JP2018001179A - 鉛フリーはんだ合金、電子回路基板及び電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Agを1質量%以上4質量%以下と、Sbを1質量%以上5質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.15質量%以下含み、残部がSnからなることを特徴とする鉛フリーはんだ合金。
【選択図】図1
Description
この鉛フリーはんだ合金としては、例えばSn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系、Sn−Zn系はんだ合金等がよく知られている。その中でもテレビ、携帯電話等に使用される民生用電子機器や自動車に搭載される車載用電子機器には、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金が多く使用されている。
鉛フリーはんだ合金は、鉛含有はんだ合金と比較してはんだ付性が多少劣るものの、フラックスやはんだ付装置の改良によってこのはんだ付性の問題はカバーされている。そのため、例えば車載用電子回路基板であっても、自動車の車室内のように寒暖差はあるものの比較的穏やかな環境下に置かれるものにおいては、Sn−3Ag−0.5Cuはんだ合金を用いて形成したはんだ接合部でも大きな問題は生じていない。
そのため、上述の過酷な環境下に置かれる車載用電子回路基板及び電子制御装置が増える中で、十分な亀裂進展抑制効果を発揮し得るはんだ合金への要望は、今後ますます大きくなることが予想される。
このような例えばリード部分をSnめっきに替えた電子部品やSnめっきされた下面電極をもつ電子部品は、Snめっき及びはんだ接合部に含まれるSnとリード部分や前記下面電極に含まれるCuとの相互拡散を発生させ易い。そのため、はんだ接合部と前記リード部分や前記下面電極との界面付近の領域(以下、本明細書においては「界面付近」という。)にて、金属間化合物であるCu3Sn層が凸凹状に大きく成長し易い。このCu3Sn層は元々硬くて脆い性質を有する上に、凸凹状に大きく成長したCu3Sn層は更に脆くなる。よって特に上述の過酷な環境下においては、前記界面付近ははんだ接合部と比較して亀裂が発生し易く、また発生した亀裂はこれを起点として一気に進展するため、電気的短絡が生じ易い。
従って、今後は上述の過酷な環境下でNi/Pd/AuめっきやNi/Auめっきのなされていない電子部品を用いた場合であっても前記界面付近における亀裂進展抑制効果を発揮し得るはんだ合金への要望も大きくなることが予想される。
しかしBiの添加により高強度化した鉛フリーはんだ合金は延伸性が悪化し、脆性が強まるというデメリットがある。出願人がBiを添加した従来の鉛フリーはんだ合金を用いて基板とチップ抵抗部品とをはんだ接合しこれを寒暖差の激しい環境下に置いたところ、チップ抵抗部品側にあるフィレット部分において、チップ抵抗部品の長手方向に対して約45°の方向から亀裂が直線状に入り電気的短絡が発生した。従って、特に寒暖の差の激しい環境下に置かれる車載用基板においては従来のようなBi等の添加による高強度化のみでは亀裂進展抑制効果は十分ではなく、高強度化に加え新たな亀裂進展抑制方法の出現が望まれる。
(A)3.6≦Ag含有量+Sb含有量≦9.0
(B)0.17<(Ag含有量/3)+(Bi含有量/4.5)≦2.10
(C)0<(Ni含有量/0.15)+(Co含有量/0.15)≦1.3
本実施形態の鉛フリーはんだ合金には、1質量%以上4質量%以下のAgを含有させることができる。Agを添加することにより、鉛フリーはんだ合金のSn粒界中にAg3Sn化合物を析出させ、機械的強度を付与することができる。
但し、Agの含有量が1質量%未満の場合、Ag3Sn化合物の析出が少なく、鉛フリーはんだ合金の機械的強度及び耐熱衝撃性が低下するので好ましくない。またAgの含有量が4質量%を超えると、鉛フリーはんだ合金の延伸性が阻害され、これを用いて形成されるはんだ接合部が電子部品の電極剥離現象を引き起こす虞があるので好ましくない。
またAgの含有量を2質量%以上3.8質量%以下とすると、鉛フリーはんだ合金の強度と延伸性のバランスをより良好にできる。更に好ましいAgの含有量は2.5質量%以上3.8質量%以下である。
即ち、実質的に母材(本明細書においては鉛フリーはんだ合金の主要な構成要素を指す。以下同じ。)をSnとする鉛フリーはんだ合金に上記範囲でSbを添加することで、Snの結晶格子の一部がSbに置換され、その結晶格子に歪みが発生する。そのため、このような鉛フリーはんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部は、Sn結晶格子の一部のSb置換により前記結晶中の転移に必要なエネルギーが増大してその金属組織が強化される。更には、Sn粒界に微細なSnSb、ε−Ag3(Sn,Sb)化合物が析出することにより、Sn粒界のすべり変形を防止することではんだ接合部に発生する亀裂の進展を抑制し得る。
