JP2017510032A - アンジュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】自由電子レーザ用のアンジュレータを提供する。【解決手段】自由電子レーザ用のアンジュレータ(24b)は、電子ビーム用のパイプ(140)と、パイプに沿って軸方向に延びる1つ以上の周期的磁気構造(142)と、を含む。それぞれの周期的磁気構造は、複数の磁石(144)と複数の受動強磁性素子(148)とを含み、複数の磁石が、軸方向に延びる一列に複数の受動強磁性素子と交互に配置される。複数の磁石のそれぞれはパイプから空間的に分離され、受動強磁性素子のそれぞれはパイプに向かって隣接磁石から半径方向に延びる。磁石とパイプとの間にスペーサエレメント(146)を設け、磁石のための放射線遮蔽及び/又はパイプの冷却を提供することができる。【選択図】図9

Description

関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2014年3月31日に出願され、参照により全体として本明細書に取り入れられるヨーロッパ特許出願第1462828.9号に関連するものである。
[0002] 本発明は、自由電子レーザ用のアンジュレータに関する。排他的ではないが、特に、自由電子レーザはリソグラフィシステム用の放射の発生に使用することができる。
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板に適用するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使用可能である。リソグラフィ装置は、例えば、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層にパターニングデバイス(例えば、マスク)からのパターンを投影することができる。
[0004] 基板上にパターンを投影するためにリソグラフィ装置によって使用される放射の波長は、その基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズを決定する。4〜20nmの範囲内の波長を有する電磁放射であるEUV放射を使用するリソグラフィ装置を使用して、従来の(例えば、193nmの波長を有する電磁放射を使用することができる)リソグラフィ装置より小さいフィーチャを基板上に形成することができる。
[0005] リソグラフィ及びその他の適用例の場合、既知の出力及び/又は特定の空間強度分布を有する放射ビームを発生できることが望ましい。
[0006] 本発明の一目的は、従来技術の少なくとも1つの問題を未然に防ぐか又は軽減することにある。
[0007] 本発明の第1の態様によれば、周期経路に沿って電子ビームを誘導するためのアンジュレータであって、アンジュレータに沿って軸方向に延びる1つ以上の周期的磁気構造であって、それぞれの周期的磁気構造が、複数の磁石と複数の受動強磁性素子とを含み、複数の磁石が、軸方向に延びる一列に複数の受動強磁性素子と交互に配置される、1つ以上の周期的磁気構造を含み、複数の磁石のそれぞれが、電子ビームが辿る周期経路から空間的に分離され、受動強磁性素子のそれぞれが、電子ビームが辿る周期経路に向かって隣接磁石から半径方向に延びる、アンジュレータが提供される。
[0008] 第1の態様のアンジュレータは、アンジュレータの磁石が電子ビームの経路に可能な限り近くなければならないと慣習的に理解されている既知のアンジュレータ設計と比較して、有利に長寿化を可能にするものである。第1の態様によりアンジュレータ内において磁石と電子ビームの経路との間に追加の空間分離を設けることにより、磁石のより安定した温度を達成することができ、磁石の磁場を安定化する。追加的に、第1の態様は磁石を積極的に遮蔽する能力を提供する。
[0009] アンジュレータは、それを通って電子ビームが伝搬できるパイプを更に含むことができる。パイプは真空にすることができる。パイプは電子ビームが辿る経路を実質的に取り囲むことができる。電子ビームが辿る経路は実質的にパイプの中心に沿って延びることができる。パイプを含む実施形態の場合、複数の磁石のそれぞれはパイプから空間的に分離することができ、受動強磁性素子のそれぞれはパイプに向かって隣接磁石から半径方向に延びることができる。このような配置では、電子ビームがパイプを通って伝搬した結果として、パイプは電子ビームが発生したウェークフィールドにより熱くなる可能性がある。パイプを含む実施形態の場合、電子ビームの経路から永久磁石を半径方向に間隔をあけることによるもう1つの利点は、これにより、パイプから熱を放散することができる冷却液システムのための空間が得られることである。
[0010] アンジュレータは、複数のスペーサエレメントを更に含むことができる。複数の磁石のうちの1つ以上は複数のスペーサエレメントのうちの1つによって周期経路から分離することができる。スペーサエレメントは、磁石の消磁を引き起こすことができる高エネルギー電子及び/又は光子から磁石を有利に遮蔽することができる。
[0011] 複数のスペーサエレメントは非磁性体で形成することができる。
[0012] 複数のスペーサエレメントは比較的小さいモリエール半径と比較的高い密度を有する材料で形成することができる。
[0013] 複数のスペーサエレメントはタングステン又は鉛で形成することができる。
[0014] 複数のスペーサエレメントは、29〜33、40〜51、及び72〜83の範囲内の原子番号を有する元素を含む合金で形成することができる。
[0015] 複数のスペーサエレメントは、少なくともそれが形成される材料のモリエール半径の半径厚さを有することができる。
[0016] 複数のスペーサエレメントは1cmより大きい半径厚さを有することができる。複数のスペーサエレメントは3cmより大きい半径厚さを有することができる。
[0017] アンジュレータは電子ビームが通過するためのパイプを更に含むことができる。1つ以上の周期的磁気構造のそれぞれはパイプに沿って軸方向に延びることができる。
[0018] 複数の磁石のそれぞれは複数のスペーサエレメントのうちの1つによってパイプから分離することができる。
[0019] 所与の周期構造の複数の磁石は、周期的磁気構造の長さに沿って磁石の分極が正の軸方向と負の軸方向の間で交互になるように配置することができる。
[0020] 磁石は希土類磁石を含むことができる。
[0021] 磁石は遷移金属と希土類元素の合金で形成することができる。
[0022] 合金はReTm又はReTm17の形にすることができ、ここでReは希土類元素であり、Tmは遷移金属である。希土類元素は、サマリウム(Sm)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、又はジスプロシウム(Dy)のうちのいずれかを含むことができる。遷移金属は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、又はハフニウム(Hf)のうちのいずれかを含むことができる。磁石は、サマリウムとコバルトの合金で形成されるサマリウムコバルト(SmCo)磁石を含むことができる。
[0023] 合金はホウ素を更に含むことができる。合金はReTm17Bの形にすることができ、ここでReは希土類元素であり、Tmは遷移金属である。
[0024] 軸方向に垂直な平面では、それぞれの受動強磁性素子の断面は、隣接磁石と位置合わせされた半径方向外側部分と、周期経路に向かって延びる半径方向内側部分とを含むことができる。
[0025] 半径方向内側部分は、内側に向かって先細になる可能性がある。
[0026] アンジュレータは、アンジュレータの外面上に中性子吸収材を更に含むことができる。
[0027] アンジュレータには、それを通って冷却液を循環させることができる1つ以上の冷却水路を設けることができる。
[0028] 1つ以上の冷却水路は複数のスペーサエレメント内に設けることができる。代替的に、1つ以上の冷却水路はパイプ内に設けることができる。
[0029] アンジュレータは、一方の側の周期経路ともう一方の側の磁石及び受動強磁性素子との間にサーマルバリアを更に含むことができる。
[0030] サーマルバリアは、一方の側のスペーサエレメントともう一方の側の磁石及び受動強磁性素子との間に設けることができる。
[0031] サーマルバリアは、一方の側のパイプともう一方の側の磁石及び受動強磁性素子との間に設けることができる。
[0032] サーマルバリアはギャップを含むことができる。ギャップは真空条件下に保持することができる。
[0033] サーマルバリアは、アンジュレータの1つ以上の表面上にコーティングされた低放射率フィルムを含むことができる。
[0034] 強磁性素子は、95%を超える鉄を含む軟鉄で形成することができる。
[0035] 強磁性素子は、20%を超える鉄と20%を超えるコバルトを含む合金で形成することができる。
[0036] 強磁性素子は、Fe49Co49の形で鉄、コバルト、及びバナジウムを含む合金で形成することができる。
[0037] 本発明の第2の態様によれば、周期経路に沿って電子ビームを誘導するためのアンジュレータであって、アンジュレータに沿って軸方向に延びる1つ以上の周期的磁気構造であってそれぞれの周期的磁気構造が複数の磁石を含む1つ以上の周期的磁気構造と、複数のスペーサエレメントと、を含み、複数の磁石のうちの1つ以上が、複数のスペーサエレメントのうちの1つによって電子ビームが辿る周期経路から空間的に分離される、アンジュレータが提供される。
[0038] 複数のスペーサエレメントは非磁性体で形成することができる。
[0039] 複数のスペーサエレメントは比較的小さいモリエール半径と比較的高い密度を有する材料で形成することができる。
[0040] 複数のスペーサエレメントは、少なくともそれが形成される材料のモリエール半径の半径厚さを有することができる。
[0041] アンジュレータは電子ビームが通過するためのパイプを更に含むことができ、1つ以上の周期的磁気構造のそれぞれはパイプに沿って軸方向に延びる。
[0042] 複数の磁石のそれぞれは複数のスペーサエレメントのうちの1つによってパイプから分離することができる。
[0043] 本発明の第3の態様によれば、周期経路に沿って電子ビームを誘導するためのアンジュレータモジュールであって、電子ビーム用のビームパイプであってアンジュレータモジュールの軸を画定するビームパイプと、軸に沿って周期磁場を発生するように動作可能な超伝導磁石アセンブリと、超伝導磁石アセンブリを第1の温度まで冷却するように動作可能な第1の冷却液システムと、ビームパイプを第2の温度まで冷却するように動作可能な第2の冷却液システムと、を含む、アンジュレータモジュールが提供される。
[0044] ビームパイプと超伝導磁石アセンブリとの間にサーマルバリアを設けることができる。サーマルバリアは、熱放射によってビームパイプと超伝導磁石アセンブリとの間の熱伝達を低減するように配置することができる。
[0045] サーマルバリアはビームパイプと超伝導磁石アセンブリとの間のギャップを含むことができる。
[0046] サーマルバリアは多層断熱を含むことができる。
[0047] 超伝導磁石アセンブリは1つ以上の周期的磁気構造を含むことができる。1つ以上の周期的磁気構造のそれぞれは、その周りに超伝導線材のコイルが巻き付けられた複数の強磁性素子を含むことができる。
[0048] 第1の冷却液システムは冷却液として液体ヘリウムを使用することができる。
[0049] 第2の冷却液システムは冷却液として液体窒素を使用することができる。
[0050] 本発明の第4の態様によれば、複数のバンチの相対論的電子を含む電子ビームを発生するための電子源と、電子ビームがアンジュレータ内の放射と相互作用し、放射の放出を刺激し、放射ビームを提供するように、電子ビームを受け取ってそれを周期経路に沿って誘導するように配置された本発明の第1、第2、又は第3の態様によるアンジュレータと、を含む、自由電子レーザが提供される。
[0051] 本発明の第5の態様によれば、本発明の第2の態様による自由電子レーザと、少なくとも1つのリソグラフィ装置であってそのそれぞれが自由電子レーザが発生した少なくとも1つの放射ビームの少なくとも一部分を受け取るように配置される少なくとも1つのリソグラフィ装置と、を含む、リソグラフィシステムが提供される。
[0052] 上記又は下記で述べる本発明の様々な態様及び特徴は、当業者にとって容易に明らかになる本発明のその他の様々な態様及び特徴と組み合わせることができる。
[0053] 添付の概略図に関連して、例としてのみ、本発明の実施形態について以下に説明する。
本発明の一実施形態による自由電子レーザを含むリソグラフィシステムの概略説明図である。 図1のリソグラフィシステムの一部を形成するリソグラフィ装置の概略説明図である。 図1のリソグラフィシステムの一部を形成する自由電子レーザの概略説明図である。 図3の自由電子レーザの一部を形成可能な第1のアンジュレータの軸に平行な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図4の第1のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図4の第1のアンジュレータの軸に平行な平面における、そのアンジュレータの一部分の部分断面図の概略説明図であって、アンジュレータのパイプが示されていない図である。 図4の第1のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部を形成する磁石のうちの1つの断面図の概略説明図である。 図4の第1のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部を形成する強磁性素子のうちの1つの断面図の概略説明図である。 図3の自由電子レーザの一部を形成可能な第2のアンジュレータの軸に平行な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図9の第2のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図3の自由電子レーザの一部を形成可能な第3のアンジュレータの軸に平行な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図11の第3のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図11の第3のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部を形成する強磁性素子のうちの1つの断面図の概略説明図である。 図11の第3のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部を形成する磁石ののうちの1つの断面図の概略説明図である。 図11の第3のアンジュレータの軸に垂直な平面における、そのアンジュレータの一部を形成するスペーサエレメントのうちの1つの断面図の概略説明図である。 図3の自由電子レーザの一部を形成可能な第4のアンジュレータの軸に平行な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図3の自由電子レーザの一部を形成可能な第5のアンジュレータの軸に平行な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。 図17の第5のアンジュレータの軸に平行な平面における、そのアンジュレータの一部分の断面図の概略説明図である。
