定義
本明細書で使用するとき、「繊維構造体」とは、1つ又は複数の繊維要素を含む構造体を意味する。1つの例では、本発明に係る繊維構造体は、機能を果たすことが可能な構造体、例えば、単体構造体を共に形成する繊維要素及び粒子の結合体(association)を意味する。
本発明の繊維構造体は、均質であってもよく、又は層状であってもよい。層状の場合、繊維構造体は、少なくとも2層及び/又は少なくとも3層及び/又は少なくとも4層及び/又は少なくとも5層、例えば、1層若しくは複数層の繊維要素層、1層若しくは複数の粒子層、及び/又は1つ若しくは複数の繊維要素/粒子混合層を含み得る。1つの例では、多層繊維構造体では、既存の層上に直接1層若しくは複数層を形成及び/又は付着させて繊維構造体を形成してよいが、一方、多層繊維構造体では、1つ又は複数の既存の繊維構造体層を、例えば、熱接着、糊付け、エンボス加工、ロッジング、回転刃開口、ダイ切断、打ち抜き、ニードルパンチング、ローレット切り、空気圧成形、水圧成形、レーザー切断、タフティング、及び/又は他の機械的貼り合わせプロセスを介して、1つ又は複数の他の既存の繊維構造体層と貼り合わせて、多層繊維構造体を形成してよい。
1つの例では、繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定される、10,000g/m2未満の坪量を示す多層繊維構造体である。
1つの例では、繊維構造体は、任意の手段によってウェブに成形されており、かつ製織又は編み組みを除いた任意の手段によって互いに接着され得る、任意の性質又は起源の繊維要素のシート(例えば、連続フィラメント等の繊維及び/又はフィラメント)である。ウェットミリングによって得られるフェルトは、可溶性繊維構造体ではない。1つの例では、本発明に係る繊維構造体は、機能を果たすために構造体内に規則正しく配置されている繊維要素を意味する。別の例では、本発明の繊維構造体は、互いに絡みあって(inter-entangled)又は別の方法で互いに結合して繊維構造体を形成する、複数の2つ以上及び/又は3つ以上の繊維要素を含む配置である。さらに別の例では、本発明の繊維構造体は、本発明の繊維要素に加えて、1種又は複数種の固体添加剤、例えば微粒子及び/又は繊維を含んでいてもよい。
1つの例では、本発明の繊維構造体は、「単体繊維構造体」である。
本明細書で使用するとき、「単体繊維構造体」は、互いに絡みあって又は別の方法で互いに結合して繊維構造体を形成する、複数の2つ以上及び/又は3つ以上の繊維要素を含む配置である。本発明の単体繊維構造体は、多層繊維構造体内の1つ又は複数の層であってよい。1つの例では、本発明の単体繊維構造体は、3つ以上の異なる繊維要素を含んでよい。別の例では、本発明の単体繊維構造体は、2つの異なる繊維要素を含んでよく(例えば、共形成繊維構造体)、その上に異なる繊維要素を付着させて、3つ以上の異なる繊維要素を含む繊維構造体が形成される。1つの例では、繊維構造体は、可溶性、例えば、水溶性の繊維要素と、不溶性、例えば、水不溶性の繊維要素とを含んでよい。
「可溶性繊維構造体」とは、本明細書で使用するとき、繊維構造体及び/又はその成分、例えば、繊維構造体の0.5重量%超、及び/又は1重量%超、及び/又は5重量%超、及び/又は10重量%超、及び/又は25重量%超、及び/又は50重量%超、及び/又は75重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は95重量%超、及び/又は約100重量%が、可溶性、例えば、極性溶媒可溶性、例えば、水溶性であることを意味する。1つの例では、可溶性繊維構造体は、可溶性繊維構造体内の繊維要素の少なくとも50重量%、及び/又は75重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は95重量%超、及び/又は約100重量%が可溶性である繊維要素を含む。
可溶性繊維構造体は、複数の繊維要素を含む。1つの例では、可溶性繊維構造体は、2つ以上及び/又は3つ以上の異なる繊維要素を含む。
可溶性繊維構造体及び/又は可溶性繊維構造体を構成するその繊維要素、例えば、フィラメントは、1種又は複数種の活性剤、例えば、布地ケア活性剤、食器洗浄活性剤、硬質表面活性剤、ヘアケア活性剤、床ケア活性剤、スキンケア活性剤、口腔ケア活性剤、医薬活性剤、及びこれらの混合物を含んでよい。1つの例では、本発明の可溶性繊維構造体及び/又はその繊維要素は、1種又は複数種の界面活性剤、1種又は複数種の酵素(小粒酵素の形態等)、1種又は複数種の香料、及び/又は1種又は複数種の発泡抑制剤を含む。別の例では、本発明の可溶性繊維構造体及び/又はその繊維要素は、ビルダー及び/又はキレート剤を含む。別の例では、本発明の可溶性繊維構造体及び/又はその繊維要素は、漂白剤(カプセル化された漂白剤等)を含む。さらに別の例では、本発明の可溶性繊維構造体及び/又はその繊維要素は、1種又は複数種の界面活性剤、及び任意で1種又は複数種の香料を含む。
1つの例では、本発明の可溶性繊維構造体は、水溶性繊維構造体である。
1つの例では、本発明の可溶性繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定される、10,000g/m2未満、及び/又は5000g/m2未満、及び/又は4000g/m2未満、及び/又は2000g/m2未満、及び/又は1000g/m2未満、及び/又は500g/m2未満の坪量を示す。
本明細書で使用するとき、「繊維要素」は、長さがその平均直径を大きく上回る、すなわち、長さの平均直径に対する比が少なくとも約10である、細長い微粒子を意味する。繊維要素は、フィラメント又は繊維であってよい。1つの例では、繊維要素は、複数の繊維要素を含む糸ではなく、単一の繊維要素である。
本発明の繊維要素は、好適な紡糸プロセス操作(例えば、メルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング、及び/又は回転紡糸)を介して、繊維要素形成組成物とも称される繊維要素形成組成物から紡糸され得る。
本発明の繊維要素は、一成分及び/又は多成分であってよい。例えば、繊維要素は、二成分繊維及び/又はフィラメントを含んでよい。二成分繊維及び/又はフィラメントは、サイドバイサイド、芯鞘型、海島型等の任意の形態であってよい。
1つの例では、フィラメント、及び/又は繊維、及び/又はより小さな断片(繊維)のフィラメントに切断されたフィラメントであってよい繊維要素は、0.254cm(0.1インチ)以上、及び/又は1.27cm(0.5インチ)以上、及び/又は2.54cm(1.0インチ)以上、及び/又は5.08cm(2インチ)以上、及び/又は7.62cm(3インチ)以上、及び/又は10.16cm(4インチ)以上、及び/又は15.24cm(6インチ)以上の長さを示し得る。1つの例では、本発明の繊維は、5.08cm(2インチ)未満の長さを示す。
「フィラメント」とは、本明細書で使用するとき、上記の通り細長い微粒子を意味する。1つの例では、フィラメントは、5.08cm(2インチ)以上、及び/又は7.62cm(3インチ)以上、及び/又は10.16cm(4インチ)以上、及び/又は15.24cm(6インチ)以上の長さを示す。
フィラメントは、典型的には、本質的に、連続であるか又は実質的に連続であるとみなされる。フィラメントは、相対的に繊維より長い。フィラメントは、相対的に繊維より長い。フィラメントの非限定的な例としては、メルトブローンフィラメント及び/又はスパンボンドフィラメントが挙げられる。
1つの例では、フィラメントをより短い長さに切断したとき等、本発明のフィラメントから1つ又は複数の繊維を形成してよい。したがって、1つの例では、本発明は、本発明のフィラメントから製造される繊維、例えば、1種又は複数種の繊維要素形成材料及び1種又は複数種の添加剤(活性剤等)を含む繊維も含む。したがって、本明細書における本発明のフィラメントへの言及は、特に指定しない限り、このようなフィラメントから作製される繊維も含む。繊維は、典型的には、本質的に連続しているとみなされるフィラメントに対して、本質的に不連続であるとみなされる。
繊維要素の非限定的な例としては、メルトブローン繊維要素及び/又はスパンボンド繊維要素が挙げられる。繊維要素に紡糸することができるポリマーの非限定的な例としては、例えば、デンプン、デンプン誘導体、セルロース(例えば、レーヨン及び/又はリヨセル)及びセルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体等の天然ポリマー、並びに熱可塑性ポリマーフィラメント、例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレンフィラメント、及びポリエチレンフィラメント)、及び生分解性熱可塑性繊維(例えば、ポリ乳酸フィラメント、ポリヒドロキシアルカノエートフィラメント、ポリエステルアミドフィラメント、及びポリカプロラクトンフィラメント)が挙げられるが、これらに限定されない合成ポリマーが挙げられる。繊維要素が作製されるポリマー及び/又は組成物に依存して、繊維要素は、可溶性であっても不溶性であってもよい。
本明細書で使用するとき、「繊維要素形成組成物」は、メルトブローイング及び/又はスパンボンディング等によって、本発明の繊維要素、例えば、フィラメントを作製するのに好適な組成物を意味する。繊維要素形成組成物は、それらを繊維要素、例えば、フィラメントに紡糸するのに好適なものにする特性を示す1種又は複数種の繊維要素形成材料を含む。1つの例では、繊維要素形成材料は、ポリマーを含む。1種又は複数種の繊維要素形成材料に加えて、繊維要素形成組成物は、1種又は複数種の添加剤、例えば、1つ種又は複数種の活性剤を含んでよい。さらに、繊維要素形成組成物は、1種又は複数種の、例えば全ての繊維要素形成材料及び/又は1種又は複数種の、例えば全ての活性剤が溶解及び/又は分散する、1種又は複数種の極性溶媒(例えば、水)を含んでよい。
1つの例では、図1aに示す通り、本発明の繊維要素形成組成物から作製される本発明の繊維要素10、例えば、フィラメントは、1種又は複数種の添加剤、例えば、1種又は複数種の活性剤12が、コーティング等のように繊維要素10上ではなく、繊維要素10、例えば、フィラメント中に存在し得るようになっている。繊維要素形成材料の総濃度、及び繊維要素形成組成物中に存在する活性剤の総濃度は、本発明の繊維要素、例えば、フィラメントが、それから製造される限り、任意の好適な量であってよい。
1つの例では、1種又は複数種の添加剤、例えば、活性剤は、繊維要素中に存在してもよく、1種又は複数種の追加の添加剤、例えば、活性剤は、繊維要素の表面上に存在してもよい。別の例では、本発明の繊維要素は、元々製造時には繊維要素中に存在するが、繊維要素の目的とする使用条件に曝露される前及び/又は曝露されたときに、繊維要素の表面にブルームする1種又は複数種の添加剤、例えば、活性剤を含んでいてもよい。
別の例では、図2に示す通り、本発明の可溶性繊維構造体14は、可溶性繊維構造体14を形成する本発明の繊維要素10、例えば、フィラメントの(可溶性繊維構造体14のz方向における)2つ以上の異なる層16、18を含み得る。層16中の繊維要素10は、層18の繊維要素10と同じであっても、又は異なっていてもよい。各層16、18は、複数の同一の、又は実質的に同一の、又は異なる繊維要素10を含み得る。例えば、可溶性繊維構造体14内で他のものよりも速い速度で活性剤を放出し得る繊維要素10を、可溶性繊維構造体14の外面に配置してよい。
本明細書で使用するとき、「繊維要素形成材料」は、繊維要素を作製するのに好適な特性を示すポリマー、又はポリマーを製造することができるモノマー等の材料を意味する。1つの例では、繊維要素形成材料は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、及び/又は非イオン性のポリマー等の、1種又は複数種の置換ポリマーを含む。別の例では、ポリマーは、ポリビニルアルコール(「PVOH」)等のヒドロキシルポリマー、並びに/又はデンプン及び/若しくはデンプン誘導体(例えば、エトキシル化デンプン及び/又は酸希釈デンプン)等の多糖類を含み得る。別の例では、ポリマーは、ポリエチレン及び/又はテレフタレートを含んでもよい。さらに別の例では、繊維要素形成材料は、極性溶媒可溶性材料である。
本明細書で使用するとき、「粒子」は、粉末、顆粒、カプセル、マイクロカプセル、及び/又はプリル等の固体添加剤を意味する。1つの例では、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体は、1つ又は複数の粒子を含んでよい。粒子は、可溶性繊維構造体内で、繊維要素内(活性剤のように、繊維要素の中)及び/又は繊維要素外(繊維要素間)に存在してよい。粒子を含む繊維要素及び/又は繊維構造体の非限定的な例は、米国特許出願公開第2013/0172226号に記載されており、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。1つの例では、粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定される、1600μm以下の中央粒径を示す。別の例では、粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定される、約1μm〜約1600μm、及び/又は約1μm〜約800μm、及び/又は約5μm〜約500μm、及び/又は約10μm〜約300μm、及び/又は約10μm〜約100μm、及び/又は約10μm〜約50μm、及び/又は約10μm〜約30μmの中央粒径を示す。粒子の形状は、球状、棒状、皿状、管状、四角形、矩形、円盤状、星状、繊維状であってもよく、規則的な又は不規則なランダム形状を有していてもよい。
「活性剤含有粒子」とは、本明細書で使用するとき、1種又は複数種の活性剤を含む固体添加剤を意味する。1つの例では、活性剤含有粒子は、粒子の形態の活性剤である(言い換えれば、粒子は、100%活性剤を含む)。活性剤含有粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定される、1600μm以下の中央粒径を示し得る。別の例では、活性剤含有粒子は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定される、約1μm〜約1600μm、及び/又は約1μm〜約800μm、及び/又は約5μm〜約500μm、及び/又は約10μm〜約300μm、及び/又は約10μm〜約100μm、及び/又は約10μm〜約50μm、及び/又は約10μm〜約30μmの中央粒径を示す。1つの例では、活性剤の1種又は複数種は、本明細書に記載の中央粒径試験法に従って測定される、20μm以下の中央粒径を示す粒子の形態である。
本発明の1つの例では、繊維構造体は、複数の粒子、例えば、活性剤含有粒子と、複数の繊維要素とを含み、粒子、例えば、活性剤含有粒子の繊維要素に対する重量比は、1:100以上、及び/又は1:50以上、及び/又は1:10以上、及び/又は1:3以上、及び/又は1:2以上、及び/又は1:1以上、及び/又は約7:1〜約1:100、及び/又は約7:1〜約1:50、及び/又は約7:1〜約1:10、及び/又は約7:1〜約1:3、及び/又は約6:1〜1:2、及び/又は約5:1〜約1:1、及び/又は約4:1〜約1:1、及び/又は約3:1〜約1.5:1である。
本発明の別の例では、繊維構造体は、複数の粒子、例えば、活性剤含有粒子と、複数の繊維要素とを含み、粒子、例えば、活性剤含有粒子の繊維要素に対する重量比は、約7:1〜約1:1、及び/又は約7:1〜約1.5:1、及び/又は約7:1〜約3:1、及び/又は約6:1〜約3:1である。
本発明のさらに別の例では、繊維構造体は、複数の粒子、例えば、活性剤含有粒子と、複数の繊維要素とを含み、粒子、例えば、活性剤含有粒子の繊維要素に対する重量比は、約1:1〜約1:100、及び/又は約1:2〜約1:50、及び/又は約1:3〜約1:50、及び/又は約1:3〜約1:10である。
別の例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定される、1g/m2より大きい、及び/又は10g/m2より大きい、及び/又は20g/m2より大きい、及び/又は30g/m2より大きい、及び/又は40g/m2より大きい、及び/又は約1g/m2〜約5000g/m2、及び/又は〜約3500g/m2、及び/又は〜約2000g/m2、及び/又は約1g/m2〜約1000g/m2、及び/又は約10g/m2〜約400g/m2、及び/又は約20g/m2〜約300g/m2、及び/又は約30g/m2〜約200g/m2、及び/又は約40g/m2〜約100g/m2の粒子坪量で複数の粒子、例えば、活性剤含有粒子を含む。
別の例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定される、1g/m2より大きい、及び/又は10g/m2より大きい、及び/又は20g/m2より大きい、及び/又は30g/m2より大きい、及び/又は40g/m2より大きい、及び/又は約1g/m2〜約10000g/m2、及び/又は約10g/m2〜約5000g/m2、及び/又は〜約3000g/m2、及び/又は〜約2000g/m2、及び/又は約20g/m2〜約2000g/m2、及び/又は約30g/m2〜約1000g/m2、及び/又は約30g/m2〜約500g/m2、及び/又は約30g/m2〜約300g/m2、及び/又は約40g/m2〜約100g/m2、及び/又は約40g/m2〜約80g/m2の坪量で複数の繊維要素を含む。1つの例では、繊維構造体は、繊維要素が約1g/m2〜約500g/m2の坪量で層の少なくとも1つに存在する、2つ以上の層を含む。
本明細書で使用するとき、「添加剤」は、本発明の繊維要素中に存在し、繊維要素形成材料ではない任意の材料を意味する。1つの例では、添加剤は、活性剤を含む。別の例では、添加剤は、加工助剤を含む。さらに別の例では、添加剤は、充填剤を含む。1つの例では、添加剤は、繊維要素中に存在する任意の材料であって、その材料が繊維要素に存在しなくとも、繊維要素の繊維要素構造は損なわれない(言い換えれば、その材料が存在しなくとも、繊維要素の固体形態は損なわれない)材料を含む。別の例では、添加剤、例えば、活性剤は、非ポリマー材料を含む。
別の例では、添加剤は、繊維要素のための可塑剤を含む。本発明に関する好適な可塑剤の非限定的な例としては、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、及びジメチコンコポリオールが挙げられる。有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール、ポリエチレングリコール(200〜600)、ペンタエリスリトール、糖アルコール、例えばソルビトール、マニトール、ラクチトール、並びに他の一価及び多価低分子量アルコール(例えば、C2〜C8アルコール);単糖、二糖、及びオリゴ糖、例えば、フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ固体、及びデキストリン、並びにアスコルビン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
1つの例では、可塑剤としては、グリセリン、及び/又はプロピレングリコール、及び/又はプロポキシル化グリセロール等のグリセロール誘導体が挙げられる。さらに別の例では、可塑剤は、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリシドール、尿素、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、糖類、エチレンビスホルムアミド、アミノ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
別の例では、添加剤は、本発明の繊維要素中に存在する1種又は複数種の繊維要素形成材料を架橋するために好適な架橋剤を含む。1つの例では、架橋剤は、例えば、ヒドロキシルポリマーのヒドロキシル部分を介して、ヒドロキシルポリマーを互いに架橋することが可能な架橋剤を含む。好適な架橋剤の非限定的な例としては、イミダゾリジノン、ポリカルボン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの例では、架橋剤は、尿素グリオキサール付加物架橋剤、例えば、ジヒドロキシエチレン尿素(「DHEU」)等のジヒドロキシイミダゾリジノンを含む。架橋剤は、極性溶媒等の溶媒中における繊維要素の溶解度及び/又は溶解を制御するために、本発明の繊維要素形成組成物及び/又は繊維要素中に存在し得る。
別の例では、添加剤は、剪断力変性剤及び/又は伸長変性剤等のレオロジー変性剤を含む。レオロジー変性剤の非限定的な例としては、本発明の繊維要素中で使用され得るポリアクリルアミド、ポリウレタン、及びポリアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。レオロジー変性剤の非限定的な例は、Dow Chemical Company(Midland,MI)から市販されている。
さらに別の例では、添加剤は、繊維要素が目的とする使用条件に曝露されたとき及び/又は活性剤が繊維要素から放出されたとき及び/又は繊維要素の形態が変化したときに視覚的な信号を提供するために、本発明の繊維要素に配合される1種又は複数種の色及び/又は染料を含む。
さらに別の例では、添加剤は、1種又は複数種の離型剤及び/又は潤滑剤を含む。好適な離型剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪酸エステル、脂肪族アミンアセテート、脂肪アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの例では、離型剤及び/又は潤滑剤を繊維要素に適用する、言い換えれば、繊維要素の形成後に適用する。1つの例では、1種又は複数種の離型剤/潤滑剤は、回収装置で繊維要素を回収して繊維構造体を形成する前に、繊維要素に適用される。別の例では、1種又は複数種の離型剤/潤滑剤は、可溶性繊維構造体のスタック等、1種又は複数種の可溶性繊維構造体を接触させる前に、本発明の繊維要素から形成された可溶性繊維構造体に適用される。さらに別の例では、繊維要素及び/若しくは可溶性繊維構造体の剥離を促進するために、並びに/又は本発明の繊維要素及び/若しくは可溶性繊維構造体の層が互いにくっつくのを、さらには意図せずにくっつくのを避けるために、繊維要素及び/又は繊維構造体が表面(例えば、加工システムにおいて使用される装置の表面)と接触する前に、本発明の繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体に、1種又は複数種の離型剤/潤滑剤を適用する。1つの例では、離型剤/潤滑剤は、微粒子を含む。
さらに別の例では、添加剤は、1種又は複数種のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含む。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非限定的な例としては、デンプン、デンプン誘導体、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、雲母、及びこれらの混合物が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「目的とする使用条件」は、本発明の繊維要素をその設計用途の1つ又は複数のために使用するときに曝露される温度条件、物理的条件、化学的条件、及び/又は機械的条件を意味する。例えば、繊維要素及び/又は繊維要素を含む可溶性繊維構造体が、洗濯物ケアの目的で洗濯機において使用されるように設計されている場合、目的とする使用条件は、洗濯洗浄操作中の、任意の洗浄水を含む、洗濯機内に存在する温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。別の例では、繊維要素及び/又は繊維要素を含む可溶性繊維構造体が、ヘアケア目的のためにシャンプーとしてヒトによって使用されるように設計されている場合、目的とする使用条件は、ヒトの毛髪のシャンプー中に存在する温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。同様に、繊維要素及び/又は繊維要素を含む可溶性繊維構造体が、手又は食器洗浄機による食器洗浄操作において使用されるように設計されている場合、目的とする使用条件は、食器洗浄操作中の食器洗浄水及び/又は食器洗浄機中に存在する、温度条件、化学的条件、物理的条件、及び/又は機械的条件を含む。
本明細書で使用するとき、「活性剤」は、繊維要素及び/又は本発明の繊維要素を含む可溶性繊維構造体の外部の環境において、例えば、繊維要素が、繊維要素及び/又は繊維要素を含む可溶性繊維構造体の目的とする使用条件に曝露されたときに、目的とする効果を生じさせる添加剤を意味する。1つの例では、活性剤は、表面、例えば、硬質表面(すなわち、キッチンのカウンター、バスタブ、トイレ、便器、シンク、床、壁、歯、車、窓、鏡、皿)及び/又は軟質表面(すなわち、布地、毛髪、皮膚、カーペット、作物、植物)を処理する添加剤を含む。別の例では、活性剤は、化学反応(すなわち、発泡、泡立ち、着色、加温、冷却、起泡、消毒及び/又は浄化及び/又は塩素化、例えば、水の浄化、及び/又は水の消毒、及び/又は水の塩素化)を生じさせる添加剤を含む。さらに別の例では、活性剤は、環境を処理する(すなわち、空気を脱臭する、浄化する、芳香を付する)添加剤を含む。1つの例では、活性剤は、活性剤を含有する繊維要素の形成中等に、その場で形成され、例えば、繊維要素は、水溶性ポリマー(例えば、デンプン)及び界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤)を含んでもよく、これによって、布地の表面を処理するのに使用される活性剤として機能するポリマー錯体又はコアセルベートが生じ得る。
