JP2018001586A - 造形装置、および造形装置の制御方法 - Google Patents

造形装置、および造形装置の制御方法 Download PDF

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茂樹 櫻井
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Abstract

【課題】 積層造形において、材料層の過熱による不具合の発生を抑制する。
【解決手段】 造形装置1は、複数種類の造形材料を用いて材料層を形成する材料層形成部U2と、材料層形成部U2で形成された前記材料層を加熱する加熱部81と、を有し、前記材料層を順次積層して立体物を造形する造形装置である。造形装置1は、前記材料層に関する情報に基づいて、前記材料層を加熱して前記材料層を溶融または軟化させるために加熱部81が消費する電力量の予測値を取得する予測値取得部89を有する。また、造形装置1は、加熱部81が前記材料層を加熱する際に加熱部81に投入された電力量の実測値を取得する実測値取得部90を有する。造形装置1は、予測値取得部89で取得した前記予測値と実測値取得部90で取得した前記実測値とに基づいて、加熱部81に供給する電力を低減する電力低減部92を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、造形装置に関する。
近年、AM(Additive Manufacturing)システム、RP(Rapid Prototyping)システム、3次元プリンタ等と呼ばれる積層造形装置が注目されている。積層造形装置には様々な方式が存在するが、その中の一つに、電子写真技術を利用して材料層を形成し、形成した材料層を順次積層して立体物の造形を行う方式の積層造形装置がある(特許文献1)。
特許文献1では、形成した材料層を加熱して材料層を軟化または溶融させ、軟化または溶融した材料層を順次積層する。材料層は複数種類の造形材料を用いて形成することもできるが、その場合には、造形材料が軟化または溶融する温度は造形材料の種類によって異なるため、材料層ごとに適切な加熱条件で加熱する必要がある。そのため、材料層を加熱する際には材料層の温度を温度センサで検知しつつ、適切な加熱条件で加熱できるように加熱条件を制御することが好ましい。
しかしながら温度センサに不具合が生じた場合などには、材料層が過熱されてしまう可能性がある。材料層が過熱されると、材料層を構成する造形材料が過剰に溶融したり熱分解したりすることで、材料層を担持搬送する搬送部材等の各種部材に固着するなどの不具合を生じてしまう恐れがある。
過熱を防止する方法として、温度ヒューズやサーモスタット等の過熱保護素子を用い、過熱保護素子が動作したときに熱源への通電を遮断して加熱を停止させる方法がある(特許文献2)。
特開2003−53849号公報 特開平5−88584号公報
上述のとおり、造形材料の温度特性は造形材料の種類によって異なるため、材料層を加熱する際の適切な加熱条件は材料層ごとに異なる。したがって、材料層が過熱状態にあるか否かの判断基準も材料層ごとに変化させる必要がある。
しかしながら、特許文献2に記載されているような過熱保護素子は、それぞれの過熱保護素子に予め設定された作動温度において動作するものであり、作動温度を細かく変更することが困難である。そのため、材料層ごとに温度特性が変わるような場合には過熱を防止することが困難であり、不具合が発生する恐れがあった。
そこで本発明では、上述の課題に鑑み、積層造形において、材料層の過熱による不具合の発生を抑制することを目的とする。
本発明の一側面としての造形装置は、複数種類の造形材料を用いて材料層を形成する材料層形成部と、前記材料層形成部で形成された前記材料層を加熱する加熱部と、を有し、前記材料層を順次積層して立体物を造形する造形装置であって、前記材料層に関する情報に基づいて、前記材料層を加熱して前記材料層を溶融または軟化させるために前記加熱部が消費する電力量の予測値を取得する予測値取得部と、前記加熱部が前記材料層を加熱する際に前記加熱部に投入された電力量の実測値を取得する実測値取得部と、を有し、前記予測値取得部で取得した前記予測値と前記実測値取得部で取得した前記実測値とに基づいて、前記加熱部に供給する電力を低減する電力低減部を有することを特徴とする。
本発明によれば、積層造形において、材料層の過熱による不具合の発生を抑制することができる。
第1の実施形態に係る積層造形装置の構成を模式的に示す図である。 第1の実施形態における、過熱防止機構の構成を模式的に示す図である。 第1の実施形態における、過熱防止機構の動作を示すフローチャートである。 第2の実施形態に係る積層造形装置の構成を模式的に示す図である。 第2の実施形態における、第2過熱防止機構の構成を模式的に示す図である。 第2の実施形態における、第2過熱防止機構の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている各部材の寸法、材質、形状、その相対配置など、各種制御の手順、制御パラメータ、目標値などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(第1の実施形態)
[造形装置の装置構成]
図1は、第1の実施形態に係る積層造形装置の構成を模式的に示す図である。
第1の実施形態に係る積層造形装置1(以下、「造形装置1」と称する)は、制御部U1と、材料層形成部U2と、積層部U3と、を有する。
積層造形装置は、積層造形法を用い、多数の薄膜(材料層)を積層することによって造形物(立体物)を作成する装置である。この装置は、AM(Additive Manufacturing)装置、3Dプリンタ、RP(Rapid Prototyping)装置などとも呼ばれる。
