(発明の詳細な説明)
本明細書に開示されるのは、LSPRセンサチップと、潜在的に、より高速(例えば、約15分のアッセイ時間)、より敏感(最大4の対数までより敏感となる、すなわち、低フェムトモル範囲内の検出限界)、より頑丈、より経済的、より再現性があって、かつ現在利用可能な診断デバイスおよび器具より小さい、診療現場診断デバイスまたは器具とである。本明細書に開示されるセンサおよびデバイスの付加的利点は、精密な定量化およびセンサの製造スケーラビリティであって、特に、診療現場において使用するために小型、可搬性、かつ可動性である、診断器具に非常に好適なものにする。本明細書に説明されるいくつかの実施形態は、患者近傍または診療現場試験設定において使用するために好適なコンパクトで可搬性のベンチトップシステムである、診断試験器具を開示する。いくつかの実施形態は、患者近傍または診療現場試験設定において使用するために好適な携行式診断試験デバイスを開示する。本明細書に説明されるいくつかの実施形態は、ユーザによって装着可能な診断試験デバイスを開示する。したがって、中央実験室のものと品質が同等な診断試験が、必要なときは常に提供され得る。
LSPRセンサ技術の概要:本明細書に開示されるのは、生物学的または化学サンプル中の検体の高感度検出のための方法およびデバイスである。開示される方法およびデバイスは、局在化表面プラズモン共鳴(LSPR)の現象を利用して、センサ表面への検体分子の結合を光学的に検出する。いくつかの実施形態では、検出は、センサ表面に結合される検体分子の数の直接測定に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、検出は、センサ表面に結合される検体分子の数に比例する、増幅された信号に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、検出は、センサ表面の特性の検体誘発変化に基づく。いくつかの実施形態では、検出は、センサ表面の高分解能撮像に基づき、これは、LSPR信号が収集および分析される方法におけるパラダイムシフトを構成する。
表面プラズモンは、負および正の誘電率材料間の界面、例えば、水溶液に暴露される薄金属膜等の金属−誘電体界面における界面に存在する、コヒーレントな非局在化電子発振である。表面プラズモン共鳴は、電子発振が入射光によって誘発されるときに生じ、入射光子の周波数は、金属内に分布された正に帯電された核によって付与された復元力に対して発振する表面電子の自然周波数に合致する。局在化表面プラズモン共鳴は、適切な周波数の光による励起に応じて、小金属ナノ粒子の表面またはナノ構造化表面において生じる。局在化表面プラズモン共鳴はまた、硫化銅(I)(Cu2−xS)、ドープ半導体系酸化物(限定ではないが、アルミニウムドープZnO、ガリウムドープZnO、またはインジウムスズ酸化物を含む)、またはチタン、タンタル、ハフニウム、もしくはジルコニウムの窒化物(それぞれ、TiN、TaN、HfNもしくはZnN)等の遷移金属窒化物等のドープまたは自己ドープp−型半導体表面において生じ得る。
LSPRセンサは、界面のすぐ近傍における局在環境に対する表面プラズモン吸収極大の位置の極限感度に依拠する。特に、LSPRバイオセンサ内の信号変換機構は、多くの場合、LSPR活性表面近傍の屈折率(または誘電定数)の変化と関連付けられる。LSPRセンサ表面が、屈折率n1の膜または溶液と接触して配置された後、屈折率n2を有する材料の表面上に堆積される場合、プラズモン吸収極大の波長は、値Δμだけ偏移する。プラズモン偏移と屈折率Δn=n2−n1の変化を以下の関係を通して関連させることが可能である。
式中、mは、センサの感度を表す定数であって、Lは、屈折率n2を伴う堆積される材料の厚さであって、δは、エバネッセントプラズモン場の減衰長である。吸収極大における偏移の監視に加え、ある場合には、センサ表面近傍の屈折率(または誘電定数)の変化が、他の光学特性、例えば、入射光の反射角度の変化、伝送される光の強度の変化、表面から反射された光の偏光の変化等を監視することによって検出されてもよい。LSPRセンサ内の表面プラズモンの局在化は、金属ナノ粒子またはナノ構造化金属表面の使用から生じる。以下により完全に説明されるように、局在化表面プラズモン共鳴を持続可能である、好適なセンサ表面を製作するための当業者に公知の種々のアプローチが存在する。表面または表面によって伝送もしくは反射された光の光学特性が、次いで、種々の光源および検出器のいずれかを使用して監視され得る。開示される方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、単純LED源および適切な光学によって提供されるコリメートされた白色光ビームが、ナノ構造化LSPRセンサ表面から反射され、反射された光は、センサ表面上に生じる検体結合または検体依存信号増幅事象を検出するために、小型分光計または他の光学検出器を使用して吸収波長の偏移に関して監視される。いくつかの実施形態では、センサ表面は、高分解能で撮像され、表面から反射された光の局在色偏移が、非常に小(例えば、3ピクセル×3ピクセル)着目領域に対して個々のピクセルレベルで監視され、fg/ml範囲内における検体濃度でセンサ表面上に生じる検体結合または検体依存信号増幅事象を検出する。
ELISAアッセイ形式と結合されるLSPRセンサ:ELISAアッセイ形式は、アッセイ感度を増加させるために信号増幅に依拠する、検体の検出のための一般的アッセイ技法である。本明細書に開示される方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、ナノ構造化LSPRセンサ表面は、免疫沈降ELISAアッセイ形式と組み合わせられ、非常に低い検出限界(例えば、fg/ml範囲内)を達成する。この場合、着目検体(102)を対象とする一次抗体(104)は、センサ表面上の検体を捕捉するために使用され、感度増強標識(106)に共役された二次抗体は、固定化された検体に結合する(図1)。感度増強標識は、例えば、可溶性反応物の固定化された酵素の場所近傍のセンサ表面(108)上に堆積物を形成する不溶性生成物への変換を触媒する、酵素であってもよい。LSPRセンサは、次いで、堆積物の形成からもたらされる、センサ表面における屈折率(または誘電定数)の変化に応答する。開示される方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、感度増強標識として使用される酵素は、5−ブロモ−4−クロロ−3'−インドリルホスフェート(BCIP)とニトロブルーテトラゾリウム(NBT)の混合物の不溶性生成物の混合物への変換を触媒する、アルカリホスファターゼである。他の酵素/基質の組み合わせもまた、可能性として考えられ、限定ではないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)/テトラメチルベンジジン(TMB)、HRP/クロロフェノール(CN)、HRP/ジアミノベンジジン(DAB)、およびHRP/CN−DABを含む。一般に、アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼのための任意の基質が、使用されてもよい。本タイプのアッセイは、本明細書では、「酵素アッセイ形式」と称され得る。
薄い免疫沈殿物がLSPR表面に形成されるとき、予期されるピーク波長偏移に関する数値を推定することが有益である。わずかな堆積物に関して、方程式1は、線形化され、以下にまとめられ得る。
m/Δn=200、n2が約1.48およびn1=1.33を伴うBCIP/NBTの堆積に関してΔn=0.15、δが約30nm、およびL=5nmを使用すると、Δλ約10nmが求められる。したがって、5nm堆積物は、約10nmのプラズモン波長偏移を発生させると予測される。実際は、最大50〜80nmの波長偏移が、観察される。図3AおよびBは、ELISAアッセイ形式を使用したLSPR表面から反射された白色光の消光における検体誘発偏移の分光学的検出を図示する。検体濃度毎に、アッセイ表面からの白色光の消光が、酵素増幅ステップを行う前後に測定される。高検体濃度(図3B)では、消光前(306)および後(308)、スペクトルは、明らかに異なるが、ある検体濃度を下回ると、消光スペクトル(310および312)の差異は、ごくわずかとなる(図3A)。LSPRセンサ表面上の免疫沈降ELISAアッセイ形式の実装は、いくつかのアッセイに関して、従来のELISAを使用して達成されるものより約1桁の大きさだけ検出限界を改良することが見出された。
前述のように局在屈折率変化に敏感であることに加え、大きな局在化表面プラズモン共鳴偏移を発生可能なLSPRセンサのための別の変換機構が存在する。この機構は、プラズモン−プラズモン結合に基づく。本実装では、プラズモン部分、例えば、表面プラズモンを持続可能な粒子(201)は、感度増強標識として二次抗体(203)に共役される(図2)。表面プラズモンを持続可能な粒子は、貴金属、もしくはその酸化物対応物、または貴金属コアシェルビーズであってもよい。実施例は、コロイド状金および銀粒子を含む。粒子プラズモンとセンサ表面プラズモンとの間の強固な結合は、プラズモン粒子がプラズモン表面上に係留し、非常に大きなプラズモン偏移の測定をもたらすときに生じる。プラズモン−プラズモン結合によって達成され得る共鳴波長偏移の実施例として、40nm金コロイド等のプラズモン粒子を考慮されたい。ストレプトアビジンが40nm金コロイドの表面に結合すると、金コロイドのプラズモン位置に約2nm偏移を生成する。対照的に、ストレプトアビジンが40nm金コロイドに付着され、本生体分子−金コロイド共役体が第2のプラズモン粒子と接触される場合、コロイド状粒子間のプラズモン−プラズモン結合は、潜在的に、70nmを上回る、非常に大きなプラズモン偏移を生成する。本現象は、溶液中の対のコロイド状粒子を使用する技術文献に、そして溶液中の1つのコロイド状粒子および表面上のプラズモン対合物を伴う他の構成について報告されている。二次抗体がプラズモン粒子に共役され、固定化された一次抗体によってLSPR表面上に捕捉された検体分子に結合する、アッセイのタイプは、本明細書では、「プラズモン−プラズモン結合サンドイッチ免疫アッセイ」形式と称され得る。前述の両信号増幅機構(すなわち、局在屈折率変化につながる反応を触媒する感度増強標識として共役された酵素の使用と、プラズモン−プラズモン結合を生成するための共役された金属ナノ粒子の使用)は、数十ナノメートルの大きさに到達し得る、プラズモン偏移をもたらす。増強された局在化表面プラズモン共鳴偏移は、バイオアッセイにおける増強された検出限界(LOD)と関連付けられる。一般に、ナノ構造化LSPR表面上で行われるELISAアッセイに関するLODは、pg/mL(以下の)検体範囲内である。約60kDaの平均検体に関して、これらのLODは、1ミリリットルの溶液あたり約1010検体分子に対応する。
開示されるLSPRセンサチップおよびデバイスのいくつかの実施形態では、信号増幅は、酵素増幅およびプラズモン−プラズモン結合の両方の組み合わせを使用することによってさらに増強されてもよい。例えば、検体特異的抗体および酵素分子(例えば、アルカリホスファターゼ)の複数のコピーが、コロイド状金粒子に結合され、それによって、検体がサンプル中に存在するとき、センサ表面上における不溶性沈殿物の形成と金粒子とセンサ表面との間のプラズモン−プラズモン結合の両方をもたらし得る。そのようなアプローチは、達成される信号増幅を劇的に増加させ、それによって、より高速なアッセイ時間および/またはより低い検出限界を可能にし得る。
前述のように、LSPRセンサ表面の光学特性における検体誘発変化は、ELISAアッセイ形式またはプラズモン−プラズモン結合サンドイッチ免疫アッセイ形式のいずれかにおいてアッセイを実行することから生じ得る。さらに、これらのアッセイは、直接結合アッセイまたは競合結合アッセイのいずれかとして実行されてもよい。直接結合アッセイでは、一次結合成分、例えば、捕捉抗体が、LSPR表面上に固定化され、抗原が、試験されるべきサンプルで導入される。二次結合成分、例えば、検出抗体が、サンプルと同時に、または後続ステップにおいて添加されてもよい。サンプル中に存在する抗原が、固定化された捕捉された抗体によって捕捉されると、標識された検出抗体もまた、センサ表面に結合され、表面によって反射または伝送される光の光学特性の変化が、生じる。検体誘発変化はまた、感度増強標識に共役されない検出抗体を用いてアッセイを実行することからも生じ得る。本実施形態では、質量の増加が、検出抗体が固定化された一次抗体によってLSPR表面上に捕捉された検体に結合するときに生じる。質量の増加は、センサ表面における屈折率(または誘電定数)の変化をもたらし、これは、ひいては、表面によって反射または伝送される光の光学特性における変化につながる。質量の変化をさらに増加させるために、検出抗体は、金属コロイド、貴金属ビーズ、磁気ビーズ、ガラスビーズ、またはポリマービーズ等の質量を増加させるビーズと共役されてもよい。
代替として、LSPRセンサベースのアッセイは、競合結合アッセイ形式で構成されてもよい。本アプローチでは、サンプル中の抗原の存在は、既知の濃度で存在する標識された抗原を捕捉抗体への結合と置き換える、その能力によって検出され、検出抗体は、必ずしも必要ではない。サンプル中の非標識抗原の濃度の増加は、LSPRセンサ表面上の捕捉抗体に結合するために標識された抗原と競合し、サンプル中の抗原の不在下で観察されるであろう信号の形成を防止する。
したがって、LSPRセンサ表面によって伝送された、またはそこから反射された光の光学特性における検体誘発変化は、種々のアッセイ形式および検出スキームのいずれかを使用してアッセイを構成することによって観察され得、限定ではないが、(1)直接結合アッセイ形式、(2)競合結合アッセイ形式、(3)ELISA(酵素結合)アッセイ形式、(4)プラズモン−プラズモン結合サンドイッチ免疫アッセイ形式、(5)標識が付着されていない検出抗体を利用したアッセイ、および(6)質量増強ビーズと共役された検出抗体を利用したアッセイを含む。
電気化学反応の光学読取のためのLSPRセンサ:また、本明細書に開示されるのは、ナノ構造化LSPR表面上で生じる電気化学反応の光学検出を可能にするための方法およびデバイスである。電気化学検出は、診断試験器具、特に、診療現場診断試験デバイスにおいて広く使用されている。ナノ構造化LSPRセンサ表面によって持続される局在化表面プラズモンは、それらをイオンの結合または電子の伝達を伴う界面における反応に非常に敏感なものにし、例えば、表面上で生じる電気化学プロセスの光学監視を可能にする(図6)。非修飾修センサ表面上で生じる化学反応の光学監視、反応特異性を解釈するように修飾されたセンサ表面上で生じる具体的化学反応の光学監視、または酵素触媒反応のための反応生成物を伴うセンサ表面における電気化学反応の光学検出に基づくサンプル中の酵素活性の監視を含む、種々の検出モードが、可能性として考えられる。
これらの光学電気化学センサ技術のための潜在的用途は、小分子、薬物、金属イオン、ガス、化学化合物、小さな生物学的補因子(例えば、1000ダルトン分子量未満の分子)、酵素、およびマクロ分子の検出ならびに測定を含む。電気化学反応もまた、LSPR表面上で行われる免疫アッセイの感度を増強させるために使用されてもよい。
