JP2017513866A - パーキンソン病の運動症状変動の迅速な緩和 - Google Patents

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Abstract

本発明は、パーキンソン病患者のオフエピソードを治療する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、投与後、患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアが、例えば、プラセボ対照に比して、および/または投与前の患者のUDPRS第三部スコアに比して少なくとも約5ポイント改善される、方法を提供する。本発明はこのほか、パーキンソン病患者の平均1日オフ時間を短縮する方法を提供する。【選択図】図1

Description

背景技術
パーキンソン病(本明細書では「PD」とも呼ぶ)は、神経病理学的には大脳基底核のドパミンニューロンの変性と特徴とし、神経学的には消耗性の振戦、動作緩慢およびバランス困難を特徴とする。パーキンソン病に罹患している人は100万人を超えると推定される。大半の患者には、多くの場合、ドパ−デカルボキシラーゼ阻害剤であるカルビドパとともに、ドパミン前駆体であるレボドパ、つまり、「L−Dopa」を投与する。パーキンソン病の初期段階では、L−Dopaにより疾患の症状が適切に抑えられる。しかし、疾患の過程で、数か月〜数年にわたる期間ののちに効果が少なくなる傾向がみられる。
L−Dopaの効果が低下する1つの例として、治療を受けている対象に運動症状変動が発現することがある。「運動症状変動」は、治療剤が十分な効果を発揮し、パーキンソン病の症状が適切に抑えられる期間(本明細書では「オン時間/エピソード」または「オン」とも呼ぶ)がある一方で、薬剤にほとんど効果がないように思われ、パーキンソン病の症状の悪化が認められる期間(本明細書では「オフ時間/エピソード」または「オフ」とも呼ぶ)もあるというように、対象がドパミン補充療法に示す反応が変動し始めることを意味する。運動症状変動は「ウェアリング・オフ」として現れ得るものであり、L−Dopa療法の効果が最初に観察されたほど長くは持続せず、その結果、患者に運動障害の変動をみる「オン・オフ」症候群が生じる。L−Dopaの効果(「オン時間」)は長い期間をかけて徐々に、ドパミン作動性治療薬の有用性が大幅に限定されるようになるまで低下し得る。
パーキンソン病患者でL−Dopaの効果が変動するのは少なくとも部分的には、L−Dopaの血漿中半減期が、カルビドパと共投与した場合でも、1〜3時間という極めて短い範囲内に収まる傾向があることと関係があると考えられている。疾患の初期段階では、この因子は標的とする線条体ニューロンのドパミン貯蔵能によって軽減される。L−Dopaは、ニューロンに取り込まれて貯蔵され、時間をかけて放出される。しかし、疾患が進行するにつれて、ドパミン作動性ニューロンが変性することによりドパミン貯蔵能が低下する。
その結果、L−Dopaの正の効果は、次第にL−Dopaの血漿中レベルの変動と相関するようになる。さらに、患者にL−Dopaの胃排出および腸吸収不良を含めた諸問題が発生する傾向がある。レボドパの不定時な胃排出は、運動性のランダムな変動の一因となる。患者の示すパーキンソン病の症状の揺れは次第に著明なものとなり、その範囲は、血漿中レベルが低下したときにみられる古典的なパーキンソン病の症状への回復から、L−Dopa投与後に血漿中レベルが一時的に極めて高くなったときにみられるいわゆるジスキネジアに及ぶ。
臨床的に意味のある期間にわたって効果がみられ、その効果により患者に十分な反応期間がもたらされる、パーキンソン病患者の運動症状変動およびオフエピソードの迅速な緩和を提供することが依然として必要とされる。
本発明は、パーキンソン病患者のオフエピソードを治療する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、投与後、患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部(本明細書では「UPDRS第III部」または「UDPRS III」とも呼ぶ)スコアが、例えばプラセボ対照に比して少なくとも約5ポイント改善され、かつ/または投与後、患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアが、例えば投与前の患者のUDPRS第三部スコアに比して少なくとも約5ポイント改善される、方法を提供する。好ましい実施形態では、例えばレボドパの投与から約60分以内に、患者のUDPRS第三部スコアが改善される。本発明はほかにも、平均1日オフ時間を短縮する方法および患者にレボドパを送達する方法を提供する。本発明は、パーキンソン病患者の平均1日オフ時間およびオフエピソード持続時間の短縮に特に有用である。
90/8/2吸入後および経口レボドパ投与後の平均血漿中レボドパ濃度対時間のデータを示す図である。 経口投与と比較した90/8/2吸入後の平均血漿中レボドパ濃度対時間のデータを示す図である。 50mgの90/8/2吸入後または摂食および絶食条件下での100mgのレボドパ(CD/LD 25/100mg)経口投与後の個々の被験者の血漿中レボドパ濃度を示す図である。 レボドパAUC0〜∞対90/8/2微粒子用量を示す図である。 レボドパCmax対90/8/2微粒子用量を示す図である。 平均血漿中濃度の薬物動態モデリングを示す図である。印は実測平均濃度を表し、直線はモデルにより予測された濃度を表す。 カルビドパ(CD)前治療を実施した場合および実施しなかった場合の平均レボドパ血漿中濃度を示す図である。 患者の血漿中レボドパ濃度とUPDRSスコアとを比較した図である。 被験薬を50mgの90/8/2微粒子用量である用量レベル2で投与した患者とプラセボを投与した患者との間で主要評価項目である来院6回目のUPDRS第三部スコアの平均変化量対時間(分)を示した線グラフである。 被験薬を35mgの90/8/2微粒子用量である用量レベル1で投与した患者とプラセボを投与した患者との間で主要評価項目である来院4回目のUPDRS第三部スコアの平均変化量対時間(分)を示した線グラフである。 ジスキネジアが認められるオン時間の悪化が一切みられなかったことを示す図である。図11Aは、90/8/2とプラセボとの間で対処困難でないジスケニジア(dyskenisia)の時間(時間)を時間(週)とともに示している。図11Bは、90/8/2とプラセボとの間で対処困難なジスキネジアの時間(時間)を期間(週)とともに示している。 ジスキネジアが認められるオン時間の悪化が一切みられなかったことを示す図である。図11Aは、90/8/2とプラセボとの間で対処困難でないジスケニジア(dyskenisia)の時間(時間)を時間(週)とともに示している。図11Bは、90/8/2とプラセボとの間で対処困難なジスキネジアの時間(時間)を期間(週)とともに示している。
(発明の詳細な説明)
定義
半減期(T1/2)とは、体液または組織中の薬物の濃度(C)が濃度C/2に達する時間のことである。
「CmaxPul」は、経肺送達後の測定で観察される最大血漿中濃度(Cmax)を意味する。「Cmaxoral」は、経口送達後の測定で観察される最大血漿中濃度を意味する。
曲線下面積(AUC)は、所与の時間間隔の血漿中濃度の積分値に相当する。AUCは質量(mg、g)×リットル−1×時間の単位で表され、薬物のバイオアベイラビリティの尺度となる。
「AUCPul」は、経肺送達後に測定した血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC)を意味する。「AUCoral」は、経口送達後に測定した血漿中濃度対時間曲線下面積(AUC)を意味する。
%CVで表される「変動係数(CV)」という用語は、平均値μに対する標準偏差σの比:Cv=σ/μ
と定義される。
本明細書で使用される「名目用量」または「名目粉末用量」という語句は、容器に含まれる粒子の総量中に存在するレボドパの百分率を意味し、患者に投与する際に利用可能なレボドパの最大量を表す。
「微粒子割合」または「FPF」は、容器中に存在する粒子量のうち空気力学的直径が5.6μm未満の粒子の百分率に相当する。
本明細書で使用される「粒子用量」という用語は、名目用量にFPFを乗じたものと定義される。
本明細書で使用される患者の「平均1日オフ時間の短縮」は、患者日誌に記録されるか臨床医によって観察される患者の1日オフ時間の平均短縮時間を指す。
本明細書で使用される統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)とは、パーキンソン病の徴候および症状を測定するための十分に確立されたツールのことである。UPDRSは全体で4つの部からなる。第1部、第2部および第3部には44項目の質問が含まれている。特に明示されない限り、いずれの項目も0(正常)〜4(重度の罹患)の等級が付されており、各項目は短い文章によって定義されている。UPDRSには、臨床医によるスコア化(運動機能検査)ならびに過去の精神機能および日常生活動作の報告(患者に質問することによって得られるADL)がともに含まれる。第1部は、知的障害、思考障害、意欲/自発性および抑うつを含めた精神状態、行動および気分を測定するものである。第2部は、会話、流涎、嚥下、書字、調理、着衣障害、歩行中のすくみ、振戦および知覚異常を含めた日常生活行動(ADL)を測定するものである。第三部は運動機能検査であり、尺度には、会話、表情、安静時振戦、動作振戦、固縮、指タップ、手の運動、手の回内および回外、下肢の敏捷性、椅子からの起立、姿勢、歩行運動、姿勢安定性ならびに体の動作緩慢が含まれる。第4部は、特にジスキネジア持続時間、運動能力障害痛、オフの期間および持続時間、睡眠障害を含めた治療による合併症を測定するものである。
Figure 2017513866
Figure 2017513866
これより本発明の特徴およびその他の詳細についてさらに具体的に記載し、特許請求の範囲に示す。本発明の特定の実施形態は、説明のために記載されるものであって、本発明を限定するものとして記載されるものではないことが理解されよう。本発明の原理的特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態に用いられ得る。本明細書および添付の「特許請求の範囲」で使用される単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別の意味を表す場合を除き、複数形の指示対象を包含する。
本発明では、「レボドパの用量」という用語を本明細書で使用する場合、それは、吸入によって患者に送達するのに適した剤形中に一定量のレボドパを含む製剤を意味する。一実施形態では、本発明によるレボドパの用量は、レボドパを含有する粒子を含む。呼吸器系にレボドパを送達するための粒子および方法については、例えば米国特許第6,514,482号および米国再発行特許第RE43711号に記載されており、両特許とも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。粒子は、乾燥粉末の形態であるのが好ましく、のちに詳細に記載する微粒子画分(FPF)、幾何学的寸法および空気力学的寸法をはじめとする特性によって特徴付けられる。
カスケードインパクタを用いる重量分析は、浮遊粒子のサイズ分布を測定する方法の1つである。アンダーセンカスケードインパクタ(ACI)は、エアゾールを空気力学的サイズに基づいて9つの異なる画分に分離することが可能な8ステージインパクタである。各ステージのサイズカットオフ値はACIを稼働させる流速よって決まる。好ましくは、ACIを60L/minで校正する。
