JP2017226461A - 鮮度保持が可能な梱包手段 - Google Patents
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Abstract
【課題】生鮮物の保存に用いられている梱包手段としては、中に入れる生鮮物の細菌の増殖を抑えるのに適しており、内部を保冷・保温するのに適した構造であり、同時に軽量で安価な構造であるものを同時に満たすものを提供することを目的とする。【解決手段】樹脂製の外バリア袋と、生鮮物を内部に収納するための樹脂製の内バリア袋と、前記内バリア袋と前記外バリア袋との間にあって空隙を有する断熱スペーサとからなり、前記外バリア袋と内バリア袋には内部を気密に閉じるためのファスナーが形成されており、前記樹脂製の外バリア袋は少なくとも表面側に反射率の高い金属層が形成されており、前記外バリア袋は逆止弁を有しており、前記逆止弁は前記外バリア袋の内部の気体が外に出る方向で開き、前記外バリア袋の内部に気体が入る方向で閉じる作用を有している梱包手段とした。【選択図】 図1
Description
この発明は、生鮮農作物や魚介類や肉類あるいは生体物質などの生鮮物の鮮度を保持して輸送するための鮮度保持が可能な梱包手段に関する。
従来、生鮮農作物や魚介類や肉類あるいは生体物質などの青鮮物の鮮度を保持して輸送するために、その輸送用梱包手段として様々な工夫がなされてきた。近年は、冷凍技術の発達によって魚介類や肉類それに生体物質は、良い鮮度状態を保って輸送することが可能となった。
一方、野菜類や果菜類あるいは果実類などの青鮮農作物の輸送においては、鮮度にこだわる限り冷凍に適しないものが多く、冷蔵輸送を中心とした輸送方法が検討されている。
生鮮農作物の保存には、袋の内部の酸素濃度や二酸化炭素濃度を一定の条件に維持することによって長期間の鮮度を保つようなMA(Modified Atmosphere)包装材が用いられつつある(特許文献1および2)。
生鮮物の輸送を行う場合、その鮮度を保つためには、輸送する生鮮物の殺菌と保冷が重要な技術となってくる。例えば、生鮮物を殺菌するためには次亜塩素酸による洗浄がもっとも効果的であるが、これを全ての生鮮物に適用することはできないために、輸送時の梱包内に銀イオンなどの抗菌作用を有する物質を添着させた活性炭を入れたり、光触媒と紫外線LEDとを組み合わせた装置を梱包内に入れたり、ワサビなどから取った抗菌成分を梱包内に入れたりなどの工夫をする例も見られる。
一方、輸送時の梱包を保冷するためには、冷蔵コンテナを用いて輸送するのが一般的である。しかしながら、生鮮物を収穫または製造してから冷蔵コンテナ内に入れる前や、冷蔵コンテナから取り出して冷蔵保管倉庫に移動するまでの間も、これらの生鮮物を保冷した状態にしてコールドチェーンを確立する必要がある。
そのため、プラスチック発泡材で形成した容器の表面や裏面あるいはその両方にアルミ箔などの輻射熱に対して高反射率の材料を被覆することによって、遮熱断熱を実現することによって生鮮物の鮮度を維持する容器が提案されている(特許文献1)。
一方、生体物質を生きたまま輸送するためには、例えば37℃の温度に一定に保ったままの状態で輸送する必要がある場合もある。
従来、生鮮物の保存に用いられている梱包手段としては、中に入れる生鮮物の細菌の増殖を抑えるのに適しており、内部を保冷あるいは恒温にするのに適した構造であり、同時に軽量で安価な構造であるものを同時に満たすものがないという課題を有していた。
特に特許文献3に見られるような断熱構造の容器とする場合は、あらかじめ生鮮物を充分に冷却した状態で保冷剤とともに梱包しておかなければ、生鮮物を容器に入れた後で冷却するにはその容器の断熱性の良さのために中に入れた生鮮物の冷却時間が長くかかり、その間に鮮度を落としてしまうという課題があった。このとき、生鮮物を冷蔵庫であらかじめ冷却してから容器に入れると、冷蔵庫に入っている間に生鮮物が細菌に汚染されたり熟度が促進したりしてしまうという課題も有している。
また、従来行われているような通常の段ボールに入れた状態でMA袋などに封入された生鮮物を冷蔵輸送する場合は、冷蔵輸送装置の制御変動による庫内冷気変動や、冷蔵輸送車から冷蔵倉庫に移送するときに外気温に触れることによる温度変動などによって、前記生鮮物が一時的に高温状態にさらされ、その結果鮮度を急激に損なってしまうという課題を有していた。
上記の目的を達成するために、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、樹脂製の外バリア袋と、生鮮物を内部に収納するための樹脂製の内バリア袋と、前記内バリア袋と前記外バリア袋との間にあって空隙を有する断熱スペーサとからなり、前記外バリア袋と内バリア袋には内部を気密に閉じるためのファスナーが形成されており、前記外樹脂製のバリア袋は少なくとも表面側に反射率の高い金属層が形成されており、前記外バリア袋は逆止弁を有しており、前記逆止弁は前記外バリア袋の内部の気体が外に出る方向で開き、前記外バリア袋の内部に気体が入る方向で閉じる作用を有している構造とした。このことによって、内バリア袋をファスナーで閉じて外バリア袋のファスナーを開いた状態で前記生鮮物を冷蔵倉庫で保管することによって前記梱包した生鮮物を急速に適切温度に維持して保管することができ、さらに出荷直前に外バリア袋のファスナーを閉じるとともに、逆止弁を介して外バリア袋と内バリア袋との間隙にある断熱スペーサ領域の空気を吸引して減圧状態とすることによって前記梱包した生鮮物を適切な温度と湿度に保ったまま効果的に保冷することが可能となり上記課題を解決した。
