JP2017226891A - 成膜装置およびそれを用いて成膜された基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板に成膜される成膜物質の量を同心円状に変化させられる成膜装置において、量産性を向上するする方法の提供。
【解決手段】基板107を保持する基板ホルダ103と、基板に成膜される膜の厚さを制御する遮蔽板104とを備える基板保持部105が複数設けられており、複数の基板保持部105は、回転可能に支持された支持部材102に設けられており、基板ホルダ103と遮蔽板104は、基板保持部105において相対的に回転可能に設けられており、複数の基板保持部105の1つにおける基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転は、第1の動力伝達手段によって少なくとも1つの他の基板保持部105に伝達される成膜装置としての蒸着装置100。基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的回転と支持部材102の回転の一方を他方に伝達する第2の動力伝達を更に有する成膜装置100。
【選択図】図1
【解決手段】基板107を保持する基板ホルダ103と、基板に成膜される膜の厚さを制御する遮蔽板104とを備える基板保持部105が複数設けられており、複数の基板保持部105は、回転可能に支持された支持部材102に設けられており、基板ホルダ103と遮蔽板104は、基板保持部105において相対的に回転可能に設けられており、複数の基板保持部105の1つにおける基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転は、第1の動力伝達手段によって少なくとも1つの他の基板保持部105に伝達される成膜装置としての蒸着装置100。基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的回転と支持部材102の回転の一方を他方に伝達する第2の動力伝達を更に有する成膜装置100。
【選択図】図1
Description
本発明は、同心円状の膜厚分布を有する膜を成膜する成膜装置に関する。
中心から周辺に向かって透過率が減少するような透過率分布を有するアポダイゼーションフィルタをデジタルカメラ等の光学系の一部に用いることで、ボケ像の輪郭を滑らかにすることができる。
アポダイゼーションフィルタの透過率分布は、基板上に設けられた遮光膜の膜厚の分布によって決まる。そのため、アポダイゼーションフィルタを製造するためには同心円状の膜厚分布を有する膜を成膜することが求められる。
特許文献1には、開口面積が径方向に変化する多孔マスクを基板ホルダ毎に設けた蒸着装置が記載されている。特許文献1に記載された蒸着装置では、複数の基板ホルダをドーム状の支持部材の外周に等間隔に配置し、基板を公転および自転させながら成膜することができる。これによって、基板に蒸着される蒸発物質の量を多孔マスクの開口面積に応じて同心円状に変化させられることが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載された蒸着装置においては、一度により多くの基板を処理し、量産性を向上することが望まれていた。
本発明の目的は、基板に成膜される成膜物質の量を同心円状に変化させることのできる成膜装置において、量産性を向上することである。
本発明の成膜装置は、基板を保持する基板ホルダと、前記基板に成膜される膜の厚さを制御する遮蔽板と、を備える基板保持部を複数有する成膜装置であって、前記複数の基板保持部を支持する支持部材を有し、前記支持部材は回転可能に設けられており、前記基板ホルダと前記遮蔽板は、前記基板保持部において相対的に回転可能に設けられており、前記複数の基板保持部の1つにおける前記基板ホルダと前記遮蔽板の相対的な回転を少なくとも1つの他の基板保持部に伝達し、該他の基板保持部の前記基板ホルダと前記遮蔽板を相対的に回転させる第1の動力伝達手段を有することを特徴とする。
また、本発明の他の成膜装置は、基板を保持する基板ホルダと、前記基板に成膜される膜の厚さを制御する遮蔽板と、を備える基板保持部を複数有する成膜装置であって、前記複数の基板保持部を支持する支持部材を有し、前記支持部材は回転可能に設けられており、前記基板ホルダと前記遮蔽板は、前記基板保持部において相対的に回転可能に設けられており、前記複数の基板保持部は、前記支持部材の回転軸から前記基板保持部の中心までの距離が互いに異なる2つの基板保持部を含むことを特徴とする。