<制御部>
制御部U1は、造形装置1の各部を制御する。また、制御部U1は、データ処理装置(不図示)から受け取った造形データが3次元形状データである場合などに、3次元形状データから複数層のスライス画像データを生成する処理を行ってもよい。積層造形装置1は、この複数層のスライス画像データのそれぞれに応じた材料層を順次積層することによって、立体物を作成することができる。
3次元形状データとしては、3次元CAD、3次元モデラー、3次元スキャナなどで作成されたデータを用いることができる。3次元形状データのフォーマットは問わないが、例えば、STL(StereoLithography)などのポリゴンデータを好ましく用いることができる。また、スライス画像データのフォーマットとしては、例えば、多値の画像データ(各値が材料の種類を表す)やマルチプレーンの画像データ(各プレーンが材料の種類に対応する)を用いることができる。
制御部U1は、制御ユニット60、造形コントローラ70、画像生成コントローラ10、複数のモータ(112〜114)、複数のセンサ(44,45,54,55,57)などを有する。
制御ユニット60は、各層のスライス画像データを画像生成コントローラ10へ出力する機能、造形装置1における造形工程を管理する機能、などを有する。また、制御ユニット60は、3次元形状データから複数層のスライス画像データを生成する機能を有していてもよい。
制御ユニット60は、例えばパーソナルコンピュータや組み込み型コンピュータにこれらの機能を有するプログラムを実装することにより構成することができる。
造形コントローラ70は、材料層形成部U2における材料層形成プロセスの制御、および積層部U3における積層プロセスの制御を行う。具体的には、材料層形成部U2および積層部U3の駆動系、センシング系の制御を行う。
駆動系は、ステージ52をX方向、Y方向、Z方向にそれぞれ移動させるステージ駆動Xモータ112、ステージ駆動Yモータ113、および、ステージ駆動Zモータ114を含む。
センシング系は、材料層検知センサ44,45,54,55を含む。これらのセンサは、メカトロ制御の駆動タイミング決定、画像歪み補正などの目的で使用される。たとえば、材料層位置検知センサ44は、積層部U3において材料層を積層する際の積層位置を相対的に合わせるときに利用される。材料層位置検知センサ45は、画像歪み補正を行うときに利用される。
造形コントローラ70は、MPU、モータドライバ、I/Oポートなどで構成される電子回路であり、ステージ駆動Xモータ112、ステージ駆動Yモータ113、ステージ駆動Zモータ114、材料層検知センサ(44,45,54,55)等が接続される。また、後述する投入電力量実測値取得部90および電力量データ比較部91に対して、材料層1層分の積層を行う動作期間のタイミング信号を出力する。
画像生成コントローラ10は、制御ユニット60から入力されるスライス画像データ、および、造形コントローラ70から入力される制御信号などに基づき、材料層形成部U2における画像生成プロセスを制御する。具体的には、画像生成コントローラ10は、スライス画像データの解像度変換や復号処理、レーザスキャナ20による画像書き出し位置およびタイミングの制御などを行う。その他にも、画像生成コントローラ10は、一般的なレーザプリンタ(2Dプリンタ)に内蔵されるプリンタコントローラと同じような機能を有していてもよい。
なお、本実施形態では、制御ユニット60と造形コントローラ70と画像生成コントローラ10を別々のコンピュータまたは電子回路にて構成したが、これらの機能を1つのコンピュータにより構成しても構わない。
<材料層形成部>
材料層形成部U2は、各層のスライス画像データに基づいて、造形材料からなる材料層を形成する。以下、材料層形成部U2として、電子写真プロセスを用いて造形材料からなる材料層を形成する例について説明するが、これに限定はされない。例えば、インクジェット方式、熱溶解積層方式などによって造形材料からなる材料層を形成してもよい。
電子写真プロセスとは、感光体を帯電し、露光によって静電潜像を形成し、現像剤粒子を静電潜像に付着させて画像を形成するという一連のプロセスによって、所望の画像を形成する手法である。造形装置1では、トナーの代わりに、粒子状の造形材料(造形材粒子)を現像剤として用いるが、電子写真プロセスの基本原理は2Dプリンタのものとほぼ同じである。
感光ドラム34は、有機感光体やアモルファスシリコン感光体などの感光体層を有する像担持体である。一次帯電ローラ33は、感光ドラム34の感光体層を一様に帯電するための帯電装置である。レーザスキャナ20は、画像生成コントローラ10から与えられる画像信号にしたがい、レーザ光で感光ドラム34上をスキャンし、静電潜像を描画する露光装置である。なお、露光装置としてはLEDアレイを用いてもよい。
造形材料供給部31は現像剤としての造形材料(造形材粒子)を収容、供給する装置である。現像ローラ32は、感光ドラム34上の静電潜像に造形材料を供給する現像装置である。
転写ローラ41は、感光ドラム34上に形成された造形材料の画像を転写体(転写ベルト)42に転写する転写装置である。図示しないが、感光ドラム34と転写ローラ41のあいだの転写ニップの下流に、感光ドラム34の表面をクリーニングするためのクリーニング装置を設けてもよい。
本実施形態では、感光ドラム34、一次帯電ローラ33、造形材料供給部31、現像ローラ32が、プロセスカートリッジ30として一体化されている。そして、プロセスカートリッジ30は、造形装置1の装置本体に対して着脱可能に構成され、交換が容易になっている。