[0054] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィシステムLSを示している。このリソグラフィシステムLSは、放射源SOと、ビームスプリッティング装置19と、8つのリソグラフィ装置LA1〜LA8と、を含む。放射源SOは、極端紫外(EUV)放射ビームB(メインビームと呼ぶ場合もある)を発生するように構成される。メイン放射ビームBは複数の放射ビームB〜B(分岐ビームと呼ぶ場合もある)に分割され、そのそれぞれはビームスプリッティング装置19によってリソグラフィ装置LA1〜LA8のうちの異なる装置に誘導される。分岐放射ビームB〜Bはメイン放射ビームから連続して分割することができ、それぞれの分岐放射ビームは直前の分岐放射ビームの下流のメイン放射ビームから分割される。この場合、分岐放射ビームは、例えば、実質的に互いに平行に伝搬することができる。
[0055] 放射源SO、ビームスプリッティング装置19、及びリソグラフィ装置LA1〜LA8はいずれも、外部環境から隔離できるように構築し配置することができる。EUV放射の吸収を最小限にするために、放射源SO、ビームスプリッティング装置19、及びリソグラフィ装置LA1〜LA8の少なくとも一部に真空を提供することができる。リソグラフィシステムLSの異なる部分に異なる圧力の真空を提供する(即ち、大気圧未満の異なる圧力に保持する)ことができる。
[0056] 図2を参照すると、リソグラフィ装置LA1は、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTと、を含む。照明システムILは、パターニングデバイスMAに入射する前にそのリソグラフィ装置LA1によって受け取られる分岐放射ビームBを調節するように構成される。投影システムPSは、基板W上に放射ビームB’(この時点でマスクMAによってパターン付与されている)を投影するように構成される。基板Wはあらかじめ形成されたパターンを含むことができる。この場合、リソグラフィ装置は、パターン付与された放射ビームB’を、基板W上にあらかじめ形成されたパターンと位置合わせする。
[0057] リソグラフィ装置LA1によって受け取られた分岐放射ビームBは、照明システムILの封鎖構造内の開口部8を通ってビームスプリッティング装置19から照明システムIL内に入る。任意選択で、分岐放射ビームBは、開口部8に又はその付近に中間焦点を形成するように合焦させることができる。
[0058] 照明システムILは、ファセット型視野ミラーデバイス10及びファセット型瞳ミラーデバイス11を含むことができる。ファセット型視野ミラーデバイス10及びファセット型瞳ミラーデバイス11は協力して、所望の断面形状と所望の角分布を有する放射ビームBを提供する。放射ビームBは照明システムILから出て、支持構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAに入射する。パターニングデバイスMAは放射ビームを反射してパターン付与し、パターン付きビームB’を形成する。照明システムILは、ファセット型視野ミラーデバイス10及びファセット型瞳ミラーデバイス11に加えて又はそれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含むことができる。照明システムILは、例えば、独立可動ミラーのアレイを含むことができる。独立可動ミラーは、例えば、差し渡し1mm未満にすることができる。独立可動ミラーは、例えば、微小電子機械システム(MEMS)デバイスにすることができる。
[0059] パターニングデバイスMAから反射した後、パターン付き放射ビームB’は投影システムPSに入る。投影システムPSは、基板テーブルWTによって保持された基板Wに放射ビームB’を投影するように構成された複数のミラー13、14を含む。投影システムPSは、放射ビームに縮小係数を適用し、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャより小さいフィーチャを有する像を形成することができる。例えば、4という縮小係数を適用することができる。投影システムPSは図2では2つのミラーを有するが、投影システムは任意の数のミラー(例えば、6つのミラー)を含むことができる。
[0060] 放射源SOは、十分な出力を有するEUV放射ビームBを発生して、リソグラフィ装置LA1〜LA8のそれぞれに供給するように構成される。この放射源は自由電子レーザを含む。
[0061] 自由電子レーザは、バンチ化した相対論的電子ビームを発生するように動作可能な電子源及び加速器と、それを通って相対論的電子バンチを誘導する周期磁場と、を含む。周期磁場はアンジュレータによって発生され、重心軸の周りの発振経路を電子に辿らせる。磁気構造によって引き起こされた加速の結果として、電子は自発的に概ね重心軸の方向に電磁放射を放射する。相対論的電子はアンジュレータ内の放射と相互作用する。特定の条件下では、この相互作用により、電子はまとめてバンチ化し、アンジュレータ内の放射の波長で変調されたマイクロバンチになり、重心軸に沿った放射のコヒーレント発光が刺激される。
[0062] 電子が辿る経路は、電子が周期的に重心軸を横断する正弦かつ平面になる場合もあれば、電子が重心軸の周りを回転する螺旋状になる場合もある。発振経路のタイプは、自由電子レーザが放出する放射の偏光に影響する可能性がある。例えば、螺旋経路に沿って電子に伝搬させる自由電子レーザは楕円状に偏光した放射を放出する可能性があり、これはいくつかのリソグラフィ装置による基板Wの露光には好ましい可能性がある。
[0063] 図3は、インジェクタ21と、線形加速器22と、アンジュレータ24と、電子減速器26と、ビームダンプ100と、任意選択でバンチコンプレッサ23と、を含む自由電子レーザFELの概略図である。
[0064] インジェクタ21は、バンチ化した電子ビームEを発生するように配置され、例えば、熱電子陰極又は光電陰極及び加速電場などの電子源を含む。電子ビームEは線形加速器22によって相対論的速度まで加速される。一例では、線形加速器22は、共通軸に沿って軸方向に間隔をあけて配置された複数の無線周波空胴と、電子バンチがそれぞれの電子バンチを加速するために電磁場の間を通過する時に共通軸に沿って電磁場を制御するように動作可能な1つ以上の無線周波電源と、を含むことができる。この空胴は超伝導無線周波空胴にすることができる。有利なことに、これにより、比較的大きい電磁場を高いデューティサイクルで適用することができ、より大きいビームアパーチャの結果、ウェークフィールドによる損失を削減することができ、(空胴壁により消散されるのとは対照的に)高周波エネルギーのうち、ビームに伝達される分を増加することができる。代替的に、この空胴は、従来通りの導電性(即ち、超伝導ではない)にすることができ、例えば、銅で形成することができる。その他のタイプの線形加速器も使用することができる。例えば、線形加速器22はレーザ加速器を含むことができ、その場合、電子ビームEは合焦させたレーザビームを通過し、レーザビームの電場が電子を加速させる。
[0065] インジェクタ21及び線形加速器22は協力して、相対論的電子を発生するように動作可能な電子源を形成する。
[0066] 電子ビームEは、線形加速器22とアンジュレータ24との間に配置されたバンチコンプレッサ23を通過する。バンチコンプレッサ23は、電子ビームE内の電子をバンチ化するように構成され、電子ビームE内の既存の電子バンチを空間的に圧縮する。
[0067] 次に、電子ビームEはアンジュレータ24を通過する。一般に、アンジュレータ24は複数のモジュールを含む。それぞれのモジュールは周期的磁石構造を含み、これは周期磁場を発生するように動作可能であり、そのモジュール内の周期経路に沿ってインジェクタ21及び線形加速器22によって発生された相対論的電子ビームEを誘導するように配置される。その結果、それぞれのアンジュレータモジュール内の電子は、そのモジュールを通って概ねそれぞれの周期回路の重心軸の方向に電磁放射を放射する。
[0068] 電子はそれぞれのアンジュレータモジュールを通って移動する時に、放射の電場と相互作用し、その放射とエネルギーを交換する。一般に、電子と放射との間で交換されるエネルギーの量は、条件が以下の式で示される共振条件に近くない限り、急速に変動する。
Figure 2017510032
ここでλemは放射の波長であり、λは電子が伝搬するアンジュレータモジュールに関するアンジュレータ周期であり、γは電子のローレンツ因子であり、Kはアンジュレータパラメータである。Aはアンジュレータ24の幾何形状に依存し、螺旋アンジュレータの場合はA=1であり、平面アンジュレータの場合はA=2である。実際には、それぞれの電子バンチはエネルギーの広がりを有するが、この広がりは(低いエミッタンスの電子ビームEを発生することにより)可能な限り最小限にすることができる。アンジュレータパラメータKは典型的にほぼ1であり、以下の式で示される。
Figure 2017510032
ここでq及びmはそれぞれ電子の電荷及び質量であり、Bは周期磁場の振幅であり、cは光の速さである。
[0069] 共振波長λemは、それぞれのアンジュレータモジュールを通って移動する電子によって自発的に放射された第1の高調波波長に等しい。自由電子レーザFELは自己増幅自然放出光(SASE)モードで動作することができる。SASEモードでの動作は、それがそれぞれのアンジュレータモジュールに入る前に電子ビームE内の電子バンチの低エネルギーの広がりを必要とする可能性がある。代替的に、自由電子レーザFELはシード放射源を含むことができ、この放射源はアンジュレータ24内の誘導放出によって増幅することができる。自由電子レーザFELは再循環増幅器自由電子レーザ(RAFEL)として動作することができ、その場合、自由電子レーザFELによって発生された放射の一部分を使用して、放射の更なる発生のシードを提供する。
[0070] アンジュレータ24を通って移動する電子は放射の振幅を増加させることができ、即ち、自由電子レーザFELは非ゼロの利得を有することができる。共振条件を満たした場合又は条件が共振に近いがわずかに外れている場合に最大利得を達成することができる。
[0071] それぞれのアンジュレータモジュールの重心軸の周りの領域は「良磁場領域」であると見なすことができる。良磁場領域は、重心軸の周りのボリュームであって、アンジュレータモジュールの重心軸に沿った所与の位置について、そのボリューム内の磁場の大きさ及び方向が実質的に一定になるボリュームである。良磁場領域内を伝搬する電子バンチは式(1)の共振条件を満足することができ、従って、放射を増幅することになる。更に、良磁場領域内を伝搬する電子ビームEは非補償磁場による著しい不測の分裂を経験しないはずである。
[0072] それぞれのアンジュレータモジュールは、ある範囲の許容可能な初期軌道を有することができる。この範囲の許容可能な初期軌道内の初期軌道でアンジュレータモジュールに入る電子は、式(1)の共振条件を満足し、そのアンジュレータモジュール内の放射と相互作用して、コヒーレント放射の放出を刺激することができる。対照的に、その他の軌道でアンジュレータモジュールに入る電子はコヒーレント放射の著しい放出を刺激しない可能性がある。
[0073] 例えば、一般的に、螺旋アンジュレータモジュールの場合、電子ビームEは実質的にアンジュレータモジュールの重心軸に位置合わせされなければならない。電子ビームEとアンジュレータモジュールの重心軸との間の傾斜又は角度は一般に1/10ρを超えてはならず、ここでρはピアスパラメータである。そうではない場合、アンジュレータモジュールの変換効率(即ち、電子ビームEのエネルギーのうち、そのモジュール内の放射に変換される部分)は所望の量未満に低下する可能性がある(又はほとんどゼロまで低下する可能性がある)。一実施形態では、EUV螺旋アンジュレータモジュールのピアスパラメータはおおよそ0.001にすることができ、アンジュレータモジュールの重心軸に対する電子ビームEの傾斜が100μrad未満でなければならないことを示している。
[0074] 平面アンジュレータモジュールの場合、より大きい範囲の初期軌道が許容可能である。電子ビームEが実質的に平面アンジュレータモジュールの磁場に垂直なままになり、平面アンジュレータモジュールの良磁場領域内に存続するのであれば、放射のコヒーレント発光を刺激することができる。
[0075] 電子ビームEの電子がそれぞれのアンジュレータモジュール間のドリフト空間を通って移動する時に、電子は周期経路を辿らない。従って、このドリフト空間内では、電子は空間的に放射と空間的にオーバラップするが、この電子はいずれの著しいエネルギーも放射と交換せず、従って、放射から効果的に分離される。
[0076] バンチ化した電子ビームEは有限のエミッタンスを有し、従って、再焦されない限り、直径が増加することになる。従って、アンジュレータ24は、1対以上の隣接モジュール間の電子ビームEを再焦させるためのメカニズムを更に含む。例えば、各対の隣接モジュール間に四極電磁石を設けることができる。この四極電磁石は電子バンチのサイズを低減し、電子ビームEをアンジュレータ24の良磁場領域内に保持する。これにより、次のアンジュレータモジュール内の電子と放射との間の結合が改善され、放射の放出の刺激が増加する。
[0077] アンジュレータ24に入る時に共振条件を満たす電子は、放射を放出(又は吸収)する時にエネルギーを失う(又は獲得する)ことになり、その結果、共振条件はもはや満足されなくなる。従って、幾つかの実施形態では、アンジュレータ24は先細にすることができる。即ち、周期磁場の振幅及び/又はアンジュレータ周期λは、アンジュレータ24によって誘導される時に電子のバンチを共振又はその近くに保持するために、アンジュレータ24の長さに沿って変動する可能性がある。先細部分は、それぞれのアンジュレータモジュール内で及び/又はモジュールごとに周期磁場の振幅及び/又はアンジュレータ周期λを変動させることによって達成することができる。