「処理する」は、表面の処理に関して本明細書で使用するとき、活性剤が、表面又は環境に利益をもたらすことを意味する。処理としては、表面又は環境の外観、清浄度、匂い、純度、及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善が挙げられる。1つの例では、ケラチン性組織(例えば、皮膚及び/又は毛髪)表面の処理に関する処理とは、ケラチン性組織の美容上の外観及び/又は感触の調節及び/又は速やかな改善を意味する。例えば、「皮膚、毛髪、又は爪(ケラチン性組織)の状態の調節」としては、皮膚、毛髪、又は爪の萎縮を低減するために、皮膚、毛髪、又は爪を厚くすること(例えば、皮膚の表皮及び/又は真皮及び/又は皮下(sub-dermal)[例えば、皮下脂肪又は筋肉]層の構築、並びに適用可能である場合、爪及び毛幹のケラチン性層の構築);真皮−表皮の境界の回旋(convolution)(乳頭間隆起としても知られている)の増加;弾力線維症、たるみ、変形による皮膚又は毛髪の反跳の喪失等、皮膚又は毛髪の弾性喪失(機能性皮膚エラスチンの喪失、損傷、及び/又は不活化)の予防;目の下のクマ等の皮膚、毛髪、又は爪の着色におけるメラニン又は非メラニン変化、斑点(例えば、酒さ等による不均一な赤い着色)(以後「赤色斑点」と称する)、血色の悪さ(青白い色)、毛細血管拡張症又はクモ状血管、及び白髪により引き起こされる変色が挙げられる。
別の例では、処理は、布地物品(例えば、衣類、タオル、リネン)及び/又は硬質表面(例えば、カウンター及び/又は深鍋及び平鍋を含む食器)から染み及び/又は匂いを除去することを意味する。
本明細書で使用するとき、「布地ケア活性剤」は、布地に適用したときに、その布地に利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。布地に対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、洗浄(例えば界面活性剤によって)、染み除去、染み低減、しわ除去、色回復、静電気制御、しわ耐性、パーマネントプレス、磨耗減少、磨耗耐性、毛玉取り、毛玉耐性、汚れ除去、汚れ耐性(汚れ放出を含む)、形状保持、縮み低減、柔軟性、芳香、抗菌、抗ウイルス、防臭、及び匂い除去が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「食器洗浄用活性剤」は、食器、ガラス製品、深鍋、平鍋、台所用具、及び/又はクッキングシートに適用したときに、食器、ガラス製品、プラスチック物品、深鍋、平鍋、及び/又はクッキングシートに、利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。食器、ガラス製品、プラスチック物品、深鍋、平鍋、台所用具、及び/又はクッキングシートに対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食品及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば界面活性剤による)染み除去、染み低減、油脂除去、水染み除去及び/又は水染み防止、ガラス及び金属ケア、衛生化、光沢、並びに研磨が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「硬質表面用活性剤」は、床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに適用したときに、床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。床、カウンター、シンク、窓、鏡、シャワー、風呂、及び/又はトイレに対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、食品及び/又は汚れ除去、洗浄(例えば、界面活性剤による)、染み除去、染み低減、油脂除去、水染み除去及び/又は水染み防止、石鹸かすの除去、消毒、光沢、研磨、及びフレッシュニングが挙げられる。
本明細書で使用するとき、「美容効果活性剤」は、1つ又は複数の美容効果を送達することができる活性剤を指す。
本明細書で使用するとき、「スキンケア活性剤」は、皮膚に適用したときに、皮膚に利益又は改善をもたらす活性剤を意味する。スキンケア活性剤は、皮膚だけではなく、毛髪、頭皮、爪、及び他の哺乳類のケラチン性組織に適用する場合にも有用であると理解すべきである。
本明細書で使用するとき、「ヘアケア活性剤」は、哺乳類の毛髪に適用したときに、毛髪に利益及び/又は改善をもたらす活性剤を意味する。毛髪に対する利益及び/又は改善の非限定的な例としては、柔軟性、静電気制御、毛髪修復、フケ除去、フケ防止(dandruff resistance)、ヘアカラー、形状保持、毛髪保持、及び育毛が挙げられる。
本明細書で使用するとき、「重量比」とは、繊維要素、例えば、フィラメント中の乾燥重量基準での添加剤(例えば、活性剤(g又は%))の重量に対する、繊維要素、例えば、フィラメント中の乾燥重量基準での乾燥繊維要素、例えば、フィラメント基準及び/又は乾燥繊維要素形成材料(g又は%)を意味する。
本明細書で使用するとき、「ヒドロキシルポリマー」としては、例えば繊維要素形成材料として本発明の繊維要素内に配合することができる、任意のヒドロキシル含有ポリマーが挙げられる。1つの例では、本発明のヒドロキシルポリマーは、10重量%より大きい、及び/又は20重量%より大きい、及び/又は25重量%より大きいヒドロキシル部分を含む。
材料、例えば、繊維要素全体及び/又は繊維要素内のポリマー(例えば、繊維要素形成材料)に関して本明細書で使用するとき、「生分解性」とは、自治体の固形廃棄物堆肥化施設において繊維要素及び/又はポリマーを、物理的分解、化学的分解、熱分解、及び/又は生物分解させることができる及び/又はこのように分解されることを意味し、参照により本明細書に組み込まれるOECD(1992)Guideline for the Testing of Chemicals 301B;Ready Biodegradability−CO2 Evolution(Modified Sturm Test)Testに従って測定される、元の繊維要素及び/又はポリマーの少なくとも5%、及び/又は7%、及び/又は少なくとも10%が、30日後に二酸化炭素に変換される。
材料、例えば、繊維要素全体及び/又は繊維要素内のポリマー(例えば、繊維要素形成材料)に関して本明細書で使用するとき、「非生分解性」とは、自治体の固形廃棄物堆肥化施設において繊維要素及び/又はポリマーを、物理的分解、化学的分解、熱分解、及び/又は生物分解させることができないことを意味し、参照により本明細書に組み込まれるOECD(1992)Guideline for the Testing of Chemicals 301B;Ready Biodegradability−CO2 Evolution(Modified Sturm Test)Testに従って測定されるき、元の繊維要素及び/又はポリマーの少なくとも5%が、30日後に二酸化炭素に変換される。
材料、例えば、繊維要素全体及び/又は繊維要素内のポリマー(例えば、繊維要素形成材料)に関して本明細書で使用するとき、「非熱可塑性」は、繊維要素及び/又はポリマーが、水、グリセリン、ソルビトール、尿素等の可塑剤が存在しなくとも繊維要素及び/又はポリマーが加圧下で流動することを可能にする融点及び/又は軟化点を有しないことを意味する。
本明細書で使用するとき、「非熱可塑性の生分解性繊維要素」とは、上記で定義した通りの生分解性かつ非熱可塑性の特性を示す繊維要素を意味する。
本明細書で使用するとき、「非熱可塑性の非生分解性繊維要素」とは、上記で定義した通りの非生分解性かつ非熱可塑性の特性を示す繊維要素を意味する。
材料、例えば、繊維要素全体及び/又は繊維要素内のポリマー(例えば、繊維要素形成材料)に関して本明細書で使用するとき、「熱可塑性」は、繊維要素及び/又はポリマーが、可塑剤が存在しなくとも繊維要素及び/又はポリマーが加圧下で流動することを可能にする、特定の温度において融点及び/又は軟化点を有することを意味する。
本明細書で使用するとき、「熱可塑性の生分解性繊維要素」とは、上記で定義した通りの生分解性かつ熱可塑性の特性を示す繊維要素を意味する。
本明細書で使用するとき、「熱可塑性の非生分解性繊維要素」とは、上記で定義した通りの非生分解性かつ熱可塑性の特性を示す繊維要素を意味する。
本明細書で使用するとき、「非セルロース含有」は、5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は0.1重量%未満、及び/又は0重量%のセルロースポリマー、セルロース誘導体ポリマー、及び/又はセルロースコポリマーが繊維要素中に存在することを意味する。1つの例では、「非セルロース含有」は、5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は0.1重量%未満、及び/又は0重量%のセルロースポリマーが繊維要素中に存在することを意味する。
本明細書で使用するとき、「極性溶媒可溶性材料」は、極性溶媒に混和性である材料を意味する。1つの例では、極性溶媒可溶性材料は、アルコール及び/又は水に混和性である。言い換えれば、極性溶媒可溶性材料は、周囲条件で、アルコール及び/又は水等の極性溶媒と、安定した(均質な溶液を形成した後、5分超にわたって相分離しない)均質な溶液を形成することが可能な材料である。
本明細書で使用するとき、「アルコール可溶性材料」は、アルコールに混和性である材料を意味する。言い換えれば、周囲条件で、アルコールと、安定した(均質な溶液を形成した後、5分超にわたって相分離しない)均質な溶液を形成することが可能な材料である。
本明細書で使用するとき、「水溶性材料」は、水に混和性である材料を意味する。言い換えれば、周囲条件で、水と、安定した(均質な液を形成した後、5分超にわたって分離しない)均質な溶液を形成することが可能な材料である。
本明細書で使用するとき、「非極性溶媒可溶性材料」は、非極性溶媒に混和性である材料を意味する。言い換えれば、非極性溶媒可溶性材料は、非極性溶媒と、安定した(均質な溶液を形成した後、5分超にわたって相分離しない)均質な溶液を形成することが可能な材料である。
本明細書で使用するとき、「周囲条件」とは、約23℃±2.2℃(73°F±4°F)及び相対湿度50%±10%を意味する。
「重量平均分子量」とは、本明細書で使用するとき、本明細書に記載の重量平均分子量試験法に従って測定される、重量平均分子量を意味する。
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「長さ」は、一方の末端から他方の末端までの繊維要素の最長軸に沿った長さを意味する。繊維要素がねじれ、丸まり、又は曲がりを有する場合、長さは、繊維要素の全経路に沿った長さになる。
繊維要素に関して本明細書で使用するとき、「直径」は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定される。1つの例では、本発明の繊維要素は、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は20μm未満、及び/又は15μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は6μm未満、及び/又は1μm超、及び/又は3μm超の直径を有する。
本明細書で使用するとき、「誘発条件」は、1つの例において、刺激として機能し、繊維要素において変化(例えば、繊維要素の物理的構造の喪失若しくは変化、及び/又は活性剤等の添加剤の放出)を開始させる又は引き起こす作用又は事象としてのあらゆるものを意味する。別の例では、誘発条件は、本発明の繊維要素及び/又は可溶性繊維構造体及び/又はフィルムを水に添加したときに、環境(例えば水等)中に存在していてもよい。言い換えれば、本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体及び/又はフィルムが水に添加されたという事実を除いて、水中で変化は生じない。
繊維要素の形態変化に関して本明細書で使用するとき、「形態変化」とは、繊維要素が、その物理的構造の変化を経験することを意味する。本発明の繊維要素の形態変化の非限定的な例としては、溶解、融解、膨張、収縮、粉々に砕ける、破裂、延長、短縮、及びこれらの組み合わせが挙げられる。本発明の繊維要素は、目的とする使用条件に曝露されたときに、その繊維要素の物理的構造を完全に若しくは実質的に失ってもよく、又はその形態が変化してもよく、又はその繊維要素の物理的構造を保持するか若しくは実質的に保持してもよい。
「乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準の重量」は、繊維要素及び/又は繊維構造体を調整室で温度23℃±1℃及び相対湿度50%±2%にて2時間調整した直後に測定した繊維要素及び/又は繊維構造体の重量を意味する。1つの例では、「乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準の重量」は、繊維要素及び/又は繊維構造体が、本明細書に記載の含水率試験法に従って測定される、繊維要素及び/又は繊維構造体の重量に基づいて20重量%未満、及び/又は15重量%未満、及び/又は10重量%未満、及び/又は7重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は0重量%、及び/又は0重量%超の水分(例えば、自由水等の水)を含むことを意味する。
例えば、繊維要素及び/又は繊維構造体中に存在する1種又は複数種の活性剤の総濃度に関して本明細書で使用するとき、「総濃度」は、被験材料(例えば、活性剤)の全ての重量又は重量%の合計を意味する。言い換えれば、繊維要素及び/又は繊維構造体は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準により25重量%のアニオン性界面活性剤と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準により15重量%の非イオン性界面活性剤と、10重量%のキレート剤と、5%の香料とを含んでいてよく、繊維要素中に存在する活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準により50重量%より大きい(すなわち55重量%)。
本明細書で使用するとき、「洗剤製品」は、1種又は複数種の活性剤(例えば、布地ケア活性剤、食器洗浄用活性剤、硬質表面用活性剤、及びこれらの組み合わせ)を含む固体形態(例えば、時にシートと称する矩形の固体)を意味する。1つの例では、本発明の洗剤製品は、1種若しくは複数種の界面活性剤、1種若しくは複数種の酵素、1種若しくは複数種の香料、及び/又は1種若しくは複数種の発泡抑制剤を含む。別の例では、本発明の洗剤製品は、ビルダー及び/又はキレート剤を含む。別の例では、本発明の洗剤製品は、漂白剤を含む。
1つの例では、洗剤製品は、ウェブ(例えば、繊維構造体)を含む。
本明細書で使用するとき、「ウェブ」は、互いに関連する任意の性質又は起源の、形成された繊維要素(繊維及び/又はフィラメント)の集合体(例えば、繊維構造体)、並びに/又は繊維及び/若しくはフィラメントから形成された洗剤製品(例えば、連続フィラメント)を意味する。1つの例では、ウェブは、キャスティングプロセスではなく紡糸プロセスを介して形成される繊維及び/又はフィラメントを含む矩形固体である。
本明細書で使用するとき、「微粒子」は、粒状の物質及び/又は粉末を意味する。1つの例では、フィラメント及び/又は繊維は、粉末に変換することができる。
材料、例えば、繊維要素全体及び/又は繊維要素内の繊維要素形成材料及び/又は繊維要素内の活性剤に関して本明細書で使用するとき、「とは異なる」又は「異なる」は、1つの材料(例えば、繊維要素、及び/又は繊維要素形成材料、及び/又は活性剤)が、化学的、物理的、及び/又は構造的に別の材料(例えば、繊維要素、及び/又は繊維要素形成材料、及び/又は活性剤)とは異なることを意味する。例えば、フィラメント形態の繊維要素形成材料は、繊維形態の同じ繊維要素形成材料とは異なる。同様に、デンプンは、セルロースとは異なる。しかし、分子量の異なるデンプン等、異なる分子量の同じ物質は、本発明の目的において、互いに異なる物質ではない。
本明細書で使用するとき、「ポリマーのランダム混合物」は、2つ以上の異なる繊維要素形成材料をランダムに組み合わせて繊維要素を形成することを意味する。その結果、芯鞘型の二成分繊維要素等、規則正しく組み合わせられて繊維要素を形成する2つ以上の異なる繊維要素形成材料は、本発明の目的において、異なる繊維要素形成材料のランダム混合物ではない。
繊維要素及び/又は粒子に関して本明細書で使用するとき、「結合する(Associate)」、「結合される(Associated)」、「結合体(Association)」、及び/又は「結合している(Associating)」は、繊維構造体が形成されるように、繊維要素及び/又は粒子を直接接触又は間接接触によって組み合わせることを意味する。1つの例では、結合される繊維要素及び/又は粒子は、例えば、接着剤及び/又は熱接着によって互いに接着してよい。別の例では、繊維要素及び/又は粒子は、ベルト及び/又はパターン付ベルトを作製する同一の繊維構造体上に付着させることによって互いに結合させてもよい。
「開口」とは、本明細書で使用するとき、周囲の繊維構造体とは区別される繊維構造体における孔又はボイド又はくぼみを意味する。1つの例では、開口は、繊維構造体が局所的に欠損している任意の機構を含んでよい。1つの例では、開口は、繊維構造体の坪量、厚み(thickness)、又は厚さ(caliper)の局所的くぼみ又は局所的欠損を含んでよい。別の例では、開口は、繊維構造体の両方の概ね平面を実質的に若しくは完全に貫通するか、繊維構造体の1つの概ね平面を貫通するか、又はさらには繊維構造体のいずれの平面も貫通しない、繊維構造体における孔であってよい。別の例では、開口は、完全な孔が存在する、部分的な孔が存在する、又はさらには明らかな孔が存在しない、繊維構造体における孔であってよい。さらに別の例では、開口は、繊維構造体におけるエンボスである機構を含んでよい。さらに別の例では、開口は、例えば、開口機構が多層繊維構造体の内部層上に存在し得る、繊維構造体及び/又は多層繊維構造体に対して内部の機構である。さらに別の例では、開口は、繊維構造体における孔又はボイド又はくぼみを含み、その孔又はボイド又はくぼみは、回収装置における繊維要素の収集及び互いの絡み合いに起因する繊維構造体の繊維要素間及び/又は繊維要素中に存在するランダムな細孔ではなく、非ランダムな及び/又は設計された及び/又は製作された孔、ボイド、又はくぼみである。
本発明の繊維構造体内の開口の非限定的な例を図3A〜図6に示す。
本明細書で使用するとき、本明細書で使用する場合の冠詞「a」及び「an」、例えば、「アニオン性界面活性剤(an anionic surfactant)」又は「繊維(a fiber)」は、請求又は記載される材料の1種又は複数種を意味すると理解される。
全ての百分率及び比率は、特に指定しない限り、重量で計算される。全ての百分率及び比率は、特に指定しない限り、全組成物に基づいて計算される。
特に記載のない限り、全ての成分又は組成物の濃度は、その成分又は組成物の活性濃度に関するものであり、市販の供給源中に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
繊維構造体
本発明の繊維構造体、例えば、可溶性繊維構造体は、複数の繊維要素、例えば、複数のフィラメントを含む。1つの例では、複数の繊維要素は、互いに絡みあって可溶性繊維構造体を形成する。
本発明の1つの例では、繊維構造体は、可溶性繊維構造体、例えば、水溶性繊維構造体である。
本発明の別の例では、繊維構造体は、1つ又は複数の開口を含むので、開口繊維構造体である。1つの例では、繊維構造体は、複数の開口を含む。開口は、パターン状、例えば、非ランダムな反復パターン等の反復パターン、及び/又は非反復パターンで配置してよい。
本発明の開口繊維構造体内の開口は、実質的に任意の形状及び大きさであってよい。1つの例では、開口繊維構造体内の開口は、概ね円形又は楕円形の規則的なパターンの離間している孔である。1つの例では、繊維構造体は、約0.2mm〜約100mm、及び/又は約0.5mm〜約10mmの距離で互いに離間している2つ以上の開口を含む。
繊維構造体、例えば、可溶性繊維構造体の開口は、任意の数の技術によって実施可能である。例えば、開口は、米国特許第3,949,127号及び同第5,873,868号に記載されているもの等の、接着及び延伸を含む様々なプロセスによって実施可能である。1つの実施形態では、開口は、いずれも参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,628,097号及び同第5,916,661号に記載の通り、複数の離間している融解安定化領域を形成し、次いで、ウェブをリング圧延してウェブを延伸し、その融解安定化領域に開口を形成することによって形成してよい。別の実施形態では、開口は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,830,800号及び同第6,863,960号に記載の方法により、多層繊維構造体構成中に形成してよい。ウェブを開口するさらに別のプロセスが、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,241,543号の名称「Method And Apparatus For Making An Apertured Web」に記載されている。本発明の繊維構造体に開口を付与するプロセスの非限定的な例としては、エンボス加工、ロッジング、回転刃開口、ピンニング、ダイ切断、打ち抜き、ニードルパンチング、ローレット切り、クラッシュ切断、シヤー切断、空気圧成形、水圧成形、レーザー切断、及びタフティングが挙げられる。1つの例では、本発明の繊維構造体は、ピンニングによって付与された開口を含む。別の例では、本発明の繊維構造体は、ロッジングによって付与された開口を含む。別の例では、本発明の繊維構造体は、回転刃開口によって付与された開口を含む。さらに別の例では、本発明の繊維構造体は、様々な種類の開口プロセスによって繊維構造体に付与された開口を含んでよい。
1つの例では、開口は、成形中に繊維要素が回収装置に接触する際に繊維構造体に開口を付与する機構、例えば、凹部及び/又は凸部を有する回収装置、例えば、パターン付ベルト上で繊維構造体を成形している間に繊維構造体に付与してよい。
本発明の繊維要素及び/又は繊維構造体は固体形態であるが、本発明の繊維要素を作製するために使用される繊維要素形成組成物は液体形態であってもよい。
1つの例では、繊維構造体は、組成の点から本発明に係る繊維要素と同一であるか又は実質的に同一である複数の繊維要素を含む。別の例では、繊維構造体は、本発明に係る2つ以上の異なる繊維要素を含んでもよい。繊維要素の相違点の非限定的な例としては、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違い等の物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、繊維要素形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、繊維要素形成材料の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角等の化学的な違い;繊維要素が目的とする使用条件に曝露されたときに、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;繊維要素が目的とする使用条件に曝露されたときに、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い;及び繊維要素が目的とする使用条件に曝露されたときに、繊維要素が1種又は複数種のその活性剤を放出する速度の違いであってよい。1つの例では、繊維構造体内の2つ以上の繊維要素は、同じ繊維要素形成材料を含んでもよいが、異なる活性剤を有する。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤(例えば、シャンプー活性剤)及びカチオン性界面活性剤(例えば、ヘアコンディショナー活性剤)が互いに相溶性ではない場合に該当し得る。
繊維要素の相違点の非限定的な例としては、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違い等の物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、繊維要素形成材料、色、活性剤の濃度、繊維要素形成材料の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角等の化学的な違い;繊維要素が目的とする使用条件に曝露されたときに、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;繊維要素が目的とする使用条件に曝露されたときに、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い;及び繊維要素が目的とする使用条件に曝露されたときに、繊維要素が1種又は複数種のその活性剤を放出する速度の違いであってよい。