造形材料としては、作成する造形物(立体物)の用途や機能、目的などに応じてさまざまな材料を選択することができる。本明細書では、造形対象物本体を構成する材料を「構造材料」と呼び、構造材料で構成される部分を「構造部」と呼ぶ。また、造形動作時に造形途中の構造部を支持するための構造(例えば、オーバーハング部を下から支える柱)を「サポート部」と呼び、サポート部を構成する材料を「サポート材料」と呼ぶ。また、両者を特に区別する必要がない場合には、単に「造形材料」という用語を用いる。このように、造形物は構造部とサポート部で構成されるものであるが、サポート部は作成する造形物の形状に応じて適宜設けられるものであり、作成する造形物の形状によっては、サポート部を必要としない場合もある。
構造材料としては、例えば、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン)、PMMA(アクリル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、POM(ポリアセタール)、PA(ポリアミド/ナイロン)、PC(ポリカーボネート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、エラストマーなどの熱可塑性の樹脂を用いることができる。また、サポート材料としては、造形対象物本体からの除去を簡単にするため、熱可塑性と水溶性を有する材料を用いることができる。サポート材料としては、例えば、水溶性糖類などの水溶性炭水化物、PLA(ポリ乳酸)、PVA(ポリビニルアルコール)、PEG(ポリエチレングリコール)などを含む材料を用いることができる。
<積層部>
積層部U3は、材料層形成部U2で形成された複数の材料層を順に積層することによって、3次元構造をもつ造形物を造形する。積層部U3は、転写体42、ヒータローラ43、ステージ52、ステージガイド53などを有する。
転写体42は、材料層形成部U2で形成された材料層を保持し、保持した材料層をステージ52上(またはステージ52上に形成されている造形途中の造形物上)への積層が行われる積層位置まで搬送する搬送部材である。より具体的には、転写体42は、転写体42とステージ52(またはステージ52上に形成されている造形途中の造形物)との間に形成される積層ニップまで材料層を搬送する。転写体42は、例えば、樹脂、ポリイミドなどの無端ベルトであってもよい。
ヒータローラ43は、ヒータを内蔵しており、転写体42上の材料層を加熱することで溶融または軟化させ、ステージ52(またはステージ52上に形成されている造形途中の造形物)の上端面に積層する加熱積層部材である。ヒータローラ43には、ヒータおよび熱電対が内蔵されている。後述するように、ヒータローラ43の内蔵するヒータは、温度調節器82、電力調整器83などにより、所定の温度となるよう制御される。なお、ここでは加熱積層部材としてローラ状のヒータローラを用いる構成について説明するが、本発明はこれに限定はされず、たとえば板状のヒータを用いる場合についても本発明を適用できる。
ステージ52は、造形途中の造形物を保持する部材であり、ステージガイド53およびステージ駆動Xモータ112、ステージ駆動Yモータ113、ステージ駆動Zモータ114によりXYZの3軸方向に移動可能である。
[積層造形装置の動作]
次に、造形装置1によって造形物を造形する際の、基本的な動作について説明する。
制御ユニット60は、造形対象物を表現した造形データである3次元形状データを取得する。制御ユニット60は、3次元形状データを取得した後、造形対象物を所定のピッチ(例えば数ミクロンから十数ミクロンの厚さ)でスライスして各層の断面形状を計算し、各層のスライス画像データを生成する。なお、制御ユニット60がコンピュータ(不図示)から3次元形状データでの代わりにスライス画像データを受信した場合には、スライス画像データの生成工程は省略される。
生成または受信した複数のスライス画像データは、最下層のスライス画像データから順に画像生成コントローラ10に入力される。画像生成コントローラ10は、入力されたスライス画像データにしたがって、レーザスキャナ20のレーザ発光およびレーザスキャンを制御する。
材料層形成部U2では、一次帯電ローラ33によって感光ドラム34の表面が均一に帯電される。レーザスキャナ20からのレーザ光により感光ドラム34の表面が露光されると、その露光部分が除電される。現像バイアスで帯電された造形材料(造形材粒子)が現像ローラ32によって除電部分に供給され、造形材料からなる画像(以下、「材料画像」または「材料層」と称する)が感光ドラム34の表面に形成される。この材料層は、転写ローラ41により転写体42上に転写される。
転写体42は材料層を保持しつつ回転し、材料層を積層位置へと搬送する。一方、造形コントローラ70は、ステージ52(またはステージ52上の造形物)が材料層と同じタイミングかつ同じ速度(材料層の搬送方向の速度)で積層位置へと進入するように、ステージ52を制御する。そして、ステージ52と転写体42を同期して移動させつつ、ヒータローラ43により熱を与えることで、材料層がステージ52上(またはステージ52上の造形物の上面)に熱溶着される。
本実施形態では、ステージ52上に積層される材料層の1層分の厚みは層ごとに一定としている。このため、材料層が積層されるたびに、造形コントローラ70はステージ52をZ方向に材料層の1層の厚み分だけ下降させ、次の層の積層に備える。
なお、本実施形態では材料層を移動させつつ、ステージ52を材料層の搬送と同期させて移動させながら積層を行う例について説明した。しかし、本発明はこれに限定はされず、たとえば転写体42によって材料層を積層位置まで搬送したら転写体42による材料層の搬送を一旦停止し、その後でステージ52を積層位置に移動させて、積層を行ってもよい。
材料層を形成する材料層形成工程、および、材料層を積層する積層工程を、スライス画像データの枚数分繰り返すことで、ステージ52上に目的の造形物(立体物)が形成される。
