本発明の縫製装置の下軸ユニットは、釜として半回転釜と全回転釜の内の任意の一つを備える。図面を参照し、釜が全回転釜である時を第一実施形態とし、釜が半回転釜である時を第二実施形態とし、釜が全回転釜である時の第一実施形態とは別の形態を第三実施形態として順に説明する。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。以下説明は、異なる実施形態で同じ構成を有する時、同じ符号を付与する。
第一実施形態の縫製装置1の概略構造を説明する。図1に示す如く、縫製装置1は、上軸ユニット2、上側スプライン軸3、下軸ユニット4、下側スプライン軸5、X移動機構6、Y移動機構7、同期機構8、制御部を備える。図2に示す如く、上軸ユニット2は針棒機構21、上側筐体22を備える。針棒機構21は針棒24を上下動する。上側筐体22は針棒機構21を収容する。上側スプライン軸3は左右方向に延びる棒状の部材であり、外周面に左右方向に延びる溝を有する。上側スプライン軸3は上軸ユニット2の上側筐体22に挿通し、針棒機構21に動力を伝達する。図3に示す如く、下軸ユニット4は釜機構41、下側筐体42を備える。釜機構41は外周に釜剣先11(図7参照)を有する釜12を駆動する。下側筐体42は釜機構41を収容する。下側スプライン軸5は上側スプライン軸3と平行に延びる棒状の部材であり、外周面に左右方向に延びる溝を有する。下側スプライン軸5は下軸ユニット4の下側筐体42に挿通し、釜機構41に動力を伝達する。下軸ユニット4の釜12は全回転釜であり、縫製装置1は駆動源の動力で上軸25と下軸44を異なる方向に回転する。X移動機構6は上側スプライン軸3の軸線方向に沿って上軸ユニット2を移動し、上軸ユニット2の移動に同期して下側スプライン軸5の軸線14(図6参照)方向に沿って下軸ユニット4を移動する。X移動機構6は上軸ユニット2と下軸ユニット4を左右方向に移動する。Y移動機構7は縫製対象である布を下軸ユニット4に対して相対的に下軸44(図6参照)の延設方向(前後方向)に移動する。同期機構8は、上側スプライン軸3と下側スプライン軸5に架設し、上側スプライン軸3と下側スプライン軸5の回転を同期する。制御部は、X移動機構6、Y移動機構7、同期機構8を制御する。
上軸ユニット2を説明する。図2に示す如く、上軸ユニット2は針棒機構21、上側筐体22に加え上軸25、伝達部材26、天秤機構を備える。上側筐体22は下側筐体42に対向する。上側筐体22は本体部27、先端部28、固定部30を備える。本体部27は左右方向に長い箱状である。先端部28は本体部27左端部よりも下方に延びる。固定部30は本体部27よりも上下方向に長い略矩形枠状であり、本体部27の背面側に位置する。固定部30は孔32、33、四つの支持部材34、腕部37を備える。孔32、33は右側面視円状である。孔32は固定部30の左面に設け、孔33は固定部30の右面に設ける。孔32、33は上側スプライン軸3を挿通する。各支持部材34は左右方向に延びる右側面視C字状で、背面に溝部35を有する。支持部材34は固定部30背面の右上部、左上部、右下部、左下部に設ける。固定部30背面の右上部、左上部に設けた支持部材34の溝部35は左右方向に延びるレール67に係合し、固定部30背面の右下部、左下部に設けた支持部材34の溝部35はレール67の下方で左右方向に延びるレール68に係合する。腕部37は固定部30の下端部にて本体部27の右側面と平行に延び、本体部27の右側面に螺子で固定する。
上軸25は上側スプライン軸3と平行に設け、本体部27内を左右方向に延びる。伝達部材26は上側スプライン軸3の軸線周りの回転を上軸25に伝達する。左側から見た上軸25の回転方向を上軸回転方向と言う。上軸回転方向は時計回りである。左側は上軸25に対して針棒24側である。本例の伝達部材26は上側スプライン軸3に設けたボールスプライン軸受け36、ボールスプライン軸受け36と連結した第一プーリ、上軸25に設けた第二プーリ、第一プーリと第二プーリに掛け渡したタイミングベルトである。ボールスプライン軸受け36は孔33にて支持する。上軸25は針棒機構21と天秤機構と連結し、上側スプライン軸3を介して伝達した回転力で、針棒機構21と天秤機構を駆動する。天秤機構は天秤29を備える。天秤29は縫製時に上下動して上糸を引上げる。針棒機構21は天秤29の上下動と連動して針棒24を上下動する。針棒24の下端部は先端部28の下側から露出し下方へ延びる。針棒24は下端部に縫針23を装着する。
下軸ユニット4を説明する。図3〜図7に示す如く、下軸ユニット4は釜機構41、下側筐体42に加え、変換機構43、下軸44、第一プーリ45、第二プーリ46、タイミングベルト47を備える。下側筐体42は略直方体状の箱状である。下側筐体42は挿通孔48、49、針板50、固定部51、52を備える。挿通孔48は下側筐体42の左面に設け、挿通孔49は下側筐体42の右面に設ける。挿通孔48、49は下側スプライン軸5を挿通する。下側筐体42は下側スプライン軸5をボールスプライン軸受け39を介して支持する。ボールスプライン軸受け39は挿通孔48にて支持する。下側筐体42は上面に針板50を設ける。針板50は針棒24が下降した時に縫針23の下端部が通る針穴53を有する。