これらの光学電気化学センサ技術の潜在的利点は、(i)高速、単純、敏感、かつ低コスト診療現場診断試験の実施可能性、(ii)試験結果が出るまでのより高速の時間、および(iii)小型デバイスの大量製作のために好適なセンサを含む。電気化学検出は、例えば、化学反応が、比色または蛍光反応生成物の蓄積を待機する(数分〜数十分かかり得る)のではなく、典型的には、直接監視されるため、典型的には、比色または蛍光読取を採用する比色アッセイまたはELISAベースのアッセイより高速である。また、アッセイプロセスは、典型的には、ELISAベースのアッセイより単純である(すなわち、典型的には、例えば、検体および二次抗体を伴う複数の結合ステップまたは複数の洗浄ステップを必要としないため、より少ないステップを要求する)。電気化学アッセイ形式はまた、多くの場合、コストがかかる一次および二次抗体、標識試薬、および他の反応物の排除に起因して、従来のELISAベースの比色または蛍光アッセイより安価であって、多くの場合、検体特異的表面(例えば、単一検体に特異的に結合する、固定化された一次抗体を有する)を採用する必要がないという点において、多重化がより容易であり得る。多くの場合、同一表面およびアッセイ設定が、単に、アッセイ緩衝剤中で使用される試薬を変更することによって、異なる化合物を測定するために使用されることができる。最後に、電気化学ベースのアッセイは、多くの場合、対応する比色またはELISAベースのアッセイより高い感度(すなわち、より低いLOD)を呈することが実証されている。
デジタル撮像と結合されるELISAベースのLSPRセンサ:また、本明細書に開示されるのは、ELISAベースのLSPRバイオセンサの感度をさらに改良するための方法およびデバイスである。共鳴ピーク偏移を測定することに基づく検出スキームを使用する大部分のLSPR器具は、アナログ信号を測定する、すなわち、記録された信号は、表面上の複数の検体分子の結合から生じる平均信号である。個々の結合事象は、時間および空間におけるランダムプロセスとして生じ、それら自体は、直接検出不可能である。経時的に、ランダム性は、表面上の固定化された分子の明確に定義された平均数をもたらす。固定化された分子の平均数が検出限界を超えると、器具は、正の読取をもたらす。しかしながら、実際は、単一分子のそのリガンドへの結合は、バイナリまたはデジタルプロセスである、すなわち、結合しているかまたは結合していないかのいずれかである。個々の結合事象を検出する能力は、したがって、達成され得る究極アッセイ感度の達成を可能にし得る。
本開示は、信号発生および分析のための新規アプローチ(すなわち、デジタルLSPR)を組み込むことによって、ナノ構造化LSPRセンサ表面上で行われるELISAタイプアッセイのために感度(すなわち、より低い検出限界)をさらに増大させるための方法およびデバイスを提供する。アプローチは、共役酵素(センサ表面上への不溶性沈殿物の形成を触媒する)または共役金属ナノ粒子(プラズモン−プラズモン結合を誘発する)のいずれかを感度増強標識として利用するELISAアッセイ形式と結合される、LSPRセンサに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、検体誘発光学特性(例えば、プラズモン共鳴ピーク波長の偏移)の検出は、白色光照明、LSPRセンサ表面の拡大画像を形成可能な光学システム、画像を捕捉するためのカラーまたはグレースケールCCDカメラ、および画像のピクセル毎にRGBまたはグレースケール値の変化を測定するアルゴリズムを利用する。
開示される方法およびデバイスの潜在的利点は、改良されたアッセイ感度およびより高速の結果が出るまでの時間の両方を含む。屈折率の変化(方程式1によって予測される)またはプラズモン−プラズモン結合から生じるプラズモン偏移は、LSPR感知面積のサイズに依存しないことに留意されたい。すなわち、20nm程度の小さいLSPR感知面積も、成功することが実証されている。そのような小感知面積を使用することに関する難点は、収集される光子の数が少ないことである。したがって、ピーク偏移を測定するためのアナログスペクトル分析は、1分をはるかに上回る長い積分時間を使用しなければならない。定量的アッセイにおいて要求される精密な測定のために、信号平均化を通して光学検出における固有の雑音を低減させるために要求される信号測定の数は、信号対雑音比が信号サンプリング反復の回数に対応する、すなわち、S/N約は、
であるため、合計信号収集時間を10〜100分にするかも知れない。
限定された数の光子が小感知面積から反射されるときのより良好な検出スキームは、CCDまたはCMOSカメラを使用して、高分解能で感知面積を撮像することである。実際、1〜5nmの局在分光分析偏移は、色画像内で捕捉され、ピクセル毎のRGB値の変化を通して定量化され得る、局在色変化に相当する。個々の画像センサピクセルに対する色の測定は、それに衝突する光の全スペクトルを測定するより少ない光子を要求する。したがって、色検出対スペクトル検出は、高速サンプリング速度の利点を提供する。しかしながら、両検出方法は、類似情報を含有することに留意されたい。分光検出は、より低い雑音レベルおよび潜在的に多数の光子が関わることに起因して、感知面積約mm2に対する0〜5nm範囲内の偏移のためにはるかに優れているが、撮像は、光子計数が制限されるμm2範囲内およびそれを下回る感知面積に対する5nmを上回る共鳴ピーク偏移のための実行可能な方法となる。
図1および2は、LSPR表面上の2つの従来のELISAアッセイ形式を図示し、バイオマーカ(検体)は、十分に確立されたサンドイッチアッセイ形式を通して検出される。前述のように、二次抗体が、感度増強標識、例えば、可溶性基質の不溶性生成物への変換を触媒(図1)し、それによって、表面における誘電定数の変化、したがって、その反射率特性の変化を生成する、酵素に共役されてもよい。LSPR表面は、白色光で照明され、全体的表面からのその反射率(または消光)または伝送が、測定される。反応は、消光スペクトル全体におけるプラズモンピーク偏移または任意の変動によって定量化される。低バイオマーカ濃度では、いくつかの酵素分子のみが、表面上に固定化される。各酵素が、酵素反応の場所近傍の表面上に堆積する、ある不溶性生成物を生成しても、結果として生じるスポットは、極めて少ないであろう。表面全体に対して測定される消光スペクトルは、有意に影響されず、アッセイは、負の結果をもたらすであろう。
図4A−Cおよび図5は、増強されたバイオアッセイ感度のためのデジタルLSPRの概念を図示する。センサ表面の拡大された面積のカラーまたはグレースケール画像が、長作業距離対物レンズを使用して捕捉される。拡大率に応じて、酵素活性の場所に対応する堆積された沈殿物スポットは、明らかに区別可能であって、計数されることができる。無沈殿物面積および局在化沈殿物スポットは、局在誘電定数が異なり、したがって、その局在消光特性が異なるであろうため、区別されることができる。特に、赤方偏移消光が、沈殿物が堆積されたセンサ表面の局在面積に対して予期される。消光の偏移は、そのRGB値の分析によって定量化され得る、表面の異なる面積間の色差異としてそれら自体を露見する。
現在、LSPRナノ構造の消光特性は、典型的には、暗視野検照明を使用して観察される。本タイプの照明は、表面との近接触する対物レンズを要求する。したがって、LSPR表面上でELISAアッセイを行うためにサンプルおよび濯ぎ溶液を分注するフローセルの使用と適合性がない。本明細書によって開示される新規アプローチは、長作業距離対物レンズを使用することによって、本制限をバイパスする。
図4A−Cおよび5は、デジタルLSPR概念および検出限界の観点における従来のLSPRアッセイ形式に優るその優位性を図示する。図5に図示される3つの例に関して、センサ表面上に固定化されたマーカ(検体)分子の数は、従来のスペクトル分析のための検出レベルを下回る。これは、左側の列に図示されるものであって、アナログ信号(例えば、表面の色)は、3つの例間における区別を可能にしない。しかしながら、長作業距離対物レンズを使用することによって、より高い拡大率で表面を撮像することが可能である。真ん中の列では、例えば、センサ面積全体のサブ区分が、隔離および分析される。この場合、異なる色の薄いスポットが、例2および3では明らかに判別されることができるが、例1では判別されることができない。画像全体のいくつかのランダムに選択されたサブ区分に関するスポットの数が、計数され、ヒストグラムにプロットされる場合、3つの例間の明確な区別が存在する。スポット(すなわち、マーカの固定化から生じる酵素反応の場所)の計数は、デジタル読取値を構成する。
本明細書に開示されるデジタル方略は、ELISAまたはプラズモン−プラズモン結合サンドイッチ免疫アッセイとLSPR表面の融合を通して可能となる。一般的(非LSPR)表面が使用される場合、単一酵素分子によって発生される沈殿物の堆積は、表面上に堆積される沈殿物の量が少なすぎて光を吸収できないため、光学的に検出可能な信号を生成しないであろう。実際、光吸収断面は、全染料に対して比較的に小さく、それによって、測定可能吸収をもたらすために、広い面積(>>μm2)にわたる厚い層の沈殿物材料(>30〜50nm)の堆積を必要とする。
図7は、本明細書に開示されるLSPRセンサおよびアッセイ形式を使用して達成可能なアッセイ時間および検出限界(LOD)の両方における改良の範囲を図示する。本明細書に開示されるLSPRセンサベースのアッセイ形式の使用は、従来のラテラルフローアッセイに対するものと同等の時間尺度(例えば、数分)において従来のELISAアッセイのものを超える感度(1pg/mlを上回るLOD)を達成する、定量的アッセイ性能を可能にする。
アッセイパラメータのさらなる最適化、例えば、センサ表面上の一次結合成分の密度、サンプルインキュベーション時間等、および検出パラメータ、例えば、センサ表面を照明するために使用される光の強度および/または波長、低雑音検出器の選択肢等の最適化は、達成可能な検出限界をfg/ml以下をはるかに下回るように促し得る。いくつかの実施形態では、検出限界は、1mg/ml、100ug/ml、10ug/ml、1ug/ml、100ng/ml、10ng/ml、1ng/ml、100pg/ml、10pg/ml、1pg/ml、100fg/ml、10fg/ml、1fg/ml、または0.1fg/mlを上回り得る。したがって、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、約100mg/ml、10mg/ml、1mg/ml、100ug/ml、10ug/ml、1ug/ml、100ng/ml、10ng/ml、1ng/ml、100pg/ml、10pg/ml、1pg/ml、100fg/ml、10fg/ml、1fg/ml、または0.1fg/mlもしくはそれ未満の量におけるサンプル中に存在する検体を検出し得る。
ナノ構造化LSPRセンサ表面:種々の方法が、局在化表面プラズモンを持続可能なナノ構造化表面を製作するために使用されてもよい(例えば、Takei,et al.の米国特許第6,331,276号(全体として本明細書に組み込まれる)参照)。ナノ構造化LSPRセンサを製作するために要求される構成要素は、基質、金属層または膜、ナノ粒子もしくはナノ構造、および/または他の誘電もしくは絶縁材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、LSPRセンサ表面のプラズモン共鳴特性は、センサを製作するために使用される材料の選択肢、層の数および順序、ならびに層の厚さを操作することによって調節されてもよい。
センサ基質:ナノ構造化LSPRセンサは、限定ではないが、ガラス、溶融シリカ、シリコン、セラミック、金属、またはポリマー材料を含む、種々の材料を使用して製作されてもよい。いくつかの実施形態では、センサ表面が裏側から照明され得るように、基質材料は、光学的に透明であることが望ましい。他の実施形態では、センサ表面は、表側から照明され、基質材料の透明度または不透明度は、重要ではない。いくつかの実施形態では、センサ表面を通して伝送される光の特性を測定することが望ましくあり得る。いくつかの実施形態では、センサ表面から反射された光の特性を測定することが望ましくあり得る。例えば、センサ表面から反射された光の特性の測定は、検体に対するプラズモン応答の観点から、センサ表面を通して伝送される光の測定に優り得る。一般に、ナノ構造化LSPRセンサを製作するために使用される基質は、少なくとも1つの平坦表面を有するであろうが、しかしながら、いくつかの実施形態では、基質は、湾曲表面、例えば、凸面表面もしくは凹面表面、またはある他の幾何学形状の表面を有してもよい。
金属層または膜:一般に、ナノ構造化LSPRセンサは、1つまたはそれを上回る金属層または金属薄膜を備えてもよい。いくつかの実施形態では、約1、2、5、10、15、20、またはより多くの金属層が存在してもよい。いくつかの実施形態では、層または膜において使用するための好ましい金属は、金、銀、白金、パラジウム、および同等物等の貴金属であろう。いくつかの実施形態では、非貴金属、例えば、銅が、使用されてもよい。貴金属を使用する利点の1つは、伝導帯電子の高移動性に起因して表面プラズモン活性を支援するそれらの能力である。いくつかの貴金属に関して、付加的利点は、化学腐食または酸化に抵抗するその能力である。金属層または金属薄膜は、本明細書に記載の好ましい金属の任意の混合物および/または任意の組み合わせを含んでいてもよい。実施例として、膜は、上部および底部の2つの層の金とそれらの間の銀の層との「サンドイッチ」を備えることができる。別の実施例として、膜は、金金属の層、上部の銀金属の層、および銀金属層の上部の銅金属の層を備えることができる。上部層は、ナノ構造化され、貴金属または金属酸化物から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、上部層は、アッセイを行う際に使用するために、その上に固定化された抗体を有する。加えて、上部層以外の他の層もまた、貴金属または金属酸化物から作製されてもよい。いくつかの実施形態では、膜は、1つのみの層を含有する。金属層または膜は、限定ではないが、熱堆積、電気めっき、スパッタコーティング、化学蒸着、減圧堆積、および同等物を含む、当業者に公知の技法のいずれかによって製作されてもよい。いくつかの実施形態では、膜の総厚は、約5nm〜約500nmである。いくつかの実施形態では、金属膜の総厚は、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも25nm、少なくとも50nm、少なくとも75nm、少なくとも100nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、または少なくとも500nmであってもよい。いくつかの実施形態では、金属膜の総厚は、最大500nm、最大400nm、最大300nm、最大200nm、最大100nm、最大75nm、最大50nm、最大25nm、最大10nm、または最大5nmであってもよい。当業者は、金属膜の総厚が、本範囲内の任意の値、例えば、約95nmを有してもよいことを認識するであろう。いくつかの実施形態では、膜内の各個々の層は、約5nm〜約100nmの厚さを有する。各個々の層の厚さは、異なるか、または同一であってもよい。いくつかの実施形態では、各個々の層の厚さは、少なくとも5nm、少なくとも10nm、少なくとも20nm、少なくとも30nm、少なくとも40nm、少なくとも50nm、少なくとも60nm、少なくとも70nm、少なくとも80nm、少なくとも90nm、または少なくとも100nmであってもよい。いくつかの実施形態では、各個々の層の厚さは、最大100nm、最大90nm、最大80nm、最大70nm、最大60nm、最大50nm、最大40nm、最大30nm、最大20nm、最大10nm、または最大5nmであってもよい。当業者は、各個々の層の厚さが、本範囲内の任意の値、例えば、28nmを有してもよいことを認識するであろう。