本発明によれば、基板に成膜される成膜物質の量を同心円状に変化させることのできる成膜装置において、量産性を向上することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[実施例1]
図1は実施例1における成膜装置としての蒸着装置100を示す概略図である。蒸着装置100は、真空チャンバ110内に基板保持部105を複数有している。また、真空チャンバ110内には、成膜材料を収容した蒸発源101が複数設けられている。
図1は実施例1における成膜装置としての蒸着装置100を示す概略図である。蒸着装置100は、真空チャンバ110内に基板保持部105を複数有している。また、真空チャンバ110内には、成膜材料を収容した蒸発源101が複数設けられている。
複数の基板保持部105は、ドーム状の支持部材102に設けられている。支持部材102は軸Aの周りを回転できるように設けらており、各基板保持部105は軸Aを中心として公転することができる。以下では、軸Aを公転軸Aとも呼ぶ。
図2に、基板保持部105の断面図を示す。基板保持部105は基板ホルダ103と遮蔽板104を備えている。基板ホルダ103には基板107が取り付けられる。また、遮蔽板104は後述のように開口部140aが設けられている。
遮蔽板104は支持部材102に固定された遮蔽板ホルダ108に取り付けられている。一方、基板ホルダ103は支持部材102にベアリング106を介して自転可能に支持されている。基板ホルダ103が軸Bの周りを回転することで、基板ホルダ103と遮蔽板104は相対的に回転することができる。以下では、軸Bを自転軸Bとも呼ぶ。
図3は本実施例における遮蔽板104を示す概略図である。図2において斜線で示した領域は、開口部104aを示している。本実施例の遮蔽板104において、開口部104aは開口率が遮蔽板104の中心Oから離れるにつれて大きくなるように設けられており、中心OからEaなる距離だけ離れた位置において開口部104aの開口率は最大となっている。なお、中心Oからrなる距離だけ離れた位置における開口部104aの開口率k(r)は、中心Oを中心とした半径rの円において、開口部104aの内側に位置する円周の全長をC(r)としたとき、以下の式(1)で表わされる角度である。
k(r)=C(r)/2πr (1)
k(r)=C(r)/2πr (1)
蒸着装置100において、蒸発源101は遮蔽板104に対して基板ホルダ103とは反対側に配置されており、蒸発源101から飛散した成膜材料のうち遮蔽板104の開口部104aを通った成膜材料のみが基板に飛来する。したがって、遮蔽板104と基板ホルダ103を相対的に回転させながら成膜を行うことで、基板ホルダ103に保持された基板に成膜される成膜物質の量を同心円状に変化させることができる。
このとき、開口率k(r)が大きい位置ほど、遮蔽板104の開口部104aを通る成膜材料の量が多くなるため、厚い膜が成膜されることになる。ゆえに、開口率k(r)を変化させることで所望の膜厚分布を有する膜を成膜することができる。
このように、遮蔽板104を用いて基板ホルダ103に保持された基板107に同心円状の膜厚分布を有する膜を形成するためには、基板ホルダ103と遮蔽板104を相対的に回転することが必要である。ゆえに、複数の基板に対して同時に同心円状の膜厚分布を有する膜を成膜するためには、複数の基板保持部105において同時に基板ホルダ103と遮蔽板104を相対的に回転する必要がある。
そのため、本実施例の蒸着装置100においては、基板ホルダ103の自転を他の基板ホルダ103の自転に伝達する手段を設けている。これによって、複数の基板保持部105において基板ホルダ103と遮蔽板104を同時に相対的に回転させている。
支持部材102に設けられた複数の基板保持部105を自転軸Bに平行な方向から見た場合の概略図を図4(a)に、自転軸Bに垂直な方向から見た場合の断面図を図4(b)示す。図4(a)に示すように、各基板ホルダ103の外周には、第1の動力伝達手段としての歯車103aが設けられている。
各基板ホルダ103は外周に設けられた歯車103aが他の歯車103aとかみ合うように連結されており、1つの基板ホルダ103が自転した際の回転を他の基板ホルダ103に伝達することができる構造となっている。これによって、複数の基板保持部105において基板ホルダ103と遮蔽板104を同時に相対的に回転させることができる。
図5は、真空チャンバ110の公転軸Aに垂直な断面を示す断面図である。公転軸Aから最も離れた位置に設けられた歯車121は、真空チャンバ110の内部に固定された内歯車122とかみ合うように設けられている。この内歯車122および歯車121は、支持部材102の回転と基板ホルダ103の自転の一方を他方に伝達する第2の動力伝達手段として機能する。
