JP2017504357A - 抗ヒトproBDNFモノクローナル抗体およびその疼痛における作用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、抗ヒトproBDNFモノクローナル抗体およびその疼痛における使用を提供する。具体的に、本発明は、特異的にpro−BDNFタンパク質前駆体ドメインの19〜128番目のアミノ酸を認識する抗体ポリペプチド、上記抗体ポリペプチドをコードする核酸配列、前記核酸配列を含むベクター、前記ベクターを含む宿主、前記抗体を含む薬物組成物および慢性疼痛を緩和および/または抑制する薬物の製造における前記抗体の使用を提供する。

Description

本発明は、抗ヒト脳由来神経栄養因子前駆体タンパク質(proBDNF)モノクローナル抗体の製造分野、および様々な急性および慢性疼痛、たとえば術後疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群などの緩和および/または抑制における前記モノクローナル抗体の作用に関する。
疼痛は、体温、呼吸、心拍数、血圧に続く5つ目のバイタルサインであり、生体が傷つけられた場合の警告として生体の一連の防御的保護反応を引き起こすことができる。しかし、過剰の疼痛は、生体自身を損傷させ、かつ生体にとって耐えられない苦しみになることがある。そのため、鎮痛(analgesia)は、医療従事者が直面する重要な任務である。慢性疼痛は、人類の生存および生活品質を脅かし、しかも家庭と社会に大きな負担を負わせる。米国疼痛学会(American Pain Society)の報告によると、米国では、慢性疼痛の罹患率は35.5%であり、1.05億人と推測されている。毎年1000億ドル以上かかり、直接に医療保健の支出の消耗および労働時間の損失につながる。
現在、最も使われている鎮痛薬は、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症鎮痛薬およびオピオイド受容体作動薬、たとえばトラマドールやモルヒネなどを含む。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、鎮痛効果が低く、かつ胃腸管出血、腎不全や肝臓機能損害などの副作用が生じることがある。一方、オピオイド系薬物は、投与量が多すぎると、呼吸を抑制し、また長期間に使用すると、便秘、乱用、依存や嗜癖などの副作用が生じる。近年、ほかの鎮痛薬、たとえば抗うつ薬(たとえばイーライリリー社のデュロキセチン)、抗けいれん薬(たとえばファイザー社の製品のプレガバリン、商品名リリカ)や選択性シクロオキシゲナーゼ2(COX−2)(たとえばファイザー社のパレコキシブ)阻害剤なども市場に入ってきた。
新規な鎮痛薬の開発の仕方は、機序に基づいた薬物の新たな標的の開発であり、主に疼痛の機序に対する検討を通じて疼痛の発生と進展の重要な因子または標的を見つけることによって、当該因子または標的に関与して鎮痛作用を実現させる新しい薬物を開発する。このような基礎研究成果の事業化に基づいた臨床応用は、現在、大量に試験されているが、成功例はまだ非常に少ない。
中では、典型的な例は、抗神経成長因子(Nerve Growth Factor、NGF)抗体の開発である。NGFは、神経栄養因子ファミリーの一員で、発育においてニューロンの生存およびアポトーシスに対して重要な作用を果たす。大量の基礎研究によって、NGFは疼痛の進展を促進することが示されたため、NGFの遮断は疼痛治療の重要な方法かもしれない。そのため、NGF抗体に対する研究が非常に多く、中にはTanezumab(ファイザー)、SAR164877/REGN475(サノフィ/Regeneron)およびNJ-42160443/AMG403(ジョンソン・エンド・ジョンソン社/アムジェン社)が含まれる。これらの薬物は、動物モデルにおいて鎮痛効果を示し、臨床第I/II相においても臨床安全性および鎮痛効果を示したが、臨床第III相の試験において、NGF抗体とNSAID薬物の併用による関節リウマチおよび強直性脊椎炎などの患者に対する鎮痛作用の臨床治療効果および安全性の評価において、少数の患者に無痛性虚血性大腿骨頭壊死が生じた(Garber K Fate of novel painkiller mAbs hangs in balance. Nat Biotechnol 2011, 173-174; Seidel M, Lane N, Control of Arthritis Pain with Anti-Nerve-Growth Factor, Risk and Benefit, Curr Rheumatol Rep, 2012,583-585)。
そのため、新しい作用機序の鎮痛薬の開発にはまだ巨大なマーケットの需要が存在する。
脳由来神経栄養因子BDNF(brain derived neurotrophic factor)は、神経成長因子に続いて発見された神経栄養因子であり、分子量が12.4kDaで、主に中枢神経系に分布するが、末梢神経系にもBDNFの合成があり、ニューロンの生存、分化、シナプス可塑性および損傷修復などの調節の面で重要な機能を担う。現在、BDNFは、神経系の発育および情動障害を調節する重要な因子だけでなく、重要な痛覚の神経修飾物質でもあることを示す証拠が現れた。
脳由来神経栄養因子の前駆体proBDNF(precursor for brain-derived neurotrophic factor)は、BDNF遺伝子から転写、翻訳を経て小胞体内で合成されたものであり、そのペプチド鎖の長さは247個のアミノ酸であり、アミノ酸配列の理論分子量は27.8KDであるが、タンパク質のグリコシル化修飾の程度が異なるため、分子量は32〜36kDの範囲内にある。ProBDNF分子のアミノ酸配列の1〜18番目の部分はシグナルペプチド配列で、分泌の過程で2つの断片が生成し、その一つの断片は配列の19〜129番目のアミノ酸、すなわち前駆体ドメインを含むポリペプチド断片で、前駆体ドメイン(proBDNF pro-domain)と呼ばれ、もう一つの断片は配列の130〜247番目、すなわち成熟ドメインでコードされる断片で、加工を経て生物活性を有する成熟体BDNFになる。
現在、大量の証拠によって、proBDNFは、成熟BDNF合成の中間産物だけでなく、配位子としてその高親和力の受容体p75神経栄養因子受容体(P75 neurotrophin receptor、p75NTR)と結合して生物学的機能を発揮することもできることが示されている。現在、proBDNF−p75NTRシグナル経路の疼痛における作用はまだ明らかではないが、一つの観点として、疼痛の脊髄感作の機序は海馬の長期増強(Long-term potentiation、LTP)/長期抑圧(long-term depression、LTD)の形成機序と似ていると思われる一方、BDNF−TrkBおよびproBDNF−p75NTRシグナル経路はLTP/LTDを調節する重要なシグナル分子である。
中南大学の張艶玲の2012年の実験研究では、ラットの後ろ足を切った後、その後根神経節のproBDNF発現が向上し、ラットの後ろ足にproBDNFのアデノウイルスベクターを注射した後、当該アデノウイルスベクターは神経線維においてproBDNFを大量に発現し、過剰発現のproBDNFはラットの後ろ足の機械刺激逃避閾値の顕著な低下および足底組織の炎症反応につながり、腹腔から抗proBDNFポリクローナル抗体を投与した後、ラットの後ろ足を切った後の逃避閾値が増加したことが示された。
切創様痛は、急性疼痛に属する。急性と慢性の疼痛は、いずれも末梢性感作と中枢性感作が現れ得るが、両者の間の違いは、末梢性感作において局部の組織の神経線維または軸索が放出する伝達物質および細胞内シグナル経路が異なり、そして後根神経節では関連の痛覚の伝達物質およびシグナル伝達経路も異なり、後者の持続時間もより長いことである。また、中枢性感作において、脊髄膠細胞の持続的活性化も急性と慢性の疼痛の機序の間に最も重要な違いかもしれない。
本発明の一つは、特異的にpro−BDNFタンパク質前駆体ドメインの19〜128番目のアミノ酸を認識する抗体ポリペプチドであって、(a)配列番号1で表されるCDR1領域、配列番号2で表されるCDR2領域、(c)配列番号3で表されるCDR3領域のアミノ酸配列を含有する重鎖の可変領域、および/または(d)配列番号4で表されるCDR1領域、(e)配列番号5で表されるCDR2領域、(f)配列番号6で表されるCDR3領域のアミノ酸配列を含有する軽鎖の可変領域を含む、抗体ポリペプチドに関する。
