以下、本開示の解説的実施態様を、添付図面を参照して説明する。これらの図面は、以下の詳細な説明を参照することにより一層良く理解されるであろう。
本開示の原理の理解を高める目的で、図面に示された実施態様を参照すると共に、同実施態様を説明するために固有の文言が使用される。それにも拘わらず、本開示の範囲に対する限定が意図されるものではないと理解されるものである。記載された装置、システム及び方法に対する如何なる変更及び更なる修正、並びに本開示の原理の如何なる他の適用も、当該開示が関係する当業者にとり普通に思い付くように、完全に想定されるものであり、且つ、本開示内に含まれるものである。特に、或る実施態様に関して説明されたフィーチャ、構成要素及び/又はステップを、本開示の他の実施態様に関して説明されるフィーチャ、構成要素及び/又はステップと組み合わせることができることは、十分に想定されるものである。しかしながら、簡略化のために、これらの組み合わせの多くの繰り返しを別途説明するものではない。
生理学的測定データ及び冠状動脈血管造影図は、別の情報源であるが、典型的に相補的なものとして振る舞う。冠状動脈血管造影図は、治療判断を行うために使用されている。もっと最近では、生理学的データ(限定されるものではないが、充血時及び安静時の両方における圧力及び/又はフロー測定値を含む)は、一層良好な判断を、目標動脈の始点から終点までの内在する生理学的条件の変化を測定することにより閉塞の深刻度に基づいて行うことができることを示している。患者を斯かる変化又は差分(デルタ)の深刻度に基づいて治療することは、結果を改善すると共に不必要な手順を減少させることを示している。本開示の1以上の態様において、上記生理学的データ(リアルタイムに収集される)は冠状動脈の図又は血管造影図にリンク又は位置合わせされる。この時点で、冠状動脈血管を識別及びマッピングするために当該データに対してコンピュータ支援検出アルゴリズムを適用することができる。次いで、当該血管内から取得された生理学的測定値は、病変位置を識別するために当該マップと比較することができる。更に、該生理学的測定値は長さを決定し、及び/又は識別された病変を分類するために使用することができる。分類を行う際に、当該病変部位を表すデータを、医師が当該病変の深刻度及び/又は境界を評価し及びこれらと対話することを可能にするように、視覚的に描画することができる。更に、当該血管系における病変の識別及び分類を医師に対しユーザインターフェース上で表示することができる。他の利点のなかでも、病変の識別及び分類は、医師が患者の固有の病変特徴に適合された経皮的冠状動脈介入治療を計画することを可能にする。
図1及び図2を参照すると、本開示の一実施態様による狭窄を有する導管100が図示されている。この点に関し、図1は導管100の概略斜視図である一方、図2は導管100の一部の図1の2−2線に沿う部分断面斜視図である。図1を詳細に参照すると、導管100は近端部102及び遠端部104を含んでいる。管腔106が、導管100の長さに沿って近端部102と遠端部104との間に延びている。この点に関し、管腔106は当該導管を経て流体の流れを可能にするようになっている。幾つかの事例において、導管100は血管である。幾つかの特定の事例において、血管100は環状動脈である。このような事例において、管腔106は血管100を介しての血液の流れを容易にするようになっている。
図示されたように、血管100は近端部102と遠端部104との間に狭窄108を含んでいる。狭窄108は、一般的に、血管100の管腔106を介しての流体の流れの制限を生じる何らかの閉塞又は他の構造的状態を表す。本開示の実施態様は、限定するものではないが環状動脈、末梢血管(限定するものではないが、下肢、頸動脈及び神経血管を含む)、腎臓及び/又は静脈を含む広範囲の血管応用分野における使用に適している。導管100が血管である場合、狭窄108は、限定されるものではないが、繊維質、繊維状脂質(繊維状脂肪)、壊死性コア、石灰化(濃密カルシウム)、血液、新鮮血栓及び成熟血栓等のプラーク成分を含むプラーク蓄積の結果であり得る。一般的に、狭窄の組成は評価されている血管のタイプに依存する。この点に関して、本開示の思想は、流体の流れの減少を生じる導管の実質的に如何なるタイプの閉塞又は狭窄にも適用可能であると理解される。
図2を更に詳細に参照すると、血管100の管腔106は狭窄108の近端側で直径110を、該狭窄の遠端側で直径112を有している。幾つかの事例において、直径110及び112は実質的に互いに等しい。この点に関し、直径110及び112は狭窄108と比較して当該管腔106の健康な部分又は少なくとも一層健康な部分を表そうとするものである。従って、管腔106の斯かる一層健康な部分は、実質的に一定な円柱状外形を有するように図示されており、結果として該管腔の高さ又は幅は直径と称されている。しかしながら、多くの事例において、管腔106の斯かる部分は狭窄108よりも少ない程度ではあるがプラークの蓄積、非対称な外形及び/又は他の不規則さも有する(従って、円柱状外形は有さない)と理解される。このような事例において、上記直径110及び112は、当該管腔の相対寸法又は断面積を表し、円形断面形状を意味するものではないと理解される。
図2に示されるように、狭窄108は血管100の管腔106を狭めるプラーク蓄積114を含んでいる。幾つかの事例において、プラーク蓄積114は一様な又は対称な外形は有さず、このような狭窄の血管造影評価を信頼のおけないものにさせる。図示された実施態様において、プラーク蓄積114は上側部分116及び対向する下側部分118を有している。この点に関し、下側部分118は上側部分116に対して大きな厚さを有し、その結果、当該管腔における狭窄108の近端側及び遠端側の部分に対して非対称で不均一な外形を生じる。図示されたように、プラーク蓄積114は流体が管腔106を介して流れるために利用可能な空間を減少させる。特に、管腔106の断面積が該プラーク蓄積114により減少される。上側及び下側部分116及び118の間の最も狭い箇所において、管腔106は高さ120を有し、該高さは狭窄108より近端側及び遠端側の直径110及び112に対して減少された寸法又は断面積を示す。プラーク蓄積114を含む狭窄108は、性質上例示的なもので、何らかの態様で制限するものであると考えられるべきものであることに注意されたい。この点に関し、狭窄108は他の事例においては管腔106を経る流体の流れを制限するような他の形状及び/又は組成を有すると理解される。血管100は図1及び図2においては単一の狭窄108を有するものとして図示され、以下の実施態様の説明は主に単一の狭窄に関連してなされるが、ここに記載される装置、システム及び方法は複数の狭窄領域を有する血管に対しても同様の応用性を有すると理解される。
ここで図3を参照すると、血管100は、本開示の一実施態様により器具130及び132が内部に配置されて図示されている。一般的に、器具130及び132は、血管内に配置されるように寸法決め及び形成された如何なる形態の装置、器具又はプローブとすることもできる。図示の実施態様において、器具130は概してガイドワイヤを表す一方、器具132は概してカテーテルを表している。この点に関し、器具130は器具132の中心管腔を介して延在する。しかしながら、他の実施態様において、器具130及び132は他の形態をとることもできる。この点に関し、器具130及び132は幾つかの実施態様では同様の形態のものである。例えば、幾つかの事例において、両器具130及び132はガイドワイヤである。他の事例において、両器具130及び132はカテーテルである。一方、器具130及び132は、図示された実施態様のような幾つかの実施態様では異なる形態のものであり、これら器具のうちの一方はカテーテルであり、他方はガイドワイヤである。更に、幾つかの事例において、器具130及び132は、図3の図示の実施態様に示されるように、互いに同軸的に配置される。他の事例において、これら器具のうちの一方は、他方の器具の心の外れた管腔を介して延在する。更に他の事例において、器具130及び132は並んで延在する。幾つかの特定の実施態様において、これら器具のうちの少なくとも1つは、迅速交換カテーテルのような迅速交換装置である。このような実施態様において、他方の器具は、バディワイヤ又は当該迅速交換装置の導入及び除去を容易化するように構成された他の装置である。更に、他の事例においては、2つの別個の器具130及び132の代わりに、単一の器具が使用される。幾つかの実施態様において、該単一の器具は、両器具130及び132の機能の特徴(例えば、データ収集)を組み込む。
