JP2017517501A - 2,6−ジメチル−5−ヘプテン−1−アールを製造するための方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの製造するための方法であって、プロトン供与性官能基を有する少なくとも1つの溶媒を含有する溶媒又は溶媒混合物中で、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン(ジヒドロミルセン、ベータシトロネレン)をN2Oと反応させることを含む、方法に関する。【化1】【選択図】なし
Description
本発明は、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを製造するための方法であって、プロトン供与性官能基を有する少なくとも1つの溶媒を含有する溶媒又は溶媒混合物中で、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン(ジヒドロミルセン(dihydromyrcene)、ベータシトロネレン)をN2Oと反応させることを含む、方法に関する。
2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは、その特徴的な官能特性によって、香料又は香味料として商業的関心が高い。特に、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは、洗濯及び織物用洗剤の他に化粧品の添加剤として使用される。更に、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは、6-ヒドロキシ-2,6-ジメチルヘプタナール及び6-メトキシ-2,6-ジメチルヘプタナールなどの、他の香料及び香味料の製造において非常に有用な中間体である。
2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは、天然源、例えばジャバ・シトロネラ油から単離することができる。しかしながら、天然源からの香料の単離は大抵費用がかかり、それらの使用できる量は制限されることが多く、環境状況の変化によってそれらの含有量や純度なども変化する。
したがって、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを製造するための合成方法が数多く開発されている。
例えば、米国特許4,242,281号には、ダルツェンス反応による、純度85%のラセミ2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを製造するための工業的方法であって、ナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドの存在下で、6-メチル-5-ヘプテン-2-オンをクロロ酢酸エチルと反応させる方法が記載されている。
Cormaら、Journal of Catalysis, 2005, Vol. 234, 96-100ページには、Sn-ベータゼオライト系触媒を用いた、H2O2によるシトラールの化学選択的酸化を含む、ラセミ2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを調製するためのハロゲンフリーの合成戦略が記載されている。
Burgerら、Journal of Chemical Ecology, 2002, Vol. 28, No. 12, 2527-2539ページには、(R)-及び(S)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンをそれぞれ出発とする、(R)-及び(S)-2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの合成が記載されている。この合成には、3-クロロ過安息香酸を用いた(R)-又は(S)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの内部の三置換二重結合の選択的エポキシ化を含み、続いて、オゾンによる二重結合末端の酸化及び得られた酸化生成物の亜鉛による還元によって、(R)-及び(S)-2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールがそれぞれ得られる。
これらの方法はいくつかの技術的及び/又は経済的欠点があるため、別の合成方法であって、更に効率的に、工業規模の2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの製造が可能である方法を見出すことが必要である。
国際公開第2010/076182号には、ケトンを製造するための方法であって、少なくとも1つのプロトン供給性官能基を含む溶媒の存在下で、1,1-二置換オレフィンとN2Oとの反応を含む方法が記載されている。
Romanenkoら、Russian Chemical Bulletin, International Edition, 2007, Vol. 56 (6), 1239-1243ページには、N2Oによるリモネンの化学選択的酸化によって、主要生成物として4-アセチル-1-メチルシクロヘキサンが得られることが記載されている。
Semikolenovら、Russian Chemical Bulletin, International Edition, 2005, Vol. 54 (4), 948-956ページには、N2Oによる、例えば、1-ブテンのような末端オレフィンの酸化が記載されている。1-ブテンの場合、炭素原子が1つ少ないアルデヒド(プロピオンアルデヒド)が、わずか29%の選択率で副次的生成物として形成される。1-ヘキセン及び1-オクテンのようなより長い末端鎖のオレフィンも同様に、それぞれわずか27%及び26%の選択率で対応するアルデヒドを生じる。すべての場合において、末端オレフィンは更に酸化可能な二重結合を含まない。
Cormaら、Journal of Catalysis, 2005, Vol. 234, 96-100ページ
Burgerら、Journal of Chemical Ecology, 2002, Vol. 28, No. 12, 2527-2539ページ
Romanenkoら、Russian Chemical Bulletin, International Edition, 2007, Vol. 56 (6), 1239-1243ページ
Semikolenovら、Russian Chemical Bulletin, International Edition, 2005, Vol. 54 (4), 948-956ページ
