JP2017228888A - 非接触通信媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンテナコイルの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して信頼性を高めた非接触通信媒体を提供する。【解決手段】非接触ICカード10は、誘電体からなるフィルム基材20と、フィルム基材20の少なくとも一方の面に設けられるアンテナコイル40と、アンテナコイル40を介して無線通信処理を行うICチップ30と、を備えている。非接触ICカード10のアンテナコイル40の最内周側及び最外周側には、アンテナ補強部となる内側コイル部分41及び外側コイル部分42が設けられており、内側コイル部分41及び外側コイル部分42の線幅W1がアンテナコイル40の他のコイル部分の線幅W1よりも広くなっている。【選択図】図1
Description
本発明は、非接触通信媒体に関し、特にHF帯の信号を用いて無線通信を行う非接触ICカードや非接触ICタグ等に関する。
HF帯(例えば13.56MHz)の信号を用いて無線通信を行う非接触ICカードが知られている(例えば特許文献1参照)。このような非接触ICカードは、金属箔が貼り合わされたフィルム基材を等間隔でエッチングして形成される平面アンテナコイルを有しており、この平面アンテナコイルの両端部に非接触通信機能を有するICが接続される。そして、非接触ICカードは、ICが接続された平面アンテナコイルを介して外部機器(リーダライタ)と非接触通信を行う。
このような非接触ICカードでは、通信規格等(図7参照)によりアンテナコイルを設置できる領域が限られている場合がある一方で、通信性能を向上させるためコイル巻数を増やす又は所望のコイル巻数を実現することが求められていることから、アンテナコイルの線幅を狭く設計する必要がある。しかしながら、アンテナコイルの線幅が狭いと、ICカードに対して外部から物理的な負荷(曲げや捻れ)が加わった場合にコイルの断線が発生し、非接触通信ができなくなる虞がある。
本発明は、上述した課題を解決するためのものであり、アンテナコイルの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して信頼性を向上させた非接触通信媒体を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る非接触通信媒体は、誘電体からなるフィルム基材と、フィルム基材の少なくとも一方の面に設けられるアンテナコイルと、アンテナコイルを介して無線通信処理を行うICチップと、を備えており、アンテナコイルの最内周側及び最外周側の少なくとも一方にアンテナ補強部が設けられている。
本発明者によれば、非接触通信媒体に対して外部から負荷が加わった場合、アンテナコイルの最外周又は最内周側を起点としてコイルの断線が発生しやすいことがわかってきている。そこで、この非接触通信媒体では、アンテナコイルの最内周側及び最外周側の少なくとも一方にアンテナ補強部を設けるようにしている。このため、この非接触通信媒体によれば、アンテナコイルの断線の起点の生成を抑制することができるため、その後の断線を生じさせづらくすることができる。また、この非接触通信媒体であれば、アンテナコイルの最外周側又は最内周側といった局所領域でコイルの断線が抑制されていることから、それ以外の領域におけるアンテナコイルの線幅を狭くして、アンテナコイルの巻数を増やすことが比較的容易に行える。以上により、本発明の一形態に係る非接触通信媒体によれば、アンテナコイルの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して、信頼性を向上させることが可能となる。
上記の非接触通信媒体において、アンテナ補強部は、アンテナコイルの最内周に位置する内側コイル部分及び最外周に位置する外側コイル部分の少なくとも一方を含み、当該内側コイル部分又は外側コイル部分の線幅がアンテナコイルの他のコイル部分の線幅よりも広くなっていてもよい。この場合、アンテナ補強部である内側コイル部分又は外側コイル部分の線幅を、アンテナコイルの他の部分の線幅よりも広くするため、その強度が強くなり、コイル断線の起点になりづらくなる一方、アンテナコイルの他の部分の線幅は狭く設計することができるため、アンテナの巻数を比較的容易に増やすことができる。このため、この非接触通信媒体によれば、アンテナコイルの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して、信頼性を向上させることが可能となる。なお、上記の場合において、アンテナ補強部である内側コイル部分又は外側コイル部分の線幅は、アンテナコイルの他のコイル部分の線幅の1.2倍〜2.0倍の広さであることが好ましい。この場合、アンテナコイルの強度と巻数とのバランスをよくすることができ、通信特性が良好で信頼度の高い非接触通信媒体を提供することが可能となる。
