JP2017531512A - 外科用スネア - Google Patents

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Abstract

本発明の実施形態は、スネアに使用される材料およびスネアの配備メカニズムが、スネアの切断効果を向上するように構成された外科用スネア構造を提供する。特に、本発明の外科用スネア構造は、既知の外科用スネアループに存在するキンクやニブを無くし、及び/または、スネアの切断作用が効果的な反作用表面を提供してもよい。本発明の外科用スネアは冷スネアであってもよく、即ち、機械的のみの効果を有するスネアであってもよく、もしくは、切断または凝結効果を高めるために無線周波数(RF)及び/またはマイクロ波エネルギと協同して使用されてもよい。

Description

本発明は外科用スネア、即ち、例えばポリープ切除術において、生物組織のステムを把持または切断するための退避可能なループ材を有する外科用器具に関する。特に、本発明は、スコーピング装置(例えば内視鏡または大腸内視鏡)の器具チャネルを通るカテーテルを介して導入が可能な外科用スネアに関する。
ポリープ切除術において外科用スネアを使用することはよく知られている。従来のスネアは、空洞シース内で摺動可能なワイヤのループを備える。ワイヤのループは、シースを越えて延ばされる場合、それはポリープ上に引っ掛けるための丸いスペースを作るために開口し易いように弾性がある。ポリープを把持または除去するために、その後、ワイヤのループは空洞シース内へ後退され、それによって円形のスペースの領域が減少し、ワイヤはポリープのステムに接触し、最終的に切り裂く。
典型的には、ワイヤのループの遠位端はそこに形成されるキンクやニブを有していて、それはワイヤが退避される際にワイヤ形状の変形を防止するのを支援する。
切断を支援するために、スネアによって保持された生物組織上でジアテルミー療法を行う手段としてスネアを通して無線周波数(RF)エネルギを供給することが知られている。そのようなエネルギで動作するスネアはしばしば「熱」スネアと呼ばれる。純粋に機械的に動作するスネアはしばしば「冷」スネアと呼ばれる。
その最も一般的なことでは、本発明は外科用スネア構造を提案しており、スネア用に使用される材料およびスネアの配備メカニズムが、スネアの切断効果を向上するように構成されている。特に、本発明の外科用スネア構造は、既知の外科用スネアループに存在するキンクやニブを無くし、及び/またはスネアの切断作用が効果的な反作用表面を提供する。本発明の外科用スネアは、冷スネアであってもよく、即ち、機械的のみの効果を有するスネアであってもよく、もしくは、切断または凝結効果を高めるために無線周波数(RF)および/またはマイクロ波エネルギと協同して使用されてもよい。
本発明の1つの態様によれば、外科用スネア、好ましくは冷外科用スネア(RFがない外科用スネア)が提供され、外科用スネアは、アウタスリーブおよび、前記アウタスリーブ内に(例えば同軸上に)取り付けられ、前記アウタスリーブに対して摺動可能なインナプッシュロッドを備えるフレキシブルアクチュエータシャフトと、前記アウタスリーブの遠位端に取り付けられた端部キャップと、前記インナプッシュロッドの遠心端へ接続されたワイヤのループ、好ましくはワイヤのニブレスループと、を備え、前記端部キャップはワイヤの前記ニブレスループを受け取るための通路を含み、それによって前記インナプッシュロッドは、ワイヤの前記ニブレスループを前記端部キャップ内へ退避させるように動作可能であり、前記端部キャップは、その遠心端に、ワイヤの前記ニブレスループが前記端部キャップ内へ完全に退避させられた時に当接する反作用表面を含んでいる。ここでは、用語「ニブレス」は、「キンクまたは他の不連続がなく、即ち、その全長に沿って曲率が同じ向きを有して形成されている」ことを意味してよい。言いかえれば、ワイヤのループはループのまわりの曲率の方向に変化がない。
ニブレスワイヤのループおよび切断が行なわれることができる反作用表面の組み合わせは、スネアがより清潔な切断を行うことを可能にする。これは、大腸内視鏡検査の進行において遭遇する小さな無茎性ポリープ等の少量の生物組織の除去に特に役立つかもしれない。清潔な切断は、生物組織のより良いひとまとめの除去、即ち、より完全な切断を可能にし、それは、切断後の荒れた組織の存在を減らすまたはなくす。荒れた組織は、ポリープ再生の高いリスクと関連があり、従って、切断部をできるだけ清潔にすることは望ましい。
更に、大腸内での加熱効果(ジアテルミー)の使用は、遅発性出血の危険があり、不適切かもしれない。本発明は、加熱を要求せず、従って、この危険をなくす解決を提案する。しかし、他の実施形態では、付加的な加熱効果は有用かもしれない。本発明のスネアは、従って、RF及び/またはマイクロ波エネルギ供給するための手段を内蔵していてもよい。