器具130は、血管100に関する診断情報を取得するように構成される。この点に関し、器具130は血管に関する診断情報を取得するように構成された1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントを含む。上記診断情報は、圧力、フロー(速度及び/又は量)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/又は他の撮像技術を用いて取得される画像を含む)、温度、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上を含む。上記1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントは、幾つかの事例では器具130の遠端部に隣接して配置される。この点に関し、該1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントは、幾つかの事例では器具130の遠端側先端134から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満及び/又は1cm未満に配置される。幾つかの事例において、上記1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントのうちの少なくとも1つは器具130の遠端側先端に配置される。
器具130は、血管100内の圧力をモニタするように構成された少なくとも1つのエレメントを含むことができる。該圧力監視エレメントは、ピエゾ抵抗圧力センサ、圧電(ピエゾ)圧力センサ、容量性圧力センサ、電磁圧力センサ、液柱(該液柱は、当該器具とは別体である、及び/又は該器具の当該液柱の近端側の部分に配置される液柱センサに連通する)、光学圧力センサ、及び/又はこれらの組み合わせの形態をとることができる。幾つかの事例において、該圧力監視エレメントの1以上の特徴は、半導体及び/又は他の好適な製造技術を用いて製造される固体部品として実施化される。適切な圧力監視エレメントを含む市場で入手可能なガイドワイヤ製品の例は、限定されるものではないが、Volcano Corporationから各々入手可能なVerrata(登録商標)圧力ガイドワイヤ、PrimeWire PRESTIGE(R)PLUS圧力ガイドワイヤ、及びComboWire(R)XT圧力及びフローガイドワイヤ、並びにSt.Jude Medical,Inc.から各々入手可能なPressureWireTMCertusガイドワイヤ及びPressureWireTMAerisガイドワイヤを含む。一般的に、器具130は、遠端側の圧力測定値(読み)に影響を与え得るような当該狭窄の間の流体の流れに大きな影響を与えることなく該狭窄108を経て配置することができるように寸法決めされる。従って、幾つかの事例において器具130は0.018インチ以下の外径を有する。幾つかの実施態様において、器具130は0.014インチ以下の外径を有する。幾つかの実施態様において、器具130は0.035インチ以下の外径を有する。
器具132も、血管100に関する診断情報を得るように構成される。幾つかの事例において、器具132は器具130と同一の診断情報を得るように構成される。他の事例において、器具132は器具130とは異なる診断情報を得るように構成され、該異なる診断情報は、追加の診断情報、より少ない診断情報及び/又は代替的診断情報を含み得る。器具132により取得される診断情報は、圧力、フロー(速度及び/又は量)、画像(超音波(例えば、IVUS)、OCT、熱及び/又は他の撮像技術を用いて取得される画像を含む)、温度、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上を含む。器具132は、この診断情報を取得するように構成された1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントを含む。この点に関し、上記1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントは、幾つかの事例では器具132の遠端部に隣接して配置される。この点に関し、該1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントは、幾つかの事例では器具132の遠端側先端136から30cm未満、10cm未満、5cm未満、3cm未満、2cm未満及び/又は1cm未満に配置される。幾つかの事例において、上記1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントのうちの少なくとも1つは、器具132の遠端側先端に配置される。
器具130と同様に、器具132も、血管100内の圧力をモニタするように構成された少なくとも1つのエレメントを含むことができる。該圧力監視エレメントは、ピエゾ抵抗圧力センサ、圧電圧力センサ、容量性圧力センサ、電磁圧力センサ、液柱(該液柱は、当該器具とは別体である、及び/又は該器具の当該液柱の近端側の部分に配置される液柱センサに連通する)、光学圧力センサ、及び/又はこれらの組み合わせの形態をとることができる。幾つかの事例において、該圧力監視エレメントの1以上の特徴は、半導体及び/又は他の好適な製造技術を用いて製造される固体部品として実施化される。幾つかの事例では、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5の1以上と一緒に使用するのに適し、圧力監視エレメントを含む現在入手可能なカテーテル製品を器具132のために用いることができる。
本開示の態様によれば、器具130及び132のうちの少なくとも1つは血管100内の狭窄108の遠端側の圧力をモニタするように構成され、器具130及び132のうちの少なくとも1つは該血管内の当該狭窄の近端側の圧力をモニタするように構成される。この点に関し、器具130、132は、血管100内の圧力をモニタするように構成された上記少なくとも1つのエレメントの配置が当該装置の構成に基づき必要に応じて狭窄108の近端側及び/又は遠端側に位置決めされることを可能にするように寸法決めされると共に成形される。この点に関し、図3は狭窄108の遠端側の圧力を測定するのに適した位置138を示している。この点に関し、該位置138は、幾つかの事例では、狭窄108の遠端(図2に示されるような)から5cm未満、3cm未満、2cm未満、1cm未満、5mm未満及び/又は2.5mm未満である。図3は、狭窄108の近端側の圧力を測定するための複数の好適な位置も示している。この点に関し、位置140、142、144、146及び148は、各々、幾つかの事例において当該狭窄の近端側の圧力をモニタするのに適した位置を表している。この点に関し、位置140、142、144、146及び148は、狭窄108の近端から20cm以上から約5mm以下までの範囲で種々の距離に配置されている。一般的に、近端側圧力測定は当該狭窄の近端から離隔されてなされる。従って、幾つかの事例において、近端側圧力測定値は、当該狭窄の近端から、血管の管腔の内径以上の距離においてとられる。環状動脈圧力測定の前後関係において、近端側圧力測定値は、一般的に、当該血管の近端側部分における当該狭窄の近端側で大動脈の遠端側の位置においてとられる。しかしながら、環状動脈圧力測定の幾つかの特定の事例において、近端側圧力測定値は大動脈内の位置からとられる。他の事例において、近端側圧力測定値は冠状動脈の根元又は口においてとられる。
幾つかの実施態様において、器具130及び132のうちの少なくとも一方は、管腔106を経て移動されている間に血管100内の圧力をモニタするように構成される。幾つかの事例において、器具130は管腔106を経て且つ狭窄108を超えて移動されるように構成される。この点に関し、器具130は、幾つかの事例において、狭窄108の遠端側に位置決めされると共に該狭窄を横切って該狭窄の近端側の位置へと近端側方向に移動される(即ち、引き戻される)。他の事例において、器具130は狭窄108の近端側に位置決めされると共に該狭窄を横切って該狭窄の遠端側の位置へと遠端側方向に移動される。幾つかの実施態様において、近端側方向又は遠端側方向の何れの方向への器具130の移動も医療要員により手作業(例えば、手術医の手)で制御される。他の実施態様において、近端側方向又は遠端側方向の何れの方向への器具130の移動も、移動制御装置(例えば、Volcano Corporationから入手可能なTrak Back(R) II Device等の引き抜き装置)により自動的に制御される。この点に関し、上記移動制御装置は、幾つかの事例では、器具130の移動を選択可能で既知の速度(例えば、2.0mm/s、1.0mm/s、0.5mm/s、0.2mm/s等)で制御する。血管を経ての器具130の移動は、幾つかの事例では、各引き抜き又は押し通しに対して連続的である。他の事例において、器具130は血管を経てステップ状に移動される(即ち、一定量の距離及び/又は一定量の時間で繰り返し移動される)。以下に説明する視覚的描写の幾つかの特徴は、器具130及び132のうちの少なくとも一方が管腔106を介して移動される実施態様に対し特に適している。更に、幾つかの特定の事例において、以下に説明する視覚的描写の特徴は、単一の器具が第2の器具の存在を伴って又は伴わずに、管腔106を介して移動されるような実施態様にとり特に適している。
器具130及び/又は132は、インスタント・ウェーブ・フリー・レシオ(登録商標)機能
(共に、ボルケーノ・コーポレーションの登録商標)及び“血管を評価するための装置、システム及び方法”なる名称の米国特許出願第13/460,296号に開示されたものに関連する医療センシング手順を実行するために使用することができ、上記米国特許出願は充血剤の適用無しで利用可能な圧力比の使用を開示するもので、参照により本明細書に全体として組み込まれる。更に、
