本発明は、概して、ガイディング・カテーテル、ガイド・カテーテル拡張具、マイクロ・カテーテル、及び他のカテーテル管などの、患者の脈管系部を通過させる、または他の体内腔へ挿入させることが可能な、介入処置用医療デバイスの管状構造(または管)のための、複数のカット・パターン・デザインに関する。管(またはそれの一部分)は、その全長に渡って直径が実質的に均一であってもよい。択一的に、管は、その全長に渡って直径が変化してもよい(例えば、テーパ付きの構成)。テーパは、いずれの方向であってもよく、また、管の一部分に沿ってのみ存在してもよい。管は、金属材料(例えば、ステンレス・スチール)または合金、例えば、管に耐キンク性を授けるニチノール等の形状記憶材料から形成できる。択一的に、管は、ポリマー、ガラス充填ポリマーまたは金属ポリマー複合体から形成されてもよい。所望のカットまたは蝕刻パターンを含んでもよい管の外面は、さらに、ポリマー・ジャケット材で封入または被覆されてもよい。管の内面は、スムーズで滑らかな面を有するポリマー内部ライニングで内張りされてもよい。
本発明の管カット・パターンの一つの実施形態を、図2A及び図2Bに示す。管200は、長軸203(L)、近位端201、遠位端202及びボディ、すなわち管壁を有する。管壁は、複数のゾーン1〜7を含むカット・パターンを有し、それらゾーンは、長軸Lに沿って設けられる。複数のゾーンが、管のいずれの部分に沿って設けられても、または単一のゾーンが、管全体を含んでもよい。管の長さは、LAとして示されている。各ゾーンは、帯域または行の状態で管の円周に渡って分布する放射状に対称なカットアウト・セグメントから構成される複数のユニット(またはグループ)を含む。帯域または行は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000、nユニットまでを有してもよい。図2A及び図2Bにおいては、各帯域または行内に五つのユニットが存在する。帯域または行毎のユニット数は、二つの異なるゾーン内において同じであっても、異なってもよい。図2Bに示すように、七つのゾーンの各々からのユニットは、各々210、220、230、240、250、260、270と特定される。カットアウト部分の各ユニットは、各セグメントが中心点または対称中心から放射状に延在する三つのカットアウト・セグメントを含んでもよい。カットアウト・セグメントは、3回の回転対称性を有し、各カットアウト・セグメントが、対称中心の周りに、近隣カットアウト・セグメントから120度回転されている。各ゾーン内において、カットアウト・セグメントのすべてのユニットは、等しい開口表面積(開口表面積とは、隣接に設けられたセグメントの輪郭によって包囲された領域)、及び、等しいカット・パターン周囲長、すなわち、カットアウト・セグメントの形状に沿ってトレースした場合の実線の長さを有してもよい。異なるゾーンを横切って、カットアウト・セグメントのユニットは、図に示すゾーン番号が増加するゾーン内で、より大きな表面積及びより長いカット・パターン周囲長を有してもよい。例えば、開口表面積は、ゾーン1のユニット<ゾーン2のユニット<ゾーン3のユニット<ゾーン4のユニット<ゾーン5のユニット<ゾーン6のユニット<ゾーン7のユニットとランク付けされ、カット・パターン周囲長のランクは、ゾーン1のユニット<ゾーン2のユニット<ゾーン3のユニット<ゾーン4のユニット<ゾーン5のユニット<ゾーン6のユニット<ゾーン7のユニットとなる。図示のように対称性の中央点(対称中心)の周りに3回の回転対称性を有するカットアウト部分のパターンは、本明細書において、「トリプレックス」パターンまたは「トリプレックス」カットとも呼ばれる場合がある。
図2A及び2Bにおけるトリプレックス・ゾーン1〜7は、長さLAを有する管の長軸203に沿って順次設けられるように示されている。図示の構成は、管の全長に沿って近位端201から遠位端203へ、無カット表面積被度を徐々に減少させるため、近位端201から遠位端203へ管200の屈曲柔軟性を徐々に向上させることが可能である。図2Bの七つのゾーンは、説明目的のためにのみ、順に、すなわち1〜7に設けられるよう示されている。他の実施形態においては、ユニットを含むゾーンは、長軸に沿ういずれの箇所またはセクションにおける屈曲柔軟性への所望の変化を提供するよう、長軸に沿ってどの順序で設けてもよい。管は、少数のゾーン、1、2、3、4、5または6を、または、より多くのゾーン、7、8、9、10、11、12、13、14または15を備えてもよい(例えば、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000からnまでの異なるゾーン等の、より大きな数も可能である)。ゾーンは、異なるカットアウト表面積及び異なるカット・パターン周囲長を有し、管の全長に沿ういずれの箇所における管の柔軟性を調節するために、例えば、ゾーン1、ゾーン6、ゾーン7、ゾーン4、ゾーン5、ゾーン3、ゾーン2等、どの順序で設けられてもよい。
図2A及び2Bに示すように、ゾーン1〜5の各々は、カットアウト・セグメントのユニットの二つの隣り合う行または帯域を含んでもよい(例えば、図2Aでは、ゾーン1内の帯域及びゾーン2内の帯域は、各々、204、205、及び206、207として図示されている)(本明細書においては、用語、行または(複数の)行は、用語、帯域または(複数の)帯域と相互に置換可能に使用される)。各々は、管の円周に設けられるので、行または帯域は、円周行または帯域と呼んでもよい。行または帯域内のユニットは、管の円周に直線的に分布する。説明目的のためにのみ、ゾーン1及びゾーン2のユニットを含む帯域は、各ユニットに対する対称中心(Cs)と交差しながら各帯域の中心を通る破線で示している。ゾーン1に対する破線は204及び205であり、ゾーン2に対する破線は206である(図2A)。ゾーン内のユニットの帯域または行に関しては、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000、nまでの帯域または行を含み、他の数も可能である。
帯域内のユニット間の間隔は図2Aに、dcとして示す。dcは、同じ帯域内の二つの近隣ユニットの対称中心Cs間の距離である(例えば、204を参照)。間隔dcは、単一の帯域内では等しく、異なるゾーン内でも管の全長に渡って一定であってもよい。例えば、ゾーン1、ゾーン2及びゾーン3等のゾーン内の帯域間の間隔は、d1(204〜205)、d2(206〜207)及びd3(208〜209)として示されており、d1=d2=d3である。この場合の間隔は、各ゾーン内の帯域の対称中心Csを通過する線分204、205、206、207、208及び209の間で測定される。ゾーン間の間隔、例えば、ゾーン1〜ゾーン2、d12(205〜206)、ゾーン2〜ゾーン3、d23(207〜208)、及びゾーン3〜ゾーン4、d34(209〜211)は、d12=d23=d34であり、この場合の間隔は、線分204、205、206、207、208、209及び211の間で測定される。一つの実施形態においては、ゾーン内の帯域間の間隔は、例えば、d1=d2=d3=d12=d23=d34等、二つの異なるゾーンの間における二つの帯域の間隔に等しくてもよい。他の実施形態においては、ゾーン内の帯域間の間隔は、例えば、d1=d2=d3>d12=d23=d34またはd1=d2=d3<d12=d23=d34等、二つの異なるゾーン内の帯域間の間隔よりも大きくても、少なくてもよい。