反作用表面は端部キャップの水平または凹状の遠位面であってもよい。反作用表面形状は、ワイヤのループが退避させられた時にワイヤのループを備える円形の開口を形成するように選択されてもよい。凹状表面の半径は、完全に延ばされた時のワイヤのループと同一であってもよい。この配置は、スネアによって引き起こされる損傷が円形で、切断の間に組織に付与される力を低減または最小限にすることを保証する。ワイヤのループが完全に退避される時に、ワイヤの反作用表面及びループの間にギャップがないことが望ましい。従って、ワイヤのループが端部キャップ内へ完全に退避可能であることが望ましい。
反作用表面は、端部キャップ内へ完全に退避させられた時のワイヤのニブレスループを受け取るための溝を含んでいてもよい。
反作用表面は端部キャップの遠位に対向する表面上にあってもよい。もしくは、反作用表面は端部キャップの一側面上に形成されてもよく、それにより、端部キャップ内の通路は、プッシュロッドを使用してループが延ばされる時、ワイヤのループを端部キャップから外へ横向きにするように配置される。端部キャップの一側面へスネアループを開くことにより、ワイヤのループ内に組織を把持することが支援される。
ある状況では、切断機能を強化するまたは凝結を援助するためにワイヤのニブレスループに電磁エネルギを供給することは望ましいかもしれない。1例において、無線周波数(RF)及び/またはマイクロ波エネルギは、フレキシブルアクチュエータシャフトを通って走るまたはそのシャフトに沿って走る同軸ケーブルに沿って端部キャップに供給されてもよい。ワイヤのニブレスループは、同軸ケーブルの内部導体と電気的に接続された1つ以上の伝導性部分を含んでいてもよい。また、反作用表面は、同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続された1つ以上の伝導性部分を含んでいてもよい。ワイヤのニブレスループ及び反作用表面上の伝導性部分は、従って、ワイヤのニブレスループによって収集された生物組織内へRFエネルギ及び/またはマイクロ波エネルギを送るための二極構造を形成してもよい。
フレキシブルアクチュエータシャフトは、スネアを作動させるために内部をインナプッシュロッドが摺動するカテーテルに相当するかもしれない。端部キャップは、そのカテーテルの遠位端でこのように装着されてもよい。しかし、別の例においては、外科用スネアは追加のカテーテルを含んでいてもよく、その場合、フレキシブルアクチュエータシャフトはカテーテルの遠位端で端部キャップを配備させるためにカテーテル内に摺動可能に取り付けられる。カテーテルはスコーピング装置(例えば大腸内視鏡)の器具チャネル内に嵌まる大きさに作られてもよい。使用において、カテーテルは、従って、フレキシブルアクチュエータシャフトが器具チャネルの内部に不在である間、または端部キャップがカテーテルの遠心端から近位に間隔を置かれた退避構成にある間、機器チャネル内に挿入される。大腸内視鏡が治療サイトに位置付けされた後、フレキシブルアクチュエータシャフトはカテーテルの遠位端に端部キャップを位置付けるためにカテーテル内を軸方向に摺動してもよい。その後、インナプッシュロッドは、例えば、ワイヤのループを配備させることによってスネアを操作するために使用することができる。
カテーテルは、カテーテルの遠位端に向かって、例えば円錐状に細くなる先端セクションを有していてもよい。この構成はワイヤのループの正確な位置付けを支援する。例えば、ワイヤのループ及び反作用表面の反復可能な正確な位置付けを可能にする方法で、端部キャップは、先端セクションの内表面に接するように形成されてもよい。スネアはこの構成において係止可能であってもよい。
カテーテルの遠心端を越えて吸引力が付与されるのを可能にするために、流体流路が端部キャップの周りに、例えば、カテーテルの外面とカテーテルが導入される機器チャネルの内面の間に、またはカテーテルの内面とフレキシブルアクチュエータ/キャップの間にあってもよい。ワイヤのループ内へポリープを捕えることを支援するために、及び/または処理サイトから流体を取り除くために、治療中に吸引力を付与することは有用かもしれない。
一実施形態では、ワイヤのニブレスループは、その2端が接合されたワイヤから形成された一定円周のループを備える。例えば、ワイヤのループが端部キャップ内に取り付けられた後にしっかりと固定された2つの部分としての端部キャップを形成することにより、2端が接合された後に一定円周のループはキャップ内に取り付けられてもよい。この構成により、インナプッシュロッドの動作がワイヤのループの両側を端部キャップ内へ同時に退避させることが確実になる。ループ内で捕らえられた生物の組織は、従って、均一な方法で反作用表面に向かって引かれてもよい。一定円周のループは所定直径、例えば3mm、6mm、8mm、10mm、12mm、等を有していてもよい。
