JP2017522692A - 占有センシングスマート照明システム - Google Patents

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Abstract

摂動変調光及び分散型非撮像カラーセンサを使用して占有を推定するスマート照明システム及び方法。複数の非撮像カラーセンサと、複数の色制御可能光源と、空間内の色制御可能光源を摂動させるシステムと、非撮像カラーセンサから結果として生じた色情報を収集し、収集された色情報に基づいて光輸送モデルを構築するシステムと、空間内の占有パターン又は分布を推定するシステムと、光輸送モデル及び事前に定められた制御ストラテジに基づいて色制御可能光源を調節する調節モジュールとを含むシステムが、開示される。【選択図】 図1

Description

[0001]本発明の主題は、空間の照明のインテリジェント制御に関し、より詳細には、摂動変調光及び分散型非撮像カラーセンサを使用して占有センシングを実現するスマート照明システムに関する。
背景
[0002]外部(すなわち、自然)照明変動及び部屋占有パターンなどの変動量に応じた経時的な空間の照明、及び特に人工照明のインテリジェント制御は、エネルギー消費、人間の快適さ及び満足感、並びに作業者の生産性において利益をもたらす可能性を有する。
[0003]既存のシステムは、(1)既存のシステムが多くの場合に人々の存在を検出するだけであり、人数及び室内の空間分布を検出しないこと、並びに(2)既存のシステムが、リアルタイム動作にとっての大きな計算上の負荷を生み出し、重大なプライバシ又はセキュリティの懸念を提示することがあるカメラ又は他の高解像度センサを典型的に使用することを含む様々な欠点を有する。コスト効率の良い方法で部屋の占有者の空間分布(例えば、集団の作業グループに対して会議テーブルの周りに座っている数人の人物)を認識し反応することが、人工光の最適な空間分布及びスペクトル分布を実現するために必要である。残念ながら、現在のシステムは、そのような結果を提供することができない。
概要
[0004]本開示は、リアルタイムの照明調節を行うために、色制御可能照明及び空間の全体にわたり分散された非撮像カラーセンサを利用して、空間内の人々の空間分布を推定する。色制御可能光への小さな摂動が導入される解決策が提案される。これらの摂動は、人間には気付かれないように設計され、連続して生じるが、カラーセンサにより正確に測定可能である。速い一連の測定が、照明の異なる摂動下でセンサを用いて行われ、これらの測定値が光輸送モデルを推定するために使用される。光輸送モデルは、色、例えば、赤、緑、青(RGB)の関数として、各器具−センサ対間の光束の測定値を含む。これは、(例えば、窓からの)周囲照明がモデルから差し引かれ、関係の線形(制御可能な)部分だけを残すような方法で行われる。決定した光輸送モデルを用いると、様々な選択肢が、室内の占有パターンを推定するために与えられる。
[0005]第1の態様では、本発明は、スマート照明システムであって、複数の非撮像カラーセンサと、複数の色制御可能光源と、空間内の色制御可能光源を摂動させるシステムと、非撮像カラーセンサから結果として生じた色情報を収集し、収集された色情報に基づいて光輸送モデルを構築するシステムと、空間の占有を推定するシステムと、光輸送モデル及び事前に定められた制御ストラテジに基づいて色制御可能光源を調節する調節モジュールとを備えるスマート照明システムを提供する。
[0006]第2の態様では、本発明は、複数のカラーセンサ及び複数の色制御可能光源を有する空間の照明を制御するための方法を提供し、本方法は、色制御可能光源へ制御値を出力して、空間内にベース光を発生させるステップと、さらなる制御値を定期的に出力して、空間内の色制御可能光源を摂動させるステップと、カラーセンサから結果として生じた色情報を収集するステップと、色情報に基づいて光輸送モデルを構築するステップと、(いずれか、出発モデルを直接又はこれを変更したような)光輸送モデルを利用して、空間の推定される占有を計算するステップと、推定される占有及び事前に定められた制御ストラテジに応じてベース光を調節するステップとを含む。
[0007]第3の態様では、本発明は、推定される占有に基づいて色制御可能LED光源のセットを調節する照明制御システムを提供し、本システムは、空間内にベース光を発生させ且つベース光に加えられるべき摂動を生じさせるために色制御可能LED光源のセットへ値を出力する照明コントローラと、空間内に設置された複数の非撮像カラーセンサから検知された色情報を受信するセンサデータマネージャと、光輸送モデルに検知された色情報及び関係する摂動情報を記憶する光輸送モデラと、(直接又はベースモデルから変更されたような)光輸送モデルに基づいて空間の推定される占有を計算する占有推定システムであり、推定される占有がベース光を調節するために照明コントローラへ与えられる、占有推定システムとを備える。
[0008]本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、添付の図面とともに本発明の様々な態様の下記の詳細な説明から、さらに容易に理解されるであろう。
[0009]図1は、実施形態によるセンシングステージを実施するためのシステムを有するスマート照明室の図である。
[0010]図2は、実施形態による調節ステージを実施するためのシステムを有する、図1のスマート照明室の図である。
[0011]図3は、実施形態による照明システムを有するコンピュータシステムの図である。
[0012]図4は、実施形態による空間内の光径路のセットの図である。
[0013]図5は、実施形態による4×3部分行列の集合体の図である。
[0014]図6は、実施形態によるLED器具の光度プロットである。
[0015]図7は、実施形態によるLED器具の光度プロットである。
[0016]図8は、実施形態による光反射モデルの図である。
[0017]図9は、実施形態によるベース光に加えられる摂動の図である。
[0018]実施形態によるスマート照明を実施するための方法の流れ図である。
[0019]図面は、必ずしも正確な縮尺であるとは限らない。図面は、単に模式的な表現であり、本発明の特定のパラメータを写し出すものではない。図面は、本発明の典型的な実施形態だけを描くものであり、したがって、本発明の範囲を限定するように考えるべきではない。図面では、類似の参照番号は、類似の要素を表している。
詳細な説明
[0020]本明細書において詳細に説明するように、部屋の占有が変化するときに、照明システムが快適さを最大に且つエネルギー消費を最小にする現在の占有シナリオに最適な照明条件を作り出すような占有感応型スマート照明システムが提供される。「占有」は、部屋、廊下、階段、囲まれた空間、等、などの空間内の人数及び/又は人々の空間分布を一般に言う、しかしながら、空間に出入りし又は周りを動き、照明に影響を与えることがある別のタイプの対象物、例えば、動物、ロボット、等の数及び空間分布を言ってもよい。占有感応型スマート照明を実装するために、制御ストラテジモジュール及び占有センシングモジュールが実装され、これらは2つのステージ、すなわち、センシングステージ及び調節ステージで働く。センシングステージでは、占有センシングモジュールは、センサ読み値を収集して、占有を推定する。調節ステージでは、制御ストラテジモジュールは、推定された占有に基づいてどんな照明条件が作り出されるべきであるかを決定する。
[0021]図1及び図2は、部屋10の占有16が推定され、照明がそれに応じて調節されるスマートルーム10の照明を制御するためのスマート照明システム11を描いている。スマート照明室10は、色制御可能LED(発光ダイオード)器具12のセット及び非撮像カラーセンサ14のセットを含む。非撮像カラーセンサ14は、画像データを収集しないが、代わりに色情報を検知し収集するだけの低コストセンサを一般に備える。図1に示したセンシングステージでは、制御ストラテジモジュール18が、部屋10へのベース光xを発生するために設けられ、占有センシングモジュール20が、部屋10の占有を推定するために設けられる。図2に示した調節ステージでは、センシングモジュール20は、推定された占有にしたがって部屋10へのベース光xを制御ストラテジモジュール18に更新させる。
[0022]センシングステージ(図1)では、占有センシングモジュール20は、カラーLED照明器具12のベース光に加えるべき(すなわち、摂動させるべき)一連の微細な摂動を生じさせる。カラーセンサ14は、部屋の占有を推定するために、占有センシングモジュール20により記憶され処理される各摂動についての色情報を検知する。とりわけ、制御ストラテジモジュール18は、色制御可能LED器具12のベース光xを所定の値に摂動させる。現在のLED技術は、LED器具12が急速に変化する照明条件で照射することを可能にし、この条件はカラーセンサ14によって検知されることが可能である。本明細書において説明する例示的な実施形態では、色制御可能LED器具12は、3つの色チャネル、すなわち、赤、緑及び青(RGB)にわたる制御を実施され得る。しかしながら、追加の又は異なる色チャネルを有するLED器具が同様に利用されてもよいことが理解される。各チャネルに対する制御値入力は、0と1との間のスカラ値であってもよい。したがって、各LED器具は、各色成分を設定するために制御値のセットを用いて制御されることがあり、例えば、RGB LED器具は、C=[0.65,0.88,0.34]などの制御値のセットを受信することができる。
