以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、直線状に延伸するトラフTに振動を与えて、トラフT上に載置された被搬送物(図示省略)をトラフTの長手方向Hに沿って搬送するものである。被搬送物としては、極小サイズの電子部品等を挙げることができるが、振動によってトラフT上を搬送可能なものであれば特に限定されない。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、図1乃至図3(図1はリニアフィーダXの平面図であり、図2はリニアフィーダXを図1の矢印A方向から見た図(側面図)であり、図3はリニアフィーダXを図1の矢印B方向から見た図(正面図)である。)に示すように、固定部1と、上端部にトラフTを固定した可動部2と、固定部1と可動部2とを連結する支持バネ3と、一端側に設けた取付部41を可動部2に固定し且つ取付部41における所定のポイントを支点として振り子運動を行う振動子4と、振動子4を振動させる加振源5とを備え、加振源5を稼動させることで振動子4を振動させて、振動子4に直接固定している可動部2、及び可動部2に固定しているトラフTが被搬送物を搬送するように振動するものである。ここで、直線状に延伸するトラフTの長手方向Hに沿った一方向と、トラフT上を搬送する被搬送物の搬送方向は一致する。
トラフTは、長尺ブロック状をなし、横断面V字形状をなすように形成された一対の傾斜面によって、被搬送物を搬送するための搬送面T1を構成している(図3参照)。つまり、長手方向に延伸する一対の傾斜面からなる搬送面T1が、被搬送物の搬送路として機能する。本実施形態では、トラフTの上面に搬送面T1(搬送路)を形成している。
固定部1は、床面上に直接または間接的に固定されるものである。本実施形態では、床面上に固定される取付ブロック11によって固定部1を構成している。固定部1を構成する取付ブロック11は、カウンターウェイト(振動調整用ウェイト)としても機能するものである。本実施形態では、例えばネジ(図示省略)によって取付ブロック11を床面に固定している。
可動部2は、高さ方向において対向する位置に配置した天板21及び底板22を備えたものであり、天板21及び底板22をトラフTの幅方向Wにおいて挟むように対向配置した一対の側板23をさらに備えたものである。側板23は、略矩形状をなし、板厚方向(厚み方向)をトラフTの幅方向Wに一致させた姿勢で配置され、搬送方向(トラフTの長手方向)に沿った寸法をトラフTの長手寸法よりも短く設定したものである。天板21は、側板23の上端部同士を連結する位置に配置され、底板22は、側板23の下端部同士を連結する位置に配置されている。これら天板21及び底板22は、側板23の内向き面(対向配置した側板23同士が向き合う面)同士の間に挟まれる姿勢で配置され、ネジN1によって側板23と一体的に固定されている。これら天板21、底板22及び左右一対の側板23によって囲まれる空間、つまり可動部2の内部空間は、後述する振動子4の配置スペースとして利用している。なお、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、可動子2の内部空間、すなわち天板21、底板22及び左右一対の側板23によって囲まれる空間を、トラフTの長手方向H(前後方向)において外部空間に連通するように設定している。
本実施形態では、可動部2の幅寸法をトラフTの幅寸法よりも長く設定し(図1及び図3参照)、天板21の上向き面にトラフTを載置した状態でトラフTの上方から天板21に挿通させたネジN2によって、トラフTを天板21に固定している(図1及び図2参照)。図3ではネジN2を省略している。また、本実施形態では、図3に示すように、可動部2の幅寸法(一方の側板23の外向き面から他方の側板23の外向き面までの寸法)を固定部1の幅寸法に略一致させている。
支持バネ3は、固定部1に設けたバネ第1取付部1aに一端を固定し、可動部2に設けたバネ第2取付部2aに他端を固定したものである。本実施形態では、薄板状の板バネで構成した支持バネ3を、その板厚方向(厚み方向)をトラフTの長手方向Hと一致させた姿勢で配置している。なお、図1では支持バネ3を省略している。また、本実施形態では、バネ第1取付部1aをネジN3によって固定部1に固定するとともに、バネ第2取付部2aをネジN4によって可動部2に固定している。本実施形態では、図2及び図4に示すように、固定部1に、ネジN3の数よりも多いネジ孔を形成し、ネジN3を螺合するネジ孔を適宜選択・変更することによって、固定部1に対するバネ第1取付部1aの取付姿勢を変更可能に構成している。固定部1に対するバネ第1取付部1aの取付姿勢を変更する場合には、バネ第2取付部2aを固定しているネジN4を緩めておくことで、固定部1に対するバネ第1取付部1aの取付姿勢を変更させる処理に伴って、支持バネ3を介してバネ第1取付部1aに連結しているバネ第2取付部2aを、ネジN4を枢支点として回転させることができる。そして、バネ第1取付部1aをネジN3によって固定部1に固定した後に、ネジN4を締め付け直すことでバネ第2取付部2aを可動部2に対して相対移動不能に固定することができる。本実施形態では、可動部2を構成する側板23の外向き面にバネ第2取付部2aをネジN4によって固定するとともに、固定部1のうち、可動部2の側板23の外向き面と略面一となる側面にバネ第1取付部1aをネジN3によって固定している。