別の例では、繊維構造体は、異なる領域、例えば、坪量、密度、及び/又は厚さの異なる領域を示していてよい。さらに別の例では、繊維構造体は、1つ又は複数のその表面に質感を含み得る。繊維構造体の表面は、非ランダムな反復パターン等のパターンを含んでよい。繊維構造体は、エンボスパターンでエンボス加工されてもよい。
1つの例では、繊維構造体は、繊維構造体の他の部分とは異なる、繊維要素の分離した領域を含み得る。
本発明の繊維構造体及び/又は繊維要素は、そのまま使用されてもよく、又は1種又は複数種の活性剤でコーティングされてもよい。
1つの例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の厚み試験法に従って測定される、0.01mmより大きい、及び/又は0.05mmより大きい、及び/又は0.1mmより大きい、及び/又は約100mmまで、及び/又は約50mmまで、及び/又は約20mmまで、及び/又は約10mmまで、及び/又は約5mmまで、及び/又は約2mmまで、及び/又は0.5mmまで、及び/又は約0.3mmまでの厚みを示す。
別の例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の引張試験法に従って測定される、約200g/cm以上、及び/又は約500g/cm以上、及び/又は約1000g/cm以上、及び/又は約1500g/cm以上、及び/又は約2000g/cm以上、及び/又は5000g/cm未満、及び/又は4000g/cm未満、及び/又は3000g/cm未満、及び/又は2500g/cm未満(約1.96N/cm以上、及び/又は約5N/cm以上、及び/又は約10N/cm以上、及び/又は約15N/cm以上、及び/又は約20N/cm以上、及び/又は49.0N/cm未満、及び/又は40N/cm未満、及び/又は29N/cm未満、及び/又は25N/cm未満)の幾何平均(GM)引張強度を示す。
別の例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の引張試験方法に従って測定される、1000%未満、及び/又は800%未満、及び/又は650%未満、及び/又は550%未満、及び/又は500%未満、及び/又は250%未満、及び/又は100%未満の幾何平均(GM)ピーク伸び率を示す。
別の例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の引張試験法に従って測定される、5000g/cm未満、及び/又は3000g/cm未満、及び/又は100g/cmより大きい、及び/又は500g/cmより大きい、及び/又は1000g/cmより大きい、及び/又は1500g/cmより大きい(49.0N/cm未満、及び/又は29N/cm未満、及び/又は1N/cmより大きい、及び/又は5N/cmより大きい、及び/又は10N/cmより大きい、及び/又は15N/cmより大きい)幾何平均(GM)接線モジュラスを示す。
別の例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の引張試験法に従って測定される、5000g/cm未満、及び/又は3000g/cm未満、及び/又は2500g/cm未満、及び/又は2000g/cm未満、及び/又は1500g/cm未満、及び/又は100g/cmより大きい、及び/又は300g/cmより大きい、及び/又は500g/cmより大きい(49.0N/cm未満、及び/又は29N/cm未満、及び/又は25N/cm未満、及び/又は20N/cm未満、及び/又は15N/cm未満、及び/又は1N/cmより大きい、及び/又は3N/cmより大きい、及び/又は5N/cmより大きい)幾何平均(GM)割線モジュラスを示す。
本発明の1つ又は複数の及び/又は複数の繊維要素は、当該技術分野において公知の任意の好適なプロセスによって繊維構造体を形成し得る。繊維構造体が繊維構造体の目的とする使用条件に曝露されたとき、繊維構造体は、本発明の繊維要素から活性剤を送達するのに使用され得る。
別の例では、繊維構造体は、異なる領域、例えば、坪量、密度、及び/又は厚さの異なる領域を示していてよい。さらに別の例では、繊維構造体は、1つ又は複数のその表面に質感を含み得る。繊維構造体の表面は、非ランダムな反復パターン等のパターンを含んでよい。繊維構造体は、エンボスパターンでエンボス加工されてもよい。別の例では、繊維構造体は、開口を含んでいてよい。開口は、非ランダムな反復パターンで配置されてよい。
1つの例では、繊維構造体は、繊維構造体の他の部分とは異なる、繊維要素の分離した領域を含み得る。繊維構造体内の異なる領域の非限定的な例は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/017421号及び同第2013/0167305号に記載されている。
本発明の繊維構造体の用途の非限定的な例としては、洗濯乾燥機の基材、洗濯機の基材、浴用タオル、硬質表面洗浄及び/又は研磨基材、床洗浄及び/又は研磨基材、バッテリー内の要素として、乳児用ワイプ、成人用ワイプ、婦人衛生用ワイプ、トイレットペーパーワイプ、窓洗浄基材、油封じ込め及び/又は掃除用基材、防虫基材、スイミングプール用化学基材、食品、口臭清涼剤、防臭剤、ごみ処理バック、梱包フィルム及び/又はラップ、創傷包帯、医薬品送達、建物用断熱材、作物及び/又は植物用カバー及び/又は苗床、糊基材、スキンケア基材、ヘアケア基材、空気ケア剤、水処理基材及び/又はフィルタ、便器洗浄基材、キャンディ基材、ペットフード、家畜用敷料、歯のホワイトニング基材、カーペット洗浄基材、並びに本発明の活性剤の他の好適な用途が挙げられるが、これらに限定されない。
1つの例では、このような繊維要素を有する繊維構造体は、本明細書に記載の溶出試験法に従って測定される、約60秒以下、及び/又は約30秒以下、及び/又は約10秒以下、及び/又は約5秒以下、及び/又は約2.0秒以下、及び/又は1.5秒以下の平均崩壊時間を示し得る。
1つの例では、本発明の繊維構造体は、本明細書に記載の溶出試験法に従って測定される、約600秒以下、及び/又は約400秒以下、及び/又は約300秒以下、及び/又は約200秒以下、及び/又は約175秒以下、及び/又は約100秒以下、及び/又は約50秒以下、及び/又は1を超える平均溶出時間を示し得る。
1つの例では、このような繊維要素を有する繊維構造体は、本明細書に記載の溶出試験法に従って測定される、約1.0秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約0.5s/gsm以下、及び/又は約0.2s/gsm以下、及び/又は約0.1s/gsm以下、及び/又は約0.05s/gsm以下、及び/又は約0.03s/gsm以下の、サンプル1gsm当たりの平均崩壊時間を示し得る。
1つの例では、このような繊維要素を有する繊維構造体は、本明細書に記載の溶出試験法に従って測定される、約10秒/gsm(s/gsm)以下、及び/又は約5.0s/gsm以下、及び/又は約3.0s/gsm以下、及び/又は約2.0s/gsm以下、及び/又は約1.8s/gsm以下、及び/又は約1.5s/gsm以下の、サンプル1gsm当たりの平均溶出時間を示し得る。
特定の実施態様では、本明細書に記載の含水率試験法に従って測定される、好適な繊維構造体は、約0%〜約20%の含水率(水分%)を有し得、特定の実施態様では、繊維構造体は、約1%〜約15%の含水率を有し得、特定の実施態様では、繊維構造体は、約5%〜約10%の含水率を有し得る。
1つの例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、1未満、及び/又は0.9未満、及び/又は0.8未満、及び/又は0.7未満、及び/又は0.6未満、及び/又は0.1超、及び/又は0.2超、及び/又は0.3超、及び/又は約0.4〜約0.7、及び/又は約0.45〜約0.6の坪量指数比を示す。
別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、1超、及び/又は1.025超、及び/又は1.05超、及び/又は3未満、及び/又は2未満、及び/又は1.8未満、及び/又は1.5未満、及び/又は約1〜約1.5、及び/又は約1〜約1.3、及び/又は約1.025〜約1.1の坪量指数移行比を示す。
別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、1超、及び/又は1.03超、及び/又は1.05超、及び/又は1.075超、及び/又は1.1超、及び/又は1.125超、及び/又は3未満、及び/又は2未満、及び/又は1.8未満、及び/又は1.5未満、及び/又は1.3未満、及び/又は約1.03〜約2、及び/又は約1.05〜約1.5、及び/又は約1.075〜約1.3の繊維配向指数比を示す。
別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、0.15mmより大きい、及び/又は0.3mmより大きい、及び/又は0.5mmより大きい、及び/又は0.75mmより大きい、及び/又は10mm未満、及び/又は7mm未満、及び/又は5mm未満、及び/又は3mm未満、及び/又は2mm未満、及び/又は約0.15mm〜約10mm、及び/又は約0.3mm〜約5mmの平均開口等価直径を示す。
別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、約0.005%より大きい、及び/又は約0.01%より大きい、及び/又は約0.5%より大きい、及び/又は約1%より大きい、及び/又は約2%より大きい、及び/又は約4%より大きい、及び/又は約80%未満、及び/又は約50%未満、及び/又は約30%未満、及び/又は約10%未満、及び/又は約0.005%〜約80%、及び/又は約0.01%〜約10%の平均分別孔面積を示す。
別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、0.0005超、及び/又は0.001超、及び/又は0.003超、及び/又は0.005超、及び/又は0.007超、及び/又は0.08未満、及び/又は0.07未満、及び/又は0.05未満、及び/又は0.03未満、及び/又は0.01未満、及び/又は約0.001〜約0.07、及び/又は約0.005〜約0.05、及び/又は約0.007〜約0.03の壁領域勾配を示す。
別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、0.0001超、及び/又は0.0003超、及び/又は0.0005超、及び/又は0.0007超、及び/又は0.1未満、及び/又は0.07未満、及び/又は0.05未満、及び/又は0.03未満、及び/又は0.02未満、及び/又は約0.0001〜約0.07、及び/又は約0.0003〜約0.05、及び/又は約0.0005〜約0.03の移行領域勾配を示す。
別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の開口パラメータ試験法に従って測定される、0.02mm2より大きい、及び/又は0.05mm2より大きい、及び/又は0.1mm2より大きい、及び/又は0.2mm2より大きい、及び/又は0.3mm2より大きい、及び/又は0.5mm2より大きい、及び/又は0.7mm2より大きい、及び/又は75mm2未満、及び/又は50mm2未満、及び/又は25mm2未満、及び/又は10mm2未満、及び/又は5mm2未満、及び/又は4mm2未満、及び/又は3mm2未満、及び/又は2mm2未満、及び/又は1mm2未満、及び/又は約0.02mm2〜約75mm2、及び/又は約0.1mm2〜約50mm2、及び/又は約0.1mm2〜約10mm2の平均開口面積を示す。
本発明のさらに別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、約0.1mm〜約10mmの開口光学円直径を示す。
本発明のさらに別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、約0.02mm2〜約75mm2の開口光学円面積を示す。
本発明のさらに別の例では、繊維構造体は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、約0.005%〜約80%の開口光学円形率を示す。
繊維要素
本発明の繊維要素、例えば、フィラメント及び/又は繊維は、1種又は複数種の繊維要素形成材料を含む。繊維要素形成材料に加えて、繊維要素は、繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が目的とする使用条件に曝露されたとき等に繊維要素、例えば、フィラメントから放出可能な繊維要素内に存在する1種又は複数種の活性剤をさらに含んでいてよい。1つの例では、繊維要素中に存在する1種又は複数種の繊維要素形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で80重量%未満であり、繊維要素中に存在する1種又は複数種の活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超である。
1つの例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、約100重量%、及び/又は95重量%超、及び/又は90重量%超、及び/又は85重量%超、及び/又は75重量%超、及び/又は50重量%超の1種又は複数種の繊維要素形成材料を含む。例えば、繊維要素形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、及び他の好適なポリマー、特に、ヒドロキシルポリマーを含み得る。
別の例では、本発明の繊維要素は、1種又は複数種の繊維要素形成材料と、1種又は複数種の活性剤とを含み、繊維要素中に存在する繊維要素形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約5重量%〜80重量%未満であり、繊維要素中に存在する活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超〜約95重量%である。
1つの例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は60重量%未満、及び/又は55重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満の繊維要素形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超、及び/又は少なくとも35重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤とを含む。
1つの例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも5重量%、及び/又は少なくとも10重量%、及び/又は少なくとも15重量%、及び/又は少なくとも20重量%、及び/又は50重量%未満、及び/又は45重量%未満、及び/又は40重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は30重量%未満、及び/又は25重量%未満の繊維要素形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で50重量%超、及び/又は少なくとも55重量%、及び/又は少なくとも60重量%、及び/又は少なくとも65重量%、及び/又は少なくとも70重量%、及び/又は95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は85重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は75重量%未満の活性剤とを含む。1つの例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で80重量%超の活性剤を含む。
別の例では、1種又は複数種の繊維要素形成材料及び活性剤は、4.0以下、及び/又は3.5以下、及び/又は3.0以下、及び/又は2.5以下、及び/又は2.0以下、及び/又は1.85以下、及び/又は1.7未満、及び/又は1.6未満、及び/又は1.5未満、及び/又は1.3未満、及び/又は1.2未満、及び/又は1未満、及び/又は0.7未満、及び/又は0.5未満、及び/又は0.4未満、及び/又は0.3未満、及び/又は0.1超、及び/又は0.15超、及び/又は0.2超の、繊維要素形成材料の総濃度の活性剤に対する重量比で繊維要素中に存在する。
さらに別の例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約10重量%〜、及び/又は約15重量%〜80重量%未満の繊維要素形成材料(例えば、ポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超〜約90重量%及び/又は〜約85重量%の活性剤とを含む。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又はpH調整剤(例えば、クエン酸)をさらに含んでよい。
さらに別の例では、本発明の繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約10重量%〜、及び/又は約15重量%〜80重量%未満の繊維要素形成材料(例えば、ポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマー)と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で20重量%超〜約90重量%及び/又は〜約85重量%の活性剤とを含み、繊維要素形成材料の活性剤に対する重量比は、4.0以下である。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又はpH調整剤(例えば、クエン酸)をさらに含んでよい。
本発明のさらに別の例では、繊維要素は、1種又は複数種の繊維要素形成材料と、繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が目的とする使用条件に曝露されたときに放出可能である及び/又は放出される酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、知覚剤、分散剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種又は複数種の活性剤とを含む。1つの例では、繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で95重量%未満、及び/又は90重量%未満、及び/又は80重量%未満、及び/又は50重量%未満、及び/又は35重量%未満、及び/又は約5重量%まで、及び/又は約10重量%まで、及び/又は約20重量%までの総濃度の繊維要素形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で5重量%超、及び/又は10重量%超、及び/又は20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%超、及び/又は65重量%超、及び/又は約95重量%まで、及び/又は約90重量%まで、及び/又は約80重量%までの総濃度の、酵素、漂白剤、ビルダー、キレート剤、香料、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される活性剤とを含む。1つの例では、活性剤は、1種又は複数種の酵素を含む。別の例では、活性剤は、1種又は複数種の漂白剤を含む。さらに別の例では、活性剤は、1種又は複数種のビルダーを含む。さらに別の例では、活性剤は、1種又は複数種のキレート剤を含む。さらに別の例では、活性剤は、1種又は複数種の香料を含む。さらに別の例では、活性剤は、1種又は複数種の抗微生物剤、抗菌剤、及び/又は抗真菌剤を含む。
本発明のさらに別の例では、本発明の繊維要素は、空中に飛散した場合に健康及び/又は安全上の懸念が生じ得る活性剤を含む場合がある。例えば、繊維要素は、繊維要素内の酵素が空中に飛散するのを妨げるために使用することができる。
1つの例では、本発明の繊維要素は、メルトブローン繊維要素であってよい。別の例では、本発明の繊維要素は、スパンボンド繊維要素であってよい。別の例では、繊維要素は、1種又は複数種のその活性剤が放出される前及び/又は放出された後に中空の繊維要素であってよい。
本発明の繊維要素は、親水性であっても疎水性であってもよい。繊維要素は、繊維要素固有の親水性又は疎水性を変化させるために、表面処理及び/又は内部処理してもよい。
1つの例では、繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定される、100μm未満、及び/又は75μm未満、及び/又は50μm未満、及び/又は25μm未満、及び/又は10μm未満、及び/又は5μm未満、及び/又は1μm未満の直径を示す。別の例では、本発明の繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定される、1μmより大きい直径を示す。本発明の繊維要素の直径は、繊維要素中に存在する1種又は複数種の活性剤の放出速度、並びに/又は繊維要素の物理的構造の損失及び/若しくは変化の速度を制御するために使用してよい。
繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含んでいてよい。1つの例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに相溶性である。別の例では、繊維要素は、2つ以上の異なる活性剤を含み、その2つ以上の異なる活性剤は、互いに非相溶性である。
1つの例では、繊維要素は、繊維要素内の活性剤及び/若しくは添加剤、並びに/又は、繊維要素上の活性剤及び/若しくは添加剤コーティング等の繊維要素の外面上の活性剤及び/若しくは添加剤を含んでいてよい。繊維要素の外面上の活性剤及び/又は添加剤は、繊維要素中に存在する活性剤及び/又は添加剤と同じであっても、又は異なっていてもよい。異なっている場合、活性剤及び/又は添加剤は、互いに相溶性であっても、又は非相溶性であってもよい。
1つの例では、1種又は複数種の活性剤は、繊維要素全体に均一に分布していてもよく、又は実質的に均一に分布していてもよい。別の例では、1種又は複数種の活性剤は、繊維要素内に分離した領域として分布していてもよい。さらに別の例では、少なくとも1つの活性剤は、繊維要素全体に均一に又は実質的に均一に分布し、少なくとも1つの他の活性剤は、繊維要素内に1つ又は複数の分離した領域として分布する。さらに別の例では、少なくとも1つの活性剤は、繊維要素内に1つ又は複数の分離した領域として分布し、少なくとも1つの他の活性剤は、繊維要素内に第1の分離した領域とは異なる1つ又は複数の分離した領域として分布する。
繊維要素形成材料
繊維要素形成材料は、紡糸プロセス等によって繊維要素を作製するのに好適な特性を示すポリマー又はポリマーを製造することができるモノマー等の任意の好適な材料である。
1つの例では、繊維要素形成材料は、アルコール可溶性材料及び/又は水溶性材料等の、極性溶媒可溶性材料を含んでよい。
別の例では、繊維要素形成材料は、非極性溶媒可溶性材料を含んでいてもよい。
さらに別の例では、繊維要素形成材料は、極性溶媒可溶性材料を含み、かつ非極性溶媒可溶性材料を含まなくてよい(乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満、及び/又は0重量%)。
さらに別の例では、繊維要素形成材料は、フィルム形成材料であってよい。さらに別の例では、繊維要素形成材料は、合成又は天然起源であってよく、その材料は、化学的、酵素的、及び/又は物理的に改質してもよい。
本発明のさらに別の例では、繊維要素形成材料は、エチレン性不飽和カルボン酸モノマー及びエチレン性不飽和モノマー等のアクリルモノマーから誘導されたポリマー、ポリビニルアルコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリル酸とメチルアクリルレートとのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースからなる群から選択されるポリマーを含んでよい。
さらに別の例では、繊維要素形成材料は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含んでいてよい。
別の例では、繊維要素形成材料は、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリアクリル酸、メチルメタクリレートコポリマー、カルボキシビニルポリマー、デキストリン、ペクチン、キチン、レバン、エルシナン、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、大豆タンパク質、カゼイン、ポリビニルアルコール、デンプン、デンプン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、タンパク質、キトサン、キトサン誘導体、ポリエチレングリコール、テトラメチレンエーテルグリコール、ヒドロキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む。