前記外バリア袋は、前記ファスナーを閉じた状態で平行な上面と底面とを有した立方体または直方体形状をするようにすることによって上積みを容易にすると同時に、密に積載することが可能となり上記課題を解決することができた。
また、前記断熱スペーサを、段ボール箱製または発泡プラスチック製とすることによって、軽量で高い断熱性を実現することが可能とし上記課題を解決することができた。
さらに、前記断熱スペーサが、前記逆止弁の位置から連通した通気孔を有しており、当該連通孔は前記逆止弁の位置から前記断熱スペーサの側壁内部に設けられた複数の貫通穴を介して前記断熱スペーサの底部にまで連通している構造とすることにより、外バリア袋と内バリア袋の間隙にある断熱スペーサ領域にある空気を迅速に吸引することが可能となる上に、より高い断熱性を実現することが可能となり、上記課題を解決することができた。
また、前記断熱スペーサを、多数の貫通穴を有する段ボールとすることにより、より安価な構造とすることが可能となり、上記課題を解決することが可能となった。
一方、前記ファスナーは、互いに嵌合して接合する連続した凸部と連続した凹部とからなる複数の嵌合部から形成されている構造とすることにより、外バリア袋および内バリア袋を気密に閉じたときのシール性を高めることが可能となり、上記課題を解決することができた。
さらに、前記内バリア袋内部に、弾性フィルムと当該弾性フィルムを保持する保持枠とからなる保持体を有しており、前記生鮮物を前記弾性フィルムで狭持することによって浮揚させて維持することにより、イチゴやモモやその他の傷つきやすい果菜類等の前記生鮮物を外部衝撃による損傷から保護することが可能となり、より長期間鮮度を保持することが可能となり、上記課題を解決した。
本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、外バリア袋、内バリア袋、断熱スペーサ、逆止弁、およびファスナーといった軽量で安価な構成部品で構成することにより、環境温湿度が短時間変化したとしても梱包した生鮮物の温度と湿度を適切に維持することができるため、前記生鮮物の鮮度を長期間保ったまま冷蔵輸送することが可能となり、その結果輸送コストを軽減することを可能ならしめるという効果を有するものである。
本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、立方体または直方体形状をしているために、上積みが可能となり積載スペースも少なくすることができ、効率的に輸送することができるため、輸送コストを削減することができるという効果を有する。
また、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、二重のバリア袋で生鮮物を梱包するため、これら生鮮物を個別にバリア袋に梱包する必要がなくなり、より環境に優しく安価な輸送が可能となり上記課題を解決することができた。
さらに、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、弾性フィルムと当該弾性フィルムを保持する保持枠とからなる保持体を用いることによって、外部衝撃による損傷を防ぐことが可能となり、より長期間の鮮度保持が可能であるという効果を有する。
本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、熱や水分や光を外部環境から遮断して生鮮物だけに適した環境を可能ならしめるものであり、梱包する生鮮物に応じて、内バリア袋内や生鮮物の近傍に、ワサビから抽出した鮮度保持剤や殺菌効果のある銀イオンや銅イオンなどを添着あるいは成膜した活性炭やフィルム、保冷剤、蓄熱剤などを入れることにより、より効果的に内部環境を維持することが可能となり、より長期間の鮮度保持が可能となるという効果を有する。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では梱包物として生鮮物を入れる場合を例にとって説明するが、生体物質やその他の環境保持を必要とする梱包物を収納する場合も同様である。
図1は、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の1実施形態を示す断面図であり、1は内バリア袋、2は外バリア袋、3は空隙、4は断熱スペーサ、5は第一ファスナー、6は第二ファスナー、7は逆止弁、8は樹脂製バリア層、9は金属層、10は保持パレット、11は収納トレイ、12は生鮮物である。
図1において、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、内バリア袋1、外バリア袋2、および内バリア袋1と外バリア袋2との間にあって空隙3を有する断熱スペーサ4とから構成されている。
内バリア袋1と外バリア袋2とは、それらの内部を気密に封止するために各々第二ファスナー6と第一ファスナー5とが形成されている。
また、外バリア袋2には逆止弁7が取り付けられている。この逆止弁7は、外バリア袋2内部の気体が外に出る方向で開き、外バリア袋2の内部に気体が入る方向で閉じる作用を有している。第一ファスナー5と第二ファスナー6とを閉じた状態で、逆止弁6から外バリア袋2の内部の空気を吸引すると、外バリア袋2と内バリア袋1との間にある断熱スペーサ4の空隙3が減圧されるとともに、断熱スペーサ4はその減圧された空隙を潰さずに保持する。そのため、当該鮮度保持が可能な梱包手段は、内バリア袋1と外バリア袋2との間が真空断熱あるいは減圧断熱されているのと同様の状態となる。
一方、外バリア袋は表面側にある反射率の高い金属層9とその内側にある樹脂製バリア層8とから構成されている。内バリア袋1は、樹脂製である。
