JP2017519807A - 神経障害を治療する方法 - Google Patents

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Abstract

アルツハイマー病及びその他の神経学的状態の治療薬としてのBBB貫通型p38 MAPKαアンタゴニスト(anatgonists)を開発する、という重要な需要はまだ満たされていない。本発明は、ある用量のVX−745またはその薬学的に許容可能な組成物をそれを必要とする患者に投与して、約15〜45ng/mL、または約20〜約40ng/mL、または約25〜約35ng/mL、または約30〜約40ng/mLの血中濃度をもたらすことが含まれる、神経障害を治療する方法を提供するものであり、該血中濃度ではサイトカインのシグナル伝達は阻害されるが、サイトカインの産生は阻害されない。

Description

細胞内酵素p38 MAPKαの最大の特徴は、マクロファージ及びミクログリアからの炎症性サイトカイン(IL−1β及びTNFα)産生のレギュレーターという役割であり、アルツハイマー病の治療ターゲットと考えられている(Munoz, 2010)。その主要な根拠は、炎症メディエーターのミクログリアからの減少、ならびに興奮毒性(excitotoxity)、シナプス機能不全及びタウのリン酸化といったAβ下流での影響である。IL−1β−p38 MAPKαはまた、長期増強/長期抑制への影響を通して記憶形成及び認知機能を直接調節し得る(MacAfoose, 2009;Barrientos, 2012)。しかし、血液脳関門(BBB)貫通型化合物が入手できなかったため、アルツハイマー病に関するp38 MAPKαアンタゴニスト(anatagonists)は開発されていない。P38 MAPK 阻害剤が炎症性サイトカインの産生に作用することは知られているので、それ以外にも抗炎症薬として広範な非中枢神経系(non−CNS)疾患(関節リウマチ、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD))で評価が行われている。このように、アルツハイマー病及びその他の神経学的状態の治療薬としてのBBB貫通型p38 MAPKαアンタゴニスト(anatgonists)を開発する、という重要な需要はまだ満たされていない。
老化ラットにおけるVX−745の0.5mg/kg、1.5mg/kg及び4.5mg/kgの各用量を比較した、モリス水迷路試験の潜時の結果の変化を示す図である。 老化ラットにおけるVX−745の0.5mg/kg、1.5mg/kg及び4.5mg/kgの各用量を比較した、モリス水迷路試験の距離の結果の変化を示す図である。 VX−745のタンパク質レベルを示す図である。 VX−745の0.5mg/kg、1.5mg/kg及び4.5mg/kgの各用量での血漿中VX−745濃度の中央値を示す図である。 老化ラットにおけるVX−745の0.5mg/kg、1.5mg/kg及び4.5mg/kgの各用量を比較した、虚血発作後の肢置き試験(limb placing)ならびに7ポイント及び20ポイントのneuroscoring(神経学的評価)の機能回復の結果を示す図である。 老化ラットにおけるVX−745の0.5mg/kg、1.5mg/kg及び4.5mg/kgの各用量を比較した、虚血発作後のシリンダー試験の機能回復の結果を示す図である。
定義
担体:「carrier(担体)」という用語は、活性剤(たとえばp38阻害剤)を含有する組成物に、該活性剤の安定性及び/または活性(たとえば該活性剤の生物学的活性)を実質的に妨げることなく組み入れることができる任意の化学物質を指す。ある実施形態では、「担体」という用語は、薬学的に許容可能な担体を指す。本明細書における例示的な担体は水である。
併用・組合せ:本明細書では、「combination」「combined」(併用・組合せ)及び関連の用語は、対象を本発明による2種以上の治療薬に同時に晒すことを指す。たとえば、本発明の薬剤(たとえばp38阻害剤)を別の治療薬と同時にまたは逐次的に、別々の単位用量形態で、または単一の単位用量形態で一緒に投与する場合もある。よって、本発明は特に、少なくとも本発明の薬剤(たとえばp38阻害剤)、追加の治療薬、及び薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル(典型的にはp38阻害剤と追加の治療薬の一方または両方に関連する薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル)を投与することを含む投薬計画を提供するものである。
製剤:「formulation(製剤)」という用語は、少なくとも1種の活性剤(たとえばVX−745)を1種以上の単体、賦形剤またはその他の薬剤添加剤といっしょに含む、患者に投与される組成物を指す。一般に、特定の担体、賦形剤及び/またはその他の薬剤添加剤は、活性剤の所望の安定性、放出、分布及び/または活性が得られるように、そして特定の投与経路に即して、本分野の知識に基づいて選択される。
中用量:「mid−dose(中用量)」という用語は、本明細書では、血流に送達されるVX−745のある用量であって、サイトカイン及びその他のレセプターの活性化後にp38 MAPKが仲介する細胞内シグナル伝達事象を阻害するには十分であるが、サイトカイン産生量の低下により抗炎症効果を生じるVX−745の治療効果のある量よりは少ない用量を指す。いくつかの実施形態では、「中用量」という用語は、本発明により、炎症を軽減して神経障害以外の障害を治療するのに必要な血中濃度の2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1の血中濃度をもたらす用量を指す。たとえば、関節リウマチ治療のVX−745の平均血中濃度はおよそ75ng/mLであり、これはVX−745がサイトカイン産生を阻害(抗炎症活性)する全血中IC50の65〜80ng/mLと一致する。いくつかの実施形態では、VX−745の「中用量」は、約15〜45ng/mL、または20〜約40ng/mL、または約25〜約35ng/mL、または約30〜約40ng/mLの血中濃度をもたらし、該血中濃度ではサイトカインのシグナル伝達は阻害されるが、サイトカインの産生は阻害されない。
非経口:「parenteral(非経口の)」という用語は、本明細書では、皮下の、静脈内の、筋肉内の、関節内の、滑膜内の、胸骨内の、くも膜下腔内の、肝内の、病巣内の、及び頭蓋内の注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物は経口投与、腹腔内投与、または静脈投与される。本発明の組成物の滅菌済み注射剤形は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、本分野で既知の方法により、適切な分散剤または湿潤剤及び懸濁剤を用いて調剤され得る。滅菌済み注射剤はまた、非毒性の非経口投与的に許容可能な希釈剤または溶媒に溶解または懸濁させた、たとえば1,3−ブタンジオール溶液としての、滅菌済み注射液または懸濁液であってもよい。使用され得る許容可能なビヒクル及び溶媒としては、たとえば水、リンゲル液及び等張食塩水が挙げられる。それに加えて、滅菌済みの不揮発性油が溶媒または懸濁媒として一般的に使用されている。
患者:「patient(患者)」という用語は、本明細書では、製剤または製剤を含む組成物が投与される哺乳類を意味し、いくつかの実施形態では、ヒトも含まれる。
薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル:「pharmaceutically acceptable carrier, adjuvant, or vehicle(薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクル)」という用語は、いっしょに調剤されている化合物の薬理活性を破壊しない非毒性の担体、アジュバントまたはビヒクルを指す。本発明の組成物に使用され得る薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルとしては、限定ではないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸、水、塩もしくは電解質の部分グリセリド混合物、たとえば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩(polyacrylates)、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂が挙げられる。
治療薬:本明細書では、「therapeutic agent(治療薬)」という語句は、生物に投与されると所望の生物学的または薬理学的効果を引き出す任意の薬剤を指す。
治療有効量及び有効量:本明細書では、ある薬剤の「therapeutically effective amount(治療有効量)」及び「effective amount(有効量)」という用語は、特に断らないかぎりは、疾患、障害または状態の治療、予防及び/または管理において治療的メリットをもたらすのに十分な量を指し、治療的メリットはたとえば、治療すべき疾患、障害または状態に関連する1種以上の症状の発症遅延または最小限化(たとえば発生率及び/または重度の低減)である。いくつかの実施形態では、ある組成物が治療計画の文脈内において単一用量で投与される場合、有効な量の薬剤を含有していれば、その組成物は「治療有効量」の薬剤を含有しているということができる。いくつかの実施形態では、治療有効量は、投与計画の一部として投与される場合、ある疾患、障害または状態の1種以上の症状または副作用を統計学的に発症遅延または最小限化(発生率及び/または重度を低減)しそうな量である。
治療:「treat」または「treating」(治療)という用語は、本明細書では、障害、疾患もしくは状態、またはその障害、疾患もしくは状態の1種以上の症状もしくは徴候を部分的または完全に緩和し、阻害し、発症を遅らせ、発生率を低減し、予防し、寛解させ、及び/または軽減することを指す。
単位用量:「unit dose(単位用量)」という表現は、本明細書では、治療の対象にとって(たとえば単一用量として)適切な、物理的に明瞭な製剤の単位を指す。各単位には、治療計画(所望のまたは最適な効果を得るには反復投与を必要とする場合もあると理解される)に従い投与されると所望の治療効果が得られるように選択された所定量の活性剤が含まれ、随意で、所定量で加えられ得る薬学的に許容可能な担体も共に含まれる。単位用量は、たとえば、所定量の1種以上の治療薬を含有するある体積の液体(たとえば許容可能な担体)、所定量の1種以上の治療薬の固形剤(たとえば錠剤またはカプセル剤)、所定量の1種以上の治療薬を含む徐放剤もしくは薬物送達デバイスなどであり得る。単位用量には、治療薬に加えてさまざまな成分が含まれ得ることが理解されよう。たとえば、後述するように、許容可能な担体(たとえば薬学的に許容可能な担体)、希釈剤、安定剤、緩衝剤、保存剤などが含まれ得る。とはいえ、本発明の製剤の一日の全使用量は、主治医が適切な医療判断の範囲で決定するものであることは理解されよう。あらゆる個々の対象または生物の特定の有効用量レベルは、治療中の障害及びその障害の重症度;使用される特定の活性化合物の活性;使用される特定の組成物;対象の年齢、体重、総合的な健康状態、性別及び食生活;投与時刻、及び使用される特定の活性化合物の排出率;治療期間;使用される特定の化合物と併用でまたは同時に使用される薬物及び/または追加治療、その他医療分野で公知の要因を含むあらゆる要因に左右され得る。いくつかの実施形態では、VX−745の単位用量は、約1mg、3mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mgまたは50mgである。
p38 MAPK阻害剤としてのVX−745
炎症性サイトカイン及びその他の炎症メディエーターを含む多くの細胞外刺激により、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路が活性化されることで特異的な細胞応答が引き出される。MAPKは、環境刺激を核内へと伝達するプロリン指向性セリン−スレオニンキナーゼである。MAPKは、活性化すると、リン酸化によって潜在的転写因子及び基質を含む他のキナーゼまたは核タンパク質を活性化する。新規の哺乳類再活性化タンパク質キナーゼ(p38/RK)MAPKは、細胞ストレスへの応答や炎症シグナルを仲介するストレス活性化タンパク質キナーゼである。
最近のヒト遺伝子データでは、アルツハイマー病の主な悪化要因は、ミクログリアの調節不全と神経炎症であることが示されている。インビトロのデータでは、ミクログリア/炎症の主要なレギュレーターはIL−1β−p38 MAPK系であることが示されており、p38 MAPKは重要な治療ターゲットとして認識されている(Munoz, 2010)。P38 MAPKはニューロン内でも生産され、神経機能に関連するニューロン内シグナル伝達事象を直接調節する役割を果たすようである(McAfoose, 2009; Correa, 2012)。しかし、血液脳関門(BBB)貫通型p38 MAPKアンタゴニストが入手できなかったことから、アルツハイマー病の慢性モデルにおけるp38 MAPK阻害効果は未知である(Munoz, 2010)。したがって、炎症阻害効果に対するその他のp38 MAPK阻害効果、たとえばIL−1βまたはTNFαのニューロン内シグナル伝達の相対的重要性及び阻害効果も未知である。
炎症のさまざまな段階においてp38 MAPKが一役買っていることから、p38を阻害する能力のある数種の化合物が発見されるに至った(SB203580、RWJ 67657、L−167307、VX−745、RPR200765A他)。たとえば、Kumarらの“p38 MAP Kinases: Key Signaling Molecules as Therapeutic Targets for Inflammatory Diseases,” Nature Reviews, 2:717−726 (2003)、Brownらの“p38 MAP kinase inhibitors as potential therapeutics for the treatment of joint degeneration and pain associated with osteoarthritis,” J. Inflammation 5:22 (2008)を参照されたい。両文献の内容を参照により本明細書に援用する。これらの薬理学的阻害剤は、インビトロ及びインビボでリポ多糖誘発性腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の産生の阻害を担うサイトカイン抑制性抗炎症薬であり、炎症の低減と推定される主要薬理作用にしたがい開発されている。たとえば、臨床試験では、サイトカイン(IL−1βまたはTNFα)を阻害する全血中IC50(最大効果の50%阻害濃度)またはそれを上回る血中濃度をもたらすような用量で投与された。
VX−745は選択的な低分子のp38 MAPK阻害剤であり、Vertex Pharmaceuticals社が関節リウマチ(RA)の治療用に開発したものである。
Figure 2017519807