[0078] アンジュレータ24内の電子と放射との間の相互作用は電子バンチ内のエネルギーの広がりを発生する。アンジュレータ24の先細部分は、共振又はその近くで電子の数を最大限にするように配置することができる。例えば、電子バンチはピークエネルギーでピークに達するエネルギー分布を有することができ、先細部分はアンジュレータ24によって誘導される時に共振又はその近くでこのピークエネルギーを有する電子を保持するように配置することができる。有利なことに、アンジュレータ24の先細部分は変換効率を大幅に増加するための能力を有する。例えば、先細のアンジュレータ24を使用すると、変換効率を2倍以上に増加することができる。アンジュレータ24の先細部分は、その長さに沿ってアンジュレータパラメータKを低減することによって達成することができる。これは、アンジュレータ周期λ及び/又はアンジュレータの軸に沿った磁場強度Bを電子バンチエネルギーに整合させて、それが共振条件又はそれに近くなることを保証することによって達成することができる。このように共振条件を満たすと、放出された放射の帯域幅が増加する。
[0079] 図4、図5、及び図6を参照すると、本発明の一実施形態による第1のアンジュレータ24aの一部分の種々の断面図が示されている。アンジュレータ24aは、電子ビームE用のパイプ40と、4つの周期的磁気構造42a〜42d(図5)と、複数のスペーサエレメント46と、を含む。周期的磁気構造42a〜42dの特徴をより良く示すために、図5及び図6からスペーサエレメント46を省略し、図6からビームパイプを省略している。
[0080] パイプ40は、使用中に電子ビームEがパイプ40の一端に入り、実質的にアンジュレータ24aの重心軸41に沿ってそれを通過し、パイプ40の反対端から出るように配置される。使用中にパイプ40は真空条件下に保持される。このため、パイプは、ステンレス鋼など、ガス抜けを起こさない材料で形成することができる。代替的に、パイプ40は、アルミニウム(Al)で形成することができ、任意選択でガス抜けを起こさないコーティング(例えば、非蒸発性ゲッターNEGで形成されるコーティング)を施すこともできる。パイプ40は電子ビームが通過するボアを画定し、そのボアの断面はアンジュレータ24aの軸41に垂直な平面において概ね円形である。パイプ40の断面はアンジュレータ24aの軸41に垂直な平面において概ね円形にすることができ、即ち、パイプ40の厚さは概ね均一にすることができる。
[0081] パイプ40の内部は電子ビームEが伝搬するのに適した環境を提供する。特に、これは真空条件下に保持される。代替の一実施形態では、アンジュレータ24aはパイプ40を含まないが、むしろ電子ビームは磁気構造42a〜42dによって画定されるチャネルを通って伝搬する。このような実施形態では、アンジュレータ24a全体は電子ビームEが伝搬するのに適した環境を維持することができる。
[0082] アンジュレータ24aは細長い構造であり、軸方向と呼ぶことができる軸41に沿って延びている。アンジュレータ24aの軸41はパイプ40の中心を貫いている。周期構造42a〜42dのそれぞれは、半径方向と呼ぶことができる、実質的にアンジュレータ24aの軸41に垂直な方向に、軸41から分離される。
[0083] 周期的磁気構造42a〜42dはいずれも実質的に同様の構造である。特に、周期的磁気構造42a〜42dのそれぞれは実質的に同じアンジュレータ周期λを有する。
[0084] 周期構造42a〜42dのそれぞれはパイプ40に沿って軸方向に延びている。アンジュレータ24aの軸41に垂直な平面において、4つの磁気構造はパイプ40の周りに実質的に均等に分散している。第1の対の磁気構造42a、42bは実質的に同相に配置され、パイプ40の両側に対称的に配置されている。第2の対の磁気構造42c、42dは実質的に同相に配置され、パイプ40の両側に対称的に配置されている。第2の対の磁気構造42c、42dはアンジュレータ24aの軸41の周りで第1の対42a、42bに対して90度回転している。第1の対42a、42bは、第1の対42a、42b及び第2の対42c、42dが位相外れになるように、第2の対42c、42dに対して軸方向にシフトすることができる。このシフトの量は、アンジュレータが発生する放射の偏光を決定することができる。例えば、図5及び図6に示されている実施形態では、第1の対42a、42bはアンジュレータ周期λの4分の1だけ第2の対42c、42dに対して軸方向にシフトしている。このような配置は、電子ビームEがそれを通って伝搬するにつれて円形に偏光した放射を発生することができる。
[0085] 周期構造42a〜42dのそれぞれは複数の磁石44と複数の強磁性素子48とを含む。
[0086] 所与の周期的磁気構造42a〜42dの複数の磁石44は、軸方向に延びる一列にその周期的磁気構造42a〜42dの強磁性素子48と交互に配置される。複数の磁石44のそれぞれは実質的に一定の分極方向を有し、これは図5〜図7に矢印で示されている。複数の磁石44のそれぞれの分極は概ね正の軸方向又は負の軸方向のいずれかにある。所与の周期構造の複数の磁石44は、周期的磁気構造42a〜42dの長さに沿って磁石44の分極が正の軸方向と負の軸方向との間で交互になるように配置される。それぞれの周期的磁気構造42a〜42dは周期磁場を発生し、その周期λは2つの磁石44及び2つの強磁性素子48の長さである。それぞれの磁石44の断面はアンジュレータ24aの軸41に垂直な平面において概ね正方形である(図7を参照)。それぞれの磁石44は、アンジュレータ24aの軸41に垂直な平面において磁石44の対角線が概ね半径方向に延びるように向けられる。
[0087] それぞれの強磁性素子48は受動強磁性素子として作用する。従って、複数の強磁性素子48のそれぞれは比較的軟らかい強磁性物質で形成される。軟らかい強磁性物質は容易に磁化及び消磁され、比較的小さい残留磁気、狭いヒステリシスループ(即ち、低い保磁力)、高い透磁率、及び高い磁気飽和誘導を有する。複数の強磁性素子48のそれぞれは、500A/m未満の保磁力及び1000を超える最大比透磁率を有する軟らかい強磁性物質で形成することができる。
[0088] 幾つかの実施形態では、強磁性素子48は軟鉄又は鉄−コバルト合金で形成される。強磁性素子48が軟鉄で形成される実施形態の場合、強磁性素子48は95%を超える鉄を含むことができる。比較的高いコバルト含有量(例えば、20%を超える)を有する合金が好ましい可能性がある。強磁性素子48が鉄−コバルト合金で形成される実施形態の場合、強磁性素子48は20%を超える鉄と20%を超えるコバルトを含むことができる。幾つかの実施形態では、鉄−コバルト合金は等しい割合の鉄及びコバルトを含むことができる(これはパーメンジュールとして知られている)。任意選択で、軟鉄又は鉄−コバルト合金は1つ以上の添加剤をパーセントレベルで含むことができる。適切な添加剤としてはバナジウム(V)又はニオブ(Nb)を含む。一実施形態では、強磁性素子48はFe49Co49の形の合金で形成される。
[0089] 複数の磁石44のそれぞれはスペーサエレメント46によってパイプ40から分離される。即ち、スペーサエレメント46は磁石44の半径方向内側に設けられる。それぞれのスペーサエレメント46は実質的にその対応する磁石44と同じ軸範囲を有する。(アンジュレータ24aの軸41に垂直な平面における)断面では、スペーサエレメント46は任意の都合の良い形状を有することができる。アンジュレータ24aの軸41に垂直な平面では、スペーサエレメント46は、実質的に強磁性素子48の半径方向内側部分と一致する形状を有することができる。幾つかの実施形態では、この形状は台形又は先細の長方形にすることができる。代替的に、その他の実施形態では、スペーサエレメント46は実質的に環状の形状にするか又は環形のうちの1つの扇形の形にすることができる。
[0090] 複数の磁石44のそれぞれは比較的堅い強磁性物質で形成され、これは比較的消磁しにくいものである。堅い強磁性物質は、比較的高い残留磁気及び比較的広いヒステリシス曲線を有するものである。
[0091] 例えば、磁石44は、比較的強い永久磁石である希土類磁石にすることができる。特に、磁石44は遷移金属と希土類元素の合金で形成することができる。この合金はReTm又はReTm17の形にすることができ、ここでReは希土類元素であり、Tmは遷移金属である。代替的に、磁石44は遷移金属と希土類元素とホウ素(B)の合金で形成することができる。この合金はReTm17Bの形にすることができ、ここでReは希土類元素であり、Tmは遷移金属である。希土類元素は、サマリウム(Sm)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、又はジスプロシウム(Dy)のうちのいずれかを含むことができる。遷移金属は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、又はハフニウム(Hf)のうちのいずれかを含むことができる。一実施形態では、磁石は、サマリウムとコバルトの合金で形成されるサマリウム−コバルト(SmCo)磁石である。これらは、SmCo1:5系列(SmCo)及びSmCo2:17系列(SmCo17)を含む。その他の実施形態では、磁石は、PrCo、SmFe17、SmCu17、SmZr17、SmHf17という合金で形成することができる。一実施形態では、磁石44は、鉄とネオジムとホウ素の合金で形成され、NdFe14Bという形にすることができるネオジム磁石(FeNdB)にすることができる。その他の実施形態では、磁石はNdCo14B、PrFe14B、PrCo14B、DyFe14B、DyCo14Bで形成することができる。
[0092] (アンジュレータ24aの軸41に垂直な平面における)断面では、強磁性素子48は五角形の形状である(図8を参照)。特に、強磁性素子48は、実質的に磁石44のものと同じ長さの第1及び第2の概ね垂直な側面48a、48bを含む。第1及び第2の側面48a、48bは、その強磁性素子48に隣接する磁石44と位置合わせされた五角形の凸形部分を形成する。それぞれの強磁性素子は、磁石44からパイプ40に向かって延びる第3及び第4の側面48c、48dを更に含む。第3及び第4の側面48c、48dは、パイプ40に向かって延びるにつれて内側に向かって先細になり、パイプ40に隣接する第5の側面48eによって接続される。従って、それぞれの強磁性素子48は、隣接する1対の磁石44を分離し、それぞれの磁石44より遠くまでパイプ40に向かって延びている。
[0093] アンジュレータ24aの設計は次に説明するように幾つかの理由で有利である。アンジュレータ24aは、ビームパイプからの放射、特に高エネルギー電子及び光子に対して抵抗性が高い。パイプ40は高真空で維持されるが、電子ビームEからの高エネルギー電子は、例えば、ラザフォード散乱により、パイプ40内の残留ガス分子によって散乱する可能性がある。このような散乱した電子はアンジュレータの磁石にぶつかる可能性があり、それにより磁石を少なくとも部分的に消磁させる可能性がある。
[0094] 高エネルギー電子は物質を通って移動するにつれて、電磁力を介してその物質と相互作用し、低エネルギー電子及び光子の電磁シャワー又はカスケードを発生する。これは、高エネルギー電子及び光子と物質との相互作用を考慮することにより理解することができる。
[0095] 電子と物質との相互作用については、制動放射及び非弾性散乱(原子の電子又は原子核のいずれかによる)という2つの主要メカニズムが存在する。高エネルギー電子(およそ10MeVより大きいエネルギーを有する)の場合、制動放射が優勢なプロセスである。制動放射は、電子が電場によって加速された時の放射の放出である。十分に大きいエネルギーの場合、電子のエネルギーは、それが貫通した物質の深さの関数として指数的に低下し、即ち、E(x)〜Eexp(−x/Lrad)になり、ここでEは電子の初期エネルギーであり、xは物質の深さであり、Lradはその物質の放射長である。低エネルギー電子(およそ10MeVより小さいエネルギーを有する)の場合、非弾性散乱が優勢なプロセスである。十分に低いエネルギーの場合、それが貫通した物質の深さに対する電子のエネルギーの変化率はE−1/2で概算する。
[0096] 光子と物質との相互作用については、(i)光電効果、(ii)コンプトン散乱、(iii)電子−陽電子対生成、及び(iv)光核反応という4つの主要メカニズムが存在する。光子の低エネルギーでは、光電効果(物質からの電子の放出を引き起こす光子の吸収)及びコンプトン散乱(自由電子による光子の非弾性散乱)が優勢なプロセスである。電子−陽電子対生成については、電子の静止質量(自然単位で0.511MeV)の2倍のエネルギーしきい値が存在する。(およそ10MeVより大きいエネルギーを有する)高エネルギー光子の場合、電子−陽電子対生成が優勢なプロセスである。
[0097] 所与の物質の場合の高エネルギー電子と光子の相互作用は、その放射長Lradとそのモリエール半径Rによって特徴付けられる。放射長Lradは、そのエネルギーが(制動放射により)e分の1に低減される前に電子が移動した平均距離の尺度であり、電子−陽電子対生成の場合のその平均自由行程の7/9である。所与の物質の場合のモリエール半径Rは、電磁シャワーの横方向への広がりの尺度である。所与の物質の場合のモリエール半径Rは、その放射長Lradと、その密度ρと、その臨界エネルギーEに対するスケーリングエネルギーE(ここでE=21MeV)の割合との積であり、即ち、R=LradρE/Eである。電磁シャワーのエネルギーのおよそ90%は半径Rの円筒内に置かれ、電磁シャワーのエネルギーのおよそ95%は半径2Rの円筒内に置かれ、電磁シャワーのエネルギーのおよそ99%は半径3.5Rの円筒内に置かれる。
[0098] 高エネルギー電子が永久磁石を通って移動する場合、その結果の電磁シャワーは、永久磁石を消磁させるのに十分なほど永久磁石を熱くする可能性がある。このような消磁は自由電子レーザのアンジュレータのKパラメータに影響するので、これはアンジュレータ内の永久磁石にとって望ましくない(上記の式(2)を参照)。
