[定義]
別途記載しない限り、明細書及び特許請求の範囲で用いる用語は以下の意味を有する。
本明細書にて、用語「照射(radiation)」及び「照射(irradiation)」は、レジスト組成物又はそのコーティングを、レジスト組成物内で物理的変化又は化学的変化を引き起こす照射に曝露し、これにより「現像処理(developted)」を可能にすることを意味する。対象となる照射は、任意の適する照射であり得る。電子ビームリソグラフィを実施する場合、照射は、電子ビーム照射であるが、本発明は、例えば、多層集積回路の形成時に多層レジスト組成物を用いることを可能にするので、レジスト組成物の一部は、本発明に係るeBeamレジスト組成物以外であってもよく、関連する照射が可視光/紫外線照射(例えば、フォトリソグラフィで好適に用いられる)である場合、代わりに可視/UVフォトレジスト又はこの種のものであってもよい。
本明細書にて、レジスト組成物内の「ベースポリマー成分(base polymeric component)」、「レジスト成分(resist component)」又は「レジストポリマー(resist polymer)」とは、関連する照射(例えば、電子ビーム照射、電離照射、紫外線照射)に曝露されたときに、変化が生ずる成分である。本発明に係るレジスト組成物(eBeamリソグラフィと共に用いる)のレジスト成分は、散乱を防止する化合物を含むものの、ポリマー成分(好適にはポリマー樹脂−例えば、PMMA)のような他のレジスト成分をさらに含み得る。本発明の範囲から除外されるレジスト組成物が用いられる場合、このような組成物は、ポリマー成分を含む、このような他のレジスト成分を含む可能性があり、散乱を防止する化合物を任意選択的に(実質的に)含まない可能性がある。
本明細書にて、「レジスト組成物(resist composition)」、「レジストコーティング(resist coating)」、「レジスト材料(resist material)」、「レジストコートされた材料(resist-coated material)」等への無限定の言及は、本発明に係るeBeamレジスト組成物、コーティング、材料若しくはコートされた材料に関するものであり得る、又は本発明の範囲から除外されるeBeamレジスト若しくは非eBeamレジスト(例えば、フォトレジスト)を含み得る、代替レジスト組成物、コーティング、材料若しくはコートされた材料に関するものであり得る。最も好ましくは、レジスト組成物、コーティング、材料又はコートされた材料への無限定の言及は、代替レジスト、好適には非eBeam代替レジスト、最も好適にはフォトレジストに言及するものである。このような代替レジストは、前ステップ(すなわち、本発明に係るeBeamレジスト組成物を用いる前若しくは本発明に係るeBeamレジスト組成物を用いて作製されるツール、例えば、本発明のリソグラフィックマスクを用いる前)、本発明に係るeBeamレジスト(本発明に係るeBeamレジストを用いることによって得られるリソグラフィックマスク)を用いる前若しくは後に代替レジストを用いることができる、反復ステップ(例えば、多層基板を製造する場合)、又はリソグラフィックマスクに関係するリソグラフステップ(特に前記リソグラフィックマスクがそれ自体、本発明に係る方法により製造される場合)に特に適している。特定の実施形態では、本発明に係るレジスト及び電子ビーム曝露法を用いて製造される、フォトマスクは、フォトリソグラフィに用いることができる。フォトマスクは、一般的に得られない超高分解能細部を含み、それにより、超高分解能フォトリソグラフィを可能にし得るので、このような使用は、本発明によってもたらされる便益を活用するものである。重要なことに、本発明に係る方法は、本発明に係るeBeamレジスト組成物若しくはコーティングが用いられる少なくとも1つのステップ、又は本発明のツール(例えば、リソグラフィックマスク)が用いられる少なくとも1つのステップを含む。しかし、このような方法は、本発明に係るeBeamレジスト組成物若しくはコーティングもそれから製造されるツールも用いない複数の他のステップを含み得る(例えば、集積回路は、100ものステップを用いて製造され得るが、本発明に係るレジスト組成物/コーティング又はツールが少なくとも1つのステップで用いられる場合、本発明の範囲内にあるものとする)。本発明の範囲外のレジスト及びリソグラフィックマスクを用いて方法ステップを実施することは、当業者の常識の範囲内に十分にあるものである。
本明細書にて、「代替レジスト組成物(alternative resist compositions)」及びコーティングは、当業者に周知の標準ワークショップ技術にしたがって製造し、用いることができる。当業者は、対象となる代替レジストに適合するように本明細書で規定する方法を容易に適応させることができるが、それらは、本発明に係るeBeamレジスト組成物及びコーティングに関して本明細書で規定したのと同じ方法で用いることもできる(コートし、曝露し、現像し、除去する方法などを含む)。
本明細書にて、eBeamレジスト組成物内の「散乱を防止する化合物(an anti-scattering compound)」(場合によってそれ自体レジスト成分であり得る)は、レジストパターン化に対する入射放射線の影響(及び任意選択的に二次電子の影響も)を軽減し、制御する役割を好適に果たす。散乱を防止する化合物は、入射放射線(及び/又は二次電子、生成する場合)を集束させ、所望の曝露部位に導く助けとなり、それにより望ましくない曝露を最小限にすると考えられる。これは、ひいては、はるかにより鮮明で、より高い分解能の像が、対象となるレジスト内にパターン化されることを可能にする。さらに、散乱を防止する化合物は、さもなければ曝露されたレジストのその後の現像に支障を来たし得る、レジスト内の特定の脆弱な成分の過剰曝露を防止又は低減し得る。したがって、散乱を防止する化合物は、ぼけの低減;近接効果(すなわち、レジストのさもなければ曝露されない部分へのエネルギーの漏れ)の低減;分解能の増大及び横縦比の増大(横縦比は、溝か又は畝かを問わず、関連するパターン線の深さを幅で割ったものである)を可能にする。散乱を防止する化合物が、その電荷が(中和化合物を得るために)相殺しない1つ又は複数の錯体を含むと記載される場合、実際の散乱を防止する化合物は、錯体の非中性の組合せの適切な塩である(それにより全体的に中性の化合物が得られる)。当業者は、残りの電荷は、一般的に適切な対陽イオン又は対陰イオンにより中和されことを十分に理解する。したがって、本明細書を通して散乱を防止する化合物及び実際のあらゆる錯体は、前記対イオンを用いずに定義することができる。
本明細書にて、用語「現像剤に不溶性(developer-insoluble)」とは、所与のコーティング部分が、現像剤内において、対応する「現像剤に可溶性(developer-soluble)」コーティング部分よりも比較的低い溶解度を有することを示すように意図されている。「現像剤に不溶性」コーティング部分が、現像剤内で部分的な溶解性又は完全な溶解性(現像時間が十分に長かった場合)を有する場合を必ずしも除外しない。当業者により認識されるように、いくつかのコーティング部分は、コーティングのいくつかの部分(例えば、照射曝露された部分)が、コーティングのその他の部分(例えば、照射曝露されない部分)とは異なる溶解度特性、したがって一般的に異なる化学的性質を有することを示すために、「現像剤に可溶性」と「現像剤に不溶性」とに区別して規定される。現像剤の性質は、コーティングのどの部分が除去されるように意図されるかに応じて、各コーティング部分が有する溶解度特性の相違に基づき、しかるべく選択されるので、このような性質は重要でない。一般的に言うと、用語「溶解度」が現像という文脈で用いられる場合、当業者が理解するように、熱力学的溶解度は動力学的溶解度と相関し得るが、可溶化のスピードが重要なので、同用語は、熱力学的な溶解度というよりはむしろ動力学的な溶解度に関連するものである。
一般的に、本発明に係る方法における用語「(eBeam)レジストコーティング(eBeam)resist coating」及び「(電子ビーム)照射(electron beam)radiation」の使用は、本発明に係るeBeamレジストコーティング及び電子ビーム照射が前記方法において少なくとも1回使用されるが、代替レジストコーティング(複数可)及び代替照射が、他のステップ(例えば、反復ステップ及び/又は前ステップ)の1つ、いくつか、又は全てに任意選択的に代わりに使用され得ることを意味する。本発明のいくつかの方法におけると同様に、「電子ビームリソグラフィを実施する方法のステップ(i)〜(vi)を実施すること」を含む任意選択的な反復ステップ又は前ステップに言及する場合、この文脈において電子ビームリソグラフィを実施する方法の実施は、本発明に係るeBeamレジストコーティング及び電子ビーム照射の代わりに代替レジストコーティング及び代替照射を任意選択的にもっぱら含み得る。すなわち、この文脈において電子ビームリソグラフィを実施する方法への言及は、本発明に係るeBeamレジスト又は代替レジストを含み得る反復又は前ステップの単に省略表現である。
本明細書にて、「平均(average)」値と引用する場合は、それは平均値(mean value)と関連するように意図されている。
本明細書にて、用語「重量部」(pbw)は、複数の構成要素/成分と関連して用いられる場合、前記複数の構成要素/成分の間の相対的な比を意味する。多くの実施形態では、組成物内の個別の成分の量は、数値「wt%」として表示され得るが、代替的実施形態では、あらゆる又は全てのかかる数値wt%は、複数成分の組成物を定義するために、重量部に変換され得る。これは、成分間の相対的な比が、その絶対的な濃度より、多くの場合重要なためである。複数の構成要素を含む組成物が、用語「重量部」のみで記載されている(すなわち、構成要素の相対的な比のみを示すために)場合、本発明の長所は、各構成要素の絶対量又は絶対濃度よりは、むしろ各構成要素の相対的な比に起因するので、前記構成要素の絶対量又は絶対濃度を(全体又は個別を問わず)規定する必要はない。しかし、好適には、レジスト組成物は、全ての規定された構成要素について、その混合物を、少なくとも1wt%(賦形剤/溶媒を一切除いて)、より好適には少なくとも5wt%、更に好適には、少なくとも10wt%、特に好適には少なくとも15wt%含む。好適には、レジスト組成物は、全ての規定された構成要素について、その混合物を最大で50wt%(賦形剤/溶媒を一切除いて)、より好適には最大30wt%、更に好適には最大20wt%含む。バランス(すなわち、賦形剤/溶媒を除く、規定された構成要素により構成されないレジスト組成物の残りの部分)は、賦形剤(複数可)/溶媒(複数可)により実質的に構成され得る。
本明細書にて、金属錯体(例えば、主金属錯体:primary metal complex)又は配位錯体等といった「錯体(complex)」への言及は、当業者(特に無機化学における)により十分に理解される。本明細書では、錯体は、1つ又は複数の配位子に配位した1つ又は複数の金属種(一般的に金属イオン)を一般的に含む。特定の錯体が式及び/又は成分のリストを参照することにより定義される場合、別途記載しない限り、好適にはこのような錯体は、その塩、溶媒和物若しくは水和物を含み、1つ若しくは複数の任意選択的な過剰/末端配位子、及び/又は1つ若しくは複数の追加の金属種をさらに又は代わりになるべきものとして含み得る。ほとんどの実施形態では、定義された錯体は、好適にはその塩を含み得る(特に錯体が正味電荷を有する場合)。しかし、好適には、このような錯体は、(実質的に)具体的に定義された通りであり得る(任意選択的な塩形であるにもかかわらず)。すなわち、溶媒和物、水和物、又は1つ若しくは複数の任意選択的な過剰/末端配位子との錯体、及び/又は1つ若しくは複数の追加の金属種を含み得る。さらに、特定の錯体が式及び/又は成分のリストにより定義され、錯体の個々の種の絶対又は相対量が示されている(例えば、化学量論又は錯体の1モル当たりの種のモル数を参照するかどうかを問わず)場合、好ましい実施形態では、錯体の個々の種の絶対又は相対量を含む、錯体は、(実質的に)定義された通りであるが、別途記載しない限り、これは、好適には、個々の種の絶対又は相対量が規定の量の+/−10%以内、より好適には+/−5%以内、更に好適には+/−1%以内、特に好適には+/−0.1%以内である変動を含み得る。
本明細書では、類型Xの不特定の数の複数の種(例えば、金属種、配位子種など)は、X1、X2、...Xnと呼ぶことができ、又は錯体の文脈において[X1X2...Xn]と規定することができ、X1は、類型Xの第1の種であり、X2は、類型Xの第2の種であり、Xnは、類型Xの第nの種(例えば、X3、X4、..)である。
本明細書では、別途記載しない限り、全ての化学命名法は、IUPAC定義にしたがって定義することができる。
本明細書にて、用語「アルキル(alkyl)」は、直及び分枝鎖アルキル基の両方を含む。「プロピル(propyl)」のような個々のアルキル基への言及は、直鎖型のみに特有なものであり、「イソプロピル(isopropyl)」のような個々の分枝鎖アルキル基への言及は、分枝鎖型のみに特有なものである。例えば、「(1〜6C)アルキル」は、(1〜4C)アルキル、(1〜3C)アルキル、プロピル、イソプロピル及びt−ブチルを含む。同様の慣例が他の遊離基に適用される。例えば、「フェニル(1〜6C)アルキル(phenyl(1-6C)alkyl)」は、フェニル(1〜4C)アルキル、ベンジル、t−フェニルエチル及び2−フェニルエチルを含む。
本明細書にて、単独で又は接頭語として用いられる用語「(m〜nC)」又は「(m〜nC)基」は、m〜n個の炭素原子を有する基を意味する。6より大きい又はそれに等しいnの値を規定する実施形態では、nは、任意選択的により小さい数であり得る。例えば、nは、2、4又は5であり得る。
本明細書にて、「アルキレン(alkylene)」、「アルケニレン(alkenylene)」又は「アルキニレン(alkynylene)」基は、2つの他の化学基の間に位置し、当該2つの他の化学基を連結する役割を果たすアルキル、アルケニル又はアルキニル基である。したがって、「(1〜6C)アルキレン((1-6C)alkylene)」は、1〜6個の炭素原子の線状飽和二価炭化水素又は3〜6個の炭素原子の分枝状飽和二価炭化水素遊離基、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ペンチレン及び同類のものを意味する。
本明細書にて、「(2〜6C)アルケニレン((2-6C)alkenylene)」は、少なくとも1つの二重結合を含む、例えば、エテニレン、2,4−ペンタジエニレン及び同類のものにおけるような、2〜6個の炭素原子の線状二価炭化水素遊離基又は3〜6個の炭素原子の分枝状二価炭化水素遊離基を意味する。
本明細書にて、「(2〜6C)アルキニレン((2-6C)alkynylene)」は、少なくとも1つの三重結合を含む、例えば、エチニレン、プロピニレン及びブチニレン並びに同類のものにおけるような、2〜6個の炭素原子の線状二価炭化水素遊離基又は3〜6個の炭素原子の分枝状二価炭化水素遊離基を意味する。
本明細書にて、「(3〜8C)シクロアルキル((3-8C)cycloalkenyl)」は、3〜8個の炭素原子を含む炭化水素環、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はビシクロ[2.2.1]ヘプチルを意味する。
本明細書にて、「(3〜8C)シクロアルケニル((3-8C)cycloalkenyl)」は、少なくとも1つの二重結合を含む炭化水素環、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、3−シクロヘキセン−1−イル等のシクロヘキセニル又はシクロヘプチニル、又はシクロオクテニルを意味する。
本明細書にて、「(3〜8C)シクロアルキル−(1〜6C)アルキレン((3-8C)cycloalkyl-(1-6C)alkylene group)は、それらの両方が本明細書で定義されている、(1〜6C)アルキレン基に共有結合した(3〜8C)シクロアルキル基を意味する。
本明細書にて、用語「ハロ(halo)」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
本明細書にて、用語「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」、「ヘテロ環式(heterocyclic)」又は「ヘテロ環(heterocycle)」は、非芳香族飽和若しくは部分飽和単環式、縮合、架橋又はスピロ二環式ヘテロ環系(複数可)を意味する。用語ヘテロシクリルは、一価種及び二価種の両方を含む。単環式ヘテロ環式環は、約3〜12個(好適には3〜7個)の環原子を含み、環における窒素、酸素又は硫黄から選択される1〜5個(好適には1、2又は3個)のヘテロ原子を有する。二環式ヘテロ環は、環における、7〜17員原子、好適には7〜12員原子を含む。二環式ヘテロ環は、約7〜約17個の環原子、好適には7〜12個の環原子を含む。二環式ヘテロ環(複数可)式環は、縮合、スピロ又は架橋環系であり得る。ヘテロ環基の例は、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、ジオキサニル等の環状エーテル及び置換環状エーテルを含む。窒素を含むヘテロ環は、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロトリアジニル、テトラヒドロピラゾリル及び同類のものを含む。一般的な硫黄含有ヘテロ環は、テトラヒドロチエニル、ジヒドロ−1,3−ジチオール、テトラヒドロ−2H−チオピラン及びヘキサヒドロチエピンを含む。他のヘテロ環は、ジヒドロ−オキサチオリル、テトラヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−オキサジアゾリル、テトラヒドロジオキサゾリル、テトラヒドロ−オキサチアゾリル、ヘキサヒドロトリアジニル、テトラヒドロ−オキサジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロピリミジニル、ジオキソリニル、オクタヒドロベンゾフラニル、オクタヒドロベンゾイミダゾリル及びオクタヒドロベンゾチアゾリルを含む。硫黄を含むヘテロ環については、SO又はSO2基を含む酸化硫黄ヘテロ環も含まれる。例は、テトラヒドロチエン1,1−ジオキシド及びチオモルホリニル1,1−ジオキシド等のテトラヒドロチエニル及びチオモルホリニルのスルホキシド及びスルホン型を含む。1つ又は2つのオキソ(=O)又はチオキソ(=S)置換基を有するヘテロシクリル基の適切な意味(value)は、例えば、2−オキソピロリジニル、2−チオキソピロリジニル、2−オキソイミダゾリジニル、2−チオキソイミダゾリジニル、2−オキソピペリジニル、2,5−ジオキソピロリジニル、2,5−ジオキソイミダゾリジニル又は2,6−ジオキソピペリジニルである。特定のヘテロシクリル基は、窒素、酸素又は硫黄から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む飽和単環式3〜7員ヘテロ環、例えば、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジニル、モルホリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1−ジオキシド、チオモルホリニル、チオモルホリニル1,1−ジオキシド、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル又はホモピペラジニルである。当業者が十分に理解するように、ヘテロ環は、炭素又は窒素原子を介して等の、適切な原子を介して他の基に連結することができる。しかし、本明細書におけるピペリジノ又はモルホリノへの言及は、環窒素を介して連結されているピペリジン−1−イル又はモルホリン−4−イル環に当てはまる。
本明細書にて、「架橋環系(bridged ring systems)」は、2つの環が2個を超える原子を共有している環系を意味する。例えば、Advanced Organic Chemistry,by Jerry March,4th Edition,Wiley Interscience,pages 131−133,1992を参照のこと。架橋ヘテロシクリル環系の例は、アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン及びキヌクリジンを含む。
本明細書にて、「ヘテロシクリル(1〜6C)アルキル(heterocyclyl(1-6C)alkyl)」は、それらの両方が本明細書で定義されている、(1〜6C)アルキレン基に共有結合したヘテロシクリル基を意味する。
本明細書にて、用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」又は「ヘテロ芳香族(heteroaromatic)」は、窒素、酸素又は硫黄から選択される1つ又は複数(例えば、1〜4個、特に1、2又は3個)のヘテロ原子を組み込んだ単環、二環又は多環式芳香環を意味する。用語ヘテロアリールは、一価種及び二価種の両方を含む。ヘテロアリール基の例は、5〜12環員、より通常5〜10環員を含む単環及び二環基である。ヘテロアリール基は、例えば、5若しくは6員単環又は9若しくは10員二環、例えば、縮合5及び6員環又は2つの縮合6員環から形成された二環構造であり得る。各環は、窒素、硫黄及び酸素から一般的に選択される最大約4個のヘテロ原子を含み得る。一般的に、ヘテロアリール環は、最大3個のヘテロ原子、より通常最大2個、例えば、1個のヘテロ原子を含む。一実施形態では、ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環における窒素原子は、イミダゾール若しくはピリジンの場合のように、塩基性、又はインドール若しくはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性であり得る。一般的に、環のアミノ基置換基を含むヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、5未満である。
ヘテロアリールの例は、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1,3,5−トリアゼニル、ベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアゾリル、インダゾリル、プリニル、ベンゾフラザニル、キノリル、イソキノリル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニル、プテリジニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、フェナジニル、ベンゾイソキノリニル、ピリドピラジニル、チエノ[2,3−b]フラニル、2H−フロ[3,2−b]−ピラニル、5H−ピリド[2,3−d]−o−オキサジニル、1H−ピラゾロ[4,3−d]−オキサゾリル、4H−イミダゾ[4,5−d]チアゾリル、ピラジノ[2,3−d]ピリダジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジニルを含む。「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が芳香環であり、他の環(複数可)の1つ又は複数が非芳香族飽和又は部分飽和環である、部分芳香族二又は多環系も対象として含み、ただし少なくとも1つの環が窒素、酸素又は硫黄から選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含む。部分芳香族ヘテロアリール基の例は、例えば、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、2−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、ジヒドロベンズチエニル、ジヒドロベンズフラニル、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、2,2−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエニル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラニル、インドリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロピリド[2,3−b]ピラジニル及び3,4−ジヒドロ−2H−ピリド[3,2−b][1,4]オキサジニルを含む。
5員ヘテロアリール基の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、フラザニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル基を含むが、これらに限定されない。
6員ヘテロアリール基の例は、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル及びトリアジニルを含むが、これらに限定されない。
二環式ヘテロアリール基は、例えば、
1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したベンゼン環、
1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピリジン環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピリミジン環、
1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピロール環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピラゾール環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したピラジン環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したイミダゾール環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したオキサゾール環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したイソオキサゾール環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したチアゾール環、
1又は2個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したイソチアゾール環、
1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したチオフェン環、
1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員環に縮合したフラン環、
1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員のヘテロ芳香族環に縮合したシクロヘキシル環、及び
1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む5又は6員のヘテロ芳香族環に縮合したシクロペンチル環
から選択される基であり得る。
5員環に縮合した6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例は、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イソベンゾフラニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニニル、グアニニル)、インダゾリル、ベンゾジオキソリル及びピラゾロピリジニル基を含むが、これらに限定されない。
2つの縮合6員環を含む二環式ヘテロアリール基の特定の例は、キノリニル、イソキノリニル、クロマニル、チオクロマニル、クロメニル、イソクロメニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾジオキサニル、キノリジニル、ベンゾオキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノオキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル及びプテリジニル基を含むが、これらに限定されない。
本明細書にて、「ヘテロアリール(1〜6C)アルキル(heteroaryl(1-6C)alkyl)」は、それらの両方が本明細書で定義されている、(1〜6C)アルキレン基に共有結合したヘテロアリール基を意味する。ヘテロアラルキル基の例は、ピリジン−3−イルメチル、3−(ベンゾフラン−2−イル)プロピル及び同類のものを含む。
本明細書にて、用語「アリール(aryl)」は、5〜12個の炭素原子を有する環式又は多環式芳香環を意味する。用語アリールは、一価種及び二価種の両方を含む。アリール基の例は、フェニル、ビフェニル、ナフチル及び同類のものを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、アリールは、フェニルである。
本明細書にて、用語「アリール(1〜6C)アルキル(aryl(1-6C)alkyl)」は、それらの両方が本明細書で定義されている、(1〜6C)アルキレン基に共有結合したアリール基を意味する。アリール(1〜6C)アルキルの例は、ベンジル、フェニルエチル及び同類のものを含む。
本明細書では、複数の官能性を含む基を記述するためにいくつかの複合用語も使用する。このような用語は、当業者により理解される。例えば、ヘテロシクリル(m〜nC)アルキルは、ヘテロシクリルにより置換された(m〜nC)アルキルを含む。
本明細書にて、用語「置換されていてもよい(optionally substituted)」は、置換されている基、構造又は分子及び置換されていないそれらのどちらか一方を意味する。
任意選択的な置換基が「1つ又は複数」の基から選択される場合、この定義は、2つ以上の指定された基から選択される指定された基又は置換基の1つから選択される全ての置換基を含むことを理解すべきである。好適には任意選択的な置換基の例は、これらに限定されないが、ハリド、アミノ、シアノ、イミノ、エナミノ、(1−6C)アルキルアミノ、ジ−[(1−6C)アルキル]アミノ、トリ−[(1−6C)アルキル]アミノ、オキソ、オキシド、ヒドロキシド(OH−−)、(1−6C)アルコキシド、(2−6C)アルケニルオキシ、(2−6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1−6C)アルコキシカルボニル、(2−6C)アルカノイル、(2−6C)アルカノイルオキシ、スルホ、スルフィド、ヒドロゲンスルフィド、(1−6C)アルキルチオ、(2−6C)アルケニルチオ、(2−6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、ヘテロシクリル(窒素、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1個の内部ヘテロ原子を含む)、窒素、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1個の内部ヘテロ原子を含むヘテロアリール(例えば、ピリジル)を含み、又は(適切な場合)、任意のCH、CH2若しくはCH3が置換されていてもよい。
本明細書での「pKa」への言及は、好適には関連する種の共役酸の標準環境温度及び圧力(SATP)における水中のpKa値と解釈すべきである。
本明細書にて、用語「カルボシクリル(carbocyclyl)」、「炭素環(carbocycle)」又は「炭素環式(carbocyclic)」は、一般的に3〜10個の環炭素原子(すなわち、(3〜10C)カルボシクリル)及び非芳香環系におけるゼロ個のヘテロ原子を有する、非芳香族環状炭化水素基の遊離基を意味する。好適には、カルボシクリル基は、(3〜nC)シクロアルキル及び(3〜nC)シクロアルケニルを含む。具体例としての実施形態は、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル及び同類のものを含む。
本明細書にて、用語「マクロシクリル(macrocyclyl)」、「大環状環(macrocycle)」又は「大環状(macrocyclic)」は、当技術分野で周知の大環状環を意味する。このような大環状環は、好適には環状巨大分子又は分子の巨大分子環状部分である。好適には大環状環は、環内に9個以上の原子を有する。好適には大環状環は、3個以上の内部電子対供与原子を有する。大環状環は、好適には中心金属種(例えば、Mg2+)に配位することができる環状分子である。例は、ポルフィリンを含む。
本明細書にて、用語「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)」一般は、好適にはヘテロ原子を有さない、脂肪族、非環式又は環式(アリールを含む)炭化水素基を意味する。
本明細書にて、「配位部分(co-ordinating moety)」は、好適には、さもなければ別個の原子、分子、イオン又は錯体との供与結合により配位することができる好適には原子又は部分である。好適には配位部分は、受容すること及び供与することの両方はできないが、好適には配位部分は、1つ又は複数の孤立電子対を受容又は供与することができる。
本明細書にて、「多金属(polymetallic)」系(例えば、多金属ケージ)は、同じ又は異なっていてもよい(金属元素、酸化状態等に関して)、その中に複数の金属原子/イオンを有する系(又は錯体)を単に意味する。例えば、8つのCr(III)イオンを含む金属錯体は、7つのCr(III)イオン及び1つのNi(II)イオンを含む金属錯体と同様に、多金属である。多金属ケージ等の多金属系は、ホモ金属(例えば、一部の金属種が他と異なる酸化状態を有するとしても、全ての金属種が同じ金属元素に由来する)又はヘテロ金属(例えば、異なる金属種が同じ又は異なる酸化状態を有するか否かにかかわらず、金属種が異なる金属元素に由来する異なる金属種の混合物である)である。最も好適には、それらは異なる酸化状態も有し得るが、ホモ金属錯体の全ての金属種は、同じ酸化状態である。最も好適には、それらは同じ酸化状態も有し得るが、ヘテロ金属錯体内の異なる金属種は、異なる酸化状態である。
本明細書にて、「二次電子ジェネレーター(secondary electron generator)」とは、好適には電離照射を用いた照射後に二次電子を放出する成分である。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターは、電子ビームに曝露されたときに電子を放出する。
本明細書にて、化合物の「実効原子番号(Zeff)」とは、化合物の構成原子の加重総和から得られる平均原子番号である。
当業者は、Zeffを計算及び/又は測定する様々な方法を認識するが(例えば、F.W.Spiers,Effective Atomic Number and Energy Absorption in Tissues,Br.J.radiol.,19,52,1946)、本発明の目的に照らせば、「実効原子番号(Zeff)」は、好適には、式Zeff=ΣαiZiを用いて、単なる質量加重平均として好適に計算されるが、式中、Ziは化合物内のi番目の元素の原子番号であり、またαiは、前記化合物内の全ての原子の原子番号の合計(すなわち、化合物内のプロトンの合計数)に対して、前記i番目の元素が占める割合である。この式は、n個の元素を含む化合物について、
Zeff=α1・Z1+α2・Z2+…(+αn・Zn)
として別途表すことができる。
これは、Spiersの式(F.W.Spiers,Effective Atomic Number and Energy Absorption in Tissues,Br.J.radiol.,19,52,1946)と類似しているが、Spiersが用いる指数を含まない。Spiersの式では、Zeffは、以下の通り、
Zeff p=ΣαiZi p
のように表され、
式中、指数pは、好適には約3(例えば、p=2.94)である。特定の実施形態では、このZeffに関するSpiersの定義(特にp=2.94とする場合)が利用可能であるが、本明細書に開示するZeffについて、任意の、好ましい、任意選択的な好適な数値が、Spiersの定義に対して等しく適用することができ、好ましくはZeffについて、上記の単純な質量加重平均の定義を用いるべきである。
散乱を防止する化合物は、好適には10未満又はそれに等しい実効原子番号(Zeff)を有する化合物であり得る又はそれを含み得る(任意選択的に、実効原子番号の計算で100kPaの圧力における150℃以下の沸点を有する溶媒和物を除外する場合)。
一例として、PMMA(又はメチルメタクリレート)のZeffは、約5.85である。同様に、一般的に本発明に関連しないが、化合物の混合物又は組成物の実効原子番号も、その各成分の重み付き平均値を含めることによって計算することができる。当業者は、全ての化合物及び組成物の実効原子番号(Zeff)を完全に計算することができる。
参照することによって本明細書の一部を成す同時係属出願PCT/GB2015/050884(本出願と同じ出願人により2015年3月24日に出願された)には、Zeffをどのようにして計算することができるかを詳細に記載されている。本発明の目的のために、散乱防止剤/化合物/錯体が二次電子ジェネレーターに結合されている場合には、同じ組成物の一部として又はさらに同じ錯体の一部としてかを問わず、好適にはそれらの各Zeff値を別個に取り扱う。組合せは相互に補完的であり得るが、好適には散乱防止剤は、対応する二次電子ジェネレーターと非常に異なるZeff及び実際に密度特性を有する。しかし、定義の目的のために、特に理想的な値及び傾向が反対方向に動く場合、Zeff、密度などのようなパラメーターを分離することが重要であり得る。
大きい炭素鎖を有する基が開示されている場合には(例えば、(1〜12C)アルキル)、(1〜8C)アルケニル等)、このような基は、例えば、1個から5個までの炭素(例えば、(1〜5C)アルキル又は(1〜5C)アルケニル)を含む、又は1個から3個までの炭素(例えば、(1〜12C)アルキル又は(1〜8C)アルケニルの代わりに(1〜3C)アルキル又は(1〜3C)アルケニル)を含むように短くしてもよい。
本明細書では、別途記載しない限り、組成物に含まれる任意所定の成分の重量パーセント(wt%)は、好適には、組成物の全重量に占める前記成分の重量基準のパーセントを意味する。
本明細書にて、用語「から実質的に構成される(consist essentially of)」とは、材料内の所与の構成要素の割合を記載するのに用いられる場合、材料は、好適には、所与の構成要素を少なくとも70wt%、より好適には少なくとも80wt%、更に好適には、少なくとも90wt%、特に好適には少なくとも95wt%、及び最も好適には少なくとも99wt%含むことを意味する。
本明細書にて、用語「ヒドロカルビル(hydrocarbyl)」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールを含むが、これらに限定されない、炭化水素遊離基を意味する。
本明細書で規定する場合(通常ルイス酸種に関して)、ホウ素及びケイ素はそれ自体厳密には金属種でないとしても、金属原子、種、錯体又は化合物への言及は、ホウ素及び/又はケイ素金属原子、種、錯体又は化合物を含み得る。しかし、このような金属原子、種、錯体又は化合物は、対応するホウ素及び/又はケイ素原子、種、錯体又は化合物を除外し得る。
<一般的な方法と本発明の長所>
本発明は、eBeamレジスト組成物(ポジ型レジスト又はネガ型レジストの別を問わない)等のジスト組成物を提供する。この組成物は、高精度、高スペックの電子部品の製造において効果的に利用できる品質強化型レジストパターンにアクセスできるようにする(例えば、集積回路に存在するもののように)。特に、画像化レジストパターンの品質及び分解能により、極めて高品質、高分解能の電子部品及び集積回路の製造が促進され、これが、ひいては集積回路の更なる小型化を可能にする。これは、ひいてはさらにより高速のマイクロプロセッサー及び低電力モバイル機器内で動作し得るマイクロプロセッサーへの道を開くものである。