VX−745によるMAPKの阻害は、炎症性サイトカインTNF−α及びIL−1βの下流での合成を阻止するものである。VX−745の全血中IC50は、150〜180nM、または65〜80ng/mLである(Duffy, 2011)。VX−745はげっ歯類の関節炎モデルで有意な抗炎症活性を示したので、Vertex社はヒト関節リウマチ(RA)の臨床試験を開始した。1日2回のVX−745 250mgで処置した第II相試験では、血漿中薬物濃度の平均値はおよそ75ng/mであり、炎症マーカーは大幅に減少し、臨床的改善が示された。しかし、患者らは下痢や腹痛など胃腸への影響、及び肝臓トランスアミナーゼ値の上昇などの有害事象を起こした。さらに、VX−745は、動物では血液脳関門(BBB)を貫通することが知られている。実際、脳内では血漿中VX−745濃度の1.7倍の濃度になる。極めて高い用量のVX−745を与えられた動物では有害な神経学的事象が起きたが、このような有害事象はヒトでは観察されなかった。RA治療としてのp38MAPKの阻害という概念が実証されたにもかかわらずVX−745は中止されたが、それに代わる血液脳関門を貫通しない化合物であるVX−702は、関節リウマチなどの疾患に対し、神経学的な副作用のリスクを招くことなく脳の外部でp38 MAPKが仲介するサイトカインの産生をより強力に阻害できるとされた。
基準化合物としてVX−745を用いた別の関節炎モデルの研究から、VX−745は、10mg/kgの用量では、測定した他の化合物と比べて足の膨張の阻害にさほど効果的ではなかったことが示された。Chopraらの“Pharmacological profile of AW−814141, a novel, potent, selective and orally active inhibitor of p38 MAP kinase,” International Immunopharmacology, 10: 467−473 (2010)を参照されたい。この文献の内容を本明細書に参照により援用する。
ある変形性関節炎モデルでは、VX−745は、ラットに50mg/kgで投与したとき、対照動物と比べて統計学的に有意に膝変形を阻害した。VX−745を痛覚過敏モデルでも測定した。ラットに30mg/kg、10mg/kg及び3mg/kgの各用量で投与したとき、痛覚過敏応答を有意に阻害した。研究者らは、マウスは3mg/kg、10mg/kg及び30mg/kgの各用量で痛覚過敏を示すことを発見したが、3mg/kgの用量で最小効果が観察された。Brownらの“p38 MAP kinase inhibitors as potential therapeutics for the treatment of joint degeneration and pain associated with osteoarthritis,” J. Inflamm., 5:22 (2008)を参照されたい。この文献の内容を本明細書に参照により援用する。
理論に縛られることを望むわけではないが、p38阻害剤による関節リウマチなどの慢性的な炎症状態の治療が臨床的に失敗した原因は、炎症(サイトカイン産生)経路の重複にあると考えられる。このような重複があると、p38 MAPKが仲介するサイトカイン産生が慢性的に阻害されるとフィードバックループが上向き調節され、有効性が総合的に失われることになる。
本発明の方法
26月齢の老化Tg2576マウスでの2週間のパイロット試験では、VX−745処置マウスは対照動物と比べてアミロイド斑の負荷(load)が低かったが、炎症は特に見当たらず、それ以外に薬物効果を評価することはできなかった。この情報と、トランスジェニックAβマウスが代償的食作用性(抗炎症性)ミクログリアの表現型を示すという複数の報告とを結び付けて、マウスを用いての試験はここまでと決定した。代わりに、綿密な用量反応試験を行ってヒトでの用量を予測するために、老化ラットモデルを選択した。このモデルでは、炎症性サイトカインの発現の増加が十分に確立されているので、ヒトの老化及びADの炎症環境がよりよく反映される(Barrientos, 2012)。ラットモデルのもうひとつの利点は、VX−745についてはラットとヒトとの(ラットのアジュバント関節炎モデルの試験とヒトRAの臨床試験との)非常に良好な薬動態学−薬力学の相関が既に確立されていることである。2つ目のラットの用量反応試験は、虚血発作後の機能回復モデルで行った。
驚くべきことに、どちらの試験でも、神経機能に最良の効果があったのは、サイトカインの産生を阻害するのに必要な血中濃度を下回るので抗炎症効果を生じることはできないが、p38 MAPが仲介する細胞内シグナル伝達事象を阻害するには十分な血中濃度をもたらした中用量レベルであった。さらに驚くべきことには、脳内で明白な抗炎症効果を生じた高用量では、神経機能に及ぼす影響が中用量レベルよりも小さいことが見出された。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、VX−745がサイトカインのレセプターの活性化後に細胞内シグナル伝達を阻害する効力は、サイトカインの産生を阻害する効力のほぼ2倍であるという認識をもち、VX−745を投与してサイトカインのシグナル伝達を阻害する手段を提供し、それによって神経機能が改善されが、一般的な抗炎症状態をもたらすサイトカインの産生は阻害されない。
上述したように、いくつかの実施形態では、本発明は、神経障害の治療を必要とする患者の神経障害を治療する方法を提供し、該方法には、サイトカインのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、サイトカインの産生には実質的に影響しない量のVX−745を該患者に投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明は、IL−1ベータのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、IL−1ベータの産生には実質的に影響しない量のVX−745を投与することにより、神経障害を治療する方法を提供する。
本明細書では、「neurologic disorder(神経障害)」という用語は、アルツハイマー病、軽度認知障害、血管性認知症、レビー小体病及び認知症;パーキンソン病;脳卒中後の機能回復;前頭側頭型認知症(FTD)及び発作性痙性対麻痺(Parosysmal Spastic Paraplegia)(PSP)及びその他のタウオパチー;認知薄弱(Cognitive Frailty);慢性耳鳴症;ならびにハンチントン病のうちの任意の1種以上を指す。ある実施形態では、提供する方法により治療される神経障害は、アルツハイマー病、軽度認知障害、血管性認知症、レビー小体病及び認知症;パーキンソン病;脳卒中後の機能回復;前頭側頭型認知症(FTD)及び発作性痙性対麻痺(PSP)及びその他のタウオパチー;認知薄弱;慢性耳鳴症;ならびにハンチントン病から選択される。
本明細書では、「サイトカイン(つまりIL−1ベータ)のシグナル伝達を阻害するには十分であるが、サイトカイン(つまりIL−1ベータ)の産生には実質的に影響しない量」という語句は、サイトカインの産生を阻害するのに必要な血中濃度の半分を下回る患者の血中濃度をもたらすVX−745の用量を指す。いくつかの実施形態では、「サイトカイン(つまりIL−1ベータ)のシグナル伝達を阻害するには十分であるが、サイトカイン(つまりIL−1ベータ)の産生には実質的に影響しない量」は、サイトカイン(つまりIL−1ベータ)の産生を阻害するのに必要な血中濃度よりも50%低い、60%低い、70%低い、80%低い、または90%低い患者の血中濃度をもたらすVX−745の用量である。
本明細書では、「サイトカイン(つまりIL−1ベータ)の産生には実質的に影響しないが」という語句は、提供する方法は、サイトカインの産生を測定できるほどには阻害しない血中VX−745濃度をもたらすことを意味する。
何ら特定の理論に縛られることを望むわけではないが、本発明の一態様は、VX−745が、サイトカインの産生の阻害に必要な血中濃度よりもかなり低い血中濃度でサイトカインのシグナル伝達を阻害するという認識である。本発明のさらなる態様は、VX−745が、サイトカインのシグナル伝達は阻害されるがサイトカインの産生は影響されない低濃度で、神経学的に正の影響を及ぼすという認識である。