[0099] 軸41上の磁場を最大限にするために可能な限りパイプの近くに磁石が配置されている当技術分野で知られているアンジュレータとは反対に、本発明の諸実施形態は、パイプ40から空間的に分離されている永久磁石44を含む。パイプ40から永久磁石44を空間的に分離することにより、永久磁石44とパイプ40との間にスペーサエレメントを配置することができる。このスペーサ材は、ビームパイプ40から発生する高エネルギー電子及び光子の大部分を吸収する物質で形成することができる。このようにして、永久磁石44をこの電磁放射から遮蔽することができ、アンジュレータ24aの寿命を延ばすことができる。一般に、ビームパイプの壁にぶつかる電子はかなり小さいグレージング角でそれを行う。半径方向のこのような電子の減衰は、スペーサエレメント46及び強磁性素子48内の(電子及び光子の)電磁シャワーの横方向への広がりによって画定される。従って、ビームパイプ40から発生する高エネルギー電子及び光子の減衰は、スペーサエレメント46及び強磁性素子48のモリエール半径及び半径厚さに依存する。
[00100] 強磁性素子48は磁石44によって磁化され、磁石44によって加えられる磁場を軸41に向かって誘導するので、強磁性素子48の使用により、磁石44はアンジュレータ24aの軸41において磁場強度の著しい損失なしにパイプ40から離れることができる。実際に、アンジュレータ24aの幾何形状は、強磁性素子48が十分な合焦を提供して、同じ強度の磁石を有する従来のアンジュレータより大きい振幅Bを有する磁場を軸41に沿って提供するように選択することができる。強磁性素子48は受動的であり、磁石44が発生した磁束を誘導するだけであるので、強磁性素子48の磁化は高エネルギー電子又は光子の影響を受けない。
[00101] 強磁性素子48と磁石44の相対的な(軸方向)厚さは任意の適切な値を有することができる。所与の(半径)厚さのスペーサエレメント46の場合、強磁性素子48の軸方向厚さは、軸41上の磁場が所望の振幅範囲内になるように磁石44によって加えられる磁場が軸41に向かって誘導されることを保証するのに十分な大きさでなければならない。強磁性素子48の軸方向厚さ及び/又は形状は、磁石44が発生した著しい量の磁束が強磁性素子48の軸方向に面する側面からスペーサ材を通って隣接する強磁性素子内に漏れ出し、その結果、アンジュレータ24aの軸41を効果的に迂回するようなものであってはならない。
[00102] スペーサエレメント46は非磁性体で形成される。スペーサエレメント46は、好ましくは、小さいモリエール半径と比較的高い密度を有する材料で形成される。有利なことに、材料のモリエール半径が小さいほど、所与の量の電磁エネルギーを吸収するのに必要なスペーサエレメントの(半径)厚さが小さくなる。スペーサエレメント46は、例えば、タングステン(R=0.9cm)又は鉛(R=1.5)で形成することができる。代替的に、スペーサエレメント46は銀又はモリブデンで形成することができる。代替的に、スペーサエレメント46は、29〜33、40〜51、及び72〜83の範囲内の原子番号を有する比較的高い含有量の元素を含む合金で形成することができる。比較的高い含有量とは、50%より大きく、例えば、60%より大きく、例えば、70%より大きいものを意味することができる。
[00103] スペーサエレメント46の半径厚さは、好ましくは、少なくともそれが形成される材料のモリエール半径である。小さいグレージング入射角を有する電子の場合、このようなスペーサエレメント46はそのエネルギーのおよそ90%を吸収しなければならない。より好ましくは、スペーサエレメントの半径厚さは、それが形成される材料のモリエール半径の少なくとも2倍であり、これは小さいグレージング入射角を有する電子のエネルギーのおよそ95%を吸収するはずである。より好ましくは、スペーサエレメントの半径厚さは、それが形成される材料のモリエール半径の少なくとも3.5倍であり、これは小さいグレージング入射角を有する電子のエネルギーのおよそ99%を吸収するはずである。
[00104] 一実施形態では、スペーサエレメント46はタングステンで形成され、1cmより大きい半径厚さを有する。代替の一実施形態では、スペーサエレメントはタングステンで形成され、3cmより大きい半径厚さ、より好ましくは6cmより大きい半径厚さを有する。軸41に垂直な平面におけるスペーサエレメント46の断面形状は、そのスペーサエレメントがビームパイプ40と磁石44及び強磁性素子48のアセンブリとの間の空間のほとんどを占有するようなものにすることができる。従って、スペーサエレメント46は、強磁性素子48の形状と同様にビームパイプ40に向かって延びる側面46a〜46cを有する。即ち、スペーサエレメント46の形状は強磁性素子48の半径方向に最も内側の部分の形状と実質的に一致する可能性がある。
[00105] 比較的高密度の材料で形成されたスペーサエレメント46の使用は、そうでなければ磁石44の消磁を引き起こすと思われる高エネルギー電子及び光子から磁石44をそのスペーサエレメントが部分的に遮蔽できるので有利である。しかし、高エネルギー電子がスペーサエレメント46に入ることにより発生する電磁シャワーは著しい数の光子を発生することになる。そして次に、これによりスペーサエレメント46内の光核反応の数が増加し、その結果、原子核から中性子を放出することになる可能性がある。従って、本発明の諸実施形態では、磁石44は好ましくは、高エネルギーの中性子によって消磁される可能性の低い磁性材料で形成される。このため、ネオジム(FeNdB)磁石よりサマリウム−コバルト(SmCo)磁石の方が中性子の消磁効果が5桁小さいので、FeNdB磁石よりSmCo磁石の方が好ましい。
[00106] 幾つかの実施形態では、アンジュレータ24aには、例えば、外側半径表面上に中性子吸収材を設けることができる。これは、例えば、自由電子レーザのその他の部分が発生した中性子から磁石を保護することができる。
[00107] パルス電子ビームがパイプ40を通って伝搬した結果として、パイプ40は電子ビームEが発生したウェークフィールドにより熱くなる。パイプ40から永久磁石を半径方向に間隔をあけることのもう1つの利点は、これによりパイプ40から熱を放散させることができる冷却液システムのための空間が提供されることである。従って、アンジュレータ24aには、それを通って冷却液を循環できる冷却水路を設けることができる。この実施形態では、それを通って冷却液を循環できる冷却水路52がスペーサエレメント46内に設けられる。
[00108] 本発明の幾つかの実施形態では、一方の側のスペーサエレメント46及びパイプ40と、もう一方の側の磁石44及び強磁性素子48との間に小さいギャップ(図示せず)を設けることができる。有利なことに、このようなギャップは少なくとも部分的に、スペーサエレメント46及びパイプ40から磁石44を(伝導に対抗して)熱的に絶縁することができる。これは、磁石44の温度を安定化し、そして次に、アンジュレータ24aの軸41に沿って発生した磁場を安定化するのに役立つ可能性がある。このギャップは真空条件下に保持することができ、これにより断熱のレベルを改善することができる。これは、例えば、低圧で保持することができるチャンバ内にアンジュレータ24a全体を配置することによって達成することができる。更に、このギャップを画定するスペーサエレメント46、パイプ40、磁石44、及び強磁性素子48の1つ以上の表面は低放射率フィルムでコーティングすることができる。この低放射率フィルムは、例えば、金、銀、又はニッケルを含むことができる。有利なことに、このような低放射率フィルムは少なくとも部分的に、スペーサエレメント46及びパイプ40から磁石44を(赤外線放射に対抗して)熱的に絶縁することができる。これは、磁石44の温度に対して、そして次に、アンジュレータ24aの軸41に沿って発生した磁場に対して、更に安定性を提供することができる。
[00109] 図9及び図10を参照すると、本発明の一実施形態による第2のアンジュレータ24bの一部分の2つの異なる断面図が示されている。第2のアンジュレータ24bは第1のアンジュレータ24aと同様の構造であり、第1及び第2のアンジュレータ24a、24b間の相違点についてのみ以下に詳細に説明する。
[00110] アンジュレータ24bは、電子ビームE用のパイプ140と、2つの周期的磁気構造142a、142bと、複数のスペーサエレメント146とを含む。第2のアンジュレータ24bは平面アンジュレータである(即ち、電子ビームEの軌道は、それが第2のアンジュレータ24bを通って伝搬する時に平面内にある)。
[00111] パイプ140はパイプ40と同じ材料で形成することができる。パイプ140は電子ビームが通過するボア140aを画定し、そのボア140aの断面はアンジュレータ24bの軸41に垂直な平面において概ね円形である。パイプ140は、使用中に電子ビームEがパイプ140の一端に入り、実質的にアンジュレータ24bの重心軸41に沿ってボア140aを通過し、パイプ140の反対端から出るように配置される。使用中にパイプ140の内部は真空条件下に保持される。
[00112] 周期的磁気構造142a、142bのそれぞれは実質的に同様の構造であり、特に、実質的に同じアンジュレータ周期λを有する。周期構造142a、142bのそれぞれは複数の磁石144と複数の強磁性素子148とを含む。
[00113] 所与の周期的磁気構造142a、142bの複数の磁石144は、軸方向に延びる一列にその周期的磁気構造142a、142bの強磁性素子148と交互に配置される。複数の磁石144のそれぞれは実質的に一定の分極方向を有し、これは図9に矢印で示されている。複数の磁石144のそれぞれの分極は概ね正の軸方向又は負の軸方向のいずれかにあり、所与の周期構造142a、142bの磁石144は、周期的磁気構造142a、142bの長さに沿って磁石144の分極が正の軸方向と負の軸方向との間で交互になるように配置される。
[00114] それぞれの磁石144の断面はアンジュレータ24bの軸41に垂直な平面において概ね正方形である。それぞれの磁石144は、アンジュレータ24bの軸41に垂直な平面において第1のアンジュレータ24aの磁石とは異なる方向に向けられることに留意されたい。特に、(磁石44の対角線に沿って延びる場合とは対照的に)半径方向は磁石の2つの対向面を通って磁石144を二等分する。複数の磁石144のそれぞれは実質的に磁石44と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00115] それぞれの強磁性素子148は強磁性素子48とは異なる形状を有することができる。その他の点では、それぞれの強磁性素子148は実質的に強磁性素子48と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00116] それぞれのスペーサエレメント146は(例えば、磁石144の向きが異なることにより)スペーサエレメント46とは異なる形状を有することができる。(アンジュレータ24bの軸41に垂直な平面における)断面では、スペーサエレメント146は、例えば、台形又は先細の長方形などの任意の都合の良い形状を有することができる。(アンジュレータ24bの軸41に垂直な平面における)断面では、スペーサエレメント146は、実質的に強磁性素子148の半径方向内側部分のものと一致する形状を有することができる。その他の点では、それぞれのスペーサエレメント146は実質的にスペーサエレメント46と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00117] 第2のアンジュレータ24bの周期構造142a、142bの磁石144、強磁性素子148、及びスペーサエレメント146の配置は第1のアンジュレータ24aの周期構造42a〜42dの磁石44、強磁性素子48、及びスペーサエレメント46の配置と概ね同じである。特に、複数の磁石144のそれぞれはスペーサエレメント146によってパイプ140から分離される。
[00118] 周期構造142a、142bのそれぞれはパイプ140に沿って軸方向に延びている。アンジュレータ24bの軸41に垂直な平面において、磁気構造142a、142bはパイプ140の両側に対称的に配置されている。周期的磁気構造142aのそれぞれの磁石144は周期的磁気構造142bの磁石144のうちの1つに対向しており、周期的磁気構造142aのそれぞれの強磁性素子148は周期的磁気構造142bの強磁性素子148のうちの1つに対向している。周期的磁気構造142aのそれぞれの磁石144の分極方向は周期的磁気構造142bの対向する磁石144の分極方向とは反対の方向である。即ち、磁気構造142a、142bはアンジュレータ周期λの半分だけ位相がずれて配置される。
[00119] (アンジュレータ24bの軸41に垂直な平面における)断面では、強磁性素子148は概ね長方形の半径方向外側部分と半径方向内側部分とを含む。それぞれの強磁性素子148の半径方向外側部分は、その強磁性素子148に隣接する磁石144と位置合わせされる。半径方向内側方向に移動すると、半径方向内側部分は、パイプ140に向かって延びるにつれて内側に向かって先細になる。それぞれの強磁性素子148の半径方向内側部分は、その強磁性素子148に隣接するスペーサエレメント146と位置合わせされる。
[00120] 第2のアンジュレータ24bの設計は、第1のアンジュレータ24aに関して上記で示した理由で有利である。
[00121] パルス電子ビームがパイプ140を通って伝搬した結果として、パイプ140は電子ビームEが発生したウェークフィールドにより熱くなる。パイプ140から永久磁石を半径方向に間隔をあけることのもう1つの利点は、これによりパイプ140から熱を放散させることができる冷却液システムのための空間が提供されることである。従って、アンジュレータ24bには、それを通って冷却液を循環できる冷却水路を設けることができる。この実施形態では、それを通って冷却液を循環できる冷却水路52がパイプ140内に設けられる。
[00122] アンジュレータ24bのパイプ140の軸41に垂直な平面はx−y平面と呼ぶことができる(図10の軸が示す通り)。2つの磁気構造142a、142bの間に延びる方向はy方向と呼ぶことができ、垂直な方向はx方向と呼ぶことができる。アンジュレータ24bの軸41に垂直な平面における断面では、パイプ140の形状は概ね長方形である(図10を参照)。この長方形の形状は丸コーナーを有することができる。長方形の長い方の寸法はx方向と位置合わせされ、長方形の短い方の寸法はy方向と位置合わせされる。パイプ140には2つの冷却水路52が設けられる。それぞれの冷却水路52は(x方向で)ボア140aの反対側に設けられる。