[0023]初期ベース光xが設定された後で、占有センシングモジュール20は、ベース光xに一連の摂動δを加え、検知される出力y+δがカラーセンサ14によって各摂動について測定される。検知された出力の集合は、記憶され、解析され、そして次いで調節ステージにおいてベース光を更新するために使用される。典型的な実施形態では、ベース光は、大きな色範囲内でゆっくりと変化するように制御されるであろう、一方で摂動は、小さな色範囲内で迅速に且つ理想的には検知できない程度に変化するように制御されるであろう。これは、低周波数情報が高周波数キャリアに乗る電子通信における振幅変調(AM)に類似している。相違は、本システムでは、キャリア、又はベース光の強度が低周波数成分に類似しており、摂動が高周波数成分に類似していることである。この例は、摂動90のシーケンスがベース光92に加えられ、その結果、摂動変調光が形成され、センシングステージ94、及び調節ステージ96、次のセンシングステージ98、等、4を有する図9に示されている。周期的なセンシングステージ間の時間は、任意の方法で、定期的又は不定期な頻度で(例えば、2分ごとに、勤務時間中にはより頻繁に、夜間には頻繁ではなく)、トリガイベント(例えば、ドアを開くこと)に基づいて、等で、実施されてもよい。
[0024]様々な例示的な実施形態が説明されているが、本発明は、特定の装置又は設計の明細に限定されるものではないことが理解される。例えば、(例えば、角度又は波長に関する)センサ応答機能の変形形態、使用する基本色の数、器具についての発光機能、等は、本明細書に包含されるものとする。
[0025]図3は、制御ストラテジモジュール18及び占有センシングモジュール20を含むスマート照明システム11用の照明制御システム38を実装するための例示的なコンピュータシステム30を描いている。示したように、制御ストラテジモジュール18は、ストラテジマネージャ40及び照明コントローラ42を含む。ストラテジマネージャ40は、例えば、ユーザが入力した制御ストラテジ56及び/又は事前に定められた設定に基づいて、部屋10に関する所望の照明ストラテジを定める。例えば、照明ストラテジは、空間内でのいくつかの所望の結果、例えば、最大エネルギー節約、効率的なタスクに基づく照明、TV視聴モード、昼間モード、夜間モード、読書モード、発表モード、博物館モード、食事モード、掃除モード、等、を実現するための照明のある種の量、分布、又は密度を提供することができる。制御ストラテジを特定すること及び実施することの詳細は、一般にこの開示の範囲外である。照明コントローラ42は、LED照明器具12の制御値を操作する責任を負い、室内のベース光xを設定し調節するためのベース光マネージャ44を含むことができる。ベース光マネージャ44は、部屋10の照明用の初期設定値を与え、次いで所望のストラテジ及び部屋10の推定される占有変化に基づいて定期的に調節した設定値を与える。摂動マネージャ46は、さらなる又は調節した制御値を決定及び実装して、次いで、占有を推定するために占有センシングモジュール20によって評価されるLED照明器具12に対する摂動46を生じさせる。
[0026]占有センシングモジュール20は、摂動ストラテジ48、センサデータマネージャ50及び光輸送モデラ52を一般に含む。摂動ストラテジ48は、照明コントローラ42によって定期的に出力されるべき摂動の大きさ及びタイプを決定することに責任を負う。センサデータマネージャ50は、カラーセンサ14からセンサデータを定期的に収集すること、及び収集したデータをLED器具12によって発生される関係する摂動と整列させることに責任を負う。これは、例えば、キャッシュ、ファイルシステム、等を用いて、例えば、標準的な入力/出力技術を使用して行われてもよい。光輸送モデラ52は、次いで、光輸送モデル内にセンサ情報及び関係する摂動データを記憶することに責任を負う。本明細書において説明する例示的な実施形態では、光輸送モデルは、光輸送行列を含む、しかしながら、他のモデリング構成、例えば、グラフ、ニューラルネットワーク、等が同様に利用されてもよい。占有推定システム54は、(いずれか、モデルを直接又はモデルへの変更を介して)光輸送モデルを処理して、推定される占有を与える又は計算し、推定される占有は、ベース光xを定期的に調節するために照明コントローラ42にフィードバックされる。推定される占有は、任意の方法で、例えば、バイナリデータとして、データ構造として、視覚モデル、データベクトル、表、XMLデータ、等で提示されてもよい。
[0027]光輸送モデル又は光輸送行列は、占有を推定すること及びベース光xを調節することのための基礎をこのように提供する。図1及び図2に示したように、カラーセンサ14によって測定された検知した出力y+δは、収集され、光輸送モデル又は光輸送行列Aへと入力される。例えば、部屋10の中に、各々が3つのチャネル、赤、緑及び青を有する12個の異なるLED光源を仮定すると、システムへの入力は、36次元制御信号xである。さらに、各々が4つのチャネル、赤、緑、青及び白を有する12個のカラーセンサを仮定すると、測定される出力は、48次元信号yである。xとyとの間の関係は、
y=Ax+b
として与えられ、ここでは、Aが光輸送行列であり、ベクトルbが環境光に対するセンサ応答である。光輸送行列Aは、占有シナリオに依存するだけであり、入力光又は何らかの環境光によって影響されない。光輸送行列Aは、占有のシグネチャをこのように提供する。ベクトルbは、下記のように相殺される。入力が所与のレベルxに設定されると、センサの出力は、y=Ax+bである。小さい摂動δxが入力に加えられる場合には、新しい出力は、y+δy=A(x+δx)+bになる。簡単な引き算によって、bが消去され、そしてδy=Aδxである。ここで、xはベース光と呼ばれ、制御ストラテジモジュール18によって決定される。yが1回測定され、そしてy+δyが異なるδxを用いて多数回測定される場合には、Aについて解くための線形系が与えられる。言い換えると、LED器具xへの入力は、ランダムに発生されるm1次元信号δx1、δx2、...、δxnで摂動され、システムは、センサ読み値のm2次元変化δy1、δy2、...、δynを測定する。X=[δx1,δx2,...,δxn]及びY=[δy1,δy2,...,δyn]とする、ここでは、Xがm1×n配列であり、Yがm2×n配列である。結果は、線形系Y=AXである。
[0028]2つの異なるケースが、Aを決定するときに考えられ得る。すなわち、優先決定系及び劣決定系である。特定の実装形態は、何回の測定が必要な時間間隔内に行われることが可能であるかに一般に依存し、これは順に、センサ及び光源の数、これらの応答時間、並びにコンピュータの速度に依存する。十分な測定がn>m1を確実にするために行われることが可能である場合には、この優先決定線形系は、一般逆行列:A=YX(XX−1により簡単に解かれることが可能であり、これは、誤差のフロベニアス(Frobenius)ノルムの最小化:min||Y−AX||に対応する。
[0029]測定が十分でない場合には、線形系は、劣決定であり、唯一解を持たない。そのときには、特別な制約条件が、特定の唯一解を見つけるために追加される必要がある。器具が極めて早く光源を変えることが可能であり、センサが非常に早く測定を行うことが可能である場合には、n回の異なる測定が、非常に短い期間内に行われることが可能であり、その期間内では、A及びbの両方が一定である。しかしながら、現実世界では、入力された制御信号が特定された後で且つ対応する光が照射される前に、器具は遅延を有する。また、センサは2種類の遅延、すなわち、積算時間及び通信時間(ハンドシェイク時間)を有する。積算時間は、フォトダイオードが光束を測定する時間間隔であり、通信時間は、センサがシステムへ測定値を送る時間間隔である。これらの遅延を用いて、nが大き過ぎる場合には、A及びbがn回の測定の間に一定であるともはや仮定できない。これが、劣決定系を解くことの動機である。システム実行時には非常に大きなnはあり得ないけれども、多くの測定が、システムを実行させる前にオフラインの校正ステップとして空き部屋に対して行われることが可能である。
[0030]空き部屋についての光輸送行列AがA=YX(XX−1を使用して決定されていると仮定する。ここで、部屋の占有が変化する場合には、光輸送行列Aも変化するであろう。新しいAを復元するために、システムは、X=[δx1,δx2,...,δxn]を用いてLED入力を再びランダムに摂動させ、カラーセンサ出力の変化Y=[δy1,δy2,...,δyn]を測定して、制約条件Y=AXを決定する。リアルタイム性能を確実にするために、システムは、占有、ベース光x、及び環境光に対するセンサ応答bがすべて一定であると仮定することができる短い時間間隔内では限られた回数の測定だけを行い得るに過ぎない。そのときには、劣決定系においてn<m1という結果が得られる。Aについて解くために、特別な制約が追加される。1つの仮定は、光輸送モデルの変更がスパースであること−占有が変化するときに、大部分の光経路が影響されないことである。
[0031]Aの各成分は、1つのLEDから1つのセンサへのすべての光経路上で1つのLEDチャネルへのこのセンサからの応答の合計として考えられ得る。これらの光経路は、LED器具とセンサとを接続する線セグメント(直接経路)、及び多数の反射経路(大部分は乱反射)を含む。直接経路が支配的成分であることは明らかである。人間被験者が部屋に入ると、図4に図示されているように、被験者はこれらの直接経路のうちの限られた数だけをさえぎるに過ぎない。スパーシティ仮定は、このように理解され得る。部屋がスパースに占有されているという理由で、部屋の占有が変化するときに、わずかな直接経路だけが変化するであろう。
[0032]目標は、AとAとの間の差異を最小にすることである。Y=AXであるので、AX−Y=(A−A)Xを得る。Z=AX−A及びE=A−Aとする。Zは、部屋の占有の変化に起因するセンサ応答の変化と解釈されてもよく、Eは、部屋の占有の変化に起因する光輸送モデルの変化として解釈されてもよい。行列Eは、光輸送変化又は差行列と呼ばれる。そのときには、問題は、Z=EXになり、ここでは、Eがゼロ行列を近似し、これは、


