発明の詳細な説明
核酸(たとえばDNA)は、たとえばサイズが数メガダルトンの三次元ナノ構造体として製造することができる。DNAナノ構造体製造のそのような1つの方法は、DNA origamiと呼ばれ、これは、任意のあらかじめ定められた形状およびサイズの三次元核酸構造体を生成するステップを含む(たとえば国際公開第2013148186 A1号を参照されたい)。核酸ナノ構造体は、特にそれらが生分解性であり、部位特異的な方式で官能性をもたせることができ、アロステリックな立体構造的変化を受けるように操作することができ、標的分子および細胞との正確な相互作用を可能にするので、生物医学的な適用において大きな可能性を有する。
実際に、しかしながら、核酸ナノ構造体は、部分的に、生理学的条件下での不良な構造の完全性および急速な分解により、生物医学的な分野において使用が制限される。核酸ナノ構造体は、静電反発力を中和し、かつそれによってそれらの形状を安定化するために、10mM以下のマグネシウムイオン(Mg2+)を典型的に必要とする。したがって、核酸ナノ構造体は、生物学的バッファー(たとえば、生理学的レベルのMg2+(たとえば0.6mM)およびCa2+(たとえば1.2mM)を含有するバッファー)では不良な構造の完全性を示す。そのうえ、生物医学的な適用において典型的に使用される10%ウシ胎児血清を含有する、新たに調製された細胞培地におけるDNアーゼIの活性は、核酸ナノ構造体の急速な分解を引き起こす。
様々な態様および実施形態では、マグネシウムが枯渇し、ヌクレアーゼ活性がある生理学的条件下でさえ、それらの構造の完全性を維持し、かつヌクレアーゼ分解に抵抗するように操作される核酸ナノ構造体が、本明細書において提供される。本明細書における核酸ナノ構造体は、静電反発力を中和し、かつヌクレアーゼ分解に対する核酸抵抗性を増強し、それによって、ナノ構造体の形状を安定化する正に荷電しているポリアミンポリマー(たとえばポリリシンペプチド)またはポリアミンポリマーおよびPEI−PEGコポリマーの組み合わせにより、典型的に亜飽和されている。いかなる特定の理論によっても拘束されないが、ポリアミンポリマーおよび核酸ナノ構造体の間の主要な相互作用は、静電気であり、正に荷電しているポリマーは、ナノ構造体の中に織り込むことができ、核酸の負に荷電しているリン酸骨格を覆い、したがって、核酸ヘリックスの厳重なパッキングを促すことができる。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、PEI−PEGコポリマーをさらに含む。したがって、いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、ポリアミンポリマー(たとえばポリリシンポリマー)およびPEI−PEGコポリマーの組み合わせを含む。
癌に対する免疫応答を増強するために使用される現在のワクチン接種アプローチは、たとえば、エクスビボにおいて樹状細胞を単離し、活性化し、次いで、これらのプログラムされた樹状細胞を患者の中に導入して戻すことを含む。これらの活性化された樹状細胞は、リンパ節に向かい、ナイーブT細胞に抗原を提示し、抗腫瘍応答を誘起する特異的なT細胞集団を刺激し、増やし得る。そのようなアプローチは、細胞単離およびインビトロにおける樹状細胞の修飾を必要とし、複数回の患者の処置、高コスト、および規制に関する問題に至る。90%を超える移植された樹状細胞が死滅し、ほとんどリンパ節に向かわない。さらに、エクスビボにおける樹状細胞の修飾は、培養条件に依存性で、一過性で、したがって、インビボにおける移植の際に有効性を失い得る。
インビボにおいて直接、樹状細胞を活性化するための技術は、部分的に、薬剤および送達ビヒクルの分解に至る厳しい生理学的条件に耐えることができる薬剤および送達ビヒクルの不足により、制限されている。
態様によって、厳しい生理学的条件から薬剤を保護する、「pH感受性の核酸ナノカプセル」と本明細書において呼ばれるキャリヤ中に添加された(たとえばそれによってカプセル化された)薬剤の、樹状細胞などのような細胞へのインビボにおける送達のための方法が、本明細書において提供される。そのようなナノカプセルの内部コンパートメントは、薬剤が添加され、外部核酸「シェル」は、インビボにおける条件に関連する低塩条件およびヌクレアーゼ消化から薬剤を保護する。ターゲティング分子により典型的に装飾されるナノカプセルは、特定の細胞型(たとえば樹状細胞)に誘導することができる。細胞への侵入に際して、ナノカプセルは、開口し、薬剤を放出するように、pHの変化によって誘因される。したがって、本開示のpH感受性の核酸ナノカプセルは、既存の送達技術に比べて、インビボにおいて細胞に直接、より高用量の薬剤を送達するのを可能にする。
核酸ナノ構造体
本明細書において使用される「核酸ナノ構造体」は、二次元(2D)または三次元(3D)形状を形成する(たとえば自己組織化する)核酸を指す(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるW.M.Shih,C.Lin,Curr.Opin.Struct.Biol.20,276(2010)において概説される)。ナノ構造体は、任意の核酸フォールディングまたはハイブリダイゼーション方法論を使用して形成されてもよい。そのような1つの方法論は、DNA origamiである(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるRothmund,P.W.K.Nature 440(7082):297-302(2006)を参照されたい)。DNA origamiアプローチでは、ナノ構造体は、より長い「スキャフォールド」核酸鎖のフォールディングによって、それぞれがスキャフォールド鎖内の2つ以上の非隣接領域にハイブリダイズする複数のより短い「ステープル(staple)」オリゴヌクレオチドへのそのハイブリダイゼーションを通して生成される。いくつかの実施形態では、スキャフォールド鎖が、長さが少なくとも100ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スキャフォールド鎖が、長さが少なくとも500、少なくとも1000、少なくとも2000、少なくとも3000、少なくとも4000、少なくとも5000、少なくとも6000、少なくとも7000、または少なくとも8000ヌクレオチドである。スキャフォールド鎖は、天然に存在してもよいまたは天然に存在しなくてもよい。ステープル鎖は、長さが典型的に100未満のヌクレオチドであるが、しかしながら、それらは、適用に依存してかつスキャフォールド鎖の長さに依存して、より長くてもより短くてもよい。いくつかの実施形態では、ステープル鎖が、長さが15〜100ヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態では、ステープル鎖が、長さが25〜50ヌクレオチドである。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、スキャフォールド鎖の非存在下において組み立てられてもよい(たとえばスキャフォールドなしの構造体)。たとえば、多くのオリゴヌクレオチド(たとえば長さが200未満のヌクレオチドまたは100未満のヌクレオチド)は、核酸ナノ構造体を形成するように組み立てられてもよい。
核酸ナノ構造体を組み立てる他の方法は、当技術分野において知られており、それらのいずれか1つが本明細書において使用されてもよい。そのような方法は、たとえばBellot G.et al.,Nature Methods,8:192-194(2011);Liedl T.et al,Nature Nanotechnology,5:520-524(2010);Shih W.M.et al,Curr.Opin.Struct.Biol.,20:276-282(2010);Ke Y.et al,J.Am.Chem.Soc,131:15903-08(2009);Dietz H.et al,Science,325:725-30(2009);Hogberg B.et al,J.Am.Chem.Soc,131:9154-55(2009);Douglas S.M.et al,Nature,459:414-418(2009);Jungmann R.et al,J.Am.Chem.Soc,130:10062-63(2008);Shih W.M.,Nature Materials,7:98-100(2008);およびShih W.M.,Nature,All:618-21(2004)によって記載され、これらのそれぞれは、その全体が参照によって本明細書に援用される。
核酸ナノ構造体は、限定を伴うことなく、カプセル、半球体、立方体、立方形、四面体、円筒、錐体、八面体、角柱、球体、角錐、十二面体、チューブ、不規則な形状、および抽象的な形状を含む多くの定められた所定の形状のうちの1つに組み立てられてもよい。ナノ構造体は、空隙容量を有していてもよい(たとえば、空隙容量は、部分的にまたは全体として中空であってもよい)。いくつかの実施形態では、空隙容量が、ナノ構造体の容量の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、またはそれ以上であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、固体のコアを含まない。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、形状が環状でも、ほぼ環状でもない。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、コアが固体の球体ではない。意図される使用に依存して、核酸ナノ構造体は、二次元シートと同じくらい単純なまたは三次元カプセルもしくは格子と同じくらい複雑な(またはさらにより複雑な)形状に組み立てられてもよい。
核酸ナノ構造体は、DNA、RNA、修飾DNA、修飾RNA、PNA、LNA、またはその組み合わせから作製されてもよいまたはそれを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)が、合理的にデザインされる。核酸ナノ構造体は、ナノ構造体を形成する核酸が核酸ハイブリダイゼーションを誘導する所定の予測可能なヌクレオチド塩基対相互作用に基づいて選択される場合、「合理的にデザインされる」と本明細書において考えられる。たとえば、核酸ナノ構造体は、それらの合成に先立ってデザインされてもよく、それらのサイズ、形状、複雑性、および修飾は、合成プロセスにおいてある選択したヌクレオチド(たとえばオリゴヌクレオチド)を使用して、決められ、コントロールされてもよい。構造体におけるそれぞれの核酸の配置は、特定の形状のナノ構造体を合成する前にわかっており、提供されていてもよい。たとえば、自己組織化された核酸ナノ構造体をデザインするための基本原理は、相補的なセグメントを対にすることによって、核酸鎖が、適切な物理的条件下で、あらかじめ定められたナノ構造体に自己組織化するように、核酸鎖におけるその配列相補性が選択されることである。したがって、いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、自己組織化核酸ナノ構造体である。同様に、ハンドルおよび反対のハンドルの核酸(たとえば薬剤またはターゲティング分子に連結される核酸)は、ナノ構造体の内部または外部表面に特異的に付加するように合理的にデザインされてもよく、いくつかの実施形態では、ナノ構造体のボディを形成する核酸とのインターカレーションもハイブリダイゼーションも伴わない。
本開示に従う使用のための核酸ナノ構造体の例は、限定を伴うことなく、カプセル、格子(E.Winfree,et al.Nature 394,539(1998);H.Yan,et al.Science 301,1882(2003);H.Yan,et al.Proc.Natl.Acad.of Sci.USA 100,8103(2003);D.Liu,et al.J.Am.Chem.Soc.126,2324(2004);P.W.K.Rothemund,et al.PLoS Biology 2,2041(2004))、リボン(S.H.Park,et al.Nano Lett.5,729(2005);P.Yin,et al.Science 321,824(2008))、チューブ(H.Yan Science(2003);P.Yin(2008))、定められた形状を有する有限の二次元(2D)および三次元(3D)オブジェクト(J.Chen,N.C.Seeman,Nature 350,631(1991);P.W.K.Rothemund,Nature 440,297(2006);Y.He,et al.Nature 452,198(2008);Y.Ke,et al.Nano.Lett.9,2445(2009);S.M.Douglas,et al.Nature 459,414(2009);H.Dietz,et al.Science 325,725(2009);E.S.Andersen,et al.Nature 459,73(2009);T.Liedl,et al.Nature Nanotech.5,520(2010);D.Han,et al.Science 332,342(2011))、ならびに巨視的結晶(J.P.Meng,et al.Nature 461,74(2009))を含む。他の核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)が、本明細書において提供されるように使用されてもよい。
ポリリシン、カチオンポリマーは、たとえば治療用DNAの送達のために、コンパクトな粒子にプラスミドDNAを凝縮することにおいて効率的であることが知られている。DNAは、ポリマー骨格に沿った繰り返しのリン酸基により非常に負に荷電しているポリマーである。ポリリシンなどのようなカチオンポリマーとの相互作用は、そのため、静電気による相互作用である。DNA凝縮は、カチオンポリリシンポリマーとのその相互作用によるDNA上の負電荷の中和、その後に続く、水がDNA構造体から追い出される時の疎水性崩壊によって生じることが一般に認められている。一般に、DNAは、ポリリシンポリマーの重量ならびに凝縮条件(たとえば、ポリマーおよびDNAの間の電荷比、塩濃度、ならびに温度)に依存して、DNAの負電荷の大部分またはすべてが、中和され、かつDNAが、直径12nm〜300nmのコンパクトな粒子に凝縮するように、ポリリシンポリマーにより過飽和される。いくつかの実施形態では、用語「凝縮された核酸」が、その非凝縮状態(たとえばポリリシンにより飽和されていないまたは過飽和されていない)の直径および/または容量の80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、または40%未満である直径および/または容量を有する核酸粒子を指す。上記に記載される、凝縮され、コンパクトにされたDNA粒子と異なり、本開示の核酸ナノ構造体は、本開示に従ってポリアミンポリマーと複合体を形成する場合、コンパクトな粒子に凝縮されない。正確に言うと、本明細書において提供される核酸のナノ構造体は、構造体の構成が損なわれないように、ポリアミンポリマーにより「亜飽和される」。すなわち、本開示の核酸ナノ構造体は、正に荷電しているポリアミンポリマーのさらなる重量およびそれとの相互作用にもかかわらず、2Dまたは3D形状を有する。
したがって、本明細書において提供される核酸ナノ構造体が、いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーまたはポリアミンポリマーおよびPEI−PEGコポリマーの組み合わせにより亜飽和される。上記に議論されるように、核酸ナノ構造体は、核酸ナノ構造体骨格のリン酸の100%未満がポリアミンポリマーのアミンおよび/またはPEI−PEGコポリマーのアミンに連結されている場合、ポリアミンポリマーおよび/またはPEI−PEGコポリマーにより「亜飽和されている」と本明細書において考えられる。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体のリン酸の98%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満が、ポリアミンポリマーのアミンに連結されている。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体骨格のリン酸の10%〜90%、10%〜80%、10%〜50%、20%〜90%、または20%〜80%が、ポリアミンポリマーのアミンおよび/またはPEI−PEGコポリマーのアミンに連結されている。そのような亜飽和レベルで、核酸ナノ構造体はなお、ポリアミンポリマーおよび/またはPEI−PEGコポリマーとの相互作用にもかかわらず、それらの構造の完全性を維持する(たとえば、それらの本来の形状を保つ)。ポリアミンポリマーおよび/またはPEI−PEGコポリマーにより亜飽和された核酸ナノ構造体は、ナノ構造体の形状が、同じ環境条件下で、コントロール核酸ナノ構造体(たとえばポリアミンポリマーおよび/またはPEI−PEGコポリマーにより亜飽和されていない類似する核酸ナノ構造体)よりも長い期間、区別する/識別することができる場合、「その構造の完全性を維持する」と本明細書において考えられることを理解されたい。たとえば、図5において示されるように、ポリリシンホモポリマーにより亜飽和された核酸ナノ構造体は、環状形状として区別することができる(右手のカラム)が、ポリリシンホモポリマーなしのコントロール構造は、不規則な塊として現われる(中央のカラム)。したがって、図5のポリリシンホモポリマーにより亜飽和された核酸ナノ構造体は、それらの構造の完全性を維持していると考えられる。
ポリアミンポリマーのアミンおよび/またはPEI−PEGコポリマーのアミンならびに核酸ナノ構造体のリン酸の関係はまた、リン酸に対するアミンの比に関して記載されてもよい。本明細書における「N/P比」は、核酸骨格のリン酸が構造体に寄与する負の(−)電荷に対する、プロトン化することができる(たとえばペプチドの側鎖で)第一級、第二級、または第三級アミンが構造体に寄与する正の(+)電荷の比である。たとえば、ペプチドの真中のリシンは、1つの+電荷を与えるが、ペプチドのN−末端のリシンは、2つの+電荷を与える。したがって、「亜飽和された」は、0.9:1またはそれ以下のN:P比を指す(つまり、リン酸と比較してアミンの数が少ない)。「飽和された」は、比較すると、1:1のN:P比を指す。「過飽和された」は、1.1:1またはそれ以上のN:P比を指す(つまり、リン酸と比較して、アミンの数が多い)。したがって、いくつかの実施形態では、リン酸に対するアミンの比が(たとえば、核酸ナノ構造体骨格のリン酸と相互作用する(たとえば連結される)ポリアミンポリマーのアミンまたはPEI−PEGコポリマーのアミン)が、1:1未満である。たとえば、アミンとリン酸の比が、0.9:1、0.8:1、0.7:1、0.6:1、0.5:1、0.4:1、0.3:1、0.2:1、または0.1:1であってもよい。いくつかの実施形態では、リン酸に対するアミンの比が、0.9:1〜0.1:1、0.9:1〜5:1、0.8:1〜0.1:1、または0.5:1〜0.1:1である。
本明細書において使用されるように、用語「核酸」および/または「オリゴヌクレオチド」は、共有結合で互いに連結された少なくとも2つのヌクレオチドを指してもよい。本開示の核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有してもよいが、ある場合には、たとえばホスホラミド(Beaucage et al.,Tetrahedron 49(10):1925(1993)およびその中の参考文献;Letsinger,J.Org.Chem.35:3800(1970);Sprinzl et al.,Eur.J.Biochem.81:579(1977);Letsinger et al.,Nucl.Acids Res.14:3487(1986);Sawai et al,Chem.Lett.805(1984)、Letsinger et al.,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);ならびにPauwels et al.,Chemica Scripta 26:141 91986))、ホスホロチオエート(Mag et al.,Nucleic Acids Res.19:1437(1991);および米国特許第5,644,048号)、ホスホロジチオエート(Briu et al.,J.Am.Chem.Soc.111:2321(1989)、O−メチルホスホロアミダイト(O-methylphosphoroamidite)連結(Eckstein,Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,Oxford University Pressを参照されたい)、ならびにペプチド核酸骨格および連結(すべて参照によって組み込まれるEgholm,J.Am.Chem.Soc.114:1895(1992);Meier et al.,Chem.Int.Ed.Engl.31:1008(1992);Nielsen,Nature,365:566(1993);Carlsson et al.,Nature 380:207(1996)を参照されたい)を含む、他の骨格を有してもよい核酸アナログが含まれる。他のアナログ核酸は、正の骨格(Denpcy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:6097(1995);非イオン性骨格(米国特許第5,386,023号、米国特許第5,637,684号、米国特許第5,602,240号、米国特許第5,216,141号、および米国特許第4,469,863号;Kiedrowshi et al.,Angew.Chem.Inti.Ed.English 30:423(1991);Letsinger et al.,J.Am.Chem.Soc.110:4470(1988);Letsinger et al.,Nucleoside & Nucleotide 13:1597(1994);Chapters 2 and 3,ASC Symposium Series 580,“ Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cook;Mesmaeker et al.,Bioorganic & Medicinal Chem.Lett.4:395(1994);Jeffs et al.,J.Biomolecular NMR 34:17(1994);Tetrahedron Lett.37:743(1996))、ならびに米国特許第5,235,033号および米国特許第5,034,506号ならびにChapters 6 and 7,ASC Symposium Series 580,“Carbohydrate Modifications in Antisense Research”,Ed.Y.S.Sanghui and P.Dan Cookにおいて記載されるものを含む非リボース骨格を有するものを含む。1つ以上の炭素環式糖を含有する核酸もまた、核酸の定義内に含まれる(Jenkins et al.,Chem.Soc.Rev.(1995)pp169-176を参照されたい)。いくつかの核酸アナログは、Rawls,C & E News Jun.2,1997 page 35において記載される。これらの参考文献はすべて、参照によってこれによって明確に組み込まれる。核酸は、同種の骨格(たとえば全体的にホスホジエステルもしくは全体的にホスホロチオエート)または異種の(もしくはキメラ)骨格を有していてもよい。ホスホロチオエート骨格修飾は、ある条件下で、核酸を、ヌクレアーゼに対してそれほど感受性ではなくし、したがって、より安定性にする(未変性ホスホジエステル骨格核酸と比較して)。より高い安定性を核酸に提供してもよい他の連結は、限定を伴うことなく、ホスホロジチオエート連結、メチルホスホネート連結、メチルホスホロチオエート連結、ボラノホスホネート連結、ペプチド連結、アルキル連結、デホスホ型連結、およびその他同種のものを含む。したがって、いくつかの事例では、核酸は、天然に存在しない骨格を有する。リボースリン酸骨格の修飾は、たとえば、標識の追加を容易にするためにまたは生理学的環境におけるそのような分子の安定性および半減期を増加させるために行われてもよい。
核酸は、明記されるように、一本鎖(ss)もしくは二本鎖(ds)であってもよいまたは一本鎖および二本鎖配列の両方の一部を含有してもよい(たとえば、部分的に二本鎖である)。核酸は、DNA、ゲノムDNAおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであってもよく、核酸は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの任意の組み合わせならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キササニン(xathanine)、ヒポキササニン(hypoxathanine)、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の任意の組み合わせを含有する。本明細書において使用されるように、用語「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドならびにヌクレオシドおよびヌクレオチドアナログおよびアミノ修飾ヌクレオシドなどのような修飾ヌクレオシドを含む。そのうえ、「ヌクレオシド」は、天然に存在しないアナログ構造体を含む。したがって、たとえば、それぞれが塩基を含有するペプチド核酸の個々の単位は、本明細書においてヌクレオシドと呼ばれる。
核酸は、B型DNA、D型DNA、およびL型DNAなどのようなDNAならびにRNAならびにその様々な修飾体を含む。修飾体は、塩基修飾体、糖修飾体、および骨格修飾体を含む。これらの非限定的な例は、下記に提供される。
本明細書において提供されるように、使用されてもよいDNA変異体の非限定的な例は、L−DNA(文献において知られているDNAの骨格鏡像異性体)、ペプチド核酸(PNA)bisPNAクランプ、偽相補的(pseudocomplementary)PNA、ロックド核酸(LNA)、またはDNA−LNA共核酸などのような上記の共核酸(co-nucleic acid)である。本明細書において提供されるように使用される核酸は、本質的に均一であっても、異種であってもよいことを理解されたい。例として、それらは、本質的に完全にDNAであってもよいまたはそれらは、DNAおよび非DNA(たとえばLNA)の単量体または配列を含んでいてもよい。したがって、核酸エレメントの任意の組み合わせが、使用されてもよい。核酸修飾体は、ある条件下で、核酸を、分解に対して、より安定性にしてもよいおよび/またはそれほど感受性でなくしてもよい。たとえば、いくつかの事例では、核酸は、ヌクレアーゼ抵抗性である。
核酸(たとえばssDNAもしくはdsDNAまたはssRNAもしくはdsRNA)を合成する方法は、当技術分野において知られており、たとえば、それらの全体が本明細書に援用される米国特許第5,143,854号および米国特許第5,445,934号に記載される。
核酸は、インビトロにおいて合成されてもよい。自動化核酸合成を含む核酸を合成する方法もまた、当技術分野において知られている。ホスホロチオエート連結を含む骨格などのような修飾骨格を有するおよびキメラ修飾骨格を含む、骨格を含む核酸は、ホスホロアミデートまたはH−ホスホネート化学反応を用いる自動化技術を使用して合成されてもよい(F.E.Eckstein,“ Oligonucleotides and Analogues-A Practical Approach” IRL Press,Oxford,UK,1991およびM.D.Matteucci and M.H.Caruthers,Tetrahedron Lett.21,719(1980))。アリールおよびアルキルホスホネート連結は、たとえば米国特許第4,469,863号に記載されるように作製することができ、たとえば米国特許第5,023,243番号および欧州特許第092,574号に記載されるアルキルホスホトリエステル連結(荷電酸素成分がアルキル化される)は、市販で入手可能な試薬を使用して自動化固相合成法によって調製することができる。他のDNA骨格修飾体および置換体を作製する方法は、記載されている。Uhlmann E et al.(1990)Chem Rev 90:544;Goodchild J(1990)Bioconjugate Chem 1:165;Crooke ST et al.(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107-129;およびHunziker J et al.(1995)Mod Synth Methods 7:331-417。
核酸は、そのうえまたはその代わりに、それらの糖の中に修飾を含んでいてもよい。たとえば、β−リボース単位またはβ−D−2’デオキシリボース単位は、修飾糖単位と交換することができ、修飾糖単位は、たとえば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、アラビノース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボース、好ましくは、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースは、2’−O−メチルリボースである、2’−O−(C2〜C6)アルケニル−リボース、2’−[O−(C1〜C6)アルキル−O−(C1〜C6)アルキル]リボース、2’−NH2−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2、4−ジデオキシ−β−D−erythro−ヘキソ−ピラノースならびに炭素環式(たとえばFroehler J(1992)Am Chem Soc 114:8320において記載される)および/または開鎖糖アナログ(たとえばVandendriessche et al.(1993)Tetrahedron 49:7223において記載される)および/またはビシクロ糖(bicyclosugar)アナログ(たとえばTarkov M et al.(1993)Helv Chim Acta 76:481において記載される)から選択される。
核酸は、それらの塩基において修飾を含んでいてもよい。修飾塩基は、修飾シトシン(5−置換シトシンなど(たとえば5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換または置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(たとえばN4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイドイソシトシン(pseudo-isocytosine)、縮合環系を有するシトシンアナログ(たとえばN、N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(たとえば5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(7−デアザ−7−(C2〜C6)アルキニルグアニンなど)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2置換グアニン(たとえばN2メチルグアニン)などのような修飾グアニン、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(たとえばN6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)、8−置換グアニン(たとえば8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、ならびに6−チオグアニンを含む。核酸は、一般的な塩基(たとえば3−ニトロピロール、P−塩基、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、およびK−塩基)ならびに/または芳香族環系(たとえばフルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ベンゾイミダゾールもしくはジクロロ−ベンゾイミダゾール、1−メチル−1H[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)を含んでいてもよい。本発明のオリゴヌクレオチドの中に組み込まれてもよい特定の塩基対は、Yang et al.NAR,2006,34(21):6095−6101によって報告されるdZおよびdP非標準核酸塩基対である。dZ、ピリミジンアナログは、6−アミノ−5−ニトロ−3−(1’−β−D−2’−デオキシリボフラノシル)−2(1H)−ピリドンであり、そのワトソン−クリック相補体dP、プリンアナログは、2−アミノ−8−(1’−β−D−1’−デオキシリボフラノシル)−イミドアゾ[1,2−a]−1,3,5−トリアジン−4(8H)−オン]である。