以上のように、本実施形態のリニアフィーダXは、板状をなす支持バネ3を、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢(図2参照)と、鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢(図4参照)に変更可能に構成している。
振動子4は、図5及び図6(図5、図6は、それぞれ図1、図3に示すリニアフィーダXから振動子4及び加振源5を抽出した図である。)に示すように、一端側に設けられ且つ可動部2に対して固定可能な取付部41と、取付部41からトラフTの幅方向Wに延伸する梁部42と、自由端である他端側に設定したウェイト部43とを備えたものである。本実施形態では、振動子4全体を横臥姿勢(寝かせた姿勢)で可動部2に固定している。振動子4は、梁部42の両端部に、トラフTの長手方向Hに延伸する第1鍔部44及び第2鍔部45を備え、何れか一方の鍔部(本実施形態では、トラフTの長手方向Hに沿った寸法が相対的に短い方の第1鍔部44)によって取付部41を構成し、他方の鍔部(本実施形態では、トラフTの長手方向Hに沿った寸法が相対的に長い方の第2鍔部45)によってウェイト部43の一部を構成している。
本実施形態では、図2及び図3に示すように、振動子4の取付部41の上向き面を可動部2のうち天板21の下向き面に接触させるとともに、取付部41の下向き面を、可動部2のうち底板22の上向き面に接触させた状態で固定するように設定している。本実施形態のリニアフィーダXでは、取付部41を構成する第1鍔部44として、図3及び図6に示すように、振動子4の他の部分(梁部42やウェイト部43)よりも高さ方向において所定寸法分だけ突出し、梁部42、第2鍔部45及びウェイト部43よりも優先して可動部2の内向き面(天板21の下向き面、底板22の上向き面)に接触する突出端面441を有するものを適用している。そして、突出端面441を天板21の下向き面及び底板22の上向き面に接触させた状態で、天板21の上方及び底板22の下方からそれぞれ挿入したネジN5を、取付部41に形成したネジ孔442に螺合させることによって、振動子4を可動部2に固定している(図1乃至図3参照)。したがって、取付部41のうち可動部2の内向き面(天板21の下向き面及び底板22の上向き面)に接触している面(取付部41の上向き面及び下向き面)である突出端面441が振動子4の固定面として機能する。本実施形態では、天板21と底板22の間に振動子4を挟んだ姿勢で、振動子4を可動部2に固定している。
特に、本実施形形態のリニアフィーダXでは、トラフTの幅方向Wに延伸する梁部42に対して、取付部41を構成する第1鍔部44をトラフTの長手方向Hに延伸する形状に設定し、第1鍔部44及び梁部42が全体として側面視T字形状をなすように設定している。本実施形態では、図5に示すように、取付部41を構成する第1鍔部44のうち、トラフTの長手方向Hに沿った両端に近い位置にネジ孔442を形成している。これらネジ孔442の形成箇所は、梁部42の軸中心(後出の図7に示す想像線L1)から外れた位置にある。
本実施形態の振動子4は、取付部41を構成する第1鍔部44と、ウェイト部43の一部を構成する第2鍔部45と、梁部42とを一体に形成している。
ウェイト部43は、振動子4のうち自由端である他端側に設定したものである。本実施形態では、上述の第2鍔部45と、第2鍔部45とは別体のウェイト部本体46とを備えたウェイト部43を適用している。
ウェイト部本体46は、第2鍔部45のうち長手方向両端部において第1鍔部44に対向する面に接触させた状態でネジN6によって固定されたものである。ウェイト部本体46は、トラフTの幅方向Wに沿った一方の端面を第2鍔部45に接触させた状態で固定され、この固定状態において、トラフTの幅方向Wに沿った他方の端面が第2鍔部45よりも第1鍔部44に近寄った位置となる。そして、ウェイト部本体46を第2鍔部45に固定する際のネジN6の取付方向(螺合進退方向)を、トラフTの延伸方向(長手方向H)以外の方向に設定している。具体的には、ネジN6の取付方向(螺合進退方向)をトラフTの幅方向Wに設定している。第2鍔部45のうち長手方向両端部には、それぞれ左右一対のネジ挿通孔を形成し、1つのウェイト部本体46を2本のネジN6で固定している(図6参照)。ウェイト部本体46には、ネジ孔を形成しておき、第2鍔部45のネジ挿通孔から挿入したネジN6をウェイト部本体46のネジ孔に螺合させて固定している。各ネジ挿通孔には、ネジ頭を収容可能な凹部を形成し、ネジ頭が外部に突出して露出しないように設定している。
このように、本実施形態では、振動子4のうち自由端である他端側に設けた第2鍔部45及びウェイト部本体46を用いてウェイト部43を構成している。また、梁部42のうち第2鍔部45近傍の部分は自由端であり、当該部分もウェイト部43の一部を構成するパーツとして捉えることができる。