と定式化されることが可能であり、ここでは、f(・)は行列Eがどれだけ不完全であるか又はスパースであるかを記述する目的関数である。ここで、占有が変化するときに、Eが注目すべきモデルの変化であるという理由で、Eは実際にはほとんどゼロではないことが理解される。システムは、制約Z=EXの下でゼロ行列に最も近いEを探しているだけである。関数f(・)についての異なる選択肢がある。
(E)=rank(E)、
(E)=||E||=||vec(E)||
(E)=||vec(E)||
(E)=||vec(E)||
ここで、vec(・)は、行列のベクトル化(単一の列ベクトルへと複数の列をスタックすること)を表す。目標関数f(・)の異なる選択は、異なる実際的な意味を有し、異なる仮定に対応する。Eの階数が最小化される場合には、Eの多くの行が線形従属と仮定される。言い換えると、占有の変化は、同様の方法で光源から異なるセンサへの光経路に影響を及ぼす。Eのフロベニアスノルムを最小化することは、簡単ではないが、その解は、階数最小化に対する解でもある。目標関数f(E)又はf(E)を最小化することが、スパース行列Eをもたらすであろう、ここでは、Eの多くの成分がゼロである。スパースなEは、部屋の占有の変化の結果として、直接光経路のうちの限られた数だけが変化していることを意味する。
階数最小化
[0033]ここに提案した階数最小化問題は、上記の行列完成問題とは異なり、目標は、行列の成分の小さな部分集合から低階数行列を復元することである。制約は、線形系であり、成分の知られている部分集合ではない。目標関数を用いて上記の問題を解くために、Xの特異値分解(SVD)がX=USVであるとし、ここでは、Uがm1×m1行列であり、Sがm1×n行列であり、そしてVがn×n行列である。そのときには、制約がZV=EUSになる。n<m1であるので、Sの成分としてS及び0を有するベクトルとしてSを記述することが可能であり、ここでは、S1がXの特異値のn×n対角行列である。EU=F=[F]とすると、ここでは、Fがm1×nであり、Fがm1×(m1−n)である。ここで、制約は、単純にF=ZV、又はF=ZVS −1であり、Fは任意部分行列であってもよい。階数がユニタリ変換の下では不変であるので、rank(F)以上であるrank(E)=rank(EU)=rank(F)であることが知られている。明らかに、F=0、rank(E)=rank(F)であるときには、したがって解は、E=[ZVS −10]Uである。
[0034]ここでの興味深い観察結果は、階数最小化問題に対する解が、フロベニアスノルム最小化問題に対する解でもあることである。これは、フロベニアスノルムがユニタリ変換の下でも不変であるという理由であり、