を推定するのに適した補償Pd/Pa比、FFR及び/又は“血管の治療のための装置、システム及び方法”なる名称で2014年7月14日に出願された米国予備特許出願第62/024,005号に開示されたような他の認められた診断圧力比に関連する医療センシング手順も、当該器具130及び/又は132を用いて実施することができ、上記出願は参照により全体として本明細書に組み込まれるものである。
ここで図4を参照すると、該図には本開示の一実施態様によるシステム150が示されている。この点に関し、図4はシステム150の図式的概略図である。図示されたように、システム150は器具152を含んでいる。この点に関し、幾つかの事例において、器具152は前述した器具130及び132のうちの少なくとも1つとして使用するのに適したものである。従って、幾つかの事例において、器具152は、幾つかの事例において器具130及び132に関して前述したものと同様のフィーチャを含んでいる。図示した実施態様において、器具152は遠端部154及び該遠端部に隣接して配置されたハウジング156を有するガイドワイヤである。この点に関し、ハウジング156は当該器具152の遠端側先端から約3cm隔てられている。該ハウジング156は、当該血管に関する診断情報を得るための1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントを収容するように構成されている。図示された実施態様において、ハウジング156は、当該器具152が配置される管腔内の圧力をモニタするように構成された少なくとも1つの圧力センサを収容する。シャフト158が、該ハウジング156から近端側に延びている。トルク装置160が、シャフト158の近端部上に配置されると共に該近端部に結合されている。当該器具152の近端部162は、コネクタ164に結合されている。ケーブル166が、該コネクタ164からコネクタ168まで延びている。幾つかの事例において、コネクタ168はインターフェース170にプラグ接続されるように構成される。この点に関し、インターフェース170は幾つかの事例では患者インターフェースモジュール(PIM)である。幾つかの事例において、ケーブル166は無線接続に置換される。この点に関し、物理的接続(電気的、光学的及び/又は流体的接続を含む)、無線接続及び/又はこれらの組み合わせを含み、器具152とインターフェース170との間の種々の通信経路を利用することができると理解される。
インターフェース170は、接続174を介して計算装置172に通信的に結合される。計算装置172は、一般的に、本開示内で述べられる処理及び分析技術を実行するのに適した如何なる装置をも表すものである。幾つかの実施態様において、計算装置172はプロセッサ、ランダムアクセスメモリ及び記憶媒体を含む。この点に関し、幾つかの特定の事例において、該計算装置172は、ここで説明されるデータ収集及び分析に関連するステップを実行するようにプログラムされる。従って、本開示のデータ収集、データ処理、器具制御及び/又は他の処理若しくは制御態様に関連する如何なるステップも、上記計算装置により、該計算装置によりアクセス可能な非一時的コンピュータ読取可能な媒体に記憶された対応する命令を用いて実施することができると理解される。幾つかの事例において、計算装置172はコンソール装置である。幾つかの特定の事例において、計算装置172は、各々Volcano Corporationから入手可能な、s5 Imaging System又はs5i Imaging Systemに類似のものである。幾つかの事例において、計算装置172は可搬型のもの(例えば、手持ち型、手押しカート上、等)である。幾つかの事例において、計算装置172の全て又は一部はベッド脇コントローラとして実施化することができ、ここで説明される1以上の処理ステップが該ベッド脇コントローラの処理構成要素により実施することができるようにする。例示的なベッド脇コントローラは、2014年9月11日に“Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems and Methods”なる名称で出願された米国予備特許出願第62/049,265号に記載されており、該出願は参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。更に、幾つかの事例において、計算装置172は複数の計算装置を有するものと理解される。この点に関し、本開示の異なる処理及び/又は制御態様は、特に、複数の計算装置を用いて別個に又は予め定められたグループ内で実施することができると理解される。下記に述べる複数の計算装置にまたがる処理及び/又は制御態様の如何なる分割及び/又は組み合わせも、本開示の範囲内である。
コネクタ164、ケーブル166、コネクタ168、インターフェース170及び接続174は、一緒になって、器具152の1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントと、計算装置172との間の通信を容易にする。しかしながら、この通信経路は性質上例示的なもので、決して制限するものと見なしてはならない。この点に関し、物理的接続(電気的、光学的及び/又は流体的接続を含む)、無線接続及び/又はこれらの組み合わせを含み、器具152と計算装置172との間の如何なる通信経路も利用することができると理解される。この点に関し、接続174は幾つかの事例では無線であると理解される。幾つかの事例において、接続174はネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、通信ネットワーク及び/又は他のネットワーク)上の通信リンクを含む。この点に関し、幾つかの事例において、計算装置172は器具152が使用されている操作領域から遠方に配置されると理解される。接続174にネットワーク上の接続を含ませることは、器具152と遠隔の計算装置172との間の通信を、該計算装置が隣接する部屋、隣接するビル内又は別の州/国にあるかに無関係に容易化することができる。更に、幾つかの事例において、器具152と計算装置172との間の通信経路は安全な接続であると理解される。更に、幾つかの事例において、器具152と計算装置172との間の通信経路の1以上の部分にわたって通信されるデータは暗号化されると理解される。
当該システム150は器具175も含む。この点に関し、幾つかの事例において、器具175は前述した器具130及び132の少なくとも一方として使用するのに適したものである。従って、幾つかの事例において、器具175は、幾つかの事例において器具130及び132に関して前述したものと同様のフィーチャを含んでいる。図示した実施態様において、器具175はカテーテル型装置である。この点に関し、器具175は、血管に関する診断情報を取得するように構成された、該器具の遠端部に隣接する1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントを含む。図示の実施態様において、器具175は、該器具175が位置された管腔内の圧力をモニタするよう構成された圧力センサを含む。該器具175は、接続177を介してインターフェース176と通信する。幾つかの事例において、インターフェース176は、Siemens AXIOM Sensis、Mennen Horizon XVu及びPhilips Xper IM Physiomonitoring 5等の、血行動態監視システム又は他の制御装置である。或る特定の実施態様において、器具175は、長さに沿って延在する液柱を含んだ圧力感知性カテーテルである。このような実施態様において、インターフェース176は、当該カテーテルの上記液柱に流体的に結合された止血弁、該止血弁に流体的に結合されたマニホルド、及び斯かる部品を流体的に結合するために該部品間に必要に応じて延びる配管を含む。この点に関し、当該カテーテルの液柱は、上記弁、マニホルド及び配管を介して圧力センサに流体的に連通する。幾つかの事例において、該圧力センサはインターフェース176の一部である。他の事例において、該圧力センサは器具175とインターフェース176との間に配置される別個の部品である。インターフェース176は接続178を介して計算装置172と通信的に結合される。
計算装置172は、接続182を介して表示装置180に通信的に結合される。幾つかの実施態様において表示装置180は計算装置172の構成部品である一方、他の実施態様において表示装置180は計算装置172とは別個のものである。幾つかの実施態様において、表示装置180は、例えば2014年9月11日に“Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems and Methods”なる名称で出願された米国予備特許出願第62/049,265号に記載されたようなタッチスクリーンディスプレイを有するベッド脇コントローラとして実施化され、上記出願の全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。計算装置172は、器具152及び175並びに他の器具により収集されたデータ、該収集されたデータに基づいて計算された量、上記データが収集された血管の視覚化情報、並びに上記の収集されたデータ及び計算された量に基づく視覚化情報を含むスクリーン表示を発生することができる。例示的なスクリーン表示が図5及び7に示されている。計算装置172は、上記スクリーン表示に関連する表示データを表示装置180に供給することができる。
