本発明は、特許請求項1の前文に記載の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットと、特許請求項8の前文に記載の眼鏡レンズの製造方法に関する。本発明はさらに、特許請求項12の前文に記載の眼鏡レンズの製造方法における半製品のセットの使用に関する。本発明はさらに、特許請求項13の前文に記載の眼鏡レンズの製造装置に関する。さらに、本発明は、特許請求項14の前文に記載の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法に関する。最後に、本発明は、汎用型の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法の方法ステップのすべてを実行するためのプログラムコードによるコンピュータプログラムと、汎用型の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法の方法ステップのすべてを実行するためのプログラムコードによるコンピュータプログラムを含むコンピュータ読取可能記憶媒体に関する。
眼鏡とは、通常は眼の前で装用され、眼を保護すること、又は眼の視力障害及び位置誤差を補正する役割を果たす、少なくとも1枚の眼鏡レンズを含む構造体である。したがって、視力障害を補正するための眼鏡レンズは、屈折補正用レンズ又は光学的に有効な眼鏡レンズとも呼ばれる。例えば、このような眼鏡レンズは、単焦点レンズ又は多焦点レンズ、特に2焦点レンズ、3焦点レンズ、又はその他の可変焦点レンズとすることができる。例えば、視力障害には、近眼(近視)、遠眼(遠視)、乱視及びその他、標準から逸脱した、及び/又は不十分な視力状態が含まれる。視力障害にはまた、加齢に伴う遠眼(老眼)も含まれる。
屈折補正用レンズは、プラスレンズとマイナスレンズとして区別される。プラスレンズは、観察対象物を拡大する収束的光学効果を有する。マイナスレンズは、観察対象物を縮小する発散的光学効果を有する。
眼鏡レンズは通常、個々の眼鏡装用者に合わせた特定の需要による注文に応じて製造される。一般に、眼鏡レンズは、眼鏡レンズメーカが保管する限定された類型数の半製品眼鏡レンズブランク、いわゆる半製品を使って製造される。眼鏡レンズ半製品は、眼鏡レンズ製品と同様に、各々が物体側用とされる光学面と、眼鏡装用者にとって眼と対向する側に配置される予定の光学面と、これらの部分を離間させる面と、を有する。物体側に配置される予定の光学面は前面と呼ばれ、眼側に配置される予定の光学面は後面と呼ばれる。それらの間にある面は、縁を直接形成するか、又は、一方の端で前面と、他方の端で裏面と、縁面によって間接的に隣接し、円柱縁面とよばれる。一般に、前面は凸型曲面を有し、後面は凹型である。
所望の光学的補正力を得るためには眼鏡レンズによってどのような形状が得られなければならないかは、その材料により決定的に決まる。ここで、最も重要なパラメータは、材料の屈折率である。過去において、眼鏡レンズは主としてミネラルガラス、特にクラウンガラス(アッベ数>55)とフリントガラス(アッベ数<50)から製造されていたが、その後、多数の有機材料からの眼鏡レンズが入手可能となっている。このような有機眼鏡レンズ用の母材は、CR 39、MR 8、MR 7、CR 330、及びMR 174の商品名で提供されている。このような母材の選択はまた、欧州特許出願公開第2692941 A1号明細書の公開明細書にも記載されている。それ以外の材料も、その有機眼鏡レンズ用としての適性についての試験と開発が引き続き進められている。下の表1は、既知の母材から選択したものについて、特徴変数と参照変数を明示している。
現在、球面、回転対称非球面、又は累進前面を有する多数の有機眼鏡レンズ半製品又は製品が、プロトタイプとして、シーリングリングで相互に離間され、工程中に空洞が形成される前及び後面形状金型を用いて大量生産により成形されており、これは例えば、独国特許第3007572 C2号明細書、米国特許第6,103,148 A号明細書、又は特開2008 191186号公報に記載されている。これは、MR 7、MR 8、MR 10、及びCR 39、CR 607、CR 630等の商品名の母材にも当てはまる。MR 7、MR 8、及びMR 10の商品名の母材は、三井化学株式会社が販売するポリチオウレタンである。ここで、略語「MR」は、Mitsui Resinのことである。CR 39、すなわちColumbia Resin 39は、Pittsburgh Plate Glass Industries(PPG Industries)により選ばれたブランド名であり、その名前で、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート又はポリアリルジグリコールカーボネート(略称:PADC)の材料が販売されている。これは、高屈折率デュロプラスチックポリマ材料である。CR 607及びCR 630もまた、PPGにより製造されている。CR 607及びCR 630の材料は、例えばフォトクロミック用として使用される。
ポリカーボネート製の眼鏡レンズのための製品の半製品は一般に、射出成形法によって金属型で製造される。この製造方法は、例えば欧州特許出願公開第0955147 A1号明細書に記載されている。
ミネラル眼鏡レンズは一般に、ブランクを機械で機械的に研削加工することにより製造される。
上述の半製品又は製品には、1種又は複数の仕上げ工程が施されることが多い。特に、機能層が片面又は両面に堆積される。このような機能層は、眼鏡装用者にとって有利であり、眼鏡レンズが、必要に応じてその上に機能層が堆積される母材又はキャリア材の特性と成形のみに純粋に基づいた場合には有していないような所定の特性を眼鏡レンズに付与する層である。反射防止コーティング、銀めっき、偏光、色付け、自己着色、その他の光学特性に加えて、このような有利な特性には、硬化、埃の付着の軽減、曇り防止等の機械的特性及び/又は電磁放射の遮断、電流伝導等の電気的特性、及び/又はその他の物理的又は化学的特性も含まれる。
その光学特性が、少なくとも部分的に、事前に選択可能であるように標準化されておらず、眼鏡レンズの寸法及び/又は配置に関して使用者に適合する方法で個別に計算、製造される、注文ごとの処方箋による眼鏡レンズ、すなわち、特に個人化された単焦点及び多焦点レンズ及び、特に可変焦点又は累進焦点レンズは、機械的な、特に変形及び/又は研削による方法を用いてその最終的な形状とされる。ここで、外側形状は丸、楕円、又は楕円、又は任意の実施形態を有していてもよく、後者の場合はいわゆるフリーフォームのことである。
半製品眼鏡レンズブランクの一方の表面は、完成した眼鏡レンズの最終的な表面を成す。反対の表面は、完成した眼鏡レンズの光学系がその眼鏡の装用者の眼科処方箋に対応するような方法で機械加工される。一般に、前面が完成した眼鏡レンズの最終的な前面を形成するようになされる。最終的な前面に比較的小さい機械加工を行ってもよいが、その曲率が変わることはない。特に、上述の種類の1つ又は複数の機能層を堆積させることが可能である。したがって、眼鏡レンズ半製品は、一方の面だけについて光学的意味における機械加工が完了しているレンズブランクである(Heinz Diepes、Rolf Blendowske“Optik und Technik der Brille”,Optische Fachveroeffentlichung GmbH,Heidelberg,2002,page 560参照)。後でもう一度明記するように、本発明は、球面又は回転対称非球面である前面と、眼鏡装用者の眼科処方箋に応じて機械加工されるべき後面を有する眼鏡レンズ半製品のみに関する。
本発明の範囲において、DIN規格EN ISO 13666:2012(ophthalmic optics−spectacle lenses vocabulary(眼科用光学−眼鏡レンズの用語))11.3項に基づき、眼鏡レンズの前面の呼称面屈折力値又は呼称曲率をベースカーブと呼ぶ。あるいは、ベースカーブという用語の代わりにベーシックカーブという用語も使用される。呼称面屈折力が明示されている場合は、測定中に仮定された屈折率を明示するべきである。適切な注意書きを付ければ、面屈折力値の代わりに呼称曲率又は呼称曲率半径を明示することも可能であろう。DIN EN ISO 13666:2012は、ベースカーブとしての呼び方に関して単焦点レンズの前面にのみ言及しているものの、以下においては、ベースカーブは概して、単焦点レンズの製造のためのみでなく、多焦点レンズの製造にも適した眼鏡レンズ半製品の回転対称前面の中心における呼称面屈折力値も指す。回転対称非球面の表面の場合、呼称曲率は頂点曲率に対応する。回転対称非球面の表面の場合、呼称曲率半径は頂点半径に対応する。
一般に、ベースカーブは1.53の標準屈折率に関して明示される。しかしながら、ベースカーブを明示するためにその他の屈折率を使用してもよい。
典型的に、眼鏡レンズ製造業者は、各々が個別のベースカーブを有する半製品の眼鏡レンズブランクのシリーズを製造する。この「ベースカーブシリーズ」は半製品のセットであり、呼称前面曲率と屈折力の値が段階的に増大する(例えば、+0.50D、+2.00D、+4.00D、等々)。
呼称面屈折力値又は呼称曲率は、ラベル表示の目的に使用され、呼称ベースカーブとも呼ばれる。実際の面屈折力値又は実際の曲率が計算に使用される。これは、実際のベーシックカーブとも呼ばれる。以下の説明の中では、明確に呼称値に言及していないかぎり、実値、すなわち、通常の製造及び測定誤差を考慮した、表面の実際に存在する面屈折力値、実際に存在する曲率、実際に存在する曲率半径に言及する。
ベースカーブシリーズの中のある半製品の前面は、後面の光学面を計算する際のスタート地点となり、それに従って、眼鏡装用者の処方箋に基づく最終的な眼鏡レンズが製造される。
あるベースカーブシリーズの半製品レンズブランクの前面は、原則として、例えば球面又は回転対称非球面等の回転対称面でも、例えばトーリック面又はその他の可変焦点面等の非回転対称面でもよい。後者はまた、いかなる対称特性も有さずに実施されてもよい。この場合、これらはフリーフォーム面と呼ばれる。本発明の範囲内では、回転対称、すなわち球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品だけが関わる。
例えば、異なる球面又は回転対称非球面の前面を有する半製品のセットから半製品レンズブランクを選択した後に、個々に要求される加入屈折力、処方された数値、及び、任意選択により、眼鏡装用者のその他の個別の要求事項を考慮して、後面を純粋に機械により機械加工することによって累進屈折力レンズ(progressive addition lens)(PAL)を製造してもよく、これは、例えば欧州特許第0857993 A2号明細書、国際公開第2004/019243 A1号パンフレット、又は欧州特許第2028527 B1号明細書に記載されている。後面は、点対称及び/又は軸対称ではないが、多焦点特性を有する。
あるシリーズ内の各ベースカーブは通常、半製品のセットの製造業者が推奨する複数の処方箋の作成に使用される。製造業者はいわゆるベースカーブ選択チャートを提供し、そこから、そのシリーズ内のそれぞれのベースカーブの使用が推奨される様々な処方箋が得られる。
典型的なベースカーブ選択チャートの一例は、特許文献の米国特許第6,948,816号明細書から得られる。同特許文献の図23A〜Cに示されるベースカーブシリーズは、5つのベースカーブで構成される。選択チャートは、非点収差を補正するための球面屈折力及び円柱屈折力に応じた所与の処方箋にしたがって製造業者が推奨するベースカーブを示している。示されている選択チャートは、光学的効果が遠用部分と近用部分とで異なる累進レンズ(PAL)に関する。一般に、同じ種類の選択チャートをあらゆる種類の眼鏡レンズ、例えば(球面及び/又はトーリック)単焦点レンズ、2焦点レンズ、非球面レンズ、及びPALにも使用される。
ベースカーブ選択チャートの他の2つの例は、欧州特許第2028527 B1号明細書の図2及び3から得られる。図2によるベースカーブシリーズは8つのベースカーブからなり、これらには「1」から「8」の番号が付与され、図3のベースカーブシリーズは14のベースカーブからなり、これらには「1」から「14」の番号が付与されている。図3によるベースカーブシリーズの14の球面ベースカーブの呼称屈折力は、以下のように段階的に増加する:0.75D〜8.50Dの間で、0.75;1.00;1.50;2.00;2.75;3.25;3.75;4.25;5.25;5.75;6.25;6.50;7.50;8.50。
欧州特許第2028527 B1号明細書から、一般的な傾向は、あるベースカーブシリーズの中の異なるベースカーブの数を限定して、金型の数、保管費用、及び保管に対する要求事項を削減、軽減することであることがわかる。したがって、標準的ベースカーブシリーズは最大で20のベースカーブ(欧州特許第2028527 B1号明細書、段落[0013]参照)、例えば10(欧州特許第0857993 A2号明細書:5ページ、38〜51行参照)、又は5つのベースカーブ(米国特許第6,948,816号明細書:図23A〜C)を含む。
上の2つの段落に記載されている文献はすべて、所定の母材で製作される眼鏡レンズのための一連のベースカーブのベースカーブを最適化するという主題を考慮している。おそらく、これらの文献の筆者は、大手の眼鏡レンズ製造業者での製造を想定している。
冒頭に記した国際公開第2004/019243 A1号パンフレットからわかるように、特に上述の個別の可変焦点眼鏡レンズの場合、数社の眼鏡レンズ製造業者によってだけでなく、近年、多くの市場で活発に業務展開している卸売業者、大規模な研究所、及びその他において局地的に製造できることが望ましい。
したがって、本発明の目的は、眼鏡レンズ半製品のセットと、眼鏡レンズの製造方法と、眼鏡レンズの製造方法における半製品のセットの使用と、眼鏡レンズの製造装置と、眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法を、この方法の方法ステップのすべてを実行するためプログラムコードによる対応のコンピュータプログラム及び、特に眼鏡レンズの局地的製造の要求事項に合わせて調整された半製品のセットを設計するためのこの方法の方法ステップのすべてを実行するためのプログラムコードによるコンピュータプログラムを記憶した、対応のコンピュータ読取可能記憶媒体と共に提供することからなる。
この目的は、特許請求項1において請求されている眼鏡レンズを製造するための半製品のセットと、特許請求項8において請求されている眼鏡レンズの製造方法と、特許請求項12において請求されている眼鏡レンズの製造方法における半製品のセットの使用と、特許請求項13において請求されている眼鏡レンズの製造装置と、特許請求項14において請求さている眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法により達成される。本発明の有利な構成及び発展形は、従属項の主題である。
本発明は、近い将来、欧州特許第0 857 993 A2号明細書と国際公開第2004/019243 A1号パンフレットからの教示の組合せに従って、各々の場合において、おそらくは異なる製造業者からの既製の球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品を得て、それぞれの使用者に合わせて調整された方法で後面の設計を計算し、又はこれが計算されるようにし、独国特許出願公開第195 38 274 A1号明細書に記載されている種類の機械によって、後面を計算に従って製造するような数多くの眼鏡レンズ製造拠点が展開されるとの仮定に基づく。
これらの製造拠点での製造機械には、眼鏡レンズを経済的に製造するために、ある程度の標準化が必要である。本発明は、機械加工されることになる眼鏡レンズ半製品の類型の数を全体的に削減するという考えに基づく。本発明の基本的概念は、限定された数の前面の(部分的な)幾何学形状の半製品を、正確に言えば、機械加工される眼鏡レンズの母材の屈折率に関係なく提供することにすぎない。これを使用すると、後面の機械加工が実行されている間にそれぞれの半製品を保持する受取ツールの数を減らすことができ、それは、同様の形状を有する半製品であれば同じツールで受け取ることができるからである。受取ツールの数を限定することにより、標準化を相応程度まで行うことが可能となる。
各々が、球面又は回転対称非球面の凸型であり、関連する形状寸法を有する少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面を有する眼鏡レンズ半製品のセットであって、
−第一の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、ペア単位で異なる類型の少なくとも3種類の類型が、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状である場合にはその対称中心で測定した時の、3.2D〜6.7Dの間であるその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含む眼鏡レンズ半製品のセットから、
本発明は、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型の少なくとも3種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有するようにし、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型の少なくとも3種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有するようにし、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じになるようにする。
言い換えれば、本発明による眼鏡レンズ半製品のセットは、球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の少なくとも3つのシリーズからなる。眼鏡レンズ半製品のシリーズは、そのそれぞれの母材に関してペア単位で異なる。母材は異なる平均屈折率を有する。標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dのその前面の実際の面屈折力値の範囲内で、各シリーズは、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を含み、その前面形状は幾分異なる実施形態を有する。標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dのその前面のこの実際の面屈折力値の範囲内で、これらの類型の少なくとも3つの前面形状は、少なくとも3類型のすべてについて、部分領域(好ましくは前面の対称中心を含む)(この部分領域は好ましくは、前面全体の40%超、より好ましくは50%超を含む)において同じである。
原則として、シリーズは、回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品と、球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の両方を含むことが可能であることは事実である。しかしながら、現実には、製造上の理由から、純粋に球面の前面を有する半製品のみを含むシリーズが利用されることが好ましい。あるいは、純粋に回転対称非球面の前面を有する半製品のみを含むシリーズを利用することも同様に可能である。
冒頭において提起した課題は、そのような眼鏡レンズ半製品のセットにより完全に解決される。
本発明の1つの構成において、第一の平均屈折率と第二の平均屈折率と第三の平均屈折率がペア単位で少なくとも0.04だけ異なるようになされる。これによって、本発明によれば、低屈折率の母材から製作される眼鏡レンズ半製品のシリーズと高屈折率の母材から製作される眼鏡レンズ半製品のシリーズの両方が確実に構成され、その結果、提供可能範囲が決まり、おそらくは拡張される。
少なくとも3つの母材の平均屈折率が、少なくとも0.05だけ、さらには少なくとも0.06だけ異なるようになされる。少なくとも3つの母材の平均屈折率の差が大きいほど、機械加工中に眼鏡レンズ半製品の前面を受けるのに必要な受取ツールを標準化する可能性が大きくなる。
特に有利な変化形は、CR 39である眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材、MR 8である眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材、及びMR 7である眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材からなる。代替的な変化形は、CR 39である眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材、MR 8である眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材、及びMR 174である眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材からなる。また別の有利な変化形は、CR 39である眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材、ポリカーボネートである眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材、及びMR 8である眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材からなる。最後に、別の好ましい変化形において、眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材はCR 39であり、眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材はポリカーボネートであり、眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材はMR 174である。