上記の非接触通信媒体は、アンテナコイルの最内周の内側及び最外周の外側の少なくとも一方に設けられたループ状の第1の配線パターンを更に備えてもよく、第1の配線パターンは、アンテナコイルから独立し且つ非閉ループのパターンであり、当該第1の配線パターンがアンテナ補強部であってもよい。この場合、アンテナ補強部であるループ状の第1の配線パターンをアンテナコイルと独立してその手前に備えることになるため、アンテナコイルの断線の起点が生成されづらくなり、その一方、アンテナコイルの線幅は狭く設計することができるため、アンテナの巻数を増やすことが比較的容易にできる。このため、この非接触通信媒体によれば、アンテナコイルの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して、信頼性を向上させることが可能となる。なお、この非接触通信媒体では、第1の配線パターンが非閉ループであることから、渦電流の発生を防止できるので、アンテナコイルによる非接触通信が妨害されることもない。
上記の非接触通信媒体は、フィルム基材の厚さ方向から視た際に、アンテナコイルの最内周に位置する内側コイル部分及び最外周に位置する外側コイル部分の少なくとも一方の一部に重なるようにフィルム基材の他方の面に配置されるループ状の第2の配線パターンを更に備えてもよく、この第2の配線パターンは、非閉ループのパターンであり、当該第2の配線パターンがアンテナ補強部であってもよい。この場合、アンテナ補強部であるループ状の第2の配線パターンをアンテナコイルとは独立して備えているため、アンテナコイル断線の起点が生成されづらくなり、その一方、アンテナコイルの線幅は狭く設計することができるため、アンテナの巻数を増やすことが比較的容易にできる。このため、この非接触通信媒体によれば、アンテナコイルの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して、信頼性を向上させることが可能となる。なお、この非接触通信媒体では、第2の配線パターンが非閉ループであることから、渦電流の発生を防止することができるので、アンテナコイルによる非接触通信が妨害されることもない。
上記の非接触通信媒体は、第1の方向に延びるように形成され、非接触通信媒体の筐体を保護する保護部材を更に備えてもよく、アンテナ補強部は、第1の方向と交差する第2の方向に沿って設けられてもよい。この場合、非接触通信媒体の筐体保護に用いられる保護部材による補強を利用して、その補強が及ばないアンテナ領域をアンテナ補強部で補強することになるので、アンテナコイルの配置領域をより多くとることができ、アンテナコイルの巻数の増加や線幅の増加などを行うことが可能となる。なお、この場合において、アンテナ補強部は、第2の方向に沿ってのみ設けられていることが好ましい。
上記の非接触通信媒体は、アンテナコイルの最内周の終端及び最外周の終端の両端部に設けられる平行平板電極を更に備えてもよい。この場合、容量結合型の平行平板電極を用いてアンテナコイルの両端を接続することができるので、アンテナコイルの両端部を裏面に設けたジャンパ線のみで接続した場合(カシメ等により接続した場合)に比べて、フィルム基材に熱膨張等が発生した際の接続信頼性を高く維持しておくことが可能となる。つまり、非接触通信媒体のアンテナに曲げや捻れ等の物理的なストレスが加わった場合であても、アンテナコイルの最内周側又は最外周側を起点としたコイル断線を発生しにくくして、非接触通信媒体の信頼性を向上させることができる。なお、この場合において、平行平板電極は、アンテナコイルの最内周又は最外周に沿うように形成されていることが好ましい。この場合、平行平板電極をアンテナコイルの一部としても機能させることができるため、アンテナコイルの巻数を更に増加させることができる。
上記の非接触通信媒体では、アンテナコイルは、フィルム基材の表面のうちその総面積の少なくとも半分を占める中央領域にかからないようにフィルム基材の表面の外枠領域に設けられていてもよい。この場合、ID1Class1等の規格で規定されたアンテナ構成を容易に採用することができる。
本発明によれば、アンテナコイルの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して信頼性を高めた非接触通信媒体を提供することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る非接触通信媒体について、非接触ICカードを例にとって詳細に説明する。本発明に係る非接触通信媒体は非接触ICカードに限られず、非接触ICタグなどその他の非接触通信媒体であってもよい。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。
[第1実施形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図である。図1では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、カード基材は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET−G)等の絶縁性や耐久性を備えた材料から構成される。