固定部51、52は正面視上下方向に延び、梁を有する枠状である。固定部51は下側筐体42の背面左部に設け、固定部52は下側筐体42の背面右部に設ける。固定部51、52は下軸ユニット4を下側スプライン軸5の軸線14の延設方向(左右方向)に移動するベルト72を通し、ベルト72の一端と他端を固定する。詳細にはベルト72は内歯を有する。内歯はベルトを環状に掛け渡した時、内周側にある歯である。ベルト72の外周側は平面状である。固定部51、52は下側筐体42の背面との間にベルト72を配置し、固定部51、52の梁の間にベルト72の内歯を通した状態で固定部51、52の四隅を下側筐体42の背面に螺子で固定する。下軸ユニット4は縫製装置1に対して着脱可能である。下軸ユニット4を縫製装置1から取り外す時、作業者はベルト72の一端と他端を固定部51、52から取り外し、下側スプライン軸5を左右方向に移動して挿通孔48、49から抜く。下側筐体42の下面は支持台54の上面に固定する。支持台54は平面視矩形状の板状である。支持台54は下面に右側面視逆U字状の支持部材55を四つ有する。四つの支持部材55は支持台54の前右部、前左部、後右部、後左部に設け、左右方向に延びる。四つの支持部材55は上側に凹む溝部56を有する。溝部56は左右方向に延びるレール69(図1参照)と係合する。
図6に示す如く、変換機構43は下側スプライン軸5の軸線14周りの回転力を縫製装置1の針棒24の延設方向(上下方向)と下側スプライン軸5の軸線14に垂直な垂直軸15周りの回転力に変換する。垂直軸15は水平面と平行な面上に延びる。変換機構43は、変換軸57、第一歯車58、第二歯車59を備える。変換軸57は下側スプライン軸5と平行に延びる。変換軸57は下側スプライン軸5の後方で左右方向に延びる。第一歯車58は変換軸57に設ける螺子歯車である。第二歯車59は下軸44に設ける螺子歯車であり、第一歯車58と噛み合う。
下軸44は変換機構43と釜機構41に連結し、釜12を下側スプライン軸5の軸線14に垂直な垂直軸15周りに回動する。下軸44は前後方向に延び、下側筐体42にて回動可能に支持する。正面側から見た下軸44の回転方向を下軸回転方向と言う。正面側は下軸44に対して釜12側である。下軸回転方向は反時計回りであり、上軸回転方向の逆である。下軸44はモータ131の動力で上軸25の回転に応じて回転する。第一プーリ45は下側スプライン軸5にボールスプライン軸受け39を介して連結する。第二プーリ46は変換軸57左端部に設ける。タイミングベルト47は帯状の部材であり、第一プーリ45と第二プーリ46の間に掛け渡す。第一プーリ45の径は第二プーリ46の径より大きい。故に下側スプライン軸5の回転力がタイミングベルト47を介して変換軸57に伝達した時、変換軸57の回転数は下側スプライン軸5の回転数より大きい。第一歯車58の径と第二歯車59の径は同一である。故に下軸44の回転数は変換軸57の回転数と同じであり、下側スプライン軸5の回転数より大きい。
X移動機構6を説明する。図1、図8に示す如く、X移動機構6は左右一対の支持板61、62、板部63、64、土台部65、レール67〜69、ベルト71、72、モータ73、伝達部材75、軸76、プーリ77、78、軸79、80を備える。支持板61、62は右側面視上下方向に長い矩形状の板状部材である。支持板61、62は下端が設置面から離間した位置で土台部65の側面に固定する。支持板61、62の延設方向は鉛直方向と略一致する。支持板61は板部63、64、上側スプライン軸3、下側スプライン軸5の左端部を支持する。支持板61は左面に後述の同期機構8を支持し、右面に上下方向に延びる軸79、80を支持する。支持板62は板部63、64、上側スプライン軸3、下側スプライン軸5の右端部を支持する。支持板62は右面にモータ73、伝達部材75、軸76、プーリ77、78を支持する。
板部63、64は水平面と略平行に延びる板部材であり、平面視左右方向に長い矩形状である。板部63の左端と右端は正面視略L字状の固定具81、82で支持板61、62に固定する。板部63は左右方向に延びるレール67を前面に固定する。板部64の左端と右端は正面視略L字状の固定具83、84で支持板61、62に固定する。板部64は板部63の下方に設ける。板部64は左右方向の延びるレール68を前面に固定する。レール67、68は上軸ユニット2の支持部材34と係合し、上軸ユニット2の左右方向の移動を案内する。
土台部65は正面視矩形状箱体である。土台部65は板部63、64と平行に延びる上下一対の板部85、86、支持板61、62と平行に延びる左右一対の板部87、88を備える。板部85は上面に左右方向に延びるレール69を備える。レール69は下軸ユニット4の支持部材55と係合し、下軸ユニット4の左右方向の移動を案内する。板部86は縫製装置1の設置面と接する。板部87は支持板61の下端部を固定する。板部88は支持板62の下端部を固定する。