いくつかの実施形態では、本発明は、サイトカインのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、サイトカインの産生には実質的に影響しない量のVX−745を投与することが含まれる、認知を改善する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、IL−1ベータのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、IL−1ベータの産生には実質的に影響しない量のVX−745を投与することにより認知を改善する方法を提供する。
本明細書では、「improving cognition(認知を改善する)」という用語は、アルツハイマー病、軽度認知障害、血管性認知症、レビー小体病及び認知症;パーキンソン病;脳卒中後の機能回復;前頭側頭型認知症(FTD)及び発作性痙性対麻痺(PSP)及びその他のタウオパチー;認知薄弱;慢性耳鳴症;ならびにハンチントン病などの任意の神経障害の認知力低下またはその他の認知症状の何らかの測定可能な改善を指す。
いくつかの実施形態では、本発明は、サイトカインのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、サイトカインの産生には実質的に影響しない量のVX−745を投与することにより、神経機能を改善する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、IL−1ベータのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、IL−1ベータの産生には実質的に影響しない量のVX−745を投与することにより、神経機能を改善する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、提供する方法には、VX−745を、サイトカインのシグナル伝達の阻害をもたらす血中濃度を得るのに十分な用量で、それを必要とする患者に投与することが含まれるが、該血中濃度は、サイトカインの産生の阻害をもたらすには不十分である。ある実施形態では、提供する方法には、VX−745を、IL−1ベータのシグナル伝達の阻害をもたらす血中濃度を得るのに十分な用量で、それを必要とする患者に投与することが含まれるが、これらの血中濃度は、IL−1ベータの産生の阻害をもたらすには不十分である。
ある実施形態では、提供する方法には、VX−745またはその薬学的に許容可能な組成物を、約15〜約45ng/mLの血中濃度をもたらす用量で、それを必要とする患者に投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、約20〜約40ng/mL、または約25〜約35ng/mL、または約30〜約40ng/mLの血中濃度をもたらす用量のVX−745またはその薬学的に許容可能な組成物を、それを必要とする患者に投与することが含まれる。
ある実施形態では、本発明は、約15〜約45ng/mL、または約20〜約40ng/mL、または約25〜約35ng/mL、または約30〜約40ng/mLの血中濃度をもたらす用量のVX−745またはその薬学的に許容可能な組成物を、それを必要とする患者に投与することが含まれる、神経学的状態を治療する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、約15〜45ng/mL、または約20〜約40ng/mL、または約25〜約35ng/mL、または約30〜約35ng/mLの血中濃度をもたらす用量のVX−745またはその薬学的に許容可能な組成物を、それを必要とする患者に投与することが含まれる、神経学的状態を治療する方法を提供するが、該血中濃度ではサイトカインのシグナル伝達は阻害されるがサイトカインの産生は阻害されない。
併用療法
ある実施形態では、本発明は、低用量のVX−745を1種以上の追加の治療薬と一緒に対象に投与することが含まれる、神経障害を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明は、サイトカインのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、サイトカインの産生には実質的に影響しない治療効果量のVX−745を、コリンエステラーゼ阻害剤、N−メチル−D−アスパラ銀酸アンタゴニスト、ビタミンE、抗鬱薬、抗不安薬、抗精神薬、気分安定薬及び睡眠補助薬から選択される1種以上の追加の治療薬と併用で対象に投与することが含まれる、神経障害を治療する方法を提供する。
代表的なコリンエステラーゼ阻害剤としては、限定ではないが、ドネペジル(アリセプト(登録商標))、リバスチグミン(イクセロン(登録商標))、ガランタミン(ラザダイン(登録商標))及びタクリン(Cognex(登録商標))が挙げられる。
代表的な抗鬱薬としては、限定ではないが、ブプロピオン(ウェルブトリン(登録商標))、シタロプラム(セレクサ(登録商標))、フルオキセチン(プロザック(登録商標))、ミルタザピン(レメロン(登録商標))、パロキセチン(パキシル(登録商標))、セルトラリン(ゾロフト(登録商標))、トラゾドン(デジレル(登録商標))、ベンラファキシン(イフェクサー(登録商標))、ノルトリプチリン(Pamelor(登録商標))及びデシプラミン(Norpramine(登録商標))が挙げられる。
代表的な抗不安薬としては、限定ではないが、ロラゼパム(アチバン(登録商標))及びオキサゼパム(Serax(登録商標))が挙げられる。
代表的な抗精神薬としては、限定ではないが、アリピプラゾール(エビリファイ(登録商標))、クロザピン(クロザリル(登録商標))、ハロペリドール(Haldol(登録商標))、オランザピン(ジプレキサ(登録商標))、クエチアピン(セロクエル(登録商標))、リスペリドン(リスパダール(登録商標))及びジプラシドン(Geodon(登録商標))が挙げられる。
代表的な気分安定薬としては、限定ではないが、カルバマゼピン(テグレトール(登録商標))及びジバルプロエクス(Depakota(登録商標))が挙げられる。
代表的な睡眠補助薬としては、限定ではないが、ゾルピデム、ザレプロン及び抱水クロラールが挙げられる。
代表的なN−メチル−D−アスパラ銀酸アンタゴニストとしては、限定ではないが、メマンチン(ナメンダ(登録商標))が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本発明は、サイトカインのシグナル伝達を阻害するには十分であるが、サイトカインの産生には実質的に影響しない治療効果量のVX−745を、エキセナチド(バイエッタ(登録商標))、バレニクリン、PF−04360365、リバスチグミン、LY450139、ST101、ブリオスタチン、EVP−6124、アトモキセチン、HF0220、レスベラトロール、ガランタミン、PF−01913539、セマガセスタット、3APS、免疫グロブリン、dimebon、アルファ−トコフェノール、BAY85−8101、エストロゲン、プロゲステロン、ACC−001、イチョウ(ginko biloba)、ニセルゴリン、ピラセタム、NIC5−15、キサリプロデン(SR57746A)、インドメタシン、DMXB−A、LY2062430、11−C PIB、バピネオズマブ、エタネルセプト、ラミプリル、インターフェロン ベータ−1a、シンバスタチン、リポ酸、魚油、クルクミン、PF−04447943、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、リュープロリド、INM−176、AH110690、トリプトファン、SK−PC−B70M、BMS−708163、エスシタロプラム、TRx0014、BAY94−9172、cerebrolysin、没食子酸エピガロカテキン(epigallocatechin−galate)、SB−742457、リチウム、ロシグリタゾン、ジバルプロエクス、SAR110894D、PRX−03140、CX516(Ampalex)、ニコチンアミド、ラサギリン、AC−1202(Ketasyn(登録商標))、enduramide、neramexane、ラザダイン、NS 