管の一つの実施形態の全体構成を図2Bに示す。各ゾーンの境界は、以下のように図示されている。ゾーン1、212、213、ゾーン2、214、215、ゾーン3、216、217、ゾーン4、218、219、ゾーン5、221、222、ゾーン6、223、224、及びゾーン7、225、226。ゾーンの境界は、相互に重なり合っている。各ゾーン内のユニットは、ゾーン1、210、ゾーン2、220、ゾーン3、230、ゾーン4、240、ゾーン5、250、ゾーン6、260、及びゾーン7、270として示されている。
図2A〜2Cに示すように、ゾーン内のユニットのすべてのカットアウト・セグメントは、同じ配向を有してもよい。または、カットアウト・セグメント231−232、233−234、及び235−236を比較すれば明らかなように、各行204及び205に対する対称中心を通る線分に関して同相である。ゾーン内の隣接帯域または行のカットアウト・セグメントは、同じ配向を有してもよい。または、231−237、及び235−238を比較すれば明らかなように、各行204及び205に対する対称中心を通る線分に関して同相である。言い換えれば、ゾーン内の一つのユニットの対応するカットアウト・セグメントは、近隣ユニットのカットアウト・セグメントに平行である。同じゾーン内にあっても隣接帯域内のユニットの対称中心Csは、図2Cに示すように、一つのユニット分変位している。二つの隣接ゾーン、例えばゾーン1及びゾーン2間では、同じゾーン内のユニットに対する、または帯域一つおきに、例えば1、3、5、7等の帯域にある隣接ゾーン内のユニットに対する対称中心間で直線239が引けるよう、ユニットが帯域の円周に沿って変位される。異なる帯域内の対称中心Csは、帯域一つおきに同じ線分に沿って降下する。図2Dに参照線分281及び282を示す。言い換えれば、各ユニットの対称中心は、第一の帯域から一つの帯域分だけ分離された第三、第三、第五などの帯域内の第二のユニットの対称中心と、管の円周上における同じ箇所に配置される。
柔軟性という観点での材料及び構造必要条件に応じて、どの箇所においても管の厚さは、例えば、約0.05mm〜2mm、例えば、0.05mm〜約1mm、約0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm等、変化させてもよい。管部分の内腔の内径(ID)も、例えば、約0.1mm〜約2mm、または約0.25mm〜約1mm、例えば、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm等、変化させてもよい。管の内腔の外径(OD)も、例えば、約0.2mm〜約3mm、例えば、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.6mm、約0.7mm、約0.8mm、約0.9mm、約1mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、約2.0mm等、変化させてもよい。管壁の厚さ、内径ID及び外径ODは、各々管の全長に渡って一定であっても、または管の全長に沿って変化してもよい。
図3A及びB〜図9A及びBは、ゾーン1〜7からのユニットを示す拡大図である。これらの図におけるユニットは、管(管壁)に存在するカットアウト・セグメントの場合のように他のゾーンから重なり合うユニットを含まずに、カットアウト・セグメントとしてのみ図示されている。図3Aは、三つのカットアウト・セグメント303、304及び305を有する、ゾーン1からのユニットを示す。カットアウト・セグメントは、二つの直線部分309a、309bによって形成され、二つの曲線部分307及び311によって塞がれる。カットアウト・セグメント300に対する曲線部分は、各々位置308及び310から始まる。一つの実施形態においては、カットアウト306の幅の半分は、曲線部分307、311の半径に等しい。カットアウト・セグメント303、304及び305の開口表面積は、各々300、301及び302である。図示の実施形態におけるカットアウト・セグメント、303、304及び305は、幅306の半分に等しい距離で、対称中心Cs、312から等距離に配置される。言い換えれば、カットアウト・セグメント306の幅の半分に等しい半径を有する架空の円313が、カットアウト・セグメント間に配置可能である。ゾーン1からのカットアウト・パターンのカット・パターン周囲長を、図3Bに示すが、三つのカットアウト・セグメントの各々の周囲の合計である(314+315+316)。
図4Aは、ゾーン2からのユニットを示す。カットアウト・ゾーン407は、三つの隣接カットアウト・セグメント400、401、402で構成され、407の開口表面積を有する単一のカットアウト・パターンへ合併されたものである。各カットアウト・セグメントは、二つの等しい直線部分405a、405b、及び位置403から始まる曲線部分404で構成される。ユニットに対する対称中心Csは、406として示されている。各カットアウト・セグメントの直線部分は、曲線部分408によって結合されている。具体的には、図示の実施形態におけるカットアウト・セグメント400の直線部分405bは、カットアウト・セグメント401の直線部分409aに、曲線部分408によって結合されている。曲線部分404及び408の曲率半径は、変化させてもよい。幅、すなわち二つの直線部分405a、405b間の距離は、ゾーン1に示す二つの直線部分間の幅306に等しくても、短くても、または長くてもよい。ゾーン2からのカットアウト・パターンのカット・パターン周囲長は、図4Bに411として示す。
図5Aは、ゾーン3からのユニットを示す。ユニットは、対称中心が500として示されており、三つの隣接カットアウト・セグメント501、502、503で構成され、開口表面積514を有する。各カットアウト・セグメントは、二つの直線部分504a、504b、及び位置507から始まる曲線部分506、516で構成される。曲線部分の開口表面積は、513としてクロス・ハッチで示す。曲線部分506の形状は変化させてもよい。図には、単一の実施形態のみを示している。カットアウト・セグメントは、位置508から始まる曲線部分512によって結合される。図示のように、二つの等しい直線部分504a及び511bが、曲線部分512によって結合されている。曲線部分512の湾曲の度合いは変化させてもよい。二つの直線部分504a、504b間の幅515は、図4aに示すゾーン2内の二つの直線部分間の幅410に等しくとも、それ未満であっても、または広くともよい。直線部分504a、504bの長さは、ゾーン2内の直線部分405a、405bよりも短くても、それに等しくても、または長くてもよい。図示の実施形態における直線部分は、504a=504b<405a=405bである。ゾーン3からのカットアウト・パターンのカット・パターン周囲長は、図5Bに517として示す。