ベルト71はプーリ77と軸79に掛け渡す帯状の部材である。ベルト71の一端と他端は上軸ユニット2の背面側に設けた固定部30に着脱可能に固定する。ベルト72はプーリ78と軸80に掛け渡す帯状の部材である。ベルト72の一端と他端は下軸ユニット4の背面側に設けた固定部51、52に着脱可能に固定する。モータ73は上軸ユニット2と下軸ユニット4を左右方向に移動する為の動力を供給する。モータ73は支持板62の右面に固定する。伝達部材75は上下方向に延びる軸76に設ける。伝達部材75はモータ73の出力軸と連結し、モータ73の駆動力を軸76に伝達する。軸76は上端部にプーリ77を設け、下端部にプーリ78を設ける。支持板62は軸76を鉛直方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。モータ73の駆動力で軸76が回転した時、ベルト71、72は軸76の回転方向と回転量に応じて平面視時計回り又は反時計回りに移動する。ベルト71が移動した時、上軸ユニット2はレール67、68に沿って、ベルト71と同じ量だけ左右方向に移動する。ベルト72が移動した時、下軸ユニット4はレール69に沿ってベルト72と同じ量だけ左右方向に移動する。
Y移動機構7を説明する。図9、図10に示す如く、Y移動機構7は縫製対象を保持する保持体91を備え、保持体91を前後方向に移動する。Y移動機構7はX移動機構6に依る上軸ユニット2と下軸ユニット4の移動方向と直交する水平面上の方向に保持体91を移動する。保持体91は下枠92、上枠93、支持部94〜96、エアシリンダ97を備える。下枠92と上枠93は平面視矩形状の枠であり、間に縫製対象を挟持する。縫製装置1の縫製可能領域は下枠92、上枠93の内側に設定する。支持部94は上枠93の左辺後方と連結し、支持部95は上枠93の右辺後方と連結する。支持部96は左右方向に延びる板状であり、前面に支持部94、95の背面を固定する。エアシリンダ97は空気の吸排気で下枠92に対して上枠93を開閉する動力を供給する。支持部94、95はエアシリンダ97の駆動力で上枠93を上下方向に移動する。
Y移動機構7は支持板101、102、土台板部103、支持台104、105、軸106、モータ107、支持台108、109、軸110、111、ベルト112、113を備える。Y移動機構7は更に上側案内部114、115、梁部116、125、枠支持部117、118、土台部119、120、案内部121、122を備える。Y移動機構7は左右方向の中心Mについて対称であるので、Y移動機構7の右側について説明し、左側の説明は省略する。
支持板102は正面視上下方向に長い矩形状の板部材である。支持板102はY移動機構7の右後端に鉛直面と略平行に設ける。土台板部103は平面視矩形状の板状である。支持板102は土台板部103の右後端を支持する。土台板部103は水平面と略平行である。支持台105は右側面視台形状、正面視U字状の部材である。支持台105は土台板部103の右前部上面に設ける。モータ107は土台板部103の左右方向中央の前部上面に設け、保持体91を前後方向に移動する動力を供給する。軸106は左右方向に延び、モータ107の出力軸と歯車を介して連結する。支持台105は軸106の右端部を支持し、支持台104は軸106の左端部を支持する。軸106はモータ107の駆動により回転する。支持台109は支持板102の前面下部に設け、左右方向に延びる軸111を支持する。ベルト113は軸106と軸111に掛け渡す帯状部材である。上側案内部115は支持板102の前面から前方に延びる四角柱状の部材である。上側案内部115は下面に前後方向に延びるレール123を有し、保持体91の前後方向の移動を案内する。レール123はベルト113の上方にベルト113と平行に設ける。梁部116、125は左右方向に延びる四角柱状の部材である。梁部116の左端は上側案内部114右前部に固定し、右端は上側案内部115左前部に固定する。梁部125の左端は上側案内部114右後部に固定し、右端は上側案内部115左後部に固定する。土台部120は枠支持部118の後端下側を支持し、ベルト113の上面に固定する。土台部120はベルト113と一体的に移動する。案内部122は枠支持部118の後端上面に固定し、上側案内部115の下面に設けたレール123と係合する。枠支持部118の前端部は支持部96の右端部と連結する。
モータ107が駆動した時、軸106が回転する。ベルト113、112は軸106の回転量と回転方向に応じて右側面視時計回り又は反時計回りに移動する。ベルト113に固定した土台部120は、ベルト113と共に移動する。ベルト112に固定した土台部119は、ベルト112と共に移動する。土台部120が前後方向に移動すると、保持体91を支持する枠支持部118は案内部122を介してレール123に沿って前後方向に移動する。土台部119が前後方向に移動すると、保持体91を支持する枠支持部117は案内部121を介してレールに沿って前後方向に移動する。故に保持体91は前後方向に移動する。