すなわち、基板ホルダ103を自転させると、内歯車122および歯車121により支持部材102が回転し、基板ホルダ103を公転させられる。反対に、支持部材102を回転させ基板ホルダ103を公転させると、内歯車122および歯車121により基板ホルダ103が自転する。
次に、上述した本実施例における蒸着装置100を用いて基板に膜を成膜する方法について説明する。
まず、各基板ホルダ103に基板107を配置する。
次に、支持部材102を不図示のモータによって公転軸Aを中心に回転させる。これによって各基板ホルダ103は公転軸Aを中心に公転する。このとき、内歯車122と歯車121がかみ合っているため、支持部材102の回転によって歯車121が回転する。歯車121の回転は、歯車121とかみ合っている歯車103aに伝達され、基板ホルダ103を自転させる。
歯車121とかみ合っている歯車103aが回転することで、各基板ホルダ103が自転する。すなわち支持部材102を回転させることで、複数の基板ホルダ103を回転軸Aの周りに公転させると共に回転軸Bの周りに自転させることができる。これによって、複数の基板保持部105において基板ホルダ103と遮蔽板104を相対的に回転させられる。
この状態で蒸発源101から成膜材料を飛散させることで、同心円状の膜厚分布を有する膜を複数の基板に対して同時に成膜することができる。このように、本実施例の蒸着装置100を用いることで、同心円状の膜厚分布を有する膜が成膜された複数の基板を同時に製造することができる。
特許文献1に記載された蒸着装置では、複数の基板を同時に公転および自転させることはできるが、基板を自転させるためには複数の基板ホルダを同一の軌道で公転させる必要があった。このため、一度に成膜できる基板の数は公転軌道上に配置できる数に限られていた。
しかしながら、本実施例の蒸着装置100では、1つの基板ホルダ103が自転した際の回転を他の基板ホルダ103に伝達する動力伝達手段を有する。このため、図5に示すように複数の公転軌道で基板を公転させることができ、より多くの基板を蒸着装置100内に配置することができる。ゆえに本実施例の蒸着装置100では、従来の蒸着装置と比較して、量産性を向上することができる。
そのため、本実施例の蒸着装置100を用いることで、アポダイゼーションフィルタのように同心円状の膜厚分布を有する膜を成膜することが求められる素子の量産性を向上することができる。また、同心円状の膜厚分布を有する透明な膜をレンズ等に成膜することで、非球面レンズを容易に量産することができる。
また、曲率が大きな基板に従来の蒸着装置を用いて成膜する場合、成膜物質の入射角度が基板上の位置に依って変化してしまうため、基板の中心と周辺で膜厚が変化してしまう場合がある。しかしながら、本実施例の蒸着装置100において遮蔽板104の開口部104aの形状を成膜物質の入射角度による成膜量の変化を補正するような形状とすることで、複数の基板に対して均一な厚さの膜を同時に成膜することができる。
なお、上述した説明では、第1の動力伝達手段として基板ホルダ103に歯車103aを設け、隣接する基板ホルダ103同士で歯車103aをかみ合わせた例について説明したが、第1の動力伝達手段はこれに限定されない。第1の動力伝達手段としては基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転を他の基板ホルダ103または遮蔽板104に伝達して回転させることができればよい。従って、例えば図6に示すように、第1の動力伝達手段として歯車103aおよび無端状のチェーン123を用いて、1つの基板ホルダ103が自転した際の回転を他の複数の基板ホルダ103に伝達しても良い。
さらに、上述した説明では、第2の動力伝達手段として、歯車121および内歯車122を設ける場合について説明したが、第2の動力伝達手段の代わりにモータ等を設けて基板ホルダ103を自転させても良い。この場合本実施例では、基板ホルダ103の自転は第1の動力伝達手段としての歯車103aによって他の基板ホルダ103に伝達されるため、全ての基板ホルダ103について個々にモータ等を設ける必要はない。
また、上述した説明では基板ホルダ103と遮蔽板104を相対的に回転させるために基板ホルダ103を自転させた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。基板ホルダ103と遮蔽板104は相対的に回転可能であれば良く、基板ホルダ103を固定して遮蔽板104を自転させても良い。しかしながら、基板の中心に対して同心円状に成膜量を変化させるためには、基板ホルダ103を自転させることが好ましい。この理由について、図7および図8を用いて説明する。