図6Aは、ゾーン4からのユニットを示す。ユニットは、対称中心Csが600として示され、三つの隣接カットアウト・セグメント601、602、603で構成され、開口表面積614を有する。各カットアウト・セグメントは、二つの直線部分604a、604b、及び位置607から始まる曲線部分606で構成される。曲線部分の開口表面積は、613としてクロス・ハッチで示す。曲線部分606の形状は変化させてもよい。図には、単一の実施形態のみを示している。カットアウト・セグメントは、位置608から始まる曲線部分612によって結合される。図示のように、二つの等しい直線部分604a及び604bが、曲線部分612によって結合される。曲線部分612の湾曲の度合いは変化させてもよい。二つの直線部分604a、604b間の幅615は、図5aに示すゾーン3内の二つの直線部分間の幅515に等しくても、それ未満であっても、またはそれよりも広くてもよい。直線部分604a、604bの長さは、ゾーン3内の直線部分505a、505bよりも短くても、等しくても、またはより長くてもよい。図示の実施形態における直線部分は、604a=604b<505a=505bである。ゾーン4からのカットアウト・パターンのカット・パターン周囲長は、図6Bに616として示す。
図7Aは、ゾーン5からのユニットを示す。ユニットは、対称中心Csが700として示され、三つの隣接カットアウト・セグメント701、702、703で構成され、開口表面積714を有する。各カットアウト・セグメントは、二つの直線部分704a、704b、及び位置707から始まる曲線部分706で構成される。曲線部分の開口表面積は、713としてクロス・ハッチで示す。曲線部分706の形状は変化させてもよい。図には、単一の実施形態のみを示している。カットアウト・セグメントは、位置708から始まる曲線部分712によって結合される。図示のように、二つの等しい直線部分704a及び704bが、曲線部分712によって結合される。曲線部分712の湾曲の度合いは変化させてもよい。二つの直線部分704a、704b間の幅715は、図6aに示すゾーン4内の二つの直線部分間の幅615に等しくても、それ未満でも、またはそれよりも広くてもよい。直線部分704a、704bの長さは、ゾーン4内の直線部分605a、605bよりも短い、等しい、またはそれよりも長い。図示の実施形態における直線部分は、704a=704b<605a=605bである。ゾーン5からのカットアウト・パターンのカット・パターン周囲長は、図7Bに716として示す。
図8Aは、ゾーン6からのユニットを示す。ユニットは、対称中心Csが800として示され、三つの隣接カットアウト・セグメント801、802、803で構成され、開口表面積814を有する。各カットアウト・セグメントは、二つの直線部分804a、804b、及び位置807から始まる曲線部分806で構成される。曲線部分の開口表面積は、813としてクロス・ハッチで示す。曲線部分706の形状は変化させてもよい。図には、単一の実施形態のみを示している。カットアウト・セグメントは、位置808から始まる曲線部分812によって結合される。図示のように、二つの等しい直線部分804a及び804bが、曲線部分712によって結合される。曲線部分712の湾曲の度合いは変化させてもよい。二つの直線部分804a、804b間の幅815は、図7aに示すゾーン5内の二つの直線部分の幅715に等しくても、それ未満であっても、またはそれよりも広くてもよい。直線部分804a、804bの長さは、ゾーン5内の直線部分705a、705bよりも短い、それに等しい、またはそれよりも長い。図示の実施形態における直線部分は、804a=804b<705a=705bである。ゾーン6からのカットアウト・パターンのカット・パターン周囲長は、図8Bに816として示す。
図9は、ゾーン7からのユニットを示す。ユニットは、対称中心Csが900として示され、三つの隣接カットアウト・セグメント901、902、903で構成され、開口表面積914を有する。各カットアウト・セグメントは、二つの直線部分904a、904b、及び位置907から始まる曲線部分906で構成される。曲線部分の開口表面積は、913としてクロス・ハッチで示す。曲線部分906の形状は変化させてもよい。図には、単一の実施形態のみを示している。カットアウト・セグメントは、位置908から始まる曲線部分912によって結合される。図示のように、二つの等しい直線部分904a及び911bが、曲線部分912によって結合される。曲線部分912の湾曲の度合いは変化させてもよい。二つの直線部分904a、904b間の幅915は、図8aに示すゾーン6内の二つの直線部分間の幅815に等しくても、それ未満でも、またはそれよりも広くてもよい。直線部分904a、904bの長さは、ゾーン6内の直線部分805a、805bよりも短い、それに等しい、またはそれよりも長い。図示の実施形態における直線部分は、904a=904b<805a=805bである。ゾーン7からのカットアウト・パターンのカット・パターン周囲長は、図9Bに916として示す。
ゾーン1からゾーン7を横切るユニットの移行の概要を、図10A〜10Hに示す。ゾーンを横切る寸法には、以下の特徴がある。異なるゾーンを横切るカットアウト領域の開口表面積には、以下の順位がある。(300+301+302)<407<514<614<714<814<914。曲線部分の開口表面積の順位は、以下の通りである。513<613<713<813<913。直線部分のランクは、以下の通りである。904a=904b<805a=805b<704a=704b<605a=605b<505a=505b。カット・パターン周囲長の順位は、(314+315+316)<411<517<616<716<816<916である。複数のゾーンを横切る開口表面積またはカット・パターン周囲長の変化は、直線的または指数関数的であっても、階段状または方形波関数を帯びても、また、上昇、下降、一定、連続または不連続であってもよい。