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図である。図1では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、カード基材は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET−G)等の絶縁性や耐久性を備えた材料から構成される。
非接触ICカード10は、主にHF帯(例えば13.56MHz)の信号を用いてリーダーライター等の外部読み書き装置(不図示)との間でRFID技術を用いて非接触通信を行うことができるRFID付き無線通信媒体である。非接触ICカード10は、図1に示すように、矩形形状のフィルム基材20を備えている。フィルム基材20の表面21上にはICチップ30及びアンテナコイル40が配置され、フィルム基材20の裏面22上にはジャンパ線50が配置されている。
フィルム基材20は、誘電体からなる基材であり、ポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエチレンテレフタレート共重合体(PET−G)等の絶縁性や耐久性を備えて構成されている。フィルム基材20の表面21には、エッチング等による加工前には金属箔が貼り合わされており、これら金属箔をエッチング等によって加工して、アンテナコイル40を形成する。
ICチップ30は、例えばID情報が格納されたICタグから構成される。ICチップ30は、フィルム基材20の表面21上においてアンテナコイル40の経路上に配置され、その両端子がアンテナコイル40に接続される。ICチップ30は、導通されたアンテナコイル40を介して無線通信処理を行い、外部読み書き装置との間で所定の信号の授受を行う。
アンテナコイル40は、リーダ―ライター等の外部読み書き装置のアンテナと電磁結合して非接触の無線通信を行うための平面渦巻き(ループ)状のアンテナである。アンテナコイル40は、この無線通信により、信号の授受及び電力の受給を非接触状態で行う。アンテナコイル40は、フィルム基材20の表面21上に配置された導体(金属箔)から形成される。具体的には、例えば厚さ15μm〜50μmのフィルム基材20の表面21側に貼り合わされた厚さ5μm〜50μmの銅箔又はアルミ箔をエッチングすることにより、パターン形成される。
また、アンテナコイル40は、その最外周及び最内周の線幅W1がその他の部分の線幅W2よりも広くなるように形成されている。アンテナコイル40には、このような線幅W1が他の部分の線幅W2よりも広くなっている内側コイル部分41と外側コイル部分42とが、その最内周又は最外周に設けられている。内側コイル部分41及び外側コイル部分42は、このような広い線幅W1によってアンテナコイル40の断線の起点が生成されることを抑制し、これにより、アンテナ補強部として機能する。内側コイル部分41及び外側コイル部分42の線幅W1は、例えば、他の部分の線幅W2(例えば0.5mm幅以下)の1.2倍〜2.0倍の広さであることが好ましい。なお、アンテナコイル40のアンテナ補強部として、図1では、内側コイル部分41及び外側コイル部分42の両方を設けた例を示したが、内側コイル部分41又は外側コイル部分42の一方を設けるようにしてもよく、この場合、外側からの方が内側からよりも力が加わりやすいため、少なくとも外側コイル部分42を設けておくことが好ましいが、内側コイル部分41のみを設けるようにしてもよい。
ジャンパ線50は、このような構成を備えたアンテナコイル40の両端をフィルム基材20の裏面22上において互いに連結する配線である。ジャンパ線50は、対向するアンテナコイル40との間の静電容量を小さくすることが好ましいため、その幅は出来るだけ細いことが好ましく例えば1〜3mm程度である。このようなジャンパ線50は、アンテナコイル40の両端に対して例えばカシメ等を行うことにより、接続される。
以上、本実施形態に係る非接触ICカード10によれば、例えば図6に示す非接触ICカード100のアンテナコイル140と比較して、アンテナ補強部である内側コイル部分41及び外側コイル部分42の線幅W1がアンテナコイル40の他のコイル部分の線幅W2よりも広くなる構成となっている。このように、内側コイル部分41及び外側コイル部分42の線幅W1をアンテナコイル40の他の部分の線幅W2よりも広くしているため、その強度が強くなり、コイル断線の起点になりづらくなる。その一方、アンテナコイル40の他の部分の線幅W2は狭く(例えば0.5mm以下で)設計することができるため、例えば図7に示すような規格(ID1Class1等)におけるアンテナ設置領域でのアンテナ巻数を比較的容易に増やす又は所望のアンテナ巻数とすることが比較的容易に実現できる。以上により、この非接触ICカード10によれば、アンテナコイル40の巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して、信頼性を向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る非接触ICカード10では、アンテナ補強部である内側コイル部分41及び外側コイル部分42の線幅W1が、アンテナコイル40の他のコイル部分の線幅W2の1.2倍〜2.0倍の広さであってもよい。この場合には、アンテナコイル40の強度と巻数とのバランスをより一層よくすることができ、通信特性が良好で信頼度の高い非接触ICカードを提供することが可能となる。