極性溶媒可溶性材料
極性溶媒可溶性材料の非限定的な例としては、極性溶媒可溶性ポリマーが挙げられる。極性溶媒可溶性ポリマーは、合成又は天然起源であってよく、化学的及び/又は物理的に改質してもよい。1つの例では、極性溶媒可溶性ポリマーは、少なくとも10,000g/モル、及び/又は少なくとも20,000g/モル、及び/又は少なくとも40,000g/モル、及び/又は少なくとも80,000g/モル、及び/又は少なくとも100,000g/モル、及び/又は少なくとも1,000,000g/モル、及び/又は少なくとも3,000,000g/モル、及び/又は少なくとも10,000,000g/モル、及び/又は少なくとも20,000,000g/モル、及び/又は約40,000,000g/モルまで、及び/又は約30,000,000g/モルまでの重量平均分子量を示す。
1つの例では、極性溶媒可溶性ポリマーは、アルコール可溶性ポリマー、水溶性ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される。水溶性ポリマーの非限定的な例としては、水溶性ヒドロキシルポリマー、水溶性熱可塑性ポリマー、水溶性生分解性ポリマー、水溶性非生分解性ポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。1つの例では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコールを含む。別の例では、水溶性ポリマーは、デンプンを含む。さらに別の例では、水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール及びデンプンを含む。
a.水溶性ヒドロキシルポリマー−本発明に係る水溶性ヒドロキシルポリマーの非限定的な例としては、ポリオール、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルアルコールコポリマー、デンプン、デンプン誘導体、デンプンコポリマー、キトサン、キトサン誘導体、キトサンコポリマー、セルロース誘導体、例えば、セルロースエーテル及びエステル誘導体、セルロースコポリマー、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ヘミセルロースコポリマー、ゴム、アラビナン、ガラクタン、タンパク質、及び他の様々な多糖類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
1つの例では、本発明の水溶性ヒドロキシルポリマーは、多糖類を含む。
本明細書で使用するとき、「多糖類」は、天然多糖類、及び多糖誘導体、及び/又は修飾多糖類を意味する。好適な水溶性多糖類としては、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、セルロース誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。水溶性多糖類は、約10,000g/モル〜約40,000,000g/モル、及び/又は100,000g/モル超、及び/又は1,000,000g/モル超、及び/又は3,000,000g/モル超、及び/又は約3,000,000g/モル超〜約40,000,000g/モルの重量平均分子量を示してよい。
水溶性多糖類は、非セルロース、及び/又は非セルロース誘導体、及び/又は非セルロースコポリマー水溶性多糖類を含んでよい。このような非セルロース水溶性多糖類は、デンプン、デンプン誘導体、キトサン、キトサン誘導体、ヘミセルロース、ヘミセルロース誘導体、ゴム、アラビナン、ガラクタン、及びこれらの混合物からなる群から選択してよい。
別の例では、本発明の水溶性ヒドロキシルポリマーは、非熱可塑性ポリマーを含む。
水溶性ヒドロキシルポリマーは、約10,000g/モル〜約40,000,000g/モル、及び/又は100,000g/モル超、及び/又は1,000,000g/モル超、及び/又は3,000,000g/モル超、及び/又は約3,000,000g/モル超〜約40,000,000g/モルの重量平均分子量を有してよい。より高い分子量及びより低い分子量の水溶性ヒドロキシルポリマーを、特定の所望の重量平均分子量を有するヒドロキシルポリマーと併用してよい。
例えば、天然デンプン等の水溶性ヒドロキシルポリマーの周知の修飾としては、化学修飾及び/又は酵素修飾が挙げられる。例えば、天然デンプンは、酸希釈(acid-thinned)、ヒドロキシエチル化、ヒドロキシプロピル化、及び/又は酸化することができる。さらに、水溶性ヒドロキシルポリマーは、デントコーンデンプンを含んでよい。
天然起源のデンプンは、一般に、Dグルコース単位の直鎖アミロースと分岐アミロペクチンポリマーとの混合物である。アミロースは、(1,4)−α−D結合によって結合されているD−グルコース単位の実質的に直鎖状のポリマーである。アミロペクチンは、分枝点において(1,4)−α−D結合及び(1,6)−α−D結合によって結合されているD−グルコース単位の高度に分岐したポリマーである。天然起源のデンプン、例えば、コーンスターチ(64〜80%アミロペクチン)、ワキシートウモロコシ(waxy maize)(93〜100%アミロペクチン)、コメ(83〜84%アミロペクチン)、ジャガイモ(約78%アミロペクチン)、及びコムギ(73〜83%アミロペクチン)は、典型的には、比較的高濃度のアミロペクチンを含有する。全てのデンプンが本明細書において潜在的に有用であるが、本発明は、最も一般的には、豊富に供給され、容易に補充可能であり、かつ安価であるという利点が得られる、農業資源に由来する高アミロペクチン天然デンプンを用いて実施される。
本明細書で使用するとき、「デンプン」は、任意の天然起源の非修飾デンプン、修飾デンプン、合成デンプン、及びこれらの混合物に加えて、アミロース又はアミロペクチン画分の混合物を含み、デンプンは、物理的、化学的、若しくは生物学的プロセス、又はこれらの組み合わせによって修飾してよい。本発明についての非修飾又は修飾デンプンの選択は、所望の最終製品に依存し得る。本発明の1つの実施形態では、本発明において有用なデンプン又はデンプン混合物は、デンプン又はその混合物の約20重量%〜約100重量%、より典型的には約40重量%〜約90重量%、さらにより典型的には約60重量%〜約85重量%のアミロペクチン含量を有する。
好適な天然起源のデンプンとしては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、サツマイモデンプン、コムギデンプン、サゴヤシデンプン、タピオカデンプン、コメデンプン、ダイズデンプン、アロールートデンプン、アミオカデンプン(amioca starch)、ワラビデンプン、ハスデンプン、ワキシートウモロコシデンプン、及び高アミローストウモロコシデンプンを挙げることができるが、これらに限定されない。天然起源のデンプン、特にトウモロコシデンプン及びコムギデンプンは、経済性及び入手可能性の点で好ましいデンプンポリマーである。
本明細書におけるポリビニルアルコールは、その特性を改質するために他のモノマーによりグラフトすることができる。広範なモノマーをポリビニルアルコールにグラフトすることに成功している。このようなモノマーの非限定的な例としては、酢酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、アクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリル、1,3−ブタジエン、メチルメタクリレート、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、メチルアリルスルホン酸ナトリウム、フェニルアリルエーテルスルホン酸ナトリウム、フェニルメタリルエーテルスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸(AMP)、塩化ビニリデン、塩化ビニル、ビニルアミン、及び様々なアクレートエステルが挙げられる。
1つの例では、水溶性ヒドロキシルポリマーは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なポリビニルアルコールの非限定的な例としては、Sekisui Specialty Chemicals America,LLC(Dallas,TX)から商標名CELVOL(登録商標)として市販されているものが挙げられる。好適なヒドロキシプロピルメチルセルロースの非限定的な例としては、上述のヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせを含む、Dow Chemical Company(Midland,MI)から商標名METHOCEL(登録商標)として市販されているものが挙げられる。
b.水溶性熱可塑性ポリマー−好適な水溶性熱可塑性ポリマーの非限定的な例としては、熱可塑性デンプン及び/又はデンプン誘導体、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、及び特定のポリエステル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
本発明の水溶性熱可塑性ポリマーは、親水性であっても疎水性であってもよい。水溶性熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリマー固有の親水性若しくは疎水性を変化させるために、表面処理及び/又は内部処理してもよい。
水溶性熱可塑性ポリマーは、生分解性ポリマーを含んでもよい。
熱可塑性ポリマーのために任意の好適な重量平均分子量を使用してよい。例えば、本発明に係る熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000g/モル超、及び/又は約40,000g/モル超、及び/又は約50,000g/モル超、及び/又は約500,000g/モル未満、及び/又は約400,000g/モル未満、及び/又は約200,000g/モル未満である。
非極性溶媒可溶性材料
非極性溶媒可溶性材料の非限定的な例としては、非極性溶媒可溶性ポリマーが挙げられる。好適な非極性溶媒可溶性材料の非限定的な例としては、セルロース、キチン、キチン誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、これらのコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリオレフィンの非限定的な例としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、及びこれらの混合物が挙げられる。ポリエステルの非限定的な例としては、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
非極性溶媒可溶性材料は、非生分解性ポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び特定のポリエステルを含んでよい。
熱可塑性ポリマーのために任意の好適な重量平均分子量を使用してよい。例えば、本発明に係る熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は、約10,000g/モル超、及び/又は約40,000g/モル超、及び/又は約50,000g/モル超、及び/又は約500,000g/モル未満、及び/又は約400,000g/モル未満、及び/又は約200,000g/モル未満である。
活性剤
活性剤は、例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体の外部の環境に利益をもたらす等、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体自体以外の何かに利益をもたらすように設計及び意図される添加剤の部類である。活性剤は、繊維要素の目的とする使用条件下で、目的とする効果を生じさせる任意の好適な添加剤であってよい。例えば、活性剤は、以下からなる群から選択してよい:パーソナルクレンジング及び/又はコンディショニング剤、例えば、ヘアケア剤(例えば、シャンプー剤及び/又は染毛剤)、ヘアコンディショニング剤、スキンケア剤、日焼け止め剤、及びスキンコンディショニング剤;洗濯物ケア及び/又はコンディショニング剤、例えば、布地ケア剤、布地コンディショニング剤、布地柔軟剤、布地しわ防止剤、布地ケア静電気防止剤、布地ケア染み除去剤、汚れ放出剤、分散剤、発泡抑制剤、発泡促進剤、消泡剤、及び布地リフレッシング剤;液体及び/又は粉末食器洗浄剤(食器手洗い及び/又は自動食器洗浄機用)、硬質表面ケア剤及び/又はコンディショニング剤及び/又は研磨剤;他の洗浄及び/又はコンディショニング剤、例えば、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、布地着色剤、香料、漂白剤(例えば、酸素漂白剤、過酸化水素、過炭酸塩漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、塩化物漂白剤)、漂白活性化剤、キレート剤、ビルダー、ローション、増白剤、空気ケア剤、カーペットケア剤、転染阻害剤、粘土汚れ除去剤、再付着防止剤、高分子汚れ放出剤、高分子分散剤、アルコキシ化ポリアミンポリマー、アルコキシ化ポリカルボキシレートポリマー、両親媒性グラフトコポリマー、溶出助剤、緩衝系、水軟化剤、水硬化剤、pH調整剤、酵素、凝集剤、発泡剤、防腐剤、化粧剤、メークアップ除去剤、起泡剤、付着助剤、コアセルベート形成剤、粘土、増粘剤、ラテックス、シリカ、乾燥剤、臭気制御剤、制汗剤、冷却剤、加温剤、吸収性ゲル剤、抗炎症剤、染料、顔料、酸、及び塩基;液体処理活性剤;農業用活性剤;工業用活性剤;摂取可能な活性剤、例えば、医薬剤、歯科用ホワイトニング剤、歯ケア剤、洗口剤、歯周歯肉ケア剤、可食性剤、食用剤、ビタミン、ミネラル;水処理剤、例えば、水清澄及び/又は消毒剤、並びにこれらの混合物。
好適な化粧剤、スキンケア剤、スキンコンディショニング剤、ヘアケア剤、及びヘアコンディショニング剤の非限定的な例は、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992に記載されている。
1種又は複数種の化学物質の部類が、上に列挙した1種又は複数種の活性剤に有用であり得る。例えば、界面活性剤は、任意の数の上記活性剤のために使用してよい。同様に、漂白剤は、布地ケア、硬質表面洗浄、食器洗浄、及びさらには歯科用ホワイトニングのために使用してよい。したがって、当業者は、活性剤が、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体の所望の目的とする用途に基づいて選択されることを理解するであろう。
例えば、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体をヘアケア及び/又はコンディショニングに使用する場合、繊維要素及び/若しくは粒子、並びに/又は繊維要素及び/若しくは粒子が組み込まれる繊維構造体が目的とする使用条件に曝露されたときに消費者に所望の利益をもたらすように、1種又は複数種の好適な界面活性剤、例えば、発泡性界面活性剤を選択することができる。
1つの例では、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体が、洗濯操作において衣類の洗濯に使用するように設計又は意図されている場合、繊維要素及び/若しくは粒子、並びに/又は繊維要素及び/若しくは粒子が組み込まれる繊維構造体が目的とする使用条件に曝露されたときに消費者に所望の利益をもたらすように、1種又は複数種の好適な界面活性剤、及び/又は酵素、及び/又はビルダー、及び/又は香料、及び/又は発泡抑制剤、及び/又は漂白剤を選択することができる。別の例では、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体が、洗濯操作における衣類の洗濯及び/又は食器洗浄操作における食器の洗浄に使用するように設計又は意図されている場合、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体は、洗濯洗剤組成物若しくは食器洗浄洗剤組成物又はこのような組成物で使用される活性剤を含んでよい。さらに別の例では、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体が、便器の洗浄及び/又は衛生化に使用するように設計されている場合、繊維要素及び/若しくは粒子並びに/又はこれらから作製される繊維構造体は、便器洗浄用組成物及び/若しくは発泡性組成物並びに/又はこのような組成物で使用される活性剤を含んでよい。
1つの例では、活性剤は、界面活性剤、漂白剤、酵素、発泡抑制剤、発泡促進剤、布地柔軟剤、義歯洗浄剤、毛髪洗浄剤、ヘアケア剤、パーソナルヘルスケア剤、例えば、ジフェンヒドラミン、色相剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
活性剤の放出
繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体が誘発条件に曝露されたとき、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から1種又は複数種の活性剤が放出され得る。1つの例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部が、そのアイデンティティを失ったとき、言い換えれば、その物理的構造を失ったときに、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部から1種又は複数種の活性剤が放出され得る。例えば、繊維要素形成材料が溶解したとき、融解したとき、又はその構造が失われるような何らかの他の変形工程を経たときに、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体は、その物理的構造を失う。1つの例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体の形態が変化したとき、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から1種又は複数種の活性剤が放出される。
別の例では、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部のアイデンティティが変化したとき、言い換えれば、その物理的構造を失うのではなく、その物理的構造が変化したときに、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体、あるいはこれらの一部から1種又は複数種の活性剤が放出され得る。例えば、繊維要素形成材料が膨張したとき、収縮したとき、延長されたとき、及び/又は短縮されたとき、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体の物理的構造は変化するが、その繊維要素形成特性は保持する。
別の例では、その形態が変化することなく(その物理的構造を失うことも変化することもなく)、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から1種又は複数種の活性剤が放出され得る。
1つの例では、例えば、上述の通り繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体のアイデンティティを失わせるか又は変化させることによって、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体が活性剤を放出させる誘発条件に曝露された際に、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体は、活性剤を放出し得る。誘発条件の非限定的な例としては、溶媒、極性溶媒(例えば、アルコール及び/又は水)、及び/又は非極性溶媒に繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を曝露すること(これは、繊維要素形成材料が、極性溶媒可溶性材料及び/又は非極性溶媒可溶性材料を含むかどうかに依存して、逐次行ってよい);繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を熱、例えば、24℃より高い、及び/又は38℃より高い、及び/又は66℃より高い、及び/又は93℃より高い、及び/又は100℃より高い(75°Fより高い、及び/又は100°Fより高い、及び/又は150°Fより高い、及び/又は200°Fより高い、及び/又は212°Fより高い)の温度に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を冷温、例えば、4℃未満、及び/又は0℃未満、及び/又は−18℃未満(40°F未満、及び/又は32°F未満、及び/又は0°F未満)の温度に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を力、例えば、繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を用いる消費者によって印加される延伸力に曝露すること;及び/又は繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を化学反応に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、相変化を引き起こす条件に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、pH変化及び/又は圧力変化及び/又は温度変化に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、1種又は複数種の活性剤を放出する繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体が得られる1種又は複数種の化学物質に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を超音波に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を光及び/又は特定の波長に曝露すること;繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を様々なイオン強度に曝露すること;及び/又は繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体を、別の繊維要素及び/又は粒子及び/又は繊維構造体から放出される活性剤に曝露することが挙げられる。
1つの例では、繊維要素及び/又は粒子を含む繊維構造体が、以下からなる群から選択される誘発工程に曝露されたとき、本発明の繊維要素及び/又は粒子から1種又は複数種の活性剤が放出され得る:繊維構造体で布地物品上の染みを前処理する工程;繊維構造体を水と接触させることによって洗浄液を形成する工程;乾燥機内で繊維構造体を回転させる工程;乾燥機内で繊維構造体を加熱する工程;及びこれらの組み合わせ。
繊維要素形成組成物
本発明の繊維要素は、繊維要素形成組成物から作製される。繊維要素形成組成物は、極性溶媒系組成物である。1つの例では、繊維要素形成組成物は、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む水性組成物である。
繊維要素形成組成物は、繊維要素形成組成物から繊維要素を作製するときに、約20℃〜約100℃、及び/又は約30℃〜約90℃、及び/又は約35℃〜約70℃、及び/又は約40℃〜約60℃の温度で加工してよい。
1つの例では、繊維要素形成組成物は、少なくとも20重量%、及び/又は少なくとも30重量%、及び/又は少なくとも40重量%、及び/又は少なくとも45重量%、及び/又は少なくとも50重量%〜約90重量%、及び/又は〜約85重量%、及び/又は〜約80重量%、及び/又は〜約75重量%の1種又は複数種の繊維要素形成材料、1種又は複数種の活性剤、及びこれらの混合物を含んでよい。繊維要素形成組成物は、約10重量%〜約80重量%の極性溶媒、例えば水を含んでよい。
1つの例では、繊維要素形成組成物の不揮発性成分は、繊維要素形成組成物の総重量に基づいて、約20重量%から、及び/又は約30重量%から、及び/又は40重量%から、及び/又は45重量%から、及び/又は50重量%から約75重量%まで、及び/又は80%重量%まで、及び/又は85重量%まで、及び/又は90重量%までを占め得る。不揮発性成分は、繊維要素形成組成物、例えば、主鎖ポリマー、活性剤、及びこれらの組み合わせで構成されてよい。繊維要素形成組成物の揮発性成分は、残りの割合、及び繊維要素形成組成物の総重量に基づいて10重量%〜80重量%の範囲を占める。
繊維要素の紡糸プロセスでは、繊維要素は、紡糸用ダイを出るときに初期安定性を有する必要がある。毛管数は、この初期安定性基準を特徴付けるために使用される。ダイの条件において、毛管数は、少なくとも1、及び/又は少なくとも3、及び/又は少なくとも4、及び/又は少なくとも5であってよい。
1つの例では、繊維要素形成組成物は、少なくとも約1〜約50、及び/又は少なくとも約3〜約50、及び/又は少なくとも約5〜約30の毛管数を示し、繊維要素形成組成物を繊維要素に有効にポリマー加工できるようにする。