いずれのゾーン内においても、ユニットを形成するカットアウト・セグメントは、対称中心Csの周りに、どのような対称形状を採ってもよい。ユニット内には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはnカットアウト・セグメントが存在してもよい。カットアウト・セグメントは連続的であっても、または別個であってもよい。例えば、カットアウト・セグメントは、円、または、六角形または八角形などの対称形の、n辺を有する多角形を形成してもよい。異なるゾーンは、同じ、または異なる対称形状を有してもよい。これらの実施形態における幾何学的な規則は、上記説明のトリプレックス・カットアウト・セグメントに対するものなので、ゾーン内及びゾーンを横切っての両方において同じである。具体的には、ユニットは帯域内に配置される。帯域または行は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、1000、nユニットまでを有してもよい。帯域内のユニット間の間隔は、dcとして表す。dcは、帯域内の二つの近隣ユニットの対称中心Cs間の距離であり、dcは、単一の帯域内においては等しく、また、異なるゾーン内においても管の全長に渡って一定であってもよい。ゾーン内の、及びゾーンを横切っての帯域間の間隔も同じであってもよい。ゾーン内のユニットのすべてのカットアウト・セグメントは、同じ配向を有してもよい。または、各行または帯域に対する対称中心を通る線分に関して同相である。ゾーン内の隣接帯域または行内のカットアウト・セグメントは、同じ配向を有してもよい。または、各行に対する対称中心を通る線分に関して同相である。同じゾーン内にあっても隣接帯域内のユニットの対称中心Csは変位される。二つの隣接ゾーン間では、隣接ゾーン内のユニットに対する対称中心間で直線が描けるよう、ユニットは帯域の円周に沿って変位される。異なる帯域内の対称中心Csは、帯域一つおきに同じ線分に沿って降下する。言い換えれば、各ユニットの対称中心は、第一の帯域から一つの帯域分だけ分離された第三、第三、第五などの帯域内の第二のユニットの対称中心と、管の円周上における同じ箇所に配置される。
一本の管が複数のゾーンを含んでもよい。例えば、管は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15ゾーンを備えてもよい(例えば、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、nまでの異なるゾーン等、より大きな数も可能である)。管が複数のゾーンを含む場合、異なるゾーンを横切って、開口表面積及びカット・パターン周囲長に変化があってもよい。例えば、カットアウト・セグメントが六角形に形成され、七つのゾーン、第一のゾーン、第二のゾーン、第三のゾーン、第四のゾーン、第五のゾーン、第六のゾーン及び第七のゾーンが存在する場合、開口表面積及びカット・パターン周囲長に対する順位は、以下の通りである。第一のゾーンのユニット<第二のゾーンのユニット<第三のゾーンのユニット<第四のゾーンのユニット<第五のゾーンのユニット<第六のゾーンのユニット。ゾーン毎に同数のユニットが存在する場合、ゾーンにも順位が適用される。複数の異なるゾーンを横切る開口表面積またはカット・パターン周囲長の変化は、直線的または指数関数的であっても、階段状または方形波関数を帯びても、また、上昇、降下、一定、連続または不連続であってもよい。
例えば、円またはn辺多角形などの、他のカットアウト・セグメントから形成された実施形態においては、無カット部分を横切る幅が変化されてもよい。すなわち、幅が減少されてもよい。幅のこの減少は、開口表面積1004の増加になる。いずれのゾーン内のユニット内の無カット表面積の開口表面積を増加させることによって、カットアウト・セグメントの開口表面積をそのように増加させたユニットから構成される部分の柔軟性は増加する。
カットアウト・セグメントが除去された後に留まる管壁部分は、管の全長に渡って変化してもよい。また、カットアウトの開口表面積とは逆相関関係になる。この逆相関関係は、例えば点刻を含む黒などの暗色で示す管の残留無カット面と対比させて、白または無印でユニットのカットアウト・パターンを示す図11A〜11Eから明白である。ゾーンは、以下のように標識されている。ゾーン1、図11A、ゾーン3、図11B、ゾーン4、図11C、ゾーン5、図11D及びゾーン6、図11E。図から明白であるが、残留する暗色、例えば点刻を含む黒、すなわち管壁の無カット素材は、ユニット内のカットアウト領域の開口表面積が増加するにつれ、減少する。すなわち、無カット領域は、カットアウト表面積と逆に相関にある。管の柔軟性は、管の全長に沿う種々の位置で一つ以上のゾーンを組み合わせることによって、管に沿うどの位置においても正確に制御可能である。管の柔軟性は、開口表面積に明らかに相関している。言い換えれば、カットアウト・セグメントの開口表面積が増加するにつれ、より大きなカットアウト・セグメントを有するユニットで構成されるゾーンの柔軟性は増加する。反対に、柔軟性は、無カット領域とは逆相関にある。無カット表面積が増加するにつれ、柔軟性は低下する。
ゾーンが組み合わされる場合、種々のゾーンを横切って黒で示す残留無カット領域に、連続的な移行があってもよい。管上いずれの一箇所の全無カット領域は、各ゾーン内の帯域数及びカットアウト・セグメントの寸法(特定ユニットの開口表面積)を含む複数の要因に依存する。各ゾーンの帯域数が一定である場合、無カット表面積に対する順位は、ゾーン1のユニット>ゾーン2のユニット>ゾーン3のユニット>ゾーン4のユニット>ゾーン5のユニット>ゾーン6のユニット>ゾーン7のユニットである(言い換えれば、ゾーンを横切る無カット領域の減退がある)。また、管の柔軟性の順位は、ゾーン1<ゾーン2<ゾーン3<ゾーン4<ゾーン5<ゾーン6<ゾーン7である(柔軟性は、開口表面積に明らかに相関し、無カット領域とは逆相関である)。複数の異なるゾーンを横切る柔軟性の変化は、直線的または指数関数的であっても、上昇する、下降する、一定の、不連続なまたは連続的な階段状または方形波関数を帯びてもよい。
図11Fは、各ゾーン内のユニットの帯域数が同じでない一つの実施形態を示す。
図12Aは、ゾーン7内のユニットを示す。図12のゾーン7のユニット内のセグメントの無カット領域は、ストライプで示されている。ゾーン7内のカットアウト・セグメントの開口表面積1004は、以下のように増加させてもよい。A、B、Cを含むカットアウト・セグメントに対する対称中心は1000である。図は、ゾーン7からの、三つの他のユニットの一部1001、1002及び1003を示す。いかなる無カット部分を横切る幅1005、1006、1007、1008、1009(サンプル箇所としてのみ示す)が変化されてもよい。すなわち、その幅が減少されてもよい。一つの実施形態においては、幅1005、1006、1007、1008、1009は等しくてもよい。幅1005、1006、1007、1008、1009は、均一または不均一な様式で、更に減少されてもよい。幅のこの減少は、開口表面積1004の対応する増加として、1010への増加をもたらす。ゾーン7内のユニットの無カット表面積の開口表面積を増加させることによって、そのように増加された開口表面積を有するカットアウト・セグメントのユニットから構成される部分の柔軟性は増加する。図12B及び12Cは、無カット表面積、すなわちストラット壁の幅を、各々10%及び50%減少させた光学顕微鏡写真である(寸法は、図中のバーで、マイクロメートルμMで示す)。他の実施形態においては、幅の減少は、一つのゾーン内で、または複数のゾーンを横切って開口表面積を増加させるために、どのゾーンにでも適用できるため、柔軟性の変更が可能である。