また、図7に示す規格では、49mm×81mmの全体形状を有するカードにおいて、アンテナ設置領域が34mm×64mmとなっており、アンテナコイル40は、フィルム基材20の表面のうちその総面積の少なくとも半分を占める中央領域(アンテナ非設置領域)にかからないようにフィルム基材20の表面21の外枠領域(アンテナ設置領域)に設けられていてもよい。この場合、上述したID1Class1等の規格で規定されたアンテナ構成を容易に採用することができる。
[第2実施形態]
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図2は、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図である。第1実施形態と同様に、図2では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、以下の説明では、第1実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
次に、図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図2は、本発明の第2実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図である。第1実施形態と同様に、図2では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、以下の説明では、第1実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
図2に示すように、非接触ICカード10aは、矩形形状のフィルム基材20を備えており、このフィルム基材20の表面21上にICチップ30及びアンテナコイル40aを備えており、フィルム基材20の裏面22上にジャンパ線50を備えている。非接触ICカード10aでは、アンテナコイル40aの構成は、図6に示す非接触ICカード100のアンテナコイル140と同様であるが、アンテナコイル40aの最内周の内側及び最外周の外側に、非閉ループ状の第1の内側配線パターン43,44及び第1の外側配線パターン45,46を更に備えている点で相違する。
第1の内側配線パターン43,44は、アンテナコイル40aの最内周に沿って、その内側に配置され、アンテナコイル40aから独立し、且つ、非閉ループのパターンとなっている。また、第1の外側配線パターン45,46は、アンテナコイル40aの最外周に沿って、その外側に配置され、アンテナコイル40aから独立し、且つ、非閉ループのパターンとなっている。これら第1の内側配線パターン43,44及び第1の外側配線パターン45,46は、アンテナコイル40aの線幅の1.2倍〜2.0倍の広さを有しており、第1実施形態の内側コイル部分41及び外側コイル部分42と同様に、アンテナコイル40aのアンテナ補強部として機能する。なお、第1の内側配線パターン43,44及び第1の外側配線パターン45,46の線幅は、アンテナコイル40aの線幅よりも細くてもよい。また、アンテナコイル40aのアンテナ補強部として、図2では、第1の内側配線パターン43,44及び第1の外側配線パターン45,46の両方を設けた例を示したが、第1の内側配線パターン43,44又は第1の外側配線パターン45,46の一方を設けるようにしてもよい。この場合、外側からの方が内側からよりも力が加わりやすいため、少なくとも第1の外側配線パターン45,46を設けておくことが好ましいが、第1の内側配線パターン43,44のみを設けるようにしてもよい。