本発明の目的は、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを製造するための改良された方法を提供することである。この方法は、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの経済的な製造を可能にするために簡単且つ効率的にすべきである。
驚くべきことに、プロトン供与性官能基を有する少なくとも1つの溶媒を含有する溶媒又は溶媒混合物中で、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンをN2Oと反応させることによって、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを高選択率で調製できることを見出した。
したがって、本発明は、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを調製するための方法であって、プロトン供与性官能基を有する少なくとも1つの溶媒を含有する溶媒又は溶媒混合物中で、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンをN2Oと反応させることを含む、方法に関する。
本発明の2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを製造するための方法は、安価で容易に手に入る3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンを出発とするので、簡単且つ効率的である。本発明の方法を用いることによって、困難なく2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを工業規模で提供することができる。
2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは次式(I)
本発明によれば、用語「2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール」は、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの(2R)-及び(2S)-立体異性体の両方を示し、これらの立体異性体の混合物も示す。
本発明の方法を用いるとき、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは典型的にラセミ混合物の形態又はその(2R/2S)-立体異性体の混合物の形態のいずれかで得られ、出発物質である3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンがラセミ混合物として又はその純粋な(3R)-若しくは(3S)-立体異性体の形態で適用されるかによって、(2R)-異性体又は(2S)-異性体のいずれかが過剰に存在する。
本発明によれば、酸化は、プロトン供与性官能基を有する少なくとも1つの溶媒を含有する溶媒又は溶媒混合物中で行われる。
プロトン供与性官能基を有する溶媒は、プロトン供与性官能基を有し、反応条件下でN2Oと反応しない任意の物質から選択することができる。プロトン供与性官能基は、ヘテロ原子、特にO、S又はNと結合した水素原子を有する官能基である。そのような官能基の例には、COOH、OH又はNHが含まれる。溶媒は1つ以上、例えば、1、2又は3つのそのような官能基を有し得る。
COOH基を有する好適な溶媒の例は、1〜20個の炭素原子及び1又は2つのカルボキシル基を有する非置換又は置換カルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸又はピメリン酸、並びに1又は2つのカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸、例えば、安息香酸、オルトトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、フタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸である。
OH基を有する好適な溶媒の例は、水、脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、tert.-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、イソペンタノール、tert.-ペンタノール、シクロペンタノール、3-メチル-2-ブタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、シクロヘキサノール、1-ヘプタノール、イソヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、イソノナノール、1-デカノール、2-プロピルヘプタノール、2-プロピル-3-メチル-ペンタノール、1-ウンデカノール、イソウンデカノール、1-ドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ブチル-3-メチルヘプタノール、1-トリデカノール、1-テトラデカノール、1-ヘキサデカノール、1-オクタデカノール又は1-イコサノール、2〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール又はジエチレングリコール、3〜20個の炭素原子を有する脂肪族トリオール、例えば、グリセロール又は1,2,4-ブタントリオール、4個以上のOH基及び4〜20個の炭素原子を有する脂肪族ポリオール、例えば、トレイトール又はソルビトール、フェノール及び置換フェノール、例えば、パラクレゾール、2,4-キシレノール、2-メトキシフェノール又は4-メトキシフェノールである。