内バリア袋1と外バリア袋2の内面を形成する樹脂製バリア層8は、水蒸気や酸素や二酸化炭素などの気体の透過率を制御するためにポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン、あるいはフッ素樹脂などの樹脂フィルムを積層融着して形成されている。また、これらの樹脂フィルム上に、酸化アルミや二酸化ケイ素などの無機物を蒸着してバリア性を高めたり、生鮮物に応じたバリア性を実現するために適切なサイズの穴を透過量に対応した密度で開けたりしてバリア性を制御したバリアフィルムを用いることができる。このようなバリア性を制御した樹脂製バリア袋は、MA(Modified Atomosphere)袋とも呼ばれている。
金属層9は、上記の樹脂製バリア層8の上にアルミニウムを蒸着したり、アルミニウム箔を粘着接合したりして形成される。アルミニウムを蒸着する場合は、遮光性を向上するためにアルミニウムの膜厚は、100nm以上、もし可能であれば200nm以上あることが望ましい。また、アルミニウム等の金属層の密着性を上げるために、酸化アルミニウムなどの金属酸化物を下地に15〜50nm程度形成しても良い。また、金属としては、人体に悪影響がなく耐候性の良いものであればアルミニウム以外の金属を用いても良い。
断熱スペーサ4は、形状を維持するのに充分な機械的強度を有しているため、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、梱包完了時には立方体または直方体の形状となっている。このように機械的強度を付与することによって、内容物の収納空間の形状を保持して内容物に与える機械的圧力を保持することができる。また、この断熱スペーサ4の持つ衝撃吸収力によって、外部環境からの機械的な刺激や衝撃から内容物を保護することが可能となる。さらに、このように立方体または直方体形状とすることによって、本発明の梱包手段は上積みが容易になり、また余分なスペースを作らずに密に積載することが可能となるため、輸送コストを低減することができる。
断熱スペーサ4は、段ボール箱や発泡プラスチックなどを用いて形成される。段ボール箱は、波板状に加工された中心厚紙を両側からライナで被覆した構造となっており、この中心厚紙とライナとの間に空隙を有する。また、発泡プラスチックとしては、発泡スチロールや発泡ウレタンあるいは発泡ポリエチレンなどその他一般に樹脂を発泡成形した発泡断熱剤として知られているものを用いることができる。発泡プラスチックが内包する気泡が空隙に対応する。
生鮮物12は、内バリア袋1の内部に入れて梱包する。この生鮮物12の入れ方は、その生鮮物の種類によって異なる。リンゴやナシなどの比較的傷つきにくい果物は、図1に示すように真空成形などで成形された樹脂製の収納トレイ11に入れ、トレイを支えるための仕切り板である保持パレット10を介して重ね入れる。また、重量が軽い葉物野菜や、あるいは硬いために傷つきにくい根菜類はフィルム包装した状態で、またはそのままに内バリア袋1内部に収納梱包する場合が多い。さらに、傷つきやすいイチゴやモモなどは、スポンジなどの発泡樹脂や紙で作られた弾性体でくるんだりクッションを入れたりするなどの工夫を施してから、内バリア袋1の内部に収納する。また、生鮮物12としては、最初から段ボール箱に入った状態で内バリア袋に入れられることもある。
図2は本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の使用方の1実施形態を示す説明図であり、(a)は内バリア袋開状態を示す説明図、(b)は内バリア袋閉状態を示す説明図、(c)は断熱スペーサ開状態を示す説明図、(d)は断熱スペーサ閉状態を示す説明図、(e)は外バリア袋開状態を示す説明図、(f)は外バリア袋閉を示す説明図であり、1は内バリア袋、2は外バリア袋、4は断熱スペーサ、5は第一ファスナー、6は第二ファスナー、7は逆止弁、20は内バリア袋フタ、21は内バリア袋収納部、22aは第一断熱フタ、22bは第二断熱フタ、23は断熱スペーサ収納部、24は開口、25は外バリア袋フタ、26は外バリア袋収納部である。
本発明の鮮度保持が可能な梱包手段に生鮮物を収納するとき、生鮮物の種類に依存するが、多くの場合この作業を冷蔵倉庫内で行う。
最初に冷蔵倉庫内で、図2(a)に示すように、内バリア袋1の第一ファスナー5を開き、内バリア袋フタ20を開いて生鮮物12を入れる。このとき、内バリア袋収納部21は内バリア袋フタ20を開き、生鮮物を入れた状態であっても、あるいは生鮮物を入れない状態であっても、立方体または直方体の形状を保つように成形されている。第一ファスナー5の封止部の一方は、内バリア袋収納部21の入り口周縁に、第一ファスナー5の封止部の他方は、内バリア袋フタ20の周縁に接合されている。そのため第一ファスナー5を閉じたときは、図2(b)に示すように、内バリア袋フタ20と内バリア袋収納部21の周縁が互いに気密に結合されて、生鮮物を立方体または直方体の収納空間に効率良く収納することができる。この段階では、内バリア袋1は立方体または直方体の形状をしているが、機械的強度は充分ではなく容易に変形する状態になっている。
このようにして内バリア袋1内部に収納された生鮮物12は、冷蔵倉庫の冷蔵環境とフィルムだけで熱的に遮断されているために、急速に冷蔵環境温度に達する。そのため、その生鮮物12は短時間で冷蔵温度に保たれて鮮度を損なわない。
内バリア袋フタ20が開いた状態で、内バリア袋収納部21が立方体または直方体になっていることによって、生鮮物21をあらかじめ段ボール箱に入った状態で入れる場合も、入れ易く、作業性も良くなる。