ここで、延伸性の低いはんだ合金を用いて形成されたはんだ接合部を寒暖の差の激しい環境下に置いた場合、繰り返し発生する応力は当該はんだ接合部の電子部品側に蓄積し易くなる。そのため、深部亀裂は電子部品の電極近傍のはんだ接合部にて発生することが多い。この結果、この亀裂近傍の電子部品の電極に応力が集中してしまい、はんだ接合部が電子部品側の電極を剥離してしまう現象が生じ得る。しかし本実施形態の鉛フリーはんだ合金は上記範囲でSbを添加したことにより、Biといったはんだ合金の延伸性に影響を及ぼす元素を含有させる場合であってもそれ自体の延伸性が阻害され難く、よって上述のような過酷な環境下に長時間曝された場合であっても電子部品の電極剥離現象をも抑制することができる。
鉛フリーはんだ合金にCuを添加しない場合、当該合金の溶融粘度を下げることができるため、これを用いて形成したはんだ接合部ではフラックスを起因とするガスが排出され易く、ボイドとして残留し難い。しかし溶融した鉛フリーはんだ合金側にCuがないことから、電極にあるCuが上記溶融はんだ合金側に拡散し易くなり、界面付近におけるCu3Sn層がより一層成長し易くなるという問題がある。
しかし本実施形態の鉛フリーはんだ合金の構成であれば、上記範囲でNiを添加することにより、これにCuを添加せずとも溶融した鉛フリーはんだ合金への電極側のCuの過度な拡散を抑制することができ、且つ界面付近において微細な(Cu,Ni)6Sn5が形成されて母材中に分散するため、はんだ接合部における亀裂の進展を抑制し、更にその耐熱疲労特性を向上させることができる。
しかし本実施形態の鉛フリーはんだ合金においては、Niの含有量を上記範囲内として他の元素との含有量のバランスを図ることにより、このようなボイドの発生を抑制することができる。
しかし本実施形態の鉛フリーはんだ合金においては、Coの含有量を上記範囲内としてNiを含む他の元素との含有量のバランスをとることにより、このようなボイドの発生を抑制することができる。
本実施形態における鉛フリーはんだ合金においては、Biをこの範囲内で添加することにより、はんだ合金の延伸性を阻害することなく、良好な耐熱衝撃性を保つことができる。但しBiの含有量が4.5質量%を超えると鉛フリーはんだ合金の延伸性が阻害され、また耐熱衝撃性が低下するので好ましくない。
なお、Biの含有量を3質量%以上4質量%以下とした場合、その延伸性を阻害することなく、耐熱衝撃性を更に向上することができる。
(A)3.6≦Ag含有量+Sb含有量≦9.0
(B)0.17<(Ag含有量/3)+(Bi含有量/4.5)≦2.10
(C)0<(Ni含有量/0.15)+(Co含有量/0.15)≦1.3
AgとSbとNiとBiとCoの含有量を上記範囲内とすることで、過酷な環境下におけるはんだ接合部の亀裂進展の抑制効果、CuOSP基板上への電子部品搭載時に発生し易いはんだ接合部のボイドの抑制効果、及びNi/Pd/AuめっきやNi/Auめっきがなされていない電子部品を基板上に搭載する場合に発生し易いCu3Sn層の成長による界面付近の亀裂進展の抑制効果のいずれもをバランスよく発揮させることができ、はんだ接合部の信頼性を一層向上させることができる。
但しInの含有量が6質量%を超えると、鉛フリーはんだ合金の延伸性を阻害すると共に、寒暖の差が激しい過酷な環境下に長時間曝されている間にγ−InSn4が形成され、鉛フリーはんだ合金が自己変形してしまうため好ましくない。
なお、Inのより好ましい含有量は、4質量%以下であり、1質量%から2質量%が特に好ましい。
このようなソルダペースト組成物としては、例えば粉末状にした前記鉛フリーはんだ合金とフラックスとを混練しペースト状にすることにより作製される。
これらの中でもロジン系樹脂、その中でも特に酸変性されたロジンに水素添加をした水添酸変性ロジンが好ましく用いられる。
前記添加剤の配合量は、フラックス全量に対して10質量%以下であることが好ましい。またこれらの更に好ましい配合量はフラックス全量に対して5質量%以下である。
本実施形態の電子回路基板の構成を図1を用いて説明する。本実施形態の電子回路基板100は、基板1と、絶縁層2と、電極部3と、電子部品4と、はんだ接合体10とを有する。はんだ接合体10は、はんだ接合部6とフラックス残渣7とを有し、電子部品4は、外部電極5と、端部8を有する。
基板1としては、プリント配線板、シリコンウエハ、セラミックパッケージ基板等、電子部品の搭載、実装に用いられるものであればこれらに限らず基板1として使用することができる。
電極部3は、はんだ接合部6を介して電子部品4の外部電極5と電気的に接合している。
またはんだ接合部6は、本実施形態に係るはんだ合金を用いて形成されている。
更には、本実施形態の電子回路基板100は、電子部品4にNi/Pd/AuめっきやNi/Auめっきがなされていない場合であっても、はんだ接合部6と電子部品4との界面付近における亀裂進展抑制効果をも発揮することができる。