NH基を有する好適な溶媒の例は、アンモニア、1〜30個の炭素原子を有する第一級又は第二級脂肪族アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert.-ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、2-プロピヘプチルアミン(2-propyheptylamine)、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ピロリジン又はピペリジン、2〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジ及びポリアミン、例えば、1,2-エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、ビス(-2-アミノエチル)アミン、1,4-ジアミノブタン及びピペラジン、芳香族アミン、例えば、アニリン、N-メチルアニリン又はトルイジン、並びに、第一級又は第二級アミド、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、2-ピロリドン又はカプロラクタムである。
本発明によれば、プロトン供与性官能基を有する溶媒は、OH基及びCOOH基を同時に有する化合物からも選択される。
OH基及びCOOH基を有する好適な溶媒の例は、アルファヒドロキシ酸、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸又はマンデル酸、並びに、ベータヒドロキシ酸、例えば、プロピオン酸、ベータヒドロキシ酪酸又はサリチル酸(salicilic acid)である。
本発明によれば、プロトン供与性官能基を有する溶媒は、OH基及びNH基を同時に有する化合物からも選択される。
OH基及びNH基を有する好適な溶媒の例は、エタノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、1-アミノ-2-メチル-2-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、ジエタノールアミン及びジプロパノールアミンである。
好ましい実施形態において、プロトン供与性官能基を有する溶媒は、上記に定義される脂肪族アルコールから選択される。
特に好ましい実施形態において、プロトン供与性官能基を有する溶媒は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール及びtert.-ブタノールなどのC1〜C4-アルカノールから選択される。
とりわけ好ましい実施形態において、プロトン供与性官能基を有する溶媒はメタノールから選択される。
本発明によれば、酸化は、上記に定義されるプロトン供与性官能基を有する少なくとも1つの溶媒、及び任意選択でプロトン供与性官能基を有さない少なくとも1つの更なる溶媒を含む溶媒混合物中で行われてもよい。
プロトン供与性官能基を有さない任意選択の更なる溶媒は、反応条件下で不活性である有機溶媒であることが好ましい。好ましい不活性有機溶媒は、例として、脂肪族又は脂環式炭化水素、特に、5〜12個の炭素原子を有するアルカン及びシクロアルカン、ハロゲン化脂肪族炭化水素、芳香族及び置換芳香族炭化水素、並びに脂肪族又は脂環式エーテルである。不活性溶媒の例は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、リグロイン又は石油エーテルなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロヘプタンなどの脂環式炭化水素、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン又は1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族化合物、メチル-tert.-ブチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル、並びにそれらの混合物である。
一般に、プロトン供与性官能基を有する溶媒の量は、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン1モル当たり、少なくとも6モル又は少なくとも8モル、例えば、6〜40モル、特に8〜17モル、とりわけ9〜13モルの量で存在する。
典型的には、溶媒又は溶媒混合物中の3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの濃度は、溶媒又は溶媒混合物及び3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの総重量に基づいて、10〜40重量%、好ましくは20〜35重量%、特に25〜33重量%である。
2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの形成の選択率に関して、反応条件、特にN2Oの量、反応圧力、反応温度及び反応時間は、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの転化率が2〜40%の範囲、好ましくは2.5〜30%の範囲、特に3〜20%の範囲になるように選択される場合、有益であることを見出している。
このような目的で、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンは、N2Oの存在下、上記に定義される溶媒又は溶媒混合物と共に加熱される。液相中のN2Oの溶解度を上げるために、反応は高圧で行われることが好ましい。
反応は特に、5〜400barの範囲、好ましくは10〜350barの範囲、とりわけ15〜300barの範囲の圧力、特にN2O圧力で行われる。
典型的には、反応は触媒を加えずに行う。
酸化反応は通常、100〜300℃、好ましくは130〜290℃、特に150〜280℃の温度範囲で行われる。
酸化反応は、不活性ガスの不存在下又は存在下で行うことができ、不活性ガスは意図的に加えられる又は使用されるN2O中に含まれている。一般に、不活性ガスは、一般的な反応条件下で反応に関与する出発物質、試薬若しくは溶媒、又は得られた生成物といかなる反応もしないガスを意味する。不活性ガスの例は、二酸化炭素、窒素及びアルゴンである。不活性ガスの量は、使用されるN2Oの量の20%未満であることが好ましい。
特に、酸化反応で使用されるN2O対3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンのモル比は、1:20〜4:1の範囲、好ましくは1:15〜3:1の範囲、特に1:10〜1:1の範囲である。
酸化は連続的又はバッチ式のいずれかで行うよう設定することができ、本発明の方法は連続的に行うことが好ましい。バッチ式酸化は、本目的で従来使用されている反応器、例えば撹拌反応器で行うことができる。本発明の酸化は、例えば、管型反応器又は少なくとも3つの逆混合反応器のカスケードで連続的に行われることが好ましい。反応器は、ほぼ等温的に又はほぼ断熱的に操作することができる。連続的に操作される反応器の場合、ベータシトロネレン(3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン)、溶媒及び任意選択で不活性ガスを含有するN2Oが反応器に液体流として供給される。好ましくは、供給温度、圧力及び組成は、反応器の入口での混合供給流が液体(すなわち、気相を含まない)及び均質(2つの液相に分離しない)になるように選択する。