[00123] 一方の側のパイプ140と、もう一方の側の磁石144、スペーサエレメント146、及び強磁性素子148との間に小さいギャップ160を設けることができる。有利なことに、このようなギャップは少なくとも部分的に、磁石144、スペーサエレメント146、及び強磁性素子148をパイプ140から(伝導に対抗して)熱的に絶縁することができる。これは、磁石144の温度を安定化し、そして次に、アンジュレータ24bの軸41に沿って発生した磁場を安定化するのに役立つ可能性がある。このギャップは真空条件下に保持することができ、これにより断熱のレベルを改善することができる。これは、例えば、低圧で保持することができるチャンバ内にアンジュレータ24b全体を配置することによって達成することができる。更に、このギャップを画定するスペーサエレメント146、パイプ140、磁石144、及び強磁性素子148の1つ以上の表面は低放射率フィルムでコーティングすることができる。この低放射率フィルムは、例えば、金、銀、又はニッケルを含むことができる。有利なことに、このような低放射率フィルムは少なくとも部分的に、パイプ140から磁石144を(赤外線放射に対抗して)熱的に絶縁することができる。これは、磁石144の温度に対して、そして次に、アンジュレータ24bの軸41に沿って発生した磁場に対して、更に安定性を提供することができる。
[00124] 図11及び図12を参照すると、本発明の一実施形態による第3のアンジュレータ24cの一部分の2つの異なる断面図が示されている。周期的磁気構造の特徴をより良く示すために、図12からいくつかのスペーサエレメント及びビームパイプを省略している。
[00125] 第3のアンジュレータ24cは第1及び第2のアンジュレータ24a、24bと同様の構造であり、第3のアンジュレータ24cと第1及び第2のアンジュレータ24a、24bとの相違点についてのみ以下に詳細に説明する。
[00126] アンジュレータ24cは、電子ビームE用のパイプ240と、4つの周期的磁気構造242a〜242dと、複数のスペーサエレメント246と、を含む。従って、第3のアンジュレータ24cはほとんどの点について第2のアンジュレータ24bと同様であるが、第1のアンジュレータ24aのように、第3のアンジュレータ24cは4つの周期的磁気構造242a〜242dを有する。
[00127] パイプ240はパイプ140と同様のものであり、同じ材料で形成することができる。
[00128] 周期的磁気構造242a〜242dのそれぞれは実質的に同様の構造であり、特に、実質的に同じアンジュレータ周期λを有する。周期構造242a〜242dのそれぞれは複数の磁石244と複数の強磁性素子248とを含む。それぞれの周期構造242a〜242d内の磁石244及び強磁性素子248の配置はそれぞれの周期構造142a、142b内の磁石144及び強磁性素子148の配置と実質的に同じである。
[00129] 図14に示されているように、それぞれの磁石244の断面はアンジュレータ24cの軸41に垂直な平面において概ね長方形である。アンジュレータ24cの軸41に垂直な平面では、それぞれの磁石244は第2のアンジュレータ24bの磁石144と同じように向けられている。複数の磁石244のそれぞれは実質的に磁石44と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00130] それぞれの強磁性素子248は強磁性素子48及び強磁性素子148とは異なる形状を有することができる。その他の点では、それぞれの強磁性素子248は実質的に強磁性素子48及び強磁性素子148と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00131] それぞれのスペーサエレメント246はスペーサエレメント46及びスペーサエレメント146とは異なる形状を有することができる。(アンジュレータ24cの軸41に垂直な平面における)断面では、スペーサエレメント246は、例えば、台形又は先細の長方形などの任意の都合の良い形状を有することができる。その他の点では、それぞれのスペーサエレメント246は実質的にスペーサエレメント46及びスペーサエレメント146と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00132] 第3のアンジュレータ24cの周期構造242a〜242dの磁石244、強磁性素子248、及びスペーサエレメント246の配置は第1のアンジュレータ24aの周期構造42a〜42dの磁石44、強磁性素子48、及びスペーサエレメント46並びに第2のアンジュレータ24bの周期構造142a、142bの磁石144、強磁性素子148、及びスペーサエレメント146の配置と概ね同じである。特に、複数の磁石244のそれぞれはスペーサエレメント246によってパイプ240から分離される。
[00133] それぞれの周期構造242a〜242dはパイプ240に沿って軸方向に延びている。アンジュレータ24cの軸41に垂直な平面において、4つの磁気構造142a、142bはパイプ240の周りに均等に分散している。第1の対の磁気構造242a、242bはパイプ240の両側に対称的に配置されている。周期的磁気構造242aのそれぞれの磁石244は周期的磁気構造242bの磁石244のうちの1つに対向しており、周期的磁気構造242aのそれぞれの強磁性素子248は周期的磁気構造242bの強磁性素子248のうちの1つに対向している。周期的磁気構造242aのそれぞれの磁石244の分極方向は周期的磁気構造242bの対向する磁石244の分極方向とは反対の方向である。即ち、第1の対の磁気構造242a、242bはアンジュレータ周期λの半分だけ位相がずれて配置される。
[00134] 第2の対の磁気構造242c、242dはアンジュレータ周期λの半分だけ位相がずれて配置され、パイプ240の両側に対称的に配置されている。第2の対の磁気構造242c、242dは重心軸41の周りで第1の対242a、242bに対して90度回転している。第1の対242a、242bは、第1の対242a、242b及び第2の対242c、242dが位相外れになるように、第2の対242c、242dに対して軸方向にシフトすることができる。このシフトの量は、アンジュレータ24cが発生する放射の偏光を決定することができる。例えば、図11及び図12に示されている実施形態では、第1の対242a、242bはアンジュレータ周期λの4分の1だけ第2の対242c、242dに対して軸方向にシフトしている。即ち、第1の対の周期的磁気構造242a、242bの磁石244は第2の対の磁気構造242c、242dの強磁性素子248と実質的に同じ軸位置に配置される。即ち、アンジュレータ24cの重心軸41の周りを方位学的に移動すると、それぞれの周期的磁気構造は(即ち、242a、242d、242b、242cという順序で)+λ/4又は−λ/4のいずれか一方の同じ量だけ前の周期的磁気構造に対して軸方向にシフトする。このような配置は、電子ビームEがそれを通って伝搬するにつれて円形に偏光した放射を発生することができ、螺旋アンジュレータ24cと呼ぶことができる。円形に偏光した放射の偏光状態は、それぞれの周期的磁気構造が(242a、242d、242b、242cという順序で)+λ/4又は−λ/4だけ前の周期的磁気構造に対して軸方向にシフトするかどうかに依存する。
[00135] 図13に示されているように、(アンジュレータ24cの軸41に垂直な平面における)断面では、強磁性素子248は概ね長方形の半径方向外側部分249と半径方向内側部分250とを含む。それぞれの強磁性素子248の半径方向外側部分は、その強磁性素子248に隣接する磁石244と位置合わせされる。半径方向内側方向に移動すると、半径方向に最も内側の側面248b(パイプ240に隣接している可能性がある)に向かって延びるにつれて半径方向内側部分250が内側に向かって先細になるように、内側部分250には2つの傾斜側面248a、248cが設けられる。それぞれの強磁性素子248の半径方向内側部分250は第2のアンジュレータ24bのそれぞれの強磁性素子148の半径方向内側部分より先細になり、4つの周期構造242a〜242dをパイプ240の周りに物理的に詰め込むことができるようになっていることに留意されたい。
[00136] それぞれの強磁性素子248の半径方向内側部分250は、その強磁性素子248に隣接するスペーサエレメント246と位置合わせされる。図15に示されているように、(アンジュレータ24cの軸41に垂直な平面における)断面では、スペーサエレメント246は、強磁性素子248の半径方向内側部分250の形状と実質的に一致する形状を有することができる。特に、半径方向内側方向に移動すると、半径方向に最も内側の側面246b(パイプ240に隣接している可能性がある)に向かってスペーサエレメント246が延びるにつれて内側に向かって先細になるように、スペーサエレメント246には2つの傾斜側面246a、246cが設けられる。
[00137] 第3のアンジュレータ24cの設計は、第1及び第2のアンジュレータ24a、24bに関して上記で示した理由で有利である。
[00138] パルス電子ビームがパイプ240を通って伝搬した結果として、パイプ240は電子ビームEが発生したウェークフィールドにより熱くなる。パイプ240から永久磁石を半径方向に間隔をあけることのもう1つの利点は、これによりパイプ240から熱を放散させることができる冷却液システムのための空間が提供されることである。従って、アンジュレータ24cには、それを通って冷却液を循環できる冷却水路を設けることができる。この実施形態では、それを通って冷却液を循環できる冷却水路52がパイプ240内に設けられる。
[00139] アンジュレータ24cのパイプ240の軸41に垂直な平面はx−y平面と呼ぶことができる(図12の軸が示す通り)。第1の対の磁気構造142a、142bの間に延びる方向はy方向と呼ぶことができ、第2の対の磁気構造142c、142dの間に延びる方向はx方向と呼ぶことができる。アンジュレータ24cの軸41に垂直な平面における断面では、パイプ240の形状は概ね正方形である(図10を参照)。この正方形の形状は丸コーナーを有することができる。正方形の1対の側面はx方向と位置合わせされ、正方形のもう1対の側面はy方向と位置合わせされる。パイプ240には4つの冷却水路52が設けられる。それぞれの冷却水路52は正方形の形状の4隅のそれぞれ異なる1つに隣接して設けられる。
[00140] 一方の側のパイプ240と、もう一方の側の磁石244、スペーサエレメント246、及び強磁性素子248との間に小さいギャップ260を設けることができる。有利なことに、このようなギャップは少なくとも部分的に、パイプ240から磁石244、スペーサエレメント246及び強磁性素子248を(伝導に対抗して)熱的に絶縁することができる。これは、磁石144の温度を安定化し、そして次に、アンジュレータ24cの軸41に沿って発生した磁場を安定化するのに役立つ可能性がある。このギャップ260は真空条件下に保持することができ、これにより断熱のレベルを改善することができる。これは、例えば、低圧で保持することができるチャンバ内にアンジュレータ24c全体を配置することによって達成することができる。更に、このギャップを画定するスペーサエレメント246、パイプ240、磁石244、及び強磁性素子248の1つ以上の表面は低放射率フィルムでコーティングすることができる。この低放射率フィルムは、例えば、金、銀、又はニッケルを含むことができる。有利なことに、このような低放射率フィルムは少なくとも部分的に、パイプ240から磁石244を(赤外線放射に対抗して)熱的に絶縁することができる。これは、磁石144の温度に対して、そして次に、アンジュレータ24cの軸41に沿って発生した磁場に対して、更に安定性を提供することができる。
[00141] 第2のアンジュレータ24bの強磁性素子148は第3のアンジュレータ24cの強磁性素子248(図13に示されている)と概ね同じ形状であることに留意されたい。更に、第2のアンジュレータ24bの磁石144は第3のアンジュレータ24cの磁石244(図14に示されている)と概ね同じ形状である。更に、第2のアンジュレータ24bのスペーサエレメント146は第3のアンジュレータ24cのスペーサエレメント246(図15に示されている)と概ね同じ形状である。
[00142] 図16を参照すると、本発明の一実施形態による第4のアンジュレータ24dの一部分の断面図が示されている。第4のアンジュレータ24dは第1、第2、及び第3のアンジュレータ24a、24b、24cと同様の構造であり、第4のアンジュレータ24dと第1、第2、及び第3のアンジュレータ24a、24b、24cとの相違点についてのみ以下に詳細に説明する。
[00143] アンジュレータ24dは、電子ビームE用のパイプ340と、複数の周期的磁気構造と、スペーサエレメント361とを含む。図16の平面には2つの周期的磁気構造360a、360bが示されている。第4のアンジュレータ24dは平面アンジュレータにすることができ、第2のアンジュレータ24bと同様に、このような2つの周期的磁気構造360a、360bのみを含むことができる。代替的に、第4のアンジュレータ24dは、第1及び第3のアンジュレータ24a、24cと同様に追加の1対の周期的磁気構造(図16には示されていない)を含むこともできる。第1及び第3のアンジュレータ24a、24cのように、第4のアンジュレータ24dが追加の1対の周期的磁気構造を含む(即ち、全部で4つの周期的磁気構造を含む)場合、第4のアンジュレータ24dは、4つの周期的磁気構造の相対的な軸位置次第で、直線偏光、楕円偏光、又は円偏光を有する放射を発生することができる。
[00144] パイプ340はパイプ40と同様のものであり、同じ材料で形成することができる。
[00145] 周期的磁気構造360a、360bのそれぞれは実質的に同様の構造であり、特に、実質的に同じアンジュレータ周期λを有する。周期構造360a、360bのそれぞれは複数の磁石344a、344bを含む。第4のアンジュレータ24dは、第1、第2、及び第3のアンジュレータ24a、24b、24cとは対照的に、受動的で軟らかい強磁性素子を使用しない。
[00146] 複数の磁石は、第1の向きを有する第1の磁石344aと、第2の向きを有する第2の磁石344bとを含む。それぞれの周期的磁気構造360a、360b内で、第1の磁石344aは軸方向に延びる一列に第2の磁石344bと交互に配置される。複数の磁石344a、344bのそれぞれは実質的に一定の分極方向を有し、これは図16に矢印で示されている。第1の磁石344aのそれぞれの分極は概ね正の軸方向又は負の軸方向のいずれかにある。第2の磁石344bのそれぞれの分極は概ね正の半径方向又は負の半径方向のいずれかにある。軸方向において、複数の磁石の分極の方向が、負の半径方向、負の軸方向、正の半径方向、正の軸方向という順序を辿るように、それぞれの周期的磁気構造360a、360b内で、第1の磁石344aは軸方向に延びる一列に第2の磁石344bと交互に配置される。それぞれの周期的磁気構造360a、360bは周期磁場を発生し、その周期λは、2つの第1の磁石344aと2つの第2の磁石344bという4つの磁石の長さである。