例示的な実施形態では、核酸ナノ構造体が、一本鎖ゲノムDNAを含む。たとえば、核酸ナノ構造体が、直鎖または環状一本鎖M13プラスミドDNAを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、プラスミドDNAを含まない。
本開示の核酸ナノ構造体が、いくつかの実施形態では、凝縮された核酸を含まないことが十分に理解されたい。本明細書において使用されるように、「凝縮された核酸」は、たとえば、それ自体ねじられ、巻き上がり、コンパクトにされた核酸を指す(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるTeif VB,et al.Progress in Biophysics and Molecular Biology 105(3):208- 222を参照されたい)。用語「凝縮された核酸」は、別個の2Dまたは3D構成体を有する核酸ナノ構造体を除外する。
本開示の核酸ナノ構造体が、いくつかの実施形態では、コード核酸を含まないこともまた十分に理解されたい。すなわち、いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、非コード核酸(たとえば、タンパク質をコードしない核酸)を含む。本明細書において使用されるように、「コード核酸」は、タンパク質(たとえば治療用タンパク質)のアミノ酸の配列を特定するヌクレオチド配列を含有する核酸を指す。したがって、「非コード核酸」は、タンパク質のアミノ酸の配列を特定せず、したがって、RNAに転写されないまたはタンパク質に翻訳されない核酸である。他の実施形態では、核酸ナノ構造体が、1つ以上のコード核酸を含有してもよいことを理解されたい。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体を作製するために使用される核酸が、いかなるアミノ酸をもコードしない。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体を作製するために使用される核酸が、1、2、3、4、または5つを超える連続するアミノ酸をコードしない。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体を作製するために使用される核酸が、プロモーター、エンハンサー、ポリA配列、および/またはリボソーム結合部位配列などのような当技術分野に認識される調節エレメント/配列を含まない。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体を作製するために使用される核酸が、プラスミドではない。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体を作製するために使用される核酸が、1つを超える核酸を含有し、核酸が、互いに異なる。すなわち、核酸ナノ構造体の核酸は、複数の異なる核酸を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、脂質によってカプセル化されないまたはコーティングされない(たとえば連結されない)。たとえば、先行技術の様々な遺伝子送達方法は、疎水性成分に連結されたおよび/または脂質(たとえば脂質二重層など)によってカバーされた核酸ナノ構造体を利用し、これらは、ヌクレアーゼ分解を予防するように機能する(たとえば国際公開第2013148186 A1号を参照されたい)。本開示は、いくつかの実施形態では、疎水性成分に連結されたおよび/または脂質によってカバーされた核酸ナノ構造体を除外する。他の実施形態では、しかしながら、核酸ナノ構造体が、1つ以上の疎水性成分および/または脂質に連結された1つ以上の核酸を含有してもよい。
核酸ナノカプセル
「核酸ナノカプセル」は、「シェル」と呼ばれる、外部表面および薬剤のカプセル化のための内部コンパートメントを有する核酸ナノ構造体を指す。「核酸ナノ構造体」は、より広くは、上記に記載されるように、二次元(2D)または三次元(3D)形状を形成する(たとえば自己組織化する)核酸を指す(たとえば、W.M.Shih,C.Lin,Curr.Opin.Struct.Biol.20,276(2010)において概説される)。薬剤は、薬剤が、ナノ粒子のコンパートメント内にあり、ナノカプセルの内部表面に直接または間接的に連結されているまたはそうでなければコンパートメント内に含有されている場合、核酸ナノカプセルによって「カプセル化されている」と考えられる。すなわち、薬剤は、いくつかの実施形態では、ナノ構造体を形成する核酸によりインターカレートされるのではなく、核酸ナノ構造体によってカプセル化される。たとえば、ナノカプセルの構成に関して、薬剤は、ナノカプセルの核酸「壁」の中にインターカレートされるのではなく、ナノカプセルの内部表面に付加されてもよい(たとえばハンドル/反対のハンドルの立体構造を介して)。インターカレーションは、DNAの平面の塩基の間での非共有結合による薬剤の挿入を指す。ナノ構造体を形成する核酸によりインターカレートされた薬剤は、典型的に、周囲の環境から保護されるのではなく、暴露され、したがって、分解をより受けやすい。
核酸ナノカプセルは、内部コンパートメントを有するカプセル様の構造体を形成するように、それぞれの末端部で「キャップされてもよい」。したがって、いくつかの実施形態では、核酸カプセルのそれぞれの末端部に、直径が20nm未満の開口がある。いくつかの実施形態では、核酸カプセルのそれぞれの末端部に、直径が15nm未満、10nm未満、9nm未満、8nm未満、7nm未満、6nm未満、5nm未満、4nm未満、または3nm未満の直径の開口がある。いくつかの実施形態では、核酸カプセルのそれぞれの末端部に、直径が2nm〜20nm、2nm〜15nm、または2nm〜10nmの開口がある。いくつかの実施形態では、ナノカプセルのそれぞれの末端部が、図1Aにおいて示されるように、同心性の環から形成される核酸ナノ構造体によりキャップされる。図1Aにおいて示される例示的なナノカプセルでは、同心性の環によりナノカプセルをキャップした後でさえ、ナノカプセルのそれぞれの末端部に小さな開口(たとえば直径10nm未満)がなお残る。これは、核酸が曲がることができる程度についての制約の結果である。いくつかの実施形態では、この小さな開口が、10nm未満(たとえば9nm未満、8nm未満、7nm未満、6nm未満、5nm未満、4nm未満、3nm未満、または2nm未満)の直径(または寸法)を有する核酸ナノ構造体により密封されるまたは「塞がれる」。たとえば、核酸ナノカプセルの開口端は、1つ以上の束の核酸ヘリックスにより密封されてもよい。たとえば、核酸ナノカプセルの開口端は、1つ以上のn−ヘリックスの束により密封されてもよく、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。本開示は、核酸ナノカプセルの開口端を密封する他の手段を企図する。
いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、スキャフォールド鎖の非存在下において組み立てられてもよい(たとえばスキャフォールドなしの構造体)。たとえば、多くの短い核酸(たとえば長さが200未満のヌクレオチドまたは100未満のヌクレオチド)は、核酸ナノカプセルを形成するように組み立てられてもよい。
核酸ナノ構造体の1つの利点は、それらが、限定を伴うことなく、半球体、立方体、立方形、四面体、円筒、錐体、八面体、角柱、球体、角錐、十二面体、チューブ、不規則な形状、および抽象的な形状を含む多くの定められた所定の形状のうちの1つに正確でコントロールされた方式で組み立てるられるよう合理的にデザインすることができることである。したがって、簡潔さのために、用語「カプセル」が、ナノ構造体を記載するために本明細書において使用されるが、本開示のナノカプセルは、構造体が外部表面および内部コンパートメントを含有する限り、図1Aにおいて示されるように球状や長方形だけではなく、任意の形状をしていてもよいことを理解されたい。すなわち、本開示のナノカプセルは、空隙容量を有する(たとえば、部分的にまたは全体として中空である)。したがって、核酸ナノカプセルは、固体のコアを含まない。いくつかの実施形態では、空隙容量が、ナノカプセルの容量の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、またはそれ以上であってもよい。
本開示の核酸ナノカプセルは、直径(またはカプセルの形状に依存して幅、高さ、もしくは長さ)が5ナノメーター(nm)ほどの小さなものおよび10マイクロメートル(μm)ほどの大きなものであってもよい。したがって、用語「ナノカプセル」は、10μm以下の直径を有する、マイクロメートルサイズのカプセルまたは「マイクロカプセル」を包含する。いくつかの実施形態では、本開示のナノカプセルが、5nm〜1μm、5nm〜900nm、5nm〜800nm、5nm〜700nm、5nm〜600nm、5nm〜500nm、5nm〜400nm、5nm〜300nm、5nm〜200nm、5nm〜150nm、5nm〜100nm、5nm〜90nm、5nm〜80nm、5nm〜70nm、5nm〜60nm、5nm〜50nm、5nm〜40nm、または5nm〜30nmの直径を有する。いくつかの実施形態では、本開示のナノカプセルが、10nm〜100nm、20nm〜90nm、30nm〜80nm、40nm〜70nmの直径を有する。いくつかの実施形態では、本開示のナノカプセルが、60nmの直径を有する。
いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、図1Aにおいて示されるように、カプセルの形状で形成される。たとえば、ナノカプセルは、ナノ構造体の間で接触部分を形成するようにつながれた複数のナノ構造体の集合体によって形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノカプセルが、複数の接触部分を形成するように互いにつながれた、2、3、4、またはそれ以上のナノ構造体を含有する。図1Aは、2つの円筒状の(樽状とも呼ばれる)ナノ構造体が互いにつながれ、次いで、カプセルのそれぞれの末端部が「キャップ」の形態をした核酸の同心性の環により「キャップされる」、本開示の例示的な実施形態を示す。それぞれの円筒状のナノ構造体および/またはキャップ状のナノ構造体の高さ(Y軸に沿って)が、いくつかの実施形態では、10nm〜100nm、20nm〜90nm、30nm〜80nm、40nm〜70nm、または50nm〜60nmである。いくつかの実施形態では、それぞれの円筒状のナノ構造体の高さが、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、または80nmである。それぞれの円筒状のナノ構造体および/またはキャップ状のナノ構造体の直径または幅(Y軸に沿って)が、いくつかの実施形態では、10nm〜100nm、20nm〜90nm、30nm〜80nm、40nm〜70nm、または50nm〜60nmである。いくつかの実施形態では、それぞれの円筒状のナノ構造体の直径が、20nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、または80nmである。いくつかの実施形態では、ナノカプセルの全高が、たとえば、図1Aにおいて示されるように方向づけられる場合、10nm〜500nm、10nm〜400nm、10nm〜300nm、10nm〜200nm、10nm〜150nm、10nm〜100nm、10nm〜90nm、10nm〜80nm、10nm〜10nm、または10nm〜10nmである。いくつかの実施形態では、ナノカプセルの全高が、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、130nm、140nm、または150nmである。
いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、一本鎖ゲノムDNAを含む。たとえば、いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、核酸ナノ構造体を形成するように短い核酸「ステープル」鎖によって誘導される、自己組織化する一本鎖ゲノムDNAを含む。たとえば、核酸ナノカプセルを形成する核酸ナノ構造体は、直鎖または環状一本鎖M13プラスミドDNAを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、プラスミドDNAを含まない。
保護コーティング
本開示の態様は、たとえば、マグネシウムおよび/またはカルシウムが枯渇し、ヌクレアーゼ活性がある生理学的条件下で、分解からナノカプセルを保護するポリアミンポリマー(たとえばポリリシンポリマー)ならびに/またはカチオンポリ(エチレンイミン)およびポリエチレングリコールのコポリマー(「PEI−PEGコポリマー」と呼ばれる)により「コーティングされた」核酸ナノカプセルを提供する。核酸ナノ構造体は、一般に、静電反発力を中和し、かつそれによってそれらの形状を安定化するために、10mM以下のマグネシウムイオン(Mg2+)を典型的に必要とする。したがって、そのような構造体は、生物学的バッファー(たとえば、生理学的レベルのMg2+(たとえば0.6mM)およびCa2+(たとえば1.2mM)を含有するバッファー)では不良な構造の完全性を示す。さらに、10%ウシ胎児血清(それは生物医学的な適用では典型的に使用される)を含有する、新たに調製された細胞培地におけるDNアーゼIの活性は、核酸ナノ構造体の急速な分解を引き起こす。核酸ナノカプセルの構造の完全性は、静電反発力を中和し、ヌクレアーゼ分解に対する核酸抵抗性を増強し、それによってナノカプセルの形状を安定化する正に荷電しているポリアミンポリマー(たとえばポリリシンペプチド)および/またはPEI−PEGコポリマーにナノカプセルを連結することによって、生理学的条件(たとえば低塩条件を含む)下でさえ維持することができる。
簡潔さのために、ポリアミンポリマーおよび/またはPEI−PEGコポリマーにより亜飽和された核酸ナノカプセルは、ポリアミンポリマーおよび/またはPEI−PEGコポリマーにより「コーティングされる」と表される。いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、ポリアミン(たとえばポリリシン)ポリマーによりコーティングされる。いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、PEI−PEGコポリマーによりコーティングされる。いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、ポリアミン(たとえばポリリシン)ポリマーおよびPEI−PEGコポリマーの組み合わせによりコーティングされる。
いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、ポリアミンポリマーおよび/またはPEI−PEGコポリマーによりコーティングされない(たとえば連結されない)。いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、疎水性成分に連結されおよび/または脂質(たとえば脂質二重層など)によってカバーされ、これらは、ヌクレアーゼ分解を予防するよう機能する(たとえば国際公開第2013148186 A1号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本開示は、疎水性成分に連結されたおよび/または脂質によってカバーされた核酸ナノカプセルを除外する。
ポリアミンポリマー
本発明のポリアミンポリマーは、一般に、カチオンポリマーであり、これは、いかなる特定の理論によっても拘束されないが、核酸の負に荷電しているリン酸骨格を覆うために使用されてもよく、それによって、核酸ヘリックスの厳重なパッキングを促し、ナノ構造体の形状を安定化し、ヌクレアーゼ分解を遅らせる。本明細書において使用される「ポリアミンポリマー」は、2つ以上の第一級アミン基を有する化合物を包含する。ポリアミンポリマーはまた、第二級(たとえばR2NH)および第三級(たとえばR3N)アミンを有する化合物をも包含する。第二級および第三級アミンは、第一級アミンと同様の方法でプロトン化され、核酸骨格におけるリン酸と静電気的に相互作用してもよい。ポリアミンポリマーはまた、ポリカチオンポリマーをも包含する。ポリアミンポリマーは、いくつかの実施形態では、存在する、いくつかの実施形態では規則的な間隔で存在するカチオンを含む。
カチオンとして、ポリアミンポリマーは、静電気(たとえば非共有結合)相互作用によって核酸に結合する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるポリアミンポリマーが、核酸ナノ構造体に非共有結合で連結される(たとえば静電的相互作用を介して)。他の実施形態では、しかしながら、ポリアミンポリマーが、核酸ナノ構造体に共有結合で連結されてもよい(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるEskelinen et.al.small 2012,8(13):2016-2020を参照されたい)。
ポリアミンポリマーは、その第一級アミン基に加えて、任意の1つ以上の官能基を含んでいてもよい。本明細書において使用されるように、「官能基」は、有機化合物中の水素と交換され、化合物の化学的作用を決定する原子またはカルボキシル基などのような原子団を指す。一般的な官能基の例は、限定を伴うことなく、アルカン、ケトン、アルケン、アルデヒド、アルキン、イミン、カルボン酸、ハロゲン化アルキル、エステル、アルコール、チオエステル、チオール、アミド、アシルリン酸、酸塩化物、チオエーテル、リン酸モノエステル、フェノール、およびリン酸ジエステルを含む。本開示のポリアミンポリマーは、直鎖(たとえばスペルミン、ペトナミン(petnamine)、ヘキサミン)ポリマー、分岐およびデンドリマーポリマーを含み、これらの非限定的な例は、図12A〜12Cにおいて示される。本明細書において提供されるポリアミンポリマーはまた、キトサン、ポリ(2−メタクリロキシエチルトリメチル−塩化アンモニウム)、およびポリ(アリルアミン)を含む(たとえば図12Cを参照されたい)。本明細書において提供されるような使用のためのポリアミンポリマーの他の非限定的な例は、表Iに示される。本開示のポリアミンポリマーは、いくつかの実施形態では、ポリマーの長さによって制限されない。たとえば、いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、少なくとも4つの官能基または単量体または単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、または少なくとも25の官能基または単量体または単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれ以上の官能基または単量体または単位を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、4〜150、4〜100、4〜50、4〜25、6〜150、6〜100、6〜50、6〜25、8〜150、8〜100、8〜50、8〜25、10〜150、10〜100、10〜50、10〜25、12〜150、12〜100、12〜50、または12〜25の官能基または単量体または単位を含む。ポリマーがペプチドである場合、単量体または単位は、アミノ酸であってもよい。用語「単位」、「サブユニット」、および「単量体」は、区別なく使用されてもよい。ポリマーの単量体の例は、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸である。
いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、たとえば図12A〜12Cにおいて示されるように、分岐ポリアミンポリマーである。
本開示の態様は、アミノ酸(たとえばアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)、および/またはそのアナログを含むポリアミンポリマーに関する。したがって、ポリアミンポリマーは、ペプチド(たとえばペプチド(たとえばアミド)結合によって連結されたアミノ酸単量体の短い鎖)を含んでいてもよいまたはそれからなってもよい。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、リシンおよび/またはアルギニンなどのような正に荷電しているアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、ヒスチジンを含む。アミノ酸ベースのポリアミンポリマーは、ホモポリマーであってもよく、これらは、たとえば、連続したリシンアミノ酸の鎖(たとえばポリリシン)、連続したアルギニンアミノ酸の鎖(たとえばポリアルギニン)、または連続したヒスチジンアミノ酸の鎖(たとえばポリヒスチジン)などのような、複数の連続した同一のアミノ酸を含んでいてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ポリリシンポリマー(たとえばKKK(K)n、ここでn≧1)を含む(たとえば亜飽和された)核酸ナノ構造体が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、ポリリシンポリマーが、ポリ−L−リシンポリマーであってもよい。他の実施形態では、ポリアルギニンポリマー(たとえばRRR(R)n、ここでn≧1)を含む(たとえば亜飽和された)核酸ナノ構造体が、本明細書において提供される。他の実施形態では、ポリヒスチジンポリマー(たとえばHHH(H)n、ここでn≧1)を含む(たとえば亜飽和された)核酸ナノ構造体が、本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、ヒスチジンタグを含まない。
上記に議論されるように、本開示のポリアミンポリマーは、いくつかの実施形態では、ポリマーの長さによって制限されない。したがって、いくつかの実施形態では、アミノ酸ベースのポリマーが、少なくとも4つのアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、または少なくとも25のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、またはそれ以上のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、4〜150、4〜100、4〜50、4〜25、4〜15、6〜150、6〜100、6〜50、6〜25、6〜15、8〜150、8〜100、8〜50、8〜25、8〜15、10〜150、10〜100、10〜50、10〜25、12〜150、12〜100、12〜50、または12〜25のアミノ酸を含む。
いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、ペプチドを含むまたはそれからなる。ペプチドの成分パーセントが、いくつかの実施形態では、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のリシンである。いくつかの実施形態では、ペプチドの成分パーセントが、50%〜100%、55%〜100%、60%〜100%、65%〜100%、70%〜100%、75%〜100%、80%〜100%、85%〜100%、または90%〜100%のリシンである。
ポリアミンポリマーのリシンが、いくつかの実施形態では、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上の、非リシンアミノ酸などのような非アミン含有アミノ酸によって互いに分離される。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーのリシンが、1〜5または1〜10の、非リシンアミノ酸などのような非アミン含有アミノ酸によって互いに分離される。いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーのリシンが、規則的に間を置いて配置される。以下のものは、規則的に間を置いて配置されたリシン(K)を有する直鎖ポリアミンポリマーの非限定的な例であり、ここで、Xが、非リシンアミノ酸または官能基であり、nが、1以上の任意の整数である:
(i)K−X−(K−X−)n−KもしくはX−(K−X−)n、K−X−(K−X−)nもしくはX−(K−X−)n−K;
(ii)K−X−X−(K−X−X−)n−KもしくはX−X−(K−X−X−)nもしくはK−X−X−(K−X−X−)nもしくはX−X−(K−X−X−)n−K;または
(iii)K−X−X−X−(K−X−X−X−)n−KもしくはX−X−X−(K−X−X−X)nもしくはK−X−X−X−(K−X−X−X−)nもしくはX−X−X−(K−X−X−X)n−K。
いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、分岐している。
PEI−PEGポリマー
カチオンポリ(エチレンイミン)(PEI)およびポリエチレングリコール(PEG)のコポリマーは、本明細書において企図される。ポリアミンポリマーと組み合わせたPEI−PEGコポリマーが、いくつかの実施形態では、核酸の負に荷電しているリン酸骨格を覆い、それによって、核酸ヘリックスの厳重なパッキングを促し、ナノ構造体の形状を安定化し、ヌクレアーゼ分解を遅らせるために使用されてもよい。カチオンとして、PEG−PEIコポリマーは、静電気(たとえば非共有結合)相互作用によって核酸に結合する。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるPEG−PEIコポリマーが、核酸ナノ構造体に非共有結合で連結されている(たとえば静電的相互作用を介して)。他の実施形態では、しかしながら、PEG−PEIコポリマーが、核酸ナノ構造体に共有結合で連結されてもよい。
いくつかの実施形態では、PEI−PEGコポリマーが、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)活性化PEGをPEIと反応させることによって合成される。いくつかの実施形態では、本開示のPEI−PEGコポリマーにおけるPEGに対するPEIのモル比が、1:5(約50の第一級アミン)〜1:50(約0の第一級アミン)である。たとえば、PEGに対するPEIのモル比が、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25(約25の第一級アミン)、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50であってもよい。いくつかの実施形態では、PEI−PEGコポリマーが、1:50のPEGに対するPEIのモル比を有する。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸ナノ構造体が、PEI−PEGコポリマーにより亜飽和されている(たとえば、PEI−PEGコポリマーおよびポリアミンポリマーの組み合わせにより亜飽和されている)。核酸ナノ構造体は、核酸ナノ構造体骨格のリン酸の100%未満がPEI−PEGコポリマーのアミンに連結されている場合、PEI−PEGコポリマーにより「亜飽和されている」と本明細書において考えられる。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体のリン酸の98%未満、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満が、PEI−PEGコポリマーのアミンに連結されている。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体骨格のリン酸の10%〜90%、10%〜80%、10%〜50%、20%〜90%、または20%〜80%が、PEI−PEGコポリマーのアミンに連結されている。そのような亜飽和レベルで、核酸ナノ構造体はなお、PEI−PEGコポリマーとの相互作用にもかかわらず、それらの構造の完全性を維持する(たとえば、それらの本来の形状を保つ)。PEI−PEGコポリマーにより亜飽和された核酸ナノ構造体は、ナノ構造体の形状が、同じ環境条件下で、コントロール核酸ナノ構造体(たとえばPEI−PEGコポリマーにより亜飽和されていない類似する核酸ナノ構造体)よりも長い期間、区別する/識別することができる場合、「その構造の完全性を維持する」と本明細書において考えられることを理解されたい。
いくつかの実施形態では、PEI−PEGコポリマーおよびポリアミンポリマーが、核酸ナノ構造体に連続して追加される。たとえば、いくつかの実施形態では、ポリアミンポリマーが、核酸ナノ構造体に連結され、次いで、PEI−PEGコポリマーが、核酸ナノ構造体に連結されている。反対に、いくつかの実施形態では、PEI−PEGコポリマーが、核酸ナノ構造体に連結され、次いで、ポリアミンポリマーが、核酸ナノ構造体に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体へのポリマーおよびコポリマーの追加が、同時である。たとえば、ポリアミンポリマーおよびPEI−PEGコポリマーの混合物が、核酸ナノ構造体に追加されてもよい。
pH感受性
本開示の核酸ナノカプセルは、環境pHにおける変化に感受性である。核酸ナノカプセルは、それがpHにおける変化に応じて構造変化を受ける場合、pHに感受性であると考えられる。たとえば、本明細書において提供されるような核酸ナノカプセルの「開口」は、pH依存性である。図1Aは、本開示の核酸ナノカプセルの例証となる例を示す。ナノカプセルは、2つの円筒状の核酸ナノ構造体および2つの核酸「キャップ」(たとえば核酸の同心性の環)から組み立てられる(図1A(i))。1つの円筒状のナノ構造体は、「ハンドル」と呼ばれる、pH感受性の一本鎖核酸が並ぶ(図1A(iv)、上、ハンドルの位置を示す白色の点線)。他方の円筒状のナノ構造体は、「反対のハンドル」と呼ばれる、部分的に相補的の一本鎖核酸が並ぶ(図1A(iv)、下、反対のハンドルの位置を示す白色の点線)。したがって、2つの円筒状のナノ構造体の接触部分は、pH感受性の一本鎖核酸が並ぶ。6未満のpHを有する水性環境では、核酸ナノカプセルは、ナノカプセル(図1A(ii))を形成する2つのナノ構造体の間の接触部分に位置するpH感受性の核酸の二量体化/ハイブリダイゼーションにより「密封された」立体構造のままである(図1A(ii))。水性環境のpHが6未満まで減少する場合、核酸ナノカプセルは、「開口する」(たとえばその内部コンパートメントの内容物を放出させる)(図1A(iii))。ナノカプセルの開口は、pH感受性のハンドルおよび反対のハンドルの解離による。
核酸ナノカプセルは、ナノカプセルの一方のナノ構造体の連結が、ナノカプセルの別のナノ構造体から分離するまたは部分的に分離する場合、「開口する」と考えられる。ナノカプセルの開口は、ナノカプセルの内部コンパートメント中に存在するカーゴを放出させるのを可能にする。例として、図1A(iv)に関して、ナノカプセルを形成する2つのナノ構造体は、互いに部分的に分離している。したがって、ナノカプセルは、開いている。いくつかの実施形態では、ナノカプセルが、ナノカプセルを形成する2つのナノ構造体の部分的な分離によって開口する。いくつかの実施形態では、ナノカプセルが、ナノカプセルを形成する2つのナノ構造体の完全な分離によって開口する。
本開示のハンドルおよび反対のハンドル(たとえばpH感受性のハンドルおよび反対のハンドル)は、互いに部分的に相補的であっても、互いに全体として相補的であってもよく、ハンドルおよび反対のハンドルが、6を超えるpHで二量体化し/ハイブリダイズし、6未満のpHで解離するように、それぞれの一本鎖核酸が、互いに部分的にまたは全体として相補的である領域を含有することを意味する。本明細書において使用されるように、より包括的な用語「相補的な」は、全体として相補的なおよび部分的に相補的な配列を包含する。2つの間で100%の塩基対相補性がある場合、2つの一本鎖核酸または2つの一本鎖核酸の領域は、互いに全体として相補的であると考えられる。反対に、2つの間で100%未満の塩基対相補性があり、2つの核酸が適した条件下で互いにハイブリダイズする場合、2つの一本鎖核酸または2つの一本鎖核酸の領域は、互いに部分的に相補的であると考えられる。たとえば、2つの一本鎖核酸は、2つの核酸の間でまたは核酸の2つの領域の間で50%〜99%、50%〜98%、50%〜95%、50%〜90%、50%〜85%、50%〜80%、50%〜75%、50%〜70%、50%〜65%、または50%〜60%の塩基対相補性があり、2つの核酸が適した条件下で互いにハイブリダイズする場合、部分的に相補的であると考えられる。いくつかの実施形態では、適した条件が、6を超えるpH(たとえば7の中性のpH)を有する水溶液を含む。いくつかの実施形態では、適した条件が、6を超えるpH(たとえば7の中性のpH)および約25℃〜37℃の温度を有する水溶液を含む。