図7は、基板ホルダ103を自転させて成膜した場合において基板107に成膜される量を示している。図7(a)は基板ホルダ103の自転軸B上に遮蔽板104の中心Oが位置している場合の基板保持部105の断面図である。
図7(b)は図7(a)に示す基板保持部105において基板107に成膜される量を示している。図7(b)における色の濃淡は基板107に成膜される量を表しており、色が濃い位置ほど基板107に成膜される量が多いことを表している。図7(b)に示すように、基板ホルダ103の自転軸B上に遮蔽板104の中心Oが位置している場合には基板の中心から周辺に向かって成膜量が変化していることがわかる。
図7(c)に遮蔽板104の中心Oが基板ホルダ103の自転軸Bからずれた場合の基板保持部105の断面図である。図7(d)は図7(c)に示すような基板保持部105において基板107に成膜される量を示している。この場合、遮蔽板104の中心Oが自転軸Bからずれているため、図7(b)に示す成膜量の分布と図7(d)に示す成膜量の分布はわずかに異なっている。
しかし、基板ホルダ103を自転させて成膜する場合に基板107に成膜される量は基板107の自転軸Bを中心として同心円状に平均化される。このため、遮蔽板104の中心Oが自転軸Bからずれた場合であっても、図7(d)に示すように、基板107に成膜される量は基板107の中心から周辺に向かって変化する。
次に、図8に遮蔽板104を自転させて成膜した場合について示す。図8(a)は遮蔽板104の自転軸B上に基板107の中心が位置している場合の基板保持部105の断面図である。図8(b)は図8(a)に示す基板保持部105において基板107に成膜される量を示している。図8(b)に示すように、遮蔽板104の自転軸B上に基板107の中心が位置している場合には、図7(b)に示した場合と同様に基板の中心から周辺に向かって成膜量が変化していることがわかる。
一方、図8(c)は基板107の中心が遮蔽板104の自転軸からずれた場合の基板保持部105の断面図を示している。図8(d)は図8(c)に示すような基板保持部105において基板107に成膜される量を示している。遮蔽板104を自転させて成膜する場合に基板107に成膜される量は遮蔽板104の自転軸を中心として同心円状に平均化される。このため、成膜量の分布の中心は基板107の中心と遮蔽板104の自転軸のずれの分だけ、基板107の中心からずれることになる。
このように、基板ホルダ103を自転させる場合には、基板107の中心と遮蔽板104の中心Oにずれが生じた場合においても基板の中心に対して同心円状に成膜量を変化させることができる。したがって、基板ホルダ103の自転によって基板ホルダ103と遮蔽板104を相対的に回転させることが好ましい。
次に、基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転と、基板ホルダ103の公転の関係について説明する。
蒸着装置100において、公転により基板の位置が変化すると、基板と蒸発源101の距離や成膜物質が基板に入射する角度が変化する。このため、公転軌道上の位置に応じて基板に成膜される量は異なる。このような成膜量の変化を成膜中に平均化するためには、基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転の回転数は基板ホルダ103の公転の回転数の非整数倍とすることが好ましい。すなわち、基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転の回転数は支持部材102の回転数の非整数倍とすることが好ましい。これによって、基板の円周方向に生じる膜厚のむらを低減することができる。なお、回転数とは単位時間当たりに回転する回数である。
なお、基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転の回転数は基板ホルダ103の公転の回転数と比較して大きいほど、1回の公転あたりに自転させられる回数が増えるため、基板の円周方向に生じる膜厚のむらをより低減することができる。一方、基板ホルダ103を自転させる場合に、自転の回転数が大きくなりすぎると基板107が基板ホルダ103から外れてしまうことが考えられる。
したがって、基板ホルダ103の自転の回転数は、公転の回転数(支持部材102の回転数)の3倍より大きく20倍より小さい値にすることが好ましく、4倍より大きく10倍より小さい値にすることがより好ましい。