以上、本実施形態に係る非接触ICカード10aによれば、例えば図6に示す従来の非接触ICカード100のアンテナコイル140と比較して、アンテナ補強部である第1の内側配線パターン43,44及び第1の外側配線パターン45,46を更に備えている。このようにアンテナ補強部であるループ状の第1の内側配線パターン43,44及び第1の外側配線パターン45,46をアンテナコイル40aと独立してその手前に備えることになるため、アンテナコイル40aの断線の起点が生成されづらくなる。一方、アンテナコイル40aの線幅は狭く(例えば0.5mm以下で)設計することができるため、図7に示すような規格において、アンテナの巻数を増やす又は所望のアンテナ巻数とすることが比較的容易にできる。このため、非接触ICカード10aによれば、アンテナコイル40aの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して、信頼性を向上させることが可能となる。また、図7に示す規格においては中央のアンテナ非設置領域はアンテナ自体の設置が制限されており、第1の内側配線パターン43,44等は配置することができる場合もあるため、その場合には、アンテナコイル40aの巻数を更に増加させることも可能である。なお、この非接触ICカード10aでは、第1の内側配線パターン43,44及び第1の外側配線パターン45,46が非閉ループであることから、渦電流の発生を防止できるので、アンテナコイル40aによる非接触通信が妨害されることもない。
[第3実施形態]
次に、図3(a)及び(b)を参照して、本発明の第3実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図3は、本発明の第3実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図であり、(a)はその表面側を示し、(b)はその裏面側を示す。第1及び第2実施形態と同様に、図3では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、図3(b)は、図3(a)に示す長手方向における中心線を軸として反転した裏側の図を示している。以下の説明では、第1及び第2実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
次に、図3(a)及び(b)を参照して、本発明の第3実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図3は、本発明の第3実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図であり、(a)はその表面側を示し、(b)はその裏面側を示す。第1及び第2実施形態と同様に、図3では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、図3(b)は、図3(a)に示す長手方向における中心線を軸として反転した裏側の図を示している。以下の説明では、第1及び第2実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
図3(a)及び(b)に示すように、非接触ICカード10bは、矩形形状のフィルム基材20を備えており、このフィルム基材20の表面21上にICチップ30及びアンテナコイル40aを備えており、フィルム基材20の裏面22上に第2の内側配線パターン47、第2の外側配線パターン48、及びジャンパ線50を備えている。非接触ICカード10bでは、アンテナコイル40aの構成は、図6に示す非接触ICカード100のアンテナコイル140と同様であるが、アンテナコイル40aの最内周及び最外周に対応するカード裏面側に、ループ状の第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48を更に備えている点で相違する。
第2の内側配線パターン47は、フィルム基材20の厚さ方向から視た際に、アンテナコイル40aの最内周に重なるように沿って、フィルム基材20の裏面22上に配置され、非閉ループのパターンとなっている。また、第2の外側配線パターン48は、アンテナコイル40aの最外周に重なるように沿って、フィルム基材20の裏面22上に配置され、非閉ループのパターンとなっている。これら第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48は、アンテナコイル40aの線幅の1.2倍〜2.0倍の広さを有しており、第1実施形態の内側コイル部分41及び外側コイル部分42等と同様に、アンテナコイル40aのアンテナ補強部として機能する。なお、第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48の線幅は、アンテナコイル40aの線幅よりも細くてもよい。また、非接触ICカード10bのアンテナ補強部として、図3では、第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48の両方を設けた例を示したが、第2の内側配線パターン47又は第2の外側配線パターン48の一方を設けるようにしてもよい。この場合、外側からの方が内側からよりも力が加わりやすいため、少なくとも第2の外側配線パターン48を設けておくことが好ましいが、第2の内側配線パターン47のみを設けるようにしてもよい。なお、第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48は、ジャンパ線50とは接続しないようになっている。