2330(Tesofensine(登録商標))、タミバロテン、アシトレチン、メチルフェニデート、ミフェプリストン、ZT−1、AFFITOPE AD01、AFFITOPE AD02、GSK239512、GSK933776、SR57667B、PPI−1019、MPC−7869、AZD3480、PAZ−417、ソラネズマブ、masitinib(AB1010)、BAY1006578、ドコサヘキサエン酸、QS−21、MNI−558、reminyl retard、フルテメタモール、エストラジオール、メドロキシプロゲステロン、バルプロ酸塩、T−817MA、AZD1446、AAB−003(PF−05236812)、モダフィニル、ラロキシフェン、アトルバスタチン、ドキシサイクリン、トラゾドン(trazadone)、ナトリウムオキシベート、huperzine A、ルテイン、ゼアキサンチン、AC−3933、デキストロアンフェタミン、EPAX 1050TG、SRA−333、MNI−168、CAD106、SGS742、NP031112、SSR180711C、GSI−953、プラゾシン、MEM 1003、AndroGel、AVE1625、シクロホスファメート(cyclophosphamate)、TC−5619−238、MK0249、lecozotan、サーカディン、MEM 3454、PPI−1019、UB 311、PF−04494700、ABT−089、LY451395、E2020、ロフェコキシブ、PF−03654746、EHT 0202エタゾレート、DCB−AD1、ONO−2506PO、EGb761(登録商標)、gantenerumab、フロルベタピル、ELND005、プレドニゾン、novasoy、ヤクヨウニンジン、ピオグリタゾン、caprylidene、ABT−288、ABT−384、ネフィラセタム、AQW051、ピタバスタチン、ナプロキセンナトリウム(Aleve(登録商標))、ロルノキシカム、AN−1792、SR57667B、メラトニン、SAM−531、MK0952、MK0677、IFN−アルファ2A、BAY 94−9172、PYM50028、lecozotan SR、サリドマイド、tramiprosate、FK962、IVIG、RO5313534、bifeprunox、LNK−754、ELND005、NSA−789、ラメルテオン、フロルベタベン、SRA−444、VP4896、セレコキシブ、ヒドロコドン、GSI−136、ゾルピデム、MK3328、メトホルミン、CTS21166、elontril、イブプロフェン、posiphen tartrate、JNJ−39393406、テストステロン、BRL−049653、BMS−708163、SAM−315、ケトコナゾール、フルコナゾール、ワルファリン、E2609、AZD0328、LY2886721、CHF 5074、E2212、アセトアミノフェン、LY2811376、ABT−126、メラトニン、GSK1034702、アルモダフィニル、depakote、ゲムフィブロジル、AL−108、レベチラセタム及びキナクリンからなる群より選択される1種以上の追加の治療薬と併用で対象に投与することが含まれる、神経障害を治療する方法を提供する。
医薬組成物
いくつかの実施形態では、提供する方法には、VX−745を1種以上の治療薬及び薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルと一緒に含む医薬組成物を患者に投与することが含まれる。いくつかの実施形態では、本発明は、ある用量のVX−745を1種以上の治療薬及び薬学的に許容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルと一緒に含む医薬組成物を提供し、VX−745の用量は、約5〜45ng/mL、約10〜45ng/mL、約15〜45ng/mL、または約20〜約40ng/mL、または約25〜約35ng/mL、または約30〜約40ng/mLの血中濃度をもたらす。いくつかの実施形態では、VX−745の用量は、約5〜35ng/mL、約10〜30ng/mL、約10〜25ng/mL、約5〜20ng/mL、または約10〜20ng/mLの血中濃度をもたらす。
ある実施形態では、本発明の薬学的に許容可能な組成物は、経口投与用に調剤される。本発明の薬学的に許容可能な組成物は、任意の経口的に許容される剤形で経口投与され得、限定ではないが、カプセル、錠剤、水性懸濁液または水溶液が挙げられる。経口用の錠剤の場合、一般的に用いられる担体として、ラクトース及びコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤も一般的に加えられる。経口投与されるカプセル剤に有用な希釈剤としては、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。経口用に水性懸濁液を必要とする場合、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と組み合わせる。所望であれば、ある種の甘味料、香料または着色料を加えてもよい。
担体物質と組み合わせて単一剤形の組成物を生成する本発明の化合物の量は、患者及び具体的な投与方法により変わってくる。好ましくは、提供する組成物は、これらの組成物を受ける患者に1〜50mg/日の用量のVX−745を投与できるように調剤すべきである。組成物の例としては、これらの組成物を受ける患者に1日あたり1〜10mg、10〜25mgまたは25〜50mgの用量のVX−745を投与するように調剤した組成物が挙げられる。本発明の別の実施形態では、組成物には、これらの組成物を受ける患者に、1日あたり3〜5mg、5〜10mg、10〜20mg、20〜30mg、30〜40mgまたは40〜50mgの用量の阻害剤を投与するように調剤された組成物が含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、1mg、3mg、5mg、10mg、20mg、25mg、30mgまたは50mgの活性組成物を含有する用量に調剤される。これらの製剤の投与計画としては、限定ではないが、単回投与、1日1回、2回または3回の投与、週1回の投与、及び月1回の投与が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、提供する組成物は、40mg/日のVX−745を与えるように調剤される。
あらゆる個々の患者の特定の用量及び治療計画は、あらゆる要因に左右されるということも当然理解されよう。あらゆる要因とは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、総合的な健康状態、性別、食生活、投与時刻、排出率、併用薬物、ならびに主治医の判断及び治療中の特定の病気の重症度などである。組成物中の本発明の化合物の量も、その組成物中の特定の化合物に依存することになる。
実施例1 モリス水迷路
背景
最近のヒト遺伝子データでは、アルツハイマー病の主な悪化要因は、ミクログリアの調節不全と神経炎症であることが示されている。それに加えて、インビトロのデータによると、IL−1β−p38 MAPK系は、ニューロン内で長期増強(LTP)及び長期抑圧(LTD)への影響を通じて記憶に影響を及ぼし得ることが示されている(McAfoose, 2009)。また、p38 MAPKは、オリゴマーであるAβによるLTP阻害のメディエーターであると特定されてもいる(Li, 2011)。しかし、血液脳関門(BBB)貫通型p38 MAPKアンタゴニストが入手できなかったことから、アルツハイマー病の慢性型モデルにおけるp38 MAPK阻害の効果は未知である(Munoz, 2010)。また、p38 MAPKの、及びp38 MAPK阻害の、ならびにp38 MAPKが仲介するミクログリアからのサイトカイン(IL−1β及びTNFα)産生の阻害に対するp38 MAPKがニューロン内で仲介するサイトカインのシグナル伝達の阻害の、相対的な重要性もわかっていない。