基板ホルダ103と遮蔽板104の相対的な回転の回転数と基板ホルダ103の公転の回転数の比は、歯車103a、歯車122、歯車121の歯数によって変化させることができる。なお、本実施例では基板ホルダ103と歯車122の間に歯車121を1枚設けた例について説明したが、複数の歯車を組み合わせて設けても良い。
次に、遮蔽板104の開口部の形状について説明する。
図3には遮蔽板104が1つの開口部104aを有する場合を示しているが、遮蔽板104はこれに限定されない。開口部104aの開口率k(r)を変化させることで所望の膜厚分布を有する膜を成膜することができる。他の遮蔽部104の形状の例を図9(a)〜(d)の各図に示す。図9(a)〜(c)の各図に示す遮蔽部104は複数の開口部104aを有している。開口部の形状は、図9(a)において2回対称、図9(b)において3回対称、図9(c)において4回対称となっている。
図9(a)〜(c)の各図に示すように開口部104aの形状の対称性を高くすることで、基板の円周方向に生じる膜厚のむらをより低減することができる。このため、開口部104aは2回対称以上の回転対称性を有していることが好ましく、より好ましくは3回以上の対称性を有していると良い。
また、遮蔽板104に熱や外力が加わることで、開口部104aの形状が変形してしまうことが考えられる。開口部104aの形状の変形量を低減するためには、遮蔽板104に複数の開口部104aを設けることが好ましい。開口部104aを複数に分けて設けることで、遮蔽板104の内部で生じる応力を分散させることができるためである。
また、図9(d)に示すように、開口部104aの形状は開口率k(r)がrの増加に対して小さくなるような形状であってもよい。このような形状の遮蔽板104を用いることで、基板の中心から周辺に向かって膜厚が同心円状に減少するような膜を成膜することができる。
また、基板と蒸発源101の距離に応じて、各基板に飛来する成膜物質の濃度に差が生じる場合がある。各基板に飛来する成膜物質の濃度は、蒸発源101に近いほど高くなる傾向がある。したがって、真空チャンバ110内において蒸発源101に近い位置に配置される基板ほど、厚い膜が成膜されることになる。このような成膜物質の濃度に差による膜厚の変化は、遮蔽板104の開口部104aの形状を基板保持部105毎に異ならせることで補正することができる。
したがって、蒸発源101との距離が遠い位置に配置される遮蔽板104ほど、開口部104aの面積を大きくすれば良い。なお、複数の蒸発源101を用いて成膜を行う場合、遮蔽板104と複数の蒸発源101のそれぞれとの距離を平均した値を遮蔽板104と蒸発源101の距離とすれば良い。これによって、蒸発源101に近い位置に配置される基板に成膜される量を少なくすることができ、各基板と蒸発源101との距離の差によって生じる膜厚のムラを低減することができる。
また、遮蔽部104は開口部104aの開口率k(r)をrに対して変化させることで基板に成膜される量を制御している。このとき、基板と遮蔽板104との距離が離れすぎていると、開口部104aを斜めに通った成膜物質が基板に到達することにより設計通りの膜厚分布が得られないことが考えられる。このため、基板と遮蔽板104の間隔を5mm以下とすることが好ましい。これによって、精度良く膜厚を制御することができる。なお、基板が曲面である場合、基板と遮蔽板104の間隔は中心と周辺で異なるが、基板と遮蔽板104の間隔の最小値が5mm以下であれば良い。
次に、基板ホルダ103の配置について説明する。
図4および図5では、複数の基板ホルダ103が公転の半径方向に並んで配置されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。より量産性を高めるためには、真空チャンバ110内に高い密度で基板ホルダ103を配置することが好ましい。
具体的には、複数の基板ホルダ103のうち、最近接の2つの基板ホルダ103の公転半径の差が、基板ホルダ103の直径よりも小さくなるように基板ホルダ103を配置することが好ましい。すなわち、最近接の2つの基板ホルダ103のそれぞれの中心から公転軸Aまでの距離の差が、基板ホルダ103の直径よりも小さくなるように基板ホルダ103を配置すれば良い。
このような配置の例として、図10に示すような千鳥配置がある。図11は、図10に示すように基板保持部105を千鳥配置した場合の、真空チャンバ110の公転軸Aに平行な断面を示す断面図である。図11より、複数の基板ホルダ103を千鳥配置することで、最近接の基板ホルダ103同士の公転半径の差を基板ホルダ103の直径よりも小さくできていることがわかる。これによって、真空チャンバ110内に高い密度で基板ホルダ103を配置することができ、蒸着装置100の量産性をより向上することができる。
[実施例2]