誘電層:いくつかの実施形態では、ナノ構造化LSPRセンサは、1つまたはそれを上回る誘電(絶縁)材料の層を含むであろう。いくつかの実施形態では、約1、2、5、10、15、20、またはより多い誘電層が存在してもよい。限定ではないが、ガラス、セラミック、またはポリイミド、ヘテロ芳香族ポリマー、ポリ(アリールエーテル)、フルオロポリマー、もしくは極性基を欠いた炭化水素ポリマー等のポリマー材料を含む、種々の材料のいずれかが、使用されてもよい。ポリマー層または薄膜は、限定ではないが、溶液流延およびスピンコーティング、化学蒸着、プラズマ増強化学蒸着、および同等物を含む、当業者に公知の種々の技法のいずれかによって製作されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノ構造化LSPRセンサの表面プラズモン共鳴特性、例えば、共鳴波長は、絶縁層を2つの金属層間に形成するために使用される材料の厚さまたは誘電定数を調節することによって同調されてもよい。
粒子:いくつかの実施形態では、ナノ構造化またはマイクロ構造化表面は、粒子、例えば、ナノ粒子または微粒子を基質表面に吸着もしくは付着させることによって調製されてもよい。ナノ粒子は、1〜500ナノメートルの範囲の直径の粒子である。微粒子は、500〜2,500ナノメートルの範囲の直径の粒子である。粒子は、限定ではないが、短ナノワイヤ、中空、多孔性、および同等物の形態における球状、非球状立方体、直方体、角錐、円筒形、円錐形、長円、星形を含む、任意の形状であってもよい。限定ではないが、金属粒子、貴金属粒子、金属酸化物粒子、金属合金粒子、金属ドープ半導体粒子、非金属コンポジット粒子、ポリマー粒子、金または銀コロイド、誘電ナノ粒子およびマイクロ粒子、半導体ナノ粒子、ならびにコアシェルナノ粒子等のハイブリッド構造を含む、いくつかの異なる粒子タイプまたは粒子タイプの混合物のいずれかが、使用されてもよく、その多くは、市販されているか、または当業者に公知の種々の方法のいずれかによって調製されることができる。ハイブリッド構造は、異なる材料を含んでいてもよい。例えば、コアシェルナノ粒子は、固体外側シェルおよび液体内側コアを含んでいてもよい。
コーティングされた粒子表面:いくつかの実施形態では、ナノ構造化LSPR表面は、非金属ナノ粒子を基質表面に吸着または付着させ、付着された粒子を薄金属膜でコーティングまたは部分的にコーティングし、冠着された粒子表面、例えば、金で冠着された粒子表面を生成することによって調製される。ナノ粒子は、1つまたはそれを上回る薄金属膜の層でコーティングされてもよい。例えば、ナノ粒子は、約1、2、5、10、20、またはより多くの層の薄金属膜でコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、薄金属膜において使用するための好ましい金属は、金、銀、白金、パラジウム、銅、および同等物等の貴金属であろう。薄金属膜は、本明細書に記載の好ましい金属の任意の混合物および/または任意の組み合わせを備えてもよい。例えば、薄金属膜は、1つの金の層、1つの銅の層、ならびに1つの銀および白金の混合物の層を含んでいてもよい。コーティングは、5nm〜200nmの厚さであってもよい。いくつかの実施形態では、ナノ構造化表面は、基質表面全体を被覆してもよい。他の実施形態では、ナノ構造化表面は、基質表面の一部のみを被覆してもよく、所定のパターンで基質表面を横断して分布されてもよい。
代替ナノ構造化表面:いくつかの実施形態では、表面に吸着または付着されたナノ粒子を利用して、ナノ構造化LSPR表面を生成するのではなく、ナノ構造化表面は、当業者に公知の種々の技法のいずれかを使用して製作されてもよい。円筒形柱または支柱、長方形柱または支柱、円筒形または長方形ナノウェル、および同等物等のナノ構造が、フォトリソグラフィおよび湿式化学エッチング、反応性イオンエッチング、または深部反応性イオンエッチング、集束イオンビームミリング、島を形成するための金属薄膜への熱の印加、ディップペンナノリソグラフィ、および同等物等の技法を使用して、種々の基質材料に製作されてもよい。
表面上のナノ構造の寸法およびパターン:前述のナノ構造の寸法は、数ナノメートル〜数百ナノメートルの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、ナノ構造化表面は、基質表面全体を被覆してもよい。他の実施形態では、ナノ構造化表面は、基質表面の一部のみを被覆してもよく、所定のパターンで基質表面を横断して分布されてもよい。センサ表面は、センサ表面の全部または一部にわたって局在化表面プラズモン共鳴を持続可能であってもよい。ナノ構造化表面は、高または低密度であってもよい。センサ表面を通して伝送される光の特性を測定するために、低密度のナノ構造化表面を有することが所望され得る。センサ表面から反射された光の特性を測定するために、高密度のナノ構造化表面を有することが所望され得る。高密度のナノ構造を有する表面は、光を効率的に吸収および散乱させ得る。いくつかの実施形態では、センサ表面を通して伝送される光の特性を測定することが望ましくあり得る。いくつかの実施形態では、センサ表面から反射された光の特性を測定することが望ましくあり得る。例えば、センサ表面から反射された光の特性の測定は、検体に応答するプラズモン応答の観点から、センサ表面を通して伝送される光の測定に優り得る。
LSPR活性表面の製作:LSPR活性表面は、種々の方法および/またはステップにおいて、前述の構成要素から生成されてもよい。非限定的例証的実施例として、本明細書に記載のあるタイプのLSPR活性表面を生成する方法は、1)5〜500nm厚の範囲内のAuの薄膜の堆積、2)ランダム密充填構成におけるナノメートルサイズシリカまたはポリマー粒子(約10〜2500nmのサイズ)の化学的堆積、および3)シリカまたはポリマー粒子の1つまたはそれを上回るAuの層(約5〜200nm厚)での嵌着を含んでもよい。
アッセイサンプル、アッセイ検体、およびアッセイ構成要素:前述のように、限定ではないが、サンドイッチ免疫アッセイ、酵素結合免疫吸着(ELISA)アッセイ、電気化学アッセイ、および同等物を含む、種々のアッセイ(試験)形式が、ナノ構造化LSPRセンサを検出器として使用して実装されてもよい。これらのアッセイ形式の多くは、着目検体のための結合特異性をセンサ表面に与えるために、親和性試薬(または結合成分)、例えば、抗体の使用を要求する。
アッセイサンプル:種々のサンプル中の検体の検出および定量化のためのアッセイが、ナノ構造化LSPRセンサまたはナノ構造化LSPRセンサを組み込むデバイスを使用して実装されてもよい。サンプルの実施例は、空気、ガス、水、土壌、または産業プロセス流れサンプル、ならびにヒトまたは食肉製品を含む動物からの血液、血漿、血清、汗、涙、尿、もしくは唾液等の組織、細胞、もしくは任意の体液等の生物学的サンプルを含む。いくつかの実施形態では、動物またはヒト由来のサンプルは、「患者サンプル」であってもよく、アッセイの結果は、病原検出、疾患診断、またはヘルスケア提供者による治療およびヘルスケア決定を行う際に使用されてもよい。
アッセイ検体:種々の検体(抗原、マーカ、バイオマーカ)の検出および定量化のためのアッセイは、ナノ構造化LSPRセンサを使用して実装されてもよく、検体は、サンプル中に少量、中程度の量、または大量に存在してもよい。検体は、任意の着目分子であってもよい。検体は、限定ではないが、抗原、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、DNA分子、DNAの断片、RNA分子、リガンド、ウイルス、バクテリア、環境汚染物質(例えば、空気、水、または土壌サンプル中の汚染物質)、細胞、病原体、脂質分子、炭水化物分子、小有機分子、薬物分子、またはイオンを含んでもよい。検体は、臨床診断用途における任意の着目バイオマーカ、例えば、グルコース、コルチゾール、クレアチニン、ラクテート、C−反応性タンパク質、α−フェトプロテイン、または心臓マーカ試験(例えば、心臓トロポニンI(cTnI)、心臓トロポニンT(cTNT)、心臓クレアチンリン酸キナーゼMおよびB(CK−MB)、および脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP))、ならびに非ヒト診断(例えば、獣医学試験、動物性供給原料試験)、環境試験(例えば、空気、水、または土壌試験)、または産業プロセス監視分野(例えば、バイオ反応器プロセス監視)における着目検体であってもよい。
一次結合成分:種々の親和性試薬、親和性タグ、または一次結合成分のいずれかが、限定ではないが、抗体(例えば、一次抗体または捕捉抗体)、抗体断片、ペプチド、タンパク質、アプタマー、分子認識ポリマー、ビオチン、ストレプトアビジン、Hisタグ、Ni−NTA等のキレート化金属イオン、またはDNAもしくはRNAオリゴヌクレオチドプローブ、または任意のそれらの組み合わせを含む、高特異性および高親和性を伴う標的検体の認識および結合のために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る一次結合成分は、限定ではないが、非特異的吸着、ビオチン−ストレプトアビジン結合の使用、センサ基質表面を官能化させた後、アミン基、カルボキシレート基等への共有化学結合が続く、シランの化学的性質の使用、ポリヒスチジンタグおよびNi−NTAキレート剤の使用、ならびにチオール−金自己集合技法の使用を含む、当業者に公知の種々の公知の表面固定化技法のいずれかを使用して、アッセイを行うことに先立って、センサ表面上に事前固定化されてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る一次結合成分は、センサ表面とサンプルの接触に先立って、すなわち、アッセイ手技の一部として、サンプルと混合されてもよい。
二次結合成分:いくつかの実施形態では、種々の親和性試薬、親和性タグ、または二次結合成分もまた、高特異性および増強された感度をナノ構造化LSPRセンサの性能に与えるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、二次結合成分は、感度増強標識に共役され、アッセイの感度をさらに増加させてもよい。本明細書に開示される方法およびデバイスにおいて使用するための好適な二次結合成分実施例は、限定ではないが、抗体(例えば、二次抗体または検出抗体)、抗体断片、アプタマー、分子認識ポリマービーズ、ビオチン、ストレプトアビジン、Hisタグ、Ni−NTA等のキレート化金属イオン、オリゴヌクレオチドプローブを含む。感度増強標識の実施例は、(i)非検出可能反応物の検出可能反応生成物、例えば、ナノ構造化LSPRセンサ表面上に堆積物を形成する、不溶性沈殿物への変換を触媒する、酵素、および(ii)センサ表面とのプラズモン−プラズモン結合を誘発可能な金属ナノ粒子またはマイクロ粒子を含む。感度増強標識として使用するために好適であり得る酵素の実施例は、限定ではないが、アルカリホスファターゼおよび西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。センサ表面上に堆積物を形成し得る不溶性沈殿物への酵素変換のために好適であり得る反応物の実施例は、限定ではないが、アルカリホスファターゼによって不溶性沈殿物に変換される、5−ブロモ−4−クロロ−3'−インドリルホスフェート(BCIP)およびニトロブルーテトラゾリウムまたはそれらの混合物を含む。
流体システム構成要素:本開示の方法、デバイス、およびシステムは、完全にまたは部分的に、1つまたはそれを上回るLSPRセンサと統合される、流体システムを利用してもよい。流体システムは、1つまたはそれを上回るサンプルおよび/またはアッセイ試薬を1つまたはそれを上回るセンサ表面に送達するように構成されてもよい。流体システムは、ポンプまたは他の流体作動機構、弁、流体チャネルもしくは導管、膜、フローセル、反応ウェルもしくはチャンバ、および/またはアッセイを実施するために必要な試薬を伴うリザーバを備えてもよい。いくつかの実施形態では、流体システム構成要素の全部または一部は、LSPRセンサと統合され、LSPRチップまたはデバイスを生成してもよい。いくつかの実施形態では、LSPRチップまたはデバイスは、使い捨てまたは消耗品デバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、流体システム構成要素の全部または一部は、LSPRセンサチップまたはデバイスがインターフェースをとる、外部筐体または器具内に常駐してもよい。
流体作動機構:いくつかの実施形態では、流体システムは、1つまたはそれを上回る流体作動機構を含んでもよい。開示される方法、デバイス、およびシステムにおいて使用するための好適な流体作動機構の実施例は、1つまたはそれを上回る反応ウェル、反応チャンバ、または試薬リザーバへの正または負圧の印加、動電学的な力、エレクトロウェッティング力、受動的毛細管作用、および同等物を含む。正または負圧は、直接、例えば、リザーバに結合され、リザーバから流体チャネルまたは導管を通してセンサ表面上に試薬の流動を作動させる、機械的アクチュエータまたはピストンの使用を通して印加されてもよい。いくつかの実施形態では、機械的アクチュエータまたはピストンは、反応チャンバまたはリザーバをシールするために使用される可撓性膜に力を付与してもよい。いくつかの実施形態では、正または負圧は、間接的に、例えば、1つまたはそれを上回るリザーバと接続される加圧ガスラインまたは減圧ラインの使用を通して印加されてもよい。いくつかの実施形態では、ポンプが、流体流動を駆動するために使用されてもよい。これらは、LSPRセンサチップがインターフェースをとる筐体または器具内に位置するポンプであってもよい、またはいくつかの実施形態では、センサチップと統合されるマイクロ製作ポンプであってもよい。
流体チャネル:いくつかの実施形態では、流体導管は、実質的に長方形断面を有してもよい。これらの実施形態では、流体導管は、約10μm〜約5mmの幅および約10μm〜約5mmの深さを有してもよい。他の実施形態では、流体導管は、実質的に円形断面を有してもよい。これらの実施形態では、流体導管は、約10μm〜約5mmの直径を有してもよい。
弁:いくつかの実施形態では、流体システムは、リザーバとチャネルとの間の流体流動を切り替えるための1つまたはそれを上回る弁を含んでもよい。これらは、LSPRセンサチップがインターフェースをとる筐体または器具内に位置する弁であってもよい、またはいくつかの実施形態では、センサチップと統合されるマイクロ製作弁であってもよい。開示されるデバイスおよび器具において使用するための好適な弁の実施例は、ソレノイド弁、空気圧弁、ピンチ弁、膜弁、および同等物を含む。
反応ウェルおよび反応チャンバ:本明細書に開示されるLSPRセンサチップは、アッセイが生じるLSPRセンサを含有する、1つまたはそれを上回る反応ウェルまたは反応チャンバを有してもよい。反応ウェルまたはチャンバのうちのいくつかは、対照ウェルまたはチャンバであってもよい。流体システム内で使用される流体作動機構および流体制御構成要素、例えば、ポンプおよび弁の組み合わせが、異なるリザーバからの流体が具体的アッセイを行うために要求されるシーケンスにおいて混合され、反応ウェルまたはチャンバの中に導入されることを可能にする。流体システムは、任意の順序で、連続的または同時にのいずれかにおいて、異なるリザーバからの流体を導入してもよい。例えば、二次抗体共役体を利用するアッセイに関して、サンプルが反応ウェルまたはチャンバの中に導入された後、希釈剤リザーバからの希釈剤が、反応ウェルまたはチャンバを濯ぐために導入されてもよい。その後、二次抗体共役体が、二次抗体共役体リザーバから反応ウェルの中に導入されることができる。次に、希釈剤は、再び、反応ウェルまたはチャンバを濯ぐために導入されることができる。次に、不溶性沈殿物に酵素変換される酵素基質等の試薬が、試薬リザーバから反応ウェルまたはチャンバの中に導入されることができる。したがって、いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、サンプルリザーバ、希釈剤リザーバ、二次共役抗体リザーバ、試薬リザーバ、および廃棄物リザーバを含有してもよい。