そして、これは、F=0であるときにも最小値を取る。
[0035]階数最小化問題は、スパース復元問題として見られることも可能であり、その理由は、行列の階数が、単純にこの行列のゼロではない特異値の数であるためである。このように、行列の階数を最小化することは、特異値のそのベクトルのl0ノルムを最小化することと等価である。
スパース復元
[0036]目標関数を用いて上記における問題を解くために、Z=EXは、クロネッカー(Kronecker)積の形式に書き換えられることが可能である。

[0037]これは、標準圧縮センシング問題であり、ここでは、vec(E)が関心のある未知のスパース信号であり、vec(Z)が測定値のベクトルであり、そしてクロネッカー積


がセンシング行列である。
[0038]f(E)を最小化することは、NP困難であるl0最小化問題である。しかしながら、直交マッチング追跡(OMP)などのグリーディアルゴリズムが、効率的に近似解を見つけるために使用されることが可能である。f(E)を最小化することは、線形プログラミング問題として作り直されることが可能であるl1最適化問題である。
摂動−変調照明
[0039]様々なストラテジが、センシングステージ中にベース光xを摂動させるために存在する。光輸送行列の正確な復元及び人間被験者の快適さのために、下記が考えられ得る。
1.摂動パターンは、シーンから十分な情報を取り込むために変化に富んでいるべきである。
2.摂動の振幅は、室内の人間又は動物(例えば、介助犬など)の邪魔をしないように十分に小さいはずである。
3.摂動の振幅は、カラーセンサによって正確に測定されるように十分に大きいはずである。
[0040]第1の必要条件を満足させるために、ランダムに発生させたパターンが、通常は十分である。摂動の振幅がρ=max||δx||として定義される場合には、ρの選択はトレードオフである。ρが0.005程度に小さいときには、センサ応答は、雑音の中で見失われる又は歪められ、そしてρが大きくなると、センサ応答はうまく動作する。例示的な実施形態では、摂動が容易には気付かれないように、ρ=0.025であるが、カラーセンサによって正確に検知されることが可能である。
[0041]実装したセンサのセンサ感度及び信号歪みの定量的解析は、センサを設計するときに考慮され得ることに留意されたい。
[0042]振幅ρを有するn個のランダムに発生された摂動パターンδx1、δx2、...、δxnを仮定する。センシングステージでは、これらのパターンは、センサ出力の変化を測定するために適用され、光輸送行列Aを復元する。ここで疑問が生じる。人間被験者の快適さを最大化するために、どんな順番でこれらの摂動パターンが配列されるべきであるか?直感的に、光はゆっくりと変化するはずである。例えば、1つだけの器具チャネルがある場合には、強度を有する4つの摂動、すなわち、1、1、2、及び2がある。配列0”1”2”2”1”0は、0”1”2”1”2”0よりも明らかに良い、その理由は、前者の配列の光の変化がさらにゆっくりとしており、したがって気付きにくいためである。摂動がベース光に基づいているという理由で、ここで摂動が始まり、0で終わる。ゆっくりとした変化のためには、隣接する摂動パターンは、可能な限り類似しているべきである。(i1、i2、...、in)が(1、2、...、n)の順列であるとする。そのときには、(δxi1、δxi2、...、δxin)は、パターン(δx1、δx2、...、δxn)の再配列である。最適化問題は、次のように定式化されてもよい。