そして、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、図7に示すように、取付部41のうち、梁部42の軸中心(梁部42の厚み方向(トラフTの長手方向Hと同一方向)の中心であり、同図において1点鎖線で示す線L1)に一致するポイントを支点として振動子4が振り子運動を行うように設定している。この際、振動子4の梁部42が、素材自体の弾性を利用してばねのように振る舞う。振り子運動を行う振動子4の振動方向は、図7に示す矢印Y方向(リニアフィーダXの側方)から見ると、トラフTの長手方向Hと平行である。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、図5及び図6に示すように、振動子4を振動させる加振源5を、板状をなす梁部42のうちトラフTの延伸方向を向く一対の対向面にそれぞれ設けた圧電素子5によって構成している。本実施形態では、梁部42の対向面のうち両側端近傍領域を除く大半の領域を被覆し得るサイズの圧電素子5を適用している(図6参照)。そして、梁部42の対向面にそれぞれ設けた圧電素子5を伸縮させる(例えば、圧電素子5に正弦波状の電圧を印加して周期的な伸びを生じさせる)ことによって、梁部42が、可動部2に対する振動子4の固定面である取付部41のうち梁部42の軸中心L1が通る位置を支点として全体的に弓状に撓み、振り子動作を行う。その結果、振動子4は、ウェイト部43の重量も相俟って適度な振り子動作を行い、振動子4の振動が発生する。ここで、梁部42の厚み寸法(梁部42の厚み方向(図5等に示す矢印H方向と同一方向)に沿った寸法)を変えることで振動周波数を容易に変えることができる。また、梁部42の厚み寸法を大きく設定して高周波振動(例えば1000Hz乃至2000Hz)を発生させた場合であっても、可動部2に対する振動子4の固定面である突出端面441のうち振動する梁部42の支点から外れた位置に形成したネジ孔442に固定用ネジN5を螺合して、振動子4を可動部2に固定しているため、振り子運動時における梁部42の大きな撓みを好適に支えることができる。また、梁部42が弓形に撓み変形して振動減衰が少なく、共振による振動増幅率が大きいため、所望の振幅を得るために必要な圧電素子5の枚数を少なくすることも可能である。圧電素子5は、例えば貼付処理等の適宜の処理によって梁部42の対向面に固定されている。トラフTの長手方向Hにおいて、圧電素子5とウェイト部43(具体的にはウェイト部本体46)との間には所定の隙間を確保し、圧電素子5とウェイト部43が相互に干渉する事態を回避している(図5及び図7参照)。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、上述した振動子4を対にして設け、これら1組の振動子4(振動子4のペア)をトラフTの長手方向Hに沿って並べて配置している。そして、各振動子4は、ウェイト部43の位置がトラフTの幅方向Wにおいて相互に逆となる姿勢で取付部41を共通の可動部2に固定している(図1及び図5参照)。つまり、各振動子4を平面視においてウェイト部43の位置が互いに逆向きとなる姿勢で配設している。各振動子4は、相互に同じ構造である。なお、本実施形態に係るリニアフィーダXの正面図である図3では、線図が極端に煩雑になることを回避するために、一対の振動子4のうち、図1における紙面向かって右側の振動子4のみを模式的に示し、図1における紙面向かって左側の振動子4は省略している。図6も同様である。
以上に説明した本実施形態に係るリニアフィーダXは、ウェイト部43の位置が相互に逆向きとなる横臥姿勢で配置した一対の振動子4を可動部2のうち天板21と底板22の間に挟んだ形態で固定し、可動部2のうち天板21の上向き面にトラフTを固定し、可動部2の下方に支持バネ3を介して固定部1を配置し、振動子4を弾性支持する構成である。
本実施形態に係るリニアフィーダXは、加振源5が稼動状態(圧電素子5が伸縮するON状態)になると、振動子4が振り子動作を行い、振動することによって、その反作用で可動部2が振動し、その振動がトラフTに伝播してトラフT自体も振動する。具体的には、少なくとも何れか一方の振動子4における加振源5を構成する圧電素子5を伸び縮みさせると、梁部42が撓んで振動し、振動子4全体が、可動部2に固定されている取付部41の所定箇所(梁部42の軸中心L1が通る位置)を支点として自由端側を円弧状に往復移動させる振り子動作を行う。特に、振動子4のうち自由端側にウェイト部本体46を設けているため、振動の反力が大きくなり、振動子4を効率良く振り子動作させることができる。また、「1組の振動子ペア」を構成する2つの振動子4のうち、一方の振動子4に付帯させた圧電素子5のみを通電ON状態にし、他方の振動子4に付帯させた圧電素子5は通電OFF状態にした場合であっても、通電OFF状態の圧電素子5を付帯している振動子4は共振によって振動する。