本発明の方法は、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを高選択率で提供する。驚くべきことに、N2OはC=C結合を開裂して3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの一置換二重結合と選択的に反応し、主要生成物として対応するアルデヒドを生じる。
一般に、本発明の方法によって得られる粗生成混合物は更に、反応生成物を含み得る。特に、粗生成混合物は、式(I)の主要生成物に加えて、一般式(II)〜(VIII)の生成物を1つ以上更に含み得る。
本発明の方法は、例えば、蒸留による、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの精製を更に含み得る。
2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの精製のための好ましい蒸留装置は、例えば、任意選択でバブルキャップトレイ、シーブプレート、シーブトレイ、パッケージ又は充填材を備えるトレイカラムなどの蒸留カラム、又は薄膜蒸発器、流下膜式蒸発器、強制循環式蒸発器、サムベイ蒸発器などのスピニングバンドカラム、及びこれらの組合せである。2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの精製のためのとりわけ好ましい蒸留装置は蒸留カラムであり、特にスピニングバンドカラム及び充填カラムである。
蒸留精製後、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは通常、高純度、例えば少なくとも80%の純度で得ることができる。一般に、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールは、上記に定義されるその(2R)-及び(2S)-立体異性体の混合物として得られる。
出発物質である3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン(ジヒドロミルセン、ベータシトロネレン)は、その純粋な鏡像異性体の形態で、又はラセミ混合物として市販されている。
[実施例]
I) ガスクロマトグラフィー分析:
GCシステム及び分離方法:
GCシステム: Agilent 5890 Series II
GCカラム: HP-5 (30 m(長さ)、0.25 mm(ID)、0.25μm(膜))
温度プログラム: 40℃で6分間、40℃から250℃まで8℃/分。
I) ガスクロマトグラフィー分析:
GCシステム及び分離方法:
GCシステム: Agilent 5890 Series II
GCカラム: HP-5 (30 m(長さ)、0.25 mm(ID)、0.25μm(膜))
温度プログラム: 40℃で6分間、40℃から250℃まで8℃/分。
II) 製造例:
例II.1: バッチ式オートクレーブでの、220℃のメタノール中でのN2O (40bar)による(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン((-)-ベータジヒドロミルセン)の酸化
メタノール67.0g中の(-)-ベータジヒドロミルセン(91重量%、Aldrich Chemicalsから得た)33.0gを300mLのオートクレーブに入れ、N2(50bar)を3回流した。次いで、容器を室温にてN2O(40bar)で加圧した。磁気撹拌し、オートクレーブを反応温度(220℃)で3時間加熱した。反応中、オートクレーブ内の圧力は約75-80barであった。室温に冷却し、ゆっくり減圧後、溶液を1,4-ジオキサンを内部標準として用い、定量GCによって分析した。(-)-ベータジヒドロミルセンの転化率は8%であり、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の選択率はそれぞれ、51%、6%、6%、3%、2%、3%、2%及び2%であった。
例II.1: バッチ式オートクレーブでの、220℃のメタノール中でのN2O (40bar)による(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン((-)-ベータジヒドロミルセン)の酸化
メタノール67.0g中の(-)-ベータジヒドロミルセン(91重量%、Aldrich Chemicalsから得た)33.0gを300mLのオートクレーブに入れ、N2(50bar)を3回流した。次いで、容器を室温にてN2O(40bar)で加圧した。磁気撹拌し、オートクレーブを反応温度(220℃)で3時間加熱した。反応中、オートクレーブ内の圧力は約75-80barであった。室温に冷却し、ゆっくり減圧後、溶液を1,4-ジオキサンを内部標準として用い、定量GCによって分析した。(-)-ベータジヒドロミルセンの転化率は8%であり、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の選択率はそれぞれ、51%、6%、6%、3%、2%、3%、2%及び2%であった。
例II.2: 連続モードでの、220℃(等温)のメタノール中でのN2O(270bar)による(3R)-3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン((-)-ベータジヒドロミルセン)の酸化
使用した反応器は、Meggitt UK LtdのHeatric Divisionの微細構造反応器の特注の反応器であり、1.2mmの半径を有するエッチングされたチャネルを有し、最終反応体積が0.5Lである反応器を形成するように拡散接合された、SS316Lステンレス鋼板からなる。反応器は、反応器の入口での温度が220℃に調節されているマルロサーム油(Marlotherm oil)を循環させることにより温度調節され、結びついている伝熱板を通じて好適な温度調節を行う(約1/3の板が伝熱媒体用であり、2/3の板が反応物用である)。2つの反応器への供給流は、メタノール(29重量%溶液)に溶解した(-)-ベータジヒドロミルセン(純度88重量%、Wanxiangから得た)(流速: 675g/時間)及び液体N2O(流速: 45g/時間)からなり、好適な高圧力定量ポンプを用いて供給される。実験は連続的に行われた。圧力は反応器の出口の圧力調整バルブで270barで一定に保った。減圧後、反応器からの流出物を回収し、重さを量り、1,4-ジオキサンを内部標準として用い、定量GCによって分析した。(-)-ベータジヒドロミルセンの転化率は3%であり、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の選択率はそれぞれ、40%、12%、15%、8%、3%、3%、3%及び2%であった。