次に、実施例2における成膜装置としての蒸着装置200について説明する。図12は本実施例の蒸着装置200を示す概略図である。本実施例の蒸着装置200は、各基板に飛来する成膜物質の濃度の差を低減するために、蒸発源101から飛散した成膜物質の一部を遮る補正板201を設けている点で実施例1の蒸着装置100とは異なっている。
次に、実施例2における成膜装置としての蒸着装置200について説明する。図12は本実施例の蒸着装置200を示す概略図である。本実施例の蒸着装置200は、各基板に飛来する成膜物質の濃度の差を低減するために、蒸発源101から飛散した成膜物質の一部を遮る補正板201を設けている点で実施例1の蒸着装置100とは異なっている。
補正板201Aは基板ホルダ103と蒸発源101Aの間に設けられており、補正板201Bは基板ホルダ103と蒸発源101Bの間に設けられている。補正板201Aおよび補正板201Bは、いずれも支持部材102には固定されておらず、成膜中に回転しない。
図13に、補正板201の形状を示す。真空チャンバ110内での成膜物質の濃度の分布は、蒸発源101の法線方向において最も高くなる傾向がある。このような濃度の分布を補正するために、補正板201は蒸発源101の直上においてより多くの成膜物質を遮るような形状となっている。したがって、このような補正板201を蒸発源101と基板ホルダ103の間に設けることで、各基板に飛来する成膜物質の濃度の差を低減することができる。これによって、各基板と蒸発源101との距離の差によって生じる膜厚のムラを低減することができる。
なお、図13に示した補正板201の形状は一例であり、使用する成膜物質の種類や成膜条件に応じて適当な形状にすれば良い。例えば、蒸発源101Aと蒸発源101Bに異なる成膜材料を収容している場合、成膜材料の特性に応じて補正板201Aと補正板201Bを異なる形状とすれば良い。
また、蒸発源101Aと蒸発源101Bに異なる成膜材料を収容している場合、蒸発源101Aのみを用いて成膜した後、蒸発源101Bのみを用いて成膜することも考えられる。このような場合、補正板201Aおよび補正板201Bはそれぞれ蒸発源101と基板ホルダ103の間から退避できるように設けておけば良い。すなわち、蒸発源101Aのみを用いて成膜する際は補正板201Bを退避させて補正板201Aのみを用い、蒸発源101Bのみを用いて成膜する際は補正板201Aを退避させて補正板201Bのみを用いれば良い。
さらに、本実施例においても、実施例1で説明したように遮蔽板104の開口部104aの形状を基板保持部105毎に異ならせても良い。これによって、各基板と蒸発源101との距離の差によって生じる膜厚のムラをさらに低減することができる。
なお、上述した実施例1および2では、蒸着装置について説明したが、成膜装置としてはこれに限定されない。成膜装置としてのスパッタリング装置に本発明を適用しても、本発明の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
100 蒸着装置
102 支持部材
103 基板ホルダ
103a 歯車
104 遮蔽板
105 基板保持部
102 支持部材
103 基板ホルダ
103a 歯車
104 遮蔽板
105 基板保持部
Claims (14)
- 基板を保持する基板ホルダと、
前記基板に成膜される膜の厚さを制御する遮蔽板と、
を備える基板保持部を複数有する成膜装置であって、
前記複数の基板保持部を支持する支持部材を有し、
前記支持部材は回転可能に設けられており、
前記基板ホルダと前記遮蔽板は、前記基板保持部において相対的に回転可能に設けられており、
前記複数の基板保持部の1つにおける前記基板ホルダと前記遮蔽板の相対的な回転を少なくとも1つの他の基板保持部に伝達し、該他の基板保持部の前記基板ホルダと前記遮蔽板を相対的に回転させる第1の動力伝達手段を有することを特徴とする成膜装置。 - 前記基板ホルダと前記遮蔽板の相対的な回転の回転数は、前記支持部材の回転数の非整数倍であることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記成膜装置は、前記基板ホルダと前記遮蔽板の相対的な回転と、前記支持部材の回転の一方を他方に伝達する第2の動力伝達手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の成膜装置。
- 最近接の2つの基板保持部のそれぞれの中心から前記支持部材の回転軸までの距離の差は、前記基板ホルダの直径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成膜装置。
- 前記遮蔽板は前記支持部材に固定して設けられており、
