JP2017226615A - 抗菌性組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性の高い天然の食品添加物を用いるとともに水溶性で有用な新規な抗菌性組成物を提供する。【解決手段】リゾチームと水溶性キトサンとを結合させた複合体を含有する抗菌性組成物。【選択図】図1
Description
この発明は、リゾチーム及び水溶性キトサンを用いた抗菌性組成物及びその製造方法に関するものである。
従来、特許文献1に示すように、タンパク質とキトサンとをメイラード反応させた複合体を用いた抗菌性組成物がある。
この特許文献1に用いられているキトサンは分子量30kDaである。この分子量のキトサンは、クエン酸等を含有する酸性溶液に溶解させる必要がある。なお、このキトサンは、中性又は弱塩基性の溶液には、溶解せず懸濁液となってしまう。
そのため、前記キトサンを用いて抗菌性組成物を製造する場合には、タンパク質及びキトサンを、クエン酸等を含有する酸性溶液に混合溶解し、その溶液を凍結乾燥することにより粉末化し、得られた粉末をメイラード反応させることにより製造する必要がある。
しかしながら、抗菌性組成物を製造する段階でクエン酸を用いているので、クエン酸に起因した酸味が残ってしまう。そのため、抗菌性組成物を用いた食品では、口当たりが悪くなってしまったり、飲みにくくなってしまう。また、抗菌性組成物を用いた医療用組成物や化粧品では、目やノド等の粘膜又は皮膚に刺激を与えてしまい、人への負担が大きくなってしまう。
一方で、本願発明者は、安全性の高い天然の食品添加物であるリゾチームを用いた抗菌性組成物について種々検討を行っている。
本発明は、上記検討により齎されたものであり、安全性の高い天然の食品添加物を用いるとともに低刺激性に優れた新規な抗菌性組成物を提供することを主たる課題とするものである。
本発明は、上記検討により齎されたものであり、安全性の高い天然の食品添加物を用いるとともに低刺激性に優れた新規な抗菌性組成物を提供することを主たる課題とするものである。
すなわち本発明に係る抗菌性組成物は、リゾチームと水溶性キトサンとを結合させた複合体を含有することを特徴とする。
ここで、前記水溶性キトサンの分子量は、10,000以下であることが望ましい。
ここで、前記水溶性キトサンの分子量は、10,000以下であることが望ましい。
また、本発明に係る抗菌性組成物の製造方法は、リゾチーム及び水溶性キトサンを純水に混合溶解し、その水溶液を凍結乾燥することにより粉末化し、得られた粉末をメイラード反応させることによりリゾチーム−水溶性キトサン複合体を製造することを特徴とする。
本発明によれば、リゾチームと水溶性キトサンとを結合させてリゾチーム−水溶性キトサン複合体を製造しているので、その製造においてクエン酸などの酸を用いる必要が無く、抗菌性組成物に酸に起因する酸味が生じない。
したがって、本発明の抗菌性組成物を用いた食品では、口当たりが悪くなってしまったり、飲みにくくなってしまうことを防止することができる。
また、本発明の抗菌性組成物を用いた医療用組成物や化粧品では、目やノド等の粘膜又は皮膚への刺激を低減でき、人への負担を小さくすることができる。
さらに、リゾチームは、安全性の高い天然の食品添加物として広く利用されているので、利用する患者を安心させるとともに、その負担を軽減することができる。
したがって、本発明の抗菌性組成物を用いた食品では、口当たりが悪くなってしまったり、飲みにくくなってしまうことを防止することができる。
また、本発明の抗菌性組成物を用いた医療用組成物や化粧品では、目やノド等の粘膜又は皮膚への刺激を低減でき、人への負担を小さくすることができる。
さらに、リゾチームは、安全性の高い天然の食品添加物として広く利用されているので、利用する患者を安心させるとともに、その負担を軽減することができる。
以下に本発明の一実施形態を詳述する。
本実施形態に係る抗菌性組成物は、リゾチームと水溶性キトサンとを結合させた複合体を含有するものである。この水溶性キトサンの平均分子量は、10,000以下でなければならない。
本実施形態のリゾチーム−水溶性キトサン複合体は、リゾチームと水溶性キトサンをメイラード反応により結合させることにより製造することができる。リゾチームと水溶性キトサンとをメイラード反応により結合させることで、リゾチーム中の抗原構造のほとんど又はすべてがマスクされるため、リゾチーム−水溶性キトサン複合体を摂取してもアレルギーを起こしにくい。
具体的な製造方法は次のとおりである。