別の実施形態では、異なる流体を反応ウェルまたは反応チャンバの中に連続して導入する代わりに、異なる成分流体は、単一ステップにおいて事前混合され、導入されてもよい。例えば、サンプル、希釈剤、および二次抗体(共役されないか、酵素で共役されるか、質量増強粒子で共役されるか、またはプラズモン部分で共役され得る)が、リザーバ内で事前混合されてもよい。次に、希釈されたサンプルおよび二次抗体を含有する事前混合された流体が、反応ウェルまたはチャンバの中に導入されてもよい。これらの実施形態では、LSPRセンサチップは、サンプルがそのリザーバの中に導入されるとサンプルと混合され得る、希釈剤および二次抗体を含有するリザーバを含有してもよい。さらに、LSPRセンサチップはまた、濯ぎ用の付加的希釈剤リザーバならびに廃棄物リザーバを含有してもよい。いくつかの実施形態では、単一ステップアッセイが、LSPRセンサデバイスの中にピペット注入する前に、またはLSPRセンサデバイスの反応ウェル内のいずれかにおいて、サンプルと二次結合成分、例えば、Ag/Auナノ粒子共役抗体を混合することによって行われ、検体の存在は、直接、分離または濯ぎステップの必要なく、検出される。
反応ウェルまたはチャンバの直径は、約100μm〜約5mmの直径の範囲であってもよい。反応ウェルまたはチャンバは、円形形状である必要はない。いくつかの実施形態では、反応ウェルまたはチャンバの断面積は、約20μm2〜約25mm2の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、反応ウェルまたはチャンバの深さは、約10μm〜約10mmの深さの範囲であってもよい。例えば、反応ウェルまたはチャンバの深さは、約35μmであってもよい。いくつかの実施形態では、反応ウェルの体積は、100ナノリットル〜3ミリリットルの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、反応ウェルは、25μL未満の体積を保持するように構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、複数の反応ウェルまたはチャンバを有してもよく、それぞれ、センサを含有する。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップはセンサのアレイを含有する、単一反応ウェルまたはチャンバを有してもよい。LSPRセンサは異なるタイプのアッセイが各反応ウェルまたはチャンバ内で実行され得るように、多パネル化または多重化されてもよい。したがって、異なる反応ウェルは、反応ウェル内に固定化された異なる抗体、DNAアッセイを実行するためのDNA、RNA、細菌等を含有してもよい。いくつかの実施形態では、LSPRセンサは、単一センサ表面上に固定化された複数の一次抗体または他の一次結合成分を有してもよい。いくつかの実施形態では、反応ウェルのうちのいくつかは、対照ウェルであってもよい。
リザーバ:いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、1つまたはそれを上回るサンプルまたは試薬リザーバを含んでもよい。リザーバ内の試薬は、流体チャネルを通してセンサ表面上に導入されてもよい。リザーバは、サンプル、試薬、希釈剤、非共役抗体、酵素で共役された抗体、質量増強ビーズで共役された抗体、プラズモン部分で共役された抗体、アッセイ対照、および/またはアッセイの実行から生じる廃棄物生成物を含有してもよい。
例えば、連続して実行されるアッセイに関して、LSPRセンサチップは、希釈剤を貯蔵するための1つまたはそれを上回るリザーバ、抗体(共役されないか、酵素で共役されるか、質量増強ビーズで共役されるか、またはプラズモン部分で共役され得る)を貯蔵するための1つまたはそれを上回るリザーバ、および緩衝剤または他のアッセイ試薬を貯蔵するための1つまたはそれを上回るリザーバを含有してもよい。さらに、LSPRセンサチップはまた、1つまたはそれを上回る廃棄物リザーバを含有してもよい。
他の実施形態では、LSPRセンサチップは、同一リザーバ内に希釈剤および二次抗体(共役されないか、酵素で共役されるか、質量増強粒子で共役されるか、またはプラズモン部分で共役され得る)を含有する、リザーバを含有してもよい。サンプルが本リザーバの中に導入されると、サンプルは、希釈剤および二次抗体と混合されてもよい。混合物全体が、次いで、アッセイが生じる反応ウェルの中に流動してもよい。試薬は、限定ではないが、溶液中に、フリーズドライ(凍結乾燥)試薬として、安定化剤、例えば、ポリマー等の存在下、または任意のそれらの組み合わせを含む、種々の形式でLSPRセンサチップおよびデバイス内に貯蔵されてもよい。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、試薬がサンプルおよび/またはアッセイ緩衝剤がデバイスに添加されると溶解されるように凍結乾燥されたアッセイ試薬を含有する、流体チャネルを備えてもよい。LSPRセンサチップはまた、洗浄用の付加的希釈剤リザーバならびに廃棄物リザーバを含有してもよい。
いくつかの実施形態では、リザーバは、約0.3mm〜約10mmの直径および約0.03mm〜約5mmの深さを有してもよい、または体積が1nL〜3mLであるような寸法を有してもよい。
いくつかの実施形態では、反応チャンバまたはリザーバの直径は、少なくとも0.1mm、少なくとも0.2mm、少なくとも0.3mm、少なくとも0.4mm、少なくとも0.5mm、少なくとも1mm、少なくとも1.5mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、少なくとも5mm、少なくとも6mm、少なくとも7mm、少なくとも8mm、少なくとも9mm、または少なくとも10mmであってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバまたはリザーバの直径は、最大10mm、最大9mm、最大8mm、最大7mm、最大6mm、最大5mm、最大4mm、最大3mm、最大2mm、最大1.5mm、最大1mm、最大0.5mm、最大0.4mm、最大0.3mm、最大0.2mm、または最大0.1mmであってもよい。当業者は、反応チャンバまたはリザーバの直径が、本範囲内の任意の値、例えば、約2.4mmを有してもよいことを認識するであろう。同様に、いくつかの実施形態では、反応チャンバまたはリザーバの深さは、少なくとも0.01mm、少なくとも0.02mm、少なくとも0.03mm、少なくとも0.04mm、少なくとも0.05mm、少なくとも0.1mm、少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、または少なくとも5mmであってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバまたはリザーバの深さは、最大5mm、最大4mm、最大3mm、最大2mm、最大1mm、最大0.5mm、最大0.4mm、最大0.3mm、最大0.3mm、最大0.2mm、または最大0.1mmであってもよい。反応チャンバまたはリザーバの深さは、本範囲内の任意の値、例えば、約0.55mmを有してもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバまたはリザーバの体積は、少なくとも1nL、少なくとも5nL、少なくとも10nL、少なくとも25nL、少なくとも50nL、少なくとも100nL、少なくとも200nL、少なくとも300nL、少なくとも400nL、少なくとも500nL、少なくとも1mL、少なくとも1.5mL、少なくとも2mL、または少なくとも3mLであってもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバまたはリザーバの体積は、最大3mL、最大2mL、最大1.5mL、最大1mL、最大500nL、最大400nL、最大300nL、最大200nL、最大100nL、最大50nL、最大25nL、最大10nL、最大5nL、または最大1nLであってもよい。当業者は、反応チャンバまたはリザーバの体積が、本範囲内の任意の値、例えば、約550nLを有してもよいことを認識するであろう。
膜:いくつかの実施形態では、反応ウェルまたはサンプルリザーバの上部に設置されたフィルタとしての役割を果たす、膜が存在してもよい。いくつかの実施形態では、アッセイされるべきサンプルは、サンプルを直接反応ウェルを被覆する膜フィルタ上に堆積することによって、LSPRセンサ表面上に堆積されてもよい。膜フィルタは、サイズに従って、望ましくない粒子を濾過して除去するように設計されてもよい。例えば、フィルタは、より小さいサイズの粒子のみが反応ウェルを通して濾過されることを可能にする、適切に定寸された細孔を含有してもよい。望ましくない粒子は、アッセイに緩衝する、または流体導管を塞ぎ得る、細胞、塩結晶、不溶性沈殿物、または他の微粒子を含んでもよい。サンプルは、膜によって分離され得る、1つまたはそれを上回る着目分子を含有してもよい。したがって、異なるタイプの分子が、異なる反応ウェルを通して濾過されてもよく、異なる多孔率または異なる選択性の膜が、1つを上回るサンプル中の検体の同時分析を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、サンプルは、反応ウェルの代わりに、またはそれに加え、リザーバの中にそれを堆積することによって導入される。LSPRセンサは、サンプルを受容するように特に適合された1つまたはそれを上回るリザーバを含有してもよい。サンプルリザーバは、濾過が所望されるかどうかに応じて、リザーバの上部に設置された膜を含んでもよい、または含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、濾過は、例えば、ピストンを用いて、圧力をサンプルに印加することによって達成されてもよい。ピストンが圧力をサンプル上に印加すると、より小さい粒子は、濾過膜を通して押進され得る一方、より大きい粒子は、濾過膜を通して通過しない。濾過はまた、正の機械的圧力を印加せずに達成されてもよい。例えば、濾過は、重力によって、またはサンプルがある場所と反対の濾過膜側から印加される負圧を通して、達成されてもよい。
製作材料、技法、および寸法:一般に、反応ウェル、反応チャンバ、サンプルおよび試薬リザーバ、ならびに流体導管は、限定ではないが、ガラス、溶融シリカ、シリコン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、環状オレフィンコポリマー(COC)もしくは環状オレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、または他のエラストマー材料を含む、種々の材料のいずれかを使用して製作されてもよい。好適な製作技法(材料の選択肢に応じて)は、限定ではないが、CNC機械加工、フォトリソグラフィおよびエッチング、レーザフォトアブレーション、射出成形、熱エンボス加工、ダイカット、および同等物を含む。
流体導管のサイズおよび形状、ならびに1つまたはそれを上回る反応ウェル、反応チャンバ、またはリザーバに印加される圧力は、反応ウェルの中への流動が層流であるように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、流体導管の長さは、約1mm〜約100mmの範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、流体導管は、実質的に長方形断面を有してもよい。これらの実施形態では、流体導管は、約10μm〜約2.5mmの幅および約10μm〜約2.5mmの深さを有してもよい。他の実施形態では、流体導管は、略円形断面を有してもよい。これらの実施形態では、流体導管は、約10μm〜約2.5mmの直径を有してもよい。
光学システム構成要素:本明細書に説明される方法、デバイス、およびシステムは、光学システムと結合されるLSPRセンサ表面を利用してもよい。光学システムは、1つまたはそれを上回る光源、1つまたはそれを上回る対物レンズ、付加的レンズ、開口、ミラー、フィルタ、ビームスプリッタ、プリズム、1つまたはそれを上回る検出器(例えば、フォトダイオード、フォトダイオードアレイ、光電子増倍管、CCDカメラ、CMOSセンサ等)、および/または検出器に対して固定位置において走査または維持され得る、平行移動段、ならびにマイクロプロセッサ、コンピュータ、コンピュータ可読媒体、および同等物を備えてもよい。
いくつかの実施形態では、光学器具は、裏側からLSPRセンサ表面を照明するように設計されてもよく、その場合、基質材料は、光学的に透明であることが望ましい。他の実施形態では、センサ表面は、表側から照明されてもよく、センサ基質材料の透明度または不透明度は、重要ではない。いくつかの実施形態では、センサ表面を通して伝送される光の特性を測定することが望ましくあり得る。多くの実施形態では、センサ表面から反射された光の特性を測定することが望ましい。例えば、センサ表面から反射された光の特性の測定は、検体に対するプラズモン応答を監視する能力の観点から、センサ表面を通して伝送される光の測定に優り得る。LSPRセンサ表面によって伝送される、またはそこから反射された光の種々の物理的特性のいずれか、例えば、スペクトルおよび/またはスペクトル偏移、強度、偏光、または反射の角度が、測定されてもよい。
いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るマイクロ製作光学構成要素、例えば、光源、レンズ、帯域通過フィルタ、導波管、および/または検出器は、微小電気機械システム(MEMS)産業から採用される製造技法を使用して、直接、LSPRセンサデバイスと統合されてもよい。
光源:光源は、LED、レーザ、レーザダイオード、ハロゲン源、または任意の他の好適な光源であってもよい。光源は、アッセイ反応がセンサ表面上で生じる前、間、および/または後に、光をセンサ表面に指向してもよい。いくつかの実施形態では、光源は、センサ表面が選択された時間に照明され得るように遮断されてもよい。いくつかの実施形態では、光源は、伝送または反射された光の検出のための信号対雑音比が周波数依存増幅またはボックスカー積分技法を通して改良され得るように、事前規定された周波数でパルス化されてもよい。光源は、基質側またはセンサ表面側から光を指向してもよい。多くの場合、光源は、白色光源であってもよいが、開示される方法、デバイス、およびシステムのいくつかの実施形態では、単色、狭帯域、または広帯域光が、使用されてもよい。
光源は、光が、概して、90度でLSPR表面上に入射するように設置されてもよい。同様に、検出器は、90度で表面から反射された光を検出するように設置されてもよい。光源は、光が、概して、ある斜角でLSPR表面上に入射するように設置されてもよい。光は、狭く、かつコリメートされるように構成されてもよい。同様に、検出器は、ある斜角で表面から反射された光を検出するように設置されてもよい。光源は、光学チャネルまたは光ファイバを通して指向されてもよい。光学チャネルまたは光ファイバは、次いで、光が光学チャネルまたは光ファイバから出射し、所望の角度でLSPR表面上入射されるように位置付けられてもよい。