本明細書で使用するとき、「ポリマー加工」は、加工された繊維要素形成材料を含む繊維要素が繊維要素形成組成物から形成される、任意の紡糸操作及び/又は紡糸プロセスを意味する。紡糸操作及び/又はプロセスは、スパンボンド、メルトブローン、エレクトロスピニング、回転紡糸、連続フィラメント製造、及び/又はトウ繊維製造操作/プロセスを含んでよい。本明細書で使用されるとき、「加工された繊維要素形成材料」は、融解加工操作、及び後続のポリマー加工操作を受けて繊維要素となる、任意の繊維要素形成材料を意味する。
毛管数は、この液滴崩壊の可能性を特徴付けるために使用される無次元数である。毛管数が多いことは、ダイを出る際の流体安定性がより高いことを示す。毛管数は、以下の通り定義される:
Vは、ダイ出口における流体速度であり(時間当たりの長さの単位)、
ηは、ダイの条件における流体粘度(長さ×時間当たりの質量の単位)であり、
σは、流体の表面張力(時間の二乗当たりの質量の単位)である。速度、粘度、及び表面張力が一連の一貫した単位で表されるとき、得られる毛管数は、それ自体の単位を有しず、個々の単位は無効になる。
毛管数は、ダイの出口における条件について定義される。流体速度は、ダイの孔を通過する流体の平均速度である。平均速度は、以下の通り定義される:
Vol’=体積流量(時間当たりの長さの三乗の単位)であり、
面積=ダイ出口の断面積(長さの二乗の単位)である。
ダイの孔が円形の穴である場合、流体速度は、以下の通り定義することができる:
流体粘度は、温度に依存し、剪断速度に依存し得る。ずり減粘流体の定義は、剪断速度に対する依存を含む。表面張力は、流体の構成及び流体の温度に依存する。
1つの例では、繊維要素形成組成物は、1種又は複数種の離型剤及び/又は潤滑剤を含んでよい。好適な離型剤及び/又は潤滑剤の非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、脂肪族エステル、スルホン化脂肪酸エステル、脂肪族アミンアセテート、及び脂肪酸アミド、シリコーン、アミノシリコーン、フルオロポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
1つの例では、繊維要素形成組成物は、1種又は複数種のブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤を含み得る。好適なブロッキング防止剤及び/又は粘着性除去剤の非限定的な例としては、デンプン、加工デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク、及び雲母が挙げられる。
本発明の活性剤は、繊維要素形成前及び/若しくは繊維要素形成中に繊維要素形成組成物に添加してもよく、並びに/又は繊維要素形成後に繊維要素に添加してもよい。例えば、本発明に従って繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体を形成した後に、香料活性剤を繊維要素及び/又は繊維構造体に適用してよい。別の例では、本発明に従って繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体を形成した後に、酵素活性剤を繊維要素及び/又は繊維構造体に適用してよい。さらに別の例では、本発明に従って繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体を形成した後に、(繊維要素を作製するための紡糸プロセスを通過するのに好適でなくともよい)1つ又は複数の粒子を繊維要素及び/又は繊維構造体に適用してよい。
伸長助剤
1つの例では、繊維要素は、伸張助剤を含む。伸長助剤の非限定的な例としては、ポリマー、他の伸長助剤、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
1つの例では、伸長助剤は、少なくとも約500,000Daの重量平均分子量を有する。別の例では、伸長助剤の重量平均分子量は、約500,000〜約25,000,000、別の例では、約800,000〜約22,000,000、さらに別の例では、約1,000,000〜約20,000,000、別の例では、約2,000,000〜約15,000,000である。高分子量の伸長助剤は、伸長融解粘度を増加させ、かつ融解破壊を低減する能力の点で、本発明の幾つかの例において特に好適である。
伸長助剤は、メルトブロープロセスにおいて使用する場合、紡糸プロセス中の繊維の融解破壊及び毛管破壊を明らかに低減するのに有効な量で本発明の組成物に添加され、比較的一貫した直径を有する実質的に連続的な繊維を融解紡糸することができるようにする。繊維要素及び/又は粒子を製造するのに使用されるプロセスにかかわらず、伸長助剤は、使用される場合、1つの例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.001重量%〜約10重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.005重量%〜約5重量%、さらに別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.01重量%〜約1重量%、別の例では、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約0.05重量%〜約0.5重量%で存在し得る。
伸長助剤として使用することができるポリマーの非限定的な例としては、アルギン酸塩、カラギーナン、ペクチン、キチン、グアーガム、キサンタンガム、アガー、アラビアゴム、カラヤゴム、トラガカントガム、ローカストビーンガム、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、及びこれらの混合物を挙げることができる。
他の伸長助剤の非限定的な例としては、修飾及び非修飾ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレンイミン、ポリアミド、ポリアルキレンオキシド(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンプロピレンオキシドを含む)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
溶解助剤
繊維要素が、時に形成され得る不溶性若しくは難溶性の界面活性剤凝集体の形成を軽減するために、40%を超える界面活性剤を含有する場合、又は界面活性剤組成物を冷水中で使用する場合、溶解を促進するための溶解助剤を本発明の繊維要素に配合してよい。溶解助剤の非限定的な例としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、塩化マグネシウム、及び硫酸マグネシウムが挙げられる。
緩衝系
本発明の繊維要素は、水性洗浄操作(例えば、衣類若しくは食器の洗浄及び/又は毛髪の洗浄)における使用中に洗浄水が約5.0〜約12、及び/又は約7.0〜10.5のpHを有するように配合してよい。食器洗浄操作の場合、洗浄水のpHは、典型的には、約6.8〜約9.0である。衣類を洗浄する場合、洗浄水のpHは、典型的には、7〜11である。推奨される使用濃度でpHを制御する技術としては、緩衝剤、アルカリ、酸等の使用が挙げられ、これらは当業者に周知である。これらは、炭酸ナトリウム、クエン酸又はクエン酸ナトリウム、モノエタノールアミン又は他のアミン、ホウ酸又はホウ酸塩、及び当該技術分野において周知の他のpH調整化合物の使用を含む。
「低pH」洗剤組成物として有用な繊維要素及び/又は繊維構造体は、本発明に含まれ、本発明の界面活性剤系に特に好適であり、かつ使用中に8.5未満、及び/又は8.0未満、及び/又は7.0未満、及び/又は7.0未満、及び/又は5.5未満、及び/又は約5.0未満のpH値を提供し得る。
動的な洗浄中のpHプロファイル繊維構造体は本発明に含まれる。このような繊維要素は、以下のようになるように、ワックス被覆クエン酸粒子を他のpH制御剤と併用してよい:(i)水と接触した3分後に、洗浄液のpHが10を超える;(ii)水と接触した10分後に、洗浄液のpHが9.5未満である;(iii)水と接触した20分間後に、洗浄液のpHが9.0未満である;及び(iv)任意で、洗浄液の平衡pHが、7.0超〜8.5の範囲である。
繊維要素を作製する方法の非限定的な例
本発明の繊維構造体、例えば、フィラメントは、図7及び図8に示す通り作製してよい。図7及び図8に示す通り、本発明に係る繊維要素10(例えば、フィラメント)を作製する方法20は、以下の工程を含む:
a.1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む繊維要素形成組成物22を(例えば、タンク24等から)提供する工程、及び
b.繊維要素形成組成物22を、例えば、紡糸用ダイ26を介して、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む1つ又は複数の繊維要素10、例えば、フィラメントに紡糸する工程。
繊維要素形成組成物は、ポンプ30を用いて又は用いずに、タンク24と紡糸用ダイ26との間を好適なパイプ28を介して輸送してよい。1つの例では、バッチ操作に好適な加圧タンク24に、紡糸に好適な繊維要素形成組成物22を充填する。Zenithポンプ部門であるColfax Corporation(Monroe,N.C.,USA)によって製造され、1回転当たり5.0立方センチメートル(cc/rev)の容量を有するZenith(登録商標)PEP II型等のポンプ30を用いて、繊維要素形成組成物22の紡糸用ダイ26への輸送を促進してよい。加圧タンク24から紡糸用ダイ26への繊維要素形成組成物22の流動は、ポンプ30の1分当たりの回転数(rpm)を調整することによって制御してよい。タンク24から、ポンプ30へ、そしてダイ26内へと繊維要素形成組成物22を(矢印によって表す通り)輸送するために、パイプ28を用いて加圧タンク24、ポンプ30、及び紡糸用ダイ26を接続する。
繊維要素10中に存在する1種又は複数種の繊維要素形成材料の総濃度は、活性剤がその中に存在する場合、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、80重量%未満、及び/又は70重量%未満、及び/又は65重量%未満、及び/又は50重量%以下であってよく、1種又は複数種の活性剤の総濃度は、繊維要素中に存在する場合、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で、20重量%超、及び/又は35重量%超、及び/又は50重量%以上、65重量%以上、及び/又は80重量%以上であってよい。
図7及び8に示す通り、紡糸用ダイ26は、繊維要素形成穴32を出る時にその中を流体(例えば、空気)が通過して、繊維要素形成組成物22の繊維要素10への細長化(attenuation)を促進する同心細長化流体穴36に囲まれた融解毛管34を含む複数の繊維要素形成穴32を含んでよい。
1つの例では、図8に示す紡糸用ダイ26は、約1.524ミリメートル(約0.060インチ)のピッチPで互いに離間している円形押し出しノズル(繊維要素形成穴32)の2つ以上の列を有する。ノズルは、約0.305ミリメートル(約0.012インチ)の個々の内径、及び約0.813ミリメートル(約0.032インチ)の個々の外径を有する。各個々のノズルは、細長化空気を各個々の融解毛管34に供給するために、環状かつ末広のフレア状オリフィス(同心細長化流体穴36)によって囲まれた融解毛管34を含む。ノズルを通して押し出される繊維要素形成組成物22は、繊維要素10を製造するためにオリフィスを通して供給される概ね円筒形の湿った空気の流れによって取り囲まれ、細長化される。
細長化空気は、供給源からの圧縮空気を電気抵抗ヒータ、例えば、Emerson Electricの一部門であるChromalox(Pittsburgh,Pa.,USA)によって製造されたヒータによって加熱することにより提供してよい。電気的に加熱され、サーモスタットで制御された送出パイプ中の条件において、加熱された空気を飽和又はほとんど飽和させるために、適切な量の流れを添加した。電気的に加熱され、サーモスタットで制御された分離器中で、凝縮物を除去した。
初期繊維要素は、電気抵抗ヒータ(図示せず)によって約149℃(約300°F)〜約315℃(約600°F)の温度を有し、乾燥ノズルを通して供給され、紡糸される初期繊維要素の全体配向に対して、約90°の角度で吐出される乾燥空気流によって乾燥される。乾燥した繊維要素は、ベルト又は布、1つの例では、ベルト又は布上に繊維要素を回収した結果として形成される繊維構造体に対して、パターン、例えば、非ランダムな反復パターンを付与することが可能なベルト又は布等の回収装置上で回収してよい。形成ゾーンの真下に真空源を追加して、回収装置への繊維要素の回収を支援してもよい。繊維要素の紡糸及び回収によって、互いに絡みあった繊維要素(例えば、フィラメント)を含む繊維構造体が生成される。
1つの例では、紡糸工程中に、繊維要素形成組成物22中に存在する任意の揮発性溶媒(例えば、水)は、繊維要素10が形成される際に、例えば乾燥によって除去される。1つの例では、30重量%超、及び/又は40重量%超、及び/又は50重量%超の繊維要素形成組成物の揮発性溶媒(例えば、水)が、紡糸工程中に、例えば、生成される繊維要素10を乾燥させることによって除去される。
繊維要素形成組成物から生成される繊維要素が、繊維要素中の総濃度が乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約5重量%〜50重量%以下である繊維要素形成材料と、繊維要素中の総濃度が乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で50重量%〜約95重量%である活性剤とを含む限り、繊維要素形成組成物は、任意の好適な総濃度の繊維要素形成材料と、任意の好適な濃度の活性剤とを含んでよい。
1つの例では、繊維要素形成組成物から生成される繊維要素が、繊維要素及び/又は粒子中の総濃度が乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約5重量%〜50重量%以下である繊維要素形成材料と、繊維要素及び/又は粒子中の総濃度が乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥粒子基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で50重量%〜約95重量%である活性剤とを含み、繊維要素形成材料の活性剤の総濃度に対する重量比が1以下である限り、繊維要素形成組成物は、任意の好適な総濃度の繊維要素形成材料と、任意の好適な濃度の活性剤とを含んでよい。
1つの例では、繊維要素形成組成物は、繊維要素形成組成物の約1重量%〜、及び/又は約5重量%〜、及び/又は約10重量%〜約50重量%、及び/又は〜約40重量%、及び/又は〜約30重量%、及び/又は〜約20重量%の繊維要素形成材料と;繊維要素形成組成物の約1重量%〜、及び/又は約5重量%〜、及び/又は約10重量%〜約50重量%、及び/又は〜約40重量%、及び/又は〜約30重量%、及び/又は〜約20重量%の活性剤と;繊維要素形成組成物の約20重量%〜、及び/又は約25重量%〜、及び/又は約30重量%〜、及び/又は約40重量%〜、及び/又は〜約80重量%、及び/又は〜約70重量%、及び/又は〜約60重量%、及び/又は〜約50重量%の揮発性溶媒(例えば、水)とを含む。繊維要素形成組成物は、少量の他の活性剤、例えば、繊維要素形成組成物の10重量%未満、及び/又は5重量%未満、及び/又は3重量%未満、及び/又は1重量%未満の可塑剤、pH調整剤、及び他の活性剤を含んでもよい。
繊維要素形成組成物は、任意の好適な紡糸プロセス(例えば、メルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング、及び/又は回転紡糸)によって、1つ又は複数の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。1つの例では、繊維要素形成組成物は、メルトブローによって複数の繊維要素及び/又は粒子に紡糸される。例えば、繊維要素形成組成物は、タンクからメルトブロー紡糸口金(spinnerette)にポンプ移送され得る。紡糸口金における繊維要素形成穴の1つ又は複数を出る際、繊維要素形成組成物は空気によって細長化されて、1つ又は複数の繊維要素及び/又は粒子を作製する。次いで、繊維要素及び/又は粒子を乾燥させて、紡糸のために使用される任意の残留溶媒(例えば、水)を除去してよい。
本発明の繊維要素及び/又は粒子を、例えば、互いに絡みあう方式で、ベルト(図示せず)、例えば、パターン付ベルト上に回収してよく、その結果、繊維要素及び/又は粒子を含む繊維構造体が形成される。
繊維構造体前駆体が形成されたら、繊維構造体前駆体を開口プロセス;すなわち、繊維構造体に1つ又は複数の開口を付与して開口繊維構造体を生成するプロセスに供してよい。このような開口プロセスの非限定的な例としては、エンボス加工、ロッジング、回転刃開口、ピンニング、ダイ切断、打ち抜き、ニードルパンチング、ローレット切り、空気圧成形、水圧成形、レーザー切断、及びタフティングが挙げられる。図9は、好適な開口プロセスの非限定的な例を示す。図9に示す通り、繊維構造体前駆体38を開口操作(開口プロセス)40(その非限定的な例は上記の通りである)に供し、それによって、繊維構造体前駆体38に1つ又は複数の開口が付与されて開口繊維構造体42が形成される。
1つの例では、繊維構造体前駆体を、概して米国特許第8,679,391号に記載の通り、回転刃開口操作に供する。好適な回転刃開口操作の1つの例では、繊維構造体前駆体を、100ピッチリングロールとかみ合う100ピッチ歯付ロールを含むニップに通す。図10A〜10Dに示す通り、歯付ロールの歯は、歯の基部から先端の鋭くとがった点に向かって先細になる6つの側面を有するピラミッド形状の先端を有する。歯の基部は、垂直な前縁及び後縁を有し、歯付ロールのピラミッド状の鋭くとがった先端及び表面に接合している。歯は、長さ方向がMDになるように配向される。歯は、食い違い(staggered)パターンで配置され、CDピッチPは、2.5mm(0.100インチ)であり、MDにおける均一な先端間隔は、5.7mm(0.223インチ)である。歯の全高TH(ピラミッド状及び垂直な基部を含む)は、6.9mm(0.270インチ)であり、歯の長辺の側壁角は、6.8度であり、ピラミッド状先端部における歯の前縁及び後縁の側壁角は、25度である。また、100ピッチリングロールは、2.5mm(0.100インチ)のCDピッチP、6.9mm(0.270インチ)の歯高TH、0.13mm(0.005インチ)の先端半径TR、及び4.7度の側壁角を有する。回転刃開口ロール及びリングロールは、歯の両側の間隙がほぼ等しくなるようにCDに整列される。
別の例では、繊維構造体前駆体を、下記の通りピンニング操作に供する。1つの例では、一方のローラのピンが、ニップにおいて対向するローラ上のピン間の空間を通過するように、かみ合い構造で配置されている2つの対向するピンローラ間に形成されるニップに繊維構造体前駆体を通す。典型的な構造は、同じピン設計及び配置の2つのローラを使用してよい。しかし、対向するローラは、異なるピン設計及び配置であってもよく、ピンではなく、代わりに他の繊維構造体支持部材を有してもよく、又はピン付ローラのピンと柔軟性(compliant)表面との間の干渉を許容する柔軟性材料で構成される固体表面であってもよい。ピンの先端によって表現される仮想の円筒間の干渉の程度は、絡みあい深さとして記載される。繊維構造体が対向するローラ間に形成されるニップを通過するとき、各ピン付ローラのピンは、繊維構造体とかみ合い、そして、ローラ間の絡みあい深さ及び繊維構造体の公称厚みによっておおよそ決定される深さまで貫通する。装置において用いられるピンは、円錐形の先端が細くなる円形断面を有する先細ピンであってよい。ロールの表面から円錐部の基部までのピンの最大直径は、2.62mm(0.103インチ)である。円錐部は、9度の壁角を有する。ローラの表面の上方に延びるピンの全長は、10.29mm(0.4050インチ)である。ピンは、機械方向に食い違いの列で配置され、ピンの各列は、ピンの先端によって表現される仮想の円に沿って9.09mm(0.358インチ)のMDピッチ(中心間)を有する。隣接する列は、横方向に2.5mm(0.100インチ)離間し、MDピッチの半分だけ円周方向にオフセットしている。対向するローラは、各ローラの対応するMD列が同じ面上に存在するように、かつピンが、ピンの対向するローラのMD列におけるピン間の空間の中心近傍を通る対向するピンとギア様にかみ合うように配列される。
使用方法
1つの例では、本発明に係る1種又は複数種の布地ケア活性剤を含む繊維構造体は、布地物品を処理する方法で利用され得る。布地物品の処理方法は、以下からなる群から選択される1つ又は複数の工程を含んでよい:(a)布地物品を洗浄する前に布地物品を前処理する工程、(b)繊維構造体又はフィルムを水と接触させることによって形成される洗浄液と布地物品を接触させる工程、(c)乾燥機内で、布地物品を繊維構造体又はフィルムと接触させる工程、(d)乾燥機内で、繊維構造体又はフィルムの存在下で布地物品を乾燥させる工程、及び(e)これらの組み合わせ。
幾つかの実施形態では、本方法は、繊維構造体又はフィルムを前処理される布地物品に接触させる前に、繊維構造体又はフィルムを予め湿らせる工程をさらに含んでもよい。例えば、繊維構造体又はフィルムを水で予め湿らせ、次いで、前処理すべき、染みを含む布地の一部分に付着させてよい。あるいは、布地を湿らせ、繊維構造体又はフィルムをその布地上に置くか又はその布地に付着させてもよい。幾つかの実施形態では、本方法は、布地物品の処理において使用するために繊維構造体又はフィルムの一部分のみを選択する工程をさらに含んでよい。例えば、1つの布地ケア物品のみを処理する場合、繊維構造体又はフィルムの一部分を切断し及び/又は引き裂いて、布地上に置くか又はその布地に付着させてもよく、あるいは水中に入れて比較的少量の洗浄液を形成し、次いで、この洗浄液を使用して布地を前処理してもよい。この方法では、ユーザーは、当面の課題に従って布地処理方法をカスタマイズしてよい。幾つかの実施形態では、繊維構造体又はフィルムの少なくとも一部分を、装置を使用して処理される布地に塗布してもよい。代表的な装置としては、ブラシ及びスポンジが挙げられるが、これらに限定されない。所望の布地処理効果を達成するために前述の工程の任意の1つ又は複数を繰り返してもよい。
別の例では、本発明に係る1種又は複数種のヘアケア活性剤を含む繊維構造体又はフィルムは、毛髪を処理する方法で利用され得る。毛髪の処理方法は、以下からなる群から選択される1つ又は複数の工程を含んでよい:(a)毛髪を洗浄する前に毛髪を前処理する工程、(b)繊維構造体又はフィルムを水と接触させることによって形成される洗浄液と毛髪を接触させる工程、(c)毛髪を洗浄した後に、毛髪を後処理する工程、(d)繊維構造体又はフィルムを水と接触させることによって形成されるコンディショニング液と毛髪を接触させる工程、及び(e)これらの組み合わせ。
開口繊維構造体の非限定的な例
以下の実施例は、本発明に係る開口繊維構造体を例示する。実施例で用いられる繊維構造体前駆体は、図7及び8に示す通り、上記の通り作製される。
実施例1(Ex.1)
280gsmの公称坪量及び約1mmの厚みを有する、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む複数のフィラメントを含む繊維構造体前駆体を調製し、上記の通り、幅が100mmであり、繊維構造体前駆体のCDと整列し、MDにおける長さが400mmの3層のスタックに積層する(言い換えれば、開口前に、多層繊維構造体前駆体を形成する)。
次いで、図9及び10A〜10Dに図示し、以下にさらに説明する通り、回転刃開口装置のニップに多層繊維構造体前駆体を通すことによって、多層繊維構造体前駆体を開口する。多層繊維構造体前駆体を、100ピッチリングロールとかみ合う100ピッチ歯付ロール(回転刃開口ロール)を含むニップに通す。歯付ロールの歯は、歯の基部から先端の鋭くとがった点に向かって先細になる6つの側面を有するピラミッド形状の先端を有する。歯の基部は、垂直な前縁及び後縁を有し、歯付ロールのピラミッド状の鋭くとがった先端及び表面に接合している。歯は、長さ方向がMDになるように配向される。歯は、食い違い(staggered)パターンで配置され、CDピッチPは、2.5mm(0.100インチ)であり、MDにおける均一な先端間隔は、5.7mm(0.223インチ)である。歯の全高TH(ピラミッド状及び垂直な基部を含む)は、6.9mm(0.270インチ)であり、歯の長辺の側壁角は、6.8度であり、ピラミッド状先端部における歯の前縁及び後縁の側壁角は、25度である。また、100ピッチリングロールは、2.5mm(0.100インチ)のCDピッチP、6.86mm(0.270インチ)の歯高TH、0.13mm(0.005インチ)の先端半径TR、及び4.7度の側壁角を有する。歯付ロール(回転刃開口ロール)及びリングロールは、歯の両側の間隙がほぼ等しくなるようにCDに整列される。歯付ロールとリングロールとの間の絡みあい深さを、約3.3mm(0.130インチ)に設定する。多層繊維構造体前駆体を、入るときも出るときもロールのラップアラウンドが本質的にゼロであるニップに通す。本発明に必要とされるものではないが、約20gsmの犠牲ポリマースパンボンドウェブを、多層繊維構造体と歯付ローラとの間のニップに通して、歯付ローラから多層繊維構造体を剥ぎ取るのに便利な手段を提供する。多層繊維構造体を、約0.05m/s(10fpm)の速度でニップに通す。得られた開口多層繊維構造体を、打抜型を用いて40mm×55mmの卵形に切り抜く。