一実施形態では、粒子最適化に2ステージ崩壊ACIを用いる。2ステージ崩壊ACIは8段ACIのステージ0、2およびFで構成され、2つの分離した粉末画分の捕集が可能である。各ステージでは、エアゾール流がノズルを通過し表面に衝突する。エアゾール流中の慣性の大きさが十分な粒子はプレートに衝突する。慣性がプレートに衝突するのに十分な大きさではない小型の粒子は、エアゾール流中に留まり、次のステージに運ばれる。
ACIは、最初のステージで捕集される粉末の割合が微粒子画分FPF(5.6)と呼ばれるように校正する。このFPFは、空気力学的直径が5.6μm未満の粒子の%に相当する。ACIの最初のステージを通過し捕集フィルターに沈着した粉末の割合はFPF(3.4)と呼ばれる。これは、空気力学的直径が3.4μm未満の粒子の%に相当する。
FPF(5.6)画分は、患者の肺に沈着する粉末の割合と相関があることが示されているのに対し、FPF(3.4)は、患者の肺深部に到達する粉末の割合と相関があることが示されている。
本発明の粒子の少なくとも50%のFPFは約5.6μmである。例えば、特に限定されないが、粒子の少なくとも60%、70%、80%または90%のFPFが約5.6μm未満である。
浮遊粒子のサイズ分布を測定するまた別の方法に多ステージ液体インピンジャ(MSLI)がある。多ステージ液体インピンジャ(MSLI)はアンダーソンカスケードインパクタ(ACI)と同じ原理で稼働するものであるが、MSLIにはステージが8段ではなく5段ある。さらに、MSLIの各ステージは、固体プレートからなる各ステージの代わりにメタノール湿潤ガラスフリットからなる。湿潤ステージは、ACI使用時に起こり得る跳ね返りおよび再飛散を防ぐのに用いられる。MSLIは粉末の流速依存性の指標を得るために用いられる。これは、MSLIを30L/min、60L/minおよび90L/minで稼働させ、ステージ1および捕集フィルターで捕集された粉末の割合を測定することにより達成され得る。各ステージ上での割合が、異なる流速全体を通して比較的一定に維持される場合、その粉末は流速独立性に近いと考えられる。
本発明の粒子はタップ密度が約0.4g/cm未満である。本明細書では、タップ密度が約0.4g/cm未満の粒子を「空気力学的に軽い粒子」と呼ぶ。例えば、粒子は、タップ密度が約0.3g/cm未満、約0.2g/cm未満または約0.1g/cmである。タップ密度は、Dual Platform Microprocessor Controlled Tap Density Tester(Vankel社、ノースカロライナ州)またはGEOPYC(商標)機器(Micrometrics Instrument社、ノルクロス、ジョージア州、30093)などの当業者に公知の機器を用いて測定することができる。タップ密度はエンベロープ質量密度の標準尺度の1つである。タップ密度は、USP Bulk Density and Tapped Density(United States Pharmacopia convention,Rockville,MD,第10版補遺,4950−4951,1999)の方法を用いて求めることができる。低タップ密度の一因となり得る特徴としては、不規則な表面性状および多孔性構造が挙げられる。
等方状粒子のエンベロープ質量密度は、粒子の質量を、内側にその粒子を含むことが可能な最小球体のエンベロープ体積で除したものと定義される。本発明の一実施形態では、粒子はエンベロープ質量密度が約0.4g/cm未満である。
本発明の粒子は、好ましいサイズ、例えば少なくとも約1ミクロン(μm)の幾何学的体積中位径(VMGD)を有する。一実施形態では、VMGDは、約1μm〜30μmまたは約1μm〜30μmに含まれる任意の部分範囲、例えば特に限定されないが、約5μm〜約30μmまたは約10μm〜30μmである。例えば、粒子は、約1μm〜10μm、約3μm〜7μm、約5μm〜15μmまたは約9μm〜約30μmの範囲のVMGDを有する。粒子は、中位径、質量中位径(MMD)、質量中位エンベロープ径(MMED)または幾何学的質量中位径(MMGD)が少なくとも1μm,例えば5μmまたは約10μm付近もしくはそれ以上である。例えば、粒子は、MMGDが約1μmより大きく、約30μmまたは約1μm〜30μmに含まれる部分範囲、例えば特に限定されないが、約5μm〜30μmまたは約10μm〜約30μmに及ぶ。
噴霧乾燥粒子の直径、例えばVMGDは、レーザー回折機器(例えば、Sympatec社(プリンストン、ニュージャージー州)製のHelos)を用いて測定することができる。粒子径を測定するその他の機器は当該技術分野で周知である。試料中の粒子の直径は粒子組成物および合成方法などの因子に応じて変化する。試料中の粒子サイズの分布は、気道内の標的部位への沈着が最適になるよう選択することができる。
空気力学的に軽い粒子は、本明細書では「空気力学的直径」とも呼ぶ「空気力学的質量中位径」(MMAD)が約1μm〜約5μmまたは約1μm〜約5μmに含まれる任意の部分範囲内にあるのが好ましい。例えば、MMADは約1μm〜約3μm、あるいはMMADは約3μm〜約5μmである。
実験的には、重力沈降法を用いることによって空気力学的直径を求めることが可能であり、この方法では、粒子の集団がある特定の距離を沈降するのにかかる時間を用いて粒子の空気力学的直径を直接推定する。空気力学的質量中位径(MMAD)を間接的に測定する方法の1つに多ステージ液体インピンジャ(MSLI)がある。
空気力学的直径daerは方程式:
Figure 2017513866
から推定することが可能であり、式中、dは幾何学的直径、例えばMMGDであり、ρは粉末密度である。
タップ密度が約0.4g/cm未満、中位径が少なくとも約1μm、例えば少なくとも約5μm、空気力学的直径が約1μm〜約5μm、好ましくは約1μm〜約3μmの粒子であれば、慣性力および重力による中咽頭領域への沈着を免れる可能性が高くなり、気道、特に肺深部に標的化される。大型で多孔性の粒子の方が、吸入療法に現在用いられているような小型で密度の高いエアゾール粒子よりも効率的にエアゾール化することが可能であるため、このような粒子を使用するのが有利である。
好ましくは中位径が少なくとも約5μmの大型で空気力学的に軽い粒子はこのほか、小型で比較的密度の高い粒子と比較して、細胞質空間からの粒子のサイズ排除により、肺胞マクロファージによる貪食作用および食細胞の肺からのクリアランスを上手く回避する可能性が高い。肺胞マクロファージによる粒子の食作用は、粒子径が増大して約3μmを超えると急激に低下する(Kawaguchi,H.ら,Biomaterials,7:61−66(1986);Krenis,L.J.およびStrauss,B.,Proc.Soc.Exp.Med.,107:748−750(1961);ならびにRudt,S.およびMuller,R.H.,J.Contr.Rel,22:263−272(1992))。表面の粗い球状など統計学的に等方状の粒子では、粒子のエンベロープ体積が、マクロファージ内での粒子の完全な食作用に必要な細胞質空間の体積にほぼ等しくなる。
肺深部または上気道もしくは中気道などの選択した気道領域に局所送達するのに適した材料、表面粗さ、直径およびタップ密度を有する粒子を加工し得る。例えば、上気道送達には密度の高い粒子または大型の粒子を用いてもよく、あるいは試料中の様々なサイズの粒子の混合物を同じまたは異なる治療剤とともに準備し、1回の投与で肺の異なる領域を標的として投与してもよい。中気道および上気道への送達には、空気力学的直径の範囲が約3〜約5μmの粒子が好ましい。肺深部への送達には、空気力学的直径の範囲が約1〜約3μmの粒子が好ましい。
正常な呼吸条件では、エアゾールの慣性衝突および重力沈降が肺の気道および腺房での主要な沈着機序である(Edwards,D.A.,J.Aerosol Sci.,26:293−317(1995))。両沈着機序の重要性は、粒子(またはエンベロープ)体積ではなくエアゾールの質量に比例して大きくなる。肺のエアゾール沈着部位は(少なくとも、平均空気力学的直径が約1μmを超える粒子に関しては)エアゾールの質量によって決まるため、他のすべての物理パラメータを同じにして、粒子表面の不規則性および粒子の多孔性の増大によりタップ密度を減少させれば、肺に送達できる粒子のエンベロープ体積を大きくできる。
タップ密度の低い粒子は実際のエンベロープ球径に比して空気力学的直径が小さい。空気力学的直径daerとエンベロープ球径dとの関係は、単純化された式:
Figure 2017513866
によって表され、エンベロープ質量密度の単位はg/cmである(Gonda,I.,“Physico−chemical principles in aerosol delivery,” in Topics in Pharmaceutical Sciences 1991(D.J.A.CrommelinおよびK.K.Midha)編,pp.95−117,Stuttgart:Medpharm Scientific Publishers,1992))。
ヒト肺の肺胞領域では、単分散させたエアゾール粒子の沈着が最大(約60%)となるのは空気力学的直径が約daer=3μmのときである(Heyder,J.ら,J.Aerosol Sci.,17:811−825(1986))。単分散吸入粉末を含み肺深部沈着が最大となる空気力学的に軽い粒子はエンベロープ質量密度が小さいため、その実際の直径dは:
Figure 2017513866
となり、式中、dは常に3μmより大きい。例えば、エンベロープ質量密度μ=0.1g/cmを示す空気力学的に軽い粒子は、エンベロープ直径が9.5μmの大きさの粒子で沈着が最大となる。粒子径が増大すると粒子間付着力が低下する(Visser,J.,Powder Technology,58:1−10)。したがって、粒子径が大きいと、食作用による喪失の減少に寄与することに加えて、エンベロープ質量密度の低い粒子の肺深部へのエアゾール化の効率が高くなる。
肺内での沈着が最大になるよう空気力学的直径を算出することができる。以前は、沈着を最大にするのに、約5ミクロン未満、好ましくは約1〜約3ミクロンであり、食作用を受ける極めて微細な粒子が用いられていた。直径は大型であるが十分に軽い(したがって、「空気力学的に軽い」という特徴を有する)粒子を選択すれば、同じように肺に送達されるが、サイズが大型の粒子は食作用を受けない。表面が滑らかな粒子に比して表面が粗いまたは平らでない粒子を用いることにより、送達を改善することができる。
本発明の別の実施形態では、粒子は、本明細書で「質量密度」とも呼ぶエンベロープ質量密度が約0.4g/cm未満である。いくつかの実施形態では、粒子の密度は、約0.01g/cm、0.02g/cm、0.03g/cm、0.04g/cm、0.05g/cm、0.06g/cm、0.07g/cm、0.08g/cm、0.09g/cm、0.1g/cm未満、0.02〜0.05g/cm、0.02〜0.06g/cmである。質量密度ならびに質量密度、平均直径および空気力学的直径の間の関係については、2001年7月3日にEdwardsらに対して発行された米国特許第6,254,854号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)で論じられている。
上記の組成および空気力学的特性を有する粒子は、特に限定されないが噴霧乾燥を含めたいくつかの方法により作製され得る。噴霧乾燥技術はついては一般に、例えばK.Mastersによる「Spray Drying Handbook」(John Wiley & Sons,New York,1984)に記載されている。