前記基板ホルダは前記遮蔽板に対して回転可能に設けられており、
前記基板ホルダが回転することによって前記基板ホルダと前記遮蔽板は相対的に回転することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成膜装置。 - 前記基板ホルダと前記遮蔽板の相対的な回転の回転数は、前記支持部材の回転数の3倍よりも大きく20倍よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の成膜装置。
- 前記遮蔽板には開口部が設けられており、
前記開口部の開口率は、前記遮蔽板の中心から周辺に向かって変化していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成膜装置。 - 前記遮蔽板には開口部が設けられており、
前記開口部の形状は、2回対称以上の回転対称性を有する形状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の成膜装置。 - 前記遮蔽板には、複数の開口部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の成膜装置。
- 前記成膜装置は、前記遮蔽板に対して前記基板ホルダとは反対側に成膜材料を収容した蒸発源を有し、
前記遮蔽板には開口部が設けられており、
前記蒸発源との距離が遠い位置に配置されている遮蔽板ほど、前記遮蔽板の開口部の面積が大きいことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の成膜装置。 - 前記基板保持部において、前記遮蔽板は、前記基板ホルダに保持されている基板と前記遮蔽板の間隔の最小値が5mm以下となるように設けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の成膜装置。
- 前記成膜装置は、前記遮蔽板に対して前記基板ホルダとは反対側に、前記複数の基板保持部において保持される各基板に飛来する成膜物質の濃度の差を補正する補正板を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の成膜装置。
- 基板を保持する基板ホルダと、
前記基板に成膜される膜の厚さを制御する遮蔽板と、
を備える基板保持部を複数有する成膜装置であって、
前記複数の基板保持部を支持する支持部材を有し、
前記支持部材は回転可能に設けられており、
前記基板ホルダと前記遮蔽板は、前記基板保持部において相対的に回転可能に設けられており、
前記複数の基板保持部は、前記支持部材の回転軸から前記基板保持部の中心までの距離が互いに異なる2つの基板保持部を含むことを特徴とする成膜装置。 - 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の成膜装置の前記基板ホルダに基板を配置する工程と、
成膜材料を飛散させて前記基板に膜を成膜する工程と、
を有することを特徴とする成膜された基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016124965A JP2017226891A (ja) | 2016-06-23 | 2016-06-23 | 成膜装置およびそれを用いて成膜された基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016124965A JP2017226891A (ja) | 2016-06-23 | 2016-06-23 | 成膜装置およびそれを用いて成膜された基板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017226891A true JP2017226891A (ja) | 2017-12-28 |
Family
ID=60891153
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2016124965A Pending JP2017226891A (ja) | 2016-06-23 | 2016-06-23 | 成膜装置およびそれを用いて成膜された基板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017226891A (ja) |
-
2016
- 2016-06-23 JP JP2016124965A patent/JP2017226891A/ja active Pending
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