一つの具体的な実施形態において、前記抗体ポリペプチドはモノクローナル抗体である。より具体的な実施形態において、前記抗体ポリペプチドは、重鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号7であり、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号8である。もう一つの具体的な実施形態において、前記抗体ポリペプチドが有する重鎖のアミノ酸配列が配列番号9であり、軽鎖のアミノ酸配列が配列番号10である。もう一つの具体的な実施形態において、前記の抗体ポリペプチドは、ヒト化の抗体ポリペプチド、キメラの抗体ポリペプチド、親和性成熟の抗体ポリペプチド、またはその一種または複数種の組み合わせから選ばれる。もう一つの具体的な実施形態において、前記の抗体ポリペプチドは上記抗体ポリペプチドと競合する抗体ポリペプチドである。
本発明のもう一つは、上記抗体ポリペプチドをコードする核酸配列に関する。一つの具体的な実施形態において、前記抗体ポリペプチドの重鎖の可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号11で、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号12である。もう一つの具体的な実施形態において、前記抗体ポリペプチドの重鎖のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号13で、軽鎖のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号14である。
本発明のもう一つは、前記核酸配列を含むベクターに関する。
本発明のもう一つは、前記ベクターを含む宿主に関する。
本発明のもう一つは、特異的にpro−BDNF前駆体ドメインを認識する一種または複数種の抗体ポリペプチドの使用であって、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群、およびその組み合わせから選ばれる慢性疼痛を緩和および/または抑制する薬物の製造における使用に関する。
本発明のもう一つは、術後疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群、およびその組み合わせから選ばれる疼痛を緩和および/または抑制する薬物の製造における前記抗体ポリペプチドの使用に関する。
本発明のもう一つは、有効量の前記抗体ポリペプチドを含む薬物組成物に関する。一つの具体的な実施形態において、前記薬物組成物は静脈または腹腔注射の形態によって投与される。
本発明の抗体ポリペプチドおよび相応の薬物組成物は、特異的にproBDNFの前駆体ドメイン(pro-domain)を認識することができ、様々な急性疼痛だけでなく、慢性疼痛、たとえば術後疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群を抑制および/または予防することができ、既存技術では達し得ない技術効果を獲得し、広範かつ優れた臨床応用の将来性を有する。
図1は、本発明の実施例1における宿主菌BL21(DE3)が発現したヒトproBDNFタンパク質の精製後のSDS−PAGE電気泳動の結果を示す。1:精製されたヒトproBDNFタンパク質、2:低分子量タンパク質マーカー(Protein Molecular Weight Marker (Low)、TAKARAから購入、製品番号:3450) 図2は、本発明の実施例2におけるHEK293F細胞が発現したヒトproBDNF前駆体ドメインタンパク質の精製後のSDS−PAGE電気泳動の結果を示す。1:精製されたヒト前駆体ドメインタンパク質、2:低分子量タンパク質マーカー(Protein Molecular Weight Marker (Low)、TAKARAから購入、製品番号: 3450) 図3は、本発明の実施例3におけるHEK293F細胞が発現したラットproBDNF前駆体ドメイン融合タンパク質の精製後のSDS−PAGE電気泳動の結果を示す。1:精製されたラットproBDNF前駆体ドメイン融合タンパク質、2:低分子量タンパク質マーカー(Protein Molecular Weight Marker (Low)、TAKARAから購入、製品番号: 3450) 図4は、ヒトproBDNFおよびヒトproBDNF前駆体ドメインに対する、本発明の実施例3における各ハイブリドーマ細胞株が生成した抗proBDNFモノクローナル抗体の特異的抗原結合領域の実験結果を示す。 図5は、ヒトproBDNF前駆体ドメイン、ラットproBDNF前駆体ドメインおよびマウスproBDNFに対する、本発明の実施例4における抗proBDNFモノクローナル抗体2B11の特異的抗原結合領域の実験結果を示す。 図6は、本発明の実施例3における抗proBDNFモノクローナル抗体2B11のサブタイプの分析結果を示す。 図7は、本発明の実施例6のヒトマウスキメラ抗体CH2B11と本発明の実施例1のヒトproBDNFタンパク質の異なる希釈条件における結合活性の実験結果を示す。 図8は、ホルマリンによって誘発される二相性の疼痛に対する、2B11尾静脈注射の作用を示し、当該作用は、SDラットの足を舐める時間で表され、ブランクコントロールと比較される。 図9は、CFA足底注射によって誘発される慢性持続性炎症性疼痛に対する、2B11尾静脈注射の作用を示すし、当該作用は、ブランクコントロールと比較される。 図10は、ラットの後ろ足の切創様痛の疼痛スコアに対する2B11尾静脈注射の影響を示し、当該影響は、ブランクコントロールと比較される。 図11は、ラットの後ろ足の切創様痛の機械的疼痛閾値に対する2B11尾静脈注射の影響を示し、当該影響は、ブランクコントロールと比較される。 図12は、酢酸によって誘発されるマウスのライジング反応に対する2B11腹腔注射の作用を示し、当該作用は、ブランクコントロールと比較される。
具体的な実施形態
本発明の抗proBDNF抗体ポリペプチドは、特異的にproBDNFの前駆体ドメイン(pro-domain)の19〜128番目のアミノ酸を認識し、(a)配列番号1で表されるCDR1領域、(b)配列番号2で表されるCDR2領域、(c)配列番号3で表されるCDR3領域のアミノ酸配列を含有する重鎖の可変領域、および/または(d)配列番号4で表されるCDR1領域、(e)配列番号5で表されるCDR2領域、(f)配列番号6で表されるCDR3領域のアミノ酸配列を含有する軽鎖の可変領域を含む、抗体ポリペプチドに関する。各疼痛の評価実験において、当該抗体で処理されたマウスは、ブランクコントロール群と比べて顕著な疼痛抑制および予防効果を示す。本発明の抗体ポリペプチドは、様々な急性疼痛だけでなく、慢性疼痛、たとえば術後疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群を抑制および/または予防することができる。
本発明に係る「抗体ポリペプチド」とは、免疫グロブリンの可変領域内における少なくとも一つの抗原認識部位を通じて特異的に標的部位、たとえば多糖、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなどを認識することができる免疫グロブリン分子である。ここで用いられる用語の抗体ポリペプチドは、インタクト(intact)なポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含み、さらにその断片、たとえば一本鎖抗体(scFV)、Fd断片、Fab断片、F(ab’)2断片、単一ドメイン抗体断片、単離したCDR断片、およびその誘導体、たとえばその突然変異体、または少なくとも一つの抗原結合部位を含む修飾された免疫グロブリン分子構造を含む。
インタクトな抗体とは、2つの同様の重鎖と軽鎖からなり、各鎖はそれぞれ可変領域(V領域)および一つまたは複数の定常領域(C領域)を含む。可変領域は抗原と結合することを担当し、定常領域は主にエフェクター分子と結合することを担当する。主に抗原を認識することを担当する、各可変領域に高度の多様性を有する3つの柔軟なループがあり、これは相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。可変領域のほかの部分は、柔軟性のないβシートを含み、かついわゆるフレームワーク領域(FRs)を支える。CDRとFRは、互いに挟んで並び、サンドイッチ構造になっている。
「一本鎖抗体(scFV)断片」とは、遺伝子工学によって構築された抗体断片であり、リンカーによって連結した重鎖の可変領域(VH)と軽鎖の可変領域(VL)を有する組換えタンパク質で、リンカーはこの2つのドメインを関連させて抗原結合部位を形成する。ScFVの大きさは、通常、完全抗体の1/6である。
「Fd断片」とは、重鎖VHとCH1からなる抗体断片である。