いくつかの実施形態では、pH感受性のハンドルが、以下の配列を含むまたはそれからなる:「i−モチーフ」と呼ばれる5’−CCCTAACCCTAACCCTAACCC−3’(配列番号1)。i−モチーフDNAは、6未満へのpHの減少と同時に、B−DNA二重らせん配列から一本鎖配列に変形する。6を超えるpHでは、iモチーフのハンドルおよび反対のハンドルは、二量体化し、6未満のpH(たとえば5.5のpH)では、iモチーフのハンドルおよび反対のハンドルは、解離する。
いくつかの実施形態では、反対のハンドルが、配列番号1の配列を含むまたはそれからなるpH感受性のハンドルに部分的に相補的である。いくつかの実施形態では、反対のハンドルが、配列番号1の配列を含むpH感受性のハンドルに部分的に相補的であり、1つ以上のヌクレオチドミスマッチを有する。たとえば、いくつかの実施形態では、反対のハンドルが、以下の配列を含み:
、これは、配列番号1の配列を含むpH感受性のハンドルに部分的に相補的であり、4つのヌクレオチドミスマッチを有する。いくつかの実施形態では、反対のハンドルが、以下の配列を含み:
、これは、配列番号1の配列を含むpH感受性のハンドルに部分的に相補的であり、6つのヌクレオチドミスマッチを有する。
pH感受性のハンドルおよび反対のハンドルの間のヌクレオチドミスマッチの数は、ナノカプセルを開口する反応速度を微調整するために使用することができる。したがって、pH感受性のハンドルおよび反対のハンドルの間のミスマッチの数は、変動してもよい。いくつかの実施形態では、pH感受性のハンドルおよび反対のハンドルの間のヌクレオチドミスマッチの数が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。いくつかの実施形態では、pH感受性のハンドルおよび部分的に相補的な反対のハンドルの間の少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、少なくとも13%、少なくとも14%、少なくとも15%、少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、少なくとも20%、少なくとも21%、少なくとも22%、少なくとも23%、少なくとも24%、少なくとも25%、少なくとも26%、少なくとも27%、少なくとも28%、少なくとも29%、少なくとも30%のヌクレオチド塩基対が、ミスマッチである。「ミスマッチ」は、互いに相補的ではない1対のヌクレオチドを指す。すなわち、それらは、通常、互いにハイブリダイズしない。ヌクレオチドミスマッチの例は、A−C、A−G、T−C、およびT−Gを含む。
ハンドルおよび/または反対のハンドルは、長さが15〜50ヌクレオチドであってもよい。いくつかの実施形態では、ハンドルおよび/または反対のハンドルが、長さが15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または60ヌクレオチドである。適用に依存して、ハンドルおよび/または反対のハンドルは、長さが50を超えるヌクレオチドであってもよい。したがって、ハンドルおよび/または反対のハンドルの長さは、変動してもよい。
ハンドルおよび/または反対のハンドルが特定のpHで解離する度合いおよび割合は、合理的にデザインすることができる。考慮するべき因子は、一本鎖核酸の長さおよびヌクレオチドミスマッチの数を含む。いくつかの実施形態では、ハンドルおよび反対のハンドルが、5.9、5.8、5.7、5.6、5.5、5.4、5.3、5.2、5.1、または5.0のpHで解離するようにデザインされる。
いくつかの実施形態では、ハンドルおよび反対のハンドルが、細胞への侵入(たとえば細胞による取込み)の20秒(s)〜5分間(min)以内に、解離して、ナノカプセルの開口をもたらすようにデザインされる。いくつかの実施形態では、ナノカプセルが、20s、30s、40s、50s、60s、70s、80s、90s、100s、110s、2min、3min、4min、または5min以内に開口する。
本開示のハンドルは、共有結合または非共有結合によって核酸ナノカプセルに連結されてもよい。同様に、本開示の反対のハンドルは、共有結合または非共有結合によって薬剤に連結されてもよい。
非共有結合の例は、限定を伴うことなく、たとえばビオチンおよびアビジン/ストレプトアビジンなどのようなタンパク質結合パートナー間の結合ならびにワトソン−クリックヌクレオチド塩基対相互作用とも呼ばれる核酸ハイブリダイゼーション相互作用を含む。いくつかの実施形態では、ハンドルが、ビオチンおよびアビジン/ストレプトアビジンを使用して、ナノカプセルに非共有結合で連結されてもよい。他の結合対は、当業者らに明らかになるであろう、また、ナノカプセルにハンドルをおよび/または薬剤に反対のハンドルを連結するための使用されてもよく、抗体/抗原およびリガンド/受容体結合対などのような高親和性タンパク質/タンパク質結合対を含む。ハンドルは、核酸ナノカプセルに部分的にハイブリダイズするようにデザインされてもよい。たとえば、ハンドルの一部分は、それがナノ構造体にハイブリダイズするように、ナノ構造体の領域に相補的であってもよく、ハンドルの別の部分は、反対のハンドルに部分的に相補的であってもよい。
共有結合の例は、限定を伴うことなく、チオール−マレイミド架橋剤化学反応(たとえば、チオール、たとえば、薬剤上のシステインおよび反対のハンドル上のマレイミドの間の共有結合)(たとえば、中程度の長さのシクロヘキサン安定化スペーサーアームの両端にNHS−エステルおよびマレイミド反応基を含有する、アミンとスルフヒドリル間の架橋剤であるスクシンイミジル−4(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)とアミノ−DNAを反応させることによって生成される)、酵素によってトランスで触媒される共有結合、DNAへのタンパク質の連結(たとえば、タンパク質上のybbRタグは、CoA修飾核酸に連結されている)(たとえばYin,J.et al.Nat.Protoc.1(1):280-5,2006を参照されたい)、および核酸への修飾NTPの酵素的追加(たとえばSorensen,R.S.et al.ACS Nano 7(9):8098-104,2013を参照されたい)を含む。
ハンドルおよび反対のハンドルは、ナノカプセルを形成する2つの核酸ナノ構造体の接触部分に位置する。いくつかの実施形態では、ハンドルおよび反対のハンドルが、2つの核酸ナノ構造体の間で、接触部分の内側の表面および/または外部表面に沿って規則的に間を置いて配置される。たとえば、60nmの直径のナノ構造体について(円周の合計は、pi*直径=3.14*60nm=190nm)、12対のハンドル/反対のハンドルが、接触部分の内側または外側で規則的に間を置いて配置されてもよい。いくつかの実施形態では、60nmの直径のナノ構造体について、24対のハンドル/反対のハンドルが、接触部分の内側または外側で規則的に間を置いて配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル/反対のハンドルが、規則的に間を置いて配置されず、そのため、不規則的に間を置いて配置される。本開示は、細胞への侵入と同時に(たとえば20秒〜5分以内に)、ナノカプセルの開口を可能にする様々なハンドル/反対のハンドル立体構造を企図することを理解されたい。
その内部コンパートメントからの(および/またはその外部表面からの)核酸ナノカプセルによる薬剤の放出は、pHにおける変化に依存性である。たとえば、図5Aにおいて示されるように、薬剤は、pH感受性のハンドル/反対のハンドルの相互作用によってナノカプセルに間接的に連結される。図5Aにおいて示されるナノカプセルは、pH感受性のハンドルにより装飾され、薬剤は、部分的に相補的な反対のハンドルにコンジュゲートされる(たとえば共有結合でコンジュゲートされる)。中性のpH(生理学的条件のpHなど)で、たとえば、ハンドルおよび反対のハンドルは、二量体化し、それによって、薬剤をナノカプセルに連結する。pHが6未満まで下がるにつれて(たとえば、ナノカプセルが細胞のエンドソームコンパートメントに入るにつれて)、ハンドルは、それ自体フォールドし、反対のハンドルから解離し、それによって反対のハンドル−薬剤コンジュゲートを「放出させ」、最終結果として、ハンドルおよび反対のハンドルはもはや互いにハイブリダイズせず、2つの(またはそれ以上の)ナノ構造体は、もはや互いに連結されず、密封されたカプセルを形成しない。
使用
本開示の核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)は、様々なインビトロにおけるおよびインビボにおける使用を有する。いくつかの実施形態では、インビボにおけるおよび/またはインビトロにおける使用に意図される薬剤(たとえば治療剤)を送達するためのスキャフォールド、ケージ、または多機能性キャリヤとして使用されてもよい。核酸ナノ構造体は、任意の適した送達方法によって、たとえば、静脈内にまたは経口的に送達されてもよい。本明細書において使用されるように、薬剤は、対象に利益(限定を伴うことなく、予防的なもしくは治療上の利益を含む)を提供するために使用することができるまたはインビボにおいて診断および/もしくは検出(たとえば画像化)に使用することができるまたはインビトロ設定において効果があるように使用されてもよい(たとえば組織もしくは器官培養、クリーンアッププロセス、およびその他同種のもの)任意の原子、分子、または化合物である。薬剤は、限定を伴うことなく、治療剤および/または診断剤であってもよい。いくつかの実施形態では、薬剤が、治療剤、予防剤、および/または診断剤である。いくつかの実施形態では、薬剤が、ターゲティング分子である。本明細書において記載される実施形態のいずれか1つとの使用のための薬剤の例は、下記に記載される。
本開示は、核酸ナノ構造体にアドレス可能度を与えることを企図する。たとえば、核酸ナノ構造体は、タンパク質、リガンド、または他の小さな生体分子などのようなターゲティング成分の部位特異的な付加によって修飾されてもよい。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、構造体上にまたは構造体内に、事実上任意の位置に、アクセサリー分子(たとえばビオチン/ストレプトアビジン)のナノメーター単位の具体的な配置のためのハンドルとして役立つ上記に記載される核酸「ステープル」鎖を含んでいてもよい(たとえば、それぞれが本明細書において参照によって組み込まれるStein et al.Chemphyschem.12(3),689-695(2011);Steinhauer et al.Angew Chem.Int.Ed.Engl.48(47),8870-8873(2009);Stein et al.J.Am.Chem.Soc.133(12),4193-4195(2011);Kuzyk et al.Nature 483(7389),311-314(2012);およびDing et al.J.Am.Chem.Soc.132(10),3248-3249(2010);Yan et al.Science 301(5641),1882-1884(2003);およびKuzuya et al.Chembiochem.10(11),1811-1815(2009)を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるナノ構造体の核酸が、合成の間にリンカー(たとえばビオチンリンカー)によりまたは酵素的手段を介して修飾されてもよい(たとえば共有結合で修飾されてもよい)(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるJahn et al.Bioconjug.Chem.22(4),819-823(2011)を参照されたい)。そのような方法はまた、酵素分子の化学的なビオチン化によって核酸ナノ構造体に反応系を置くために使用されてもよい(たとえばVoigt et al.Nat.Nanotechnol.5(3),200-203(2010)を参照されたい)。
より一般化された抗体ベースの結合アプローチもまた、定められた距離で標的タンパク質を核酸ナノ構造体に連結するために使用されてもよい(たとえば、それぞれが本明細書において参照によって組み込まれるWilliams et al.Angew Chem.Int.Ed.Engl.46(17),3051-3054(2007);およびHe Y et al.J.Am.Chem.Soc.128(39),12664-12665(2006)を参照されたい)。したがって、いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、1つ以上の抗体に連結されてもよい。
他の実施形態では、特定の分子標的に対する高い結合親和性と共に特異的な二次構造の形をとるDNAアプタマーが、リンカーとして使用され、それによって、タンパク質リンカーの必要性をなくしてもよい(たとえば、それぞれが本明細書において参照によって組み込まれるEllington et al.Nature 346(6287),818-822(1990);Chhabra et al.J.Am.Chem.Soc.129(34),10304-10305(2007);およびRinker et al.Nat.Nanotechnol.3(7),418-422(2008)を参照されたい)。
本開示はまた、核酸ナノ構造体に、アフィニティータグまたは他のペプチドリンカーを選択的に追加する組換え遺伝子工学方法の使用をも企図する。たとえば、標的タンパク質のC−またはN−末端の末端部上の複数のヒスチジン残基からなるポリヒスチジン配列は、親和性ベースの精製のためによく使用されるタグである。これは、さらには、アミン(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるGoodman et al.Chembiochem.10(9),1551-1557(2009)を参照されたい)またはチオール修飾(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるShen et al.J.Am.Chem.Soc.131(19),6660-6661(2009)を参照されたい)核酸に共有結合でコンジュゲートされたニトリロ三酢酸分子にニッケル媒介性の相互作用を介して連結することができる。この方法によって、蛍光タンパク質は、核酸ナノ構造体に一定間隔をあけてまた特異的に置かれてもよい(Goodman et al.(2009);およびShen et al.(2009))。同様に、組換えタンパク質のアフィニティー精製にも使用されるSNAPおよびHaloTag(登録商標)ペプチド配列は、様々なタンパク質または酵素種による核酸ナノ構造体の直交性の装飾のために利用されてもよい(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるSacca et al.Angew Chem.Int.Ed.Engl.49(49),9378-9383(2010)を参照されたい)。DNA結合ドメインにコンジュゲートされたキメラタンパク質の生成に関する関係するアプローチは、多くの場合複雑な化学合成技術およびオリゴヌクレオチド鎖にアフィニティータグ結合パートナーを安定してコンジュゲートするのに必要である毒性化合物(たとえばニッケル)を排除することができる。さらに、特異的な二本鎖配列を認識するジンクフィンガードメインは、本開示の核酸ナノ構造体上の特異的な位置に蛍光タンパク質を配置するために使用されてもよい(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるNakata et al.Angew Chem.Int.Ed.Engl.51(10),2421-2424(2012)を参照されたい)。
薬剤は、核酸ナノ構造体に共有結合でまたは非共有結合で付加されてもよい。薬剤および核酸ナノ構造体の間の連結の位置および性質は、薬剤の官能基に依存するであろう。例として、薬剤は、ナノ構造体から放出される(持続放出を含む)ことが意図されてもよく、その場合、薬剤およびナノ構造体の間の連結は、所望の放出プロファイルを実現するように選ばれてもよい。
いくつかの実施形態では、薬剤が、その結合形態で不活性であり、放出された場合だけ活性化されてもよい。
いくつかの実施形態では、薬剤が、ナノ構造体の集合(たとえば自己集合)の間に核酸と組み合わせられてもよいまたは薬剤が、あらかじめ形成された核酸ナノ構造体と組み合わせられてもよい。
薬剤は、ナノ構造体(たとえばナノカプセル)の内部表面(内部コンパートメント中の)または外部表面に連結されてもよい。薬剤は、様々な立体構造で配置されてもよい。図14Aは、両方の表面に連結されたハンドルを有する本開示の核酸ナノカプセルのあるセグメントの断面図の内部表面および外部接触部分を示す(左)。反対のハンドルに連結された薬剤(たとえば抗体、「危険」シグナル、造影剤、抗原)の例もまた、図14Aにおいて示される。反対のハンドルへのハンドルのハイブリダイゼーションに際して、薬剤は、核酸ナノカプセルに間接的に連結されるようになる。いくつかの実施形態で、図14Bにおいて示されるように、ナノカプセルの外部表面(左)が、アジュバント分子(たとえばCpGオリゴヌクレオチド)およびターゲティング分子(たとえばscFV断片などのような抗体断片)の組み合わせを含有し、ナノカプセルの内部表面(右)が、追跡用色素および抗原の組み合わせを含有する。本開示のナノ構造体(たとえばナノカプセル)は、ナノ構造体(たとえばナノカプセル)の内部および/または外部表面で薬剤または1つを超える薬剤(たとえば異なる薬剤の組み合わせ)の正確な配置を可能にすることを理解されたい(たとえば図14Cを参照されたい)。
本開示の核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)は、ナノカプセル上へのおよびその中への薬剤の高密度「パッキング」を可能にする。いくつかの実施形態で、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)が、50nm2〜75nm2当たりに1つの薬剤により装飾される。いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、50nm2、55nm2、60nm2、65nm2、70nm2、または75nm2当たりに1つの薬剤により装飾される。たとえば、図14Bにおいて示されるように、斜方格子の間隔を使用して、30nmの高さで、60nmの直径の円筒形のナノ構造体について、ナノ構造体の外部上の72の位置および内部上の84の位置が、薬剤によって占められてもよい。より大きなナノ構造体(たとえばナノカプセル)、たとえば、2つの30nm×60nmの円筒形のナノ構造体を有するものについては、薬剤によって占められる位置の数が、2倍になる。さらにより大きなナノ構造体(たとえばナノカプセル)、たとえば、3つの30nm×60nmの円筒形のナノ構造体を有するものについては、薬剤によって占められる位置の数が、3倍になる、などである。
本開示は、態様によって、全身的なまたは局所的な領域、組織、もしくは細胞への、核酸ナノ構造体または薬剤が添加された核酸ナノ構造体の送達を企図する。任意の薬剤が、本開示の方法を使用して送達されてもよい、ただし、それが、核酸ナノ構造体上にまたはその中に添加することができることを条件とする。そのようなプロセスが比較的無害であるので、事実上、任意の薬剤が使用されてもよいことが期待される。
本開示に従う使用のための薬剤は、タンパク質ベースの薬剤(タンパク質を含む)、核酸ベースの薬剤(核酸を含む)、化学物質ベースの薬剤(化学化合物を含む)、または前述のものの任意の2つ以上の組み合わせであってもよい。たとえば、薬剤は、抗体−医薬物質コンジュゲートであってもよい。「抗体−医薬物質コンジュゲート」は、抗体の複合体である(たとえば、生物学的に活性な小分子(たとえば小分子医薬物質)に連結されたモノクローナル抗体全体(mAh)または単鎖可変断片(scFv)などのような抗体断片)。
本開示に従う使用のためのタンパク質ベースおよびペプチドベースの薬剤(たとえば治療用の、予防的な、および/または診断のタンパク質ベースの薬剤)の例は、限定を伴うことなく、抗体(たとえばモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体)、抗体断片(たとえば単鎖または多重鎖抗体、Fab断片、Fc断片などのような抗体断片)、酵素、補助因子、受容体、リガンド、転写因子および他の調節因子、抗原、サイトカイン、ケモカイン、ならびにホルモンを含む。
本開示に従う使用のための核酸ベースの薬剤(たとえば治療用の、予防的な、および/または診断の核酸ベースの薬剤)の例は、限定を伴うことなく、低分子干渉RNA(siRNA)分子、小分子ヘアピン型RNA(shRNA)分子、およびマイクロRNA(miRNA)分子などのようなRNA干渉分子を含む。核酸ベースの薬剤は、組換え(たとえば、2つの異なる核酸をつなぐことによって生成される天然に存在しない分子)または合成(たとえば、化学的にもしくは他の方法で合成された)であってもよい。
本開示に従う使用のための化学物質ベースの薬剤(たとえば治療用の、予防的な、および/または診断の化学物質ベースの薬剤)の例は、限定を伴うことなく、小分子(たとえば小分子医薬物質)を含む。「小分子」は、低分子量(たとえば<900ダルトン)有機化合物である。
「治療剤」は、対象(たとえばヒトまたは非ヒト対象)における状態を治療するために使用される薬剤である。「予防剤」は、対象(たとえばヒトまたは非ヒト対象)における状態を予防するために使用される薬剤である。本開示に従う使用のための治療剤および予防剤の例は、限定を伴うことなく、抗体、抗体断片、他のタンパク質およびペプチド、脂質、炭水化物、小分子、ポリマー、金属ナノ粒子、RNA干渉分子(たとえばsiRNA、shRNA、miRNA)、アンチセンス分子、抗原(たとえばペプチド抗原)、アジュバント(たとえばCpGオリゴヌクレオチド)、抗悪性腫瘍剤、抗癌、抗感染剤(たとえば抗菌物質、抗菌剤)、抗真菌剤、抗ウイルス剤(たとえば抗レトロウイルス剤)、抗炎症剤、代謝剤、免疫調節剤(たとえば免疫賦活性剤、免疫抑制剤)、抗高血圧剤、抗アルツハイマー剤、ならびに抗パーキンソン剤を含む。
「アジュバント」は、抗原に対する免疫応答を増強する薬剤である。いくつかの実施形態では、アジュバントが、CpGオリゴヌクレオチドである。CpGオリゴヌクレオチドは、シトシントリホスフェートデオキシヌクレオチド(「C」)、その後に続くグアニントリホスフェートデオキシヌクレオチド(「G」)を含有する短い一本鎖合成DNA分子である。「p」は、連続するヌクレオチドの間のホスホジエステルまたは修飾ホスホロチオエート(PS)連結を指す。CpGオリゴヌクレオチドは、典型的に、核酸ナノ構造体の免疫賦活性効果を増強する(Li,J.et al.ACS NANO,5(11):8783-8789,2011;Schuller,V.et al.ACS NANO,5(12):9696-9702,2011)。たとえば、それらが細胞によって取込まれた後、微生物のDNAの特徴であるCpGオリゴヌクレオチドは、免疫賦活性効果を誘発するために下流の経路を活性化するエンドソームToll様受容体9(TLR9)によって認識され、腫瘍壊死因子(TNF)−α、インターロイキン(IL)−6、およびIL−12を含む様々な炎症促進性サイトカインの高レベルの分泌をもたらす。いくつかの実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドが、核酸ナノカプセルの内部表面に連結されている。いくつかの実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドが、核酸ナノカプセルの外部表面に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、内部および外部表面の両方に連結されたCpGオリゴヌクレオチドを有する。アジュバントの他の例は、限定を伴うことなく、リポ多糖およびポリLC(dsRNA模倣物)を含む。
「診断剤」は、対象(たとえばヒトまたは非ヒト対象)における状態を診断するために使用される薬剤である。本開示に従う使用のための治療剤および予防剤の例は、限定を伴うことなく、造影剤(たとえばコントラスト剤、放射性剤、追跡用色素(たとえば蛍光色素))を含む。「造影剤」は、シグナルを直接または間接的に発する薬剤であり、それによって、インビボにおいてその検出を可能にする。コントラスト剤および放射性剤などのような造影剤は、核医学検査および磁気共鳴画像法(MRI)などのような医学的画像処理技術を使用して検出することができる。磁気共鳴画像法(MRI)のための造影剤は、Gd(DOTA)、酸化鉄、または金ナノ粒子を含み、核医学のための造影剤は、201 Tl、ガンマ線を放射する放射性核種99 mTcを含み、ポジトロン断層撮影(PET)のための造影剤は、ポジトロンを放射する同位体、(18)F−フルオロデオキシグルコース((18)FDG)、(18)F−フッ化物、銅−64、ガドアミド(gadoamide)、および203PbなどのようなPb(II)の放射性同位体、ならびに1 lln;蛍光色素または色素コンジュゲートナノ粒子などのようなインビボにおける蛍光画像化のための造影剤を含む。いくつかの実施形態では、送達されることになっている薬剤が、造影剤にコンジュゲートされるまたは融合されるまたは混合されるまたは組み合わせられる。
薬剤は、天然に存在してもよいまたは天然に存在しなくてもよい(たとえば天然に存在しない化学化合物)。天然に存在する薬剤は、核酸ナノ構造体が投与される対象によって合成することができるものを含む。天然に存在しないものは、植物、動物、微生物、または他の生物によって生成されるかどうかにかかわらず、通常、本質的に存在しないものである。天然に存在する薬剤を含む核酸ナノカプセルが、全体として、天然に存在しないものと考えられることを理解されたい。
薬剤は、限定を伴うことなく、小分子、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸(たとえばsiRNA、shRNA、マイクロRNA)、ウイルス様粒子、ステロイド、プロテオグリカン、脂質、炭水化物、およびアナログ、誘導体、混合物、融合物、その組み合わせまたはコンジュゲートを含む化学化合物であってもよい。薬剤は、代謝され、したがって、その活性の(および/または安定性の)形態にインビボにおいて変換されるプロドラッグであってもよい。本開示は、核酸ナノ構造体における1つを超えるタイプの薬剤の添加および/または様々な薬剤を含むナノ構造体の使用の組み合わせをさらに企図する。
治療上のまたは診断の目的に現在使用されている様々な薬剤は、本開示によって送達することができ、これらは、限定を伴うことなく、造影剤、免疫賦活性剤および免疫阻害剤(たとえばシクロスポリン)などのような免疫調節剤、抗原、アジュバント、サイトカイン、ケモカイン、抗癌剤、抗感染剤、核酸、抗体またはその断片、サイトカイン−抗体融合タンパク質、Fc融合タンパク質などのような融合タンパク質、鎮痛剤、オピオイド、酵素阻害剤、神経毒、睡眠薬、抗ヒスタミン、潤滑剤、精神安定剤、抗痙攣薬、筋弛緩剤、抗パーキンソン剤、鎮痙薬、チャネルブロッカー、縮瞳薬、および抗コリン薬を含む筋収縮薬(muscle contractant)、抗緑内障化合物、細胞成長阻害剤および抗接着分子を含む細胞−細胞外マトリックス相互作用の修飾因子、血管拡張剤、DNA、RNA、またはタンパク質合成の阻害剤、抗高血圧剤、解熱剤、ステロイド性および非ステロイド性抗炎症剤、抗血管新生薬因子、抗分泌性因子、抗凝固薬、および/または抗血栓剤、局所麻酔薬、点眼薬(ophthalmic)、プロスタグランジン、ターゲティング剤、神経伝達物質、タンパク質、細胞応答モディファイヤー、ならびにワクチンを含む。任意の1つ以上の前述の薬剤が本開示の核酸ナノ構造体から明確に除外されてもよいことを理解されたい。
「ターゲティング分子」は、関心のある標的細胞に核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する分子である。たとえば樹状細胞、腫瘍細胞、T細胞、B細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞などのような細胞型を標的にするターゲティング分子が、本明細書において企図される。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、標的細胞上に存在する細胞外の関連する分子に特異的に結合する。本開示に従う使用のためのターゲティング分子の例は、限定を伴うことなく、抗体、抗体断片、およびリガンドを含む。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、樹状細胞(DC)に特異的に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、標的樹状細胞上で豊富なDEC205に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、DEC205に特異的に結合する単鎖抗体断片(scFv)である。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえばBDCA3+細胞、ランゲルハンス細胞、皮膚CD1a+細胞、BDCA1+細胞、moDC細胞、またはpDC細胞などのようなDCのサブセットに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、Clec9A、Clec12A、DCAR1、デクチン1、デクチン2、DCIR、DC−SIGN、ランゲリン、MGL、MR、Siglec−H、BST−2、またはBDCA−2に特異的に結合する(Kreutz,M.et al.Blood,121(15):2836,2013)。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に腫瘍細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、腫瘍細胞の表面に存在するアルファ(v)ベータ(3)インテグリン、葉酸受容体、および/または上皮成長因子受容体に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、RGD(Arg−Gly−Asp)ペプチド(たとえばcRGDペプチド)である。