そして、本実施形態に係るリニアフィーダXは、このような振動子4を対にして、トラフTの幅方向Wにおいて相互に逆向きの姿勢で配置しているため、対をなす振動子4の振動が合成されて直線運動を生み出すことができる。すなわち、一対の振動子4をトラフTの幅方向Wにおいて相互に逆向きの姿勢(左右逆向きの姿勢)で組み合わせると、図8に示すように、振動子4の固定面441は直線振動をする。詳述すると、振り子運動を行う振動子4を対にして相互に左右逆向きの姿勢で可動部2に設け、各振動子4の支点に働く反力の方向が等しく、且つ振動子4が振れる方向が互いに反対方向になると、可動部2には一方向の反力が作用し、各振動子4の支点に働く回転モーメントが相殺し合うため、可動部2を変形させる力を発生させることなく、振動子4の固定面441は直線振動をする。図8では、左右逆向きの姿勢で配置した振動子4がそれぞれ振り子運動を行っている最中のある時点における各振動子4の振動方向と、振動子4の振動によって各振動子4の固定面441が直線振動をする方向を、それぞれ相対的に太い矢印で模式的に示している。図5では、各振動子4の振動方向を矢印で模式的に示しており、同図紙面向かって右側の振動子4の振動方向と、図8に示す一対の振動子4のうち相対的に上側の振動子4の振動方向は同じであり、図5に示す紙面向かって左側の振動子4の振動方向と、図8に示す一対の振動子4のうち相対的に下側の振動子4の振動方向は同じである。
このように、本実施形態に係るリニアフィーダXは、対をなす振動子4の振り子運動が合成されて直線運動になり、振動子4を固定している可動部2、及び可動部2に一体的に設けたトラフTにもこの振動が伝わり、これら可動部2及びトラフTは直線振動を行う。したがって、本実施形態に係るリニアフィーダXによれば、トラフTに対して曲げ撓みが伝わらず、共振する一対の振動子4の振動によって、トラフT上の被搬送物を所定方向に振動搬送可能な安定した振動を得ることができ、搬送速度のムラを低減することができる。特に、本実施形態に係るリニアフィーダXは、振動子4を寝かせた姿勢で配置しているため、振動子4を起立姿勢で配置する構成と比較して、高さ寸法を小さく設定することができ、高さ方向におけるコンパクト化(低背化)を図ることが可能である。
また、本実施形態に係るリニアフィーダXは、可動部2と固定部1を相互に連結する板状の支持バネ3を、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢(図2参照)と、鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢(図4参照)に変更可能に構成しているため、支持バネ3の傾き次第でトラフTの振動方向を任意の方向に設定することが可能である。図4では、支持バネ3を傾斜姿勢に設定した場合におけるトラフTの振動方向TDを模式的に示している。ここで、鉛直姿勢にある支持バネ3を基準姿勢とした場合、支持バネ3が傾倒姿勢に近付くほど、つまり支持バネ3の傾斜角度が基準姿勢の角度である90度よりも大きい角度または小さい角度になるほどトラフTの上下方向の振動ベクトルは大きくなる。
また、本実施形態に係るリニアフィーダXは、トラフTを駆動する駆動部を備え、駆動部を、加振源5、振動子4及び可動部2を用いて構成した態様であると捉えることができる。そして、振動子4の振動周波数を変えることで、トラフTを駆動させる駆動部全体の振動周波数を変えることができ、高周波振動搬送(例えば1000Hz乃至2000Hz)も容易に実現できる。
本実施形態に係るリニアフィーダXでは、上述の構成を採用したことによってトラフTへの曲げ撓みの影響は少なくなり、トラフTの長手寸法を長く設定した場合であってもトラフTに形成した搬送路T1上の被搬送物を安定して搬送することができる。特に、本実施形態に係るリニアフィーダXは、トラフTの撓みの影響が顕著になる周波数域でも高周波振動搬送が可能である。
加えて、本実施形態に係るリニアフィーダXは、振動子4のうち、ばねのように振る舞う梁部42が弓状に変形するため、面積の大きい圧電素子5を梁部42に貼付等の適宜の手段によって付帯させることができ、振動子4一つあたりの加振力は大きくなる。ここで、図9の紙面向かって左側に、従来のリニアフィーダで適用されていたS字形状に変形させる板バネに対して圧電素子5を貼付可能な部分及び圧電素子5のサイズを極めて模式的に示し(図9(a))、同図の紙面向かって右側に、本実施形態のリニアフィーダXで適用している弓形に変形させる梁部(ばね)に対して圧電素子5を貼付可能な部分及び圧電素子5のサイズを、従来例と比較できるように模式的に示している(図9(b))。
特に、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、振動子4の梁部42が弓状に変形するばねのように振る舞うため、従来のように板バネがS字形状に変形する態様と比較して、変形前の基準状態から最も変形した最大変形状態までの変位量が大きくなる。ここで、図10の紙面向かって左側に、従来のリニアフィーダで適用されていたS字形状に変形させる板バネの基準状態から最大変形状態までの変位量D1を極めて模式的に示し(図10(a))、同図の紙面向かって右側に、本実施形態のリニアフィーダXで適用している弓形に変形させる梁部(ばね)の基準状態から最大変形状態までの変位量D2を、従来例と比較できるように模式的に示している(図10(b))。このように、本実施形態に係るリニアフィーダXは、振動減衰が少なく共振による振動増幅率が大きいため、圧電素子5の枚数が、板バネをS字形状に変形させる従来のリニアフィーダが備える圧電素子の枚数の半分であっても、従来と同等の振幅を得ることができる。このことは、本実施形態における圧電素子5の枚数が、板バネをS字形状に変形させる従来のリニアフィーダが備える圧電素子と同じ枚数なら、電流が従来よりも半分程度で済むことを意味する。