「Fab断片」とは、Fd断片(重鎖VHとCH1からなる)と軽鎖全体とが鎖間ジスルフィド結合によって形成したヘテロ二量体である。「Fab抗体」の大きさは、インタクトな抗体の1/3であり、抗原結合部位が一つだけ含まれている。
「F(ab’)2断片」とは、連結した2つのFab断片を含む2価断片である。
「単一ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域からなる。当該抗体断片は一つだけのドメインからなるため、そのように名付けられた。当該断片の大きさは、インタクトな抗体の1/12である。
「誘導体」は、たとえばファージディスプレイ技術によって前記抗体を得る誘導体を含む場合、たとえばBIAcoreシステムで使用される表面プラスモン共鳴技術によってEGFRまたはCD3抗原エピトープと結合するファージ抗体の効率を増加させることができる(Schier,ヒト抗体,ヒト抗体ハイブリドーマ7(1996),97-105;Malmborg,免疫学方法雑誌183(1995),7-13)。さらに、たとえばWO 89/09622に記載のキメラ抗体の生成方法、EP-A10239400およびWO90/07861に記載のヒト化抗体の生成方法、WO91/10741、WO94/02602およびWO96/33735に記載の異種抗体、たとえばマウスにおけるヒト抗体を生成する方法を含む。
本発明で使用される抗体またはその断片は、本分野で既知の通常の技術、たとえばアミノ酸の欠失、挿入、置換、増加、および/または転移ならびに/あるいはほかの修飾方法を単独で使用しまたは併用し、さらに修飾してもよい。抗体のアミノ酸配列に対してそのDNA配列にこのような修飾の方法を導入することは周知である。
本発明で使用される抗体または抗体断片は、ヒト化のものでも、キメラのものでも、マウス化のものでもよい。ここで使用される「ヒト化抗体」とは、ヒトが生成する抗体に相応するアミノ酸配列を有する抗体、および/または本分野で既知の技術または本願で公開されるヒト化抗体を製造する技術によって製造される抗体である。ヒト化抗体は、主にマウス由来(またはほかの非ヒト由来)のモノクローナル抗体を遺伝子クローニングおよびDNA組み換え技術によって改造し、新たに発現する抗体であり、その大半のアミノ酸配列はヒト由来配列に変わり、親マウスのモノクローナル抗体の親和性および特異性を残しつつ、その異種性を減少し、人体への応用に有利である。ヒト化抗体は、キメラ抗体、グラフティング抗体(CDR grafting antibody、CDR移植抗体とも呼ばれる)、表面再構築抗体または完全ヒト化抗体を含む。また、ヒト化抗体は、本分野で既知の様々な技術によって生成することができるが、たとえばヒト抗体を発現するファージライブラリーからヒト化抗体を選んでもよい。さらに、ヒト化抗体は、遺伝子組み換え動物にヒト免疫グロブリン部位を導入することによって製造することができ、前記遺伝子組み換え動物は、たとえば内在性免疫グロブリン遺伝子が既に部分的にまたは完全に不活性化されたマウスでもよい。また、ヒト化抗体は、特定の抗原に対する抗体を生成するヒトB細胞を不死化させることによって製造することができる。
「キメラ抗体」とは、抗体における重鎖および軽鎖の一部のアミノ酸配列は一つの特定の種類の抗体由来の相応の配列と相同性を有するが、当該鎖のほかの部分はもう一つの特定の種類の相応の配列と相同性を有する。典型的に、これらのキメラ抗体において、重鎖および軽鎖の可変領域はいずれも一種の哺乳動物の可変領域と類似しているが、その定常領域はもう一種の哺乳動物の配列と相同性を有する。キメラ抗体の優位点は、これらの可変領域は容易に現在既知の源から現在得られる非ヒト由来宿主のリンパ腫細胞またはB細胞とたとえばヒト細胞調製物から得られる定常領域と組み合わせて製造することができることである。当該キメラ抗体の特異性はその由来に影響されず、その定常領域はヒト由来のものであるため、ヒト受容体の免疫反応を引き起こす可能性が低い。当然、キメラ抗体の定義は、ここで具体的に記載されている例に限定されない。
グラフティング抗体は、CDR移植抗体(CDR grafting antibody)とも呼ばれ、抗体の可変領域のCDRは抗体が抗原を認識および結合する領域で、直接抗体の特異性を決める。マウス由来モノクローナル抗体のCDRをヒト由来抗体の可変領域にヒト由来抗体のCDRの代わりに移植し、ヒト由来抗体にマウス由来モノクローナル抗体の抗原結合特異性を持たせると同時に、その異種性を減少する。しかし、抗原は主に抗体のCDRと接触するが、FR領域もよく作用に関与し、CDRの空間配置に影響する。そのため、ヒト由来FR領域に換えた後、このようなマウス由来CDRとヒト由来FRが融合したV領域は、モノクローナル抗体の本来のCDR配置を変えたせいか、抗原と結合する能力は低下し、ひいては顕著に低下する。既に抗体に対して分子設計を行い、ヒト由来FR領域にマウス由来FR領域の一部の重要な残基を導入することができるが、配置が適当な場合、その親和性はマウス抗体の本来のものに相当する。
表面再構築抗体とは、異種抗体の表面のアミノ酸残基に対してヒト化の改造を行う。当該方法の原則は、ヒト抗体と明らかに違う領域だけを置換し、抗体の活性を維持しながら、異種性を減少すると同時に、ヒト抗体の表面の残基と類似のアミノ酸を選んで置換することである。また、置換される箇所はできるだけ少なくし、側鎖の大きさ、電荷、疎水性に影響する残基、または水素結合を形成することによって抗体の相補性決定領域(CDR)の配座に影響する残基はできるだけ置換しない。
完全ヒト化抗体とは、ヒト抗体遺伝子に対して、遺伝子組み換えまたは染色体組み換えの技術によって、ヒト抗体をコードする遺伝子を全部遺伝子工学的に改造された抗体遺伝子欠失動物に導入し、動物にヒト抗体を発現させ、抗体の完全ヒト化を実現させる。
ここで用いられる用語「競合」とは、抗体ポリペプチドが体外実験において免疫学的に競合性を表し、免疫競争の測定方法およびその条件は本分野で公知である。本発明の抗体ポリペプチドと競合する抗体ポリペプチドは、たとえば抗体ポリペプチドの重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR領域(CDR1、CDR2、CDR3)の一つまたは複数のアミノ酸または抗体ポリペプチドのフレームワーク領域の一つまたは複数のアミノ酸に対して本分野で公知の遺伝子工学的方法によって保存的置換を行うことによって、得られた類似および/または同様の抗原結合性質を有する抗体ポリペプチドを含んでもよい。
本発明のもう一つは、上記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクターに関する。前記ベクターは、真核細胞のベクターまたは原核細胞のベクターでもよく、以下の条件を満足すればよい。(a)そのコード配列は、複製起点の配列を含むことで、当該ベクターは宿主細胞において複製される。(b)選別マーカーをコードする遺伝子配列を含み、当該遺伝子でコードされるタンパク質は当該宿主細胞が特定の選択培地で生存および生長するために必要なものである。宿主細胞にトランスフェクションまたは形質転換によって当該遺伝子を含むベクターが導入されていない場合、宿主は特定の選択培地で生存することができない。典型的な選別マーカー遺伝子でコードされるタンパク質は、抗生物質または毒素に耐性を有するタンパク質を含み、抗生物質または毒素は、たとえばアンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、ネオマイシン、ハイグロマイシン、メトトレキサートなどを含む。栄養欠失の関連タンパク質を補い、培地に存在しない重要な栄養成分を提供する、たとえばD−アラニンラセマーゼをコードする遺伝子が挙げられる。耐性スクリーニングを使用する例は、ネオマイシン耐性遺伝子を含む外来ベクターをトランスフェクトすることによって、宿主細胞を薬物ネオマイシンまたはG418を含む培地の場合、生存および生長を続けさせるものを含む。もう一つの例は、哺乳動物細胞、たとえばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)においてジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)選別マーカーを使用することであり、哺乳動物細胞の宿主細胞とは、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子を含まず、核酸を合成することができず、HTを含む培地でしか生長することができない、DHFR欠失型の細胞である。ベクターで宿主細胞をトランスフェクトするとき、上記培地条件の選択で目的遺伝子とDHFR遺伝子を同時に含む外来ベクターの陽性クローンを選別できるが、(c)そのコード配列はプロモーターの配列を含み、(d)発現ベクターはさらにほかの構成配列を含み、シグナルペプチド配列、転写終止配列、エンハンサー配列などが含まれ、好ましくは本発明のベクターは真核細胞ベクターである。好ましくは、本発明のベクターは、抗体の真核発現に使用されるpHベクターで、CMVのプロモーター、内部リボソーム進入部位配列(Internal ribosome entry site、IRES)、DHFR選別マーカーなどの構成要素を含む。メトトレキサート(MTX)はDHFRの阻害剤で、その作用を阻害することができる。細胞培地にMTXが含まれる場合、DHFRが抑制され、フィードバック調節によって、当該遺伝子を自己増幅させ、その上流および下流の遺伝子もつれて増幅することによって、目的遺伝子も増幅し、すなわち目的タンパク質の発現量を向上させることができる。