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に幹細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、幹細胞(たとえばCD34+、CD31−、CD117+幹細胞)の表面に存在するCD34またはCD117に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に白血球に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、白血球(たとえば顆粒球、単球、Tリンパ球、調節性T細胞、細胞障害性T細胞、Bリンパ球、血小板、および/またはナチュラルキラー(NK)細胞)の表面に存在するCD45+に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に顆粒球に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、顆粒球(たとえばCD45+、CD11b+、CD15+、CD24+、CD114++、CD182+顆粒球)の表面に存在するCD45、CD11b、CD15、CD24、CD114、またはCD182に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に単球に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、単球(たとえばCD45+、CD14+、CD114+、CD11a+、CD11b+、CD91+、またはCD16+単球)の表面に存在するCD45、CD14、CD114、CD11a、CD11b、CD91、またはCD16に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的にTリンパ球に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、Tリンパ球(たとえばCD45+、CD3+Tリンパ球)の表面に存在するCD45またはCD3に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的にTヘルパー細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、Tヘルパー細胞(たとえばCD45+、CD3+、CD4+Tヘルパー細胞)の表面に存在するCD45+、CD3+、またはCD4+に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に調節性T細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、調節性T細胞(たとえばCD4+、CD25+、Foxp3+調節性T細胞)の表面に存在するCD4、CD25、またはFoxp3に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に細胞障害性T細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、細胞障害性T細胞(たとえばCD45+、CD3+、CD8+細胞障害性T細胞)の表面に存在するCD45、CD3、またはCD8に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的にBリンパ球に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、Bリンパ球(たとえばCD45+、CD19+またはCD45+、CD20+、CD24+、CD38+、CD22+Bリンパ球)の表面に存在するCD45、CD19、CD45、CD20、CD24、CD38、またはCD22に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に血小板に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、血小板(たとえばCD45+、CD61+血小板)の表面に存在するCD45またはCD61に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的にNK細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、NK細胞(たとえばCD16+、CD56+、CD3−、CD31+、CD30+、CD38+NK細胞)の表面に存在するCD16、CD56、CD31、CD30、またはCD38に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に神経幹細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、神経幹細胞の表面に存在するABCG2、NeuroD1、ASCL1/Mash1、ノギン、ベータ−カテニン、Notch−1、Notch−2、Brg1、Nrf2、N−カドヘリン、Nucleostemin、カルシトニン R、Numb、CD15/Lewis X、Otx2、CDCP1、Pax3、COUP−TF I/NR2F1、Pax6、CXCR4、PDGF Rアルファ、FABP7/B−FABP、PKCゼータ、FABP 8/M−FABP、Prominin−2、FGFR2、ROR2、FGFR4、RUNX1/CBFA2、FoxD3、RXRアルファ/NR2B1、Frizzled-9、sFRP−2、GATA−2、SLAIN 1、GCNF/NR6A1、SOX1、GFAP、SOX2、Glut1、SOX9、HOXB1、SOX11、ID2、SOX21、Meteorin、SSEA−1、MSX1、TRAF−4、Musashi-1、ビメンチン、Musashi-2、ZIC1、またはネスチンに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に神経前駆細胞に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、神経前駆細胞の表面に存在するA2B5、AP−2アルファ、ATPアーゼNa+/K+輸送アルファ1、アクチビン RIIA、Brg1、CD168/RHAMM、CD4、ダブルコルチン/DCX、Frizzled 4/CD344、GAP43、Jagged1、ラミニン、MSX1/HOX7、Mash1、Musashi-1、ネスチン、ネトリン−1、ネトリン−4、Neuritin、NeuroD1、神経フィラメントアルファ−インターネキシン/NF66、Notch1、Notch2、Notch3、Nucleostemin、Otx2、PAX3、S100B、SOX2、セマフォリン 3C、セマフォリン 6A、セマフォリン 6B、セマフォリン 7A、TROY/TNFRSF19、チューブリン βII、Tuj 1、またはビメンチンに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に初期のニューロンに、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、初期のニューロンの表面に存在するATH1/MATH1、ASH1/MASH1、HES5、HuC/Hu、HuD、Internexin α、L1神経接着分子、MAP1B/MAP5、MAP2A、MAP2B、神経成長因子 Rec/NGFR)、ネスチン、NeuroD、神経フィラメントL 68kDa、神経特異的エノラーゼ/NSE、NeuN、Nkx−2.2/NK−2、ノギン、Pax−6、PSA−NCAM、Tbr1、Tbr2、チューブリン βIII、TUC−4、またはチロシンヒドロキシラーゼ/THに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に未成熟ニューロンおよび/または成長円錐に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、未成熟ニューロンおよび/または成長円錐の表面に存在するコラプシン応答媒介性タンパク質1/CRMP1、コラプシン応答媒介性タンパク質2/CRMP2、コラプシン応答媒介性タンパク質5/CRMP5、コンタクチン−1、システインリッチ運動ニューロン1/CRIM1、c−Ret蛍光体セリン696、ダブルコルチン/DCX、エフリンA2、エフリンA4、エフリンA5、エフリンB1、エフリンB2、GAP−43、HuC、HuD、Internexinアルファ、ラミニン−1、LINGO−1、MAP1B/MAP5、Mical−3、NAP−22、NGFR、ネスチン、ネトリン−1、ニューロピリン、プレキシン−A1、RanBPM、セマフォリン3A、セマフォリン3F、セマフォリン4D、Slit2、Slit3、Staufen、Tbr1、Tbr2、Trk A、チューブリンβIII、またはTUC−4に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に、分化した有糸分裂後のニューロンに、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、分化した有糸分裂後のニューロンの表面に存在するNeuN、NF−L、NF−M、GAD、TH、PSD−95、シナプトフィジン、VAMP、またはZENONに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に運動ニューロンに、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、運動ニューロンの表面に存在するChAT/コリンアセチルトランスフェラーゼChox10、En1、Even−skipped/Eve、Evx1、Evx2、線維芽細胞増殖因子−1/FGF1、HB9、Isl1、Isl2、Lim3、Nkx6、p75ニューロトロフィン受容体、REG2、Sim1、SMI32、またはZfh1に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的に、ニューロンのシナプス周囲の領域に、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、ニューロンのシナプス周囲の領域の表面に存在する4.1G、アセチルコリンエステラーゼ、Ack1、AMPA受容体結合タンパク質/ABP、ARG3.1、Arp2、E−カドヘリン、N−カドヘリン、Calcyon、カテニンアルファおよびベータ、カベオリン、CHAPSYN−110/PSD93、クロモグラニンA、クラスリン軽鎖、コフィリン、コンプレキシン1/CPLX1/Synaphin 2、コンタクチン−1、CRIPT、システインストリングタンパク質/CSP、ダイナミン1、ダイナミン2、フロチリン−1、フォドリン、GRASP、GRIP1、ホーマー、Mint−1、Munc−18、NSF、PICK1、PSD−95、RAB4、Rabphillin 3A、SAD A、SAD B、SAP−102、SHANK1a、SNAP−25、Snapin、スピノフィリン/ニューラビン−1、Stargazin、Striatin、SYG−1、シナプス小胞タンパク質2A、シナプス小胞タンパク質2B、シナプシン1、シナプトブレビン/VAMP、シナプトジャニン1、シナプトフィジン、シナプトタグミン、synGAP、Synphilin-1、シンタキシン1、シンタキシン2、シンタキシン3、シンタキシン4、シヌクレインアルファ、VAMP−2、小胞アセチルコリン輸送体/VAChT、小胞GABA輸送体/VGAT/VIAAT、小胞グルタミン酸輸送体1、2、3/VGLUT、小胞モノアミン輸送体1、または小胞モノアミン輸送体12に特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的にコリン作動性ニューロンに、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、コリン作動性ニューロンの表面に存在するアセチルコリン/Ach、アセチルコリンエステラーゼ、コリンアセチルトランスフェラーゼ/ChAT、コリン輸送体、または小胞アセチルコリン輸送体/VAChTに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、特異的にドーパミン作動性ニューロンに、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、ドーパミン作動性ニューロンの表面に存在するアドレナリン、ドーパミン、ドーパミンベータヒドロキシラーゼ/DBH、ドーパミン輸送体/DAT、L−DOPA、一酸化窒素ドーパミン、ノルエピネフリン、ノルエピネフリン輸送体/NET、パーキン、チロシンヒドロキシラーゼ/TH、またはトーシンAに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子は特異的にセロトニン作動性のニューロンに核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、セロトニン作動性ニューロンの表面に存在するDL−5−ヒドロキシトリプトファン、セロトニン、セロトニン輸送体/SERT、またはトリプトファンヒドロキシラーゼに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、GABA作動性ニューロンに、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を特異的に誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、GABA作動性ニューロンの表面に存在するDARPP−32、GABA、GABA輸送体1、GABA輸送体2、GABA輸送体3、グルタミン酸デカルボキシラーゼ/GAD、または小胞GABA輸送体/VGAT/VIAATに特異的に結合する。
いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、グルタミン酸作動性ニューロンに、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)を特異的に誘導する。いくつかの実施形態では、ターゲティング分子が、たとえば、グルタミン酸作動性ニューロンの表面に存在するグルタミン酸、グルタミン酸輸送体、グルタミン、グルタミンシンテターゼ、小胞グルタミン酸輸送体1、小胞グルタミン酸輸送体2、および/または小胞グルタミン酸輸送体3に特異的に結合する。
本開示の核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)が、1つのまたは1つを超えるターゲティング分子(たとえば様々なターゲティング分子の組み合わせ)を有していてもよいことを理解されたい。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)が、ターゲティング分子、抗原、およびアジュバントを含む。たとえば、核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)は、DEC205、抗原(たとえばペプチド抗原)、およびCpGオリゴヌクレオチドに特異的に結合する単鎖抗体断片(scFv)を含んでいてもよい。
本開示の核酸ナノ構造体がインビボにおいて使用される場合、それらは、本明細書において企図される核酸ナノ構造体の送達から予防的に、治療的に、または予後におそらく利益を得るであろう、事実上任意の対象のタイプに投与することができる。
投与が企図される「対象」は、ヒト(たとえば任意の年齢グループの男性もしくは女性、たとえば、小児の対象(たとえば乳児、子供、青年)、または成人の対象(たとえば若年の成人、中年の成人、もしくは年輩の成人))ならびに/または他の非ヒト動物、たとえば、哺乳動物(たとえば霊長動物(たとえばカニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/またはイヌなどのような市販で適切な哺乳動物を含む)、鳥(たとえば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、および/またはシチメンチョウなどのような市販で適切な鳥)、爬虫類動物、両生動物、ならびに魚を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、非ヒト動物が、哺乳動物である。非ヒト動物は、オスまたはメスで、発生の任意の段階であってもよい。非ヒト動物は、トランスジェニック動物であってもよい。
いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が投与される対象が、1つ以上の特定の薬剤の全身性のまたは局所的な送達から診断することができるまたは利益を得ることができるまたは予防することができる状態を有していてもよいまたはそれを発症する危険性があってもよい。そのような状態は、癌(たとえば固形腫瘍癌)、感染症(たとえば、特に、身体における特定の領域もしくは組織に局所的な感染症)、自己免疫性障害、アレルギー、もしくはアレルギー性の状態、喘息、移植拒絶反応、糖尿病、および/または心疾患を含む。
いくつかの実施形態では、そのような状態が障害と考えられるかどうかにかかわらず、薬剤が、状態の発病を予防するために送達される。
いくつかの実施形態では、対象が、移植を必要としてもよくまたは既に移植を受けていてもよく、本開示の核酸ナノ構造体は、そのような移植療法と共に使用されることになっている。
核酸ナノ構造体(たとえばナノカプセル)および核酸ナノカプセルを含有する組成物は、皮下にまたは静脈内に(たとえば単一の/複数の注射もしくは連続注入)または他の手段によって、対象(たとえばヒトまたは非ヒト対象)に投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、核酸ナノカプセルが、ポリマーゲル組成物の構成成分として対象に投与される。ポリマーゲル組成物は、生分解性および/または生体適合性であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーゲル組成物が、少なくとも1つのポリ乳酸、ポリグリコール酸、PLGAポリマー、アルギン酸およびアルギン酸誘導体、ゼラチン、コラーゲン、アガロース、天然および合成多糖、ポリペプチド、特にポリ(リシン)などのようなポリアミノ酸、ポリヒドロキシ酪酸およびポリ−イプシロン−カプロラクトンなどのようなポリエステル、ポリ酸無水物;ポリホスファゼン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アルキレンオキシド)、特にポリ(エチレンオキシド)、ポリ(アリルアミン)(PAM)、ポリ(アクリレート)、ポリ(4−アミノメチルスチレン)などのような修飾スチレンポリマー、プルロニックポリオール、ポリオキサマー(polyoxamer)、ポリ(ウロン酸)、ポリ(ビニルピロリドン)、ならびにグラフトコポリマーを含む上記のコポリマーから形成されるならびに/またはを含む(たとえば国際公開第2009102465号を参照されたい)。
いくつかの実施形態では、本開示は、直接、身体において、樹状細胞動員および活性化を操作するための方法を提供する。未成熟樹状細胞は、末梢組織をパトロールしており、異物(たとえば抗原)の取込みと同時に、それらは、成熟して、それらの表面に分子(たとえば受容体CCR7および主要組織適合遺伝子複合体(MHC)抗原)を発現し、リンパ節ホーミングおよび続くT細胞への抗原提示をそれぞれ促進する。樹状細胞を動員し、活性化する感染症のエレメントは、炎症性サイトカインおよび特に感染病原体と関係する「危険シグナル」を含む。シトシン−グアノシンオリゴヌクレオチド(CpG−ODN)配列は、細菌DNAにおいて独自に発現され、哺乳動物の樹状細胞活性化および樹状細胞情報交換を刺激する、効力のある危険シグナルである。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、抗原(たとえば癌抗原)および危険シグナル(たとえばCpGオリゴヌクレオチド)を含む核酸ナノカプセルを対象に投与するための方法を提供する。
本開示のいくつかの態様は、ポリアミンポリマーまたはポリアミンポリマーおよびPEI−PEGコポリマーの組み合わせにより亜飽和された、任意の1つ以上の核酸ナノ構造体を含む組成物を提供する。本明細書において提供される組成物は、いくつかの実施形態では、生理学的レベルの塩を含有する溶液を含む。たとえば、溶液は、0.1mM〜0.9mMのマグネシウム(Mg2+)(たとえば0.1mM、0.2mM、0.3mM、0.4mM、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、または0.9mMのMg2+)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、溶液が、0.5mM〜1.5mMのカルシウム(Ca2+)を含む(またはさらに含む)。たとえば、溶液は、0.5mM、0.6mM、0.7mM、0.8mM、0.9mM、1.0mM、1.1mM、1.2mM、1.3mM、1.4mM、または1.5mM Ca2+を含んでいてもよい。
本開示は、医薬組成物を提供する。医薬組成物は、ポリアミンポリマーまたはポリアミンポリマーおよびPEI−PEGコポリマーの組み合わせならびにいくつかの実施形態では薬剤を含む(たとえば、それにより亜飽和された)核酸ナノ構造体を含む滅菌組成物である。いくつかの実施形態では、医薬組成物が、薬学的に許容されるキャリヤを含む。薬学的に許容されるキャリヤは、核酸ナノ構造体の投与を促進する。
核酸ナノ構造体は、全身的に送達される場合、注射による、たとえばボーラス注射または連続注入による非経口投与のために製剤されてもよい。注射のための製剤は、単位剤形で、たとえばアンプルまたは複数回用量の容器で与えられてもよい。薬学的非経口製剤は、成分の水溶液を含む。
本開示の核酸ナノ構造体(ナノ構造体を含む組成物を含む)は、ナノ医療などのような生物医学的な適用を含む様々な適用において使用されてもよい。たとえば、核酸ナノ構造体は、薬剤送達(たとえば標的薬剤送達)、免疫療法、診断学、および分子生物学に使用されてもよい(概説については、たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるSmith D.et al.Nanomedicine(Lond).2013 Jan;8(l):105-21を参照されたい)。いくつかの実施形態では、核酸ナノ構造体が、スキャフォールドベースのバイオセンサーとして使用されてもよい(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるPei H.et al.NPG Asia Materials(2013)5,1-8を参照されたい)。
本開示の核酸ナノ構造体は、細胞のメカニズムを調査するために使用されてもよいまたはそれらは、物質科学の分野において使用されてもよい。たとえば、本開示は、光学応答の調整によるキラルプラズモニックナノ構造体の集合(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるLiedl et al.2012 Nature,483,311を参照されたい)、異方性プラズモニックナノ構造体の集合(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるPal et al.2011.J.Am.Chem.Soc.133,17606-17609を参照されたい)、ならびに超常磁性蛍光バーコード付きナノ構造体の層状成長(たとえば、本明細書において参照によって組み込まれるWang et al.2007 Nanotechnology 18,40,405026を参照されたい)を企図する。
実施例1
低マグネシウムバッファーにおけるDNAナノ構造体の構造の完全性に対するスペルミンポリマーの効果を調査するために、DNAナノ構造体(図1に図式化)を、以下のように、スペルミンポリマーとインキュベートし、透析し、ゲル電気泳動法によって分析した。6mM Mg2++/−60マイクロモル(μM)スペルミンポリマーを補足した0.5×TEバッファー(5mM Tris、1mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH7.4)中100μLの1ナノモル(nM)DNAナノ構造体を、18時間、0または0.6ミリモル(mM)Mg2+を含有する1Lの0.5×TEバッファーにおいて透析した。透析後、サンプルを、0.5×TBE(Tris/ボレート/EDTA)および11mM Mg2+のみから構成される2%アガロースゲルに添加した。図1に示されるように、顕著な差異は、コントロールおよびスペルミンインキュベートサンプルの間でゲルにおいて観察されなかったが、透過型電子顕微鏡法(TEM;2%ギ酸ウラニルにより染色)分析は、コントロール構造が、0および0.6mM Mg2+濃度の両方で変性したが、スペルミンポリマーとインキュベートしたナノ構造体が、0.6mM Mg2+を含有するバッファーにおいて構造の完全性を維持したことを示す。
実施例2
マグネシウムなしのバッファーにおけるDNAナノ構造体の構造の完全性に対するポリリシンポリマーの効果を調査するために、DNAナノ構造体を、以下のように、ポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、ゲル電気泳動法によって分析した。6mM Mg2++/−60μMポリリシンポリマー(K6=KKKKKK)を補足した0.5×TEバッファー中100μLの1nM DNAナノ構造体を、18時間、0 Mg2+を含有する1Lの1×PBS(10mM Na2HPO4、137mM NaCl、pH7.4)において透析した。透析後、サンプルを、0.5×TBEおよび11mM Mg2+のみから構成される2%アガロースゲルに添加した。図2に示されるように、顕著な差異は、コントロールおよびポリリシンポリマーインキュベートサンプルの間でゲルにおいて観察されなかったが、TEM分析は、コントロール構造が、0mM Mg2+濃度で完全に変性したが、ポリリシンポリマーとインキュベートした構造体が、構造の完全性を維持したことを示す。
実施例3
マグネシウムの存在下における様々な寸法のDNAナノ構造体の構造の完全性に対するポリリシンポリマーの効果を調査するために、様々な長さおよび直径のDNAナノ構造体(図3における代表的な概略図1〜4)を、以下のように、ポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、ゲル電気泳動法によって分析した。6mM Mg2++/−60μMポリリシン(KKKKKK=K6)を補足した0.5×TEバッファー中100μLの1nM DNAナノ構造体を、18時間、1Lの0.5×TEにおいて透析した。透析後、サンプルを、0.5×TBEおよび11mM Mg2+を含む2%アガロースゲルに添加した。図3において、破線は、ゲルにおけるネイキッドDNAスキャフォールドの移動性を示す。コントロールサンプルは、すべての場合において、透析に際して、フォールドせず、ネイキッドスキャフォールドになった。対照的に、ポリリシンによりコートした構造体は、それらの完全性および移動性を維持した。
実施例4
マグネシウムの非存在下における様々な寸法のDNAナノ構造体の構造の完全性に対するポリリシンポリマーの効果を調査するために、様々な長さおよび直径のDNAナノ構造体(図4における代表的な概略図1〜4)を、以下のように、ポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、ゲル電気泳動法によって分析した。6mM Mg2++/−60μMポリリシン(KKKKKK=K6)を補足した0.5×TEバッファー中100μLの1nM DNAナノ構造体を、18時間、1Lの0.5×TEにおいて透析した。透析後、サンプルを、Mg2+なしの0.5×TBEのみを含む2%アガロースゲルに添加した。図4に示されるように、ポリリシンポリマーによりコートしたナノ構造体だけが、このゲル上で移動性を示した。
実施例5
低マグネシウムバッファーにおけるDNAナノ構造体のポリリシンポリマー誘発性の安定性を判断するために、様々な寸法のDNAナノ構造体(図5における代表的な概略図1〜4)を、ポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、TEMによって画像化した。6mM Mg2++/−60μMポリリシンポリマー(KKKKKK=K6)を補足した0.5×TEバッファー中100μLの1nM DNAナノ構造体を、18時間、1Lの0.5×TEバッファーにおいて透析した。図5は、2%ギ酸ウラニルにより染色した未加工のサンプルのTEM画像を示す。コントロールサンプルは、すべての場合において、透析に際して、フォールドせず、ネイキッドスキャフォールドになった。対照的に、ポリリシンポリマーによりコートした構造体は、それらの構造の完全性および移動性を維持した。
実施例6
DNAナノ構造体の構造の完全性に対するポリリシンポリマーおよびポリアルギニンポリマーの効果を比較するために、DNAナノ構造体(図6に図式化)を、以下のように、ポリリシンまたはポリアルギニンポリマーとインキュベートし、透析し、TEMによって画像化した。6mM Mg2+および60μMポリリシンポリマー(KKKKKK=K6)または60μMポリアルギニンポリマー(RRRRRR=R6)を補足した0.5×TEバッファー中100μLの1nM DNAナノ構造体を、18時間、1Lの1×PBSにおいて透析した。透析後、サンプルを、TEMによって画像化した。図6に示されるように、ポリリシンポリマーとインキュベートしたDNAナノ構造体は、ポリアルギニンポリマーとインキュベートしたものに比べて、それほど凝集せず、よい良好な構造の完全性を示した。
実施例7
DNAナノ構造体の構造の完全性に対する様々な長さのポリリシンポリマーの効果を比較するために、DNAナノ構造体(図7に図式化)を、以下のように、ポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、ゲル電気泳動法によって分析した。6mM Mg2+ならびに様々な長さの60μMポリリシンポリマー(たとえばK3、K4、K5、およびK6)を補足した0.5×TEバッファー中100μLの1nM DNAナノ構造体を、18時間、1Lの1×PBSにおいて透析した。透析後、サンプルを、0.5×TBEおよび11mM Mg2+のみを含む2%アガロースゲルに添加した。図7に示されるように、5つのリシン(K5)を有するポリリシンポリマーおよび6つのリシンK6を有するポリリシンポリマーによりコートした構造体は、より良好なフォールディングを示すゲル上でのわずかに速い移動性を示した。ナノ構造体はまた、TEMで画像化した場合、より高い構造の完全性をも示した(図示せず)。
実施例8
DNAナノ構造体の構造の完全性を維持するために必要とされるそれぞれのポリリシンポリマー濃度に対するポリリシンポリマーの長さの効果を比較するために、DNAナノ構造体(図8に図式化)を、以下のように、様々な長さおよび濃度のポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、TEMによって画像化した。6mM Mg2+ならびに様々な濃度の様々な長さのポリリシンポリマー(たとえばK5、K6、K7、K8、K9、K10、K11、およびK12)を補足した0.5×TEバッファー中100μLの1nM DNAナノ構造体を、18時間、1Lの1×PBSにおいて透析した。図8に示されるように、より低濃度のより長いポリリシンポリマーがDNAナノ構造体を安定化した。
実施例9
DNAナノ構造体の熱的安定性に関してポリリシンポリマーの長さの効果を比較するために、DNAナノ構造体(図9に図式化)を、以下のように、様々な長さのポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、様々な温度でインキュベートし、ゲル電気泳動法によって分析した。20μLのポリリシンポリマー(たとえばK6、K8、K11、K12)によりコートしたDNAナノ構造体を、18時間、1×PBSにおいて透析し、次いで、24時間、様々な温度(たとえば30℃、40℃、または50℃)でインキュベートした。次いで、サンプルを、Mg2+なしの0.5×TBEを含む2%アガロースゲルに添加した。図9は、DNAバンドの移動性の減少を示し、これは、ナノ構造体の変性を示す。移動性の減少は、K6について40℃で観察されたが、移動性における変化は、K12によりコートした構造体について50℃でさえ観察されなかった。したがって、より長いポリリシンポリマーは、より短いポリマーに比べて、熱的安定性の増強をもたらすように思われる。
実施例10
DNAナノ構造体のヌクレアーゼ安定性に関してポリリシンポリマーの効果を比較するために、DNAナノ構造体(図10に図式化)を、以下のように、ポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、様々な期間、新鮮な細胞培地中でインキュベートし、ゲル電気泳動法によって分析した。18時間、1×PBSの中に透析した、20μLのポリリシンポリマー(K6)によりコートしたDNAナノ構造体を、様々な期間、37℃で、10μLの新鮮な細胞培地(GIBCO(登録商標)RPMI−1640培地中10% FBS)とインキュベートした。次いで、サンプルを、0.5×TBEおよび11mM Mg2+を含む2%アガロースゲルに添加した。図10は、ゲルバンドの強度の減少を示し、これは、ヌクレアーゼによるDNAナノ構造体の分解を示す。コントロールサンプルは、インキュベーションの1時間以内に分解されたが、6つのリシン(K6)を有するポリリシンポリマーによりコートしたサンプルの構造の完全性は、新鮮な細胞培地との8時間のインキュベーションの間、維持された。
実施例11
新鮮な細胞培養培地におけるDNAナノ構造体のヌクレアーゼ安定性に関してポリリシンポリマー長さの効果を比較するために、DNAナノ構造体(図11に図式化)を、以下のように、様々な長さのポリリシンポリマーとインキュベートし、透析し、様々な期間、新鮮な細胞培地中でインキュベートし、ゲル電気泳動法によって分析した。18時間、1×PBSの中に透析した、20μLのポリリシンポリマー(たとえばK6、K8、K12)によりコートしたDNAナノ構造体を、様々な期間、37℃で、10μLの新鮮な細胞培地(GIBCO(登録商標)RPMI−1640培地中10%ウシ胎児血清(FBS))とインキュベートした。次いで、サンプルを、0.5×TBEおよび11mM Mg2+を含む2%アガロースゲルに添加した。図11は、ゲルバンドの強度の減少を示し、これは、ヌクレアーゼによるDNAナノ構造体の分解を示す。コントロールサンプルは、インキュベーションの1時間以内に分解されたが、12のリシンを有するポリリシンポリマー(K12)によりコートしたサンプルの構造の完全性は、新鮮な細胞培地との24時間のインキュベーションの間、維持された。血清とインキュベートしたナノ構造体のTEM画像は、完全なDNAナノ構造体を示した。より長いポリリシンポリマーは、新鮮な細胞培地においてDNAナノ構造体に対して、より高度な/より長い安定性を与えるように思われた。
実施例12
DNAナノ構造体を、PEI−PEGコポリマーによりコートした。図23Aは、PEI第一級アミンへのPEG−NHSカップリングのライゲーション手法を示す。反応条件は、PBS pH8および室温での一晩のインキュベーションとした。図23Aはまた、血清活性細胞培地において様々な期間、インキュベートした場合のDNAナノ構造体の安定性についてのアガロースゲル分析をも示す。図23Bは、骨髄由来樹状細胞(BMDC)におけるPEI−PEGコートDNAナノ構造体の取込みを示す。パネルは、30分間隔であり、細胞の内側へのCy5標識DNAナノ構造体の取込みを示す。
実施例13