内バリア袋フタ20が開いた状態で、内バリア袋収納部21が立方体または直方体になっていることによって、生鮮物21をあらかじめ段ボール箱に入った状態で入れる場合も、入れ易く、作業性も良くなる。
一方、図2(c)に示す断熱スペーサ4はフタのついた箱形状をしているものであり、この図ではフタが開いた状態を図示してある。本実施形態で示す断熱スペーサ4では、第一断熱フタ22aと第二断熱フタ22bとが観音開き状になっている。この第一断熱フタ22aと第二断熱フタ22bとを閉じると、図2(d)に示すようになる。
第一断熱フタ22aと第二断熱フタ22bおよび断熱スペーサ収納部23には、開口24が複数開いている。この複数の開口24は断熱スペーサ4で形成される空隙を形成し、後述するように減圧処理をしたときの減圧空間を形成する。断熱スペーサ4として発泡が連通した発泡プラスチックを用いた場合はその発泡部分が、また段ボール箱を用いた場合は段ボールを構成するライナ内側の隙間空間がこの開口24と連通して空隙の作用をする。もちろん、開口24自身も空隙を形成する。さらに、段ボール箱を用いて本実施形態に示すような複数の開口24を設けることによって、段ボールの前記隙間空間と当該開口24とが連通するため、速やかな減圧処理を行うことができる。
また、図2(c)に示す状態で、図2(a)に示すフタの開いた内バリア袋1を挿入し、その状態で生鮮物12を詰めると作業性が良い。
このようにして断熱スペーサ4に内バリア袋1を入れて気密にフタを閉じてから、断熱スペーサ4のフタを閉じる。このとき、断熱スペーサ4に開いている複数の開口によって内バリア袋1に冷蔵倉庫の冷蔵雰囲気が直接接触するために、内バリア袋1の内部に収納された青鮮物12は急速に冷蔵温度に達し、鮮度を損なうことはない。
図2(c)に、外バリア袋開状態を示す。この場合は、内バリア袋開状態を示す図2(a)と同様の状態である。この場合も、内バリア袋1と同様に外バリア袋フタ25を開いた状態で外バリア袋収納部26は立方体または直方体の形状を保っている。出荷の直前に、この状態の外バリア袋収納部26の内部に青鮮物を収納した断熱スペーサ4を収納して、第二ファスナー6を閉じることにより外バリア袋フタ25と外バリア袋収納部26とを気密に閉じる。その後、逆止弁7から外バリア袋2と内バリア袋1との間にある開口24などで構成される空隙の空気を吸引・脱気して収納を終了する。
減圧された空隙部分には熱を伝達する空気分子が常圧の5〜80%程度しか存在しない状態とすることができる。この減圧の程度は、減圧の手段に一部依存する。真空ポンプを用いると圧力を常圧の1%以下にまで低減させることができるが、掃除機などのガス吸引装置では常圧の30〜65%程度にまでしか減圧させることができない。また、外部から空隙部分のガスを吸引する代わりに、鉄粉などの一般によく知られている脱酸素剤を開口24部分や外バリア袋2と内バリア袋1との適当な隙間に入れることによって、前記空隙にある酸素を除去することができるために常圧の80%程度まで減圧することが可能となる。
また、空隙の減圧の程度は、ファスナーの気密性にも依存する。このファスナーがしっかりと閉められておれば、常圧の5%程度以上の圧力を2〜4週間程度は維持することが可能となる。それ以上の低い圧力で長時間維持するには、ファスナーの代わりに内バリア袋1と外バリア袋2とを各々熱融着することが好ましい。しかしながら、このように熱融着の方法を用いると、熱融着のための設備が必要となると同時に、作業性が著しく悪くなるという課題がある。
また、外バリア袋2の表面に形成されている金属層9は、光による輻射熱を外バリア袋2の内部に侵入させない作用を有している。さらに、金属層9は水分や気体成分をほとんど透過しないために、外バリア袋2の内部を外部環境の光や熱や気体分子から完全に隔離することが可能となる。
このようにして、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段を用いることによって、内バリア袋1の内部温度を冷蔵倉庫の温度に保ったままの状態で簡便に断熱すると同時に、内バリア袋1の内部の水分を維持して保持することができる。すなわち、本発明の鮮度保持可能な梱包手段に生鮮物を収納することによって、その収納した生鮮物を外部環境から断熱隔離することが可能となる。
なお、本実施形態で示した断熱スペーサ4は、フタと収納部とが連結されたものを示したが、これらのフタと収納部とは分離されていても良い。また、収納部の5枚の平面が連結されて構成されているものを示したが、これら5枚の平面は分離されていても構わない。
断熱スペーサ4の収納部の5枚が分離されている場合は、まず外バリア袋2に断熱スペーサ4の底部を入れ、その後内バリア袋1を外バリア袋2の中に入れてから、内バリア袋1と外バリア袋2との隙間に断熱スペーサ4の収納部の残った4枚の壁を入れるのが、作業性が良い。このとき、内バリア袋1の内部には生鮮物が入っていてもいなくても良い。
図20に、外バリア袋に関する別の実施形態を示す。本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の外観の1例を示した説明図であり、2は外バリア袋、6は第二ファスナー、7は逆止弁、79は粘着テープ、80は耳部である。図20に示す外バリア袋2は、通常の袋を直方体形状にして取り扱うのに好適な形態を示したものである。この袋は、底面が直方体の端面形状となるように前加工しておき、袋の開口を密閉するような第一ファスナー5を通常の袋に形成するのと同様の構造で形成したものである。ここで示す外バリア袋の実施形態においては、図2の内バリア袋1や外バリア袋2に形成されているフタ20や25はなく、通常の袋の口形状となっている。内容物を入れた後、第二ファスナー6を閉じてできた耳部80を折り曲げて粘着テープ79で側面に固定することによって、全体が直方体形状になるようになっている。このような構造とすることによって、簡便に上積み可能な収納袋を容易に形成することが可能となる。