[過熱防止機構の構成]
次に、図2、3を用いて本発明の特徴である過熱防止機構について説明する。図2は、第1の実施形態における、過熱防止機構の構成を模式的に示す図である。
本実施形態に係る造形装置1は、図2に示す過熱防止機構を有する。すなわち、造形装置1は、図2に示すように、投入電力量実測値取得部90(以下、「実測値取得部90」と称する)と、投入電力量予測値取得部89(以下、「予測値取得部89」と称する)と、投入電力量低減部92と、を有する。詳しくは後述するが、造形装置1は、実測値取得部90で取得した実測値と、予測値取得部89で取得した予測値と、に基づいて、ヒータ81に投入する電力量を、投入電力量低減部92によって低減する。これにより、ヒータ81による材料層の過熱の発生を抑制し、材料層の過熱による不具合の発生を抑制することができる。以下、過熱防止機構を構成する各部について詳細に説明する。
過熱防止機構は、図2に示すように、実測値取得部90と、予測値取得部89と、投入電力量低減部92と、を有する。過熱防止機構はさらに、温度調節器82、電力調整器83、電力遮断器84、温度ヒューズ85、材料種別識別部86、スライス画像データ保持部87、積層済みデータ保持部88、および、電力量データ比較部91を有する。
温度調節器82は、ヒータローラ43に内蔵された熱電対80の出力に基づいて、所定の制御アルゴリズム(PID制御、比例制御、ON/OFF制御など)により、ヒータローラ43が所望の温度となるように制御信号を出力する。温度調節器82と造形コントローラ70は双方向の制御信号で接続されており、造形コントローラ70において、温度調節制御の開始/停止の指示や、ヒータローラ43の温度監視ができるようになっている。
電力調整器83は、交流電源に接続されており、ヒータ81への投入電力を調整する。電力調整器83による投入電力の調整は、温度調節器82からの制御信号に基づいて、所定の制御方式(位相制御、サイクル制御など)によって行うことが好ましい。
電力遮断器84は、交流電源からヒータ81までの電路を開閉する。電力遮断器84は後述するように、投入電力量低減部92からの信号に基づいて、ヒータ81への交流電源出力、すなわち電力供給を遮断する。電力遮断器84としては、電磁式遮断機や電磁継電器などを用いることができる。
温度ヒューズ85は、ヒータローラ43の近傍に設置された温度ヒューズである。温度ヒューズ85は、温度ヒューズ85の作動温度以上の温度に到達したときに交流電源からヒータ81までの電路を遮断する。ここで、温度ヒューズ85の作動温度は、造形装置1で使用する造形材料のうち、積層の際の温度が最も高い造形材料の温度特性を基準に設定されている。
材料種別判定部86は、材料層形成部U2が材料層の形成に使用している造形材料の種別を判定する。本実施形態では、プロセスカートリッジ30に不図示のICチップが装備されており、ICチップに造形材料供給部31に収容されている造形材料の種別データが記憶されている。材料種別判定部86は、プロセスカートリッジ30のICチップからデータを読み出すことで、その造形材料供給部31に収容されている造形材料の材料種別を判定する。そして、材料種別判定部86は、判定した材料種別に基づいて、温度調節器82に対して温度設定を行う。
スライス画像データ保持部87は、画像生成コントローラ10から出力されるスライス画像データを保持する。
積層済みデータ保持部88は、画像生成コントローラ10から出力されるスライス画像データを累積保持して、ステージ52上に形成されている造形途中の造形物に関するデータを保持する。積層済みデータ保持部88が保持するデータからは、ステージ52上に形成されている造形途中の造形物の体積や表面積、材質などを知ることができる。なお、積層済みデータ保持部88は予め造形対象物の3次元形状データまたは全てのスライス画像データを取得しておいてもよい。そして、画像生成コントローラ10が積層済みデータ保持部88に保持されたデータを積層部U3における積層に連動して書き換えることで、その時々にステージ52上に形成されている造形途中の造形物に関するデータを更新してもよい。
予測値取得部89は、材料層に関する情報に基づいて、材料層を加熱して材料層を溶融または軟化させるためにヒータが消費する電力量の予測値を取得する。電力量の予測値は、1層分の積層定着を行う動作期間における、電力調整器83の制御周期毎の時系列電力量データとして生成、保持されることが好ましい。なお、電力調整器83の制御周期は制御方式により異なり、例えば位相制御では交流電源の周期と等しく、サイクル制御では交流電源の周期の倍数となる。
材料層に関する情報としては、第1に、材料層を構成する造形材料の温度特性に関する情報(造形材料の温度特性情報)がある。造形材料の温度特性情報は、造形材料の種別と温度特性とを対応付けた温度特性テーブルを制御部U1に予め記憶しておき、材料種別判定部86から取得した造形材料の種別情報に基づいてこの温度特性テーブルを適宜参照することで取得することができる。造形材料の温度特性情報は、造形材料の積層温度、融点、軟化温度、比熱などを含んでいてもよい。
第2に、スライス画像データ保持部87から取得される、材料層の形状情報が挙げられる。材料層の形状情報は、材料層を構成する造形材料が複数種類ある場合には、造形材料ごとの形状情報であることが好ましい。
第3に、積層済みデータ保持部88から取得される、ステージ52上に形成されている造形物に関する情報(積層済み造形物情報)が挙げられる。具体的には、積層済み造形物情報は、ステージ52上に形成されている造形物の形状情報、および、当該造形物を構成している造形材料の量(体積や表面積)の情報を含んでいてもよい。