この開口繊維構造体について開口パラメータ試験法から得られた結果を以下の表1に示す。
本明細書に記載の光学開口特性決定試験法を用いて、得られた開口多層繊維構造体における開口を観察したところ、十分に成形されている開口が細長い形状を有し、各開口が、繊維構造体の1つの平面に向かって設けられているより大きな孔と、対向する平面に向かって設けられているより小さな孔とを有することが明らかになった。全ての開口は、より大きな孔が、「歯側」表面と呼ばれる、概して平面状の同じ表面に向かうように設けられる。典型的な開口は、それぞれ、歯側において約0.6〜1.1mm及び2.6mm〜3.1mmの見かけの短軸幅及び長軸幅を示す。典型的な開口は、非歯側において約0.2〜1.9mmの見かけの短軸幅及び長軸幅を示す。繊維構造体における開口は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、2.0mmの平均光学円直径及び3.1mm2の平均光学円面積を特徴とする。
実施例2(Ex.2)
280gsmの公称坪量及び約1mmの厚みを有する、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む複数のフィラメントを含む繊維構造体前駆体を、幅が100mmであり、繊維構造体前駆体のCDと整列し、MDにおける長さが400mmの3層のスタックに調製する(多層繊維構造体前駆体を形成する)。
次いで、図9に図示し、以下にさらに説明する通り、回転ピンニング装置のニップに多層繊維構造体を通すことによって、多層繊維構造体前駆体を開口する。一方のローラのピンが、ニップにおいて対向するローラ上のピン間の空間を通過するように、かみ合い構造で配置されているピンを有する2つの対向するピンローラ間に形成されるニップに多層繊維構造体前駆体を通す。対向するピンローラ間に形成されるニップを多層繊維構造体前駆体が通過するとき、各ピン付ローラのピンは、繊維構造体とかみ合い、そして、ローラ間の絡みあい深さ及び繊維構造体の公称厚みによっておおよそ決定される深さまで貫通する。ピンローラのピンは、円錐形の先端が細くなる円形断面を有する先細ピンである。ロールの表面から円錐部の基部までのピンの最大直径は、2.6mm(0.103インチ)である。円錐部は、9°の壁角を有する。ピンローラの表面の上方に延びるピンの全長は、10.29mm(0.4050インチ)である。ピンは、機械方向に食い違いの列で配置され、ピンの各列は、ピンの先端によって表現される仮想の円に沿って9.09mm(0.358インチ)のMDピッチ(中心間)を有する。隣接する列は、横方向に2.5mm(0.100インチ)離間し、MDピッチの半分だけ円周方向にオフセットしている。対向するローラは、各ローラの対応するMD列が同じ面上に存在するように、かつピンが、ピンの対向するローラのMD列におけるピン間の空間の中心近傍を通る対向するピンとギア様にかみ合うように配列される。かみ合いピン付ローラ対間の絡みの深さを、約5.1mm(0.200インチ)に設定する。
本発明が必要とするものではないが、約20gsmの犠牲ポリマースパンボンドウェブを、同時に、多層繊維構造体とピン付ローラとの間のニップに通して、ピン付ローラから多層繊維構造体を剥ぎ取るのに便利な手段を提供する。
多層繊維構造体を、約0.05m/s(10fpm)の速度でニップに通す。得られた開口多層繊維構造体を、打抜型を用いて40mm×55mmの卵形に切り抜く。
この開口繊維構造体について開口パラメータ試験法から得られた結果を以下の表1に示す。
本明細書に記載の光学開口特性決定試験法を用いて、多層繊維構造体における得られた開口を観察したところ、多層繊維構造体における得られた開口を観察したところ、概して円形の開口が十分に成形されており、各開口が、繊維構造体の1つの平面に向かって設けられているより大きな孔と、対向する平面に向かって設けられているより小さな孔とを有することが明らかになった。開口の約半分には、第1の平面に向かってより大きな孔が設けられ、開口の残りの約半分には、対向する第2の平面に向かってより大きな孔が設けられる。開口のより大きな孔は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、1.0mmの平均光学円直径及び0.81mm2の平均光学円面積を特徴とする。開口のより小さな孔は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、0.14mmの平均光学円直径及び0.015mm2の平均光学円面積を特徴とする。
実施例3(Ex.3)
280gsmの公称坪量及び約1mmの厚みを有する、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む複数のフィラメントを含む繊維構造体前駆体を、約75mm×75mmの繊維構造体に切り抜く。
図11A〜11Cに概して図示し、以下にさらに説明する通り、水圧プレスにおいてプレートを互いに押し付けることによって、9.53mm(0.375インチ)の絡みあい深さを有する平板ピンニング装置において、繊維構造体前駆体を開口する。
装置は、一対の対向するプレートを含み、各プレートは、それに接合されている先細ピンのアレイを有し、各ピンは、ベースプレートの面に対して垂直である。ピンは、機械方向におけるピンの隣接する列がそれぞれMDピンピッチの半分だけシフトしている、ピンの食い違い列配置で配置される。対向するプレートは、ベースプレートに対して垂直な方向に接合させたときにピンがかみ合うように配置される。
プレートには、先細ピンを確実に所望の配列にするために両プレートを貫通する配列ピンが備えられている。
先細ピンは、実質的に円筒形の基部と、先が細くなる実質的に円錐形の先端部とを備える円形断面を有する。ベースプレートから円錐部の基部までのピンの最大直径は、1.63mm(0.064インチ)である。円錐先端部は、鉛直線から7度の壁角を有する。ローラの表面の上方に延びるピンの全長は、12mm(0.5インチ)である。
先細ピンは、2.5mm(0.1インチ)の横方向ピッチ及び9.09mm(0.358インチ)の縦ピッチを有する交互の食い違い列で配置される。
この開口繊維構造体について開口パラメータ試験法から得られた結果を以下の表1に示す。
本明細書に記載の光学開口特性決定試験法を用いて、繊維構造体における得られた開口を観察したところ、概して円形の開口が十分に成形されており、各開口が、繊維構造体の1つの平面に向かって設けられているより大きな孔と、対向する平面に向かって設けられているより小さな孔とを有することが明らかになった。開口の約半分には、第1の平面に向かってより大きな孔が設けられ、開口の残りの約半分には、対向する第2の平面に向かってより大きな孔が設けられる。開口のより大きな孔は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、0.93mmの平均光学円直径及び0.67mm2の平均光学円面積を特徴とする。開口のより小さな孔は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、0.44mmの平均光学円直径及び0.15mm2の平均光学円面積を特徴とする。
実施例4(Ex.4)
280gsmの公称坪量及び約1mmの厚みを有する、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む複数のフィラメントを含む繊維構造体前駆体を、約75mm×75mmの繊維構造体に切り抜く。
図11A〜11Cに概して図示し、以下にさらに説明する通り、水圧プレスにおいてプレートを互いに押し付けることによって、9.53mm(0.375インチ)の絡みあい深さを有する平板ピンニング装置において、繊維構造体を開口する。
装置は、一対の対向するプレートを含み、各プレートは、それに接合されている先細ピンのアレイを有し、各ピンは、ベースプレートの面に対して垂直である。ピンは、機械方向におけるピンの隣接する列がそれぞれMDピンピッチの半分だけシフトしている、ピンの食い違い列配置で配置される。対向するプレートは、ベースプレートに対して垂直な方向に接合させたときにピンがかみ合うように配置される。
プレートには、先細ピンを確実に所望の配列にするために両プレートを貫通する配列ピンが備えられている。
先細ピンは、実質的に円筒形の基部と、先が細くなる実質的に円錐形の先端部とを備える円形断面を有する。ベースプレートから円錐部の基部までの先細ピンの最大直径は、3.35mm(0.132インチ)である。円錐先端部は、鉛直線から7度の壁角を有する。ローラの表面の上方に延びるピンの全長は、12mm(0.5インチ)である。
先細ピンは、2.5mm(0.1インチ)の横方向ピッチ及び9.09mm(0.358インチ)の縦ピッチを有する交互の食い違い列で配置される。
この開口繊維構造体について開口パラメータ試験法から得られた結果を以下の表1に示す。
本明細書に記載の光学開口特性決定試験法を用いて、開口繊維構造体における得られた開口を観察したところ、不規則な形状の開口が形成されており、各開口が、繊維構造体の1つの平面に向かって設けられているより大きな孔と、対向する平面に向かって設けられているより小さな孔とを有することが明らかになった。開口の約半分には、第1の平面に向かってより大きな孔が設けられ、開口の残りの約半分には、対向する第2の平面に向かってより大きな孔が設けられる。開口のより大きな孔は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、1.4mmの平均光学円直径及び1.5mm2の平均光学円面積を特徴とする。開口のより小さな孔は、本明細書に記載の光学開口特性決定試験法に従って測定される、0.88mmの平均光学円直径及び0.61mm2の平均光学円面積を特徴とする。
実施例5(Ex.5)
まず、繊維構造体前駆体の1つの表面上を手持ち式蒸気発生装置を通過させることによって繊維構造体前駆体を加湿して繊維構造体を可塑化し、次いで、幅が90mmであり、繊維構造体前駆体のCDと整列し、かつMDにおける長さが500mmの3層のスタックに繊維構造体前駆体を配置(多層繊維構造体を形成)し、次いで、多層繊維構造体の表面全体に約0.5kPaの圧力を印加して、隣接する層表面を緊密に接触させることによって、303gsmの公称坪量及び約1mmの厚みを有する、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む複数のフィラメントを含む繊維構造体前駆体を調製する。加湿の程度は、表面における繊維の可塑性を改善して、繊維構造体が崩壊したり、縮んだり、又は他の理由で取り扱いが困難になったりすることなく繊維の層間結合を強化するように選択される。圧力は、多層繊維構造体が取り扱い中に個々の層に容易に分離することなく、かつ繊維構造体が永続的に崩壊することのないように選択される。
次いで、多層繊維構造体を、長さ約250mmの2つの部分に切断する。第1の部分は、後続の特性決定のために対照サンプルとして保持し、第2の部分は、次いで、上記実施例2と同様に多層繊維構造体をピンニング装置のニップに通すことによって開口する。かみ合いピン付ローラ対間の絡みあい深さを、3.3mm(0.130インチ)に設定した。
本発明が必要とするものではないが、約20gsmの犠牲ポリマースパンボンドウェブを、同時に、多層繊維構造体とピン付ローラとの間のニップに通して、ピン付ローラから多層繊維構造体を剥ぎ取るのに便利な手段を提供する。
多層繊維構造体を、約0.05m/s(10fpm)の速度でニップに通す。
得られた開口多層繊維構造体及び対照多層繊維構造体(開口されていない)を、本明細書に記載の引張試験法に従って測定する。以下の表2に示す通り、開口多層繊維構造体の幾何平均割線モジュラスは、開口されていない対照多層繊維構造体に比べて低いことが観察される。理論に縛られるものではないが、幾何平均割線モジュラスの低下は、最終使用物品の柔軟性及び可撓性の触感の改善に対応し得ると考えられる。さらに、幾何平均割線モジュラスの低下は、一次包装からの最終使用物品の分配及び/又はエンドユーザの利便性のために設計された分配装置を含むが、これらに限定されない、後の加工工程との相互関係の改善に対応すると予測される。
実施例6(Ex.6)
まず、繊維構造体前駆体の1つの表面上を手持ち式蒸気発生装置を通過させることによって繊維構造体前駆体を加湿して繊維構造体を可塑化し、次いで、幅が90mmであり、繊維構造体前駆体のCDと整列し、かつMDにおける長さが500mmの3層のスタックに繊維構造体前駆体を配置(多層繊維構造体を形成)し、次いで、多層繊維構造体の表面全体に約0.5kPaの圧力を印加して、隣接する層表面を緊密に接触させることによって、303gsmの公称坪量及び約1mmの厚みを有する、1種又は複数種の繊維要素形成材料と1種又は複数種の活性剤とを含む複数のフィラメントを含む繊維構造体前駆体を調製する。加湿の程度は、表面における繊維の可塑性を改善して、繊維構造体が崩壊したり、縮んだり、又は他の理由で取り扱いが困難になったりすることなく繊維の層間結合を強化するように選択される。圧力は、多層繊維構造体が取り扱い中に個々の層に容易に分離することなく、かつ繊維構造体が永続的に崩壊することのないように選択される。
次いで、多層繊維構造体を、長さ約250mmの2つの部分に切断する。第1の部分は、後続の特性決定のために対照サンプルとして保持し、第2の部分は、次いで、上記実施例2と同様に多層繊維構造体をピンニング装置のニップに通すことによって開口する。かみ合いピン付ローラ対間の絡みあい深さを、2.5mm(0.100インチ)に設定した。
本発明に必要とされるものではないが、約20gsmの犠牲ポリマースパンボンドウェブを、多層繊維構造体とピン付ローラとの間のニップに同時に通して、ピン付ローラから多層繊維構造体を剥ぎ取るのに便利な手段を提供する。
多層繊維構造体を、約0.05m/s(10fpm)の速度でニップに通す。
得られた開口多層繊維構造体及び対照多層繊維構造体(開口されていない)を、本明細書に記載の引張試験法に従って測定する。以下の表2に示す通り、開口多層繊維構造体の幾何平均割線モジュラスは、開口されていない対照多層繊維構造体に比べて低いことが観察される。理論に縛られるものではないが、幾何平均割線モジュラスの低下は、最終使用物品の柔軟性及び可撓性の触感の改善に対応し得ると考えられる。さらに、幾何平均割線モジュラスの低下は、一次包装からの最終使用物品の分配及び/又はエンドユーザの利便性のために設計された分配装置を含むが、これらに限定されない、後の加工工程との相互関係の改善に対応すると予測される。
試験方法
特に指定しない限り、定義部分に記載したものを含む本明細書に記載の全ての試験及び以下の試験法は、特に指定しない限り、試験前に温度約23℃±1℃及び相対湿度50%±2%に調整された室内で2時間調整されたサンプルに対して行われる。本明細書に記載の通り調整したサンプルは、本発明の目的のために乾燥サンプル(例えば、「乾燥フィラメント」)であるとみなされる。さらに、全ての試験は、このような調整された室内で行われる。
含水率試験法
フィラメント及び/又は繊維及び/又は繊維構造体中に存在する含水(水分)率を、以下の含水率試験法を使用して測定する。
フィラメント及び/若しくは繊維構造体、又はその一部分(「サンプル」)を、試験前に温度約23℃±1℃及び相対湿度50%±2%に調整された室内に少なくとも24時間置いておく。少なくとも5分間、更なる重量変化が検出されなくなったときのサンプルの重量を記録する。この重量をサンプルの「平衡重量」として記録する。次いで、サンプルを、相対湿度約4%である70℃の乾燥オーブン内に24時間置いて、サンプルを乾燥させる。24時間乾燥させた後、直ちにサンプルを計量する。この重量をサンプルの「乾燥重量」として記録する。サンプルの含水(水分)率を以下の通り計算する:
3つの複製物についてのサンプル中の含水(水分)%を平均して、サンプル中の含水(水分)%として報告する。
溶出試験法
装置及び材料(図12〜図14):
600mLビーカー44
磁気撹拌器46(LablineモデルNo.1250又は等価物)
磁気撹拌棒48(5cm)
温度計(1〜100℃+/−1℃)
打抜型−−寸法3.8cm×3.2cmのステンレス鋼打抜型
タイマー(0〜3,600秒又は1時間)、秒単位の精度。使用するタイマーは、サンプルが3,600秒を超える溶出時間を示す場合にも十分な合計時間測定範囲を有していなければならない。しかし、タイマーは、秒単位の精度を必要とする。
Polaroid 35mmのスライド台50(Polaroid Corporationから市販、又は等価物)
35mmのスライド台ホルダー52(又は等価物)
以下の特性を有するCincinnati水道水又は等価物:合計硬度=155mg/L(CaCO3として);カルシウム含量=33.2mg/L;マグネシウム含量=17.5mg/L;ホスフェート含量=0.0462。
試験プロトコル
23℃±1℃及び50%RH±2%の一定の温度及び湿度環境で少なくとも2時間、サンプルを平衡化する。
本明細書に定義する坪量法を用いて、サンプル材料の坪量を測定する。
24×36mmの孔面積寸法を有する35mmのスライド台50内に収まるように、打抜型を使用して不織布構造体サンプル、例えば、繊維構造体サンプルから3つの溶出試験の試験片を切り抜く(3.8cm×3.2cm)。
各試験片を、別個の35mmスライド台50に固定する。
磁気攪拌棒48を600mLビーカー44に入れる。
蛇口をひねって水道水(又は等価物)を出し、温度計で水温を測定し、必要に応じて、試験温度に維持するように温水又は冷水で調整する。試験温度は、15℃±1℃の水である。試験温度に到達したら、ビーカー240に15℃±1℃の水道水500mL±5mLを充填する。
充填されたビーカー44を磁気撹拌器46上に置き、撹拌器46のスイッチを入れ、ボルテックスが発生し、かつボルテックスの底部がビーカー44の400mLの印に達するまで、撹拌速度を調整する。
スライド台50の長い方の端部56が水面と平行になるように、35mmスライド台50を35mmスライド台ホルダー52のワニクランプ54に固定する。ワニクランプ54は、スライド台50の長い方の端部56の中央に配置しなければならない。ホルダー52の深さ調節器58は、深さ調節器58の底部とワニクランプ54の底部との間の距離が28±0.318センチメートル(11±0.125インチ)となるように設置しなければならない。この設置により、サンプル表面が水の流れと垂直に配置される。35mmのスライド台及びスライド台ホルダーの配置がわずかに改変された例が、米国特許第6,787,512号の図1〜図3に示されている。
一回の動作で、固定されたスライド及びクランプを水中に下ろし、タイマーを起動させる。サンプルがビーカーの中心になるようにサンプルを下ろす。不織布構造体が分断されると、崩壊が生じる。これを崩壊時間として記録する。目に見える不織布構造体が全てスライド台から離れたら、溶出していない不織布構造体の断片について溶液のモニタリングを続けながら、スライドを水から引き上げる。不織布構造体の断片が全てもはや水中に見えなくなったら、溶出が生じている。これを溶出時間として記録する。
各サンプルの3つの複製物を試験し、平均崩壊時間及び平均溶出時間を記録する。平均崩壊時間及び平均溶出時間は、秒単位である。
それぞれを、本明細書で定義する坪量法によって決定したサンプル坪量で除することによって、平均崩壊時間及び平均溶出時間を坪量で正規化する。坪量で正規化された崩壊時間及び溶出時間は、秒/サンプルのgsm(s/(g/m2))の単位である。
直径試験法
走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡、及び画像解析ソフトウェアを使用することによって、繊維構造体又はフィルム内の分離したフィラメント、すなわち1つのフィラメントの直径を求める。フィラメントが測定のために好適に拡大されるように、200〜10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用する場合、電子ビームにおけるフィラメントの帯電及び振動を避けるために、金又はパラジウム化合物でサンプルをスパッタリングする。SEM又は光学顕微鏡で撮影された(モニタ画面上の)画像から、フィラメントの直径を求めるための手動手順を使用する。マウス及びカーソルツールを使用して、無作為に選択されたフィラメントの縁部を探索し、次いで、そのフィラメントの他方の縁部まで、幅全体を(すなわち、その点におけるフィラメント方向に対して垂直に)測定する。目盛り付きの較正された画像解析ツールにより、μm単位で実際の読取値を取得するための目盛りが提供される。繊維構造体又はフィルム内のフィラメントについては、SEM又は光学顕微鏡を使用して、その繊維構造体又はフィルムのサンプルの中から幾つかのフィラメントを無作為に選択する。繊維構造体又はフィルム(又は、製品内のウェブ)の少なくとも2つの部分を切り取り、この方式で試験する。統計解析のために、このような測定を合計少なくとも100回実施し、次いで、全てのデータを記録する。記録されたデータを使用して、フィラメント直径の平均(平均値)、フィラメント直径の標準偏差、及びフィラメント直径の中央値を計算する。
別の有用な統計値は、特定の上限未満であるフィラメントの集団の量の計算値である。この統計値を求めるために、例えば、フィラメント直径の結果のうちの幾つが上限未満であるかをカウントするようにソフトウェアをプログラムし、このカウント(データの合計数によって除し、100%を乗じる)を、上限未満である割合(例えば、直径が1マイクロメートル未満である割合(%)、又はサブミクロンである割合(%))として、パーセントで記録する。本発明者らは、個々の円形フィラメントの測定直径(μm)をdiとして表す。
フィラメントが非円形断面を有する場合、フィラメント直径の測定は、水力直径とはフィラメントの断面積を4倍してフィラメントの断面の周辺長さ(中空フィラメントの場合は外周)で除した水力直径として求め、そして、水力直径と等しく設定する。数−平均直径、あるいは平均直径は、以下のとおりに計算する:
厚み法
繊維構造体又はフィルムの厚みは、各サンプルがVIR Electronic Thickness Tester Model II(Thwing−Albert Instrument Company(Philadelphia,PA)から入手可能)のロードフット搭載面よりも大きな寸法になるように、繊維構造体又はフィルムのサンプルから5つのサンプルを切り抜くことによって測定される。典型的に、ロードフット搭載面は、約20cm2(3.14in2)の円形の表面積を有する。サンプルを水平な平面とロードフット搭載面との間に固定する。ロードフット搭載面は、1.52kPa(15.5g/cm2)の拘束圧をサンプルに印加する。各サンプルの厚さとは、平面とロードフット搭載面との間に生じるギャップである。厚さは、5つのサンプルの平均厚さとして計算する。結果をミリメートル(mm)で報告する。
坪量試験法
12個の個々の繊維構造体サンプルを選択し、それぞれ6個の個々のサンプルのスタックを2個作製することによって、繊維構造体サンプルの坪量を測定する。個々のサンプルが互いに穿孔線を介して接続されている場合、個々のサンプルを積み重ねるときに穿孔線を同じ側にそろえなければならない。精密カッターを使用して、各スタックを正確に8.9cm×8.9cm(3.5in×3.5in)の正方形に切り出す。2つの切り取った正方形のスタックを合わせて、12個の正方形の厚みの坪量パッドを作製する。次いで、坪量パッドを、最小感度限界0.01gの上のせ式天秤で計量する。上のせ式天秤は、ドラフトシールドを用いて気流及び他の妨害から保護しなければならない。上のせ式天秤の読み取り値が一定になったら、重量を記録する。以下の通り坪量を計算する:
繊維構造体サンプルが8.9cm×8.9cm(3.5インチ×3.5インチ)よりも小さい場合、計算を変更して坪量を求めるためにより小さなサンプリング面積を用いてよい。
重量平均分子量試験法
材料(例えば、ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、混床式カラムを使用してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求められる。以下の構成要素:Millenium(登録商標)、Model 600Eポンプ、システムコントローラ及びコントローラソフトウェアバージョン3.2、Model 717 Plusオートサンプラ、並びにCHM−009246カラムヒータ(全てWaters Corporation(Milford,MA,USA)製)を有する高性能液体クロマトグラフ(HPLC)を使用する。カラムは、長さ600mm及び内径7.5mmのPLゲル20μm混合Aカラム(ゲル分子量:1,000g/モル〜40,000,000g/モル)であり、ガードカラムは、長さ50mm、ID 7.5mmのPLゲル20μmである。カラム温度は55℃であり、注入体積は200μLである。検出器は、Wyatt Technology(Santa Barbara,CA,USA)製のAstra(登録商標)ソフトウェア、バージョン4.73.04検出器ソフトウェア、K5セル及び690nmレーザーを有するレーザー光散乱検出器を備える、DAWN(登録商標)Enhanced Optical System(EOS)である。奇数が振られた検出器のゲインを、101に設定する。偶数が振られた検出器のゲインを、20.9に設定する。Wyatt TechnologyのOptilab(登録商標)示差屈折率計を、50℃に設定する。ゲインを10に設定する。移動相は、0.1% w/vのLiBrを含むHPLC等級のジメチルスルホキシドであり、移動相の流量は、1mL/分、定組成である。実行時間は、30分間である。