検出器:1つまたはそれを上回る検出器は、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管、画像センサ、任意の他の形態の好適な光検出器、または任意のそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回る検出器が、アッセイが行われる前、間、および/または後に、LSPRセンサ表面によって伝送される光もしくはそこから反射された光を検出するために使用され、それによって、エンドポイントアッセイ判定および/または動態アッセイデータの収集を可能にしてもよい。検出器は、プラズモン−プラズモン結合またはELISA反応の前および後に光学吸収ピークの偏移を検出してもよい。検出器は、吸収ピーク、反射された光の角度、および光の偏光特性等の任意の光の光学特性を検出してもよい。いくつかの実施形態では、検出器は、センサ表面から反射されるか、またはセンサ表面によって伝送される白色光を検出してもよい。いくつかの実施形態では、検出器は、プリズム、1つまたはそれを上回る帯域通過フィルタ、またはモノクロメータを通して通過した後、伝送または反射された光を検出してもよい。検出器は、画像センサを備えてもよい。画像センサは、CCDセンサ、CMOSセンサ、またはNMOSセンサであってもよい。画像センサは、センサ表面の一連の画像を捕捉してもよい。一連の画像は、グレースケール画像であってもよい。一連の画像は、RGB画像であってもよい。一連の画像は、アッセイが検体を用いて完了される前、間、および後に捕捉された画像に対応する、画像フレームを備えてもよい。本明細書に説明される一連の画像は、検体に起因する変化が一連の時系列画像にわたって検出され得るように、十分に詳細であってもよい。一連の画像は、約1000画像、500画像、400画像、300画像、200画像、100画像、50画像、または10画像もしくはそれを上回るものを備えてもよい。画像センサは、所定の捕捉レートで一連の画像フレームを捕捉してもよい。捕捉レートの逆関数は、1ミリ秒の/フレーム、2ミリ秒/フレーム、5ミリ秒/フレーム、10ミリ秒/フレーム、20ミリ秒/フレーム、または50ミリ秒/フレームであってもよい。画像センサは、ピクセルサイズおよびピクセル計数の観点から変動してもよい。画像分解能は、ピクセルサイズおよびピクセル計数に依存し得る。画像センサは、約0.5メガピクセル、1メガピクセル、4メガピクセル、10メガピクセル、20メガピクセル、50メガピクセル、80メガピクセル、100メガピクセル、200メガピクセル、500メガピクセル、または1000メガピクセルもしくはそれを上回るピクセル計数を有してもよい。画像センサに対応するピクセルサイズは、約5ミクロン、3.5ミクロン、2ミクロン、1ミクロン、0.5ミクロン、または0.1ミクロンもしくはそれ未満であってもよい。
照明および収集光学:前述のように、本明細書に説明されるLSPRセンサ表面と併用するために好適な光学デバイスおよび器具は、典型的には、照明および収集光学サブシステムのアセンブリのために、他の光学構成要素、例えば、レンズ、ミラー、フィルタ、ビーム−スプリッタ、プリズム、偏光子、光ファイバ、および同等物もまた含むであろう。いくつかの実施形態では、落射照明設計が、単一対物レンズが照明光をLSPRセンサ表面に送達し、かつ反射された光をLSPRセンサ表面から収集するよう作用するように使用されてもよい。対物レンズ(および収集光学サブシステム)は、センサ表面の拡大を提供してもよい。対物レンズは、長作業距離(例えば、2〜5mm)を有し、サンプルおよびアッセイ試薬をセンサ表面に送達するように設計された流体システムを収容するように十分な隙間を提供してもよい。いくつかの実施形態では、対物レンズは、近距離撮像のために最適化されてもよい。光学システムは、約5x、10x、20x、50x、100x、200x、またはより高い、全体的拡大率を提供してもよい。光学システムの拡大率は、画像フレームの各ピクセルがピクセルサイズよりはるかに小さい表面積に対応することを可能にする。例えば、10x対物レンズ下で画像を捕捉する5ミクロンのピクセルサイズを伴う画像センサは、0.25μm2のセンサ表面に対応するピクセルを伴う画像を生成するであろう。本拡大率は、酵素活性またはプラズモン−プラズモン結合に対応するLSPR表面上の局在面積が明らかに区別可能かつ計数されることを可能にし得る。
プラズモンピーク偏移の検出:本開示のLSPRセンサおよびデバイスは、高感度を伴ってプラズモンピーク偏移を検出するために、アルゴリズムを利用してもよい。一般に、検体または二次抗体とセンサ表面の結合は、プラズモン吸収極大における赤方偏移を誘発するであろう。しかしながら、いくつかの実施形態、例えば、固定化された基質を裂開し、材料をセンサ表面から除去する、プロテアーゼを監視する、酵素活性アッセイでは、プラズモン吸収極大における青方偏移が、観察され得る。開示される方法、デバイス、およびシステムのいくつかの実施形態では、プラズモンピーク偏移は、単一波長、例えば、620nmで反射または伝送される光強度を監視することによって検出および/または定量化されてもよい。単一波長が既知のプラズモン吸収極大の青方側となるように選定される場合、検体誘発赤方偏移は、選定された波長で強度の減少を生じさせるであろう。単一波長が既知のプラズモン吸収極大の赤方側となるように選定される場合、検体誘発赤方偏移は、選定される波長で強度を増加させるであろう。
いくつかの実施形態では、プラズモンピーク偏移は、2つまたはそれを上回る波長で反射または伝送される光を監視することによって検出および/または定量化されてもよい。2つまたはそれを上回る波長が既知のプラズモン吸収極大の両側に位置するように選定される場合、2つの波長における強度の比率、例えば、Ired/Iblue(式中、Iredは、プラズモン吸収極大の赤方側における波長の強度であって、Iblueは、プラズモン吸収極大の青方側における波長の強度である)の監視が、検体誘発赤方偏移を検出するための非常に敏感な手段を提供し得る。
本開示のいくつかの実施形態では、より高度なアルゴリズムが、改良された信号対雑音比および増強されたアッセイ感度のために、プラズモン吸収極大における検体誘発偏移を検出および/または定量化するために利用されてもよい。例えば、センサ表面の検体への暴露前および後のプラズモン吸収曲線の形状の多項式フィッティング後、差スペクトルの計算、モーメントの計算、または重心の計算、および同等物等の種々の数学演算が続いてもよい。有用に採用され得るアルゴリズムの付加的実施例は、限定ではないが、信号平均化アルゴリズム、信号平滑化アルゴリズム(例えば、Savitsky−Golayアルゴリズム)、検体による接触に対する応答を呈するセンサ表面の面積を境界するパターンマイニングアルゴリズム、および同等物を含む。パターンマイニングアルゴリズムは、RGBまたはグレースケール値の変化を操作し、画像上の具体的パターンを判定してもよい(例えば、画像ピクセルがある画定された範囲内の赤色ピクセル値の変化を被ったLSPRセンサ表面の面積を判定する)。いくつかの実施形態では、アルゴリズムは、サンプル中の検体の濃度を判定してもよい。検体のいくつかの既知の濃度およびそれらが発生する対応する信号は、較正曲線の生成のために測定および使用されてもよい。検体は、本明細書に説明されるように検出されてもよく、測定される信号は、次いで、較正曲線と比較され、サンプル中の検体の濃度を判定してもよい。アルゴリズムは、コンピュータ可読媒体内に記憶されてもよい。コンピュータ可読媒体は、デバイス(例えば、コンパクトディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、USBフラッシュドライブ、ハードディスクドライブ等)によって読み取られる、または処理され得る形態でデータを記憶可能な任意の媒体であってもよい。
診断デバイスおよび用途:本明細書に開示されるのは、LSPRセンサチップを組み込む、診断試験用途において使用するためのデバイスおよびシステムである。いくつかの実施形態では、体液(例えば、血液、血漿、血清、汗、涙、尿、唾液等)または他の流体(例えば、汚染水、食肉製品からの血液等)が、その中に含有される1つまたはそれを上回る検体の存在を検出および/または定量化するためのアッセイを行う目的のために、LSPRセンサチップ上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、開示されるデバイスおよびシステムは、非常に小サンプル体積(例えば、25μLまたはそれ未満)を使用してアッセイを実行可能であり得る。いくつかの実施形態では、アッセイを行うために要求されるサンプル体積は、少なくとも0.1μl、少なくとも0.5μl、少なくとも1μl、少なくとも2μl、少なくとも3μl、少なくとも4μl、少なくとも5μl、少なくとも10μl、少なくとも15μ、少なくとも20μl、または少なくとも25μlであってもよい。いくつかの実施形態では、アッセイを行うために要求されるサンプル体積は、最大25μl、最大20μl、最大15μl、最大10μl、最大5μl、最大4μl、最大3μl、最大2μl、最大1μl、最大0.5μl、または最大0.1μlであってもよい。当業者は、要求されるサンプル体積が、本範囲内の任意の値、例えば、約7.5μlを有してもよいことを認識するであろう。
いくつかの実施形態では、LSPRチップは、診断試験デバイスまたはシステムの再使用可能構成要素であってもよい。多くの実施形態では、LSPRセンサチップは、サンプルが、センサチップ上に堆積され、分析された後、廃棄され得る、1回限りの使用のために好適な使い捨てデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、マイクロ流体チップとインターフェースがとられる、またはアッセイを実施するための付加的構成要素を含有し得る、カートリッジ、カセット、ラテラルフローデバイス、パッケージ、もしくは任意の他の形態の筐体デバイスの中に組み込まれてもよい。いくつかの実施形態では、サンプルは、LSPRセンサチップが、筐体デバイスとインターフェースがとられる、またはパッケージ化された後、LSPRセンサチップ上に収集および堆積される。例えば、筐体デバイスは、サンプルをLSPRセンサチップ上に収集および堆積するための構成要素を含有してもよい。
記載のように、LSPRセンサチップは、アッセイを実施するために、マイクロ流体と統合されるか、またはカートリッジ内にパッケージ化されてもよい。例えば、前述のように、センサデバイスまたはカートリッジは、ポンプ、弁、およびアッセイを実施するために必要な試薬を伴うリザーバを含有してもよい。LSPRセンサデバイスはまた、アッセイが生じる、反応ウェルまたはチャンバを含有してもよい。リザーバ内の試薬は、LSPRセンサデバイスの中に組み込まれる流体導管を通して、反応ウェルまたはチャンバの中に導入されてもよい。いくつかの実施形態では、センサデバイス上の1つまたはそれを上回るリザーバへの正または負圧の印加が、流体流動を作動させるための手段を提供してもよい。例えば、ピストンが、リザーバに結合され、リザーバから導管を通して反応チャンバの中に試薬の流動を作動させてもよい。流動は、圧送または吸引等の能動的機構によって作動されてもよい。流動はまた、受動的毛細管作用によって作動されてもよい。センサデバイスがインターフェースをとる器具システムまたはリーダは、白色光源、検出器、およびアッセイを実施し、その結果を分析するための他の構成要素を含有してもよい。器具システムまたはリーダはまた、構成要素(例えば、ポンプおよび弁)を含有し、流体流動を作動および制御してもよい。筐体デバイスは、再使用可能であってもよい。
アッセイがLSPRセンサデバイスの反応ウェルまたはチャンバ内で生じた後、検出器が、アッセイから生じたLSPRセンサ表面の光学特性の変化を検出するために使用されてもよい。器具またはリーダ内のプロセッサが、結果を分析するために使用されてもよい。結果は、次いで、ユーザに表示される、または医療従事者に伝送されてもよい。
本明細書に開示される患者近傍試験および診療現場診断デバイスならびに器具は、種々のインビトロ診断用途を有する。例えば、ユーザは、血液サンプルをLSPRセンサチップ上に堆積してもよく、センサデバイスまたは器具は、心筋梗塞の早期診断において使用されるバイオマーカである、トロポニンIの量についての情報を表示してもよい。本明細書に開示される診断デバイスおよび器具はまた、別の心血管バイオマーカである、C−反応性タンパク質に関してアッセイしてもよい。LSPRセンサチップおよび筐体デバイスは、限定ではないが、感染性疾患(例えば、インフルエンザA、インフルエンザB、呼吸系発疹ウイルス、または他の病原)、食品安全性(例えば、O157:H7E.coliまたは他の食品媒介病原)、代謝性疾患、神経変性疾患、節足動物媒介性疾患、乱用薬物(例えば、テトラヒドロカンナビノール、フェンサイクリジン)、糖尿病(例えば、インスリン抵抗、血糖値モニタリング)、癌バイオマーカ(例えば、肝臓癌に対するα−フェトプロテイン、甲状腺癌に対する甲状腺刺激ホルモン、子宮頚部癌に対するE6オンコタンパク質)、内分泌マーカ(例えば、コルチゾール)、獣医学疾患(例えば、ヨーネ病、犬糸状虫)、製造汚染物質(例えば、タンパク質A浸出)、および血液アルコールレベルのためのマーカとしての役割を果たすものを含む、種々の他の検体に関する定量的データを同様に表示するために使用されてもよい。付加的用途は、クマジン等の抗凝血剤の適切な投薬および炎症を示すマーカ(例えば、C−反応性タンパク質)に対する試験を含む。本明細書に開示される診断器具は、小分子、イオン、ペプチド、タンパク質、受容体、酵素、抗体、核酸、DNA、RNA、細菌、ウイルス、細胞、病原、および土壌、空気、および水汚染物質、またはそれらの任意の組み合わせに関するアッセイを行ってもよい。これらの診断用途は、本明細書に開示されるLSPRセンサチップの感度によって可能にされる。異なるLSPRセンサチップおよびデバイスが、異なる用途のために設計されてもよい。
キット:また、本明細書に開示されるのは、開示されるLSPRセンサチップおよびデバイスを備える、キットである。いくつかの実施形態では、キットは、捕捉抗体で事前官能化されたLSPRセンサチップ、試験ストリップ、またはデバイスを備え、具体的診断試験を行うように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、キットは、事前官能化されたLSPRセンサチップ、試験ストリップ、またはデバイスと、具体的診断試験を行うための1つまたはそれを上回る付加的アッセイ試薬とを備えてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、バイオ医療研究用途に関して、キットは、LSPRセンサ表面をユーザの選択肢の捕捉抗体または他の結合成分で官能化するための結合試薬とともに、非官能化LSPRセンサ、試験ストリップ、またはデバイスを備えてもよい。いくつかの実施形態では、1つまたはそれを上回るLSPRセンサは、前述のように、1つまたはそれを上回る試験ストリップまたはマイクロ流体デバイス内にパッケージ化されてもよい。これらの実施形態のいずれかでは、キットはさらに、他のアッセイ試薬、例えば、緩衝剤、塩溶液、酵素、酵素補因子、酵素阻害剤、酵素基質、抗体または抗体断片、タンパク質、ペプチド、オリゴヌクレオチド、および同等物を備えてもよい。
センサデバイス概念:図8−10は、LSPRセンサデバイスの一非限定的実施例を図示し、センサチップは、流体特徴と統合され、患者近傍または診療現場試験のために好適なアッセイデバイスを生成する。図8は、統合された流体特徴を有する、例えば、6つのLSPRセンサチップを備えるウエハが、例えば、従来のダイシング技法を使用して相互から分離され得る、製造アプローチを図示する。ウエハベースの製造アプローチは、生産拡大ならびにデバイス小型化および大量製造を通して達成可能な対応するコスト節約を可能にする。