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、所望の効果または有効性を得るのに必要な量を意味する。薬物の実際の有効量は、用いる具体的な薬物またはその組合せ、製剤化する具体的な組成物、投与様式のほか、患者の年齢、体重、状態および治療するエピソードの重症度によって異なり得る。ドパミンの前駆体、アゴニストまたはその組合せの場合、それは治療を必要とするパーキンソン病症状を軽減する量のことである。特定の患者に対する用量については、本明細書に記載されているほか、当業者が従来の考慮事項を用いることにより(例えば、しかるべき従来の薬理学的プロトコルにより)決定することができる。
呼吸器系への粒子の投与は、当該技術分野で公知の手段などによって実施することができる。例えば、乾燥粉末吸入器(DPI)などの吸入装置から粒子を送達する。このほか、定量吸入器(MDI)、噴霧器または点滴注入技術を用いてもよい。
一実施形態では、粒子の肺系への送達は、「High Efficient Delivery of a Large Therapeutic Mass Aerosol」と題する米国特許第6,858,199号および「Highly Efficient Delivery of a Large Therapeutic Mass Aerosol」と題する米国特許第7,556,798号に記載されている方法によるものである。上記の特許はともに、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示されるように、粒子は容器内に保持、収納、貯蔵または封入される。容器、例えばカプセルまたはブリスターは、体積が少なくとも約0.37cmであり、乾燥粉末吸入器に使用するのに適した設計になっている。このほか、体積が少なくとも約0.48cm、0.67cmまたは0.95cmあるさらに大きい容器を用いてもよい。本明細書で使用される「容器」という用語は、特に限定されないが、例えばカプセル、ブリスター、フィルムカバーコンテナウェル、チャンバをはじめとする、粒子、粉末または吸入組成物を吸入装置に貯蔵するのに適した当業者に公知の手段を包含する。一実施形態では、容器はカプセル、例えば、2、1、0、00または000などの特定のカプセルサイズが指定されたカプセルである。適切なカプセルは、例えばShionogi社(ロックビル、メリーランド州)から入手することができる。一実施形態では、カプセル殻はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含み得る。さらなる実施形態では、カプセル殻はヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と二酸化チタンとを含み得る。ブリスターは、例えばHueck Foils社(ウォール、ニュージャージー州)から入手することができる。これ以外にも、本発明に使用するのに適した容器およびその体積が当業者に公知である。
一実施形態では、本発明は、少数の段階、好ましくは単一の呼吸作動段階での肺系へのL−Dopaの投与を提供する。一実施形態では、単一の呼吸作動段階で、吸入器に貯蔵されている粒子の質量の少なくとも50%が対象の呼吸器系に送達される。一実施形態では、単一の呼吸作動段階で、吸入器に貯蔵されている粒子の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%が対象の呼吸器系に送達される。別の実施形態では、容器に封入されている粒子を単一の呼吸で対象の気道に投与することにより、L−Dopaが少なくとも1〜80ミリグラム送達される。このほか、好ましくは少なくとも10ミリグラム、15ミリグラム、20ミリグラム、25ミリグラム、30ミリグラム、35ミリグラム、40ミリグラム、50ミリグラム、60ミリグラム、75ミリグラムおよび80ミリグラムが好ましく送達され得る。
比較的低いエネルギー、例えば対象の吸入によって通常供給されるエネルギーなどで分散する粒子を用いることにより、単一の呼吸作動段階での肺系への粒子の送達が増強される。本明細書では、このようなエネルギーを「低い」と呼ぶ。本明細書で使用される「低エネルギー投与」は、粒子を分散させかつ/または吸入するのに加えるエネルギーが、吸入時に対象によって通常供給される範囲内にある投与を指す。
本発明はこのほか、粉末粒子を効率的に肺系に送達する方法に関する。例えば、特に限定されないが、名目粉末用量の少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約70%または好ましくは少なくとも約80%が実際に送達される。
一実施形態では、本発明に使用する組成物は、レボドパを重量(乾燥重量)で約60〜99%含む経肺送達に適した乾燥粉末粒子などの粒子を含む。レボドパを約75重量%以上含む粒子、さらに好ましくはレボドパを約90重量%以上含む粒子が特に好ましい。粒子は、もっぱらL−Dopaからなるものであっても、1つまたは複数の追加の成分をさらに含むものであってもよい。このような適切な追加の成分の例としては、特に限定されないが、リン脂質、アミノ酸、糖および塩が挙げられる。リン脂質の具体例としては、特に限定されないが、ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)またはその任意の組合せが挙げられる。本発明の粒子中に存在するリン脂質、例えばDPPCの量は一般に、10重量%未満である。
塩としては、少量の強電解質塩、例えば、特に限定されないが塩化ナトリウム(NaCl)などが挙げられる。使用し得るその他の塩としては、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、硫酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムが挙げられる。粒子中に存在する塩の量は一般に、10重量%未満、例えば5重量%未満である。
好ましい一実施形態では、吸入により患者に経肺送達するのに適したレボドパの製剤は、90重量%のレボドパと、8重量%のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と、2重量%の塩化ナトリウムとを含み、本明細書では「90/8/2」と呼ぶ。
一実施形態では、本発明は、パーキンソン病患者のオフ期間を治療する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、投与後、患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアが、例えばプラセボ対照に比して少なくとも約5ポイント改善される、方法を提供する。一実施形態では、患者のUPDRS IIIスコアが、例えばプラセボ対照に比して少なくとも約8ポイント、好ましくは少なくとも約10ポイント、好ましくは少なくとも約12ポイント改善される。一実施形態では、患者に約30〜約60mgの微粒子用量(FPD)のレボドパ、好ましくは90/8/2FPDレボドパを投与する。好ましい一実施形態では、患者の肺系に35mgのFPDのレボドパを投与する。別の好ましい実施形態では、患者に50mgのFPDのレボドパを投与する。一実施形態では、患者にレボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる。一実施形態では、オフ症状の出現時にレボドパのFPDを投与する。
一実施形態では、本発明は、パーキンソン病患者のオフ期間を治療する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、投与後、患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアが、例えば経肺投与前の患者のUPDRS IIIスコアに比して少なくとも約5ポイント改善される、方法を提供する。一実施形態では、患者のUPDRS IIIスコアが、例えばプラセボ対照に比して少なくとも約8ポイント、好ましくは少なくとも約10ポイント、好ましくは少なくとも約12ポイント改善される。一実施形態では、患者に約30〜約60mgの微粒子用量(FPD)のレボドパ、好ましくは90/8/2FPDレボドパを投与する。一実施形態では、患者の肺系に35mgのFPDのレボドパを投与する。別の実施形態では、患者に50mgのFPDのレボドパを投与する。一実施形態では、患者にレボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる。一実施形態では、オフ症状の出現時にレボドパのFPDを投与する。
一実施形態では、本発明は、パーキンソン病患者の平均1日オフ時間を短縮する方法であって、患者の肺系に少なくとも1日1回、好ましくは少なくとも1日2回、レボドパを投与することを含み、投与後、患者の平均1日オフ時間が少なくとも約1時間、好ましくは少なくとも約2時間、好ましくは少なくとも約3時間、好ましくは少なくとも約4時間、好ましくは少なくとも約5時間以上短縮される、方法を提供する。一実施形態では、患者に約30〜約60mgの微粒子用量(FPD)のレボドパ、好ましくは90/8/2FPDレボドパを投与する。好ましい一実施形態では、患者の肺系に35mgのFPDのレボドパを投与する。別の好ましい実施形態では、患者に50mgのFPDのレボドパを投与する。一実施形態では、患者にレボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる。一実施形態では、オフ症状の出現時にレボドパのFPDを投与する。
一実施形態では、本発明は、パーキンソン病患者にレボドパを送達する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、投与後、患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアが、例えば前記レボドパの経肺投与前の患者のUPDRS IIIスコアに比して少なくとも約5ポイント〜約12ポイント改善される、方法を提供する。一実施形態では、患者に約30〜約60mgの微粒子用量(FPD)のレボドパ、好ましくは90/8/2FPDレボドパを投与する。好ましい一実施形態では、患者の肺系に35mgのFPDのレボドパを投与する。別の好ましい実施形態では、患者に50mgのFPDのレボドパを投与する。一実施形態では、患者にレボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる。一実施形態では、オフ症状の出現時にレボドパのFPDを投与する。
一実施形態では、レボドパの経肺投与後、患者のUPDRS第三部スコアが、プラセボ対照に比して少なくとも約5〜約15ポイント、好ましくは少なくとも約5〜約12ポイント、好ましくは少なくとも約5〜約10ポイント、好ましくは少なくとも約5〜約8ポイント改善される。一実施形態では、レボドパの経肺投与後、患者のUDPRS第三部スコアが、プラセボ対照に比して少なくとも約2〜約15ポイント、好ましくは少なくとも約2〜約12ポイント、好ましくは少なくとも約2〜約10ポイント、好ましくは少なくとも約2〜約8ポイント、好ましくは少なくとも約2〜約5ポイント、好ましくは少なくとも約3〜約15ポイント、好ましくは少なくとも約3〜約12ポイント、好ましくは少なくとも約3〜約10ポイント、好ましくは少なくとも約3〜約8ポイント、好ましくは少なくとも約3〜約5ポイント、好ましくは少なくとも約4〜約15ポイント、好ましくは少なくとも約4〜約12ポイント、好ましくは少なくとも約4〜約10ポイント、好ましくは少なくとも約4〜約8ポイント改善される。
一実施形態では、レボドパの経肺投与後約60分以内、好ましくは投与後約30分以内、好ましくは投与後約20分以内、好ましくは投与後約10分以内に、患者のUDPRS第三部スコアがプラセボ対照に比して改善される。一実施形態では、レボドパの投与後約60分以内、好ましくは約30分以内、好ましくは約20分以内、好ましくは約10分以内に、患者のUDPRS第三部スコアがプラセボ対照に比して少なくとも約2ポイント、好ましくは少なくとも約5ポイント、好ましくは少なくとも約8ポイント、好ましくは少なくとも約10ポイント、好ましくは少なくとも約12ポイント、好ましくは少なくとも約15ポイント改善される。一実施形態では、患者にレボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる。