次に、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段における生鮮物の保持方法の別の実施形態を説明する。
図3は、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の1実施形態を示す断面図であり、図4は本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の1実施形態に用いた保持体の例を示す断面図である。図4において(a)は第一構造体、(b)は第二構造体、(c)は第三構造体である。図3と図4において、30は第一保持枠、30aは開口、31は第一弾性フィルム、32は第二保持枠、32a、bは開口、33は第二弾性フィルム、34は第三弾性フィルム、35は第三保持枠、35aは開口、36は第四弾性フィルムである。図3と図4において、図1と同様の作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。
図4(a)に示す第一構造体は、下面に開口30aを有する第一保持枠30において、開口30aを塞ぐように第一弾性フィルム31が第一保持枠31に接合されたものである。接合の方法は、両面粘着テープや接着剤で貼り付けたり、熱融着したりする方法をとることができる。
図4(b)に示す第二構造体は、上下面にそれぞれ開口32a、32bを有する第二保持枠において、前記開口32aと32bとを塞ぐように第二弾性フィルム33と第三弾性フィルム34とがそれぞれ接合されたものである。接合の方法としては、第一構造体と同様に、両面粘着テープや接着剤で貼り付けたり、熱融着したりする方法をとることができる。
図4(c)に示す第三構造体は、上面に開口35aを有する第三保持枠35において、開口35aを塞ぐように第四弾性フィルム36が第三保持枠35に接合されたものである。接合の方法は、第一構造体と同様に、両面粘着テープや接着剤で貼り付けたり、熱融着したりする方法をとることができる。第三構造体は、第一構造体を天地反転させたものとなっている。
第一保持枠30、第二保持枠32、および第三保持枠35の材料は厚紙や段ボールなどの紙類や、プラスチックを用いることができる。また、第一弾性フィルム31、第二弾性フィルム33、第三弾性フィルム34、第四弾性フィルム36の材料としては、ポリウレタンやニトリルゴムや天然ゴムなどのエラストマーフィルムや、ポリエチレンやナイロンや塩化ビニリデンなどの樹脂フィルムや、これらエラストマーフィルムや樹脂フィルムを積層したものを用いることができる。これらのエラストマーフィルムや樹脂フィルムとしては、発泡フィルムなどの通気性を有するものを用いることもできる。
図3に示す生鮮物の保持方法においては、内バリア袋1の内部に生鮮物を入れるときに、まず第三構造体を前記内バリア袋1の底部に入れ、次に生鮮物12を入れ、引き続き第二構造体を入れる。その後は生鮮物12と第二構造体を交互に繰り返し入れ、内容物が一杯になる直前に第一構造体を入れて内バリア袋1を閉じるという方法をとる。
このようにすることによって、最初に入れた生鮮物12は、第三保持枠35に取り付けられた第四弾性フィルム36と、第二保持枠32に取り付けられた第三弾性フィルム34とで挟持され弾性的に保持される。同様にしてその上に入れた生鮮物12は、第二保持枠32に取り付けられた第二弾性フィルム33と、前記第二保持枠32の上に配された第二保持枠32に取り付けられた第三弾性フィルム34とで狭持され弾性的に保持される。このようにして、次々に弾性的に保持される生鮮物12は、最後に第二保持枠32に取り付けられた第二弾性フィルム33と、第一保持枠30に取り付けられた第一弾性フィルム31とで挟持され弾性的に保持される。
前記弾性的に保持される生鮮物12の保持力は、前記弾性フィルムの弾性力と保持枠の高さによって定まるために、生鮮物12を内バリア袋1に入れた後は、当該内バリア袋1の第一ファスナー5を閉じてこれら保持枠が一定の間隔を保つように押さえておく必要がある。
次に、このように弾性フィルムを用いた場合の加振特性について、これを持ちなかった場合と比較して説明する。図19は、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段内部の加振特性の1例を示すグラフであり、81は直接梱包時、82は保持パレット使用時、83は弾性フィルム使用時である。
直接梱包81とは、生鮮物に緩衝材を用いないで直接内部に梱包した場合の加振特性を示す。保持パレット使用時82とは、図1や図5のように発泡ポリエチレンなどのクッション性を持った保持パレットに生鮮物を保持した場合の加振特性を示す。また、弾性フィルム使用時83とは、図3や図4のように弾性フィルムで青鮮物を保護した場合の加振特性を示す。ただし、図19に示す測定においては、生鮮物としてトマトを用いて測定した。
図19において、横軸は本発明の鮮度保持が可能な梱包手段に外部から振動を伝えたときの印加加速度を、縦軸は印加加速度に対する生鮮物の振動加速度を示す。なお、振動数は10Hzとした。
図19から分かるように、直接梱包の場合は外から与えた振動による加速度が、ほぼ同じだけトマトに伝わっていることが分かる。これと比べて、保持パレットを用いた場合は加速度が1/3に、弾性フィルムを用いた場合は1/5に低減することが分かる。
このようにして、本発明による鮮度保持可能な梱包手段に用いる生鮮物保持手段として弾性フィルムを用いることによって、外部からの衝撃を1/5に低減させることができ、より効果的な鮮度保持が可能となることが分かった。