以上、本実施形態に係る非接触ICカード10bによれば、例えば図6に示す従来の非接触ICカード100のアンテナコイル140と比較して、アンテナ補強部である第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48を更に備えている。このようにアンテナ補強部であるループ状の第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48をアンテナコイル40aとは別の面(裏面22側)にその位置が対応するように備えることになるため、アンテナコイル40aの断線の起点が生成されづらくなる。一方、アンテナコイル40aの線幅は狭く(例えば0.5mm以下で)設計することができるため、図7に示すような規格において、アンテナの巻数を増やす又は所望のアンテナ巻数とすることが比較的容易にできる。このため、非接触ICカード10bによれば、アンテナコイル40aの巻数を確保しつつコイルの断線を抑制して、信頼性を向上させることが可能となる。なお、この非接触ICカード10bでは、第2の内側配線パターン47及び第2の外側配線パターン48が非閉ループであることから、渦電流の発生を防止できるので、アンテナコイル40aによる非接触通信が妨害されることもない。
[第4実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の第4実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図4は、本発明の第4実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図である。第1実施形態と同様に、図4では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、以下の説明では、第1実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
次に、図4を参照して、本発明の第4実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図4は、本発明の第4実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図である。第1実施形態と同様に、図4では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、以下の説明では、第1実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
図4に示すように、非接触ICカード10cは、矩形形状のフィルム基材20を備えており、このフィルム基材20の表面21上にICチップ30及びアンテナコイル40cを備えており、フィルム基材20の裏面22上にジャンパ線50を備えている。また、非接触ICカード10cでは、筐体23を保護する保護部材24,25をその両端に更に備えている。これら保護部材24,25は、例えば鉄やプラスチックなどの硬質材料を用いた補強板であり、図示上下方向に延びるように形成されている。
非接触ICカード10cでは、アンテナコイル40cの構成は、図1に示す非接触ICカード10のアンテナコイル40と略同様の構成であるが、アンテナコイル40cの最内周及び最外周のうち保護部材24,25が設置された方向では、線幅が他の部分の線幅W2と同じ広さになっている。一方、アンテナコイル40cの最内周及び最外周のうち、上下方向に直交(交差)する左右方向においては、第1実施形態の内側コイル部分41や外側コイル部分42と同様に、線幅W1がその他の部分の線幅W2よりも広くなるように形成されている。つまり、アンテナコイル40cには、このような線幅W1が他の部分の線幅W2よりも広くなっている内側コイル部分41a,41bと外側コイル部分42a,42bとが、その最内周又は最外周に設けられている。
以上、本実施形態に係る非接触ICカード10cは、所定の方向(図示上下方向)に延びるように形成され、非接触ICカード10cの筐体23を保護する保護部材24,25を更に備えており、アンテナ補強部は、所定の方向と直交(交差)する左右方向に沿って設けられている。このため、非接触ICカード10cの筐体保護に用いられる保護部材24,25による補強を利用して、その補強が及ばないアンテナ領域をアンテナ補強部で補強することになるので、アンテナコイル40cの配置領域をより多くとることができ、アンテナコイルの巻数の増加や線幅の増加などを行うことが可能となる。
[第5実施形態]
次に、図5(a)及び(b)を参照して、本発明の第5実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図5は、本発明の第5実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図であり、(a)はその表面側を示し、(b)はその裏面側を示す。第1〜第4実施形態と同様に、図5では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、図5(b)は、図5(a)に示す長手方向における中心線を軸として反転した裏側の図を示している。以下の説明では、第1実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