予測値取得部89はこれらの情報に基づいて、材料層1層分の積層を行う動作期間中に、ヒータ81に投入される電力量を予測することが好ましい。以下、ヒータ81に投入される電力量の予測方法について説明する。
通常、造形装置1は、積層造形動作に先立って、ヒータローラ43を所定の温度にまで昇温させるウォームアップ動作を行う。ヒータローラ43のウォームアップ動作を行った状態で、材料層1層分の積層を行う動作期間中にヒータ81へ投入されるべき電力量は、下記の各エネルギーの和によって概算することができる。第1に、転写体42上の材料層を溶融または軟化させるための熱エネルギー(A)である。第2に、ステージ52上に形成されている造形途中の造形物へ伝導する熱エネルギー(B)である。第3に、材料層および造形途中の造形物以外のメカ部材を昇温させる熱エネルギー(C)である。第4に、その他装置内外空間へ放射する熱エネルギー(D)である。
ここで、熱エネルギー(C)と熱エネルギー(D)は、造形装置1の周囲の環境温度が室温前後(20〜25℃程度)であれば、ウォームアップ動作の後は、略一定であるとみなすことができる。したがって、積層のたびに変化する上記の熱エネルギー(A)と熱エネルギー(B)を知ることができれば、ヒータ81へ投入されるべき電力量を予測することができる。そこで、予測値取得部89は、好ましくは、熱エネルギー(A)および熱エネルギー(B)に基づいて、ヒータが消費する電力量の予測値を取得する。
ここで、熱エネルギー(A)は、材料層を構成する造形材料の材料種別と材料層の形状とに依存する。また、熱エネルギー(B)は、積層済み造形物を構成する造形材料の材料種別と当該造形物の形状(体積、表面積)に依存する。
したがって、ヒータ81に投入される電力量の予測値は、上述の材料層に関する情報に基づいて取得することが好ましい。すなわち、予測値取得部89は、材料種別識別部86、スライス画像データ保持部87、および、積層済みデータ保持部88から各種情報を取得し、取得した情報に基づいて予測値を取得することが好ましい。
予測値取得部89は、造形材料の温度特性情報、材料層の形状、積層済み造形物情報を引数とする近似関数を用いて、各種情報から予測値を計算することが好ましい。ここで、近似関数はたとえば、ANSYS CFX(ANSYS社製)などの熱流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーションや、実験データをもとに取得することができる。この近似関数は予め取得しておき、予測値取得部89または制御部U1に予め記憶しておくことが好ましい。
なお、予測値の精度を向上させるために、近似式の引数として装置内外の気温をさらに用いてもよい。これにより、熱エネルギー(C)や熱エネルギー(D)の変動による予測値の変動も考慮することができる。装置内外の気温データは、予測値取得部89が、サーミスタ等の温度センサ(不図示)から取得すればよい。
あるいは、処理を簡略化するために、熱エネルギー(B)の変動量が非常に小さく、略一定であるとみなせる場合には、熱エネルギー(A)のみに基づいて、ヒータが消費する電力量の予測値を取得してもよい。すなわち、予測値取得部89は、材料層の形状および材料層を構成する造形材料に関する情報に基づいて、予測値を取得してもよい。
実測値取得部90は、加熱部(ヒータ81)が材料層を加熱する際に加熱部に投入された電力量の実測値を取得する。実測値取得部90は、造形コントローラ70から入力されるタイミング信号に基づいて、材料層1層分の積層を行う動作期間中に、ヒータ81に実際に投入された電力量を計測することが好ましい。電力量の計測は、電力調整器83の制御方式に即して行われる。例えば、電力調整器83の制御方式が位相制御である場合には、実測値取得部90は、ヒータ81に印加される交流電源出力の位相角を計測する。また、電力調整器83の制御方式がサイクル制御である場合には、実測値取得部90は、1制御周期内に印加される交流電源出力のサイクル数を計測する。このような計測を材料層1層分の積層を行う動作期間中、電力調整器83の制御周期毎に行うことで、電力量の実測値は、予測値取得部89が取得する予測値と同形式の時系列電力量データとなる。
電力量データ比較部91は、予測値取得部89が取得した予測値と、実測値取得部90が取得した実測値と、を比較する。電力量データ比較部91は、好ましくは、造形コントローラ70からのタイミング信号に基づいて比較を行い、予測値と実測値とを対応する時系列毎に比較する。
投入電力量低減部92は、予測値取得部89で取得した予測値と、実測値取得部90で取得した実測値と、に基づいて、加熱部であるヒータ81に供給する電力を低減する。投入電力量低減部92は、電力量データ比較部91における予測値と実測値の比較結果に基づいて、加熱部であるヒータ81に供給する電力を低減することが好ましい。また、投入電力量低減部92は、実測値と予測値の差分に基づいて、加熱部であるヒータ81に供給する電力を低減することが好ましい。投入電力量低減部92は加熱部であるヒータ81に供給する電力を低減することが好ましく、加熱部であるヒータ81に供給する電力を遮断することがより好ましい。
予測値取得部89によって取得される予測値の精度が十分に高ければ、本来、予測値と実測値はおおむね等しく、「実測値≒予測値」となるはずである。しかしながら、温度センサ、温度調節器、電力調整器の故障や暴走等のなんらかの不具合により、ヒータ81に過剰な電力が投入された場合には、「実測値>予測値」となる。そこで、電力量データ比較部91による比較の結果、このような結果となった場合には、投入電力低減部92は電力調整器83を介して、ヒータ81に供給する電力を低減する。あるいは、投入電力低減部92は、電力遮断器84への制御信号をOFFとして、ヒータ81への電力供給を遮断する。