eBeamレジスト組成物内に散乱を防止する化合物を意図的に含めることにより、二次電子の発生が妨げられ、抑制され、低減する。その際、近接効果及びぼけが最小限となり、それにより、より高分解能のパターン化が可能になる。それにより、非常に薄いレジストフィルム層の使用も可能になる。
本開示によって、当業者は、適切なレジスト組成物及び最終製品を最適化する方法を賢明に選択することができるようになる。本明細書に記載する実施例及びデータは、妥当性が確認された予測モデルと共に、本発明を一連のレジスト組成物に広く適用できることを高い信頼度で実証するものである。
一般的に言えば、ポジレジストは、当技術分野で周知の技術によりネガレジストを製造するために修飾することができる(例えば、架橋剤を加える)ので、本発明の技術は、ポジ又はネガ型レジストのいずれかと共に使用するために適応させることができる。
<eBeamレジスト組成物>
本発明は、好適には散乱を防止する化合物(好適には本明細書で定義するもの)を含む、本明細書で定義するeBeamレジスト組成物を提供する。eBeamレジスト組成物は、様々な比率で、本明細書で定義する1つ又は複数の散乱を防止する化合物を含み得る。
eBeamレジスト組成物は、電子ビームレジスト組成物(すなわち、「eBeamレジスト」)である。
散乱を防止する化合物は、一次電子(電子ビームからの)をそれらの標的に向けて集束させるが、好適には一方で近接効果及び/又はぼけを最小限にし、また好適には一方で二次電子の発生を最小限にする、電子制御剤として好適に機能する。
好適には散乱を防止する化合物は、電子ビーム照射に曝露された場合、電子の最小限の前方又は後方散乱を引き起こす。
eBeamレジスト組成物は、本明細書で定義するベースポリマー成分(又はレジストポリマー)を任意選択的に含み得る。このようなベースポリマー成分は、好適なレジストポリマー、特に電子ビームリソグラフィに用いるのに好適なレジストポリマー(例えば、ポリメタクリレート−PMMA)であり得る。このような実施形態では、eBeamレジスト組成物は、好適には、100pbwのベースポリマー成分当たり少なくとも1pbw(重量部)の散乱を防止する化合物(すなわち、100pbwのレジストポリマー当たり1pbwより多い又は等しい散乱を防止する化合物)、より好適には少なくとも2pbw、更に好適には少なくとも10pbw、特に好適には少なくとも20pbw、最も好適には少なくとも50pbwを含む。しかし、特に曝露放射線が電子ビームである場合には、好適には散乱を防止する化合物は、それ自体レジスト材料としての役割を果たし得る。したがって、eBeamレジスト組成物は、唯一のレジスト材料、主たるレジスト材料(すなわち、希釈剤を除く全eBeamレジスト組成物の50重量%より大きい)としての散乱防止剤を含み得る。
好適には、eBeamレジスト組成物(例えば、コーティング前)は、希釈剤又は溶媒を含む。好適には、eBeamレジスト組成物は、20〜99重量%の溶媒、より好適には50〜79重量%、更に好適には80〜95重量%の溶媒を含む。したがって、eBeamレジスト組成物は、好適には1〜80重量%の非溶媒成分、より好適には3〜50重量%の非溶媒成分、更に好適には5〜20重量%の非溶媒成分を含む。好適には、eBeamレジスト組成物は、好適には分散又は懸濁粒子状物質を含まない溶液である。好適には、eBeamレジスト組成物は、好適には表面上に(実質的に)均一なコーティングを施すために、表面上へのスピニングに適する。好適には、eBeamレジスト組成物は、粒子状物質を(実質的に)含まない。好適には、eBeamレジスト組成物は、ナノ粒子を(実質的に)含まず、特に金属(0)ナノ粒子又は金属含有ナノ粒子を含まない。
eBeamレジスト組成物は、二次電子ジェネレーターを含み得る。このような二次電子ジェネレーターは、下文で述べ、また参照により組み込まれる、同時係属出願PCT/GB2015/050884(本出願と同じ出願者により2015年3月24日に出願された)にも記載されている。好適にはこのような二次電子ジェネレーターは、散乱を防止する化合物/錯体又はその一部に結合させる(供与結合、共有結合又はイオン結合を問わず)。
eBeamレジスト組成物は、入射eBeamによる照射後の二次電子を散乱させることができるが、二次電子を(著しい程度に)増幅させない、散乱化合物を含み得る。好適にはこのような散乱化合物は、散乱を防止する化合物/錯体又はその一部に結合させる(供与結合、共有結合又はイオン結合を問わず)。
一実施形態では、eBeamレジスト組成物は、二次電子ジェネレーター及び散乱化合物の両方を含み、好適には両方を散乱を防止する化合物又はその一部に結合させる。
eBeamレジスト組成物は、1つ又は複数の任意選択的な追加の化合物を含み得る。
特定の実施形態では、eBeamレジスト組成物は、
− 100pbwの散乱を防止する化合物及び
− 0〜10000pbwのベースポリマー成分
を含む(これは、各成分の100:0〜10000の重量比、又は別の方法で100:0〜1:100及び全ての中間組成物と表すこともできる)。
eBeamレジスト組成物は、ネガ型eBeamレジスト組成物又はポジ型eBeamレジスト組成物であり得る。eBeamレジスト組成物がレジストポリマーを含む場合、ネガeBeamレジスト組成物は、好適にはネガeBeamレジスト組成物又はそのコーティングの照射曝露部分(複数可)の効果的な硬化を促進するために(例えば、好適には照射曝露部分(複数可)を現像媒体中で(実質的に)不溶性にするために、すなわち、現像剤に不溶性にするために)、一般的に架橋剤等のネガレジスト剤をさらに含む。eBeamレジスト組成物がレジストポリマーを含む場合、ポジeBeamレジスト組成物は、他方で、ポジeBeamレジスト組成物又はそのコーティングの照射曝露部分が現像媒体中で(実質的に)可溶性(すなわち、現像剤に可溶性)であるように、好適にはネガレジスト剤を欠き得る。しかし、散乱を防止する化合物は、それ自体レジスト材料としての役割を果たし得る(任意選択的にレジストポリマー(複数可)の一部又は全部の代わりに)ので、eBeamレジスト組成物は、ネガ型eBeamレジスト組成物であり得る。好適なネガ又はポジ型レジストへの上記の言及は、電子ビームリソグラフィにおけるそれらの挙動に特に関連する。
特定の実施形態では、eBeamレジスト組成物は、架橋剤を含み得る(特にレジストポリマーがさらに存在する場合)又は架橋剤不含有であり得る(特にレジストポリマーがほとんど又は全く存在しない場合)、ネガeBeamレジスト組成物である。好適にはネガeBeamレジスト組成物又はそのコーティングの照射曝露部分(複数可)は、その照射非曝露部分(複数可)(すなわち、現像剤に可溶性である)と比較して、現像媒体中で比較的に不溶性になる(すなわち、現像剤に不溶性である)。
特定の実施形態では、eBeamレジスト組成物は、好適には架橋剤を(実質的に)含まず(特に十分な量のレジストポリマーが存在する場合)、好適にはネガeBeamレジスト組成物に関連して定義した架橋剤(複数可)を(実質的に)含まない、ポジeBeamレジスト組成物である。好適にはポジeBeamレジスト組成物又はそのコーティングの照射曝露部分(複数可)は、その照射非曝露部分(複数可)(すなわち、現像剤に不溶性である)と比較して、現像媒体中で比較的に可溶性になる(すなわち、現像剤に可溶性である)。特定の実施形態では、レジスト組成物は、組成物が70重量%以上のポジ型レジストポリマーを含む場合、ポジレジスト組成物である。
<散乱を防止する化合物>
散乱を防止する化合物は、eBeamレジスト組成物又はそのコーティングを照射に曝露する場合、電子、特に二次電子(好適には一次電子も、特にeBeam照射を用いる場合)の流れ及び/又は散乱を好適には制御する。このような制御は、電子の制御されていない流れ及び/又は散乱によって引き起こされる有害効果を有利に制限し得る。好適には一次電子の散乱は、2KeV以上の入射電子ビームについてほぼゼロである。
理論により拘束されることを望むものではないが、本発明の散乱を防止する化合物は、eBeamレジスト組成物(又はそのコーティング)の照射部分(複数可)における変換させる衝撃(すなわち、レジスト成分及び任意選択的に他の関連成分、例えば、架橋剤の変換)を最大にし、隣接する非照射部分(複数可)における変換させる衝撃を最小にするように電子を導く又は別の方法で誘導する、すなわち、曝露をより選択的にする役割を果たし得ると考えられる。これは、分解能及びパターン化工程の一貫性を向上させる役割を果たす。散乱を防止する化合物も、過剰反応又はレジスト若しくは下部の基板の有害な損傷を抑制するように、一次及び/又は二次電子を抑制又は消滅(部分的に若しくは完全に)させ得る。
好適には、散乱を防止する化合物の1つ又は複数の成分(特に錯体(複数可)、例えば、多金属ケージ及び/又は多金属環系)は、かなりの量の自由内部空間を有する分子構造を有する。好適には全体としての散乱を防止する化合物(その個々の成分の配置−例えば、複数の金属ケージ或いは共通のハブ又は1つ若しくは複数のリンカー成分(複数可)の周りに任意選択的に配置されたリングの関連を考慮して)は、かなりの量の自由内部空間を有する構造を有する。理論により拘束されることを望むものではないが、このような自由空隙は、散乱を防止する化合物の有利な特性の重要な寄与因子であり、一次電子の散乱及び/又は二次電子の発生を最小にする助けとなると考えられる。したがって、散乱を防止する化合物は、好適には高い平均自由行程(λ)を有する。すなわち、連続する電子衝突の間の距離が高い。好適には散乱を防止する化合物は、低い散乱断面積(σ)を有する。すなわち、衝突の可能性が低い。
金属有機構造体(MOFs)は、それらの多孔性開放(好適には3次元)結晶構造について当技術分野で周知であり、化合物及び錯体にかなりの量の自由空隙をもたらし得る(一般的に気体の吸収のために実際に用いられる)が、散乱を防止する化合物は、特にeBeamレジストコーティングの一部(すなわち、曝露前)である場合、最も好適には(実質的に)非結晶性であり及び/又は3次元結晶/格子構造を形成しない。このような3次元結晶構造を形成する傾向が欠如していることは、散乱を防止する化合物がより好適な溶解特性を有し、それにより、eBeamレジスト組成物のより均一なコーティング(例えば、スピンコーティング)が可能になることを示すものであり得る。したがって、最も好適には、散乱を防止する化合物は、金属有機構造体(MOF)でない。好適には、散乱を防止する化合物は、(実質的に)非多孔性である。
散乱を防止する化合物は、好適には自己犠牲的であり、それにより、電子の衝撃を選択的に吸収する。このように、散乱を防止する化合物は、任意選択的に他のレジスト成分(例えば、ポリマー成分)の代わりに衝撃を犠牲的に吸収し得る。散乱を防止する化合物は、例えば、その現像剤溶解特性が照射(特にeBeam照射)への曝露後に変化する、レジスト成分(任意選択的に唯一のレジスト成分)としての役割をそれ自体果たし得る。
好適には、散乱を防止する化合物は、1.5g/cm3以下、より好適には1.3g/cm3未満、更に好適には1.2g/cm3以下、特に好適には0.95g/cm3以下、より更に好適には0.9g/cm3以下、より特に好適には0.85g/cm3以下、更に特に好適には0.8g/cm3以下、最も好適には0.7g/cm3以下の密度を有する。好適には、散乱を防止する化合物は、0.4g/cm3以上、より好適には0.5g/cm3以上、更に好適には0.55g/cm3以上、特に好適には0.6g/cm3以上の密度を有する。特定の実施形態では、散乱を防止する化合物は、0.6g/cm3〜0.85g/cm3の密度を有する。特定の実施形態では、散乱を防止する化合物は、1.2g/cm3以下の密度を有する。
好適には、散乱を防止する化合物は、2000g/mol以上、より好適には5000g/mol以上、更に好適には10,000g/mol以上、特に好適には15,000g/mol以上の分子量を有する。好適には、散乱を防止する化合物は、300,000g/mol以下、より好適には200,000g/mol以下、更に好適には100,000g/mol以下、特に好適には50,000g/mol以下、最も好適には20,000g/mol以下の分子量を有する。
好適には、散乱を防止する化合物は、一次照射への曝露に反応して、イオン化生成物としての二次電子を(実質的に)発生しない。一次照射は、好適には電子ビーム又は電磁照射である。
好適には、散乱を防止する化合物は、金属有機錯体である。好適には散乱を防止する化合物は、多金属化合物である。散乱を防止する化合物は、好適には元素状金属(すなわち、金属(0))を含まない。好適には散乱を防止する化合物の金属種は、金属イオンである。
好適には、散乱を防止する化合物は、主金属錯体(PMC)を含む。好適には主金属錯体は、本明細書で示されているように定義され、好適には金属ケージであり、最も好適には多金属ケージである(特定の実施形態では、全ての三価金属種が同じ又は異なる金属元素に由来するかどうかを問わず、全ての金属種が三価であり得るが、好適には少なくとも1つの三価金属種及び少なくとも1つの二価金属種を含む)。金属ケージは、G.F.S.Whitehead,F.Moro,G.A.Timco,W.Wernsdorfer,S.J.Teat and R.E.P.Winpenny,“A Ring of Rings and Other Multicomponent Assemblies of Clusters“,Angew.Chem.Int.Ed.,2013,52,9932−9935に開示されているもの又は開示されているものと同様のものを含み得る。いくつかの実施形態では、多金属ケージは、ホモ金属性である。好ましい実施形態では、多金属ケージは、ヘテロ金属性である(すなわち、2種以上、最も好適には正確に2種金属元素を有する)。
主金属錯体は、中性又は荷電していてもよい(正又は負を問わず)。散乱を防止する化合物は、特に主金属錯体が荷電している場合、好適には本明細書で定義する通りであり、好適には主金属錯体塩の一部として主金属錯体と結合した、1つ又は複数の対イオン(例えば、C1、C2、...、Cc)を含み得る。したがって、散乱を防止する化合物は、以下の式A
(C1 i1、C2 i2、...、Cc ic)(PMC)ρ
の主金属錯体塩により定義することができる又は主金属錯体塩により定義される単位を含み得る。
式中、PMCは、好適には本明細書で定義する、主金属錯体であり、ρは、式A中のPMCの相対化学量論であり又はρは、式Aの1モル当たりのPMCのモル数であり、C1は、第1の対イオンであり、C2は、第2の対イオンであり、Ccは、好適には本明細書で定義する、第cの対イオンであり、i1、i2及びicは、式A中のC1、C2、...、Ccのそれぞれの各相対化学量論である又はi1、i2及びicは、式Aの1モル当たりのC1、C2、...、Ccのそれぞれの各モル数である。
ρは、好適な値を有し得、好ましくはゼロでない整数である。ρは、好適には1〜6の間の値(好適には整数)であり得る。
好ましい実施形態では、主金属錯体と結合した対イオン種が存在しない(すなわち、i1、i2及びicが全てゼロである)又は主金属錯体が単一対イオン種(の1種)のみ(すなわち、i1がゼロでないが、i2及びicがゼロである)と結合している(すなわち、主金属錯体塩が含んでいる)。好適にはPMC及び対イオン(複数可)の化学量論又は相対モル数は、得られる主金属錯体塩が中性であるようなものである。しかし、散乱を防止する化合物内の追加の荷電成分(例えば、リンカー成分−下文参照)の存在は、主金属錯体塩が中性である必要がないことを意味し得る。
散乱を防止する化合物は、1つ又は複数、好ましくは2つ以上の主金属錯体と好適には結合する(例えば、静電的に及び/又は共有結合的に、最も好適には少なくとも部分的に共有結合的に)リンカー成分(又は1つ若しくは複数のリンカー成分)を好適には含む。好適にはリンカー成分(複数可)は、本明細書に示すように定義され、好適には1つ又は複数(好ましくは2つ以上)の主金属錯体と配位する(すなわち、と供与結合を形成する)ことができる錯体又は化合物である。1つ又は複数の主金属錯体(複数可)と結合している1つ又は複数のリンカー成分(複数可)から得られる錯体は、「ハイブリッド錯体」と呼ぶことができる。
散乱を防止する化合物は、以下の式Bのハイブリッド錯体により定義され得る又はハイブリッド錯体により定義される単位を含み得る。
(PMC)ρ(LINK)l
式中、PMCは、好適には本明細書で定義する、主金属錯体であり、ρは、式B中のPMCの相対化学量論であり又はρは、式Bの1モル当たりのPMCのモル数であり、LINKは、好適には本明細書で定義する、リンカー成分であり、lは、式B中のLINKの相対化学量論である又はlは、式Bの1モル当たりのLINKのモル数である。
ρは、好適な値を有し得、好ましくはゼロでない整数である。ρは、好適には1〜120(120は理論的限界である)の間、より好適には1〜48の間の値(好適には整数)であり得る。ρは、好適には1〜30の間、より好適には2〜24の間、更に好適には2〜8の間、特に好適には4〜6の間の値(好適には整数)であり得る。最も好適にはρは、偶数の整数(特に2、4又は6)である。
lは、好適な値(0を含む)を有し得、好適にはゼロ又はゼロでない整数、最も好適にはゼロでない整数である。lは、好適には0〜10の間、より好適には0〜2の間の値(好適には整数)、更に好適には0又は1、最も好適には1であり得る。
主金属錯体(例えば、PMC)及び/又はリンカー成分(例えば、LINK)は、中性又は荷電していてもよい(正又は負を問わず)。両方が存在する場合、主金属錯体及びリンカー成分の両方が荷電していることがあり得、いくつかの実施形態では、それぞれが逆の極性の荷電を有し得る(すなわち、1つが負に荷電し、他のものが正に荷電し、それにより、それらの間の供与結合/共有結合相互作用に加えて、互いに静電的に結合している可能性がある)。主金属錯体(複数可)がリンカー成分(複数可)と反対の極性の電荷を有する場合、散乱を防止する化合物内のこれらの種の全体の電荷は、ゼロであり得る(すなわち、電荷が互いを中和して、正味電荷を有さない式Aの化合物又は単位が得られる)。或いは、散乱を防止する化合物は、特にハイブリッド錯体が正味電荷(すなわち、非中性)を有する場合、ハイブリッド錯体塩の一部としてハイブリッド錯体と好適に結合した(及び/又は主金属錯体及び/又はリンカー成分のいずれか若しくは両方と結合した)、好適には本明細書で定義した、1つ又は複数の対イオン(例えば、C1、C2、...、Cc)を含み得る。したがって、散乱を防止する化合物は、以下の式C
(C1 i1、C2 i2、...、Cc ic)(PMC)ρ(LINK)l
のハイブリッド錯体塩により定義することができる又はハイブリッド錯体塩により定義される単位を含み得る。
式中、PMCは、好適には本明細書で定義した、主金属錯体であり、ρは、式C中のPMCの相対化学量論であり又はρは、式Cの1モル当たりのPMCのモル数であり、
LINKは、好適には本明細書で定義した、リンカー成分であり、lは、式C中のLINKの相対化学量論であり又はlは、式Cの1モル当たりのLINKのモル数であり、
C1は、第1の対イオンであり、C2は、第2の対イオンであり、Ccは、好適には本明細書で定義する、第cの対イオンであり、i1、i2及びicは、式C中のC1、C2、...、Ccのそれぞれの各相対化学量論である又はi1、i2及びicは、式Cの1モル当たりのC1、C2、...、Ccのそれぞれの各モル数である。
ρは、好適な値を有し得、好ましくはゼロでない整数である。ρは、好適には1〜120(120は理論的限界である)の間、より好適には1〜48の間の値(好適には整数)であり得る。ρは、好適には1〜30の間、より好適には2〜24の間、更に好適には2〜8の間、特に好適には4〜6の間の値(好適には整数)であり得る。最も好適にはρは、偶数の整数(特に2、4又は6)である。
lは、好適な値(0を含む)を有し得、好適にはゼロ又はゼロでない整数、最も好適にはゼロでない整数である。lは、好適には0〜10の間、より好適には0〜2の間の値(好適には整数)、更に好適には0又は1、最も好適には1であり得る。
ハイブリッド錯体(又はその塩)内の主金属錯体及びリンカー成分のいずれか若しくは両方は、対イオンのいずれかとそれぞれ独立に結合し得る、且つ/又は対イオンは、全体としてのハイブリッド錯体と結合し得る。
好適には、ハイブリッド錯体塩は、全体的に中性である。
散乱防止剤は、主金属錯体に関して本明細書で定義した1つ若しくは複数の対イオン及び/又は1つ若しくは複数のリンカー成分と任意選択的に結合した、1つ若しくは複数の追加金属錯体(AMC)(又はその塩(複数可))を含み得る。追加金属錯体(複数可)は、主金属錯体と異なる(例えば、金属種及び/又は配位子又はその相対化学量論に関して)。しかし、主金属錯体と異なるが、追加金属錯体(複数可)のいずれか、一部又は全部は、主金属錯体に関して本明細書で示したように定義することができる。したがって、追加金属錯体(複数可)は、好適には全ての金属種が二価である又は金属部位が異なる酸化状態にある、多金属ケージ等の金属ケージであり得る。この多金属ケージは、ホモ金属性であり得る。しかし、AMCの金属ケージは、主金属錯体に関して本明細書で定義したもののいずれかの通りであり得る。1つ又は複数の追加金属錯体(複数可)が主金属錯体に加えて存在する場合、追加金属錯体(複数可)の好適には少なくとも1つ、好ましくは2つの金属種が主金属錯体の金属種と異なる。
したがって、散乱防止剤は、以下の式D
(C1 i1、C2 i2、...、Cc ic)(PMC)p−a(AMC)a(LINK)l
のハイブリッド錯体又はハイブリッド錯体塩により定義することができる又はハイブリッド錯体又はハイブリッド錯体塩により定義される単位を含み得る。
式中、PMCは、好適には本明細書で定義した、主金属錯体であり、p−aは、式D中のPMCの相対化学量論であり又はp−aは、式Dの1モル当たりのPMCのモル数であり、
AMCは、好適には本明細書で定義した(AMC(複数可)がPMCと異なる限りPMCと任意選択的に同様に)、1つ又は複数の追加金属錯体(複数可)であり、aは、式D中のAMCの相対化学量論であり又はaは、式Dの1モル当たりのAMCのモル数であり、
LINKは、好適には本明細書で定義した、リンカー成分であり、lは、式D中のLINKの相対化学量論であり又はlは、式Dの1モル当たりのLINKのモル数であり、
C1は、第1の対イオンであり、C2は、第2の対イオンであり、Ccは、好適には本明細書で定義する、第cの対イオンであり、i1、i2及びicは、式D中のC1、C2、...、Ccのそれぞれの各相対化学量論である又はi1、i2及びicは、式Dの1モル当たりのC1、C2、...、Ccのそれぞれの各モル数である。
pは、好適な値を有し得、好ましくはゼロでない整数である。pは、好適には1〜120(120は理論的限界である)の間、より好適には1〜48の間の値(好適には整数)であり得る。pは、好適には1〜30の間、より好適には2〜24の間、更に好適には2〜8の間、特に好適には4〜6の間の値(好適には整数)であり得る。最も好適にはpは、偶数の整数(特に2、4又は6)である。
aは、好適な値を有し得、好ましくはゼロ又はゼロでない整数である。aは、好適には1〜30の間、より好適には2〜24の間、更に好適には2〜8の間、特に好適には4〜6の間の値(好適には整数)であり得る。最も好適にはaは、偶数の整数(特に2、4又は6)である。しかし、好適にはp−aは、0より大きい。
lは、好適な値(0を含む)を有し得、好適にはゼロ又はゼロでない整数、最も好適にはゼロでない整数である。lは、好適には0〜10の間、より好適には0〜2の間の値(好適には整数)、更に好適には0又は1、最も好適には1であり得る。
任意選択的に、式Dのハイブリッド錯体は、対イオン不含有であり得る。すなわち、i1、i2、...icの全てがゼロである。
好適には、散乱防止剤は、主金属錯体を含むが、追加金属錯体(複数可)を(実質的に)含まない。しかし、追加金属錯体(複数可)が存在する場合、それらは、主金属錯体の一部の代替とみなすことができ、パラメーター及び値は、任意選択的に追加金属錯体(複数可)が実際に置換された主金属錯体であったかのように本明細書で定義した通りであってもよい。
散乱を防止する化合物の金属塩及び/又は錯体への言及は、一般的にこのような塩及び/又は錯体の混合前(すなわち、eBeamレジスト組成物の他の成分との混合の前)の形態に関するものであり(すなわち、陽イオン−陰イオンの関連(associations)の観点からのもの)、好適には、そのコーティング前、硬化前、曝露前、ベイク前、現像前の形態に関するものでもある。eBeamレジスト組成物の他の成分との混合により(並びに/又はコーティング、硬化、曝露、ベイク及び/若しくは現像の後に)、散乱を防止する化合物の金属塩及び/又は錯体の関連する陽イオン、陰イオン及び配位子が、いくつかの実施形態(全てではないが)では、解離し、他の対イオン及び/又は配位子とおそらく関連した状態になることは、当業者により十分に理解される。したがって、eBeamレジスト組成物(又は実際にそのコーティング、若しくは硬化、曝露、若しくは現像生成物)への言及は、前記散乱を防止する化合物をeBeamレジスト組成物の他の成分と混合すること「によって形成された」(又はそれにより得られた)eBeamレジスト組成物(又はそのコーティング、若しくは硬化、曝露、若しくは現像生成物)を示すものである。eBeamレジスト組成物又はそのコーティング、硬化、曝露、ベイク若しくは現像生成物からの散乱を防止する化合物についてのインプットを標準的技術を用いて決定することは、当業者には容易である。
好適には、散乱を防止する化合物の金属塩及び/又は錯体は、2つ以上の金属種を含む。
好適には、散乱を防止する化合物は、eBeamレジスト組成物の希釈剤(複数可)又は溶媒(複数可)又は希釈剤/溶媒系に可溶性である(すなわち、コーティング前のeBeamレジスト組成物内の希釈剤/溶媒とみなすことができる、コーティング溶媒系に可溶性である)。好適には、標準環境温度及び圧力(SATP)において散乱を防止する化合物は、コーティング溶媒系における少なくとも1mg/g、より好適には少なくとも2mg/g、更に好適には少なくとも10mg/g、特に好適には少なくとも20mg/gの溶解度を有する。好適には、これらの溶解度限界が当てはまる対象とするコーティング溶媒系は、(1〜10C)ヒドロカルビル溶媒系、最も好適にはヘキサンを含む又はから本質的になる。
好適には、散乱を防止する化合物は、所定の現像媒体の希釈剤(複数可)又は溶媒(複数可)又は希釈剤/溶媒系に可溶性である(特にeBeamレジスト組成物がネガ型eBeamレジスト組成物である場合)。好適には、標準環境温度及び圧力(SATP)において散乱を防止する化合物は、現像媒体における少なくとも1mg/g、より好適には少なくとも2mg/g、更に好適には少なくとも10mg/g、特に好適には少なくとも20mg/gの溶解度を有する。より更に好適にはこれらの溶解度限界が当てはまる対象とする現像媒体は、(1〜10C)ヒドロカルビル溶媒系、最も好適にはヘキサンを含む又はから本質的になる。
最も好適には、散乱防止剤は、好適には本明細書で規定した少なくとも限界内で、コーティング溶媒系及び所定の現像媒体の両方に可溶性である。
<主金属錯体(及び/又は追加金属錯体)>
好適には、散乱を防止する化合物は、主金属錯体を含む。好適には主金属錯体は、金属ケージ、好適には金属間結合を有さない金属ケージである。
好適には、主金属錯体は、多金属錯体である。多金属錯体は、ホモ金属性であり得る(例えば、最も好適にはホモ金属性PMCの全ての金属種が同じ酸化状態、好適には金属(III)であるが、それらが同じ酸化状態のものであるか否かを問わず、同じ元素に由来する金属種からなる)。或いは、また最も好適には、多金属錯体は、ヘテロ金属性である(例えば、最も好適にはヘテロ金属性PMCの関連金属種が異なる酸化状態のもの、最も好適には金属(II)及び金属(III)であるが、同じ酸化状態のものであるか否かを問わず、異なる金属元素に由来する金属種からなる)。
好適には、主金属錯体は、1つ又は複数の金属種を含み、それらのそれぞれは、好適にはM1、M2、...、Mnと表すことができる(下文参照)。したがって、主金属錯体は、好適には少なくとも1つの金属種M1を含む。好適には、PMC内に1つの金属種M1のみが存在する場合、前記金属種は、III(すなわち、+3)の酸化状態を有する(AMCについては好ましくはII−+2であるが)。特定の実施形態では、主金属錯体は、Cr(III)を唯一の金属種として含み、各錯体は、最も好適にはそれぞれ8つのCr(III)単位を含む。
好適には、主金属錯体は、2つ以上の(異なる/異なる種類の)金属種を含み、それらのそれぞれは、好適にはM1、M2、...、Mnと表すことができる。したがって、好適には主金属錯体は、金属種M1、金属種M2、及び任意選択的に1つ又は複数の追加の金属種(例えば、M3、...、Mn)を含む。好適には主金属錯体の2つ以上の(異なる)金属種(好適には少なくともM1及びM2)は、2つ以上の(異なる)金属イオンである。M1及びM2は、好適には同じ金属元素に由来し、異なる原子価を有する又は好適には異なる金属元素に由来し、同じ若しくは異なる原子価を有する。好適には2つ以上の(異なる)金属イオン(好適には少なくともM1及びM2)は、異なる酸化状態、好適には1異なる酸化状態を有し、最も好適には金属イオンの1つ(好適にはM1)は、三価(すなわち、III又は+3の酸化状態)であり、金属イオンのもう1つ(好適にはM2)は、二価(すなわち、II又は+2の酸化状態)である。2つ以上の金属種が存在する場合、両方又は全ては、同じ金属元素に由来するが、異なる酸化状態のものであり得る。これは、例えば、Fe(II)及びFe(III)種の両方を有するPMCを含み得る。
好適には、2つ以上の(異なる)金属種(好適には少なくともM1及びM2)は、2つ以上の異なる金属に由来する。したがって、好適には散乱を防止する化合物は、ヘテロ金属性多金属化合物(すなわち、2つ以上の異なる金属種を含む)。好適には2つ以上の(異なる)金属種の少なくとも1つ(又はM1及びM2の少なくとも1つ)は、遷移金属(dブロック)種であり、より好適には2つ以上の(異なる)金属種の少なくとも2つ(又はM1及びM2の両方)は、遷移金属(dブロック)種である。一実施形態では、主金属錯体が遷移金属錯体であるようにM1及びM2の両方が遷移金属イオンである。好適には2つ以上の(異なる)金属種の少なくとも1つ(又はM1及びM2の少なくとも1つ)は、元素の周期表の3dブロックの遷移金属種であり、より好適には2つ以上の(異なる)金属種の少なくとも2つ(又はM1及びM2の両方)は、元素の周期表の3dブロックの遷移金属種である。
好適には、2つ以上の(異なる)金属種の少なくとも1つ(又はM1及びM2の少なくとも1つ、最も好適にはM1)は、最も好適には三価金属種(好適にはM1)がCrIIIであるが、好適にはCrIII、FeIII、VIII、GaIII、AlIII又はInIIIを含む群から選択される、三価金属種である。好適には2つ以上の(異なる)金属種の少なくとも1つ(好ましくは上述の三価金属種以外の1つ)(又はM1及びM2の少なくとも1つ、最も好適にはM2)は、最も好適には二価金属種(好適にはM2)がNiIIであるが、好適にはNiII、CoII、ZnII、CdII、MnII、MgII、CaII、SrII、BaII、CuII又はFeIIを含む群から選択される、二価金属種である。
特定の実施形態では、主金属錯体(及びしたがって散乱を防止する化合物)は、少なくとも1つの三価金属種(好適にはM1、好適にはCrIII、FeIII、VIII、GaIII、AlIII又はInIIIを含む群から選択される;最も好適にはCrIII)及び少なくとも1つの二価金属種(好適にはM2、好適にはNiII、CoII、ZnII、CdII、MnII、MgII、CaII、SrII、BaII、CuII又はFeIIを含む群から選択される;最も好適にはNiII)を含む。
好適には、主金属錯体は、主金属錯体1モル当たり2モル以上の金属種(すなわち、結合した(combined))(例えば、2モル以上のM1及び/又はM2、好適には2モル以上の結合したM1及びM2−例えば、[M1 xM2 y]式中x+y≧2)、好適には主金属錯体1モル当たり3モル以上の金属種、好適には主金属錯体1モル当たり4モル以上、好適には5モル以上、好適には6モル以上、好適には7モル以上、最も好適には約8モルの金属種を含む。好適には主金属錯体は、主金属錯体1モル当たり12モル以下の金属種(すなわち、結合した)、好適には10モル以下を含む。
好適には、主金属錯体(複数可)の少なくとも1つの金属種は、磁性、好適には常磁性であり、好適にはその2つ以上の金属種で該当する。
好適には、主金属錯体は、二価金属種(例えば、M2)より多くの(好適にはモル又は化学量論比で)、好適には少なくとも2倍多くの、好適には少なくとも3倍多くの、好適には少なくとも4倍多くの、好適には少なくとも7倍多くの三価金属種(例えば、M1)を含む。好適には主金属錯体内のM1(好適には三価である)とM2(好適には二価である)とのモル比は、12:1〜1:1の間、好適には10:1〜2:1の間、好適には9:1〜3:1の間、より好適には8:1〜6:1の間、最も好適には約7:1である。
好適には、主金属錯体は、1つ又は複数の配位子、好適には主金属錯体の金属種(例えば、M1及び/又はM2)の1つ、より多く又は全て(若しくは両方)に配位した1つ又は複数の配位子を含む。主金属錯体は、好適には主金属錯体内の全ての金属種と結合して(好適には間接的に、適切には供与結合により)、好適には金属間結合を伴わずに、好適には金属ケージを形成するのに十分な種類、十分な数の配位子(配位子の混合を含む)を含む。したがって、主金属錯体は、好適には2つ以上の金属種の間の架橋をもたらすことができる、1つ又は複数の架橋配位子を好適には含む。このような架橋配位子は、二座等の多座であり得るが、フルオロ又は酸素ベースの配位子を用いる場合のような、それらが複数の孤立電子対を供与することができる場合には単座でもあり得る。最も好適には主金属錯体は、好適には配位子の種類の1つが二座であり、他のものが単座である、2つ以上の異なる種類の配位子の混合を含む。最も好適には、主金属錯体内の全ての配位子は、複数の孤立電子対を供与することができる配位原子を有する。好適には、主金属錯体は、錯体内の個々の金属種当たり平均で少なくとも3つの共有結合(例えば、錯体内のそれぞれの個々のM1及びM2種が錯体と関連した配位子との平均で少なくとも3つの供与結合を形成する)、好適には少なくとも4つの供与結合、最も好適にはおよそ6つの供与結合をもたらすのに十分な種類及び数の配位子(フルオロ等の単座配位子及びカルボキシレート等の二座配位子の混合であり得る)を含む。好適には、全ての金属種の配位部位は、錯体内の配位子によって完全に満たされ/飽和され得る(例えば、特に主金属錯体が全散乱を防止する化合物内でルイス塩基としての役割を果たすことを意図される場合)、又は金属種間に1つ若しくは複数の空の配位部位が存在し得る(例えば、特に主金属錯体が全散乱を防止する化合物内でルイス酸としての役割を果たすことを意図される場合)。
好適には少なくとも一部の、好適には全ての配位子が負に荷電している、最も好適には単一の負電荷を有する。好適には、主金属錯体の配位子(複数可)の共役酸は、2以上、好適には3以上のpKa値(標準環境温度及び圧力の水中)を有する。
好適には、主金属錯体の配位子(複数可)は、単座配位子、二座配位子又はそれらの混合(複数可)から選択される。最も好適には、主金属錯体の配位子(複数可)は、単座配位子及び二座配位子の混合を含む。
単座配位子(複数可)は、好適には複数の孤立電子対を有する配位原子(複数可)(金属種との供与結合が形成されるものへの及び/又はからの原子)、最も好適にはフッ素を有する。
好適には、二座配位子は、複数の孤立電子対を有する少なくとも1つ、より好適には2つの配位原子、最も好適にはカルボキシレートを有する(例えば、置換されていてもよい有機カルボキシレート、例えば、アセテート、ピバレート、3,3−ジメチルブタノエート、ベンゾエート、4−tert−ブチルベンゾエート、イソニコチネート等の置換されていてもよいヒドロカルビルカルボキシレート)。いくつかの実施形態(特に主金属錯体がルイス塩基としての役割を果たすことを意図されている場合)では、主金属錯体の配位子は、少なくとも2つの異なる種類の二座配位子(例えば、第1及び第2の二座配位子)又はカルボキシレートを含む。このような実施形態では、好適には少なくとも1つの二座配位子(例えば、第2の)は、主金属錯体内の金属種との内部供与結合(複数可)を形成することができる配位原子(複数可)及び他の(異なる)錯体又はケージの金属種との外部供与結合を形成することができる1つ又は複数の追加の配位原子を含む。好適にはこのような二官能性座配位子(例えば、第2の二座配位子)は、カルボキシレート基及び追加の酸素又は窒素含有部分、その例がイソニコチネート及び4−アミノベンゾエートを含む、好ましくは窒素含有部分を含み得る。しかし、いくつかの実施形態(特に主金属錯体がルイス酸としての役割を果たすことを意図されている場合)では、主金属錯体の配位子は、他の(異なる)錯体又はケージの金属種との外部供与結合を形成することができる追加の配位原子を含まず、好適には1つの種類の二座配位子又はカルボキシレート配位子を含み得る。
特定の実施形態では、主金属錯体は、以下の式Iにより定義される若しくは式Iにより定義される単位を含むものであり、
[M1 xM2 y...Mn zn(monoLIG1)m1(monoLIG2)m2...(monoLIGq)mq(biLIG1)b1(biLIG2)b2...(biLIGr)br(optLIGs)(optLIG1)o1(optLIG2)o2...(optLIGs)os]
又は
− xモルの第1の金属種(M1)
− yモルの第2の金属種(M2)
− 任意選択的にznモルの各追加の第nの金属種(Mn)
− m1モルの第1の単座配位子(monoLIG1)
− 任意選択的にm2モルの第2の単座配位子(monoLIG2)
− 任意選択的にmqモルの各追加の第qの単座配位子(monoLIGq)
− b1モルの第1の二座配位子(biLIG1)
− 任意選択的にb2モルの第2の二座配位子(biLIG2)
− 任意選択的にbrモルの各追加の第rの二座配位子(biLIGr)
− o1モルの第1の任意選択的な過剰/末端配位子(optLIG1)
− o2モルの第2の任意選択的な過剰/末端配位子(optLIG2)
− osモルの各追加の任意選択的な第sの過剰/末端配位子(optLIGs)
を含むと、から本質的になると定義される又はそれらを一緒に混合すること、反応させること若しくは別の方法で結合させること(主金属錯体の各モル当たり)によって形成させるものであって、
式中、
M1は、好適には本明細書で定義した、第1の金属種(最も好適には三価金属イオン、例えば、Cr3+)であり、
M2は、好適には本明細書で定義した、第2の金属種(最も好適には二価金属イオン、例えば、Ni2+)であり、
Mnは、好適には本明細書で定義した、第nの金属種(最も好適には非存在である)であり、
monoLIG1は、好適には本明細書で定義した、第1の単座配位子(最も好適にはその共役酸がpKa≧2を有するモノアニオン、好適にはフッ化物)であり、
monoLIG2は、好適には本明細書で定義した、第2の単座配位子(最も好適には非存在である)であり、
monoLIGqは、好適には本明細書で定義した、第qの単座配位子(最も好適には非存在である)であり、
biLIG1は、好適には本明細書で定義した、第1の二座配位子(最も好適にはカルボキシレート、好適には追加のヘテロ原子を含まない)であり、
biLIG2は、好適には本明細書で定義した、第2の二座配位子(最も好適には非存在又は追加の酸素若しくは窒素含有部分、最も好ましくは追加の窒素含有部分を有するカルボキシレート)であり、
biLIGrは、好適には本明細書で定義した、第rの二座配位子(最も好適には非存在)であり、