図9は、個々のLSPRセンサデバイス(900)の一実施形態の上面図を提供し、LSPRセンサチップは、流体チャネル(904)を用いてハブアンドスポーク構成に配列される複数の反応ウェルまたはチャンバ(903)に接続される、中心に位置するサンプルおよび/または試薬リザーバ(901)を備える、マイクロ製作流体層と統合され、各反応ウェルまたはチャンバは、1つまたはそれを上回るLSPRセンサ表面を含有する。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップはさらに、マイクロ製作ポンプおよび弁を備えてもよい。いくつかの実施形態では、機械的ピストン(902)が、サンプルおよび/または試薬ウェルから周辺反応ウェルまたはチャンバの中に流体流動を駆動するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、機械的アクチュエータ(902)が、サンプルおよび/または試薬チャンバ(901)をシールする、可撓性膜上に力を付与してもよい。いくつかの実施形態では、正圧が、例えば、空気圧デバイスを使用して、サンプルウェルおよび/または試薬リザーバ上に付与され、デバイスを通る流体流動を制御してもよい。いくつかの実施形態では、サンプルウェルおよび/または試薬リザーバへの減圧の印加が、デバイスを通る流体流動を制御するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、サンプルおよび/または試薬は、中心リザーバ内に設置され、毛細管作用を用いて、接続流体チャネルを通して反応ウェルまたはチャンバに吸い上げられることを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、サンプルは、サンプルおよび/または試薬チャンバをシールする、フィルタ膜上にピペット注入され、それによって、粒子状汚染物質からの着目検体の分離を提供してもよい。LSPRセンサチップおよびセンサデバイスは、例えば、約10mm、約15mm、約25mm、約30mm、約35mm、または約40mmの長さと、約10mm、約15mm、約25mm、約30mm、約35mm、または約40mmの幅と、1mm未満、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、または5mmを上回る厚さとを有してもよい。例えば、LSPRセンサデバイスは、約25mmの幅、30mmの長さ、および4mmの深さの寸法を有してもよい。LSPRセンサチップおよびセンサデバイスは、種々の異なる形状およびサイズであってもよい。例えば、LSPRセンサ形状は、円形、楕円形、六角形等であってもよい。
図10は、個々のLSPRセンサデバイス(1000)の一実施形態の側面断面図を提供し、LSPRセンサチップは、流体チャネル(1003)を用いてハブアンドスポーク構成に配列される複数の反応ウェルまたはチャンバ(1004)に接続される、中心に位置するサンプルおよび/または試薬リザーバ(1002)を備える、流体層と統合され、各反応ウェルまたはチャンバは、1つまたはそれを上回るLSPRセンサ表面(1005)を含有する。他のセンサチップ設計は、各LSPRセンサチップが複数のリザーバおよび複数の反応ウェルを含有し得るように、別のリザーバおよび付加的反応ウェルを含有してもよい。いくつかの実施形態では、機械的ピストン(1001)が、サンプルおよび/または試薬ウェルから周辺反応ウェルまたはチャンバの中に流体流動を駆動するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、統合された構成要素、例えば、マイクロ製作弁が、流体導管をオンおよびオフに切り替えるために含まれてもよい。いくつかの実施形態では、反応ウェルのうちの1つまたはそれを上回るものは、複数の導管を通して複数のリザーバに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、反応チャンバは、反応チャンバのそれぞれから検出器までの妨げのない経路が存在するように、異なる層に交互される。したがって、各反応チャンバ内のLSPRセンサ表面から反射された光は、検出器に到達する前に、別の反応ウェルによって妨害されないであろう。
いくつかの実施形態では、反応ウェルは、LSPRセンサチップの上部表面上で可視かつ開放している。いくつかの実施形態では、反応ウェルの上部は、依然として、反射された光が伝送および検出されることを可能にしながら、無散乱ポリマーシート、ガラス、または他の光学的に透明な材料でシールされ、シールされた反応チャンバを形成してもよい。反応ウェルの底部もまた、LSPRセンサ表面を通して伝送される光を検出および測定することが所望される場合、光学的に透明な材料から成ってもよい。反射を検出および測定することが所望される場合、反応ウェルの底部は、反射性であってもよい。したがって、光は、反応ウェルの上部を通して通過し、反応ウェルの底部から反射し、反応ウェルの上部を通して通過してもよい。検出器は、反応ウェルの反射を検出するための光源と同一側に設置されることができる、または検出器は、反応ウェルの伝送を検出するための光源と反対に設置されることができる。
LSPRセンサチップは、その構成要素とともに、例えば、半導体を製作するために使用される方法に従って、ガラスまたはシリコンから製作されてもよい。代替として、LSPRセンサチップは、射出成形等の技法を使用して、ポリマー材料から製作されてもよい。
図11A−Cは、可搬性であって、随意に使い捨てである、患者近傍および診療現場試験環境のためのLSPRデバイスおよびシステムにおいて使用するための異なる光学検出構成を図示する。図11Aは、LSPRセンサ表面から反射された光が、随意に、帯域通過フィルタおよびレンズを使用して、フィルタ処理、撮像、および/またはコリメートされ、フォトダイオードを使用して検出される、最小限の数の構成要素を使用する光学設計を図示する。光に応答してフォトダイオードによって発生される電流は、電圧に変換され、例えば、8ビットまたは16ビットコンバータを使用してデジタル化され、デジタル出力信号を提供する。図11Bは、光に応答してフォトダイオードによって発生される電流が、電圧に変換され、アナログモードで読み取られる、アナログ光学設計を図示する。そのような設計は、可搬性、携行式、かつ装着式(潜在的に使い捨て)LSPRセンサデバイスのために好適であり得る。図11Cは、より高度な検出器、例えば、CCDカメラ、CMOSセンサもしくはカメラ、フォトダイオード、またはフォトダイオードアレイが、LSPRセンサ表面から反射された光を検出し、デジタル的に読み取るために使用される、光学設計を図示する。そのような設計は、LSPRセンサチップおよびデバイスとインターフェースをとる、可搬性、携行式、もしくはベンチトップ器具またはリーダにおいて使用するために好適であり得る。
センサチップ、デバイス、およびリーダ概念:図12A−Cは、LSPRセンサチップが、ウエハ形式(図12A)で製造され、個々のセンサチップにダイシングされ、光学リーダ(図12C)とインターフェースをとる、試験カートリッジ(図12B)内にパッケージ化される、システム概念を図示する。図12Aは、複数のLSPRセンサチップを備えるウエハを示し、各LSPRセンサチップは、5つの個々のセンサ表面を備え、それによって、多重化試験を可能にする。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップ上の個々のセンサ表面のうちのいくつかは、基準センサとして、またはアッセイ対照試験を行うために使用されてもよい。多くの場合、LSPRセンサチップは、試験カートリッジ(図12B)内にパッケージ化され、試験カートリッジは、LSPRセンサ表面へのサンプルまたはアッセイ試薬の送達のための流体チャネルおよび他の流体構成要素と、事前パッケージ化されたアッセイ試薬を含有するアッセイ試薬リザーバとを備えてもよい。事前パッケージ化されたアッセイ試薬は、限定ではないが、溶液相、凍結乾燥(フリーズドライ)、または安定化製剤を含む、種々の形式のいずれかで試験カートリッジ内に貯蔵され、貯蔵寿命を保存してもよい。アッセイ試験カートリッジは、サンプルおよび/もしくはアッセイ試薬が毛細管作用を用いて試験カートリッジ内の流体チャネルを通して吸い上げられる、受動的デバイスであってもよい、または流体作動および混合ステップが、試験カートリッジの中に組み込まれるポンプ、弁、および他の能動的構成要素によって行われる、もしくはリーダ器具とのインターフェースを通して制御される、能動的デバイスであってもよい。試験カートリッジのサンプルウェルへのサンプルの添加に続いて、試験カートリッジは、光学リーダ(図12C)の中に挿入され、アッセイ反応が、センサ表面上で進められることを可能にされ、結果が、光学的に読み取られる。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップまたはアッセイ試験カートリッジは、試験されるべきサンプルを採取するために、サンプル収集デバイス、例えば、毛細管またはマイクロもしくはナノスケールのニードルを備えてもよい。いくつかの実施形態では、アッセイ反応は、光学リーダの中への試験カートリッジの挿入に先立って、試験カートリッジ内で行われる。いくつかの実施形態では、アッセイ反応は、光学リーダの中への試験カートリッジの挿入後に行われる。いくつかの実施形態では、複数のデータ点が、光学リーダによって測定され、アッセイ反応の進行を経時的に追跡する、動態データを提供する。
センサカード、光学デバイス、および携帯電話システム概念:図13および14は、携行式のLSPRベースの診療現場診断試験システム概念を図示し、LSPRセンサチップは、単純な1ステップアッセイにおいて使用するために、クレジットカード状形式の中に統合され、センサカードは、カメラを備える、携帯電話または他のスマートデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、または任意の他のスマートデバイス)とインターフェースをとる、単純光学アタッチメントを使用して読み取られる(図13)。光学アタッチメントは、コンパクト光源、撮像光学、随意の帯域通過フィルタ、および、例えば、CMOS画像センサを含むであろう。いくつかの実施形態では、携帯電話の内蔵カメラは、検出器としての役割を果たしてもよい。本概念では、携帯電話またはスマートデバイスはまた、プロセッサとして作用してもよく、具体的診断試験、例えば、コルチゾール試験(図14A−B)を行うように設計されたLSPRセンサチップからのデータを取得および処理し、試験結果(図14C)を表示する。いくつかの実施形態では、携帯電話用途はさらに、試験結果をインターネットクラウドベースのデータベースにアップロードする、および/またはメッセージを指定される家族の一員もしくは医療提供者に送信するように構成される。いくつかの実施形態では、携帯電話は、試験結果をインターネットクラウドベースの医療ソフトウェアアプリケーションにアップロードするように構成される。そのような試験システムの潜在的利点は、必要に応じてより頻繁な試験、より高速の結果が出るまでの時間、試験および治療ルーチンとの改良された患者コンプライアンス、ならびに改良された治療転帰を含む。LSPRセンサおよび携帯電話ベースのシステムを使用して実装され得る、高速アッセイの一非限定的実施例は、コルチゾールアッセイである。LSPRセンサは、クレジットカードサイズの「センサカード」内のマイクロ流体形式の中に組み込まれるであろう。使い捨てカード上のサンプルウェルへの血液の液滴の適用は、アッセイを開始し、例えば、毛細管作用が、フィルタ膜を通して流体流動を駆動させ、それによって、血液細胞を血漿から分離し、これは、続いて、デバイス内に貯蔵される検出試薬との拡散混合を受け、LSPRセンサ表面に送達されるであろう。いくつかの実施形態では、使い捨てセンサカードは、試験されるべきサンプルをデバイスの中に採取するためのサンプル収集デバイス、例えば、小型の毛細管を備えてもよい。いくつかの実施形態では、使い捨てセンサカードはさらに、皮膚を穿刺するためのランセットを備えてもよい。サンプル中の検体の存在から生じるセンサ表面の反射特性の変化は、前述のように、携帯電話またはスマートデバイスとインターフェースをとる、光学アタッチメントによって読み取られるであろう。競合免疫アッセイ形式を使用するコルチゾールアッセイに関するデータおよび検出のためのLSPRセンサの実施例が、以下に提示される。
装着式LSPRセンサデバイス概念:図15−19は、LSPRセンサを使用して、周期的または連続試験モードで診療現場試験を行うための装着式デバイス概念の一非限定的実施例を図示する。図17は、手首用デバイスとして構成される、LSPRセンサデバイスの一実施形態を図示する。手首用デバイスは、リストバンドに取り付けられ、装着式手首用デバイスを生成してもよい。LSPRセンサチップおよび手首用デバイスは、LSPRセンサチップを受容するように適合された手首用デバイス内のスロットを通して、相互にインターフェースをとってもよい。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、1回限りの使用のために意図される使い捨て構成要素である一方、手首用デバイスは、反復使用のために好適であってもよい。図17に図示される実施例では、LSPRセンサチップは、長方形形状であって、ユーザがLSPRセンサチップを快適に取り扱え得るように定寸されてもよい。センサチップは、1つまたはそれを上回るサンプルおよび試薬ウェル、試薬リザーバ(図17には図示せず)、流体導管(図17には図示せず)、およびLSPRセンサを組み込む1つまたはそれを上回る反応チャンバ、ならびにマイクロニードル、グリップ、およびセンサデバイスと手首用デバイスとの間の電気接触をもたらすための銅導線を備えてもよい。LSPRセンサチップはさらに、LSPRセンサデバイスを手首用デバイス内に精密に整合および固着させるための整合特徴を含んでもよい。整合特徴は、中心がずれた円形くぼみまたは隆起特徴であってもよい。図15および16は、プロトタイプLSPRセンサデバイス(ウエハ形式であって、それぞれ、個々のセンサデバイスにダイシングされる)の写真を示し、センサデバイスは、複数の流体チャネルおよび反応チャンバを備え、それぞれ、LSPRセンサならびにサンプルおよび試薬リザーバを備える。図18AおよびBは、装着式手首用デバイス(バンドは図示せず)の付加的図を提供する。複数の反応チャンバを備え、それぞれ、1つまたはそれを上回るLSPRセンサを含有する、LSPRセンサチップは、装着式筐体の中に摺動し、小型光学および電子構成要素とインターフェースをとる。手首用デバイスの上部の押下は、1つまたはそれを上回るマイクロまたはナノスケールのニードルをアクティブ化し、ユーザの皮膚を穿通し、血液または間質流体のナノリットル〜マイクロリットルスケールのサンプルを採取する。マイクロまたはナノニードルを通して採取される血液もしくは間質流体は、随意に、濾過され、血液細胞または他の微粒子を除去し(例えば、マイクロ製作濾過特徴を使用して)、随意に、アッセイ緩衝剤または検出試薬と混合され(例えば、ユーザによって手動で添加される、またはデバイス内に事前装填された試薬を使用して)、1つまたはそれを上回るLSPRセンサ表面に送達される。手首用デバイスの中に組み込まれ、マイクロ製作光学構成要素、例えば、発光ダイオード(LED)およびフォトダイオードは、光源と、LSPRセンサ表面に照会するための検出器とを提供する一方、手首用デバイス内に組み込まれるマイクロプロセッサは、アッセイデータを取得および処理し、試験結果を表示し、随意に、試験結果を外部コンピュータまたはインターネットベースのデータベースに伝送する。図19はさらに、装着式手首用デバイス概念を図示する。