本発明のもう一つは、必要な多機能抗体ポリペプチドの発現に使用される、前記ベクターを含む宿主細胞に関する。「宿主細胞」は、挿入されたポリヌクレオチドを含むベクターを受け入れ得る、または受け入れた、単一の細胞または細胞培養物を含む。
本発明の宿主細胞は、使用されるベクターに合わせ、任意の原核宿主細胞または真核宿主細胞でもよい。真核宿主細胞は、酵母、昆虫細胞、植物細胞を含み、哺乳動物細胞などが好ましく、真核細胞には複雑な目的タンパク質の翻訳後修飾(たとえばグリコシル化)が存在するため、規模的培養への応用が多くなってきた。よく使用される宿主細胞系は、サル腎臓細胞(COS-7 ATCC CRL 1651)、ヒト胚胎腎臓細胞293およびそのサブクローン細胞系、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などを含む。好ましくは、本発明の真核宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞である。
本発明は、さらに、特異的にpro−BDNF前駆体ドメインを認識する一種または複数種の抗体ポリペプチドの使用であって、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群、およびその組み合わせから選ばれる慢性疼痛を緩和および/または抑制する薬物の製造における使用を含む。
本発明は、さらに、特異的にpro−BDNF前駆体ドメインの19〜128番目のアミノ酸を認識する一種または複数種の抗体ポリペプチドの使用であって、術後疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群、およびその組み合わせから選ばれる急性および慢性疼痛を緩和および/または抑制する薬物の製造における使用を含む。
本発明は、さらに、前記抗体ポリペプチドを含む薬物組成物を含む。当該組成物は、さらに、薬学的に許容される担体を含んでもよい。薬物組成物は通常の経路で投与することができ、静脈内、腹腔内注射が含まれるが、これらに限られない。また、本発明の薬物組成物は、ほかの疼痛抑制/予防剤と併用してもよい。
本発明に係る薬物、化合物または薬物組成物に適用される「有効量」とは、有益な所要の結果に必要な量で、前記結果は疼痛を軽減または減少する臨床結果を含む。有効量は、一回または複数回の投与によって実現される。本発明の目的のために、有効量とは、疼痛の強度の治療、軽減、減少、抑制および/または疼痛の予防に必要な量である。臨床条件でわかるように、有効量の薬物は別の薬物と一緒にまたは単独で得られる。そのため、「有効量」は一種または複数種の薬剤を投与する条件下のもの、または、単一の薬剤が一種または複数種のほかの薬剤と一緒に投与されるときに所要の結果が得られる場合、当該単一の薬剤は有効量で投与されたものと考えられる。具体的な投与量は、さらに投与の様態、患者の状況などの要素を考えて決めるべきであり、すべて熟練の医者の技能範囲以内である。
以下、具体的な実施例によって、さらに本発明を説明する。これらの実施例は本発明を説明するために用いられるものだけで、本発明の範囲の制限にはならないと理解されるものである。以下の実施例で具体的な条件が示されていない実験方法は、通常、例えばSambrookら、「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル」(ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー研究所出版社、1989)に記載の条件などの通常の条件に、あるいは、メーカーのお薦めの条件に従う。
実施例1:ヒトproBDNF抗原の原核発現
1.1 pET22b−proBDNFベクターの構築および同定
ヒト腫瘍細胞U87MGのcDNAを鋳型(RAYGENE社から購入)とし、以下のようなプライマーでPCR増幅を行った。
PROBDNF−F:5’GCGAATTCCCCATGAAAGAAGCAAACATCC3’(配列番号:15)
PROBDNF−R:5’CCGCTCGAGTTATCTTCCCCTTTTAATGGTCAATG3’(配列番号:16)
両末端に酵素切断部位ECORI/XhoIがあるPRO BDNF遺伝子断片(703bp)を得、ECORI/XhoIで(NEB公司から購入)二重酵素切断し、目的遺伝子断片proBDNFを得た。ベクタープラスミドpET22b(Novogen社から購入)をECORI/XhoIで二重酵素切断し、アガロースゲル電気泳動後、ベクター断片を回収し、前記目的遺伝子断片proBDNFとT4リガーゼ(NEB社から購入)の作用下で連結し、さらに大腸菌TOP10(LIFE社から購入)に形質転換し、アンピシリン耐性によるスクリーニングを行い、ECORI/XhoI酵素切断で断片が挿入された陽性クローンを同定し、かつシークエンシングによって、正確なヒトproBDNF遺伝子配列を含む原核発現プラスミドpET22b−proBDNFを得たことが検証された。
1.2 ヒトproBDNFタンパク質の発現と精製
pET22b−proBDNFプラスミドを発現宿主菌BL21(DE3)(Novagen社から購入)に形質転換し、かつアンピシリン耐性のプレートに広く塗り、37℃で逆さまで一晩培養し、単一のクローンを取って誘導発現を行い、単一のクローンを取った後OD600が0.6〜0.8になるまで振とう培養し、最終濃度が1mMになるようにIPTGを入れ、30℃で4h誘導した後菌液を収集した。遠心で沈殿を収集し、1/10体積の緩衝液A(50mM NaHPO、300mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0)を入れて再懸濁させ、PMSF(最終濃度1mM)を入れて氷の上に置いて超音波(超音波3秒、間隔10秒、一組99回、計4組)で処理し、15min遠心し(4℃、12000g)、遠心で上清を収集し、Ni-NTA Agarose(QIAGEN社から購入)でアフィニティークロマトグラフィ−を行い、精製して目的発現タンパク質を得た後、PBS溶液に対して透析を行い、さらに12% SDS−PAGEで透析後の精製タンパク質の純度を分析し、A280でその含有量を検出し、かつ少量を取ってSDS PAGE電気泳動を行ってその分子量を検出した。図1に示すSDS−PAGE結果のように、第一レーンにおける精製して得られた目的バンドの分子量は30kD近くで、その分子量はproBDNF分子の理論分子量の27.8kDと基本的に一致する。
実施例2:ヒトproBDNF前駆体ドメイン(human proBDNF pro-domain)の真核発現
2.1 ヒトproBDNF前駆体ドメイン発現ベクターV5F−pro−domainの構築
上記で得られたプラスミドpET22b−proBDNFを鋳型とし、以下のプライマーでPCR増幅を行った。
BDNFproVF1 5’GCTGGCTAGCACCCATGAAAGAAGCAAACATCCGAG3’(配列番号:17)
BDNFproVR1 5’CCGCTCGAGGTGGCGCCGGACCCTCATG3’(配列番号:18)
両末端に酵素切断部位NheI/XhoIがあるヒトproBDNF前駆体ドメイン遺伝子断片を得た(350bp)。当該PCR断片を制限酵素NheI/XhoI(NEB社から購入)で二重酵素切断し、得られた前駆体ドメイン遺伝子断片を同様のNheI/XhoI(NEB社から購入)二重酵素切断を行ったベクターV5F(RAYGENE社から購入)とT4 DNAリガーゼで連結した後、宿主菌TOP10(LIFE社から購入)に形質転換し、陽性クローンを取ってPCR同定を行い、かつシークエンシングによって正確と同定され、V5F−pro−domainプラスミドの構築に成功した。
2.2 ヒトproBDNF前駆体ドメインタンパク質の発現と精製