次に、図5(a)及び(b)を参照して、本発明の第5実施形態に係る非接触ICカード(非接触通信媒体)について説明する。図5は、本発明の第5実施形態に係る非接触ICカードの内部構成を示す平面図であり、(a)はその表面側を示し、(b)はその裏面側を示す。第1〜第4実施形態と同様に、図5では、非接触ICカードのうち主にICインレットに相当する部分を示しており、ICインレットをその内部に挟み込んで固定するカード基材は省略している。なお、図5(b)は、図5(a)に示す長手方向における中心線を軸として反転した裏側の図を示している。以下の説明では、第1実施形態との相違点を主に説明し、共通する点については説明を省略する場合がある。
図5(a)及び(b)に示すように、非接触ICカード10dは、矩形形状のフィルム基材20を備えており、このフィルム基材20の表面21上にICチップ30、アンテナコイル40d及び平行平板電極51,52を備えており、フィルム基材20の裏面22上に平行平板電極53,54及びジャンパ線55を備えている。非接触ICカード10dでは、アンテナコイル40dの構成は、図1に示す非接触ICカード10のアンテナコイル40と略同様であるが、アンテナコイル40dの最内周の終端及び最外周の終端に平行平板電極51,52が設けられている点で相違する。また、非接触ICカード10dでは、これら平行平板電極51,52とフィルム基材20の厚さ方向に対向して、その裏面22側に配置される平行平板電極53,54と、これらを繋ぐジャンパ線55とが更に設けられている点でも相違する。なお、この非接触ICカード10dでは、これらの平行平板電極51,53が対向して容量部を形成し、且つ、平行平板電極52,54が対向して容量部を形成し、これにより、アンテナコイル40dの両端が電気的に接続される。
平行平板電極51は、アンテナコイル40dの内側終端に接続されるように設けられている略L字形状の電極であり、アンテナコイル40dの内周に沿って配置されている。また、平行平板電極52は、アンテナコイル40dの外側終端に接続されるように設けられている略L字形状の電極であり、アンテナコイル40dの外周に沿って配置されている。非接触ICカード10dでは、このような幅広の平行平板電極51,52を備えていることから、第1実施形態と異なり、アンテナ補強部となる幅広の内側コイル部分41d及び外側コイル部分42dは、アンテナコイル40dの最内周又は最外周の略半分のみから構成されている。
平行平板電極53は、平行平板電極51とフィルム基材20の厚み方向に対向するようにその裏面22に設けられている略L字形状の電極である。また、平行平板電極54は、平行平板電極52とフィルム基材20の厚み方向に対向するようにその裏面22に設けられている略L字形状の電極である。そして、平行平板電極53,54は、その一端において、ジャンパ線55により接続されている。
以上、本実施形態に係る非接触ICカード10dは、アンテナコイルの最内周の終端及び最外周の終端の両端部に設けられる平行平板電極51〜54を更に備えている。このため、上述した第1〜第4実施形態での効果に加え、容量結合型の平行平板電極51〜54を用いてアンテナコイル40dの両端を接続することができるので、アンテナコイル40dの両端部を裏面22に設けたジャンパ線のみで接続した場合(第1実施形態等におけるカシメ等により接続した場合)に比べて、フィルム基材20に熱膨張等が発生した際の接続信頼性をより一層高く維持しておくことが可能となる。つまり、非接触ICカード10dのアンテナに曲げや捻れ等の物理的なストレスが加わった場合であっても、容量結合していることから、アンテナコイル40dの最内周側又は最外周側を起点としたコイル断線を発生しにくくして、非接触ICカード10dの信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る非接触ICカード10dでは、平行平板電極51〜54は、アンテナコイル40dの最内周又は最外周に沿うように形成されている。このため、平行平板電極51〜54をアンテナコイル40dの一部としても機能させることもできるため、アンテナコイルの巻数を更に増加させることができる。
以上、本実施形態に係る非接触ICカードについて説明してきたが、本発明に係るRFID付きの無線通信媒体は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形を適用することができる。例えば、上記実施形態では、アンテナ補強部の例をそれぞれ説明したが、第1実施形態〜第5実施形態のそれぞれのアンテナ補強部を適宜組み合わせて、複数のアンテナ補強部を備える非接触ICカードとしてもよい。