計算装置172は、更に、ユーザインターフェース装置に通信的に結合することができる。該ユーザインターフェース装置は、ユーザが表示装置180上のスクリーン表示と対話することを可能にする。例えば、ユーザは該ユーザインターフェース装置を用いてユーザ入力を供給し、スクリーン表示の全て又は一部を修正することができる。例示的なユーザ入力及びスクリーン表示に対する対応する修正が、図5及び図7に示されている。幾つかの実施態様において、該ユーザインターフェース装置は、表示装置180とは別の部品である。他の実施態様において、該ユーザインターフェース装置は、表示装置180の一部である。例えば、該ユーザインターフェース装置は、例えば2014年9月11日に“Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems and Methods”なる名称で出願された米国予備特許出願第62/049,265号に記載されたようなタッチスクリーンディスプレイを有するベッド脇コントローラとして実施化することができ、上記出願の全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。このような実施態様において、ユーザ入力は、斯かるベッド脇コントローラのタッチ感知性ディスプレイ上で入力されるタッチ入力であり得る。
器具152と計算装置172との間の接続と同様に、インターフェース176並びに接続177及び178は、器具175の1以上のセンサ、トランスジューサ及び/又は他の監視エレメントと、計算装置172との間の通信を容易にする。しかしながら、この通信経路は性質的に例示的なもので、決して制限するものと見なしてはならない。この点に関し、物理的接続(電気的、光学的及び/又は流体的接続を含む)、無線接続及び/又はこれらの組み合わせを含み、器具175と計算装置172との間の如何なる通信経路も利用することができると理解される。この点に関し、接続178は幾つかの事例では無線であると理解される。幾つかの事例において、接続178はネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット、通信ネットワーク及び/又は他のネットワーク)上の通信リンクを含む。この点に関し、幾つかの事例では、計算装置172は器具175が使用されている操作領域から遠方に配置されると理解される。接続178にネットワークを介しての接続を含ませることは、器具175と遠隔の計算装置172との間の通信を、該計算装置が隣接する部屋、隣接するビル又は別の州/国にあるかに無関係に容易化することができる。更に、幾つかの事例において、器具175と計算装置172との間の通信経路は安全な接続であると理解される。更に、幾つかの事例において、器具175と計算装置172との間の通信経路の1以上の部分を介して通信されるデータは暗号化されると理解される。
該システム150の1以上の構成部品は、本開示の他の実施態様では、含まれず、異なる配置/順序で実施化され、及び/又は代替装置/機構により置換されると理解される。例えば、幾つかの事例において、システム150はインターフェース170及び/又はインターフェース176を含まない。このような事例において、コネクタ168(又は、器具152又は器具175につながる他の同様のコネクタ)は、計算装置172に関連するポートにプラグ接続することができる。代わりに、器具152、175は計算装置172と無線で通信することもできる。一般的に言うと、器具152、175の一方又は両方と、計算装置172との間の通信経路は、中間ノードを有さない(即ち、直結)、当該器具と計算装置との間に1つの中間ノードを有する、又は当該器具と計算装置との間に複数の中間ノードを有することができる。
幾つかの実施態様において、システム150は、2014年9月11日に“Bedside Controller for Assessment of Vessels and Associated Devices, Systems and Methods”なる名称で出願された米国予備特許出願第62/049,265号に記載されたようなベッド脇コントローラ等のベッド脇コントローラを更に含むことができ、上記出願の全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。該ベッド脇コントローラは、医師により、処置の間に圧力データを取得するために器具152及び175を制御し、リアルタイムに医療圧力測定値(例えば、圧力波形等の圧力データの視覚的表現、数値等)を監視し、収集された圧力データに基づいて圧力比(又は複数の圧力比)を計算し、取得された医療センシングデータ、該取得された医療センシングデータ及び/又は計算された圧力比の視覚的表現、取得された医療センシングデータ及び/又は計算された圧力比に基づく視覚化情報、及び/又は血管100の視覚的表現と対話するために利用することができる。この点に関し、該ベッド脇コントローラは、計算装置172、インターフェース170及び176、並びに/又は器具152及び175に通信的に結合することができる。
幾つかの実施態様において、システム150は、患者に対してPCIが実行される病院又は他の医療施設等の臨床環境に関連する在庫データベース190を含むことができる。該在庫データベースは、医師が使用するために利用可能なステントに関する種々のデータを記憶することができる。該データは、製造者名、長さ、直径、材質、当該病院において利用可能な量、即時使用のために利用可能な量、補給頻度、次の出荷日付及び他の適切な情報を含むことができる。計算装置172は、在庫データベース190に基づいて複数のステントオプションを集積し、当該医師に選択メニュを提供することができる。計算装置172は、グラフィックユーザインターフェースを用いて実施されるPCI計画に基づいて特定のステント(例えば、特定の製造者からの、特定の長さ、直径及び/又は材質を持つステント)を自動的に推奨することができる。計算装置172は、特定のステントを選択するユーザ入力を受け、これをグラフィックユーザインターフェースに供給して、医師が該選択されたステントを用いた治療の有効性を評価することができるようにすることもできる。計算装置172は、接続192を介して在庫データベース190に通信的に結合される。該接続192は、当該計算装置172を当該医療施設の計算システムに通信的に結合する1以上のネットワーク接続を表すこともできる。
器具130、132、152及び/又は175により取得された診断情報及び/又はデータは、外部撮像システムにより取得された患者の血管構造の血管造影画像(又は複数の血管造影画像)及び/又は他の二次元若しくは三次元描写に相関付けされ又は位置合わせされる。種々の実施態様において、外部撮像システムにより取得される診断情報は、患者の血管構造の外部的に取得される血管造影画像、X線画像、CT画像、PET画像、MRI画像、SPECT画像及び/又は他の二次元若しくは三次元管腔外描写を含むことができる。空間的位置合わせは、既知の引き抜き速度/距離に基づいて、既知の始点に基づいて、既知の終点に基づいて、及び/又はこれらの組み合わせに基づいて、“VASCULAR IMAGE CO-REGISTRATION”なる名称の米国特許第7,930,014号(参照により全体として本明細書に組み込まれる)に開示された技術を用いて達成することができる。例えば、機械式引き抜き装置を、圧力センシング手順を実行するために用いることができる。斯かる機械式引き抜き装置は、血管を介して圧力センシング(圧力感知性)装置を一定の既知の割合で移動させることができる。圧力測定値及び/又は圧力比(又は複数の圧力比)の位置は、当該圧力感知性装置の引き抜きの割合及び既知の位置(例えば、血管造影データから利用可能な始点、中間点、終点等)に基づいて決定することができる。幾つかの実施態様において、診断情報及び/又はデータは血管画像に対して、2012年12月31日に“SPATIAL CORRELATION OF INTRAVASCULAR IMAGES AND PHYSIOLOGICAL FEATURES”なる名称で出願された米国予備特許出願第61/747,480号に記載されたものと同様の技術を用いて関連付けられ、該文献は参照により本明細書に全体として組み込まれる。幾つかの実施態様において、位置合わせ及び/又は関連付けは、2013年7月19日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS”なる名称で出願された米国予備特許出願第61/856,509号に記載されたようにして達成することができ、該文献は参照により本明細書に全体として組み込まれる。