図17に戻って参照すると、アッセイされるべきサンプルは、マイクロニードルの使用を通してLSPRセンサチップに導入されてもよい。例えば、LSPRセンサチップが、装着式手首用デバイスとインターフェースがとられ、ユーザによって装着されると、LSPRセンサチップは、マイクロニードルがユーザの皮膚に接触するように、装着式手首用デバイスの底部と同一平面になってもよい。マイクロニードルをアクティブ化するために、ユーザは、押下が偶発的ではないことを確実にする時間周期の間、装着式手首用デバイス上のボタンを押下してもよい。例えば、ユーザは、マイクロニードルをアクティブ化するために、5秒、10秒、15秒、またはそれを上回る周期の間、ボタンを押下するように要求されてもよい。マイクロニードルは、ユーザの皮膚を刺し、血液を採取してもよい。血液は、次いで、アッセイが生じる、反応ウェルに移送されてもよい。
いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップおよび筐体デバイスは、実質的リアルタイム監視のために設定されてもよい。したがって、マイクロニードルは、ユーザの皮膚を刺し、1分毎、10分毎、30分毎、1時間毎、2時間毎、または任意の他の適用可能である頻度で血液を採取してもよい。血液が採取される度に、血液サンプルは、1つのLSPRセンサチップがアッセイが生じる複数の反応ウェルまたはチャンバを含有し得るため、同一LSPRセンサチップに導入されてもよい。
他の実施形態では、サンプルは、外部サンプル収集機構を通して反応ウェルに導入されてもよい。例えば、ユーザは、外部デバイスを利用し、体液を収集し、1滴またはそれ未満の体液をLSPRセンサチップ上に堆積させてもよい。サンプルは、血液、汗、涙、尿、および唾液、または他の流体(例えば、汚染水)等の任意の体液であってもよい。
いくつかの実施形態では、センサチップ設計は、固有の層内に編成された1つまたはそれを上回る反応ウェルおよびリザーバを含んでもよい。最初に、1つまたはそれを上回る反応ウェルが、アッセイを実行するために使用されてもよく、第2のセットの反応ウェルが、偽陽性および偽陰性に対して確実にするための確認のために使用されてもよい。第2のセットの反応ウェル内でアッセイされるサンプルは、第1のセット内でアッセイされるサンプルと異なってもよい。第2のセットの1つまたはそれを上回る反応ウェル内でアッセイされるサンプルは、確認目的のためだけにアッセイされてもよい。
いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、単一試験を実行する。他の実施形態では、LSPRセンサチップは、異なるタイプのアッセイが各反応ウェル内で実行され得るように、多パネル化または多重化される。したがって、異なる反応ウェルは、反応ウェル内に固定化される、異なる抗体、DNAアッセイを実行するためのDNA、RNA、細菌、ウイルス、細胞、リガンド、タンパク質、オリゴおよびアプタマー、有機物質の断片等を含有してもよい。そのような多パネル化反応アッセイは、いくつかの疾患の診断が1つを上回るバイオマーカの検出を要求し得るため、有用であり得る。したがって、少なくとも2つのバイオマーカが、疾患を識別するために必要であってもよい。多パネル化LSPRセンサチップは、複数のバイオマーカに関するアッセイが同一チップ上で実行されることを可能にする。別の実施例として、多パネル化反応アッセイは、ユーザがかかっているインフルエンザのタイプを判定するために有用であり得る。ユーザは、インフルエンザ様症状を経験し、自身がかかっているインフルエンザのタイプを見出すことを所望し得る。それを行うために、ユーザは、複数のタイプのインフルエンザをアッセイし得る、多パネル化LSPRセンサチップ上にサンプルを堆積させてもよい。したがって、ユーザは、1つのみのLSPRセンサチップを使用して、自身がかかっているインフルエンザのタイプを見出すことが可能となり得る。別の実施例として、1つのLSPRセンサチップは、多パネル化され、複数の乱用薬物に関してアッセイしてもよい。
いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、事前装填された試薬、希釈剤、共役されない二次抗体、酵素で共役された二次抗体、質量増強ビーズで共役された二次抗体、プラズモン部分で共役された二次抗体、および同等物を含有し得る、1つまたはそれを上回るリザーバを備えてもよい。いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップは、サンプルおよび/またはアッセイ緩衝剤がデバイスに添加されると試薬が溶解されるように、凍結乾燥されたアッセイ試薬を含有する、流体チャネルを備えてもよい。多くの場合、LSPRセンサチップは、アッセイの実行から生じる廃棄物生成物を貯蔵するための1つまたはそれを上回る廃棄物リザーバを備えてもよい。
いくつかの実施形態では、反応ウェルの上部に設置されるフィルタとしての役割を果たす、膜が存在する。いくつかの実施形態では、アッセイされるべきサンプルは、サンプルを直接フィルタの上部に反応ウェルにわたって堆積させることによって、LSPRセンサチップ上に堆積されてもよい。濾過膜は、サイズに従って、望ましくない粒子を濾過して除去するように設計されてもよい。例えば、濾過膜は、より小さいサイズの粒子のみが反応ウェルを通して濾過されることを可能にする、適切に定寸された孔を含有してもよい。望ましくない粒子は、アッセイに緩衝する、または流体導管を塞ぎ得る、細胞、塩結晶、不溶性沈殿物、または他の微粒子を含んでもよい。サンプルは、膜によって分離され得る、1つまたはそれを上回る着目分子を含有してもよい。したがって、異なるタイプの分子が、異なる反応ウェルを通して濾過されてもよく、異なる多孔率の膜は、サンプル中の1つを上回る検体の同時分析を可能にしてもよい。
いくつかの実施形態では、アッセイされるべきサンプルが血液であるとき、血漿のみが濾過され、通過されるように、赤血球および白血球が、濾過され、除去されてもよい。血液細胞は、導管を塞ぐ、または別様に、アッセイに緩衝し得るため、望ましくない場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、例えば、希釈剤および/または抗凝固剤が血液に添加される場合、濾過が、必要ない場合があり、血液細胞は、依然として、システムの中に導入されてもよい。したがって、いくつかの実施形態は、反応ウェルの上部にフィルタを含まない。
いくつかの実施形態では、サンプルは、反応ウェルの代わりに、またはそれに加え、リザーバにわたってそれを堆積させることによって導入される。LSPRセンサチップは、サンプルを受容するように特に適合された1つまたはそれを上回るリザーバを含有してもよい。サンプルリザーバは、濾過が所望されるかどうかに応じて、リザーバの上部に設置される膜を含んでもよい、または含まなくてもよい。
サンプルはまた、希釈剤を含有するリザーバにそれを堆積させることによって、LSPRセンサチップに導入されてもよい。希釈剤リザーバは、濾過が所望されるかどうかに応じて、膜を含有してもよい、または含有しなくてもよい。サンプルは、リザーバ内の希釈剤と混合されてもよく、次いで、希釈されたサンプルは、反応ウェルの中に導入されてもよい。サンプルはまた、希釈剤および二次抗体(共役されない、酵素で共役される、質量増強ビーズで共役される、またはプラズモン部分で共役され得る)の両方を含有するリザーバに堆積されてもよい。サンプルは、希釈剤ならびに二次抗体と混合されてもよく、次いで、混合されたサンプルは、反応ウェルの中に導入されてもよい。
濾過は、例えば、ピストンを用いて、サンプルを機械的に押圧することによって達成されてもよい。ピストンが圧力をサンプル上に付与すると、より小さい粒子は、濾過膜を通して押進されてもよい一方、より大きい粒子は、濾過膜を通して通過しない。濾過はまた、サンプルを機械的に押圧せずに達成されてもよい。例えば、濾過は、重力によって、またはサンプルがある場所と反対の濾過膜の側から印加される負圧を通して、達成されてもよい。
いくつかの実施形態では、サンプルリザーバは、シールされる。例えば、自己シール式隔壁でシールされてもよい。本実施形態では、サンプルは、自己シール式隔壁をニードルで貫通し、サンプルをサンプルリザーバの中に注入することによって、リザーバの中に導入されてもよい。他の実施形態では、サンプルリザーバは、膜、キャップ、蓋、または同等物でシールされてもよい。サンプルをリザーバの中に導入するために、キャップまたは蓋は、除去されることができる。
図10を参照すると、リザーバがサンプル(希釈および/または濾過され、および/または二次抗体と混合され得る)を受容した後、サンプルは、筐体デバイス内に含有されるピストンをアクティブ化することによって、反応ウェルに移送されてもよい。ピストン機構は、リザーバに結合され、1つまたはそれを上回る流体導管を通してサンプルの流動を作動させてもよい。ピストンは、リザーバ内の流体サンプルを機械的に押圧し、サンプル底部から導管を通して押し出してもよい。図10を参照すると、流体サンプルは、次いで、毛細管作用を通して導管から反応ウェルの中に吸い上げられてもよい。いくつかの実施形態では、導管は、図10に図示されるように、リザーバの基部に対して約10度に上向きに角度付けられる。
流体サンプルは毛細管作用を利用するもの以外の他の手段も同様に通して、導管を通して反応ウェルの中に通して移送されてもよい。例えば、ポンプおよび弁が、リザーバから反応ウェルへの流体の一方向流動を確実にするために利用されてもよい。図10を参照すると、弁は、流体導管とリザーバが衝合する合流点に含まれてもよい。弁は、リザーバ内に流体を含有し、リザーバ内の流体が所望の時間まで反応ウェルの中に流動しないように防止する、膜であってもよい。所望の時間において、膜弁は、それに圧力を印加することによって(例えば、リザーバの中に押圧し、流体の圧力を増加させ、ひいては、圧力を膜弁上に付与する、ピストンを利用することによって)破裂されてもよい。したがって、膜弁が破裂されると、流体は、リザーバから流体導管を通して反応ウェルの中に流動してもよい。使用され得る別のタイプの弁は、シリコン膜弁である。シリコン膜弁は、他側からではなく、片側から圧力がその上に付与されると開放する、一方向弁であってもよい。例えば、シリコン膜弁は、リザーバに面する弁の側に圧力が付与されると開放してもよいが、シリコン膜は、導管に面する弁の側に圧力が付与されると開放しなくてもよい。圧力が正常に戻されると、シリコン膜弁は、その閉鎖状態に戻ってもよい。いくつかの実施形態では、センサチップの中に組み込まれる2つまたはそれを上回るシリコン膜弁は、要求される開放力の量に関して異なる要件を有してもよく、したがって、ピストンによる増加力の印加は、事前定義された逐次順序で2つまたはそれを上回る弁を開放してもよい。利用され得る弁の他の実施例は、ソレノイド弁、ピンチ弁、および空気圧弁を含む。
サンプルは、チャネルの長さ、疎水性、および/または毛細管特性を制御することによって、異なる時間に異なる反応ウェルまたはチャンバの中に導入されてもよい。
導管のサイズおよび形状ならびにピストンが流体サンプルを押圧する速度および圧力は、反応ウェルの中への流動が層流であるように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、導管の長さは、約5mmであってもよく、導管の直径は、約0.5mmであってもよい。反応ウェルに送達されるサンプルの量は、ピストンがリザーバの中に押下される深さを制御することによって制御されてもよい。このように、サンプルは、反応ウェルの中に導入されてもよい。
前述のように、LSPRセンサチップはまた、アッセイを行う際に使用する他の流体または試薬を貯蔵するためのリザーバを含有してもよい。異なるリザーバ内の異なる流体は、実行されるべきアッセイのタイプに従って、反応ウェルの中に導入されてもよい。例えば、ELISAアッセイ形式を利用するアッセイに関して、サンプルが反応ウェルの中に導入された後、希釈剤リザーバからの希釈剤が、反応ウェルを洗浄するために導入されてもよい。その後、酵素で共役された二次抗体が、酵素で共役された二次抗体リザーバから反応ウェルの中に導入されることができる。次に、希釈剤が、再び、反応ウェルを洗浄するために導入されることができる。次に、不溶性沈殿物に酵素変換され得る基質等の試薬が、試薬リザーバから反応ウェルの中に導入されることができる。したがって、ELISAアッセイ形式を利用するLSPRセンサチップは、サンプルリザーバ(またはサンプルは、サンプルリザーバを伴わずに、直接反応ウェル内に堆積されてもよく、加えて、サンプルリザーバは、サンプルと混合されるべき希釈剤を含んでもよい)、希釈剤リザーバ、酵素で共役された二次抗体のためのリザーバ、試薬リザーバ、および廃棄物リザーバを含有してもよい。いくつかの実施形態では、洗浄ステップは、十分に希釈される血液サンプルまたは他のサンプルのために必要ではなくてもよい。したがって、いくつかのLSPRセンサチップは、血液サンプルまたは他のサンプルがLSPRセンサチップ上に導入される前に十分に希釈される場合、希釈剤リザーバを省略してもよい。
別の実施形態では、異なる流体を反応ウェルの中に連続して導入する代わりに、異なる成分流体は、1ステップで、事前混合され、反応ウェルの中に導入されてもよい。例えば、サンプル、希釈剤、および二次抗体(共役されない、酵素で共役される、質量増強粒子で共役される、またはプラズモン部分で共役され得る)は、リザーバ内で事前混合されてもよい。次に、希釈されたサンプルおよび二次抗体を含有する事前混合された流体は、反応ウェルの中に導入されてもよい。これらの実施形態では、LSPRセンサチップは、サンプルがそのリザーバの中に導入されるとサンプルと混合され得る、希釈剤および二次抗体を含有するリザーバを含有してもよい。さらに、LSPRセンサチップはまた、濯ぎのための付加的希釈剤リザーバならびに廃棄物リザーバを含有してもよい。
プラズモン−プラズモン結合サンドイッチ免疫アッセイ形式を利用するアッセイに関して、濯ぎステップは、必要ではなくてもよい。したがって、サンプルが反応ウェルの中に導入された後、プラズモン部分で共役された二次抗体は、ビーズで共役された二次抗体を保持するリザーバから反応ウェルの中に導入されてもよい。別の実施形態では、サンプルは、プラズモン部分で共役された二次抗体を含有する反応ウェルの中に堆積されてもよく、次いで、サンプルは、それらの二次抗体と混合されてもよい。混合された流体は、次いで、反応ウェルの中に導入されてもよい。したがって、プラズモン−プラズモン結合サンドイッチ免疫アッセイ形式を利用するLSPRセンサチップは、ワンポットアッセイを構成し得る。これらのセンサチップは、廃棄物リザーバおよびプラズモン部分で共役された二次抗体を貯蔵するためのリザーバを含有してもよく、その同一リザーバはまた、サンプルを含有するように構成されてもよい(またはサンプルは、直接反応ウェルの中に堆積されてもよい)。
新しい流体が反応ウェルの中に導入されるにつれて、既存の流体は、廃棄物導管を通して廃棄物リザーバの中に押し出されてもよい。廃棄物リザーバからの逆流を防止するために、弁が、廃棄物リザーバおよび反応ウェルを接続する導管の中に組み込まれてもよい。随意に、毛細管流動が、廃棄物リザーバからの逆流を防止するように設計されてもよい。
いくつかの実施形態では、リザーバは、チャンバにパーティション化されてもよく、各チャンバは、1枚のパイの形状に類似する。各チャンバは、単一リザーバにつながる単一導管に接続されてもよい。各チャンバは、異なるタイプの流体を含有してもよい。ピストンがリザーバの中に押下すると、各チャンバ内の流体は、その個別の反応ウェルに分散されてもよい。