図24Aは、TLR9活性化実験の図式的な概要を示す。DNA origami構造体に、様々な位置、たとえばナノカプセルの内部および/または外部においてCpG危険シグナルを添加した。未成熟樹状細胞をCpG添加ナノ構造体により刺激し、一晩成熟させた。TLR9をCpGによって刺激すると、IL12サイトカインが、生成され、分泌された。図24Bは、TLR9刺激を評価するためのIL12サイトカインELISAアッセイを示す。CpG危険シグナルをDNAナノ構造体の外側に置いた場合に、大きな活性化が観察された。しかしながら、保護コーティングが存在した場合、免疫原性の活性は、覆い隠された。これは、保護的なシェルがない場合でさえ、取込みおよびエンドソームが持続する時間的経過にわたってDNAナノ構造体の構造の完全性を実証する。
実施例14
図25Bは、生細胞におけるペプチド抗原放出の共焦点画像を示す。BMDCは、抗原カーゴを添加したDNAナノ構造体とインキュベートした。パネルは、15分間隔であり、取込みプロセスの間の最初の共存、その後に続く2つの経路の明確な分離を示し、抗原ペプチドは、細胞中に残り、細胞膜に移動し、ここで、抗原ペプチドは、MHC受容体上に提示され、DNAナノ構造体は、細胞から分泌される。
実施例15
図26Aは、フローサイトメトリーによる蛍光強度プロファイリングによって測定されるT細胞活性化アッセイの結果を示す。BMDCを、様々な用量の抗原−DNAナノ構造体またはコントロールとして抗原のみとインキュベートした。3日間のOT−1由来T細胞との共培養は、T細胞集団の刺激および分裂をもたらした。DNAナノ構造体による抗原の1nMの送達は、遊離抗原取込みに対して優れており、本明細書において提供される方法の長所および利点を実証した。
図26Bは、T細胞活性化実験の図式的な概要を示す。CD8+T細胞は、OT−1トランスジェニックマウスの脾臓から回収し、緑色に染色した。T細胞は、BMDCおよびペプチド抗原を添加したDNAナノ構造体または抗原単独と共培養した。抗原がMHC−IによってDCによって提示された場合にのみ、T細胞が増殖した。
図26Cは、FlowJo分析を使用する、T細胞実験の定量化を示す。高度なおよび中位の投薬について、過度の刺激により誘発された細胞死があった。最も低い濃度の1nMでは、増殖%(上のグラフ)および分裂の量(下のグラフ)の両方が、遊離ペプチド送達と比較して、本開示のDNA送達方法により増加した。MHC−II提示およびOT−2 T細胞活性化について同様の結果は示されない。
実施例16
この実施例の目的は、DNA origamiナノカプセルを構築し、どの構造的な特徴が樹状細胞への抗原および危険シグナルの効率的な送達にとって重要であるかを調査することである。ナノカプセルを一連のサイズ、カーゴ、および表面装飾により構築し、樹状細胞(DC)を刺激して、T細胞を活性化するこれらの粒子の能力を調査する。インビトロにおけるおよびインビボにおける活性化T細胞を最も強力に導くナノカプセルを、インビボにおける抗原特異的抗腫瘍免疫を誘発するそれらの能力について試験する。実施例17に記載される免疫学的アッセイを、この実施例に記載されるナノ粒子を試験するために使用する。
ナノ粒子のサイズおよび形状は、一般に、樹状細胞(DC)への取込みおよび分類に効果を有する。ナノカプセルのサイズを変化させることは、ナノ構造体当たりに添加するカーゴ分子の数の調節を可能にする。この実施例において、DNA origamiは、核酸ナノカプセルを構築するために使用する。DNA origamiでは、長いスキャフォールド鎖が、短いステープル鎖と共に、ヘリックス間の多数の鎖の交差によって相互に保持される二重らせんの平行配列から構成されるシートに組み立てられる。曲がって円筒になるシートを生成するために、3つの層(図27、右上の中程度の灰色、濃い灰色、および明るい灰色)を有するシートを構築し、内側の層(中程度の灰色)は、より短いヘリックスを有するようにプログラムし(たとえば合理的にデザインし)、外側の層(明るい灰色)は、より長いヘリックスを有するようにプログラムした(本明細書において参照によって組み込まれるDietz,H.,et al.Science 325,725-730(2009);Douglas,S.M.et al.Nature 459,414-418(2009);およびHan,D.et al.Science 332,342-346(2011))。この構造体は、内側の層上で収縮をおよび外側の層上で拡張をもたらす。そのうえ、シートの末端部は、閉じられるようにデザインされ、これは所望の屈曲を強化する。円筒の壁は、厚さ約6nmであり、単層のDNA origamiシート(厚さ2.5nm)よりもはるかに強固である。
ナノカプセル構造体の一例を、図21A(i)に示す、また、2つのドーム構成成分(明るい灰色)および決められた数の円筒形の構成成分(中程度の灰色)を含有する。ドーム構成成分の構成体は、円筒形の構成成分と同様の、3つの層のヘリックス(外側、中央、内側)を保有する。定められた数の円筒ドメインの同軸性の積み重ねのための頑健な戦略が、本明細書において提供される。それぞれが60nmの直径を有する2つのナノカプセルを構築した:一方は、2つの円筒ドメインを組み込むようにプログラムし、(120nmのナノカプセル長)(図21A(vi)、左のパネル)、一方は、4つの円筒ドメインを組み込むようにプログラムした(180nmのナノカプセル長)(図21A(vi)、右のパネル)。
さらに、31nm、60nm、または87nmの直径および60nm、120nm、180nm、240nm、300nm、または360nmの長さを有するナノカプセルを構築する。ナノカプセルのそれぞれのバージョンは、取込みが依存する相対的な形状/サイズが、ターゲティング剤の包含対除外によって変化するかどうかを決定するために、下記に記載されるようにターゲティング剤により装飾する。内部の空洞は、粒子当たり3ダースのCy5フルオロフォアにより装飾し、実施例17において記載されるようにBMDCの中への取込みを追跡する。
骨髄由来樹状細胞(BMDC)の粒子当たりの効力のある活性化は、抗DEC205のまばらな均一な格子および抗CD40による高密度の均一な装飾の表示によって調査する。抗DEC205親和性薬剤の表示は、BMDCターゲティングを促進することが予想されるが、DEC205クラスタリングの誘発は、BMDC不活性化を回避するために最小限にする。反対に、CD40架橋は、BMDC活性化に至り、そのため、最大限の密度の抗CD40親和性薬剤を、ナノカプセルの外側表面上に表示し、CD40架橋およびシグナル伝達を誘因する。ナノカプセルの外側表面を装飾するための基本的なフレームワークの一例は、6つの最近傍のものと8.7nmの間隔を有する斜方格子であり(図28、黒色および灰色のドット)、それぞれの60nmの直径の円筒は、84の外側の格子位置を持つ。それぞれの格子位置は、特化されたssDNA「ハンドル」により独立して装飾する。次いで、これらの格子ハンドルは、それ、関連するハンドルに対して相補的配列を有するssDNAの「反対のハンドル」に共有結合されるリガンドと、配列特異的な様式でパートナーとなる。8.7nmの倍数増加する抗DEC205の間隔について試験し、残った格子スポットを抗CD40で充填する。図28(灰色のドット)は、35nmの間を置いて配置される抗DEC205格子点を有する実施例のパターンを示す。
親和性薬剤は、斜方格子編成の表面上の選択された位置に置かれた相補的ssDNAハンドル鎖へのハイブリダイゼーション後に、方向づけられた提示のために、ssDNAの反対のハンドルの部位特異的なタグ付けに使用する。大腸菌(E.coli)において発現される単鎖抗体断片を使用して、様々なタグ(たとえば特有のシステイン、アルデヒド(Rabuka,D.,et al.Nat Protoc 7,1052-1067(2012))、ソルターゼ(Popp,M.W.et al.Nat Chem Biol 3,707-708(2007))、ybbR(Yin,J.,et al.Nat Protoc 1,280-285(2006))、SNAP(Hussain,A.F.,et al.Curr Pharm Des 19,5437-5442(2013))、および/またはアミノ末端(Scheck,R.A.,et al.J Am Chem Soc 130,11762-11770(2008)))を部位特異的突然変異誘発を介して取り付け、次いで、評価する。RNAについては、DEC205に結合する2’フルオロピリミジンの組み込みのために最適化されたアプタマーのバージョン(たとえば2’フルオロピリミジン置換RNAアプタマー(Wengerter,B.C.et al.Mol Ther 22,1375-1387(2014))を、未修飾RNAに比べて安定性を増加させるのに使用する。個々のscFvまたはアプタマーの親和性は、高くない場合もある(ナノモル〜マイクロモル)が、多くのコピーが、多価の結合活性を実現するために決められた間隔で表面上に表示される。
ナノカプセルの内側を装飾するための基本的なフレームワークは、60nmの直径の円筒ドメイン当たり84の格子位置を有するナノカプセルの外側上に見つけられるものと同様の間隔を有する斜方格子である。同様に、それぞれの位置は、所望のカーゴ分子に共有結合された相補的ssDNAの反対のハンドルによって扱うことができるssDNAハンドルにより装飾する。CpGおよびポリI:Cは、危険シグナルとして、OVA1およびOVA2は、モデル抗原として使用する。TLRの二量体化の誘発の重要性を調査し、ナノカプセル当たりの添加能力を2倍にするために、つながれた1対の危険シグナルを、マレイミドを持つ危険シグナルにコンジュゲートすることができる内側のチオールを有する反対のハンドル−危険シグナルを介してそれぞれの格子位置に付加し、分岐分子を作る。これらの危険シグナルは、一旦、ハンドルのシトシンがシトシンのN−3上でプロトン化されたら、ハンドルが優先的にiモチーフssDNA構造体を形成するように、シトシンが豊富になるようにハンドルの配列をコードすることによって、酸性pH(たとえば5.5未満)に応じてナノカプセルの内壁から放出されるようにプログラムされる(Dong,Y.,et al.Acc Chem Res 47,1853-1860(2014))。
ナノカプセルは、エンドソームコンパートメントの中への到着前に分解からカーゴを保護するようにデザインされる。ナノカプセルの壁は、1nm以下の固く圧縮された二重らせんの隙間を含有する。ドームのトップは、8nmの穴を含有し、これは、自己組織化されたDNA 6ヘリックスバンドル充填物により充填され、その結果として、1nmよりも大きな高分子は、中にも外にも拡散することができない(図29、右)。ヌクレアーゼまたは低塩変性による分解からナノカプセル自体を保護するために、ナノカプセルは、オリゴリシンから構成されるシェルによりコートされる(図29、左)。
5.5以下のpH−未成熟BMDCにおけるエンドソームのpH−の感知と同時に、ナノカプセルが開口する。さらに、ナノカプセルの内壁にカーゴを接続するアンカーは、pH5.5未満で放出する。この酸性pHによる誘因を実現するために、シトシン環のN−3のプロトン化と同時にワトソン−クリック塩基対パートナー鎖から解離し、次いで、それ自体がフォールドする、シトシンが豊富な配列であるiモチーフを使用する(Dong,Y.,et al.Acc Chem Res 47,1853-1860(2014))。2つの円筒ドメインを保持する鎖の間の塩基対合が、シトシンが豊富な配列内でのssDNA iモチーフ構造体の形成によってpH5.5で破壊されるようにプログラムされるこの戦略の例を、図30に示す。他のpHによる誘因は、ナノカプセルの内側に向いている接続ヘリックスによりプログラムされ、ヌクレアーゼがこれらを切断し、あまりにも早くナノカプセル開口が誘因されるのをより難しくする。
本開示のDNAナノカプセルは、BMDCの耐性が十分にあり、毒作用も、生存率の変化もなく、ナノカプセルによって提示された抗原に対して特異的な様式でIL−12分泌を誘発し、T細胞を活性化するようBMDCを誘発することができる。BMDCを、Cy5レポーター色素により標識した5nM DNAナノ円筒とインキュベートし、1時間後に画像化した。細胞の内側のDNA origamiの蓄積物が、目に見えた。核をヘキストにより染色し、明視野画像は、細胞表現型の変化を示さず、よって、細胞に対するDNAサンプルの毒作用はなかった。
いくつかの事例では、ナノカプセルを保護するために適用されたオリゴアミンコーティングは、表示されたCpG危険シグナルがTLR9を活性化する能力をある程度まで阻害し得る。理論によって拘束されないが、これは、オリゴアミンが、ナノカプセルの壁に危険シグナルをあまりにもしっかりと非共有結合で架橋するためであり得る。さらに、オリゴアミンは、pH5.5でのiモチーフ放出の平衡状態の挙動を変化させ得る。これについて検討するために、非荷電のPNAまたは他の中性スペーサーが、リガンドおよびiモチーフドメインをナノカプセルの壁から出っ張らせるために使用されてもよく、iモチーフの配列が、オリゴアミンの存在下において効率的な放出を得るために修飾されてもよい。中性スペーサーは、ナノカプセルの壁からカーゴを引き離すのに十分な力を加えることができ、そのため、低pHでの効率的な放出を促進する。他の事例では、ナノカプセルの外側に表示された親和性薬剤は、たとえばオリゴアミンによるコーティング後にナノカプセル壁との相互作用により活性が低下し得る。これについて検討するために、中性スペーサーエレメントが、出っ張って、ナノカプセル壁との望まれない相互作用を弱めるように含まれてもよい。
実施例17
この実施例の目的は、操作されたDNAナノカプセルが、T細胞を活性化するように樹状細胞(DC)を指示する能力を調査することである。DCは、Ag特異的なT細胞応答を開始し、コントロールする最も効力のある専門的な抗原提示細胞(APC)である。DCは、抗原を受容し、処理し、ナイーブT細胞に提示し、それらの増殖およびエフェクターT細胞への分化を刺激することができる。ここで、DC活性化、成熟、および抗原提示に対する操作されたナノカプセルの効果ならびにCD4+およびCD8+T細胞の活性化および分化を促すこれらのDCの能力を調査する。明確な免疫原性エピトープならびにそれぞれOVA257−264およびOVA323−339に対応するCD8+およびCD4+T細胞エピトープであるペプチドに対して特異的なT細胞受容体(TCR)を有するトランスジェニックOT1およびOT2マウスがあるので、十分に確立されたモデル抗原オバルブミン(OVA)を使用する(Barnden,M.J.,et al.Immunology and Cell Biology 76,34-40(1998);およびHogquist,K.A.,et al.Immunity 3,79-86(1995)。したがって、OT1 T細胞へのDCによるOT1ペプチドの提示は、OVA特異的CD8+T細胞の増殖および分化をもたらし、それに対して、OT2細胞へのOT2ペプチドの提示は、OVA特異的CD4+T細胞増殖および分化に至る。この実施例の1つの目標は、CTLおよびTh1および濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞が抗腫瘍性細胞溶解および抗体応答を促すので、これらの細胞型の生成および機能を増強する操作されたナノ粒子を提供することである。インビトロアッセイは、培養中のBMDCを活性化する、実施例16において記載されるナノカプセルの能力を試験するために、次いで、これらのBMDCがT細胞を活性化する能力を試験するために使用する。次に、活性化されたBMDCまたは活性化されたT細胞は、インビボにおいてそれらの機能性を確認するためにマウスの中に移す。次いで、最も有効なナノ粒子を、インビボにおいて直接送達し、T細胞の抗原特異的活性化について試験する。
Ag特異的なT細胞応答を誘発するために、タンパク質抗原は、貪食され、処理され、MHC/ペプチド複合体としてDC表面上に提示される必要がある。操作されたナノカプセルの取込みは、Cy5フルオロフォアを使用して比較する。ナノカプセルを、Cy5により標識し、4または37℃で数時間DCとインキュベートする。DCを洗浄し、蛍光強度をフローサイトメトリーによって測定する。蛍光強度のレベルは、取込みの効率を示す。BMDC成熟および活性化は、ナノカプセルがCD80、CD86、MHC I、MHC II、およびCD40の細胞表面発現を誘発するかどうかを決定することによって判断する。DCの活性化の別の特徴は、炎症促進性サイトカインの分泌の増強である。DC活性化の方法により、生成されたサイトカインのタイプ(炎症促進性および抗炎症性)を決定する。CD40刺激は、IL−6、TNF、IL−15、IL−12 p40を誘発し、それに対して、LPSによるTLRの刺激は、IL−12p35、IL−1α/βを誘発し、ポリI:CおよびCpGは、IFN−γを誘発する。特に、IL−12およびIFN−γは、DCワクチンへの抗腫瘍応答を生成する際に重要な役割を果たす。これらのサイトカインおよび抗炎症性サイトカイン(IL−10)の分泌は、サイトカインビーズアレイ(CBA)によって培養上清において判断する。そのうえ、炎症促進性シグナル伝達経路は、リン酸化についての細胞溶解物Ikkα/β、p38、およびJNK(IL−12分泌に関連する)ならびに生存促進性の分子Aktを評価することによってこれらのDCにおいて評価する。図31(左のパネル)に示されるように、DNAナノ粒子は、BMDCによるIL−12分泌を誘発することができる。
OT1またはOT2ペプチドを処理し、T細胞に提示し、かつT細胞応答を刺激するBMDC能力を判断するために、OT1またはOT2の細胞を、数時間、操作されたナノカプセルと前培養されたDCと共培養する。CD8+OT1細胞活性化および細胞分裂を、DCのプライミングの24、48、72、および96時間後に分析する。図31(右のパネル)に示されるように、OVA1またはOVA2を持つDNAナノ粒子は、T細胞増殖を刺激することができる。細胞分裂は、CFSE色素希釈液対活性化および分化のマーカー(たとえばCD44、CD25、CD69、KLRG1、CD127)の発現、細胞内サイトカイン染色によってサイトカイン(IFN−α、TNF、IL−2、Mip1α)を評価することによるエフェクター機能の開始、ならびに細胞内染色による細胞傷害性(グランザイムB、パーフォリン)ならびにCD8+T細胞分化にとって重要な転写因子(T−betおよびEomes)によって検査する。T細胞の生存(たとえばbcl−2ポジティブ)を、それぞれの時点でのT細胞のパーセンテージ/数と比較する。これらのT細胞の細胞傷害性の機能性について試験するために、B16−Ova細胞およびB16細胞を、様々な細胞表面色素により標識し、これらの2つの細胞株を、活性化CD8+T細胞と共培養する。細胞傷害性能力および特異性を定量的に判断するために、生細胞を、48時間または72時間後に数え、CD8+T細胞なしのコントロールウェルと比較する。同様に、ナイーブOT2 CD4+T細胞の活性化およびエフェクター細胞サブセットへの分化を刺激する操作されたナノカプセルの能力を比較する。OT2細胞活性化および分裂は、OT1細胞について詳述されるアプローチを使用して判断する。CD4+細胞は、細胞表面分子、転写因子、およびサイトカインの別個の発現によって定義される、エフェクター細胞の様々なサブクラスに分化することができる。Th1(IL−2、IFN−α、t−bet、stat1,4)、Th2(IL−4、5、10、13、gata−3、stat6)、Th17(IL−17、IL−22、stat3、rorc)、およびTfh(IL−21、bcl−6)細胞を特徴付けるサイトカインおよび転写因子を測定する。そのうえ、これらのBMDCが、ナイーブT細胞からの抗炎症性調節性T細胞の誘発を促す能力を判断する。OT1もしくはOT2ペプチド、OVAタンパク質、またはコントロールタンパク質(雌鳥卵リゾチーム)を添加した操作された粒子を比較する。
OT1およびOT2細胞増殖およびTh1応答をインビトロにおいて刺激する操作されたナノカプセルのサブセットを選択する。CFSE標識OT1またはOT2細胞を、ナイーブマウスに静脈内に移し、マウスを、操作されたナノカプセル(OVAペプチド抗原またはコントロールを含有する)により皮下で免疫化する。DCのエクスビボ対インビボにおける活性化を比較し、CFSE色素希釈液によるT細胞増殖を評価する。インビボCTLアッセイは、活性化されたOT1細胞が、有効なCTLに分化し、Ag特異的な標的細胞(OT1ペプチドパルス脾細胞)を死滅させることができるかどうかを調査するために使用する。マウスは、OVAペプチドもしくはコントロールペプチドを含有するナノカプセルまたはアジュバント中のOVAタンパク質(ポジティブコントロールとして)により免疫化し、OT1ペプチドにより(CFSE)またはOT1ペプチドなしで(Cell−Trace Violet)パルスした標識同系脾細胞の死滅を比較する。
ナノカプセルの外側表面に表示された親和性薬剤の結合強度が、ナノカプセルにつなぐことによって低下し得る事例では、親和性薬剤は、硬い(たとえばdsDNA、PNA)または可動性の(たとえばPEG)リンカーを含むことによって表面からさらに出っ張らせることができる。タンパク質リガンドは、ナノカプセル表面からのある程度の間隔を実現するために、SNAPタグドメインへの共有結合コンジュゲートとして発現することができる。
ナノカプセルが、たとえばそれぞれの環境における差異により、無細胞性の実験において観察されるほど効率的に開口せず、エンドソーム細胞コンパートメント内のそのカーゴを放出させない場合がある事例では、上半分および下半分の間でのナノカプセルの細胞内開口は、FRETによって分析することができる。その代わりに、穴のpH5.5により誘因される開口を、ドームの上にプログラムすることができ、これを通して、放出されたカーゴが、拡散することができる。これは、ナノカプセルの内壁に充填物をつなぐiモチーフ配列を導入することによって実現することができる。低pHへの暴露に際して、i−モチーフのつなぎ鎖が巻き上がり、その穴から充填物を引っ込める力を生成するであろう。
実施例18
この実施例の目的は、腫瘍ワクチンとして操作されたナノカプセルの選択されたサブセットの効能を試験することである。ナノカプセルは、腫瘍移植の前または後にワクチン接種することによって予防および治療用ワクチンとして試験する。治療の効能は、B16 OVAメラノーマにおいて最初に判断し、次いで、Her2 neuおよび4T1乳癌モデルまで拡張する。結果を、従来のワクチン(たとえばCFAにおける標的ペプチド)と比較する。インビボにおける有効性についてアッセイするために、腫瘍成長および免疫浸潤物の組成をモニターし、腫瘍微小環境ならびに流入領域リンパ節および脾臓における抗原特異的なT細胞活性化、増殖、およびエフェクター機能を分析する。
ワクチン接種.予防ワクチン接種のために、操作されたナノカプセルを、一方の脇腹に皮下に移植し、他方の脇腹に105〜106腫瘍細胞の皮下注射により2週間後に攻撃する(challenge)。治療用ワクチン接種の効能を判断するために、マウスに、一方の脇腹に皮下に105〜106腫瘍細胞を移植する。腫瘍の容量が約100mm3に達したら、操作されたナノカプセルを他方の脇腹に皮下にまたは腫瘍内に与える。マウスのサブセットは、3週間以内の間、ワクチン接種を毎週受ける。両方の場合のポジティブコントロールとして、腫瘍ペプチド(たとえばOTIペプチド)を、最初のナノ粒子ワクチン接種と同じ時間にコントロールの腫瘍を持っているマウスにナノ粒子の代わりにCFAで注射する。
腫瘍成長の分析.B16 OVA細胞を、C57BL/6マウスに皮下に移植し、Her2/neuまたは4T1細胞を、BALB/cマウスに皮下に移植する。腫瘍成長および生存を比較する。腫瘍容量を、毎週3回測定する。マウスを、腫瘍潰瘍化および毒性のサイン、特に>20%の体重減少および処置誘発性のストレスの他のサインについてモニターする。生存研究についてのエンドポイントは、発明者らのIACUC規則に従って、腫瘍サイズ(1cm3の限度)または潰瘍化した腫瘍/壊死の腫瘍とする。マウスの以下のコホート(グループ当たりn=8〜10匹のマウス)を比較する:(1)ニセの処置、(2)適切なAgを有するナノカプセルワクチン、(3)Agなしのナノカプセルワクチン;(4)ポジティブコントロールワクチン。
細胞の免疫学的分析.免疫応答に対するナノカプセルの効果は、ある期間にわたって、ワクチン部位で局部的に、流入領域リンパ節において、および腫瘍内で検査する。細胞免疫学的アプローチ、分子アプローチ、および免疫組織的アプローチを、DCおよびT細胞の両方を分析するために使用する。
樹状細胞サブセットを、フローサイトメトリーによって最初に比較する:CD103、CD8α(たとえば交差提示)、PDCA(たとえば形質細胞様)、またはCD11b(たとえば単球由来)を発現するCD11c+MHCクラスIIhi細胞。DC成熟ステータス(たとえばCD80、CD86、CD40、CD137L)ならびに阻害性リガンド(たとえばPD−L1およびPD−L2)の発現を検査し、単球/マクロファージを含む他の骨髄系細胞、好中球、および骨髄由来抑制細胞を、適切なマーカー(たとえばMer、CD32、F4/80、Ly6C、Ly6G)を使用して特徴付け、免疫調節マーカー(たとえばアルギナーゼ、インドールアミン2,3ジオキシゲナーゼ、CD39/CD73)の発現を判断する。組織抽出物において発現されるサイトカインを検査し、腫瘍保護的(たとえばIFNy、TNF、IL−12、IL−18)、腫瘍促進性(たとえばIL−6、IL−17、IL−23)、ならびに免疫抑制性(たとえばIL−10およびTGFβ)サイトカインを、luminexベースのアッセイおよびqRTPCRを使用して検査する。
CD8+T細胞応答に対するナノカプセルワクチン接種の効果を決定するために、実施例17に記載される方法を使用する。そのうえ、抗原特異的T細胞(たとえばB16 Ova腫瘍を有するOT1 T細胞)および四量体の養子移入を、内因的に生成される抗原特異的T細胞をプローブするために使用する。実施例17において議論される活性化マーカーおよびサイトカインに加えて、CD8+T細胞のパーセンテージ/数、阻害性受容体(たとえばPD−1、LAG−3、TIM−3、CD160)の発現、および増殖(たとえばKi−67発現またはBrDu組み込み)を判断する。エクスビボアッセイ(細胞傷害性アッセイ、ELISPOT)は、機能性を評価するために使用する。
抗腫瘍性免疫を阻害するFoxP3+Tregもまた、判断する。以下のものもまた、フローサイトメトリーによって判断する:1)パーセンテージ/数、2)増殖(Ki67、BrDU)および生存(Bcl2)、3)機能(たとえばIL−10、IRF4)および/またはさらなるエフェクター表現型(たとえばTbet、IFNα)への分化のマーカー、ならびに4)安定性のマーカー(たとえば、阻止されたpAktまたは増加したニューロピリン、Helios、およびBcl2)。CD8+/Treg比は、増加が抗腫瘍免疫の増強と相関するので、決定する。
液性免疫の分析.ますます増えつつある証拠により、抗腫瘍療法の成功が、CTLおよび液性免疫の両方を促し、なぜ腫瘍ワクチンが一般に効力のある持続する抗体応答を誘起しないのかを理解するための研究が必要であることが示唆される。B細胞は、濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)によって防御抗体を生成するように刺激され、濾胞性調節性T細胞(Tfr)によって阻害されるが、Tfr細胞が腫瘍に対するB細胞応答を抑制するかどうかはまだ明確ではない。Tfr細胞の排除がメラノーマ抗原に対するB細胞応答の強化に至るかどうか試験するために、マウスを、CFA中に乳化したBRAF/PTEN(メラノーマ細胞株)(Cooper,Z.A.et al.Cancer Immunol Res 2,643-654(2014)))腫瘍溶解物により免疫化し、7日後、これらのマウス由来のTfhおよびTfr細胞を分類し、Tfhおよび/またはTfr細胞を、Tcrα−/−レシピエント(TfhおよびTfr細胞を欠く)に移した。これらのレシピエントにBRAF/PTEN腫瘍を与え、8日後、抗体レベルを測定した。図32に示されるように、Tfh細胞は、抗体産生を刺激したが、Tfr細胞の追加は、抗体産生を強力に抑制した。これらの研究は、Tfr細胞がインビボにおいて腫瘍免疫を阻害することができることを示す。
ナノカプセルワクチンが液性免疫応答ならびにTfhおよびTfr細胞をどのように調整するかを調査するために、Tfh、Tfr、およびB細胞応答を、モデル抗原(OVA)、この抗原のみを発現する腫瘍細胞(B16 OVA)、またはB16 OVAおよびナノカプセルワクチンと比較する。B16 OVA細胞を皮下に移植し、上記のようにナノカプセルワクチンによりワクチン接種する。7日または14日後、以下のものについて判断する:(1)Tfh、Tfr、およびB細胞数ならびに絶対的な細胞数ではなく比としてのTfh/Tfr比は、抗体産生ならびにTfh、Tfr、およびB細胞増殖に影響を与える(Ki67発現またはBrdU取込みによって);(2)TfhおよびTfr細胞上のCXCR5(B細胞ゾーンにこれらの細胞を誘導するケモカイン)、Bcl6(Tfh細胞についての主転写因子)、Blimp−1(Tfh細胞の転写リプレッサー)、ならびにTfh細胞におけるサイトカイン(B細胞の機能を刺激するIL−21およびIL−4)の発現;(3)B細胞応答を決定するための胚中心B細胞、形質細胞、記憶B細胞、および血清抗体レベル(ELISAおよび腫瘍溶解物を使用して、全体的なおよび腫瘍特異的な);ならびに(4)自己抗体が腫瘍によって誘起されるかどうか。
同様の研究は、抗腫瘍液性およびCD8+T細胞応答に対する治療戦略の効果を研究するための価値のあるツールを提供する、TおよびB細胞応答の両方を誘起するHer2/neu細胞株を使用して行う。Tfh、Tfr、およびB細胞応答を、B16 OVA研究について記載されるように評価し、Her2/neuに対する血清抗体(IgM、IgG全体およびサブタイプ、IgA)を、Her2/neu発現細胞株を使用して分析する。4T1細胞株を使用する同様の研究もまた行う。
チェックポイント遮断との組み合わせ.腫瘍ワクチンの根底にある基本概念は、腫瘍が存在する場合に、内因性のDCが十分な抗腫瘍性T細胞応答を刺激しないことである。しかしながら、DCによって十分なT細胞プライミングがなされても、T細胞は、腫瘍微小環境の中および外の両方で抑制され得る。チェックポイント遮断は、この抑制のノードのうちの1つを除去することを目指し、現在の典型は、抗腫瘍性の免疫応答が処置の開始時に不十分である場合、それが失敗してしまうことである。したがって、理論によって拘束されないが、チェックポイント遮断とのナノカプセルワクチン接種アプローチの組み合わせが、最初に、強い抗腫瘍性の免疫応答を誘発し(ナノカプセルワクチン接種)、次いで、T細胞の抑制を予防すること(チェックポイント遮断)によって、相乗効果に至るであろうと考えられる。ナノカプセルワクチン接種アプローチを、抗PD−1または抗CTLA−4遮断抗体と組み合わせる。ワクチン接種およびチェックポイント遮断の相対的なタイミング(チェックポイント遮断が後続する同時または連続したワクチン接種)を、これが治療応答に影響を与えるかどうかを調査するために試験する。併用療法がどのように腫瘍成長およびマウス生存に影響を与えるかならびにT細胞応答(CD8+T細胞およびTregに注目して)についての分析を、上記に記載されるアプローチを使用して行う。
有害事象の分析.抗腫瘍性の免疫を阻害する経路の多くはまた、T細胞寛容にとって重要であり、自己免疫を予防している。CTLA−4(ipilumimab)などのようないくつかの経路の遮断は、重篤な自己免疫反応に至る。したがって、それぞれのワクチンアプローチの安全性を判断することは重要である。これらの理由で、処置されたマウスは、自己免疫および免疫病理の証拠について評価する。消化管、肝臓、および肺などのような非腫瘍組織もまた、炎症浸潤物(たとえば大腸炎)の証拠について分析する。高用量TLRリガンドの全身性の適用は、DC成熟を誘発し得るだけではなく、高レベルの血清サイトカイン(IL−6、IL−8、1型インターフェロン)をも誘発し得、これは毒性のショックのような効果に至り得る。そのため、これらのサイトカインの血清レベルもまた、評価する。
B16メラノーマおよびHer2/neu乳がんなどのようないくつかの腫瘍が、免疫原性の弱い腫瘍であるので、ナノカプセルワクチンのみでは、いくつかの事例において、強い抗腫瘍応答を誘起しない場合がある。しかしながら、TLRアゴニスト(CpG−ON、MPLA、およびポリI:C)と組み合わせたGM−CSFを有する抗原添加マトリックスは、B16メラノーマモデルにおいて著しい保護に至った。いくつかの実施形態では、最も効力のある抗腫瘍性の免疫(腫瘍成長の遅延および/または腫瘍内T細胞応答の増強)を促すナノカプセルが、相乗効果研究のためにチェックポイント遮断と組み合わせられる。
材料および方法
DNAナノ構造体のフォールディング
一本鎖スキャフォールドDNAを、社内で標準的なプラスミド発現プロトコールを使用して調製した。ステープルDNA鎖は、Integrated DNA Technologyからのものとした。構造体を組み立てるために、非精製DNAステープル鎖を、6〜18mM MgCl2を補足した0.5×TEバッファー(5mM Tris、pH7.9、1mM EDTA)中10nMの濃度でスキャフォールドと10倍の過剰量で混合した。