良好に生長したHEK293F細胞(HEK293F、LIFE社から購入)を1×10細胞/mLの密度で細胞三角フラスコに接種し、37℃、5%CO、120rpmで一晩培養して使用に備えた。上記工程で得られたV5F−pro−domainプラスミドとリポソーム(293Fectin、LIFE社から購入)をそれぞれDMEMで希釈してやさしく混合し、室温で20minインキュベートし、インキュベートしたDNA−リポソーム複合体をHEK293F細胞に入れ、37℃、5%CO、120rpmで72h培養した。細胞培養液を収集し、4500gで15min遠心し、細胞を除去して上清を取った。1mlのFLAG抗体親和フィラー(ANTI-FLAG Agarose Affinity Gel、Sigma-Aldrich社から購入)をカラムに充填し、FLAG親和カラムを5〜10カラム体積の分解緩衝液(50mM PB、0.3M NaCl、5%グリセリン)で平衡化した。遠心した細胞培養液の上清を1ml/minでFLAG親和カラムにかけ、通った液を収集して4℃で保存した。5〜10カラム体積の洗浄緩衝液1(50mM PB、pH7.8、0.3M NaCl、5%グリセリン)で洗浄し、洗浄液1を収集し、4℃で保存した。4〜5カラム体積の洗浄緩衝液2(50mM PB、pH7.8、0.3M NaCl、5%グリセリン)で洗浄し、洗浄液2を収集し、4℃で保存した。4〜5カラム体積の溶離緩衝液(50mMグリシン.HCl、pH3.0、0.3M NaCl、5%グリセリン)で溶離し、溶離液を収集して中和緩衝液(1M Tris.HCl、pH8.0)を入れ、透析液(50mM PB、pH7.8、0.3M NaCl、5%グリセリン)で4℃で一晩透析し、保存し、そして少量を取ってSDS PAGE電気泳動を行った。図2に示す電気泳動結果のように、第一レーンにおける目的バンドの分子量は20kD程度で、ヒトproBDNF前駆体ドメインタンパク質の理論分子量の13kDよりもやや大きい。理論で示されるものに限らず、これは発現されたタンパク質の真核システムにおけるグリコシル化の程度に関係するかもしれない。
実施例3:ラットproBDNF前駆体ドメイン融合タンパク質(ラットproBDNF pro−domain−Fc)の真核発現
3.1 ラットproBDNF前駆体ドメイン融合発現ベクターV5FC−rat−pro−domain−Fcの構築
ラットのcDNA(RAYGENEから購入)を鋳型とし、以下のプライマーでPCR増幅を行った。
RatproF1 5’GCTGGCTAGCGCGCCCATGAAAGAAGCAAAC3’(配列番号:19)
RatproR1 5’CCGCTCGAGGCGCCGAACCCTCATAGACATG3’(配列番号:20)
両末端に酵素切断部位NheI/BamHIがあるラットproBDNF前駆体ドメイン遺伝子断片を得た(356bp)。当該PCR断片を制限酵素NheI/BamHI(NEB社から購入)で二重酵素切断し、得られた前駆体ドメイン遺伝子断片を同様のNheI/BamHI(NEB社から購入)二重酵素切断を行ったFc融合発現ベクターV5FC(RAYGENE社から購入)とT4 DNAリガーゼで連結した後、宿主菌TOP10(LIFE社から購入)に形質転換し、陽性クローンを取ってPCR同定を行い、かつシークエンシングによって正確と同定され、V5FC−rat−pro−domainプラスミドの構築に成功した。
3.2 ラットproBDNF前駆体ドメイン融合タンパク質の発現と精製
良好に生長したHEK293F細胞(HEK293F、LIFE社から購入)を1×10細胞/mLの密度で細胞三角フラスコに接種し、37℃、5% CO、120rpmで一晩培養して使用に備えた。上記工程で得られたV5FC−rat−pro−domainプラスミドとリポソーム(293Fectin、LIFE社から購入)をそれぞれDMEMで希釈してやさしく混合し、室温で20minインキュベートし、インキュベートしたDNA−リポソーム複合体をHEK293F細胞に入れ、37℃、5% CO、120rpmで72h培養した。細胞培養液を収集し、4500gで15min遠心し、細胞を除去して上清を取った。1mlのproteinA抗体親和フィラー(proteinA Agarose、RAYGENE社から購入)をカラムに充填し、proteinA親和カラムを5〜10カラム体積の分解緩衝液(50mM PB、0.3M NaCl、5%グリセリン)で平衡化した。遠心した細胞培養液の上清を1ml/minでproteinA親和カラムにかけ、通った液を収集して4℃で保存した。5〜10カラム体積のPBS(20mM PB、pH7.8、0.15M NaCl)で洗浄し、洗浄液1を収集し、4℃で保存した。4〜5カラム体積の溶離緩衝液(100mMグリシン.HCl、pH2.5)で溶離し、溶離液を収集して10%体積の中和緩衝液(1M Tris.HCl、pH8.0)を入れ、透析液(50mM PB、pH7.8、0.3M NaCl、5%グリセリン)で4℃で一晩透析し、保存し、そして少量を取ってSDS PAGE電気泳動を行った。図3に示す電気泳動結果のように、第一レーンにおける目的バンドの分子量は44.3kD程度で、ラットproBDNF前駆体ドメイン融合タンパク質(ラットproBDNF pro−domain−Fc)の理論分子量に相当する。
実施例4 ヒトproBDNF前駆体ドメインモノクローナル抗体の製造と同定
4.1 組換えタンパク質による免疫
上記実施例1で得られた精製ヒト1ml proBDNFタンパク質(1.0mg/mL)を抗原として1mLの完全フロイントアジュバント(Sigma-Aldrich社から購入)と十分に乳化混合し、6〜8週齢のBALB/cマウスに対して皮下免疫を行い、各マウスに100μgのヒトproBDNF抗原で免疫を行った。4週間後、ヒトproBDNF抗原と不完全フロイントアジュバントを乳化混合し、マウスに腹腔注射して免疫を行い、各マウスに50μgずつ、その後2週間ごとに、腹腔に50μgの抗原による強化免疫を続けた。4回目の強化免疫の1週間後、上記実施例2で得られた精製ヒトproBDNF前駆体ドメインタンパク質をコーティングし、ELISA法によってマウスの血清抗体価を検出し、マウスの血清抗体価が>10になるまで強化免疫を続けた。最後の強化免疫の3週間後、上記ヒトproBDNF前駆体ドメインタンパク質20μgで脾内免疫を行い、使用に備えた。
4.2 ヒトproBDNFハイブリドーマ細胞株の構築
マウスの脾内強化免疫の4日間後、無菌の状況で脾臓を取り、100メッシュのフィルターネットでリンパ球を分離し、骨髄腫細胞系SP2/0と融合し、ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT)の選択性培養を3日間行った後、HT培地を追加し、1週間培養を続けた。本発明の上記実施例のヒトproBDNF抗原でコーティングし、ELISAで陽性クローンをスクリーニングし、有限希釈法でサブクローンを3回行い、2か月続けて培養し、最後に安定したハイブリドーマ細胞系を得た(各クローンをそれぞれ2B11、2C7、5C10、4C3、6F3、2F3、8E1、1G7と名付けた)。
4.3 抗体の精製
それぞれハイブリドーマ細胞を取ってクローニングし、5×10細胞/マウスの量でそれぞれ各群の相応のマウスの腹腔に注射して腹水を作り、腹水を100ml取って2倍体積の0.06M、pH4.0の酢酸ナトリウム緩衝で希釈し、ゆっくり4%オクタン酸を滴下し、滴下しながら撹拌した。30min撹拌した後、混濁液を10000gで30min遠心した。沈殿を捨て、上清液を0.01M、pH7.4のリン酸緩衝液で一晩透析した。透析液を取り、ゆっくり等体積の飽和硫酸アンモニウムを入れ、2時間静置した。混濁液を10000gで10min遠心した。上清液を捨て、0.01M、pH7.4のPBSで溶解させた。溶解させた溶液を0.01M、pH7.4のPBSで透析し、その間に液を2回交換し、2回の液交換の時間の間隔は5時間以上であった。透析溶液を10000gで10min遠心し、沈殿を捨て、上清液を収集した。
プロテインG親和カラム(GE社から購入)を室温に戻し、5カラム体積のPBS(0.01M PB、0.15M NaCl、pH7.4)で平衡化した。前記で収集した上清液をカラムにかけ、5カラム体積のPBSで洗浄した。pH2.3、0.1Mのグリシン塩酸溶液で溶離させ、溶離液に1/10体積の1Mリン酸水素二ナトリウム溶液pH9.0を入れて中和した。溶液を0.01M、pH7.4のPBSで透析し、その間に液を2回交換し、2回の液交換の時間の間隔は5時間超であった。透析溶液を10000gで10min遠心し、上清液を0.22μmろ過膜でろ過して保存し、精製された各クローンに相応して生成したモノクローナル抗体を得た。
4.4 ELISA法によるモノクローナル抗体結合領域の同定
実験群1:PBS(0.01M PB、0.15M NaCl、pH7.4)で実施例1で得られた精製されたヒトproBDNFタンパク質を希釈した。各群は8つのウェルを含み、それぞれ後の相応の8つの精製されたモノクローナル抗体の添加に使用した。