加えて、本実施形態に係るリニアフィーダXでは、一対の振動子4がそれぞれ独立しているため、これら一対の振動子4の配置箇所が特に制限されることなく、任意の位置に設置することができる。そして、本実施形態に係るリニアフィーダXは、一対の振動子4をトラフTの長手方向Hに沿って並べて配置しているため、高さ方向におけるコンパクト化を実現することができる。特に、本実施形態に係るリニアフィーダXは、各振動子4の振り子運動を確保できる条件を満たせば、トラフTを振動させて被搬送物を搬送することができるため、複数の振動子4を相互に連結するための部品(本実施形態であれば可動部2を構成する天板21、底板22及び一対の側板23)に高い加工精度が要求されないというメリットも得ることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、ウェイト部43の一部を構成する振動子4の第2鍔部45及びウェイト部本体46が別体である態様を例示したが、第2鍔部とウェイト部本体を一体に備えた振動子を適用することが可能である。自由端側に第2鍔部45とウェイト部本体46を一体に有するウェイト部43を備えた振動子4の一例を図11に示す。
また、ウェイト部の形状や重量は適宜変更することが可能である。例えば、図12に示すように、梁部42の自由端側において、取付部41(第1鍔部44)から離間する方向に延伸する形状のウェイト部43を適用すれば、上述の実施形態で例示した態様と比較して、ウェイト部43の位置を、可動部2に対する振動子4の固定面から離れた位置に設定することができる。
また、図13に示すように、梁部42の軸中心を対称軸として非対称形に設定したウェイト部43を適用することも可能である。なお、図13には、梁部42の厚み方向(同図のH方向と同一方向)に沿った第2鍔部45の寸法を、梁部42の厚み方向に沿った第1鍔部44の寸法よりも短く設定し、その第2鍔部45のうち梁部42の厚み方向を向く面にウェイト部本体46を接触させた状態で固定した態様を例示している。このように、梁部42の厚み方向に沿った第2鍔部45の寸法は適宜変更することができる。図13では、ウェイト部本体46を第2鍔部45に固定するネジを省略している。
ウェイト部として直方体(立方体含む)以外の形状のもの、例えば所定方向から見た形状が円形や部分円形をなすウェイト部や、球状または部分球状をなすウェイト部を採用しても構わない。また、振動子のうち少なくとも梁部とウェイト部の部分が全体としてY字形状、またはマッチ棒形状をなす振動子を適用することも可能である。
さらにはまた、図14に示すように、それぞれ別体である梁部42、取付部41及びウェイト部43を用いて振動子4を構成することもできる。この場合、ネジ等の固定具によって別体のパーツ同士を一体的に組み付けてよいし、適宜の接着処理によって別体のパーツ同士を一体的に固定してもよい。なお、図14には、梁部42の自由端部を厚み方向に挟む位置に配置するウェイト部本体46同士を共通のネジN6で固定した態様を例示している。同図に示す振動子4は、上述の実施形態における第2鍔部45に相当する部分を、梁部42の自由端部と、ウェイト部本体46の一部とによって形成したものであると捉えることができる。
振動子を構成する梁部の長手寸法(トラフTの幅方向Wに沿った寸法)や重量によっては、図15に示すように、第2鍔部やウェイト部本体を備えず、梁部42のうち自由端側領域をウェイト部43として機能させるように構成することもできる。
また、上述の実施形態では一対の振動子を一組備えた態様を例示したが、一対の振動子を複数組備え、各組における横臥姿勢の振動子のペアを互いにトラフTの幅方向Wにおいて左右逆向きに配設した態様を採用することもできる。一対の振動子4(振動子4のペア)を2組備え、各組におけるそれぞれの振動子4が、ウェイト部43の位置が相互に左右逆となる姿勢となるように取付部41を共通の可動部2に固定したリニアフィーダXを図16及び図17(図16は当該リニアフィーダXの平面図であり、図17は図16のA方向矢視図(側面図)である)に示す。図16及び図17に示すリニアフィーダXは、全ての振動子4をトラフTの長手方向Hに沿って並べて配設しているため、上述の実施形態で例示したリニアフィーダXよりもトラフTの長手寸法を大きく設定することができる。このように、本発明に係るリニアフィーダXであれば、振動子4の数を増加することで、長尺のトラフTを振動させるための駆動部(複数の振動子4を備えた駆動部)を容易に製作することができる。なお、振動子4の数を増加させることによって、トラフTの長手方向Hに沿った可動部2のサイズも大きくなるため、必要に応じて、可動部2と固定部1とを連結する支持バネ3の数(言い換えれば、支持バネ3による可動部2と固定部1との連結箇所)を増やしてもよい。そして、支持バネ3を、図17に示す鉛直姿勢と図示しない傾斜姿勢との間で姿勢変更することで、トラフTの振動方向を変更することができる。この場合、支持バネ3は、振動角度調整用バネとして機能する。なお、図16では図1と同様に支持バネ3を省略している。