一実施形態では、投与後の患者のUDPRS第三部スコアが、レボドパの経肺投与前の患者のUPDRS第三部スコアに比して少なくとも2ポイント、好ましくは少なくとも約3ポイント、好ましくは少なくとも約4ポイント、好ましくは少なくとも約5ポイント、好ましくは少なくとも約6ポイント、好ましくは少なくとも約7ポイント、好ましくは少なくとも約8ポイント、好ましくは少なくとも約9ポイント、好ましくは少なくとも約10ポイント、好ましくは少なくとも約11ポイント、好ましくは少なくとも約12ポイント、好ましくは少なくとも約13ポイント、好ましくは少なくとも約14ポイント、好ましくは少なくとも約15ポイント改善される。
一実施形態では、レボドパ投与後約60分以内、好ましくは約30分以内、好ましくは約20分以内、好ましくは約10分以内に、患者のUDPRS第三部スコアが前記レボドパの経肺投与前の患者のUPDRS IIIスコアに比して改善される。一実施形態では、レボドパ投与後約60分以内、好ましくは約30分以内、好ましくは約20分以内、好ましくは約10分以内に、患者のUDPRS第三部スコアがレボドパの経肺投与前の患者のUPDRS IIIスコアに比して少なくとも約2ポイント、好ましくは少なくとも約5ポイント、好ましくは少なくとも約8ポイント、好ましくは少なくとも約10ポイント、好ましくは少なくとも約12ポイント、好ましくは少なくとも約15ポイント改善される。一実施形態では、患者にレボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる。一実施形態では、レボドパ投与前、患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる。一実施形態では、オフ症状の出現時にレボドパのFPDを投与する。
一実施形態では、前記FPDのレボドパを含有する少なくとも1つのカプセルの内容物を吸入により患者に投与する。一実施形態では、前記FPDのレボドパ、好ましくは90/8/2FPDレボドパを含む少なくとも2つのカプセルの内容物を吸入により患者に投与する。一実施形態では、微粒子用量のレボドパを吸入装置により少なくとも1つのカプセルから肺系に送達する。一実施形態では、吸入装置は乾燥粉末吸入器(DPI)または定量吸入器(MDI)である。
一実施形態では、本発明の方法は、パーキンソン病患者の運動症状変動の迅速な緩和をもたらす。本発明の方法は、患者のレボドパ血漿中レベルの管理が不十分であることにより生じる運動症状変動の治療に特に有用である。
一実施形態では、本発明の方法は、吸入後約10分以内に患者の血漿中レボドパ濃度がレボドパ吸入前の患者の血漿中のレボドパ濃度に比して少なくとも約200ng/ml増大し、吸入後少なくとも約15分間、患者の血漿中濃度が少なくとも約200ng/ml増大した状態で維持される、治療有効濃度での吸入によるレボドパの経肺投与を含む。
一実施形態では、投与後少なくとも約20分間、患者の血漿中レボドパ濃度が少なくとも約200ng/mlの増大を維持する。一実施形態では、投与後少なくとも約30分間、患者の血漿中レボドパ濃度が前記少なくとも約200ng/mlの増大を維持する。一実施形態では、投与後少なくとも約60分間、患者の血漿中レボドパ濃度が前記少なくとも約200ng/mlの増大を維持する。他の実施形態では、増大は、200ng/ml超、200〜500ng/ml,300〜400ng/mlまたは250〜450ng/mlである。一実施形態では、10分以内に患者の血漿中レボドパ濃度が約1000ng/ml超増大することはない。
一実施形態では、本発明の方法は、吸入により患者に約20mg〜約75mgのレボドパを投与することを含み、前記吸入から10分以内に前記患者に運動症状変動の即時緩和をもたらし、少なくとも30分間、前記患者に前記緩和が維持される、パーキンソン病患者の運動症状変動の迅速な緩和をもたらす。
本発明のいずれの方法でも、吸入による1用量のレボドパ投与から約10分後の患者血漿中のレボドパの曲線下面積(AUC)が、吸入によるレボドパ投与前の患者の血漿中レボドパ濃度に比して、投与するレボドパ4mg毎に少なくとも約1000ng・min/ml増大する。一実施形態では、吸入による1用量のレボドパ投与から約10分後の血漿中の前記レボドパのAUCが、吸入によるレボドパ投与前の患者の血漿中レボドパ濃度に比して、投与するレボドパ4mg毎に少なくとも約1000〜1500ng・min/ml増大する。
本発明のいずれの方法でも、吸入による1用量のレボドパ投与から約10分以内に、患者の血漿中レボドパ濃度が、吸入によるレボドパ投与前の患者の血漿中レボドパ濃度に比して、送達するレボドパ10mg毎に少なくとも約175ng/ml増大し、前記患者の血漿中レボドパ濃度が、投与後少なくとも約15分間、好ましくは約20分間、好ましくは約25分間、好ましくは約30分間、好ましくは約45分間または好ましくは約60分間、前記少なくとも約175ng/mlの増大を維持する。
一実施形態では、本発明は、パーキンソン病患者の運動症状変動の迅速な緩和をもたらす方法であって、吸入により約20mg〜約75mgのレボドパを患者に投与することを含み、経口投与するレボドパの用量が経肺送達により投与する用量と相対的に同じである場合にCmaxPul/AUCPulをCmaxoral/AUCoralで割った商が1より大きくなる、方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、パーキンソン病患者の運動症状変動の迅速な緩和をもたらす方法であって、吸入により1用量または複数用量のレボドパを投与することを含み、T1/2/Tmaxの比が1/2未満、好ましくは1/5未満である、方法を提供する。
一実施形態では、本発明のいずれかの方法に用いる用量は、患者に送達される約10mg〜約75mgのレボドパを含む。一実施形態では、用量は約12mg〜約35mgのレボドパを含む。一実施形態では、レボドパの用量は少なくとも約10mgのレボドパ、好ましくは少なくとも約25mgのレボドパ、好ましくは少なくとも約35mgのレボドパ、好ましくは少なくとも約50mgのレボドパ、好ましくは少なくとも約75mgのレボドパを含む。
一実施形態では、1つまたは複数のカプセルの吸入後に肺系に送達されるレボドパの量は約25〜約60mgである。別の実施形態では、1つまたは複数のカプセルの吸入後に肺系に送達されるレボドパの量は約35〜55mg、約30〜50mg、約40〜50mg、約45〜55mgである。
一実施形態では、本発明のいずれか1つの方法に用いるレボドパの用量は、約30mg〜約60mgのFPDのレボドパを含む。一実施形態では、本発明のいずれかの方法に用いる用量は約35mgのFPDのレボドパである。一実施形態では、本発明のいずれか1つの方法に用いる用量は約50mgのFPDのレボドパである。
いくつかの実施形態では、レボドパ1カプセルの粉末吸入後、迅速な運動症状緩和または血漿中レボドパの増大が起こる。他の実施形態では、2カプセル、3カプセル、4カプセルまたは5カプセルの吸入後、迅速な運動症状緩和または血漿中レボドパの増大が起こる。
一実施形態では、本発明のいずれかの方法に用いる用量は塩を含有する。一実施形態では、用量はリン脂質を含有する。
一実施形態では、本発明のいずれかの方法は、患者にドパデカルボキシラーゼ阻害剤を共投与することをさらに含む。一実施形態では、吸入によるレボドパ投与前に、吸入によるレボドパ投与と同時に、または吸入によるレボドパ投与後にドパデカルボキシラーゼ阻害剤を患者に投与する。
一実施形態では、本発明のいずれかの方法は、前記患者にレボドパの経口投与を実施することをさらに含み得る。
一実施形態では、本発明のいずれかの方法は、運動症状変動の緩和を少なくとも2時間、好ましくは少なくとも3時間、好ましくは少なくとも4時間、好ましくは少なくとも5時間、より好ましくは少なくとも6時間以上維持することを含む。
一実施形態では、本発明のいずれかの方法に従って治療するパーキンソン病患者は、ステージ2、3または4のパーキンソン病患者である。
本発明のいずれかの方法では、レボドパの投与は中枢神経系の食事効果による影響を受けない。
好ましい一実施形態では、本発明のいずれかの方法に用いるレボドパの用量は、90重量%のレボドパと、8重量%のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と、2重量%の塩化ナトリウムとを含む。
特に限定されないがL−Dopa、カルビドパ、アポモルフィンおよびベンセラジドを含めた2種類以上のドパミン前駆体、ドパデカルボキシラーゼ阻害剤またはその組合せの投与を本発明による吸入によるレボドパの投与と同時に、または逐次的に実施し得る。一実施形態では、2種類以上のドパミン前駆体またはドパデカルボキシラーゼ阻害剤の投与を筋肉内、皮下、経口をはじめとする投与経路により投与し得る。一実施形態では、これらの他の薬剤も肺系から共投与する。これらの化合物または組成物は、吸入によるレボドパの経肺投与の前に投与しても、後に投与しても、同時に投与してもよく、本明細書に記載される方法による吸入によるレボドパの投与とともに用いる場合、「共投与する」ものと見なす。
一実施形態では、患者は、ドパデカルボキシラーゼ阻害剤の共投与を必要としないか、ドパデカルボキシラーゼ阻害剤の用量または頻度を少なくすることが可能である。別の実施形態では、患者は、カルビドパの共投与を必要としないか、L−Dopaの経口投与を受けている患者に比してカルビドパの用量または頻度を少なくすることが可能である。さらなる実施形態では、患者は、ベンセラジドの共投与を必要としないか、L−Dopaの経口投与を受けている患者に比してベンセラジドの用量または頻度を少なくすることが可能である。一実施形態では、カルビドパへの依存と、経肺経路で投与するレボドパおよび経口経路で投与するレボドパとの間の関係は:
Figure 2017513866
となり、式中、「w/o CD」はカルビドパを投与しないことを意味し、「w/CD」はカルビドパを投与することを意味し、「INN」は患者にレボドパを送達する経肺経路を表し、oralは患者にレボドパを送達する経口経路を表す。
一実施形態では、患者を「オン」にするのに、レボドパの正確な用量を決める必要がある。例えば、一実施形態では、レボドパの用量は、患者の血漿中レボドパ濃度を約200ng/ml〜500ng/ml増大させるものでなければならない。このレボドパ濃度のわずかな増大が多岐にわたる患者の投与スケジュールに適用されるのは興味深い。「オン」にするのにレボドパの血漿中レベルを1500〜2000ng/mlにする必要があり得る患者は、血漿中のレボドパ200〜500ng/mlによってオンにすることができるのに対し、「オン」にするのにレボドパの血漿中レベルを500〜1000ng/mlにする必要があり得る患者は、血漿中のレボドパ200〜500ng/mlによってオンにすることができる。より具体的には、患者の血漿中濃度を200〜400ng/ml、250〜450ng/ml、300〜400ng/mlまたは約375〜425ng/ml増大させることによって患者をオンにすることができる。
患者の血漿中濃度を200〜500ng/ml増大させることは、様々な方法によって実施することができる。レボドパを経口的に、経肺経路で、または親らしく患者に投与することができる。経肺経路で投与する場合、患者の肺系に25〜50mgの用量のレボドパがもたらされ得る。一実施形態では、患者の肺系にもたらされる用量は、25〜35mg、27〜32mg、28〜32mg、29〜31mgまたは約30mgとなり得る。患者の肺系に用量をもたらすことは、様々な方法で実施することができる。一実施形態では、カプセルに35〜40mgのレボドパ粉末が含まれており、前記カプセルはカプセル内の粉末の40〜60%を患者の肺系にもたらし、前記粉末はレボドパを75〜98%含む。