実験群2:PBS(0.01M PB、0.15M NaCl、pH7.4)で実施例2で得られた精製されたヒトproBDNF前駆体ドメインタンパク質を希釈した。各群は8つのウェルを含み、それぞれ後の相応の8つの精製されたモノクローナル抗体の添加に使用した。
実験群1および2の希釈したタンパク質をそれぞれ50μl(50ng)の体積および質量で4℃で一晩コーティングした。その後、上清を捨て、各ウェルをPBSで2回洗浄し、5%の粉乳を含有するPBSで37℃で2時間ブロッキングした。その後、実験群1および2の8つのウェルにそれぞれ前記実施例3.3で得られた8つの精製されたモノクローナル抗体を50μl(1μg/ml)入れ、37℃で1時間結合させた。0.5%のTween−20を含有するPBSTで3回洗浄した後、HRPで標識されたヒツジ抗マウス第二抗体を50μl入れ、37℃で1時間結合させた。0.5%のTween−20を含有するPBSTで5回洗浄した後、ABTS基質を入れて15分間呈色させ、マイクロプレートリーダーで405nmにおける吸光度値を測定した。実験を2回繰り返し、2回の吸光度の測定値の平均値を取った。吸光度値が陰性コントロールウェルの読み取り値の3倍以上よりも高い場合を陽性とした。
図4に示すように、精製されたモノクローナル抗体2B11は、ヒトproBDNFおよびヒトproBDNF前駆体ドメインのいずれとも結合し、当該抗体2B11が2つのタンパク質の共通の領域、すなわちヒトproBDNFの前駆体ドメイン領域に結合した。
4.5 モノクローナル抗体2B11の西洋ワサビペルオキシダーゼ標識
10mgの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を1mlの水に溶解させ、1mlの0.5M NaIOを入れ、4℃で30min反応させた。1mlの0.16Mエチレングリコールを入れた。4℃で30min反応させた。10mgの2B11抗体を0.05M、pH9.5の炭酸緩衝液に透析し、酸化したHRPと2B11抗体を均一に混合し、4℃で一晩透析し、0.4mlの1mg/ml NaBHを入れ、4℃で2h撹拌し、低濃度のNaHPO溶液のPHを弱酸性に調節し、等体積のグリセリンを入れて使用に備えた。
4.6 ELISA法による抗体2B11とproBDNFの結合の種属特異性の測定
実験群1:PBS(0.01M PB、0.15M NaCl、pH7.4)で実施例1で得られた精製されたヒトproBDNFタンパク質を希釈した。
実験群2:PBS(0.01M PB、0.15M NaCl、pH7.4)で原核発現のマウスproBDNF(Alomone labs社から購入)を希釈した。
実験群3:PBS(0.01M PB、0.15M NaCl、pH7.4)で実施例3における真核発現のラットproBDNF前駆体ドメインを希釈した。
実験群1、2および3の希釈したタンパク質をそれぞれ50μl(50ng)の体積および質量で4℃で一晩コーティングした。その後、上清を捨て、各ウェルをPBSで2回洗浄し、さらに5%の粉乳を含有するPBSで37℃で2時間ブロッキングした。上清を捨て、希釈した実施例4.5における西洋ワサビペルオキシダーゼ標識の2B11抗体を1μg/mlで50μl入れ、37℃で1時間結合させた。上清を捨て、各ウェルを0.5%のTween−20を含有するPBSTで3回洗浄した後、ABTS基質を入れて15分間呈色させ、マイクロプレートリーダーで405nmにおける吸光度値を測定した。吸光度値が陰性コントロールウェルの読み取り値の3倍以上よりも高い場合を陽性とした。
図5に示すように、クローン2B11は本発明における実施例1で製造されたヒトproBDNFタンパク質および市販のマウスproBDNFタンパク質ならびに実施例3における真核発現のラットproBDNF前駆体ドメインのいずれとも結合した。
4.7 ELISA法によるクローン2B11の抗体サブタイプの測定
分類する抗体の数によって6つの実験群を設け、各実験群の各ウェルに希釈した原核発現のヒトproBDNF(50ng)タンパク質を入れ、体積が50μlで、4℃で一晩コーティングした。上清を捨て、各ウェルをPBS(0.01M PB、0.15M NaCl、pH7.4)で2回洗浄し、5%の粉乳を含有するPBSで37℃で2時間ブロッキングした。上清を捨て、各ウェルに希釈した上記精製された2B11クローンの抗体を1μg/mlで50μl入れ、37℃で1時間結合させた。その後、上清を捨て、各ウェルを0.5% Tween−20を含有するPBSTで3回洗浄した後、実験群1〜6に対して相応の6種類の分類抗体(Sigma-Aldrich社から購入):ヒツジ抗マウスIgG1、ヒツジ抗マウスIgG2a、ヒツジ抗マウスIgG2b、ヒツジ抗マウスIgG3、ヒツジ抗マウスIgAおよびヒツジ抗マウスIgMを入れ、37℃で1時間結合させた。上清を捨て、さらに各ウェルを0.5%のTween−20を含有するPBSTで3回洗浄した後、HRPで標識されたロバ抗ヒツジ第二抗体を50μl入れ、37℃で1時間結合させた。上清を捨て、各ウェルを0.5%のTween−20を含有するPBSTで5回洗浄した後、ABTS基質を入れて15分間呈色させ、マイクロプレートリーダーで405nmにおける吸光度値を測定した。吸光度値が陰性コントロールウェルの読み取り値の3倍以上よりも高い場合を陽性とした。図6に示すように、クローン2B11はIgG1型と同定された。
実施例5 モノクローナル抗体2B11のシークエンシング
5’−RACE法で2B11の配列をクローニングしてシークエンシングした(具体的な操作はTakara 5’-full RACE Kitの説明書を参照する)。アルカリホスファターゼ(CIAP)で全RNAにおける露出した5’リン酸基に対して脱リン酸反応をさせた。全RNAの使用量は2μgで、反応後フェノール/クロロホルムで抽出して回収した。タバコ酸性ピロホスファターゼ(Tobacco Acid Pyrophosphatase、TAP)でmRNAの5’キャップ構造を脱離させ、一つのリン酸基を残した。T4 RNAリガーゼで5’RACE AdaptorをmRNAに連結し、反応後フェノール/クロロホルムで抽出して回収した。逆転写酵素で逆転写反応を行い、使用されたプライマーはキットで提供されたRandom 9 mersである。
逆転写産物を鋳型とし、高正確性酵素で目的遺伝子をPCR増幅し、使用されたプライマーは以下の通りである。
5’:5’RACE Outer Primer(CATGGCTACATGCTGACAGCCTA)、キットで提供;(配列番号:19)
3’:
重鎖:mIgG1−out primer(CCAGAGTTCCAGGTCACTGTCACT)(配列番号:20)
軽鎖:mκ−out primer(AGGTGCTGTCTTTGCTGTCCTG)(配列番号:21)
上記増幅で得られたPCR産物を鋳型とし、ネステッドPCRを行った。使用されたプライマーは以下の通りである。
5’:
5’RACE Inner Primer(CGCGGATCCACAGCCTACTGATGATCAGTCGATG)、キットで提供(配列番号:22)
3’:
重鎖:mIgG1−inner primer(CCAGGGTCACCATGGAGTTAGTTT)(配列番号:23)
軽鎖:mκ−inner primer(GTTCAAGAAGCACACGACTGAGG)(配列番号:24)
上記増幅で得られたPCR産物を精製し、TAクローン(pGEM-T Easy Vector Kit、promega社から購入。方法は当該キットの操作手順を参照する。)によって、それぞれTeasy−2B11VHおよびTeasy−2B11Vκベクターを得た後、シークエンシングによってモノクローナル抗体2B11の重鎖および軽鎖の配列を得た。重鎖および軽鎖の配列は、それぞれ配列番号9および配列番号10で表される。KabatManによって重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域の配列は、それぞれ配列番号7および配列番号8で表されると確認された。Kabat番号付けによって重鎖の可変領域のCDR1、CDR2、CDR3の配列は、それぞれ配列番号1〜3で表され、軽鎖の可変領域のCDR1、CDR2、CDR3の配列は、それぞれ配列番号4〜6で表されると確認された。
実施例6 キメラ抗体ベクターpH−CH2B11およびpK−CH2B11の構築および結合活性の初歩的同定
6.1 ベクターpH−CH2B11の構築
本発明の実施例5で構築されたベクターTeasy−2B11VHを鋳型とし、以下のプライマーでPCR増幅を行った。
2BVHF(5’−ggctgttcacagcctttcctggtttcctgtctgaggtgaaggtggtggag−3’)配列番号:25および