また、一対の振動子(振動子のペア)をトラフTの幅方向Wに沿って並べて配置する構成を採用することができる。この場合、例えば図18に示すように、各振動子4の取付部41(第1鍔部44)を共通化し、取付部41を中心にトラフTの幅方向Wにおいて対称形(左右対称形)となるように振動子4のペアを並べた構成を採用することもできる。このような図18に示す振動子4のペアを備えたリニアフィーダXを実現するには、図19乃至図21(図19は振動子4のペアを備えたリニアフィーダXの平面図であり、図20は図19の矢印A方向から見た図(側面図)であり、図21は図19の矢印B方向から見た図(正面図)である。)に示すように、例えば共通の取付部41を可動部2の天板21及び底板22に接触させた状態で、取付部42に形成したネジ孔442にネジを螺合することによって可動部2に固定することができる。図19乃至図21に示すリニアフィーダXは、振動子4のペアを1組備えた構成でありながら、図1乃至図3に示すリニアフィーダXと比較して、トラフTの長手方向Hにおける振動子4のペア全体の配置領域を縮小することができる。なお、図19では図1と同様に支持バネ3を省略している。
一対の振動子(振動子のペア)をトラフTの幅方向Wに沿って並べて配置する構成の一例として、例えば図22(同図(a)は平面図であり、同図(b)は同図(a)のB方向矢視図(正面図)である)に示すように、長尺の梁要素4Aにおける長手方向(トラフTの幅方向W)中央部にネジ孔42aを形成し、このネジ孔42aを可動部に固定することによって、当該固定部分を取付部41として機能させ、1本の梁要素4Aのうち長手方向中央部分を堺にした一方側の領域と他方側の領域をそれぞれ振動子4の梁部42として機能させるとともに、梁要素4Aの両端部をそれぞれ振動子4のウェイト部43として機能させるようにした構成を挙げることができる。このような振動子4のペアであっても、共通の取付部41を適宜の手段で可動部2の所定箇所に取り付けて固定すると、共通の取付部42を支点にして各振動子4が振り子動作を行うことが可能な状態になる。図22に示す一対の振動子4(振動子のペア)を備えたリニアフィーダであれば、対をなす振動子4同士がトラフTの幅方向Wに並ぶ配置になることによって、振動子トラフTの長手方向Hにおける振動子4全体の配置領域を縮小することができる。なお、図22では、第2鍔部45及びウェイト部本体46を一体に有するウェイト部43をそれぞれ備えた振動子4のペアの一例を示している。
図1及び図4には、可動部2と固定部1を相互に連結する板状の支持バネ3を、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢(図2参照)と、鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢(図4参照)に変更可能に構成し、支持バネ3の傾き次第でトラフTの振動方向を任意の方向に設定することが可能なリニアフィーダXを示したが、本発明では、図23に示すリニアフィーダXのように、寝かせた姿勢で可動部2の所定位置に固定される振動子4を、搬送方向Hに所定角度傾斜させた姿勢に設定することで、トラフTの振動方向TDを任意の方向に設定することも可能である。同図に示すリニアフィーダXは、可動子2のうち振動子4の取付部41が接触した状態で固定される面、具体的には、天板21の下向き面及び底板22の上向き面を所定角度傾斜させた面に設定することで、振動子4を搬送方向Hに所定角度傾斜させた姿勢で可動子2に固定できるように設定している。寝かせた姿勢で可動部2の所定位置に固定される振動子4の傾斜角度がゼロである場合と基準とすると、振動子4の傾斜角度が大きい角度になるほどトラフTの上下方向の振動ベクトルは大きくなる。
また、本発明のリニアフィーダでは、図24乃至図26(図25は図24の矢印A方向から見た図であり、図26は図24の矢印B方向から見た図である。)に示すように、可動部2として、内部空間2Sに振動子4を収容する筐体25(中空状のブロック体)を適用することが可能である。この筐体25は、複数の振動子4を個別に収容可能なスペースを内部に形成したもの(図24参照)、または、複数の振動子4をまとめて収容可能なスペースを内部に形成したもの、或いは1つの振動子4を収容可能なスペースを内部に形成したもの、何れであってもよい。このような筐体25によって可動部2を構成した場合、筐体4の内部において密閉された空間2Sに振動子4を配設することによって静音化(遮音化)を図ることが可能である。なお、図24では図1と同様に支持バネ3を省略し、図25では、各振動子4を収容する2つの内部空間2S同士の境界ラインを省略している。