optLIG1は、好適には本明細書で定義した、第1の任意選択的な過剰の配位子(好適にはdの多座性を有する)(最も好適には非存在又はd=6であるN−メチル−D−グルカミン、溶媒若しくはカルボン酸等の多座性dの多座配位子である)であり、
optLIG2は、好適には本明細書で定義した、第2の任意選択的な過剰/末端配位子(最も好適には非存在又は溶媒若しくはカルボン酸)であり、
optLIGsは、好適には本明細書で定義した、第sの任意選択的な過剰/末端配位子(最も好適には非存在又は溶媒若しくはカルボン酸)である。
いくつかの例においてそれらのいずれか、一部又は全部は、0〜1の間又は任意の2つの整数の間の中間の値を有し得るが、最も好適にはx、y、zn、m1、m2、mq、b1、b2、br、o1、o2、osは、ゼロ又は整数である。
xは、好適には1〜16の間、好適には4〜10の間、より好適には2〜8の間の数(最も好適には整数)、好適には7である。
yは、好適には0〜15の間、好適には0〜7の間、好適には0〜2の間の数(最も好適には整数)、好適には0又は1、最も好適には1である。
znは、好適には0〜14の間、好適には0〜6の間、好適には0〜2の間の数(最も好適には整数)、好適には0である。
m1は、好適には0〜40の間、好適には0〜20の間又は0〜10の間、好適には1〜20の間、好適には2〜12の間、好適には4〜10の間の数(最も好適には整数)、好適には8である。
m2は、好適には0〜39の間、好適には0〜18の間、好適には0〜10の間、好適には0〜2の間の数(最も好適には整数)、好適には0である。
mqは、好適には0〜38の間、好適には0〜17の間、好適には0〜9の間、好適には0〜2の間の数(最も好適には整数)、好適には0である。
b1は、好適には0〜20の間、好適には1〜20の間、好適には0〜16の間、好適には12〜16の間、好適には12〜15の間の数(最も好適には整数)、好適には15又は16である。
b2は、好適には0〜20の間、好適には0〜16の間、好適には0〜8の間、好適には0〜3の間、好適には1〜4の間の数(最も好適には整数)、好適には0又は1である。
brは、好適には0〜19の間、好適には0〜15の間、好適には0〜7の間、好適には0〜2の間の数(最も好適には整数)、好適には0である。
o1は、好適には0〜8の間、好適には0〜4の間の数(最も好適には整数)、好適には0又は1、最も好適には0である。
o2は、好適には0〜7の間、好適には0〜3の間の数(最も好適には整数)、好適には0又は1、最も好適には0である。
osは、好適には0〜6の間、好適には0〜2の間の数(最も好適には整数)、好適には0又は1、最も好適には0である。
一実施形態では、主金属錯体は、以下の式Iにより定義され又は式Iにより定義される単位を含む。
[M1 xM2 y...Mn zn(monoLIG1)m1(monoLIG2)m2...(monoLIGq)mq(biLIG1)b1(biLIG2)b2...(biLIGr)br(optLIGs)(optLIG1)o1(optLIG2)o2...(optLIGs)os]
式中、
M1は、第1の金属種であり、xは、主金属錯体1モル当たりのM1のモル数であり、xは、1〜16の間の数であり、
M2は、第2の金属種であり、yは、主金属錯体1モル当たりのM2のモル数であり、yは、0〜7の間の数であり、
Mnは、第nの金属種であり、znは、主金属錯体1モル当たりの各Mnのモル数であり、znは、0〜6の間、好適には0〜2の間の数、好適には0であり、
monoLIG1は、第1の単座配位子であり、m1は、主金属錯体1モル当たりのmonoLIG1のモル数であり、m1は、0〜20の間の数であり、
monoLIG2は、第2の単座配位子であり、m2は、主金属錯体1モル当たりのmonoLIG2のモル数であり、m2は、0〜10の間の数であり、
monoLIGqは、第qの単座配位子であり、mqは、主金属錯体1モル当たりの各monoLIGqのモル数であり、mqは、0〜2の間の数であり、
biLIG1は、第1の二座配位子であり、b1は、主金属錯体1モル当たりのbiLIG1のモル数であり、b1は、1〜20の間の数であり、
biLIG2は、第2の二座配位子であり、b2は、主金属錯体1モル当たりのbiLIG2のモル数であり、b2は、0〜16の間の数であり、
biLIGrは、第rの二座配位子であり、brは、主金属錯体1モル当たりの各追加のbiLIGrのモル数であり、brは、0〜2の間の数であり、
optLIG1は、第1の任意選択的な過剰の配位子であり、o1は、主金属錯体1モル当たりのoptLIG1のモル数であり、o1は、0〜4の間の数であり、
optLIG2は、第2の任意選択的な過剰/末端配位子であり、o2は、主金属錯体1モル当たりのoptLIG2のモル数であり、o2は、0〜3の間の数であり、
optLIGsは、第sの任意選択的な過剰/末端配位子であり、osは、主金属錯体1モル当たりの各追加の任意選択的なoptLIGsのモル数であり、osは、0〜2の間の数である。
一実施形態では、主金属錯体は、以下の式Iaにより定義される又は式Iにより定義される単位を含む。
[M1 xM2 y(monoLIG1)m1(biLIG1)b1(biLIG2)b2]
式中、
M1は、第1の金属種であり、xは、主金属錯体1モル当たりのM1のモル数であり、xは、4〜10の間の数であり、
M2は、第2の金属種であり、yは、主金属錯体1モル当たりのM2のモル数であり、yは、0〜2の間の数であり、
monoLIG1は、第1の単座配位子であり、m1は、主金属錯体1モル当たりのmonoLIG1のモル数であり、m1は、4〜10の間の数であり、
biLIG1は、第1の二座配位子であり、b1は、主金属錯体1モル当たりのbiLIG1のモル数であり、b1は、12〜16の間の数であり、
biLIG2は、第2の二座配位子であり、b2は、主金属錯体1モル当たりのbiLIG2のモル数であり、b2は、0〜3の間の数である。
好適には、x及びyの和は、少なくとも2、より好適には少なくとも3、好適には少なくとも4、好適には少なくとも5、好適には少なくとも6、好適には少なくとも7、好適には約8である。好適には、x及びyの和は、多くて16、好適には多くて12、好適には多くて10である。好適にはxは、少なくとも4、好適には少なくとも6、好適には多くて10、最も好適には約7である。特定の実施形態では、yは、0である(すなわち、第2の金属種が全く存在しない)が、好適にはyは、ゼロでなく、好適には少なくとも1であり、最も好適には約1である。最も好適には、xは、7+/−δ(すなわち、δ=xの多くて10%、好適にはxの多くて1%)であり、yは、1−/+δである。特定の実施形態では、M1は、Cr3+であり、M2は、Ni2+であり、x及びyの和は、7〜10の間であり、xは、6〜10である。特定の実施形態では、M1は、Cr3+であり、M2は、Ni2+であり、xは、約7であり、yは、約1である。
最も好適には、主金属錯体は、第1の金属種(M1)及び任意選択的に第2の金属種(M2)以外の更なる金属種を含まず、したがって、znは、ゼロである。しかし、いくつかの例では、主金属錯体は、散乱を防止する化合物の特性を適切に変化させるために例えば、少量の代替金属種をドープすることができる。このような実施形態では、zn値のいずれか又は全ての和(z3+z4+...+zn)は、好適にはx及びyの和より小さく、好適には少なくとも5倍小さく(すなわち、x+yの和の多くて5分の1)、好適には少なくとも10倍小さく、好適には少なくとも100倍小さい。
好適には、
−(m1+m2+...+mq)(すなわち錯体1モル当たりの単座配位子(複数可)のモル数の和)
−2×(b1+b2+...+bq)(すなわち錯体1モル当たりの二座配位子(複数可)のモル数の和の2倍)
−o1×d(すなわち錯体1モル当たりの任意選択的な過剰配位子(複数可)のモル数のd倍)
の和は、50以下、好適には42以下、好適には40以下、好適には30以上、好適には38以上、好適には約40である。
好適には、m1、m2、...、及びmqの和は、少なくとも1、好適には少なくとも2、好適には少なくとも3、好適には少なくとも6、好適には多くて7、好適には多くて16、好適には多くて12、好適には多くて10、最も好適には約8である。好ましい実施形態では、第1の単座配位子以外の単座配位子は存在しない(すなわち、m2及びmqは、両方が0である)。特定の実施形態では、monoLIG1は、フッ化物(F)である。特定の実施形態では、monoLIG1は、フッ化物(F)であり、m1は、2〜9の間であり、m2及びmqの全てが0であり、好適にはM1は、Cr3+であり、M2は、Ni2+であり、x及びyの和は、7〜10の間であり、xは、6〜10の間である。特定の実施形態では、monoLIG1は、フッ化物(F)であり、m1は、3であり、m2及びmqの全てが0である(すなわち、他の単座配位子が存在しない)。特定の実施形態では、monoLIG1は、フッ化物(F)であり、m1は、8であり、m2及びmqの全てが0である(すなわち、他の単座配位子が存在しない)。
好適には、b1、b2、...、及びbqの和は、少なくとも6、好適には少なくとも10、好適には少なくとも14、好適には多くて22、好適には多くて20、好適には多くて18、最も好適には約16である。いくつかの実施形態では、第1及び第2の二座配位子以外の二座配位子が存在せず(すなわち、全てのbrが0)、いくつかの実施形態では、第1の二座配位子以外の二座配位子が存在しない(すなわち、b2及びbrが両方0)。一実施形態では、biLIG1は、式−O2CRB1(又はRB1CO2)により定義されるカルボキシレートであり、式中、RB1は、好適には塩基性又はキレート基を欠いている基(例えば、ヒドロカルビル部分)であり、好適には(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール、アリール(1〜3C)アルキルから選択される。最も好適にはRB1は、(1〜5C)アルキルであり、最も好適にはbiLIG1は、ピバレートである。一実施形態では、biLIG2は、式−O2CRB2(又はRB2CO2)により定義されるカルボキシレートであり、式中、RB2は、好適には塩基性又はキレート基(例えば、自由に配位して供与結合を形成できる孤立電子対を有する部分)を含む基であり、好適には置換されていてもよいヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1〜6C)アルキル、ヘテロアリール(1〜6C)アルキルから選択され、又は1つ若しくは複数の塩基性若しくはキレート基、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、(1〜6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニル等で置換された、(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール若しくはアリール(1〜3C)アルキルから選択される。最も好適にはRB2は、ピリジル、アミノフェニル、N−(1〜3C)アルキルアミノフェニル、N,N−ジ(1〜3C)アルキルアミノフェニル、最も好適にはピリジル、最も好適には4−ピリジルであり、最も好適にはbiLIG2は、イソニコチネートである。特定の実施形態では、biLIG1は、置換されていてもよいヒドロカルビルカルボキシレート(例えば、ピバレート等の(1〜6C)アルキルカルボキシレート)であり、biLIG2は、少なくとも1つの追加のヘテロ原子を有する有機又は置換されていてもよいヒドロカルビルカルボキシレート(例えば、ルイス塩基として作用することができるもの又は錯体の外部の金属種をキレート化する配位子、例えば、イソニコチネート)であり、b1は、12〜20の間(最も好適には14〜18、最も好適には15〜16)であり、b2は、0〜4の間(最も好適には0又は1〜3)であり、好適にはM1は、Cr3+であり、M2は、Ni2+であり、x及びyの和は、7〜10の間であり、xは、6〜10の間であり、好適にはmonoLIG1は、フッ化物(F)であり、m1は、2〜9の間であり、m2及びmqの全てが0である。
好適には、o1、o2、...、及びosの和は、0〜4の間、好適には0〜2の間、最も好適には0〜1の間である。いくつかの実施形態では、第1の任意選択的な過剰/末端配位子以外の任意選択的な過剰/末端配位子は、存在しない(すなわち、o2及びosの全てが0である)。特定の実施形態では、o1、o2、...、及びosの和は、ゼロである(すなわち、任意選択的な過剰/末端配位子が実質的に存在しない)。1つ又は複数の任意選択的な過剰/末端配位子が存在する場合、これらは、H2O、テトラヒドロフラン、ピリジン等の溶媒分子(単座、二座又は他の場合には多座)を含み得る。特定の実施形態では、主金属錯体は、好適には多くて6であるが、3以上、好適には4以上の多座性を有する多座配位子である少なくとも1つの過剰/末端配位子を含む。このような多座配位子は、例えば、N−(1〜6C)アルキル−D−グルカミン(例えば、N−メチル−D−グルカミン)を含み得る。特定の実施形態では、optLIG1は、式Gluc−NH−Ro1により定義され、Gluc−NH−Ro1は、N−(1〜8C)アルキル−D−グルカミン又はその脱プロトン化体であり、好適にはRo1は、(1〜8C)アルキル、より好適には(1〜2C)アルキル(例えば、メチル又はエチル)である。このような実施形態では、好適にはo1は、1であるが、o2及び全てのosは、ゼロである。
特定の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIにより定義される又は定義される単位を含む。
[M1 xM2 y(monoLIG1)m1(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]
式中、
M1は、本明細書で定義した三価金属イオン、最も好適にはCr3+であり、
M2は、本明細書で定義した二価金属イオン、最も好適にはNi2+であり、
xは、本明細書で定義した通りであり(好適にはxは、6、7、8又は9である、最も好適にはxは、7であり)、
yは、本明細書で定義した通りであり(ホモ金属性多金属錯体が同じ酸化状態の金属、例えば、Cr(III)を有する場合には0であり得るが、好適にはyは、1又は2であり、最も好適にはyは、1であり)、
monoLIG1は、本明細書で定義した通りであり(最も好適にはmonoLIG1は、フッ化物、Fであり)、
m1は、本明細書で定義した通りであり(最も好適にはm1は8であり)、
RB1は、好適には塩基性又はキレート基を欠いている基であり、好適には(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール、アリール(1〜3C)アルキルから選択されるが、RB1は、本明細書で定義した通りであり、
RB2は、好適には塩基性又はキレート基(例えば、自由に配位して供与結合を形成できる孤立電子対を有する部分)を含む基であり、好適には置換されていてもよいヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1〜6C)アルキル、ヘテロアリール(1〜6C)アルキルから選択され、又は1つ若しくは複数の塩基性若しくはキレート基、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、(1〜6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニル等で置換された、(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール若しくはアリール(1〜3C)アルキルから選択されるが、RB2は、本明細書で定義した通りであり、
b2は、好適には、0、1、2又は3であるが、b2は、本明細書で定義した通りであり、
最も好適には、x及びyの和は、7、8、9又は10(最も好適には8)であるが、好適にはx及びyの和は、本明細書で定義した通りである。
特定の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIaにより定義される又は定義される単位を含む。
[M1 8−yM2 yF8(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]
式中、
M1は、本明細書で定義した三価金属イオン、最も好適にはCr3+であり、
M2は、本明細書で定義した二価金属イオン、最も好適にはNi2+であり、
yは、0又は1であり、
RB1は、塩基性又はキレート基を欠いている基であり、好適には(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール、アリール(1〜3C)アルキルから選択され、
RB2は、好適には塩基性又はキレート基(例えば、自由に配位して供与結合を形成できる孤立電子対を有する部分)を含む基であり、好適には置換されていてもよいヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1〜6C)アルキル、ヘテロアリール(1〜6C)アルキルから選択され、又は1つ若しくは複数の塩基性若しくはキレート基、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシル、(1〜6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニル等で置換された、(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール若しくはアリール(1〜3C)アルキルから選択され、
b2は、0、1、2又は3である。
特定の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIbにより定義される又は定義される単位を含む。
[Cr7NiF8(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであり、RB2は、存在する場合、4−ピリジルであるが、RB1、RB2及びb2は、本明細書で定義した通りである。
特定の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIcにより定義される又は定義される単位を含む。
[Cr7NiF8(O2CRB1)16]
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであるが、RB1は、本明細書で定義した通りである。
特定の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIdにより定義される又は定義される単位を含む。
[Cr8F8(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであり、RB2は、存在する場合、4−ピリジルであるが、RB1、RB2及びb2は、本明細書で定義した通りである。
特定の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIeにより定義される又は定義される単位を含む。
[Cr8F8(O2CRB1)16]
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであるが、RB1は、本明細書で定義した通りである。
他の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIIにより定義される又は定義される単位を含む。
[M1 8−yM2 yF3(O2CRB1)15(Gluc−NH−Ro1)]
式中、
M1は、本明細書で定義した三価金属イオン、最も好適にはCr3+であり、
M2は、本明細書で定義した二価金属イオン、最も好適にはNi2+であり、
yは、0又は1であり、
RB1は、塩基性又はキレート基を欠いている基であり、好適には(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール、アリール(1〜3C)アルキルから選択され、
Gluc−NH−Ro1は、N−(1〜8C)アルキル−D−グルカミン(すなわち、Ro1は、(1〜8C)アルキル、より好適には(1〜2C)アルキル)又はその脱プロトン化体である。
他の実施形態では、主金属錯体は、以下の式IIIaにより定義される又は定義される単位を含む。
[Cr7NiF3(O2CRB1)15(Gluc−NH−Ro1)]
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであり、Ro1は、メチルであるが、RB1及びGluc−NH−Ro1は、本明細書で定義した通りである。
<対イオン>
主金属錯体は、錯体内の金属種のバランス及び種類並びに関連配位子によって、中性又は荷電している(正又は負を問わず)ことがあり得る。これは、追加の金属錯体(複数可)及びリンカー成分(複数可)に同様に当てはまる。さらに、主金属錯体(複数可)、リンカー成分(複数可)及び/又は追加の金属錯体(複数可)の組合せにより、それらの関連する化学量論で正味電荷が生じ得る。したがって、散乱を防止する化合物は、好適には本明細書で定義した、1つ又は複数の対イオン(例えば、C1、C2、...、Cc)を含み得る。このような対イオン(複数可)は、好適には主金属錯体、1つ又は複数の追加の金属錯体(複数可)、リンカー成分及び/又は全体としてのハイブリッド錯体と関連している。ハイブリッド錯体は、以下の式Eにより定義され得る又は定義される単位を含み得る。
(PMC)p−a(AMC)a(LINK)l
式中、PMC、AMC、LINK、p、a及びlは、好適には以下の式Dに関して本明細書で定義した通りであり、前述の対イオンが関連している、対応するハイブリッド錯体塩は、好適には以下の式Dにより定義される又は定義される単位を含む。
(C1 i1C2 i2...Cc ic)(PMC)p−a(AMC)a(LINK)l
式中、式D及びその構成部分は、本明細書で定義した通りである。
式Eの(又は実際式Bの)ハイブリッド錯体が中性である場合には、錯体又はハイブリッド錯体の成分が互いの対イオンとして作用する例をこれにより除外する必要はないが、散乱を防止する化合物は、本明細書で定義した対イオンを含み得ない。
対イオン(複数可)は、好適な対イオン(複数可)であり得、対イオンが中和しようとする種上に担われる電荷の極性によって正に(対陽イオン)又は負に(対陰イオン)荷電したものであり得る。
好ましい実施形態では、主金属錯体の正味電荷は、負であり(すなわち、陰イオン錯体をもたらす)、最も好適には約−1の負電荷を有する。さらに、好ましい実施形態では、ハイブリッド錯体の正味電荷(式B又はEを問わず)は、負である。したがって、散乱を防止する化合物は、好適には関連錯体(複数可)の負電荷を中和する、1つ又は複数の対陽イオン、好適には単一対陽イオン(すなわちC1だけであって、C2...Ccは存在せず)をさらに含む。
対陽イオン(複数可)は、好適な陽イオン(複数可)であり得る。しかし、好ましい実施形態では、対陽イオン(複数可)は、好適にはアルカリ金属陽イオン又はアンモニウムベースの陽イオン(任意のアンモニウム、第一級アンモニウム、第二級アンモニウム、第三級アンモニウム、第四級アンモニウム陽イオン、イミダゾリウムを含む)から選択される一価陽イオン(すなわち、+1荷電)、最も好適にはNH3Rcat1 +、NH2Rcat1Rcat2 +、Cs+、Rb+を含む群から選択される陽イオンを含み(及び好ましくはから本質的になり)、Rcat1及びRcat2は、(1〜12C)アルキル(最も好適には(1〜4C)アルキル、特にエチル又はプロピル)からそれぞれ独立に選択される。ジプロピルアンモニウム塩が特に有用である。
<リンカー成分(又は中心錯体)>
散乱を防止する化合物は、好適にはリンカー成分を含む。好適にはリンカー成分は、2つ以上の主金属錯体を間接的に結合(若しくは関連)させる及び/又は1つ若しくは複数の主金属錯体を1つ若しくは複数の追加金属錯体と好適にはリンカー成分を介して間接的に結合(若しくは関連)させる。好適にはリンカー成分は、2つ以上の主金属錯体との及び/又は1つ若しくは複数の主金属錯体と1つ若しくは複数の追加金属錯体との静電及び/又は共有結合を形成することができる。
好適には、リンカー成分がラジカル種(例えば、ハロ)への言及により定義される場合、それは、代わりにそのイオン型(例えば、ハロゲン化物)を意味する。
リンカー成分は、1つ若しくは複数の、好適には2つ以上のルイス塩基部分及び/又は1つ若しくは複数のルイス酸部分を含み得る。したがって、リンカー成分は、1つ若しくは複数の、好適には2つ以上の電子対ドナー及び/又は1つ若しくは複数の、好適には2つ以上の電子対アクセプターを含み得る。好ましい実施形態では、リンカー成分は、2つ以上の主金属錯体の間及び/又は1つ若しくは複数の主金属錯体と1つ若しくは複数の追加金属錯体との間の架橋(若しくはハブ)を形成し、したがって、リンカー成分は、好適には1つの錯体に結合する(好適には供与結合により)少なくとも1つのルイス酸又は塩基部分及び他の錯体に結合する(好適には供与結合により)少なくとも1つの他のルイス酸又は塩基部分を含む。
散乱を防止する化合物又はハイブリッド錯体(若しくはその塩)は、化合物又はハイブリッド錯体1モル当たり1又は複数モルのリンカー成分(複数可)(同じ又は異なるリンカー成分を問わず、好適には同じ)を含み得るが、最も好適には散乱を防止する化合物又はハイブリッド錯体(若しくはその塩)は、化合物又はハイブリッド錯体1モル当たり1モルのみのリンカー成分を含む。したがって、リンカー成分は、最も好適には、ハイブリッド錯体内で、主金属錯体(複数可)及び/又は追加金属錯体(複数可)(最も好適には主金属錯体だけ)が連結される(又は関連する)(又はそれと)共通の中心ハブとしての役割を果たす。好適には、この共通の中心ハブは、2つ以上の主金属錯体(複数可)及び/又は追加金属錯体(複数可)により、より好適には4つ以上の主金属錯体(複数可)及び/又は追加金属錯体(複数可)により取り囲まれている。したがって、好適にはリンカー成分は、リンカー成分がその周囲の主金属錯体(複数可)及び/又は追加金属錯体(複数可)の全てに好適には供与結合により、結合する(好ましくは供与結合により)ことを可能にするのに適切な数のルイス酸又は塩基部分を含む。しかし、リンカー部分が単一主金属錯体とのみ関連し、追加金属錯体がない状況では、リンカー成分は、溶媒分子(例えば、水、THF、ピリジン又は置換ピリジン)のような、optLIG2から選択されるもののような、単に末端配位子であり得る。
好適には、散乱を防止する化合物は、以下の式Eにより定義されるハイブリッド錯体を含む又は定義される単位を含む。
(PMC)p−a(AMC)a(LINK)l
式中、lは、1であり、pは、≧2(pは23〜49の間であり得るが、好適には2〜8の間、より好適には2、4又は6)であり、aは、0〜7の間(好適には0)である。
好適には、リンカー成分、又はLINK基/分子は、1つ若しくは複数、好ましくは2つ以上の、電子対供与及び/又は電子対受容配位基を備えている。いくつかの実施形態では、リンカー成分は、電子対供与及び電子対受容配位基の混合を含み得るが、最も好適にはリンカー成分は、電子対供与基又は電子対受容配位基のいずれかをもっぱら含む。リンカー成分が電子対供与基又は電子対受容配位基を含むかどうかは、好適には対応する主金属錯体及び任意選択的な追加金属錯体(特にその配位子)の電子対供与基又は電子対受容能力に依存する。
各リンカー成分は、特に2つ以上のPMCs又は2つ以上の複合PMCs/AMCsが前記リンカー成分と関連している場合、以下から独立に選択され得る又は独立に選択される単位を含み得る。
i)2つ以上の孤立電子対を受容又は供与することができる単一の配位部分を含む単一原子、分子、イオン又は錯体、
ii)各配位部分が1又は複数の孤立電子対を受容又は供与することができる、2つ以上の配位部分(例えば、窒素、酸素若しくは硫黄等の内部ヘテロ原子、又は任意選択的な置換基により保有される外部ヘテロ原子、又は電子欠乏金属中心、又は脱離基若しくは置換可能配位子に結合した金属中心)を含む単一分子、イオン又は錯体(例えば、複数のヘテロ原子含有の置換されていてもよい非環式、環式、多環式若しくは大環状分子、又はルイス酸性金属中心化合物若しくは錯体、又は脱離基若しくは置換可能配位子に結合した金属中心化合物若しくは錯体)、
iii)以下の式IVにより定義される分子、イオン又は錯体
Q−[CORE]−[W]w
式中、
[CORE]は、非存在又はリンカー成分のコアであり、1つ又は任意選択的に複数の基を含み、
Qは、[CORE]又はその1若しくは複数のコア基(複数可)に直接結合した基であり、Qは、配位部分(好適には主金属錯体に配位する配位部分)を含む。
各Wは、[CORE]又はその1つ若しくは複数のコア基(複数可)に独立に直接結合した基であり、1つ若しくは複数の他のW基又はQに任意選択的にさらに結合しており、そのWのそれぞれが配位部分(好適にはQと関連したものと異なる主金属錯体又は追加の金属錯体に配位する配位部分)を独立に含み、
wは、ゼロより大きい整数である。
Q並びに1つ、複数又は全てのW基は、同じであり又は異なり得る。しかし、Q並びに1つ、複数又は全てのW基が異なっているとしても、それらは、好適には許容される基の同じプールから選択される。
リンカー成分が2つ以上の孤立電子対を供与することができる単一の配位部分を含む単一原子、分子、イオン又は錯体である場合、好適には単一の配位部分は、酸素、硫黄又はハロ(特にフルオロ若しくはクロロ、特にフルオロ)原子を含む又はからなる。例えば、リンカー成分(複数可)は、ハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、オキソ、オキシド、ヒドロキシド(OH−)、(1〜6C)アルコキシド、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、(2〜6C)アルカノイル、(2〜6C)アルカノイルオキシ、スルホ、スルフィド、硫化水素、(1〜6C)アルキルチオ、(2〜6C)アルケニルチオ、(2〜6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロシクリル、又は(適切な場合)その脱プロトン化体若しくは塩から選択される基であり又は含み得るものであって、任意のCH、CH2若しくはCH3が置換されていてもよい。
リンカー成分が2つ以上の孤立電子対を受容することができる単一の配位部分を含む単一原子、分子、イオン又は錯体である場合、好適には単一の配位部分は、ルイス酸性金属原子(ホウ素若しくはケイ素を含み得る)又は脱離基若しくは置換可能配位子に結合した金属原子を含む又はからなる。例えば、リンカー成分(複数可)は、金属陽イオン(例えば、二価金属陽イオン)、ルイス酸性金属化合物(好適にはAlCl3、FeCl3、ZnCl2等のようなルイス酸性金属化合物)、ルイス酸金属錯体(金属中心がその原子価殻に18未満の電子を有する場合のような、好適には1つ若しくは複数の自由配位部位を有するルイス酸又は錯体)及び/又は脱離基若しくは置換可能配位子を含む金属化合物若しくは錯体(好適には前記脱離基若しくは置換可能配位子の共役酸が1以下、好適には0以下、好適には−1以下、より好適には−5以下の標準周囲温度及び圧力での水中pKaを有する場合)から選択される基であり若しくは含み得る。好適な金属陽イオンは、二価(例えば、アルカリ土類金属、遷移金属(II)若しくはSn2+陽イオン)、三価(例えば、Al3+、遷移金属(III)若しくはfブロック金属(III)陽イオン)又は四価(Sn4+、Pb4+、遷移金属(IV)若しくはfブロック金属(IV)陽イオン)、最も好適には二価陽イオンを含み得る。好適にはルイス酸性金属化合物は、ホウ素化合物(例えば、ホウ素ハロゲン化物、アルコキシド等)、ケイ素化合物(例えば、シラン、シロキサン、ケイ素ハロゲン化物等)、ルイス酸性金属化合物(例えば、AlCl3、FeCl3、ZnCl2等)を含み得る。好適なルイス酸性金属錯体又は脱離基若しくは置換可能配位子を含む錯体は、二金属カルボキシレート錯体(例えば、MがCu2+、Ru2+、Rh2+であり得る[M2(O2C−R)4])、三金属カルボキシレート錯体(例えば、Mが三価金属イオンであり得、M’が二価金属イオンであり得る[M2M’O(O2CR)6])、六金属カルボキシレート錯体(例えば、Mが三価金属イオンであり得、M’が二価金属イオンであり得る[M’4M2O2(O2CR)12])、十二金属錯体(例えば、chp=6−クロロ−2−ピリドネートである[Ni12(chp)12(O2CMe)6(H2O)6])等のカルボキシレート錯体、金属中心が脱離基(例えば、塩化物等のハロゲン化物、例えば、AlCl3)に結合している金属化合物、金属中心(複数可)がハロゲン化物、水等の置換可能配位子、THF、ピリジン等の溶媒又はカルボキシレートと配位している金属錯体を含み得る。
リンカー成分が2つ以上の配位部分を含む単一分子、イオン又は錯体であり、配位部分のそれぞれが1つ又は複数の孤立電子対を供与することができる場合、好適には2つ以上の配位部分のそれぞれは、酸素、窒素、硫黄又はハロ(特にフルオロ若しくはクロロ、特にフルオロ)原子を含む又はからなる。例えば、リンカー成分(複数可)は、ハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、アミノ、シアノ、イミノ、エナミノ、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ−[(1〜6C)アルキル]アミノ、トリ−[(1〜6C)アルキル]アミノ、オキソ、オキシド、ヒドロキシド(OH−)、(1〜6C)アルコキシド、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、(2〜6C)アルカノイル、(2〜6C)アルカノイルオキシ、スルホ、スルフィド、硫化水素、(1〜6C)アルキルチオ、(2〜6C)アルケニルチオ、(2〜6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、窒素、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロシクリル、窒素、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロアリール(例えば、ピリジル)、又は(適切な場合)その脱プロトン化体若しくは塩から選択される1つ若しくは複数、好適には2つ以上の基であり又は含み得るものであって、任意のCH、CH2若しくはCH3が置換されていてもよい。前述の基のいずれかは、互いに直接結合させて又は本明細書で定義した[CORE]を介して間接的に結合させて、リンカー成分を形成することができる。
リンカー成分が2つ以上の配位部分を含む単一分子、イオン又は錯体であり、配位部分それぞれが1つ又は複数の孤立電子対を受容することができる場合、好適には2つ以上の配位部分のそれぞれは、ルイス酸性金属原子(ホウ素若しくはケイ素を含み得る)又は脱離基若しくは置換可能配位子に結合した金属原子を含む又はからなる。例えば、リンカー成分(複数可)は、金属陽イオン(例えば、二価金属陽イオン)、ルイス酸性金属化合物(好適にはAlCl3、FeCl3、ZnCl2等のようなルイス酸性金属化合物、若しくはその錯化誘導体)、ルイス酸性金属錯体(金属中心がその原子価殻に18未満の電子を有する場合のような、好適には1つ若しくは複数の自由配位部位を有するルイス酸又は錯体)及び/又は脱離基若しくは置換可能配位子を含む金属化合物若しくは錯体(好適には前記脱離基若しくは置換可能配位子の共役酸が1以下、好適には0以下、好適には−1以下、より好適には−5以下の標準周囲温度及び圧力での水中pKaを有する場合)から選択される、1つ以上、好適には2つ以上の基であり又は含み得る。好適な金属陽イオンは、二価(例えば、アルカリ土類金属、遷移金属(II)若しくはSn2+陽イオン)、三価(例えば、Al3+、遷移金属(III)若しくはfブロック金属(III)陽イオン)又は四価(Sn4+、Pb4+、遷移金属(IV)若しくはfブロック金属(IV)陽イオン)、最も好適には二価陽イオンを含み得る。好適にはルイス酸性化合物は、ホウ素化合物(例えば、ホウ素ハロゲン化物、アルコキシド等)、ケイ素化合物(例えば、シラン、シロキサン、ケイ素ハロゲン化物等)、ルイス酸性金属化合物(例えば、AlCl3、FeCl3、ZnCl2等)を含み得る。好適なルイス酸性金属錯体又は脱離基若しくは置換可能配位子を含む錯体は、二金属カルボキシレート錯体(例えば、MがCu2+、Ru2+、Rh2+であり得る[M2(O2C−R)4])、三金属カルボキシレート錯体(例えば、Mが三価金属イオンであり得、M’が二価金属イオンであり得る[M2M’O(O2CR)6])、六金属カルボキシレート錯体(例えば、Mが三価金属イオンであり得、M’が二価金属イオンであり得る[M’4M2O2(O2CR)12])、十二金属錯体(例えば、chp=6−クロロ−2−ピリドネートである[Ni12(chp)12(O2CMe)6(H2O)6])等のカルボキシレート錯体、金属中心が脱離基(例えば、塩化物等のハロゲン化物、例えば、AlCl3)に結合している金属化合物、金属中心(複数可)がハロゲン化物、水等の置換可能配位子、THF、ピリジン等の溶媒又はカルボキシレートと配位している金属錯体を含み得る。前述の基のいずれかは、互いに直接結合させて又は本明細書で定義した[CORE]を介して間接的に結合させて、リンカー成分を形成することができる。
好適には、2つ以上の配位部分は、2つの異なる電子供与又は電子受容種若しくは錯体と配位することができる。例えば、配位部分は、好適にはそれぞれが別個の種若しくは錯体に独立に結合することを可能にするのに十分に遠位にある。配位部分は、主及び/若しくは追加金属錯体(複数可)の金属中心(複数可)(の1つ)と直接配位することができ得る並びに/又は主及び/若しくは追加金属錯体(複数可)と関連した配位子(の1つ)と配位することができ得る。
リンカー成分が式IVにより定義される分子、イオン又は錯体である場合、[CORE]は、1つ又は複数の配位基を含み得るが、好適には[CORE]内に存在する配位基は、リンカー成分の外部の種又は錯体との配位に(実質的に)利用できない。いくつかの実施形態では、[CORE]は、全く存在し得ず、Q及び1つ又は複数のW基は、互いに直接結合している。
[CORE]は、Q基が主金属錯体と配位することを可能にする好適なコアであるが、該若しくは各W基が他の主金属錯体又は追加金属錯体と同時に配位することを可能にし得る。
[CORE]は、Q基及び該若しくは各W基が共通に結合する単一コア基を含み得る。したがって、[CORE]は、二価又は多価コア基であり得る(その原子価は、wの値に依存する)。このような単一コア基(電子対供与能力を有するリンカー成分(複数可)に特に適用できる)は、
a)置換されていてもよい二価又は多価非環式コア基(例えば、1つ若しくは複数の介在ヘテロ原子又は介在ヘテロ原子含有部分を任意選択的に含む、すなわち、ヘテロ原子又はヘテロ原子含有部分が炭素鎖内に散在する、置換されていてもよい(1〜nC)アルキレン、(1〜nC)アルケニレン、(1〜nC)アルキニレン)、
b)二価若しくは多価環式又は多環式コア基、例えば、置換されていてもよいシクロカーボン(例えば、シクロアルカン)、ヘテロ環(例えば、モルホリン)、アレン(ベンゼン、ナフタレン)又はヘテロアレン(ピリジン、イミダゾール、インドール)、
c)1つ若しくは複数の非環式部分及び/又は環式若しくは多環式部分に連結された少なくとも1つの環式又は多環式基(例えば、置換されていてもよいシクロカーボン、ヘテロ環、アレン又はヘテロアレン)を含む二価又は多価コア基、
d)二価若しくは多価大環状コア基(大環状基は、それ自体1つ若しくは複数の置換されていてもよいシクロカルビル、ヘテロシクリル、アリール及び/又はヘテロアリール基を含み得る)(例えば、ポルフィリン若しくはフタロシアニン)
から選択することができる。
単一コア基は、それ自体コア金属錯体又はコア陽イオン中心錯体であり又はそれを含み得る。単一コア基がコア金属錯体であった又はそれを含んでいた場合、好適には前記コア金属錯体は、コア配位子及び少なくとも1つの金属種(好適にはMg2+等の中心金属イオン)を含む。好適にはコア配位子は、1つ若しくは複数の金属イオン、例えば、中心金属イオン(例えば、Mg2+)に配位する1つ若しくは複数の原子又は基(窒素、酸素及び/又は硫黄等の特に電子対供与原子)を含む。例えば、大環状単一コア基は、二価若しくは多価