このように生鮮物12を弾性的に保持することによって、機械的衝撃によって傷付いたり破損したりしやすい生鮮物、例えば、モモやリンゴやナシなどの果物類を安全に梱包することが可能となる。
次に、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段における内部環境の維持についての1実施形態を説明する。
図5は、発明の鮮度保持が可能な梱包手段の1実施形態に用いた保持体の例を示す断面図であり、37は除菌剤、38は吸着剤、39は脱酸素剤である。なお、図5の説明において、図1と同様の作用を有する要素には同一の符号を付しその説明を省略した。
図5は、図1と同様の方法で青鮮物12を内バリア袋1の内部に収納した後、この内バリア袋1の内部にさらに除菌剤37、吸着剤38、および脱酸素剤39を入れて気密に収納したことである。
本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、光や熱や物質に関して外部から隔離する程度が大きいために、鮮度保持のために種々の工夫をすることが可能となる。
一部を除いて多くの農業生鮮物は、収穫後に簡単な水洗いをして土や汚れを落とした後、箱詰め後冷蔵庫の中で一昼夜程度保管されて、あるいは即日卸業者または小売業者に出荷される。通常は、その後短時間で消費者のもとに届くために鮮度問題はほとんどない。
しかしながら、出荷された生鮮物が流通経路のどこかの場所に長時間保管されるような場合がある。その典型的な例が、海外への生鮮物の出荷である。特に、船での海外出荷は、冷蔵コンテナや冷凍コンテナを用いて温度管理を厳密にして行われるのであるが、その経路中に生鮮物の鮮度を落としてしまう様々な要因が存在する。特に、鮮度を維持するために冷蔵コンテナで生鮮物を出荷する場合に顕著に問題が発生することが多い。
鮮度を落としてしまう要因は、大きく分類すると、細菌による腐敗、熟度の進行、温度の上昇、乾燥である。
細菌による腐敗は、出荷時に水洗以外の細菌除去処理がなされていないために、生鮮物表面に腐敗の原因となる細菌が付着していることが原因である。特に、生鮮物が何らかの原因によって傷ついてしまったりすると、皮が厚く腐敗しにくい生鮮物であっても細菌が内部に入り込んで腐敗が促進されることがある。また、イチゴなどの皮が薄い生鮮物は、表面の傷がなくても内部に細菌が入り込みやすい。このような細菌が原因による腐敗は、生鮮物の表面を殺菌することで回避できる。出荷前に次亜塩素酸などによる洗浄が可能であれば良いが、出荷国によっては法規制の問題もあるために、出荷容器の中で殺菌できればよい。
このような殺菌効果が高く毒性の少ない殺菌剤としては、カテキンやワサビの成分などの植物由来のものが知られている。化学物質としては、二酸化塩素などを使うことができる可能性がある。
図5に示す殺菌剤37は、このように殺菌効果の高いカテキンやワサビの成分を通気性の袋に入れたり、その成分を抽出したものを基材に印刷したりしたものである。
また、細菌の種類にもよるが、図5に示す脱酸素剤39は雰囲気中の酸素と反応して取り除いて無酸素状態にしてくれる。このことによって、好気性細菌の繁殖が抑えられると同時に、細菌を媒介する原因である虫を死滅させて細菌の繁殖を抑える効果がある。
脱酸素剤39としては、酸化しやすい金属粉とくに鉄粉を通気性の袋に入れたものが多用されている。
熟度の進行が進む原因は、植物の生理作用にある。環境温度が生理温度に近くなると熟度は着実に進行するが、冷蔵輸送中には通常温度は2〜5℃程度に維持されているために、熟度の進行は遅くなる。しかし、この状況でも生鮮物の熟度進行は少しずつ進んでいるために、長期間の熟度抑制は難しい。特定の生鮮物に対しては、ワサビの成分が熟度進行を遅らせる効果があると言われている。また、脱酸素剤39を用いることによって、生鮮物の呼吸を止めて仮死状態に保つことができ、熟度の進行が遅れる場合がある。
熟度の進行を進めてしまうものにエチレンガスがある。熟度が進行するとさらにエチレンガスが出やすくなる。これは、とくにレタスなどの葉物野菜やトマトなどの果菜で顕著であるが、このエチレンガスを吸着剤38で吸着することで熟度の進行を遅らせることができる。吸着剤としては、シリカゲル、活性炭、活性アルミナ、あるいはゼオライトなどがよく知られている。そこで、これらの材料を通気性の袋に入れた吸着剤38を内バリア袋1の中に入れることによって、葉物野菜などの鮮度を保持することが可能となる。
このように、細菌や熟度の進行を抑えることは鮮度の保持に重要な役割を果たすことができるが、これらも温度が高くなると抑制することは困難になる。特に、生物が活性となる20〜35℃程度の温度になると鮮度の低下は著しくなる。冷蔵コンテナは、この温度条件を維持した状態で生鮮物を輸送する手段ではあるが、人工物であるために故障や操作ミスによって、生鮮物の温度を一時的に管理温度以上にしてしまうことがある。また、コールドチェーンの中で、冷蔵コンテナから冷蔵トラックや冷蔵倉庫に移す作業が長時間になると、生鮮物の温度を上げてしまい鮮度を低下させる原因となってしまう。
一方、農業生鮮物は乾燥すると生体内の水分を失い、鮮度を落としてしまう。本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、生鮮物の水分を外に逃がさない内バリア袋内に気密に収納している。また、内バリア袋内部の温度が5℃よりも高くならない冷蔵環境に維持している。バリア性と気密性が高いため、湿度は自動的に90〜97%程度に維持され、青鮮物の鮮度を低下させない。また、この低温高湿度環境は、細菌の繁殖を抑える効果をも有している。