2BVHR(5’−cgatgggcccttggtggaggctgaggagacggtgactg−3’)配列番号:26
2B11抗体の重鎖の可変領域を得た。
同時に、抗体ベクターpH−EGFRvIII(すなわちpH−CH12、このベクターの構築方法はPCT/CN2009/074090の実施例7.1を参照する)を鋳型とし、PCR増幅を行った。
プライマーFcF(5’−gcctccaccaagggcccatcggtcttccccctgg−3’)配列番号:27および
プライマーPIHR(5’−cgcttttgagagggagtactcac−3’)配列番号:28
ヒトIgG1の定常領域を得た。
上記2つのPCR増幅の断片を回収した後、架橋し、さらに以下のプライマーでPCR増幅を行った。
Nhe(5’−cctagctagccaccatgagagtgctgattcttttgtggctgttcacagcctttcct−3’)配列番号:29および
前記プライマーPIHR 配列番号:28
産物のアガロースゲルを回収した後、NheIおよびNotI(NEB社から購入)で二重酵素切断し、同様に二重酵素切断されたベクターpHに連結し、キメラの2B11重鎖を含む発現プラスミドpH−CH2B11を得、PCR同定およびシークエンシング確認を行った。
6.2 ベクターpK−CH2B11の構築
本発明の実施例5で構築されたベクターTeasy−2B11Vκを鋳型とし、以下のプライマーでPCR増幅を行った。
2BVκF(5’−cttgcattcttgttgctttggtttccaggtgcaagatgtgacatccagatgactc−3’)(配列番号:30)および
2BVκR(5’−agccaccgtacgttttatttccaactttg−3’)(配列番号:31)
モノクローナル抗体2B11の軽鎖の可変領域を得、断片を回収し、さらに以下のプライマーで上記増幅断片を増幅した。
Eco(5’−gatcgatatccaccatggacatgatggtccttgctcagtttcttgcattcttgttg−3’)(配列番号:32)および
2BVκR(配列番号:31)
得られた増幅産物のアガロースゲルを回収した後、EcoRVおよびBsiWI(NEB社から購入)で二重酵素切断し、同様に二重酵素切断されたベクターpKに連結し、キメラの2B11軽鎖を含む発現プラスミドpK−CH2B11を得、PCR同定およびシークエンシング確認を行った。
実施例7 キメラ抗体ベクターCH2B11の構築および結合活性の初歩的同定
上記構築された発現ベクターpH−CH2B11およびpK−CH2B11を懸濁細胞CHOにコトランスフェクトして発現させ、3日後培養した細胞の上清を収集した。培養したCHO細胞の上清に発現されたキメラ抗体CH2B11が含まれた。
培養した細胞の上清を取ってELISA結合実験を行った。コーティングした本発明実施例1で製造されたヒトproBDNFタンパク質の実験群1だけで、後で各ウェルに相応の8つのモノクローナル抗体のクローンではなく、本実施例における細胞上清の勾配希釈液を入れた以外、実験方法は基本的に本発明実施例4.4の方法と同様である。同様に吸光度値が陰性コントロールウェルの読み取り値の3倍以上よりも高い場合を陽性とした。
実験結果は、図7に示すように、キメラ抗体CH2B1の培養したCHO細胞の上清液は1:32で希釈された後も、ヒトproBDNFと結合する活性を示した。
実施例8 モノクローナル抗体2B11の鎮痛作用
8.1 2B11静脈注射のホルマリンによって誘発される二相性の疼痛に対する軽減
SDラット(体重200−250g)を2B11群とブランクコントロール(本実験では同体積のPBSをブランクコントロール群とした)群に分けた。モデル構築は、主に1%ホルマリンをマウスの足底に50μl注射する方法を使用した。モデル構築の半時間前に、尾静脉から2B11(75μg/kg)または等量のブランクコントロールを注射した。尾静脉投与の形態は、ラットの尻尾を温かい水で洗浄した後、ポビドンヨードで駐車する部位を消毒し、注射量の薬物を入れた無菌1mL注射器で、やや負圧で尻尾と約10度の角度から刺し、突破感が現れて暗赤色の血液が注射器に入ったとき、2B11を濃度500μg/kgで計300μL注射した。
ホルマリンによる炎症性疼痛のモデル構築方法は、主にBellasio Sらの方法を参照し、まずマウスを透明樹脂ガラス箱(30×20×20cm)に入れて30min慣れさせた後、その右後ろ足底に1%ホルマリン溶液を50μl皮下注射し、注射後すぐ箱に戻し、同時に5minおきに、注射後1h以内でマウスが注射した足を舐めるか噛む時間を記録した。足底へのホルマリンの皮下注射は、典型的な急性炎症性疼痛モデルで、このモデルでは動物は特殊な自発的な疼痛行為を表し、足を舐めるか噛む行為で、足を舐めるか噛む時間が長ければ長いほど、疼痛の程度が強いことを示す。このような自発的な疼痛行為は、通常、2相に分かれ、第1相は注射後0〜5minに、第2相は注射後15〜60minに現れ、2相の間に間欠期が現れる。中では、第2相は疼痛感作(中枢性感作)の機序に関連すると思われる。
図8および相応の下記表1のデータが示すように、2B11群では、第1相の足を舐める時間はブランクコントロール群よりも短縮したが、第2相は、2B11群では、動物の足を舐める時間はブランクコントロール群よりも顕著に減少し、2B11がホルマリンの第2相に顕著な鎮痛効果があることが示された。(**、P<0.01、コントロール群と比較する)。
8.2 2B11静脈注射のCFA(完全フロイントアジュバント)によって誘発される慢性炎症性疼痛に対する軽減
本実験では、2B11のCFAによって誘発される慢性炎症性疼痛に対する作用を観察した。CFAの足底注射によって誘発される疼痛は、典型的な慢性炎症性疼痛モデルで、持続時間が長い。足底にCFAを注射した後、ラットの機械的痛覚閾値を低下させ、持続時間は3週間超である。
実験の群分けは、実施例8.1と同様である。モデル構築の1日前に、Von Freyフィラメント法でそのラットの逃避閾値(Paw Withdrawal Threshold、PWT)を観察した。Von Freyフィラメントは、1896年にMaximilian von Freyによって設計された、触覚測定装置である。フィラメントは異なる直径のナイロンフィラメントで、使用時これらのフィラメントを皮膚(または動物の足底などの測定部位)と接触させてある程度の力でフィラメントをS状に曲がらせる。フィラメントを曲がらせる力は持続的なものだと思われるため、これらのフィラメントは正確に測定領域に加わった力を反映する。Von Freyフィラメントは、各種類の疼痛後機械的痛覚感作の測定に最も使われる道具の一つである。
ラットまたはマウスの後ろ足にVon Freyフィラメントで痛覚閾値を測定する具体的な方法は以下の通りである。
Chaplandらの方法を参照し、ラットを上げた網状の金属ネットに置き、実験者が自由に後ろ足底に接触できるようにし、透明の有機ガラスカバーをし、実験を始める前にラットの毛の整理および探究活動が基本的になくなるようにラットを30分間環境に慣れさせ、実験時間は8:00〜16:00で、実験のときは光線が十分で、環境は静かで、温度は適当であった。
実験を開始するとき、Up and Down法[dixon,Dixon WJ. Efficient analysis of experimental observations. Annu Rev Pharmacol Toxicol, 1980, 20: 441-62]で、9本の異なる強度のVon freyフィラメント(0.6、1、1.4、2、4、6、8、10、15g)を使用し、2Gから、順に下から上に垂直にラットの損傷側の後ろ足のひらの中央領域を刺激し、そのフィラメントをS状に軽く曲がらせ、そのまま6〜8秒維持し、前回の刺激の行動学的反応が正常に戻るように、連続の2回の刺激の間に30秒の間隔を置いた。その損傷側の後ろ足の逃避反射を観察し、ラットが刺激の時間内でまたはvon Freyフィラメントを取る時にすぐ現れた快速の逃避反射を陽性反応としたが、身体活動、たとえば移動による逃避反射を陽性とせず、この場合その回の測定を繰り返した。ラットにこの陽性反応が現れなかった場合、その上の大きい目盛りのフィラメントを選んで足底を刺激し、陽性反応が現れた場合、その下の小さい目盛りのフィラメントを選んで刺激し、このように繰り返し、刺激の上限と下限はそれぞれ15Gと0.6Gであった。Dixonによって紹介されたUp and down方法で50%PWTを推算した。ラットに測定時間内でまたはvon Freyフィラメントを取る瞬間に快速の逃避反射または足を舐める反応が現れたら、陽性反応とし、「×」で表し、反応がなかったら、陰性反応とし、「○」で表す。以上の測定方法によって、一連の「○」と「×」からなる配列が得られ、「×」が現れる前の「○」を起点とし、当該起点を含む6回の連続の刺激反応、たとえば、「OXOXOO」を選び、50%PWTを推算する重要な配列とした。しかし、当該配列は6回ではなくてもよく、ラットの異なる強度のフィラメントに対する反応によって、配列の組成の最小値は4回、たとえば「XXXX」で、ラットの2.0〜0.6Gの強度の範囲内の刺激はいずれも陽性でもよく、6回で、2.0〜15Gの範囲内の強度の刺激はいずれも陰性でもよい。連続の陽性または陰性反応が現れたラットの50%PWTはそれぞれ0.6Gと15Gとされるが、陽性反応も陰性反応も現れた場合の50%PWTは以下の式で推算される。