いくつかの実施形態では、導管は、凍結乾燥された二次抗体共役体(または他のアッセイ試薬)で覆われてもよく、これは、サンプルが導管を通して反応ウェルの中に押動されると、サンプルによって取り上げられる。したがって、サンプルが導管を通して反応ウェルの中に押動されると、サンプルは、凍結乾燥された二次抗体を取り上げてもよく、二次抗体は、サンプルとともに、反応ウェルの中に導入されてもよい。このように、サンプルおよび二次抗体共役体は、効率的様式で反応ウェルの中に導入され得る。
異なる時間における異なる反応ウェルの中への異なる流体の流動を制御するために、マイクロ流体開放/閉鎖弁またはゲートが、使用されてもよい。
手首用デバイスに加え、LSPRセンサチップは、種々の異なるタイプの筐体デバイスとインターフェースをとってもよい。可搬性装着式デバイスの他の実施例は、ネックレス、ベルト、パッチ、またはレッグストラップを含む。装着式デバイスは、ヒトまたは動物に取り付けられ得る、任意のデバイスを含んでもよい。他の実施形態では、筐体デバイスは、装着式であるように具体的に適合されなくてもよいが、筐体デバイスがユーザによって便宜的に携行され得るように、可搬性、携行式、および/または可動性であってもよい。他の実施形態では、筐体デバイスは、医師のオフィスまたは他の臨床場所内に設置するために好適であり得る、ベンチトップデバイスであってもよい。
いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップおよび/または筐体デバイスは、種々の他の機能を含有する、消費者デバイスの中に統合されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、LSPRセンサチップおよび/または筐体デバイスは、携帯電話、タブレット、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、イヤホン、または運動機器に取り付けられる、もしくはその中に統合されることができる。LSPRセンサチップおよびセンサデバイスを組み込み得る、システムの付加的実施例は、自動車、トラック、または他のタイプの輸送用車両およびシステム、ならびにロボット、ドローン、および同等物を含む。これらのデバイスのいずれかおよび全ては、LSPRセンサチップとインターフェースをとるように特別に適合されたスロットを含むことができる。いくつかの実施形態では、センサ筐体デバイスは、消費者デバイスと無線で通信する。センサ筐体デバイスはまた、USBケーブル等の外部ワイヤ/ケーブルを通して消費者デバイスに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、センサ筐体デバイスは、消費者デバイスの一体部分である。
筐体デバイスは、通常電子構成要素を有していないものを含む、任意の消費者製品と統合されてもよい。例えば、筐体デバイスは、ヘルメット、一式の家具、または防弾チョッキの中に統合されてもよい。
いくつかの実施形態では、筐体デバイスは、車のハンドルの中に統合されることができる。例えば、LSPRセンサチップは、ハンドル上に据え付けられた筐体デバイスとインターフェースがとられてもよい。ユーザがその手をハンドル上に置くと、汗等の体液(例えば、指先からの発汗)が、ユーザから収集され、LSPRセンサチップ上に堆積されてもよい。筐体デバイスおよびLSPRセンサチップは、次いで、アッセイを実行してもよく、アッセイの結果は、車のダッシュボード上に表示されてもよい。本用途は、血液アルコールレベル、血糖値レベル、および乱用薬物を検出するために有用であり得る。
いくつかの実施形態では、筐体デバイスは、アッセイを実行および処理するために他のデバイスからの構成要素を要求しない(LSPRセンサチップ以外)、独立型筐体デバイスである。他の実施形態では、筐体デバイスが消費者デバイスの中に統合されると、消費者デバイスの構成要素は、アッセイを実行および処理するために利用されてもよい。例えば、筐体デバイスが、モバイルデバイスと統合されると、モバイルデバイスのマイクロプロセッサ、電源、ディスプレイ、および/または無線通信機構(例えば、Bluetooth(登録商標)、WiFi)は、アッセイ結果を処理および表示するために利用されてもよい。
筐体デバイスの構成要素は、1つまたはそれを上回る白色光源(例えば、LED白色光源)、1つまたはそれを上回る帯域通過フィルタまたはモノクロメータ、1つまたはそれを上回る検出器、マイクロプロセッサ、電源、ディスプレイ、オン−オフスイッチ、およびBluetooth(登録商標)またはWiFi等の無線通信機構を含んでもよい。例示的検出器は、小型分光計、フォトダイオード、ピンダイオード、アバランシェダイオード、CCDセンサ、CMOSセンサ、または任意の他の光学検出器を含む。これらの構成要素は、器具の単純性を可能にする。
いくつかの実施形態では、検出方法は、アッセイ感度を改良するために、セクション「デジタル撮像と結合されるELISAベースのLSPRセンサ」に前述のように、カメラおよび高分解能デジタル撮像を利用してもよい。いくつかの実施形態では、カメラは、携帯電話カメラであってもよい。カメラのレンズは、直径わずか1mmであってもよい。
白色光源のビームスポットサイズは、光をセンサ表面に送達するために使用される光学アセンブリの開口数を変化させることによって制御されてもよい。いくつかの実施形態は、反応ウェル毎に別個の白色光源を含んでもよい。各白色光源のビームスポットサイズは、依然として、着目面積を網羅しながら、反応ウェルのサイズに合致するように合わせられ、無駄な光を回避し、強度を最大限にしてもよい。
いくつかの実施形態では、白色光は、光スペクトルのより小さい部分のみが検出器に到達するように、帯域通過フィルタを通して通過してもよい。これらの実施形態では、ピンダイオードが、光強度の変化を監視するための検出器として使用されてもよい。帯域通過フィルタを利用することによって、光学リーダ設計の単純性およびコスト削減が、達成されることができる。
いくつかの実施形態では、検出器は、2つまたはそれを上回る波長において反射または伝送される光を監視するために使用されてもよく、これは、白色光源を2つまたはそれを上回る帯域通過フィルタを通して通過させることによって遂行される。反射または伝送される光の検体誘発変化を監視するために使用される光の波長は、完全分光計を使用して実験室試験を実行し、プラズモン吸収ピーク波長を識別し、強度の最大変化(または強度の比率)を呈し、したがって、監視に最も重要である、波長を判定することによって判定されることができる。
いくつかの実施形態では、白色光源および/または検出器は、白色光源および/または検出器を種々の速度で反応ウェルを横断して移動させる、スキャナに結合されてもよい。スキャナを含むことによって、複数の光源を含む必要がなくてもよい。白色光源および/または検出器は、所与の時点における検体の量を判定するために、全反応ウェルを横断して、1回、2回、または任意の数の好適な回数だけ通過されてもよい。
LSPRセンサチップおよび筐体デバイスの動作:動作時、サンプルは、LSPRセンサチップ上に収集および堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、サンプルは、マイクロニードルを使用して収集される。他の実施形態では、サンプルは、外部デバイスを使用して収集されてもよい。次に、サンプルは、サンプルを直接反応ウェルの中に堆積させることによって、またはサンプルをリザーバの中に堆積させることによって、反応ウェルに導入されてもよい。反応ウェルおよび/またはリザーバは、血液サンプルから赤血球および白血球等のサンプルの望ましくない成分を濾過して、除去するように役割を果たす、リザーバの上部にわたって膜を含有してもよい。いくつかの実施形態では、血液は、血液が反応ウェルに進入する前に十分に希釈され得るため、および/または抗凝固剤が血液中に存在し得るため、濾過されない。サンプルがリザーバの中に堆積される場合、ピストンが、サンプルを底部から導管を通して反応ウェルの中に押動させるために、リザーバの中に押下してもよい。
いくつかの実施形態では、サンプルは、希釈剤および二次抗体(共役されない、酵素で共役される、質量増強ビーズで共役されるか、またはプラズモン部分で共役され得る)を含有するリザーバの中に堆積される。酵素アッセイ形式に関して、二次抗体は、酵素で共役されてもよい。プラズモン−プラズモン結合サンドイッチ免疫アッセイ形式に関して、二次抗体は、プラズモン部分で共役されてもよい。リザーバはまた、リザーバの上部に(すなわち、リザーバの入口に)濾過膜を有する、または別様に、リザーバ設計の中に組み込まれてもよい。したがって、サンプルは、濾過されてもよく、濾過されたサンプルは、次いで、希釈剤および二次抗体を含有するリザーバに進入してもよい。濾過されたサンプルは、次いで、希釈剤および二次抗体と混合してもよい。次に、ピストンは、リザーバの中に押下し、濾過され、希釈され、二次抗体と混合されたサンプルを底部から導管を通して反応ウェルの中に押し出してもよい。本プロセスの間、圧力が、リザーバおよび導管が衝合する合流点に位置する弁に付与され、したがって、弁を開放し、流体がそれを通して流動することを可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、センサチップの中に組み込まれる1つまたはそれを上回る弁は、要求される開放力の量に関して異なる要件を有してもよく、したがって、ピストンによる増加力の印加は、事前定義された逐次順序で1つまたはそれを上回る弁を開放してもよい。二次抗体は、次いで、ELISA反応またはプラズモン−プラズモン結合反応が生じることを可能にするために、ある時間の間、反応ウェル内でインキュベートさせられてもよい。いくつかの実施形態では、反応ウェルは、希釈剤リザーバからの希釈剤で濯がれてもよい。
白色光が、プラズモン−プラズモン結合またはELISA反応が生じる前、間、および後に、反応ウェルに指向されてもよい。検出器は、プラズモン−プラズモン結合またはELISA反応が生じる前、間、および後に、光学吸収ピークの偏移を検出してもよい。偏移は、サンプル中に存在する検体の量を判定するために使用されてもよい。結果は、次いで、筐体デバイス上のディスプレイを通して、または携帯電話等の筐体デバイスが統合もしくは取り付けられるデバイス上のディスプレイを通して、ユーザに出力されてもよい。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、サンプル中に存在する検体の量を示してもよい。例えば、ディスプレイは、ユーザの血糖値を示してもよい。他の実施形態では、ディスプレイは、検体が存在するかどうかを示してもよい。例えば、ディスプレイは、ユーザがインフルエンザにかかっているかどうかを示してもよい。いくつかの実施形態では、検体は、実質的にリアルタイムで測定されてもよい。したがって、ユーザは、出力情報として、時間の関数として検体の量を受信してもよい。いくつかの実施形態では、アッセイの結果は、医師、薬剤師、または他の医療従事者に無線で伝送される。医療従事者は、次いで、推奨される行動指針をユーザに処方してもよい。
競合アッセイおよびコルチゾール検出:競合アッセイは、特に、分子量<1000ダルトンを伴う小分子の検出に非常に好適であって、したがって、診断試験のための有用アッセイ技法である、周知の免疫アッセイ技法である。一実施形態では、標的抗原に特異的抗体が、サンプルの中に混入される。サンプル中で検出されるべきものに類似する抗原が、固定化された抗原およびサンプル中の標的抗原が抗体結合を競合するように、バイオセンサ上に固定化される。サンプル中に存在する抗原が溶液中の抗体に結合する場合、抗体がセンサ表面上に固定化された抗原に結合しないように防止し、それによって、バイオセンサ信号を低減させる。競合アッセイは、したがって、競合アッセイが低抗原濃度で大信号および高抗原濃度で小信号を呈するため、従来の免疫アッセイに対する逆アッセイである。
本明細書に開示されるLSPRバイオセンサは、競合アッセイを行うために非常に好適であって、種々の可搬性ベンチトップ、携行式、携帯電話ベース、または装着式診断試験システムの中に組み込まれ得る。本実施例は、唾液または血清中のコルチゾールの検出のための非常に敏感かつ高速の競合アッセイを説明する。
コルチゾールは、視床下部−下垂体−副腎系の最終生成物である、ストレス関連バイオマーカである。コルチゾールレベルは、個人毎に変動し、また、夜は、低レベル(約100pg/mL)であって、朝は、より高いレベル(約5ng/mL)である、自然な24時間周期に従うため、時間依存性である。自然サイクルに加え、コルチゾール濃度は、ストレス誘発刺激の発症から約15分後、その典型的値より高いレベルでピークを迎える。
種々の競合アッセイプラットフォームが、個人の1日にわたってコルチゾール進展を測定するために開発されている。大部分の敏感試験(LOD約37pg/mL)は、ELISAアッセイ形式に基づくが、完了までに2時間超を要求し、したがって、中央実験室内で行われる。一方、高速アッセイは、ラテラルフローアッセイ形式および信号発生器として発色団粒子(例えば、燐光マイクロ粒子またはコロイド状金)を使用して、約20〜25分後に定量的結果を提供するように利用可能である。しかしながら、利用可能な高速試験は、競合ELISAアッセイの感度を欠いており、LODは、約1ng/mL範囲内である。
現在、約100pg/mLを上回る検体濃度範囲に及ぶ、検出限界およびダイナミックレンジを伴って、20分またはそれ未満のうちにコルチゾールの検出を可能にする技術の満たされていない必要性がある。本開示のLSPRセンサ技術は、本必要性を充足可能である。
図20は、10〜3,000pg/mLの定量的範囲を有するコルチゾールに関する、20分競合免疫アッセイの用量応答曲線を示す。本アッセイに関して、LSPRバイオセンサ表面は、BSA−コルチゾールで官能化された。コルチゾール較正曲線は、アッセイ緩衝剤中における10ug/mLコルチゾールの原溶液の連続希釈を使用して判定された。コルチゾールの最終標準濃度は、1pg/mL〜100ng/mLの範囲に及んだ。
1:1の体積比のサンプル(すなわち、較正曲線のための標準的コルチゾールおよび分析されるべき実際のサンプルのための唾液または血清/血漿)およびコロイド状金(OD=2)を含有する溶液が、事前インキュベーションを伴わずに、LSPRバイオセンサ表面に添加された。コロイド状金は、抗コルチゾール抗体および酵素アルカリホスファターゼ(AP)の両方でコーティングされた。短いインキュベーション後、サンプルは、アッセイ緩衝剤で濯ぎ落とされた。
アルカリホスファターゼのための基質である、BCIP/NBTが、次いで、添加された。バイオセンサの表面におけるAP酵素の存在は、可溶性BCIP/NBTを感知表面上に堆積する不溶性ホルマザン化合物に変換する、化学反応を誘起する。これは、表面の色変化を発生させる。アッセイ結果は、本開示で前述されたもの等のプロトタイプのコンパクトで可搬性の光学リーダを使用して定量化された。図20は、2つの異なるセンサ(それぞれ、灰色正方形および黒色正方形によって示される)を使用して行われたコルチゾール競合免疫アッセイに関するデータの実施例を示す。アッセイは、実施に20分を要求し、約10〜約1000pg/mLに及ぶ線形コルチゾール定量化範囲を呈した。
本発明の好ましい実施形態が本明細書に図示および説明されたが、そのような実施形態が一例のみとして提供されることは、当業者に明白となるであろう。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される本発明の実施形態の種々の代替が、本発明を実践する際に採用されてもよいことを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびその均等物の範囲内の方法および構造は、それによって網羅されることが意図される。