リゾチーム/水溶性キトサンの質量比が、より好ましくは60/40〜40/60となる量のリゾチーム及び水溶性キトサンを、純水に混合溶解し、その水溶液中のリゾチーム及び水溶性キトサンの合計含量が5〜30質量%となるように調製する。得られた水溶液を凍結乾燥することにより粉末化する。得られた粉末を温度50〜80℃、より好ましくは55〜65℃、相対湿度50〜80%、より好ましくは60〜70%の条件下で、2〜20日、より好ましくは7〜14日、メイラード反応させることにより本発明のリゾチーム−水溶性キトサン複合体を製造することができる。
リゾチーム/水溶性キトサンの質量比が、より好ましくは60/40〜40/60となる量のリゾチーム及び水溶性キトサンを、純水に混合溶解し、その水溶液中のリゾチーム及び水溶性キトサンの合計含量が5〜30質量%となるように調製する。得られた水溶液を凍結乾燥することにより粉末化する。得られた粉末を温度50〜80℃、より好ましくは55〜65℃、相対湿度50〜80%、より好ましくは60〜70%の条件下で、2〜20日、より好ましくは7〜14日、メイラード反応させることにより本発明のリゾチーム−水溶性キトサン複合体を製造することができる。
本実施形態のリゾチーム−水溶性キトサン複合体の生成は、SDS(Sodium dodecyl sulfate−polyacrylamide)電気泳動により得られるプレートを、染色処理したものにより、蛋白質−水溶性キトサン複合体である高分子物質の生成を確認することができる。
次に、本実施形態の抗菌性組成物について説明する。
本実施形態の抗菌性組成物は、リゾチーム−水溶性キトサン複合体を、注射用水、生理食塩液、リンゲル液、精製水又は蒸留水等の液体と混ぜて構成されるものであり、その抗菌力をより保持させるために、リゾチーム−水溶性キトサン複合体を、好ましくは0.001質量%以上含有するものである。
本実施形態の抗菌性組成物は、リゾチーム−水溶性キトサン複合体を、注射用水、生理食塩液、リンゲル液、精製水又は蒸留水等の液体と混ぜて構成されるものであり、その抗菌力をより保持させるために、リゾチーム−水溶性キトサン複合体を、好ましくは0.001質量%以上含有するものである。
この抗菌性組成物は、ネブライザーに用いられる洗浄水とすることができる。これにより抗菌性組成物を感染部位に直接噴霧することで、感染菌の増殖を抑制することができる。
なお、上記の抗菌性組成物は、タンパク質としてリゾチームを用いているが、その他のオボアルブミン、リゾチーム、大豆蛋白質などを用いてもよい。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、リゾチーム−水溶性キトサン複合体をLYZOX(和興フィルタテクノロジー株式会社の登録商標)ともいう。
(1)長鎖キトサン及びキトサンオリゴ糖の溶解性
長鎖キトサン及びキトサンオリゴ糖の溶解性を比較した。
その結果を図1に示す。この図1から分かるように、長鎖キトサンは水には溶解せず、酸性条件下又はアルカリ条件下でのみで溶解が可能となり、これではLYZOXを作製できない。一方、キトサンオリゴ糖はpH条件に関わらず水に溶解が可能であり、LYZOXの作製が可能となる。
長鎖キトサン及びキトサンオリゴ糖の溶解性を比較した。
その結果を図1に示す。この図1から分かるように、長鎖キトサンは水には溶解せず、酸性条件下又はアルカリ条件下でのみで溶解が可能となり、これではLYZOXを作製できない。一方、キトサンオリゴ糖はpH条件に関わらず水に溶解が可能であり、LYZOXの作製が可能となる。
(2)LYZOXの浸透圧について
LYZOXの浸透圧について、第十六改正日本薬局方一般試験法「浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)」を用いて測定した。
LYZOX水溶液(1.0質量%)の浸透圧は、20[mOsm/kg]であった。一方、比較対象としての0.9%生理食塩水の浸透圧は285[mOsm/kg]であった。これにより、生理食塩水で溶解した場合には、人体に対し低刺激での使用が可能となる。
LYZOXの浸透圧について、第十六改正日本薬局方一般試験法「浸透圧測定法(オスモル濃度測定法)」を用いて測定した。
LYZOX水溶液(1.0質量%)の浸透圧は、20[mOsm/kg]であった。一方、比較対象としての0.9%生理食塩水の浸透圧は285[mOsm/kg]であった。これにより、生理食塩水で溶解した場合には、人体に対し低刺激での使用が可能となる。
(3)増殖抑制試験(MIC試験)
LYZOXの増速抑制試験として、日本化学療法学会の微量液体希釈法を参考にLYZOXの最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。
検体は、各種キトサンオリゴ糖を用いたLYZOXであり、具体的には、以下のキトサンオリゴ糖を用いたものである。