また、可動部2として筐体25を適用したリニアフィーダXのさらに異なる一例を図27及び図28(図27は、図25に対応させて示す図であり、図28は図27の矢印B方向から見た図を一部省略して示す図である。)に示す。図27及び図28に示すリニアフィーダXは、固定部1と可動部2を連結する支持バネ3として、図26等に示す支持バネ3よりもトラフTの幅方向Wに幅広なプレート状のものを適用している。また、図27及び図28に示すように、トラフTの長手方向Hに沿って対向配置される一対の支持バネ3は、それぞれ所定角度傾斜させた姿勢でネジN8により固定部1及び可動部2に取り付けられている。このような幅広の支持バネ3を、可動部2及び固定部1の幅寸法内に収まる所定位置に配置することにより、図3や図26等に示す板バネ3を用いた構成、すなわち、可動部2及び固定部1の両サイドにそれぞれ板バネ3を配置する構成と比較して、リニアフィーダX全体の幅寸法を小さく設定することが可能である。
可動部2の一例である筐体25としては、例えば、図24乃至図28に示すように、上方にのみ開口した筐体本体26と、筐体本体26の開口を上方から蓋封可能な蓋部27とを備えたタイプ、または、下方または一方の側方にのみ開口した筐体本体と、筐体本体の開口を下方または一方の側方から蓋封可能な蓋部とを備えたタイプ(図示省略)を挙げることができる。筐体本体26及び蓋部27はネジN7によって一体的に固定されている。図24では、蓋部27の四隅をネジN7で筐体本体26に固定する態様を例示したが、ネジN7による固定箇所やネジN7の数は適宜変更することができる。
図24及び図28では、振動子4を筐体25に固定するネジN5の取付方向(螺進方向)をトラフTの幅方向Wに設定し、振動子4を筐体25の側壁部(具体的には筐体本体26の側壁部)に固定した態様を例示している。この場合、振動子4の取付部41には、可動部に固定するためのネジ孔がトラフTの幅方向Wに沿って形成され、このネジ孔にネジN5を螺合することで、振動子4を筐体25の側壁部に固定することができる。なお、振動子を筐体に固定するネジの取付方向を高さ方向に設定し、筐体の上壁部または下壁部に固定する態様としても構わない。振動子の取付部(第1鍔部)を筐体に固定する対象は、筐体本体であってもよいし、筐体本体の開口を蓋封可能な蓋部であってもよい。また、筐体として、所定方向(例えばトラフの幅方向、トラフの長手方向、あるいは高さ方向)に二分割可能な一対の筐体本体を相互に組み付け、内部に振動子を収容可能な空間を有するものを採用することもできる。
本発明において、直線状に延伸するトラフは、可動部の上端部に固定されたものであればよく、可動部として天板、底板及び一対の側板を備えたものを適用した場合、上述の図2等で例示するように、天板にトラフを固定した態様以外に、トラフを、一対の側板の上端部に載置した姿勢(一対の側板の上端部を跨ぐ姿勢であってもよい)で当該トラフを側板または天板に固定した態様にしても構わない。また、筐体を用いて可動部を構成したリニアフィーダでは、トラフを、筐体の上端部を構成する部分に載置した姿勢で当該トラフを筐体に固定することができる。なお、図25及び図27では、筐体25の上端部を構成する蓋部27にトラフTを載置した姿勢で当該トラフTを筐体25に固定した構成を示している。
また、本発明のリニアフィーダは、単数の振動子を備えたものであっても構わない。さらには、3以上の奇数の振動子を備えたリニアフィーダであってもよい。図29に示すリニアフィーダXは、可動部2を構成する天板21及び底板22に単数の振動子4を固定したものである。なお、可動部2に対する振動子4の取付位置は、図29に示すように、可動部2のうちトラフTの長手方向Wに沿った一端部側に寄った位置であってもよいし、図30に示すように、可動部2のうちトラフTの長手方向Wに沿った中央部分に相当する位置であってもよい。なお、図29及び図30では図1と同様に支持バネ3を省略している。
3以上の振動子を備えたリニアフィーダ、あるいは一対の振動子(振動子のペア)を複数組備えたリニアフィーダである場合には、複数の振動子をトラフの長手方向、高さ方向、または幅方向の3方向から選択される一以上の方向に沿って並べて配置すればよい。したがって、例えば、相互にトラフの幅方向において逆の姿勢(左右逆の姿勢)で配設される振動子のペアを2組備えたリニアフィーダにおいて、各組において振動子をトラフの長手方向に沿って並べるとともに、組同士を高さ方向に沿って並べたレイアウトを採用することも可能である。
本発明に係るリニアフィーダは、加振源を、圧電素子に代えて、電磁石、アクチュエータ、またはモータの何れかから構成することも可能である。何れの加振源であっても加振源内蔵型のリニアフィーダにすることができる。なお、加振源を外付けにしたリニアフィーダであってもよい。
また、本発明に係るリニアフィーダでは、図31及び図32(図32は図31の矢印B方向から見た図であって図31の紙面向かって左側の振動子4を省略している。)に示すように、固定部1として、床面上に直接載置した状態で固定されるベース部14と、支持バネ3によって可動部2に連結したカウンターウェイト15と、ベース部14とカンターウェイト15との間に介在させた防振バネ16とを備えたものを適用することもできる。同図には、L形の防振バネ16を適用した態様を例示している。このような固定部1を適用することによって、床面に振動が伝わることを防止・抑制する防振性能に優れたリニアフィーダXを実現することができる。