[00147] 複数の磁石344a、344bのそれぞれは実質的に磁石44と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00148] スペーサエレメント361は、パイプ340を取り囲む中空円筒の形である。即ち、アンジュレータ24dの軸41に垂直な平面における断面では、スペーサエレメント361の形状は環状である。その他の点では、スペーサエレメント361は実質的にスペーサエレメント46、146、246と同じものにすることができ、特に、同じ材料で形成することができる。
[00149] 第4のアンジュレータ24dの設計は幾つかの理由で有利である。アンジュレータ24dが、ビームパイプ340からの放射、特に高エネルギー電子及び光子に対して抵抗性が高くなるように、スペーサエレメント361は少なくとも部分的に磁石344a、344bを放射から遮蔽する。永久磁石344a、344bがパイプ340から空間的に分離していることにより、永久磁石344a、344bとパイプ340との間にスペーサエレメント361を配置することができる。
[00150] パルス電子ビームがパイプ340を通って伝搬した結果として、パイプ340は電子ビームEが発生したウェークフィールドにより熱くなる。パイプ340から永久磁石344a、344bを半径方向に間隔をあけることのもう1つの利点は、これによりパイプ340から熱を放散させることができる冷却液システムのための空間が提供されることである。従って、アンジュレータ24dには、それを通って冷却液を循環できる冷却水路を設けることができる。例えば、それを通って冷却液を循環できる冷却水路52は、(第1のアンジュレータ24aと同様に)スペーサエレメント361内又は(第2又は第3のアンジュレータ24b、24cと同様に)パイプ340内に設けることができる。
[00151] 上記のアンジュレータ24a、24b、24c、24dのいずれでも、次に説明するように、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上の磁場を制御できるようにする調整メカニズムを設けることができる。4つの別個のタイプの調整メカニズムについて次に説明する。
[00152] 第1及び第2の調整メカニズムでは、1つ以上の磁性材料プレートを使用して、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上の磁場を制御する。
[00153] 第1の調整メカニズムでは1つ以上の磁性材料プレートを使用する。このプレートはシムと呼ぶことができる。特に、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上の磁場の制御は、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの磁石のうちの1つ以上の半径方向外側に隣接して1つ以上の磁性材料プレートを配置することによって達成することができる。このプレートは、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの磁場、特に、このプレートが隣に配置される磁石の磁場をゆがめることになる。そして次に、これが軸41上の磁場を左右することになる。このようなプレートの存在に対する軸41上の磁場の感受性は、プレートの磁気特性及び磁石の隣に設けられるプレートの(半径)厚さに依存する可能性がある。磁性材料プレートに対する軸41上の磁場の感受性は、そのプレートの厚さに線形に依存する可能性がある。(軸41上の磁場の所望の変化に影響するために)適切な材料の厚さは、1つ以上の比較的薄い個別プレートを使用して達成することができる。このプレートは、例えば、コバルトと鉄の合金(CoFe)などの任意の適切な磁性材料で形成することができる。
[00154] 第1の調整メカニズムは、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上の磁場に対する何らかの制御を提供する。しかし、所望の厚さの磁性材料は1つ以上の比較的薄いプレートを使用して達成されるので、このような方法の分解能は個別プレートの(非ゼロの)厚さによって制限される。更に、第1のメカニズムは容易に自動化に向いていない。第一に、所望の磁場を達成するためにそれぞれの磁石について磁性材料の所望の厚さを計算しなければならない。次に、対応する数の個別シムをそれぞれの磁石の隣に配置しなければならない。
[00155] 第2のメカニズムは1つ以上の磁性材料プレートを使用する。このプレートはシムと呼ぶことができる。特に、アンジュレータ24a、24b、24c、24dは1つ以上の磁石について1つの磁性材料プレートを含む。幾つかの実施形態では、それぞれの磁石には対応する磁性材料プレートが提供される。それぞれのプレートは、それに対応する磁石の半径方向外側に隣接して配置され、半径方向に移動可能である。これを達成するために、それぞれのプレートにはリニアアクチュエータを設けることができる。第1の調整メカニズムのように、それぞれのプレートは、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの磁場、特に、それが隣接しているその対応する磁石の磁場をゆがめることになる。そして次に、これが軸41上の磁場を左右することになる。このプレートの存在に対する軸41上の磁場の感受性は、プレートの磁気特性、プレートの(半径)厚さ、及びそれぞれのプレートの半径位置に依存する可能性がある。それぞれのプレートは等しい半径厚さを有することができる。それぞれのプレートの半径位置の関数としての軸41上の磁場に対するプレートの影響は非線形になる可能性がある。しかし、プレートの十分に小さい半径方向変位範囲については、その依存性はほぼ線形になる可能性がある。軸41上の磁場に対する制御は、1つ以上のプレートの半径方向への独立した移動によって達成される。このプレートは、例えば、コバルトと鉄の合金(CoFe)などの任意の適切な磁性材料で形成することができる。
[00156] それぞれのプレートの公称位置又はデフォルト位置は、そのプレートがその公称位置から半径方向内側及び半径方向外側の両方に移動できるように、それに対応する磁石から半径方向に変位させることができる。これにより、プレートを(半径方向内側又は半径方向外側の)いずれかの方向に移動することによって磁場を左右することができる。
[00157] 第2の調整メカニズムは、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上の磁場に対する制御を提供する。第2の調整メカニズムの分解能は個別プレートの線形半径方向変位の分解能によって制限される。第2の調整メカニズムは第1の調整メカニズムより大きい分解能を有すると期待することができる。更に、第2のメカニズムは自動化に適している。例えば、アンジュレータ24a、24b、24c、24dは、それぞれの磁性材料プレートの半径位置を制御するように動作可能なコントローラを含むことができる。
[00158] 第3及び第4の調整メカニズムは、軸41上の磁場を制御するために、1つ以上のアクチュエータを使用して、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの1つ以上の部分を移動させる。
[00159] 第3のメカニズムは1つ以上の個別可動式磁石を使用する。特に、アンジュレータ24a、24b、24c、24dは1つ以上のアクチュエータを含み、それぞれのアクチュエータは対応する磁石の半径位置を制御するように動作可能である。一実施形態では、アンジュレータ24a、24b、24c、24dのそれぞれの磁石にはアクチュエータが設けられ、従って、それぞれの磁石は他の磁石から独立して移動可能である。それぞれのアクチュエータはリニアアクチュエータにすることができる。それぞれの個別磁石のこのような半径方向移動はその磁石と軸41との間の距離を変更し、従って、軸41上の磁場を左右する。
[00160] 磁石の移動に対する軸41上の磁場の感受性はそれぞれの磁石の半径位置に依存する可能性がある。それぞれの磁石の半径位置の関数としての軸41上の磁場に対するそれぞれの磁石の移動の影響は非線形になる可能性がある。しかし、磁石の十分に小さい半径方向変位範囲については、その依存性はほぼ線形になる可能性がある。軸41上の磁場に対する制御は、1つ以上の磁石の半径方向への独立した移動によって達成される。
[00161] それぞれの磁石の公称位置又はデフォルト位置は、その磁石がその公称位置から半径方向内側及び半径方向外側の両方に移動できるようなものにすることができる。これにより、磁石を(半径方向内側又は半径方向外側の)いずれかの方向に移動することによって磁場を左右することができる。第3のメカニズムの感受性は公称位置について非対称になる可能性がある。即ち、内側への所与の半径方向変位に関する磁場の変化は外側への同じ半径方向変位の磁場の変化とは異なる可能性がある。
[00162] 第3の調整メカニズムは良好な分解能を有すると期待することができる。更に、第3の調整メカニズムは自動化に適している。例えば、アンジュレータ24a、24b、24c、24dは、それぞれの磁石の半径位置を制御するように動作可能なコントローラを含むことができる。しかし、それぞれの可動式磁石と隣接する強磁性素子(又は磁石)との間には望ましくない摩擦が存在する可能性がある。
[00163] 第4のメカニズムは1つ以上の個別可動式磁気素子群を使用する。特に、アンジュレータ24a、24b、24c、24dは1つ以上のアクチュエータを含み、それぞれのアクチュエータは対応する磁気素子群の半径位置を制御するように動作可能である。それぞれの磁気素子群は複数の素子を含み、その素子は磁石又は強磁性素子を含む。それぞれの磁気素子群はアンジュレータ24a、24b、24c、24dの周期的磁気構造の全部又は一部を含むことができる。一実施形態では、アンジュレータ24a、24b、24c、24dのそれぞれの周期的磁気構造にはアクチュエータが設けられ、従って、それぞれの周期的磁気構造は他の周期的磁気構造から独立して移動可能である。それぞれのアクチュエータはリニアアクチュエータにすることができる。それぞれの個別磁気素子群のこのような半径方向移動はその磁気素子群と軸41との間の距離を変更し、従って、軸41上の磁場を左右する。
[00164] 磁気素子群の移動に対する軸41上の磁場の感受性はそれぞれの磁気素子群の半径位置に依存する可能性がある。それぞれの磁気素子群の半径位置の関数としての軸41上の磁場に対するそれぞれの磁気素子群の移動の影響はほぼ線形になる可能性がある。軸41上の磁場に対する制御は、1つ以上の磁気素子群の半径方向への独立した移動によって達成される。
[00165] それぞれの磁気素子群の公称位置又はデフォルト位置は、その磁気素子群がその公称位置から半径方向内側及び半径方向外側の両方に移動できるようなものにすることができる。これにより、磁気素子群を(半径方向内側又は半径方向外側の)いずれかの方向に移動することによって磁場を左右することができる。
[00166] 第4の調整メカニズムは良好な分解能を有すると期待することができる。更に、第4の調整メカニズムは自動化に適している。例えば、アンジュレータ24a、24b、24c、24dは、それぞれの磁気素子群の半径位置を制御するように動作可能なコントローラを含むことができる。しかし、磁気素子群の隣接対同士の間には望ましくない摩擦が存在する可能性がある。この摩擦は、磁気素子群のそれぞれの隣接対同士の間にギャップを設けるようにアンジュレータ24a、24b、24c、24dを組み立てることにより、未然に防ぐことができる。これは、磁気素子群のそれぞれの隣接対同士の間に、後で除去されるシム又はスペーサを使用することにより、達成することができる。
[00167] 上記の調整メカニズムはいずれも、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上の磁場を決定するためのメカニズムとともに使用することができる。コントローラは、アンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上で決定された磁場に応答して、上記の調整メカニズムのうちの1つを使用してアンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上の磁場を調整することができる。この調整は、所望の磁場又は公称磁場がアンジュレータ24a、24b、24c、24dの軸41上で達成されるようなものにすることができる。
[00168] アンジュレータ24a〜24dの上記の諸実施形態のそれぞれでは、磁石を室温で提供することができる。これにより、軸41に沿って所望の磁場を正確に提供するように磁石を正確に位置決めし位置合わせするプロセスを支援することができる。代替的に、磁石に冷却液システムを提供し、磁石を室温未満に冷却することができる。有利なことに、これにより放射線損傷に対する抵抗性を追加することができる。磁石と電子ビーム用のパイプは共通の冷却システムを共用することができる。例えば、液体窒素などの任意の適切な冷却液を使用することができる。
[00169] 図17及び図18は、アンジュレータモジュール24eの2つの異なる断面図を示しており、アンジュレータモジュール24eは本発明の一実施形態による第5のアンジュレータの一部分である。アンジュレータモジュール24eは電子ビームE用のビームパイプ440と超伝導磁石アセンブリとを含む。ビームパイプ440は電子ビームEが伝搬するのに適している。ビームパイプ440は、ビームパイプ440の中心を通って延びる、アンジュレータモジュール24eの軸441を画定する。
[00170] 軸441に沿った方向又はそれに平行な方向は軸方向と呼ぶことができる。図17では、軸方向はz方向に対応する。軸441を通過する方向及び実質的にそれに垂直な方向は半径方向と呼ぶことができる。アンジュレータモジュール24eの軸441に垂直な平面はx−y平面と呼ぶことができる(図18の軸が示す通り)。