同期機構8を説明する。図11に示す如く、同期機構8はモータ131、駆動プーリ133、上側プーリ134、下側プーリ135、アイドラプーリ138、両歯ベルト139、プーリ140、141、取付部144を備える。モータ131は支持板61の右後方に設け、左右方向に延びる出力軸132を有する。出力軸132は支持板61の右方から左方に挿通する。駆動プーリ133は出力軸132の左端に固定する。上側プーリ134は支持板61の左面に設け、上側スプライン軸3の左端に固定する。下側プーリ135は上側プーリ134の下方で支持板61の左面に設け、下側スプライン軸5の左端に固定する。上側プーリ134、下側プーリ135は出力軸132よりも前方に位置する。下側プーリ135の径は上側プーリ134の径と同じである。アイドラプーリ138は支持板61の左面に設ける。アイドラプーリ138は両歯ベルト139の駆動経路の内、上側プーリ134と下側プーリ135との間で両歯ベルト139の張力を調整可能なプーリである。アイドラプーリ138の上下方向の固定位置は、上側プーリ134と下側プーリ135の間、且つ下側プーリ135寄りである。アイドラプーリ138の前後方向の固定位置は上側プーリ134と下側プーリ135を結ぶ線分より前側である。アイドラプーリ138の径は上側プーリ134と下側プーリ135の径より小さい。取付部144はアイドラプーリ138を取り外し可能に支持板61に取り付ける。
両歯ベルト139は内歯127と外歯128を有する帯状である。両歯ベルト139は駆動プーリ133、上側プーリ134、下側プーリ135、アイドラプーリ138に掛け渡す。両歯ベルト139は下側プーリ135の外周部に内歯127と外歯128の一方が噛合し、上側プーリ134の外周部に内歯127と外歯128の他方が噛合する。両歯ベルト139は駆動プーリ133の外周部に内歯127又は外歯128が噛合する。本例の両歯ベルト139の外歯128は下側プーリ135の外周部に噛合し、内歯127は上側プーリ134の外周部に噛合する。両歯ベルト139の内歯127は駆動プーリ133の外周部に噛合する。プーリ140は上側プーリ134と駆動プーリ133の間に設け、両歯ベルト139の外歯128と噛合する。プーリ141は上側プーリ134とアイドラプーリ138の間に設け、両歯ベルト139の外歯128と噛合する。プーリ140、141は両歯ベルト139の撓みを防ぐ。モータ131が駆動し出力軸132が左側面視時計回りに回転すると、両歯ベルト139を介して上側プーリ134と下側プーリ135が回転する。上側プーリ134は左側面視時計回りに回転し、下側プーリ135は左側面視反時計回りに回転する。
縫製装置1の縫製動作を説明する。作業者は保持体91の下枠92と上枠93の間に縫製対象を挟む。作業者は制御部に縫製データに従った縫製を開始する指示を入力する。縫製データは針落ち点を順に定めた座標データを含む。針落ち点は針棒24と共に縫針23が下方に移動した時に縫針23が刺さる縫製対象上の予定位置である。制御部は指示に応じて縫製データに従って縫製を開始する。制御部は縫製データに従って、X移動機構6、Y移動機構7を駆動し、上軸ユニット2と下軸ユニット4に対して縫製対象を相対的に移動する。制御部は同期機構8を駆動し、上側スプライン軸3を左側面視時計回りに回転し、下側スプライン軸5を両歯ベルト139を用い左側面視反時計回りに回転する。上軸ユニット2は上側スプライン軸3の回転を上軸25に伝達する。上軸回転方向は時計回りである。針棒機構21は上軸25の回転力で針棒24を上下動する。下軸ユニット4は下側スプライン軸5の左側面視反時計回りの回転を、変換機構43を介して下軸44に伝達する。下軸回転方向は反時計回りであり、上軸回転方向の逆である。下軸44は正面視反時計回りに釜12を回転する。釜12は、針棒24と協働し、縫針23が保持する上糸にボビンケースから引出した下糸を絡める。天秤機構は、下糸に絡んだ上糸を針板50上に引き上げ、縫製対象に縫目を形成する。
第二実施形態の縫製装置1を説明する。図1に示す如く、第二実施形態の縫製装置1は上軸ユニット2、上側スプライン軸3、下軸ユニット204、下側スプライン軸5、X移動機構6、Y移動機構7、同期機構208、制御部を備える。第二実施形態の縫製装置1は同期機構208と下軸ユニット204の構成が第一実施形態の縫製装置1と異なり他の構成は同じである。以下、第一実施形態の縫製装置1と同じ構成の説明は省略し、第一実施形態の縫製装置1と異なる下軸ユニット204と同期機構208を説明する。第一実施形態の縫製装置1と同じ部材は、説明を簡略化又は省略する。
図12、図13に示す如く、第二実施形態の下軸ユニット204は釜機構241、下側筐体242を備える。釜機構241は外周に釜剣先211(図13参照)を有する釜212を駆動する。下側筐体242は釜機構241を収容する。下軸ユニット204の釜212は半回転釜であり、下軸44はモータ131の動力で上軸25の回転に応じて往復回動する。下軸ユニット204は釜機構241、下側筐体242に加え、変換機構143、下軸44、第一プーリ45、第二プーリ46、タイミングベルト47を備える。下側筐体242は略直方体状の箱状である。下側筐体242は挿通孔248、249、針板50、固定部51、52を備える。挿通孔248は下側筐体242の左面に設け、挿通孔249は下側筐体42の右面に設ける。挿通孔248、249は下側スプライン軸5を挿通する。下側筐体242は下側スプライン軸5をボールスプライン軸受け39を介して支持する。ボールスプライン軸受け39は挿通孔248にて支持する。針板50は針棒24が下降した時縫針23の下端部が通る針穴53を有する。下側筐体242の下面は第一実施形態と同様の支持台54の上面に固定する。