製造の観点から、すべての眼鏡レンズ半製品のシリーズについての異なる前面幾何学形状の全体的な数をできるだけ少なくすることが有利である。標準屈折率1.53に関する、例えば0.5D〜9.6Dの間のその前面の実際の面屈折力値でのベースカーブ提供範囲に対して5種類の半製品の類型が望ましく、上記の3類型という最小数は、上記の3.2D〜6.7Dの間の範囲に含まれる。光学的な観点からは、異なる前面幾何学形状の全体数は多い方が好都合である。標準屈折率1.53に関して、例えば0.5D〜9.6Dの間のその前面の実際の面屈折力値でのベースカーブ提供範囲に対して、約20種類の半製品の類型が望ましく、約10〜13種類が3.2D〜6.7Dの間の上記の範囲に含まれる。
妥協案として、眼鏡レンズ半製品のセットが提供され、その中では、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第一のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである。
標準屈折率1.53に関して、例えば0.5D〜9.6Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する半製品の提供範囲をカバーするためには、その結果、約13種類の半製品の類型ができる。
できるだけ広い提供範囲にわたり、完成した眼鏡レンズの光学品質が確実に均一となるようにするためには、シリーズ内の半製品の階級付けをできるだけ均一に設計することが有利である。一般に、これは特定の境界内でのみ可能である。したがって、特に有利な実施形態において、本発明は、第一のシリーズと第二のシリーズと第三のシリーズの各々が、眼鏡レンズ半製品の類型を有し、その前面が同一の形状寸法の形状特徴を有するようにし、また、それぞれにおいて、同一の形状寸法のうちの1つ又はその逆数と、そのそれぞれにおける次に大きい同一の形状寸法又はその逆数との差を、20%、好ましくは10%、最も好ましくは5%のばらつき以内で同じ大きさにする。
形状特徴を選択するためには多くの可能性がある。例えば、少なくとも1つの形状特徴は、
a)面屈折力及び、特に実際の面屈折力、及び/又は
b)曲率及び、特に実際の曲率、及び/又は
c)曲率半径及び、特に実際の曲率半径、及び/又は
d)DIN ISO 10110において定義される円錐部分と補正多項式面との和からなる非球面部分の、次式、
(ここで、式(1)中、zはサジタルデプス、rは入射高さ、ρは頂点曲率、kは円錐部分の円錐定数、A4、A6、...は補正多項式の係数である)
による補正多項式の円錐部分の頂点曲率(ρ)及び/又は円錐部分の円錐定数(k)及び/又は係数(A4、A6、A8、...)のうちの1つとすることができる。
上述のような、シリーズ内での半製品の階級付けを均等にするアイディアから引き続き、本発明の1つの変化形は、少なくとも1つの形状特徴を実際の面屈折力にし、関連する形状寸法を、標準屈折率1.53に関する、関連する実際の面屈折力にして、第一のシリーズと第二のシリーズと第三のシリーズの各々が眼鏡レンズ半製品の類型を有し、その前面が標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値の実際の面屈折力を有するようにし、また、標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値のうちの1つと、標準屈折率1.53に関する次に大きい同一の実際の面屈折力との間の差が2.5D未満となるようにする。2.5Dの限度は、上述の納品範囲に対する最終製品の十分な光学品質に対する要求を説明しており、これは、本発明による類型分類に関して、それ以外の眼鏡レンズ半製品が使用されないとの前提に基づく。
一般に、最終製品の品質は、上述の差の数値が2.3D未満、より好ましくは1.5D未満、さらに好ましくは1.0D未満であれば、向上させることができる。約0.8Dの最大値は、標準屈折率1.53に関して例えば0.5D〜9.6Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有する半製品の提供範囲をカバーするために13種類の半製品の類型を使用した場合に有利であることがわかった。
すでに上で説明したように、あるシリーズ内の所望の数の種類の眼鏡レンズ半製品の類型は、製造上の要求事項と光学的な要求事項との間の妥協案を構成する。更に、提供範囲は、眼鏡レンズ半製品の類型の種類の総数について決定される。
上記の境界条件を等しく考慮して、本発明者によって理想的であると考えられる眼鏡レンズ半製品のセットは、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第一のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型が、標準屈折率1.53に関して0.5D〜9.60Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型が、標準屈折率1.53に関して0.5D〜9.60Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型が、標準屈折率1.53に関して0.5D〜9.60Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである
ように構成される。
本発明による、眼鏡レンズの製造方法は、
a)各々が後面と、球面又は回転対称非球面の凸型で、関連する形状寸法を有する少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面と、を有する眼鏡レンズ半製品のセットであって、
−平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、ペア単位で異なる少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状の場合にはその対称中心で測定した時の、3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含み、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである
ような眼鏡レンズ半製品のセットを提供するステップと
b)提供された眼鏡レンズ半製品のセットから眼鏡レンズ半製品の1つを受け取るステップと、
c)受け取った眼鏡レンズ半製品の裏面を機械加工するステップと、
を含む。
言い換えれば、提供された眼鏡及び半製品のセットは、球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の少なくとも3つのシリーズからなる。眼鏡レンズ半製品のシリーズは、そのそれぞれの母材に関してペア単位で異なる。母材は、異なる平均屈折率を有する。その前面の実際の面屈折力値の範囲が標準的屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間であることにより、シリーズの各々は、少なくとも3種類のペア単位で異なる眼鏡レンズ半製品の類型を含み、その前面形状は幾分異なる実施形態を有する。その前面の、標準屈折率1.53に関する3.2D〜6.7Dの間というこの実際の面屈折力値範囲内で、これらの少なくとも3つの類型の前面形状は、少なくとも3つのシリーズのすべてについて、部分領域(この部分領域は好ましくは前面全体の40%超、より好ましくは50%超を含む)で、又はその前面全体で同じである。
本発明による眼鏡レンズの製造方法において、方法ステップa)で、眼鏡レンズ半製品のセットの上述の実施形態の変化形のすべてを提供することが当然可能である。ここで明確に、その特性に関する上記の説明を参照する。
提供された半製品にさらに機械加工又は仕上げ加工を行うには通常、方法ステップステップb)にしたがって、眼鏡レンズ半製品を受容手段又はホルダ上に再現可能に固定又は締結する必要がある。本発明の範囲内で、この工程を、受け取るステップと呼ぶ。受け取るステップは、保護膜を接触対象の前面に堆積させることを含んでいてもよい。
半製品を受け取るステップにより、眼鏡レンズ半製品とそのホルダ(その上でそれが受け取られる)との間で所定の位置割当が行われる。すると、キャリアと受け取られた眼鏡レンズ半製品との「複合体」が得られ、これを例えば、機械加工用機構、例えばフライス盤、旋盤、及び/又は研磨機の上に所定の高精度、高精密な方法で受け取られるようにすることができる。したがって、製造工程の進行又は機械加工の進行をモニタするためのモニタリングステーションにおいても、高い精度で受け取ることが可能となる。通常、眼鏡レンズ半製品は、多くの製造ステップ又は機械加工ステップ中にその受け取られた時の状態のままとされる。
例えば、眼鏡レンズ半製品は、接着式及び/又は圧力嵌めによって受け取られるようにすることができる。これに関連して、眼鏡レンズ半製品又は半製品を受け取るための様々な方法が、例えば国際公開第2005/065886 A1号パンフレットからわかる。眼鏡レンズ半製品を適当な受容手段の中に、融点の低い金属合金によって接着式に受け取ることも依然として慣例的に行われている。この工程はまた、当業者から、ブロックピースの塗布とも呼ばれる。換言すれば、低融点の金属合金は、眼鏡レンズ半製品、特にその前面と、ホルダとの間の「接着剤」としての役割を果たす。さらに、眼鏡レンズを製造するための眼鏡レンズ半製品を有機接着剤によって適切な受容手段の中に固定し、又は受けられるようにすることも知られている。
さらに、眼鏡レンズを製造するための眼鏡レンズ半製品を圧力嵌めによって適切な受容手段の中に固定することが知られている。圧力嵌めによる受取は特に、眼鏡レンズ半製品と受容手段としての役割を果たすキャリア又はホルダとの間に空洞を少なくとも部分的に空にすることを含んでいてもよい。このようにして、負圧、特に真空を発生させることができ、その結果、加えられる圧力差により、眼鏡レンズ半製品はしっかりと確実に受容手段に保持される。対応する固定された眼鏡レンズ半製品の対応する座部が受容手段に十分に密着するかぎり、このような受取状態は、少なくとも特定の長さの時間にわたって確実に維持できる。
負圧をかけることによって眼鏡レンズ半製品を受け取るステップには、欧州特許第0 857 993 A2号明細書に記載されているように、追加の媒体(金属合金、接着剤、又はその他)が不要となるという実質的な利点がある。したがって、費用が削減される可能性があり、有毒でありうる物質の処分も不要である。
しかしながら、空気圧式の受容手段(真空ブロッキングと呼ばれることもある)は一般に、それ以外の箇所での費用の増大の原因となる。これは、例えば眼鏡レンズ半製品をキャリア上に確実にしっかりと固定することは、可能であれば、眼鏡レンズ半製品の接触面(通常、前面)とキャリア上のその対応する座部との間にわずかな所定のギャップだけが形成された場合のみ実現できるからである。言い換えれば、これは、キャリアの座部が、可能であれば、眼鏡レンズ半製品の接触面形状、特に接触面の曲率と整合するべきであることを意味する。それゆえ、例えば、キャリアの座部の球面又は回転対称非球面の表面眼鏡レンズ半製品の球面又は回転対称の接触面と一致することが好ましい。これは、球面又は回転対称非球面が相互に一致する曲率半径を含む場合を含んでいてもよく、これは例えば、欧州特許第0 857 993 A2号明細書、米国特許第3,134,208号明細書、米国特許第4,089,102号明細書、独国特許出願公開第39 24 078 A1号明細書、又は独国特許出願公開第25 31 134 A1号明細書に記載されている。
一般に、受容手段を、受け取られる半製品の前面全体にわたって形状相補的に当接させる必要はない。これは、接着による受取、特に受容手段と半製品の前面との下に塗布された低融点の金属合金又は受容手段と半製品の前面との間に塗布された有機接着剤によるブロッキングの場合と、圧力嵌めによる受取、特に受容手段と半製品の前面との間にかかる負圧による真空ブロッキングの場合のどちらにも当てはまる。
したがって、本発明の特定の構成において、ステップb)で、提供された眼鏡レンズ半製品のセットから眼鏡レンズ半製品を受け取るステップが、前面の形状の1部分のみと形状の点で相補的な実施形態を有する受取装置によって実行されるようになされる。この部分は、受け取られた眼鏡レンズ半製品の前面の少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%を含んでいてもよい。これまでにわかっている点として、この部分が受け取られた眼鏡レンズ半製品の前面の40%〜80%、好ましくは50%〜80%、より好ましくは60〜80%、最も好ましくは70%〜80%の間を含む場合に十分である。
原則として、接着ブロッキングという従来の接着の種類と比較して、形状相補的に事前に成形された真空ブロッキンクのための受取装置は、費用の増大を導くかもしれない。換言すれば、眼鏡レンズ半製品の各接触面の形状について、座部又はキャリアの形態での、特別に調整された受取装置を提供することが、すなわち受取時の機能的信頼性の点から、望ましい。より端的に言えば、受け取る必要のある上記の種類の各眼鏡レンズ半製品の類型のための座部、又は接触面のある曲率半径に従って適切に調整されたキャリアを常に利用可能にしておく必要があり、前記座部又はキャリアは、それに合わせて調整された受取半径を有する。接着ブロッキングに関して、形状相補的実施形態を有する受取装置は特に、必須ではないが、少なくとも部分的には極めて好ましい。
受け取られる半製品の前面と形状相補的に事前に調整された輪郭を有する、眼鏡レンズ半製品を圧力嵌めによる受け取るための受取装置の代わりに、本発明を実現することを目的として、受け取られる半製品の前面に形状相補的に事前調整可能な輪郭を有する受取装置を使用することも可能である。例えば、これは軸方向に移動可能なリング状の当接要素によって実行でき、これは例えば欧州特許第0 857 993 A2号明細書又は特開3121763 A号公報に記載されている。
眼鏡レンズ半製品の前面を広範囲で形状嵌合式方法で受け取ることは、空気圧による受取装置の場合は必須ではない。しかしながら、これまでにわかった点として、受容手段と眼鏡レンズ半製品との間の保持力は、欧州特許第0 857 993 A2号明細書、米国特許第3,134,208号明細書、米国特許第4,089,102号明細書、独国特許第39 24 078 A1号明細書、独国特許第25 31 134 A1号明細書、及び特開3121763 A号公報の文献に記載されている、保持されるべき半製品の前面の広い部分と形状相補的な方法で実現されている当接面を有する受取装置のほうが、眼鏡レンズ半製品のための、周囲に密着する外側の概してリング状の当接面のみを有する単純な吸引キャリアの場合よりはるかに大きい。
吸引キャリアがそのために実現されている場合、負圧を生成した後に、電力を使用することなく、眼鏡レンズ半製品を安定に保持することが特に好ましい。言い換えれば、これは、眼鏡レンズ半製品を吸引キャリア上に、いったんそれが受け取られた後にしっかりと保持するために、別のエネルギーをかける必要がないことを意味する。このために、適当な構造的手段、特に、受取座部の上及び吸引キャリア自体の上に密着させるのに特に適した手段が提供されてもよい。眼鏡レンズ半製品が受取座部、例えば、周囲の密着面に十分にしっかりと当接するかぎり、及び、負圧を生成するために接触可能な、吸引キャリア上の負圧ラインが外部から十分に密閉されているかぎり、眼鏡レンズ半製品はまた、吸引キャリア上に比較的長い時間にわたり、しっかりとした確実な所定の方法で保持できる。換言すれば、独立し、安定した、吸引キャリアと眼鏡レンズ半製品からなる複合体を形成することができる。例えば、吸引キャリアと眼鏡レンズ半製品の複合体を製造設備の中で移動させ、利用でき、負圧ライン又はその他の設置が不要である。
例えば、受容座部と眼鏡レンズ半製品との間の負圧は、眼鏡レンズ半製品の接触面と受取座部との間の流体(特に空気)でもともと満たされていた空間を空にすることによって生成できる。これに関して本開示が真空に言及するかぎり、これは必ずしも絶対真空が生成されることを意味するとはかぎらない。むしろ、通常、周囲圧力と、眼鏡レンズ半製品の接触面と受取座部との間の「真空空間」の中の圧力との間で所定の負圧又は所定の圧力差を生成すれば十分である。
例えば、機械加工ステップc)は、研削工程及び/又はフライス加工及び/又は変形工程を含んでいてもよい。さらに、受け取られたられた眼鏡レンズ半製品の機械加工は、研磨工程を含んでいてもよい。機械加工は、標準化された裏面の賦形製造又は、後の使用者のために個別に計算された裏面の表面設計の賦形製造で構成できる。特に、上記の何れの場合にも、処方箋の数値と、例えば眼鏡検査士又は眼科医が設定した、欧州特許第0 857 993 A2号明細書に記載されているような種類の個別の使用者情報が含められてもよい。
上述の賦形工程に加えて、又はその代わりに、機械加工ステップはまた、本明細書の導入部分に記載したような種類の機能層の堆積を含んでいてもよい。
眼鏡レンズ半製品の機械加工中に、少なくともある期間にわたり、好ましくはほとんど永久的にこれをその受取状態のままにすることができる。特に、眼鏡レンズ半製品は、受け取られた状態で各種の機械加工ステーション間で移動できる。さらに、眼鏡レンズ半製品を受け取られた状態のまま、少なくとも1つのモニタステーション又は試験ステーションへと送給して、例えば、機械加工の進行をモニタしてもよい。さらに、このようにすれば品質管理も容易化できる。
本発明はさらに、特に上述の種類の眼鏡レンズの製造方法における、特に上述の種類の眼鏡レンズ半製品のセットの使用の提案からなり、眼鏡レンズ半製品の各々は、球面又は回転対称非球面の凸型で、関連する形状寸法の少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面を有し、
−第一の平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、ペア単位で異なる眼鏡レンズ半製品の類型を有し、ペア単位で異なる少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状の場合にはその対称中心で測定した時の、3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含み、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである。
冒頭で提起した本発明の課題は、眼鏡レンズの製造方法における眼鏡レンズ半製品のセットの上述の使用により完全に解決される。
さらに、本発明は、特に上述の種類の方法を実行するための、眼鏡レンズの製造装置の提供からなり、
a)特に上述の種類の眼鏡レンズ半製品のセットを提供する提供装置であって、眼鏡レンズ半製品の各々は、後面と、球面又は回転対称非球面の凸型で、関連する形状寸法の少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面と、を有し、
−第一の平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、ペア単位で異なる少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状の場合にはその対称中心で測定した時の、3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含み、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである
ような提供装置と、
b)提供された眼鏡レンズ半製品のセットから眼鏡レンズ半製品の1つを受け取る受取装置と、
c)受け取った眼鏡レンズ半製品の後面を機械加工する機械加工装置と、
を含む。
冒頭において提起された本発明の課題は、眼鏡レンズを製造するための本発明による上述の装置により完全に解決される。
例えば、提供装置はストアとすることができ、これはセットの中の異なる半製品を保管し、そこに対して、そのセットの眼鏡レンズ半製品の1つが、その前面で受け取られ、後面が機械加工されるようにそこに要求できる。例えば、提供装置はまた、テータベースとすることもでき、これが個別の半製品の類型に関する情報を供給し、また、そこからこれを得ることができ、そのセットの眼鏡レンズ半製品の1つが、その前面において受け取られ、後面が機械加工されるように要求できる。
上ですでに説明したように、受取装置は、眼鏡レンズ半製品との接着及び/又は圧力嵌め及び/又は嵌合接続を成立させてもよい。受取装置は、受取装置と、眼鏡レンズ半製品の前面との間の、受取装置と半製品前面との間に導入された低融点金属合金によって、又は受取装置と半製品前面との間に塗布された有機接着剤によって粘着接続を確立できるブロッキング装置として構成されてもよい。受取装置はまた、負圧吸引装置又は真空吸引装置として実施されてもよく、これは、受取装置と半製品前面との間の空洞内の負圧によって圧力嵌め接続を成立させることができる。
機械加工装置は、1つ又は複数のフライス加工ツール、及び/又は1つ又は複数の旋盤ツール、及び/又は1つ又は複数の研削ツール、及び/又は1つ又は複数の研磨ツールを含んでいてもよい。これに加えて、又はその代わりに、機械加工装置は、機能層を堆積させるための1つ又は複数の成膜装置を含んでいてもよい。1つ又は複数の機能層の湿式化学堆積のために、例えば浸漬コーティング装置又はスピンオン又はスピンコーティング装置等の1つ又は複数の成膜装置があってもよい。さらに、1つ又は複数の真空コーティング装置、例えば真空蒸着装置、特に蒸発装置、スパッタリング装置又は化学真空反応装置が利用されてもよい。
最後に、本発明は、眼鏡レンズ半製品のセット、特に上述の種類のうちの1つによる半製品のセットを設計するためのコンピュータ実装方法からなり、眼鏡レンズ半製品の各々は、球面又は回転対称非球面の凸形状であり、関連する形状寸法を有する少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面を有し、眼鏡レンズ半製品のセットは、第一の平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズと、第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズを含み、第一のシリーズは、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、第二のシリーズは、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する。