10,10a,10b,10c,10d…非接触ICカード(非接触通信媒体)、20…フィルム基材、24,25…保護部材、30…ICチップ、40,40a,40c,40d…アンテナコイル、41,41a,41b…内側コイル部分(アンテナ補強部)、42,42a,42b…外側コイル部分(アンテナ補強部)、43,44…第1の内側配線パターン(アンテナ補強部)、45,46…第1の外側配線パターン(アンテナ補強部)、47…第2の内側配線パターン(アンテナ補強部)、48…第2の外側配線パターン(アンテナ補強部)。
Claims (10)
- 誘電体からなるフィルム基材と、
前記フィルム基材の少なくとも一方の面に設けられるアンテナコイルと、
前記アンテナコイルを介して無線通信処理を行うICチップと、を備え、
前記アンテナコイルの最内周側及び最外周側の少なくとも一方にアンテナ補強部が設けられている、非接触通信媒体。 - 前記アンテナ補強部は、前記アンテナコイルの最内周に位置する内側コイル部分及び最外周に位置する外側コイル部分の少なくとも一方を含む、当該内側コイル部分又は外側コイル部分の線幅が前記アンテナコイルの他のコイル部分の線幅よりも広い、請求項1に記載の非接触通信媒体。
- 前記アンテナ補強部である前記内側コイル部分又は前記外側コイル部分の線幅は、前記アンテナコイルの他のコイル部分の線幅の1.2倍〜2.0倍の広さである、請求項2に記載の非接触通信媒体。
- 前記アンテナコイルの最内周の内側及び最外周の外側の少なくとも一方に設けられたループ状の第1の配線パターンを更に備え、
前記第1の配線パターンは、前記アンテナコイルから独立し且つ非閉ループのパターンであり、当該第1の配線パターンが前記アンテナ補強部である、請求項1〜3の何れか一項に記載の非接触通信媒体。 - 前記フィルム基材の厚さ方向から視た際に、前記アンテナコイルの最内周に位置する内側コイル部分及び最外周に位置する外側コイル部分の少なくとも一方の一部に重なるように前記フィルム基材の他方の面に配置されるループ状の第2の配線パターンを更に備え、
前記第2の配線パターンは、非閉ループのパターンであり、当該第2の配線パターンが前記アンテナ補強部である、請求項1〜4の何れか一項に記載の非接触通信媒体。 - 第1の方向に延びるように形成され、前記非接触通信媒体の筐体を保護する保護部材を更に備え、
前記アンテナ補強部は、前記第1の方向と交差する第2の方向に沿って設けられる、請求項1〜5の何れか一項に記載の非接触通信媒体。 - 前記アンテナ補強部は、前記第2の方向に沿ってのみ設けられる、請求項6に記載の非接触通信媒体。
- 前記アンテナコイルの最内周の終端及び最外周の終端の両端部に設けられる平行平板電極を更に備える、請求項1〜7の何れか一項に記載の非接触通信媒体。
- 前記平行平板電極は、前記アンテナコイルの最内周又は最外周に沿うように形成されている、請求項8に記載の非接触通信媒体。
- 前記アンテナコイルは、前記フィルム基材の表面のうち、その総面積の少なくとも半分を占める中央領域にかからないように、前記フィルム基材の表面の外枠領域に設けられている、請求項1〜9の何れか一項に記載の非接触通信媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016122635A JP2017228888A (ja) | 2016-06-21 | 2016-06-21 | 非接触通信媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2016122635A JP2017228888A (ja) | 2016-06-21 | 2016-06-21 | 非接触通信媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017228888A true JP2017228888A (ja) | 2017-12-28 |
Family
ID=60892276
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2016122635A Pending JP2017228888A (ja) | 2016-06-21 | 2016-06-21 | 非接触通信媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017228888A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019164050A (ja) * | 2018-03-20 | 2019-09-26 | トッパン・フォームズ株式会社 | 水分検知用非接触通信媒体 |
-
2016
- 2016-06-21 JP JP2016122635A patent/JP2017228888A/ja active Pending
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