以下の実施例は本発明を説明することを意図するものであるが、本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
実施例
実施例1
概要
成人健常被験者を対象に90/8/2経肺レボドパ粉末の投与後の安全性、忍容性およびレボドパ薬物動態(PK)を経口レボドパと比較して評価するため、90/8/2乾燥粉末レボドパ製剤を準備した。これらの実施例に記載する経肺レボドパ粉末は、いずれも乾燥重量で90%のレボドパ、8%のジパルミトイルホスファチジルコリンおよび2%の塩化ナトリウムの粉末からなるものであり、本明細書では90/8/2と呼ぶ。このデータは、90/8/2の単回吸入投与後のレボドパのPKおよび絶食または摂食条件で経口投与したレボドパ(LD)との比較のほか、カルビドパ(CD)による前治療を実施した場合と実施しなかった場合のPKの比較について記載するものである。これは健常な成人男性被験者および成人女性被験者を対象にした以下の2部:第A部−経口レボドパと比較した用量漸増の部;および第B部−90/8/2±カルビドパ前治療の部からなる試験であった。
第A部は、非盲検3期間クロスオーバー単回漸増用量試験とした。各被験者には、1回のセッションで摂食または絶食状態で単回経口用量のCD/LD(25/100mg)を投与し、2回の異なる治療セッションで2種類の異なる用量の吸入90/8/2(10mgと30mgまたは20mgと50mgのレボドパ微粒子用量(FPD))を単回漸増用量で投与した。それぞれ9例の被験者からなる2つのグループを登録した。
第B部は、非盲検無作為化2期間期間平衡クロスオーバー試験とした。被験者8例にCDによる前治療を実施して、および実施せずに、単回吸入90/8/2用量(40mgのレボドパFPD)を投与した後の安全性、忍容性およびレボドパPKの評価を実施した。
血液試料を24時間にわたって採取し、Simbec Research Limited社(イギリス)にて定量下限値を9.84ng/mLとする検証済みの液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC−MS−MS)アッセイを用いて血漿中レボドパ濃度を測定した。非コンパートメント法、次いでラグタイムのある2−コンパートメントモデルを用いたPKモデルを用いて薬物動態解析を実施した。10〜50mgのレボドパFPDの用量で吸入により投与した90/8/2では、健常成人に20〜50mgの用量の微粒子を投用した後、用量に比例した血漿中レボドパ濃度の急速な増大がみられ、5〜10分以内に治療上関連があると思われるレベルに達した。
90/8/2吸入後のレボドパ血漿中濃度は、絶食条件での経口投与後の濃度よりも速く増大し、摂食条件下での濃度よりもはるかに速く増大した。血漿中濃度対時間曲線下面積の一部である0〜10分のAUC(AUC0〜10m)および投与後最初の10分間に観察された最高血漿中濃度(Cmax,10m)として表した薬物投与後最初の10分間の曝露量から、90/8/2吸入後の方が経口投与後よりもはるかに短時間で全身曝露がみられることがわかった。
被験者間の血漿中濃度のばらつきは、吸入の方が経口投与よりもはるかに小さく、経肺投与で予想されるものであった。この解析からほかにも、経口投与では絶食状態の方が摂食状態よりも吸収が速くなるが、依然として吸入よりはるかに遅いことがわかった。薬物動態モデリングでは、絶食または摂食状態での経口投与後のラグタイムが約9〜10分であるのに対し、90/8/2吸入後のラグタイムは0.5分未満であることがわかった。さらに、吸入後の方が経口投与よりも吸収半減期が短かった。
90/8/2吸入後、全身レボドパ曝露量は投与した90/8/2用量に比例していた。用量で正規化したCmaxおよびAUCは、投与した90/8/2用量全体にわたって極めて類似していた。用量で正規化した(推定微粒子用量に基づく)吸入後の曝露量は、AUCに基づくものでは経口投与の1.3〜1.6倍、Cmaxに基づくものでは1.6〜2.9倍であった。文献に記載されているように、経口投与後、摂食被験者に相当なCmaxの低下およびTmaxの延長が観察されたが、AUCは摂食被験者と絶食被験者との間に差はみられなかった。
クロスオーバーデザインで、カルビドパ前治療を実施して、または実施せずに40mg微粒子用量の90/8/2を吸入する本試験の第B部の血漿中濃度から、短時間で吸収され、血漿中濃度が治療レベルとなり得るレベルまで達することが明らかになった。血漿レボドパクリアランスは、CD前治療を実施しない方が約4倍速かった。同じように、CD前治療を実施しない方がCmaxおよびAUCが低く、TmaxおよびT1/2がいくぶん短かった。本試験の主な知見は以下の通りである:
・吸入90/8/2により血漿中レボドパ濃度が急速に増大した;
・CmaxおよびAUCに基づく投与後最初の10分間のレボドパへの全身曝露量は、90/8/2吸入投与の方が経口薬物投与よりもはるかに多かった;
・健常成人では微粒子用量20〜50mgの吸入後5〜10分以内に治療上関連すると思われるレボドパ血漿中濃度が得られた;
・対象間の血漿中レボドパ濃度のばらつきは、吸入後の方が経口投与よりもはるかに小さく、経肺投与で予想されるものであった;
・全身レボドパ曝露量は投与したレボドパ微粒子用量に比例していた;
・薬物動態モデリングから、吸入90/8/2の方が経口投与よりもはるかにラグタイムが短く、吸収速度が速いことがわかった;
・用量で正規化した(推定微粒子用量に基づく)吸入後の曝露量は、AUCに基づくものが経口投与の1.3〜1.6倍、Cmaxに基づくものが1.6〜2.9倍であった;
・カルビドパ前治療を実施しない場合、血漿レボドパクリアランスが約4倍になり、レボドパ曝露量が減少した。
緒言
この実施例では、標準的な経口薬に対して間欠的に不十分な反応がみられるパーキンソン病患者を対象とした運動症状変動(「オフエピソード」)のエピソード治療法として90/8/2を試験した。90/8/2は、患者の既存のドパデカルボキシラーゼ阻害剤(すなわち、カルビドパまたはベンセラジド)を含むパーキンソン病投薬レジメンの補助剤として用いられ得る。この試験は、ヒトを対象に90/8/2を用いた最初の試験であり、成人健常被験者を対象に90/8/2投与後の安全性、忍容性およびレボドパ薬物動態(PK)を経口レボドパと比較して評価するようデザインされたものである。
安全性および忍容性に関する結果は臨床試験で試験したものである。このPKデータ解析は、90/8/2の単回吸入投与後のレボドパおよび絶食または摂食条件で経口投与したレボドパ(LD;L−Dopa)のPKの比較のほか、カルビドパ(CD)による前治療を実施した場合と実施しなかった場合のレボドパのPKの比較について記載するものである。経口レボドパは、慣例的に処方したカルビドパ/レボドパ組合せ製剤として投与した。
試験デザインおよび目的
この試験は、健常な成人男性被験者および成人女性被験者を対象にした以下の2部からなる試験である:
・第A部:経口レボドパと比較した用量漸増の部。
・第B部:90/8/2±カルビドパ前治療の部。
試験第A部の主要な薬物動態学的目的は、健常成人を対象に単回吸入用量の90/8/2投与後のレボドパの薬物動態を検討することであった。第二の目的は、単回吸入用量投与後のレボドパの用量比例性を検討することおよび90/8/2と絶食状態または摂食状態で投与した経口レボドパのPKを比較することであった。第B部の目的は、90/8/2の忍容性および薬物動態をカルビドパ前治療を実施した場合と実施しなかった場合とで比較することであった。
第A部は、非盲検3期間クロスオーバー単回用量漸増試験とした。被験薬物による治療の1日前および当日、全被験者を経口カルビドパで治療した。各被験者には、1回のセッションで摂食または絶食状態で単回経口用量のCD/LD(25/100mg)を投与し、2回の異なるセッションで2種類の異なる吸入用量の90/8/2を単回漸増用量で投与した。それぞれ9例の被験者からなる2つのグループを登録した。第A部の試験デザインの概略を下の表1に示す:
Figure 2017513866
第B部は、非盲検2期間期間平衡クロスオーバー試験とした。第A部で得られた安全性およびPKデータを予備検討した後、等しい数の被験者に以下のように定めたレジメン:
レジメンA:CD前治療を実施する90/8/2
レジメンB:CD前治療を実施しない90/8/2
が2種類の投与順序、A→BまたはB→Aで実施されるように無作為化しバランスをとった方法で、被験者8例にCDによる前治療を実施して、および実施せずに、単回吸入90/8/2用量(40mgのレボドパFPD)を投与した後の安全性、忍容性およびレボドパPKの評価を実施した。
試験の第A部および第B部のカルビドパ治療を表2のスケジュールに従って標準化した。
第A部では、投与前およびCD/LD経口投与後10分、20分、30分、45分、60分、75分、90分、120分、4時間、8時間、16時間および24時間に血液試料を採取した。第A部および第B部の90/8/2吸入セッションでは、これと同じ時間の試料に加えて、1分後、2分後および5分後に追加の試料を採取した。定量下限値を9.84ng/mLとする検証済みの液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC−MS−MS)を用いて、Simbec Research Limitedによって、血漿中レボドパ濃度を測定した(2、3)。
Figure 2017513866
薬物動態解析の方法
非コンパートメント解析
各被験者および各治療の血漿中濃度および時間に関してデータ解析を実施した。WINNONLIN(登録商標)プロフェッショナルバージョン5.3により非コンパートメント解析を実施した。線形台形法を用いて時間0から最後の測定可能な時点までの曲線下面積(AUC0〜t)を推定した。最後の3時点以上にわたる線形回帰を用いて消失速度定数(λ)を推定し、これを用いて以下の方程式から終末相半減期(T1/2)および0〜無限大のAUC(AUC0〜∞)を推定した:
1/2=In(2)/λ
AUC0〜∞=AUC0〜t+C/λ
式中、Cは回帰直線によって予測される最後の測定可能な濃度である。血清クリアランスをバイオアベイラビリティで割った商(CL/F)および終末相の見かけの分布容積をバイオアベイラビリティで割った商(Vz/F)を以下の方程式:
CL/F=用量/AUC0〜∞
Vz/F=用量/(λ×AUC0〜∞
から推定し、最大濃度(Cmax)およびそれが観察された時間(Tmax)をデータから直接求めた。
薬物投与から最初の10分間の部分的AUC(AUC0〜10m)を台形法により計算した。最初の10分間で観察された最高血漿中濃度(Cmax,10m)を投与時から最大で10分後の試料採取時間までを含めて観察された最高血漿中濃度として求めた。用量で正規化した90/8/2吸入後のCmaxまたはAUCを用量で正規化した経口投与後のパラメータで割ることにより、吸入と経口の曝露比を計算した。AUCに基づく曝露比は経口薬物に対する吸入薬物の相対バイオアベイラビリティである。
maxから計算した血漿中濃度の両側を挟む血漿中濃度を2で割る2時点間の直線補間により、追加のパラメータである観察された最高血漿中濃度の半分に達するまでの時間(TCmax50)を計算した(Microsoft Excel)。
薬物動態モデリング