ここでは、||・||は選択されたベクトルノルムであり、通常l2ノルムである。
[0043]最適化問題は、非常に簡単なグラフ解釈を有する。n+1個の頂点を有する重み付けした完全な無向グラフGが作られ、各摂動パターンδxが頂点であり、0も(ベース光に対応する)1つの頂点である。2つの頂点間の縁の加重は、2つの対応する摂動パターン間の差異のノルムだけである。解を見出すことは、Gの最短のハミルトニアンサイクル又は精力的に研究されてきている有名な巡回セールスマン問題(TSP)を見出すことと等価である。
[0044]巡回セールスマン問題は、NP困難であることが良く知られており、有効な正確なアルゴリズムはない。しかしながら、多くの発見的アルゴリズムが、準最適解であるが非常良い解を見出すために使用されることが可能である。汎用アルゴリズムなどの任意のアルゴリズムが上記の問題を解くために使用されてもよい。
光輸送行列の解析
[0045]占有を推定するための光輸送モデル又は光輸送行列の解釈及び使用は、いずれかの方法で実施され得る。3つの異なる手法(分類、3Dシーン推定及び光反射)が本明細書において説明されるが、他のものも同様に利用されてもよい。
1.分類
[0046]光輸送行列Aは、部屋の占有にだけ依存し、LED光器具への入力又は環境光とは無関係である。このように、一旦、行列Aが復元されると、この行列から部屋の占有に関する高レベルの情報を推論することが可能である。最も単純な方法は、占有シナリオの特徴として行列A(又は行列E=A−A)の数値成分を直接使用すること、及びスマートルームの様々な占有シナリオの中から区別するために教師あり学習(supervised learning)を使用することである。
[0047]この分類タスクに関して、カラーセンサが、スマートルームの壁に設置され得る。しかしながら、センサが、全体の空間を捕捉するために部屋全体に散らばっている限り、センサは、分類タスクのために壁又は天井のいずれに設置されてもよいことに留意されたい。分類タスクに関して、器具又はセンサの空間座標は、必要ない。必要なものは、行列Aの値である。
分類問題例
[0048]2つの分類例が考えられるが、他のものが同様に実施されてもよい。第1のものは、四分分類問題であり、目標は、部屋が、(1)空であるか、(2)人の小さなグループ(1〜3人)によって占有されるか、(3)室内に集まっている人の大きなグループ(4〜7人)よって占有されるか、又は(4)室内に散らばっている人の大きなグループによって占有されているかどうかを決定することである。
[0049]はるかに難しい第2の手法は、十五分分類問題であり、目標は、一人の個人と人の小さなグループ(2〜3人)とを区別し、また、彼らが部屋のどの部分を占有するかを突き止めることである。このケースでは、部屋が6つの領域へと分割され、15のカテゴリは、(1)空である、(2)〜(7)6つの領域のうちの1つが一人の個人を含む、(8)〜(13)6つの領域のうちの1つが小さなグループを含む、(14)集まっている大きなグループ、及び(15)散らばっている大きなグループである。記したように、他の分類手法が、採用されてもよい。
[0050]分類手法は、試験データ及び教師データを含む教師あり学習を使用して実施され得る。例えば、LED光器具がランダムに摂動を与えられ、センサ出力が測定される様々な部屋占有シナリオの下で、部屋についてのデータが収集されてもよい。各イベント中に、人間被験者が部屋に入り、被験者の人数及び位置が記録される。
[0051]行列Eの成分は、フィーチャ次元がm1m2=1728であるようにフィーチャとして使用され得る。これらのフィーチャは、次いで規格化される−各成分がその平均値だけ引き算され、教師セットの全体にわたるその標準偏差により割り算される。設定された分類問題に関して、動径基底関数(RBF)カーネルサポートベクトルマシン(SVM)が分類装置として使用されることがあり、平均値平均精度(mAP)がグッドネス(goodness)尺度として使用され得る。異なるカテゴリが異なるサイズを有するという理由で、精度などの他の性能尺度は、特にいくつかの最も容易な階級が他のものよりも著しく大きいときには、大きくバイアスされることがある。各カテゴリに関して、1つ対すべてのSVMが教練され、判断スコアが平均精度(AP)を計算するために使用される。そのときには、mAPは、すべてのカテゴリについての平均精度の単純に平均値である。
[0052]光輸送変化を復元するために階数最小化を使用する四分分類状態では、実験結果は、25.54%である当て推量のmAPと比較して、88.62%のmAPを実現した。l1最小化を使用して、81.92%のmAPが実現された。l0最小化を使用して、mAPは71.19%であった。
[0053]十五分分類問題に関して、光輸送変化を復元するために階数最小化を使用して、7.95%である当て推量のmAPと比較して、78.69%のmAPが実現された。l1最小化を使用して、mAPは68.37%であり、一方でl0最小化を使用して、mAPは50.76%であった。直接分類を使用するためには階級の数が法外になる大きな空間に関して、空間は細分化され、小さな部分空間の集合として取り扱われてもよく、結果が統合された。
2.光ブロッケージモデルを用いた3Dシーン推定
[0054]上記の分類手法は、行列A又はEの数値成分を直接使用して、教師データから占有パターンを学習する。部屋、器具、又はセンサの幾何学的情報又は空間的情報は、分類法へは組み込まれず、これがある制限をもたらす。この手法では、3Dシーン推定法が利用され、室内空間の空間的情報、特に占有者による光経路のブロッケージを活用する。
[0055]空き部屋の光輸送行列がAとして記されていることを思い出すこと。実行時には、光輸送行列はAであり、E=A−Aは、差行列である。行列Eは、m2×m1でもあり、Eの各成分は、1つの器具チャネル及び1つのセンサチャネルに対応する(光は、所与の波長又は色で1つの器具から1つのセンサへと流れるように動く)。行列Eの1つの成分が大きな正の値を有する場合には、対応する器具から対応するセンサへの光経路のうちの多くがさえぎられている可能性が非常に高いことを意味する。任意の所与の器具から任意の所与のセンサへと、数多くの乱反射経路及び図4に示された光源とセンサとを結ぶ線分60である1つの直接経路がある。存在する場合には、直接経路が支配的な経路であることは明らかである。このように、Eの大きな成分は、対応する直接経路が占有の変化によりさえぎられていることを意味する可能性が最も高いであろう。このモデルは、光ブロッケージモデル(LBM)と呼ばれる。
[0056]Eの各成分が1つの直接経路に対応するとはいえ、各LED器具又はセンサが複数のチャネルを有するので、逆は真ではない。LED器具の数がNLであり、センサの数がNSであると仮定する。m1×m2行列Eは、NS×NL行列^Eに集合されることがあり、その結果、^Eの成分からすべての直接経路へのマッピングは、全単射である。本明細書において与えられた例では、ml=3NL=36及びm2=4NS=48である。集合は、図5に示したように、3つの色チャネル、すなわち、赤、緑、及び青の全体にわたる合計として各器具−センサ対について実行される、又は単純に、