変換機構143は下側スプライン軸5の軸線14周りの回転力を縫製装置1の針棒24の延設方向と下側スプライン軸5の軸線14に垂直な垂直軸225周りの回転力に変換する。垂直軸225は水平面と平行な面上に延びる。変換機構143は変換軸157、第一歯車158、第二歯車160を備える。変換軸157は下側スプライン軸5と平行に延びる。第一歯車158は変換軸157に設ける螺子歯車である。第二歯車160は中間軸159に設けた螺子歯車である。中間軸159は変換軸157下方で変換軸157と垂直且つ水平に延び、下側筐体242にて回動可能に支持する。中間軸159は下軸44と平行に延びる。揺動機構168は中間軸159の一方向の回転を下軸44の往復回動に変換する。揺動機構168は偏心輪161、クランクロッド167、リンク片163、ギア片165、ギア166を備える。偏心輪161は正面視略円形の柱状であり、中間軸159の軸心から偏心して中間軸159に連結する。クランクロッド167は左右方向に長い板状であり、クランクロッド167左端部は偏心輪161に連結する。クランクロッド167は第二歯車160前方に設ける。リンク片163は長円状の板部材である。クランクロッド167の右端は連結部162でリンク片163の一端と回動可能に連結する。リンク片163は一端から上方に延びる。ギア片165は扇状のセクタギアである。リンク片163の他端は連結部164でギア片165と連結する。連結部164は下側筐体242にて支持する。ギア166は下軸44に設ける。ギア片165はギア166と噛み合う。
変換軸157の回転で中間軸159が回転すると、クランクロッド167は偏心輪161を介して左右方向に往復揺動する。クランクロッド167が往復揺動すると、リンク片163を介してギア片165は連結部164を中心に往復揺動する。故に下軸44は往復回動する。
図14に示す如く、第二実施形態の同期機構208はモータ131、駆動プーリ133、上側プーリ134、下側プーリ135、ベルト239、プーリ140、141を備える。ベルト239は内側と外側の双方に歯を有してもよいし内側のみ歯を有してもよい。ベルト239は内側の歯が駆動プーリ133、上側プーリ134、下側プーリ135の外周部に噛み合うように掛け渡す。プーリ140は上側プーリ134と駆動プーリ133の間に設け、ベルト239の外側と接触する。プーリ141は上側プーリ134と下側プーリ135の間に設け、ベルト239の外側と接触する。プーリ140、141はベルト239の撓みを防ぐ。モータ131が駆動し出力軸132が左側面視時計回りに回転すると、ベルト239を介して上側プーリ134と下側プーリ135が回転する。上側プーリ134、下側プーリ135は左側面視時計回りに回転する。
第二実施形態の縫製装置1の縫製動作を説明する。作業者は保持体91の下枠92と上枠93の間に縫製対象を挟む。作業者は制御部に縫製データに従った縫製を開始する指示を入力する。制御部は指示に応じて縫製データに従って縫製を開始する。制御部は縫製データに従って、X移動機構6、Y移動機構7を駆動し、上軸ユニット2と下軸ユニット4に対して縫製対象を相対的に移動する。制御部は同期機構208を駆動し、上側スプライン軸3と下側スプライン軸5を左側面視時計回りに回転する。上軸ユニット2は上側スプライン軸3の回転を、上軸25に伝達する。上軸25は針棒24を上下動する。下軸ユニット204は下側スプライン軸5の回転を、変換機構143と揺動機構168を介し下軸44に伝達し、釜212を往復回動する。変換機構143は中間軸159を正面視時計回りに回動する。揺動機構168は中間軸159の正面視時計回りの回転を、垂直軸225を中心とする釜212の揺動運動に変換する。釜212は、針棒24と協働し、縫針23が保持する上糸にボビンケースから引出した下糸を絡める。天秤機構は、下糸に絡んだ上糸を針板50上に引き上げ、縫製対象に縫目を形成する。
第三実施形態の縫製装置1について説明する。第三実施形態の縫製装置1は釜が全回転釜であり、下軸ユニット内で下軸回転方向を上軸回転方向と逆にする。縫製装置1は、上軸ユニット2、上側スプライン軸3、下軸ユニット304、下側スプライン軸5、X移動機構6、Y移動機構7、同期機構208、制御部を備える。第三実施形態の縫製装置1は下軸ユニット304、同期機構208の構成が第一実施形態の縫製装置1と異なり他の構成は同じである。第三実施形態の同期機構208は第二実施形態の縫製装置1と同様である。第三実施形態の同期機構208は取付部144を備える必要はない。以下、第一、第二実施形態の縫製装置1と同じ構成の説明は省略し、第一、二実施形態の縫製装置1と異なる下軸ユニット304を説明する。第一、第二実施形態の縫製装置1と同じ部材は説明を簡略化又は省略する。
図15に示す如く第三実施形態の縫製装置1の下軸ユニット304はアイドラプーリ342を有する点、タイミングベルトが内歯345と外歯346を有する両歯ベルト347である点で第一実施形態の下軸ユニット4と異なり、他の構成は同じである。アイドラプーリ342は第二プーリ46の上方に設け、アイドラプーリ342の回転軸343は下側筐体42にて支持する。両歯ベルト347の内歯345は第一プーリ45、アイドラプーリ342の外周部と噛合し、両歯ベルト347の外歯346は第二プーリ46の外周部に噛合する。下軸ユニット304は下側スプライン軸5の左側面視時計回り回転を、両歯ベルト347で変換軸57の左側面視反時計回りの回転に変換する。故に、下軸回転方向は反時計回りであり、上軸回転方向の逆である。釜が全回転釜である時を第三実施形態の構成とし、釜が半回転釜である時を第二実施形態の構成とした時、縫製装置1の同期機構208は取付部144を備える必要がない。