本発明によるコンピュータ実装方法は以下のステップを特徴とする:
a)第一のシリーズの異なる類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と第二のシリーズの異なる類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法とを均等化するステップ。
言い換えれば、形状寸法を均等化するステップは、眼鏡レンズ半製品のセットが、球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の少なくとも2つのシリーズからなり、眼鏡レンズ半製品のシリーズはそれぞれの母材の点で異なり、母材は異なる平均屈折率を有し、シリーズの各々が、眼鏡レンズ半製品の少なくとも2種類のペア単位で異なる類型を含み、その前面の形状は幾分異なる実施形態を有し、これらの少なくとも2つの類型の前面形状が、少なくとも2つのシリーズのすべてについて、部分領域(これは前面全体の好ましくは40%超、より好ましくは50%超を含む)又は前面全体で同じであるように、形状寸法を対応させることを意味すると理解される。
冒頭において提起した本発明の課題は、眼鏡レンズ半製品のセットを設計するための本発明による上述のコンピュータ実装方法によって完全に解決される。
本発明によるコンピュータ実装方法の特に有利な実施形態は、少なくとも1つの形態特徴が実際の面屈折力であることと、関連する形状寸法が、標準屈折率1.53に関する、関連する実際の面屈折力値であり、眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズと第二のシリーズの各々が眼鏡レンズ半製品の類型を有し、その前面は、標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値の実際の面屈折力を有し、第一のシリーズの異なる類型の前面の実際の面屈折力値と第二のシリーズの異なる類型の前面の実際の面屈折力値との均等化が、標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値のうちの1つと標準屈折率1.53に関する次に大きい同一の実際の面屈折力値との差が所定の閾値より小さく、及び/又は一定に事前に定められた差の値と、20%、好ましくは15%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%のばらつき範囲内で同じとなるような方法で実行されることからなる。
上の説明によれば、この設計ルールの利点は、ほとんど均一な階級付けが、あるシリーズの半製品の間で生成され、それによって提供範囲全体にわたり、完成した眼鏡レンズの光学特性に関して略均一な品質分布が可能になるという事実にある。
本発明によれば、眼鏡レンズを製造するための半製品セットを設計する上述の方法と、その方法ステップを実行するためのその変化形は、コンピュータプログラムがコンピュータに読み込まれた、及び/又はコンピュータ上で実行された場合に、プログラムコードによるコンピュータブログラムの形態で存在してもよい。
特に、本発明は、眼鏡レンズを製造するための半製品のセットを設計する上述の方法と、その方法ステップを実行するためのその変化形は、コンピュータプログラムがコンピュータを読み込む、及び/又はコンピュータ上で実行するためにプログラムコードによるコンピュータブログラムを記憶したコンピュータ読取可能記憶媒体の形態で存在するようにする。
本発明の他の特徴と利点は、図面を参照しながらの複数の好ましい例示的実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろう。
眼鏡レンズを製造するための2つの眼鏡レンズ半製品の簡略化した側面略図を示す。
眼鏡レンズを製造するための別の眼鏡レンズ半製品と眼鏡レンズ半製品に合わせて調整される受取座部を有する受容手段の簡略化した側面略図を示す。
眼鏡レンズ半製品と、その眼鏡レンズ半製品の対応する接触面に合わせて調整された受取座部を有する接触部との組合せの簡略化した側面略図を示す。
眼鏡レンズ半製品のセットとキャリア又は接触部セットの考えうる構成とペアを示すための、ごく簡略化した概略図表を示す。
平均屈折率1.6のそれぞれの眼鏡レンズ半製品の類型の母材からなる眼鏡レンズ半製品の前面の曲率半径の形態での標準化された物理的形状を各々が有する眼鏡レンズ半製品の類型を、眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて生成可能な光学的補正の所定の領域に割り当てることを説明する例示的略図を示す。
平均屈折率1.67のそれぞれの眼鏡レンズ半製品の類型の母材からなる眼鏡レンズ半製品の前面の曲率半径の形態での標準化された物理的形状を各々が有する眼鏡レンズ半製品の類型を、眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて生成可能な光学的補正の所定の領域に割り当てることを説明する例示的略図を示す。
曲率半径が標準屈折率1.53に関する実際の面屈折力に変換されている、図7による割り当てを示す。
曲率半径が標準屈折率1.53に関する実際の面屈折力に変換されている、図8による割り当てを示す。
眼鏡レンズを製造するための設備又はシステムの、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
眼鏡レンズの製造方法の構成の、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
図10に基づいて示される方法に基づく、眼鏡レンズの製造方法の代替的構成の、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
図10に基づいて示される眼鏡レンズの製造方法の方法ステップの考えうる部分的ステップを説明するための、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
図1は、本発明の範囲内で使用される、眼鏡レンズを製造するための眼鏡レンズ半製品の考えうる設計を、2つの側面図に基づいて、ごく簡略的に示す。10で示される眼鏡レンズ半製品は、いわゆるプラスレンズを製造するための例示的な方法で使用されてもよい。12で示される眼鏡レンズ半製品は、いわゆるマイナスレンズを製造するための例示的な方法において使用されてもよい。
この例示的な実施形態において、眼鏡レンズ半製品10、12は、回転軸14の周囲での回転対称の実施形態を有する。さらに、眼鏡レンズ半製品10、12は、前面16を有する。前面16はすでに完成している。後の眼鏡装用者の要求事項に合わせて光学的効果又は光学特性を変化させるための曲率の変更は、眼鏡レンズ半製品10、12の前面16の反対にある後面18においてのみ行われる。通常、前面16は球面である。回転対称非球面の前面もまた、本発明の範囲内で認められる。それぞれの前面16は、特定の曲率を有し、この例示的実施形態において、曲率半径20によって特定されている。
眼鏡レンズ半製品10から製造可能なプラスレンズは一般に、凸型の前面16を有し、その曲率は、後面18の凹型曲率より大きい。眼鏡レンズ半製品12から製造可能なマイナスレンズは一般に、その凸型の前面16上で、凹型後面18の曲率より小さい。眼鏡レンズ半製品10、12は、この例示的実施形態において、有機材料(プラスチック)から製作される。ミネラルガラス又はその他の無機材料で製作された眼鏡レンズ半製品もまた使用可能である。例えば有機眼鏡レンズの既知の材料には、商品名CR 39、MR 8、MR 7、CR 330、及びMR 174のものが含まれる。その他の有機及びミネラルレンズのためのその他の材料は、本明細書の導入部分に記載されている。しかしながら、本明細書の導入部分に示されている表1は、多数の材料の中の一部のみを含んでいる。
前面16と後面18に加えて、眼鏡レンズ半製品10、12は、縁面22を有し、これは通常、円柱面として具現化される。したがって、これはしばしば、円柱縁面とも呼ばれる。当然のことながら、図1に基づいて示されている眼鏡レンズ半製品10、12の構成は、単に例示的な性格のものである。一般に、縁面22はあらゆる形態の円柱面として設計できる。
上で詳細に説明したように、いわゆる半製品、すなわちブランク10、12は、前面16、18が機械加工に関して完成しており、後面16、18にはその後、後の眼鏡装用者の光学的要求事項にさらに合わせて調整するために賦形のための機械加工が行われ、適当な方法で機械加工装置の中に受け取られることができるように受容手段の中にブロックされ、又は固定される。
概略的な、ごく簡略化した側面図において、図2は、眼鏡レンズ半製品10を受けるように具現化された受取装置34を示している。この例において、受取装置34は、吸引キャリア又は真空キャリアとして具現化される。受取装置34は、眼鏡レンズ半製品10を所定の接触面で受けるように具現化される。例えば、接触面は前面16全体とすることができる。図2に示されるケースでは、接触面は前面の中央部分17だけを含み、これは眼鏡レンズ半製品10の回転軸又は対称軸14が前面16を通る貫通点15に関して点対称である。
眼鏡レンズ半製品10を受取装置34の上に受け取る前に、多くの場合、保護膜が接触面に堆積される。これは、受け取られている時、及び後の機械加工中に固定されている時に、前面16の損傷を回避できる。図2において、保護膜は参照符号19で特定される。
眼鏡レンズ半製品10を受取装置34の上に受ける、又は固定する工程は、特に低融点の金属合金を接続媒体として使用する時、又は吸引又は真空キャリアを使用する時にブロッキングと呼ばれる。受取装置34とその上に受け取られた眼鏡レンズ半製品10の複合体が、眼鏡レンズ半製品10のブロック状態としてできる。この複合体により、確実な取扱いと、特に、その後の機械加工ステップのための眼鏡レンズ半製品10の正確な受取が可能となる。
この例示的実施形態において、受取装置34はシャフト36を含み、これは機械加工用機械、試験機械、又は、眼鏡レンズを製造するための設備の同様の装置の中に受取装置34を受けるように具現化される。さらに、図の構成において、受取装置34は接触部38を含み、これは、眼鏡レンズ半製品10の接触面17又は前面16を受けるように具現化される。
この例において、接触部38は受取凹部を有し、これを以下、受取座部40と呼ぶ。座部42は、特に眼鏡レンズ半製品10と対面する端において、接触部38上で受けられる。受け取られた状態において、眼鏡レンズ半製品10の前面16が接触部38の受取座部40と当接することは絶対的に必須といすわけではない。しかしながら、前面16上のシーリングリング42の密着当接が望ましい。このようにすると、受取座部40と前面16との間に空洞44が発生するかもれず、前記空洞内に負圧又は真空が生成される。
空洞44がシーリングリング42上の眼鏡レンズ半製品10の当接によって十分に密閉されるかぎり、眼鏡レンズ半製品10は、純粋に空洞44内の負圧のみによって接触部38に確実に保持できる。このようにして、接触部38で眼鏡レンズ半製品10が圧力嵌めにより確実に受け取られる。眼鏡レンズ半製品10を接着によって接触部38に接続するための既知の方法と比較して、これには様々な利点がある。特に、接触部38と眼鏡レンズ半製品10の間の接着手段の提供、取扱い、及び処分を回避できる。
チャンバとも呼ばれてもよい空洞44は、空洞44内に負圧又は真空を発生させることを目的とした、ライン48によってポンプ52に接続可能である。このポンプ52は、真空ポンプと呼ぶことができる。眼鏡レンズ半製品10がシーリングリング42に十分に密接に当接したときに、空洞44から空気をポンプ52によって吸引できる。好ましくは、ライン48は密閉式にブロックできる。このために、例えばバルブ50を設けることができ、これは図2においては記号でのみ示されている。好ましくは、ライン48は、キャリア34をポンプ52から取り外せるような方法でブロックできる。空洞44が十分に密閉されるかぎり、眼鏡レンズ半製品10は、接触部38に独立して、永久的に保持できる。特に、締り嵌めを確実にするための永久的又は散発的なエネルギー供給が不要となる。反対に、眼鏡レンズ半製品10は、例えばライン48によってもたらされる圧力平衡化により、接触部38から容易に取り外すことができる。
接触部38の上に眼鏡レンズ半製品10を再現可能かつ動作可能に確実に受け取るようにするために、前面16と受取座部40との間でできるだけ画然としたギャップを生成することが有利であり、前記ギャップは、ブロックされた状態で空洞44を画定する。この理由より、少なくとも接触面17の領域において、受取座部40が前面16の形状に合わせて調整された形状を有していれば有利である。特に、受取座部40と前面16が実質的に曲率又は曲率半径を有していれば有利であろう。ギャップ、すなわち空洞44は、適当なオフセットにより得られる。特に、適当な受取座部40又は適当な接触部38が前面16の考えうるすべての形状又は設計のためにいつでも利用可能であれば好ましい。
これに関連して、図3、4、及び5は、半製品10−1、10−2、10−3と、その前面16−1、16−2、16−3と適合するようにされた、図2に示される種類の受取装置34−1、34−2、34−3の接触部38−1、38−2、38−3との各種のペアを示している。接触部38−1、38−2、38−3は、くぼみ又は受取座部40−1、40−2、40−3を有し、これらは適当な方法で前面16−1、16−2、16−3の設計に合わせて調整される。特に、受取座部40−1、40−2、40−3と前面16−1、16−2、16−3は、実施質的に対応する曲率半径を有していてもよい。これは、眼鏡レンズ半製品10−1、10−2、10−3の確実な固定をもたらすことができる。
しかしながら、設計の異なる前面16−1、16−2、16−3の数が増えるにつれ、適切に調整された接触部38−1、38−2、38−3の必要性も相応に高まるであろう。それゆえ、眼鏡レンズ半製品10、12の不均一性又は多様性が、その前面設計に関して増大すると、適切な接触部38又はそれと共に提供される受取装置34を提供するための費用も増す。
図のケースのように、図3、4、及び5の接触部38−1、38−2、38−3の各々はまた、独立したキャリア34−1、34−2、34−3の構成要素であってもよく、図2も参照されたい。しかしながら、反対に、接触部38−1、38−2、38−3をアダプタとして具現化し、したがって、必要に応じてこれらを対応するキャリア34に固定することも考えられる。
眼鏡レンズ半製品を、その裏面が機械加工される時に確実に固定するために、受取装置を眼鏡レンズ半製品の前面に合わせる必要があるという事実は、眼鏡レンズ半製品10を受けるための受取装置として真空ブロッカ34を利用する、上で詳しく述べたケースにのみ当てはまるのでなく、一般に当てはまる。しかしながら、特定のレンズ、特に可変焦点レンズ及び同様に複雑なレンズを製造するための半製品の供給が非常に不均一であることを考えると、これらの眼鏡レンズ半製品を保持できる受取装置を保管できる眼鏡レンズ製造業者は僅かにすぎない。
したがって、本発明は、前面設計、特に眼鏡レンズ半製品10、12の前面の接触面の曲率半径を汎用的に規定し、その結果、異なる接触面の幾何学形状の数を管理可能な程度にすることを提案する。このような概念は、図6において、チャート状の表示に基づいて示されている。図6は、眼鏡レンズ半製品の類型、したがって、対応する受取装置の類型を、物理的形状特徴の汎用的定義又は汎用的標準化、特に眼鏡レンズ半製品10、12の球面の前面の接触面についての曲率半径の汎用的定義に割り当てたものを示している。これは再び、前面全体又は前面の一部のみが接触面としての役割を果たしてよいことを再び明確に明示する。球面形状の代わりに、前面はまた、回転対称非球面の実施形態を有することもできる。さらに、これはある眼鏡レンズ半製品の類型がその形状特徴の形状寸法によって決定されることを明らかにしている。これは、この例示的実施形態において、ある眼鏡レンズ半製品の類型が、その球面の前面の半径の寸法により定義されることを意味する。
例示的な割当表は全体が60で示されている。62で示されるコラムは、単に概略的に、曲率半径又はこれと同様の物理的形状特徴の規定値を示し、これらは行の番号に従ってR1〜R20で示される。いわば、コラム62で定義される半径R1〜R20は、あるセットの眼鏡レンズ半製品の類型を定義する時に適当な代表例を選択できる最大数を表す。簡略化のために、それぞれの半径R1〜R20の対応する値が、表62において上から下に、すなわち行の番号と共に増えると仮定している。
コラム62に従って各半径R1〜R20について、対応する接触部38又は接触部38と共に提供される受取装置34が提供されることが好ましく、その接触部の受取座部40は曲率半径R1〜R20の接触面を受け取るように設計されており、図2〜図5も参照されたい。割当表60において、64で示されるコラムは、それに対応する受取装置34を示す。
半径R1〜R20の汎用的定義62が、眼鏡レンズ半製品の前面幾何学形状を設計する際に「入力可変値」として使用できるようになるかぎり、自動的に、得られる半製品10、12は確実にブロックされ、所望の通りに機械加工される。
図6において、66−1、66−2、66−3で示されるコラムは、半径R1〜R20の汎用的規約又は定義に従って選択された眼鏡レンズ半製品10、12の異なるシリーズを示す。したがって、各シリーズは、個別の眼鏡レンズ半製品の前面の曲率半径によって設定される多数の眼鏡レンズ半製品の類型を含む。
汎用的定義62に従って事前に規定された異なる半径R1〜R20の数は、単に説明のために例示的に選択されているにすぎない。一般に、汎用的定義62は、例えば5〜25種類の半径を含むと考えられる。特に汎用的定義62は、10〜20種類の半径を含んでいてもよい。
異なるシリーズ66−1、66−2、66−3は、その材料に関して、したがってその平均屈折率に関して相互に異なる。各種のシリーズ66−1、66−2、66−3はまた、他の光学特性に関して相互に異なっていてもよい。特に、シリーズ、又はあるシリーズ内の個々の半製品は、1つ又は複数のコーティングを有していてもよい。しかしながら、今回のケースで決定的であるのは、キャリアの、又は基板の材料であり、これを本明細書の範囲においては母材と呼ぶ。
シリーズ66−1、66−2、66−3の間には、患者又は顧客側の需要を鑑みた違いがあってもよい。例えば、第一のコラム#1によるシリーズ66−1は、非常に需要の多い半製品10、12のシリーズであってもよい。第二のコラム#2によるシリーズ66−2の半製品は、第一のコラムによる半製品66−1より需要が少ない。第三のコラム#3によるシリーズ66−3の半製品は、第二のコラム#2による半製品66−2より更に需要が少ない。さらに、平均サイズの、すなわち番号R7〜R14に対応する半径は、小さい、又は大きい半径R1〜R6及びR15〜R20より需要が多い。
したがって、シリーズ66−1内の半径R1〜R20の間の最小の広がり又は階級付けを利用することが望ましいかもしれない。換言すれば、シリーズ66−1は、例えば半径R1〜R20により特徴付けられる半製品の類型セットを含んでいてもよく、これは、コラム62による最も利用可能な汎用セットに対応する。これによって、確実に細かい階級付けを行うことができる。通常、後面の、それに匹敵する少ない数の賦形のための機械加工ステップだけで、所望の光学特性を生成できる。
これと対照的に、図6の66−3で示されるシリーズに含まれる眼鏡レンズ半製品の類型の数はずっと少なく(コラム66−3の行3、7、10、13、18のマーキングされたフィールド)、これはコラム62の中の半径R1〜R20又は眼鏡レンズ半製品の類型の最大利用可能数の一部として選択されている。このようにして、半製品10、12を生産するための費用を限定できる。これに対して、限定的な数のみの眼鏡レンズ半製品から進む場合には、所望の光学特性を生成するための機械加工費用の増大は受け入れられるかもしれない。
図6の66−2で示されるコラムは、例えば平均的な需要のある眼鏡レンズ半製品10、12に関する。したがって、特定の領域、特に曲率半径の特定の領域では、他の領域より、特にコラム62の端領域より細かい階級付けがあることが有利かもしれない。通常、需要は眼鏡レンズ半製品の類型のシリーズ66の中でも、その眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて得られる光学補正に応じて異なる。したがって、シリーズ66の、(そのシリーズに関して)より高い需要のある眼鏡レンズ半製品の類型を、より小さい増分で定義することが有利であるかもしれず、例えば、シリーズ66−2の中央部分を参照されたい。
セット68は、複数のシリーズ66−1、66−2、66−3で形成できる。したがって、眼鏡レンズ半製品のセット68は、複数のシリーズ66−1、66−2、66−3を含み、その各々が今度は複数の眼鏡レンズ半製品の類型No.1〜20を含み、これらが今度は複数の個々の眼鏡レンズ半製品を含む。個々のシリーズは、眼鏡レンズ半製品の母材において異なる。この場合、個々の眼鏡レンズ半製品の類型No.1〜20は、その曲率半径R1〜R20の点で異なる。すなわち、1つの眼鏡レンズ半製品の類型No.1、No.2、...No.20の中のすべての眼鏡レンズ半製品は、同じ曲率半径R1、R2、...R20を有する。ある類型及び/又はあるシリーズ、又はその複数のうちの眼鏡レンズ半製品の個々の1つがコーティングされているか否かは関係ない。
同様に、セット68のシリーズ66−1、66−2、66−3の中の各眼鏡レンズ半製品が確実に汎用的定義62に当てはまり、したがって、受取装置34のセット64に従って、受取装置34、特に接触部38によって受け取られ、特にブロックされるようにすることができる。
さらに、半製品10、12のシリーズ66−1、66−2、66−3と受取装置34又はこれに対応して関連する接触部38のセット64との少なくとも1つのペア72を形成することが有利でありうる。ペア72に組み合わせることによって、シリーズ66−1、66−2、66−3の各眼鏡レンズ半製品の類型について、セット64のうちの適当な受取装置34又は適当な接触部38が確実に利用できる。