WINNONLTN(登録商標)プロフェッショナルバージョン5.3を用いて薬物動態モデリングを実施した。ラグタイムの有無を問わず1−コンパートメントモデルおよび2−コンパートメントモデルを含めた多数の異なるモデルを評価した。評価したモデルはいずれも一次入力とした。赤池情報量規準、残差平方和、推定パラメータの相対値およびそのそれぞれの標準誤差推定値、実測濃度と予測濃度との相関ならびに予測濃度と実測濃度との間の差の全般的傾向を含めた多数の診断基準に基づきモデルを評価した。
血漿中濃度対時間曲線の大部分を最もよく説明するモデルは、ラグタイムのある2−コンパートメントモデル(WINNONLIN(登録商標)モデル12)であった。吸入90/8/2を投与した被験者は推定ラグタイムが極めて短く、ほとんどの場合1分未満であったことから、そのデータセットのほとんどはラグタイムのないモデルでも十分に説明された。しかし、経口投与で得られたデータセットと比較するため、全被験者および全治療にラグタイムモデルを用いた。データセットのほとんどは、1−コンパートメントモデルよりも2−コンパートメントモデルの方がよく説明された。1−コンパートメントモデルをあてはめることができない場合もあった。1−コンパートメントモデルの方が優れている場合、統計学的診断基準に基づく両モデル間の差は極めて小さかった。このため、ここでは2−コンパートメントモデルを用いたモデルの結果を記載する。2−コンパートメントモデルスキーム1のモデルでは、分布容積を吸収された用量の画分で割った商(V/F)、ラグタイム(Tlag)、吸収および消失と関係のある速度定数(それぞれk01およびk10)およびコンパートメント間の速度定数(k12およびk21)の推定値が得られる。k12、k21およびk10から曲線の分布相および消失相と関係のある速度定数、αおよびβを計算した。一次パラメータから計算したその他の二次パラメータには、AUC、Cmax、Tmax、CL/Fのほか、曲線の吸収相、分布相および消失相と関係のある半減期(T1/2k01、Τ1/2α、Τ1/2β)が含まれる。モデルは方程式:
=Ae−αt+Be−βt+Ce−k01t
によって表され、Cは投与後の時間tにおける血漿中レボドパ濃度であり、A、BおよびCは曲線の分布相、消失相および吸収相のy軸切片であり、用量、容積および速度定数から計算される。
スキーム1
Figure 2017513866
いずれの解析にも均一重み付けを用い、アッセイによる定量化レベルを下回る値(BLQ、9.84ng/mL未満)として報告された血漿中濃度は、欠測値として処理した。解析から除外したデータポイントはなかった。
結果および考察
10〜50mgのレボドパFPDの用量で吸入により投与した90/8/2では、健常成人に20〜50mgの微粒子用量のレボドパを投与した後、用量に比例した血漿中レボドパ濃度の急速な増大がみられ、5〜10分以内に治療上関連があると思われるレベル(400〜500ng/mL)に達した。
図1は、90/8/2吸入後ならびに摂食および絶食条件下での100mg経口投与後の平均血漿中レボドパ濃度を示している。個々の値および濃度対時間のプロットは、カルビドパ前治療を実施した場合と実施しなかった場合のそれぞれ10mg、20mg、30mgおよび50mgのレボドパの吸入投与ならびに摂食および絶食条件下での100mgのレボドパ経口投与について計算したものである。
90/8/2吸入後の血漿中レボドパ濃度は、絶食条件での経口投与後の濃度よりも速く増大し、摂食条件下での濃度よりもはるかに速く増大した。90/8/2吸入から約5分後までに治療上関連する血漿中濃度に達した。20〜50mgのFPDの90/8/2を吸入してから5分以内に、血漿中濃度は400〜500ng/mLまたはそれ以上となり、これは治療上関連すると思われるものと観察された範囲である(4)。40mgおよび50mgのFPDの90/8/2を投与した後に達した血漿中濃度は、経口CD/LD(25/100mg)投与後に観察されたものと同じ範囲内にあった(図3)。
図2は、最初の10分間の平均血漿中濃度を経口投与後の濃度と比較したものを示したものである。表3には、薬物投与後の最初の10分間の曝露量が0〜10分のAUC(AUC0〜10m)および最初の10分間に観察された最高血漿中濃度(Cmax,10m)の両方で表されている。一部の被験者では、Cmax,10mが10分未満で観察された。
経口投与では絶食状態の方が摂食状態よりも吸収が速くなるが、依然として吸入後よりはるかに遅い。文献(5)に記載されているように、経口投与後、摂食被験者に相当なCmaxの低下およびTmaxの延長が観察されたが、AUC(表5)は摂食被験者と絶食被験者との間に差はみられなかった。
Figure 2017513866
治療後の血漿中濃度の被験者間のばらつきは、90/8/2吸入後の方が経口投与後よりもはるかに小さいものであった。図3に示されるように、吸入後(塗りつぶした印)では、50mgの90/8/2を投与した被験者のほとんどが投与後10分で血漿中濃度が400ng/mLを超え、一部の被験者は5分で400ng/mLを超え、20分後までに全員が400ng/mLを超えた。経口投与後(白い印)では、反応ははるかに遅く、投与後10分以内に400ng/mLに達した被験者は皆無であった。これ以外の用量群の個々の血漿中濃度およびばらつきのデータから、20mg以上のレボドパFPD用量では、一部の被験者が投与後5〜10分以内に血漿中濃度が400ng/mLを超え、反応のばらつきが経口投与後よりもはるかに小さかったことがわかる。所与の試料採取時間における治療群内での血漿中濃度の%CVで表されるばらつきの大きさが表4に示されており、投与から最初の30分以内では、90/8/2治療被験者のばらつきが絶食経口群の半分未満であり、経口被験者全体(摂食被験者と絶食被験者とを併せたもの)の約5分の1であったことがわかる。
Figure 2017513866
非コンパートメント解析により推定された薬物動態パラメータのまとめを表5に示す。CD前治療を実施した場合と実施しなかった場合の10mg、20mg、30mgおよび50mgの各吸入投与ならびに絶食および摂食条件下での100mg経口投与の非コンパートメントPK解析から、個々の被験者のパラメータ推定値を求めた。その結果から、レボドパ曝露量が投与した90/8/2用量に比例していたことがわかる。用量で正規化したCmaxおよびAUCは90/8/2用量全体で極めて類似している。さらに、表4および表5に用量比例性を示す。いずれの用量もT1/2に差はみられない。
Figure 2017513866
用量で正規化したAUC0〜∞の比から個々の被験者の経口レボドパに対する吸入90/8/2のバイオアベイラビリティを計算した。試験第A部の各被験者には経口投与を1回、吸入投与を2回実施したため、バイオアベイラビリティ推定値は各被験者について2つ、各吸入投与について1つ求めた。用量で正規化したCmax値で相対曝露量の計算も実施した。摂食および絶食条件下で投与した経口用量について個別に計算を実施した。相対バイオアベイラビリティ計算値の平均値および標準偏差を表6に示す。用量で正規化したCmaxから計算したカルビドパ/レボドパ、25/100mg)経口投与と比較した90/8/2(10〜50mgのレボドパ微粒子用量)の吸入後の相対レボドパ曝露量として個々の値を計算した。摂食被験者と絶食被験者との間にも用量群の間にも大きな差は認められないように思われる。用量で正規化した(推定微粒子用量に基づく)吸入後の曝露量は、AUCに基づくものが経口投与の約1.3〜1.6倍、Cmaxに基づくものが経口投与の約1.6〜2.9倍であった。
Figure 2017513866
血漿中濃度対時間プロファイルは、一次入力でラグタイムのある2−コンパートメントモデルによって最もよく説明された。WINNONLIN(登録商標)モデル12を用いて、個々のデータセットにモデリングを実施し、実測濃度および予測濃度の対時間プロットを作成した。いくつかの場合には、曲線の終末相の数箇所で濃度がほぼ同じであるか変動して傾きが平坦になったため、終末相半減期(T1/2β)の推定値が極めて大きくなった。このような場合の多くは、T1/2βが大きいことによりAUCの推定値が極めて大きいものとなった。これ以外にもモデルからのパラメータ推定値の変動により、一部のパラメータ推定値に異常値がいくつか生じた。このような値は、データ解析から除外するか、統計学的に外れ値として処理した。代わりに、平均値ではなく中央値によりデータをまとめる。したがって、示されるデータには異常な高値または低値が残っているが、グループの要約統計量に著しい影響を及ぼすものではない。
表7に示される薬物動態モデリングの結果から、経口投与後に約9分のラグタイムがあったことがわかる。比較により、吸入90/8/2と関係のあるラグタイムは0.5分未満という無視できる値であった。さらに、吸入90/8/2の吸収速度は、絶食状態での経口投与後の速度よりも速く(T1/2k01が短く)、摂食状態での吸収の約10倍であった。90/8/2吸入後の方がラグタイムがはるかに短く、吸収速度がはるかに速いことから、投与から最初の5〜10分以内に観察された全身曝露量が経口投与よりも多いことの説明がつく。このほか、算出されたパラメータであるCmaxの50%に達するまでの時間(TCmax50)から、90/8/2吸入の方が経口投与よりも短時間でレボドパ全身曝露がもたらされたことがわかる。摂食状態での経口投与を除けば、消失よりも吸収の方がはるかに速かった。
投与から最初の数分間にラグタイムと吸収速度が血漿中濃度に及ぼす複合的効果を、平均血漿中濃度のデータの薬物動態モデリングを表す図6に示す。このプロットは、90/8/2吸入および経口レボドパ投与の薬物動態モデルによって予測された濃度を投与から最初の60分間にわたって示している。印は観察された平均濃度を表し、線は薬物動態モデルによって予測された濃度を表す。予測値と実測値がよく相関していることから、このモデルがデータを十分に説明していることがわかる。この図はほかにも、90/8/2吸入により血漿中レボドパ濃度の急速な増大がもたらされ、投与後5〜10分以内に臨床的に関連すると思われる血漿中濃度を達成することが可能であり、曝露量が用量比例性であるという試験の他の観察結果を説明している。
Figure 2017513866
第B部
カルビドパ前治療を実施して、または実施せずに40mgのレボドパFPDの90/8/2を吸入するクロスオーバーデザインの試験第B部で得られた血漿中濃度を図7に示す。血漿中濃度および曝露量のピークはカルビドパ前治療を実施した場合の方が高かった。血漿レボドパクリアランスはCD前治療を実施しない場合の方が約4倍速かった。同じように、CD前治療を実施しない場合の方がCmaxおよびAUCが低く、TmaxおよびT1/2がいくぶん短かった(表8)。
Figure 2017513866
結論
この試験の主な知見は以下の通りであった:(i)吸入90/8/2により血漿中レボドパ濃度が急速に増大した;(ii)CmaxおよびAUCに基づく投与後最初の10分間のレボドパへの全身曝露量は、90/8/2吸入投与の方が経口薬物投与よりもはるかに多かった;(iii)健常成人では20〜50mgのレボドパ微粒子用量の90/8/2投与後5〜10分以内に治療上関連があると思われる血漿中レボドパ濃度が得られた;(iv)対象間の血漿中レボドパ濃度のばらつきは、吸入後の方が経口投与よりもはるかに小さかった;(v)全身レボドパ曝露量は投与したレボドパ微粒子用量に比例していた;(vi)薬物動態モデリングから、吸入90/8/2の方が経口投与よりもはるかにラグタイムが短く、吸収速度が速いことがわかった;vii)用量で正規化した(推定微粒子用量に基づく)吸入後の曝露量は、AUCに基づくものが経口投与の1.3〜1.6倍、Cmaxに基づくものが経口投与の1.6〜2.9倍であった;およびviii)カルビドパ前治療を実施しない場合、血漿レボドパクリアランスが約4倍になり、レボドパ曝露量が減少した。
実施例2