幾つかの実施態様において、診断情報及び/又はデータは血管画像に対して、2012年12月31日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS”なる名称で出願された米国特許出願第14/144,280号に記載されたものと同様の技術を用いて関連付けられ、該文献は参照により本明細書に全体として組み込まれる。幾つかの実施態様において、位置合わせ及び/又は関連付けは、2013年7月19日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS”なる名称で出願された米国予備特許出願第61/856,509号に記載されたようにして達成することができ、該文献は参照により本明細書に全体として組み込まれる。他の実施態様において、位置合わせ及び/又は関連付けは、2011年7月28日に“CO-USE OF ENDOLUMINAL DATA AND EXTRALUMINAL IMAGING”なる名称で出願された国際特許出願第PCT/IL2011/000612号に記載されたようにして達成することができ、該文献は参照により本明細書に全体として組み込まれる。更に、幾つかの実施態様において、位置合わせ及び/又は関連付けは、2009年11月18日に“IMAGE PROCESSING AND TOOL ACTUATION FOR MEDICAL PROCEDURES”なる名称で出願された国際特許出願第PCT/IL2009/001089号に記載されたようにして達成することができ、該文献は参照により本明細書に全体として組み込まれる。更に、他の実施態様において、位置合わせ及び/又は関連付けは、2008年3月10日に“IMAGING FOR USE WITH MOVING ORGANS”なる名称で出願された米国特許出願第12/075,244号に記載されたようにして達成することができ、該文献は参照により本明細書に全体として組み込まれる。
ここで図5を参照すると、図4の計算装置172により供給することができるようなインターフェース500において医師に対し提示することが可能な血管造影図データの例示的描写が示されている。ユーザインターフェース500は、図4に見られるようなディスプレイ(表示装置)180に提示することが可能なウインドウ502を含んでいる。該ウインドウは、心臓組織506及び造影剤を用いて取得される血管構造508を含む血管造影図データを表示する。幾つかの実施態様において、血管造影図504は、医師により患者の血管構造の異なる斜視図及び/又は断面図を含む異なるビューを示すように操作することが可能な三次元血管造影図とすることができる。後続する手順の間において、医師は患者の血管構造を介して器具130及び/又は132をナビゲートし、内部の生理学的測定値を収集することができる。該生理学的測定値は、計算装置172のメモリに記憶すると共に、ディスプレイ180上に表示することができる。該画像ベースの生理学的測定値は、優性分類(dominance classification)、病変の閉塞の程度(径狭窄率として表すことができる)、狭窄の分類、血管系における血管の曲がりの程度、病変の長さ、及び/又は病変の石灰化の程度を含むことができる。特に、血管マッピング、病変識別及び病変分類に関する当該システムの状態を、ユーザインターフェース500のウインドウ510、520及び530で見ることができる。これらのウインドウは、種々のフィーチャの状態を、図5〜図8に示されるようにオン/オフ指示子で表示することができる。ユーザインターフェース500は、当該画像の特定の領域の選択も可能にする。このケースでは、特定の領域は選択されていない。
血管造影図データを取得した後、該データは図4のシステム150により提供される画像処理要素によって分析され、患者の血管構造を区分化すると共に該血管構造の特定の特徴を推定することができる。該データの分析は、画像ベースの生理学的測定値を抽出するために実行することができ、これらは医師の継続した対話なしで自動的に表示することができる。例えば、該画像ベースの生理学的測定値は、血管造影図の収集処理が完了した後に抽出することができる。
血管造影図データを処理する場合、画像ベースのデータから閉塞を評価及び識別するために定量的冠動脈造影法(QCA)を用いることができる。QCA処理は、何らかの計測を識別するために自動的に開始することができる。医師は自身の経験に基づいて定性的評価を行うことができる一方、QCA処理からの情報は後続のステップにおいて目標の介入治療推奨案を自動的に発生するために使用することができる。後に更に詳細に説明するように、本明細書に参照により組み込まれた位置合わせ技術及び当業者により既知であり得る他の技術を、生理学的測定値を、ウインドウ502に提示された血管造影図504から発生される当該患者の血管構造508のモデルにおける特定の位置に位置合わせするために使用することができる。
次に図6を参照すると、ユーザインターフェース500はシステム150により収集及び分析された種々の情報源からのデータを表示している。特に、当該患者の血管は、位置合わせされたデータに従って能動的にマッピングされている。当該システムの状態は、血管マッピングに関するウインドウ510において“オン”と示されている。ユーザインターフェース500は、マッピングされた血管を着色領域550として表示することができる。ユーザは、関連する圧力測定値並びに病変の識別及び分類を調べるために、マッピングされた領域の特定の領域を見ることができる。更に、当該血管マッピングの結果として、当該システムは血管を、それに従ってラベルを付すことができる。例えば、図示された実施態様において、右冠状動脈は“RCA”とラベルが付され、左大動脈は“Left Main”とラベルが付され、左回旋動脈は“LCX”とラベルが付され、縁枝は“M1”及び“M2”とラベルが付され、左前下行動脈は“LAD”とラベルが付され、対角枝は“D1”とラベルが付されている。動脈及び静脈を含む如何なる血管も、同様の態様でラベルを付すことができると理解される。更に、ユーザは関心のある血管を選択し、これらの血管のみが当該システムによりラベルを付されるようにすることもできる。
システム150による血管系の自動的マッピングは、図5のユーザインターフェース500に図示されたもののような血管造影図情報に対して画像認識処理を実行する際に達成することができる。斯かる血管造影図情報は、患者の血管構造内の個々の血管を自動的に識別するための、当該血管系の輪郭、位置、枝部及び他の特徴構造等の、該血管の特徴構造を特徴付ける又は詳述する情報を含み得る。このようにして、当該患者の血管構造のモデルを発生することができると共に、ユーザが観察することができる特定の区域を識別するために分析することができる。システム150により識別すると共にマッピングすることができる特定の血管は、これらに限定されるものではないが、右冠状動脈(RCA)、左主冠状動脈(LCA)、回旋冠状動脈、左前下行動脈(LAD)、RCA近端部、RCA中間部、RCA遠端部、LAD近端部、LAD中間部、LAD先端部、第1対角枝、付加的第1対角枝、第2対角枝、近端側回旋枝、中間/前外側枝、鈍角縁枝、遠端側回旋枝、左後外側枝、後下行枝をとりわけ含む。
マーカ540は、血管系のマッピングと関連して使用することができる。
図6に見られるように、FFR測定値がRCAの選択された領域にマーカ540により示される。他の生理学的測定値又は解剖学的ラベルをマーカ540により表示することもできる。マーカ540は、生理学的測定値に基づいて自動的に配置することもできる。当該システムは、当該血管内の臨床的に重要な位置を診断情報に基づいて選択するように構成することができる(例えば、圧力が変化する点等の、生理学的測定値が大きく変化する位置)。同様に、マーカ540は当該患者の血管構造における種々の予め定められた部分に対して設けることができる。マーカ540は、血管造影図データに基づき画像認識及びモデル化技術を用いて自動的に発生することもできる。幾つかの実施態様において、マーカ540は、システム150により血管造影図情報に対して画像認識処理を実行する際に自動的に含まれる。該血管造影図情報は、患者の血管構造内の個々の血管を自動的に識別するための、当該血管の輪郭、位置、枝部及び他の特徴構造等の、該血管系の特徴的構造を特徴付ける又は詳述する情報を含み得る。このようにして、当該患者の血管構造のモデルを発生することができると共に、適切なラベルに値する特定の部分を識別するために分析することができる。
ユーザが血管を評価することを補助すべく、当該血管の血管造影画像又は他の画像(IVUS、OCT、ICE、CTA等の血管内及び血管外撮像技術の両方を含む)の前後関係において図6の情報を伝達するために、多数の他の視覚化技術を利用することができると理解される。この点に関し、本開示の例は血管造影画像に関して提示されるが、当該思想は血管内及び血管外撮像を含む他のタイプの血管撮像技術にも等しく適用可能であると理解される。幾つかの事例において、ユーザは表示される画像に何の情報が含まれるべきか又は除外されるべきかを選択することができる。この点に関し、血管の血管造影又は他の画像の関連で圧力測定データを伝達することに関する斯かる視覚化技術は、個別に及び何らかの組み合わせで使用することができることに注意すべきである。例えば、幾つかの構成例において、ユーザは何の視覚化モード(又は複数のモード)及び/又は該モードの一部が使用されるかを選択することができ、当該システムは、それに応じて表示を出力する。更に、幾つかの構成例において、ユーザは、注釈を含め及び/又は測定されたパラメータの1以上を入力するために、表示された画像に手動で注釈を付けることができる。