さらに、眼鏡レンズ半製品の類型No.1、No.2、...No.20のシリーズ66−1、66−2、66−3のセット68とそれに割り当てられた受取装置34のセット64を含むペア74を形成することが推奨されうる。ペア74を作ることにより、各眼鏡レンズ半製品の類型No.1、No.2、...No.20が確実に、適切な方法でブロックされ、取り扱われ、機械加工される。
図7及び図8は、特定の曲率半径により特徴付けられる眼鏡レンズ半製品の類型を、対応する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて、(機能的及び/又は経済的に有利な方法で)生成可能な光学補正に割り当てたものを示している。
図7及び8において、軸80は、生成される光学レンズの球面屈折力をディオプトリDで示している。さらに、軸78は、乱視作用をディオプトリD(マイナスシリンダコンベンション)を示す。図7及び8の基本となる別のパラメータは、各種のレンズについて得られる加入屈折力である。図7及び8による図表は、2.25〜2.5Dの範囲の加入屈折力に当てはまる。
図7及び8の各々は、半製品の前面の曲率半径R4、R5、R6、...R16により特徴付けられる半製品の類型のシリーズ66−4、66−5を示している。図7及び8によるシリーズ66−4、66−5は、その母材の平均屈折率ndに関して相互に異なる。屈折率nd=1.6の材料が図7の図の基礎となっている。屈折率nd=1.67の材料が図8の図の基礎となっている。
各眼鏡レンズ半製品の類型、すなわち特定の曲率半径Riを有し、i=1...20である半製品は、それに基づいて生成可能な面屈折力の特定の範囲及び乱視補正の具体的範囲に割り当てることができる。同じ曲率半径を有する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて図7及び8に示されている図による母材の、相互に異なる屈折率ndを考えると、当然のことながら、異なる材料の場合に同じ範囲をカバーすることは不可能である。
図7の図によれば、シリーズ66−4は12種類の曲率半径R5〜R16を有する12種類の眼鏡レンズ半製品の類型を含む。図8の図から、シリーズ66−5が13種類の曲率半径R4〜R16を有する13種類の眼鏡レンズ半製品の類型を含むことがわかる。図7及び図8において、曲率半径R4〜R16は、それぞれにおいてミリメートルで示されている。
図7及び8の眼鏡レンズ半製品の類型の曲率半径は、同じ曲率半径の汎用的定義62に割り当てられる。原則として、より強い光学補正力を有する眼鏡レンズは、より高い屈折率の材料に基づいて生成されてもよく(図8参照)、それによって例えば、広い範囲の球面屈折力がカバーされる。
内容に関して、図9及び10によるグラフは、図7及び図8の図に完全に対応する。特に、図9は、半製品の類型のシリーズ66−4について、特定の曲率半径によって特徴付けられる眼鏡レンズ半製品の類型を、(機能的及び/又は経済的に有利な方法で)生成可能な光学補正に、対応する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて割り当てたものを示しており、前記半製品の類型は、半製品の前面の曲率半径R5、R6、...R16により特徴付けられ、屈折率nd=1.6の母材から製作される半製品に基づく。特に、図10は、半製品の類型のシリーズ66−5について、特定の曲率半径によって特徴付けられる眼鏡レンズ半製品の類型を、(機能的及び/又は経済的に有利な方法で)生成可能な光学補正に、対応する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて割り当てたものを示しており、前記半製品の類型は、半製品の前面の曲率半径R4、R5、R6、...R16により特徴付けられ、屈折率nd=1.67の母材から製作される半製品に基づく。
曲率半径R4、R5、R6、...R16のミリメートル単位の数値の代わりに、図9及び10は、1.53の標準屈折率nsに関する、対応の実際の面屈折力値Dnを示しており、前記実際の面屈折力値は、上記の半径Rから、次式、
Dn=(1−ns)/R (2)
によって変換することにより得られる。眼鏡レンズ半製品のシリーズ66−4及び66−5を含む半製品のセットに関する以下のような単純な設計ルールが、図9及び10からわかる。
第一のシリーズ66−4及び第二のシーズ66−5の各々は、その前面の標準屈折率1.53に関する実際の面屈力値が同じ、すなわち、数値Dn=0.5;1.4;2.3;3.2;4.0;4.7;5.4;6.0;6.7;7.4;8.0及び8.8である眼鏡レンズ半製品の類型を有する。
標準屈折率1.53に関する第一のシリーズ66−4の異なる類型の前面の実際の面屈折力値と標準屈折率1.53に関する第二のシリーズ66−5の異なる類型の前面の実際の面屈折力値を同じにすることは、標準屈折率1.53に関する同じ実際の面屈折力値のうちの1つと、標準屈折率1.53に関する次に大きい同じ実際の面屈折力値との差、すなわち、R16で示される類型とR15で示される類型との間、又はR15で示される類型とR14で示される類型との間、等々の実際の面屈折力値が所定の閾値より小さくなるような方法で行われる。差の値はすべて、0.6D〜0.8Dの範囲に含まれ、したがって、すべて0.85Dより小さい。
標準屈折率1.53に関する第一のシリーズ66−4の異なる類型の前面の実際の面屈折力値と標準屈折率1.53に関する第二のシリーズ66−5の異なる類型の前面の実際の面屈折力値を同じにすることは、標準屈折率1.53に関する同じ実際の面屈折力値のうちの1つと、標準屈折率1.53に関する次に大きい同じ実際の面屈折力値との差、すなわち、R16で示される類型とR15で示される類型との間、又はR15で示される類型とR14で示される類型との間、等々の実際の面屈折力値が、固定値として予め決められた差の値にばらつき範囲15%以内で同じとなるような方法で行われる。この例示的実施形態において、予め決められた差の値は0.7D、ばらつきは0.1Dである。
図7〜10は、半製品が異なる母材から製作される2つのシリーズ66−4、66−5を単に例示的に示しているが、当業者であれば、原則的に図6の基本となる半製品の3つのシリーズ66−1、66−2、66−3のセット68の例示的実施形態について、対応する図がどのようになるかは明白であろう。このセット68が図7及び8からかわかるように半径R4〜R13について同じ数値に基づく場合、図6において、半製品のシリーズ66−1、66−2、66−3が3つの、ペア単位で異なる類型No.7、10、及び13を有することがわかり、これらは、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dのその前面の実際の面屈折力値の範囲内で、シリーズ66−1、66−2、66−3にすべてに共通であるか、3つのシリーズ66−1、66−2、66−3のすべてにおいて同じ半径R7、R10、及びR13に対応する。
第一のシリーズ66−1が1.5の平均屈折率nd1の母材で製作された半製品のみを含み、第二のシリーズ66−2が1.6の平均屈折率nd2の母材で製作された半製品のみを含み、第三のシリーズ66−3が1.74の平均屈折率nd3の母材で製作された半製品のみを含むと仮定すると、3つのシリーズ66−1、66−2、66−3の平均屈折率nd1、nd2、nd3の差は少なくとも0.06であるという条件も満たされる。
それぞれの場合の同じ面屈折力値の1つと、それぞれの場合の次に大きい同じ面屈折力値との間の差は、1.5D(No.13〜No.11)と1.3D(No.11〜No.9)である。そのため、1.4Dの平均値と0.1Dのばらつきが得られる。したがって、ばらつきは7.5%未満となる。
さらに、図6から、半製品のシリーズ66−1、66−2、66−3の中で、その前面の、標準屈折率1.53に関する0.5D(No.5に対応)〜9.6D(No.3に対応)の実際の面屈折力値の範囲内で、半径R3及びR5に対応する類型No.5及びNo.3もまた、異なる類型No.7、10及び13が半径R7、R10、及びR13に対応する3つのシリーズのすべての中に存在することに加え、半製品の3つのシリーズ66−1、66−2、66−3のすべての中に同様に存在することがわかる。
図11は、有機材料から眼鏡レンズを製造するための製造システム88を、ブロック図に基づく、ごく簡略化した概略的方法で示す。この例示的実施形態において、製造システム88は制御装置90を含み、これは例えば、マスタコンピュータ又はプロセスコンピュータと呼ぶことができる。制御装置は、システム88の各種の構成部品又は装置と通信できる。製造システム88はさらに、ハンドリング装置92を含み、これは眼鏡レンズを製造するもとになる半製品10、12を取り扱うための手段を提供する。特に、ハンドリング装置92は、眼鏡レンズ半製品10、12のための受取装置34(図2参照)を把持し、変位させ、及び/又は利用するように構成できる。ハンドリング装置92は製造システム88の別の構成要素に連結されてもよく、それによって、その中に眼鏡レンズ半製品10、12が受けられているこの受取装置34を供給し、又はその中に眼鏡レンズ半製品10、12が受けられている受取装置34を前記別の構成部品から遠ざけてもよい。
好ましい例示的実施形態において、製造システム88はストア94を含み、その中に、前述のように、本発明による種類の眼鏡レンズ半製品10、12のシリーズ66のセット68が提供される。あるいは、製造システム88は、ストア94及び/又は1つ又は複数の別のストア(図示せず)に連結することもできる。ストア94の中にあるすべてのシリーズ66が、接触面の、特に曲率半径の汎用的規約又は設定に対応するかぎり、ストア94からの各眼鏡レンズ半製品10を確実にブロックし、機械加工できる。
製造システム88はさらに、受取装置34又は、受取装置34の接触部38のためのストア96に連結可能であり、受取装置34は上述の種類の受取装置34のセット64に割り当てられる。ストア96内のすべての接触部38又は受取装置34が、汎用的定義又は規約に従って設計されることが好ましい。このようにすれば、シリーズ66−1、66−2、66−3の各眼鏡用レンズ半製品の類型について利用可能な、フィットする接触部38が得られる。
製造注文を受けた後、例えばハンドリング装置92によってセット68のシリーズ66−1、66−2、66−3から眼鏡レンズ半製品10、12を選択し、これをブロッキングステーション98に送給することができる。さらに、例えば選択された眼鏡レンズ半製品10、12の前面の曲率半径にフィットする接触部38を有する受取装置34を、ストア96から取り、前記接触部をブロッキングステーション98に送給できる。
ブロッキングステーション98において、選択されたブランク10、12は、受取装置34にブロックすることができる。特に、ブロッキングは、負圧又は真空ブロッキングによってブロッキングするステップを含んでいてもよい。このようにして、受取装置34と眼鏡レンズ半製品10、12からなる複合体を生成できる。複合体は、機械加工ステーション100に搬送することができ、これは例えば、研削ステーション、フライス加工ステーション、旋盤ステーションとして、又は同様の方法で構成される。ブロックされた眼鏡レンズ半製品10、12の後面を、機械加工ステーション100で機械加工できる。受取装置38のおかげで、眼鏡レンズ半製品10、12を機械加工ステーション100の中に非常に正確に受けることが可能であり、したがって、前記眼鏡レンズ半製品を非常に精密に機械加工することができる。
例として、その後、研磨ステーション102に搬送される。研磨ステーション102は、眼鏡レンズ半製品10、12の機械加工された後面を研磨するように提供され、構成される。
その後、さらにブロック除去ステーション104に搬送でき、ここでは、ブロックされた眼鏡レンズ半製品10、12が取り外されるか、ブロックが受取装置34から上昇される。例えばこれは、真空ブロッキングの場合、圧力平衡化によって行われてもよい。ブロックを上昇させた後、眼鏡レンズ半製品10、12(その間にさらに機械加工されている)を受取装置34から取り外し、それとは独立して引き続き取り扱い、機械加工することができる。
したがって、眼鏡レンズ半製品10、12は、例えば表面機械加工ステーション106に搬送できる。例えば、表面機械加工ステーション106は、コーティングステーションとして、又は同様の方法で構成できる。例えば、表面機械加工ステーション106において、ハードコーティングをブランク10、12の前面及び/又は後面に堆積できる。このようにして、所望の眼鏡レンズを完成させることができる。
その後、最終管理ステーション108を設けることができ、そこに眼鏡レンズが搬送される。最終管理ステーション108は、眼鏡レンズの最終制御、特にその光学的、及び/又は機械的特性に関する最終管理を実行するように提供され、構成される。
眼鏡レンズ半製品10、12、又は眼鏡レンズ半製品を受けることのできる受取装置34の取扱いは、ハンドリング装置92によって実行できる。さらに、当然のことながら、適当な管理ステーション又は試験ステーションを上流に、又はステーション89、100、102、104、106のうちの少なくともいくつかの間に配置してもよい。特に、製造システム88は、管理可能な数の受取装置34又は受取装置34のための接触部38によって、眼鏡レンズ半製品10、12の多数の変化形を取り扱い、機械加工できるように構成される。
ブロック図に基づき、図12は、ごく簡略化した方法で、本発明の各種の態様を利用する眼鏡レンズの製造方法の例示的構成を示す。図12に示される方法は、ステップS10である、半製品のセットの提供を含む。このセットは、限定的な数の眼鏡レンズ半製品の類型を有し、各眼鏡レンズ半製品の類型は、少なくとも1つの標準化された物理的形状特徴を有する所定の接触面を有する。例えば、少なくとも1つの物理的形状特徴は、眼鏡レンズ半製品の前面の接触面設計、特に前面全体の設計とすることができる。好ましくは、物理的形状特徴は、前面曲率又は、一般に、接触表面曲率である。
次のステップS12は、製造するべき眼鏡レンズの少なくとも1つの所望の光学特性を設定するステップを含む。例えば、ステップS12は、患者又は顧客の視覚障害を表すデータに基づいて実行できる。例えばこれは、眼鏡検査士、眼科医、又は好ましくは相応の方法で教育を受けたその他の人物によって作られた処方箋を含む。必要であれは、推定される使用条件を説明できるデータも同様に考慮されてよい。
この例示的実施形態において、その後、ステップS14が続き、これは、提供された眼鏡レンズ半製品のセットからある眼鏡レンズ半製品を選択するステップを含む。特に、これは、所望の光学特性が設定されるステップ12を考慮して実行できる。選択するべき眼鏡レンズ半製品に対応する眼鏡レンズ半製品の類型の選択は、所望の光学特性が実際に、その眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて生成可能であるとの想定の下で実行されるべきである。
この例示的実施形態において、その後にステップS16が続き、これは受取装置の選択又は受取装置のための接触部の選択を含み、これは選択された眼鏡レンズ半製品を確実に、しっかりと保持できるように具現化される。このようにして、受取装置の上への眼鏡レンズ半製品のいわゆるブロッキングを、ごく簡単に行うことができる。特に、ステップS16は、眼鏡レンズ半製品の標準かされた物理的形状特徴に幾何学的な意味で合わせられた接触部の選択を含む。例えば、接触部は、眼鏡レンズ半製品の接触面又は前面の曲率半径に実質的に対応する曲率半径を有する受取座部を含んでいてもよい。
この例において、その後に別のステップS18が続き、これは眼鏡レンズ半製品を受取装置上、又はその接触部上にブロックするステップを含む。特に、ステップS18は真空ブロッキングを含んでいてもよい。このようにして、眼鏡レンズ半製品を受取装置上に圧力嵌めで保持でき、接着剤により接続が不要となる。
その後に別のステップS20が続き、これは、ブロックされた眼鏡レンズ半製品を機器加工するステップを含む。受取装置の上にブロックされた眼鏡レンズ半製品は、機械加工のために正確かつ確実に受け取られることが可能で、それによって高精度の機械加工が可能となる。眼鏡レンズ半製品の後面の機械加工は特に、例えば上述の方法で実行され、後面がその形状の点で変更される。例えば、本明細書の導入部で示したように、1つ又は複数の機能層を堆積させるなどの別の機械加工ステップ。
ごく簡略化した概略ブロック図に基づいて、図13は眼鏡レンズの製造方法の代替的な構成を示す。図13に基づいて示される方法は、図12に基づいて示される方法と、少なくともその実質的な面に関して同様の設計を有していてもよい。図13による方法は、ステップS40を含み、これは、眼鏡レンズ半製品のシリーズのセットの提供を含む。このセットの中のシリーズの各々は、同じ材料から製作された眼鏡レンズ半製品を含む。複数の眼鏡レンズ半製品の類型がセットの中のシリーズの各々の中に提供され、セットの中の各シリーズの各部分は標準化された物理的形状特徴の汎用的定義に属する。
その後、ステップS42が続き、これは少なくとも1つの光学特性の設定を含む。適当なシリーズに関する予備的な選択は、ステップS42に基づいて行うことができる。これは、ステップS44で行われる。その後、ステップS46が続き、これは、ステップS44で選択されたシリーズからの1つの眼鏡レンズ半製品の選択を含む。この眼鏡レンズ半製品は特に、所望の光学特性又は所望の光学補正に基づいて選択できる。
ステップS44は、あるシリーズの事前選択に関し、所望の屈折率の材料又は母材の選択に加えて、その半製品の中ですでに生成されていた、特定のコーティングの選択及び/又は特定の色の選択を含む。
ステップS40〜S46の後、別のハンドリングステップ及び機械加工ステップが続いてもよく、これは原則として、ステップS16、S18、及びS20に対応してもよく、これらは図12において示され、上で説明されている。
ブロック図に基づいて、図14は図12によるステップS20に略対応する機械加工ステップの例示的な構成を示す。ステップS20の前に、眼鏡レンズ半製品がその球面又は回転対称非球面の前面で受取装置にブロックされると仮定される。
機械加工ステップS20は、部分ステップS50を有し、そこで、眼鏡レンズ半製品の後面がフライス加工によって所望の可変焦点形状を得る。当然ことながら、部分ステップS50では、眼鏡レンズ半製品の後面の光学的補正も可能である。
部分ステップS50の後に部分ステップS52が続き、これはフライス加工によって賦形された眼鏡レンズ半製品をチェックするステップを含む。特に、部分ステップS52は、生成された表面形状の輪郭のチェック、生成された表面形状の表面粗さのチェック及び/又は生成された後面の前面に関すアラインメントのチェックを含んでいてもよい。
部分ステップS54の中で、フライス加工されたブランクの後面の研磨が行われる。眼鏡レンズは、研磨工程の結果として、その所望の光学的透過性を得る。
部分ステップS54の後に部分ステップS56が続き、これは、研磨結果の品質管理又はチェックを含む。
別のその後の部分ステップS58は、眼鏡レンズ半製品のブロッキングの除去を含む。眼鏡レンズ半製品は受取装置から分離される。真空ブロッカが使用される場合、部分ステップS58は、真空ブロッカと受け取られた眼鏡レンズ半製品との間の空洞の圧力平衡化を含む。
その後の部分ステップS60において、ブロックされていない状態となった(ほとんど完成した)ブランクのチェック又は品質管理が行われる。
さらにそれに続く部分ステップ62において、ブランクの表面処理又は表面コーティングが行われる。例えば、ハードコーティング、反射防止コーティング、及び静電防止コーティングを堆積させてもよい。特に、ブランクの後面だけでなく、前面にコーティングを行うことも可能である。
この例示的実施形態において、機械加工ステップS20は、最終部分ステップS64を含み、これは、機械加工の結果、特に表面処理の結果の(新たな)チェックを含む。
当然のことながら、(部分)ステップの少なくともいくつか、特に部分ステップS52、S56、S60、及びS64は迂回してもよい。しかしながら、最高の品質を確保するために、眼鏡レンズの製造中、各部分ステップの中で適切な品質管理が行われる場合が多い。
本発明は、特許請求項1の前文に記載の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットと、特許請求項7の前文に記載の眼鏡レンズの製造方法に関する。本発明はさらに、特許請求項11の前文に記載の眼鏡レンズの製造方法における半製品のセットの使用に関する。本発明はさらに、特許請求項12の前文に記載の眼鏡レンズの製造装置に関する。さらに、本発明は、特許請求項13の前文に記載の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法に関する。最後に、本発明は、汎用型の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法の方法ステップのすべてを実行するためのプログラムコードによるコンピュータプログラムと、汎用型の眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法の方法ステップのすべてを実行するためのプログラムコードによるコンピュータプログラムを含むコンピュータ読取可能記憶媒体に関する。
眼鏡とは、通常は眼の前で装用され、眼を保護すること、又は眼の視力障害及び位置誤差を補正する役割を果たす、少なくとも1枚の眼鏡レンズを含む構造体である。したがって、視力障害を補正するための眼鏡レンズは、屈折補正用レンズ又は光学的に有効な眼鏡レンズとも呼ばれる。例えば、このような眼鏡レンズは、単焦点レンズ又は多焦点レンズ、特に2焦点レンズ、3焦点レンズ、又はその他の可変焦点レンズとすることができる。例えば、視力障害には、近眼(近視)、遠眼(遠視)、乱視及びその他、標準から逸脱した、及び/又は不十分な視力状態が含まれる。視力障害にはまた、加齢に伴う遠眼(老眼)も含まれる。
屈折補正用レンズは、プラスレンズとマイナスレンズとして区別される。プラスレンズは、観察対象物を拡大する収束的光学効果を有する。マイナスレンズは、観察対象物を縮小する発散的光学効果を有する。