又はその塩
であり又はそれを含み得る
或いは
(式中、Mx+は、好適な金属陽イオン、特に、Mg2+等の二価金属陽イオンであり得る)等の二価若しくは多価錯体又はその塩であり得る。
リンカー成分は、単一コアを含んでいてよく、架橋ジイミン(例えば、4,4’−ビピリジル、1,2−ジピリジルエテン、1,4−ジピリジルテトラジン)、2つ以上のピリジル基(すなわち、ポリピリジル化合物)で置換された大環状環(例えば、ポルフィリン又はフタロシアニン)を含む群から選択することができる。
[CORE]が上文で定義したような単一コア基を含んでいた場合、リンカー成分は、好適には、窒素、酸素及び/又は硫黄等の1つ又は複数のヘテロ原子を含むもののような、電子対供与配位部分を有するQ及びW基を含む。しかし、単一コア基は、それ自体が、それら自体が電子対受容部分を含むQ及び/又はW基に連結され得る1つ又は複数、好適には2つ以上の配位部分(例えば、窒素、酸素及び/又は硫黄等の1つ又は複数のヘテロ原子を含むもの)を含み得ることは、当業者によって理解される。
好適には、各電子対供与Q及び/又はW基は、孤立電子対を有する内部又は外部ヘテロ原子を含む好適な基から選択される。最も好適には、該若しくは各電子対供与Q及び/又はW基は、置換されていてもよいヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル(1〜6C)アルキル、ヘテロアリール(1〜6C)アルキルから独立に選択され、又は1つ若しくは複数の塩基性若しくはキレート基、例えば、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヒドロキシ、(1〜6C)アルコキシ、カルボニル、イミノ、チオ、チオカルボニル等で置換された、(1〜12C)アルキル、(1〜12C)アルケニル、(1〜12C)アルキニル、(3〜8C)シクロアルキル、(3〜8C)シクロアルケニル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルキル、(1〜3C)アルキル(3〜8C)シクロアルケニル、アリール、(1〜3C)アルキルアリール若しくはアリール(1〜3C)アルキルから選択される。一実施形態では、該若しくは各電子対供与Q及び/又はW基は、ピリジル、アミノフェニル、N−(1〜3C)アルキルアミノフェニル、N,N−ジ(1〜3C)アルキルアミノフェニル、最も好適にはピリジル、最も好適には4−ピリジルから独立に選択される。例えば、特定の実施形態では、リンカーは、
である。
好適には、各ピリジル部分は、主金属錯体と配位することができる。
[CORE]は、Q基及び/又はW基(複数可)の1つ若しくは複数又はそれぞれを介して間接的に結合して、[CORE]を形成する複数のコア基を含み得る。このような[CORE]は、Q及び/又はW基の1つ若しくは複数が金属中心である場合(この場合にホウ素及びケイ素中心並びに標準的金属中心を含む;例えば、ルイス酸/電子対受容配位基を備えるため)、特に妥当である。このようなコア基のそれぞれは、
a)2つ以上の孤立電子対を供与することができる単一の配位部分を含む単一原子、分子、イオン又は錯体(例えば、O2−、オキソ)、
b)それぞれ独立に孤立電子対を供与することができる2つ以上の配位部分(例えば、窒素、酸素若しくは硫黄等の内部ヘテロ原子、又は任意選択的な置換基(例えば、カルボキシレート)により保有された外部ヘテロ原子)を含む単一分子、イオン又は錯体(例えば、複数のヘテロ原子を含む、置換されていてもよい非環式、環式、多環式又は大環状分子)
から独立に選択することができる。
例えば、各コア基は、酸素、硫黄若しくはハロ(特にフルオロ若しくはクロロ、特にフルオロ)原子を含む又はからなる単一原子、分子、イオン又は錯体;最も好適にはハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、オキソ、オキシド、ヒドロキシド(OH−)、(1〜6C)アルコキシド、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、(2〜6C)アルカノイル、(2〜6C)アルカノイルオキシ、スルホ、スルフィド、硫化水素、(1〜6C)アルキルチオ、(2〜6C)アルケニルチオ、(2〜6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロシクリル、又は(適切な場合)その脱プロトン化体若しくは塩から独立に選択することができ、任意のCH、CH2若しくはCH3が置換されていてもよい。
例えば、各コア基は、酸素、窒素、硫黄若しくはハロ(特にフルオロ若しくはクロロ、特にフルオロ)原子を含む又はからなる、;最も好適にはハロゲン化物(好ましくはフルオロ)、アミノ、シアノ、イミノ、エナミド、(1〜6C)アルキルアミノ、ジ−[(1〜6C)アルキル]アミノ、トリ−[(1〜6C)アルキル]アミノ、オキソ、オキシド、ヒドロキシド(OH−)、(1〜6C)アルコキシド、(2〜6C)アルケニルオキシ、(2〜6C)アルキニルオキシ、ホルミル、カルボキシ、(1〜6C)アルコキシカルボニル、(2〜6C)アルカノイル、(2〜6C)アルカノイルオキシ、スルホ、スルフィド、硫化水素、(1〜6C)アルキルチオ、(2〜6C)アルケニルチオ、(2〜6C)アルキニルチオ、チオカルボニル、窒素、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロシクリル、窒素、酸素若しくは硫黄から選択される少なくとも1つの内部ヘテロ原子を含むヘテロアリール(例えば、ピリジル)、又は(適切な場合)その脱プロトン化体若しくは塩から選択される2つ以上の基を含み又はからなる2つ以上の配位部分を含む単一分子、イオン又は錯体から独立に選択することができ、任意のCH、CH2若しくはCH3が置換されていてもよい。
特定の実施形態では、各コア基は、本明細書で定義したbiLIG1基、本明細書で定義したbiLIG2基又は本明細書で定義したoptLIG1基から独立に選択することができる。特定の実施形態では、各コア基は、本明細書で定義したbiLIG1基又は本明細書で定義したbiLIG2基、最も好適にはbiLIG1基から独立に選択することができる。最も好適には、コア基、そのそれぞれ又は全ては、カルボキシレート又はカルボン酸、最も好適には式−O2CRB1により定義される、又は式−O2CRB2(若しくはRB2CO2−)により定義されるカルボキシレート又はカルボン酸であり、式中、最も好適にはRB1は、(1〜5C)アルキルであり、最も好適にはRB2は、ピリジル、アミノフェニル、N−(1〜3C)アルキルアミノフェニル、N,N−ジ(1〜3C)アルキルアミノフェニルであるが、RB1及びRB2は、好適には本明細書で定義した通りである。
好適には、[CORE]が複数のコア基を含む場合、コア基は、同じである。
一例として、その[CORE]が複数のコア基を含むリンカーは、以下により定義される。
式中、各[コア]は、本明細書におけるように独立に定義されるコア基であり、W及びQは、本明細書で定義した電子対受容Q及び/又はW基であり、wは、本明細書で定義した通りである。
好適には、該又は各電子対受容Q及び/又はW基は、1つ又は複数、好適には2つ以上の孤立電子対を受容することができる配位部分を含む単一原子、分子、イオン又は錯体である。好適には、関連配位部分は、ルイス酸性金属原子(ホウ素若しくはケイ素を含み得る)、又は脱離基若しくは置換可能配位子に結合した金属原子を含む又はからなる。例えば、配位部分は、金属陽イオン(例えば、二価金属陽イオン)、ルイス酸性金属化合物(好適にはAlCl3、FeCl3、ZnCl2等のようなルイス酸性金属化合物)、ルイス酸性金属錯体(金属中心がその原子価殻に18未満の電子を有する場合のような、好適には1つ若しくは複数の自由配位部位を有するルイス酸又は錯体)及び/又は脱離基若しくは置換可能配位子を含む金属化合物若しくは錯体(好適には前記脱離基若しくは置換可能配位子の共役酸が1以下、好適には0以下、好適には−1以下、より好適には−5以下の標準環境温度及び圧力での水中pKaを有する場合)から選択される基であり又は含み得る。好適な金属陽イオンは、二価(例えば、アルカリ土類金属、遷移金属(II)若しくはSn2+陽イオン)、三価(例えば、Al3+、遷移金属(III)若しくはfブロック金属(III)陽イオン)又は四価(Sn4+、Pb4+、遷移金属(IV)若しくはfブロック金属(IV)陽イオン)、最も好適には二価陽イオンを含み得る。好適にはルイス酸性金属化合物は、ホウ素化合物(例えば、ホウ素ハロゲン化物、アルコキシド等)、ケイ素化合物(例えば、シラン、シロキサン、ケイ素ハロゲン化物等)、ルイス酸性金属化合物(例えば、AlCl3、FeCl3、ZnCl2等)を含み得る。好適なルイス酸性金属錯体又は脱離基若しくは置換可能配位子を含む錯体は、二金属カルボキシレート錯体(例えば、MがCu2+、Ru2+、Rh2+であり得る[M2(O2C−R)4])、三金属カルボキシレート錯体(例えば、Mが三価金属イオンであり得、M’が二価金属イオンであり得る[M2M’O(O2CR)6])、六金属カルボキシレート錯体(例えば、Mが三価金属イオンであり得、M’が二価金属イオンであり得る[M’4M2O2(O2CR)12])、十二金属錯体(例えば、chp=6−クロロ−2−ピリドネートである[Ni12(chp)12(O2CMe)6(H2O)6])等のカルボキシレート錯体、金属中心が脱離基(例えば、塩化物等のハロゲン化物、例えば、AlCl3)に結合している金属化合物、金属中心(複数可)がハロゲン化物、水等の置換可能配位子、THF、ピリジン等の溶媒又はカルボキシレートと配位している金属錯体を含み得る。しかし、好ましい実施形態では、該又は各電子対受容Q及び/又はW基は、好適には本明細書で定義した、独立に金属陽イオン、好適には独立に二価又は三価金属陽イオンである。好適にはQは、少なくとも1つのW基と異なり得る。好適には、全てのQ及びW基は、同じであり得る。
特定の実施形態では、リンカーは、
− 二金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2(O2CR)4]式中、M=Cu、Ru、Rh)、
− 三金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2M’O(O2CR)6]式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン)、
− 六金属カルボキシレート錯体(例えば、[M’4M2O2(O2CR)12]式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン)、
− [Ni12(chp)12(O2CMe)6(H2O)6])式中、chp=6−クロロ−2−ピリドネート等の十二金属錯体
から選択される。
リンカー成分(複数可)は、
− 本明細書で定義したmonoLIG1基、
− 本明細書で定義したbiLIG2基、
− 本明細書で定義したoptLIG1基、
− 金属錯体、
− 任意選択的に金属に配位する大環状環、
− 二金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2(O2CR)4]式中、M=Cu、Ru、Rh)、
− 三金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2M’O(O2CR)6]式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン)、
− 六金属カルボキシレート錯体(例えば、[M’4M2O2(O2CR)12]式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン)、
− [Ni12(chp)12(O2CMe)6(H2O)6])式中、chp=6−クロロ−2−ピリドネート等の十二金属錯体、
− 末端配位子、例えば、H2O、ピリジン又はn=1である置換ピリジン、
− 架橋ジイミン、例えば、4,4’−ビピリジル、1,2−ジピリジルエテン、1,4−ジピリジルテトラジン、
− ポルフィリン又はフタロシアニン等の大環状環の周囲の置換されたピリジルを含む、他のポリピリジル配位子
から独立に選択することができる。
リンカーは、それと関連した他の溶媒和物若しくは配位子(好適には不活性)を有し得る又は塩であり得る。
<任意選択的なベースポリマー成分>
好適には、eBeamレジスト組成物は、レジスト材料(例えば、レジストポリマー)であり、したがって、好適には、関連放射線(例えば、eBeam)への曝露により変換を受ける照射線感受性材料である、ベースポリマー成分を含み得る。好適には、ベースポリマー成分を選択的に曝露することにより、溶解度の差異を生み出し、これにより、後続する「現像」及びベースポリマー成分の曝露された又は曝露されない部分(複数可)(レジストがポジ型であるか、又はネガ型であるかに応じて)の選択的除去を可能にするように、好適には、照射曝露された(したがって「変換される」)ベースポリマー成分は、曝露されない(したがって「変換されない」)ベースポリマー成分とは異なる溶解度特性を有する。
ベースポリマー成分は、任意の適するベースポリマー成分であり得る。様々なベースポリマー成分が、eBeamレジスト組成物での使用を目的として当業者にとって公知であり、またそのいずれも、eBeamレジスト組成物の所望の特性に応じて好適に利用可能である(それに応じて、任意選択的に調整される)。特別な実施形態では、ベースポリマー成分は、Ebeamレジストベースポリマー成分である。
ベースポリマー成分は、0.8g/cm3以上、好適には0.9g/cm3以上、好適には0.95g/cm3以上、好適には1.0g/cm3以上の密度を好適に有する。ベースポリマー成分は、2g/cm3以下、好適には1.5g/cm3以下、好適には1.3g/cm3以下、好適には1.2g/cm3以下の密度を好適に有する。好適には、ベースポリマー成分は、二次電子ジェネレーターよりも低い、好適には少なくとも1.0g/cm3低い、好適には少なくとも2.0g/cm3低い密度を有する。
好適には、ベースポリマー成分は、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(1−ナフチルメタクリレート)、ポリ(1−ビニルナフタレン)、ポリ(2,6−ナフタレンビニレン)、ポリ(2−クロロスチレン)、ポリ(2,6−ジクロロスチレン)、ポリ(2−ビニルチオフェン)、ポリ(N−ビニルフタルイミド)、ポリ(ビニルフェニルスルフィド)、ポリヒドロキシスチレン、又はその任意の適する混合物又はコポリマーを含む群から選択され得る。
特別な実施形態では、ベースポリマー成分は、好適には、重量平均分子量が10〜1500kダルトン(kDa)の間、好適には50〜1200の間、好適には100〜1100のポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)である。好適には、PMMA又は任意のその他の適するベースポリマー成分は、好適には特に有利なネガ型eBeamレジスト組成物を形成するために、適する架橋剤(例えば、ジペンタエリスリオールペンタアクリレート(dipentaerythriolpentaacrylate)(DPEPA)、又はペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET))と組み合わせて用いられる。
好適には、ベースポリマー成分は、eBeamレジスト組成物の少なくとも1wt%、好適には少なくとも5wt%、好適には少なくとも10wt%、好適には最大で70wt%、好適には最大で55wt%を占める。
<二次電子ジェネレーター>
eBeamレジスト組成物は、二次電子ジェネレーター、好適には1つ又は複数の二次電子ジェネレーターを好適にはさらに含み得る。
参照することにより本明細書の一部を成すものとする、同時係属出願PCT/GB2015/050884号(本出願と同じ出願人により2015年3月24日に出願された)は、このような二次電子ジェネレーターを含むeBeamレジスト組成物を記載し、広範な実験データ、モデル(例えば、モンテカルロモデル)並びに実現可能性のある二次電子ジェネレーターについて相応に重要であると発明者らにより特定された顕著な特徴及び重要なパラメーター(比較的に高いZeff、比較的に高い密度等のような)についての説明を提供する。したがって、本発明に関連する二次電子ジェネレーターは、eBeamレジスト組成物に用いるためのこの同時係属願書に記載されている二次電子ジェネレーターであり得る。さらに、二次電子ジェネレーターと本発明に係るeBeamレジスト組成物中にも存在し得る他の成分(例えば、ベースポリマー成分)との関係は、本発明のこのような成分にも当てはまる。
疑い又は不明確さを回避するために、前述の同時係属願書のいくつかの重要な節は、本明細書において実質的に繰り返される。
二次電子ジェネレーターをeBeamレジスト組成物に含めることにより、二次電子の発生(及び/又は増幅)(当業者が歴史的に避けようとしたもの)をレジストの曝露中に十分に活用することが可能となる。二次電子の生成を問題視するのではなく、それを制御しつつ、本発明のいくつかのレジスト組成物には、二次電子の生成を促進する二次電子ジェネレーターが計画的に組み込まれる。レジスト組成物又はそのコーティングの曝露感度の増加、入射側の曝露照射エネルギー及び/又は強度の低減(それ自体は、一次照射によりレジストが損傷するのを抑える)、電子ビーム曝露中の書き込みスピードの増加、レジストコーティングの厚さの低減、横縦比の増大、及び/又はレジストをパターン化するステップにおける分解能の増加が可能となるように、二次電子のエネルギーが利用される。
本発明の付加的な利点は、過剰の二次電子の発生の潜在的に有害な影響を散乱を防止する化合物/錯体によって軽減又は抑制することができることである。したがって、散乱を防止する化合物/錯体及び二次電子ジェネレーターは、eBeamレジスト組成物の最適化を可能にするように共同で互いの均衡を保ち得る。
本開示は、前述の同時係属出願と共に、当業者が個々のレジストシステム用の十分な二次電子の発生能力を有する適切な二次電子ジェネレーターを賢明に選択することを可能にするものである。本明細書及び前述の同時係属願書に示された実施例及びデータ(特に、それに記載された妥当性確認済みの予測モデル)は、一連の二次電子ジェネレーターに対する本発明の幅広い適用可能性の非常に信頼できる証拠を提供するものである。一般的に、本発明の二次電子ジェネレーターは、1つ又は複数の望ましい特性(例えば、十分なZ又はZeff、十分な密度、十分な「阻止能」/イノベーション能力、保管溶媒(複数可)中の溶解度等)を有する。
一般論として、ポジレジストは、当技術分野において周知の技法により、ネガレジストが生成するように修飾可能である(例えば、架橋剤の添加)ので、本発明の技術は、ポジ型又はネガ型レジストの別を問わず、それと共に利用されるように適合させることができる。このようなシステムは、前述の同時係属願書にも記載されている。
好適には、「実効原子番号(Zeff)」は、
Zeff=ΣαiZi
のように計算され、
式中、Ziは、化合物内のi番目の元素の原子番号であり、またαiは、前記i番目の元素が占める、前記化合物内の全ての原子の原子番号の合計(すなわち、化合物内のプロトンの合計数)のうちの割合である。
好適には、二次電子ジェネレーターは、電子ビームからの一次電子による好適には衝撃によって二次電子を発生する。
好適には、二次電子ジェネレーターは、電子ビームからの一次電子への曝露に反応して、二次電子をイオン化生成物として発生する。
二次電子ジェネレーター及び/又は定義によるその化合物(複数可)は、散乱防止成分/錯体及び/又はベースポリマー成分より好適には少なくとも2倍、好適には少なくとも3倍、好適には少なくとも4倍多くの二次電子を発生する(すなわち、より高い二次電子放出収率を有する)。
好適には、二次電子ジェネレーターは、15以上の実効原子番号(Zeff)を有する化合物である、又は該化合物を含む。(この場合、任意選択的に、Zeffの計算では、前記化合物と関連して、100kPaの圧力において150℃以下の沸点を有するあらゆる溶媒和化合物、好適には前記圧力において120℃以下の沸点、好適には前記圧力において≦105℃の沸点を有するあらゆる溶媒和化合物が除外される)。好適には、このZeffは、18以上、好適には23以上、好適には25以上、好適には30以上、好適には32以上、好適には40以上である。好適には、このZeffは、70以下、好適には66以下、好適には61以下、好適には60以下、好適には55以下である。二次電子ジェネレーター又はその化合物(複数可)は、ベースポリマー成分より高い、好適には少なくとも10ユニット高い、好適には少なくとも20ユニット高い、好適には少なくとも30ユニット高いZeffを好適に有する。
好適には、二次電子ジェネレーターは、500g/mol以下の分子量を有する化合物である、又は該化合物を含む。
好適には、二次電子ジェネレーターは、金属化合物である、又は該金属化合物を含む。二次電子ジェネレーターは、元素金属(すなわち、金属(0))であってはならない、又は元素金属を含んではならない。実際には、レジスト組成物は、金属(0)を(実質的に)一切含まないことが好適である。好適には、金属化合物のあらゆる金属種は、金属イオンである。
二次電子ジェネレーター又はその化合物(複数可)を引用する場合、それはその混合前(すなわち、レジスト組成物のその他の成分と混合する前)の形態と一般的に関連し(例えば、関連する金属化合物(複数可)内のあらゆるカチオン−アニオン関連に関して)、また好適には、そのコーティング前、硬化前、曝露前、現像前の形態とも関連する。レジスト組成物のその他の成分と混合した際に(及び/又はコーティング、硬化、曝露、及び/又は現像後に)、金属化合物(複数可)のあらゆる関連するカチオンとアニオンは、いくつかの実施形態では(必ずしも全てではないが)、解離し、そしておそらくは、その他の対イオン及び/又はリガンドと関連した状態となり得ると当業者は認識する。したがって、eBeamレジスト組成物(又はもちろんそのコーティング、又は硬化後、曝露後、又は現像後の生成物)を引用する場合、それは、関連する化合物(複数可)をeBeamレジスト組成物の任意のその他の成分と混合すること「により形成された」(又は、に由来する)、或いは関連する生成物を硬化、曝露、及び/又は現像すること「により形成された」eBeamレジスト組成物(又はそのコーティング、又は硬化後、曝露後、又は現像後の生成物)を好適に示唆する。標準的技法を用いて、eBeamレジスト組成物、又はそのコーティング後、硬化後、曝露後、若しくは現像後の生成物からインプット化合物(複数可)を決定することは、当業者にとって容易である。
二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、ベースポリマー成分の密度を上回る密度を好適に有する。二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、1.7g/cm3以上、好適には2g/cm3以上、好適には2.5g/cm3以上、好適には3g/cm3以上、好適には4g/cm3以上、より好適には4.1g/cm3以上、好適には4.5g/cm3以上、より好適には4.7g/cm3以上、最も好適には5g/cm3以上の密度を好適に有する。二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、9g/cm3以下、好適には8.5g/cm3以下、好適には8g/cm3以下の密度を好適に有する。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、3.5〜8.3g/cm3の間の密度を好適に有する。好適には密度は、散乱を防止する化合物/錯体及び/又はベースポリマー成分の密度より少なくも2倍高い、好適には少なくも3倍高い。
好適には、二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、≧200eV、好適には≧500eVの平均イオン化ポテンシャルを有する(すなわち、好適には、周知のBetheの式、及び前述の同時係属願書に記載されるモンテカルロモデルで提示されるような「阻止能」という意味に該当する)。
好適には、化合物(複数可)が有する平均自由行程(λ)は短い−すなわち、電子が連続的に衝突するとき、その間の距離が短い。好適には、化合物(複数可)が有する平均自由行程(λ)は、ベースポリマー成分よりも短い。好適には、二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、900nm以下、好適には100nm以下、好適には50nm以下、好適には825nm以下の平均弾性自由行程を有する。好適には、二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、825nm以下の平均非弾性自由行程を有する。
好適には、化合物(複数可)が有する弾性散乱断面積(σ)は大きい−すなわち、衝突の確率が高い。好適には化合物(複数可)が有する弾性散乱断面積(σ)は、ベースポリマー成分より大きい。好適には、二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、7×10−19cm/原子以上、好適には1×10−18以上、好適には2×10−17以上、好適には4×10−18以上、好適には7×10−18以上の弾性散乱断面積(σ)を有する。好適には、散乱を防止する化合物/錯体及び/又は任意のベースポリマー成分(又はその一次成分)は、1×10−18cm/原子以下、好適には7×10−19cm/原子以下の弾性散乱断面積(σ)を有する。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、7×10−19cm/原子以上の弾性散乱断面積(σ)を有する一方、散乱を防止する化合物/錯体及び/又は任意のベースポリマー成分(又はその一次成分)は、7×10−19cm/原子以下の弾性散乱断面積(σ)を有する。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターの化合物(複数可)は、2×10−18cm/原子以上の弾性散乱断面積(σ)を有する一方、散乱を防止する化合物/錯体及び/又は任意のベースポリマー成分(又はその一次成分)は、7×10−19cm/原子以下の弾性散乱断面積(σ)を有する。
任意の上記パラメーター(例えば、Zeff、密度、平均自由行程、散乱断面性、平均イオン化ポテンシャル/阻止能、電子放射収率)と関係する定義のいずれか、一部、又は全部は、100kPaの圧力において、bp≦150℃、好適には≦120℃、好適には≦105℃を有するあらゆる溶媒和化合物を除外する、例えば水和物を除外する化合物(複数可)の形態と好適に関連し得る。かかる溶媒和化合物は処理期間中に除去され得るので、これは理に適う。
好適には、二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、+1以上、好適には+2以上、好適には+3以上の酸化状態を有する金属種を含む。好適には、二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、+4以下の酸化状態を有する金属種を含む。好適には、二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、+3の酸化状態を有する金属種を含む。
好適には、二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、単一の金属種、さもなければ主要な金属種(すなわち、金属種全体の少なくとも50wt%、好適には少なくとも80wt%、好適には少なくとも90wt%、好適には少なくとも95wt%を占める金属種)を含む。かかる二次電子ジェネレーターの金属化合物(複数可)の金属種又は金属イオン(単一又は主要の別を問わない)は、+1以上、好適には+2以上、好適には+3以上の酸化状態を好適に有する。かかる二次電子ジェネレーターの金属化合物(複数可)の金属種又は金属イオン(単一又は主要の別を問わない)は、+4以下の酸化状態を好適に有する。かかる二次電子ジェネレーターの金属化合物(複数可)の金属種又は金属イオン(単一又は主要の別を問わない)は、+3の酸化状態を好適に有する。一実施形態では、かかる二次電子ジェネレーターの金属化合物(複数可)の金属種又は金属イオンは、+2の酸化状態を有する。
二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、21以上の原子番号(Z)(すなわち、スカンジウム又はそれよりも重い)を有する金属種(又は単一若しくは主要な金属種)を好適に含む。二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、22以上の原子番号(Z)を有する(すなわち、チタン又はそれよりも重い)金属種(又は単一若しくは主要な金属種)を好適に含む。二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、39以上の原子番号(Z)を有する(すなわち、イットリウム又はそれよりも重い)金属種(又は単一若しくは主要な金属種)を好適に含む。二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、49以上の原子番号(Z)を有する(すなわち、インジウム又はそれよりも重い)金属種(又は単一若しくは主要な金属種)を好適に含む。二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、57以上の原子番号(Z)を有する(すなわち、ランタン又はそれよりも重い)金属種(又は単一若しくは主要な金属種)を好適に含む。二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、82以下の原子番号(Z)を有する(すなわち、鉛又はそれより軽い)金属種(又は単一若しくは主要な金属種)のみを好適に含む。二次電子ジェネレーターの任意の金属化合物(複数可)は、80以下の原子番号(Z)を有する(すなわち、水銀又はそれより軽い)金属種(又は単一若しくは主要な金属種)のみを好適に含む。金属化合物(複数可)の金属種は、好適には、d−ブロック、p−ブロック、若しくはf−ブロック金属種又はその混合物であり得る。好適には、金属化合物(複数可)は非放射性である。
好適には、二次電子ジェネレーターは、金属ハロゲン化物又はその複合体(例えば、HAuCl4)である、又はこれを含む。好適には、二次電子ジェネレーターは、金属(I)、金属(II)、金属(III)、若しくは金属(IV)ハロゲン化物、又はその複合体である。好適には、二次電子ジェネレーターは、金属(III)ハロゲン化物、若しくは金属(I)ハロゲン化物、又はその複合体である。好適には、二次電子ジェネレーターは、金属塩化物、好適には金属(I)、金属(II)、金属(III)、又は金属(IV)塩化物である。好適には、二次電子ジェネレーターは、金属塩化物、好適には金属(I)又は金属(III)塩化物である。
二次電子ジェネレーターは、金属(II)ハロゲン化合物(例えば、HgCl2)又はその複合体であり得る。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターは、金属(II)塩化物である。
二次電子ジェネレーターは、AlCl3、TiCl3、TiCl4、CrCl3、GaCl3、YCl3、MoCl3、AgCl、InCl3、SbCl3、HfCl3、TaCl3、WCl3、OsCl3、IrCl3、AuCl、AuCl3、HAuCl4、HgCl2、CeCl3、NdCl3 ErCl3、OsO4、又はその任意の適する複合体(任意の適する塩又は塩複合体を含む)を含む群より好適に選択され得る。特別な実施形態では、金属化合物は、塩化金酸(金塩化水素酸、HAuCl4)又はその水和物(HAuCl4・4H2O)である。別の実施形態では、金属化合物は、塩化金酸ナトリウム(NaAuCl4)又はその水和物(例えば、NaAuCl4・2H2O)である。特別な実施形態では、金属化合物は、塩化第二水銀である。
特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターは、金ベースの化合物(好ましくは、金(III)種を含む化合物)である。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターは、水銀ベースの化合物(好ましくは、水銀(II)種を含む化合物)である。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターは、インジウムベースの化合物(好ましくは、インジウム(III)種を含む化合物)である。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターは、イットリウムベースの化合物(好ましくは、イットリウム(III)種を含む化合物)である。特別な実施形態では、二次電子ジェネレーターは、チタンベースの化合物(好適には、チタン(IV)種を含む化合物)である。
好適には、二次電子ジェネレーターは、無水の金属化合物である。好適には、二次電子ジェネレーターの金属化合物は、0.1wt%以下、好適には0.05wt%以下、好適には0.01wt%以下、好適には0.001wt%以下の水分含有量を有する。水分含有量が高くなると、おそらくは密度効果により、二次電子の生成能力に悪影響を有し得ると考えられている。しかし、いくつかの実施形態では、二次電子ジェネレーターの金属化合物は、溶媒和化合物、例えば水和物であり得る。
二次電子ジェネレーターは、特に二次電子ジェネレーターが溶媒内で好適に溶解するeBeamレジスト組成物内では、非粒子状物質であることが好適である。二次電子ジェネレーターは、eBeamレジスト組成物内で可溶性であることが好適である。これにより、最終的に塗布されたレジストコーティング内でのその均一分布が可能となり、また金属−有機ナノコンポジットコーティングの形成が促進され得る。
上記金属化合物(複数可)のいずれも、その複合体であり得る。
好適には、二次電子ジェネレーターは、レジスト組成物の少なくとも1wt%、より好適には少なくとも5wt%、更に好適には少なくとも10wt%、特に好適には最大で70wt%、最も好適には最大で55wt%を占める。
二次電子ジェネレーターは、単一の化合物(又は複合体)、又は化合物(及び/又は複合体)の混合物であり得る。本明細書で「二次電子ジェネレーター」と引用する場合、それは、単一の化合物を意味する場合があり、したがってこのような化合物は二次電子ジェネレーターと呼ばれる。
1つ又は複数の二次電子ジェネレーターは、eBeamレジスト組成物の構成部分(又は成分)とみなされ、レジスト組成物全体の形成に用いられる「二次電子成分」(すなわち、成分として加えられる)を参照することによって定義され得るが、当業者は、化学反応及び/又は分子関連(例えば、配位/供与結合)は、二次電子ジェネレーターが、それがレジスト組成物内に含められる前と異なる形態でレジスト組成物内に存在する(例えば、錯体内で配位された状態で)ことを意味し得ることを理解する。実際、多くの好ましい実施形態では、レジスト組成物それ自体の内部に二次電子ジェネレーターが配位した形態で存在し、レジスト組成物の1つ又は複数の他の成分と錯体を形成する。例えば、塩化水銀は、散乱を防止する化合物/錯体と関連し、及び/又は配位した状態になり得る。
最も好適には、散乱を防止する化合物/錯体は、二次電子ジェネレーターと1つ又は複数の供与結合を形成する。好適には、1つ又は複数の配位子、特にその1つ又は複数の孤立電子対保有ヘテロ原子は、二次電子ジェネレーターと(好ましくはその中心金属イオンに)配位する。特定の実施形態では、二次電子ジェネレーターは、好適にはその外側に結合した、主金属錯体(及び/又は追加金属錯体)に配位される。複数の主金属錯体(又は追加金属錯体)が散乱を防止する化合物/錯体内に存在する場合、好適には、各主金属錯体は、1つ又は複数の二次電子ジェネレーター(複数可)に配位される。
二次電子ジェネレーターと散乱を防止する化合物との間のこのような密接な関連は、eBeamレジスト組成物の全体的な性能及びバランスを根本的に改善し得るものである。このように、散乱を防止する化合物/錯体は、入射eBeamの局在化を含む、その機能を果たし得るが、局所二次電子ジェネレーター(複数可)は、分解能を過度に低下させずに全体的な書き込みスピードを改善し得る。
好適には、二次電子ジェネレーターと散乱を防止する化合物とのモル比は、特に二次電子ジェネレーターが主金属錯体又はその配位子に結合した状態になった場合に、散乱を防止する化合物内の主金属錯体の化学量論の関数である。したがって、二次電子ジェネレーターと主金属錯体(複数可)とのモル比は、好適には0.01:1〜12:1の間、より好適には0.5:1〜8:1の間、最も好適には1:1〜4:1の間である。
<散乱化合物>
好適には、eBeamレジスト組成物は、散乱化合物、好適には1つ又は複数の散乱化合物をさらに含み得る。
eBeamレジスト組成物に散乱化合物を含めることにより、電子は、散乱されるが、散乱を防止する化合物によって制御された形で散乱される。好適には、散乱を防止する化合物のeBeam集束作用が散乱化合物と共同で作用して集束と散乱とのバランスを最適化し、それにより、妥当な書き込みスピードでの高分解能画像化を達成する。
好適には、散乱化合物は、15以下の実効原子番号(Zeff)を有する化合物である又は含む(任意選択的にZeffの計算で、前記化合物と関連した、100kPaの圧力での150℃以下の沸点を有する溶媒和物、好適には前記圧力での120以下、好適には前記圧力での≦105℃の沸点を有する溶媒和物を除外する場合)。好適にはこのZeffは、10以下、好適には7以下である。
好適には、散乱化合物は、0.8g/cm3以上、より好適には0.9g/cm3以上、更に好適には0.95g/cm3以上、特に好適には1.0g/cm3以上の密度を有する。ベースポリマー成分は、好適には、2g/cm3以下、より好適には1.5g/cm3以下、更に好適には1.3g/cm3以下、特に好適には1.2g/cm3以下の密度を有する。好適にはベースポリマー成分は、二次電子ジェネレーターより低い密度、より好適には少なくとも1.0cm3低い、更に好適には少なくとも2.0cm3低い密度を有する。
好適には、散乱化合物は、有機化合物である。好適には散乱化合物は、炭素及び水素原子を含む。
最も好適には、散乱化合物は、散乱を防止する化合物/錯体と、好適には散乱を防止する化合物の金属中心と、最も好適には主金属錯体及び/又は追加金属錯体の金属中心と供与結合により配位することができる1つ又は複数の原子を含む。好適には、散乱化合物は、1つ又は複数の孤立対保有ヘテロ原子、例えば、酸素又は窒素から選択される1つ又は複数のヘテロ原子を含む。散乱化合物は、1つ又は複数のハロゲン原子をさらに含み得る。
最も好適には、散乱化合物は、1つ又は複数、好適には2つ以上、より好適には3つ以上の電子含有π及び/又はp軌道を含む。好適な電子含有p軌道は、例えば、酸素及び/又は窒素等のヘテロ原子上に局在するもののような、孤立電子対(複数可)を含み得る。電子含有π軌道は、例えば、π結合又はπ系を含み得る(芳香族又は非芳香族を問わず)。このようなπ結合は、アルケン及び/又はアルキン部分のπ結合を含み得る。このようなπ系は、置換されていてもよいフェニル部分等のπ系を含み得る。このようなπ結合及びπ系は、eBeamからの電子を散乱させるのに特に適している。
孤立対保有ヘテロ原子と1つ又は複数の電子含有π結合又はπ系(特にπ結合、最も好適には末端π結合)の組合せは、本発明の文脈において特に効果的である。その理由は、この組合せが、有効散乱断面積(その増加により、本質的にそれらは一次電子のより良いアンテナとなる)及び散乱の傾向を増加させるが、散乱を防止する化合物に効果的に配位する散乱化合物の能力も増大させ、それにより、2つの間の共同作用も可能にするからである。
好適には、散乱化合物は、1つ又は複数のアルケン及び/又はアルキン部分、好適にはそれらの2つ以上を含む。好適には、散乱化合物は、1つ又は複数のアルケン部分、好適には2つ以上のそれらを含む。好適には、散乱化合物は、1つ又は複数の末端アルケン部分(すなわち、鎖末端における)、好適にはそれらの2つ以上を含む。
