ブロック81を収納する場合には、方立のガラス溝に一体的に形成される気密材ホルダを切断して取り除く加工を行った後に、排水ブロック81をガラス溝312aに収納することが必要となる。これに対して、本発明のように、方立の成型時には気密材ホルダを形成せずに、サッシユニット1の組み立て時に、第1方立部材31のガラス溝312aにおけるガラス62aが収納される位置に気密材ホルダ612dを貼り付けることができる。これにより、第1方立部材31のガラス溝312aを加工する必要がなく、排水ブロック81を収納するための施工性を向上できる。
また、本実施形態のサッシユニット1においては、方立25の第1方立部材31における巾木部22に取り付けられる部分の巾木部22の上下方向の範囲内において、排水ブロック81は、第1方立部材31のガラス溝312aに沿って2つ配置されている。そのため、第1方立部材31のガラス溝312aにおいて、排水ブロック81において仮に止水が不十分であっても、下方に別の排水ブロック81が設けられているため、上下方向に延びるガラス溝312aにおいて水密性を向上でき、サッシユニット1の全体として、水密性をより向上できる。
また、本実施形態では、最も下方の横材である巾木部22において、第1方立部材31のガラス溝312aに沿って2つ配置されている。これにより、床などに近い位置において、より水密性を向上できる。
また、本実施形態のサッシユニット1においては、排水ブロック81は、第1方立部材31のガラス溝312a側に突出する突起812を有する。そのため、第1方立部材31のガラス溝312aの内部において、排水ブロック81が傾くことを低減できる。これにより、排水ブロック81を安定して配置できるので、第1方立部材31のガラス溝312aと排水ブロック81との間の水密性をより向上できる。
また、本実施形態のサッシユニット1においては、排水構造体8を、縦枠23,24、方立25(縦材)のガラス溝における上枠21(横材)の側方、無目26(横材)の側方、巾木部22(横材)の側方に設けた。
ここで、排水構造体8(排水ブロック81)を巾木部22の側方に設けたことの効果について説明する。本実施形態においては、巾木部22は、横材21,26,22のうち、最も下方の位置に配置され、床に最も近い位置に配置される横材である。そのため、巾木部22よりも上方側に位置する無目26の側方に排水構造体8が配置されていなくても、巾木部22の側方に排水構造体8が設けられていれば、床に水を漏水させないことができる。
また、排水構造体8(排水ブロック81)を無目26の側方に設けたことの効果について説明する。本実施形態においては、無目26は、横材21,26,22のうち、上下方向の中段の位置に配置される。そのため、排水構造体8を無目26の側方に設けることで、無目26に沿って水を流すことができるという効果に加えて、上下方向の途中の位置に排水構造体8を設けているため、シール材が破損している場合などに、上下方向において、どの箇所のシール材が破損して漏水しているかを把握しやすくなるという効果がある。これにより、排水構造体8を無目26の側方に設けることで、メンテナンス性を向上できる。なお、巾木部22の側方にのみ排水構造体8を設けた場合には、最も下方の位置で水を受け止めることになり、漏水している箇所の把握がしにくい。
以上、本発明の枠ユニットの好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
前記実施形態では、図3に示すように、気密材612c、622c、623cを、気密材ホルダ612d、622d、623dを介してガラス溝232a、322a、312aに取り付けた例について説明したが、これに限定されない。例えば、図11に示すように、気密材622e、623eを、気密材ホルダを介さずに、ガラス溝322a、312aに直接取り付けるように構成してもよい。図11は、変形形態を説明する図であって、気密材を方立(縦材)のガラス溝に貼り付けた状態を示す断面図である。なお、図11の説明では、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略することがある。