本明細書で説明のカットアウト・セグメント・パターンは、単一の薄い有壁フレームを有する編み込み及びコイル複合構成を置換、補強する、またはそれと組み合わせるために、種々のフレキシブル・シャフト・デバイスへ適用可能である。軸長に沿って異なるゾーン・パターンを採用することにより、柔軟性のみならず、トルク、柔軟性、押し出し性、軸方向圧縮及び引張りへの抵抗性、内腔径の維持及びよじれ抵抗性などの管の他の特徴も、軸長に沿って増加させる、または減少させることができる。
本明細書で説明のカットアウト・セグメント・パターン及び管の他のカット特徴は、例えば、ソリッドステート・フェムト秒レーザ・カッティング等の、本技術分野で一般的な技術を用いることによって形成できる。カットすべき管部分はマンドレルに載置し、レーザ光線と管部分との相対運動は、所望のカット・パターンを生成する命令が予めプログラムされたコンピュータで制御可能である。他の一般的な材料除去技術は、フォトエッチング、他のレーザ・プラットホーム及び放電加工(EDM)をも含む。
本発明の実施形態によれば、図13に示すように、管1300は、上記説明のトリプレックス・カット・パターンの一つ以上のゾーンを含むセクション1310、及び、例えば螺旋カット・パターン1325等の、他のカット・パターンを含む更なるセクション1320を含むことが可能である。螺旋カット・セクションは、トリプレックス・カット・パターンよりも長くても、それに等しくても、または短くてもよい。螺旋カット・セクション1320は、カット幅、ギャップ、ピッチ等の異なる螺旋パラメータを有することが可能な複数のサブセクションを含んでもよい。これにより、螺旋カット・セクションに沿う屈曲柔軟性は、要望通りに長さ方向に変化させることができる。加えて、螺旋カット・セクションは、螺旋カットが管壁に沿う連続的な螺旋を形成しない断続螺旋カット1321を含んでもよい。螺旋及び断続螺旋カット・パターンは、開示の全文が参照により本文に援用される同時係属中の米国出願第14/854,242号にも説明されている。螺旋カット・セクション及びトリプレックス・セクションのいずれか、または両方は、外側ジャケット及び/または内側ライニング内に封入されてもよい。螺旋カットは、例えば、フェムト秒ソリッドステート・カッティング・レーザ等のレーザを用いて、管壁から管材料を除去することによって形成されてもよい。螺旋カットを有して製造される管部分は、長軸の周りに螺旋状に巻かれた(残留管壁部分から構成された)リボンまたは平らなコイルと見なすこともできる。
管は、連続及び不連続を含んで複数の異なる螺旋カット・パターンを有してもよい。螺旋カット・セクションは、屈曲柔軟性の累進移行を提供してもよい。例えば、螺旋カット・パターンは、一つ以上の領域で柔軟性を増加させるために、螺旋カット・リボンの幅を変化させるピッチを有してもよい。螺旋カットのピッチは、同じ半径位置における二つの隣り合うスレッドの箇所の間の距離によって測定できる。一つの実施形態におけるピッチは、螺旋カットがカテーテルの近位から遠位端へ遷移するにつれて増加してもよい。もう一つの実施形態におけるピッチは、螺旋カットがカテーテルの近位からカテーテルの遠位端へ遷移するにつれて減少してもよい。このケースでは、カテーテルの遠位端が、より柔軟になってもよい。螺旋カットのピッチを調節することによって、カテーテルの押し出し性、よじれ抵抗性、トルク、柔軟性及び圧縮抵抗性が調節可能である。
異なるカット・パターンを有する螺旋カット・セクションは、管全長のいずれの部分に沿って分布させてもよい。螺旋カット・パターンは、管の全長に沿って連続(隣接)または不連続であってもよい。例えば、管の全長に沿って、1、2、3、4、5、6、7、〜nまでの螺旋カット・セクションが存在してもよい。この場合、各セクション内では、一定のカット・パターンが存在してもよいが、異なるセクションを横切っては、カット・パターンは、例えばピッチの観点で変化する。各セクションは、特定のセクション内に、可変ピッチ・パターンを含んでもよい。各螺旋カット・セクションは、例えば、約0.05mm〜約10mmの範囲内の、例えば、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm等の一定のピッチを有してもよい。ピッチは、各セクション内で変化させてもよい。異なる螺旋カット・セクションに対するピッチは、同じであっても、または異なってもよい。択一的に、管は、管の全長に沿って連続的に変化する螺旋カット・パターンを有してもよい。管の螺旋カット・セクションの配向または左巻き右巻きは、螺旋カット・セクション間で変化させてもよい。連続螺旋カットに関して本明細書に説明したものに類似して、中断螺旋カット・パターンは、相対的に堅い領域から相対的に柔軟な領域へ減少する可変ピッチを有してもよい。
本明細書で説明のトリプレックス・カット・パターンを有する管は、例えばカテーテル(ガイド・カテーテル拡張具とも呼ぶ)等の医療デバイスの一部として使用できる。カテーテル内へ統合される管の一つの実施形態を図14に示す。図14Aに概略的に示すように、カテーテル1600(より具体的には、ガイド・カテーテル拡張具)は、上記説明のように表面積被度が変化するトリプレックス・パターンの複数のゾーンを有する管部分1610(遠位管部分)、及び、遠位管部分1610に隣接してテーパ付きエッジを有するスカイブド(角度を付けたエントランス・ポート)カラー・トランジション・セクション1620を含んでもよい。そのテーパは、(カテーテルの遠位先端1609に最も近い)短端部1621及び(遠位先端1609から最も遠く離れた)長端部1625を有する。さらに長端部1625には、プッシュロッド(またはワイヤ/レール)1640が取り付けられる、または結合される。一つの実施形態においては、トランジション・セクション1620が不在になることがあり、このケースにおけるガイド・カテーテル拡張具は、管部分1610に直接的に取り付けられたプッシュロッドまたは管1640を含む。さらに、トランジション・セクション1620が、側面図において直線テーパ1623を含むと図示されているが、テーパに対して種々の他の形状、例えば、凸カーブ、凹カーブ、曲線カーブまたは他のより複雑な形状(正弦)(例えば、図14A、15A、15B、15Cに示すトランジション・セクションを参照)も採用可能なことは理解すべきである。これにより、概略的に傾斜する内腔開口、すなわち口が形成される。この口は、カテーテルの長軸Lに沿って遠位端1609から離れるように概略的に減少する包囲円周部分を含む(短端部1621で、包囲円周部分は、ほぼ360度、すなわち完全な管である。他方、長端部1625における包囲円周部分は、非常に小さく、例えば、10度から約50度である)。スカイブド・トランジション・セクション1620及びトリプレックス・カット・パターン管部分1610は、単一フレームまたは複数のセクションを作成するために、レーザカットによって、同じ、すなわち単一の管から形成できる。択一的に、管は、共通中心軸の周りに端と端とを合わせて設置または配置した複数の異なるフレームまたはセクションから構成することも可能である。ステンレス・スチール等の金属材料から形成可能なプッシュロッド(またはワイヤ/レール)1640は、スカイブド・トランジション・セクション1620に、溶接、インターロック、もしくは他の結合または融着法によって接合できる。