図5は、Eの4×3部分行列についての集合を示している。
ボリュームレンダリング
[0057]集合の後で、


が(i,j)のところに大きな成分を有する場合には、器具jからセンサiへの直接経路は、さえぎられている可能性が非常に高い。ただし、なぜ又は具体的にどこで、ブロッケージがこの経路に沿って生じているかは知られていない。部屋の占有者が、光経路の太さと比較して大きな断面を有することを仮定することによって、この直接経路に近い任意の位置も占有されている可能性がある。2つ以上のこのような直接経路が3D空間において交差する又はほぼ交差する場合には、ブロッケージは、図4に示したように、これらの交点62で生じている可能性が最も高い。この仮定に基づいて、下記の再構築アルゴリズムが説明される。Pが3D空間の任意の点であり、di,j(P)が点Pからの器具jからセンサiへの直接経路までの点−線間距離であるとする。点Pが占有されている確信度はC(P)であり、次式により計算される。


ここでは、G(・,・)はガウシアンカーネルであり、

[0058]C(P)の分母は、LED器具及びセンサの不均一空間分布に関する規格化項である。σは、占有の連続性及び平滑さの尺度であり、誰かが期待するはずの占有者の物理的サイズに関係するはずである。簡単のために、σは等方性と仮定される。3D空間が離散化され、位置P(x,y,z)毎に評価される場合には、シーンの3D体積V(x,y,z)=C(P(x,y,z))は、与えられることが可能である。この3D体積は、3D確信度マップとも呼ばれる。
3.光反射モデルを用いた占有マップ推定
[0059]3Dシーン推定手法は、壁に据え付けられているセンサを必要とすることがあり、部屋サイズの制限があり得る。天井に据え付けられたセンサを用いて占有を推定するために、光反射モデルに基づく占有推定法が、利用されることが可能である。
[0060]すべてのカラーセンサが天井に据え付けられると、もはやz軸(垂直)方向に関する情報は何もない。器具からセンサへの直接光経路がないので、光ブロッケージモデルは、もはや妥当ではない。すべての光経路は、乱反射経路である。したがって、幾何光学及び測光学に基づく光反射モデルが提案される。
[0061]光反射モデルを説明する前に、器具及びセンサの物理量が説明される必要がある。測光学では、光度は、単位立体角当たりの特定の方向へ光源により放出される出力を測定する。センサから読まれた数値は、光の感知された出力を測定する光束である。光源に関して、光度は、通常非等方性である。例えば、ヴィヴィア(Vivia)7DR3−RGB器具の極光度グラフが図6に与えられている。法線方向の光度がImaxである場合には、法線方向に対して角度θを有する方向では、光度は、Imax・q(θ)であり、ここでは、q(θ)は、極光度分布関数と呼ばれる。図7は、θの関数としてのImax・q(θ)のプロットを描いている。
[0062]天井に据え付けたカラーセンサを用いると、集合した差行列


内の大きな値は、対応する器具から対応するセンサへの光経路が影響を受けていることを意味する。これらの光経路がすべて乱反射経路であるけれども、上記の大きな値は、部屋のどの領域が他の領域よりも占有されている可能性が高いことに関する粗い推定を与える。この目的のために、床の非常に小さな面積ds及び1対の器具−センサ対が検討される。図8に示したように、器具は下に向かって部屋を照明しており、カラーセンサは、下に向かって「見ている」。カラーセンサのセンシング面積がdsであり、器具からdsへの光経路の角度がθであり、dsからdsまでの光経路がθであり、器具からdsまでの距離がDであり、dsからdsまでの距離がDであると仮定する。また、dsがアルベドαを有する理想的つや消しであるランバーシアン(Lambertian)表面であると仮定する。第1に、器具からdsのところに到達する光束が検討される。器具からdsへの光経路に沿った光度は、Imax・q(θ)であり、立体角は、dscosθ/4πD である。したがって、dsのところに到達する光束は、光度と立体角との積であり、


dsのアルベルドがαであるので、法線方向のdsからの反射光の光度は、αΦに比例する。簡単のために、αΦは、法線方向の光度を記すために使用される。ds1がランバーシアン表面であるので、表面の明るさは等方的であり、光度は、ランバートの余弦法則に従う。したがって、dsからdsへの光経路に沿った反射光の光度は、αΦcosθである。dsからdsへの立体角は、dscosθ2/4πD である。したがって最終的に、器具からdsのところに到達し、dsによって反射された光束は、


すべての器具に対して、Imax及び関数q(・)は同じである。すべてのセンサに対して、dsは同じである。床の異なる位置に対して、アルベルドαが一定であり、同じ面積のdsを使用すると仮定する。そのときには、Φは、床上の位置の関数であり、