2種類の用量の経肺レボドパ(被験薬25mgおよび50mg)を検討した第2相試験は、3群(プラセボ、25mgおよび50mg)の多施設無作為化二重盲検プラセボ対照単回投与クロスオーバーデザイン試験とし、「非盲検」経口Sinemet群を含めた。この試験で治療したPD患者24例(24)には来院毎にL−Dopa血漿中レベル、運動反応および安全性の連続評価を実施した。オフ状態の患者に被験薬を投与し、連続評価を投与前に開始し、投与後180分まで継続した。タッピング検査、統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部(UPDRS III)ならびに「意味のある」オンおよびオフの主観的評価を用いて運動機能を測定した。モニターした安全性パラメータには、肺機能、臨床検査データ、EGCおよびバイタルサイン(血圧、心拍数および起立時血圧)を含めた。この試験は、経肺レボドパの運動機能に対する効果の時間、大きさおよび持続性を測定し、パーキンソン病患者における経肺レボドパの安全性および忍容性を評価するようデザインされたものである。
薬物動態パラメータと薬力学パラメータとの比較において、オフ状態の患者とオン状態の患者との間に驚くべき急勾配の曲線がみられることを発明者らは発見した。図8では、患者の血漿中レボドパ濃度とUPDRSスコアとを比較している。UPDRSは、パーキンソン病患者の薬物治療に対する反応および疾患進行を試験する標準的な検査である。図8からわかるように、オンの患者とオフの患者との間のレボドパ血漿中濃度の差は極めて小さい。わずか200〜400ng/mlのレボドパ血漿中濃度で、オフ状態にあるのかオン状態にあるのかの差が生まれる。実に際立っているのは、ここに示される患者4例のうち、全例にレボドパのベースライン血漿中濃度の有意な差が認められることである。このベースラインの血漿中レボドパレベルの差は、患者に効果のあるレボドパの有効量または有効濃度が患者それぞれによって異なることと関係がある。有効量または有効濃度が患者集団内で異なっているものの、オフからオンに移行するのに必要な血漿中濃度の増分は極めて小さい。
実施例3
第2(b)相無作為化二重盲検プラセボ対照試験
90/8/2を用いた第2b相試験のデザインおよび方法
この試験は、運動症状変動(オフエピソード)の認められるパーキンソン病(PD)被験者を対象とした1日当たり最大3回のオフエピソードを治療する吸入(吸入レボドパ[LD]粉末)またはプラセボの無作為化二重盲検プラセボ対照多施設試験とした。被験者を無作為化により1:1の比で割り付け、吸入90/8/2(ここでは「被験薬」とも呼ぶ)またはプラセボを投与した。無作為化は被験者のヘーンとヤールの段階(2.5未満と2.5以上)によって層別化し、各グループの疾患重症度のバランスをとった。
90/8/2 LD FPDは、90%のLDと、8%のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と、2%の塩化ナトリウム(NaCl)とで構成される均一な粒子からなるものである。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,496,002号に記載されている粉末剤吸入用の吸入装置を用いて90/8/2を送達した。90/8/2は、それぞれ名目充填重量が32mg(1カプセル当たりのLDは27.6mg)で、吸入可能なLDの用量約17mgのFPDが肺に送達されるよう設計されたサイズ00のヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース[HPMC])カプセルで提供した。
選択した2種類の90/8/2用量レベル(約34mgのFPDおよび50mgのFPD)は、健常成人被験者を対象とした試験で得られた安全性および薬物動態(PK)データならびに本明細書の実施例1の安全性、健常成人被験者で実施した実施例1の試験で得られたPKのほか、実施例2に記載したPD患者を対象に実施した試験で得られた安全性、PKおよび薬物動態データに基づいたものである。盲検性を維持するため、全患者に外見の同じ被験薬キットを与え、各投与で同じ数のカプセル(第1週および第2週は2カプセル、第3週および第4週は3カプセル)を吸入するよう指示した。患者には、カプセルの吸入と吸入の間に必要に応じて水を少し飲むことを許可した。
プラセボ吸入粉末は、それぞれ名目充填重量が10mgのサイズ00のHPMCカプセルで提供した。プラセボ吸入粉末は、吸入グレードのラクトース一水和物であるNFである。ラクトースの粒子径は、吸入粉末のヘッドへの沈着が同程度になり、吸入の感覚を模倣するよう選択した。
試験期間中、エピソード治療1回当たり約35mgのLD微粒子用量(FPD)とする用量レベル1(DL1)および約50mgのLD FPDとする用量レベル2(DL2)の2種類の90/8/2用量レベルを検討した。盲検吸入被験薬DL1の1回目の投与は来院3回目に診療所で実施した(すなわち、90/8/2またはプラセボのいずれかを2カプセル吸入させた);各90/8/2カプセルで約17.5mgのLD FPDが送達される。DL2の盲検被験薬の1回目の投与は来院5回目に実施した(すなわち、90/8/2またはプラセボのいずれかを3カプセル吸入させた)。
試験は、スクリーニング、治療および追跡からなる3期間とし、来院は計7回(スクリーニング来院2回、治療来院4回および追跡来院1回)とした。各被験者とも、治療期間を約4週間とし、試験期間の範囲を約8〜10週間とした。各患者は4週間、1日当たり最大3用量の吸入被験薬を自己投与することになる。スクリーニングから最後の試験来院まで、被験者の通常のPD薬の用量または投与スケジュールの変更は一切認めなかった。
被験者適格性
年齢30〜80歳の男性および女性被験者で、30歳より後に特発性PDであると診断されており;UK Brain Bank基準の段階1および2を満たし;オン状態で修正版ヘーンとヤールの段階1〜3に分類され;自己報告およびPD日誌の確認により日中覚醒時当たり最低2時間の平均1日オフ時間にわたって運動症状変動が認められ(早朝のオフ時間を除く);許容可能なLD反応を示す被験者を、この試験に参加するのに適格であるとした。被験者はスクリーニング来院1回目の前に少なくとも2週間、経口LDを含む安定な治療用量/レジメンを受けていなければならず;LD/ドパミンデカルボキシラーゼ阻害剤(DDI)を含むレジメンには日中覚醒時に少なくとも4回投与する投与スケジュールが含まれていなければならない。被験者はスクリーニング来院1回目の前に少なくとも4週間、安定に他のPD投薬を受けている必要がある。被験者はスクリーニング時、オフ状態とオン状態で記録されたUPDRS第三部スコアの間に25%以上の差が認められなければならない。被験者は、試験期間中、毎日の投薬量を理解し(介護者の補助の有無を問わない)、それを変更していない者でなければならない。被験者は、ミニメンタルステート検査(MMSE)でスコアが25以上であることにより認知機能が正常であることが確認された者でなければならない。被験者はスクリーニング時、オン状態でのスパイロメトリーにより予測されるスクリーニングFEV1が60%超、FEV1/FVC比が75%以上であり、肺疾患の病歴が認められない者でなければならない。
評価基準および評価項目
試験の目的および変数を表9に記載する。
Figure 2017513866
Figure 2017513866
Figure 2017513866
以下の基準により概要が示される診療所内および在宅(外来患者)両方の評価により有効性を評価した:
診療所内の基準:UPDRS第三部運動スコア;診療所内で被験薬を投与してからオフエピソードがオン状態に解消されるまでの時間(試験者による評価);被験薬投与後のジスキネジアの頻度、持続時間および重症度
在宅の基準:被験者の報告による被験薬投与後からオフエピソードがオン状態に解消されるまでの時間(吸入投薬治療記録から)、1日のジスキネジアが認められないオン時間、ジスキネジア(対処困難なものであるかどうかを問わない)が認められるオン時間およびオフ時間に関するPD日誌の情報。
以下の診査評価を実施した:PGI−C、PDQ−39、上記の有効性基準(90/8/2治療群における2用量レベル間で潜在する差を評価するためのもの)。
身体検査、有害事象(AE)報告、標準時および起立時のバイタルサイン(血圧および心拍数)、呼吸数、臨床検査値(血液学的検査、生化学的検査)、心電図(ECG)および肺機能評価のためのスパイロメトリーから安全性を評価した。さらに、ベースライン時および追跡来院時に自殺傾向、嗜眠および衝動制御行動を評価するための評価を実施した。
ベースライン特性
患者86例を試験に登録した。来院2回目の前の連日3日間、患者に覚醒時のオン/オフ状態(オフ時間、ジスキネジアが認められないオン時間、対処困難ではないジスキネジアが認められるオン時間、対処困難なジスキネジアが認められるオン時間)および睡眠時間を記録するスクリーニングPD日誌をもれなく記入させた。さらに、来院2回目の前の7日間、患者に日中覚醒時に認められる各オフエピソードに関する以下の情報:オフエピソードの開始時間、次のオン時間の開始時間および患者の標準的LD薬の使用方法を記録させるオン/オフエピソードのスクリーニングおよび投薬記録を記入させる。
患者が現在用いているレボドパ治療レジメンを約3時間毎に服用しているにもかかわらず、これらの患者は覚醒時間の約1/3〜1/2がオフであることを報告した(表10および11を参照されたい)。
Figure 2017513866
Figure 2017513866
したがって、表12および13に示すように、PD患者のオフ期間の管理は未だ満たされていない重要な必要事項であることは明らかである。表12に被験薬またはプラセボ投与前の各患者の投与レジメンの平均値を示す。
Figure 2017513866
表13に被験薬またはプラセボ投与前に患者が日誌に報告した1日の平均オフ時間および平均オン時間を示す。
Figure 2017513866
第2b相試験のスクリーニングの段階およびいずれかのグループに被験薬またはプラセボのいずれかを投与する前にベースラインのUPDRS第三部スコアを測定した。そのデータを表14に示す。
Figure 2017513866
被験薬またはプラセボのいずれかに曝露する試験の記録日数は合計約6.5患者年(2,369患者日)であった。治療したオフ期間の総数は投与した総用量に等しく、約4,484であり、プラセボが2314用量、被験薬が2369用量であった。試験全体で使用したプラセボまたは被験薬のカプセルの総数は11,115個であった。患者の1例は対処困難なジスキネジアのため用量を減量したが、プラセボを投与した患者であった。被験薬を投与した患者の1例は嘔気ため用量を減量した。患者自身の記録に基づくと、被験薬の1日当たりの平均使用回数は、早朝の「オフ」時間を除いて2.1回/日であった。
結果
第2b相試験の主要評価項目は、被験薬とプラセボとの間で来院6回目の投与前のUPDRS第三部スコア平均値からの平均変化量(投与後10〜60分)の差を評価するためのものであった(DL2)。DL1を用いた来院4回目および来院5回目(1回目のDL2投与)におけるこれと同じ差を副次評価項目として用いた。UPDRSに従うにあたっては、UPDRS運動スコアの臨床的に重要な差(CID)は、最小が2.5ポイント、中程度が5.2ポイント、大きいCIDは10.8ポイントとする(Shulmanら,Arch Neurol,Vol.67(Jan 2010))。
90/8/2は、来院6回目、用量50mgでUPDRS第三部運動スコア平均値のプラセボからの統計学的に有意な減少(投与後10〜60分間にわたる)という主要評価項目を満たしていた。患者の87%に60分後の時点で臨床的に意味のあるUPDRS IIIの減少が得られた。さらに、90/8/2は、来院4回目、来院5回目および来院6回目に両方の試験用量(35mgおよび50mg)を評価した全時点(すなわち、10分後、20分後、30分後および60分後)で臨床的に関連のある統計学的に有意な減少を示した。臨床的に関連のあるUPDRS IIIの改善は、投与からわずか10分後でも明らかであった。来院6回目、90/8/2(用量50mg)で治療した後、少なくとも投与後60分まで臨床的に重要な反応が維持された。90/8/2とプラセボとの差は投与後の各時点で統計学的に有意なものであった。