名目上移動相1mL当たり材料3mgで材料を移動相に溶解させることによって、サンプルを調製する。サンプルに蓋をし、次いで、磁気撹拌器を使用して約5分間撹拌する。次いで、サンプルを85℃の対流式オーブン内に60分間入れる。次いで、サンプルを室温まで放冷する。次いで、サンプルを、5mLのシリンジを介して、5μmのナイロン膜(タイプ:Spartan−25、Schleicher & Schuell(Keene,NH,USA)製)で濾過して5ミリリットル(mL)のオートサンプラバイアルに入れる。
各一連の測定サンプル(材料の3つ以上のサンプル)について、ブランクサンプルの溶媒をカラムに注入する。次いで、上記サンプルに関する方法と同様にチェックサンプルを調製する。チェックサンプルは、47,300g/モルの重量平均分子量を有する2mg/mLのプルラン(Polymer Laboratories)を含む。各サンプルセットを分析する前に、チェックサンプルを分析する。ブランクサンプル、チェックサンプル、及び材料試験サンプルの試験を、デュープリケートで行う。最後の測定には、ブランクサンプルを用いる。光散乱検出器及び示差屈折計は、「Dawn EOS Light Scattering Instrument Hardware Manual」及び「Optilab(登録商標)DSP Interferometric Refractometer Hardware Manual」(両方ともWyatt Technology Corp.(Santa Barbara,CA,USA)によって作成され、両方とも参照により本明細書に組み込まれる)に従って用いる。
検出器のソフトウェアを使用して、サンプルの重量平均分子量を計算する。dn/dc(濃度による屈折率の微分変化)値0.066を使用する。レーザー光検出器及び屈折率検出器のベースラインを補正して、検出器の暗電流及び溶媒散乱の干渉を除去する。レーザー光検出器の信号が飽和した場合、又は過剰なノイズを呈する場合、その値を分子質量の計算には使用しない。分子量の特性決定のための領域は、レーザー光散乱及び屈折率用の90°の検出器の信号が、両方とも、それぞれのベースラインノイズレベルの3倍よりも大きくなるように選択する。典型的に、クロマトグラムの高分子量側は、屈折率信号によって制限され、低分子量側はレーザー光信号によって制限される。
重量平均分子量は、検出器のソフトウェアに定義されている「一次Zimmプロット」を使用して計算することができる。サンプルの重量平均分子量が1,000,000g/モルよりも大きい場合、一次及び二次Zimmプロットの両方を計算し、回帰当てはめの最もエラーの少ない結果を使用して分子質量を計算する。報告する重量平均分子量は、材料試験サンプルの2回の実行の平均である。
引張試験法:伸び率、引張強度、TEA、及び弾性率
測定された力がセルの限界の10%〜90%以内となるロードセルを使用して、コンピュータインタフェースを備える一定速度の伸長引張試験機(好適な計器は、MTS Systems Corp.(Eden Prairie,MN)から入手可能な、Testworks 4.0 Softwareを使用するMTS Insightである)において、伸び率、引張強度、TEA、割線モジュラス、及び接線モジュラスを測定する。可動式(上部)空気圧つかみ具及び固定式(下部)空気圧つかみ具の両方に、高さが25.4mmであり、かつ試験片の幅よりも広いゴム張りの把持部を装着する。約80psiの空気圧をつかみ具に供給する。約23℃±1℃及び相対湿度約50%±2%で維持された調整室で、全ての試験を実施する。サンプルを、試験前に2時間、同条件下で調整する。
不織布構造体及び/又は溶解性繊維構造体の8つの試験片を、各4つの試験片の2つのスタックに分ける。各スタックにおける試験片を、機械方向(MD)及び横方向(CD)に対して、一貫して配向する。スタックのうちの一方をMDにおける試験用に、他方をCD用に指定する。2.5センチメートル(1インチ)の精密カッター(Thwing Albert JDC−1−10等)を使用して、一方のスタックから4つのMDストリップ、及び他方のスタックから4つのCDストリップ(幅2.54cm±0.02cm×長さ少なくとも50mmの寸法)を切り取る。
伸長試験を実施するように引張試験機をプログラムし、100Hzの取得速度で力及び伸長データを収集する。最初に、5.08cm/分の速度でクロスヘッドを6mm下げて試験片を緩め、次いで、試験片が壊れるまで5.08cm/分の速度でクロスヘッドを上げる。破断感度を80%に設定し、すなわち、測定された力が最大ピーク力の20%まで落ちたときに試験を終了し、その後、クロスヘッドを元の位置に戻す。
ゲージ長を2.54cmに設定する。クロスヘッドをゼロにする。試験片を上部把持部に挿入し、それを上部つかみ具及び下部つかみ具内で垂直に整列させ、上部把持部を閉じる。サンプルが上部把持部からぶら下がっている状態で、ロードセルをゼロにする。試験片を下部把持部に挿入し、閉じる。把持部が閉じた状態で、試験片は、緩みを完全になくすのに十分な張力下であるが、ロードセルにかかる力が0.03N(3.0g)未満でなければならない。引張強度試験機を起動させ、データ収集を開始する。4つのCD試験片及び4つのMD試験片の全てについて、同様に試験を繰り返す。
ソフトウェアをプログラムして、構築された力(g)対伸長(cm)曲線から以下を計算する。
引張強度は、最大ピーク力(g)を試験片の幅(1cm)で除したものであり、0.01N/cm(1.0g/cm)単位でg/cmとして報告する。
調整されたゲージ長は、元のゲージ長(cm)に0.03N(3.0gの力)(cm)が付加された時点で測定される伸張として計算する。
伸び率は、最大ピーク力における伸張(cm)を調整されたゲージ長(cm)で除して100を乗じたものとして計算し、0.1%単位で%として報告する。
全エネルギー(TEA)は、ゼロ伸張から最大ピーク力における伸張まで積分した力曲線下面積(g*cm)を、調整されたゲージ長(cm)と試験片の幅(cm)の積で除したものとして計算し、0.01N*cm/cm2(1g*cm/cm2)単位で報告する。
力(g)対歪み(%)曲線として、力(g)対伸張(cm)曲線をリプロットする。本明細書における歪みとは、伸張(cm)を調整されたゲージ長さ(cm)で除して100を乗じたものとして定義される。
構築された力(g)対歪み(%)曲線から以下を計算するようにソフトウェアをプログラムする。
割線モジュラスは、ピーク力の少なくとも20%上昇するコードを用いて、歪み曲線に対する力の最急勾配の最小二乗直線当てはめから計算する。次いで、この勾配を試験片の幅(2.54cm)で除し、0.01N/cm(1.0g/cm)単位で報告する。
接線モジュラスは、力(g)対歪み(%)曲線における2つのデータ点間に引かれた線の勾配として計算する。用いる第1のデータ点は、0.27N(28gの力)で記録される点であり、用いる第2のデータ点は、0.27N(48gの力)で記録される点である。次いで、この勾配を試験片の幅(2.54cm)で除し、0.01N/cm(1.0g/cm)単位で報告する。
引張強度((N/m(g/cm))、伸び率(%)、全エネルギー(g*cm/cm2)、割線モジュラス(g/cm)、及び接線モジュラス(g/cm)を、4つのCD試験片及び4つのMD試験片について計算する。CD試験片及びMD試験片について、各パラメータの平均を別々に算出する。
計算:
総乾燥引張強度(TDT)=MD引張強度(g/cm)+CD引張強度(g/cm)
幾何平均引張張力=[MD引張強度(g/cm)×CD引張強度(g/cm)]の平方根
引張比=MD引張強度(g/cm)/CD引張強度(g/cm)
幾何平均ピーク伸び率=[MD伸び率(%)×CD伸び率(%)]の平方根
総TEA=MD TEA(g*cm/cm2)+CD TEA(g*cm/cm2)
幾何平均TEA=[MD TEA(g*cm/cm2)×CD TEA(g*cm/cm2)]の平方根
幾何平均接線モジュラス=[MD接線モジュラス(g/cm)×CD接線モジュラス(g/cm)]の平方根
総接線モジュラス=MD接線モジュラス(g/cm)+CD接線モジュラス(g/cm)
幾何平均割線モジュラス=[MD割線モジュラス(g/cm)×CD割線モジュラス(g/cm)]の平方根
総割線モジュラス=MD割線モジュラス(g/cm)+CD割線モジュラス(g/cm)
板剛性試験法
本明細書で使用するとき、「板剛性」試験は、平坦なサンプルが、そのサンプルの真下の穴の中に下向きに変形したときの、そのサンプルの剛性の測定である。試験のために、サンプルは、半径「R」の穴の中心上に置かれた平坦な表面上に存在する、厚み「t」を有する無限板としてモデル化される。穴の中心を直接覆うティッシュに適用される中心力「F」は、距離「w」だけティッシュを穴の中に下向きに屈折させる。線形弾性材料については、以下の式によって屈折を予測することができる:
式中、「E」は、有効線形弾性率であり、「v」は、ポワソン比であり、「R」は、穴の半径であり、「t」は、約2.0kPa(0.29psi)の負荷下、5枚のティッシュからなるスタック上で測定される厚さ(ミリメートル)として測定される、ティッシュの厚みである。ポワソン比を0.1とすると(溶液は、このパラメータに対して高度に感受性ではないので、仮定値による誤差は小さい可能性が高い)、前述の等式は、可撓性試験結果の関数として有効弾性率を推定するために「w」を書き換えることができる:
試験結果は、MTS Alliance RT/1試験機(MTS Systems Corp.,Eden Prairie,Minn.)で100Nのロードセルを用いて実施される。少なくとも16平方センチメートル(2.5平方インチ)四方の5枚のティッシュシートのスタックを、支持板上の半径15.75mmの穴の中心上に置き、半径3.15mmの尖っていないプローブを20mm/分の速度で降下させる。プロ−プの先端部が支持板の面の1mm下まで降下したとき、試験を終了する。試験中に任意の0.5mmの全長を超える最大傾斜(力(g)/mm)を記録する(この最大傾斜は、一般的に、ストロークの最後に発生する)。ロードセルは、印加された力をモニタリングし、支持板の面に対するプローブ先端部の位置もモニタリングされる。ピークロードを記録し、上記等式を使用して「E」を推定する。
次いで、単位幅当たりの板剛性「S」は、以下の通り計算することができ:
ニュートン−ミリメートルの単位で表される。試験作業プログラムは、以下の式を使用して剛性を計算する:
S=(F/w)[(3+v)R
2/16π]
式中、「F/w」は、最大傾斜(歪みで除した力)であり、「v」は、0.1としたポワソン比であり、「R」は、輪の半径である。
フィラメント組成試験法
フィラメント組成測定用のフィラメントを調製するために、フィラメントの外面上に存在する除去可能な任意のコーティング組成物及び/又は材料を除去することによって、フィラメントを調整しなければならない。次いで、調整したフィラメントの化学分析を完了して、繊維要素形成材料及び活性剤に関するフィラメントの組成構成、並びにフィラメント中に存在する繊維要素形成材料及び活性剤の濃度を求める。
また、繊維要素形成材料及び活性剤に関するフィラメントの組成構成は、TOF−SIM又はSEMを使用する断面解析を完了することによって求めてもよい。フィラメントの組成構成を求めるためのさらに別の方法は、マーカーとして蛍光色素を使用するものである。さらに、常として、フィラメントの製造業者は、自社のフィラメントの組成を知っていなくてはならない。
中央粒径試験法
平均粒径を求めるためには、この試験法を使用しなければならない。
1989年5月26日に承認されたASTM D 502−89、「Standard Test Method for Particle Size of Soaps and Other Detergents」、さらに分析に用いられる篩のサイズについての規格を用いて、シード物質の中央粒径を測定するために中央粒径試験を実施する。第7項の「Procedure using machine−sieving method」に従って、米国標準(ASTM E 11)篩♯8(2360um)、♯12(1700um)、♯16(1180um)、♯20(850um)、♯30(600um)、♯40(425um)、♯50(300um)、♯70(212um)、♯100(150um)を含む、入れ子状の清浄な乾燥した篩が必要である。規定された機械篩い法には、上記の入れ子状の篩が使用される。シード物質をサンプルとして用いる。好適な篩振盪機は、W.S.Tyler Company(Mentor,Ohio,U.S.A)から入手することができる。
各篩のマイクロメートル開口サイズを対数横座標にプロットし、累積質量パーセント(Q3)を線形縦座標にプロットした片対数プロット上に、データをプロットする。上記データ表示の例は、ISO 9276−1:1998、「Representation of results of particle size analysis−Part 1:Graphical Representation」、図A.4に示されている。この発明の目的のために、シード物質の中央粒径(D50)は、累積質量パーセントが50パーセントに等しい点における横座標値として定義され、以下の等式を使用する50%値の真上(a50)及び真下(b50)のデータ点間の直線補間によって計算される。
D50=10^[Log(Da50)−(Log(Da50)−Log(Db50))*(Qa50−50%)/(Qa50−Qb50)]
(式中、Qa50及びQb50は、それぞれ、50パーセンタイル値の真上及び真下のデータの累積質量パーセンタイル値であり、Da50及びDb50は、これらデータに対応するマイクロメートル篩サイズ値である)。
50パーセンタイル値が最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さいか又は最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、中央値が2つの測定された篩サイズ間に入るまで、1.5以下の等比級数に従って入れ子に追加の篩を加えなければならない。
シード物質の分布Spanとは、中央値(中央粒径)に関するシードサイズ分布の全幅の尺度である。これは、以下に従って計算される。
Span=(D84/D50+D50/D16)/2
式中、D50は中央粒径であり、D84及びD16は、それぞれ、累積質量パーセントのプロット上の16パーセンタイル値及び84パーセンタイル値における粒径である。
D16値が、最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さい場合、Spanは、以下に従って計算される:
Span=(D84/D50)。
D84値が、最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、Spanは、以下に従って計算される:
Span=(D50/D16)。
D16値が最も細かい篩サイズ(150um)よりも小さく、かつD84値が最も粗い篩サイズ(2360um)よりも大きい場合、分布Spanを最大値5.7とする。
開口パラメータ試験法
当業者は、繊維構造体サンプルを試験するための調製工程が、試験されるサンプルに損傷を与えることもなく、測定される特徴を変化させることもないことを保証することが重要であると理解する。清浄な乾燥繊維構造体サンプルが、測定のための目的とする出発点である。試験前に最低12時間、温度23℃±2.0℃及び相対湿度45%±10%で調整されたサンプルに対して以下の試験法を実施する。記載がある場合を除き、全ての試験工程をこのように調整された室内で実施し、全ての試験を同一の環境条件の下で実施する。任意の損傷を受けた繊維構造体は破棄する。意図的でないしわ、折り目、裂け目等の欠陥を有するサンプルは、試験しない。全ての計器は、製造業者の仕様書に従って較正する。本明細書に記載の通り調整されたサンプルは、本発明の目的上、乾燥サンプルであるとみなされる。
繊維構造体における開口の存在に関連する幾つかのパラメータは、3次元(3D)イメージング及びコンピュータ処理画像解析の使用を通して求められる。マイクロX線コンピュータ断層撮影(マイクロCT)を用いて、開口を含む繊維構造体から得られた試験サンプルを3Dレンダリングする。本方法によって求められる各パラメータは、以下の特徴:開口の特徴、寸法及び頻度;局在坪量指数;又は局在繊維配向指数の1つ又は複数に関連する。画像解析ツールを3Dレンダリングに適用して、2次元(2D)画像及び1次元(1D)プロファイルの値を作製する。プロファイルは、幾つかの反復開口を合わせたデータについて、(以下でさらに定義する)開口ボイド領域の縁部から外向きに放射状に広がる距離の関数として、平均局在坪量指数及び局在繊維配向指数を示す。プロファイル内では、開口ボイド領域の縁部からの距離に従って、また、特徴的な距離において測定される相対値に関連して、分離した領域が特定される。バックグラウンド領域は、開口のボイド領域に対して遠位であり、開口の存在に最も影響を受けない。壁領域は、存在する場合、開口ボイド領域に直接隣接し、バックグラウンド領域に対して局所坪量指数が著しく低くなる場合がある。移行領域は、存在する場合、壁領域とバックグラウンド領域との間に位置し、バックグラウンド領域に対して高い局所坪量指数を示し得る。幾つかのパラメータは、これら領域間の相対坪量指数及び相対繊維配向指数の態様を特徴付けるために定義され、計算される。全部で、求められる開口に関連するパラメータとしては、以下が挙げられる:平均開口等価直径;平均開口面積;開口頻度;開口真円度;平均分別孔面積;坪量指数比;坪量指数移行比;壁領域勾配;移行領域勾配;及び繊維配向指数比。
試験する繊維構造体のサンプルを、連続ボクセルを含む単一のデータセットとして、少なくとも16mm×16mm×3mmの寸法を有するサンプルを走査することができるマイクロCT X線走査装置を用いて画像化する。マイクロCT走査によって収集されるデータセットでは、6μmの等方性空間分解能が必要である。好適な計測器の一例は、以下の設定で作動するSCANCO Systemsモデルμ50マイクロCTスキャナ(Scanco Medical AG,Bruttisellen,Switzerland)である;エネルギーレベル:88μAにおいて45kVp;投影:3000;視野:20mm;積分時間:750ms;3回の平均;及びボクセルサイズ:6μm。
試験する繊維構造体を目視検査して、個々の開口の存在、外観、数、及び位置を識別する。この検査は、明瞭かつ綿密な観察を達成するために拡大装置の使用によって支援してよい。直径約16mmの鋭い円形穿孔器具を用いて、繊維構造体から繊維構造体のサンプルディスクを穿孔することによって、分析される試験サンプルを調製する。少なくとも1つの開口が、穿孔ディスク内部に存在し、穿孔円の中央起源のほぼ中心に位置し、かつ可能な場合、穿孔されるサンプルディスクの領域内に完全に含まれるように、穿孔器具を配置する。
試験する各材料から少なくとも3枚のサンプルディスクのセットを調製することによって、試験する繊維構造体をサンプリングする。ディスクに存在する全ての開口の集合セットが試験する材料中に存在する様々な開口を代表し、かつ目視検査中に決定したとき、繊維構造体全体に存在するのとほぼ同じ相対頻度で様々な開口を有する(すなわち、様々な開口の多様性は、面積で重み付けされるのではなくその相対頻度によって数で重み付けされる)ように、3枚以上のサンプルディスクを慎重に選択する。3枚のサンプルディスクが、繊維構造体全体を代表するこのようなサンプルを集合的に提供するのに不十分である場合、セットが代表的なサンプルについての指定の要件を集合的に満たすのに十分な量の追加のサンプルディスクを調製する。この試験法で指定される全てのパラメータ値の結果を計算し、繊維構造体全体を集合的に代表するサンプルディスクのセットについて報告する。
異なる種の開口及び/又は異なる区域の開口は、目視検査中に繊維構造体において視覚的に識別可能であり得る。異なる種の開口は、開口の相対サイズの差に従って、又は開口の相対形状の差によって、又は開口の任意の他の視覚的に識別可能な再発特徴(reoccurring characteristic(s))によって特定することができる。異なる区域の開口は、繊維構造体の領域間の開口の相対頻度若しくは密度に従って、又は領域間の開口の相対形状によって、又は領域間の開口の相対空間配置若しくは混同(co-mingling)によって、又は開口若しくはその空間配置の任意の他の視覚的に識別可能な特徴によって特定することができる。区域は、繊維構造体における任意の空間配置において再発又は反復し得るので、反復パターン内又は間に領域を含み得る。単一のサンプルディスクに単一の種又は区域のみが存在するように16mmのサンプルディスクを穿孔することができるかどうかを決定するために、異なる種の開口又は異なる区域の開口を含む繊維構造体を視覚的に評価する。2つ以上の視覚的に識別可能な種の開口又は区域の開口を含み、開口の空間配置によって少なくとも1つの種又は区域を別個にサンプリングすることが可能な繊維構造体については、(構造体全体を集合的に代表するサンプルディスクのセットに加えて)別個にサンプリングすることができる各異なる種又は区域から少なくとも3枚の複製サンプルディスクを調製する。異なる種又は区域の開口を別個にサンプリングすることができる繊維構造体については、構造体全体を代表するサンプルディスクのセットについて報告される結果に加えて、(開口頻度を除く)この試験法で指定される全ての結果を、開口の区域又は種を代表するサンプルディスクの各セットについて別個に計算及び報告する。
調製したサンプルディスクを平らに置き、スタックを形成するための交互層において低減衰サンプル調製実装発泡体のディスク(及び/又は環)間に実装してよい。発泡体環を使用することによって、各サンプルディスクが他の固体材料から完全に分離している走査内の領域を提供することができる。サンプルディスク及び任意の追加の発泡体ディスク及び/又は環を、プラスチック製の円筒形チューブに実装し、マイクロCTスキャナ内に固定する。画像強度コントラストが空気及び周囲の実装発泡体から繊維構造体を明瞭かつ再現可能に識別するのに十分な感度を有するように、装置の画像取得設定を選択する。このコントラスト識別又は必要な空間分解能を得るのに使用不可能な画像取得設定は、この方法には好適ではない。サンプルディスクの走査は、全ての実装したサンプルディスクの体積全体がデータセットに含まれるように捕捉する。
3Dレンダリングを行うためにデータセットの再構築を実施するソフトウェアは、走査装置の製造業者によって供給されている。後続の画像処理工程及び定量画像解析に好適なソフトウェアとしては、Avizo Fire 8.0(Visualization Sciences Group/FEI Company,Burlington,Massachusetts,U.S.A.)、及び対応するMATLAB Image Processing Toolboxを備えるMATLAB 2013b(The Mathworks Inc.Natick,Massachusetts,U.S.A.)等のプログラムが挙げられる。得られる8ビットのデータセットが、極端な外れ値を除くと同時に、実現可能な飽和ボクセルの最大ダイナミックレンジ及び最小数を維持するのを保証することに注意しながら、16ビットの階調強度深さを用いて収集されたマイクロCTデータを8ビットの階調強度深さに変換する。後続の画像処理及び分析工程において用いられる、12μmのボクセルを含む3Dデータセットを作製するために、全ての次元において2倍でデータセットをサブサンプリングする。これ以降、この方法では、Z次元は、サンプルディスクの面に対して垂直な方向を指し、X及びY次元は、互いに対して垂直でありかつ両方ともサンプルディスクの面に対して平行に位置する2つの方向を指す。垂直なX及びY次元の配向は、装置の走査形状に関連して実装されるサンプルディスクの回転配向によって任意に決定される。複数の走査されたサンプルディスクを含むデータセットから、各個々のサンプルディスクについて単一の及び別々の3D関心領域(ROI)を作製する。各サンプルディスクについての3D ROIのサイズは、X、Y、及びZ次元においてサンプルディスク全体を含み、さらに、ディスクの面上及び/又は下でZ次元においてかなりの体積のボイドエアスペース/ボイドボクセルを含むようになっている。全ての外来性の固体材料(例えば、サンプル実装発泡体、サンプルホルダ)は、データ解析からデジタル的に除外される。
坪量指数画像
マイクロCTデータセットにおける階調強度値は、走査中にサンプル材料を通過するときのx線の減衰から得られる。このx線の減衰は、サンプル材料の密度の関数であり、その結果、より高密度の材料からは、より高い階調強度値(より明るい領域)が生じ、より低密度の材料からは、より低い階調強度値(より暗い領域)が生じる。この特徴を用いて、坪量指数画像と呼ばれる2D XY投影画像における各ピクセル位置に表される通り、局在坪量指数値を求める。各サンプルディスクについての坪量指数画像を計算するために、画像数学を介して、各ディスクの2D XY累積投影画像を作製する。各サンプルディスクについてのROIを含むXY画像スライスのZスタックにおいて、各特定のXYボクセル位置における階調強度値を、Zスタックにおける全てのXYスライスにわたって同じXYボクセル位置に対応する強度値と合計して、各XYピクセル位置における累積浮動点階調強度値を含む新規の単一2D XY画像を作製する。次いで、ダイナミックレンジの大部分を保存しながら、累積投影画像における階調強度値が8ビットの範囲内に入るように、累積強度値を再設定する。次いで、得られる8ビットの2D XY累積投影画像を、そのサンプルディスクの坪量指数画像と呼ぶ。