[00171] x−y平面における断面では、ビームパイプ440の形状は概ね長方形である(図18を参照)。長方形の長い方の寸法はx方向と位置合わせされ、長方形の短い方の寸法はy方向と位置合わせされる。中心ボア470はビームパイプ440を通って軸方向に延びている。中心ボア470のx−y平面における断面は楕円である。ビームパイプ440には2つの冷却水路452が設けられ、そのそれぞれはビームパイプ440を通って軸方向に延びている。それぞれの冷却水路452は(x方向で)中心ボア470の反対側に設けられる。
[00172] ビームパイプ440は、使用中に電子ビームEがパイプ440の一端に入り、実質的にアンジュレータ24eの重心軸441に沿って中心ボア470を通過し、パイプ440の反対端から出るように配置される。使用中にビームパイプ440の中心ボア470は真空条件下に保持される。このため、ビームパイプ440は、ステンレス鋼など、ガス抜けを起こさない材料で形成することができる。代替的に、ビームパイプ440は、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)で形成することができ、中心ボア470には任意選択でガス抜けを起こさないコーティング(例えば、非蒸発性ゲッターNEGで形成されるコーティング)を施すこともできる。
[00173] アンジュレータモジュール24eは概ね直方体の形の外部容器450を含む。ビームパイプ440は外部容器450を通って延びている。アンジュレータ24eは2つの内部容器455a、455bを含む。2つの内部容器455a、455bのそれぞれは概ね直方体の形である。2つの内部容器455a、455bのそれぞれは(例えば、1つ以上の支持体を介して)外部容器450内に収容され、外部容器450に接続される。任意選択で、外部容器450と内部容器455a、455bとの間の振動伝達を低減するためのメカニズム(例えば、1つ以上のベロー又はダンパー)を設けることができる。内部容器455a、455bはビームパイプ440の両側に(y方向に)対称的に配置されている。
[00174] ビームパイプ440には、次に説明するように、ビームパイプ440のそれぞれの端部にダブルフランジ接続部が設けられる。ダブルフランジ接続部は、第1の(半径方向内側)フランジ446と第2の(半径方向外側)フランジ448という2つの同心で概ね環状のフランジを含む。第1及び第2のフランジは、1つ以上の半径方向に延びる支持支柱(図示せず)を介して接続することができる。
[00175] 第1のフランジ446によりビームパイプを、例えば、隣接するアンジュレータモジュールのビームパイプに又は自由電子レーザの他の素子に結合することができる。第1のフランジ446は、所望の環境、例えば、超高真空(UHV)をその中で維持できるようにビームパイプ440の中心ボア470を封止するためのメカニズムを提供する。
[00176] 第2のフランジ448により外部容器250と2つの内部容器255a、255bとの間のボリューム460を、例えば、隣接するアンジュレータモジュールの対応するボリュームに結合することができる。第2のフランジ448は、所望の環境をその中で維持できるように外部容器250と2つの内部容器255a、255bとの間のボリューム460を封止するためのメカニズムを提供する。
[00177] およそ10μmの正確さで超伝導磁石アセンブリの位置を維持することが望ましいか又は軸441上の所望の磁場を維持することがより良いことである可能性がある。この理由で、ビームパイプ440はベローシステム488を介して外部容器450に接続される。ベローシステム488は(例えば、冷却液の流れからの)ビームパイプ440と外部容器450との間の振動伝達を低減する。
[00178] 超伝導磁石アセンブリは4つの周期的磁気構造442a〜442dを含み、そのそれぞれが2つの内部容器455a、455bのうちの1つに収容される。
[00179] 4つの周期的磁気構造442a〜442dは実質的に同様の構造である。特に、周期的磁気構造442a〜442dのそれぞれは実質的に同じアンジュレータ周期を有する。それぞれの周期構造442a〜442dはパイプ440に沿って軸方向に(即ち、z方向に)延びている。x−y平面において、4つの磁気構造はパイプ440の周りに実質的に均等に分散している。アンジュレータ24a、24cのように、4つの周期的磁気構造442a〜442dの相対的軸位置は、アンジュレータモジュール24eが発生した放射の偏光を決定することができる。アンジュレータモジュール24eの重心軸441の周りを方位学的に移動すると、それぞれの周期的磁気構造は(即ち、442a、442d、442b、442cという順序で)+λ/4又は−λ/4のいずれか一方の同じ量だけ前の周期的磁気構造に対して軸方向にシフトする。このような配置は、電子ビームEがそれを通って伝搬するにつれて円形に偏光した放射を発生することができ、螺旋アンジュレータモジュール24eと呼ぶことができる。
[00180] それぞれの周期的磁気構造442a〜442dは、その周りに線材482のコイルが巻き付けられた複数の強磁性素子480を含む。この線材482のコイルは超伝導材料、即ち、その臨界温度未満の温度で超伝導体として動作する材料で形成される。2つの内部容器455a、455bには、超伝導磁石アセンブリを第1の温度まで冷却するように動作可能な第1の冷却液システムが設けられる。第1の温度は、線材のコイルが形成される材料の臨界温度未満である。
[00181] 2つの内部容器のそれぞれは入口と出口(図示せず)を含む。第1の冷却液システムは第1の冷却液用の閉ループを形成することができる。第1の冷却液システムは、それぞれの入口に第1の冷却液を供給し、それぞれの出口から第1の冷却液を抽出するように動作可能なものにすることができる。従って、2つの内部容器455a、455bのそれぞれの内部のボリューム465は第1の冷却液で部分的に充填される。
[00182] 冷却液はそれぞれの内部容器455a、455b内を流れる時に、周期的磁気構造から熱を抽出し、そのようにする際に周期的磁気構造を冷却する。従って、それぞれの内部容器455a、455bの出口から抽出された冷却液はそれぞれの内部容器455a、455bの入口に送り出された冷却液より高い温度になる。第1の冷却液システムは、それぞれの入口に供給する前にそれぞれの出口から抽出された第1の冷却液から熱を抽出するように更に動作可能である。
[00183] 第1の冷却液は、超流動体である液体ヘリウムを含むことができる。ヘリウムの沸点は4.2K(−268.9℃)である。従って、第1の温度は4.2K(−268.9℃)以下にすることができる。
[00184] 第1の冷却液システムは線材482のコイルをその臨界温度未満に維持する。これは、線材482のコイルがゼロの電気抵抗を有し、印加電圧がない場合に電流を支持できることを保証するものである。
[00185] 強磁性素子480は、電流が線材のコイルを流れる時に発生した磁場を合焦させるように動作する。強磁性素子480は鉄で形成することができ、鉄ヨークと呼ぶことができる。強磁性素子480は比較的軟らかい強磁性物質で形成することができる。軟らかい強磁性物質は容易に磁化及び消磁され、比較的小さい残留磁気、狭いヒステリシスループ(即ち、低い保磁力)、高い透磁率、及び高い磁気飽和誘導を有する。例えば、複数の強磁性素子480のそれぞれは、500A/m未満の保磁力及び1000を超える最大比透磁率を有する軟らかい強磁性物質で形成することができる。幾つかの実施形態では、強磁性素子480は軟鉄又は鉄−コバルト合金で形成される。
[00186] パルス電子ビームEがビームパイプ440を通って伝搬するにつれて、電子ビームEが発生したウェークフィールドにより熱を発生する。
[00187] 使用中に第2の冷却液はパイプ440内の冷却水路452を通って循環する。これは、ビームパイプ440を第2の温度まで冷却するように動作可能な第2の冷却液システムを形成する。第2の温度は第1の温度より高い可能性がある。
[00188] 冷却水路452は第2の冷却液用の閉ループの一部を形成することができる。第2の冷却液はそれぞれの冷却水路内を流れる時に、ビームパイプ440から熱を抽出し、そのようにする際にそのビームパイプを冷却する。第2の冷却液システムは、冷却水路452に戻す前に冷却水路452から抽出された第2の冷却液から熱を抽出するように動作可能である。
[00189] 第2の冷却液は液体窒素を含むことができる。ヘリウムの沸点は77.4K(−198.8℃)である。従って、第2の温度は77.4K(−198.8℃)以下にすることができる。窒素を液化するための技術はすでに存在しているので、窒素は第2の冷却液として使用するのに特に適している。更に、ビームパイプ440からの迷走電子により発生する可能性のある窒素の放射性同位体(17N及び13N)は10分未満の寿命を有する。従って、液体窒素を使用する冷却システムは本質的に低活性の冷却運転時間を有する。窒素同位体の崩壊の結果得られる炭素同位体も短命であるので、このような炭素の同位体はフィルタで除去するか又は閉じたシステム内に残すことができる。
[00190] 次に説明するように、ビームパイプ440と超伝導磁石アセンブリとの間にサーマルバリアが設けられる。このサーマルバリアは熱放射によってビームパイプ440と超伝導磁石アセンブリとの間の熱伝達を低減するように配置される。
[00191] パイプ440と2つの内部容器455a、455bとの間に小さいギャップ490が設けられる。有利なことに、このギャップ490は少なくとも部分的に、パイプ440から超伝導磁石アセンブリを熱的に絶縁することができる。このギャップ490は真空条件下に保持することができ、これにより断熱のレベルを改善することができる。これは、外部容器250と2つの内部容器255a、255bとの間のボリューム460を真空条件下で維持することによって達成することができる。更に、このギャップ490を画定するビームパイプ440及び2つの内部容器455a、455bの1つ以上の表面は低放射率フィルムでコーティングすることができる。この低放射率フィルムは、例えば、金、銀、又はニッケルを含むことができる。有利なことに、このような低放射率フィルムはパイプ440からの赤外線放射の放出を低減することができる。
[00192] 外部容器450と2つの内部容器455a、455bとの間のボリューム460(ギャップ490を含む)は、例えば、多層断熱(MLI)などの絶縁材(図示せず)で充填することができる。MLIは、マイラーというブランド名で販売されているものなどの二軸延伸のポリエチレンテレフタレート(BoPET)ホイルで形成することができる。BoPETホイルにはアルミニウムコーティングを施すことができる。代替的に、MLIはアルミニウムホイルで形成することができる。このような絶縁材はビームパイプ440と超伝導磁石アセンブリとの間の熱伝達を更に低減することができる。
[00193] 一実施形態では、ビームパイプ440と超伝導磁石アセンブリとの間の熱伝達は<10−4W/(mK)である。
[00194] 第2の冷却液システムによるビームパイプ440の冷却はビームパイプ440から超伝導磁石アセンブリへの放射熱伝達を抑制する。
[00195] アンジュレータモジュール24eには、超伝導磁石アセンブリ用の1つと、ビームパイプ440用の1つという2つの別個の冷却システムが設けられる。これは、ヘリウムによって外側から冷却されるビームパイプの周りに超伝導線材が巻き付けられる、既知の超伝導アンジュレータ構成とは対照的である。このような従来技術の設計の不利点の1つは、ヘリウム冷却が非効率的であり、従って、費用がかかることである。プラグからの平均効率は1対1000であり、即ち、4Kで1ジュールのエネルギーを冷却するために1000ジュールの電気が必要である。本発明の構成では、超伝導磁石アセンブリのみがヘリウムを使用して冷却される。ビームパイプ440はおよそ77K(1バールでの窒素の沸点)の温度まで又はおよそ100Kの温度まで冷却することができる。このような構成では、ビームパイプ440からのウェークフィールド熱負荷の冷却はおおよそ10〜100倍エネルギー効率が良く、技術的な難易度は低くなる。
[00196] ビームパイプ440を形成できる金属(例えば、アルミニウム又は銅)の導電率は、温度が300Kから77Kに低下すると、およそ10〜20倍に増加する。例えば、アルミニウムの抵抗率は300Kで2.7×10−6Ωcm、77Kで0.10×10−6Ωcmであり、銅の抵抗率は300Kで1.6×10−6Ωcm、77Kで0.16×10−6Ωcmである。従って、ビームパイプ440を77Kという第2の温度に冷却することにより、ビームパイプ440上のウェークフィールド熱負荷はおよそ10〜20分の1に低減される。例えば、ビームパイプ440上のウェークフィールド熱負荷は100W/mから5W/mに低減される可能性がある。そして次に、これにより、ビームパイプ440に必要な冷却全体が低減される。より小さいエネルギーの広がりが電子ビームEに取り入れられるので、電子ビームEからのウェークフィールド損失がこのように低減すると、自由電子レーザの変換効率の増加が得られる。
[00197] ビームパイプ440を形成できる金属(例えば、アルミニウム又は銅)の熱伝導率は、温度が300Kから77Kに低下すると、およそ2倍に増加する。例えば、アルミニウムの熱伝導率は300Kで〜200W/(Km)、77Kで〜700W/(Km)であり、銅の熱伝導率は300Kで〜400W/(Km)、77Kで〜600W/(Km)である。従って、より低い温度でビームパイプ440から熱を伝導する方が容易である。
[00198] 更に、金属からのガス抜けはより低い温度では減速する。例えば、水素のガス抜けはおよそ100分の1に低減することができる。有利なことに、ガス抜けが少ないということは、中心ボア470(それを通って電子ビームEが伝搬する)内のイオン濃度を所与のレベルに維持するために必要なポンピングがより少ないことを意味する。
[00199] パイプ440は高真空に維持されるが、電子ビームEからの高エネルギー電子はビームパイプ440内の残留ガス分子によって、例えば、ラザフォード散乱を介して散乱させることができる。このような散乱電子はアンジュレータモジュール24eの超伝導磁石アセンブリにぶつかる可能性がある。このような散乱電子は物質を通って移動するにつれて、電磁力を介してその物質と相互作用し、低エネルギー電子及び光子の電磁シャワー又はカスケードを発生する。
[00200] アンジュレータモジュール24eは、ビームパイプ440からの放射、特に高エネルギー電子及び光子に対して比較的鈍感である。超伝導磁石アセンブリによって吸収されるエネルギーのほとんどは強磁性素子480によって吸収される。エネルギーのうちの比較的小さい部分(例えば、おおよそ0.1%)のみが線材482のコイルによって吸収され、これは典型的に著しい速度で線材482のコイルを損傷するには不十分なものである。