アニーリング勾配
次いで、鎖混合物を、15分間にわたる65℃での変性ステップ、次いで、50℃から24℃までの24時間または72時間の直線的な冷却勾配によって、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)サーモサイクラーにおいてアニールした。アニーリングはまた、フォールドされている構造体に対して特異的な所与の温度で等温で行うこともできる。
アガロースゲル分析:次いで、アニールしたサンプルを、氷水浴槽において2時間70ボルトで2%未変性アガロースゲル電気泳動法(11mM MgCl2を補足した0.5×TBEバッファーおよび0.005%(v/v)エチジウムブロマイド(EtBr)中で調製したゲル)にかけた。次いで、標的ゲルバンドを切除し、Freeze ’N Squeeze column(Bio-Rad Laboratories,Inc.)の中に置いた。ゲル片を、カラム中でマイクロチューブ乳棒によって砕いて、小さな片にし、次いで、カラムを5分間7000gで遠心分離した。カラムによって抽出したサンプルを、TEMまたは原子間力顕微鏡(AFM)画像処理のために収集した。
画像処理
画像処理のために、3.5μLのアガロースゲル精製または非精製サンプルを、グロー放電カーボンコートTEMグリッド上に1分間吸着させた。次いで、グリッドは、25mM NaOHを含有する2%水性ギ酸ウラニル溶液を使用して20秒間染色した。画像処理は、80kVで作動させたJEOL JEM−1400顕微鏡を使用して実行した。
ポリリシンポリマーとのインキュベーション
ポリリシンペプチドは、Peptide 2.0からのものとした。それらを、0.5×TEバッファー(5mM Tris、pH7.9、10mM Mgを含有する1mM EDTA)において可溶化し、様々な濃度で等分し、−20℃で保存した。0.5×TEバッファー(5mM Tris、pH7.9、1mM EDTA、10mM Mg)中2nM濃度の100μLの精製DNAナノ構造体を、1時間、xnM量のポリリシン(xは、使用されるポリリシンの長さに依存する)とインキュベートした。次いで、サンプルは、Thermo Scientific(Slide-A-Lyzer)から購入したマイクロ透析ユニットに移した。透析ユニットを、1Lの0.5×TEバッファー(5mM Tris、pH7.9、1mM EDTA)中に置き、24時間透析した。透析バッファー中にマグネシウムはなかった。
次いで、透析したサンプルを、氷水浴槽において2時間70ボルトで2%未変性アガロースゲル電気泳動法(0.5×TBEバッファーおよび0.005%(v/v)エチジウムブロマイド(EtBr)中で調製したゲル)にかけた。透析で残存するDNAナノ構造体のみが無マグネシウムゲル上を移動する。
透析したサンプルはまたは、画像処理によっても特徴付けた。画像処理のために、3.5μLの透析サンプルを、グロー放電カーボンコートTEMグリッド上に1分間吸着させた。次いで、グリッドは、25mM NaOHを含有する2%水性ギ酸ウラニル溶液を使用して20秒間染色した。画像処理は、80kVで作動させたJEOL JEM−1400を使用して実行した。
動物モデルの選択.
実施例18における実験は、腫瘍細胞を同系免疫応答性マウスに皮下に移植した3つの移植可能なメラノーマおよび乳がん腫瘍モデルを用いる。移植可能な腫瘍モデルは、癌免疫療法のための有益な洞察を提供し、複雑さのために、検査することができる実験パラメーターの数が制限される遺伝子操作トランスジェニック腫瘍モデルと比較して、使用するのがより容易である。腫瘍細胞ワクチンの臨床開発に(Dranoff,G.Nat Rev Immunol 12,61-66(2012);Quezada,S.A.,et al.J Clin Invest 116,1935-1945(2006))ならびに免疫阻害経路遮断(たとえばCTLA−4およびPD−1に対する抗体)の結果を評価するために(Dranoff,G.Nat Rev Immunol 12,61-66(2012))、広範囲に使用されてきたB16メラノーマ細胞株を使用する。B16メラノーマモデルのトランスレーショナルな実用性は、進行型メラノーマを処置するための抗CTLA−4および抗PD−1抗体の最近のFDAの承認によって例証される。そのうえ、Her2/neu乳癌のトランスジェニックモデル由来の新規なHer2/neu乳癌細胞株(Black,C.M.,et al.Cancer Immunol Res 2,307-319(2014))を使用する。このHer2/neu細胞株は、同系Balb/cマウスへの移植と同時に腫瘍を形成し、TおよびB細胞応答の両方を誘起し、免疫療法に対して応答する。したがって、Her2/neu細胞株は、抗腫瘍液性およびCD8+T細胞応答に対する治療戦略の効果を研究するための価値のあるツールを提供する。4T−1乳癌細胞株もまた、この株がチェックポイント遮断および癌ワクチン接種に対して少なくとも部分的に感受性であるので、最も効力のあるワクチン戦略を試験するために使用する(Kim,K.et al.Proc Natl Acad Sci U SA 111,11774-11779(2014))。
定義
特定の官能基および化学用語の定義を、下記により詳細に記載する。化学元素は、元素周期表、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.、内表紙に従って同定され、特定の官能基は、そこに記載されるように、概して定義される。そのうえ、有機化学の一般的な原理ならびに特定の官能成分および反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry,5thEdition,John Wiley & Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;およびCarruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987において記載される。
本明細書において記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含むことができ、したがって、様々な立体異性形態、たとえば鏡像異性体および/またはジアステレオマーで存在することができる。たとえば、本明細書において記載される化合物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、もしくは幾何異性体の形態をとることができるまたはラセミ混合物および1つ以上の立体異性体が豊富な混合物を含む立体異性体の混合物の形態をとることができる。異性体は、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者らに知られている方法によって混合物から単離することができるまたは好ましい異性体を不斉合成によって調製することができる。たとえばJacques et al.,Enantiomers,Racemates and Resolutions(Wiley Interscience,New York,1981);Wilen et al.,Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.Stereochemistry of Carbon Compounds(McGraw-Hill,NY,1962);およびWilen,S.H.Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions p.268(E.L.Eliel,Ed.,Univ.of Notre Dame Press,Notre Dame,IN 1972)を参照されたい。本発明は、そのうえ、他の異性体が実質的にない個々の異性体としてのおよびその代わりに、様々な異性体の混合物としての化合物を包含する。
特に指定のない限り、本明細書において示される構造体はまた、1つ以上の同位体が豊富な原子の存在においてのみ異なる化合物を含むこともまた意図される。たとえば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置換、19Fの18Fとの置換、または13Cもしくは14Cが豊富な炭素による炭素の置換を除いて、本発明の構造体を有する化合物は、本開示の範囲内にある。そのような化合物は、たとえば、バイオアッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
一連の値が列挙される場合、範囲内のそれぞれの値および部分範囲を包含することが意図される。たとえば、「C1〜6アルキル」は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1〜6、C1〜5、C1〜4、C1〜3、C1〜2、C2〜6、C2〜5、C2〜4、C2〜3、C3〜6、C3〜5、C3〜4、C4〜6、C4〜5、およびC5〜6アルキルを包含することが意図される。
本明細書において使用されるように、「アルキル」は、1〜10の炭素原子を有する直鎖または分岐飽和炭化水素基のラジカルを指す(「C1〜10アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜9の炭素原子を有する(「C1〜9アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜8の炭素原子を有する(「C1〜8アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜7の炭素原子を有する(「C1〜7アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜6の炭素原子を有する(「C1〜6アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜5の炭素原子を有する(「C1〜5アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜4の炭素原子を有する(「C1〜4アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜3の炭素原子を有する(「C1〜3アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1〜2の炭素原子を有する(「C1〜2アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、1つの炭素原子を有する(「C1アルキル」)。いくつかの実施形態では、アルキル基が、2〜6の炭素原子を有する(「C2〜6アルキル」)。C1〜6アルキル基の例は、メチル(C1)、エチル(C2)、n−プロピル(C3)、イソプロピル(C3)、n−ブチル(C4)、tert−ブチル(C4)、sec−ブチル(C4)、イソブチル(C4)、n−ペンチル(C5)、3−ペンタニル(C5)、アミル(C5)、ネオペンチル(C5)、3−メチル−2−ブタニル(C5)、第三級アミル(C5)、およびn−ヘキシル(C6)を含む。アルキル基のさらなる例は、n−ヘプチル(C7)、n−オクチル(C8)、およびその他同種のものを含む。別段の定めがない限り、アルキル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換アルキル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換アルキル」)。ある実施形態では、アルキル基が、非置換C1〜10アルキル(たとえば−CH3)である。ある実施形態では、アルキル基が、置換C1〜10アルキルである。
本明細書において使用されるように、「ハロアルキル」は、1つ以上の水素原子がハロゲン、たとえばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードによって独立して交換される、本明細書において定義される置換アルキル基である。「ペルハロアルキル」は、ハロアルキルのサブセットであり、すべての水素原子がハロゲン、たとえばフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードによって独立して交換されるアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ハロアルキル成分が、1〜8の炭素原子を有する(「C1〜8ハロアルキル」)。いくつかの実施形態では、ハロアルキル成分が、1〜6の炭素原子を有する(「C1〜6ハロアルキル」)。いくつかの実施形態では、ハロアルキル成分が、1〜4の炭素原子を有する(「C1〜4ハロアルキル」)。いくつかの実施形態では、ハロアルキル成分が、1〜3の炭素原子を有する(「C1〜3ハロアルキル」)。いくつかの実施形態では、ハロアルキル成分が、1〜2の炭素原子を有する(「C1〜2ハロアルキル」)。いくつかの実施形態では、すべてのハロアルキル水素原子が、ペルフルオロアルキル基をもたらすためにフルオロと交換される。いくつかの実施形態では、すべてのハロアルキル水素原子が、「ペルクロロアルキル」基をもたらすためにクロロと交換される。ハロアルキル基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CCl3、−CFCl2、−CF2Cl、およびその他同種のものを含む。
本明細書において使用されるように、「ヘテロアルキル」は、親鎖内に(つまり、隣接した炭素原子の間に挿入された)および/または親鎖の1つ以上の末端の位置に置かれた、酸素、窒素、または硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(たとえば1、2、3、または4つのヘテロ原子)をさらに含む、本明細書において定義されるアルキル基を指す。ある実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜10の炭素原子および1つ以上のヘテロ原子を有する飽和基を指す(「ヘテロC1〜10アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜9の炭素原子および1つ以上のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜9アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜8の炭素原子および1つ以上のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜8アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜7の炭素原子および1つ以上のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜7アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜6の炭素原子および1つ以上のヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜6アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜5の炭素原子および1または2つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜5アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜4の炭素原子および1または2つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜4アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜3の炭素原子および1つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜3アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、1〜2の炭素原子および1つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1〜2アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、1つの炭素原子および1つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC1アルキル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル基が、親鎖内に、2〜6の炭素原子および1または2つのヘテロ原子を有する飽和基である(「ヘテロC2〜6アルキル」)。別段の定めがない限り、ヘテロアルキル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換ヘテロアルキル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換ヘテロアルキル」)。ある実施形態では、ヘテロアルキル基が、非置換ヘテロC1〜10アルキルである。ある実施形態では、ヘテロアルキル基が、置換ヘテロC1〜10アルキルである。
本明細書において使用されるように、「アルケニル」は、2〜10の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素二重結合(たとえば1、2、3、または4つの二重結合)を有する直鎖または分岐炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2〜9の炭素原子を有する(「C2〜9アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2〜8の炭素原子を有する(「C2〜8アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2〜7の炭素原子を有する(「C2〜7アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2〜6の炭素原子を有する(「C2〜6アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2〜5の炭素原子を有する(「C2〜5アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2〜4の炭素原子を有する(「C2〜4アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2〜3の炭素原子を有する(「C2〜3アルケニル」)。いくつかの実施形態では、アルケニル基が、2つの炭素原子(「C2アルケニル」)を有する。1つ以上の炭素−炭素二重結合は、内側にあってもよい(2−ブテニルにおいてなどのように)または末端にあってもよい(1−ブテニルにおいてなどのように)。C2〜4アルケニル基の例は、エテニル(C2)、1−プロペニル(C3)、2−プロペニル(C3)、1−ブテニル(C4)、2−ブテニル(C4)、ブタジエニル(C4)、およびその他同種のものを含む。C2〜6アルケニル基の例は、前述のC2〜4アルケニル基ならびにペンテニル(C5)、ペンタジエニル(C5)、ヘキセニル(C6)、およびその他同種のものを含む。アルケニルのさらなる例は、ヘプテニル(C7)、オクテニル(C8)、オクタトリエニル(C8)、およびその他同種のものを含む。別段の定めがない限り、アルケニル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換アルケニル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換アルケニル」)。ある実施形態では、アルケニル基が、非置換C2〜10アルケニルである。ある実施形態では、アルケニル基が、置換C2〜10アルケニルである。
本明細書において使用されるように、「ヘテロアルケニル」は、親鎖内に(つまり、隣接した炭素原子の間に挿入された)および/または親鎖の1つ以上の末端の位置に置かれた、酸素、窒素、または硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(たとえば1、2、3、または4つのヘテロ原子)をさらに含む、本明細書において定義されるアルケニル基を指す。ある実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜10の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC2〜10アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜9の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜9アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜8の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜8アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜7の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜7アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜6の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜5の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1または2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜5アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜4の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1または2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜4アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜3の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜3アルケニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル基が、親鎖内に、2〜6の炭素原子、少なくとも1つの二重結合、および1または2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルケニル」)。別段の定めがない限り、ヘテロアルケニル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換ヘテロアルケニル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換ヘテロアルケニル」)。ある実施形態では、ヘテロアルケニル基が、非置換ヘテロC2〜10アルケニルである。ある実施形態では、ヘテロアルケニル基が、置換ヘテロC2〜10アルケニルである。
本明細書において使用されるように、「アルキニル」は、2〜10の炭素原子および1つ以上の炭素−炭素三重結合(たとえば1、2、3、または4つの三重結合)を有する直鎖または分岐炭化水素基のラジカルを指す(「C2〜10アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2〜9の炭素原子を有する(「C2〜9アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2〜8の炭素原子を有する(「C2〜8アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2〜7の炭素原子を有する(「C2〜7アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2〜6の炭素原子を有する(「C2〜6アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2〜5の炭素原子を有する(「C2〜5アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2〜4の炭素原子を有する(「C2〜4アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2〜3の炭素原子を有する(「C2〜3アルキニル」)。いくつかの実施形態では、アルキニル基が、2つの炭素原子を有する(「C2アルキニル」)。1つ以上の炭素−炭素三重結合は、内側にあってもよい(2−ブチニルにおいてなどのように)または末端にあってもよい(1−ブチニルにおいてなどのように)。C2〜4アルキニル基の例は、限定を伴うことなく、エチニル(C2)、1−プロピニル(C3)、2−プロピニル(C3)、1−ブチニル(C4)、2−ブチニル(C4)、およびその他同種のものを含む。C2〜6アルケニル基の例は、前述のC2〜4アルキニル基ならびにペンチニル(C5)、ヘキシニル(C6)、およびその他同種のものを含む。アルキニルのさらなる例は、ヘプチニル(C7)、オクチニル(C8)、およびその他同種のものを含む。別段の定めがない限り、アルキニル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換アルキニル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換アルキニル」)。ある実施形態では、アルキニル基が、非置換C2〜10アルキニルである。ある実施形態では、アルキニル基が、置換C2〜10アルキニルである。
本明細書において使用されるように、「ヘテロアルキニル」は、親鎖内に(つまり、隣接した炭素原子の間に挿入された)および/または親鎖の1つ以上の末端の位置に置かれた、酸素、窒素、または硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子(たとえば1、2、3、または4つのヘテロ原子)をさらに含む、本明細書において定義されるアルキニル基を指す。ある実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜10の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する基を指す(「ヘテロC2〜10アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜9の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜9アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜8の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜8アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜7の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜7アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜6の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1つ以上のヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜5の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1または2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜5アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜4の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1または2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜4アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜3の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜3アルキニル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル基が、親鎖内に、2〜6の炭素原子、少なくとも1つの三重結合、および1または2つのヘテロ原子を有する(「ヘテロC2〜6アルキニル」)。別段の定めがない限り、ヘテロアルキニル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換ヘテロアルキニル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換ヘテロアルキニル」)。ある実施形態では、ヘテロアルキニル基が、非置換ヘテロC2〜10アルキニルである。ある実施形態では、ヘテロアルキニル基が、置換ヘテロC2〜10アルキニルである。
本明細書において使用されるように、「カルボシクリル」または「炭素環式」は、非芳香族環系中に3〜10の環炭素原子(「C3〜10カルボシクリル」)および0のヘテロ原子を有する非芳香族環式炭化水素基のラジカルを指す。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基が、3〜8の環炭素原子を有する(「C3〜8カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基が、3〜7の環炭素原子を有する(「C3〜7カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基が、3〜6の環炭素原子を有する(「C3〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基が、4〜6の環炭素原子を有する(「C4〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基が、5〜6の環炭素原子を有する(「C5〜6カルボシクリル」)。いくつかの実施形態では、カルボシクリル基が、5〜10の環炭素原子を有する(「C5〜10カルボシクリル」)。例示的なC3〜10カルボシクリル基は、限定を伴うことなく、シクロプロピル(C3)、シクロプロペニル(C3)、シクロブチル(C4)、シクロブテニル(C4)、シクロペンチル(C5)、シクロペンテニル(C5)、シクロヘキシル(C6)、シクロヘキセニル(C6)、シクロヘキサジエニル(C6)、およびその他同種のものを含む。例示的なC3〜8カルボシクリル基は、限定を伴うことなく、前述のC3〜6カルボシクリル基ならびにシクロヘプチル(C7)、シクロヘプテニル(C7)、シクロヘプタジエニル(C7)、シクロヘプタトリエニル(C7)、シクロオクチル(C8)、シクロオクテニル(C8)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C7)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C8)、およびその他同種のものを含む。例示的なC3〜10カルボシクリル基は、限定を伴うことなく、前述のC3〜8カルボシクリル基ならびにシクロノニル(C9)、シクロノネニル(C9)、シクロデシル(C10)、シクロデケニル(C10)、オクタヒドロ−1H−インデニル(C9)、デカヒドロナフタレニル(C10)、スピロ[4.5]デカニル(C10)、およびその他同種のものを含む。前述の実施例が例証するように、ある実施形態では、カルボシクリル基が、単環式(「単環式カルボシクリル」)または多環式(たとえば、二環式系(「二環式カルボシクリル」)もしくは三環式系(「三環式カルボシクリル」)などのような融合、架橋、もしくはスピロ環系を含有する)であり、飽和することができるまたは1つ以上の炭素−炭素二重もしくは三重結合を含有することができる。「カルボシクリル」はまた、上記に定義されるカルボシクリル環が1つ以上のアリールまたはヘテロアリール基と融合された環系をも含み、付加の場所が、カルボシクリル環上にあり、そのような事例では、炭素の数は、炭素環式環系中の炭素の数をそのまま示す。別段の定めがない限り、カルボシクリル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換カルボシクリル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換カルボシクリル」)。ある実施形態では、カルボシクリル基が、非置換C3〜10カルボシクリルである。ある実施形態では、カルボシクリル基が、置換C3〜10カルボシクリルである。