表15に前スクリーニングならびに来院4回目(V4)、来院5回目(V5)および来院6回目(V6)における被験薬群とプラセボ群の投与前UPDRSスコアの比較を示す。用量レベル1(DL1)は来院4回目に送達し、用量レベル2(DL2)は来院5回目および6回目に送達した。
Figure 2017513866
図9および10に示されるように、いずれの時点でも50mgのFPD(図9)および35mg(図10)で投与した被験薬に統計学的差がみられた。
表16に来院4〜6回目それぞれのUPDRS第三部の最大変化量の平均値を示す。
Figure 2017513866
表17に来院4回目〜6回目それぞれのUPDRS第三部の最大変化百分率(%)の平均値を示す。
Figure 2017513866
まとめ
本明細書に記載したデータの通り、第2b相試験では、プラセボと比較して、来院6回目の投与後10〜60分における投与前からのUPDRS第三部スコア平均値の統計学的に有意な平均変化量を示す主要評価項目が得られた。データからほかにも、UPDRSの時間曲線の形状が迅速かつ持続性のある反応を示し、用量35mg(DL1)の振幅は用量50mg(DL2)とほぼ同じであるが、効果の持続時間がわずかに短い可能性があることがわかった。このほか、UDPRS第三部スコアの最大変化量および最大変化百分率はいずれの来院および用量も統計学的に有意なものであり、プラセボの反応が減衰する前のV4(DL1)でも大きな開きがみられた。
データからほかにも、図11に示されるように、ジスキネジアが認められるオン時間の増大を伴わない安定で臨床的に意義があり統計学的に有意な1日オフ時間の改善が示された。図11は、被験薬群の被験患者が報告した対処困難なジスキネジアおよび対処困難でないジスキネジア(患者自身がそれぞれのPD日誌に報告したもの)をプラセボ群と比較したデータを示している。実施例1および2ならびに本実施例の試験はほかにも、同薬物が第1相、第2a相および第2b相の全試験で試験した全用量レベルにおいて安全で忍容性に優れていることを示している。
本明細書で言及される特許および科学文献は、当業者に利用可能な知識を明らかにするものである。本明細書に引用される米国特許および公開または未公開の米国特許出願はいずれも参照により組み込まれる。本明細書に引用される公開外国特許および外国特許出願は参照により本明細書に組み込まれる。その他の公開されている参考文献、資料、原稿および科学文献で本明細書に引用されているものは、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、その好ましい実施形態を参照しながら具体的に図示および記載されているが、当業者には、添付の「特許請求の範囲」に包含される本発明の範囲から逸脱することなく、その形態および詳細に様々な変更を施し得ることが理解されよう。このほか、本明細書に記載される実施形態は互いに排反するものではなく、本発明に従って様々な実施形態の特徴の全部または一部を組合せ得ることが理解されるべきである。

Claims (47)

  1. パーキンソン病(PD)患者のオフエピソードを治療する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、投与後、前記患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアがプラセボ対照に比して少なくとも5ポイント改善される、方法。
  2. 前記患者のUDPRS第三部スコアが、プラセボ対照に比して少なくとも5〜10ポイント改善される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者の前記肺系に約30mg〜約60mgの微粒子用量(FPD)のレボドパを投与する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記患者に35mgまたは50mgのFPDのレボドパを投与する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者に前記レボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない、請求項1に記載の方法。
  6. 前記患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記FPDのレボドパの投与後60分以内に、前記患者のUDPRS第三部スコアがプラセボ対照に比して少なくとも5〜10ポイント改善される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記FPDのレボドパを含有する少なくとも1つのカプセルの内容物を吸入により前記患者に投与する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記FPDのレボドパを含む少なくとも2つのカプセルの内容物を吸入により前記患者に投与する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記微粒子用量のレボドパを、吸入装置により前記少なくとも1つのカプセルから前記肺系に送達する、請求項9に記載の方法。
  12. 前記吸入装置が乾燥粉末吸入器(DPI)または定量吸入器(MDI)である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記投与をオフ症状の出現時に実施する、請求項1に記載の方法。
  14. パーキンソン病患者のオフ期間を治療する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、前記患者のUDPRS第三部スコアが、前記FPDのレボドパを投与する前の前記患者のUPDRSスコアに比して少なくとも約5〜約12ポイント改善される、方法。
  15. 前記患者の前記肺系に約30mg〜約60mgの微粒子用量(FPD)のレボドパを投与する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記患者に35mgまたは50mgのFPDのレボドパを投与する、請求項14に記載の方法。
  17. 前記患者に前記レボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない、請求項14に記載の方法。
  18. 前記患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる、請求項14に記載の方法。
  19. 前記患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる、請求項14に記載の方法。
  20. 前記FPDのレボドパの投与後60分以内に、前記患者のUDPRS第三部スコアが少なくとも8ポイント改善される、請求項14に記載の方法。
  21. 前記FPDのレボドパを含有する少なくとも1つのカプセルの内容物を吸入により前記患者に投与する、請求項14に記載の方法。
  22. 前記FPDのレボドパを含む少なくとも2つのカプセルの内容物を吸入により前記患者に投与する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記微粒子用量を、吸入装置により前記少なくとも1つのカプセルから前記肺系に送達する、請求項21に記載の方法。
  24. 前記吸入装置が乾燥粉末吸入器(DPI)または定量吸入器(MDI)である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記投与をオフ症状の出現時に実施する、請求項14に記載の方法。
  26. 前記患者のUDPRS第三部スコアが、前記FPDのレボドパを投与する前の前記患者のUPDRSスコアに比して少なくとも8ポイント改善される、請求項14に記載の方法。
  27. パーキンソン病患者の平均1日オフ時間を短縮する方法であって、患者の肺系に少なくとも1日2回、レボドパを投与することを含み、前記患者の平均1日オフ時間が少なくとも1時間短縮される、方法。
  28. 前記患者の平均1日オフ時間が少なくとも3時間短縮される、請求項27に記載の方法。
  29. 前記患者の前記肺系に約30mg〜約60mgの微粒子用量(FPD)のレボドパを投与する、請求項27に記載の方法。
  30. 前記患者に35mgまたは50mgのFPDのレボドパを投与する、請求項27に記載の方法。
  31. 前記患者に前記レボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない、請求項27に記載の方法。
  32. 前記患者に1日約3〜約4回のオフエピソードが認められる、請求項27に記載の方法。
  33. 前記患者に1日約4〜約8時間のオフエピソードが認められる、請求項27に記載の方法。
  34. パーキンソン病患者にレボドパを送達する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、前記患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアが、投与前の前記患者のUPDRSスコアに比して少なくとも8ポイント改善される、方法。
  35. 前記FPDのレボドパの投与後60分以内に、前記患者のUDPRS第三部スコアが少なくとも8ポイント改善される、請求項34に記載の方法。
  36. パーキンソン病患者にレボドパを送達する方法であって、患者の肺系にレボドパを投与することを含み、投与後、前記患者の統一パーキンソン病評価尺度(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale:UPDRS)第三部スコアがプラセボ対照に比して少なくとも5ポイント改善される、方法。
  37. 前記FPDのレボドパの投与後60分以内に、前記患者のUDPRS第三部スコアがプラセボ対照に比して少なくとも5〜10ポイント改善される、請求項36に記載の方法。
  38. 前記患者の前記肺系に約30mg〜約60mgのFPDのレボドパを投与する、請求項36に記載の方法。
  39. 前記患者に35mgまたは50mgのFPDのレボドパを投与する、請求項36に記載の方法。
  40. 前記患者に前記レボドパの経肺投与前のジスキネジアのレベルに比してジスキネジアの増大が認められない、請求項36に記載の方法。
  41. 前記FPDのレボドパを含有する少なくとも1つのカプセルの内容物を吸入により前記患者に投与する、請求項36に記載の方法。
  42. 前記FPDのレボドパを含む少なくとも2つのカプセルの内容物を吸入により前記患者に投与する、請求項41に記載の方法。
  43. 前記微粒子用量のレボドパを、吸入装置により前記少なくとも1つのカプセルから前記肺系に送達する、請求項41に記載の方法。
  44. 前記吸入装置が乾燥粉末吸入器(DPI)または定量吸入器(MDI)である、請求項43に記載の方法。
  45. 前記投与をオフ症状の出現時に実施する、請求項36に記載の方法
  46. 前記患者の前記肺系に約30mg〜約60mgのFPDのレボドパを投与する、請求項34に記載の方法。
  47. 前記患者に35mgまたは50mgのFPDのレボドパを投与する、請求項34に記載の方法。
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