好適には、散乱化合物は、1つ又は複数の内部(すなわち、非末端)孤立対保有ヘテロ原子を含む。
好適には、散乱化合物は、2つ以上のアルケン部分、好適には2つ以上の末端アルケン部分を含む有機化合物である。
特定の実施形態では、散乱化合物は、ジアリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、トランストランスファルネシルブロミド、ペントラエリスリトールテトラアクリレート(PET)からなる群から選択される。特定の実施形態では、散乱化合物は、以下からなる群から選択される。
1つ又は複数の散乱化合物は、eBeamレジスト組成物の構成部分(又は成分)とみなし、全レジスト組成物の形成に用いられる(すなわち、成分として加えられる)「散乱化合物成分」を参照することにより定義することができるが、当業者は、化学反応及び/又は分子関連(例えば、配位/供与結合)は、散乱化合物が、それをレジスト組成物に含める前と異なる形態でレジスト組成物内に存在する(例えば、錯体内で配位して)ことを意味し得ることを理解する。実際、多くの好ましい実施形態では、レジスト組成物自体の内部に散乱化合物が配位した形態で存在し、レジスト組成物の他の1つ又は複数の成分との錯体を形成する。
最も好適には、散乱を防止する化合物/錯体は、散乱化合物との1つ又は複数の供与結合を形成する。好適には、散乱化合物は、1つ又は複数の金属中心、特に、散乱を防止する化合物/錯体の主金属錯体の1つ又は複数の金属中心と配位する(好適には例えば、そのヘテロ原子及び/又はその1つ若しくは複数のパイ系上に存在する孤立電子対を介して)。したがって、好適には散乱化合物は、主金属錯体の金属ケージ内で配位し得る。主金属錯体内のこのような結合は、散乱、散乱防止及び集束の間の最適なバランスを達成するうえで特に有用である。特定の実施形態では、散乱化合物は、好適にはその内部に結合した、主金属錯体(及び/又は追加金属錯体)に配位する。散乱を防止する化合物/錯体内に複数の主金属錯体(又は追加金属錯体)が存在する場合、好適には各主金属錯体は、1つ又は複数の散乱化合物と配位し得る。
二次電子ジェネレーターと散乱を防止する化合物との間のこのような密接な関連は、eBeamレジスト組成物の全体的な性能及びバランスを劇的に改善し得る。このように、散乱を防止する化合物/錯体は、入射eBeamの局在化を含む、その機能を果たし得るが、局在/利用散乱化合物(複数可)は、分解能を過度に低下させずに全体的な書き込みスピードを改善し得る。
好適には、散乱化合物と散乱を防止する化合物とのモル比は、特に散乱化合物が主金属錯体内に結合した状態になる場合に、散乱を防止する化合物内の主金属錯体の化学量論の関数である。したがって、散乱化合物と主金属錯体(複数可)とのモル比は、好適には0.01:1〜2:1の間、より好適には0.5:1〜1.5:1の間、最も好適には1:1である。
好適には、散乱化合物は、eBeamレジスト組成物内に(散乱防止剤に結合しているか否かを問わず)0.5〜40重量%、より好適には5〜30重量%、更に好適には10〜25重量%、特に好適には15〜20重量%の重量濃度で存在する。好適には、散乱化合物と散乱を防止する化合物との重量比(関連二次電子ジェネレーターの存在下又は非存在下)は、10:1〜1:100の間、より好適には1:1〜1:10の間、最も好適には約1:5である。
<任意選択的な追加の成分>
架橋剤は、特にベースポリマー成分が散乱を防止する化合物に加えて存在する場合、ネガ型eBeamレジスト組成物、又はコーティング若しくはそれから得られるパターン層に存在し得る。
好適には、架橋剤は、照射曝露後の現像剤に不溶性レジストの形成を促進する。ベースポリマー成分及び/又は散乱を防止する化合物は、照射曝露により最初の切断を受け得るが、その後の架橋剤との反応(複数可)がベースポリマー成分及び/又は散乱を防止する化合物を、現像剤に不溶性である変換成分に再構成する(少なくともある程度)一方で、非曝露ベースポリマー成分及び/又は散乱を防止する化合物は、現像剤に可溶性のままであり得ると考えられる。
最も有利には、架橋剤は、照射源並びにレジスト組成物及びその成分との最大限の適合性を期して思慮深く選択されるが、好適には架橋剤を用いることができる。
好ましい実施形態では、特にeBeam照射が曝露に用いられる場合、架橋剤は、ジペンタエリスリオールペンタアクリレート(DPEPA)、又はペンタエリスリトールテトラアクリレート(PET)、又は任意のその他の適する混合可能な多機能性アクリレート及び/又はその混合物である。その他の架橋剤としてエポキシ(SU8)が挙げられる、又は用いられるコポリマーが、例えばポリヒドロキシスチレンである場合には、適する光酸ジェネレーターが、溶解度変化を引き起こすために採用され得る。
任意の適する溶媒系が、eBeamレジスト組成物用の希釈剤として利用可能である。溶媒は、実際には、1つ又は複数の溶媒の組み合わせであってもよい。したがって、本明細書で、溶媒と引用する場合、それは、別途記載しない限り、任意選択的に溶媒の混合物を含む場合もある。好適には、溶媒は、eBeamレジスト組成物の溶質成分(混合物)を溶解し、これにより溶液を形成する。好適には、非溶媒成分(混合物)を溶媒内で溶解し、これにより溶液を形成する割合で、溶媒はeBeamレジスト組成物内で用いられる。eBeamレジスト組成物は好適には溶液である。
稀釈レベルは、系に適合するように変化し得るが、また構成要素の組み合わせ、あらゆる溶解度の制約、及び所望の稀釈レベル(例えば、レジストを最適に鋳込み成形するための)に完全に依存する。しかし、好適には、ベースポリマー成分に対する溶媒(複数可)の重量比は、10:1〜100:1の間である。
好適としては、溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、アニソール、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソ−プロパノール、アセトン、ジクロロメタン、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、ジエチルエーテル、又はその組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、溶媒は、好適には1:1〜1:100の重量比の、非極性有機溶媒(好適には水と実質的に不混和性であるもの、例えば、ヘキサン、トルエン、ヘプタン)を含む。
<個別の実施形態>
好適には、散乱を防止する化合物は、中心リンカーに配位した1つ又は複数、好適には2つ以上の多金属ケージを含む。好ましい実施形態では、多金属ケージ(複数可)は、2つ以上の異なる種類の金属種、好適には2つ以上の異なる金属を含む。好適には、多金属ケージ(複数可)は、少なくとも1つの三価金属種(例えば、上記のM1)及び少なくとも1つの二価金属種(例えば、上記のM2)を含む。好適には三価金属種は、Cr3+であり又は含み、好適には二価金属種は、Ni2+であり又は含む。好適には多金属ケージ又は各多金属ケージにおけるCr3+とNi2+との比は、10:1〜2:1の間、より好適には9:1〜6:1の間、最も好適には約7:1である。多金属ケージ(複数可)は、好適にはケージ(複数可)内の2つ以上の金属種間の共有結合性架橋を形成する1つ又は複数の架橋配位子を含み、最も好適には架橋配位子は、カルボキシレート(又はカルボン酸)配位子を含む。好適には多金属ケージ若しくは各多金属ケージは、多金属ケージ(複数可)の1つ若しくは複数の金属種を介して(好適には1つのみの金属種を介して)中心リンカーに配位する(例えば、多金属ケージは、ルイス酸若しくは電子対アクセプターとしての役割を果たし、リンカーは、ルイス塩基若しくは電子対ドナーとしての役割を果たす)、又は多金属ケージ若しくは各多金属ケージは、多金属ケージ(複数可)の1つ若しくは複数の配位子(複数可)を介して中心リンカーに配位する(例えば、多金属ケージは、ルイス塩基若しくは電子対ドナーとしての役割を果たし、リンカーは、ルイス酸若しくは電子対アクセプターとしての役割を果たす)。
特定の実施形態では、散乱を防止する化合物は、以下の式Bのハイブリッド錯体により定義される単位を含む。
(PMC)p(LINK)l
式中、
PMCは、三価金属種M1及び二価金属種M2を10:1〜2:1の間(好適には約7:1)のM1:M2モル比で含む多金属ケージであり、pは、2〜8の間の偶数の整数であり、LINKは、好適には本明細書で定義した、リンカー成分であり、lは1である。
特定の実施形態では、PMCは、[M1 xM2 y(monoLIG1)m1(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]、[M1 8−yM2 yF8(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]又は[Cr7NiF8(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]から選択され、LINKは、Q−[CORE]−[W]wにより定義され、[CORE]は、Q基及び/又はW基(複数可)の1つ若しくは複数又はそれぞれを介して間接的に結合して、[CORE]を形成する複数のコア基を含み、Q基及び/又はW基の1つ又は複数は、PMCのルイス塩基/電子対供与配位基(複数可)と配位することができるルイス酸/電子対受容配位基を備える金属中心である。特定の実施形態では、LINKは、以下のいずれかから選択される。
− 二金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2(O2CR)4]式中、M=Cu、Ru、Rh)、
− 三金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2M’O(O2CR)6]式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン)、
− 六金属カルボキシレート錯体(例えば、[M’4M2O2(O2CR)12]式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン)、
− [Ni12(chp)12(O2CMe)6(H2O)6])式中、chp=6−クロロ−2−ピリドネート等の十二金属錯体
特定の実施形態では、散乱を防止する化合物は、上記の特定の実施形態で定義した通りであり、主金属錯体は、以下の式IIb
[Cr7NiF8(O2CRB1)16−b2(O2CRB2)b2]
により定義される又は定義される単位を含み、
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであり、RB2は、存在する場合、4−ピリジルであるが、RB1、RB2及びb2は、本明細書で定義した通りであり、
LINKは、以下を含む群から選択される。
− 二金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2(O2CR)4])式中、M=二価金属イオン、
− 二金属カルボキシレート錯体(例えば、[MM’(O2CR)4]+)式中、M=二価金属イオン、M’=三価金属イオン、
− 三金属カルボキシレート錯体(例えば、[M3O(O2CR)6]+)式中、M=三価金属イオン
− 三金属カルボキシレート錯体(例えば、[M2M’O(O2CR)6])式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン、
− 六金属カルボキシレート錯体(例えば、[M’4M2O2(O2CR)12])式中、M=三価金属イオン、M’=二価金属イオン、
− [M12(chp)12(O2CMe)6(H2O)6]式中、chp=6−クロロ−2−ピリドネート、M=Ni又はCo等の十二金属錯体
特定の実施形態では、PMCは、[M1 xM2 y(monoLIG1)m1(O2CRB1)16] 又は [Cr7NiF8(O2CRB1)16]から選択され、LINKは、Q−[CORE]−[W]wにより定義され、式中、[CORE]は、Q基及びW基(複数可)又はそのそれぞれが共通に結合する単一コア基を含み、各Q及び/又はW基は、窒素、酸素及び/又は硫黄等の1つ又は複数のヘテロ原子を含むもののような、電子対供与配位部分から独立に選択される。特定の実施形態では、[CORE]は、大環状環であり、各Q及びW基は、本明細書で定義した通りである。
特定の実施形態では、散乱を防止する化合物は、上記の特定の実施形態において定義した通りであり、主金属錯体は、以下の式IIc
[Cr7NiF8(O2CRB1)16]
により定義され又は定義される単位を含み、
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであるが、RB1は、本明細書で定義した通りであり、
最も好適にはLINKは、
であるが、
LINKは、2つ以上の配位部分を含む単一分子、イオン又は錯体であり、各配位部分は、1つ又は複数の孤立電子対を受容又は供与することができる。特定の実施形態では、PMCは、[M8−yM2yF3(O2CRB1)15(Gluc−NH−RO1)]、[Cr7NiF3(O2CRB1)15(Gluc−NH−RO1)]から選択され、LINKは、Q−[CORE]−[W]wにより定義され、式中、[CORE]は、Q基及びW基(複数可)又はそれらのそれぞれが共通に結合する1つ又は複数のコア基を含み、各Q及び/又はW基は、窒素、酸素及び/又は硫黄等の1つ又は複数のヘテロ原子を含むもののような、電子対供与配位部分から独立に選択される。特定の実施形態では、[CORE]は、大環状環であり、各Q及びW基は、本明細書で定義した通りである。
特定の実施形態では、散乱を防止する化合物は、上記の特定の実施形態において定義した通りであり、主金属錯体は、以下の式IIIa
[Cr7NiF3(O2CRB1)15(Gluc−NH−RO1)]
により定義され又は定義される単位を含み、
式中、最も好適にはRB1は、t−ブチルであり、RO1は、メチルであるが、RB1及びGluc−NH−RO1は、本明細書で定義した通りであり、
最も好適にはLINKは、
であるが、
LINKは、
− 末端配位子、例えば、H2O、ピリジン又は置換ピリジン、n=1、
− 架橋ジイミン、例えば、4,4’−ビピリジル、1,2−ジピリジルエテン、1,4−ジピリジルテトラジン、
− 例えば、ポルフィリン又はフタロシアニン等の大環状環の周囲が置換されたピリジルを含む、他のポリピリジル配位子
を含む基から選択される。
好適には、このような実施形態では、散乱を防止する化合物は、1.2g/cm3以下の密度、10,000以上の分子量を、また好適には少なくとも10mg/gのヘキサン中溶解度(SATPにおける)を有する。
特定の実施形態では、本発明に係るeBeamレジストコーティング(eBeamレジスト組成物から形成される)は、散乱を防止する化合物から本質的になる。しかし、当業者は、要求される性能に応じてeBeamレジスト組成物内の成分のバランスを賢明に調節し得る。
好ましい実施形態では、本発明に係るeBeamレジストコーティング(eBeamレジスト組成物から形成される)は、散乱を防止する化合物自体に関して本明細書で規定した特性(例えば、平均自由行程、散乱断面積、密度、分子量)のいずれか1つ又は複数を有し得る。したがって、eBeamレジストコーティング(及びその対応するeBeamレジスト組成物)が散乱を防止する化合物に加えて1つ又は複数の成分を含むいくつかの実施形態では、前記1つ又は複数の成分の存在は、これらの特性を損なわない。
<本発明に係るeBeamレジスト組成物を用いる電子ビームリソグラフィ>
本発明は、電子ビームリソグラフィを実施する方法を提供し、同方法は、
i)本明細書で定義する(eBeam)レジストコートされた基板を用意するステップ又は(eBeam)レジストコーティングを基板に塗布するステップと、
ii)(eBeam)レジストコーティングの一部(複数可)を(電子ビーム)照射に曝露して、曝露された(eBeam)レジストコーティングを得るステップと、
iii)曝露された(eBeam)レジストコーティングを現像して、(eBeam)レジストコーティングの現像剤に不溶性のコーティング部分(すなわち、畝)及び(eBeam)レジスト層を通過して延在する一連の溝を含む、(eBeam)レジストパターン層を形成するステップと、
iv)(eBeam)レジストパターン層の下部の、基板、基板表面又はその一部(複数可)を任意選択的に修飾するステップと、
v)(eBeam)レジストパターン層を任意選択的に除去して、修飾基板を用意ステップと、
vi)修飾基板についてステップiv)及び/又はステップi)〜v)(eBeamレジストコーティングの代わりに、フォトレジスト等の代替レジストコーティングを任意選択的に用い、電子ビーム照射の代わりに、可視又は紫外光等の代替放射線を曝露中に任意選択的に用いて)を1又は複数回任意選択的に反復するステップと
を含む。
本方法のステップ(i)に、eBeamレジストコーティング又は代替レジストコーティングを用い、曝露中電子ビーム照射又は代替照射を用いて、任意選択的に1又は複数回反復される、ステップ(i)〜(vi)(すなわち、前ステップ(i)〜(vi))を実施することを任意選択的に先行させる。
eBeamレジストコーティングは、任意選択的に、乾燥及び/又は硬化したeBeamレジスト組成物を好適に含む、又はそれから実質的に構成され、eBeamレジスト組成物は、散乱を防止する化合物を含む。
本発明は、本方法により取得可能な、取得される、又は直接取得される画像化された基板をさらに提供する。
好適には、本方法は、本明細書で定義するように、画像化、パターン化された基板の調製、基板表面の選択的修飾、及び多層式基板(例えば、集積回路)の製造を目的として利用可能である。
特別な実施形態では、上記方法は、1つ又は複数の集積回路(多層式基板の例である)を製造する際に用いられる(例えば、ウエハ上で)。当業者は、集積回路の製造で用いられる標準的な製造プロセスについて熟知している。本発明に係る方法は、集積回路の1つ又は複数の層を生成するのに利用可能であり、またいくつかの実施形態では、全ての層を生成するのに利用可能である。しかし、高い分解能は、1つ又はいくつかの分解能が重要な層について必要とされるに過ぎないと考えられるので(例えば、分解能が全ての層について重要でない場合)、代替的リソグラフィ法が、その他の層の製造で関与し得る(例えば、フォトリソグラフィ)。この様に、電子ビームリソグラフィは、集積回路の作製において、その他の形態のリソグラフィ(例えば、フォトリソグラフィ)を補完し得る。
<基板>
電子ビームリソグラフィが実施される基板は、任意の適する基板であり得る。
好適には、基板は、単一の固体又はその一部分である。基板は、好適には(実質的に硬質な)プレート、ウエハ、又はシート、最も好適にはウエハの形態である。
本発明に係る方法に基づき、特定の処理ステップは、(「基板」に言及するステップを含め)「反復され」得るので、「基板」は、最初の「インプット基板」(すなわち、本発明のいずれかの方法ステップが実施される前の)、又は「修飾された基板」(所定の方法ステップの後の)を意味し得る。したがって、原則として、「基板」は、電子ビームリソグラフィによる処理に適する任意の基板(部分的に作製された製品又は集積回路を含む)であり得る。
好適には、基板(インプット基板又は修飾された基板の別を問わない)は、事前形成後のレジストコートされた基板の一部、又はレジストコーティングが塗布される基板である(例えば、本明細書に開示する多くの方法のうちのステップi)において)。したがって、基板は、レジストコーティングそのものを意味しなくても定義され得る(その性質、パラメーター、材料形態等に関して)。基板又は修飾された基板は、レジストコーティングでコートする前に平坦化され得る。
いくつかの実施形態では、本発明に係る方法(複数可)が適用される基板(又はその一部)は、これそのものが製品(例えば、回路基板及び/又は電子素子)に組み込まれ得るとしても、最終(プリントされた)製品(例えば、集積回路)に組み込まれる。換言すれば、「画像化された基板」は、消費材であり得る、若しくは消費材となり得る、又はさもなければ、消費材に組み込まれ得る、又は消費材に組み込まれた状態になり得る。かかる消費材として、集積回路、集積回路ダイス若しくはウエハ、集積回路パッケージ、回路基板、又は電子素子若しくはシステムが挙げられる。
いくつかの実施形態では、しかし、本発明に係る方法(複数可)が適用される基板(又はその一部)は、最終(プリントされた)製品(例えば、集積回路)に組み込まれず、むしろかかる最終(プリントされた)製品を製造するのに用いられるツール、例えばリソグラフィックマスク(ポジ型又はネガ型の別を問わない)、例えばフォトリソグラフィで用いられるフォトマスク等に組み込まれる。換言すれば、「画像化された基板」は、消費材を製造するためのツールであり得る。したがって、本発明の長所(例えば、高分解能)は、リソグラフィックツール(例えば、高分解能細部を有するリソグラフィックマスク)に付与され得るが、該長所は、その後前記ツールを用いて製造される最終(プリントされた)製品に付与され得る。したがって、超高分解能電子ビームリソグラフィ(本発明による)は、対応する超高分解能リソグラフィックマスク(例えば、フォトマスク)を製造するのに利用可能であり、次に同マスクは、超高分解能集積回路(又はその1つ若しくは複数の層)を製造するために、フォトリソグラフィ等の超高分解能リソグラフィで用いることができる。したがって、本発明は、リソグラフィックマスク及び本明細書で定義するリソグラフィックマスク(例えば、フォトマスク)の製造法、並びに集積回路、集積回路ダイス若しくはウエハ、集積回路パッケージ、回路基板、又は電子素子若しくはシステムの製造におけるかかるリソグラフィックマスクの使用を提供する。
好適には、基板は、基板ベース材料を含む、又は同材料から本質的になる。
基板ベース材料は、本発明に係る方法(複数可)で用いられる任意の適する材料を実質的に含み得る、又は同材料から構成され得る。基板ベース材料は(好適には、基板ベース層全体も)、好適には、単一の物質(元素又は化合物)又は単一の複合材料(2つ以上の元素及び/又は化合物の混合物)である。しかし基板ベース材料は、多層式複合材料であってもよい。
基板(又はその一部)が最終(プリントされた)製品(例えば、集積回路)に組み込まれず、むしろツール(例えば、リソグラフィックマスク)に組み込まれる場合、好適には、基板ベース材料は、対象となるツールに適する材料である。好適には、基板ベース材料は、リソグラフィックプレートである(1つ又は複数の材料の1つ又は複数の層を含む可能性がある)。ツールがリソグラフィックマスク(例えば、フォトマスク)である場合、基板ベース材料は、最終的なマスクの性質に応じて、関連する照射(例えば、フォトマスクの場合、UV又は可視光)に対して(実質的に)透明又は(実質的に)不透明であり得る。例えば、リソグラフィックマスクが、マスクの製造プロセスにおいて、基板ベース材料上に不透過性領域を生成することにより形成される場合、関連する照射に対して(実質的に)透明な基板ベース材料が利用可能である(例えば、除去されないレジストコーティングは、不透過領域を提供し得る、又は不透過性領域は、入念な表面修飾により生成可能である)。或いは、リソグラフィックマスクが、マスクの製造プロセスにおいて、基板ベース材料上に透明領域を生成することにより形成される場合、関連する照射に対して(実質的に)不透過性又は不透明な基板ベース材料が利用可能である(例えば、プロセスが基板ベース材料の部分を除去する表面修飾を含む場合−例えば、エッチングにより)。その他の実施形態では、基板ベース材料は、関連する照射に対して(実質的に)透明な材料(例えば、ガラス、透明プラスチック)の少なくとも1つの層、及び関連する照射に対して(実質的に)不透過性である材料の少なくとも1つの層を含むラミネートされた複合物であり得る。かかる状況下では、リソグラフィックマスクを製造するプロセスは、不透過性材料の領域を除去して透明部分を残すステップを含み得る。
リソグラフィックマスク、例えばフォトマスク等は、クロム金属吸収フィルムにより定義されたパターンに覆われた透明な溶融シリカの層を含み得るが、同パターンは、本発明に係る方法に基づき生成され、これにより高分解能のパターンを実現する。かかるマスクは、集積回路等の高分解能製品を製造するために、本発明のリソグラフィ的方法で用いることができる。
基板(又はその一部)が最終(プリントされた)製品に組み込まれる場合、好適には、基板ベース材料は、対象となる製品に適する材料である。特別な実施形態では、ベース基板は、電子部品基板である。適する電子部品基板は、シリコン(例えばシリコンウエハ)、銅、クロム、鉄、アルミニウム、又はガラスを含む、又はこれらから(実質的に)製造される基板を含み得る。ベース基板そのものは、例えばベース基板に塗布されるレジストコーティングに対するアンダーコートとして表面コーティングを含む。特別な実施形態では、ベース基板は、シリコン基板である。基板ベース材料は、半導体材料、最も好適にはシリコン、最も好適には単一の一体型シリコン結晶を実質的に含み得る、又はこれらから構成され得る。最も好適には、基板ベース層は、シリコンウエハである。好適には、本発明に係るレジストコーティング及び組成物が、集積回路の作製で用いられる場合、インプット基板は、部分的に作製された集積回路であり得、この場合、集積回路のいくつかの層は、すでに形成されている(任意選択的に、本発明に係るレジストコーティング又は組成物を用いて又は用いないで−その他の層は、従来方式のIC作製技法、例えば標準的なフォトリソグラフィ等を用いて形成され得る)。さらに、本発明に係るeBeamレジストコーティングが、集積回路の一部の作製中に用いられた(及び好適には除去された)後、集積回路の更なる層が形成され得る(任意選択的に、本発明に係るeBeamレジストコーティング又は組成物を用いて又は用いないで−やはり、その他の層は、従来方式のIC作製技法、例えば標準的なフォトリソグラフィ等を用いて形成され得る)。
基板は、基板ベース材料から実質的に構成され得る(例えばインプット基板が、例えば表面酸化、リソグラフィ、及び/又はその他の基板修飾ステップ(複数可)により、やはり修飾される場合)。
しかし、或いは、基板(インプット基板を含み得る)は、修飾ステップを経た基板ベース材料(好適には、基板ベース材料から実質的になる)を好適に含む(例えば、修飾された基板)。かかる修飾された基板は、本発明に係る方法(複数可)が適用される前に、事前処理ステップ又は事前コートステップ(例えば、レジストコーティングでコートする前に、シリコン酸化物の絶縁層を生成するために行われる、例えば表面の熱的酸化)により修飾された基板ベース材料を含み得る。さもなければ、本発明に係る方法(複数可)が適用される前に修飾され得る(例えば、部分的に形成された集積回路が、代替的技法を用いて、例えばフォトリソグラフィを用いて形成される)。或いは、本発明に係る方法(複数可)(又はそのステップ(複数可)の一部)が基板に適用される期間中、又はその後に修飾され得る。更なる基板層のそれぞれは、好適には、更なる基板材料を実質的に含む、又は同材料から構成されるが、該材料は基板ベース材料と同一であっても、また異なってもよい。特別な実施形態では、更なる基板層の1つ又は複数は、基板ベース材料を実質的に含む、又は同材料から構成されるが、但し必ずしも基板ベース層の一部である必要はない。
好適には、基板ベース層は、好適には、基板の曝露表面(すなわち、レジストコーティングが照射に曝露される表面−これは、処理期間中のレジストコートされた基板の最終的な配置を問わず、基板の最上部とみなすことができる)と比較して、基板のベース側に(又は基板のベースに)配置される。
好適には、本発明に係る方法(複数可)は、基板ベース層上に追加の層(複数可)(部分的な層(複数可)を含む)を生成し、及び任意選択的に、その後相互の層上に生成するステップ、基板ベース層又は任意の更なる基板層(複数可)内に追加の層(複数可)を組み込むステップ(例えば、ドーピングにより)、並びに/或いは基板ベース層の一部(複数可)及び/又は更なる基板層(複数可)の一部(複数可)を除去するステップ(例えば、エッチングにより)を含む。好適には、本発明に係る方法(複数可)は、底部側に(又は底部に)基板ベース材料を含む多層式基板を生成する。基板ベース層は、好適には、別の層が形成される基礎部分に該当する。
好ましい実施形態では、インプット基板は、酸化された(好ましくは熱的に酸化された)基板ベース材料の層の下部に位置する基板ベース層を含む。特別な実施形態では、インプット基板は、シリコン酸化物(又は二酸化ケイ素)の層の下部に位置するシリコンのウエハ(好適には、シリコンの単結晶)を含む。
当業者が認識するように、本発明に係る方法(複数可)により形成されたリソグラフィックマスク(例えば、フォトマスク)(すなわち、eBeam及び本発明の関連するeBeamレジストコーティングを用いて)が、後続するリソグラフィで用いられる場合(例えば、代替的な画像化された基板、多層式基板、集積回路等を形成するために)、同一の基板ベース材料(例えば、シリコンウエハ)が利用可能である。さらに、代替レジストコーティング(複数可)、リソグラフィック法(例えば、曝露及び現像法)が、本発明に係るeBeamレジストコーティング(複数可)及びeBeam特有の方法ステップの代わりに、又はそれに加えて(例えば、反復したステップにおいて)、リソグラフィックマスクと共に利用可能であるが、本明細書で定義する同様のリソグラフィック法が利用可能である。
本発明に係る方法は、シリコンベースの集積回路の製造、及びその製造に由来する製品に特に適用可能であるが、本発明は、電子部品の構築−例えばグラフェンベースの材料で用いられる将来的な材料にも同じように適用される。
<eBeamレジストコートされた材料とその形成>
本発明は、本明細書で定義するeBeamレジストコートされた材料及びeBeamレジストコートされた材料を形成する方法を提供する。eBeamレジストコートされた材料又は基板は、eBeamレジストコーティングをその表面(又は表面の一部)上に備えた、本明細書で定義する「基板」である。
eBeamレジストコートされた材料は、インプット基板を本明細書で定義するeBeamレジスト組成物でコートするステップ、及び任意選択的に、基板上にeBeamレジスト組成物のコーティングを形成するために、その後コーティングを硬化及び/又は乾燥させるステップを好適に含む。
インプット基板をコートするステップは、レジスト組成物(eBeamレジスト又は代替的レジストの別を問わない)をインプット基板表面(複数可)に塗布するステップを好適に含み、当業者により周知されている、任意数の方法により実施され得る。レジストコーティングを基板(基板ベース材料単体、多層式基板、インプット基板、又は修飾された基板等)に塗布するステップは、レジスト組成物(好適には、本明細書で定義するような、但し、本発明に係るレジスト組成物が、本発明に係る方法(複数可)において少なくとも1回用いられる限り、本発明の範囲外の代替レジスト組成物がさらに利用可能である)を、基板表面(又は表面の一部)に塗布するステップ、及び任意選択的に、レジストコーティングを形成するために、その後塗布されたレジスト組成物を硬化及び/又は乾燥させるステップを好適に含む。レジスト組成物は、任意の適する方式で塗布可能であるが、最も好適には、レジスト組成物は、ディッピング、スプレーイング、ブラッシング、ローラーコーティング、及び/又はスピンコーティングにより塗布される。最も好ましくは、レジスト組成物は、スピンコーティングにより基板に塗布されるが、スピンコーティングは、集積回路の作製において特に適する。特別な実施形態では、eBeamレジスト組成物は、スピンコーティングにより(例えば、スピナーを用いて)、ベース基板又はインプット基板に塗布され、好適には、これによりレジストスピンコートされたインプット基板が形成される。最も好適には、塗布後のレジスト組成物は、硬化及び/又は乾燥される(好適には、ベイキングを通じて)。レジストコーティングは、好適には(実質的に)均一な厚さを有する。当業者は、リソグラフィ前にレジストコーティングを基板に塗布する方法に十分精通している。
基板は、レジストコーティング等のコーティングを含む、又は同コーティングによりコートされるといわれる場合、前記コーティングは、前記基板表面(又はその一部)を好適に被覆する。
ベース基板又はインプット基板をレジスト組成物でコートした後、コーティングは、好ましくは硬化及び/又は乾燥される。好適には、コーティングは、ベース基板又はインプット基板上にレジストフィルムを形成するのに適する温度及び圧力及び時間で乾燥される。温度(及び特に減圧が用いられる場合、圧力)は、レジスト組成物の特定の溶媒に適合するように選択され得る(例えば、溶媒を蒸発させるために)。特別な実施形態では、コーティング(又はコートされたベース基板、又はコートされたインプット基板)は、大気圧(約1バール)及び60〜200℃の間(より好適には80〜180℃の間)の温度で、30秒〜5分の間(好適には90〜150秒の間、好適には約120秒)の時間ベイクされる。好適には、かかる硬化/乾燥ステップは、レジスト組成物中に存在する一部、大半、又は全ての溶媒(複数可)を除去し得る。散乱を防止する化合物が溶媒和化合物と関連する場合、好適には、一部、大半、又は全ての前記溶媒和化合物が、前記硬化及び/又は乾燥ステップにより除去される。
好適には、コーティングの平均の厚さは、10〜500nm、より好適には50〜200nmである。コーティングの最大の厚さは、好適には1000nm、より好適には500nmである。コーティングの最低の厚さは、好適には5nm、より好適には20nmである。本発明の技術は、極めて薄いレジストコーティングの効率的で高品質のパターン化を可能にする。
本発明に係るレジストコーティングは、ベース基板及びインプット基板に対して良好な接着、特に電子部品に適する接着を実現する。
レジストコーティングの塗布に関する上記の説明は、eBeamレジストコーティングに好適に関係するが、あらゆる説明が、フォトレジスト等の代替レジストコーティングの塗布にも同じように適用される(適合性を有すれば)と考えられ、当業者は、対象となるレジストコーティングに適するように、溶媒及びコーティング技法を適合させることが十分に可能である。
<曝露及び電子ビーム照射>
eBeamレジストコーティングの一部(複数可)を電子ビーム照射に曝露することにより、曝露されたeBeamレジストコーティングが得られる。事前ステップ及び/又は反復ステップにおいて、代替レジストコーティング及び任意選択的に代替照射が用いられる場合、関連するレジストコーティングの一部(複数可)を照射に曝露するステップにより、曝露されたレジストコーティングが得られる。
好適には、eBeamレジストコートされた材料のコーティングの一部(複数可)を照射に曝露するステップは、前記一部(複数可)を選択的に曝露するステップを含む一方、その他の部分(複数可)は選択的に曝露されない。したがって、該方法は、コーティングの全てを照射に曝露するステップを好適に除外する。
コーティングの一部(複数可)の選択的曝露は、集束式ビーム又は標的を定めたビーム(例えば、電子ビーム又はレーザービーム等、例えばeBeamレジストを用いる場合、UVレーザービームが好ましい)による関連する部分(複数可)の直接照射、或いはコーティングの曝露される部分(複数可)の位置に対応する、事前に決定された開口部を備えるマスク(例えば、フォトレジストを用いる場合、フォトマスクが好ましい)を介した、コーティングのブランケットフラッド(すなわち、非集束式/標的を定めない)曝露を含み得る。用いられる具体的な曝露技法は、採用される具体的な照射に依存し得る。
好適には、コーティングの曝露された部分(複数可)では、変換、好適には化学的変換が生じ、好適には、このような変換は、好適には任意選択的にの曝露後のベイクの前後を問わず、好適には任意のかかる曝露後のベイクの前に、その溶解度特性を変化させる(好適には、事前に決定された現像媒体、例えば本明細書に記載する現像媒体の1つに関連して)。
好適には、「照射曝露された」コーティングの部分は、「照射曝露されない」コーティングの部分とは異なる溶解度特性を有する。この溶解度の相違は、好適には、コーティングの現像及び「照射曝露された」部分又は「照射曝露されない」部分のいずれかの選択的除去(レジストがポジ型レジストか、又はネガ型レジストか、その型に応じて)を可能にする。
一般的に、コーティングの曝露部(複数可)におけるレジスト材料(複数可)(散乱を防止する化合物及び/又はベースポリマー成分を含み得る)は、好適にはより短いポリマー又はモノマー断片に少なくとも部分的に断片化される(すなわち、好適には照射によって引き起こされる、好適には鎖切断法による、化学結合切断により)。かかる断片化は、一次照射(例えば、eBeamの一次電子)及び/又は二次電子(任意選択的に、一次照射に反応して二次電子ジェネレーターにより生成される)により好適に引き起こされる。好適には、かかる短縮したフラグメントは、現像媒体中で、オリジナルのベースポリマー成分より高い溶解度を有する。
レジスト組成物又はレジストコーティングが、ポジ型(すなわち、ポジ型レジスト)である場合、好適には、コーティングの曝露された部分(複数可)は、より可溶性となる(好適には、事前に決定された現像媒体、例えば本明細書に記載する現像媒体の1つに関連して)。したがって、照射(及び任意選択的に曝露後のベイク)の正味の効果は、レジストコーティングの曝露された部分(複数可)の溶解度を高めることである。したがって、好適には、曝露された部分(複数可)は、後続する現像ステップの後に除去されるように意図される。好適には、レジストコーティングの溶解度の増加は、上記したベースポリマー成分の分解の結果である。
レジスト組成物又はレジストコーティングが、ネガ型(すなわち、ネガ型レジスト)である場合、好適には、コーティングの曝露された部分(複数可)は、可溶性に劣るようになる(好適には、事前に決定された現像媒体、例えば本明細書に記載する現像媒体の1つに関連して)。したがって、照射(及び任意選択的に曝露後のベイク)の正味の効果は、レジストコーティングの曝露された部分(複数可)の溶解度を低下させることである。したがって、好適には、曝露された部分(複数可)は、後続する現像ステップの後、そのまま留まるように意図される。上記したようなベースポリマー成分の分解は、溶解度の上昇を一般的に引き起こすので、ネガ型レジスト組成物は、好適には、架橋剤等のネガ型レジスト剤をさらに含む。かかる架橋剤は、照射期間中に及び/又はあらゆる任意選択的にの曝露後のベイク期間中に、ベースポリマー成分、又はそのあらゆるポリマーフラグメント若しくはモノマーフラグメント(上記を参照)を好適に架橋し得るが、これによりオリジナルのベースポリマー成分よりも可溶性に劣る架橋ポリマー成分を提供する。所定のエネルギー及び/又は強度閾値を上回る照射により、ネガ型レジスト剤(例えば、架橋剤)そのものが、分解及び/又は破壊され、それによりその意図する機能の実現が妨げられるおそれがあるという単純な理由から、ネガ型レジストがポジ型レジストになり得ることは、当業者により容易に認識される。したがって、ネガ型レジストは、当業者にとってその決定が容易な所定の限界値内でのみ、ネガ型レジストとして機能し得る。
コーティングの曝露により、現像可能な基板が直接もたらされる場合がある(すなわち、現像処理を受けるとパターン化された基板を生成し得る基板)。しかし、追加の後続する処理ステップが用いられる場合もある。好適には、コーティングの照射曝露には、曝露後のベイクが後続し得る。曝露後のベイクは、現像可能な基板を形成するのに適する温度及び圧力及び時間でベイキングするステップを含み得る。温度(及び特に減圧が用いられる場合には、圧力)は、レジスト組成物の特定の溶媒に適合するように選択され得る(例えば、溶媒を蒸発させるために)。特別な実施形態では、曝露されたコーティング(又は曝露された、コートされたベース基板又は曝露された、コートされたインプット基板)は、大気圧(約1バール)、及び60〜200℃の間(より好適には80〜180℃の間)の温度で、30秒〜5分の間(好適には90〜150秒の間、好適には約120秒)の時間ベイクされる。