[00201] 放射源SOの諸実施形態については自由電子レーザFELを含むものとして説明し描写してきたが、放射源は任意の数の自由電子レーザFELを含むことができることを認識されたい。例えば、放射源は2つ以上の自由電子レーザFELを含むことができる。
[00202] リソグラフィシステムLSについて記載されている諸実施形態は8つのリソグラフィ装置LA1〜LA8を含むが、リソグラフィシステムLSは任意の数のリソグラフィ装置を含むことができる。リソグラフィシステムLSを形成するリソグラフィ装置の数は、例えば、放射源SOから出力される放射の量及びビームスプリッティング装置19内で失われる放射の量に依存する可能性がある。リソグラフィシステムLSを形成するリソグラフィ装置の数は、追加的に又は代替的に、1つのリソグラフィシステムLSのレイアウト及び/又は複数のリソグラフィシステムLSのレイアウトに依存する可能性がある。
[00203] リソグラフィシステムLSの諸実施形態は、1つ以上のマスク点検装置MIA及び/又は1つ以上の空中査察測定システム(AIMS)も含むことができる。幾つかの実施形態では、リソグラフィシステムLSは、ある程度の冗長性を可能にするために複数のマスク点検装置を含むことができる。これにより、あるマスク点検装置が修理されているか又はメンテナンスを受けている時に、他のマスク点検装置を使用することができる。従って、1つのマスク点検装置が必ず使用できる状態になっている。マスク点検装置はリソグラフィ装置より低出力の放射ビームを使用することができる。更に、本明細書に記載されているタイプの自由電子レーザFELを使用して発生した放射を、リソグラフィ以外の適用例又はリソグラフィ関連の適用例に使用できることが認識されるであろう。
[00204] 上記に記載されているアンジュレータを含む自由電子レーザは、リソグラフィを含むがこれに限定されない幾つかの用途のための放射源として使用できることが更に認識されるであろう。
[00205] 「相対論的電子」という用語は、相対論的エネルギーを有する電子を意味するものと解釈するべきである。電子は、その運動エネルギーがその静止質量エネルギー(自然単位で511keV)に匹敵するか又はそれより大きい時に相対論的エネルギーを有すると見なすことができる。実際には、自由電子レーザの一部を形成する粒子加速器は、その静止質量エネルギーよりかなり大きいエネルギーまで電子を加速することができる。例えば、粒子加速器は、>10MeV、>100MeV、>1GeV以上のエネルギーまで電子を加速することができる。
[00206] 本発明の諸実施形態は、EUV放射ビームを出力する自由電子レーザFELに関連して記載されている。しかし、自由電子レーザFELは任意の波長を有する放射を出力するように構成することができる。従って、本発明の幾つかの実施形態は、EUV放射ビームではない放射ビームを出力する自由電子を含むことができる。
[00207] 「EUV放射」という用語は、4〜20nmの範囲内、例えば、13〜14nmの範囲内の波長を有する電磁放射を包含すると見なすことができる。EUV放射は、10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなどの5〜10nmの範囲内の波長を有することができる。
[00208] リソグラフィ装置LA1〜LA8はICの製造に使用することができる。代替的に、本明細書に記載されているリソグラフィ装置LA1〜LA8はその他の適用例も可能である。考えられるその他の適用例としては、集中光学システム、磁気ドメインメモリ用誘導及び検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。
[00209] 本発明の特定の実施形態について上記で説明してきたが、本発明は上記以外に実践できることが認識されるであろう。上記の説明は限定的ではなく、例示的なものである。従って、以下に明記されている特許請求の範囲から逸脱せずに、上記の本発明に対して変更が可能であることは当業者には明白であろう。

Claims (45)

  1. 周期経路に沿って電子ビームを誘導するためのアンジュレータであって、
    前記アンジュレータに沿って軸方向に延びる1つ以上の周期的磁気構造であって、それぞれの周期的磁気構造が、複数の磁石と複数の受動強磁性素子とを含み、前記複数の磁石が、軸方向に延びる一列に前記複数の受動強磁性素子と交互に配置される、1つ以上の周期的磁気構造を含み、
    前記複数の磁石のそれぞれが、前記電子ビームが辿る前記周期経路から空間的に分離され、
    前記受動強磁性素子のそれぞれが、前記電子ビームが辿る前記周期経路に向かって隣接磁石から半径方向に延びる、アンジュレータ。
  2. 複数のスペーサエレメントを更に含み、
    前記複数の磁石のうちの1つ以上が、前記複数のスペーサエレメントのうちの1つによって前記周期経路から分離される、請求項1に記載のアンジュレータ。
  3. 前記複数のスペーサエレメントが、非磁性体で形成される、請求項2に記載のアンジュレータ。
  4. 前記複数のスペーサエレメントが、比較的小さいモリエール半径と比較的高い密度を有する材料で形成される、請求項2又は3に記載のアンジュレータ。
  5. 前記複数のスペーサエレメントが、タングステン又は鉛で形成される、請求項4に記載のアンジュレータ。
  6. 前記複数のスペーサエレメントが、29〜33、40〜51、及び72〜83の範囲内の原子番号を有する元素を含む合金で形成される、請求項4に記載のアンジュレータ。
  7. 前記複数のスペーサエレメントが、少なくともそれが形成される前記材料の前記モリエール半径の半径厚さを有する、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  8. 前記複数のスペーサエレメントが1cmより大きい半径厚さを有する、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  9. 前記電子ビームが、通過するためのパイプを更に含み、
    前記1つ以上の周期的磁気構造のそれぞれが、前記パイプに沿って軸方向に延びる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  10. 前記複数の磁石のそれぞれが、前記複数のスペーサエレメントのうちの1つによって前記パイプから分離される、直接的又は間接的に請求項2に従属する場合に請求項9に記載のアンジュレータ。
  11. 前記周期的磁気構造の長さに沿って前記磁石の分極が正の軸方向と負の軸方向の間で交互になるように、所与の周期構造の前記複数の磁石が配置される、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  12. 前記磁石が、希土類磁石を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  13. 前記磁石が、遷移金属と希土類元素の合金で形成される、請求項12に記載のアンジュレータ。
  14. 前記磁石が、サマリウムとコバルトの合金で形成されるサマリウムコバルト(SmCo)磁石を含む、請求項12又は13に記載のアンジュレータ。
  15. 前記合金が、ホウ素を更に含む、請求項13又は14に記載のアンジュレータ。
  16. 軸方向に垂直な平面において、前記受動強磁性素子のそれぞれの断面が、隣接磁石と位置合わせされた半径方向外側部分と、前記周期経路に向かって延びる半径方向内側部分と、を含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  17. 前記半径方向内側部分が、内側に向かって先細になる、請求項16に記載のアンジュレータ。
  18. 前記アンジュレータの外面上に中性子吸収材を更に含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  19. それを通って冷却液を循環させることができる1つ以上の冷却水路が前記アンジュレータに設けられる、請求項1乃至18のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  20. 前記1つ以上の冷却水路が、前記複数のスペーサエレメント内に設けられる、直接的又は間接的に請求項2に従属する場合に請求項19に記載のアンジュレータ。
  21. 前記1つ以上の冷却水路が、前記パイプ内に設けられる、直接的又は間接的に請求項9に従属する場合に請求項19に記載のアンジュレータ。
  22. 一方の側の前記周期経路ともう一方の側の前記磁石及び前記受動強磁性素子との間にサーマルバリアを更に含む、請求項1乃至21のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  23. 前記サーマルバリアが、一方の側の前記スペーサエレメントともう一方の側の前記磁石及び前記受動強磁性素子との間に設けられる、直接的又は間接的に請求項2に従属する場合に請求項22に記載のアンジュレータ。
  24. 前記サーマルバリアが、一方の側の前記パイプともう一方の側の前記磁石及び前記受動強磁性素子との間に設けられる、直接的又は間接的に請求項9に従属する場合に請求項22に記載のアンジュレータ。
  25. 前記サーマルバリアが、ギャップを含む、請求項22乃至24のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  26. 前記ギャップが、真空条件下に保持される、請求項25に記載のアンジュレータ。
  27. 前記サーマルバリアが、前記アンジュレータの1つ以上の表面上にコーティングされた低放射率フィルムを含む、請求項22乃至26のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  28. 前記強磁性素子が、95%を超える鉄を含む軟鉄で形成される、請求項1乃至27のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  29. 前記強磁性素子が、20%を超える鉄と20%を超えるコバルトを含む合金で形成される、請求項1乃至28のいずれか一項に記載のアンジュレータ。
  30. 前記強磁性素子が、Fe49Co49の形で鉄、コバルト、及びバナジウムを含む合金で形成される、請求項29に記載のアンジュレータ。
  31. 周期経路に沿って電子ビームを誘導するためのアンジュレータであって、
    前記アンジュレータに沿って軸方向に延びる1つ以上の周期的磁気構造であって、それぞれの周期的磁気構造が複数の磁石を含む、1つ以上の周期的磁気構造と、
    複数のスペーサエレメントと、を含み、
    前記複数の磁石のうちの1つ以上が、前記複数のスペーサエレメントのうちの1つによって前記電子ビームが辿る前記周期経路から空間的に分離される、アンジュレータ。
  32. 前記複数のスペーサエレメントが、非磁性体で形成される、請求項31に記載のアンジュレータ。
  33. 前記複数のスペーサエレメントが、比較的小さいモリエール半径と比較的高い密度を有する材料で形成される、請求項31又は32に記載のアンジュレータ。
  34. 前記複数のスペーサエレメントが、少なくともそれが形成される前記材料の前記モリエール半径の半径厚さを有する、請求項31乃至33のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  35. 前記電子ビームが通過するためのパイプを更に含み、
    前記1つ以上の周期的磁気構造のそれぞれが、前記パイプに沿って軸方向に延びる、請求項31乃至34のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  36. 前記複数の磁石のそれぞれが、前記複数のスペーサエレメントのうちの1つによって前記パイプから分離される、請求項35に記載のアンジュレータ。
  37. 周期経路に沿って電子ビームを誘導するためのアンジュレータモジュールであって、
    電子ビーム用のビームパイプであって、前記アンジュレータモジュールの軸を画定する、ビームパイプと、
    前記軸に沿って周期磁場を発生するように動作可能な超伝導磁石アセンブリと、
    前記超伝導磁石アセンブリを第1の温度まで冷却するように動作可能な第1の冷却液システムと、
    前記ビームパイプを第2の温度まで冷却するように動作可能な第2の冷却液システムと、
    を含む、アンジュレータモジュール。
  38. 前記ビームパイプと前記超伝導磁石アセンブリとの間にサーマルバリアが設けられ、
    前記サーマルバリアが、熱放射によって前記ビームパイプと前記超伝導磁石アセンブリとの間の熱伝達を低減する、請求項37に記載のアンジュレータ。
  39. 前記サーマルバリアが、前記ビームパイプと前記超伝導磁石アセンブリとの間のギャップを含む、請求項38に記載のアンジュレータ。
  40. 前記サーマルバリアが、多層断熱を含む、請求項38に記載のアンジュレータ。
  41. 前記超伝導磁石アセンブリが、1つ以上の周期的磁気構造を含み、
    それぞれが、その周りに超伝導線材のコイルが巻き付けられた複数の強磁性素子を含む、請求項37乃至40のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  42. 前記第1の冷却液システムが、冷却液として液体ヘリウムを使用する、請求項37乃至41のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  43. 前記第2の冷却液システムが、冷却液として液体窒素を使用する、請求項37乃至42のいずれか1項に記載のアンジュレータ。
  44. 複数のバンチの相対論的電子を含む電子ビームを発生するための電子源と、
    前記電子ビームがアンジュレータ内の放射と相互作用し、放射の放出を刺激し、放射ビームを提供するように、前記電子ビームを受け取ってそれを周期経路に沿って誘導する請求項1乃至43のいずれか一項に記載のアンジュレータと、を含む、
    自由電子レーザ。
  45. 請求項44に記載の自由電子レーザと、
    少なくとも1つのリソグラフィ装置であって、前記少なくとも1つのリソグラフィ装置のそれぞれが、前記自由電子レーザが発生した少なくとも1つの放射ビームの少なくとも一部分を受け取る、少なくとも1つのリソグラフィ装置と、を含む、
    リソグラフィシステム。
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