ここでは、Kが位置とは無関係に一定であり、θ、θ並びにD及びDがすべて位置に依存する。ここに与えられるセンサ応答は、ほんの一例である。レンズ及び筐体を含むセンサの物理的構成は、ボアサイトに関係する角度の関数としてその応答を変えるであろう。この応答は、容易に測定され(特定され)、そしてシステム設計の一部としてモデルの中へと組み込まれる。
[0063]この手法に関する確信度マップは、次のように実装されてもよい。直感的に、行列


に大きな値がある場合には、対応する器具−センサ対が見つけられることがあり、Φが床上のすべての位置のところで計算されることが可能である。Φが大きな値を有する位置のところに、占有者が居る可能性が大きい。
[0064]この直感的知識に基づいて、Φは、オフラインですべての器具−センサ対についてすべての位置のところで事前に計算されることが可能である。すべての位置のところで事前に計算されたΦは、対応する器具−センサ対の反射カーネルと呼ばれる。器具j及びセンサiに関する反射カーネルはRi,jであるとする。そのときには、確信度マップは、すべてのこれらの反射カーネルの加重和として単純に計算され得る。

[0065]図8を参照して説明した特定のモデルは、角度の関数としてのセンサ応答が余弦遠近法に限定されることを仮定する一方で、実際のセンサ応答は、典型的にはよりしっかりとしているであろうし、このような応答は反射カーネルの中へと容易にモデル化されてもよいことが理解される。
[0066]図10を参照して、空間内でスマート照明を実施するための例示的な方法の流れ図が提供される。S1において、空間用のカラーLEDの初期ベース光制御値が設定される。S2において、摂動のシーケンスが、照明へと導入され、S3において、カラーセンサのセットからセンサ情報が、収集される。S4において、センサ情報及び関係する摂動データが、光輸送モデルに記憶される。次に、推定される占有が、(いずれか、直接又は光輸送モデルへの変更に基づいて)S5において光輸送モデルに基づいて計算される。S6において、ベース光は、推定した占有及び定めた制御ストラテジに基づいて調節される。プロセスは、次いでS2へループして戻り、S2〜S6が(定期的な間隔で又は不定期な間隔で)周期的に繰り返される。
[0067]占有センシングへの説明した手法は、スマート照明システムが空間内の人の存在を推論するだけではなく、その空間内でのその空間分布も決定することを可能にする。システムは、カメラを必要とせず、したがってプライバシ及び/又はセキュリティの懸念を回避する。代わりに、簡単なカラーセンサが、逆変換、反射率、及び機械学習モデルの組合せを介して、例えばカラー制御可能固体照明器具とともに使用されて、人が室内のどこにいるかを、リアルタイムで、完全に秘密の方法で決定する。カラーセンサは、非常に安価であり、既存の固体照明器具は、部屋の占有者には気付かれない方法で変調されて、空間を調べる。部屋の占有者の空間分布が、空間内で実行されている活動を分類するために使用されることが可能であり、そこから、人間の快適さ、満足感、及び生産性を向上させつつエネルギー消費を削減するために人工光の明るさ、空間分布、及びスペクトル特性を最適化するための適切な制御ストラテジを駆動する。
[0068]図3を再び参照して、計算システム30は、任意のタイプの計算装置を備えることができ、そして例えば、少なくとも1つのプロセッサ32、メモリ36、入力/出力部(I/O)34(例えば、1つ若しくは複数のI/Oインターフェース及び/又は装置)、並びに通信経路17を含むことが理解される。一般に、(1つ又は複数の)プロセッサ32は、本発明の照明制御システム38を実装するためのプログラムコードを実行し、プログラムコードはメモリに少なくとも部分的に用意される。プログラムコードを実行する一方で、(1つ又は複数の)プロセッサ32は、データを処理することが可能であり、データは、さらなる処理のためにメモリ36及び/又はI/O34から/へと変換されたデータを読み出すこと及び/又は書き込むことをもたらすことが可能である。経路17は、計算システム30の構成要素の各々の間の通信リンクを形成する。I/O34は、ユーザが計算システム30と相互に作用することを可能にする1つ又は複数のヒューマンI/O装置を備えることができる。
[0069]本発明の態様は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるコンピュータ可読プログラム命令を有する(1つ又は複数の)コンピュータ可読記憶媒体を含むことができる。
[0070]コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置による使用のための命令を保持及び記憶することが可能な実体的な装置であり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁記憶装置、半導体記憶装置、又は上記の任意の適切な組合せであってもよいが、これらには限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的な列挙は、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、書込み消去可能読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、携帯型コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD−ROM)、ディジタルバーサタイルディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピディスク、パンチカード又は溝に記憶した命令を有する溝の立ち上がり構造などの機械的エンコード型装置、及び上記の任意の適切な組合せを含む。本明細書において使用されるように、コンピュータ可読記憶媒体は、無線波若しくは他の自由に伝播する電磁波、導波路若しくは他の伝送媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)、又は電線を介して伝送される電気信号などのそれ自体一時的な信号であるように解釈されるべきではない。
[0071]本明細書において説明したコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理装置へ又はネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/若しくはワイアレスネットワークを介して外部コンピュータ若しくは外部記憶装置へダウンロードされることが可能である。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイアレス伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/又はエッジサーバを含むことができる。各計算/処理装置のネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれの計算/処理装置内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
[0072]本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機種依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はスモールトーク(Smalltalk)、C++、等などのオブジェクト指向プログラミングコード及び“C”プログラミング言語若しくは類似のプログラミング言語などの従来の手続き型のプログラミング言語を含む1つ若しくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で且つ部分的に遠隔コンピュータ上で、又は完全に遠隔コンピュータ若しくはサーバ上で実行することができる。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくはワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されてもよい、又は接続は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを介して)外部コンピュータに行われてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、電子回路を個人専用にするコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
[0073]本発明の態様は、発明の実施形態による、方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート説明図及び/又はブロック図を参照して本明細書において説明されている。フローチャート説明図及び/又はブロック図の各ブロック並びにフローチャート説明図及び/又はブロック図のブロックの組合せが、コンピュータ可読プログラム命令によって実施されてもよいことが理解されるであろう。
[0074]これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は機械を製造するための他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、その結果、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックに特定された機能/行為を実施するための手段を作り出す。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は特定の方法で機能する他の装置を管理することが可能なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、その結果、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックに特定された機能/行為を実施する命令を含む製品を含む。
[0075]コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他の装置へロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実施プロセスを生み出してもよく、その結果、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他の装置上で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて特定された機能/行為を実施する。
[0076]図のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能、及び動作を図示している。この点で、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、(1つ又は複数の)特定された論理的機能を実施するための1つ又は複数の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の部分を表すことができる。いくつかの代替の実装形態では、ブロックに記された機能は、図に記された順番とは違う順番で生じてもよい。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよい、又は複数のブロックは、含まれる機能性によっては逆の順番でときには実行されてもよい。ブロック図及び/又はフローチャート説明図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート説明図のブロックの組合せは、特定された機能若しくは行為を実行し、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組合せを実行する、専用ハードウェアに基づくシステムによって実施され得ることに留意されたい。
[0077]本発明のプログラム製品が、CD、DVD、等などの記憶媒体を介してコンピュータシステムに直接手作業でロードされることがある一方で、プログラム製品は、中央サーバ又は中央サーバのグループへプログラム製品を送ることによってコンピュータシステムへと自動的に又は半自動的に展開されてもよい。プログラム製品は、次いで、プログラム製品を実行するであろうクライアントコンピュータへとダウンロードされてもよい。或いは、プログラム製品は、電子メールを介してクライアントシステムへ直接送られてもよい。プログラム製品は、次いでいずれか、ディレクトリへデタッチされてもよい、又はディレクトリへとプログラム製品をデタッチするプログラムを実行する電子メール上のボタンによりディレクトリへとロードされてもよい。もう1つの代替形態は、クライアントコンピュータハードドライブ上のディレクトリへ直接プログラム製品を送ることである。
[0078]本発明の様々な態様の上記の説明は、例示及び説明の目的で提示されてきている。開示した厳密な形態に本発明を網羅するものでも、限定するものでもなく、多くの変更形態及び変形形態が可能であることは明らかである。個々の当業者には明白であり得るこのような変更形態及び変形形態は、別記の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の範囲内に含まれる。