眼鏡レンズは通常、個々の眼鏡装用者に合わせた特定の需要による注文に応じて製造される。一般に、眼鏡レンズは、眼鏡レンズメーカが保管する限定された類型数の半製品眼鏡レンズブランク、いわゆる半製品を使って製造される。眼鏡レンズ半製品は、眼鏡レンズ製品と同様に、各々が物体側用とされる光学面と、眼鏡装用者にとって眼と対向する側に配置される予定の光学面と、これらの部分を離間させる面と、を有する。物体側に配置される予定の光学面は前面と呼ばれ、眼側に配置される予定の光学面は後面と呼ばれる。それらの間にある面は、縁を直接形成するか、又は、一方の端で前面と、他方の端で裏面と、縁面によって間接的に隣接し、円柱縁面とよばれる。一般に、前面は凸型曲面を有し、後面は凹型である。
所望の光学的補正力を得るためには眼鏡レンズによってどのような形状が得られなければならないかは、その材料により決定的に決まる。ここで、最も重要なパラメータは、材料の屈折率である。過去において、眼鏡レンズは主としてミネラルガラス、特にクラウンガラス(アッベ数>55)とフリントガラス(アッベ数<50)から製造されていたが、その後、多数の有機材料からの眼鏡レンズが入手可能となっている。このような有機眼鏡レンズ用の母材は、CR 39、MR 8、MR 7、CR 330、及びMR 174の商品名で提供されている。このような母材の選択はまた、欧州特許出願公開第2692941 A1号明細書の公開明細書にも記載されている。それ以外の材料も、その有機眼鏡レンズ用としての適性についての試験と開発が引き続き進められている。下の表1は、既知の母材から選択したものについて、特徴変数と参照変数を明示している。
現在、球面、回転対称非球面、又は累進前面を有する多数の有機眼鏡レンズ半製品又は製品が、プロトタイプとして、シーリングリングで相互に離間され、工程中に空洞が形成される前及び後面形状金型を用いて大量生産により成形されており、これは例えば、独国特許第3007572 C2号明細書、米国特許第6,103,148 A号明細書、又は特開2008 191186号公報に記載されている。これは、MR 7、MR 8、MR 10、及びCR 39、CR 607、CR 630等の商品名の母材にも当てはまる。MR 7、MR 8、及びMR 10の商品名の母材は、三井化学株式会社が販売するポリチオウレタンである。ここで、略語「MR」は、Mitsui Resinのことである。CR 39、すなわちColumbia Resin 39は、Pittsburgh Plate Glass Industries(PPG Industries)により選ばれたブランド名であり、その名前で、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート又はポリアリルジグリコールカーボネート(略称:PADC)の材料が販売されている。これは、高屈折率デュロプラスチックポリマ材料である。CR 607及びCR 630もまた、PPGにより製造されている。CR 607及びCR 630の材料は、例えばフォトクロミック用として使用される。
ポリカーボネート製の眼鏡レンズのための製品の半製品は一般に、射出成形法によって金属型で製造される。この製造方法は、例えば欧州特許出願公開第0955147 A1号明細書に記載されている。
ミネラル眼鏡レンズは一般に、ブランクを機械で機械的に研削加工することにより製造される。
上述の半製品又は製品には、1種又は複数の仕上げ工程が施されることが多い。特に、機能層が片面又は両面に堆積される。このような機能層は、眼鏡装用者にとって有利であり、眼鏡レンズが、必要に応じてその上に機能層が堆積される母材又はキャリア材の特性と成形のみに純粋に基づいた場合には有していないような所定の特性を眼鏡レンズに付与する層である。反射防止コーティング、銀めっき、偏光、色付け、自己着色、その他の光学特性に加えて、このような有利な特性には、硬化、埃の付着の軽減、曇り防止等の機械的特性及び/又は電磁放射の遮断、電流伝導等の電気的特性、及び/又はその他の物理的又は化学的特性も含まれる。
その光学特性が、少なくとも部分的に、事前に選択可能であるように標準化されておらず、眼鏡レンズの寸法及び/又は配置に関して使用者に適合する方法で個別に計算、製造される、注文ごとの処方箋による眼鏡レンズ、すなわち、特に個人化された単焦点及び多焦点レンズ及び、特に可変焦点又は累進焦点レンズは、機械的な、特に変形及び/又は研削による方法を用いてその最終的な形状とされる。ここで、外側形状は丸、楕円、又は楕円、又は任意の実施形態を有していてもよく、後者の場合はいわゆるフリーフォームのことである。
半製品眼鏡レンズブランクの一方の表面は、完成した眼鏡レンズの最終的な表面を成す。反対の表面は、完成した眼鏡レンズの光学系がその眼鏡の装用者の眼科処方箋に対応するような方法で機械加工される。一般に、前面が完成した眼鏡レンズの最終的な前面を形成するようになされる。最終的な前面に比較的小さい機械加工を行ってもよいが、その曲率が変わることはない。特に、上述の種類の1つ又は複数の機能層を堆積させることが可能である。したがって、眼鏡レンズ半製品は、一方の面だけについて光学的意味における機械加工が完了しているレンズブランクである(Heinz Diepes、Rolf Blendowske“Optik und Technik der Brille”,Optische Fachveroeffentlichung GmbH,Heidelberg,2002,page 560参照)。後でもう一度明記するように、本発明は、球面又は回転対称非球面である前面と、眼鏡装用者の眼科処方箋に応じて機械加工されるべき後面を有する眼鏡レンズ半製品のみに関する。
本発明の範囲において、DIN規格EN ISO 13666:2012(ophthalmic optics−spectacle lenses vocabulary(眼科用光学−眼鏡レンズの用語))11.3項に基づき、眼鏡レンズの前面の呼称面屈折力値又は呼称曲率をベースカーブと呼ぶ。あるいは、ベースカーブという用語の代わりにベーシックカーブという用語も使用される。呼称面屈折力が明示されている場合は、測定中に仮定された屈折率を明示するべきである。適切な注意書きを付ければ、面屈折力値の代わりに呼称曲率又は呼称曲率半径を明示することも可能であろう。DIN EN ISO 13666:2012は、ベースカーブとしての呼び方に関して単焦点レンズの前面にのみ言及しているものの、以下においては、ベースカーブは概して、単焦点レンズの製造のためのみでなく、多焦点レンズの製造にも適した眼鏡レンズ半製品の回転対称前面の中心における呼称面屈折力値も指す。回転対称非球面の表面の場合、呼称曲率は頂点曲率に対応する。回転対称非球面の表面の場合、呼称曲率半径は頂点半径に対応する。
一般に、ベースカーブは1.53の標準屈折率に関して明示される。しかしながら、ベースカーブを明示するためにその他の屈折率を使用してもよい。
典型的に、眼鏡レンズ製造業者は、各々が個別のベースカーブを有する半製品の眼鏡レンズブランクのシリーズを製造する。この「ベースカーブシリーズ」は半製品のセットであり、呼称前面曲率と屈折力の値が段階的に増大するもので(例えば、+0.50D、+2.00D、+4.00D、等々)、これは例えば、2015年9月16日にインターネットURL:
http://www.shamiroptic.de/images/shamir.pdf.
から読み出したShamir:“Shamir Quick Reference Guide”,Decemenber 6,2013,page 1−5に記載されている。
呼称面屈折力値又は呼称曲率は、ラベル表示の目的に使用され、呼称ベースカーブとも呼ばれる。実際の面屈折力値又は実際の曲率が計算に使用される。これは、実際のベーシックカーブとも呼ばれる。以下の説明の中では、明確に呼称値に言及していないかぎり、実値、すなわち、通常の製造及び測定誤差を考慮した、表面の実際に存在する面屈折力値、実際に存在する曲率、実際に存在する曲率半径に言及する。
ベースカーブシリーズの中のある半製品の前面は、後面の光学面を計算する際のスタート地点となり、それに従って、眼鏡装用者の処方箋に基づく最終的な眼鏡レンズが製造される。
あるベースカーブシリーズの半製品レンズブランクの前面は、原則として、例えば球面又は回転対称非球面等の回転対称面でも、例えばトーリック面又はその他の可変焦点面等の非回転対称面でもよい。後者はまた、いかなる対称特性も有さずに実施されてもよい。この場合、これらはフリーフォーム面と呼ばれる。本発明の範囲内では、回転対称、すなわち球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品だけが関わる。
例えば、異なる球面又は回転対称非球面の前面を有する半製品のセットから半製品レンズブランクを選択した後に、個々に要求される加入屈折力、処方された数値、及び、任意選択により、眼鏡装用者のその他の個別の要求事項を考慮して、後面を純粋に機械により機械加工することによって累進屈折力レンズ(progressive addition lens)(PAL)を製造してもよく、これは、例えば欧州特許第0857993 A2号明細書、国際公開第2004/019243 A1号パンフレット、又は欧州特許第2028527 B1号明細書に記載されている。後面は、点対称及び/又は軸対称ではないが、多焦点特性を有する。
あるシリーズ内の各ベースカーブは通常、半製品のセットの製造業者が推奨する複数の処方箋の作成に使用される。製造業者はいわゆるベースカーブ選択チャートを提供し、そこから、そのシリーズ内のそれぞれのベースカーブの使用が推奨される様々な処方箋が得られる。
典型的なベースカーブ選択チャートの一例は、特許文献の米国特許第6,948,816号明細書から得られる。同特許文献の図23A〜Cに示されるベースカーブシリーズは、5つのベースカーブで構成される。選択チャートは、非点収差を補正するための球面屈折力及び円柱屈折力に応じた所与の処方箋にしたがって製造業者が推奨するベースカーブを示している。示されている選択チャートは、光学的効果が遠用部分と近用部分とで異なる累進レンズ(PAL)に関する。一般に、同じ種類の選択チャートをあらゆる種類の眼鏡レンズ、例えば(球面及び/又はトーリック)単焦点レンズ、2焦点レンズ、非球面レンズ、及びPALにも使用される。
ベースカーブ選択チャートの他の2つの例は、欧州特許第2028527 B1号明細書の図2及び3から得られる。図2によるベースカーブシリーズは8つのベースカーブからなり、これらには「1」から「8」の番号が付与され、図3のベースカーブシリーズは14のベースカーブからなり、これらには「1」から「14」の番号が付与されている。図3によるベースカーブシリーズの14の球面ベースカーブの呼称屈折力は、以下のように段階的に増加する:0.75D〜8.50Dの間で、0.75;1.00;1.50;2.00;2.75;3.25;3.75;4.25;5.25;5.75;6.25;6.50;7.50;8.50。
欧州特許第2028527 B1号明細書から、一般的な傾向は、あるベースカーブシリーズの中の異なるベースカーブの数を限定して、金型の数、保管費用、及び保管に対する要求事項を削減、軽減することであることがわかる。したがって、標準的ベースカーブシリーズは最大で20のベースカーブ(欧州特許第2028527 B1号明細書、段落[0013]参照)、例えば10(欧州特許第0857993 A2号明細書:5ページ、38〜51行参照)、又は5つのベースカーブ(米国特許第6,948,816号明細書:図23A〜C)を含む。
上の2つの段落に記載されている文献はすべて、所定の母材で製作される眼鏡レンズのための一連のベースカーブのベースカーブを最適化するという主題を考慮している。おそらく、これらの文献の筆者は、大手の眼鏡レンズ製造業者での製造を想定している。
冒頭に記した国際公開第2004/019243 A1号パンフレットからわかるように、特に上述の個別の可変焦点眼鏡レンズの場合、数社の眼鏡レンズ製造業者によってだけでなく、近年、多くの市場で活発に業務展開している卸売業者、大規模な研究所、及びその他において局地的に製造できることが望ましい。
したがって、本発明の目的は、眼鏡レンズ半製品のセットと、眼鏡レンズの製造方法と、眼鏡レンズの製造方法における半製品のセットの使用と、眼鏡レンズの製造装置と、眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法を、この方法の方法ステップのすべてを実行するためプログラムコードによる対応のコンピュータプログラム及び、特に眼鏡レンズの局地的製造の要求事項に合わせて調整された半製品のセットを設計するためのこの方法の方法ステップのすべてを実行するためのプログラムコードによるコンピュータプログラムを記憶した、対応のコンピュータ読取可能記憶媒体と共に提供することからなる。
この目的は、特許請求項1において請求されている眼鏡レンズを製造するための半製品のセットと、特許請求項7において請求されている眼鏡レンズの製造方法と、特許請求項11において請求されている眼鏡レンズの製造方法における半製品のセットの使用と、特許請求項12において請求されている眼鏡レンズの製造装置と、特許請求項13において請求さている眼鏡レンズを製造するための半製品のセットの設計方法により達成される。本発明の有利な構成及び発展形は、従属項の主題である。
本発明は、近い将来、欧州特許第0 857 993 A2号明細書と国際公開第2004/019243 A1号パンフレットからの教示の組合せに従って、各々の場合において、おそらくは異なる製造業者からの既製の球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品を得て、それぞれの使用者に合わせて調整された方法で後面の設計を計算し、又はこれが計算されるようにし、独国特許出願公開第195 38 274 A1号明細書に記載されている種類の機械によって、後面を計算に従って製造するような数多くの眼鏡レンズ製造拠点が展開されるとの仮定に基づく。
これらの製造拠点での製造機械には、眼鏡レンズを経済的に製造するために、ある程度の標準化が必要である。本発明は、機械加工されることになる眼鏡レンズ半製品の類型の数を全体的に削減するという考えに基づく。本発明の基本的概念は、限定された数の前面の(部分的な)幾何学形状の半製品を、正確に言えば、機械加工される眼鏡レンズの母材の屈折率に関係なく提供することにすぎない。これを使用すると、後面の機械加工が実行されている間にそれぞれの半製品を保持する受取ツールの数を減らすことができ、それは、同様の形状を有する半製品であれば同じツールで受け取ることができるからである。受取ツールの数を限定することにより、標準化を相応程度まで行うことが可能となる。
各々が、球面又は回転対称非球面の凸型であり、関連する形状寸法を有する少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面を有する眼鏡レンズ半製品のセットであって、
−第一の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、ペア単位で異なる類型の少なくとも3種類の類型が、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状である場合にはその対称中心で測定して、3.2D〜6.7Dの間であるその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含む眼鏡レンズ半製品のセットから、
本発明は、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型の少なくとも3種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有するようにし、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型の少なくとも3種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有するようにし、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じになるようにする。
言い換えれば、本発明による眼鏡レンズ半製品のセットは、球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の少なくとも3つのシリーズからなる。眼鏡レンズ半製品のシリーズは、そのそれぞれの母材に関してペア単位で異なる。母材は異なる平均屈折率を有する。標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dのその前面の実際の面屈折力値の範囲内で、各シリーズは、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を含み、その前面形状は幾分異なる実施形態を有する。標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dのその前面のこの実際の面屈折力値の範囲内で、これらの類型の少なくとも3つの前面形状は、少なくとも3類型のすべてについて、部分領域(好ましくは前面の対称中心を含む)(この部分領域は好ましくは、前面全体の40%超、より好ましくは50%超を含む)において同じである。
本発明によれば、少なくとも1つの形状特徴(R、R1、R2、...R20、Dn)は、
a)実際の曲率、及び/又は
b)実際の曲率半径、及び/又は
c)円錐部分と補正多項式面との和からなるDIN ISO 10110において定義される非球面部分の、次式、
(式中、zはサジタルデプス、rは入射高さ、ρは頂点曲率、及びkは円錐部分の円錐定数、及びA
4
、A
6
、...は補正多項式の係数である)
による補正多項式面の円錐部分の頂点曲率(ρ)である。
原則として、シリーズは、回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品と、球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の両方を含むことが可能であることは事実である。しかしながら、現実には、製造上の理由から、純粋に球面の前面を有する半製品のみを含むシリーズが利用されることが好ましい。あるいは、純粋に回転対称非球面の前面を有する半製品のみを含むシリーズを利用することも同様に可能である。
冒頭において提起した課題は、そのような眼鏡レンズ半製品のセットにより完全に解決される。
本発明の1つの構成において、第一の平均屈折率と第二の平均屈折率と第三の平均屈折率がペア単位で少なくとも0.04だけ異なるようになされる。これによって、本発明によれば、低屈折率の母材から製作される眼鏡レンズ半製品のシリーズと高屈折率の母材から製作される眼鏡レンズ半製品のシリーズの両方が確実に構成され、その結果、提供可能範囲が決まり、おそらくは拡張される。
少なくとも3つの母材の平均屈折率が、少なくとも0.05だけ、さらには少なくとも0.06だけ異なるようになされる。少なくとも3つの母材の平均屈折率の差が大きいほど、機械加工中に眼鏡レンズ半製品の前面を受けるのに必要な受取ツールを標準化する可能性が大きくなる。
特に有利な変化形は、CR 39である眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材、MR 8である眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材、及びMR 7である眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材からなる。代替的な変化形は、CR 39である眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材、MR 8である眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材、及びMR 174である眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材からなる。また別の有利な変化形は、CR 39である眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材、ポリカーボネートである眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材、及びMR 8である眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材からなる。最後に、別の好ましい変化形において、眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズの母材はCR 39であり、眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズの母材はポリカーボネートであり、眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズの母材はMR 174である。
製造の観点から、すべての眼鏡レンズ半製品のシリーズについての異なる前面幾何学形状の全体的な数をできるだけ少なくすることが有利である。標準屈折率1.53に関する、例えば0.5D〜9.6Dの間のその前面の実際の面屈折力値でのベースカーブ提供範囲に対して5種類の半製品の類型が望ましく、上記の3類型という最小数は、上記の3.2D〜6.7Dの間の範囲に含まれる。光学的な観点からは、異なる前面幾何学形状の全体数は多い方が好都合である。標準屈折率1.53に関して、例えば0.5D〜9.6Dの間のその前面の実際の面屈折力値でのベースカーブ提供範囲に対して、約20種類の半製品の類型が望ましく、約10〜13種類が3.2D〜6.7Dの間の上記の範囲に含まれる。
妥協案として、眼鏡レンズ半製品のセットが提供され、その中では、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第一のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型が、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも4種類、好ましくは少なくとも5種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである。