床面に振動が伝わることを防止・抑制する防振性能を高めるリニアフィーダXとしては、図33乃至図35(図34は図33の矢印A方向から見た図であり、図35は図33の矢印B方向から見た図であって振動子4を省略したものである。)に示すように、上述した各種リニアフィーダ(図31及び図32で示すリニアフィーダXを除く)をリニアフィーダ本体X1として捉え、リニアフィーダ本体X1を防振ユニット7によって吊り下げた状態で支持し、この支持状態でリニアフィーダ本体X1を振動可能に構成した態様を挙げることができる。防振ユニット7は、床面上に直接載置した状態で固定されるベース部71と、ベース部71から上方に向かって延伸し、トラフTの搬送方向において対向配置される一対の起立壁部72と、起立壁部72の下端部同士を連結する連結壁部73と、各起立壁部72の上端に一端部を固定し且つ他端部を可動部2に固定可能な防振バネ74とを備えている。一対の防振バネ74は、トラフTの幅方向Wに沿って対向する姿勢で配置され、ネジN9によって可動部2に固定されている。このように防振バネ74を備えた防振ユニット7によってリニアフィーダ本体X1を支持した状態で、振動子4及び可動部2で構成される駆動部を駆動させると、上述の実施形態と同様の原理でトラフTは長手方向に沿った直線振動を行い、トラフT上の被搬送物を長手方向Hに沿った一方向に振動搬送することができるとともに、防振ユニット7によってリニアフィーダ本体X1の振動が床面に伝播する事態を防止・抑制することができる。なお、リニアフィーダ本体X1の取付台11は、カウンターウェイトとして機能する。また、防振ユニット7は、本発明の「床面上に直接または間接的に固定される固定部」に相当するパーツであり、防振ユニット7の防振バネ74は、本発明の「固定部と可動部とを連結する支持バネ」に相当するものであると捉えることができる。図33乃至図35に示すリニアフィーダ本体X1は、上述の図1及び図2に示すリニアフィーダXに相当するものである。図33では図1と同様に支持バネ3を省略している。
なお、防振性能を高めるリニアフィーダXとして、図36及び図38(図37は図36の矢印A方向から見た図であり、図38は図36の矢印B方向から見た図であって振動子4を省略したものである。)に示すように、防振ユニット7で支持するリニアフィーダ本体X1が、内部空間2Sに振動子4を収容する筐体25(ブロック体)を用いて構成した可動部2を備えたものであっても構わない。なお、図36に示すリニアフィーダ本体X1は、上述の図24に示すリニアフィーダXに相当するものである。図36では図24と同様に支持バネ3を省略している。
また、複数の振動子を備えたリニアフィーダにおいて、全ての振動子が何れも同じ構造であることが好ましいが、構造が異なる振動子の組み合わせであってもよい。例えば、取付部、梁部及びウェイト部を一体に有する振動子と、ウェイト部の一部を構成するウェイト部本体が、取付部及び梁部と別体である振動子とを組み合わせて併用することができる。
さらにまた、複数の振動子を備えたリニアフィーダでは、全ての振動子にそれぞれ加振源を設けた態様にすることもできるが、共振作用に着目して、選択した一つの振動子または全部を除く複数の振動子にのみ加振源を設けた態様を採用することもできる。
本発明に係るリニアフィーダは、支持バネを、高さ方向を鉛直方向に一致させた鉛直姿勢と当該鉛直姿勢から所定角度傾斜させた傾斜姿勢に変更する具体的な機構も適宜変更することができる。したがって、支持バネの傾斜姿勢を複数の傾斜姿勢から選択可能に設定することも可能である。この場合、支持バネの傾斜姿勢を予め決定されている複数の傾斜姿勢から段階的に選択できるように設定したり、支持バネの傾斜姿勢を予め決定されている所定傾斜角度範囲内から無段階的に調整して適宜選択できるように設定することもできる。
また、支持バネの姿勢を一定の姿勢に維持し、支持バネの姿勢を他の姿勢に変更不能に構成したリニアフィーダであっても構わない(例えば図27及び図28に示すリニアフィーダX)。
また、振動子の梁部は、取付部からトラフの幅方向に延伸するものであればよく、振動子が振り子運動を行う際にばねのように振る舞う条件を満たせば、素材や形状は特に限定されない。
振動子が、別体をなす梁部とウェイト部とをネジによって連結したものである場合、ネジの取付方向を、トラフの延伸方向に設定しても構わない。
また、本発明のリニアフィーダでは、振動子の一端側に設定した取付部のうち、可動部に固定するためのネジ孔の形成箇所を、振り子運動を行う際の支点から外れた位置に設定することが好ましいが、敢えて支点に一致する箇所に設定してもよい。
本発明に係るリニアフィーダであれば、一対の振動子が互いの慣性モーメントを打ち消すように各振動子の梁部(ばね)の長さとウェイト部として機能する部分の重量を調整することも可能である。
振動子を構成する梁部のうち、トラフの長手方向と同一方向の寸法(梁部の幅寸法)を大きく設定するほど、高周波数の振動を発生させることが可能である。したがって、梁部の幅寸法を適宜の値に設定するだけで、所望の周波数の振動を発生させることができる。
固定部は、カウンターウェイトとして機能するものであることが好ましいが、カウンターウェイトとして機能しないものであってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。