平均開口等価直径;平均開口面積;開口頻度;平均分別孔面積、及び開口真円度
階調強度値の閾値を求め、次いで、領域を特定するプロセスを介して、各サンプルディスクの坪量指数画像内の開口ボイド領域を特定及び規定する。これらプロセスを用いて、坪量指数画像における各ピクセルを、特定の開口ボイド領域の成分であるか又は全ての開口ボイド領域から除外されると分類する。閾値強度値は、Otsu法(Nobuyuki Otsu(1979)「A threshold selection method from gray−level histograms」IEEE Trans.Sys.,Man.,Cyber.9(1):62〜66 doi:10.1109/TSMC.1979.4310076)を用いて求める。Otsu法は、階調画像についての客観的かつ再現可能な閾値を求めるために一般的に用いられる方法であり、2セットの強度値内の変動の合計を最小化する閾値(すなわち、閾値の両側)を特定することによってこれを達成する。Otsu法は、坪量指数画像についての閾値を求めるために用いられ、その閾値は、次いで、画像マスクと呼ばれる二元マスクを作製するために用いられる。坪量指数画像から、強度値が閾値よりも大きい全てのピクセル位置を特定し、二元画像マスクにおいて強度値1を与える。対照的に、階調強度値が閾値よりも小さい坪量指数画像における全てのピクセル位置には、二元画像マスクにおいて強度値ゼロを与える。開口ボイド領域をサンプルディスク内に位置する連続ピクセルの領域として特定及び規定し、ここで、その連続領域に対応する全てのピクセルは、二元画像マスクにおいて強度値ゼロを有し、その領域は、少なくとも100ピクセルの連続領域を有する。上記基準を満たす全ての領域を開口ボイド領域と規定し、開口の最も中心部に対応するとみなす。開口ボイド領域を含むと特定するための基準を満たさないサンプルディスク内の全てのピクセル位置に、画像マスクにおいて強度値1を与える。サンプルディスクの円形外周と接触又は交差する開口ボイド領域は、報告する全ての計算及び測定から除外するが、そうしなければ、サンプルディスク内の測定される開口ボイド領域がゼロになってしまい、この場合、接触又は交差している開口ボイド領域は、報告する測定に含まれる。
任意の開口ボイド領域についての等価直径は、その面積が開口ボイド領域の面積と同じである円の直径である。画像マスクにおいて特定される各開口ボイド領域を測定して、その面積及び等価直径を求める。これら個々の測定された値をそれぞれ記録し、12μm/ピクセルの係数を用いてピクセルをマイクロメートルに変換した後に報告する。試験する各繊維構造体材料については、各開口ボイド領域の面積及び等価直径について記録した値を個々に報告し、また、それぞれ、各パラメータについて平均する。平均開口等価直径及び平均開口面積をそれぞれ計算し、繊維構造体全体を表すサンプルディスクのセット全体にわたって、並びに各個々のパラメータについて、開口の各種及び開口の区域を表すサンプルディスク全体にわたって報告する。
真円度(丸み度としても知られている)は、2D物体の形状を測定するために用いられ、物体の形状と真円の形状との間の類似性の程度を示す、画像解析における一般的な概念である。このアプローチでは、真円の形状を有する物体は、単位のない真円度値1を有するが、1の値から逸脱した真円度値は、真円から逸脱した形状に対応し、より大きな値は、次第に円形からはなれることを示す。任意の所与の開口ボイド領域の真円度値は、開口真円度と呼ばれ、以下の等式を用いて計算される:
開口真円度=(周囲長)2/(4×面積×3.1416)
(式中、
周囲長=所与の開口ボイド領域の周囲の長さ(単位mm)、
面積=所与の開口ボイド領域の面積(単位平方mm))。
画像マスクにおいて特定される各開口ボイド領域を測定して、その開口真円度を求める。これら個々の測定された値をそれぞれ記録し、個々の開口真円度値として報告する。開口真円度値を平均し、繊維構造体全体を表すサンプルディスクのセット全体にわたって、並びに開口の各種及び開口の区域を表すサンプルディスク全体にわたって報告する。得られた平均値の全てを記録し、試験する各繊維構造体材料について報告する。
開口の視覚的に識別可能な反復パターン(すなわち、開口ボイド領域内及び外の領域を含有する反復二次元空間ユニット)は、試験する完全な繊維構造体全体内に存在し得る。視覚的に識別可能な反復パターンが存在しない繊維構造体については、平均分別孔面積を求めるために必要な下記パラメータを、無傷の繊維構造体全体の総面積に基づいて直接計算する。繊維構造体の総面積は、無傷の繊維構造体全体の長さに幅を乗じることによって求められる。当業者は、試験する繊維構造体に1つ又は複数の反復パターンの開口が存在する場合、最大反復パターンに基づいて測定される任意のパラメータを外挿して、無傷の繊維構造体全体の総面積に基づいてこれらパラメータの値を求めることができると理解する。
反復パターンを含む繊維構造体については、まず測定し、次いで、パターン反復距離同士を乗じることによって、最も大きな視覚的に識別可能な反復パターンの面積を求め、記録する。パターン反復距離は、試験する無傷の繊維構造体全体からX及びY方向に測定し、最大反復パターンの隣接する出現において、パターンが再度同一である(すなわち、反復する)位置間の2つの直線距離である。最大反復パターンに基づいて計算されるパラメータ値を外挿して、無傷の繊維構造体全体についてのこれらパラメータ値を求める。この外挿は、反復パターンについて計算したパラメータ値に、繊維構造体全体にわたってパターンが繰り返される回数を乗じることによって達成される。繊維構造体全体にわたってパターンが繰り返される回数は、繊維構造体の全領域の面積を、存在する最大反復パターンの面積で除することによって求められる。
開口の総数は、無傷の繊維構造体全体における全ての種及び全ての区域における開口の総数として定義される。開口の総数は、繊維構造体全体内の各視覚的に識別可能な開口を計数することによって求めるか、又は全ての種及び全ての区域を含む最大反復パターン内の全ての視覚的に識別可能な開口の数から外挿する。
開口頻度は、全ての種及び全ての区域における全ての開口の総数として定義され、無傷の繊維構造体全体に基づいて計算され、開口数/平方mmとして表される。開口頻度は、以下の等式に従って計算される:
開口頻度=開口の総数/総面積
(式中、総面積の値は、無傷の繊維構造体全体について計算される(単位平方mm))。
繊維構造体における開口ボイド領域の累積面積は、繊維構造体において計数されるか又は最大反復パターン内の数から外挿される視覚的に識別可能な開口数に、測定された平均開口面積を乗じることによって求められる。平均分別孔面積は、開口ボイド領域内の面積を含む繊維構造体の総面積の百分率であり、以下の等式に従って計算される:
平均分別孔面積(%)=(開口ボイド領域の累積面積/総面積)×100
(式中、開口ボイド領域の累積面積及び総面積の値は、それぞれ、無傷の繊維構造体全体について計算される(単位平方mm))。
平均分別孔面積値は、繊維構造体全体を表すサンプルディスクのセット全体にわたって報告する。さらに、可能な場合、平均分別孔面積値も計算し、開口の各種及び開口の区域を表すサンプルディスク全体にわたって報告する。得られた平均値の全てを記録し、試験する各繊維構造体材料について報告する。
ユークリッド距離マップ画像
坪量指数画像を用いてユークリッド距離マップ(EDM)を作製し、ここでは、各ピクセル位置における値は、そのピクセルと開口ボイド領域(上に定義する)内に含まれる最も近接するピクセルとの間の距離を表す距離値である。開口ボイド領域からの距離を測定するために、ユークリッド距離変換を使用して、各特定のピクセル位置から最も近接する開口ボイド領域ピクセルまでの最短距離を測定する。各サンプルディスクについて、開口ボイド領域を特定するために以前に作製した二元画像マスクを、ここで、開口ボイド領域におけるピクセルが強度値1を有し、全ての他のピクセルが強度値ゼロを有するように変換して、倒像マスクと呼ばれるマスクを作製する。各サンプルディスクのユークリッド距離マップ(EDM)は、倒像マスクの変換であり、その結果、EDMにおける各ピクセル位置の距離値は、倒像マスクにおけるそれぞれのピクセル位置と倒像マスクにおけるその最も近接する非ゼロ強度ピクセルの位置との間の浮動点ユークリッド距離である。サンプルディスクの外周からデータを除外するために、次いで、その位置がサンプルディスクの外周と同心であり、かつサンプルディスクの直径のわずか90%の直径しか有しない円の外側に位置する場合、全てのピクセル位置に距離値ゼロを与えるようにEDMを調整する。
坪量指数比;坪量指数移行比;壁領域勾配;及び移行領域勾配
坪量指数画像及びEDMの両方から坪量指数プロファイルを計算して、開口ボイド領域に近接する坪量指数画像におけるピクセル値の距離依存性を解明する。EDMにおける各ピクセルは、最も近接する開口ボイド領域ピクセルからの距離(ピクセル)に等しい距離値を有する。EDMにおける全てのピクセルは、その距離値に従ってビンに割り当てられ、各ビンは、ピクセルの整数、すなわち、整数として定義される。距離ビン内に割り当てられたピクセルの各セットについて、これらピクセルに対応する坪量指数画像強度値の平均値を計算し、記録する。これら距離ビン当たりの平均強度値を、反復するか又は繊維構造体のサンプルの代表的なセットを形成するサンプルディスク全てにわたって計算し、各ビンについて、得られた値を坪量指数値と呼ぶ。各距離ビンのEDM距離値を、12μm/ピクセルのスケーリング係数を用いてピクセルからマイクロメートルに変換する。次いで、坪量指数プロファイルを、全ての測定される距離ビン値(マイクロメートル)についての坪量指数値として定義する。坪量指数プロファイルは、最も近接する開口ボイド領域からの距離に対して容易にプロットされ、得られた曲線は、一般的に、図15の坪量指数プロファイルプロット(移行領域を有しない)に示す坪量指数プロファイル曲線60等の曲線に類似している。
バックグラウンド領域62を規定しかつ含む距離の範囲は、EDMにおける全ての非ゼロ距離値の50〜90パーセンタイル(100パーセンタイルが最も長い距離である)内に完全に含まれるEDMにおける整数値ビンに対応する距離値の全てである。坪量指数バックグラウンドは、バックグラウンド領域62を含む距離のセットに対応する全てのピクセル位置全体にわたって坪量指数画像にみられる階調強度値の算術平均である値である。坪量指数比は、以下の通り定義される:
坪量指数比=開口ボイドにおける坪量指数値/坪量指数バックグラウンド
(式中、点64によって示す通り、開口ボイドにおける坪量指数値は、坪量指数プロファイル曲線60にプロットされる最小測定距離における坪量指数値である)。
図15及び16に示す坪量指数プロファイルプロットに基づいて、坪量指数バックグラウンドの値に水平線66を引く。線66がバックグラウンド領域62における最小距離よりも短い距離で坪量指数プロファイル曲線60と交差しない場合、更なる領域は定義せず、これは、図15の坪量指数プロファイルプロットの場合である。この場合、坪量指数移行比の値は1と定義され、壁領域勾配の値はゼロと定義され、移行領域勾配の値はゼロと定義される。
図16に示す坪量指数プロファイルプロット(移行領域を含む)に基づいて、線66がバックグラウンド領域62における最小距離よりも短い距離で坪量指数プロファイル曲線60と交差する場合、線66と坪量指数プロファイル曲線60との交点を交差点68と呼ぶ。最低坪量指数値を有し、また交差点68の距離よりも長い距離を有するデータ点を特定し、この特定された点に対応する距離を、線70によって示す通り、壁移行境界と呼ぶ。壁移行境界70以下の距離を有する距離の範囲を壁領域72と呼び、壁移行境界70よりも長いがバックグラウンド領域62よりも短い距離を有する距離の範囲を移行領域74と呼ぶ。移行領域74内の距離に対応する全てのピクセル位置についての坪量指数値の平均を、線76によって示す通り、坪量指数移行平均と呼ぶ。坪量指数移行比は、以下の通り定義される:
坪量指数移行比=坪量指数移行平均/坪量指数バックグラウンド。
点78によって示す通り、移行領域内に生じる最大坪量指数値を坪量指数プロファイルピークと呼ぶ。2つ以上のデータ点が最大値を有する場合、坪量指数プロファイルピークは、最短距離において生じる最大である。坪量指数プロファイルピークに対応する距離を、坪量指数プロファイルピーク距離と呼ぶ。坪量ピーク比は、以下の通り定義される:
坪量指数ピーク比=坪量指数プロファイルピーク/坪量指数バックグラウンド。
さらに、壁領域72内の坪量指数プロファイル曲線60の近似勾配を、壁領域勾配と呼び、以下の通り定義する:
壁領域勾配=(1−坪量指数比)/壁移行境界。
(式中、壁移行境界の単位は、μmである)。
またさらに、移行領域の始まりにおける坪量指数プロファイル曲線60の近似勾配を、移行領域勾配と呼び、以下の通り定義する:
移行領域勾配=(坪量ピーク比−1)/(坪量指数プロファイルピーク距離−壁移行境界)。
(式中、坪量指数プロファイルピーク距離及び壁移行境界の単位は、いずれもμmである)。
坪量指数比、坪量指数移行比、壁領域勾配、及び移行領域勾配の値を計算し、平均し、繊維構造体全体を表すサンプルディスクのセット全体にわたって、並びに各個々のパラメータについて、開口の各種及び開口の各区域を表すサンプルディスク全体にわたって報告する。
繊維配向指数画像
サンプル繊維の配向がサンプルディスクのXY面から偏向して、サンプルディスク面に対して垂直なZ方向に向かう程度を、サンプルディスクにおける各XYピクセル位置において定量する。この定量は、サンプルディスクにおける全ての繊維表面の近似勾配を測定し、次いで、相対水平及び垂直勾配規模を比較することによって行われる。繊維がサンプルディスクのXY面から偏向している場合、その個々の繊維表面のより多くが垂直に配向され、これによって、より大きな垂直勾配が生じる。次いで、各XY位置における合計した垂直及び水平勾配規模の比を、幾つかの角度の接線として解釈し、この角度を計算して繊維配向指数画像を作製する。
書籍「Pattern Classification and Scene Analysis」(Duda,Hart Wiley & Sons,1973)に記載されている2D Sobel勾配演算子は、画像解析ツール市販画像解析ソフトウェアプログラムであり、画像におけるエッジ(様々な強度の境界)の配向、規模、及び位置を計算するために広く用いられている。Sobel演算子を画像に適用すると、2つの3×3マトリクスが画像全体に畳み込み処理されて、オリジナルと同じ大きさの2枚の画像が生じる。一方のマトリクス(及び得られる画像)は、垂直方向におけるエッジの大きさ及び位置を近似し、他方は、水平方向におけるエッジの大きさ及び位置を近似する。
繊維配向指数画像を計算するために、2D Sobel勾配演算子を用いて4つの3D勾配データセットを作製する。いずれの場合にも、3Dデータセットを2D画像面に分解し、2D Sobel勾配演算子を画像面の2本の主軸のうちの1本に沿って適用して勾配成分画像を作製する。次いで、これら勾配成分画像を再スタックして、同じ主軸に沿って3D勾配データセットを作製する。
サンプルディスクの全てのXZ画像面について、2D Sobel演算子を用いて、Z方向における勾配を含む勾配成分画像を作製する。次いで、これら画像を再スタックして、XZ_垂直と呼ばれる3Dデータセットを作製する。
サンプルディスクの全てのXZ画像面について、2D Sobel演算子を用いて、X方向における勾配を含む勾配成分画像を作製する。次いで、これら画像を再スタックして、XZ_水平と呼ばれる3Dデータセットを作製する。
サンプルディスクの全てのYZ画像面について、2D Sobel演算子を用いて、Z方向における勾配を含む勾配成分画像を作製する。次いで、これら画像を再スタックして、YZ_垂直と呼ばれる3Dデータセットを作製する。
サンプルディスクの全てのYZ画像面について、2D Sobel演算子を用いて、Y方向における勾配を含む勾配成分画像を作製する。次いで、これら画像を再スタックして、YZ_水平と呼ばれる3Dデータセットを作製する。
次いで、XZ_垂直及びYZ_垂直における対応するボクセルの各対について対応するボクセルの二乗の合計の平方根(Normと呼ばれる)を計算することによって、3次元データセットである垂直勾配データを作製し、次いで、垂直勾配データをZ方向に沿って合計して2D画像垂直勾配投影を作製する。XZ_水平及びYZ_水平における対応するボクセルの各対について対応するボクセルのNormを計算することによって、3次元データセットである水平勾配データを作製する。次いで、水平勾配データをZ方向に沿って合計して、2D画像水平勾配投影を作製する。次いで、垂直勾配投影におけるボクセル(vgpij)及び水平勾配投影におけるボクセル(hgpij)の全ての対応する対について、2D繊維配向指数画像における各ピクセル値を以下の等式に従って定義する:
FOI(i,j)=(180/3.14159)×abs(arctan(vgpij/hgpij))
(式中、
FOI(i,j)=繊維配向指数画像の位置i,jにおけるピクセル、
absは、絶対値関数を意味し、
arctanは、接線関数の逆関数を意味し、
vgpij=垂直勾配投影の位置i,jにおけるピクセル、
hgpij=水平勾配投影の位置i,jにおけるピクセル)。
繊維配向指数比
繊維配向指数プロファイルを、繊維配向指数画像及びEDMの両方から計算して、開口ボイド領域に近接する繊維偏向の距離依存性を解明する。EDMにおける各ピクセルは、最も近接する開口ボイド領域ピクセルからの距離(ピクセル)に等しい距離値を有する。EDMにおける全てのピクセルは、その距離値に従ってビンに割り当てられ、各ビンは、ピクセルの整数、すなわち、整数として定義される。距離ビン内に割り当てられたピクセルの各セットについて、これらピクセルに対応する繊維配向指数画像強度値の平均値を計算し、記録する。これら距離ビン当たりの平均強度値を、反復するか又は繊維構造体のサンプルの代表的なセットを形成するサンプルディスク全てにわたって計算し、各ビンについて、得られた値を繊維配向指数値と呼ぶ。各距離ビンのEDM距離値を、12μm/ピクセルのスケーリング係数を用いてピクセルからマイクロメートルに変換する。次いで、繊維配向指数プロファイルを、全ての測定される距離ビン値(マイクロメートル)についての繊維配向指数値として定義する。繊維配向指数プロファイルは、最も近接する開口ボイド領域からの距離に対して容易にプロットされ、得られた曲線は、一般的に、図17の繊維配向指数プロファイルプロットに示す繊維配向指数プロファイル曲線80等の曲線に類似している。
バックグラウンド領域62を規定しかつ含む距離の範囲は、EDMにおける全ての非ゼロ距離値の50〜90パーセンタイル(100パーセンタイルが最も長い距離である)内に完全に含まれるEDMにおける整数値ビンに対応する距離値の全てである。上に定義するバックグラウンド領域62も、繊維配向指数プロファイルと共に用いられる。繊維配向指数バックグラウンドは、線82によって示す通り、バックグラウンド領域62を含む距離のセットに対応する全てのピクセル位置全体にわたって繊維配向指数画像にみられるプロットされた繊維配向指数階調強度値の算術平均である値である。繊維配向指数比は、以下の通り定義される:
繊維配向指数比=開口ボイドにおける繊維配向指数/繊維配向指数バックグラウンド
(式中、開口ボイドにおける繊維配向指数は、点84によって示す通り、最短測定距離における繊維配向指数プロファイルの値である)。
繊維配向指数比の値を計算し、次いで、平均し、繊維構造体全体を表すサンプルディスクのセット全体にわたって、並びに開口の各種及び開口の各区域を表すサンプルディスク全体にわたって報告する。
光学開口特性決定試験法
開口光学円直径(AOCD)、開口光学円面積(AOCA)、及び開口光学円形率(AOC%)の測定を、光学拡大装置を用いて行う。光学拡大装置は、5×〜20×拡大することが可能であり、スケールと組み合わせられ、そのスケールの目盛は、0.1mmの間隔を含む。1つのこのような好適な光学拡大装置は、スケールレクチルを備える10X Bausch & Lomb Hastings Triplet Measuring Magnifier Loupe(Bausch & Lomb Inc.,Bridgewater,NJ,USA)である。ルーペにおけるスケールレクチルは、レンズの焦点面に位置する。ルーペをサンプルと直接接触するように置いて、視差もひずみもなく開口寸法を正確に測定できるようにする。ルーペの本体が透明であることにより、入射光がサンプルを照らすことができる。倍率の選択は、測定される開口孔の大きさによって決定されるが、その理由は、より小さな開口孔の方が、より大きな開口孔よりも高い倍率を必要とする場合があり得るためである。
AOCDは、mmで表される平均長さ値である。AOCAは、平方mmで表される平均面積値である。AOC%は、検査され、そして、測定された開口が位置する平面の面積の百分率として表される累積面積値である。
この方法の目的のために、試験する繊維構造体の代表的なサンプルをコントラストバックグラウンドに対して平坦に置き、拡大装置を通じて個々の開口の孔を明瞭に観察及び測定するのに十分な程度斜めの入射光及び十分な倍率を用いて検査する。各開口の孔を、繊維構造体の両平面のうちの最上表面で測定する。この最上表面は、典型的には、開口孔のショルダーの位置であり、ここで、その表面は、開口の壁を形成する前に下向きに下がり始める。幾つかの実施形態では、開口孔の周囲表面及びショルダーは、繊維構造体の概ね平面上に(から外向きに)上昇する面において生じて、平面上にそびえる火山様構造を形成し得る。このような場合、開口孔は、開口の外周によって表される最外面で測定される。各個々の開口孔の直径は、その開口の2本の軸に沿って測定される。2つの直径測定を実施するために、第1の直径測定を主軸に沿って行い、これは、開口孔の最長直径長を含む。次いで、第2の直径測定を、既に測定された主軸に対して直交する軸に沿って行う。
各開口孔について、2つの垂直直径測定値を平均して、その平面における開口孔のAOCD値を得る。各開口孔について、その平面におけるAOCD値を用いて、その直径としてAOCD値を有する円の面積について、以下の等式を介して、その平面におけるその開口についてのAOCAを計算する:
AOCA=π*r2
(式中、
π=3.1416
*は、乗算演算子を意味し、
r=AOCD値の半分)。
開口の反復パターンを含む繊維構造体については、反復パターン全体を検査し、検査した反復パターン全体の全ての開口を上記の通り測定する。繊維構造体全体の総面積の少なくとも10%内の全ての開口が測定されるまで、反復パターン全体の十分な複製を検査する。開口の反復パターンを含まない繊維構造体については、繊維構造体全体の総面積の少なくとも10%を検査し、検査した領域内の全ての開口を測定する。検査領域は、測定される開口のセットが、存在する様々な開口を代表し、構造体におけるその相対頻度を代表するように選択される(すなわち、様々な開口変動は、面積で重み付けされるのではなく数で重み付けされる)。さらに、検査され、そして、測定される開口が位置する平面の面積を求め、定規を用いて得られる測定値から計算してよい。
AOCD及びAOCAパラメータについて計算される全ての値を各パラメータ内及び各平面内で平均して、それぞれ、各平面上の各パラメータについての平均値を得る。これら2つのパラメータ及び2つの平面のそれぞれについて計算される各平均値のうち、繊維構造体材料の各パラメータについて報告されるのは、2つの値のうちの大きい方である。
AOC%値を求めるために、各平面について測定されるAOCA値全てを合計して、その平面における測定される開口孔の累積面積を求める。この累積面積値を、検査され、測定される開口が位置する平面の面積で除する。この除算の結果に100を乗じて、その平面についてのAOC%値を得る。これら2つの平面のそれぞれについて計算されるAOC%のうち、その繊維構造体材料のAOC%として報告されるのは、2つの値のうちの大きい方である。
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に制限されると理解されるべきでない。むしろ、特に断りのない限り、そのような各々の寸法は、列挙される値とその値の周辺の機能的に等価な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
任意の相互参照又は関連特許若しくは関連出願を含む本明細書に引用される全ての文献は、明確に除外ないしは別の方法で限定されない限り、参照によりその全体が本明細書中に組み込まれる。いずれの文献の引用も、その文献が本願で開示又は特許請求される全ての発明に対する先行技術であることを認めるものではなく、また、その文献が、単独で、あるいはあらゆる他の参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、かかる発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを認めるものでもない。さらに、本文書中の用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書中の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中のその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
以上、本発明の特定の諸実施形態を図示、説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行い得る点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような変更及び修正は全て添付される特許請求の範囲に網羅されるものとする。