ワイヤのニブレスループは、ワイヤの2端間の接合点でインナプッシュロッドに接続されてもよい。ワイヤは、丸い形状、例えば直径が10mm以下、好ましくは8mm未満である円形を帯びる傾向がある形状記憶合金(例えばニチノール)であってもよい。1例において、ワイヤの形状記憶特性は、所定温度でスネアの手術用に有用な形状を帯びるようにワイヤのループを訓練するよう使用されてもよい。ワイヤのループの温度は、ワイヤのループに電流(例えば小さなDCまたはRF AC)を供給することによりコントロールされてもよい。1例において、訓練された有用な形状は高められた剛性を有するワイヤのループであってもよく、これはポリープ上にループを位置付けるのを支援する。
端部キャップは、ワイヤのニブレスループがそこから遠位へ延びると、ワイヤのニブレスループを配備するように配置されてもよい。その結果、ニブレスループの面はフレキシブルアクチュエータシャフトの縦軸に対してある角度で傾斜させられる(例えばオフセットされる)。この構成により、大腸の壁の無茎性ポリープ上にワイヤのループを位置付けることが支援される。
ワイヤは、切断を容易にするためにその表面に亘って(または一定円周のループの内表面を形成する表面上において)、粗くまたは鋭利にされてもよい。ワイヤは、織られ、捩じられ、編まれ、そうでなければ共に接合される複数の撚り線から形成されるケーブル状の構造を有していてもよい。複数の撚り線はニチノールから作られていてもよい。複数の撚り線が、有刺鉄線から作られた1つ以上の撚り線を含んでいてもよい。この構造により、ワイヤが小さな無茎性ポリープを把持することが支援される。
端部キャップ及びワイヤのニブレスループは、フレキシブルアクチュエータシャフトに、例えば、適切なバヨネット接続等を利用して、取り外し可能に取り付けられてもよい。これは、異なる直径のループが容易に交換可能であることを許容する。
別の実施形態では、ワイヤのニブレスループはカテーテルの内面に取り付けられた第1端およびインナプッシュロッドに接続された第2端を有していてもよい。この配置では、ワイヤのループはチーズワイヤと似た方法で反作用表面に対して作用する。反作用表面に対するワイヤのループの十分な退避を可能にするために、第1端は、カテーテルの遠位端から近位へ変位したカテーテルの内面上の箇所で取り付けられていてもよい。端部キャップが、カテーテルの内面の取り付け箇所に隣接しているワイヤのニブレスループ用出口を有することは望ましいかもしれない。その結果、ワイヤが完全に退避されている時、ループの直径は非常に小さく、好ましくは0である。
正確な切断を提供するために、反作用表面はその上に取り付けられたブレードを有していてもよい。安全のために、ブレードの遠位エッジは、カテーテルの遠位端に、即ち、カテーテル内に、近位に位置付けられているのが好ましい。言いかえれば、ブレードは反作用表面内に形成された凹部に取り付けられてもよい。
本発明の外科用スネアは従来のスコーピング装置(例えば内視鏡または大腸内視鏡)と共に使用されてもよい。フレキシブルアクチュエータシャフトの近位端は、それがアクチュエータツール内で受け取られるスコーピング装置から外に延びていてもよい。アクチュエータツールはフレキシブルアクチュエータシャフトに回転を付与するためのハンドルを備えていてもよく、その回転はワイヤのループを回転させるためにスネアの遠位端に伝えられてもよい。個別のカテーテルのない実施形態では、回転はインナプッシュロッドに付与されてもよく、また、端部キャップはワイヤのニブレスループの回転を許容するために回転ジョイントを含んでいてもよい。アクチュエータツールは、インナプッシュロッドに取り付けられたスライダメカニズムを更に備えていてもよく、これによりインナプッシュロッドがワイヤのループを配備させるためにアウタスリーブに対して軸方向に摺動可能になる。スライダメカニズムは、例えば、ワイヤのループの開閉に関してオペレータに細かいコントロールを与えるために2:1または3:1の比を有するギアシステムを含んでいてもよい。ラックアンドピニオンタイプの配置はそのギアシステムに適しているかもしれない。
1例において、スライダメカニズムは、ワイヤのニブレスループを閉じる時に付与することができる力を制限するためにフォースリミッタを含んでいてもよい。これは、スネアによって収集された組織内に捕らえられ得る筋組織の不測の切断を防ぐ。フォースリミッタは調整可能であってもよいし、またはワイヤのニブレスループの直径が切断を開始するのに十分に小さい場合に有効になるだけであってもよい。1例において、内部のプルワイヤは縦方向に弾性を示す部分を含んでいてもよい。それにより、もし内部のプルワイヤ上にかかる力が閾値を越えた場合、プルワイヤは端部キャップを通ってワイヤのニブレスループを移動させるために作用するよりもむしろ弾性的に延びる。