使用した反応器は、Meggitt UK LtdのHeatric Divisionの微細構造反応器の特注の反応器であり、1.2mmの半径を有するエッチングされたチャネルを有し、最終反応体積が0.5Lである反応器を形成するように拡散接合された、SS316Lステンレス鋼板からなる。反応器は、反応器の入口での温度が220℃に調節されているマルロサーム油(Marlotherm oil)を循環させることにより温度調節され、結びついている伝熱板を通じて好適な温度調節を行う(約1/3の板が伝熱媒体用であり、2/3の板が反応物用である)。2つの反応器への供給流は、メタノール(29重量%溶液)に溶解した(-)-ベータジヒドロミルセン(純度88重量%、Wanxiangから得た)(流速: 675g/時間)及び液体N2O(流速: 45g/時間)からなり、好適な高圧力定量ポンプを用いて供給される。実験は連続的に行われた。圧力は反応器の出口の圧力調整バルブで270barで一定に保った。減圧後、反応器からの流出物を回収し、重さを量り、1,4-ジオキサンを内部標準として用い、定量GCによって分析した。(-)-ベータジヒドロミルセンの転化率は3%であり、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の選択率はそれぞれ、40%、12%、15%、8%、3%、3%、3%及び2%であった。
III) 精製:
II.1)の粗反応混合物を、スピニングバンドカラムを用いた蒸留によって精製し、透明の無色液体である、純度89%のラセミ2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールが得られた。
II.1)の粗反応混合物を、スピニングバンドカラムを用いた蒸留によって精製し、透明の無色液体である、純度89%のラセミ2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールが得られた。
IV) 芳香紙(Scent strip)試験:
例III)で得られた、精製された2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの官能性の同一性を確認するために、芳香紙試験を行い、市販の2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールと比較した。
例III)で得られた、精製された2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールの官能性の同一性を確認するために、芳香紙試験を行い、市販の2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールと比較した。
本目的のために、エタノール中1〜10重量%の2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを含む溶液に、吸収紙を浸した。溶媒の蒸発(約30秒)後、芳香の印象を、訓練を受けた調香師によって嗅覚で評価した。
芳香紙試験の結果:
Claims (10)
- 2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アールを調製するための方法であって、プロトン供与性官能基を有する少なくとも1つの溶媒を含有する溶媒又は溶媒混合物中で、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンをN2Oと反応させることを含む、上記方法。
- プロトン供与性官能基を有する前記溶媒が、脂肪族アルコール、特にC1〜C4-アルカノール、とりわけメタノールである、請求項1に記載の方法。
- プロトン供与性官能基を有する溶媒の量が、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン1モル当たり6〜40モルの量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記溶媒又は溶媒混合物中の3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの濃度が、溶媒又は溶媒混合物及び3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの総重量に基づいて、10〜40重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンとN2Oとの反応が、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンの転化率が3〜20%の範囲になるまで実施される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記反応が5〜400barの範囲の圧力で実施される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
- N2O対3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンのモル比が1:20〜4:1、特に1:10〜1:1の範囲である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
- 反応温度が100〜300℃の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
- 3,7-ジメチル-1,6-オクタジエンをN2Oと連続的に反応させる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
- 反応混合物を蒸留により精製することを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
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