図14Bは、ガイド・カテーテル拡張具1700の一部分の平坦な、すなわち開いた状態を示す。図14Cは、図14Bに示すガイド・カテーテル拡張具の一部分の写真である。ガイド・カテーテル拡張具1700の一部分は、単一のトリプレックス・パターンを有する管1710(この場合、すべてのユニットは、同じカットアウト・セグメント、すなわち、同じ開口表面積及びカット・パターン周囲長を有する)、短端部1722及び長端部1725を有する概略的にテーパが付いたエッジを含むスカイブド・カラー・トランジション・セクション1720、及び、プッシュロッド(ワイヤ/レール)1740に溶接または結合された付着タブ1730を含む。先に述べたように、1710、1720及び1730すべては、レーザによって単一の管からカットできる。トランジション・セクション1720の短端部1722では、最も近いトリプレックス・ユニット部分1712を介して、トランジション・セクション1720のエッジから、カット1715を形成できる。カット1715の幅は変化させてもよい。このカットは、カテーテル・アセンブリの製造中、管がマンドレル上に通されるときに、管1710が圧力下で拡大、すなわち開くことを許容する。1723で示すカットのパターンは変化させてもよい。図14Bに示す実施形態におけるパターンは、サイズが減少する矩形波動パターン、すなわち1731、1732、1733、1734、1735を形成する。図示の実施形態においては、管へ巻かれると、二つの矩形波動パターンは一緒になり、柔軟なカゴのような構造を形成するため、全構造が、蛇行性経路、すなわち生体構造を通って操作されることを許容する。
一つの実施形態においては、図14Dに示すように、矩形波動パターンを示すパターンの部分に横断カット1731、1732、1733、1734、1735を導入して、セクションの柔軟性を増加させてもよい。横断カットの幅はまた、必要な柔軟性の程度に応じて変化させてもよい。概略的に、図には横断カットが直線で示されているが、方形波、正弦または曲りくねったパターンを含む他のデザインを採用してもよい。
図15A及び15Bに示すように、本発明は、管1800(すなわち、より具体的にはガイド・カテーテル拡張具)を提供する。この管は、遠位(完全な)管部分1810、短端部1821及び長端部1825を含んで(傾斜内腔開口を形成する)程度の異なる包囲円周壁部分を有する概略的にテーパが付いたエッジを含むスカイブド・カラー・トランジション・セクション1820、及びスカイブド・カラー・トランジション・セクション1820の長端部1825に結合したプッシュロッド(ワイヤ/レール)1830を含む。カテーテルの管部分1810は、概して長さ方向へのカット・パターン1880を含んでいるため、管部分1810(その中に封入される内腔)の側壁が、管の内腔部分の製造が容易なよう膨張力に対して、または、トランジション・セクションの傾斜内腔開口内への治療デバイスの挿入に対して僅かに開くことができる。概略的に、長さ方向へのカットは、図に鋸歯線として示されているが、方形波、正弦ジグザグ、方形波または曲りくねったパターンを含む他のデザインを採用してもよい。長さ方向へのカットの幅は変化させてもよい。また、周期性、すなわち反復的なパターンは必要ではない。例えば、カット・パターンは、カテーテルの長軸Lと平行に配向された直線であってもよい。
図15Cは、管部分1810がカット・パターン1880を有するカテーテル1800を示す。カット・パターン1880は、短端部1821から始まり、部分的に、または完全に管に沿って延在してもよい。図15A及び図15Bに示すように、管部分1810は、概略的に長さ方向へのカット・パターンを含まないもう一つの管部分1850に接続してもよい。しかしながら、管部分1850は、本明細書で説明する螺旋カット、断続螺旋カットまたはトリプレックス・カット・パターン等の、他のカット・パターンを含むことができる。
図15D〜15Fは、スカイブド・カラー・トランジション・セクション1820及びプッシュロッド1830の3Dレンダリングを示す。プッシュロッド1830は、別個の素材から形成されてから、プッシュロッド1830の長端部1825及び1831の間1832に形成された接合部で、クリンピング、スエージング、かしめを含むいずれかの結合方法によって長端部1825に接合されてもよい。粘着結合、溶接、鑞付けまたはハンダ付けを行ってもよい。ジョイントのデザインは、長端部1825内の長方形状開口として示されている。いかなる形状であっても、ロック及びキー・フレームワークで利用可能であるため、プッシュロッド1830は、長端部1825内へパチンと嵌ることが可能である。図15Fに示すように、プッシュロッド1830の輪郭は、長端部1825によって形成された内腔1833に対して平坦である。
図16Aは、本発明の実施形態によるカテーテル管(例えば、ガイド・カテーテル拡張具)の遠位部分1900の特定の構成要素を示す。図16Bは、図16Aに示す構成要素から組み立てた遠位部分1900を示す。図16Cは、組み立てた遠位部分1900を示す部分断面図である。図16D及び16Eは、組み立てた遠位部分1900の遠位先端近くの部分(図16D)、及び、組み立てた遠位部分1900の遠位先端から遠隔な部分を示す部分断面図である。図16A〜16Eに示すように、近位端1901及び遠位端1902を有する遠位部分1900は、単一のトリプレックス・カット・パターンを有する骨格管状フレーム1910、外側ジャケット1920、内側ライナ1930、及び、遠位端1902に配置された遠位チップ1940を含む。用語、骨格管状フレームは、図2A〜Dから図13までを含む上記説明の管に言及する。
先端部分は、近位端1941及び遠位端1942を有し、遠位端1942は、カテーテル管の内腔径Dcよりも小さな直径Dtを有する開口を形成する内方屈曲カーブを形成する。遠位端1942近くの遠位チップ1940は、遠位チップをより曲がり易くするための複数のカット1945を含んでもよい。すなわち、遠位チップが患者の脈管系内へ進められる際の血管壁への外傷を最小にするよう、より小さな「ノーズコーン」状の端部を含んでもよい。択一的に、遠位チップは直管構成を有してもよい。先端部分1940は、内部にX線不透過性材料を埋め込む、または付着させることが可能なポリマー材料から形成できる。X線不透過性充填剤は、金、プラチナ、硫酸バリウム、オキシ炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、三酸化ビスマス及びタングステンを含む(http://www.fostercomp.com/products/radiopaque-additives、2015年11月1日に検索)。