反作用表面を必要としない外科用スネアの内でのニチノールワイヤのニブレスループの使用は、本発明の別の態様であってもよい。
本発明の例は、添付図面を参照しつつ以下に詳細に説明される。
器具チャネル内に本発明の実施形態である外科用スネアを有する大腸内視鏡の概略図である。 本発明の実施形態である外科用スネアの概略部分断面図である。 本発明による外科用スネアと共に使用するのに適切な端部キャップ構造の拡大図である。 本発明の別の実施形態である外科用スネアの概略分解部分断面図である。 本発明の更に別の実施形態である外科用スネアの概略部分断面図である。 本発明の更に別の実施形態である外科用スネアの概略部分断面図である。 本発明の更に別の実施形態である外科用スネアの概略部分断面図である。 3つの代替端部キャップ構成を通る概略部分断面図である。 3つの代替端部キャップ構成を通る概略部分断面図である。 3つの代替端部キャップ構成を通る概略部分断面図である。
更なる選択及び参照
図1は、本発明の外科用スネアが使用される大腸内視鏡システム100の概略図である。システム100は、本体102及び本体から延びるフレキシブルシャフト104を有する大腸内視鏡を備え、このフレキシブルシャフトは、治療サイトにアクセスするためにボディ内への挿入に適している。シャフト104は、様々なチャネル、例えば、器具チャネル及び従来のような観察チャネル(図示せず)を収容している。観察チャネルは、治療サイトの画像を観察窓106に伝えるのに適切な光学機器を運ぶ。
本体102は、器具チャネル内へ外科用器具(この場合、外科用スネア)を受け取るための器具ポート108を含んでいる。以下により詳細に説明されるように、外科用スネアは、スネアの手術用部品を形成しているワイヤ112のループをその遠心端で有するフレキシブルカテーテル110を備える。ワイヤ112のループは、カテーテル110によって運ばれるフレキシブルアクチュエータシャフト(図1では不図示)に接続される。
カテーテル110はその遠心端で回転子114に接続され、回転子は、器具チャネルに対してカテーテル(及び、従って、ワイヤ112のループ)を回転させるように作用する。フレキシブルアクチュエータシャフトはカテーテルの遠心端でスライダ116に接続され、このスライダは以下に更に詳細に説明されるようにワイヤ112のループを延ばし縮めるように動作する。
図2は、本発明の実施形態である外科用スネアの遠心端の部分的断面図である。本例において、スネアは、スコーピング装置(例えば、大腸内視鏡または内視鏡)の器具チャネル118を通過する寸法にされたカテーテル110を備える。図2に示されるように、器具チャネル118の内壁とカテーテル110の外壁の間にエアギャップ120(その大きさは図面では誇張されている)があるのが好ましい。このエアギャップは、治療中に吸引が器具チャネルを通って付与されることを可能にする。
カテーテル110は遠心端に向かって直径が狭くなる先端セクション122を有する。先端セクション122は従って円錐体に似ているかもしれない。この配置はスネアを導入するための狭いアパーチャを提供し、それは、外科医によるコントロールを容易にさせる。
本例において、カテーテル110は、フレキシブルアクチュエータシャフト124のアウタスリーブ126に対して別個の存在として示されていて、それによってフレキシブルアクチュエータシャフト124はカテーテル110に対して摺動可能である。しかし、代替例においては、個別のカテーテル110は提供されず、アウタスリーブ126それ自体がカテーテルを形成する。従って、カテーテル110およびカテーテル110の任意の特徴の本明細書での言及は、個別のカテーテル110が存在していないアウタスリーブ126に等しく当てはまってもよいということが理解されよう。
カテーテル110(及び/またはアウタスリーブ126)はフレキシブルアクチュエータシャフト124を運ぶ柔軟な中空チューブである。カテーテルの材料は大腸内視鏡に押し通すことを容易にするのに十分な堅さを示すものが選ばれる。カテーテルは、ナイロン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フッ化エチレンプロピレン)、編組FEP、PFA(p−フルオロフェニルアラニン)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等から作られていてもよい。