いくつかの実施形態では、「カルボシクリル」が、3〜10の環炭素原子を有する単環式飽和カルボシクリル基である(「C3〜10シクロアルキル」)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基が、3〜8の環炭素原子を有する(「C3〜8シクロアルキル」)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基が、3〜6の環炭素原子を有する(「C3〜6シクロアルキル」)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基が、4〜6の環炭素原子を有する(「C4〜6シクロアルキル」)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基が、5〜6の環炭素原子を有する(「C5〜6シクロアルキル」)。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基が、5〜10の環炭素原子を有する(「C5〜10シクロアルキル」)。C5〜6シクロアルキル基の例は、シクロペンチル(C5)およびシクロヘキシル(C5)を含む。C3〜6シクロアルキル基の例は、前述のC5〜6シクロアルキル基ならびにシクロプロピル(C3)およびシクロブチル(C4)を含む。C3〜8シクロアルキル基の例は、前述のC3〜6シクロアルキル基ならびにシクロヘプチル(C7)およびシクロオクチル(C8)を含む。別段の定めがない限り、シクロアルキル基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換シクロアルキル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換シクロアルキル」)。ある実施形態では、シクロアルキル基が、非置換C3〜10シクロアルキルである。ある実施形態では、シクロアルキル基が、置換C3〜10シクロアルキルである。
本明細書において使用されるように、「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する3〜14員非芳香族環系のラジカルを指し、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「3〜14員ヘテロシクリル」)。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロシクリル基では、付加の場所は、結合価が可能にするように、炭素または窒素原子とすることができる。ヘテロシクリル基は、単環式(「単環式ヘテロシクリル」)または多環式(たとえば、二環式系(「二環式ヘテロシクリル」)もしくは三環式系(「三環式ヘテロシクリル」)などのような融合、架橋、もしくはスピロ環系)であり、飽和することができるまたは1つ以上の炭素−炭素二重もしくは三重結合を含有することができる。ヘテロシクリルの多環式環系は、一方または両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含むことができる。「ヘテロシクリル」はまた、上記に定義されるヘテロシクリル環が1つ以上のカルボシクリル基と融合された環系をも含み、付加の場所が、カルボシクリルまたはヘテロシクリル環または環系上にあり、上記に定義されるヘテロシクリル環が、1つ以上のアリールまたはヘテロアリール基と融合され、付加の場所が、ヘテロシクリル環上にあり、そのような事例では、環員原子(ring member)の数は、ヘテロシクリル環系中の環員原子の数をそのまま示す。別段の定めがない限り、ヘテロシクリルのそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換ヘテロシクリル」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換ヘテロシクリル」)。ある実施形態では、ヘテロシクリル基が、非置換3〜14員ヘテロシクリルである。ある実施形態では、ヘテロシクリル基が、置換3〜14員ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基が、環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する5〜10員非芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「5〜10員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基が、環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する5〜8員非芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「5〜8員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基が、環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する5〜6員非芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「5〜6員ヘテロシクリル」)。いくつかの実施形態では、5〜6員ヘテロシクリルが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5〜6員ヘテロシクリルが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜2の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5〜6員ヘテロシクリルが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1つの環ヘテロ原子を有する。
1つのヘテロ原子を含有する例示的な3員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、アジルジニル(azirdinyl)、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)を含む。1つのヘテロ原子を含有する例示的な4員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニル(thietanyl)を含む。1つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロリル−2,5−ジオンを含む。2つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、ジオキソラニル、オキサチオラニル、およびジチオラニル(dithiolanyl)を含む。3つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、トリアゾリニル(triazolinyl)、オキサジアゾリニル(oxadiazolinyl)、およびチアジアゾリニル(thiadiazolinyl)を含む。1つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニルを含む。2つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル(dithianyl)、ジオキサニルを含む。2つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、トリアジナニル(triazinanyl)を含む。1つのヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、アゼパニル、オキセパニル、およびチエパニル(thiepanyl)を含む。1つのヘテロ原子を含有する例示的な8員ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、アゾカニル(azocanyl)、オキセカニル(oxecanyl)、およびチオカニル(thiocanyl)を含む。例示的な二環式ヘテロシクリル基は、限定を伴うことなく、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル(dihydrobenzothienyl)、テトラヒドロベンゾチエニル(tetrahydrobenzothienyl)、テトラヒドロベンゾフラニル、テトラヒドロインドリル(tetrahydroindolyl)、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、デカヒドロイソキノリニル、オクタヒドロクロメニル(octahydrochromenyl)、オクタヒドロイソクロメニル(octahydroisochromenyl)、デカヒドロナフチリジニル(decahydronaphthyridinyl)、デカヒドロ−1,8−ナフチリジニル(naphthyridinyl)、オクタヒドロピロロ[3,2−b]ピロール、インドリニル、フタルイミジル、ナフタルイミジル、クロマニル、クロメニル、1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピニル、1,4,5,7−テトラヒドロピラノ[3,4−b]ピロリル、5,6−ジヒドロ−4H−フロ[3,2−b]ピロリル、6,7−ジヒドロ−5H−フロ[3,2−b]ピラニル、5,7−ジヒドロ−4H−チエノ[2,3−c]ピラニル、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、2,3−ジヒドロフロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロフロ[3,2−c]ピリジニル、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−b]ピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジニル、およびその他同種のものを含む。
本明細書において使用されるように、「アリール」は、芳香族環系中に提供される6〜14の環炭素原子および0のヘテロ原子を有する単環式または多環式(たとえば二環式もしくは三環式)4n+2芳香族環系(たとえば、環状の配列中で共有される6、10、または14のπ電子を有する)のラジカルを指す(「C6〜14アリール」)。いくつかの実施形態では、アリール基が、6つの環炭素原子を有する(「C6アリール」;たとえばフェニル)。いくつかの実施形態では、アリール基が、10の環炭素原子を有する(「C10アリール」;たとえば、1−ナフチルおよび2−ナフチルなどのようなナフチル)。いくつかの実施形態では、アリール基が、14の環炭素原子を有する(「C14アリール」;たとえばアントラシル)。「アリール」はまた、上記に定義されるアリール環が1つ以上のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基と融合された環系をも含み、ラジカルまたは付加の場所が、アリール環上にあり、そのような事例では、炭素原子の数は、アリール環系中の炭素原子の数をそのまま示す。別段の定めがない限り、アリール基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換アリール」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換アリール」)。ある実施形態では、アリール基が、非置換C6〜14アリールである。ある実施形態では、アリール基が、置換C6〜14アリールである。
「アラルキル」は、「アルキル」のサブセットであり、本明細書において定義されるアリール基によって置換された、本明細書において定義されるアルキル基を指し、付加の場所が、アルキル成分上にある。
本明細書において使用されるように、「ヘテロアリール」は、芳香族環系中に提供される環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する5〜14員単環式または多環式(たとえば二環式もしくは三環式)4n+2芳香族環系(たとえば、環状の配列中で共有される6、10、または14のπ電子を有する)のラジカルを指し、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「5〜14員ヘテロアリール」)。1つ以上の窒素原子を含有するヘテロアリール基では、付加の場所は、結合価が可能にするように、炭素または窒素原子とすることができる。ヘテロアリールの多環式環系は、一方または両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含むことができる。「ヘテロアリール」はまた、上記に定義されるヘテロアリール環が1つ以上のカルボシクリルまたはヘテロシクリル基と融合された環系をも含み、付加の場所が、ヘテロアリール環上にあり、そのような事例では、環員原子の数は、ヘテロアリール環系中の環員原子の数をそのまま示す。「ヘテロアリール」はまた、上記に定義されるヘテロアリール環が1つ以上のアリール基と融合された環系をも含み、付加の場所が、アリールまたはヘテロアリール環上にあり、そのような事例では、環員原子の数は、融合多環式(アリール/ヘテロアリール)環系中の環員原子の数をそのまま示す。一方の環がヘテロ原子を含有しない多環式ヘテロアリール基(たとえばインドリル、キノリニル、カルバゾリル、およびその他同種のもの)は、付加の場所が、一方の環上とすることができる、つまり、ヘテロ原子を持つ環(たとえば2−インドリル)またはヘテロ原子を含有しない環(たとえば5−インドリル)にある。
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基が、芳香族環系中に提供される環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する5〜10員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「5〜10員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基が、芳香族環系中に提供される環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する5〜8員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「5〜8員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基が、芳香族環系中に提供される環炭素原子および1〜4の環ヘテロ原子を有する5〜6員芳香族環系であり、それぞれのヘテロ原子が、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される(「5〜6員ヘテロアリール」)。いくつかの実施形態では、5〜6員ヘテロアリールが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜3の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5〜6員ヘテロアリールが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜2の環ヘテロ原子を有する。いくつかの実施形態では、5〜6員ヘテロアリールが、窒素、酸素、および硫黄から選択される1つの環ヘテロ原子を有する。別段の定めがない限り、ヘテロアリール基のそれぞれの事例は、独立して、非置換(「非置換ヘテロアリール」)であるまたは1つ以上の置換基により置換される(「置換ヘテロアリール」)。ある実施形態では、ヘテロアリール基が、非置換5〜14員ヘテロアリールである。ある実施形態では、ヘテロアリール基が、置換5〜14員ヘテロアリールである。
1つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、ピロリル、フラニル、およびチオフェニルを含む。2つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルを含む。3つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルを含む。4つのヘテロ原子を含有する例示的な5員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、テトラゾリルを含む。1つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、ピリジニルを含む。2つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルを含む。3または4つのヘテロ原子を含有する例示的な6員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、それぞれ、トリアジニルおよびテトラジニル(tetrazinyl)を含む。1つのヘテロ原子を含有する例示的な7員ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルを含む。例示的な5,6−二環式ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル(benzisoxazolyl)、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル(benzthiazolyl)、ベンゾイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル(benzthiadiazolyl)、インドリジニル、およびプリニルを含む。例示的な6,6−二環式ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルを含む。例示的な三環式ヘテロアリール基は、限定を伴うことなく、フェナントリジニル(phenanthridinyl)、ジベンゾフラニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、およびフェナジニルを含む。
「ヘテロアラルキル」は、「アルキル」のサブセットであり、本明細書において定義されるヘテロアリール基によって置換された、本明細書において定義されるアルキル基を指し、付加の場所が、アルキル成分上にある。
本明細書において使用されるように、用語「部分的に不飽和の」は、少なくとも1つの二重または三重結合を含む環成分を指す。用語「部分的に不飽和の」は、不飽和の複数の部位を有する環を包含することが意図されるが、本明細書において定義される芳香族基(たとえばアリールまたはヘテロアリール成分)を含むようには意図されない。
本明細書において使用されるように、用語「飽和された」は、二重または三重結合を含有しない環成分を指す、すなわち、環は単結合だけを含有する。
基に接尾語「−エン」を付けることは、基が二価の成分であることを示す、たとえば、アルキレンは、アルキルの二価の成分であり、アルケニレンは、アルケニルの二価の成分であり、アルキニレンは、アルキニルの二価の成分であり、ヘテロアルキレンは、ヘテロアルキルの二価の成分であり、ヘテロアルケニレンは、ヘテロアルケニルの二価の成分であり、ヘテロアルキニレンは、ヘテロアルキニルの二価の成分であり、カルボシクリレンは、カルボシクリルの二価の成分であり、ヘテロシクリレンは、ヘテロシクリルの二価の成分であり、アリーレンは、アリールの二価の成分であり、ヘテロアリーレンは、ヘテロアリールの二価の成分である。
上記から理解されるように、本明細書において定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリール基は、ある実施形態では、任意選択で置換される。任意選択で置換されるは、置換されても、非置換であってもよい基を指す(たとえば「置換」もしくは「非置換」アルキル、「置換」もしくは「非置換」アルケニル、「置換」もしくは「非置換」アルキニル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロアルキル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロアルケニル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロアルキニル、「置換」もしくは「非置換」カルボシクリル、「置換」もしくは「非置換」ヘテロシクリル、「置換」もしくは「非置換」アリール、または「置換」もしくは「非置換」ヘテロアリール基)。一般に、用語「置換された」は、基に存在する少なくとも1つの水素が許容される置換基、たとえば、置換に際して安定性の化合物、たとえば、転位、環化、脱離、または他の反応によってなどのような変化を自発的に受けない化合物をもたらす置換基と交換されることを意味する。別段の指示がない限り、「置換された」基は、基の1つ以上の置換可能な(substitutable)位置に置換基を有し、任意の所与の構造体における1つを超える位置が置換される場合、置換基は、それぞれの位置で同じものであるまたは異なるものである。本発明は、安定性の化合物を得るために、任意のおよびすべてのそのような組み合わせを企図する。本発明の目的のために、窒素などのようなヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の結合価に適合し、安定性の成分の形成をもたらす本明細書において記載される任意の適した置換基を有していてもよい。
例示的な炭素原子置換基は、ハロゲン、−CN、−NO2、−N3、−SO2H、−SO3H、−OH、−ORaa、−ON(Rbb)2、−N(Rbb)2、−N(Rbb)3 +X−、−N(ORcc)Rbb、−SH、−SRaa、−SSRCC、−C(=O)Raa、−CO2H、−CHO、−C(ORcc)2、−CO2Raa、−OC(=O)Raa、−OCO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−OC(=O)N(Rbb)2、−NRbbC(=O)Raa、−NRbbCO2Raa、−NRbbC(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−OC(=NRbb)Raa、−OC(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−OC(=NRbb)N(Rbb)2、−NRbbC(=NRbb)N(Rbb)2、−C(=O)NRbbSO2Raa、−NRbbSO2Raa、−SO2N(Rbb)2、−SO2Raa、−SO2ORaa、−OSO2Raa、−S(=O)Raa、−OS(=O)Raa、−Si(Raa)3、−OSi(Raa)3−C(=S)N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、−C(=S)SRaa、−SC(=S)SRaa、−SC(=O)SRaa、−OC(=O)SRaa、−SC(=O)ORaa、−SC(=O)Raa、−P(=O)2Raa、−OP(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−OP(=O)(Raa)2、−OP(=O)(ORcc)2、−P(=O)2N(Rbb)2、−OP(=O)2N(Rbb)2、−P(=O)(NRbb)2、−OP(=O)(NRbb)2、−NRbbP(=O)(ORcc)2、−NRbbP(=O)(NRbb)2、−P(Rcc)2、−P(Rcc)3、−OP(Rcc)2、−OP(Rcc)3、−B(Raa)2、−B(ORcc)2、−BRaa(ORcc)、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを含むが、これらに限定されず、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、もしくは5つのRdd基により独立して置換され
または炭素原子上の2つのジェミナルな水素が、基=O、=S、=NN(Rbb)2、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)2Raa、=NRbb、もしくは=NORccと交換され、
Raaのそれぞれの事例が、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから独立して選択されまたは2つのRaa基が、つながれて、3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、または5つのRdd基により独立して置換され、
Rbbのそれぞれの事例が、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc)2、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc)2、−CO2Raa、−SO2Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc)2、−SO2N(Rcc)2、−SO2Rcc、−SO2ORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc)2、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)2N(Rcc)2、−P(=O)(NRcc)2、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから独立して選択されまたは2つのRbb基が、つながれて、3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、または5つのRdd基により独立して置換され、
Rccのそれぞれの事例が、水素、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールから独立して選択されまたは2つのRcc基が、つながれて、3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、または5つのRdd基により独立して置換され、
Rddのそれぞれの事例が、ハロゲン、−CN、−NO2、−N3、−SO2H、−SO3H、−OH、−ORee、−ON(Rff)2、−N(Rff)2、−N(Rff)3 +X−、−N(ORee)Rff、−SH、−SRee、−SSRee、−C(=O)Ree、−CO2H、−CO2Ree、−OC(=O)Ree、−OCO2Ree、−C(=O)N(Rff)2、−OC(=O)N(Rff)2、−NRffC(=O)Ree、−NRffCO2Ree、−NRffC(=O)N(Rff)2、−C(=NRff)ORee、−OC(=NRff)Ree、−OC(=NRff)ORee、−C(=NRff)N(Rff)2、−OC(=NRff)N(Rff)2、−NRffC(=NRff)N(Rff)2、−NRffSO2Ree、−SO2N(Rff)2、−SO2Ree、−SO2ORee、−OSO2Ree、−S(=O)Ree、−Si(Ree)3、−OSi(Ree)3、−C(=S)N(Rff)2、−C(=O)SRee、−C(=S)SRee、−SC(=S)SRee、−P(=O)2Ree、−P(=O)(Ree)2、−OP(=O)(Ree)2、−OP(=O)(ORee)2、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリールから独立して選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、もしくは5つのRgg基により独立して置換されまたは2つのジェミナルなRdd置換基が、つながれて、=Oもしくは=Sを形成することができ、
Reeのそれぞれの事例は、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、および3〜10員ヘテロアリールから独立して選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、もしくは5つのRgg基により独立して置換され、
Rffのそれぞれの事例が、水素、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜10員ヘテロシクリル、C6〜10アリール、および5〜10員ヘテロアリールから独立して選択されまたは2つのRff基が、つながれて、3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、または5つのRgg基により独立して置換され、
Rggのそれぞれの事例が、独立して、ハロゲン、−CN、−NO2、−N3、−SO2H、−SO3H、−OH、−OC1〜6アルキル、−ON(C1〜6アルキル)2、−N(C1〜6アルキル)2、−N(C1〜6アルキル)3 +X−、−NH(C1〜6アルキル)2 +X−、−NH2(C1〜6アルキル)+X−、−NH3 +X−、−N(OC1〜6アルキル)(C1〜6アルキル)、−N(OH)(C1〜6アルキル)、−NH(OH)、−SH、−SC1〜6アルキル、−SS(C1〜6アルキル)、−C(=O)(C1〜6アルキル)、−CO2H、−CO2(C1〜6アルキル)、−OC(=O)(C1〜6アルキル)、−OCO2(C1〜6アルキル)、−C(=O)NH2、−C(=O)N(C1〜6アルキル)2、−OC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)(C1〜6アルキル)、−N(C1〜6アルキル)C(=O)(C1〜6アルキル)、−NHCO2(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)N(C1〜6アルキル)2、−NHC(=O)NH(C1〜6アルキル)、−NHC(=O)NH2、−C(=NH)O(C1〜6アルキル)、−OC(=NH)(C1〜6アルキル)、−OC(=NH)OC1〜6アルキル、−C(=NH)N(C1〜6アルキル)2、−C(=NH)NH(C1〜6アルキル)、−C(=NH)NH2、−OC(=NH)N(C1〜6アルキル)2、−OC(NH)NH(C1〜6アルキル)、−OC(NH)NH2、−NHC(NH)N(C1〜6アルキル)2、−NHC(=NH)NH2、−NHSO2(C1〜6アルキル)、−SO2N(C1〜6アルキル)2、−SO2NH(C1〜6アルキル)、−SO2NH2、−SO2C1〜6アルキル、−SO2OC1〜6アルキル、−OSO2C1〜6アルキル、−SOC1〜6アルキル、−Si(C1〜6アルキル)3、−OSi(C1〜6アルキル)3−C(=S)N(C1〜6アルキル)2、C(=S)NH(C1〜6アルキル)、C(=S)NH2、−C(=O)S(C1〜6アルキル)、−C(=S)SC1〜6アルキル、−SC(=S)SC1〜6アルキル、−P(=O)2(C1〜6アルキル)、−P(=O)(C1〜6アルキル)2、−OP(=O)(C1〜6アルキル)2、−OP(=O)(OC1〜6アルキル)2、C1〜6アルキル、C1〜6ペルハロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、ヘテロC1〜6アルキル、ヘテロC2〜6アルケニル、ヘテロC2〜6アルキニル、C3〜10カルボシクリル、C6〜10アリール、3〜10員ヘテロシクリル、5〜10員ヘテロアリールでありまたは2つのジェミナルなRgg置換基が、つながれて、=Oもしくは=Sを形成することができ、X−が、対イオンである。
本明細書において使用されるように、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素(フルオロ、−F)、塩素(クロロ、−Cl)、臭素(ブロモ、−Br)、またはヨウ素(ヨード、−I)を指す。
本明細書において使用されるように、「対イオン」は、電子的な中性を維持するために正に荷電している第四級アミンに関連する負に荷電している基である。例示的な対イオンは、ハロゲン化物イオン(たとえばF−、Cl−、Br−、I−)、NO3 −、ClO4 −、OH−、H2PO4 −、HSO4 −、スルホン酸イオン(たとえばメタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、p−トルエンスルホナート、ベンゼンスルホナート、10−カンファスルホナート、ナフタリン−2−スルホナート、ナフタリン−1−スルホン酸−5−スルホナート、エタン−1−スルホン酸−2−スルホナート、およびその他同種のもの)、ならびにカルボン酸イオン(たとえばアセタート、エタノアート、プロパノアート、ベンゾアート、グリセラート、ラクテート、タルトラート、グリコレート、およびその他同種のもの)を含む。