第三実施形態の縫製装置1が縫製動作をする時、制御部は同期機構208駆動し、上側スプライン軸3と下側スプライン軸5を左側面視時計回りに回転する。下軸ユニット304は下側スプライン軸5の左側面視時計回り回転を、第一プーリ45、第二プーリ46、両歯ベルト347を介して下軸44に伝達し、下軸回転方向を上軸回転方向と逆にする。
針棒24、針棒機構21、上側筐体22、上軸ユニット2、上軸25、上側スプライン軸3は、針棒、針棒機構、上側筐体、上軸ユニット、上軸、上側スプライン軸の一例である。釜12、212は釜の一例である。釜機構41、241は釜機構の一例である。下側筐体42、242は下側筐体の一例である。下軸ユニット4、204、304は下軸ユニットの一例である。下軸44、下側スプライン軸5は下軸、下側スプライン軸の一例である。同期機構8、208は本発明の同期機構の一例である。X移動機構6は本発明のX移動機構の一例である。モータ131、出力軸132、駆動プーリ133、下側プーリ135、上側プーリ134、取付部144、アイドラプーリ138は本発明のモータ、出力軸、駆動プーリ、下側プーリ、上側プーリ、取付部、アイドラプーリの一例である。ベルト139、239は本発明のベルトの一例である。第一プーリ45、第二プーリ46、両歯ベルト347は本発明の第一プーリ、第二プーリ、タイミングベルトの一例である。ベルト72は本発明の移動ベルトの一例である。固定部51、52は本発明の固定部の一例である。
第一〜第三態様の縫製装置1は釜の構成に応じて同期機構8、208、下軸ユニット4、204、304の構成を変更することにより半回転釜の下軸ユニット204と全回転釜の下軸ユニット4、304の双方に適応できる。故に縫製装置1は半回転釜の縫製装置1と全回転釜の縫製装置1とで下軸ユニット以外の部品の大部分を共通化できる。
同期機構8と同期機構208は、モータ131の出力軸132に設け出力軸132と共に回転する駆動プーリ133と、下側スプライン軸5に設け、下側スプライン軸5と共に回転する下側プーリ135と、上側スプライン軸3に設け、上側スプライン軸3と共に回転する上側プーリ134と、下側プーリ135、上側プーリ134、駆動プーリ133に対して架け渡したベルトを有する。図14に示す如く、釜212が半回転釜である時、ベルト239の一方の面に設けた歯は下側プーリ135の外周部、上側プーリ134の外周部、駆動プーリ133の外周部に噛合する。図11に示す如く、釜12が全回転釜である時、ベルトは内歯127と外歯128を有する両歯ベルト139である。下側プーリ135の外周部は内歯127と外歯128の内の一方と噛合し、上側プーリ134の外周部は内歯127と外歯128の内の他方と噛合し、駆動プーリ133の外周部は内歯127又は外歯128と噛合する。縫製装置1はベルトの種類とベルトの架け渡し方を変えることで、半回転釜の下軸ユニット204と全回転釜の下軸ユニット4の双方に適応できる。故に縫製装置1は半回転釜の縫製装置1と全回転釜の縫製装置1とで下軸ユニットとベルト周りの構成以外の部分を共通化できる。縫製装置1は部品の共通化により、部品を共通化しない時に比べ、設計時間の短縮、部品のコストを低減できる。
全回転釜である釜12の時、上軸25と下軸44は異なる方向に回転する。縫製装置1は下軸44が上軸25と異なる方向に回転する釜12を有する下軸ユニット4も適用できる。
縫製装置1はベルト139、239の駆動経路の内、上側プーリ134と下側プーリ135との間でベルトの張力を調整可能なアイドラプーリ138を取り付ける取付部144を更に備え、釜12が全回転釜である時、両歯ベルト139は下側プーリ135の外周部に外歯128が噛合し、上側プーリ134と駆動プーリ133の外周部に内歯127が噛合し、取付部144に取り付けたアイドラプーリ138の外周部に内歯127が噛合する。縫製装置1は取付部144に取り付けたアイドラプーリ138の外周部に両歯ベルト139の外歯128を噛合することで上側プーリ134に噛合する歯と下側プーリ135に噛合する歯を別にできる。アイドラプーリ138は取付部144から取り外し可能であってもよいし、取り外し不能でもよい。
図15に示す如く、第三実施形態の縫製装置1の下軸ユニット304は、下側スプライン軸5に連結した第一プーリ45と、下軸44に設けた第二プーリ46、第一プーリ45と第二プーリ46の間に架け渡したタイミングベルトを備え、釜12が全回転釜である時、タイミングベルトは内歯345と外歯346を有する両歯ベルト347であり、第一プーリ45に内歯345が噛合い、第二プーリ46に外歯346が噛合する。第三実施形態の縫製装置1は下軸44と上軸25で回転方向が異なる為の構成を下側筐体42に設置できる。故に縫製装置1は全回転釜の縫製装置1と半回転釜の縫製装置1の構成の違いを下軸ユニットに集約でき、その他の構成を共通化できる。