図6における血管の画像は、三次元、二次元、血管造影、コンピュータトモグラフィ血管造影(CTA)及び/又は他の好適な形態の画像を含むことができる。幾つかの実施態様において、三次元画像は垂直軸の回りに回転することができる。幾つかの実施態様において、二次元画像は垂直軸の回りの複数のビューを含むことができ、当該画像が回転された場合に異なる二次元ビューが示されるようにする。幾つかの構成例においては、当該血管の対応する二次元描写に隣接して、三次元モデルが表示される。この点に関し、ユーザは、描写のタイプ(二次元(撮像様式を含む)及び/又は三次元)を、何の視覚化モード(又は複数のモード)及び/又は該モードの一部が使用されるかと一緒に選択することができる。当該システムは、ユーザの好み/選択及び/又はシステムデフォルトに基づいて対応する表示を出力する。
図7は、血管マッピング及び病変識別フィーチャが活性化された例示的ユーザインターフェース500を示す。図6におけるのと同様に、上記フィーチャに対応するウインドウ510、520は“オン”と示されている。図示の実施態様において、病変識別フィーチャは、病変が位置していそうな関心領域522、524を表示している。これらの領域の識別は、生理学的測定値に基づくものであり得る。システム150は、当該血管内の臨床的に重要な位置(例えば、圧力が変化する点等の、生理学的測定値が大きく変化する位置)を診断情報に基づいて選択するように構成することができる。同様に、斯かる1以上の関心領域は、血管の狭窄等の高い危険性の病変を知らせる解剖学的データに基づくものであり得る。図7に見られるように、関心領域522、524は、画定された領域に存在しそうな病変を分類することなしに識別することができる。このケースにおいて、ウインドウ530は空白のままである。
次に図8を参照すると、血管マッピング、病変識別及び病変分類のフィーチャが活性化されたユーザインターフェース500の描写が示されている。この例において、システム150は、2つの関心領域522、524を識別している一方、更に、可能性のある病変をウインドウ530上で分類すると共に、ユーザインターフェース500上ではプロンプト580、590で示している。びまん性病変の分類は当該血管の長い部分にわたる一様な圧力低下に基づくものである一方、限局性病変の分類は当該血管の特定の位置における急激な圧力低下に基づくものである。マーカ540、560を、病変分類に使用することができる。更に、マーカ540、560は識別された病変を更に調べるために使用することができる。例えば、マーカ560は関心領域524の中心における低い圧力測定値を示し、このことは、当該分類を、更に、深刻な限局性病変と定義することができる。病変の分類は、図9に関連して更に説明する。
次に図9を参照すると、本開示の実施態様による取得された生理学的測定値(図示されたように、圧力測定値であるが、流量、流速及び/又は血管内の生理学的測定値、又はこれらに基づく算出値を含むこともできる)に基づいて血管を評価するためのユーザインターフェース600の描写が示されている。該ユーザインターフェースは、タッチ感知性ディスプレイ上に表示することができる。医師は、圧力データ及び/又は該圧力データの視覚的表現を見、分析し、対話することができる。
図9を更に詳細に参照すると、本開示の一実施態様によるスクリーン表示600が示されている。該スクリーン表示600は、iFRタブ602、FFRタブ604、患者タブ606及び設定値タブ608を含む複数のタブを含んでいる。図9においては、iFRタブ602が選択され、ユーザに表示されている。図示されたように、iFRタブ602は、グラフ610及び対応する圧力波形プロット612を含んでいる。該スクリーン表示600は、算出された圧力比(例えば、FFR、iFR、又はそれ以外)を示すウインドウ614も含んでいる。該スクリーン表示600は、ユーザに対して表示することができる進行(ラン)及び引き戻し(プルバック)を示すウインドウ616も含んでいる。図示された実施態様では、2つの異なるランが利用可能であり、対応するタイムスタンプにより識別されている。この点に関し、ユーザはウインドウ616から所望のランを選択し、グラフ610に示されるデータ及び圧力波形プロット612が、それに従って更新される。
スクリーン表示600は、ユーザがグラフ610及び圧力波形プロット612に対してズームアウト又はズームインするのを可能にするズームボタン618、620も含んでいる。この目的のために、スクリーン表示600はグラフ610及び圧力波形プロット612の相対縮尺を示すルーラ622を含んでいる。幾つかの事例において、ルーラ622は、血管長及び/又は引き戻し長に対するグラフ610及び/又は圧力波形プロット612のグラフィック表示の次元的縮尺を提供する。ルーラ622の縮尺は、幾つかの構成例では、ズームボタン618、620の選択的駆動に応答して自動的に更新する。
スクリーン表示600は、スライダ624も含んでいる。スライダ624は、ユーザが血管の長さ及び/又は対応する引き戻しデータに沿って移動することを可能にする。例えば、幾つかの事例において、スライダ624の左端は引き戻しの始点に対応し、該スライダの右端は引き戻しの終点に対応する。スライダ624を第1端と第2端との間で移動させることにより、ユーザはグラフ610及び圧力波形プロット612における圧力データの対応する部分を見ることができる。従って、ユーザは、ズームボタン618、620をスライダ624との組み合わせで使用して、血管及び引き戻しデータの特定の部分に焦点を合わせることができる。幾つかの事例において、ウインドウ614に表示される圧力比の数値は、上記スライダの位置に基づいて更新される。この点に関し、幾つかの事例において、ウインドウ614に表示される圧力比の数値は、グラフ610及び圧力波形プロット612に表示されている圧力データのみに基づくものとなる。しかしながら、他の事例において、ウインドウ614に表示される圧力比の数値は、グラフ610及び圧力波形プロット612に表示されている圧力データ、並びにグラフ610及び圧力波形プロット612に表示されていない圧力データの一方又は組み合わせに基づくものである。
この点に関し、スクリーン表示600のグラフ610及び圧力波形プロット612は、一方の器具が血管を介して移動され、他方の器具が固定位置に保たれている際に取得された圧力測定値の態様を示している。この点に関し、幾つかの事例において、上記圧力測定値は当該血管の固定位置と、当該器具が該血管を介して移動される際の移動する位置との間の圧力比を表すものである。例えば、幾つかの事例において、近端側圧力測定値が当該血管内の固定位置で取得される一方、当該器具は上記近端側圧力測定値が取得された位置より遠端側の第1位置から該第1位置より一層近端側の(即ち、上記近端側圧力測定値の固定位置に一層近い)第2位置まで当該血管を介して引き戻される。本開示の思想を理解するに際して明瞭にするために、このような構成が、本開示の実施態様の多くを説明するために用いられる。しかしながら、当該思想は他の構成にも等しく適用可能であると理解される。例えば、幾つかの事例において、当該器具は血管を介して上記近端側圧力測定位置より遠端側の第1位置から、更に遠端側の(即ち、上記近端側圧力測定値の固定位置より更に遠くの)第2位置まで押し通される。他の事例において、遠端側圧力測定値は当該血管内の固定位置において取得され、当該器具は当該血管を介して上記遠端側圧力測定値の固定位置の近端側の第1位置から該第1位置より一層近端側の(即ち、上記遠端側圧力測定の固定位置から更に遠くの)第2位置まで引き戻される。更に他の事例において、遠端側圧力測定値は当該血管内の固定位置において取得され、当該器具は当該血管を介して上記遠端側圧力測定の固定位置の近端側の第1位置から該第1位置よりも近端側でない(即ち、上記遠端側圧力測定の固定位置に一層近い)第2位置まで押し通される。
当該血管内の2つの圧力測定値(例えば、固定位置圧力測定値及び移動圧力測定値)の間の圧力差は、幾つかの事例では、これら2つの圧力測定値の比として計算される(例えば、固定位置圧力測定値により除算される移動圧力測定値)。幾つかの事例において、該圧力差は当該患者の各心拍サイクルに対して計算される。この点に関し、計算される圧力差は、幾つかの実施態様では心拍サイクルにわたる平均圧力差である。例えば、患者に充血剤が投与される幾つかの事例においては、心拍サイクルにわたる平均圧力差が当該圧力差を計算するために使用される。他の実施態様においては、心拍サイクルの一部のみが、当該圧力差を計算するために使用される。該圧力差は、幾つかの事例では、心拍サイクルの上記一部又は診断ウインドウにわたる平均である。
幾つかの実施態様において、診断ウインドウは、2012年4月30日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL”なる名称で出願された米国特許出願第13/460,296号に記載された技術の1以上を用いて選択され、該文献は参照により全体として本明細書に組み込まれる。該文献に述べられているように、診断ウインドウ及び関連する技術は、患者に対し充血剤を投与しない場合の使用に特に適している。一般的に、充血剤の使用なしで狭窄の間の差分圧力を評価するための診断ウインドウは、近端側圧力測定値、遠端側圧力測定値、近端側速度測定値、遠端側速度測定値、ECG波形、並びに/又は血管性能の他の識別可能及び/又は測定可能な側面のうちの1以上の特徴及び/又は成分に基づいて識別される。この点に関し、適切な診断ウインドウを識別するために、上述した近端側圧力測定値、遠端側圧力測定値、近端側速度測定値、遠端側速度測定値、ECG波形、並びに/又は血管性能の他の識別可能及び/又は測定可能な側面のうちの1以上の特徴及び/又は成分に対して、種々の信号処理及び/又は計算技術を適用することができる。