Claims (20)

  1. 複数の非撮像カラーセンサと、
    複数の色制御可能光源と、
    空間内の前記色制御可能光源を摂動させるシステムと、
    前記非撮像カラーセンサから結果として生じた色情報を収集し、収集された色情報に基づいて光輸送モデルを構築するシステムと、
    空間内の占有を推定するシステムと、
    前記光輸送モデル及び事前に定められた制御ストラテジに基づいて前記色制御可能光源を調節する調節モジュールと
    を備える、スマート照明システム。
  2. 前記色制御可能光源が、複数の発光ダイオード(LEDs)を備える、請求項1に記載のスマート照明システム。
  3. 前記LEDsが、複数の色チャネルを含む、請求項2に記載のスマート照明システム。
  4. 前記光輸送モデルが、光輸送行列を含む、請求項1に記載のスマート照明システム。
  5. 前記占有が、教師あり学習を利用して前記光輸送行列中のデータを評価する分類方法に基づいて推定される、請求項4に記載のスマート照明システム。
  6. 前記占有が、前記空間内のさえぎられた光経路を識別する三次元(3D)シーン推定法に基づいて推定される、請求項4に記載のスマート照明システム。
  7. 前記占有が、反射光を評価する占有マップ推定法に基づいて推定される、請求項4に記載のスマート照明システム。
  8. 複数のカラーセンサ及び複数の色制御可能光源を有する空間の照明を制御するための方法であって、
    前記色制御可能光源へ制御値を出力して、空間内にベース光を発生させるステップと、
    さらなる制御値を定期的に出力して、前記空間内の前記色制御可能光源を摂動させるステップと、
    前記カラーセンサから結果として生じた色情報を収集するステップと、
    前記色情報に基づいて光輸送モデルを構築するステップと、
    前記光輸送モデルを利用して、前記空間の推定される占有を計算するステップと、
    前記推定される占有及び事前に定められた制御ストラテジに応じて前記ベース光を調節するステップと、
    を含む、方法。
  9. 前記色制御可能光源が、複数の発光ダイオード(LEDs)を備える、請求項8に記載の方法。
  10. 前記LEDsが、複数の色チャネルを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記光輸送モデルが、光輸送行列を含む、請求項8に記載の方法。
  12. 前記占有が、教師あり学習を利用して前記光輸送行列中のデータを評価する分類方法に基づいて推定される、請求項11に記載の方法。
  13. 前記占有が、前記空間内のさえぎられた光経路を識別する三次元(3D)シーン推定法に基づいて推定される、請求項11に記載の方法。
  14. 前記占有が、反射光を評価する占有マップ推定法に基づいて推定される、請求項11に記載の方法。
  15. 推定される占有に基づいて色制御可能LED光源のセットを調節する照明制御システムであって、
    空間内にベース光を発生させ且つ前記ベース光に摂動を生じさせるために前記色制御可能LED光源のセットへ制御値を出力する照明コントローラと、
    前記空間内に設置された複数の非撮像カラーセンサから検知された色情報を受信するセンサデータマネージャと、
    光輸送モデルに前記検知された色情報及び関係する摂動情報を記憶する光輸送モデラと、
    前記光輸送モデルに基づいて前記空間の推定される占有を計算する占有推定システムであり、前記推定される占有が前記ベース光を調節するために前記照明コントローラへ与えられる、占有推定システムと
    を備える、照明制御システム。
  16. 前記ベース光をさらに調節するための制御ストラテジを含むストラテジマネージャをさらに備える、請求項15に記載の照明制御システム。
  17. 前記光輸送モデルが、光輸送行列を含む、請求項15に記載の照明制御システム。
  18. 前記推定される占有が、前記光輸送行列中のデータを評価するために教師あり学習に基づいて計算される、請求項17に記載の照明制御システム。
  19. 前記推定される占有が、前記空間内のさえぎられた光経路の識別に基づいて計算される、請求項17に記載の照明制御システム。
  20. 前記推定される占有が、前記空間内の反射光に基づいて計算される、請求項17に記載の照明制御システム。
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