電力量データ比較部91による比較を行う際には、予測値取得部89によって取得される予測値の精度(近似式の精度)や、実測値取得部90によって取得される実測値の精度(計測する際の計測誤差など)を考慮してもよい。実際の比較に当たっては、実測値と予測値の差分が所定値以上であるか否かを判定してもよい。すなわち、投入電力低減部92は、
(実測値−予測値)≧所定値
を満たす場合に、ヒータ81に供給する電力を低減してもよい。なお、所定値は特に限定されるものではないが、例えば、予測値の10〜30%とすればよい。
なお、電力量データ比較部91は、連続する複数の制御周期間で平均または移動平均を取って比較してもよい。また、投入電力量低減部92は、「実測値>予測値」などの投入電力を低減すべき比較結果が、連続する複数の制御周期内で所定回数以上出現したときに、ヒータ81に供給する電力を低減してもよい。これにより、ヒータ81に供給する電力を低減するか否かの判定の精度を向上させることができ、造形装置1の動作を安定させることができる。
ところで、実測値と予測値との間にずれが生じる原因となる不具合の種類によっては、「実測値<予測値」となる場合もある。この場合は、そもそも温調制御が成立していないため、ヒータ81は所望の温度に達せず降温する。そのため、この場合は材料層が過熱され、材料層を構成する造形材料が過剰に溶解したり熱分解したりする可能性は低いものの、この場合も、造形装置1が正常に動作していないことは明らかである。したがって、この場合にも、投入電力量低減部92はヒータ81に供給する電力を低減してもよい。すなわち、投入電力量低減部92は、
(予測値−実測値)≧所定値
を満たす場合に、ヒータ81に供給する電力を低減してもよい。なお、所定値は特に限定されるものではないが、例えば、予測値の10〜30%とすればよい。
以上から、投入電力量低減部92は、
|実測値−予測値|≧所定値
を満たす場合に、ヒータ81に供給する電力を低減することが好ましく、ヒータ81に供給する電力を遮断することがより好ましい。
[過熱防止機構の動作]
図3は、第1の実施形態における、過熱防止機構の動作を示すフローチャートである。
まず、造形装置1の主電源がONになった後、制御部U1は、電力遮断器84を通電状態とする(S301)。
次に、過熱防止機構は、造形装置1が材料層の積層動作を開始するまで待機する。材料層の積層動作が行われているか否かは、造形コントローラ70から出力される、タイミング信号で知ることができる。
積層動作が開始されたら(S302でYes)、予測値取得部89は、加熱部であるヒータ81が材料層を加熱する際に加熱部に投入される電力量の予測値を取得する(S303)。なお、ここでは積層動作と並行して、予測値取得部89が予測値を取得する例を示すが、これに限定はされない。すなわち、予測値取得部89は、積層動作の開始を待機している間に、予測値を取得してもよいし、それ以前に予測値を取得してもよい。
次に、実測値取得部90は、造形装置1の積層動作と連動して、加熱部であるヒータ81が材料層を加熱する際に加熱部に投入された電力量の実測値を取得する(S304)。
そして、電力量データ比較部91は、S303において取得した電力量の予測値と、S304において取得した電力量の実測値と、を比較する(S305)。ここでは、具体的には、電力量データ比較部91は、実測値と予測値の差の絶対値が所定値以上であるか否か、すなわち、
|計測電力量データ−予測電力量データ|≧所定値
であるか否かを判定する。
上記条件式を満たさない場合(S305でNo)は、1層分の積層定着を行う動作期間中(S302でYesの間)、S303〜S305の処理ループを、電力調整器83の制御周期毎に繰り返し実行する。
一方、上記条件式を満たす場合(S304でYes)は、投入電力量低減部92は、加熱部であるヒータ81に供給する電力を低減する(S306)。
なお、S304でYesとなった場合には、投入電力量低減部92は、電力遮断器84を遮断状態となるよう制御し、加熱部であるヒータ81への電力供給を遮断することが好ましい(S306)。なお、S306で加熱部への電力供給を遮断した場合には、ユーザーもしくはサービスマンによる別途のリカバリー手続きが完了するまで、電力遮断器84を通電状態に復帰させないように制御することが望ましい。
以上、説明してきたように本実施形態によれば、積層を行っている材料層を構成する造形材料の温度特性に応じた過熱防止手段を実現することができる。これにより、従来の過熱保護素子では実現することが困難であった、材料層ごとに温度特性が変わるような場合にも過熱を防止することができる。その結果、造形材料の固着や異臭の発生などの、材料層の過熱による不具合の発生を抑制することができる。
(第2の実施形態)
[造形装置の装置構成]
図4は、第2の実施形態に係る積層造形装置の構成を模式的に示す図である。第2の実施形態に係る積層造形装置2(以下、「造形装置2」と称する)は、後述するシート化ヒータ46を有する点以外は造形装置1の構成と同様であるので、これ以外についての説明は省略する。
シート化ヒータ46は、転写体42上に保持された材料層を加熱し、ステージ52上またはステージ52上に形成されている造形物上に積層する前に、シート化する。シート化ヒータ46は、好ましくは材料層を構成する造形材料粒子同士を互いに融着させて、材料層をシート化する。
造形装置2は、感光ドラム34と転写ローラ41との間に形成されるニップ部の下流側に、転写体42上に保持された材料層を輻射熱により加熱するシート化ヒータ46を有する。ヒータローラ43と同様に、シート化ヒータ46にはヒータおよび熱電対が内蔵されている。本実施形態では、第1の実施形態において説明した、ヒータローラ43による過熱の発生を抑制する第1過熱防止機構に加えて、シート化ヒータ46による過熱の発生を抑制する第2過熱防止機構を備えている。すなわち、積層造形装置が複数の加熱部(ヒータ)を有する場合には、積層造形装置は加熱部ごとに、本発明に係る過熱防止機構を有することが好ましい。