外側ジャケット1920は、ポリエーテル・ブロック・アミド(例えば、PEBA(登録商標))等のポリマー材料から形成できる。内側ライナ1930も、PTFE等の、潤滑性を向上させるポリマー材料から形成できる。ジャケットは、例えば、カテーテル管を多層単一同時押出ポリマー管状構造で封入し、管状構造を熱収縮させることによって、もしくは、浸漬コーティングまたは吹付けによりカテーテル管を被覆することによって、ポリマーから形成できる。例えば、US20040142094を参照。択一的に、繊維メッシュ外層を形成するよう、PTFE等、種々のポリマーを用いるエレクトロスピニングによって、外側ジャケットを設けることもできる。
ポリマー・ジャケット材料は、ナイロン、ポリエーテル・ブロック・アミド、PTFE、FEP、PFA、PET、PEEK等から形成できる。さらに、遠位カテーテル部分(またはカテーテルの全長)は、親ガイディング・カテーテルまたは脈管構造を通過させる際の潤滑性を向上させるために、親水性ポリマー・コーティングで被覆されてもよい。親水性ポリマー・コーティングは、高分子電解質及び/または非イオン性親水性ポリマーを含んでもよい。この場合の高分子電解質ポリマーは、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)塩、ポリ(メタクリルアミド−コ−アクリル酸)塩、ポリ(アクリルアミド−コ−メタアクリル酸)塩などを含んでもよい。非イオン性親水性ポリマーは、ポリ(ラクタム)、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、アクリル及びメタアクリル酸のホモ及びコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、無水マレイン酸ベースのコポリマー、ポリエステル類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヘパリン、デキストラン、ポリペチド等でよい。例えば、米国特許第6,458,867号及び8,871,869号を参照。
図16A〜16Eに示す構成要素は、外側ジャケット1920を骨格管フレーム1910上へ熱収縮させることによって、組み立てることができる。これにより、パターン化管壁、すなわち骨格フレームの無カット、すなわち残留部分を完全に埋め込むことができる。図16E及び16F。それから内側ライナ1930を、熱または他の結合方法によって外側ジャケット1920に付着できる(注記、外側ジャケットはスティップリングで示され、内側ライニングはクロスハッチングで示されている)。内側ライナは、外側ジャケットに対する被覆工程内に統合させてもよいが、それがどの程度統合可能かは材料に依存する。図16Dに示すように、内側ライナ1930は、骨格管1910の遠位端を超えて遠位へ延在可能であり、遠位チップ1940のボディに直接融合できる。図16A〜16Gに示すように、外側ジャケット及び内側ライナは、骨格フレーム1910を封入するために用いられる。骨格フレーム1910は、図16Gに示すように、内側ライナ1930の最外面へも結合される。加えて、外面として共形カバーを浸漬コーティング及び形成することは、層間に骨格フレーム(管)を捕獲、すなわち埋め込むことを可能にする。これによって、複合外側ジャケット材が形成される。管自体、すなわち骨格管フレームは、トリプレックス、螺旋、またはパターンの組み合わせ、もしくは本明細書で説明のリンクされた複数の管状部分を含むことができる。外側ジャケット1920及び内層1930が完全に組み付けられると、管の内側部分1940、すなわち管の内腔は、骨格管フレーム1920、内側ライナ1930及び外側ジャケット1920内に完全に封入される。骨格フレーム、すなわち管は、外側ジャケットまたは内側ライニングなしで、直接的に使用されてもよい。被覆または非被覆骨格管フレームを採用する場合、先に考察したように、駆動デザイン因子が管の柔軟性を維持する。
ガイド・カテーテル拡張具は、完全封入内腔を有する管部分2110、遠位管部分2110に隣接して概略的にテーパが付いたエッジを有するスカイブド・カラー・トランジション・セクション2120、及びトランジション・セクション2120に取り付けた近位プッシュロッド(ワイヤ/レール)2130を含んでもよい。図17Aに示すように、ガイド・カテーテル拡張具と周囲ガイド・カテーテルとの間のギャップを減少させるために、トランジション・セクション2120近くの遠位性管セクション2110上に、シーラ2150が嵌められてもよい。
シーラ2150は、図17B〜17Dに示すように、種々の形態または構成を採ってもよい。図17B及び17Cに示すように、シーラ2156及び2157は、遠位管部分2110に各々係合する管状ベース2155及び2162を有して形成することができる。シーラ2155は、管状ベース2152の周りに螺旋状に巻かれた側方拡張部品またはフィン2154を含んでもよい。択一的に、シーラ2157は、フィンまたはリッジ2164の単一または複数セットから構成されたワイピング・ブレード面を含んでもよい。このブレード面は、管状ベース2162の周り円周方向(すなわち、シーラの長軸に対して鉛直)に巻かれる。択一的に、シーラ2158は、螺旋押出品またはフィラメント2172の形態を採ってもよい。シーラ2156、2157、2158は、種々の弾性ポリマー材料で形成できる。PEBA、PTFE、シリコン、ポリウレタンまたは他のフルオロポリマー等の優れた潤滑性を有するゴム系材料が好ましい。それは、物理接続(例えば、弾性または摩擦係合)、化学的結合、付着、溶接、接着、熱融合または他のいずれの結合方法によっても内側カテーテルの遠位管部分上に取り付けることができる。シーラ2156、2157及び2158の内径2155、2165及び2175は、各々、ガイド・カテーテル拡張具の遠位管部分の外径と実質的に同じであっても、またはそれよりも僅かに小さくてもよい。シーラ内のフィン及びベース2154、2164及び2152、2162は、各々、同じ材料または異なる材料から形成してもよい。シーラ2154、2164のフィンの高さ、及びスパイラル線2172の直径は、ガイド・カテーテルの内径に応じて選択可能である。シーラ(複数可)の外径(2154/2164内のフィン(複数可)の高さ、及びスパイラル線2172の直径を含む)は、ガイド・カテーテルの内腔の内径と実質的に同じであってよい。フィンの厚さは、カテーテル本体の外面上での吸引または吸い込みに起因する体液の流れまたは逆流を防ぐのに十分な閉塞性を残しながら、操縦性能または医師への触覚フィードバックを有意に妨げずに、ガイド・カテーテル拡張具がガイド・カテーテル内で軸方向へ移動可能なようにフィンが十分な柔軟性を有するよう選択できる。
ガイド・カテーテル拡張具は、フレアまたはフランジ2452を有してもよい。フレアまたはフランジは、ガイド・カテーテル拡張具と封入ガイド・カテーテルとの間のギャップを閉じる、または減少させるために利用できる。図18A及び18Bに示すように、ガイド・カテーテル拡張具2500は、プッシュロッド2430に結合された近位端2411を有する管2410を含んでもよい。近位端2411には、管の長軸に実質的に鉛直な、放射状に外方へ延在するフレア2450が設けられている。フレアは、管部分2410の外径よりも大きな直径を有し、ガイド・カテーテル拡張具とガイド・カテーテル2490との間に形成されるビブ2412によってシールを可能とする。この実施形態における管は終端し、スカイブを介した移行なしに、直接的にプッシュロッド2430へ移行する。