標準屈折率1.53に関して、例えば0.5D〜9.6Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する半製品の提供範囲をカバーするためには、その結果、約13種類の半製品の類型ができる。
できるだけ広い提供範囲にわたり、完成した眼鏡レンズの光学品質が確実に均一となるようにするためには、シリーズ内の半製品の階級付けをできるだけ均一に設計することが有利である。一般に、これは特定の境界内でのみ可能である。したがって、特に有利な実施形態において、本発明は、第一のシリーズと第二のシリーズと第三のシリーズの各々が、眼鏡レンズ半製品の類型を有し、その前面が同一の形状寸法の形状特徴を有するようにし、また、それぞれにおいて、同一の形状寸法のうちの1つ又はその逆数と、そのそれぞれにおける次に大きい同一の形状寸法又はその逆数との差を、20%、好ましくは10%、最も好ましくは5%のばらつき以内で同じ大きさにする。
上述のような、シリーズ内での半製品の階級付けを均等にするアイディアから引き続き、本発明の1つの変化形は、少なくとも1つの形状特徴を実際の面屈折力にし、関連する形状寸法を、標準屈折率1.53に関する、関連する実際の面屈折力にして、第一のシリーズと第二のシリーズと第三のシリーズの各々が眼鏡レンズ半製品の類型を有し、その前面が標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値の実際の面屈折力を有するようにし、また、標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値のうちの1つと、標準屈折率1.53に関する次に大きい同一の実際の面屈折力との間の差が2.5D未満となるようにする。2.5Dの限度は、上述の納品範囲に対する最終製品の十分な光学品質に対する要求を説明しており、これは、本発明による類型分類に関して、それ以外の眼鏡レンズ半製品が使用されないとの前提に基づく。
一般に、最終製品の品質は、上述の差の数値が2.3D未満、より好ましくは1.5D未満、さらに好ましくは1.0D未満であれば、向上させることができる。約0.8Dの最大値は、標準屈折率1.53に関して例えば0.5D〜9.6Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有する半製品の提供範囲をカバーするために13種類の半製品の類型を使用した場合に有利であることがわかった。
すでに上で説明したように、あるシリーズ内の所望の数の種類の眼鏡レンズ半製品の類型は、製造上の要求事項と光学的な要求事項との間の妥協案を構成する。更に、提供範囲は、眼鏡レンズ半製品の類型の種類の総数について決定される。
上記の境界条件を等しく考慮して、本発明者によって理想的であると考えられる眼鏡レンズ半製品のセットは、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第一のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型が、標準屈折率1.53に関して0.5D〜9.60Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型が、標準屈折率1.53に関して0.5D〜9.60Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型が、標準屈折率1.53に関して0.5D〜9.60Dの間の、その前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも10、好ましくは少なくとも11、より好ましくは少なくとも12、最も好ましくは少なくとも13種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである
ように構成される。
本発明による、眼鏡レンズの製造方法は、
a)各々が後面と、球面又は回転対称非球面の凸型で、関連する形状寸法を有する少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面と、を有する眼鏡レンズ半製品のセットであって、
−平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、ペア単位で異なる少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状の場合にはその対称中心で測定して、3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含み、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである
ような眼鏡レンズ半製品のセットを提供するステップと
b)提供された眼鏡レンズ半製品のセットから眼鏡レンズ半製品の1つを受け取るステップと、
c)受け取った眼鏡レンズ半製品の裏面を機械加工するステップと、
を含む。
言い換えれば、提供された眼鏡及び半製品のセットは、球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の少なくとも3つのシリーズからなる。眼鏡レンズ半製品のシリーズは、そのそれぞれの母材に関してペア単位で異なる。母材は、異なる平均屈折率を有する。その前面の実際の面屈折力値の範囲が標準的屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間であることにより、シリーズの各々は、少なくとも3種類のペア単位で異なる眼鏡レンズ半製品の類型を含み、その前面形状は幾分異なる実施形態を有する。その前面の、標準屈折率1.53に関する3.2D〜6.7Dの間というこの実際の面屈折力値範囲内で、これらの少なくとも3つの類型の前面形状は、少なくとも3つのシリーズのすべてについて、部分領域(この部分領域は好ましくは前面全体の40%超、より好ましくは50%超を含む)で、又はその前面全体で同じである。
本発明によれば、少なくとも1つの形状特徴(R、R1、R2、...R20、Dn)は、
i)実際の曲率、及び/又は
ii)実際の曲率半径、及び/又は
iii)円錐部分と補正多項式面との和からなるDIN ISO 10110において定義される非球面部分の、次式、
(式中、zはサジタルデプス、rは入射高さ、ρは頂点曲率、及びkは円錐部分の円錐定数、及びA
4
、A
6
、...は補正多項式の係数である)
による補正多項式面の円錐部分の頂点曲率(ρ)である。
本発明による眼鏡レンズの製造方法において、方法ステップa)で、眼鏡レンズ半製品のセットの上述の実施形態の変化形のすべてを提供することが当然可能である。ここで明確に、その特性に関する上記の説明を参照する。
提供された半製品にさらに機械加工又は仕上げ加工を行うには通常、方法ステップステップb)にしたがって、眼鏡レンズ半製品を受容手段又はホルダ上に再現可能に固定又は締結する必要がある。本発明の範囲内で、この工程を、受け取るステップと呼ぶ。受け取るステップは、保護膜を接触対象の前面に堆積させることを含んでいてもよい。
半製品を受け取るステップにより、眼鏡レンズ半製品とそのホルダ(その上でそれが受け取られる)との間で所定の位置割当が行われる。すると、キャリアと受け取られた眼鏡レンズ半製品との「複合体」が得られ、これを例えば、機械加工用機構、例えばフライス盤、旋盤、及び/又は研磨機の上に所定の高精度、高精密な方法で受け取られるようにすることができる。したがって、製造工程の進行又は機械加工の進行をモニタするためのモニタリングステーションにおいても、高い精度で受け取ることが可能となる。通常、眼鏡レンズ半製品は、多くの製造ステップ又は機械加工ステップ中にその受け取られた時の状態のままとされる。
例えば、眼鏡レンズ半製品は、接着式及び/又は圧力嵌めによって受け取られるようにすることができる。これに関連して、眼鏡レンズ半製品又は半製品を受け取るための様々な方法が、例えば国際公開第2005/065886 A1号パンフレットからわかる。眼鏡レンズ半製品を適当な受容手段の中に、融点の低い金属合金によって接着式に受け取ることも依然として慣例的に行われている。この工程はまた、当業者から、ブロックピースの塗布とも呼ばれる。換言すれば、低融点の金属合金は、眼鏡レンズ半製品、特にその前面と、ホルダとの間の「接着剤」としての役割を果たす。さらに、眼鏡レンズを製造するための眼鏡レンズ半製品を有機接着剤によって適切な受容手段の中に固定し、又は受けられるようにすることも知られている。
さらに、眼鏡レンズを製造するための眼鏡レンズ半製品を圧力嵌めによって適切な受容手段の中に固定することが知られている。圧力嵌めによる受取は特に、眼鏡レンズ半製品と受容手段としての役割を果たすキャリア又はホルダとの間に空洞を少なくとも部分的に空にすることを含んでいてもよい。このようにして、負圧、特に真空を発生させることができ、その結果、加えられる圧力差により、眼鏡レンズ半製品はしっかりと確実に受容手段に保持される。対応する固定された眼鏡レンズ半製品の対応する座部が受容手段に十分に密着するかぎり、このような受取状態は、少なくとも特定の長さの時間にわたって確実に維持できる。
負圧をかけることによって眼鏡レンズ半製品を受け取るステップには、欧州特許第0 857 993 A2号明細書に記載されているように、追加の媒体(金属合金、接着剤、又はその他)が不要となるという実質的な利点がある。したがって、費用が削減される可能性があり、有毒でありうる物質の処分も不要である。
しかしながら、空気圧式の受容手段(真空ブロッキングと呼ばれることもある)は一般に、それ以外の箇所での費用の増大の原因となる。これは、例えば眼鏡レンズ半製品をキャリア上に確実にしっかりと固定することは、可能であれば、眼鏡レンズ半製品の接触面(通常、前面)とキャリア上のその対応する座部との間にわずかな所定のギャップだけが形成された場合のみ実現できるからである。言い換えれば、これは、キャリアの座部が、可能であれば、眼鏡レンズ半製品の接触面形状、特に接触面の曲率と整合するべきであることを意味する。それゆえ、例えば、キャリアの座部の球面又は回転対称非球面の表面眼鏡レンズ半製品の球面又は回転対称の接触面と一致することが好ましい。これは、球面又は回転対称非球面が相互に一致する曲率半径を含む場合を含んでいてもよく、これは例えば、欧州特許第0 857 993 A2号明細書、米国特許第3,134,208号明細書、米国特許第4,089,102号明細書、独国特許出願公開第39 24 078 A1号明細書、又は独国特許出願公開第25 31 134 A1号明細書に記載されている。
一般に、受容手段を、受け取られる半製品の前面全体にわたって形状相補的に当接させる必要はない。これは、接着による受取、特に受容手段と半製品の前面との下に塗布された低融点の金属合金又は受容手段と半製品の前面との間に塗布された有機接着剤によるブロッキングの場合と、圧力嵌めによる受取、特に受容手段と半製品の前面との間にかかる負圧による真空ブロッキングの場合のどちらにも当てはまる。
したがって、本発明の特定の構成において、ステップb)で、提供された眼鏡レンズ半製品のセットから眼鏡レンズ半製品を受け取るステップが、前面の形状の1部分のみと形状の点で相補的な実施形態を有する受取装置によって実行されるようになされる。この部分は、受け取られた眼鏡レンズ半製品の前面の少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%を含んでいてもよい。これまでにわかっている点として、この部分が受け取られた眼鏡レンズ半製品の前面の40%〜80%、好ましくは50%〜80%、より好ましくは60〜80%、最も好ましくは70%〜80%の間を含む場合に十分である。
原則として、接着ブロッキングという従来の接着の種類と比較して、形状相補的に事前に成形された真空ブロッキンクのための受取装置は、費用の増大を導くかもしれない。換言すれば、眼鏡レンズ半製品の各接触面の形状について、座部又はキャリアの形態での、特別に調整された受取装置を提供することが、すなわち受取時の機能的信頼性の点から、望ましい。より端的に言えば、受け取る必要のある上記の種類の各眼鏡レンズ半製品の類型のための座部、又は接触面のある曲率半径に従って適切に調整されたキャリアを常に利用可能にしておく必要があり、前記座部又はキャリアは、それに合わせて調整された受取半径を有する。接着ブロッキングに関して、形状相補的実施形態を有する受取装置は特に、必須ではないが、少なくとも部分的には極めて好ましい。
受け取られる半製品の前面と形状相補的に事前に調整された輪郭を有する、眼鏡レンズ半製品を圧力嵌めによる受け取るための受取装置の代わりに、本発明を実現することを目的として、受け取られる半製品の前面に形状相補的に事前調整可能な輪郭を有する受取装置を使用することも可能である。例えば、これは軸方向に移動可能なリング状の当接要素によって実行でき、これは例えば欧州特許第0 857 993 A2号明細書又は特開3121763 A号公報に記載されている。
眼鏡レンズ半製品の前面を広範囲で形状嵌合式方法で受け取ることは、空気圧による受取装置の場合は必須ではない。しかしながら、これまでにわかった点として、受容手段と眼鏡レンズ半製品との間の保持力は、欧州特許第0 857 993 A2号明細書、米国特許第3,134,208号明細書、米国特許第4,089,102号明細書、独国特許第39 24 078 A1号明細書、独国特許第25 31 134 A1号明細書、及び特開3121763 A号公報の文献に記載されている、保持されるべき半製品の前面の広い部分と形状相補的な方法で実現されている当接面を有する受取装置のほうが、眼鏡レンズ半製品のための、周囲に密着する外側の概してリング状の当接面のみを有する単純な吸引キャリアの場合よりはるかに大きい。
吸引キャリアがそのために実現されている場合、負圧を生成した後に、電力を使用することなく、眼鏡レンズ半製品を安定に保持することが特に好ましい。言い換えれば、これは、眼鏡レンズ半製品を吸引キャリア上に、いったんそれが受け取られた後にしっかりと保持するために、別のエネルギーをかける必要がないことを意味する。このために、適当な構造的手段、特に、受取座部の上及び吸引キャリア自体の上に密着させるのに特に適した手段が提供されてもよい。眼鏡レンズ半製品が受取座部、例えば、周囲の密着面に十分にしっかりと当接するかぎり、及び、負圧を生成するために接触可能な、吸引キャリア上の負圧ラインが外部から十分に密閉されているかぎり、眼鏡レンズ半製品はまた、吸引キャリア上に比較的長い時間にわたり、しっかりとした確実な所定の方法で保持できる。換言すれば、独立し、安定した、吸引キャリアと眼鏡レンズ半製品からなる複合体を形成することができる。例えば、吸引キャリアと眼鏡レンズ半製品の複合体を製造設備の中で移動させ、利用でき、負圧ライン又はその他の設置が不要である。
例えば、受容座部と眼鏡レンズ半製品との間の負圧は、眼鏡レンズ半製品の接触面と受取座部との間の流体(特に空気)でもともと満たされていた空間を空にすることによって生成できる。これに関して本開示が真空に言及するかぎり、これは必ずしも絶対真空が生成されることを意味するとはかぎらない。むしろ、通常、周囲圧力と、眼鏡レンズ半製品の接触面と受取座部との間の「真空空間」の中の圧力との間で所定の負圧又は所定の圧力差を生成すれば十分である。
例えば、機械加工ステップc)は、研削工程及び/又はフライス加工及び/又は変形工程を含んでいてもよい。さらに、受け取られたられた眼鏡レンズ半製品の機械加工は、研磨工程を含んでいてもよい。機械加工は、標準化された裏面の賦形製造又は、後の使用者のために個別に計算された裏面の表面設計の賦形製造で構成できる。特に、上記の何れの場合にも、処方箋の数値と、例えば眼鏡検査士又は眼科医が設定した、欧州特許第0 857 993 A2号明細書に記載されているような種類の個別の使用者情報が含められてもよい。
上述の賦形工程に加えて、又はその代わりに、機械加工ステップはまた、本明細書の導入部分に記載したような種類の機能層の堆積を含んでいてもよい。
眼鏡レンズ半製品の機械加工中に、少なくともある期間にわたり、好ましくはほとんど永久的にこれをその受取状態のままにすることができる。特に、眼鏡レンズ半製品は、受け取られた状態で各種の機械加工ステーション間で移動できる。さらに、眼鏡レンズ半製品を受け取られた状態のまま、少なくとも1つのモニタステーション又は試験ステーションへと送給して、例えば、機械加工の進行をモニタしてもよい。さらに、このようにすれば品質管理も容易化できる。
本発明はさらに、特に上述の種類の眼鏡レンズの製造方法における、特に上述の種類の眼鏡レンズ半製品のセットの使用の提案からなり、眼鏡レンズ半製品の各々は、球面又は回転対称非球面の凸型で、関連する形状寸法の少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面を有し、
−第一の平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、ペア単位で異なる眼鏡レンズ半製品の類型を有し、ペア単位で異なる少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状の場合にはその対称中心で測定して、3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含み、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである。
本発明によれば、少なくとも1つの形状特徴(R、R1、R2、...R20、Dn)は、
i)実際の曲率、及び/又は
ii)実際の曲率半径、及び/又は
iii)円錐部分と補正多項式面との和からなるDIN ISO 10110において定義される非球面部分の、次式、
(式中、zはサジタルデプス、rは入射高さ、ρは頂点曲率、及びkは円錐部分の円錐定数、及びA
4
、A
6
、...は補正多項式の係数である)
による補正多項式面の円錐部分の頂点曲率(ρ)である。
冒頭で提起した本発明の課題は、眼鏡レンズの製造方法における眼鏡レンズ半製品のセットの上述の使用により完全に解決される。
さらに、本発明は、特に上述の種類の方法を実行するための、眼鏡レンズの製造装置の提供からなり、
a)特に上述の種類の眼鏡レンズ半製品のセットを提供する提供装置であって、眼鏡レンズ半製品の各々は、後面と、球面又は回転対称非球面の凸型で、関連する形状寸法の少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面と、を有し、
−第一の平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、ペア単位で異なる少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関する、また前面が回転対称非球面形状の場合にはその対称中心で測定して、3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有する第一のシリーズと、
−第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第二のシリーズと、
−第一の平均屈折率及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率を有する母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズであって、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する第三のシリーズと、
を含み、
−第二のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第三のシリーズのペア単位で異なる類型のうちの少なくとも3種類の類型は、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dの間のその前面の実際の面屈折力値を有し、
−第一のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第二のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と、第三のシリーズの少なくとも3種類の類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法が同じである
ような提供装置と、
b)提供された眼鏡レンズ半製品のセットから眼鏡レンズ半製品の1つを受け取る受取装置と、
c)受け取った眼鏡レンズ半製品の後面を機械加工する機械加工装置と、
を含む。
本発明によれば、少なくとも1つの形状特徴(R、R1、R2、...R20、Dn)は、
i)実際の曲率、及び/又は
ii)実際の曲率半径、及び/又は
iii)円錐部分と補正多項式面との和からなるDIN ISO 10110において定義される非球面部分の、次式、
(式中、zはサジタルデプス、rは入射高さ、ρは頂点曲率、及びkは円錐部分の円錐定数、及びA
4
、A
6
、...は補正多項式の係数である)
による補正多項式面の円錐部分の頂点曲率(ρ)である。
冒頭において提起された本発明の課題は、眼鏡レンズを製造するための本発明による上述の装置により完全に解決される。
例えば、提供装置はストアとすることができ、これはセットの中の異なる半製品を保管し、そこに対して、そのセットの眼鏡レンズ半製品の1つが、その前面で受け取られ、後面が機械加工されるようにそこに要求できる。例えば、提供装置はまた、テータベースとすることもでき、これが個別の半製品の類型に関する情報を供給し、また、そこからこれを得ることができ、そのセットの眼鏡レンズ半製品の1つが、その前面において受け取られ、後面が機械加工されるように要求できる。
上ですでに説明したように、受取装置は、眼鏡レンズ半製品との接着及び/又は圧力嵌め及び/又は嵌合接続を成立させてもよい。受取装置は、受取装置と、眼鏡レンズ半製品の前面との間の、受取装置と半製品前面との間に導入された低融点金属合金によって、又は受取装置と半製品前面との間に塗布された有機接着剤によって粘着接続を確立できるブロッキング装置として構成されてもよい。受取装置はまた、負圧吸引装置又は真空吸引装置として実施されてもよく、これは、受取装置と半製品前面との間の空洞内の負圧によって圧力嵌め接続を成立させることができる。