[過熱防止機構の構成]
次に、図5、6を用いて第2過熱防止機構について説明する。図5は、第2の実施形態における、第2過熱防止機構の構成を模式的に示す図である。
本実施形態に係る造形装置2は、図5に示す過熱防止機構を有する。すなわち、造形装置2は、図5に示すように、第2の投入電力量実測値取得部190(以下、「実測値取得部190」と称する)と、第2の投入電力量予測値取得部189(以下、「予測値取得部189」と称する)と、第2の投入電力量低減部192と、を有する。造形装置2は、実測値取得部190で取得した実測値と、予測値取得部189で取得した予測値と、に基づいて、第2のヒータ181に投入する電力量を、第2の投入電力量低減部192によって低減する。これにより、第2のヒータ181による材料層の過熱の発生を抑制し、材料層の過熱による不具合の発生を抑制することができる。ここで、第2の熱電対180および第2のヒータ181は、それぞれ、シート化ヒータ46に内蔵されている熱電対およびヒータである。以下、第2過熱防止機構を構成する各部について説明する。
第2過熱防止機構は、図5に示すように、実測値取得部190と、予測値取得部189と、第2の投入電力量低減部192と、を有する。第2過熱防止機構はさらに、第2の温度調節器182、第2の電力調整器183、第2の電力遮断器184、第2の温度ヒューズ185、材料種別識別部86、第2のスライス画像データ保持部187、および、第2の電力量データ比較部191を有する。
第2過熱防止機構が第1過熱防止機構と異なる点は、第2過熱防止機構は積層済みデータ保持部を有さない点である。それ以外については第1過熱防止機構と同様であるので、第1過熱防止機構と同様な部分については説明を省略する。なお、ここでは第2過熱防止機構は実測値取得部190、予測値取得部189、第2の電力量データ比較部191、第2の投入電力量低減部192等の各部を、第1過熱防止機構とは別に有するものとして説明したが、これに限定はされない。すなわち、第2過熱防止機構の有する各部は、第1過熱防止機構の有する各部の機能を兼ねていてもよい。また、第1過熱防止機構の有する電力遮断器84と第2過熱防止機構の有する第2の電力遮断器184は、どちらか一方が遮断された場合は、他方も連動して遮断されるようになっているのが望ましい。
予測値取得部189は、材料層に関する情報に基づいて、材料層を加熱して材料層を溶融または軟化させるためにヒータ181が消費する電力量の予測値を取得する。電力量の予測値は、1層分の材料層をシート化する動作期間における、第2の電力調整器183の制御周期毎の時系列電力量データとして生成、保持されることが好ましい。なお、第2の電力調整器183の制御周期は制御方式により異なり、例えば位相制御では交流電源の周期と等しく、サイクル制御では交流電源の周期の倍数となる。
材料層に関する情報としては、第1に、材料層を構成する造形材料の温度特性に関する情報(造形材料の温度特性情報)がある。造形材料の温度特性情報は、造形材料の種別と温度特性とを対応付けた温度特性テーブルを制御部U1に予め記憶しておき、材料種別判定部86から取得した造形材料の種別情報に基づいてこの温度特性テーブルを適宜参照することで取得することができる。造形材料の温度特性情報は、造形材料の積層温度、融点、軟化温度、比熱などを含んでいてもよい。
第2に、第2のスライス画像データ保持部187から取得される、材料層の形状情報が挙げられる。材料層の形状情報は、材料層を構成する造形材料が複数種類ある場合には、造形材料ごとの形状情報であることが好ましい。
予測値取得部189はこれらの情報に基づいて、1層分の材料層をシート化する動作期間中に、ヒータ181に投入される電力量を予測することが好ましい。以下、ヒータ181に投入される電力量の予測方法について説明する。
ヒータ181が材料層を加熱する場合、第1過熱防止機構とは異なり、ステージ52上に形成されている造形途中の造形物へ伝導する熱ネルギー(B)は考慮する必要がない。そのため、第2過熱防止機構の予測値取得部189は、好ましくは、熱エネルギー(A)に基づいて、ヒータ181が消費する電力量の予測値を取得する。
したがって、ヒータ181に投入される電力量の予測値は、上述の材料層に関する情報に基づいて取得することが好ましい。すなわち、予測値取得部189は、材料種別識別部86およびスライス画像データ保持部87から各種情報を取得し、取得した情報に基づいて予測値を取得することが好ましい。
予測値取得部189は、造形材料の温度特性情報や材料層の形状を引数とする近似関数を用いて、各種情報から予測値を計算することが好ましい。ここで、近似関数はたとえば、ANSYS CFX(ANSYS社製)などの熱流体解析ソフトウェアを用いたシミュレーションや、実験データをもとに取得することができる。この近似関数は予め取得しておき、予測値取得部189または制御部U1に予め記憶しておくことが好ましい。
また、ステージ52上またはステージ52上に形成されている造形物上への積層動作と、転写体42上に保持された材料層のシート化は、並行して行ってもよい。たとえば、n層目の材料層の積層動作を行っている間に、(n+1)層目の材料層のシート化動作を並行して行ってもよい。このとき、スライス画像データ保持部87はn層目のスライス画像データを、第2のスライス画像データ保持部187は(n+1)層目のスライス画像データを、それぞれ保持してもよい。
[過熱防止機構の動作]
図6は、第2の実施形態における、第2過熱防止機構の動作を示すフローチャートである。
まず、造形装置2の主電源がONになった後、制御部U1は、第2電力遮断器184を通電状態とする(S601)。