温度と湿度とは相関関係が大きい。そのため、上記のように一時的な温度上昇がおこると、内バリア袋内の湿度の低下がおこり、生鮮物の乾燥の原因となってしまう。
このように冷蔵コンテナの故障による一時的温度上昇やコールドチェーンの中での一時的温度上昇の影響を最小に抑えることができるのが、断熱構造と水分バリア性に優れた本発明の鮮度保持が可能な梱包手段である。次に、本発明の保冷特性をさらに向上させる方法について説明する。
図6は、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の1実施形態を示す断面図であり、1は内バリア袋、2は外バリア袋、5は第一ファスナー、6は第二ファスナー、7は逆止弁、8はバリア層、9は金属層、40は発泡断熱材、41は保護カバー、42は蓄熱剤である。図6に示した構造では、内バリア袋1の内部底に保護カバー41が配されており、その保護カバー41に保護されて蓄熱剤40が置かれている。
保護カバー41は、この字状に加工された樹脂製の板で形成されている。
図6では、断熱スペーサとして発泡断熱材40が用いられている。発泡断熱材40としては、ウレタンやスチロールやゴムなどの樹脂原料を反応させて固化するときに、二酸化炭素などのガスを発生する粉末を混合して化学発泡を行ったり、外部から二酸化炭素などのガスを細孔から吹き込んで物理発泡を行ったりして、内部に泡を混入させたものである。本発明による断熱発泡材40は、発泡させた泡に空隙3と同様の作用を持たせることが望ましいために、泡が連通して内部に形成されやすい物理発泡をした断熱発泡材を用いることが望ましい。
低温での相変化を利用して使うことができる蓄熱剤42として、パラフィン系蓄熱剤や氷が良く知られている。また、相変化温度に拘わらず熱容量が大きな水和炭水化物ゲルなどを用いることもできる。例えば、カーボン数14の直鎖飽和炭化水素のみからなるパラフィンを、液漏れを起こさない塩化ビニルなどの密閉袋に入れておき蓄熱剤42として用いる場合を考える。カーボン数14のパラフィンの固液相変化温度は4℃であるため、4℃以下、例えば3℃に保った状態で、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の中に前記蓄熱剤42を配しておくものとする。すなわち、生鮮物を詰めて、内バリア袋1を3℃の冷蔵倉庫内に1時間以上放置しておくことで、このパラフィンを3℃の温度で固化させた状態とすることができる。その後、内バリア袋1の外を断熱スペーサ4で覆い、その内バリア袋1を外バリア袋内に気密に梱包して、内バリア袋1と外バリア袋2との間にある空隙を減圧状態に保つことで、外気環境の影響を最小にした状態で内バリア袋1内の温度環境を維持することが可能となる。
万一、冷蔵コンテナの故障や外気中での当該梱包手段の積み下ろしなどによって、外バリア袋2の外気温度が急激に上昇したとしても、外から内バリア袋1内部に流入する熱流は少なく、その結果内バリア袋1の内部の温度上昇はゆっくりとしたものとなる。そして、内バリア袋1の内部温度が4℃を越えようとすると、蓄熱剤42内部に入れてあるパラフィンが個体から液体へと相変化するために必要な潜熱を獲得するために、外部から流入した熱を吸収し、そのパラフィンが全て液体になるまでの間は内バリア袋内部の温度を4℃に保ってくれる。このようにして、蓄熱剤42が内バリア袋1内部の温度が4℃に保たれている間に、冷蔵コンテナの故障が回復したり積み下ろし作業が終了したりすれば、再び外気温度は3℃となり、内バリア袋1内に流れ込む熱はなくなるため当該内バリア袋1内部の温度は4℃以下に維持されることとなる。
また、パラフィンが全て液体になるほど長時間にわたって冷蔵コンテナが故障したり積み下ろし作業が長引いたりしたとしても、内バリア袋1内部の温度上昇を遅延させることが可能となり、その結果梱包した生鮮物の鮮度を長時間にわたって維持することが可能となる。
次に、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段における断熱スペーサとして断熱発泡剤を用いたときの、別の実施形態について説明する。
図7は、本発明に用いた断熱スペーサの1実施形態を示す説明図であり、43は発泡断熱剤フタ、44はフタ側凹条、45は吸引凹部、46は発泡断熱剤側壁、47は側壁側凹条、48は側壁貫通穴、49は発泡断熱剤底板、50は底板側凹条、Aは切断面である。図7(a)は、本実施形態における断熱スペーサの全体構成を示す組立図であり、図7(b)は発泡断熱剤フタ43を切断面Aで切断したときの断面図であり、図7(c)は発泡断熱剤側壁46を切断面Aで切断したときの断面図であり、図7(d)は発泡断熱剤底板49を切断面Aで切断したときの断面図である。
発泡断熱剤フタ43には、発泡断熱剤側壁46に接する部分の中央にフタ側凹条44が形成されている。このフタ側凹条44は細長く閉じた溝となっている。また、発泡断熱剤フタ43には吸引凹部45が形成され、この吸引凹部45とフタ側凹条44とは、フタ貫通穴51で連通している。また、吸引凹部45は、図示していない外バリア袋2に取り付けられている逆止弁の直下になるように形成されている。
また、発泡断熱剤46には、発泡断熱剤フタ43と発泡断熱剤底板49とに接する上下二ヶ所の端部の中央に一対の側壁側凹条47が形成されており、これら一対の側壁側凹条47は各々側壁貫通穴48で連通されている。この側壁貫通穴48は複数開けられている。
さらに、発泡断熱剤底板49には、発泡断熱剤側壁46に接する部分の中央に底板側凹条50が形成されている。この底板側凹条50も細長く閉じた溝となっている。