VX745(BBB貫通型選択的p38 MAPKアルファアンタゴニスト)は、IL−1ベータの産生とシグナル伝達の両方を阻害するが、シグナル伝達では効力が倍増する。先の非CNS臨床経験に次ぐアルツハイマー病に関しての再位置づけを期して、VX−745を老化ラットモデルで試験し、2つ目の補助試験では虚血発作後の機能回復ラットモデルで試験した。
目的
この試験の主目的は、化合物VX−745での前処置により老化ラットの認知的欠陥が緩和されるかどうかを調査することであった。VX−745の血漿濃度は、試験の最期に、投与から1時間後に回収した試料を液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS/MS)で決定した。それに加えて、前頭皮質(ventral cortex)及び海馬におけるPSD95タンパク質レベル、ならびに海馬におけるIL−1βレベルを特異的ELISAアッセイで解析して、脳内で生じ得るVX−745の抗炎症効果を評価した。
方法
実験には、全部で60匹の雌老化(20〜24月齢)Fischerラット及び15匹の若い(2〜3月齢)雌成体Fischerラットを用いた。ラットは、試料採取(23日目)まで経口胃管栄養法で1日2回、ビヒクルで、または0.5mg/kg、1.5mg/kgもしくは4.5mg/kgのVX−745で処置した。学習障害及び記憶障害について、処置開始の1週間後にモリス水迷路(MWM)を用いて解析した。
試験動物
動物実験はすべて国立保健研究所(NIH)の実験室動物の世話と使用に関するガイドラインにしたがって行い、フィンランド国のNational Animal Experiment Boardにより承認された。実験には全部で60匹の雌老化(20〜24月齢)Fischerラット及び15匹の若い(2〜3月齢)雌成体Fischerラット(仏国Charles River社)を用いた。動物は標準温度(22±1℃)の照明制御下(照明は午前7時〜午後8時まで)の環境に収容し、水と餌は自由に採らせた。動物は以下の群に分けられた。
第1群:老化ラット15匹に1日2回経口にてビヒクル処置。
第2群:老化ラット15匹に1日2回経口にてVX−745(0.5mg/kg)処置。
第3群:老化ラット15匹に1日2回経口にてVX−745(1.5mg/kg)処置。
第4群:老化ラット15匹に1日2回経口にてVX−745(4.5mg/kg)処置。
第5群:対照群として若い成体ラット15匹に1日2回経口にてビヒクル処置。
薬物送達及びラットの識別
ラットは体重、及び目視可能なプラットフォームの事前トレーニングでの成績に基づいて各処置群に均等に振り分け、全処置群に学習能力の高いラットと低いラットとが均等に存在するようにした。試料採取まで、経口胃管栄養法で1日2回処置した。ビヒクルは1%のプルロニックF108であり、投与量は5mL/kgであった。ビヒクル及び試験化合物の投与は、試験前の段階で、午前7〜9時と午後3〜5時に行った。行動試験当日の処置は、初回の試験試行の最低1時間前に行った。試験化合物はスポンサーからの指示にしたがって調剤し保管した。ラットは油性マーカーで尾に印をつけて識別した。処置群及び毎日の処置時刻について記録をつけた。
モリス水迷路
水迷路のタスクは、Morrisらが最初に設計した(J Neurosci Methods. 1984; 11: 194 47−60)。試験は、大きい暗色の水槽(直径200cm)に水温25.0±1.0℃の透明な水を張って行った。水没プラットフォーム(水面下1.5cmの10×10cmの正方形プラットフォーム)を北西(NW)四半分の中央部に配置した。スタート位置は、北(N)、北東(NE)、東(E)、南東(SE)、南(S)、南西(SW)、西(W)、北西(NW)として標識し、プールの縁に適当に配置した。これらのスタート地点のうちの1か所から、鼻先を壁に向けさせた状態でラットをプールに入れた。プラットフォームがある位置(NW)に隣接するリリース地点は使用しなかった。
化合物での処置を開始する前に、目視可能なプラットフォームの事前トレーニングを行って、場所(place)試行またはプローブ試行での成績に影響し得るような何らかの非認知的なパフォーマンス障害(たとえば視力障害及び/または水泳困難)があるかどうかを決定した。目視可能なプラットフォームの事前トレーニングが終わると、データを解析して、事前トレーニングの成績に基づきラットを各処置群に振り分けた。この手続きを踏んだのは、各処置群を、手掛かり付き(cued)の水迷路タスクで成績が良かったラットと悪かったラットとで等しく構成するためであった。
習得トレーニング 第1週(8〜11日目)及び第2週(15〜18日目)
手がかり付き試行が完了すると、習得(場所)試行を行って、離れた場所にある手がかりと、すべての場所試行で同じ位置に設置された水没した避難用プラットフォームとの空間的関係をラットが学習する能力を判断した。スタート地点は無作為に変えた(NWは使用しなかった)。ラットは、週4日、1日あたり4試行(各試行は最長60秒とし、次回の試行まで15分あけた)を受けた。潜時及び経路長(距離)を評価した。
プローブ試行(19日目)
最後の場所試行から24時間後にプローブ試行を1回実施して、記憶保持について評価した。プールからプラットフォームを除去し、プラットフォームが配置されていたプールの四半分の反対側の四半分にラットを入れた。ラットは、プラットフォームなしで、60秒間泳がせた。このプローブ試行の間、標的の四半分及び標的のプラットフォーム環内(プラットフォーム周囲の直径36cmの円形部分)に留まった時間、ならびに標的のプラットフォーム位置のクロスオーバー回数を測定した。どのプローブ・パラメーターでもVX−745処置の正または負の効果がなかったので、本出願ではこれ以上は特に論じない。
PK 257の終点、血液試料及び組織の処理
最後のビヒクルまたはVX−745の午前投与から1時間後、動物(各投与群につき10匹)をペントバルビタールで深麻酔して、心臓穿刺により血液試料を採取した。血液500μLをEDTAマイクロチューブに採り、遠心分離して血漿を採取した。脳をヘパリン加生理食塩水で灌流してから採取した。右半球を0.1MのPB中4%PFAに24時間浸漬して固定した(post−fixed)。リン酸緩衝液で軽く洗った後、右半球をPB中30%スクロースで2〜3日凍結保護し、その後液体窒素で凍結してから、−80℃で保存して、随意で免疫組織化学分析ができるように備えた。左半球は前頭と後頭の皮質、海馬、及び残りの脳部分に切り分けて、ドライアイスで新鮮凍結した。
ELISAキット(Cusabio Biotech社、#CSB−EL006938RA、ロット O31154387)を用いて、皮質及び海馬の可溶性抽出物のPSD95成分に関して解析し、IL−1βレベルは海馬由来のみ解析した(R&D Systems社、#RLB00、ロット 308544)。
アセトニトリル沈殿により血漿試料を処理し、次いでVX−745の薬物濃度をLC−MS/MSにより解析した。
結果
ビヒクル処置した若いラットは、順次的試験でMWMの潜時/距離が急減し、効果的に学習したことが示された。ビヒクル処置した老化ラットは、認知的障害があるようで、若いラットよりも時間も距離も長く、試験期間を通じてほとんど改善は見られなかった。VX−745処置した老化ラットは、水泳時間と距離が大幅に短縮するという進歩を示し、認知的成績の改善が裏付けられた。潜時と距離の両方において最も奏功したVX−745の用量は1.5mg/kgであり、試験最終日である17日目、この群のラットの成績は、ビヒクル処置した若いラットとほぼ等しかった。ビヒクル処置した老化ラットと比べて、1.5mg/kg用量群は、17日目に、潜時と距離の両方について統計学的に有意に良好な成績を示した(それぞれp=0.013及び0.0.019)。図1を参照されたい。さらに、距離に関しては試験1日目に有意に悪い成績があり(p=0.018)、試験1日目から最終日までの潜時と距離の変化を比較することによって標準化した後もデータの解析を行った。この解析でも、1.5mg/kgで処置した老化ラットはビヒクル処置した老化ラットよりも有意に成績がよく、潜時変化についてはp=0.007、距離変化についてはp=0.012という結果であった。図2を参照されたい。