先ず、所定のパターンとなるように形成された絶縁層2及び電極部3を備えた基板1上に、前記ソルダペースト組成物を上記パターンに従い印刷する。
次いで印刷後の基板1上に電子部品4を実装し、これを230℃から260℃の温度でリフローを行う。このリフローにより基板1上にはんだ接合部6及びフラックス残渣7を有するはんだ接合体10が形成されると共に、基板1と電子部品4とが電気的接合された電子回路基板100が作製される。
以下の各成分を混練し、実施例及び比較例に係るフラックスを得た。
水添酸変性ロジン(製品名:KE−604、荒川化学工業(株)製) 51質量%
硬化ひまし油 6質量%
ドデカン二酸 10質量%(製品名:SL−12、岡村製油(株)製)
マロン酸 1質量%
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩 2質量%
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(製品名:イルガノックス245、BASFジャパン(株)製) 1質量%
ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル 29質量%
前記フラックス11.0質量%と、表1及び表2に記載の各鉛フリーはんだ合金の粉末(粉末粒径20μmから38μm)89.0質量%とを混合し、実施例1から実施例27及び比較例1から17に係る各ソルダペースト組成物を作製した。
・3.2mm×1.6mmチップ部品(チップA)
3.2mm×1.6mmのサイズのチップ部品(Ni/Snめっき)と、当該サイズのチップ部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記チップ部品を接続する電極(1.6mm×1.2mm)とを備えたガラスエポキシ基板(CuOSP基板)と、同パターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用意した。
前記ガラスエポキシ基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダペースト組成物を印刷し、それぞれ前記チップ部品を搭載した。
その後、リフロー炉(製品名:TNP−538EM、(株)タムラ製作所製)を用いて前記各ガラスエポキシ基板を加熱してそれぞれに前記ガラスエポキシ基板と前記チップ部品とを電気的に接合するはんだ接合部を形成し、前記チップ部品を実装した。この際のリフロー条件は、プリヒートを170℃から190℃で110秒間、ピーク温度を245℃とし、200℃以上の時間が65秒間、220℃以上の時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を3℃から8℃/秒とし、酸素濃度は1500±500ppmに設定した。
次に、−40℃(30分間)から125℃(30分間)の条件に設定した冷熱衝撃試験装置(製品名:ES−76LMS、日立アプライアンス(株)製)を用い、冷熱衝撃サイクルを1,000、1,500、2,000、2,500、3,000サイクル繰り返す環境下に前記各ガラスエポキシ基板をそれぞれ曝した後これを取り出し、各試験基板を作製した。
次いで各試験基板の対象部分を切り出し、これをエポキシ樹脂(製品名:エポマウント(主剤及び硬化剤)、リファインテック(株)製)を用いて封止した。更に湿式研磨機(製品名:TegraPol−25、丸本ストルアス(株)製)を用いて各試験基板に実装された前記チップ部品の中央断面が分かるような状態とし、形成されたはんだ接合部に発生した亀裂がはんだ接合部を完全に横断して破断に至っているか否かを走査電子顕微鏡(製品名:TM−1000、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、以下の基準にて評価した。その結果を表3及び表4に表す。なお、各冷熱衝撃サイクルにおける評価チップ数は10個とした。
◎:3,000サイクルまではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生しない
○:2,501から3,000サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
△:2,001から2,500サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
×:2,000サイクル未満ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
2.0×1.2mmのサイズのチップ部品(Ni/Snめっき)と、当該サイズのチップ部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記チップ部品を接続する電極(1.25mm×1.0mm)とを備えたガラスエポキシ基板(CuOSP基板)を用いた以外は3.2mm×1.6mmチップ部品と同じ条件にて試験基板を作成し、且つ同じ方法にて評価した。その結果を表3及び表4に表す。