機械加工装置は、1つ又は複数のフライス加工ツール、及び/又は1つ又は複数の旋盤ツール、及び/又は1つ又は複数の研削ツール、及び/又は1つ又は複数の研磨ツールを含んでいてもよい。これに加えて、又はその代わりに、機械加工装置は、機能層を堆積させるための1つ又は複数の成膜装置を含んでいてもよい。1つ又は複数の機能層の湿式化学堆積のために、例えば浸漬コーティング装置又はスピンオン又はスピンコーティング装置等の1つ又は複数の成膜装置があってもよい。さらに、1つ又は複数の真空コーティング装置、例えば真空蒸着装置、特に蒸発装置、スパッタリング装置又は化学真空反応装置が利用されてもよい。
最後に、本発明は、眼鏡レンズ半製品のセット、特に上述の種類のうちの1つによる半製品のセットを設計するためのコンピュータ実装方法からなり、眼鏡レンズ半製品の各々は、球面又は回転対称非球面の凸形状であり、関連する形状寸法を有する少なくとも1つの物理的形状特徴を有する前面を有し、眼鏡レンズ半製品のセットは、第一の平均屈折率の母材で製作された眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズと、第一の平均屈折率とは異なる第二の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第二のシリーズと、第一の平均屈折率(n d4 )及び第二の平均屈折率とは異なる第三の平均屈折率の母材から製作された眼鏡レンズ半製品の第三のシリーズを含み、第一のシリーズは、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法の点で異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、第二のシリーズは、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有し、第三のシリーズは、その前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法において異なる、眼鏡レンズ半製品のペア単位で異なる類型を有する。
本発明によるコンピュータ実装方法は以下のステップを特徴とする:
a)第一のシリーズの異なる類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と第二のシリーズの異なる類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法と第三のシリーズの異なる類型の前面の形状の少なくとも1つの物理的形状特徴の形状寸法とを均等化するステップ。
言い換えれば、形状寸法を均等化するステップは、眼鏡レンズ半製品のセットが、球面又は回転対称非球面の前面を有する眼鏡レンズ半製品の少なくとも2つのシリーズからなり、眼鏡レンズ半製品のシリーズはそれぞれの母材の点で異なり、母材は異なる平均屈折率を有し、シリーズの各々が、眼鏡レンズ半製品の少なくとも2種類のペア単位で異なる類型を含み、その前面の形状は幾分異なる実施形態を有し、これらの少なくとも2つの類型の前面形状が、少なくとも2つのシリーズのすべてについて、部分領域(これは前面全体の好ましくは40%超、より好ましくは50%超を含む)又は前面全体で同じであるように、形状寸法を対応させることを意味すると理解される。
本発明によれば、少なくとも1つの形状特徴(R、R1、R2、...R20、Dn)は、
a)実際の曲率、及び/又は
b)実際の曲率半径、及び/又は
c)円錐部分と補正多項式面との和からなるDIN ISO 10110において定義される非球面部分の、次式、
(式中、zはサジタルデプス、rは入射高さ、ρは頂点曲率、及びkは円錐部分の円錐定数、及びA
4
、A
6
、...は補正多項式の係数である)
による補正多項式面の円錐部分の頂点曲率(ρ)である。
冒頭において提起した本発明の課題は、眼鏡レンズ半製品のセットを設計するための本発明による上述のコンピュータ実装方法によって完全に解決される。
本発明によるコンピュータ実装方法の特に有利な実施形態は、少なくとも1つの形態特徴が実際の面屈折力であることと、関連する形状寸法が、標準屈折率1.53に関する、関連する実際の面屈折力値であり、眼鏡レンズ半製品の第一のシリーズと第二のシリーズの各々が眼鏡レンズ半製品の類型を有し、その前面は、標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値の実際の面屈折力を有し、第一のシリーズの異なる類型の前面の実際の面屈折力値と第二のシリーズの異なる類型の前面の実際の面屈折力値との均等化が、標準屈折率1.53に関する同一の実際の面屈折力値のうちの1つと標準屈折率1.53に関する次に大きい同一の実際の面屈折力値との差が所定の閾値より小さく、及び/又は一定に事前に定められた差の値と、20%、好ましくは15%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%のばらつき範囲内で同じとなるような方法で実行されることからなる。
上の説明によれば、この設計ルールの利点は、ほとんど均一な階級付けが、あるシリーズの半製品の間で生成され、それによって提供範囲全体にわたり、完成した眼鏡レンズの光学特性に関して略均一な品質分布が可能になるという事実にある。
本発明によれば、眼鏡レンズを製造するための半製品セットを設計する上述の方法と、その方法ステップを実行するためのその変化形は、コンピュータプログラムがコンピュータに読み込まれた、及び/又はコンピュータ上で実行された場合に、プログラムコードによるコンピュータブログラムの形態で存在してもよい。
特に、本発明は、眼鏡レンズを製造するための半製品のセットを設計する上述の方法と、その方法ステップを実行するためのその変化形は、コンピュータプログラムがコンピュータを読み込む、及び/又はコンピュータ上で実行するためにプログラムコードによるコンピュータブログラムを記憶したコンピュータ読取可能記憶媒体の形態で存在するようにする。
本発明の他の特徴と利点は、図面を参照しながらの複数の好ましい例示的実施形態に関する以下の説明から明らかとなるであろう。
眼鏡レンズを製造するための2つの眼鏡レンズ半製品の簡略化した側面略図を示す。
眼鏡レンズを製造するための別の眼鏡レンズ半製品と眼鏡レンズ半製品に合わせて調整される受取座部を有する受容手段の簡略化した側面略図を示す。
眼鏡レンズ半製品と、その眼鏡レンズ半製品の対応する接触面に合わせて調整された受取座部を有する接触部との組合せの簡略化した側面略図を示す。
眼鏡レンズ半製品のセットとキャリア又は接触部セットの考えうる構成とペアを示すための、ごく簡略化した概略図表を示す。
平均屈折率1.6のそれぞれの眼鏡レンズ半製品の類型の母材からなる眼鏡レンズ半製品の前面の曲率半径の形態での標準化された物理的形状を各々が有する眼鏡レンズ半製品の類型を、眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて生成可能な光学的補正の所定の領域に割り当てることを説明する例示的略図を示す。
平均屈折率1.67のそれぞれの眼鏡レンズ半製品の類型の母材からなる眼鏡レンズ半製品の前面の曲率半径の形態での標準化された物理的形状を各々が有する眼鏡レンズ半製品の類型を、眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて生成可能な光学的補正の所定の領域に割り当てることを説明する例示的略図を示す。
曲率半径が標準屈折率1.53に関する実際の面屈折力に変換されている、図7による割り当てを示す。
曲率半径が標準屈折率1.53に関する実際の面屈折力に変換されている、図8による割り当てを示す。
眼鏡レンズを製造するための設備又はシステムの、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
眼鏡レンズの製造方法の構成の、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
図10に基づいて示される方法に基づく、眼鏡レンズの製造方法の代替的構成の、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
図10に基づいて示される眼鏡レンズの製造方法の方法ステップの考えうる部分的ステップを説明するための、ごく簡略化した概略ブロック図を示す。
図1は、本発明の範囲内で使用される、眼鏡レンズを製造するための眼鏡レンズ半製品の考えうる設計を、2つの側面図に基づいて、ごく簡略的に示す。10で示される眼鏡レンズ半製品は、いわゆるプラスレンズを製造するための例示的な方法で使用されてもよい。12で示される眼鏡レンズ半製品は、いわゆるマイナスレンズを製造するための例示的な方法において使用されてもよい。
この例示的な実施形態において、眼鏡レンズ半製品10、12は、回転軸14の周囲での回転対称の実施形態を有する。さらに、眼鏡レンズ半製品10、12は、前面16を有する。前面16はすでに完成している。後の眼鏡装用者の要求事項に合わせて光学的効果又は光学特性を変化させるための曲率の変更は、眼鏡レンズ半製品10、12の前面16の反対にある後面18においてのみ行われる。通常、前面16は球面である。回転対称非球面の前面もまた、本発明の範囲内で認められる。それぞれの前面16は、特定の曲率を有し、この例示的実施形態において、曲率半径20によって特定されている。
眼鏡レンズ半製品10から製造可能なプラスレンズは一般に、凸型の前面16を有し、その曲率は、後面18の凹型曲率より大きい。眼鏡レンズ半製品12から製造可能なマイナスレンズは一般に、その凸型の前面16上で、凹型後面18の曲率より小さい。眼鏡レンズ半製品10、12は、この例示的実施形態において、有機材料(プラスチック)から製作される。ミネラルガラス又はその他の無機材料で製作された眼鏡レンズ半製品もまた使用可能である。例えば有機眼鏡レンズの既知の材料には、商品名CR 39、MR 8、MR 7、CR 330、及びMR 174のものが含まれる。その他の有機及びミネラルレンズのためのその他の材料は、本明細書の導入部分に記載されている。しかしながら、本明細書の導入部分に示されている表1は、多数の材料の中の一部のみを含んでいる。
前面16と後面18に加えて、眼鏡レンズ半製品10、12は、縁面22を有し、これは通常、円柱面として具現化される。したがって、これはしばしば、円柱縁面とも呼ばれる。当然のことながら、図1に基づいて示されている眼鏡レンズ半製品10、12の構成は、単に例示的な性格のものである。一般に、縁面22はあらゆる形態の円柱面として設計できる。
上で詳細に説明したように、いわゆる半製品、すなわちブランク10、12は、前面16、18が機械加工に関して完成しており、後面16、18にはその後、後の眼鏡装用者の光学的要求事項にさらに合わせて調整するために賦形のための機械加工が行われ、適当な方法で機械加工装置の中に受け取られることができるように受容手段の中にブロックされ、又は固定される。
概略的な、ごく簡略化した側面図において、図2は、眼鏡レンズ半製品10を受けるように具現化された受取装置34を示している。この例において、受取装置34は、吸引キャリア又は真空キャリアとして具現化される。受取装置34は、眼鏡レンズ半製品10を所定の接触面で受けるように具現化される。例えば、接触面は前面16全体とすることができる。図2に示されるケースでは、接触面は前面の中央部分17だけを含み、これは眼鏡レンズ半製品10の回転軸又は対称軸14が前面16を通る貫通点15に関して点対称である。
眼鏡レンズ半製品10を受取装置34の上に受け取る前に、多くの場合、保護膜が接触面に堆積される。これは、受け取られている時、及び後の機械加工中に固定されている時に、前面16の損傷を回避できる。図2において、保護膜は参照符号19で特定される。
眼鏡レンズ半製品10を受取装置34の上に受ける、又は固定する工程は、特に低融点の金属合金を接続媒体として使用する時、又は吸引又は真空キャリアを使用する時にブロッキングと呼ばれる。受取装置34とその上に受け取られた眼鏡レンズ半製品10の複合体が、眼鏡レンズ半製品10のブロック状態としてできる。この複合体により、確実な取扱いと、特に、その後の機械加工ステップのための眼鏡レンズ半製品10の正確な受取が可能となる。
この例示的実施形態において、受取装置34はシャフト36を含み、これは機械加工用機械、試験機械、又は、眼鏡レンズを製造するための設備の同様の装置の中に受取装置34を受けるように具現化される。さらに、図の構成において、受取装置34は接触部38を含み、これは、眼鏡レンズ半製品10の接触面17又は前面16を受けるように具現化される。
この例において、接触部38は受取凹部を有し、これを以下、受取座部40と呼ぶ。座部42は、特に眼鏡レンズ半製品10と対面する端において、接触部38上で受けられる。受け取られた状態において、眼鏡レンズ半製品10の前面16が接触部38の受取座部40と当接することは絶対的に必須といすわけではない。しかしながら、前面16上のシーリングリング42の密着当接が望ましい。このようにすると、受取座部40と前面16との間に空洞44が発生するかもれず、前記空洞内に負圧又は真空が生成される。
空洞44がシーリングリング42上の眼鏡レンズ半製品10の当接によって十分に密閉されるかぎり、眼鏡レンズ半製品10は、純粋に空洞44内の負圧のみによって接触部38に確実に保持できる。このようにして、接触部38で眼鏡レンズ半製品10が圧力嵌めにより確実に受け取られる。眼鏡レンズ半製品10を接着によって接触部38に接続するための既知の方法と比較して、これには様々な利点がある。特に、接触部38と眼鏡レンズ半製品10の間の接着手段の提供、取扱い、及び処分を回避できる。
チャンバとも呼ばれてもよい空洞44は、空洞44内に負圧又は真空を発生させることを目的とした、ライン48によってポンプ52に接続可能である。このポンプ52は、真空ポンプと呼ぶことができる。眼鏡レンズ半製品10がシーリングリング42に十分に密接に当接したときに、空洞44から空気をポンプ52によって吸引できる。好ましくは、ライン48は密閉式にブロックできる。このために、例えばバルブ50を設けることができ、これは図2においては記号でのみ示されている。好ましくは、ライン48は、キャリア34をポンプ52から取り外せるような方法でブロックできる。空洞44が十分に密閉されるかぎり、眼鏡レンズ半製品10は、接触部38に独立して、永久的に保持できる。特に、締り嵌めを確実にするための永久的又は散発的なエネルギー供給が不要となる。反対に、眼鏡レンズ半製品10は、例えばライン48によってもたらされる圧力平衡化により、接触部38から容易に取り外すことができる。
接触部38の上に眼鏡レンズ半製品10を再現可能かつ動作可能に確実に受け取るようにするために、前面16と受取座部40との間でできるだけ画然としたギャップを生成することが有利であり、前記ギャップは、ブロックされた状態で空洞44を画定する。この理由より、少なくとも接触面17の領域において、受取座部40が前面16の形状に合わせて調整された形状を有していれば有利である。特に、受取座部40と前面16が実質的に曲率又は曲率半径を有していれば有利であろう。ギャップ、すなわち空洞44は、適当なオフセットにより得られる。特に、適当な受取座部40又は適当な接触部38が前面16の考えうるすべての形状又は設計のためにいつでも利用可能であれば好ましい。
これに関連して、図3、4、及び5は、半製品10−1、10−2、10−3と、その前面16−1、16−2、16−3と適合するようにされた、図2に示される種類の受取装置34−1、34−2、34−3の接触部38−1、38−2、38−3との各種のペアを示している。接触部38−1、38−2、38−3は、くぼみ又は受取座部40−1、40−2、40−3を有し、これらは適当な方法で前面16−1、16−2、16−3の設計に合わせて調整される。特に、受取座部40−1、40−2、40−3と前面16−1、16−2、16−3は、実施質的に対応する曲率半径を有していてもよい。これは、眼鏡レンズ半製品10−1、10−2、10−3の確実な固定をもたらすことができる。
しかしながら、設計の異なる前面16−1、16−2、16−3の数が増えるにつれ、適切に調整された接触部38−1、38−2、38−3の必要性も相応に高まるであろう。それゆえ、眼鏡レンズ半製品10、12の不均一性又は多様性が、その前面設計に関して増大すると、適切な接触部38又はそれと共に提供される受取装置34を提供するための費用も増す。
図のケースのように、図3、4、及び5の接触部38−1、38−2、38−3の各々はまた、独立したキャリア34−1、34−2、34−3の構成要素であってもよく、図2も参照されたい。しかしながら、反対に、接触部38−1、38−2、38−3をアダプタとして具現化し、したがって、必要に応じてこれらを対応するキャリア34に固定することも考えられる。
眼鏡レンズ半製品を、その裏面が機械加工される時に確実に固定するために、受取装置を眼鏡レンズ半製品の前面に合わせる必要があるという事実は、眼鏡レンズ半製品10を受けるための受取装置として真空ブロッカ34を利用する、上で詳しく述べたケースにのみ当てはまるのでなく、一般に当てはまる。しかしながら、特定のレンズ、特に可変焦点レンズ及び同様に複雑なレンズを製造するための半製品の供給が非常に不均一であることを考えると、これらの眼鏡レンズ半製品を保持できる受取装置を保管できる眼鏡レンズ製造業者は僅かにすぎない。
したがって、本発明は、前面設計、特に眼鏡レンズ半製品10、12の前面の接触面の曲率半径を汎用的に規定し、その結果、異なる接触面の幾何学形状の数を管理可能な程度にすることを提案する。このような概念は、図6において、チャート状の表示に基づいて示されている。図6は、眼鏡レンズ半製品の類型、したがって、対応する受取装置の類型を、物理的形状特徴の汎用的定義又は汎用的標準化、特に眼鏡レンズ半製品10、12の球面の前面の接触面についての曲率半径の汎用的定義に割り当てたものを示している。これは再び、前面全体又は前面の一部のみが接触面としての役割を果たしてよいことを再び明確に明示する。球面形状の代わりに、前面はまた、回転対称非球面の実施形態を有することもできる。さらに、これはある眼鏡レンズ半製品の類型がその形状特徴の形状寸法によって決定されることを明らかにしている。これは、この例示的実施形態において、ある眼鏡レンズ半製品の類型が、その球面の前面の半径の寸法により定義されることを意味する。
例示的な割当表は全体が60で示されている。62で示されるコラムは、単に概略的に、曲率半径又はこれと同様の物理的形状特徴の規定値を示し、これらは行の番号に従ってR1〜R20で示される。いわば、コラム62で定義される半径R1〜R20は、あるセットの眼鏡レンズ半製品の類型を定義する時に適当な代表例を選択できる最大数を表す。簡略化のために、それぞれの半径R1〜R20の対応する値が、表62において上から下に、すなわち行の番号と共に増えると仮定している。
コラム62に従って各半径R1〜R20について、対応する接触部38又は接触部38と共に提供される受取装置34が提供されることが好ましく、その接触部の受取座部40は曲率半径R1〜R20の接触面を受け取るように設計されており、図2〜図5も参照されたい。割当表60において、64で示されるコラムは、それに対応する受取装置34を示す。
半径R1〜R20の汎用的定義62が、眼鏡レンズ半製品の前面幾何学形状を設計する際に「入力可変値」として使用できるようになるかぎり、自動的に、得られる半製品10、12は確実にブロックされ、所望の通りに機械加工される。
図6において、66−1、66−2、66−3で示されるコラムは、半径R1〜R20の汎用的規約又は定義に従って選択された眼鏡レンズ半製品10、12の異なるシリーズを示す。したがって、各シリーズは、個別の眼鏡レンズ半製品の前面の曲率半径によって設定される多数の眼鏡レンズ半製品の類型を含む。
汎用的定義62に従って事前に規定された異なる半径R1〜R20の数は、単に説明のために例示的に選択されているにすぎない。一般に、汎用的定義62は、例えば5〜25種類の半径を含むと考えられる。特に汎用的定義62は、10〜20種類の半径を含んでいてもよい。
異なるシリーズ66−1、66−2、66−3は、その材料に関して、したがってその平均屈折率に関して相互に異なる。各種のシリーズ66−1、66−2、66−3はまた、他の光学特性に関して相互に異なっていてもよい。特に、シリーズ、又はあるシリーズ内の個々の半製品は、1つ又は複数のコーティングを有していてもよい。しかしながら、今回のケースで決定的であるのは、キャリアの、又は基板の材料であり、これを本明細書の範囲においては母材と呼ぶ。
シリーズ66−1、66−2、66−3の間には、患者又は顧客側の需要を鑑みた違いがあってもよい。例えば、第一のコラム#1によるシリーズ66−1は、非常に需要の多い半製品10、12のシリーズであってもよい。第二のコラム#2によるシリーズ66−2の半製品は、第一のコラムによる半製品66−1より需要が少ない。第三のコラム#3によるシリーズ66−3の半製品は、第二のコラム#2による半製品66−2より更に需要が少ない。さらに、平均サイズの、すなわち番号R7〜R14に対応する半径は、小さい、又は大きい半径R1〜R6及びR15〜R20より需要が多い。
したがって、シリーズ66−1内の半径R1〜R20の間の最小の広がり又は階級付けを利用することが望ましいかもしれない。換言すれば、シリーズ66−1は、例えば半径R1〜R20により特徴付けられる半製品の類型セットを含んでいてもよく、これは、コラム62による最も利用可能な汎用セットに対応する。これによって、確実に細かい階級付けを行うことができる。通常、後面の、それに匹敵する少ない数の賦形のための機械加工ステップだけで、所望の光学特性を生成できる。
これと対照的に、図6の66−3で示されるシリーズに含まれる眼鏡レンズ半製品の類型の数はずっと少なく(コラム66−3の行3、7、10、13、18のマーキングされたフィールド)、これはコラム62の中の半径R1〜R20又は眼鏡レンズ半製品の類型の最大利用可能数の一部として選択されている。このようにして、半製品10、12を生産するための費用を限定できる。これに対して、限定的な数のみの眼鏡レンズ半製品から進む場合には、所望の光学特性を生成するための機械加工費用の増大は受け入れられるかもしれない。