レジスト組成物と共に利用するのに適する任意の照射が利用可能である。好適には、レジスト組成物は、特定の照射を用いた曝露用に配合され、したがって、照射は、対象となるレジスト組成物に基づき選択され得る。好適には、対象となる照射は、電磁的照射(特に紫外線)又は電子ビームである。明らかに、本発明に係るeBeamレジスト組成物及びコーティングは、電子ビーム照射により曝露されるようにデザインされる。代替レジスト組成物及びコーティングは、光、好適にはUV又は可視光による、最も好適にはフォトマスクを介した曝露について、最も好適に設計される(すなわち、フォトリソグラフィと同様に)。
好適には、照射は、電子ビーム照射である(すなわち、電子ビームにより提供されるものである)。好適には、電子ビーム照射は集束式の標的を定めたビームであり、これにより、コーティングの関連する部分(複数可)の直接照射を可能にする(すなわち、マスキングを一切用いない)。したがって、電子ビームを用いたコーティングの曝露は、ビームを用いてコーティング上に(効率的に)書き込むステップを含み得る。電子ビームのエネルギー(又は加速電圧)、電流、及び書き込みスピードは、当業者により、状況に応じてしかるべく選択され得る。しかし、本発明に係るeBeamレジストコーティングを曝露させるには、電子ビーム照射(すなわち、一次電子)は、10〜300keVの間、好適には30〜200keVの間、好適には50〜150keVの間、最も好適には90〜110keVの間の初期エネルギー(又は加速電圧)を好適に有し得る。電子ビームは、25〜300pA/ビームの間(pA=ピコアンペア)、好適には50〜270pA/ビームの間、最も好適には200〜250pA/ビームの間の電流を好適に有する。電子ビームが、集束式の標的を定めたビームとして(すなわち、書き込み用として)利用される場合、電子ビームは、30μC/cm2未満(μC=電子荷電の単位、μC/cm2=単位面積当たりの電子荷電)、好適には20μC/cm2未満、より好適には10μC/cm2未満、最も好適には5μC/cm2未満の書き込みスピード(又は曝露線量)を好適に有する。書き込みスピードは、低くても0.5μC/cm2であり得るが、好適には0.5μC/cm2以上、好適には1μC/cm2以上である。特別な実施形態では、照射は、15〜60keVの間のエネルギー、25〜300pA/ビームの間の電流、及び20μC/cm2未満の書き込みスピードを有する電子ビームである。本発明は、低エネルギー電子ビームを利用できるようにし、これによりレジストの機能を損ねるおそれのある、レジスト組成物の成分に対する(例えば、架橋剤に対する)損傷を最低限に抑える。電子ビームは、当業者にとって周知の方法により生成可能である。
一実施形態では、非eBeam照射(例えば、紫外線照射)と共に代替レジストコーティングが用いられる場合、前記照射は10〜400nmの間の波長を好適に有する。紫外線照射が曝露に用いられる場合、レジスト組成物(したがってレジストコーティング)は、紫外線照射に曝露された際にコーティングの変換プロセスを促進する追加成分(例えば、光酸及び/又は光触媒)を好適に含む。紫外線照射は、曝露中に、特に本明細書で定義する二次電子ジェネレーターの存在下において二次電子を誘発し得る(電子ビーム照射とほぼ同様に、但し二次電子はより間接的に生成し得る)。紫外線照射は、当業者にとって周知の方法により生成可能である。紫外線照射は、10〜124nmの間、より好適には10〜20nmの間、更に好適には11〜15nmの間(最も好適には、約13.4nm)の波長を好適に有する極紫外線(EUV)であり得る。或いは、紫外線照射は、150〜240nmの間、好適には180〜210nmの間、より好適には190〜200nmの間、更に好適には約193nmの波長を有し得る。
好適には、本明細書で定義した、散乱を防止する化合物がレジスト組成物(及びレジストコーティング)内に存在する場合、レジスト組成物又はそのコーティングの曝露は、前記散乱を防止する化合物の非存在下よりも十分に制御される。散乱を防止する化合物は、放射(及び過剰に生成する場合には任意選択的に二次電子も)を集束させ、所望の曝露部位に誘導し、好適にはそれにより望ましくない曝露を最小限にすると考えられる。換言すれば、散乱を防止する化合物は、放射線(及び/又は二次電子)の漏出を防ぎ、それにより、放射線(及び/又は二次電子)の変換作用を制限して、より高い分解能の曝露を保証し得る。さらに、散乱を防止する化合物は、レジスト内の特定の脆弱な成分、例えば、さもなければ曝露されたレジストの後の現像に支障を来たし得る、架橋剤(ネガ型レジストが所望の場合)の過剰な曝露を防ぎ又は低減し得る。
<レジストコーティングの現像及び現像媒体>
本発明は、本明細書で定義するようなパターン化された基板及びその調製法(例えば、曝露された、eBeamレジストコートされた材料の現像)を提供する。好適には、「現像」は、レジストコーティング内に溝を形成し、これによりパターン層が形成される。
曝露されたeBeamレジストコーティングを現像するステップは、eBeamレジストコーティングの現像剤に不溶性のコーティング部分(すなわち、畝)、及びeBeamレジストパターン層を通過して延在する一連の溝を含むeBeamレジストパターン層を生成する。特定の実施形態では、レジストパターン層の下部に位置する基板の表面は、畝により好適にマスクされるが、溝の内部は/溝により露出している。
曝露された、レジストコートされた材料の現像は、現像媒体を用いて好適に実施される。したがって、曝露された、レジストコートされた材料、又は少なくともその曝露後のコーティングは、レジスト組成物のコーティングの曝露部分(複数可)(ポジ型レジストの場合)、又は非曝露部分(複数可)(ネガ型レジストの場合)を除去する(好適には、溶解ステップを通じて)のに十分な方式で現像媒体(好適には液体である)と好適に接触する(例えば、現像媒体で洗浄され、及び/又は現像媒体内に浸漬される)。本発明に係るeBeamレジストコーティングの場合、現像媒体は非曝露部分(複数可)を好適に除去する。
上記のように、レジストコートされた材料を曝露すると、一般的に、コーティングの曝露部分(複数可)が、コーティングの非曝露部分(複数可)とは異なる溶解度(好適には、事前に決定された現像媒体に関連して)を有するようになる。コーティングの曝露部分(複数可)と非曝露部分(複数可)との間のこのような溶解度の相違は、曝露された、コートされたレジスト材料の後続する現像を円滑化するのに役立つ。したがって、コーティングの曝露部分(複数可)又は非曝露部分(複数可)は、選択的に除去されて(好ましくは溶解されて)、パターン層を通過して(すなわち、オリジナルのコーティングであった部分を通過して)延在する一連の溝を含む、このようなパターン層にコーティングは変換し得る。パターン層の溝は、除去されたコーティングの部分(複数可)に対応する一方、パターン層の畝/突起(すなわち、溝ではない)部分(複数可)は、そのまま留まるコーティングの部分(複数可)に対応する。したがって、パターン層(好適には、その溝ではない部分(複数可))は、レジスト組成物のコーティングの曝露部分(複数可)(ポジ型レジストの場合)、又は非曝露部分(複数可)(ネガ型レジストの場合)である畝又は突起(すなわち、溝と溝の間の部分)を好適に含む。
特定の現像条件は、例えば得られたパターン化処理後の基板の品質を最適化するため、又は現像プロセスを最適化するために(コスト、スピード、又は最終的な製品品質を問わずその利益のために)調整可能である。現像時間(例えば、曝露されたコーティングを浸漬する場合の時間)は、例えば、除去するように意図されたコーティングの部分(複数可)の除去を最大化し、またそのまま留まるように意図されたコーティングの部分(複数可)の除去又は損傷が最小限に抑えられるように最適化され得る。同様に、現像媒体も、現像プロセス又は得られた製品の一方又は両方を最適化するために調整可能である。
好適には、現像後に、パターン化された基板の調製法は、好適には、有機溶媒を好適に含むリンス媒体を用いて、パターン層をリンスするステップを含む。
好適には、現像後に、及び任意選択的にリンス後に、方法は、パターン化された基板を乾燥(又はベイキング)させるステップをさらに含む。
現像媒体そのものは、当技術分野において公知の任意の適する現像媒体であり得る。好適には、現像媒体は、レジスト組成物(又はそのコーティング)を補完する。最も好適には、現像媒体は、好適には、レジストコーティングの曝露部分とその非曝露部分の間の差異(すなわち、溶解度及び/又は可溶化速度の相違)を最適化するために、レジスト組成物とその曝露後のカウンターパートの溶解度特性を補完する。レジスト組成物/コーティングが、本発明に係るeBeamレジスト組成物/コーティングである場合、好適には、現像媒体は、曝露されない散乱を防止する化合物を溶解する。
レジスト組成物(又はそのコーティング)がネガレジストである場合、現像媒体は、散乱を防止する化合物及び/又はベースポリマー成分が、その内部で(実質的に)可溶性である、又は散乱を防止する化合物及び/又はベースポリマー成分の曝露後カウンターパートよりも少なくとも高度に可溶性である溶媒を好適には含む。レジスト組成物(又はそのコーティング)がポジレジストである場合、現像媒体は、散乱を防止する化合物及び/又はベースポリマー成分が、その内部で(実質的に)不溶性である、又は散乱を防止する化合物及び/又はベースポリマー成分の曝露後カウンターパートより少なくともさほど可溶性でない溶媒を好適には含む。
現像媒体は、現像により除去されるように意図された、曝露された又は曝露されない(ポジ型レジストか又はネガ型レジストか、その型に応じて)レジスト組成物(又はそのコーティング)の全ての成分を溶解することができる場合と、そうでない場合があるが、あらゆる不溶性(又は可溶性に劣る)成分は、ベースポリマー成分又は前記不溶性成分と混ざりあった、その曝露後のカウンターパートの溶解(又は部分的な溶解)の後に、スラリー、懸濁物、又は分散物としてなおも除去され得る。
本発明に係るeBeamレジストコーティング用の現像媒体は、有機溶媒、好適には非極性有機溶媒を好適に含む、又はそれから構成され、好適には有機化合物である。有機溶媒は、1つ又は複数の炭化水素溶媒、好適には1つ又は複数の(C4〜12の)炭化水素溶媒より好適に選択される。例えば、有機溶媒は、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,3−トリメチルペンタン、ペルフルオロヘキサンとペルフルオロペンタン、及び芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエン、エチルメトプロピルベンゼン、ジメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、及びジプロピルベンゼン)等のうちの1つ又は複数から選択され得る。特別な実施形態では、本発明に係るeBeamレジストコーティング用の現像媒体は、ヘキサンである。
パターン層は、パターン層を通過して延在する一連の溝(すなわち、溝パターン)と、一連の畝/突起(すなわち、パターン層の溝ではない部分(複数可))とを含むと考えられ得る。畝は、現像剤に不溶性のコーティング部分に好適に対応する一方、溝は、現像剤に可溶性コーティング部分(すなわち、現像の際に除去される)に好適に対応する。
本発明は、極めて高い分解能が達成されることを可能にする。本発明に係るeBeamレジストコーティングを用いて得られるパターン層(特に溝及び/又は畝パターン)の分解能は、好適には50nm未満、より好適には20nm未満、更に好適には10nm未満、特に好適には7nm未満である。一般的に、分解能は、少なくとも1nm、好適には少なくとも2nm、より好適には少なくとも5nmである。このような分解能は、高エネルギー照射曝露により、例えば、10keV以上のエネルギーの電子ビームにより達成され得る。
更に、本発明に係るeBeamレジストコーティングの特別な長所の1つは、曝露されたeBeamレジストコーティング基板の現像後に生成する溝(又はトレンチ)が、傾斜した壁と対照的に、(実質的に)垂直な壁を有することである。好適には、溝の壁は、下部の基板表面に対して実質的に垂直である(例えば、90°+/−20°、好適には+/−10°、より好適には+/−5°、最も好適には+/−1°)。これは、後の表面修飾ステップの有効性及び分解能を著しく改善する。例えば、エッチングにより形成されるトレンチの壁のプロファイルは、下部の基板表面(すなわち、トレンチの底部)に対して実質的に垂直である(例えば、90°+/−20°、好適には+/−10°、より好適には+/−5°、最も好適には+/−1°)。このような明瞭なパターン化及び後の表面修飾は、一次電子との衝突後に散乱を防止する化合物によってもたらされる散乱事象及び二次電子の欠如のため達成できる。したがって、最終集積回路におけるこのような明瞭なパターン化及び/又は表面修飾の存在は、用いられた本発明を示している。
好適には、溝の横縦比(すなわち、幅/高さ比)は、1:1以上、より好適には5:1以上、更に好適には10:1以上であり、印象的には15:1以上、又は20:1以上の横縦比が達成され得る。本発明の基礎をなす技術は、特に散乱を防止する化合物が用いられる場合に、極めて高い横縦比が実現されることを可能にする。
<パターン化/現像された基板の更なる処理>
曝露されたレジストコーティングを現像した後、本特許の層の下部に位置する基板表面は、いくつかの方法のうち、任意の1つ又は複数の方法で選択的に修飾され得る。基板、基板表面、又はその一部(複数可)を選択的に修飾するステップは、無制限に反復可能であるので(残存するレジストパターン層の全てを除去する前又は後、及び任意選択的に更なるリソグラフィ段階の後に)、1つ又は複数の連続する基板/表面の選択的修飾ステップも起こり得るが、これは、任意選択的に、本明細書で詳記する任意のステップ又はその組み合わせから選択され得る。
好適には、かかる選択的修飾期間中に修飾された基板/表面の部分(複数可)は、露出した、又はパターン層内の溝の下部に位置する部分(複数可)である(すなわち、下部に位置する修飾対象表面は露出し得る/目視可能である、又はその上に残留するレジストの比較的薄い層を有するに過ぎない)。
基板/表面を選択的に修飾するステップは、基板/基板表面の一部(複数可)を除去するステップ、基板/基板表面に(又はその上に)材料を添加若しくは積層するステップ、及び/又は基板/基板表面の一部(複数可)を変化させるステップを含み得る。
基板/基板表面の一部(複数可)を除去することにより基板/表面を修飾するステップは、例えば基板/表面をエッチングするステップを含み得る。集積回路の作製に関する文脈においては、一般的に、かかるエッチングは、絶縁材料(例えば、好適には、下部に位置する導電性材料を保護する、例えばシリコン酸化物/二酸化物の層)を除去し、好適には、これにより下部に位置する導電性材料(例えば、シリコン)を露出させるために実施される。二者択一的に又は付加的に、エッチングステップは、導電性材料(例えば、シリコン)をエッチングするステップを含み得る−例えば、キャパシタは、シリコン表面を深くエッチングして形成されるトレンチにより生成され得る。
リソグラフィックマスク(例えば、フォトマスク)の製造に関する文脈においては、かかるエッチングは、不透過性の材料又は層を除去し、照射を通過させることができる下部に位置する透明な材料を露出させることができる(例えば、前記得られたリソグラフィックマスクを介したリソグラフィック曝露中に)。
好適には、エッチングは、畝の下部に位置する基板/表面の部分(複数可)(実質的に保護されている)ではなく、パターン層の溝(複数可)の下部に位置する基板/表面の部分(複数可)を選択的にエッチングする。
基板/基板表面の部分(複数可)を変化させることにより基板/表面を修飾するステップは、例えば基板/表面の透明性を変化させるステップ(例えば、リソグラフィックマスクの製造において)、又は基板/表面(若しくはその関連する部分(複数可))の電気特性を変化させるステップ(例えば、集積回路の製造において)を含み得る。基板/表面の電気特性を変化させるステップは、下部に位置する被修飾基板/表面(例えば、溝により露出した)が半導体(例えば、シリコン)である場合に、特に適用可能である。基板/表面(複数可)の電気特性を変化させるステップは、基板/表面の関連する部分(複数可)を「ドーピングするステップ」を含み得る。ドーピングするステップは、半導体技術分野において周知の現象であり、また集積回路(例えば、ダイオード、論理ゲート、トランジスタ等)内に電子部品を構築しやすくする。かかるドーピングするステップは、当技術分野において周知の技法、例えば拡散(例えばドーパントが基板内に拡散し、その結果基板内に埋め込まれる場合)、イオンインプランテーション(例えば、イオンビームが基板中にイオンをインプラントする場合)等の技法を用いて実施可能である。
しかし、ドーピングするステップは、プレデポジション、例えばドーピングされた積層物のエピタキシャル成長(例えば、Si−Ge層のエピタキシャル成長)により実現可能である。
好適には、基板/基板表面の部分(複数可)を変化させることにより基板/表面を修飾するステップは、基板/表面の部分(複数可)を変換することにより−例えば熱的酸化により、絶縁層(insulation layer)(若しくは絶縁層(isolation layer))、又はゲートを形成するステップを二者択一的に又は付加的に含み得る(例えば、シリコン等の電導体の熱的酸化により、絶縁体の二酸化ケイ素が生成する)。
材料を基板/基板表面に(又はその上に)付加又は積層することにより基板/表面を修飾するステップは、例えば、電子部品又は導電素子を絶縁するために、例えば絶縁材料を積層するステップを含み得る。或いは、導電性材料を積層するステップを含み得る(例えば、金属メッキ等)。
上記表面修飾ステップのいずれか、一部、又は全部は、多層式基板、例えば集積回路等(例えば、ダイス又はウエハ)を形成するために、採用可能である(好適には連続的に、但し任意選択的にリソグラフィックステップを交えて−例えば再コーティング、再曝露、再現像)。
好適には、しかるべき段階(例えば、1つ又は複数の表面修飾の後)において、1つ又は複数のレジストパターン層(eBeamレジストパターン層であっても、またなくてもよい)が除去される。当技術分野において公知の様々な技法が、かかる除去のために採用され得るが(例えば、化学的除去、物理的除去、熱処理、照射による除去、又はプラズマアッシング、又はその組み合わせ)、但しプラズマアッシングが、集積回路作製に関する文脈において採用され得る。或いは、残存するレジストパターン層(複数可)は、溶媒を用いて(例えば、溶解を通じて)、又は選択的エッチングプロセスにより除去され得る。
いくつかの実施形態では、レジストパターン層が除去されたら、修飾の対象となる表面全部が、全体として処理/修飾され得る。
ステップ(vi)は、連続的な表面修飾ステップが実施可能なように(パターン層除去の前及び/又は後において)、表面修飾ステップの反復を可能にする。さらに、ステップ(vi)は、全てのリソグラフィステップ(ステップi)〜iii))、さらに表面修飾ステップ(ステップiv))、及び任意選択的なパターン層除去(ステップv))ステップが任意の回数繰り返されるのを可能にする。方法が、本発明に係るeBeamレジスト組成物/コーティングに関わる少なくとも1つのステップ、又は本発明のツール(例えば、リソグラフィックマスク)に関わる少なくとも1つのステップを含む限り、あらゆる全ての反復ステップは、代替レジストコーティング、及び該当する場合には代替照射(曝露中)を、本発明に係るeBeamレジストコーティング及び電子ビーム照射(曝露中)の代わりに利用することができる。或いは、あらゆる全ての反復ステップは、本発明に係るeBeamレジストコーティング及び電子ビーム照射を利用することができる。したがって、好適には、集積回路等の製造において、反復ステップは制限されないこと、及び本発明の範囲外の多様な方法ステップを許容することは明白なはずである。
集積回路の作製に関する文脈において、基板/表面(又はその一部(複数可))を選択的に修飾するステップは、フロントエンドオブライン(FEOL)処理(例えば、トランジスタ等の電子部品の基板、すなわちシリコン内で直接形成すること)を含み得る。実際には、ステップ(i)〜(vi)は、フロントエンドオブライン(FEOL)処理を一体化して構成し得る。多層式基板は、その例として集積回路が挙げられるが、これは、複数の反復ステップにより、また任意選択的に事前ステップによっても作ることができると認識される。本発明に係る方法(複数可)において、本発明に係るeBeamレジストコーティングが少なくとも1回用いられる場合、又はeBeamレジストコーティングを用いて取得されたリソグラフィックマスクが少なくとも1回用いられる場合には、常に本発明が利用される。
上記の処理オプション及び特徴は、リソグラフィックマスクの製造法(集積回路の作製に関係する特徴が、リソグラフィックマスクの作製に特別適用されるものではないのは明らかであるが)、リソグラフィの実施法(本発明に係る方法により形成されたリソグラフィックマスクを用いて)、多層式基板の製造法、又は集積回路ダイス若しくは複数の集積回路ダイスを含む集積回路ウエハの作製法に対し、同じように適用可能である。
一般的に、ステップ(vi)には、1つ又は複数の仕上げステップ、例えばバックエンドオブライン(BEOL)処理等(集積回路の作製で用いられる)が後続し得る。これは、電子部品を導電的に相互接続するステップ、及び/又は外部接触端子を設けるステップを含み得る。
任意の数の事前ステップが、この方法のステップ(i)に先行し得ることは明白である。特別な実施形態では、インプット基板そのものは、複数の事前処理ステップをすでに経た、部分的に作製された集積回路ダイス(又はダイスのウエハ)である。
<本発明に係るeBeamレジスト組成物を用いて製造したリソグラフィックマスクを用いたリソグラフィ>
上述したように、本発明に係るeBeamレジスト組成物は、リソグラフィックマスクを製造するのに利用可能である。リソグラフィックマスクは、本発明の電子ビームリソグラフィ法により好適に製造され、任意選択的に、リソグラフィックマスクを提供するのに必要とされる任意の更なる処理ステップを含み得る。リソグラフィックマスクは、マスクパターンを備える(これは、好適には、前記マスクを用いて製造されるパターン層の意図するような畝パターンのネガ型又はポジ型画像である)。マスクパターンは、表面/基板の不透明領域と隣接する表面/基板の透明領域により好適に特徴づけられる。かかるマスクは、本明細書で定義するようなリソグラフィを実施する方法で一般的に用いられる(ステップii)が、リソグラフィックマスクを介した曝露と関係する場合)。マスクの透明領域と不透明領域とを組み合わせることにより、好適には、関連する照射(本発明の1つに該当するしないに関係なく、レジストコーティングを曝露するため)の透明領域の通過が可能となり(そしてこれにより、レジストコーティングは曝露される)、また不透明領域による遮蔽が可能となる(これによりレジストコーティングの非曝露部分が残る)。曝露されたレジストコーティングは、次に通常通り現像され、レジストパターン層を得ることができる。
かかるリソグラフィックマスクは、これが超高分解能のマスクパターンを含むという点において、本発明から利益を得るので、好適には、超高分解能レジストパターン層が、前記マスクを用いて製造可能である。かかるマスクは、本発明に係るeBeamレジストコーティングを含むステップと組み合わせて、又は同ステップなくしても、本明細書で定義する任意の方法で利用可能である。
本発明の1つの態様では、本発明の電子ビームリソグラフィから得られる製品に関連して、本明細書で定義するような分解能を有するマスクパターンを備えたリソグラフィックマスクが提供される。
最も好適には、リソグラフィックマスクは、フォトリソグラフィで利用するのに適するフォトマスクである(すなわち、照射が電磁的照射、好適にはUV又は可視光である場合)。
<集積回路ウエハ及びダイス>
本発明は、集積回路ダイス、又は複数の集積回路ダイスを含む集積回路ウエハの作製法を提供し、該ダイス又は各ダイスは、複数の電子部品を含み、同方法は、
i)本明細書で定義する(eBeam)レジストコートされた基板を用意するステップ、又は(eBeam)レジストコーティングを基板に塗布するステップと、
ii)(eBeam)レジストコーティングの一部(複数可)を電子ビーム照射に曝露して、曝露された(eBeam)レジストコーティングを用意するステップと、
或いは
iii)レジストコートされた基板を用意するステップ、又はレジストコーティングを基板に塗布するステップ(レジストコーティングは、リソグラフィックマスクを介した曝露に適する任意のレジストコーティング、例えばフォトレジストであり得る)と、
iv)本明細書で定義する(又は本明細書で定義する方法により取得可能な)リソグラフィックマスク(例えば、フォトマスク)を介して、レジストコーティングの一部(複数可)を照射(例えば、UV又は可視光)に曝露して、曝露されたレジストコーティングを用意するステップと、
並びに
iii)曝露された(eBeam)レジストコーティングを現像して、(eBeam)レジストコーティングの現像剤に不溶性のコーティング部分(すなわち、畝)及び(eBeam)レジストパターン層を通過して延在する一連の溝を含む、(eBeam)レジストパターン層を形成するステップと、
iv)(eBeam)レジストパターン層の下部の、基板、基板表面、又はその一部(複数可)を修飾するステップ(これは、該ダイス又は各ダイスの電子部品を電導体(複数可)と導電的に相互接続するステップを含み得る)と、
v)(eBeam)レジストパターン層を除去して、修飾基板を用意するステップと、
vi)任意選択的に、修飾基板上で、1又は複数回、ステップiv)及び/又はステップi)〜v)を繰り返すステップ(本発明に係るレジストコーティング又はフォトレジスト等の代替レジストコーティングを用い、任意選択的にリソグラフィックマスクを用いた若しくは用いない電子ビーム照射又は可視又は紫外光等の代替放射線を曝露中に用いて)と
vii)任意選択的に、該ダイス又は各ダイスの電子部品を電導体(複数可)と導電的に相互接続して(1つ又は複数の基板/基板表面の修飾ステップ中にすでに実施されていない場合)、外部接触端子を備えた集積回路を用意するステップと、
viii)任意選択的に、1つ又は複数の更なる仕上げステップを実施するステップと、
ix)任意選択的に、集積回路ダイスを複数の集積回路ダイスを含むウエハから分離するステップと
を含む。
方法のステップ(i)が、任意選択的に、本法のステップ(i)〜(vi)を実施するステップ(すなわち、事前ステップ(i)〜(vi)、任意選択的に、2ステップ(i)/(ii)の組み合わせのいずれかを用いる)、及び/又は電子ビームリソグラフィを実施する方法のステップ(i)〜(vi)を実施するステップに後続し、任意選択的に、1又は複数回、eBeamレジストコーティング又は代替レジストコーティングを用いて、曝露中に電子ビーム照射又は代替照射を用いて繰り返される。
eBeamレジストコーティングは、任意選択的に乾燥及び/又は硬化させたレジスト組成物を好適に含み、eBeamレジスト組成物は、散乱を防止する化合物を含む。
特別な実施形態では、ステップ(i)及び(ii)は、
i)本明細書で定義する(eBeam)レジストコートされた基板を用意するステップ、又は(eBeam)レジストコーティングを基板に塗布するステップと、
ii)(eBeam)レジストコーティングの一部(複数可)を電子ビーム照射に曝露して、曝露された(eBeam)レジストコーティングを用意するステップと
を含む。
特別な実施形態では、ステップ(i)及び(ii)は、
i)レジストコートされた基板を用意するステップ、又はレジストコーティングを基板に塗布するステップ(レジストコーティングは、リソグラフィックマスクを介した曝露に適する任意のレジストコーティング、例えばフォトレジストであり得る)と、
ii)レジストコーティングの一部(複数可)を、本明細書で定義する(又は本明細書で定義する方法により取得可能な)リソグラフィックマスク(例えば、フォトマスク)を介して、照射(例えば、UV又は可視光)に曝露して、曝露されたレジストコーティングを用意するステップと
を含む。
集積回路ダイス、又は複数の集積回路ダイスを含む集積回路ウエハを作製するこの方法に関連する特性は、任意選択的な特性、適する特性、及び好ましい特性を含め、電子ビームリソグラフィを実施する方法に関連して本明細書でこれまでに記載されている。
しかし、1つ又は複数の集積回路ダイスの作製は、多くの処理ステップを含み得ること、及び多層式基板の製造を含み得ると認識することが重要である。
当業者が認識するように、集積回路を製造するステップ(回路基板に組み入れるための)は、ウエハ処理ステップ(すなわち、シリコンウエハを処理するステップ)、ダイス調製(例えば、処理されたウエハから個々のダイスに切り出す/分離するステップ)、集積回路パッケージングステップ(回路基板内で利用可能となるように、各ダイスをパッケージングする場合)を一般的に含み、また好適には集積回路試験も含み得る。
ウエハ処理ステップは、当技術分野において十分に理解されているが、特定の実施形態では、ウエハ処理ステップは、湿式洗浄、フォトリソグラフィ、イオンインプランテーション、ドライエッチング及び/又はウェットエッチング、プラズマアッシング、熱処理(例えば、アニーリング、又は熱的酸化)、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、分子ビームエピタキシ(MBE)、及び/又は電気化学堆積(ECD)、ウエハ試験(例えば、電気的性能を妥当性確認するため)、及びウエハの裏面研削(ウエハ及び得られるダイス及びチップの厚さを低減するため)を含むことに留意すべきである。本発明に係る方法、レジスト組成物/コーティング、及びリソグラフィックマスクは、好適には、ウエハ処理ステップ期間中に少なくとも1回用いられる。eBeamレジストコーティングが、ウエハ処理ステップ期間中に用いられる場合、好適には、少なくとも1つのフォトリソグラフィ操作(基板レジストのコーティング、曝露、及び現像が組み合わされた)は、フォトレジストの代わりに本発明に係るeBeamレジストコーティングを使用する電子ビームリソグラフィ操作に置き換わる。本発明に係るeBeamレジストコーティングを用いて製造されるリソグラフィックマスク(すなわち、本発明を用いてのみ達成可能な分解能レベルにより特徴づけられるマスク)が、ウエハ処理ステップ期間中に用いられる場合、好適には、少なくとも1つのフォトリソグラフィ操作が、曝露中に前記リソグラフィックマスクを利用するリソグラフィ操作に置き換わる(リソグラフィ操作そのものは、フォトリソグラフィ、又はeBeamを含むその他の任意の種類のリソグラフィと関係し得るが、但しフォトリソグラフィが最も好ましい)。しかし、本発明に係るeBeamレジストコーティング又はリソグラフィックマスクが1回のみ(又は単一の層のみ、又は単一の電子部品のみ、又は単一セットの電子部品を製造するために)用いられ、そしておそらくは、更なるリソグラフィ操作(例えば、フォトリソグラフィ)が、いずれも集積回路の作製に関する当技術分野において公知の標準的技法を採用し得る場合であっても、本発明のベネフィットは認識され得るものと理解される。したがって、本発明に係る方法は、本発明のコーティング又はリソグラフィックマスクを用いないで実施される反復ステップについて、そのいずれか又は全てに対して(及び任意の事前ステップについて、そのいずれか又は全てに対しても)、オプションを提供する。
上記した通り、方法のステップ(i)〜(vi)は、フロントエンドオブライン(FEOL)処理に該当し得る。任意選択的に、この処理ステップは、少なくともある程度、ダイス又は各ダイスの電子部品を導電的に相互接続するステップを含む。しかし、最も好適には、ステップvii)〜ix)は、バックエンドオブライン(BEOL)処理ステップに該当する。
好適には、電子部品を導電的に相互接続するステップは、メタライゼーションと関係する。好適には、電子部品を導電的に相互接続するステップは、1つ又は複数の誘電層(すなわち、絶縁層)により絶縁された金属相互接続ワイヤーを作成するステップを含み、絶縁材料は、一般的に二酸化ケイ素(シリコンの熱的酸化により一般的に形成される)、又はシリケートガラスであるが、但し材料は限定されない。
メタライゼーションは、金属ワイヤー、例えば銅又はアルミニウムワイヤー等のネットワークを形成するステップを含み得る。かかるプロセスは、a)修飾された基板を金属(例えば、銅又はアルミニウム)でブランケットコートするステップ、パターン化するステップ(例えば、レジストパターン層を形成するためにリソグラフィを用いて)、レジストパターン層の下部に位置する金属をエッチングするステップ(すなわち、分離した金属ワイヤーを生成するために)、及び金属ワイヤー上に絶縁材料を形成又は積層するステップを好適に含み得る。例えば、金属ワイヤーの複数の層が、実効性のある集積回路を形成するのに必要とされる場合、かかる金属ワイヤー層の一部又は全部が、表面修飾ステップ中に、代わりに形成され得るが、これは、この同様の手順と関係し得るものと理解される。
ダイスのウエハが生成された後、ダイスを切り出して、全てのダイスの分離を確実にし、すぐにパッケージングできるようにすることができる。
本発明に係る方法によりを製造されたウエハ及びダイスは高性能を有することを特徴とするが、これは、得られる分解能が高いことに少なからず起因する。またこれは、標準的なICダイスよりも小型でもあり得る。
<集積回路パッケージ>
集積回路分野の当業者は、標準的なワークショップ技法を用いて、集積回路ダイスから集積回路パッケージを製造することが十分に可能である。しかし、本発明は、集積回路パッケージ、複数のピン及び対応する複数のピンと導電的に接続した外部接触端子を備えた集積回路ダイスを含む集積回路パッケージの製造法を提供し、同方法は、
i)本明細書で定義する集積回路ダイスを用意するステップ、又は本明細書で定義する集積回路ダイス作製法により集積回路ダイスを作製するステップと、
ii)前記集積回路ダイスをパッケージ基板に取り付けるステップであって、前記パッケージ基板が、電気的接触を備え、前記電気的接触のそれぞれが、任意選択的に、対応するピンに接続される、又はこれと接続可能であるステップと、
iii)前記集積回路ダイスの前記外部接触端子のそれぞれを、前記パッケージ基板の対応する電気的接触と導電的に接続するステップと、
iv)任意選択的に(及び必要な場合に)、前記パッケージ基板の電気的接触を、対応するピンと接続するステップと、
v)前記集積回路ダイスをカプセル化するステップと
を含む。
<導電的に接続したダイス及びパッケージ基板>
一般的に、方法は、当技術分野において公知の様々な方法、例えばワイヤーボンディング、サーモソニックボンディング、フリップチップ、ウエハボンディング、又はタブボンディング等のうちの1つにより、ダイスをパッケージ基板に導電的に接続するステップを含む。
接続ピンは、回路基板に組み込むための実用性及び簡便性をICに付与する。したがって、方法は、適する接触を通じて、ICパッケージピンをダイスに電気的に接続するステップを好適に含む。一般的に、接続ピンは、カプセル化デバイスの一部であり、したがってこのステップは、カプセル化ステップと組み合わせることができる。
ダイスは、空気/湿気に敏感であると考えられ、したがって通常カプセル化される所以である。カプセル化されたICパッケージは、好適には、ベイク、メッキ、ラスターマーク、及びトリミングされる。最終的に、ICパッケージは、好適には品質保証のために電子的に試験される。
<回路基板、電子素子又はシステム>
好適には、本発明の(複数のピンを備えた)集積回路パッケージを組み込んだ回路基板は、集積回路パッケージを回路基板に単に導電的に接続することにより、容易に製造可能である。
さらに、前記回路基板は、本明細書で定義する電子素子又はシステムに容易に組み込み可能である。したがって、本発明の電子素子又はシステムである、又はこれを組み込んだ消費者向製品は、本発明に係る方法及び本明細書に記載する新規レジストコーティングによりもたらされる集積回路の高分解能(及びその他の重要な長所)のベネフィットを享受する。
[材料及び機器]
別途記載しない限り、全ての試薬及び溶媒は、市販されているものであり、供給された状態のままで使用した。元素分析は、マンチェスター大学の部門サービスにより実施された。炭素、窒素及び水素の分析は、Flash 200元素分析装置を用いて実施された。金属の分析は、Thermo iCap 6300誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−OES)により実施された。
ポリ(メスメチルアクリレート)(PMMA)(MW約996kDa)を、Sigma Aldrich社から取得した。ポリ(メスメチルアクリレート)(PMMA)を、レジストポリマー(又はベースポリマー成分)として用いたが、但しこれは、本発明と組み合わせて有効に利用され得る好適な多くのレジストポリマーのうちの1つであることを、当業者は認識している。
ペンタエリトリトールテトラアクリレートは、Sigma Aldrich社から取得した。ペンタエリトリトールテトラアクリレートを、ネガ型レジスト組成物の架橋剤として用いた。
シリコンウエハ基板(ウエハの厚さ500μm)10mm×10mmは、University wafer.comから商業的に調達し、供給された状態のままで使用した。
スピン−コーティング機器には、8インチのボウルを備えたSCS G3P−8スピンコーターが含まれ、スピンスピードは、100〜10000rpmであった。
FEI Sirion走査型電子顕微鏡(SEM)を、電子ビーム供給源として用いた。
10×の対物レンズを装備したLeica光学顕微鏡を用いて、現像後のパターン化された基板を検査及び分析した。
[実施例1]
<eBeamレジスト組成物の形成>
一般的に、本発明に係るeBeamレジスト組成物は、本明細書で定義した散乱を防止する化合物を含む組成物を形成することによって生成され得る。好適には組成物は、散乱を防止する化合物がレジストコーティングとして塗布されることを可能にするためのコーティング溶媒も含む。
散乱を防止する化合物が好適には低密度で、高分子量の多金属ケージを含むので(このようなケージ構造内の空隙の量故に、このような構造が一次電子の衝撃による散乱及び二次電子のより少ない発生をもたらすので)、本明細書で開示した予測モデルを考慮して正当化されるように、関連する有益な効果を得るために多金属ケージを使用することができる。当業者への指針として、好適な構造は、G.F.S.Whitehead,F.Moro,G.A.Timco,W.Wernsdorfer,S.J.Teat and R.E.P.Winpenny,“A Ring of Rings and Other Multicomponent Assemblies of Clusters“,Angew.Chem.Int.Ed.,2013,52,9932−9935に開示されているものと同じ又は類似の多金属ケージ錯体を含み得る。この文献は、このような多金属ケージの合成を記載しており、広範囲の可能性のある散乱を防止する化合物を製造するためにそこに開示されている手順を適応することは、当業者には簡単であろう。さらに、それに付加されている参考文献の一覧も本発明の散乱を防止する化合物として役立ち得る関連化合物の実施可能な開示を提供している。
概して、多金属ケージは、関連無機塩(ケージに組み込むことを意図した金属(複数)を含む)を関連配位子、一般的にカルボン酸とフッ化物塩を加えて混合することにより形成される(例えば、G.A.Timco et al,Nat.Nanotechnol.2009,4,173 − 178に開示されている手順の適応による)。いくつかの例では、多金属ケージは、ルイス酸としての機能を果たすことができる(すなわち、1つ又は複数の電子対を配位により受容する能力がある)ので、好適な補完的なルイス塩基リンカー(例えば、ピリジル置換ポルフィリン)と混合して、好適には複数の金属ケージがリンカーを取り囲んでいる、全錯体を生成することができる。或いは、多金属ケージは、好適にはケージの1つ又は複数の関連配位子内に存在する塩基性部分によって、ルイス塩基としての機能を果たすことができる(すなわち、1つ又は複数の電子対を配位により供与する能力がある)ので、好適な補完的なルイス酸リンカー(任意選択的に例えば、ルイス酸性である又は置換可能配位子を有する他の金属中心ケージ構造)と混合することができる。好適には散乱を防止する化合物のルイス酸及びルイス塩基成分は、所望の数の主金属錯体によって取り囲まれたリンカーを生成する化学量論比で混合することができる。