図9の図示された実施態様において、グラフ610は上記圧力比を時間にわたり示している。特に、グラフ610は引き戻しの時間にわたり計算された圧力比を示している。更に詳細には、グラフ610は引き戻しの間におけるiFR圧力比を示している。この点に関し、該iFR圧力比は、2012年1月6日に“APPARATUS AND METHOD OF CHARACTERISING A NARROWING IN A FLUID FILLED TUBE”なる名称で出願された国際特許出願公開第WO2012/093260号、2012年1月6日に“APPARATUS AND METHOD OF ASSESSING A NARROWING IN A FLUID FILLED TUBE”なる名称で出願された国際特許出願公開第WO2012/093266号、2012年4月30日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL”なる名称で出願された米国特許出願第13/460,296号、2012年8月20日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR VISUALLY DEPICTING A VESSEL AND EVALUATING TREATMENT OPTIONS”なる名称で出願された国際特許出願公開第WO2013/028612号、2013年7月19日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSMENT OF VESSELS”なる名称で出願された米国予備特許出願第61/856,509号、及び2013年7月19日に“DEVICES, SYSTEMS, AND METHODS FOR ASSESSING A VESSEL WITH AUTOMATED DRIFT CORRECTION”なる名称で出願された米国予備特許出願第61/856,518号の1以上に記載されたように計算することができ、これら文献の各々は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
グラフ610は、圧力比及び/又は元となる圧力測定値を如何なる好適な態様においても示すことができる。一般的に言うと、グラフ610におけるデータの表示は、血管内の重大な病変を示し得る、圧力比及び/又は元となる圧力測定値の勾配/変化を識別するために用いることができる。この点に関し、該データの視覚的表現は、圧力測定値(又は複数の圧力測定値);圧力測定値の比;圧力測定値の差;圧力測定値(又は複数の圧力測定値)、圧力測定値の比及び/又は圧力測定値の差の勾配;圧力測定値(又は複数の圧力測定値)、圧力測定値の比及び/又は圧力測定値の差の一次又は二次導関数;並びに/又はこれらの組み合わせを含むことができる。
同様に、圧力波形プロット612は、対応する圧力データを示す。この点に関し、圧力波形プロット612は、引き戻しの間に血管を介して移動される圧力センシング装置に関する圧力波形、静止圧力センシング装置に関する圧力波形、又はこれら両方を含むことができる。図示された実施態様において、圧力波形プロット612は、両方に関する圧力波形を含んでいる。幾つかの事例において、圧力波形プロット612は、圧力比計算のために用いられる診断ウインドウに対する圧力データを強調又はそれ以外で目立たせるように増強される。
図9に示されるように、スクリーン表示600は、データが“ライブ(Live)”モードで表示されていることを示すボタン626を含み、該モードは、グラフ610、圧力波形プロット612及び/又はウインドウ614を含むスクリーン表示600が、手順が実行されている間にリアルタイムに更新されていることを示す。他の事例において、スクリーン表示600のボタン626は“再生(Playback)”又は“再吟味(Review)”モードにあることを示し、これは当該スクリーン表示600が以前に取得されたデータを示していることを示す。“ライブ”モードに関し、前記診断ウインドウの決定及び/又は前記圧力差の計算は、心拍サイクルの診断ウインドウを識別し、圧力差を計算するために大凡リアルタイム又はライブで実行されることに注意すべきである。この点に関し、本開示の前後関係において圧力差を“リアルタイム”又は“ライブ”で計算するとは、データ収集から10秒以内に行う計算を含むと理解される。しかしながら、“リアルタイム”又は“ライブ”計算は、しばしば、データ収集から1秒以内に実行されると理解される。幾つかの事例において、“リアルタイム”又は“ライブ”計算はデータ収集と同時に実行される。幾つかの事例において、斯かる計算は、プロセッサによりデータ収集の間の遅延時間内に実行される。例えば、データが圧力センシング装置から5ms毎の1msの間に収集される場合、当該プロセッサは、データ収集の間の4msにおいて計算を実行することができる。これらのタイミングは例示のためのみのものであり、データ収集率、処理時間及び/又は当該計算に関わる他のパラメータは様々であると理解される。他の実施態様において、圧力差の計算はデータ収集の10秒以上後に実行される。例えば、幾つかの実施態様において、診断ウインドウを識別し及び/又は圧力差を計算するために使用されるデータは、後の分析のために記憶される。
計算された圧力差を閾値又は所定の値と比較することにより、医師又は他の治療医療要員は、もしあるなら、治療が施されるべきと判断することができる。この点に関し、幾つかの事例において、閾値(例えば、0.00〜1.00のスケールにおける0.80)を超える算出された圧力差は第1治療モード(例えば、治療無し、薬物治療等)を示す一方、該閾値より低い算出された圧力差は第2の一層侵襲的治療モード(例えば、血管形成、ステント等)を示す。幾つかの事例において、上記閾値は固定されたプリセット値である。他の事例において、上記閾値は特定の患者及び/又は患者の特定の狭窄に対して選択される。この点に関し、特定の患者に対する閾値は、経験的データ、患者の特徴、患者の履歴、医師の好み、利用可能な治療オプション及び/又は他のパラメータに基づくことができる。
図9には、関心領域630も示されている。該関心領域630は、システム150により血管内の劇的圧力変化等の当該器具からの異常な測定値に基づいて指定され得る。この実施態様において、関心領域630は血管内の急激な圧力変化に中心を合わされている。システム150により斯様な関心領域630が識別された場合、スクリーン表示600は、該関心領域630の更なる診断測定を行うための1以上のオプションを示すことができる。従って、スクリーン表示600は、図9に示されたように、医療専門医に対して、三次元血管造影図により更に確認することができるような、当該血管の識別された部位に対するIVUS測定を実行するよう促す。
図9のスクリーン表示600のグラフ610オプションウインドウ614に示される圧力差測定値の色付け及び/又は他の視覚的に区別する態様は、幾つかの事例では、上記閾値に基づいて構成することができる。例えば、第1のカラー(例えば、緑、白又はそれ以外)を当該閾値より十分に高い値(例えば、当該閾値が0.00〜1.00なるスケール上で0.80である場合、0.90を超える値)を表すために使用することができ、第2のカラー(例えば、黄色、灰色又はそれ以外)を当該閾値より高いが該閾値に近い値(例えば、当該閾値が0.00〜1.00なるスケール上で0.80である場合、0.81と0.90との間の値)を表すために使用することができ、第3のカラー(例えば、赤、黒又はそれ以外)を当該閾値以下の値(例えば、当該閾値が0.00〜1.00なるスケール上で0.80である場合、0.80以下の値)を表すために使用することができる。更に、幾つかの事例において、グラフ610は閾値(又は複数の閾値)を表す1以上の水平線又は他の表示を含む。閾値に対する圧力差の相対値を視覚的に表すために、如何なる数の色の組み合わせ、スケーリング、分類及び/又は他の特徴を利用することができると理解される。しかしながら、簡略化のために、出願人は本明細書では多数の変形例を明示的に説明するものではない。
図10は、“限局性(focal)”、“中程度(moderate)”、“深刻な(severe)”、“びまん性(diffuse)”、“長い(long)”、“短い(short)”、“多発性(multiple)”及び“多重性(multi)”を含む、当該システム150により識別することができる病変の幾つかの分類の図を示す。病変810は、血管100の上側部分116及び下側部分118の両方におけるプラーク蓄積により形成される。プラーク蓄積の上側及び下側部分116、118の間の距離802の減少の結果、該プラーク蓄積が血管100を介して流体が流れるための空間を減少させる故に圧力の減少を生じさせる。この圧力低下は、当該病変の機能的強度として参照することもできる。病変の分類は、斯かる機能的強度及び血管100にわたる圧力低下の長さから導き出すことができる。特に、上記機能的強度又は当該圧力損失の傾斜を、FFR、iFR、CFR及び血管造影等の生理学的測定値の位置合わせ等の技術を用いて当該血管の長さにマッピングすることができ、当該分析の結果を、以下に記載されるような病変分類を含む分類指標と比較することができる。