検体A:A社製のキトサンオリゴ糖を用いたLYZOXである。
検体B:B社製のキトサンオリゴ糖を用いたLYZOXである。
検体C:C社製のキトサンオリゴ糖を用いたLYZOXである。
図2に示すように、各キトサンオリゴ糖は溶解性を有しており、検体A及びBは溶解性を有しているが、検体Cは溶解性を有さなかった。
各キトサンオリゴ糖の詳細は以下である。
各社の基準により、キトサンオリゴ糖の範囲が設定されている。
LYZOXの増速抑制試験として、日本化学療法学会の微量液体希釈法を参考にLYZOXの最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。
検体は、各種キトサンオリゴ糖を用いたLYZOXであり、具体的には、以下のキトサンオリゴ糖を用いたものである。
検体A:A社製のキトサンオリゴ糖を用いたLYZOXである。
検体B:B社製のキトサンオリゴ糖を用いたLYZOXである。
検体C:C社製のキトサンオリゴ糖を用いたLYZOXである。
図2に示すように、各キトサンオリゴ糖は溶解性を有しており、検体A及びBは溶解性を有しているが、検体Cは溶解性を有さなかった。
各キトサンオリゴ糖の詳細は以下である。
各社の基準により、キトサンオリゴ糖の範囲が設定されている。
使用菌株は、大腸菌(E.coli、使用菌株NBRC3972)及び黄色ブドウ球菌(S.a、使用菌株NBRC12732)とした。これらの使用菌株をそれぞれOD=1となるように調整し、その後、大腸菌については2000倍に希釈して大腸菌に菌液とし、黄色ブドウ球菌については400倍に希釈して黄色ブドウ球菌の菌液とした。そして、LB培地にそれぞれの菌液を1/100量添加して試験液とした。
コントロール(滅菌水)および各試験液を100μLずつ、それぞれ96穴マイクロプレートに添加し、検体であるLYZOXを100μL添加して、35℃で18時間以上培養した。培養後、目視で培地の濁り(菌の発育の有無)を観察し、MICを測定した。なお、同様に、比較例として0.3%のキトサンオリゴ糖でも、MICを測定した。その結果を以下の表に示す。
以上の結果から、検体A及び検体Bが、検体C及びキトサンオリゴ糖単体に比べて、最小発育阻止濃度(MIC)が格段に小さく、増殖抑制効果が優れている。
これは、同じ水溶性キトサンでも、脱アセチル化度や糖構成の違いが抗菌性に影響することを示しており、リゾチームー水溶性キトサン複合体の抗菌性能へも影響していることが考えられる。
これは、同じ水溶性キトサンでも、脱アセチル化度や糖構成の違いが抗菌性に影響することを示しており、リゾチームー水溶性キトサン複合体の抗菌性能へも影響していることが考えられる。
Claims (4)
- リゾチームと水溶性キトサンとを結合させた複合体を含有する抗菌性組成物。
- 前記水溶性キトサンの分子量は、10,000以下である請求項1記載の抗菌性組成物。
- リゾチーム及び水溶性キトサンを純水に混合溶解し、その水溶液を凍結乾燥することにより粉末化し、得られた粉末をメイラード反応させることによりリゾチーム−水溶性キトサン複合体を製造する組成物の製造方法。
- 前記水溶性キトサンの分子量は、10,000以下である請求項3記載の組成物の製造方法。
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JP2016123514A JP2017226615A (ja) | 2016-06-22 | 2016-06-22 | 抗菌性組成物及びその製造方法 |
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CN110122839A (zh) * | 2019-06-17 | 2019-08-16 | 江南大学 | 一种具有抑菌功能的美拉德肽及其制备方法 |
WO2020241681A1 (ja) * | 2019-05-27 | 2020-12-03 | 国立大学法人 東京医科歯科大学 | 抗菌性組成物 |
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2016
- 2016-06-22 JP JP2016123514A patent/JP2017226615A/ja active Pending
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CN113891743A (zh) * | 2019-05-27 | 2022-01-04 | 国立大学法人东京医科齿科大学 | 抗菌性组合物 |
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