しかし、本開示では、我々は、発明の概念及び本発明の幅広い適用性を例示するために多くの特定の実施例を考慮する。
[実施例1A]
<[H2NR2][Cr7NiF8(ピバレート)15(イソニコチネート)]錯体並びに散乱を防止する化合物及びそのレジスト組成物の調製>
主金属錯体である[H2NR2][Cr7NiF8(ピバレート)16]金属ケージ錯体は、28モル当量のフッ化クロム(III)を11モル当量の第二級アミン、好適にはジプロピルアミンの存在下で2.7モル当量のニッケル(II)無機塩及び137モル当量のピバル酸と混合することにより生成することができる。F.K.Larsen et al.,Synthesis and Characterisation of Heterometallic {Cr7M} Wheels,Angew.Chem.Int.Ed.42,101−105 (2003)に開示された手順の修正。
[H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)16]。CrF3・4H2O(5.0g、 27.6mmol)、[Ni2(H2O)(O2CCMe3)4(HO2CCMe3)4] (2.0g、2.7mmol)、ジプロピルアミン(11.0mmol)及びピバル酸(14.0g、137.1mmol)を撹拌しながら140℃で5時間加熱した。この時間中にフッ化クロムが溶解し、緑色の結晶性生成物が生成した。フラスコを室温に冷却し、50mlのアセトンを撹拌しながら加えた。結晶性生成物を濾過し、大量のアセトンで洗浄し、風乾し、トルエンから再結晶して、[H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)16]を得た。収量:6.45g(70.1%)。元素分析(%):C89H160Cr7F8N1Ni1O32の計算値:Cr 15.62、Ni 2.52、C 45.86、H 6.92、N 0.60、F 6.52;実測値Cr 15.17、Ni 2.47;C 46.38、 H 7.07;N 0.5;F 6.57。ES−MS(THF):m/z:−2191[Cr7NiF8(O2CCMe3)16]−;+2239M+
主金属錯体[H2NR2][Cr7NiF8(ピバレート)15(イソニコチネート)]は、1モル当量の[H2NR2][Cr7NiF8(ピバレート)16]と過剰のイソニコチン酸を共混合することにより生成することができる。G.A.Timco,et al.,Engineering coupling between molecular spin qubits by coordination chemistry.Nature Nanotechnology 4,173−178 (2009)に開示された手順の修正を用いることができる。
[H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)16](5.0g、2.18mmol)、イソニコチン酸(0.8g、6.5mmol)及びn−プロパノール(150mL)を絶えず撹拌しながら24時間還流した。得られた溶液を室温に冷却し、濾過した。濾液から減圧下で溶媒を除去し、残留物を大量のアセトニトリルで洗浄した。次いで残留物をジエチルエーテル(約00ml)に溶解した。得られた溶液を濾過し、蒸留によりジエチルエーテルを除去して固体を残し、これをペンタン(約200ml)に溶解した。ペンタン抽出物を濾過し、蒸発乾固して、緑色固体を得たが、これは、まだ生成物の混合物であった。[H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)15(イソニコチネート)]の更なる精製は、40〜63μmメッシュシリカゲル(BDH)上カラムクロマトグラフィーにより実施した。最初にトルエンを溶媒として用い、これが未反応の[H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)16]を溶出させ、反応生成物がカラムの上部に残った。その後、トルエン:酢酸エチル溶出液の混合物を用いた。トルエン:酢酸エチル24/1の混合物を用いて、1の残りを溶出した。純[H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)15(イソニコチネート)]は、13.5/1の比のトルエン:酢酸エチル混合物で開始し、10/1の比で終了した第2のバンドとして得られた。或いは、純[H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)15(イソニコチネート)]は、20/1ヘキサン(又は石油エーテル)/酢酸エチル混合物による第2のバンドとして([H2NPr2][Cr7NiF8(ピバレート)16]の後にも)溶出させることができる。次いで溶媒を減圧下で蒸発した。収量:1.2g(24%)
元素分析、C87H155Cr7F8N2Ni1O32の計算値(%):Cr 15.72、Ni 2.53、C 45.12、H 6.75、N 1.21;測定値:Cr 15.97、Ni 2.56、C 44.90、H 6.90、N 1.19;ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):+2374[M+Na+2H2O]+(100%);+2338[M+Na]+;+2315[M]+
好適にはルイス酸としての機能を果たすCr7Ni(ピバレート)16金属ケージ錯体を次に様々なルイス塩基リンカー成分(この場合、中心電子供与ハブ)と混合して、異なる分子量、密度及び平均イオン化電位の種々の散乱を防止する化合物を製造することができる。次いで混合物を濃縮して、多くの金属ケージによって囲まれた関連リンカー(例えば、ポルフィリン)を含む、最終散乱を防止する化合物を得る。
レジスト組成物を形成するために、散乱を防止する化合物をヘキサンと混合し、混合物をIKA振とう機を用いて15000rpmで2分間振とうすることによりヘキサンに溶解する(1gのヘキサンごとに22mgの化合物)。
様々なリンカーを用いて、この特定のシリーズの散乱を防止する化合物を製造するので、種類、分子量及び密度が観測された。それらの全てを下文の実施例2Aに詳述する。
[実施例1B]
<[GW20−14] − [{Ni12(chp)12(O2CMe)12(H2O)6}{[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C−C5H4N)]}6]散乱を防止する化合物及びそのレジスト組成物の調製>
主金属錯体及びその関連ジプロピルアンモニウム対陽イオン[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C−C5H4N)]は、G.A.Timco,et al.,Engineering coupling between molecular spin qubits by coordination chemistry.Nature Nanotechnology 4,173−178 (2009)に示されている方法により調製した。これは、主金属錯体の塩である。この特定の主金属錯体は、ルイス酸性リンカーに対してルイス塩基としての役割を果たし得る。
リンカー化合物[Ni12(chp)12(O2CMe)12(H2O)6}(THF)6]は、H.Andres,et al.,Studies of a nickel−based single molecule magnet.Chem.Eur.J.8,4867 − 4876 (2002)に示されている方法により調製した。この特定のリンカー化合物は、ルイス酸リンカーとしての役割を果たす。その理由は、ニッケルイオンと関連したTHF(溶媒)配位子が、この場合には主金属錯体のO2C−C5H4N(イソニコチネート)配位子を介してリンカーのニッケルイオンと配位し得る主金属錯体によって置換され得るからである。
散乱を防止する化合物[{Ni12(chp)12(O2CMe)12(H2O)6}{[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C−C5H4N)]}6]は、次にアセトン(5mL)に懸濁した前述のリンカー化合物(25.2mg、0.007mmol)を熱アセトン(15mL)中前述の主金属錯体塩(0.1g、0.043mmol)と撹拌しながら混合することにより調製することができる。この混合物を15分間加熱すると、その時間中に溶液が透明になり、その後沈殿物が形成される。これを高温から除去し、一夜撹拌する。次いで沈殿物を収集し、熱アセトンで洗浄し、エーテルで抽出する。溶媒を減圧下で除去し、得られた粉末を蒸気拡散MeCNからトルエン中に再結晶した。単結晶XRDに好適な大きく、明瞭な結晶を収集し、秤量する。収量:97.5mg(0.0058mmol、リンカーに基づいて79.8%);元素分析:C606H1026Cl12Cr42F48N24Ni18O234の計算値(%):C42.92、H 6.03、N 1.98、Cr 12.88、Ni 6.23;測定値:C 42.08、H 5.92、N 1.76、Cr12.52、Ni 6.16
レジスト組成物を形成するために、散乱を防止する化合物をヘキサンと混合し、混合物をIKA振とう機を用いて15000rpmで2分間振とうすることによりヘキサンに溶解する(1gのヘキサンごとに22mgの化合物)。
[実施例1C]
<[7]ロタキサン散乱を防止する化合物及びそのレジスト組成物の調製>
メタノール(30mL)中1,12−ジアミノドデカン(0.7g、3.5mmol)の溶液にメタノール(5mL)中4−メチルチオベンズアルデヒド(0.47mL、3.5mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気中で3時間還流し、次いで室温に冷却した。NaBH4を加え、反応混合物を窒素雰囲気中で一夜撹拌した。反応物を水でクエンチし、蒸発した。固体をクロロホルムで抽出し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で脱水し、蒸発した。メタノール(30mL)中アミンの溶液に、5mLメタノール中1(0.64mL、3.5mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気中で3時間還流し、室温で一夜撹拌した。NaBH4を加え、反応混合物を窒素雰囲気中で一夜撹拌した。反応物を水でクエンチし、蒸発した。固体をクロロホルムで抽出し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で脱水し、蒸発した(収率60%)。生成物Aをメタノールから再結晶し、分光分析により確認した。ES−MS(ジクロロメタンに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=504[M+H]+ 1H NMR (400 MHz, 293K, CDCl3):□□= 1.2-1.6(m, 20H), 2.3 (s, 3H), 2.4-2.6 (m, 4H), 3.7 (s, 2H), 3.8 (s, 2H), 7.1-7.3(m, 4 H), 7.3-7.5(m, 4 H), 7.6(d, 2H), 8.6(d, 2H).
<[3]ロタキサンBの合成>
Me3CCO2H(24g、230mmol)、スレッドA(0.47g、0.94mmol)、CrF3・4H2O(2.36g、13mmol)及びZnCO3 (1.5g、4.47mmol)をテフロンフラスコ中で撹拌しながら140℃で1時間加熱し、次いで反応物の温度をN2中で24時間にわたり160℃に上昇させた。フラスコを室温に冷却し、次いで撹拌しながらアセトニトリル(35mL)を加えた。緑色の微結晶性生成物を濾過により収集し、大量のアセトニトリルで洗浄し、風乾し、次いでトルエンで抽出した。フラッシュクロマトグラフィー(トルエン次いでトルエン/酢酸エチル7/3)により所望の[3]ロタキサンBを緑色結晶性固体(1.1g)として23%の収率で得た。元素分析(%):C192H335Cr14F16N3Zn2O64S1の計算値:Cr 14.84、Zn 2.66、C 47.02、H 7.37、N 0.85;測定値:Cr 13.92、Zn 2.39、C 47.71、H 6.88、N 0.77
[Fe2Co(C45H18O84)](0.14g、2.86mmol)を熱アセトン(10mL)中[3]ロタキサンB(0.01g、0.95mmol)の溶液に加え、混合物を5分間還流し、次いで室温で4時間撹拌した。収量:0.05g(20%)、元素分析(%):C606H1059Cr42F48N9Zn6O205CoS3Fe2の計算値:Cr 14.0、Zn 2.53、Co 0.38、Fe 0.79、C 46.94、H 6.88、N 0.81;測定値:Cr 12.76、Zn 2.02、Co 0.48、Fe 0.91、C 47.23、H 7.93、N 0.82
レジスト組成物を形成するために、散乱を防止する化合物をヘキサンと混合し、混合物をIKA振とう機を用いて15000rpmで2分間振とうすることによりヘキサンに溶解する(1gのヘキサンごとに22.5mgの化合物)。
[実施例1D]
<[GT188−13] − (C56H32MgN16 2+)[Cr7NiF8(O2CRB1)16]8散乱を防止する化合物及びそのレジスト組成物の調製>
主金属錯体である[Cr7NiF3(O2CRB1)15((Gluc−NH−RO1)(H2O))金属ケージ錯体(RB1=t−ブチル)は、33モル当量のフッ化クロム(III)を2モル当量のニッケル(II)無機塩、並びに294モル当量のピバル酸(すなわち、RB1=t−ブチル)及び17モル当量のN−メチル−D−グルカミンと共混合することにより製造することができる。G.A.Timco,et al.,Heterometallic Rings Made from Chromium Stick Together Easily,Angew.Chem.Int.Ed.47,9681−9684 (2008)に開示されている手順の修正を用いることができる。この特定の主金属錯体は、ルイス塩基リンカーに対してルイス酸としての役割を果たし得る。
フッ化クロム(III)四水和物(6.0g、33mmol)、N−エチル−D−グルカミン(3.6g、17mmol)、ピバル酸(30.0g、294mmol)及び塩基性炭酸ニッケル(II)四水和物(1.2g、2.0mmol)を一緒にテフロンフラスコ中で絶えず緩やかに撹拌しながら160℃で34時間加熱した。最初の2時間の反応後、フラスコ中で生成した固体をスパチュラを用いて小片に破壊した。この手順をその後の4時間にわたりさらに2回反復した。反応の終了時に固体が生成した。反応物を室温に冷却し、Et2O(100mL)を撹拌しながら加え、得られた溶液を濾過した。濾液を撹拌しながらMeCN(約170mL)で徐々に希釈したところ、微結晶性の紫色生成物がこの時間中に沈殿し始めた。フラスコを密封し、−10℃に2日間維持した。結晶性生成物を収集し、Et2O:MeCN(1:1)の混合物で洗浄し、風乾した。この生成物を非常に微細な褐色粉末から40〜63μmメッシュシリカゲル(BDH)上でカラムクロマトグラフィーにより精製した。1をEt2Oで最初の主バンドとして溶出し、褐色バンドをカラム上に残した。次いで溶媒を減圧下で蒸発し、固体をEt2O(約50mL)に溶解し、溶液をMeCN(約50mL)で希釈した。結晶性生成物が直ちに生成し始めた。フラスコを−10℃に1日間維持し、次いで結晶を濾過により収集し、Et2O:MeCN(1:2)の混合物で洗浄し、風乾した。収量3.2g(30%、Crに基づく);元素分析(%):C83H151Cr7NiF3N1O36の計算値:Cr 16.40、Ni 2.65、C 44.93、H 6.86、N 0.63;測定値:Cr 16.40、Ni 2.54、C 44.42、H 7.11、N 0.55
ES−MS(Et2Oに溶解した試料、MeOH中で実施):+2200[M]+(100%);+2223[M+Na]+
以下に示すそのリンカー化合物塩(2,3,7,8,12,13,17,18−オクタキス(4−ピリジル)ポルフィラジナト)マグネシウム(II)、[Mgpz(pyr)8](C56H32N16Mg)は、M.E.Anderson,A.G.M.Barrett,B.M.Hoffman,Inorg.Chem.1999,38,6143−6151により調製した。この特定のリンカー化合物は、ルイス塩基リンカ−としての役割を果たし、そのピリジン孤立対が主金属錯体の金属中心(複数可)と配位する。
[(Cr7NiF3(Meglu)(O2CtBu)15)]8[Mgpz(pyr)8]の調製:H5Meglu=N−メチル−D−グルカミンである[Cr7NiF3(Meglu)(O2CtBu)15(H2O)]は、H5Etglu=N−エチル−D−グルカミンである[Cr7NiF3(Etglu)(O2CtBu)15(H2O)]と同様にE.Garlatti et al,J.Am.Chem.Soc.2014,136,9763−9772に示されている方法によりH5Etgluの代わりにH5Megluを用いて調製した。
リンカー化合物塩[(2,3,7,8,12,13,17,18−オクタキス(4ピリジル)ポルフィラジナト)マグネシウム(II)]、[Mgpz(pyr)8]=(C56H32N16Mg)は、M.E.Anderson,A.G.M.Barrett,B.M.Hoffman,Inorg.Chem.1999,38,6143−6151に示されている方法により調製した。
[Mgpz(pyr)8](0.14g、0.15mmol)及び[Cr7NiF3(Meglu)(O2CtBu)15(H2O)](3.5g、1.59mmol)をジクロロメタン(DCM)(250mL)中、室温で4日間撹拌し、次いで溶媒(DCM)を減圧下、約36℃で除去し、残留物をアセトン(100mL)と共に環境温度で24時間撹拌した。得られた沈殿物を濾過により収集し、アセトン(3×25mL)で洗浄した。次いでそれをDCM(40mL)に再溶解し、得られた溶液を濾過し、濾液をアセトン(20mL)で希釈した。この後、N2の気流中、室温で撹拌しながら溶媒を蒸発した。得られた青色固体を真空中で乾燥した。収量:2.1g(77.5%、[Mgpz(pyr)8]に基づく)
元素分析(%):C712H1208Cr56F24Mg1N24Ni8O280の計算値:Cr15.78、Ni 2.55、C 46.36、H 6.60、N 1.82;測定値:Cr 16.17、Ni 2.50、C45.32、H 6.88、N 1.18
散乱を防止する化合物C712H1208Cr56F24MgN16Ni8O280(C56H32MgN16 2+)[Cr7NiF8(O2CRB1)16]8は、適切な溶媒[アセトン]中に懸濁した1モル当量の前述のリンカー(具体的にはその塩)を適切な溶媒[アセトン]中の前述の主金属錯体(具体的にはその塩)と撹拌しながら混合することにより調製することができる。混合物を15分間加熱すると、その時間中に溶媒が透明になり、その後沈殿が生成する。これを高温から除去し、一夜撹拌する。次いで沈殿物を収集し、熱アセトンで洗浄し、エーテルで抽出する。溶媒を減圧下で除去し、得られた粉末を蒸気拡散MeCNからトルエン中に再結晶する。
レジスト組成物を形成するために、散乱を防止する化合物をヘキサンと混合し、混合物をIKA振とう機を用いて15000rpmで2分間振とうすることによりヘキサンに溶解する(1gのヘキサンごとに20mgの化合物)。
[実施例1E]
<[GT133−14] − [NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CRB1)16]散乱を防止する化合物及びそのレジスト組成物の調製>
主金属錯体である[Cr7NiF8(O2CRB1)16]金属ケージ錯体(RB1=C5H9;1−メチル−4−エニル)は、7モル当量のクロム(III)無機塩を1モル当量のニッケル(II)無機塩、8モル当量のフッ化物(特に無機塩を用意することができる)及び16モル当量の2−メチルペンタ−4−エン酸を共混合することにより製造することができる。この金属ケージ錯体は、ジプロピルアンモニウム塩として調製することができる。F.K.Larsen et al.,Synthesis and Characterisation of Heterometallic {Cr7M} Wheels,Angew.Chem.Int.Ed.42,101−105(2003)に開示されている手順の修正を用いて、その関連ジプロピルアンモニウム陽イオンを含む主金属錯体[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CRB1)16]を調製した。比較の目的のために、この主金属錯体は、実際に散乱を防止する化合物であり、リンカーと関連させなかった。
レジスト組成物を形成するために、散乱を防止する化合物をヘキサンと混合し、混合物をIKA振とう機を用いて15000rpmで2分間振とうすることによりヘキサンに溶解する(1gのヘキサンごとに25mgの化合物)。
[実施例2]
<eBeamレジストでコートされた材料の形成>
一般的に、eBeamレジストでコートされた材料は、基板又はその一部を適切なeBeamレジスト組成物でコートし、好適には、その後乾燥し、及び/又は硬化させてコーティングを形成することにより形成させる。
[実施例2A]
<Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体を含むレジストコーティングの形成>
実施例1Aで述べたように、この特定の金属ケージ錯体は、高分解能eBeamレジストに使用される様々な散乱を防止する化合物の適合性を判定するためのモンテカルロシミュレーションに用いられ得る、一連の重要な特性を測定するために用いた。さらに、比較は、標準レジスト(例えば、PMMA)及び標準IC基板、例えば、ケイ素を用いて行った。
レジストコートされた基板は、関連散乱を防止する化合物を一連の10mm×10mmケイ素基板(600nm厚)に系統的にスピンコートすることによってCr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16金属ケージを組み込んだ(実施例1Aにより)様々な散乱を防止する化合物を用いて形成させた。各散乱を防止する化合物は、対応するレジスト組成物のスピンコーティングを可能にするためにヘキサンに溶解した。レジストを30秒間にわたる8000rpmのスピンサイクルを用いてスピンし、これに100℃で2分間のソフトベークを後続させて、キャスト溶媒を蒸発させた。100nmの厚さを有する全てのレジストフィルムが得られた。
したがって、表1に様々な割合のCr
7Ni(2−エチルヘキサノエート)
16金属ケージを組み込んだ(すなわち、密度及びMWを変化させることができるように)様々なレジストコーティングの関連特性を示す。
[実施例2B]
<[{Ni12(chp)12(O2CMe)12(H2O)6}{[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C−C5H4N)]}6]散乱を防止する化合物を含むレジストコーティングの形成>
[{Ni12(chp)12(O2CMe)12(H2O)6}{[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C−C5H4N)]}6]散乱を防止する化合物を含むレジスト組成物を用いて実施例2Aで述べたのと同じ方法でレジストコートされた基板を形成させた。再び100nmの厚さを有するレジストフィルムが得られた。
[実施例2C]
<[7]ロタキサン散乱を防止する化合物を含むレジストコーティングの形成>
[7]ロタキサン散乱を防止する化合物を含むレジスト組成物を用いて実施例2Aで述べたのと同じ方法でレジストコートされた基板を形成させた。再び100nmの厚さを有するレジストフィルムが得られた。
[実施例2D]
<(C56H32MgN16 2+)[Cr7NiF8(O2CRB1)16]8散乱を防止する化合物を含むレジストコーティングの形成>
(C56H32MgN16 2+)[Cr7NiF8(O2CRB1)16]8散乱を防止する化合物を含むレジスト組成物を用いて実施例2Aで述べたのと同じ方法でレジストコートされた基板を形成させた。再び100nmの厚さを有するレジストフィルムが得られた。
[実施例2E]
<[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CRB1)16]散乱を防止する化合物を含むレジストコーティングの形成>
[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CRB1)16]散乱を防止する化合物を含むレジスト組成物を用いて実施例2Aで述べたのと同じ方法でレジストコートされた基板を形成させた。再び100nmの厚さを有するレジストフィルムが得られた。
[実施例3]
<曝露されたeBeamレジストコートされた材料(すなわち、eBeam曝露)の形成>
これらの試験中、全てのeBeamレジストコートされた材料は、関連コーティング上に電子ビームにより直接書き込むことによって、同じ方法で曝露させる。ビームのインプット電流及び電圧並びにコーティングに送達される総線量は、過度の負担なしに当業者によって賢明に適応され得る。
本試験では、各レジスト材料の曝露クリアリング線量(exposure clearing doeses)は、20μmごとの単一ピクセルラインの2つの一次元マトリックスから決定した。したがって、ラインの幅は、電子ビームの幅であった。第1の一次元マトリックスは、100nmのピッチによって分離された各単一ピクセルラインを有していた。これらは、0.05pC/cmの増加ステップで1〜20.95pC/cmの線量スケールで曝露させたが、第2の一次元マトリックスは、200nmのピッチを有していた。
線量スケールは、100nmピッチと同じ増加ステップで1〜17.95pC/cmの線量率の範囲で増加させた。次いでテストパターンを生成させた。次いで全てのレジストをFEI Sirion走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて曝露させた。曝露パターンは、30keVの加速電圧、50pAのプローブ電流を用いて書き込み、ドウェル時間は12.12μ秒、ステップサイズは6.1nmであった。これらの曝露パラメーターから、ベース線量は、1000pC/cmと計算された。各パターンは、100μmのライトフィールドを用いて曝露させた。
[実施例4]
<パターン化基板の形成(すなわち、曝露レジストコーティングの現像)>
各材料は、ヘキサンの溶液を用いて30秒間現像した後、N2気流乾燥した。
レジストの全てにおける作製された全てのパターンを10x対物レンズを用いたLeica光学顕微鏡を用いて検査した。
[実施例5]
<予測モデル>
<モンテカルロシミュレーション>
提示するモンテカルロシミュレーションは、Joy(D.C. Joy, ‘Monte Carlo Modeling for Electron Microscopy and Microanalysis’, pp. 33, Oxford University Press, (1995))により開発されたモデルに基づく。電子がレジストフィルム上に入射すると、電子は、レジスト全体にわたり分子内を弾性的及び非弾性的に散乱する。これらの2つの散乱事象は、異なる2セットの式により規定される。弾性散乱は、以下のスクリーンされたラザフォード断面積
により決定し、
式中、Eは、keV単位の電子エネルギーであり、Zは、物質の原子番号であり、又は物質が化合物である場合、実効原子番号を用いた。αは遮蔽係数であり、これは、原子は電子雲により取り囲まれているので、電子は、原子の電荷全てを「認識する」わけではないという事実を補完する。平均自由行程は散乱断面積から計算され、散乱断面積は
と表され、
式中、Aは材料の原子量であり、またNaはアボガドロ数である。しかし、二次電子(SE)は非弾性的散乱事象から生み出される確率が高いので、非弾性的散乱は異なる関係を用いなければならない。したがって、非弾性的散乱断面積は下記の式を用いて計算されるが、
式中、ΩEは生成した二次電子のエネルギーである。非弾性散乱事象は、一次電子が下記の式で表される角度αだけ逸れる原因となるが、
式中tは、電子の運動エネルギーである(その静止質量の単位で表される)。しかし生み出された二次電子は、下記の式で表される角度γで衝突から抜け出る。
非弾性散乱断面積を計算したら、下記の式を用いて電子の平均自由行程を計算しなければならない。
レジスト内の電子の総平均自由行程は、弾性及び非弾性平均自由行程の合計である。
平均自由行程の数値から、電子が再度衝突する前に電子が移動する統計的距離を計算することができる。この計算は、下記の式で表されるステップサイズの式を用いて実施されるが、
s=−λln(RND)
式中、λは総平均自由行程であり、またRNDは0〜1の間の乱数である。これは、平均ステップサイズがλであるステップサイズ分布を表す。
モンテカルロシミュレーションの最終ステップは、散乱事象の期間中に電子が喪失するエネルギーを計算することである。これはBetheの改変された式を用いて実施されたが、同式は材料の阻止能を規定し、下記の式で表され、
式中、Jは材料の平均イオン化ポテンシャルである。平均イオン化ポテンシャルは、所与の材料内で電子が経験するエネルギー損失を説明し、下記の式より計算可能である。
電子が散乱する毎に、このエネルギー損失の値が計算され、電子の現在のエネルギーから差し引かれる。電子のエネルギーが0.5KeVを下回ると、材料内で電子が移動する距離は無視し得るので、電子はもはや観察されない。
ナノコンポジット材料をベース材料に組み込む場合、加重平均分布を用いたが、ここでは、各ステップにおいて電子が効果的に散乱し終える材料を計算するために、2つの材料のパーセント(重量)を乱数発生装置と比較した。
σtotal=ωσHAuCl4+(1−ω)σPMMA (12)
式中、ωはPMMAに対する散乱を防止する化合物の相対的な重量である。
ここでモデル化した電子ビームレジストは、100nmの厚さを有していた。全てのレジストシステムは、600nmのケイ素上にあり、1つ(実施例1BのGW20−14)の物理的特性を表2に示す。
密度は、X線回折(XRD)測定により決定された単位細胞含量から実験的に決定し、各物質の実効原子番号及び平均原子量は、計算し、XRD測定からも決定したが、平均イオン化電位は、式11から計算した。ここで用いたモンテカルロシミュレーションは、S.Lewis et al,‘Influence of nanocomposite materials for next generation nanolithography’,Advances in diverse industrial applications of nanocomposite‘,Intech,pp 503 − 528,March 2011に、及びS.Lewis et al,‘Characterization of an ultra high aspect ratio electron beam resist for nanolithography’,Nanotechnology 2010:Electronics,Devices,Fabrication,MEMS,Fludics & Computational,Vol 2,pp195−198にも見いだすことができる。
シミュレーションで用いた入射電子ビームは、3σのガウス分布を有し、スポットサイズは、3nmの直径を有していた。シミュレーションは、100000電子を用いて実行し、1,000,000回実行し、統計的誤差を低減するために平均した。
<結果及び考察>
<結果A−実施例1AのCr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体を含むレジストコーティングにおける試験>
実施例1Aのレジスト組成物及び実施例2Aのレジストコートされた材料を用いて様々な実験を実施したが、これらを以下で考察する。
モンテカルロシミュレーションにより、Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体の分子量を2000g/molから16000g/molに増加させた場合、二次電子の数が12から0に減少したことが示され(密度が0.8g/cm3であった場合)、これは、図1で確認することができる。しかし、分子の密度を増加させること(2g/cm3)により、8.5倍の発生する二次電子数の増加がもたらされた。これらの電子は、レジストを横方向に曝露させ、ひいては所望のナノ構造を幅広くする原因となるものであるので、またこれを図1に示すが、これは、レジスト内の有意な量の二次電子である。
図1は、密度の関数として示す各分子量の化合物についての30keVのeBeam曝露において、厚さ100nmのフィルムに発生した二次電子の数を示すグラフである。
図1に赤色のボックスにより囲まれた赤い×印を示すが、これは、Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体分子(これは実際には[NPr2H2][Cr7NiF8(2−エチルヘキサノエート)16]である)に関する実際のパラメーターを示し、この分子は、2868.02g/molの分子量及び1.25g/cm3の密度を有する。以前の試験で30KeVの入射エネルギーで200個を発生したことが確認されたPMMA[1]とこれを比較する場合、この分子が13個の二次電子を発生することを明確に確認することができる。したがって、PMMAは、約15倍多い二次電子を発生する。これは、測定することができる最終的な分解能に関連するので、重要である。
最高の忠実度の分解能をもたらすために、最適の材料パラメーターは、二次電子の数がゼロでなければならない最高分解能のナノ構造をおそらく生じさせるため、最高分子量及び最低密度を有することが見いだされた。これは、それぞれ分子量が16000g/molであり、密度が0.8〜1.15g/cm3である場合に当てはまり、これは、図3における赤色ボックスにより示されている。これが最適の材料特性である。
図2に認められる所見は、分子がかなりの量の空隙を有するので、一次電子が分子と相互用しないことを示している。これは、Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体の密度がPMMA材料の密度より小さく、分子の原子間の平均自由行程がより大きいためである。したがって、一次電子(PE)は、レジストフィルム中を移動するときに、少ない衝突を経験する。これから、Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体の分子量が増加するとき、発生するSEの数が減少することが明らかである。これは、Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体の分子量が、大きく(14000g/cm3超)、より低濃度の散乱中心(ポリマーより大きい実効原子番号、密度及びイオン化電位という特性を有する)をポリマーフィルムに組み込むことができるからである。
図2は、図1のクローズアップを示すグラフであり、分子量は、10000〜16000g/molに変化している。全ての条件が図1と同じである。
これの結果は、一次電子が非常にわずかな量のエネルギーを失うことであるので、Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体の場合については、それは、74eVであるPMMA材料のそれと比較したときに衝突ごとに150eVである。したがって、一次電子は、複数の非弾性散乱事象を引き起こし、ますます多くのSEを発生することがないほどに、十分に速い。したがって、二次電子を発生する統計的可能性が極めて低いため大きい曝露線量が必要であることが予想される。
比較として、GW20−14環材料の環(実施例1B、化学組成[{Ni12(chp)12(O2CMe)12(H2O)6}{[NH2Pr2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C−C5H4N)]}6]−その材料パラメーターは、密度が0.814g/cm3、実効原子番号が4.4、分子量が16886.02g/mol、そのイオン化電位が87.43eVである)をケイ素基板上に直接スピニングし、これにより、100nmの厚さのフィルムが得られた。図3にナノグレーティングパターンがPMMA及びGW20−14環構造の環に作製されたことを示す。PMMA材料は、50nmの線幅を有するナノ構造を生成した。これは、図3aで確認することができる。一方、GW20−14環材料の環は、6.22nmの線幅を示したパターンをもたらした。これは、この材料が同じレジストの厚さのPMMAの分解能の8倍を上回る分解能をもたらすことを示すものであるので、重要な結果である。
図3にa)774pC/cmの線量でPMMAにおいて曝露された50nmラインで、試料を1:3の比のMIBK:IPAで現像し、b)6200pC/cmの線量でGW20−14において曝露された6.22nmラインを示す。試料はヘキサンで現像した。
GW20−14材料が曝露線量の増加をもたらしたことが認められた。これは、6200pC/cmの曝露線量を生じさせたが、これは工業標準PMMAと比較した場合、約8倍遅い。分子が二次電子の生成を妨げるので、このことから、曝露方法は、SEの存在の寄与を受けなかったことを確認することができる。したがって、一次電子がパターンの生成に関与している。側壁のプロファイルがケイ素と比較したとき90°の垂直角度を示すと思われるため、これが分かる。これは、モンテカルロシミュレーションと高度の一致を示すことが示された。したがって、他の材料がそれらの抗散乱特性に関してどのように挙動するかのモンテカルロシミュレーションによる外挿は、完全に信頼でき、正当化される。
金属有機ネガ型電子ビームレジストをモンテカルロモデルを用いて検討した。Cr7Ni(2−エチルヘキサノエート)16錯体化合物は、分子量が16000g/molであり、密度が0.8〜1.15g/cm3であった場合に二次電子を発生しなかったことがモンテカルロシミュレーションによって示された。GW20−14環材料の環が6.22nmの線幅を示したパターンをもたらしたことが示されたため、これは、シミュレーション結果と実験結果との高度の一致を示すものであった。この材料が同じレジストの厚さのPMMAの分解能の8倍を上回る分解能をもたらすことを示すものであるので、これは、重要な結果である。これらのナノ構造を生成するためには6200pC/cmの曝露線量が必要であることが見いだされた。このことから、分子が二次電子の発生を妨げており、したがって、曝露方法ではあり得ないため、一次電子がパターンの生成に関与していることを推測することができる。
<結果B〜E−実施例1B〜1Eで述べた散乱を防止する化合物を含むレジストコーティングにおける試験>
これらの試験で、本発明に係るeBeamレジストが、一次電子が書き込み領域に直接的に限られることを保証し、結果として、これが二次電子(SE)の横方向電子散乱を制限し、ひいては、最高の分解能を得ることができることが示されている。モンテカルロシミュレーションにより、ニッケルクロムケージがSE’sの量を材料内で著しく減少させたことが示された。これを図4に示す。
図4は、30KeVの加速電圧に曝露したニッケルクロム環状構造材料内部の内部電子散乱相互作用を示す図である。二次電子及び後方散乱電子をそれぞれ赤色及び青色で示す。
図5〜9にそれぞれGW20−14(実施例1B)、7−ロタキサン(実施例1C)、GT188−13(実施例1D)及びGT133−14(実施例1E)レジストを用いて作製されたサブ〜30nm構造のSEM写真を示す。
図5に(a)200nmピッチでの6.22nmラインのプロファイル像(傾斜70°)、(b)100nmピッチでの10.4nmラインのプロファイル像(傾斜70°)を示すSEM画像を示す。線量は6200pC/cmである。図5にそれぞれ200及び100nmのピッチを有する6.22及び10.4nmの分解能をもたらすようにパターン化されたGW20−14材料を示す。
認められる横縦比は、それぞれ16:1及び10:1である。得られたこれらのナノ構造は、図4に示すモンテカルロシミュレーションによってもたらされた予測と高度の一致を示している。