病変810は、相対的に短い長さにわたり急激な圧力損失を生じ、“限局性”と分類される。限局性病変は深刻度が非常に多様であり得、血管100の断面をどれだけ減少させるかに従って更に分類することができる。これは、距離802又は縮小された血管のパーセンテージの何れかにより計測することができる。病変は多数の異なるサイズの血管で発生し得るので、パーセンテージによる分類が好ましいであろう。幾つかのケースにおいて、“中程度”の限局性病変は血管100を20〜60%狭める一方、“深刻”な限局性病変は血管100を60〜100%狭める。
限局性病変とは対照的に、他の病変は血管の一層長い長さにわたって緩やかな圧力低下を生じる。例えば、病変820は“びまん性”と分類される。図示されたように、びまん性病変は、しばしば、血管100の長さに沿って凹凸のあるプラーク蓄積を示す。びまん性病変は、更に、病変の長さ806(即ち、プラークが血管100の両側に延びる該血管に沿った距離)に基づいて分類することもできる。一実施態様においては、5mmを超える長さの病変が“長い”と分類される一方、5mm以下の長さである病変は“短い”と分類される。幾つかの事例においては、例830に示されたもののように、血管100内に複数の病変が存在する。病変が互いに近い場合、例830は“多発性”病変分類と考えることができる。病変の間の距離808は、これら病変が別個の限局性病変であるか又は組み合った複数病変であるかを決定し得る。一実施態様において、病変が10mm未満しか離れていない場合、これら病変は多発性病変と考えることができる。病変840は、血管100の両側に複雑なプラーク蓄積形状を示している。この場合、2つの病変が血管内で重なり合っており、該病変840は“多重性”と分類することができる。この分類は、プラーク蓄積の領域の間に距離808は存在しないが、狭められた部位が血管100に沿って2以上の点で発生しているような、互いに近い複数の病変を含む。本開示の該分類処理は、疑わしい病変の位置における血管生体構造を調べることを含むことができる。特に、血管分岐の周辺におけるプラークの存在は、圧力測定値が分岐の結果として大きく変化し得るので、異常な分類につながり得る。
図11は、本開示の一実施態様による、患者の血管内の病変を識別及び分類するための患者の血管系を評価する方法1000のフローチャートである。方法1000は、図4のシステム150等の、本明細書に記載されるシステムにより実施することができる。図11に示されるように、方法1000は複数の列挙されたステップ又は動作として図示されている。方法1000の実施態様は、これらの列挙されたステップの前に、後に、間に又は一部として追加のステップ若しくは動作を含むことができる。ステップ1002において、方法1000は血管系の画像から画像データを取得するステップを含むことができる。このステップは、血管造影図データ等の画像データを取得するために電子健康記録記憶システム等のネットワーク化された記憶部と通信することにより実施することができる。上記血管造影図データは、二次元血管造影画像、三次元血管造影画像及び/又はコンピュータトモグラフィ血管造影(CTA)画像を含むことができる。血管造影図データの一例は、血管造影図504を含む、図5〜図8のユーザインターフェース500に見ることができる。
ステップ1004において、当該方法1000は、当該患者の血管内に配置された第1器具及び第2器具から、該第2器具が該血管を介して長さ方向に第1位置から第2位置へ移動される間に生理学的測定値を取得するステップを含むことができる。1以上の診断測定値(例えば、FFR及びiFRを含む圧力ベースのもの、CFRを含むフローベースのもの等)を、生理学的測定値を集めて、患者の血管構造内の病変又は複数の病変の存在及び/又は深刻度を明らかにするために使用することができる。例えば、FFRが用いられる場合、相対的に高いFFR(例えば、0.80より大きい)を持つ患者の血管構造の領域は病変又は複数の病変を持たないと見なされる一方、相対的に低いFFR(例えば、0.80未満)を持つ領域は病変又は複数の病変を持つと見なされる。生理学的測定値は、当該測定値に関連付けられた少なくとも何らかの位置情報を提供するような態様で取得することができる。
ステップ1006において、当該方法1000は、生理学的測定値を画像データと位置合わせして、位置合わせされた生理学的測定値を生成するステップを含むことができる。該位置合わせされた生理学的測定値は重ね合わせ態様で表示することができ、これら生理学的測定値が血管造影画像データと関連されて視覚化されるようにする。一例を、図5〜図8のユーザインターフェース500に見ることができる。生理学的測定値を画像データと位置合わせすることにより、システム150は医師又は複数の医師に付加的な見方を提供することができる。当該画像は患者の血管構造の物理的寸法(次元)を示すことができる(このことは、1以上の病変を識別するために十分であろう)一方、当該生理学的測定値は血管構造に対する病変の影響又は効果を示すことができる。幾つかの実施態様において、生理学的測定値を画像データと位置合わせするステップは、データファイル内で、各生理学的測定値を血管系内の位置と位置合わせするステップ、各生理学的測定値に対する対応する位置を画像データにより識別するステップ、及び、位置合わせされた生理学的測定値のデータファイルにおいて、各生理学的測定値を血管系の画像内の対応する位置に関連付けるステップを含むことができる。幾つかの実施態様において、生理学的測定値を位置合わせするステップは、位置合わせされた生理学的測定値を含む新たなデータファイルを生成することができる。
位置合わせは、撮像システムからのデータ(血管造影画像、X線画像、CT画像、PET画像、MRI画像、SPECT画像、及び/又は患者の血管構造の二次元若しくは三次元管腔外描写等)を器具130、132及び/又はシステム150(図4に示されるような)の器具152、175により取得されるデータと重ね合わせることにより達成することもできる。幾つかのケースにおいて、血管の輪郭、位置、枝及び他の特徴構造等の当該血管系の特徴構造を特徴付ける又は詳述する情報は、患者の血管構造内の個々の血管を自動的に識別すると共に患者に関する完全な血管マップを蓄積するためのベースラインとして役立てるために使用される。
ステップ1008において、当該方法1000は血管内の病変の分類を決定するために上記の位置合わせされた生理学的測定値を分析するステップを含むことができる。病変が位置され得る可能性のある関心領域が、システム150により、位置合わせされた圧力測定値及び該測定値の解剖学的前後関係に基づいて識別される。可能性のある病変位置は、血管の予期しない狭まり又は狭窄の近くの側枝の存在等の解剖学的な生理学的データに基づくものとすることもできる。当該識別において考慮することができる他の生理学的情報は、優性分類、病変の閉塞の程度、血管系における血管の曲がりの程度、病変領域の石灰化の程度を含む。当該識別は、データベースからの以前に記録された生理学的測定値に対する現在の生理学的測定値の比較に基づくものとすることもできる。当該分析の一部及び当該推奨案の策定をなす他の情報源は、年齢、性別、又は糖尿病若しくは高血圧等の既存欠陥等の患者履歴を含む。可能性のある病変を識別した後、システム150は当該病変を機能的パラメータに基づいて分類する。一般的に、該分類は心臓血管の圧力強度及び病変長測定値に依存する。システム150により識別することができる病変の分類は、“限局性”、“中程度”、“深刻な”、“びまん性”、“長い”、“短い”、“多発性”、“多重性”又は他の適切な分類を含む。これらの分類の各々を行う基準は、図10に関連して説明された。
ステップ1010において、当該方法1000は当該病変の識別及び分類をユーザに対して表示するステップを含むことができる。幾つかの実施態様において、このような情報は、図5〜図8に示されたもののような、ユーザインターフェース500上に自動的に表示される。これらの識別及び分類は、手順の過程の間において診断をガイドする助けとするために医療要員により読み取られ得る。更に、これら識別及び分類は、教育用としても用いることができる。例えば、当該病変の識別及び該識別を行うために使用された分析においてシステム150により使用された要因を、患者又は家族若しくは患者の介護者に提示して、医療専門家の論拠又は将来の手順の可能性を説明する助けとすることができる。
尚、当業者であれば、上述した装置、システム及び方法は種々の態様で変更することができると理解するであろう。従って、当業者であれば、本開示に含まれる実施態様は上述した特定の例示的実施態様に限定されるものではないと理解するであろう。この点に関し、解説的な実施態様が図示及び記載されたが、上述した開示内において広範囲の修正、変更及び置換が想定されるものである。このような変形は上述のものに対して本開示の範囲から逸脱することなしに実施することができると理解される。従って、添付請求項は、本開示に一貫した態様で広く解釈されるべきであると理解される。