フレキシブルアクチュエータシャフト124は、カテーテル110内に摺動可能に受け入れられるアウタスリーブ126と、アウタスリーブ126内に摺動可能に受け入れられる、インナプッシュロッド128、例えば、ステンレススチールのワイヤ等、とを備える。
フレキシブルアクチュエータシャフト124はその遠心端にてキャップ130で終了し、キャップは堅いユニットであり、例えば、ステンレススチールから作られている。本実施形態では、ワイヤ112のループがカテーテル110から外へ延びるのを可能にする方法で、キャップ130はカテーテル110の先端セクション122に対して嵌まるように形作られている。例えば、端部キャップは、先端セクション122の内面と協同する複数の側面を備えていてもよい。
図2は、ワイヤ112のループを受け入れるためのT字形の内部通路と内部プッシュロッド128と共に、端部キャップを断面図において示している。
図3は、図2に示される位置から垂直軸のまわりに90°回転した時の端部キャップ130の側面図を示している。ここでは、端部キャップ130が2ピースで形成されていることが認識でき、それらは、ワイヤ112のループおよびインナプッシュロッド128が端部キャップ内に取り付けられた後に、例えば、溶接等によって、ともにしっかりと固定される。キャップ130は、従って、アウタスリーブ126に装着されるベース132を備える。本実施形態では、ベース132は先細り形状を有するが、カテーテル110内で摺動するのに適切などんな形状も使用されてよい。ベース132はそこにT字形のチャネル134を形成している。T字形のチャネル134のトップ(クロスバー)は、例えば、チャネルを形成するためにベース132の上面及び複数の側面で開口している。T字形のチャネル134の底はインナプッシュロッド128に出口を提供するために開口している。T字形のチャネル134内のループをしっかりと固定するために、端部キャップ130は、チャネルを閉鎖するためにベース132の上面に固定される(例えば、溶接される)、トップのピース136を含んでいる。例えば、部品の構造的一体化を向上させるために、トップのピース136はベース132の上面内のチャネル内へ嵌合するリッジ138を含んでいてもよい。トップのピース136の上面は、スネアが完全に退避させられる時に、ワイヤ112のループを受け取るためにトップのピース136の上面に形成された溝140を有していてもよい。
ワイヤ112のループは、端部キャップから延ばされた時に丸い形を帯びるように十分な剛性及び弾性を有する材料から形成されるのが好ましい。本発明者らは、形状記憶特性を示す合金、例えば、ニッケルチタン(ニチノール)、が特によく適しているということが分かった。
更に、本発明では、ワイヤ112のループは一定の円周長さを有する。即ち、一つの長さのワイヤ(例えばニチノール)の2つの端が、ループを形成するために(例えば溶接によって)ともに接合されている。ループの直径は、例えば20mmまでの任意の適切な寸法であってもよいが、好ましくは10mm未満、更に好ましくは8mm未満であってもよい。材料が形状記憶特性を有する場合、ループは所定の形状を安定して占めるように訓練されてもよい。このループ構成を使用するという利点は、形が一様に、つまり、キンクやニブ等の不連続がなく丸いということである。これによってループは、端部キャップ130に対して完全に閉じられることができ、不完全に切る危険を減らすまたはなくす。
一旦このように形成されると、ワイヤ112のループはインナプッシュロッド128に取り付けられ、例えば、溶接され、さもなければしっかりと固定され、インナプッシュロッド128は十分な剛性を示すステンレススチールまたは他の材料であってもよい。インナプッシュロッド128は、T字路でワイヤ112のループと交わってもよく、これは、スネアが完全に配備された(延ばされた)時に、T字形のチャネル内に嵌まってもよい。アウタスリーブ126に対してインナプッシュロッド128を滑らせると、ワイヤのループは端部キャップ130内にまたはその端部キャップから外へ引っ張られる。アウタスリーブ126及びインナプッシュロッド128は、このように2重の作用配備シャフトとして働き、これらはともに、カテーテル110に対してワイヤ112のループを位置付けて、ワイヤ112のループを配備させる(延ばし退避させる)。
使用においては、ワイヤ112のループは生物組織を集め、スネアが退避されるにつれ端部キャップの方へ生物組織を引き戻す。トップのピース136(溝140の有無に関わらず)の上面は、従って、機械的な(圧力)切断/切除を行うために、ワイヤのループが組織を押す反作用表面として働く。図2において上面は水平であるように示されているが、実際上、上面は、例えば、ループが閉じられる時にループの形状と一致するように凸状であってもよい。