6mm×5mm×0.8tmmサイズの1.3mmピッチSON(Small Outline Non−leaded package)部品(端子数8ピン、製品名:STL60N3LLH5、STMicroelectronics社製)と、当該SON部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記SON部品を接続する電極(メーカー推奨設計に準拠)とを備えたガラスエポキシ基板(CuOSP基板)と、同パターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用意した。
前記ガラスエポキシ基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダペースト組成物を印刷し、それぞれに前記SON部品を搭載した。その後、冷熱衝撃サイクルを1,000、2,000、3,000サイクル繰り返す環境下に各ガラスエポキシ基板を置く以外は上記(1)はんだ亀裂試験と同じ条件にて前記ガラスエポキシ基板をリフロー及び冷熱衝撃を与え、各試験基板を作製した。
次いで各試験基板の対象部分を切り出し、これをエポキシ樹脂(製品名:エポマウント(主剤及び硬化剤)、リファインテック(株)製)を用いて封止した。更に湿式研磨機(製品名:TegraPol−25、丸本ストルアス(株)製)を用いて各試験基板に実装された前記SON部品の端子中央断面が分かるような状態とし、はんだ接合部に発生した亀裂がはんだ接合部を完全に横断して破断に至っているか否かについて走査電子顕微鏡(製品名:TM−1000、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察した。この観察に基づき、はんだ接合部について、はんだ母材(本明細書においてはんだ母材とは、はんだ接合部のうちSON部品の電極の界面及びその付近以外の部分を指す。以下同じ。なお表3及び表4においては単に「母材」と表記する。)に発生した亀裂と、はんだ接合部とSON部品の電極の界面(の金属間化合物)に発生した亀裂に分けて以下のように評価した。その結果を表3及び表4に表す。なお、各冷熱衝撃サイクルにおける評価SON数は20個とし、SON1個あたりゲート電極の1端子を観察し、合計20端子の断面を確認した。
◎:3,000サイクルまではんだ母材を完全に横断する亀裂が発生しない
○:2,001から3,000サイクルの間ではんだ母材を完全に横断する亀裂が発生
△:1,001から2,000サイクルの間ではんだ母材を完全に横断する亀裂が発生
×:1,000サイクル未満ではんだ母材を完全に横断する亀裂が発生
◎:3,000サイクルまで前記界面を完全に横断する亀裂が発生しない
○:2,001から3,000サイクルの間で前記界面を完全に横断する亀裂が発生
△:1,001から2,000サイクルの間で前記界面を完全に横断する亀裂が発生
×:1,000サイクル未満で前記界面を完全に横断する亀裂が発生
車載用基板等は寒暖差の非常に激しい過酷な環境下に置かれるため、これに用いられるはんだ合金は、このような環境下においても良好な亀裂進展抑制効果を発揮することが求められる。そのため、本実施例に係るはんだ合金がこのようなより過酷な条件下においても当該効果を発揮し得るかどうかを明確にすべく、液槽式冷熱衝撃試験装置を用いて−40℃から150℃の寒暖差におけるはんだ亀裂試験を行った。その条件は以下のとおりである。
はんだ接合部形成後の各ガラスエポキシ基板(CuOSP基板)を−40℃(30分間)から150℃(30分間)の条件に設定した液槽式冷熱衝撃試験装置(製品名:ETAC WINTECH LT80、楠本(株)製)を用いて冷熱衝撃サイクルを1,000、2,000、3,000サイクル繰り返す環境下に曝す以外は上記(1)はんだ亀裂試験と同じ条件にて、3.2×1.6mmチップ部品(チップA)搭載及び2.0×1.2mmチップ部品(チップB)搭載の各試験基板を作製した。
次いで各試験基板の対象部分を切り出し、これをエポキシ樹脂(製品名:エポマウント(主剤及び硬化剤)、リファインテック(株)製)を用いて封止した。更に湿式研磨機(製品名:TegraPol−25、丸本ストルアス(株)、
製)を用いて各試験基板に実装された前記チップ部品の中央断面が分かるような状態とし、形成されたはんだ接合部に発生した亀裂がはんだ接合部を完全に横断して破断に至っているか否かを走査電子顕微鏡(製品名:TM−1000、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、以下の基準にて評価した。その結果を表3及び表4に表す。なお、各冷熱衝撃サイクルにおける評価チップ数は10個とした。
◎:3,000サイクルまではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生しない