縫製装置1のX移動機構6は、下側スプライン軸5の軸線14の延設方向に移動するベルト72を備える。下軸ユニット4、204、304はベルト72の一端と他端を下側筐体42、242に取り外し可能に固定する固定部51、52を備える。縫製装置1はベルト72の一端と他端を固定部51、52から取り外し、下側スプライン軸5を挿通孔から抜き取ることで下軸ユニット4、204、304を簡単に交換できる。縫製装置1は半回転釜を有する下軸ユニット204と全回転釜を有する下軸ユニット4、304を簡単に交換できる。故に縫製装置1は下軸ユニット4、204、304、同期機構のベルトの種類、架け渡し方に応じて全回転釜の縫製装置1と半回転釜の縫製装置1の双方として機能できる。
下軸ユニット4、204、304はレール69、下側スプライン軸5により移動方向と垂直な前後方向の縫製装置1での相対位置が決まる。故に下軸ユニット4、204は前後方向の振動の影響を受け難い。下軸ユニット4、204、304は前後方向の縫製装置1での相対位置を変更可能である。故に下軸ユニット4、204、304は下軸ユニット4、204、304の移動方向の振動の影響を受けることがある。縫製装置1、下軸ユニット4、304は釜12が下側スプライン軸5の軸線14に垂直な垂直軸15周りに回動する。縫製装置1、下軸ユニット204は釜212が下側スプライン軸5の軸線14に垂直な垂直軸225右方向)に延びる鉛直面上にある。下軸ユニット4、204の移動方向と釜剣先11、211の回転軌跡を含む面の延設方向は一致する。故に、該縫製装置1は下軸ユニット4、204が下側スプライン軸5と平行な方向(左右方向)の振動を受けても、従来の縫製装置に比べ縫針23と釜剣先11、211の距離はばらつき難い。
第四、第五実施形態の縫製装置1について説明する。図16〜図18に示す如く、第四、第五実施形態の縫製装置1は下軸444が上軸25と平行である。半回転釜である釜212の時を第四実施形態の縫製装置1とし、全回転釜である釜12の時を第五実施形態の縫製装置1として説明する。第四実施形態の縫製装置1は、上軸ユニット2、上側スプライン軸3、下軸ユニット404、下側スプライン軸5、X移動機構6、Y移動機構7、同期機構208、制御部を備える。第四実施形態の縫製装置1は下軸ユニット404の構成が第二実施形態の縫製装置1と異なり他の構成は同じである。以下、第二実施形態の縫製装置1と同じ構成の説明は省略し、第二実施形態の縫製装置1と異なる下軸ユニット404を説明する。図16、図17では第一、第二実施形態の縫製装置1と同じ部材は説明を簡略化又は省略する。
図16、図17に示す如く、第四実施形態の縫製装置1の下軸ユニット404は上軸25と平行な下軸444を有する。下軸444の軸線425は下側スプライン軸5の軸線14と平行である。第四実施形態の下軸ユニット404の釜212は半回転釜であり、縫製装置1は駆動源であるモータ131の動力で上軸25の回転に応じて下軸444が往復回動する。下軸ユニット404は釜機構241、下側筐体442、下軸444、第一プーリ445、第二プーリ446、タイミングベルト447、固定部51、52、中間軸459、揺動機構168を備える。第四実施形態の下軸ユニット404は第二実施形態の下軸ユニット204と異なり、下側スプライン軸5の軸線14周りの回転力を縫製装置1の針棒24の延設方向と下側スプライン軸5の軸線14に垂直な垂直軸225周りの回転力に変換する変換機構を備えない。
下側筐体442は略直方体状の箱状である。下側筐体442は挿通孔448、449、針板450、固定部51、52を備える。挿通孔448は下側筐体442の左面に設け、挿通孔449は下側筐体442の右面に設ける。挿通孔448、449は下側スプライン軸5を挿通する。下側筐体442は下側スプライン軸5をボールスプライン軸受け439を介して支持する。ボールスプライン軸受け439は挿通孔448にて支持する。針板450は針棒24が下降した時に縫針23の下端部が通る針穴453を有する。下側筐体442の下面は第一実施形態と同様の支持台54の上面に固定する。第一プーリ445はボールスプライン軸受け439に設ける。第二プーリ446は中間軸459に設ける。タイミングベルト447は第一プーリ445と第二プーリ446に掛け渡す。第二プーリ446の径は第一プーリ445の径より小さい。故に中間軸459の回転数は下側スプライン軸5の回転数より大きい。中間軸459の回転数は上軸25の回転数と同じである。中間軸459は下軸444、下側スプライン軸5の後方で、下軸444と平行に延びる。下軸444は下側スプライン軸5の前方で、下側スプライン軸5、上軸25と平行に延びる。第二実施形態と同様の揺動機構168は中間軸459の一方向の回転(左側面視時計回りの回転)を下軸444の往復回動に変換する。揺動機構168の偏心輪161は中間軸459に固定する。ギア166は下軸444に設ける。
第四実施形態の縫製装置1が縫製動作をする時、制御部は同期機構208駆動し、上側スプライン軸3と下側スプライン軸5を左側面視時計回りに回転する。下軸ユニット304は下側スプライン軸5の左側面視時計回り回転を、第一プーリ445、第二プーリ446、タイミングベルト447で中間軸459に伝達する。中間軸459が回転すると、クランクロッド167は偏心輪161を介して左右方向に往復揺動する。クランクロッド167が往復揺動すると、リンク片163を介してギア片165は連結部164を中心に往復揺動する。故に下軸444は往復回動する。