切断機能を支援するために、ワイヤ112のループには、例えば、ループの内方向に面する部分上に粗面が設けられてもよい。
インナプッシュロッド128は、カテーテルの近位端にある従来のスライダによって操作可能であってもよい。スライダは、遠心端で必要かもしれない微動作を支援するために例えば、3:1のギア比を有するギアメカニズムを含んでいてもよい。
図4は、外科用スネアの別の実施形態を示す。図2に示されるスネアと共通の特徴には同一参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、外科用スネアは、フレキシブルアクチュエータシャフト124に連結されることができる分離可能なスネアヘッド142備える。分離可能なスネアヘッド142は、上述されたワイヤ112のループ及び端部キャップ130を含む。しかし、端部キャップ130のベース132及びフレキシブルアクチュエータシャフト124の遠心端は、端部キャップ130をフレキシブルアクチュエータシャフト124へしっかりと固定するために係合可能な協同アタッチメント要素144、146を有する。協同アタッチメント要素144、146は、インターロック特徴、例えばバヨネットフィットを備えていてもよく、もしくは、ねじ、スプリングクリップ、タイ・ラップ留め具または軸方向に部品をしっかりと固定する他の手段を含んでいてもよい。
本実施形態では、インナプッシュロッド128の機能は、遠位連結棒148及び近位連結棒150によって提供される。遠位連結棒148はワイヤ112のループに取り付けられている(例えば、溶接されている)。また、近位連結棒150はカテーテル110の近位端でスライダ(不図示)からアウタスリーブ126を通って移動する。端部キャップ130がフレキシブルアクチュエータシャフト124にしっかりと固定されると、遠位連結棒148及び近位連結棒150は連結部152によって互いに係合する。係合されると、遠位連結棒148及び近位連結棒150は、インナプッシュロッド128の機能を行う単一の堅固な実体として働く。
図5は、外科用スネアの別の実施形態を示す。図2に示されるスネアと共通の特徴には同一参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、シャープエッジまたはブレード154は、端部キャップ130(即ち上述された反作用表面の一部として)の上面に取り付けられるか、この上面と一体的に形成されている。ブレード154はきれいな切断を更に支援する。
治療サイト(即ちワイヤ112のループ内に集められない組織)でブレード154が図らずも周囲組織を損傷してしまうのを防止するために、ブレード154及び/または端部キャップ130はそれらがカテーテル110内に完全に存在することを確実にするように構成されてもよい。言いかえれば、ブレード154の遠位エッジは、カテーテル110の先端セクション122の遠心端へ近接して位置付けられている。ワイヤ112のループがカテーテル110を越えて通り出られるように、端部キャップ130はトップのピース136の側壁にギャップまたはチャネルを含んでいてもよい。
図6は外科用スネアの別の実施形態を示す。図2に示されるスネアと共通の特徴には同一参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、スネアの手術用部品はループされた長さのワイヤ156によって形成される。前の実施形態と異なり、ループを形成する長さのワイヤ156の端と端は接合されない。その代わりに、一端158はカテーテル110の内面に、例えば、カテーテルの先端セクション122に取り付けられている。取り付け箇所は、ループが十分に退避されることを可能にするために、先端セクションの遠位端から後退している。
ワイヤ156の他端160はインナプッシュロッド128の遠位端に取り付けられる、例えば、溶接される。上述したように、ワイヤ156は、それがカテーテル110から延出された時にループ状の構成を取る傾向を有するように形状記憶特性を示す合金(例えばニチノール)から形成されていてもよい。
上述された実施形態におけるように、端部キャップ162はフレキシブルアクチュエータシャフト124の遠位端を終結させる。この実施形態では、端部キャップ162は、スネアの配備中ワイヤ156(及びインナープッシュロッド128)が通って走る軸方向通路を備えていてもよい。端部キャップ162は、従って、(例えばステンレススチールの)単一ピースとして形成されてもよい。
ワイヤがカテーテル110内部の取り付け箇所からそれを過ぎて走ることを可能にするために、端部キャップ162は、その外表面内に形成されたチャネル164またはギャップを有してもよい。