50% g 閾値 = (10 [Xf+kδ])/10,000
ここで、Xf=最後の陽性反応を起こしたフィラメントの対数値(フィラメントに示してある)、K=陽性/陰性反応の組み合わせの定数(表を参照)、δ=刺激間の平均差(対数値、ここでは0.224)である。
各実験群のマウスに足底から100μLのCFAを注射した後、CFA注射後の5日目までに、尾静脈からそれぞれ2B11(75μg/kg・日)またはPBSを12時間おきに投与した。注射後から術後の5日目まで、異なる時点でPWTの変化を観察した。
図9および相応の下記表3のデータが示すように、ブランクコントロール群では、マウスはCFAの足底注射後、後ろ足の逃避閾値PWTが基礎値よりも顕著に低下し、注射後の5日目まで続いた。一方、2B11群では、マウスはCFA注射後の2日目でブランクコントロール群に対して顕著に改善し、かつPWT値が高くなっていき、注射後の5日目に、2B11群のPWTがコントロール群よりも顕著に高かった。これは、2B11が顕著にCFAによる慢性炎症性疼痛を軽減すること示した(図9)。*、p<0.05、コントロール群と比較する。**、p<0.01、コントロール群と比較する。
8.3 2B11の静脈注射の切創様痛に対する作用
ラットの後ろ足切創様痛のモデルは、外科で疼痛に最も使用される動物モデルである。ラットの後ろ足を切った後、ラットは切られた側の肢体を上げ、体重を支えることができない一方、足を舐める。そのため、よく疼痛スコアで切った後の痛みの程度を表す。通常、1時間で計算し、5分間おきに、ラットの着地の状況を観察し、後ろ足を上げ続ける場合、2点とし、着地するが体重を支えることができない場合(カゴの網が変形するかを基準とする)、1点とし、完全に着地して体重を支えることができない場合、0点とし、点数が高いほど、疼痛程度が高いことを示す。足切創様痛の評価は、よく累積疼痛スコア(cumulative pain score、CPS)がよく使用される。CPSが高いほど、疼痛強度が強い。一方、切った後、機械痛覚閾値も低下する。そのため、この2つの方法によってproBDNFモノクローナル抗体(2B11)の切創様痛に対する作用を評価した。
実験の群分けは、実施例8.1と同様である。施術の15分間前に、尾静脈注射で500μg/kgの2B11を投与し、術後の異なる時点でラットの疼痛スコア(図10および相応の下記表4)および後ろ足の機械痛覚閾値(図11および相応の下記表5)を観察し、以下のことがわかった。
2B11実験群では、マウスの切る手術の1hr後から測定した疼痛スコアは、ブランクコントロール群よりも顕著に低く、特に切る手術の3hr後で差が最も顕著で、手術の6時間後も、2B11群の疼痛スコアがブランクコントロール群よりも顕著に低かった。
2B11実験群では、マウスの切る手術の3hrおよび6hr後から測定した機械痛覚閾値はブランクコントロール群よりも顕著に高かった。
上記表4および5の結果を合わせると、本発明のモノクローナル抗体2B11は切創様痛に対して顕著な優れた鎮痛作用を有することがわかる。
8.4 2B11腹腔注射の酢酸腹腔注射によって誘発される内臓痛に対する軽減
マウスは酢酸を腹腔注射された後、主な所見は腹壁収縮、ピンと伸ばすなどのライジング反応で(Writhing Test)、特に注射1時間後は最も顕著で、酢酸を注射した後1時間以内のライジング反応を観察するのは、鎮痛薬のスクリーニングに最も使用されるモデルの一つである。6%醋酸(0.2ml)を腹腔注射すると、マウスに化学性内臓痛が起こる。
実験の群分けは、実施例8.1と同様である。酢酸注射の30分間前に、各実験群のマウスにそれぞれ腹腔注射によって本発明のモノクローナル抗体2B11(500ug/kg、0.2ml)または同体積のブランクコントロール(ここはPBS)を投与した。
図12および相応の下記表6のデータが示すように、2B11実験群のマウスはブランクコントロール群よりも現れたライジング反応が顕著に減少し、これは本発明のモノクローナル抗体2B11で前処理すると酢酸腹腔注射によって誘発される内臓痛を軽減できることを示す。

Claims (17)

  1. 特異的にpro−BDNFタンパク質前駆体ドメインの19〜128番目のアミノ酸を認識する抗体ポリペプチドであって、
    1)以下のアミノ酸配列:
    (a)配列番号1で表されるCDR1領域、
    (b)配列番号2で表されるCDR2領域、
    (c)配列番号3で表されるCDR3領域
    を含有する重鎖の可変領域、および/または
    2)以下のアミノ酸配列:
    (d)配列番号4で表されるCDR1領域、
    (e)配列番号5で表されるCDR2領域、
    (f)配列番号6で表されるCDR3領域
    を含有する軽鎖の可変領域
    を含む、前記抗体ポリペプチド。
  2. モノクローナル抗体である、請求項1に記載の抗体ポリペプチド。
  3. 重鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号7である、請求項1または2に記載の抗体ポリペプチド。
  4. 軽鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号8である、請求項3に記載の抗体ポリペプチド。
  5. 重鎖のアミノ酸配列が配列番号9である、請求項1または2に記載の抗体ポリペプチド。
  6. 軽鎖の可変領域のアミノ酸配列が配列番号10である、請求項5に記載の抗体ポリペプチド。
  7. ヒト化の抗体ポリペプチド、キメラの抗体ポリペプチド、親和性成熟の抗体ポリペプチド、またはその一種または複数種の組み合わせから選ばれる、請求項2に記載の抗体ポリペプチド。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗体ポリペプチドと競合する、抗体ポリペプチド。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体ポリペプチドをコードする、核酸配列。
  10. 抗体ポリペプチドの重鎖の可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号11で表され、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号12で表される、請求項9に記載の核酸配列。
  11. 抗体ポリペプチドの重鎖のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号13で表され、軽鎖のアミノ酸配列をコードする核酸が配列番号14で表される、請求項10に記載の核酸配列。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の核酸配列を含む、ベクター。
  13. 請求項12に記載のベクターを含む、宿主。
  14. 特異的にpro−BDNF前駆体ドメインを認識する一種または複数種の抗体ポリペプチドの使用であって、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群、およびその組み合わせから選ばれる慢性疼痛を緩和および/または抑制する薬物の製造における、前記使用。
  15. 術後疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、幻肢痛、糖尿病性疼痛、神経病理性疼痛、慢性腰背痛、慢性内臓痛、癌性痛、関節炎性疼痛、頭蓋顔面痛、三叉神経痛、片頭痛、複合性局所疼痛症候群、およびその組み合わせから選ばれる疼痛を緩和および/または抑制する薬物の製造における、請求項1〜8のいずれか一項に記載の一種または複数種の抗体ポリペプチドの使用。
  16. 有効量の請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗体ポリペプチドを含む、薬物組成物。
  17. 静脈または腹腔注射の形態によって投与される、請求項16に記載の薬物組成物。
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