第五実施形態の縫製装置1は、上軸ユニット2、上側スプライン軸3、下軸ユニット504、下側スプライン軸5、X移動機構6、Y移動機構7、同期機構8、制御部を備える。第五実施形態の縫製装置1は下軸ユニット504の構成が第一実施形態の縫製装置1と異なり他の構成は同じである。第五実施形態の縫製装置1は第四実施形態の縫製装置1と一部構成が同じである。以下、第一実施形態の縫製装置1と同じ構成の説明は省略し、第一実施形態の縫製装置1と異なる下軸ユニット504を説明する。図18では第一、第四実施形態の縫製装置1と同じ部材は説明を簡略化又は省略する。
下軸ユニット504は釜機構41、下側筐体542、下軸444、第一プーリ545、第二プーリ546、タイミングベルト547を備える。第五実施形態の下軸ユニット504は第一実施形態の下軸ユニット4と異なり、下側スプライン軸5の軸線14周りの回転力を縫製装置1の針棒24の延設方向と下側スプライン軸5の軸線14に垂直な垂直軸15周りの回転力に変換する変換機構を備えない。
下側筐体542は略直方体状の箱状である。下側筐体542は挿通孔、針板450、固定部51、52を備える。挿通孔は下側筐体542の左右両面に設ける。挿通孔は下側スプライン軸5を挿通する。下側筐体542は下側スプライン軸5をボールスプライン軸受け439を介して支持する。第一プーリ545はボールスプライン軸受け439に設ける。第二プーリ546は下軸444に設ける。タイミングベルト547は第一プーリ545と第二プーリ546に掛け渡す。第一プーリ545の径は第二プーリ546の径よりも大きい。故に下軸444の回転数は下側スプライン軸5の回転数より大きい。下軸444の回転数は上軸25の回転数と同じである。第五実施形態の縫製装置1が縫製動作をする時、制御部は同期機構8駆動し、上側スプライン軸3を左側面視時計回りに回転し、下側スプライン軸5を左側面視反時計回りに回転する。下軸ユニット504は下側スプライン軸5の左側面視反時計回り回転を、第一プーリ545、第二プーリ546、タイミングベルト547で下軸444に伝達する。下軸回転方向は上軸回転方向とは逆である。
第四、第五実施形態の縫製装置1において下側筐体442、542は下側筐体の一例である。下軸ユニット404、504は下軸ユニットの一例である。下軸444、下側スプライン軸5は下軸、下側スプライン軸の一例である。釜が半回転釜である時の構成を第四実施形態の構成とする時、縫製装置1は変換機構143が不要であり、第二実施形態の縫製装置1に比べ下軸ユニット404を小型化、軽量化できる。釜が全回転釜である時の構成を第五実施形態の構成とする時、縫製装置1は変換機構43が不要であり、第一実施形態の縫製装置1に比べ下軸ユニット504を小型化、軽量化できる。
本発明は上記実施形態の他に種々の変更が可能である。上記実施形態の縫製装置1は本縫い、閂止め、千鳥縫い、穴かがり、ボタン付け等、種々の縫目を形成する縫製装置においても適用可能である。縫製装置1はY移動機構7を備えなくてもよい。Y移動機構7は縫製対象の位置を固定し、X移動機構6を前後方向に移動してもよい。縫製装置1は上軸ユニット、下軸ユニットの少なくとも何れかを取り外し不能でもよい。縫製装置1は下軸ユニットの釜として半回転釜と全回転釜の内の任意の一つを備えることができればよい。
下軸ユニットと上軸ユニットの構成は適宜変更してよい。縫製装置1が備える釜が半回転釜である時、下軸ユニットは第二実施形態の下軸ユニット204でもよいし、第四実施形態の下軸ユニット404でもよいし、他の構成でもよい。縫製装置1が備える釜が全回転釜である時、下軸ユニットは第一実施形態の下軸ユニット4でもよいし、第三実施形態の下軸ユニット304でもよいし、第五実施形態の下軸ユニット504でもよいし、他の構成でもよい。釜が半回転釜である時、中間軸の回転方向は上軸回転方向と逆でもよい。縫製装置1は下軸ユニット304の様に、下軸ユニット304内で中間軸の回転方向と上軸回転方向を逆にしてもよい。揺動機構の大きさ、構成、配置等は適宜変更してよい。下軸ユニットの第一プーリに対する第二プーリの大きさ、配置等は適宜変更してよい。下軸ユニット4、204は上軸ユニット2と同様に固定部に下側スプライン軸5を挿通する挿通孔を備えてもよい。下軸ユニット4、204、304、404、504は上軸ユニット2と同様に背面にレールと係合する支持部材55を設けてよい。下軸ユニットは固定部51、52を省略し、無端状のベルトを下軸ユニットに固定してもよい。固定部51、52の構成、配置、大きさ、数等は適宜変更してよい。上軸ユニット2は下軸ユニット4、204と同様に本体部27に上側スプライン軸3を挿通する挿通孔を備えてもよい。上軸ユニット2は下軸ユニット4、204、304、404、504と同様に上面にレールと係合する支持部材34を設けてよい。
上軸ユニット2の上軸25は上側スプライン軸3と針棒24に垂直でもよい。釜が全回転釜である時、下軸回転方向は上軸回転方向と同じでもよい。釜が半回転釜である時、釜から見た中間軸の回転方向は上軸回転方向と逆にする時、縫製装置1は同期機構8で上側スプライン軸の回転方向と下側スプライン軸の回転方向を逆にしてもよい。取付部144は省略されてよい。取付部144はアイドラプーリを取り付け可能であればよく、適宜構成を変更してよい。下側プーリ、上側プーリ、アイドラプーリの配置、大きさ等は適宜変更してよい。縫製装置1は下側プーリ、上側プーリ、駆動プーリの各外周部に両歯ベルトを掛け渡す時、両歯ベルトの掛け渡し方は適宜変更してよい。