PSD95は後シナプス構造に存在するタンパク質であり、後シナプス応答を保証するレセプターとイオンチャンネルのクラスター形成に寄与すると考えられている。PSD95のレベルはアルツハイマー病では低下し、動物モデルでは抗炎症薬で処置すると上昇することが示されている(Frautchy, 2001)。PSD95タンパク質の解析では、VX−745高用量(4.5mg/kg)群のほうがビヒクル処置した老化ラットよりもPSD95が高レベルになる統計学的傾向が示された(マン・ホイットニー順位和検定でp=0.063)。
海馬中のIL−1βのレベルの解析では、老化ラットのほうが高レベルになる傾向が示された。VX−745高用量(4.5mg/kg)群のIL−1βのレベルは若いラットと類似しており、ビヒクル処置した老化ラット群よりも低かった(マン・ホイットニー順位和検定でp=0.038)。
1.5mg/kg用量レベルは、PSD95についてもIL−1βについても明白な効果はなかったが、モリス水迷路試験の成績は著しい改善を示し、モリス水迷路試験レベルのこの用量レベルの効果は、サイトカインの産生の阻害(つまり抗炎症効果)により仲介されたのではないことが示された。図3を参照されたい。
最後の投与から1時間後のVX−745の血漿中薬物レベルは、投与に正比例して増加した。図4を参照されたい。以前の前臨床研究でわかっているラットにおける血漿中薬物プロファイルによると、定常状態での投与後1時間のレベルは、定常状態Caverage(CAVG)に近似するはずである。結果不明となった先行研究で、ヒトの各系においてIL−1βの産生を阻害するVX−745のIC50は、IL−1βのシグナル伝達を阻害する場合のおよそ半分であることが示されているように、1.5mg/kgはIL−1βのシグナル伝達を阻止するのに必要な薬物濃度に達し、4.5mg/kgだけがIL−1β産生の全血中IC50を超える濃度に達した。
結論
本発明は、一つには、慢性アルツハイマー病の動物モデルにおいて、抗炎症効果を生じるには不十分な用量レベルのp38 MAPKの阻害による正の認知効果を発見することに関する。その知見に一致して、PK/PDの相関は、該効果がIL−1ベータの産生の抑制ではなく、IL−1ベータのシグナル伝達の阻害により仲介されることを示すものである。
実施例2 ラットの一過性MCAOの機能回復
この試験の目的は、試験の0日目に120分間の中大脳動脈閉塞(tMCAO)を受けさせたラットに、閉塞の48時間後に1日2回の長期的VX−745処置を開始して、感覚運動の回復及び神経保護が得られるかどうかを調査することであった。虚血後1日目、3日目、7日目、14日目、21日目、28日目、35日目及び42日目に、7ポイント及び20ポイントのNeuroscore(神経学的評価)試験を行って、感覚運動障害及び総合的な状態を研究した。シリンダー試験を虚血後7日目、14日目、21日目及び35日目に、肢置き(limb−placing)試験を1日目、3日目、7日目、14日目、21日目、28日目、35日目、及び42日目に行った。
虚血から24時間後に梗塞の体積をT2−MRIで評価し、2日目に病巣データに基づきラットを処置群に振り分け、2日目のMRI後に処置を開始した。
方法
雄のSprague−Dawleyラットに、120分間のtMCAOの48時間後から1日2回の長期的VX−745処置を受けさせた。24時間時点で病変の大きさをMRI測定し、病変の大きさと肢置き試験の結果に基づいて2日目(tMCAOは0日目に実施)にラットを投与群に振り分けた。ラットは2種の異なる投与量で処置し、実験期間を通して感覚運動の行動試験を受けさせた。閉塞前と、虚血後1日目、3日目、7日目、14日目、21日目、28日目、35日目及び42日目に7ポイント及び20ポイントのNeuroscore、ならびに肢置き試験を行って、感覚運動障害及び総合的な状態を調査した。閉塞前と、虚血後7日目、14日目、21日目及び35日目にシリンダー試験を行った。
動物
体重250〜300gの雄の成体Sprague DawleyラットをCharles River Laboratories社(独国 Sulzfeld)から全部で45匹購入して実験に用いた。動物は標準温度(22±1℃)の照明制御下(照明は午前7時〜午後8時まで)の環境に収容し、水と餌は自由に採らせた。
動物は以下の群に分けられた。
A群:tMCAO動物15匹に2日目から42日目まで1日2回経口にてビヒクル処置(5mL/kg)。
B群:tMCAO動物15匹に2日目から42日目まで1日2回経口にてVX−745処置(1.5mg/kg)。
C群:tMCAO動物15匹に2日目から42日目まで1日2回経口にてVX−745処置(4.5mg/kg)。
一過性MCAO
一部変更を加えKoizumi(Koizumiら. Jpn. J. Stroke 8:1−8, 1986)に従って0日目にMCA閉塞により雄Sprague−Dawleyラットに一過性局所脳虚血を生じさせた。ラットは、(70%NOと30%O中)5%イソフルラン(流量は300mL/分)で麻酔した。術中、麻酔濃度を1.0〜2.0%に落とした。定温ブランケット装置で直腸温を37.0±1.0℃に保った。正中線で皮膚を切開した後、右の総頸動脈(CCA)を露出させて、頸動脈の分岐部から遠位のところで外頸動脈(ECA)を結紮した。先が丸い直径0.22mmのモノフィラメントのナイロン糸を、MCAの起点まで内頸動脈(ICA)に22〜23mm挿入した。モノフィラメントの挿入後、CCAを縫合糸で2時間閉塞した。120分間の虚血後、フィラメントと縫合糸を除去してMCAの血流を再開させた。動物の傷を閉じて消毒し、麻酔から自然に覚めさせた。tMCAO後に生じ得る術後合併症について、ラットを注意深く観察した。tMCAO後、ラットには水道水に実験室の標準的餌を浮かせたものを与えた。脱水しないように、必要に応じて、全ラットに1日1回か2回、(1匹あたり4mLの)生理食塩水を腹腔内注射した。
薬物送達
虚血から48時間後(つまり2日目)のMRIの後、VX−745またはビヒクルの経口投与(5mL/kg)を開始し、終点である42日目まで1日2回(午前と午後)の投与を続けた。
総合的な健康状態、及び人道的な終点
動物は、1日2回、実験室職員が観察した。動物の総合的な健康状態が著しく悪化した場合は、そのラットに二酸化炭素を過剰投与してから断頭する安楽死をさせた。許容可能な終点の定義としては、24時間観察して自発的な動きがなく、飲むまたは食べることができないこと、大量出血、自発性炎症、身体の一部の欠損、20mm超の膨張または腫瘍、及び30秒で姿勢を立て直せないこと、が挙げられる。
処置の振分け
tMCAOの24時間後(つまり1日目)に全ラットのインビボのMRI撮像行った。病変の大きさ、組織生存能(ミリ秒のT2)及び脳浮腫を絶対的(absolute)T2−MRIにより決定した。病変データに基づいてラットを2日目に各処置群に振り分け、処置を2日目に開始した。
20ポイントのNeuroscore
20ポイントのNeuroscore試験により、虚血後の運動及び行動障害を評価した。この神経学的試験は、盲検化した研究者により、発作前(ベースライン)と、虚血後1日目、3日目、7日目、14日目、21日目、28日目、35日目及び42日目に実施された。
以下のパラメーターについて解析した。
足置き(最高スコア 4)