図6の66−2で示されるコラムは、例えば平均的な需要のある眼鏡レンズ半製品10、12に関する。したがって、特定の領域、特に曲率半径の特定の領域では、他の領域より、特にコラム62の端領域より細かい階級付けがあることが有利かもしれない。通常、需要は眼鏡レンズ半製品の類型のシリーズ66の中でも、その眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて得られる光学補正に応じて異なる。したがって、シリーズ66の、(そのシリーズに関して)より高い需要のある眼鏡レンズ半製品の類型を、より小さい増分で定義することが有利であるかもしれず、例えば、シリーズ66−2の中央部分を参照されたい。
セット68は、複数のシリーズ66−1、66−2、66−3で形成できる。したがって、眼鏡レンズ半製品のセット68は、複数のシリーズ66−1、66−2、66−3を含み、その各々が今度は複数の眼鏡レンズ半製品の類型No.1〜20を含み、これらが今度は複数の個々の眼鏡レンズ半製品を含む。個々のシリーズは、眼鏡レンズ半製品の母材において異なる。この場合、個々の眼鏡レンズ半製品の類型No.1〜20は、その曲率半径R1〜R20の点で異なる。すなわち、1つの眼鏡レンズ半製品の類型No.1、No.2、...No.20の中のすべての眼鏡レンズ半製品は、同じ曲率半径R1、R2、...R20を有する。ある類型及び/又はあるシリーズ、又はその複数のうちの眼鏡レンズ半製品の個々の1つがコーティングされているか否かは関係ない。
同様に、セット68のシリーズ66−1、66−2、66−3の中の各眼鏡レンズ半製品が確実に汎用的定義62に当てはまり、したがって、受取装置34のセット64に従って、受取装置34、特に接触部38によって受け取られ、特にブロックされるようにすることができる。
さらに、半製品10、12のシリーズ66−1、66−2、66−3と受取装置34又はこれに対応して関連する接触部38のセット64との少なくとも1つのペア72を形成することが有利でありうる。ペア72に組み合わせることによって、シリーズ66−1、66−2、66−3の各眼鏡レンズ半製品の類型について、セット64のうちの適当な受取装置34又は適当な接触部38が確実に利用できる。
さらに、眼鏡レンズ半製品の類型No.1、No.2、...No.20のシリーズ66−1、66−2、66−3のセット68とそれに割り当てられた受取装置34のセット64を含むペア74を形成することが推奨されうる。ペア74を作ることにより、各眼鏡レンズ半製品の類型No.1、No.2、...No.20が確実に、適切な方法でブロックされ、取り扱われ、機械加工される。
図7及び図8は、特定の曲率半径により特徴付けられる眼鏡レンズ半製品の類型を、対応する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて、(機能的及び/又は経済的に有利な方法で)生成可能な光学補正に割り当てたものを示している。
図7及び8において、軸80は、生成される光学レンズの球面屈折力をディオプトリDで示している。さらに、軸78は、乱視作用をディオプトリD(マイナスシリンダコンベンション)を示す。図7及び8の基本となる別のパラメータは、各種のレンズについて得られる加入屈折力である。図7及び8による図表は、2.25〜2.5Dの範囲の加入屈折力に当てはまる。
図7及び8の各々は、半製品の前面の曲率半径R4、R5、R6、...R16により特徴付けられる半製品の類型のシリーズ66−4、66−5を示している。図7及び8によるシリーズ66−4、66−5は、その母材の平均屈折率ndに関して相互に異なる。屈折率nd=1.6の材料が図7の図の基礎となっている。屈折率nd=1.67の材料が図8の図の基礎となっている。
各眼鏡レンズ半製品の類型、すなわち特定の曲率半径Riを有し、i=1...20である半製品は、それに基づいて生成可能な面屈折力の特定の範囲及び乱視補正の具体的範囲に割り当てることができる。同じ曲率半径を有する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて図7及び8に示されている図による母材の、相互に異なる屈折率ndを考えると、当然のことながら、異なる材料の場合に同じ範囲をカバーすることは不可能である。
図7の図によれば、シリーズ66−4は12種類の曲率半径R5〜R16を有する12種類の眼鏡レンズ半製品の類型を含む。図8の図から、シリーズ66−5が13種類の曲率半径R4〜R16を有する13種類の眼鏡レンズ半製品の類型を含むことがわかる。図7及び図8において、曲率半径R4〜R16は、それぞれにおいてミリメートルで示されている。
図7及び8の眼鏡レンズ半製品の類型の曲率半径は、同じ曲率半径の汎用的定義62に割り当てられる。原則として、より強い光学補正力を有する眼鏡レンズは、より高い屈折率の材料に基づいて生成されてもよく(図8参照)、それによって例えば、広い範囲の球面屈折力がカバーされる。
内容に関して、図9及び10によるグラフは、図7及び図8の図に完全に対応する。特に、図9は、半製品の類型のシリーズ66−4について、特定の曲率半径によって特徴付けられる眼鏡レンズ半製品の類型を、(機能的及び/又は経済的に有利な方法で)生成可能な光学補正に、対応する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて割り当てたものを示しており、前記半製品の類型は、半製品の前面の曲率半径R5、R6、...R16により特徴付けられ、屈折率nd=1.6の母材から製作される半製品に基づく。特に、図10は、半製品の類型のシリーズ66−5について、特定の曲率半径によって特徴付けられる眼鏡レンズ半製品の類型を、(機能的及び/又は経済的に有利な方法で)生成可能な光学補正に、対応する眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて割り当てたものを示しており、前記半製品の類型は、半製品の前面の曲率半径R4、R5、R6、...R16により特徴付けられ、屈折率nd=1.67の母材から製作される半製品に基づく。
曲率半径R4、R5、R6、...R16のミリメートル単位の数値の代わりに、図9及び10は、1.53の標準屈折率nsに関する、対応の実際の面屈折力値Dnを示しており、前記実際の面屈折力値は、上記の半径Rから、次式、
Dn=(1−ns)/R (2)
によって変換することにより得られる。眼鏡レンズ半製品のシリーズ66−4及び66−5を含む半製品のセットに関する以下のような単純な設計ルールが、図9及び10からわかる。
第一のシリーズ66−4及び第二のシーズ66−5の各々は、その前面の標準屈折率1.53に関する実際の面屈力値が同じ、すなわち、数値Dn=0.5;1.4;2.3;3.2;4.0;4.7;5.4;6.0;6.7;7.4;8.0及び8.8である眼鏡レンズ半製品の類型を有する。
標準屈折率1.53に関する第一のシリーズ66−4の異なる類型の前面の実際の面屈折力値と標準屈折率1.53に関する第二のシリーズ66−5の異なる類型の前面の実際の面屈折力値を同じにすることは、標準屈折率1.53に関する同じ実際の面屈折力値のうちの1つと、標準屈折率1.53に関する次に大きい同じ実際の面屈折力値との差、すなわち、R16で示される類型とR15で示される類型との間、又はR15で示される類型とR14で示される類型との間、等々の実際の面屈折力値が所定の閾値より小さくなるような方法で行われる。差の値はすべて、0.6D〜0.8Dの範囲に含まれ、したがって、すべて0.85Dより小さい。
標準屈折率1.53に関する第一のシリーズ66−4の異なる類型の前面の実際の面屈折力値と標準屈折率1.53に関する第二のシリーズ66−5の異なる類型の前面の実際の面屈折力値を同じにすることは、標準屈折率1.53に関する同じ実際の面屈折力値のうちの1つと、標準屈折率1.53に関する次に大きい同じ実際の面屈折力値との差、すなわち、R16で示される類型とR15で示される類型との間、又はR15で示される類型とR14で示される類型との間、等々の実際の面屈折力値が、固定値として予め決められた差の値にばらつき範囲15%以内で同じとなるような方法で行われる。この例示的実施形態において、予め決められた差の値は0.7D、ばらつきは0.1Dである。
図7〜10は、半製品が異なる母材から製作される2つのシリーズ66−4、66−5を単に例示的に示しているが、当業者であれば、原則的に図6の基本となる半製品の3つのシリーズ66−1、66−2、66−3のセット68の例示的実施形態について、対応する図がどのようになるかは明白であろう。このセット68が図7及び8からかわかるように半径R4〜R13について同じ数値に基づく場合、図6において、半製品のシリーズ66−1、66−2、66−3が3つの、ペア単位で異なる類型No.7、10、及び13を有することがわかり、これらは、標準屈折率1.53に関して3.2D〜6.7Dのその前面の実際の面屈折力値の範囲内で、シリーズ66−1、66−2、66−3にすべてに共通であるか、3つのシリーズ66−1、66−2、66−3のすべてにおいて同じ半径R7、R10、及びR13に対応する。
第一のシリーズ66−1が1.5の平均屈折率nd1の母材で製作された半製品のみを含み、第二のシリーズ66−2が1.6の平均屈折率nd2の母材で製作された半製品のみを含み、第三のシリーズ66−3が1.74の平均屈折率nd3の母材で製作された半製品のみを含むと仮定すると、3つのシリーズ66−1、66−2、66−3の平均屈折率nd1、nd2、nd3の差は少なくとも0.06であるという条件も満たされる。
それぞれの場合の同じ面屈折力値の1つと、それぞれの場合の次に大きい同じ面屈折力値との間の差は、1.5D(No.13〜No.11)と1.3D(No.11〜No.9)である。そのため、1.4Dの平均値と0.1Dのばらつきが得られる。したがって、ばらつきは7.5%未満となる。
さらに、図6から、半製品のシリーズ66−1、66−2、66−3の中で、その前面の、標準屈折率1.53に関する0.5D(No.5に対応)〜9.6D(No.3に対応)の実際の面屈折力値の範囲内で、半径R3及びR5に対応する類型No.5及びNo.3もまた、異なる類型No.7、10及び13が半径R7、R10、及びR13に対応する3つのシリーズのすべての中に存在することに加え、半製品の3つのシリーズ66−1、66−2、66−3のすべての中に同様に存在することがわかる。
図11は、有機材料から眼鏡レンズを製造するための製造システム88を、ブロック図に基づく、ごく簡略化した概略的方法で示す。この例示的実施形態において、製造システム88は制御装置90を含み、これは例えば、マスタコンピュータ又はプロセスコンピュータと呼ぶことができる。制御装置は、システム88の各種の構成部品又は装置と通信できる。製造システム88はさらに、ハンドリング装置92を含み、これは眼鏡レンズを製造するもとになる半製品10、12を取り扱うための手段を提供する。特に、ハンドリング装置92は、眼鏡レンズ半製品10、12のための受取装置34(図2参照)を把持し、変位させ、及び/又は利用するように構成できる。ハンドリング装置92は製造システム88の別の構成要素に連結されてもよく、それによって、その中に眼鏡レンズ半製品10、12が受けられているこの受取装置34を供給し、又はその中に眼鏡レンズ半製品10、12が受けられている受取装置34を前記別の構成部品から遠ざけてもよい。
好ましい例示的実施形態において、製造システム88はストア94を含み、その中に、前述のように、本発明による種類の眼鏡レンズ半製品10、12のシリーズ66のセット68が提供される。あるいは、製造システム88は、ストア94及び/又は1つ又は複数の別のストア(図示せず)に連結することもできる。ストア94の中にあるすべてのシリーズ66が、接触面の、特に曲率半径の汎用的規約又は設定に対応するかぎり、ストア94からの各眼鏡レンズ半製品10を確実にブロックし、機械加工できる。
製造システム88はさらに、受取装置34又は、受取装置34の接触部38のためのストア96に連結可能であり、受取装置34は上述の種類の受取装置34のセット64に割り当てられる。ストア96内のすべての接触部38又は受取装置34が、汎用的定義又は規約に従って設計されることが好ましい。このようにすれば、シリーズ66−1、66−2、66−3の各眼鏡用レンズ半製品の類型について利用可能な、フィットする接触部38が得られる。
製造注文を受けた後、例えばハンドリング装置92によってセット68のシリーズ66−1、66−2、66−3から眼鏡レンズ半製品10、12を選択し、これをブロッキングステーション98に送給することができる。さらに、例えば選択された眼鏡レンズ半製品10、12の前面の曲率半径にフィットする接触部38を有する受取装置34を、ストア96から取り、前記接触部をブロッキングステーション98に送給できる。
ブロッキングステーション98において、選択されたブランク10、12は、受取装置34にブロックすることができる。特に、ブロッキングは、負圧又は真空ブロッキングによってブロッキングするステップを含んでいてもよい。このようにして、受取装置34と眼鏡レンズ半製品10、12からなる複合体を生成できる。複合体は、機械加工ステーション100に搬送することができ、これは例えば、研削ステーション、フライス加工ステーション、旋盤ステーションとして、又は同様の方法で構成される。ブロックされた眼鏡レンズ半製品10、12の後面を、機械加工ステーション100で機械加工できる。受取装置38のおかげで、眼鏡レンズ半製品10、12を機械加工ステーション100の中に非常に正確に受けることが可能であり、したがって、前記眼鏡レンズ半製品を非常に精密に機械加工することができる。
例として、その後、研磨ステーション102に搬送される。研磨ステーション102は、眼鏡レンズ半製品10、12の機械加工された後面を研磨するように提供され、構成される。
その後、さらにブロック除去ステーション104に搬送でき、ここでは、ブロックされた眼鏡レンズ半製品10、12が取り外されるか、ブロックが受取装置34から上昇される。例えばこれは、真空ブロッキングの場合、圧力平衡化によって行われてもよい。ブロックを上昇させた後、眼鏡レンズ半製品10、12(その間にさらに機械加工されている)を受取装置34から取り外し、それとは独立して引き続き取り扱い、機械加工することができる。
したがって、眼鏡レンズ半製品10、12は、例えば表面機械加工ステーション106に搬送できる。例えば、表面機械加工ステーション106は、コーティングステーションとして、又は同様の方法で構成できる。例えば、表面機械加工ステーション106において、ハードコーティングをブランク10、12の前面及び/又は後面に堆積できる。このようにして、所望の眼鏡レンズを完成させることができる。
その後、最終管理ステーション108を設けることができ、そこに眼鏡レンズが搬送される。最終管理ステーション108は、眼鏡レンズの最終制御、特にその光学的、及び/又は機械的特性に関する最終管理を実行するように提供され、構成される。
眼鏡レンズ半製品10、12、又は眼鏡レンズ半製品を受けることのできる受取装置34の取扱いは、ハンドリング装置92によって実行できる。さらに、当然のことながら、適当な管理ステーション又は試験ステーションを上流に、又はステーション89、100、102、104、106のうちの少なくともいくつかの間に配置してもよい。特に、製造システム88は、管理可能な数の受取装置34又は受取装置34のための接触部38によって、眼鏡レンズ半製品10、12の多数の変化形を取り扱い、機械加工できるように構成される。
ブロック図に基づき、図12は、ごく簡略化した方法で、本発明の各種の態様を利用する眼鏡レンズの製造方法の例示的構成を示す。図12に示される方法は、ステップS10である、半製品のセットの提供を含む。このセットは、限定的な数の眼鏡レンズ半製品の類型を有し、各眼鏡レンズ半製品の類型は、少なくとも1つの標準化された物理的形状特徴を有する所定の接触面を有する。例えば、少なくとも1つの物理的形状特徴は、眼鏡レンズ半製品の前面の接触面設計、特に前面全体の設計とすることができる。好ましくは、物理的形状特徴は、前面曲率又は、一般に、接触表面曲率である。
次のステップS12は、製造するべき眼鏡レンズの少なくとも1つの所望の光学特性を設定するステップを含む。例えば、ステップS12は、患者又は顧客の視覚障害を表すデータに基づいて実行できる。例えばこれは、眼鏡検査士、眼科医、又は好ましくは相応の方法で教育を受けたその他の人物によって作られた処方箋を含む。必要であれは、推定される使用条件を説明できるデータも同様に考慮されてよい。
この例示的実施形態において、その後、ステップS14が続き、これは、提供された眼鏡レンズ半製品のセットからある眼鏡レンズ半製品を選択するステップを含む。特に、これは、所望の光学特性が設定されるステップ12を考慮して実行できる。選択するべき眼鏡レンズ半製品に対応する眼鏡レンズ半製品の類型の選択は、所望の光学特性が実際に、その眼鏡レンズ半製品の類型に基づいて生成可能であるとの想定の下で実行されるべきである。
この例示的実施形態において、その後にステップS16が続き、これは受取装置の選択又は受取装置のための接触部の選択を含み、これは選択された眼鏡レンズ半製品を確実に、しっかりと保持できるように具現化される。このようにして、受取装置の上への眼鏡レンズ半製品のいわゆるブロッキングを、ごく簡単に行うことができる。特に、ステップS16は、眼鏡レンズ半製品の標準かされた物理的形状特徴に幾何学的な意味で合わせられた接触部の選択を含む。例えば、接触部は、眼鏡レンズ半製品の接触面又は前面の曲率半径に実質的に対応する曲率半径を有する受取座部を含んでいてもよい。
この例において、その後に別のステップS18が続き、これは眼鏡レンズ半製品を受取装置上、又はその接触部上にブロックするステップを含む。特に、ステップS18は真空ブロッキングを含んでいてもよい。このようにして、眼鏡レンズ半製品を受取装置上に圧力嵌めで保持でき、接着剤により接続が不要となる。
その後に別のステップS20が続き、これは、ブロックされた眼鏡レンズ半製品を機器加工するステップを含む。受取装置の上にブロックされた眼鏡レンズ半製品は、機械加工のために正確かつ確実に受け取られることが可能で、それによって高精度の機械加工が可能となる。眼鏡レンズ半製品の後面の機械加工は特に、例えば上述の方法で実行され、後面がその形状の点で変更される。例えば、本明細書の導入部で示したように、1つ又は複数の機能層を堆積させるなどの別の機械加工ステップ。
ごく簡略化した概略ブロック図に基づいて、図13は眼鏡レンズの製造方法の代替的な構成を示す。図13に基づいて示される方法は、図12に基づいて示される方法と、少なくともその実質的な面に関して同様の設計を有していてもよい。図13による方法は、ステップS40を含み、これは、眼鏡レンズ半製品のシリーズのセットの提供を含む。このセットの中のシリーズの各々は、同じ材料から製作された眼鏡レンズ半製品を含む。複数の眼鏡レンズ半製品の類型がセットの中のシリーズの各々の中に提供され、セットの中の各シリーズの各部分は標準化された物理的形状特徴の汎用的定義に属する。
その後、ステップS42が続き、これは少なくとも1つの光学特性の設定を含む。適当なシリーズに関する予備的な選択は、ステップS42に基づいて行うことができる。これは、ステップS44で行われる。その後、ステップS46が続き、これは、ステップS44で選択されたシリーズからの1つの眼鏡レンズ半製品の選択を含む。この眼鏡レンズ半製品は特に、所望の光学特性又は所望の光学補正に基づいて選択できる。
ステップS44は、あるシリーズの事前選択に関し、所望の屈折率の材料又は母材の選択に加えて、その半製品の中ですでに生成されていた、特定のコーティングの選択及び/又は特定の色の選択を含む。
ステップS40〜S46の後、別のハンドリングステップ及び機械加工ステップが続いてもよく、これは原則として、ステップS16、S18、及びS20に対応してもよく、これらは図12において示され、上で説明されている。
ブロック図に基づいて、図14は図12によるステップS20に略対応する機械加工ステップの例示的な構成を示す。ステップS20の前に、眼鏡レンズ半製品がその球面又は回転対称非球面の前面で受取装置にブロックされると仮定される。
機械加工ステップS20は、部分ステップS50を有し、そこで、眼鏡レンズ半製品の後面がフライス加工によって所望の可変焦点形状を得る。当然ことながら、部分ステップS50では、眼鏡レンズ半製品の後面の光学的補正も可能である。
部分ステップS50の後に部分ステップS52が続き、これはフライス加工によって賦形された眼鏡レンズ半製品をチェックするステップを含む。特に、部分ステップS52は、生成された表面形状の輪郭のチェック、生成された表面形状の表面粗さのチェック及び/又は生成された後面の前面に関すアラインメントのチェックを含んでいてもよい。
部分ステップS54の中で、フライス加工されたブランクの後面の研磨が行われる。眼鏡レンズは、研磨工程の結果として、その所望の光学的透過性を得る。
部分ステップS54の後に部分ステップS56が続き、これは、研磨結果の品質管理又はチェックを含む。
別のその後の部分ステップS58は、眼鏡レンズ半製品のブロッキングの除去を含む。眼鏡レンズ半製品は受取装置から分離される。真空ブロッカが使用される場合、部分ステップS58は、真空ブロッカと受け取られた眼鏡レンズ半製品との間の空洞の圧力平衡化を含む。
その後の部分ステップS60において、ブロックされていない状態となった(ほとんど完成した)ブランクのチェック又は品質管理が行われる。
さらにそれに続く部分ステップ62において、ブランクの表面処理又は表面コーティングが行われる。例えば、ハードコーティング、反射防止コーティング、及び静電防止コーティングを堆積させてもよい。特に、ブランクの後面だけでなく、前面にコーティングを行うことも可能である。
この例示的実施形態において、機械加工ステップS20は、最終部分ステップS64を含み、これは、機械加工の結果、特に表面処理の結果の(新たな)チェックを含む。
当然のことながら、(部分)ステップの少なくともいくつか、特に部分ステップS52、S56、S60、及びS64は迂回してもよい。しかしながら、最高の品質を確保するために、眼鏡レンズの製造中、各部分ステップの中で適切な品質管理が行われる場合が多い。