使用中、ループで取り囲まれた生物組織を端部キャップ162の上面に対して引くために、ワイヤはチーズワイヤのように作用してもよい。
図7は、外科用スネアの別の実施形態を示す。図6に示されるスネアと共通の特徴には同一参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、スネアの手術部は2重ワイヤのループ166により形成されている。本実施形態では、端部キャップは、2重ワイヤのループ166の1部分を受け取るためのU字形通路168を含んでいる。これは、反作用表面を支持するための手段としてループを閉じるために使用される力を利用する効果を有し、これにより切断プロセスに対するより大きなコントロールが与えられる。更に、1例において、ループが閉じられている間に端部キャップの外からループ内の収集組織と接触させることができる(スプリング等によって端部キャップ内へ後方にバイアスをかけられた)移動可能なチップ部分170を端部キャップは含んでいてもよい。移動可能なチップ部分170はその上に取り付けられた鋭利な遠位エッジまたはブレードを有していてもよい。
図8Aは、別の実施形態によるスネア装置200の遠位端を通る概略断面図を示す。スネア装置200は、(例えばフォームナイロンで作られた)アウタスリーブ202と、アウタスリーブ202内に取り付けられアウタスリーブ202に対して摺動可能な(例えば、ステンレススチールから作られた)インナプッシュロッド204とを備えたフレキシブルアクチュエータシャフトを備える。ワイヤ206のニブレスループはインナプッシュロッドの遠位端に接続される。ワイヤのループは複数の編んだニチノール撚り線または一つのニチノール撚り線で作られていてもよい。本例において、ループの両端はプッシュロッド204に接続される。しかし、1つの端が端部キャップ208に(例えば内部通路内に)に固定され、他端がプッシュロッド204に固定されることも有り得る。ワイヤ206のループは、アウタスリーブ202の遠心端に取り付けられた端部キャップ208を通じてプッシュロッド204の作用により摺動可能である。端部キャップはステンレススチールから作られていてもよい。端部キャップ208はワイヤのニブレスループを受け取るために内部通路(不図示)を有している。本実施形態では、端部キャップ208は窪みのある遠位表面210を有し、そこから薄いブレード212が突出する。端部キャップ208へ完全に退避させられた時にワイヤ206のニブレスループが当接する反作用表面を提供する内部通路の入口にブレード212は跨っている。ブレードはループ内で捕らえられた組織の切断を支援する。窪みのある遠位表面は、ブレードの先端がアウタスリーブ202の端を実質的に越えて突出しないことを確保する。
図8Bは、別の実施形態によるスネア装置214の遠位端を通る概略断面図を示す。図8Aに示されるスネアと共通の特徴には同一参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、端部キャップ208は1組の内部通路を、ループ206の各端に1つずつ備える。端部キャップ208は内部通路への入口間の切断領域218で鋭利にされた凹状遠位面216を有する。切断領域218は、端部キャップ208内へ完全に退避させられた時にワイヤ206のニブレスループが当接する反作用表面を形成する。凹状の遠位面216は、切断領域がアウタスリーブ202の端を越えて突出しないことを確保する。
図8Cは、別の実施形態によるスネア装置220の遠位端を通る概略断面図を示す。図8Aに示されるスネアと共通の特徴には同一参照番号を付し、説明を省略する。本実施形態では、端部キャップ208はまた、1組の内部通路(不図示)を、ループ206の各端に1つずつ備える。端部キャップ208は後退した口222を有し、前記1組の通路の遠位端は後退した口のベースに開口している。後退した口222のベースは、内部通路への入口間の切断領域224で鋭利にされている。切断領域224は、端部キャップ208内へ完全に退避させられた時にワイヤ206のニブレスループが当接する反作用表面を形成する。後退した口222は、切断領域がアウタスリーブ202の端を越えて突出しないことを確保する。
上に説明された実施形態の全てにおいて、ワイヤのループはカテーテルの先端セクションから遠位に延びる。他の実施形態では、スネアキャップ内の通路は先端セクションの側面を通って開口していてもよく、その結果、ワイヤのループは装置の片方に向けられる。

Claims (18)

  1. アウタスリーブおよび、前記アウタスリーブ内に取り付けられ且つ前記アウタスリープに対して摺動可能なインナプッシュロッドを備えるフレキシブルアクチュエータシャフトと、
    前記アウタスリーブの遠位端に取り付けられた端部キャップと、