正向反射(最高スコア 1)目視で前足を(何かに向けて)伸ばす(最高スコア 2)
旋回(最高スコア 4)
対側(最高スコア 1)
握力(最高スコア 2)
自動能(最高スコア 3)
総合的な状態(最高スコア 3)
正常なラットの最高スコアは20ポイントであった。
7ポイントのNeuroscore
7ポイントのNeuroscoreを同時に用いて虚血後の運動及び行動障害を評価した(Zausingerら, 2000を変更)。この神経学的試験は、盲検化した研究者により、発作前(ベースライン)と、虚血後1日目、3日目、7日目、14日目、21日目、28日目、35日目及び42日目に実施された。
6等級:尾を持ってそっと持ち上げると、床に向けて両前肢を正常に伸展させる。
5等級:軽度の手首の屈曲及び肩の内転から、手首や肘の完全な屈曲及び肩が内側に回旋する内転を伴う重度の姿勢異常まで、損傷を受けた半球の対側の前肢を一貫して屈曲させる。
4等級:麻痺側に向けて水平方向に押したときの抵抗が一貫して低下している機能不全ラット。
3等級:尾を引っ張って持ち上げると麻痺側方向に旋回するラット。
2等級:尾を引っ張ると麻痺側方向に旋回するラット。
1等級:麻痺側方向に自発的に旋回するラット。
0等級:自発的動作のないラット。
肢置き試験
肢置き試験(Limb Placing test)により、触感的な自己受容性刺激に対する四肢の応答の感覚運動統合を評価した(de Ryckら, 1989; Jolkkonenら, 2000)。肢置き試験は、盲検化した研究者により、tMCAO前(ベースライン)と、虚血後1日目、5日目、7日目、14日目、21日目、28日目及び35日目に実施された。
この試験には7項目の肢置きタスクがあり、以下のように採点した。
2ポイント ラットは正常にタスクをこなす。
1ポイント ラットは遅延がある(>2秒)及び/または不完全にタスクをこなす。
0ポイント ラットは正常にタスクをこなさない。
体の両側について試験した。
1つ目のタスクでは、ラットを卓面の上方10cmのところにぶらさげた。非破壊ラットは、両前肢を卓に向けて伸ばす。2つ目のタスクでは、卓の端に前肢を載せさせ、ラットが卓に対面するようにして支えた。前肢をそっと引き降ろして卓から離し、ラットが前肢を戻して卓に置くかどうかチェックした。非破壊ラットは両前肢を卓に置き直す。3つ目のタスクは2つ目と同じだが、ただしラットの頭を45度上方に向けさせて支えるので、ラットは卓を見ることも感覚毛で接触することもできなかった。次に、ラットを卓の端に沿って配置して、前肢(4つ目のタスク)及び後肢(5つ目のタスク)を水平方向に置くかどうかをチェックした。2つ目のタスクで説明したようにしてラットの肢を卓から引き降ろし、ラットが肢を元に戻す動作を採点した。6つ目のタスクでは、後肢が卓の端に載った状態でラットの後部を卓の端に配置した。後肢を1本ずつそっと引き降ろして卓から離した。必要に応じて、もともと肢が載っていた卓の端に肢を戻させる刺激として、動物を卓の端に向けて押す場合もあった。7つ目のタスクでは、卓面に背を向けた状態でラットを卓の端に配置した。ラットの前肢を卓の端に配置し、ラットの後方から端に向けてそっと押した。障害ラットは握力を維持できず、障害のあるほうの肢が端から滑り落ちた。正常なラットの最高ポイントは14ポイントであった。
シリンダー試験
シリンダー試験(Schallert and Tillerson, Innovative models of CNS disease: from molecule to therapy. Clifton, NJ, Humana, 1999を変更)により、動物がケージの壁に前肢をついて立ち上がっているときの両前肢の使用の左右差を定量化した。この試験はtMCAO前と、tMCAOから7日目、14日目及び21日目に行った。ケージ内で自由に動くラットを観察した。ラットが立ち上がってケージの壁に各前足を接触させた回数を盲検化した観察者が記録した。動物1匹あたり全15〜20回の接触を記録し、全接触回数に占める障害のある(左)前肢の接触回数と障害のない前肢の接触回数とを百分率で計算する。
結果
機能回復について解析した。ベースライン(3日目)から終点(42日目)にかけての変化を、肢置き試験と7ポイント及び20ポイント試験に関し解析した。図5を参照されたい。シリンダー試験では、7日目から35日目にかけての変化を解析した。1.5mg/kgのVX−745用量群は4.5mg/kgのVX−745群よりも一貫して成績が良かったようである。それに加えて、1.5mg/kgのVX−745用量群は、ビヒクル処置動物に対し、7日目から35日目にかけてのシリンダー試験の成績が改善していく変化傾向を示した(両側t検定でp=0.088)が、この傾向は4.5mg/kg用量群では明白ではなかった。図6を参照されたい。
結論
この試験で肢置きならびに7ポイント及び20ポイントのneuroscoreにより測定した機能回復の結果から、ビヒクル処置動物ではtMCAO後の実質的な機能改善があったが、これらの測定ではそれ以上の機能回復は1.5mg/kgのVX−745または4.5mg/kgの投与ではなかったことが示された。シリンダー試験では明らかにビヒクル処置の機能回復が最小限であり、7日目から35日目までのシリンダー試験の成績変化は、ビヒクル処置と比べて、1.5mg/kgのVX−745のほうが改善傾向にあった(p=0.088)。これらの測定すべてについて、変化の解析では、1.5mg/kgのVX−745用量群のほうが4.5mg/kgのVX−745群よりも一貫して成績が良いようであり、このことは、VX−745が神経機能に及ぼすあらゆる正の効果は、測定可能な抗炎症効果のない用量レベル、つまりはサイトカインの産生に影響を与えるような血中濃度が得られない用量レベルで発生し、一方で、サイトカインの産生を阻害する血中濃度が得られ、したがって抗炎症効果のある用量レベルは神経機能に及ぼす影響が小さい、という概念をさらに裏打ちするものである。

Claims (9)

  1. 神経障害の治療を必要とする患者の神経障害を治療する方法であって、サイトカインのシグナル伝達を阻害するには十分であるがサイトカインの産生には実質的に影響しない用量のVX−745を前記患者に投与することを含む、前記方法。
  2. 前記サイトカインはIL−1ベータである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記用量は、サイトカインの産生を阻害するのに必要な血中濃度の半分よりも低い患者の血中濃度をもたらす、請求項1に記載の方法。
  4. 前記用量は、サイトカインの産生を阻害するのに必要な血中濃度よりも50%、60%、70%、80%または90%低い患者の血中濃度をもたらす、請求項3に記載の方法。
  5. 前記神経障害は、アルツハイマー病、軽度認知障害、血管性認知症、レビー小体病及び認知症;パーキンソン病;脳卒中後の機能回復;前頭側頭型認知症(FTD)及び発作性痙性対麻痺(PSP)及びその他のタウオパチー;認知薄弱;慢性耳鳴症;ならびにハンチントン病から選択される、請求項1に記載の方法。
  6. 神経機能の改善を必要とする患者の神経機能を改善する方法であって、サイトカインのシグナル伝達を阻害するには十分であるがサイトカインの産生には実質的に影響しない用量のVX−745を前記患者に投与することを含む、前記方法。
  7. 認知が改善される、請求項6に記載の方法。
  8. 神経障害の治療を必要とする患者の神経障害を治療する方法であって、ある用量のVX−745またはその薬学的に許容可能な組成物をそれを必要とする患者に投与して、約15〜45ng/mL、または20〜約40ng/mL、または約25〜約35ng/mL、または約30〜約40ng/mLの血中濃度をもたらすことを含む、前記方法。
  9. さらに、追加の治療薬を投与することを含む、請求項1、6または8のいずれか一項に記載の方法。
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