図11に示すように、気密材622e,623eは、ガラス溝322a、312aに着脱可能に設けられる。気密材622e,623eは、方立25のガラス溝322a、312aにおけるガラス62aが収納される位置において、方立25のガラス溝322a、312aの屋内側の見付方向に延びる見付面30bにおいて上下方向に沿って貼り付けられる。気密材622e,623eは、ガラス62aをガラス溝322a、312aに組み込む前に、ガラス溝322a、312aに接着により直接固定される。
そのため、前述した前記実施形態におけるガラス溝に着脱可能に設けられる気密材ホルダ612dを貼り付ける場合と同様の理由で、方立の成型時には気密材ホルダを形成せずに、サッシユニット1の組み立て時に、方立25のガラス溝322a、312aにおけるガラス62aが収納される位置に気密材622e,623eを貼り付けることができる。これにより、方立25のガラス溝322a、312aを加工する必要がなく、排水ブロック81を収納するための施工性を向上できる。
前記実施形態では、第1水膨潤性止水材83を排水ブロック81の外周面におけるアール形状の部分に設けたが、これに限定されない。第1水膨潤性止水材83を、排水ブロック81の外周面の全域に設けてもよいし、排水ブロック81の外周面におけるアール形状の部分の一部分に設けてもよい。また、前記実施形態では、第2水膨潤性止水材84を排水ブロック81の上面の全域に設けたが、これに限定されず、排水ブロック81の上面の一部に設けてもよいし、排水ブロック81の上面に第2水膨潤性止水材84を全く設けなくてもよい。
前記実施形態では、排水ブロック81の外周面に設けた発泡材82の外周面に第1水膨潤性止水材83を設けたが、これに限定されず、第1水膨潤性止水材83を設けなくてもよい。この場合には、発泡材82の外周面に、第1方立部材31のガラス溝312aに密着可能な密着層を設けてもよい。密着層は、例えば、発泡材82の外周面において薄い厚みで形成され、気泡の密度の高い層で形成される。これにより、第1水膨潤性止水材83を発泡材82の外周面に設けなくても、発泡材82とガラス溝312aとが密着して配置され、排水ブロック81とガラス溝312aとの間の密着性を高めることができる。
前記実施形態では、発泡材82と第1水膨潤性止水材83とを別々に設けて、排水ブロック81の外周面に発泡材82を貼り付けた後に、発泡材82の外周面に第1水膨潤性止水材83を貼り付けたが、これに限定されない。例えば、発泡材82の機能を有する部材と第1水膨潤性止水材83の機能を有する部材とを一体的な部材により構成して、この一体的に構成された部材を、排水ブロック81の外周面に貼り付けてもよい。
前記実施形態では、排水ブロック81を、巾木部22の上下方向の範囲において、2つ設けたが、これに限定されない。例えば、巾木部22の上下方向の範囲において、3つ以上設けてもよい。
また、最も下方に設けられた横材である巾木部22において、上下方向の範囲に、排水ブロック81を複数設けたが、上方に設けられた横材である上枠21や上下方向の途中に設けられた無目26において、上下方向の範囲に、排水ブロック81を複数設けてもよい。
前記実施形態では、方立の成型時には気密材ホルダを形成せずに、サッシユニット1の組み立て時に気密材ホルダを貼り付けるように構成したが、これに限定せずに、方立の成型時に気密材ホルダを一体的に形成して、排水ブロック81を配置する部分を切断して取り除く加工を行った後に、排水ブロック81を収納してもよい。
前記実施形態では、ブロック本体811の上面を、巾木部22のガラス溝222aの底面(上方側を向く面)と水平面としたが、これに限定されない。例えば、ブロック本体811の上面を、巾木部22のガラス溝222aの底面(上方側を向く面)側に下る傾斜面としてもよい。
前記実施形態では、ガラス溝内において、バックアップ材、シール材、止水部材又は気密材を用いてガラス61a,62aの端部を保持しているが、この組み合わせには限定されない。ガラス61a,62aの端部を保持する場合に、いずれのガラス溝内においても、いずれのバックアップ材、シール材、止水部材又は気密材を、適宜使用可能である。
前記実施形態では、建具としてのサッシユニット1を、例えば、店舗等の建築物に用いるものとしたが、これに限定されない。一般的な住宅等の建築物に用いるものであってもよい。
前記実施形態では、FIX窓61,62を備えるサッシユニット1を例に説明したが、これに限定されない。例えば、障子を備える可動式の窓を備える建具であってもよい。