択一的に、ガイド・カテーテル2501は、遠位管部分2410、遠位管部分2410に隣接したスカイブド・カラー・トランジション・セクション2420、及び短端部2421及び長端部2423を有する概略的にテーパが付いたエッジ、及び、トランジション・セクションの長端部2423に結合したプッシュロッド2430を含んでもよい。フレアまたはフランジ2452は、テーパ付きエッジによって形成された内腔開口から外方へ半径方向に延在し、管部分2410の外径よりも大きな直径を有する。したがって、図17A〜17Dに関連させて説明したシーラ、及び図18Aに関連させて説明したフレアまたはフランジのように、フレアまたはフランジは、ガイド・カテーテル2490と、外側ジャケットによって覆われてもよい管2410との間に形成されたビブ2435によって、ギャップ2488を実質的に閉じる、または密閉できる。この種の構成によって、ガイド・カテーテル2490及びガイド・カテーテル拡張具2500、2501は、ガイド・カテーテルの遠位端から、すなわちプッシュロッド2430に最も近い端部から漏れのない状態で、患者の脈管系内の標的部位へ造影剤を注入するために使用されることを可能とする。ビブと共にフレアは、バルーンカテーテルまたはステント等の治療デバイスの滑らかな挿入を促進するよう利用できる。
先に説明したシーラのように、図17A及び17Bに関連させて説明したフレアは、弾性ポリマー材料から形成できる。PEBA、PTFE、シリコンまたは他のフルオロポリマー等の、優れた潤滑性を有するゴム系材料が好ましい。フレアの厚さは、操縦性を有意に損なうことなく、ガイド・カテーテル内でガイド・カテーテル拡張具を軸方向へ移動させることを許容するよう、フレアが十分な柔軟性を有することを保証するように選択できる。例えば、フレアの厚さは、約0.1mm〜約1mm、または約0.2mm〜約0.5mmでよい。フレアは、別個の部品として形成され、近位端2411(図18A)またはトランジション・セクション2420の内腔開口(図18B)に付着されてもよい。または内側ライニングの拡張部分として、もしくはカテーテル拡張具2400aまたは2400bの外側ジャケットとして形成されてもよい。
一つの実施形態においては、図19に示すように、本発明は、第一の管部分2512、遠位へ徐々に減少する直径を有する第二の管部分2514、及び、ガイド・カテーテル拡張具の遠位端に位置してX線不透過性チップ2517を含むことが可能な第三の管部分2516を含むガイド・カテーテル拡張具2500を提供する。第一の及び第二の管部分の直径の狭小化は、標準熱処理技術を用いたニチノール管の形状トレーニングによって行ってもよい(http://www-personal.urnich.edu/~btrease/share/SMA-Shape-Training-Tutorial.pdfを参照、2015年11月1日に検索)。スカイブド・カラー・トランジション・セクション2520は、第一の管部分2512に隣接させて配置される。トランジション・セクション2520は、短端部2521及び長端部2523を有する概略的にテーパが付いたエッジを有し、テーパ付きエッジによって形成された傾斜内腔開口から、半径方向外方へフランジ2550が延在する。プッシュロッド2530は、トランジション・セクション2520に取り付けられる。
注入または吸引システムとして用いるためには、ガイド・カテーテル、及びガイド・カテーテル拡張具の遠位管部分の両方が、流体に対する不浸透性の管壁を有する必要がある。そのような不浸透性の管壁は、固形管から形成でき(金属、ポリマーから、オプションとして、埋め込まれた編み物または他の補強材を有して形成され)、もしくは(本明細書に説明のトリプレックス・カット・パターン等の)螺旋カットまたは他のカット・パターンを有する管から形成され、PEBA、ナイロン、PTFE、シリコンまたは他の材料等の、流体不浸透性ジャケットで密閉できる。本発明は、また、ガイド・カテーテル内腔を有するガイド(または外側)カテーテル、内側ガイド・カテーテル内腔内で移動可能な内側カテーテル(例えば、ガイド・カテーテル拡張具)、及び、内側カテーテルに対する密封部材の外端部を含む吸引システムを提供する。内側カテーテルは、概して本明細書に説明のガイド・カテーテル拡張具の形態を採用可能なガイド・カテーテル拡張具であってよい。
第一の管部分2512及び第二の管部分2514の各々は、(ステンレス・スチール(ばね鋼)またはニチノール等の)金属または合金、もしくは編組またはコイルで支持した高分子材料から形成できる。第二の管部分1514は、螺旋カット・パターン2515を含むことができ、螺旋カットのピッチは遠位方向へ漸減させてもよい。螺旋カット・セクション上には、螺旋カットの開口を密閉するために、外側ジャケット及び内側ライニングを被覆できる。第三の管部分2516は、第一及び第二の管部分2512及び2514に対する材料または構成に比べ、より柔軟な、もしくは曲がり易い材料または構成で形成できる。例えば、第三の管部分2516は、ワイヤまたは編組支持なしで、ポリマー材料から形成できる。概して、三つの管部分2512、2514及び2516の柔軟性は、遠位に向かって低下する。遠位方向へ減少する内腔直径と共にフレア及びビブは、ガイド・カテーテル拡張具2500の内腔内への、マイクロ・カテーテル、バルーンカテーテル及びステント等の、種々のサイズ(直径)の治療デバイスの容易な挿入を可能にする。
ガイド・カテーテル拡張具は、押すまたは捩るためのハンドルと共に組み付けることができる。図20は、生体内のデバイスを捩る際の支援を提供可能な、非機能性カテーテル・ハブ、保持タップまたは操縦ハブの一つの実施形態2608を示す。プッシュロッド2607は、長端部2600に融合されている。内腔2604は、ガイド・カテーテル拡張具2601内を通っている。図示の実施形態においては、二つのシーラ構成2603及び2062が存在する。
本発明の範囲は、本明細書において具体的に図示及び説明したものに限定されることはない。当業者には、構成、構造、寸法及び材料について説明した実施例に対する適切な代替案が存在することは明らかである。出願書類内での参照文献の引用及び考察は、本発明の説明を明確にするという目的でのみ提供されており、参照が、本明細書で説明の発明への従来技術であると認めるものではない。本明細書で引用及び考察されたすべての参照は、それら全文が本文へ援用されるものとする。本発明の特定の実施形態を図示及び説明したが、当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、変更及び修正が可能であることは明らかである。前述の説明文及び添付図面に記載の事項は、説明のためのみに提示されており、制限するものではない。