窒素原子は、結合価が可能にするように、置換されてもよくまたは非置換であってもよく、第一級、第二級、第三級、および第四級窒素原子を含む。例示的な窒素原子置換基は、水素、−OH、−ORaa、−N(Rcc)2、−CN、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc)2、−CO2Raa、−SO2Raa、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc)2、−SO2N(Rcc)2、−SO2Rcc、−SO2ORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc)2、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)2N(Rcc)2、−P(=O)(NRcc)2、C1〜10アルキル、C1〜10ペルハロアルキル、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリールを含むが、これらに限定されず、またはN原子に付加された2つのRcc基が、つながれて、3〜14員ヘテロシクリルもしくは5〜14員ヘテロアリール環を形成し、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、または5つのRdd基により独立して置換され、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは、上記に定義されるとおりである。
ある実施形態では、窒素原子に存在する置換基が、窒素保護基である(「アミノ保護基」とも本明細書において呼ばれる)。窒素保護基は、−OH、−ORaa、−N(Rcc)2、−C(=O)Raa、−C(=O)N(Rcc)2、−CO2Raa、−SO2Raa、−C(=NRcc)Raa、−C(=NRcc)ORaa、−C(=NRcc)N(Rcc)2、−SO2N(Rcc)2、−SO2Rcc、−SO2ORcc、−SORaa、−C(=S)N(Rcc)2、−C(=O)SRcc、−C(=S)SRcc、C1〜10アルキル(たとえばアラルキル、ヘテロアラルキル)、C2〜10アルケニル、C2〜10アルキニル、ヘテロC1〜10アルキル、ヘテロC2〜10アルケニル、ヘテロC2〜10アルキニル、C3〜10カルボシクリル、3〜14員ヘテロシクリル、C6〜14アリール、および5〜14員ヘテロアリール基を含むが、これらに限定されず、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アラルキル、アリール、およびヘテロアリールが、0、1、2、3、4、または5つのRdd基により独立して置換され、Raa、Rbb、Rcc、およびRddは、本明細書において定義されるとおりである。窒素保護基は、当技術分野においてよく知られており、参照によって本明細書に援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rdedition,John Wiley & Sons,1999において詳細に記載されるものを含む。
たとえば、アミド基(たとえば−C(=O)Raa)などのような窒素保護基は、ホルムアミド、アセトアミド、クロロアセトアミド、トリクロロアセトアミド、トリフルオロアセトアミド、フェニルアセトアミド、3−フェニルプロパンアミド、ピコリンアミド、3−ピリジルカルボキサミド、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、ベンズアミド、p−フェニルベンズアミド、o−ニトロフェニルアセトアミド(nitophenylacetamide)、o−ニトロフェノキシアセトアミド、アセトアセトアミド、(N’−ジチオベンジルオキシアシルアミノ(dithiobenzyloxyacylamino))アセトアミド、3−(p−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド、3−(o−ニトロフェニル)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−ニトロフェノキシ)プロパンアミド、2−メチル−2−(o−フェニルアゾフェノキシ)プロパンアミド、4−クロロブタンアミド、3−メチル−3−ニトロブタンアミド、o−ニトロシンナミド(nitrocinnamide)、N−アセチルメチオニン誘導体、o−ニトロベンズアミド、およびo−(ベンゾイルオキシメチル)ベンズアミドを含むが、これらに限定されない。
カルバメート基(たとえば−C(=O)ORaa)などのような窒素保護基は、カルバミン酸メチル、カルバミン酸エチル、9−フルオレニルメチルカルバメート(Fmoc)、9−(2−スルホ)フルオレニルメチルカルバメート、9−(2,7−ジブロモ)フルオロエニルメチルカルバメート、2,7−ジ−t−ブチル−[9−(10,10−ジオキソ−10,10,10,10−テトラヒドロチオキサンチル(tetrahydrothioxanthyl))]カルバミン酸メチル(DBD−Tmoc)、4−メトキシフェナシルカルバメート(Phenoc)、2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(Troc)、2−トリメチルシリルエチルカルバメート(Teoc)、2−フェニルエチルカルバメート(hZ)、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルカルバメート(Adpoc)、1,1−ジメチル−2−ハロエチルカルバメート、1,1−ジメチル−2,2−ジブロモエチルカルバメート(DB−t−BOC)、1,1−ジメチル−2,2,2−トリクロロエチルカルバメート(TCBOC)、1−メチル−1−(4−ビフェニリル)カルバミン酸エチル(Bpoc)、1−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−1−メチルエチルカルバメート(t−Bumeoc)、2−(2’−および4’−ピリジル)カルバミン酸エチル(Pyoc)、2−(N,N−ジシクロヘキシルカルボキサミド(dicyclohexylcarboxamido))カルバミン酸エチル、t−ブチルカルバメート(BOC)、1−アダマンチルカルバメート(Adoc)、ビニルカルバメート(Voc)、アリルカルバメート(Alloc)、1−イソプロピルアリルカルバメート(Ipaoc)、シナミルカルバメート(Coc)、4−ニトロシナミルカルバメート(Noc)、8−キノリルカルバメート、N−ヒドロキシピペリジニル(hydroxypiperidinyl)カルバメート、アルキルジチオカルバメート、ベンジルカルバメート(Cbz)、p−メトキシベンジルカルバメート(Moz)、p−ニトベンジル(nitobenzyl)カルバメート、p−ブロモベンジルカルバメート、p−クロロベンジルカルバメート、2,4−ジクロロベンジルカルバメート、4−メチルスルフィニルベンジルカルバメート(Msz)、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、2−メチルチオエチルカルバメート、2−メチルスルホニルエチルカルバメート、2−(p−トルエンスルホニル)カルバミン酸エチル、[2−(1,3−ジチアニル)]カルバミン酸メチル(Dmoc)、4−メチルチオフェニルカルバメート(Mtpc)、2,4−ジメチルチオフェニルカルバメート(Bmpc)、2−ホスホニオエチル(phosphonioethyl)カルバメート(Peoc)、2−トリフェニルホスホニオイソプロピル(triphenylphosphonioisopropyl)カルバメート(Ppoc)、1,1−ジメチル−2−シアノエチルカルバメート、m−クロロ−p−アシルオキシベンジル(acyloxybenzyl)カルバメート、p−(ジヒドロキシボリル)ベンジルカルバメート、5−ベンジソキサゾリルメチル(benzisoxazolylmethyl)カルバメート、2−(トリフルオロメチル)−6−クロモニルメチル(chromonylmethyl)カルバメート(Tcroc)、m−ニトロフェニルカルバメート、3,5−ジメトキシベンジルカルバメート、o−ニトロベンジルカルバメート、3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンジルカルバメート、フェニル(o−ニトロフェニル)カルバミン酸メチル、t−アミルカルバメート、S−ベンジルチオカルバメート、p−シアノベンジルカルバメート、シクロブチルカルバメート、シクロヘキシルカルバメート、シクロペンチルカルバメート、シクロプロピルメチルカルバメート、p−デシルオキシベンジルカルバメート、2,2−ジメトキシアシルビニル(dimethoxyacylvinyl)カルバメート、o−(N,N−ジメチルカルボキサミド(dimethylcarboxamido))ベンジルカルバメート、1,1−ジメチル−3−(N,N−ジメチルカルボキサミド)プロピルカルバメート、1,1−ジメチルプロピニルカルバメート、ジ(2−ピリジル)カルバミン酸メチル、2−フラニルメチルカルバメート、2−ヨードエチルカルバメート、イソボルニル(isoborynl)カルバメート、イソブチルカルバメート、イソニコチニルカルバメート、p−(p’−メトキシフェニルアゾ)ベンジルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、1−メチルシクロヘキシルカルバメート、1−メチル−1−シクロプロピルメチルカルバメート、1−メチル−1−(3,5−ジメトキシフェニル)カルバミン酸エチル、1−メチル−1−(p−フェニルアゾフェニル)カルバミン酸エチル、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、l−メチル−1−(4−ピリジル)カルバミン酸エチル、フェニルカルバメート、p−(フェニルアゾ)ベンジルカルバメート、2,4,6−トリ−t−ブチルフェニルカルバメート、4−(トリメチルアンモニウム)ベンジルカルバメート、および2,4,6−トリメチルベンジルカルバメートを含むが、これらに限定されない。
スルホンアミド基(たとえば−S(=O)2Raa)などのような窒素保護基は、p−トルエンスルホンアミド(Ts)、ベンゼンスルホンアミド、2,3,6,−トリメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mtr)、2,4,6−トリメトキシベンゼンスルホンアミド(Mtb)、2,6−ジメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Pme)、2,3,5,6−テトラメチル−4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mte)、4−メトキシベンゼンスルホンアミド(Mbs)、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホンアミド(Mts)、2,6−ジメトキシ−4−メチルベンゼンスルホンアミド(iMds)、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホンアミド(Pmc)、メタンスルホンアミド(Ms)、β−トリメチルシリルエタンスルホンアミド(SES)、9−アントラセンスルホンアミド、4−(4’,8’−ジメトキシナフチルメチル(dimethoxynaphthylmethyl))ベンゼンスルホンアミド(DNMBS)、ベンジルスルホンアミド、トリフルオロメチルスルホンアミド、およびフェナンシルスルホンアミド(phenacylsulfonamide)を含むが、これらに限定されない。
他の窒素保護基は、フェノチアジニル−(10)−アシル誘導体、N’−p−トルエンスルホニルアミノアシル誘導体、N’−フェニルアミノチオアシル誘導体、N−ベンゾイルフェニルアラニル誘導体、N−アセチルメチオニン誘導体、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、N−フタルイミド、N−ジチアスクシンイミド(Dts)、N−2,3−ジフェニルマレイミド、N−2,5−ジメチルピロール、N−1,1,4,4−テトラメチルジシリルアザシクロペンタン付加生成物(STABASE)、5−置換1,3−ジメチル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、5−置換1,3−ジベンジル−1,3,5−トリアザシクロヘキサン−2−オン、1−置換3,5−ジニトロ−4−ピリドン、N−メチルアミン、N−アリルアミン、N−[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチルアミン(SEM)、N−3−アセトキシプロピルアミン、N−(1−イソプロピル−4−ニトロ−2−オキソ−3−ピロリン(pyroolin)−3−イル)アミン、第四級アンモニウム塩、N−ベンジルアミン、N−ジ(4−メトキシフェニル)メチルアミン、N−5−ジベンゾスベリルアミン、N−トリフェニルメチルアミン(Tr)、N−[(4−メトキシフェニル)ジフェニルメチル]アミン(MMTr)、N−9−フェニルフルオレニルアミン(PhF)、N−2,7−ジクロロ−9−フルオレニルメチレンアミン、N−フェロセニルメチルアミノ(Fcm)、N−2−ピコリルアミノN’−オキシド、N−1,1−ジメチルチオメチレンアミン、N−ベンジリデンアミン、N−p−メトキシベンジリデンアミン、N−ジフェニルメチレンアミン、N−[(2−ピリジル)メシチル]メチレンアミン、N−(N’,N’−ジメチルアミノメチレン)アミン、N,N’−イソプロピリデンジアミン、N−p−ニトロベンジリデンアミン、N−サリチリデンアミン、N−5−クロロサリチリデンアミン、N−(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンアミン、N−シクロヘキシリデンアミン、N−(5,5−ジメチル−3−オキソ−1−シクロヘキセニル)アミン、N−ボラン誘導体、N−ジフェニルボリン酸誘導体、N−[フェニル(ペンタアシルクロミウム−またはタングステン)アシル]アミン、N−銅キレート、N−亜鉛キレート、N−ニトロアミン、N−ニトロソアミン、アミンN−オキシド、ジフェニルホスフィンアミド(Dpp)、ジメチルチオホスフィンアミド(Mpt)、ジフェニルチオホスフィンアミド(Ppt)、ジアルキルホスホロアミデート、ジベンジルホスホロアミデート、ジフェニルホスホロアミデート、ベンゼンスルフェンアミド、o−ニトロベンゼンスルフェンアミド(Nps)、2,4−ジニトロベンゼンスルフェンアミド、ペンタクロロベンゼンスルフェンアミド、2−ニトロ−4−メトキシベンゼンスルフェンアミド、トリフェニルメチルスルフェンアミド、および3−ニトロピリジンスルフェンアミド(Npys)を含むが、これらに限定されない。
ある実施形態では、酸素原子に存在する置換基が、酸素保護基である(「ヒドロキシル保護基」とも本明細書において呼ばれる)。酸素保護基は、−Raa、−N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−CO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−S(=O)Raa、−SO2Raa、−Si(Raa)3、−P(Rcc)2、−P(Rcc)3、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)(ORcc)2、−P(=O)2N(Rbb)2、および−P(=O)(NRbb)2を含むが、これらに限定されず、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書において定義されるとおりである。酸素保護基は、当技術分野においてよく知られており、参照によって本明細書に援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rdedition,John Wiley & Sons,1999において詳細に記載されるものを含む。
例示的な酸素保護基は、メチル、メトキシルメチル(MOM)、メチルチオメチル(MTM)、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル(SMOM)、ベンジルオキシメチル(BOM)、p−メトキシベンジルオキシメチル(PMBM)、(4−メトキシフェノキシ)メチル(p−AOM)、グアイアコールメチル(GUM)、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル(POM)、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル(MEM)、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEMOR)、テトラヒドロピラニル(THP)、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル(CTMP)、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イル、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−ピコリル、4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシフェニル)ジフェニルメチル、4,4’,4’’−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4’’−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾール−l−イル)ビス(4’,4’’−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アントリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アントリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル、ベンゾイソチアゾリルS,S−ジオキシド、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、ジメチルイソプロピルシリル(IPDMS)、ジエチルイソプロピルシリル(DEIPS)、ジメチルテキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル(DPMS)、t−ブチルメトキシフェニルシリル(TBMPS)、ホルマート、ベンゾイルホルマート、アセタート、クロロアセタート、ジクロロアセタート、トリクロロアセタート、トリフルオロアセタート、メトキシアセタート、トリフェニルメトキシアセタート、フェノキシアセタート、p−クロロフェノキシアセタート、3−フェニルプロピオナート、4−オキソペンタノアート(レブリナート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノアート(レブリノイルジチオアセタール)、ピバロアート、アダマントエート(adamantoate)、クロトナート、4−メトキシクロトナート、ベンゾアート、p−フェニルベンゾアート、2,4,6−トリメチルベンゾアート(メシトエート)、メチルカルボナート、9−フルオレニルメチルカルボナート(Fmoc)、炭酸エチル、2,2,2−トリクロロエチルカルボナート(Troc)、2−(トリメチルシリル)炭酸エチル(TMSEC)、2−(フェニルスルホニル)炭酸エチル(Psec)、2−(トリフェニルホスホニオ)炭酸エチル(Peoc)、イソブチルカルボナート、ビニルカルボナート、アリルカーボネート、t−ブチルカルボナート(BOC)、p−ニトロフェニルカルボナート、ベンジルカルボナート、p−メトキシベンジルカルボナート、3,4−ジメトキシベンジルカルボナート、o−ニトロベンジルカルボナート、p−ニトロベンジルカルボナート、S−ベンジルチオカルボナート、4−エトキシ−1−ナフチルカルボナート、メチルジチオカルボナート、2−ヨードベンゾアート、4−アジドブチラート、4−ニトロ−4−メチルペンタノアート、o−(ジブロモメチル)ベンゾアート、2−ホルミルベンゼンスルホナート、2−(メチルチオメトキシ)エチル、4−(メチルチオメトキシ)ブチラート、2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾアート、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセタート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセタート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセタート、クロロジフェニルアセタート、イソブチラート、モノスクシノアート(monosuccinoate)、(E)−2−メチル−2−ブテノアート、o−(メトキシアシル)ベンゾアート、α−ナフトアート、ニトラート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、アルキルN−フェニルカルバマート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル、アルキル2,4−ジニトロフェニルスルフェナート、スルファート、メタンスルホナート(メシラート)、ベンジルスルホナート、およびトシレート(Ts)を含むが、これらに限定されない。
ある実施形態では、硫黄原子に存在する置換基が、硫黄保護基である(「チオール保護基」とも呼ばれる)。硫黄保護基は、−Raa、−N(Rbb)2、−C(=O)SRaa、−C(=O)Raa、−CO2Raa、−C(=O)N(Rbb)2、−C(=NRbb)Raa、−C(=NRbb)ORaa、−C(=NRbb)N(Rbb)2、−S(=O)Raa、−SO2Raa、−Si(Raa)3、−P(Rcc)2、−P(Rcc)3、−P(=O)2Raa、−P(=O)(Raa)2、−P(=O)(ORcc)2、−P(=O)2N(Rbb)2、および−P(=O)(NRbb)2を含むが、これらに限定されず、Raa、Rbb、およびRccは、本明細書において定義されるとおりである。硫黄保護基は、当技術分野においてよく知られており、参照によって本明細書に援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rdedition,John Wiley & Sons,1999において詳細に記載されるものを含む。
これらおよび他の例示的な置換基は、詳細な説明、実施例、および請求項においてより詳細に記載される。本発明は、置換基の上記の例示的なリストによっていかなる方法によっても限定されるようには意図されない。
用語「薬学的に許容される塩」は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答、およびその他同種のものを伴うことなくヒトおよび下等動物の組織に接する使用に適しており、妥当なベネフィット/リスク比と釣り合っている塩を指す。薬学的に許容される塩は、当技術分野においてよく知られている。たとえば、Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences(1977)66:1-19において薬学的に許容される塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、適した無機および有機酸および塩基に由来するものを含む。薬学的に許容される無毒な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸などのような無機酸によりまたは酢酸、蓚酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などのような有機酸によりまたはイオン交換などのような当技術分野において使用される他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコビル酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、硼酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨージド(hydroiodide)、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸、蓚酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、およびその他同種のものを含む。適切な塩基に由来する薬学的に許容される塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1〜4アルキル)4塩を含む。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびその他同種のものを含む。さらに薬学的に許容される塩は、適切な場合、ハロゲン化物、水酸化物、カルボキシレート、スルファート、ホスフェート、ニトラート、低級アルキルスルホナート、およびアリールスルホナートなどのような対イオンを使用して形成される、無毒なアンモニウム、第四級アンモニウム、およびアミンカチオンを含む。
「第四級塩」は、窒素が4つの結合価を有するので、付加される2〜4つの置換基または基を含む親化合物もしくは親鎖にまたはその一部に直接付加される窒素原子を指し、窒素原子は、陽性に荷電し、電荷は、対アニオンによりバランスを保たれる。例示的な第四級塩は、親化合物に付加された置換基アミンまたは鎖−N(Rbb)3 +X−または親鎖−N(Rbb)2−+X−のアミン部分を含むが、これらに限定されず、RbbおよびX−は、本明細書において定義されるとおりである。
いくつかの本発明の実施形態が、本明細書において記載され、例証されたが、当業者らは、機能を実行するならびに/または本明細書において記載される結果および/もしくは1つ以上の利点を得るための様々な他の手段ならびに/または構造体を容易に想定するであろう、また、そのような変形および/または修飾のそれぞれは、本明細書において記載される本発明の実施形態の範囲内であると考えられる。より一般には、当業者らは、本明細書において記載されるパラメーター、寸法、材料、および立体構造がすべて、例示的であることが意図され、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または立体構造が、本発明の教示が使用される特定の適用に依存するであろうということを容易に理解するであろう。当業者らは、ルーチン的な実験のみを使用して、本明細書において記載される特定の本発明の実施形態に対する多くの等価物について認識するであろうまたは確認することができるであろう。そのため、前述の実施形態が、単なる例として示され、添付の請求項およびその等価物の範囲内で、本発明の実施形態が、詳細に記載され主張される以外の他の方法で実行されてもよいことが理解される。本開示の本発明の実施形態は、本明細書において記載されるそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。そのうえ、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾していない場合、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
すべての定義は、本明細書において定義され、使用されるように、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味よりも優先されることを理解すべきである。
本明細書において開示される参考文献、特許、および特許出願はすべて、それぞれが引用される主題に関して参照によって組み込まれ、これは、ある場合には文書の全体を包含してもよい。
本明細書および請求項において、本明細書において使用される不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、他に明確な指定のない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解されたい。
明細書および請求項において本明細書において使用される句「および/または」は、そのように合わせられたエレメントの「どちらかまたは両方」、つまり、ある場合では関連して存在し、他の場合では関連性がなく存在するエレメントを意味することを理解されたい。「および/または」と共に列挙される複数のエレメントは、同じ様式で、つまり、そのように合わせられた「1つ以上の」エレメントと解釈されるべきである。他のエレメントは、明確に同定されるエレメントに関係するか関係しないかにかかわらず、「および/または」という節によって明確に同定されるエレメント以外に任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などのようなオープンエンドの(open ended)言語と共に使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択でB以外のエレメントを含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外のエレメントを含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で他のエレメントを含む)を指すことができる、などとなる。
明細書および請求項において本明細書において使用されるように、「または」は、上記に定義される「および/または」と同じ意味を有することを理解されたい。たとえば、リスト中のアイテムを分ける場合、「または」または「および/または」は、包括的なもの、すなわち、多くのエレメントまたはエレメントのリストのうちの少なくとも1つの包含のみならず、1つを超えるエレメントおよび任意選択で、さらなるリストされていないアイテムを含むとして解釈されたい。用語が、「のうちの1つのみ」もしくは「のうちのまさに1つ」などのように、それと反対に、明らかに示されるまたは請求項において使用される場合のみ、「からなる」は、多くのエレメントまたはエレメントのリストのうちのまさに1つのエレメントの包含を指すであろう。一般に、本明細書において使用される用語「または」は、「どちらか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちのまさに1つ」などのような排他性の用語が先行する場合、単に、排他的な代替物を示すと解釈されるものとする(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)。「から本質的になる」は、請求項において使用される場合、特許法の分野において使用されるその通常の意味を有するものとする。
明細書および請求項において本明細書において使用されるように、句「少なくとも1つ」は、1つ以上のエレメントのリストに関して、エレメントのリストにおける任意の1つ以上のエレメントから選択される少なくとも1つのエレメントを意味するが、エレメントのリスト内に詳細に列挙されるそれぞれのおよびすべてのエレメントのうちの少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、エレメントのリストにおけるエレメントの任意の組み合わせを除外しないことが理解されたい。この定義はまた、エレメントが、詳細に同定されるエレメントに関係するか関係しないかにかかわらず、句「少なくとも1つ」が言及されるエレメントのリスト内に詳細に同定されるエレメント以外に任意選択で存在してもよいことをも許可する。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または言い換えると、「AもしくはBの少なくとも1つ」または言い換えると「Aおよび/もしくはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つのA、任意選択で1つを超えるAを含み、Bは存在しない(および任意選択でB以外のエレメントを含む);別の実施形態では少なくとも1つのB、任意選択で1つを超えるBを含み、Aは存在しない(および任意選択でA以外のエレメントを含む);さらに別の実施形態では、少なくとも1つのA、任意選択で1つを超えるAを含み、少なくとも1つのB、任意選択で1つを超えるBを含み、(および任意選択で他のエレメントを含む);などを指し得る。
他に明確な指定のない限り、1つを超えるステップまたは行為を含む、本明細書において主張される任意の方法において、方法のステップまたは行為の順は、必ずしも、方法のステップまたは行為が列挙される順に限定されないこともまた、理解されたい。
請求項および上記の明細書において、「〜を含む(comprising)」、「〜を含む(including)」、「〜を持つ」、「〜を有する」、「〜を含有する」、「〜を含む(involving)」、「〜を保持する」、「〜から構成される」、およびその他同種のものなどのようなすべての移行句は、オープンエンドであること、すなわち、〜を含むが、限定されないを意味することを理解されたい。移行句「〜からなる」および「〜から本質的になる」のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03において記載されるように、それぞれクローズド(closed)またはセミクローズド(semi-closed)移行句となるものとする。