これらの所見から、SE’sの発生と材料との相互作用は起こり得ないことを推測することができる。これは、分子の密度が0.814/cm3であり、その分子量が大きい(16886.04g/mol)ためである。このことから、フィルムの大部分が自由空間であり、結果として一次電子が拘束され、SEを発生させることができず、したがって、横方向の電子散乱が抑えられる。それ故、6.22nmの分解能が実現される。
図6に200nmピッチでの16.3nmのラインのプロファイル像(傾斜70°)を示すSEM画像を示す。線量は、6000pC/cmである。図6に7−ロタキサン材料を用いて作製された得られたナノ構造を示す。この材料から、16.3nmの線幅を有するナノ構造が示された。ひいては、これが6.1:1の横縦比をもたらした。興味深いことに、分解能の低下にもかかわらず、曝露線量は、GW20−14材料におけるナノ構造をもたらした曝露線量と一致したままである。
図7にGT188−13材料を用いて作製された得られたナノ構造を示す。この材料により、13.9nmの線幅を有するナノ構造が示された。そして、これは、7.2:1の横縦比を示した。曝露線量が劇的に増加したことが分かった。
図7に200nmピッチでの13.9nmのラインのプロファイル像(傾斜70°)を示すGT188−13材料のSEM画像を示す。線量は、16850pC/cmである。
GT133−14材料によって生成されたナノ構造は、図8で確認することができる。GT133−14材料は、26.1nmの分解能及び3.8:1の横縦比を有するナノ構造を生成した。2−メチル−4−ペンテン酸が分子に組み込まれて架橋剤としての役割を果たすので、分解能の低下が予想された。これは、材料の感度を増大させるためにあらかじめ形成されており、それは約2000pC/cmであった。これは、図5〜7に示す以前の材料に対する改善である。
図8に200nmピッチでの26.1nmのラインのプロファイル像(傾斜70°)を示すGT133−14材料のSEM画像を示す。線量は、1000pC/cmである。
感度は、分解能を犠牲にして増大しており、これは、2−メチル−4−ペンテン酸が曝露時にフリーラジカルを生成し、その後それらがSEを発生させることに起因していた。これらの電子は、横方向に散乱し、隣接分子及び架橋と相互作用し、それらと一緒に網目様構造を形成する。したがって、曝露線量がより低いが、ナノ構造の結果として得られる分解能が広くなる。
図9は、200nmピッチを有する各散乱を防止する化合物の分解能及び横縦比を示すグラフである。図9に最高の分解能及び横縦比をもたらした最適材料がGT20−14であったことが示されていた。分解能が低下するにつれて、達成することができる横縦比も低下することが明らかである。
ニッケルクロム環様構造材料は、6.22nmという分解能の増加をもたらすが、30KeVの加速電圧で10:1より大きい横縦比を示したのに対して、7−ロタキサン及びGT188−13材料は、分解能及び横縦比の低下を得たことが分かった。PMMAのような工業標準のポリマー型材料を用いた場合にはこれは可能でないので、この結果は重要である。これは、6200pC/cmの曝露線量を生じさせたが、これは工業標準PMMAと比較した場合、8倍遅い。分子が二次電子の生成を妨げるので、このことから、曝露方法は、SEの存在の寄与を受けなかったことを確認することができる。したがって、一次電子がパターンの生成に関与している。側壁のプロファイルがケイ素と比較したとき90°の垂直角度を示すと思われるため、これが分かる。これは、モンテカルロシミュレーションと高度の一致を示すことが示された。
これらの材料の感度が6.2倍増加した場合、分解能が著しく低下した。これは、80°の角度で散乱する二次電子の発生及び得られるナノ構造の拡大に帰せられた。二次電子は、分子に存在する2−メチル−4−ペンテン酸から発生した。したがって、これは、二次電子の役割を確認するものである。
<(実施例1Bの)GW20−14に関する更なる結果>
図10から一次電子がじかの書き込み領域に限られることが明らかである。これにより、GW20−14レジストについては大きい曝露線量が必要であることが示唆され得る。これは、GW20−14の密度がPMMAのような従来のレジスト材料より小さい(0.814g/cm3で、従来のポリマーレジストは1.2g/cm3以上である)ためであり、これは、ニッケルクロム環様構造内の自由空間のために分子の原子間の平均自由行程が大きいことに帰せられる。
図10は、30KeV加速電圧を用いたGW20−14内の内部電子散乱相互作用を示す図である。二次電子及び後方散乱電子をそれぞれ赤色及び青色で示す。
図10から、PEからエネルギーがほとんど失われず、SEを生成する可能性が非常に小さいことがわかる。さらに、分子の直径が4.4nmで、厚さが2.8nmと測定され、これにより、分子量は16886.02g/molとなる。この意味は、分子が大きく、PEが分子全体を「見ず」に、ケージの上部及び底部表面からのみ散乱することができることである。GW20−14フィルムの厚さは、100nmであり、分子の厚さは、2.8nmである。したがって、(z方向の)互いの上部に約35個の分子が存在し、これにより、PEが散乱することができる約72の散乱点が存在するにすぎない。したがって、これが非弾性散乱事象を発生する可能性が小さいことにつながる。もちろん、フィルムに挿入されるPEの濃度が増加する場合にはSEが生成し得るが、このことから、大きい曝露線量が予想される。
図11は、100nmの厚さのGW20−14フィルムで発生した二次電子の数を示す図である。
図11にGW20−14レジストフィルム内部で発生したSEの数を示す。10〜50KeVというより低いエネルギーでは、PEは、複数の非弾性散乱事象を引き起こし、ますます多くのSEを発生するのに十分に遅く、これは、式4及び6から予測されることは明らかである。しかし、50KeV〜100KeVの高めのエネルギーにおいては、入射側の電子は、それに伴うより多くのエネルギーを有し、したがって、二次電子を生成するには、そのエネルギーのほとんどを失ってSEが生成するように、レジスト材料内の原子とより多く衝突する機会を有する必要がある。しかし、フィルムの厚さは100nmであるので、散乱し終えてそのエネルギーの大部分を失うほど十分な量の原子はフィルム中に(z方向に)存在しない。この結果、相当の数のPEがシリコン基板下部の深奥部で静止状態となる、又はPEは直近の曝露領域から約30〜40μm離れたレジスト材料の下面に後方散乱する。したがって、より高い分解能は、前方散乱電子をレジスト内部の入射ビームに閉じ込める一方、書き込み時間が長期化する代償を払うことで、100KeVのツールを用いてレジストを曝露することにより達成され得る。現在、50KeVのツールが半導体業界で採用されている。これは、分解能対書き込み時間の閾値がこの加速電圧にあり、生成するSEの数が比較的に一定であるので、このフィロソフィーを反映していることが認められるためである。
図12a及び12bにそれぞれ200及び100nmのピッチで6.22及び10.4nmの分解能を得るようにパターン化されたGW20−14材料を示す。ここで認められる横縦比は、それぞれ16:1及び10:1である。得られたこれらのナノ構造は、図10で示したモンテカルロシミュレーションによって得られた予測との高度の一致を示している。これらの所見から、SE’sの発生と材料との間の相互作用が起こり得ないことを推測することができる。これは、分子の密度が0.814g/cm3であり、その分子量が大きい(16886.04g/mol)ためである。これにより、フィルムの大部分は、自由空間であり、結果として一次電子が拘束され、SEを発生し得ず、したがって、横方向の電子の散乱が妨げられる。それ故、6.22nmの分解能が達成される。
これらのナノ構造を作り出すために、必要とした曝露線量は、6200及び9950pC/cmであった。図4に示したシミュレーションの結果がSEを発生する確率が非常に小さいことを予測するものであったため、これは、予想された。これらのSEが散乱事象の数の増加を経験し(それらの随伴エネルギーがPEのそれより著しく低いため)、これらの衝突がさらにより多くのSEを発生することは、周知である。SEが主ビームから離れた任意の軌跡で80°より大きい角度で散乱するので、これは重要である。これらの電子は、レジスト材料を横方向に曝露する。これが、SEがナノ構造を生成するうえで主な役割を果たす理由である。
図12に(a)200nmピッチでの6.22nmラインのプロフィル像(傾斜70°)、(b)100nmピッチでの10.4nmラインのプロフィル像(傾斜70°)を示すSEM画像を示す。
図12に示した曝露線量から、GW20−14試料のそれぞれに入射した電子の数を計算することが可能であった。これを実現するために、ナノ構造を生成した曝露パラメーターは、各曝露間のステップサイズを6.1nm、電流及びドウェル時間をそれぞれ50pA及び12.12μ秒とした。200及び100nmのピッチを有するナノ構造を作製するための線量係数は、それぞれ6.2及び9.95であった。したがって、GW20−14材料に挿入された電子の数は、それぞれ23482及び37686個であった。図13に3つのナノ構造を作製する場合の散乱軌跡断面のモンテカルロシミュレーションを示す。
図7a及び7bでシミュレーションが7.5及び11nmの線幅を有するナノ構造を生じさせたことがわかる。これらの理論的結果を図12に示した実験所見と比較すると、良好な一致が認められる。実際には、モデルの結果が1.2及び1.06倍増加した。これは、モデルが約1nmの不一致を有することと同じであった。
図13は、(a)200nmのピッチを有する7.5nmナノ構造を有し、6200pC/cmの線量を有していたGW20−14、(b)100nmのピッチを有する10nmナノ構造を有し、9950pC/cmの線量を有していたGW20−14の内部の内部電子散乱相互作用を示す図である。二次電子及び後方散乱電子をそれぞれ赤色及び青色で示す。
ニッケルクロム環様構造材料が、30KeVの加速電圧で10:1より大きい横縦比を示すと同時に6.22nmという分解能の増大をもたらすことが見いだされた。これがPMMAのような工業標準のポリマー型材料を用いて可能でないので、この結果は重要である。これは、6200pC/cmの曝露線量を生じさせたが、これは工業標準PMMAと比較した場合、約8倍遅い。このことから、その密度が0.814g/cm3であり、その分子量が16886.02g/molであったため、分子が二次電子の生成を妨げるので、曝露方法が、SEの存在の寄与を受けなかったことを確認することができる。これは、一次電子がz方向のフィルム全体で経験し得る約72の可能な相互作用と同じである。したがって、一次電子がパターンの生成に関与している。側壁のプロファイルがケイ素と比較したとき90°の垂直角度を示すと思われるため、これがわかる。これは、モンテカルロシミュレーションと高度の一致を示すことが示された。
<技術の適用>
本発明によるリソグラフ法で得られる優れた分解能及び横縦比を考慮すると、本発明に係るレジスト組成物及び方法が、改善され、潜在的により小型の集積回路を製造するのに理想的であることは、明らかである。当業者は、本発明に係るレジスト組成物を用いる1つ又は複数のリソグラフィステップを組み込むように現行のIC製造法を十分に適応することができる。或いは、本発明は、当業者が、次に集積回路の製造に使用することができる、高分解能のリソグラフィックマスクを製造することを可能にする。
したがって、本発明は、分解能の向上を長年にわたり必要とする分野への重要な貢献、及び本発明によってもたらされる実用性を示すものである。
[実施例6]
<付加された二次電子ジェネレーター(複数可)及び/又は散乱化合物を含む散乱を防止する化合物>
以前の実施例で述べた純粋な散乱を防止する化合物を含むeBeamレジスト組成物は、例外的に十分に機能するが、書き込みスピードを増加させながら、純粋散乱を防止する化合物のベネフィット(例えば、極めて高い分解能)を実質的に維持できるかどうかを立証するために以下の更なる実験を実施した。この目的を達成するために、様々な散乱を防止する化合物を、二次電子ジェネレーター(同時係属出願PCT/GB2015/050884の通りに同じ研究チームによって最近開発されたものの1つ等)及び/又はこれから述べるアルケンベースの化合物のような、散乱化合物のいずれか又は両方と関連させた(供与結合により)。
以下の手順では、関連供試生成物の作製を述べる。
[実施例6.1]
<[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2CC5H4N)](化合物1)の合成>
化合物[nPr2NH2][Cr7Ni(μ−F)8(O2CtBu)16](15.0g、6.54mmol)、イソニコチン酸(2.48g、19.5mmol)及びn−プロパノール(300mL)を絶えず撹拌しながら24時間還流した。得られた溶液を室温に冷却し、濾過した。濾液から溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテル(300mL)で抽出した。得られた溶液を濾過し、ジエチルエーテルを減圧下で除去して、固体を残した。これをペンタン(200mL)で抽出し、濾過し、蒸発乾固して緑色の固体を得たが、これは、依然として生成物の混合物であった。化合物の混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより分離し、精製した。最初に、トルエンを溶出液として用いることにより、未反応の出発物質が溶出し、カラムの上部に反応生成物が残った。その後、石油エーテル/酢酸エチル(20/1)混合物による溶出を用いて、あらゆる残りの未反応出発物質を除去した。溶媒の比率を10/1まで徐々に増加させて、1の大きな単一バンドを溶出した。溶媒を減圧下で除去して、表題化合物1を得た。収量:4.89g(32%)。元素分析(%)、C87H155Cr7F8N2NiO32の計算値:Cr 15.72、Ni 2.53、C 45.12、H 6.75、N 1.21;測定値:Cr 15.97、Ni 2.56、C 44.90、H 6.90、N 1.19。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2338[M+Na]+;2316[M+H]+
<1Hgへの配位>
化合物1(100mg、0.04mmol)を熱アセトン(10mL)に溶解した。アセトン(2mL)中塩化水銀(11.7mg、0.04mmol)の溶液を1滴ずつ加え、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、濃縮した。緑色の微結晶性粉末が得られた。元素分析(%)、C87H155Cr7F8N2NiO32Hgの計算値:Cr 14.46、Ni 2.33、C 41.53、H 6.21、N 1.11;測定値:Cr 14.87、Ni 2.67、 C 41.12、H 5.88、N 0.81
[実施例6.2]
<[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)14(O2CC5H4N)2](化合物2)の合成>
化合物[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)14(O2CC5H4N)2](15.0g、6.54mmol)、イソニコチン酸(2.48g、19.5mmol)及びn−プロパノール(300mL)を絶えず撹拌しながら24時間還流した。得られた溶液を室温に冷却し、濾過した。濾液から溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテル(300mL)で抽出した。得られた溶液を濾過し、ジエチルエーテルを減圧下で除去して、固体を残した。これをペンタン(200mL)で抽出し、濾過し、蒸発乾固して緑色の固体を得たが、これは、依然として生成物の混合物であった。化合物の混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより分離し、精製した。最初に、トルエンを溶出液として用いることにより、未反応の出発物質が溶出した。その後、石油エーテル/酢酸エチル(20/1)の混合物による溶出を用い、次いで5/1混合物まで徐々に近づけ、生成物としての2を溶出した。溶媒を減圧下で除去して、表題化合物を得た。収量:1.62g(10%)。元素分析(%)、C88H150Cr7F8N3NiO32の計算値:Cr 15.57、Ni 2.51、C 45.25、H 6.47、N 1.80;測定値:Cr 15.46、Ni 2.38、C 45.56、H 6.77、N 1.82。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2359[M+Na]+;2337[M+H]+
<2Hgへの配位>
化合物2(100mg、0.04mmol)を熱アセトン(10mL)に溶解した。アセトン(2mL)中塩化水銀(23.1mg、0.08mmol)の溶液を1滴ずつ加え、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、濃縮した。緑色の微結晶性粉末が得られた。元素分析(%)、C88H150Cr7F8N3NiO32Hg2の計算値:Cr 13.29、Ni 2.14、C 38.61、H 5.52、N 1.53;測定値:Cr 13.60、Ni 1.09、 C 38.19、H 6.01、N 1.02
[実施例6.3]
<[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)12(O2CC5H4N)4](化合物3)の合成>
化合物[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)12(O2CC5H4N)4](15.0g、6.54mmol)、イソニコチン酸(2.48g、19.5mmol)及びn−プロパノール(300mL)を絶えず撹拌しながら24時間還流した。得られた溶液を室温に冷却し、濾過した。濾液から溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテル(300mL)で抽出した。得られた溶液を濾過し、ジエチルエーテルを減圧下で除去して、固体を残した。これをペンタン(200mL)で抽出し、濾過し、蒸発乾固して緑色の固体を得たが、これは、依然として生成物の混合物であった。化合物の混合物をフラッシュクロマトグラフィーにより分離し、精製した。最初に、トルエンを溶出液として用いることにより、未反応の出発物質が溶出した。その後、アセトンを用いて、生成物としての3を溶出した。溶媒を減圧下で除去して、表題化合物を得た。収量:1.22g(8%)。元素分析(%)、C90H140Cr7F8N5NiO32の計算値:C 45.44、H 5.93、N 2.94;測定値:C 45636、H 5.87、N 3.11。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2399[M+Na]+;2379[M+H]+
<4Hgへの配位>
化合物3(100mg、0.02mmol)を熱アセトン(10mL)に溶解した。アセトン(2mL)中塩化水銀(21.6mg、0.08mmol)の溶液を1滴ずつ加え、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、濃縮した。緑色の微結晶性粉末が得られた。元素分析(%)、C90H140Cr7F8N5NiO32Hg4の計算値:Cr 11.44、Ni 1.85、C 33.98、H 4.44、N 2.20;測定値:Cr 11.81、Ni 1.56、 C 34.29、H 4.11、N 1.83
[実施例6.4]
<[C6H11NH2][Cr7NiF8(O2CC2H5)16](化合物4)の合成>
ピバル酸(20.0g、195mmol)、ジアリルアミン(0.55g、5.6mmol)及びフッ化クロム(III)四水和物(6.7g、39mmol)をテフロンフラスコ中で撹拌しながら140℃で0.5時間加熱し、次いで塩基性炭酸ニッケル(II)四水和物(0.98g、1.67mmol)を加えた。1時間後に反応物の温度を24時間にわたり160℃に上昇させた。フラスコを室温に冷却し、次いで撹拌しながらアセトン(35mL)を加えた。緑色の微結晶性生成物を濾過により収集し、大量のアセトンで洗浄し、風乾した。トルエンを溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、所望の化合物4を緑色結晶性固体として得た。収量:7.7g(60%)。元素分析(%)、C86H156Cr7F8NNiO32の計算値:Cr 15.89、Ni 2.56、C 45.09、H 6.86、N 0.61;測定値:Cr 15.43、Ni 2.32、C 45.65、H 6.81、N 1.11。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2313[M+Na]+;2291[M+H]+
[実施例6.5]
<N−アリルヘキサ−2,4−ジエン−1−アミンの合成>
30mLのメタノール中2,4−ヘキサンジエナール(1.15mL、10.4mmol)の溶液に5mLのメタノール中アリルアミン(0.78mL、13.6mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気中で一夜撹拌した。次いで過剰のNaBH4を0℃で加え(5当量)、反応混合物を窒素雰囲気中、室温で12時間撹拌した。反応を水でクエンチし、溶媒を減圧下で蒸発した。残留物をクロロホルムで抽出し、水で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で脱水し、減圧下で蒸発し、化合物を90%の収率(1.28g)で淡黄色油として得た。ES−MS(MeOHに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=138[M+H]+ NMR (400 MHz, 293K, CDCl3) :δ = 1.7(d, 3H), 3.22 (d, 4H), 5.08-5.17 (m, 2H), 5.72-5.76 (m, 3H), 5.8-6.02 (m, 2H).
<[C9H15NH2][Cr7NiF8(O2CC2H5)16](化合物5)の合成>
ピバル酸(20.0g、195mmol)、N−アリルヘキサ−2,4−ジエン−1−アミン(0.65g、4.7mmol)及びフッ化クロム(III)四水和物(6.0g、33.2mmol)をテフロンフラスコ中で撹拌しながら140℃で0.5時間加熱し、次いで塩基性炭酸ニッケル(II)四水和物(0.83g、1.42mmol)を加えた。1時間後に反応物の温度を24時間にわたり160℃に上昇させた。フラスコを室温に冷却し、次いで撹拌しながらアセトン(35mL)を加えた。緑色の微結晶性生成物を濾過により収集し、大量のアセトンで洗浄し、風乾した。トルエンを溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、所望の化合物5を緑色結晶性固体として得た。収量:2.7g(25%)。元素分析(%)、C89H160Cr7F8NNiO32の計算値:Cr 15.62、Ni 2.52、C 45.85、H 6.92、N 0.60;測定値:Cr 15.13、Ni 2.39、C 45.10、H 6.48、N 0.55。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2353[M+Na]+;2331[M+H]+
[実施例6.6]
<ビス(2−(へプタ−1,6−ジエン−4−イルオキシ)エチル)アミンの合成>
無水DMF(10mL)中NaH(0.83g、5当量)の溶液に、ジエノール(1g、8.9mmol、2当量)を0℃で1滴ずつ加えた。混合物を15分間撹拌し、次いでビス(2−クロロエチル)アミン塩酸塩(0.78g、1当量)を加えた。混合物を室温に加温し、一夜撹拌した。0℃の氷の添加により過剰のNaHをクエンチし、混合物を10分間撹拌した。混合物をH2O中に注加し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をH2O及びブライン溶液で洗浄し、脱水し(無水Na2SO4)、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製して、所望の化合物を60%の収率(0.7g)で得た。ES−MS(MeOHに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=294[M+H]+ NMR (400 MHz, 293K, CDCl3) :δ = 2.15-2.32 (m, 8H), 2.80 (t, 4H), 3.62-3.70 (m, 2H), 3.76-3.89 (m, 4H), 5.13-5.34 (m, 8H), 5.85-6.03 (m, 4H).
<[C18H31NO2][Cr7NiF8(O2CC2H5)16](化合物6)の合成>
ピバル酸(20.0g、195mmol)、ビス(2−(ヘプタ−1,6−ジエン−4−イルオキシ)エチル)アミン(0.5g、1.7mmol)及びフッ化クロム(III)四水和物(2.1g、11.9mmol)をテフロンフラスコ中で140℃で0.5時間撹拌しながら加熱し、次いで塩基性炭酸ニッケル(II)四水和物(0.31g、0.53mmol)を加えた。1時間後に反応物の温度を25時間にわたり150℃に上昇させた。フラスコを室温に冷却し、次いで撹拌しながらアセトン(35mL)を加えた。緑色の微結晶性生成物を濾過により収集し、大量のアセトンで洗浄し、風乾した。トルエンを溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより、所望の化合物6を緑色結晶性固体として得た。収量:0.2g(5%)。元素分析(%)、C98H176Cr7F8NNiO34の計算値:Cr 14.64、Ni 2.36、C 47.33、H 7.13、N 0.56;測定値:Cr 14.99、Ni 2.17、C 47.60、H 6.67、N 0.73。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2509[M+Na]+;2487[M+H]+
[実施例6.7]
<[C6H11NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)14(O2CC5H4N)2](化合物7)の合成>
化合物[C6H11NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)14(O2CC5H4N)2](7.5g、3.27mmol)、イソニコチン酸(1.2g、9.75mmol)及びn−プロパノール(150mL)を絶えず撹拌しながら24時間還流した。得られた溶液を室温に冷却し、濾過した。濾液から溶媒を減圧下で除去し、ジエチルエーテル(100mL)で抽出した。得られた溶液を濾過し、ジエチルエーテルを減圧下で除去して、緑色固体を残した。最初に、トルエンを溶媒として用いることにより、未反応の出発物質が溶出し、反応の生成物がカラムの上部に残った。その後、石油エーテル/酢酸エチル(20/1)混合物による溶出を用いて、あらゆる残りの未反応出発物質を除去した。次に、溶媒の比率を5/1混合物まで徐々に増加させて、生成物としての7を溶出した。溶媒を減圧下で除去して、表題化合物を得た。収量:0.79g(10%)。元素分析(%)、C88H146Cr7F8N3NiO32の計算値:Cr 15.60、Ni 2.52、C 45.31、H 6.31、N 1.80;測定値:Cr 15.83、Ni 2.11、C 46.33、H 5.80、N 2.11。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2355[M+Na]+;2333[M+H]+
<2Hgへの配位>
化合物7(100mg、0.04mmol)を熱アセトン(10mL)に溶解した。アセトン(2mL)中塩化水銀(23.1mg、0.08mmol)の溶液を1滴ずつ加え、緑色溶液を50℃で1時間撹拌した。溶液を室温に冷却し、濃縮した。緑色の微結晶性粉末が得られた。元素分析(%)、C88H142Cr7F8N3NiO32Hg2の計算値:Cr 13.33、Ni 2.15、C 38.72、H 5.24、N 1.54;測定値:Cr 13.71、Ni 2.01、C 38.39、H 5.72、N 1.09
[実施例6.8]
<メチル3,5−ジ(ピリジン−4−イル)ベンゾエートの合成>
ジオキサン(120mL)中メチル3,5−ジブロモベンゾエート(1.5g、5.1mmol)、4−ピリジルボロン酸ピナコールエステル(3.5g、16.9mmol)、Pd(PPh3)4(0.6g)及びK3PO4(8g、40.0mmol)の混合物をアルゴン雰囲気中で3日間還流した。反応混合物を水で処理し、生成物をCHCl3で抽出し、水で洗浄した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で脱水し、減圧下で蒸発した。得られたものをシリカゲル上カラムフラッシュクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH(10/1))により精製して、表題化合物を浅黄色固体として得た。収量:0.7g(50%)。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=291[M+H]+ NMR (500 MHz, 293K, CDCl3) :δ =3.9 (s, 3H), 7.6 (s, 2H), 8.1 (s, 1H), 8.4 (d, 4H), 8.7 (d, 4H).
<3,5−ジ(ピリジン−4−イル)安息香酸の合成>
MeOH/THF/H2O(30/20/6mL)の混合物中メチル3,5−ジ(ピリジン−4−イル)ベンゾエート(0.7g、2.41mmol)の溶液にLiOH(0.11g、2当量)を加えた。反応混合物を室温で24時間撹拌した。MeOH及びTHFを真空中で除去し、残留物を1M水性HClでpH5に酸性化した。得られた固体を濾過により単離し、冷水(10mL)で洗浄し、真空中で乾燥した。濾液を真空中で濃縮し、1M水性HClでpH5にさらに酸性化した。更なる固体が沈殿し、これを濾過し、冷水(3mL)で洗浄し、真空中で乾燥して、生成物を白色固体として得た。収量:0.5g(71%)。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=277[M+H]+ NMR (400 MHz, 293K, DMSO) :δ =7.7 (s, 2H), 7.9 (s, 1H), 8.1 (d, 4H), 8.5 (d, 4H), 12.9 (s, 1H).
<[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C(C6H4)2OH)]の合成>
過剰の4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸(1.71g、8.0mmol)をトルエン(25mL)、ジメチルホルムアミド(25mL)及び1,2−ジクロロベンゼン(75mL)中[nPr2NH2][Cr7Ni(μ−F)8(O2CtBu)16](6.92g、3.0mmol)と反応させた。溶液を丸底フラスコ中で絶えず撹拌しながら150℃で12時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、得られた残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製した。最初にトルエンを、その後60/1トルエン/酢酸エチルを用いた。これにより、未反応の[nPr2NH2][Cr7Ni(μ−F)8(O2CtBu)16]が溶出し、反応生成物がカラムの上部に残った。その後40/1トルエン/酢酸エチルを用いて、生成物を溶出した。溶媒を減圧下で除去し、Et2O/MeCN(2.89g、40%)からの再結晶により、X線品質の結晶が得られた。ESI−MS(m/z):2429[M+Na]+;2407[M+H]+。元素分析(%)、C94H160Cr7F8NNiO33の計算値:Cr 15.12、Ni 2.44、C 46.91、H 6.70、N 0.58;測定値:Cr 15.17、Ni 2.47、 C 47.05、H 6.78、N 0.60
<[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C(C6H4)2O2C(C6H3)(C6H4N)2)]の合成>
乾燥THF(50mL)中[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C(C6H4)2OH)](1g、0.4mmol)、3,5−ジ(ピリジン−4−イル)安息香酸(0.11g、0.4mmol)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(0.26g、1.26mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(0.14g、1.26mmol)の混合物をアルゴン雰囲気中室温で48時間撹拌した。反応混合物を濾過して、生成したジシクロヘキシル尿素を除去した。溶媒を減圧下で除去し、固体を残した。固体をヘキサン(200mL)で抽出し、溶液を濾過し、蒸発乾固して、緑色固体を得た。これをトルエンを、次いでトルエン/酢酸エチルを溶出液として用いたフラッシュクロマトグラフィーによって分離し、精製して、表題化合物を緑色固体として得た。収量:0.2g(20%)。元素分析(%)、C111H170Cr7F8N3NiO34の計算値:Cr 13.66、Ni 2.20、C 50.03、H 6.43、N 1.58;測定値:Cr 13.43、Ni 2.12、C 50.31、H 6.90、N 1.19。ES−MS(THFに溶解した試料、MeOH中で実施):m/z=2688[M+Na]+;2666[M]+
<[{[nPr2NH2][Cr7Ni(μ−F)8(O2CtBu)15(O2CC33H19O2N2)]}24Pd12(BF4)24]8の合成>
化合物[nPr2NH2][Cr7NiF8(O2CtBu)15(O2C(C6H4)2O2C(C6H3)(C6H4N)2)](0.07g、0.026mmol)を熱アセトン(2mL)に溶解した。アセトン(2mL)中Pd(BF4)2・4CH3CN(0.004g、0.0013mmol)の溶液を1滴ずつ加え、緑色溶液を50℃で12時間撹拌した。溶液を濃縮して、緑色粉末を得た。元素分析(%)、C2664H4080B24Cr168F288N72Ni24O816Pd12の計算値:Cr 12.97、Ni 2.09、C 47.53、H 6.11、N 1.50;測定値:Cr 12.42、Ni 1.98、C 48.39、H 6.50、N 1.10
[実施例6.9]
<24個のサテライトCr7Ni環が結合した藤田ケージ、及びジアリルアミンで構成されており、ジアリルアミンがケージに結合していないナノ複合材料>
関連する製剤を下の表6に示すが、これは、それに24個のサテライトCr7Ni環が結合した30mgの藤田ケージを2gのtert−ブチルメチルエーテルと混合することにより形成させる。次に6mgのジアリルアミンを混合物に導入する。
[実施例6.10]
<24個のサテライトCr7Ni環が結合した藤田ケージ、及びトランストランスファルネシルブロミドで構成されており、トランストランスファルネシルブロミドがケージに結合していないナノ複合材料>
関連する製剤を下の表6に示すが、これは、それに24個のサテライトCr7Ni環が結合した30mgの藤田ケージを2gのtert−ブチルメチルエーテルと混合することにより形成させる。次に6mgのトランストランスファルネシルブロミドを混合物に導入する。
[実施例6.11]
<24個のサテライトCr7Ni環が結合した藤田ケージ、及びペントラエリスリトールテトラアクリレートで構成されており、ペントラエリスリトールテトラアクリレートがケージに結合していないナノ複合材料>
関連する製剤を下の表6に示すが、これは、それに24個のサテライトCr7Ni環が結合した30mgの藤田ケージを2gのtert−ブチルメチルエーテルと混合することにより形成させる。次に6mgのペントラエリスリトールテトラアクリレートを混合物に導入する。
[実施例6A]
<eBeamレジスト組成物の製造>
eBeamレジスト製剤は、以下で説明するように散乱を防止する化合物(付加された二次電子ジェネレーター(複数可)及び/又は散乱化合物含む又は含まない)を用いて調製した。
Cr
7Ni環分子及びHgCl
2を含むレジスト製剤は、以下の表3に示す配合にしたがって調製した。
表4にCr
7Ni環の内側に結合したアルケン基を組み込んでいるレジスト製剤を示す。関連するアルケン構造も以下に示す。
表5にその内側に結合したジアリルアミンを有していた、Cr
7Ni環分子に結合した2つのHgCl
2のレジスト製剤を示す。
表6に「藤田ケージ」ナノ複合製剤を含むレジスト製剤を示す。それを周回する24個のサテライトCr
7Ni環を含む藤田ケージを用いるナノ複合材料を作製した。該ナノ複合レジスト製剤を表6に示す。藤田ケージと混合された他の分子は、それらの分子構造と関連した2、3及び8個のアルケン基を有していた。これは、書き込みスピードを潜在的に増大させようとして行われた。アルケン構造を下に示す。
[実施例6B]
<試験用のウエハの調製>
実施例6Aのレジスト組成物の性能を比較するために、実施例6Aの組成物を用いて、ケイ素ウエハを調製した。
実施例6Aの製剤を10mm×10mmケイ素基板上にスピンコートした。30秒間にわたる8000rpmのスピンサイクルを用いてレジストをスピンコートし、これに100℃で2分間のソフトベイクを後続させて、キャスト溶媒を蒸発させた。100nmの厚さのレジストフィルムが得られた。各レジスト材料の曝露クレアリング線量は、20μmの長さの単一ピクセルラインの10個の1次元マトリックスから決定した。したがって、ラインの幅は、電子ビームの幅であった。第1の1次元マトリックスは、100nmのピッチにより分離された各単一ピクセルラインを有していた。これらは、0.1pC/cmの増分ステップで1〜20.9pC/cmの線量スケールで曝露したが、第2〜第10の1次元マトリックスは、5nmの減分ピッチで90〜50nmのピッチを有していた。
次いで、全てのレジストをFEI Sirion走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて曝露した。30KeVの加速電圧、50pAのプローブ電流を用いて曝露パターンを書き込み、ドウェル時間は12μ秒で、ステップサイズは12nmであった。これらの曝露パラメーターから、ベース線量は、500pC/cmと計算された。各パターンを100μmのライトフィールドを用いて曝露した。各材料をヘキサンの溶液を用いて30秒間現像した後、N2気流乾燥した。
<実施例6に関する結果及び考察>
実施例6に先行する実施例で述べた散乱を防止する化合物/レジストの場合と同じ又は類似した方法で、前述の化合物/組成物をeBeamレジストとしてのそれらの能力について試験した。特に、実施例6のeBeamレジスト組成物(化合物が同じ錯体の一部として関連し得るという事実にもかかわらず、複数の化合物が含まれていることによって組成物と考えることができる)をフィーチャー/書き込み幅(分解能及び集束の尺度である)に関して、また要求される曝露線量(書き込みスピードの指標である)に関しても評価した。
下の表7に実施例6.1〜6.11のそれぞれについて実施した試験を関連する図及び曝露線量値を参照することにより要約する。図14.1〜14.11は、様々なeBeamレジスト組成物にeBeamを用いて書き込まれた様々なラインを示すSEM画像である。
これらの結果から、散乱を防止する化合物を二次電子ジェネレーター及び/又は散乱化合物のいずれか又は両方と組み合わせることによって共同効果を実現することができることがわかる。このような共同効果は、分解能を著しく損なうことなく書き込みスピードを増大させることを可能にするものである。
式[M
1
x
M
2
y
(monoLIG
1
)
m1
(O
2
CR
B1
)
16−b2
(O
2
CR
B2
)
b2
]の一次金属錯体を含む飛散防止化合物に関連する参考文献
式[M
1
8−y
M
2
y
F
3
(O
2
CR
B1
)
15
(Gluc−NH−R
O1
)]の一次金属錯体を含む飛散防止化合物に関連する参考文献