次に、第2過熱防止機構は、造形装置2が材料層のシート化動作を開始するまで待機する。材料層のシート化動作が行われているか否かは、造形コントローラ70から出力される、タイミング信号で知ることができる。
積層動作が開始されたら(S602でYes)、予測値取得部189は、加熱部であるヒータ181が材料層を加熱する際に加熱部に投入される電力量の予測値を取得する(S603)。なお、ここではシート化動作と並行して、予測値取得部189が予測値を取得する例を示すが、これに限定はされない。すなわち、予測値取得部189は、シート化動作の開始を待機している間に、予測値を取得してもよいし、それ以前に予測値を取得してもよい。
次に、実測値取得部190は、造形装置2のシート化動作と連動して、加熱部であるヒータ181が材料層を加熱する際に加熱部に投入された電力量の実測値を取得する(S604)。
そして、第2の電力量データ比較部191は、S603において取得した電力量の予測値と、S604において取得した電力量の実測値と、を比較する(S605)。ここでは、具体的には、第2の電力量データ比較部191は、実測値と予測値の差の絶対値が所定値以上であるか否か、すなわち、
|計測電力量データ−予測電力量データ|≧所定値
であるか否かを判定する。
上記条件式を満たさない場合(S605でNo)は、1層分の材料層のシート化を行う動作期間中(S602でYesの間)、S603〜S605の処理ループを、第2の電力調整器183の制御周期毎に繰り返し実行する。
一方、上記条件式を満たす場合(S604でYes)は、第2の投入電力量低減部192は、加熱部であるヒータ181に供給する電力を低減する(S606)。
以上説明してきたように、本実施形態では積層を担う加熱部(ヒータローラ43)による過熱による不具合の発生に加えて、シート化を担う加熱部(シート化ヒータ46)による過熱による不具合の発生も、同時に抑制することができる。
U2 材料層形成部
81 ヒータ(加熱部)
89 投入電力量予測値取得部(予測値取得部)
90 投入電力量実測値取得部(実測値取得部)
92 投入電力量低減部

Claims (8)

  1. 複数種類の造形材料を用いて材料層を形成する材料層形成部と、
    前記材料層形成部で形成された前記材料層を加熱する加熱部と、を有し、前記材料層を順次積層して立体物を造形する造形装置であって、
    前記材料層に関する情報に基づいて、前記材料層を加熱して前記材料層を溶融または軟化させるために前記加熱部が消費する電力量の予測値を取得する予測値取得部と、
    前記加熱部が前記材料層を加熱する際に前記加熱部に投入された電力量の実測値を取得する実測値取得部と、を有し、
    前記予測値取得部で取得した前記予測値と前記実測値取得部で取得した前記実測値とに基づいて、前記加熱部に供給する電力を低減する電力低減部を有することを特徴とする造形装置。
  2. 前記電力低減部は、前記実測値取得部で取得した前記実測値と前記予測値取得部で取得した前記予測値と差分に基づいて、前記加熱部に供給する電力を低減することを特徴とする請求項1に記載の造形装置。
  3. 前記電力低減部は、前記差分に基づいて、前記加熱部に供給する電力を遮断することを特徴とする請求項1に記載の造形装置。
  4. 前記電力低減部は、前記差分が所定値以上となった場合に前記加熱部に供給する電力を低減することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の造形装置。
  5. 前記材料層に関する情報が、前記材料層の形状情報、前記材料層を構成する前記造形材料の温度特性情報、および、前記材料層を積層する前までに積層して造形されている造形物に関する情報、から選択される少なくとも1つの情報に基づいて、前記材料層を加熱して前記材料層を溶融または軟化させるために前記加熱部が消費する消費電力量の予測値を取得することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の造形装置。
  6. 前記電力低減部は、前記実測値取得部で取得した前記実測値が前記予測値取得部で取得した前記予測値を超えた場合に、前記加熱部に供給する電力を低減することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の造形装置。
  7. 前記加熱部を複数有し、
    前記予測値取得部および前記実測値取得部は、前記加熱部ごとに前記予測値および前記実測値をそれぞれ取得し、
    前記電力低減部は、前記加熱部ごとに、前記予測値取得部で取得した前記予測値と前記実測値取得部で取得した前記実測値とに基づいて、前記加熱部に供給する電力を低減する電力低減部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の造形装置。
  8. 複数種類の造形材料を用いて材料層を形成する材料層形成部と、
    前記材料層形成部で形成された前記材料層を加熱する加熱部と、を有し、前記材料層を順次積層して立体物を造形する造形装置の制御方法であって、
    前記材料層に関する情報に基づいて、前記材料層を加熱して前記材料層を溶融または軟化させるために前記加熱部が消費する電力量の予測値を取得する予測値取得工程と、
    前記加熱部が前記材料層を加熱する際に、前記加熱部に投入された消費電力量の実測値を取得する実測値取得工程と、を有し、
    前記予測値取得部で取得した前記予測値と前記実測値取得部で取得した前記実測値とに基づいて、前記加熱部に供給する電力を低減することを特徴とする造形装置の制御方法。
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