    前記インナプッシュロッドの遠心端へ接続されたワイヤのニブレスループと、を備え、
    前記端部キャップはワイヤの前記ニブレスループを受け取るための通路を含み、それによって前記インナプッシュロッドは、ワイヤの前記ニブレスループを前記端部キャップ内へ退避させるように動作可能であり、
    前記端部キャップは、その遠心端に、ワイヤの前記ニブレスループが前記端部キャップ内へ完全に退避させられた時に当接する反作用表面を含んでいる、外科用スネア。
  2. 前記反作用表面は前記端部キャップの水平または凹状の遠位面である、請求項1に記載の外科用スネア。
  3. 前記反作用表面は、前記端部キャップへ完全に退避させられた時のワイヤの前記ニブレスループを受け取るための溝を含んでいる、請求項1または2に記載の外科用スネア。
  4. カテーテルを備え、その遠位端で前記端部キャップを配備させるために、前記フレキシブルアクチュエータシャフトは前記カテーテル内に摺動可能に取り付けられる、先行請求項のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  5. 前記アウタスリーブは、外科用スコーピング装置の前記器具チャネル内で摺動可能に受け取ることができるカテーテルを形成する、請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の外科用スネア。
  6. 前記カテーテルは前記カテーテルの遠位端に向かって狭くなる先端セクションを有する、請求項4または5に記載の外科用スネア。
  7. 吸引力が前記カテーテルの前記遠位端を越えて付与されることを可能にする前記カテーテルの周りに流体流路がある、請求項4から6のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  8. ワイヤの前記ニブレスループは、その2端が接合されるワイヤから形成される一定円周のループを備える、先行請求項のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  9. ワイヤの前記ニブレスループは、前記ワイヤの前記2端間の接合点で前記インナプッシュロッドに接続される、請求項8に記載の外科用スネア。
  10. 前記ワイヤは優先的に丸い形状を帯びるように訓練された形状記憶合金である、請求項8または9に記載の外科用スネア。
  11. 前記丸い形状は10mm以下の直径を有する円である、請求項10に記載の外科用スネア。
  12. 前記ワイヤはニチノールから作られる、請求項8から11のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  13. 前記一定円周のループの内表面は、切断を容易にするために粗くされる、請求項8から12のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  14. 前記端部キャップ及びワイヤの前記ニブレスループは前記フレキシブルアクチュエータシャフト上に取り外し可能に取り付けられる、先行請求項のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  15. ワイヤの前記ニブレスループは前記カテーテルの内表面に取り付けられた第1端、および前記インナプッシュロッドに取り付けられた第2端を有する、請求項4から7のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  16. 前記カテーテルの遠位端から近位に変位される前記カテーテルの内表面の箇所で前記第1端が取り付けられる、請求項15に記載の外科用スネア。
  17. 前記反応表面はその上に取り付けられたブレードを有し、前記ブレードの遠位エッジは前記カテーテルの遠位端へ近位に位置付けられている、請求項4から7のいずれか1項に記載の外科用スネア。
  18. アウタスリーブおよび、前記アウタスリーブ内に取り付けられ且つ前記アウタスリーブに対して摺動可能なインナプッシュロッドを備えるフレキシブルアクチュエータシャフトと、
    前記アウタスリーブの遠位端に取り付けられた端部キャップと、
    前記インナプッシュロッドの遠位端に接続されたワイヤのニブレスループと、を備え、
    前記端部キャップはワイヤの前記ニブレスループを受け取るための通路を含み、それによって前記インナプッシュロッドはワイヤの前記ニブレスループを前記端部キャップ内へ退避させるために操作可能であり、
    ワイヤの前記ニブレスループは、ニチノールを備える、外科用スネア。
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