○:2,001から3,000サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
△:1,001から2,000サイクルの間ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
×:1,000サイクル未満ではんだ接合部を完全に横断する亀裂が発生
2.0×1.2mmのサイズのチップ部品(Ni/Snめっき)と、当該サイズのチップ部品を実装できるパターンを有するソルダレジスト及び前記チップ部品を接続する電極(1.25mm×1.0mm)とを備えたガラスエポキシ基板(CuOSP基板)と、同パターンを有する厚さ150μmのメタルマスクを用意した。
前記ガラスエポキシ基板上に前記メタルマスクを用いて各ソルダペースト組成物を印刷し、それぞれ前記チップ部品を搭載した。
その後、リフロー炉(製品名:TNP−538EM、(株)タムラ製作所製)を用いて前記各ガラスエポキシ基板を加熱してそれぞれに前記ガラスエポキシ基板と前記チップ部品とを電気的に接合するはんだ接合部を形成し、前記チップ部品を実装した各試験基板を作製した。この際のリフロー条件は、プリヒートを170℃から190℃で110秒間、ピーク温度を245℃とし、200℃以上の時間が65秒間、220℃以上の時間が45秒間、ピーク温度から200℃までの冷却速度を3℃から8℃/秒とし、酸素濃度は1500±500ppmに設定した。
次いで各試験基板の表面状態をX線透過装置(製品名:SMX−160E、(株)島津製作所製)で観察し、各試験基板中20箇所のランドにおいて、チップ部品の電極下の領域(図3の破線で囲った領域(a))に占めるボイドの面積率(ボイドの総面積の割合。以下同じ。)とフィレットが形成されている領域(図3の破線で囲った領域(b))に占めるボイドの面積率の平均値を求め、それぞれについて以下のように評価した。その結果を表3及び表4に表す。
◎:ボイドの面積率の平均値が3%以下であって、ボイド発生の抑制効果が極めて良好
○:ボイドの面積率の平均値が3%超5%以下であって、ボイド発生の抑制効果が良好
△:ボイドの面積率の平均値が5%超8%以下であって、ボイド発生の抑制効果が十分
×:ボイドの面積率の平均値が8%を超え、ボイド発生の抑制効果が不十分
またNiとCoとを併用した実施例14から実施例27においては、特にフィレットのボイド抑制効果が良好であることが分かる。
2 絶縁層
3 電極部
4 電子部品
5 外部電極
6 はんだ接合部
7 フラックス残渣
8 端部
10 はんだ接合体
100 電子回路基板
Claims (9)
- Agを1質量%以上4質量%以下と、Sbを1質量%以上5質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.15質量%以下含み、残部がSnからなることを特徴とする鉛フリーはんだ合金。
- 更にBiを4.5質量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載の鉛フリーはんだ合金。
- 更にCoを0.001質量%以上0.15質量%以下含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉛フリーはんだ合金。
- Agを1質量%以上4質量%以下と、Sbを1質量%以上5質量%以下と、Niを0.01質量%以上0.15質量%以下と、Biを4.5質量%以下と、Coを0.001質量%以上0.15質量%以下含み残部がSnからなり、
AgとSbとNiとBiとCoのそれぞれの含有量(質量%)が下記式(A)から(C)の全てを満たすことを特徴とする鉛フリーはんだ合金。
(A)3.6≦Ag含有量+Sb含有量≦9.0
(B)0.17<(Ag含有量/3)+(Bi含有量/4.5)≦2.10
(C)0<(Ni含有量/0.15)+(Co含有量/0.15)≦1.3 - 更にInを6質量%以下含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金。
- 更にP、Ga、及びGeの少なくとも1種を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金。
- 更にFe、Mn、Cr、及びMoの少なくとも1種を合計で0.001質量%以上0.05質量%以下含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金。
- 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の鉛フリーはんだ合金を用いて形成されるはんだ接合部を有することを特徴とする電子回路基板。
- 請求項8に記載の電子回路基板を有することを特徴とする電子制御装置。
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