前記一対の側壁側凹条47は、各々フタ側凹条44および底板側凹条50と対向して形成されている。
内バリア袋内に生鮮物を入れて第一ファスナーを閉じた後、図7(a)に示すような配置で組み合わせた発泡断熱剤の中におさめ、さらにこの発泡断熱剤を外バリア袋に入れて第二ファスナーを閉じる。このときの発泡断熱材を入れる入れ方としては、外バリア袋に形成されている逆止弁が、発泡断熱剤に形成されている吸引凹部の位置にくるように配する。
このようにすると、外バリア袋に形成されている逆止弁と、吸引凹部45、フタ貫通穴51、フタ側凹条44、側壁側凹条47、側壁貫通穴48、底板側凹条50とは互いに連通した配置となる。このとき、逆止弁からポンプを用いて内部の空気を吸引すると、これらの連通穴を介して小さな吸引抵抗で発泡断熱剤内部の空気を吸引することが可能となり、また連通穴を通じて発泡断熱剤内部の発泡の空気を効率良く減圧状態とすることが可能となる。
次に、断熱スペーサに関する別の実施形態について説明する。
図8は、本発明に用いた断熱スペーサの1実施形態を示す説明図であり、52は外側断熱スペーサ、53は第一内側断熱スペーサ、54は第二内側断熱スペーサ、55は外側断熱スペーサ収納空間、56は第一内側断熱スペーサ収納空間、57は第二内側断熱スペーサ収納空間である。
図8は、本発明に用いた断熱スペーサの1実施形態を示す説明図であり、52は外側断熱スペーサ、53は第一内側断熱スペーサ、54は第二内側断熱スペーサ、55は外側断熱スペーサ収納空間、56は第一内側断熱スペーサ収納空間、57は第二内側断熱スペーサ収納空間である。
図8に示す断熱スペーサは、外側断熱スペーサ52の外側断熱スペース収納空間55の内部に、第一内側断熱スペーサ53と第二内側断熱スペーサ54とを入れ込んで、外側断熱スペース収納空間55を第一内側断熱スペーサ収納空間56と第二内側断熱スペース収納空間57の2つに分割したものである。このように分割された収納空間の各々に内バリア袋を入れることが可能である。このように内バリア袋を分割することによって、1つの外バリア袋内に異なる2種類の青鮮物を互いの雰囲気が干渉しないように分けて入れることができる。互いの雰囲気が干渉しないので、それぞれに異なった環境制御手段、例えば、吸着剤と熟度抑制剤とを別々に入れて生鮮物の鮮度保持方法を最適化することが可能となる。また、二重に断熱スペーサを入れることによって、断熱効果を大きくすることも可能となる。
また、このように外側断熱スペース収納空間55を分割することによって、例えば、第一内側断熱スペーサ収納空間56に収納した生鮮物にカビや痛みが発生したとしても、このことが原因となって第二内側断熱スペーサ収納空間57に収納した生鮮物にカビや痛みが広がることを防ぐことができる。そのことにより、輸送する青鮮物がカビや損傷による痛みを最小限に抑えることが可能となり、結果、輸送コストの低減につなげることが可能となる。
さらに、外側断熱スペース収納空間55を分割することによって、外からの機械的衝撃力などを分散させることが可能となる。その結果、収納された生鮮物を外からの機械的衝撃力によって損傷し難くなる。
本実施形態では、外側断熱スペーサ収納空間55を2つの収納空間に等分して分割する実施形態を示したが、その分割の方法としては、外側断熱スペーサ収納空間55を不等分な容積比に分割しても構わないし、2つ以上の収納空間に分割しても良いことは言うまでもない。
また、断熱スペーサは、籠のように穴が多数開いたプラスチック製の容器を用いることもできる。とくに、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段を軽量かつ機械的強度を持った構造にしたい場合には多数穴が開いたプラスチック製容器を断熱スペーサとして用いるのが望ましい。このプラスチック断熱シートに開ける穴は、減圧したときに内バリア袋と外バリア袋とが圧力低下によって互いにくっついてしまわないように、穴の代表的な径と厚み寸法との比は厚み寸法の方が大きくなるようになっていることが望ましい。このプラスチック製断熱容器は、金型費用等が発生するために、経済的バランスが取れるだけ充分な数量が確保できる場合に用いるのが良い。
次に、内バリア袋1と外バリア袋2とに各々形成されているファスナーについて説明する。図9は本発明に用いた外バリア袋および内バリア袋のファスナーの1実施形態を示す説明図であり、図10本発明に用いたファスナーにおける嵌合部の1実施形態の構造を示す模式的断面図であり、図11は本発明に用いたファスナーにおける嵌合部の1実施形態の構造を示す模式的断面図である。図10において(a)は開状態を示す模式的断面図、(b)は閉状態を示す模式的断面図である。また、図11において(a)は開状態を示す模式的断面図であり、(b)は閉状態を示す模式的断面図である。また、図9、図10、および図11において、58はバリア袋、59はファスナー嵌合部、60はスライダー、61は留部、62は第一側部、63は第二側部、64は凸部支柱、65は凸部頭部、66は凸部、67は凹部頭部、68は凹部支柱、69凹部、70凹部挿入口、71は凹部空間である。
本発明における鮮度保持が可能な梱包手段においては、内バリア袋と外バリア袋には内部を気密に閉じて外部環境と隔離する機能を有するファスナーが設けられている。ここでの説明では、内バリア袋も外バリア袋も一括してバリア袋という表現で説明する。
図9に示すバリア袋58は、一端に設けられた開口部を除く3つの端部は気密に閉じられているものを示している。バリア袋58の開口部にはファスナー嵌合部59が設けられている。本実施例においては、ファスナー嵌合部59は、一列に密に配されており互いに嵌合しあって気密に結合する凸部と凹部とからなる列が3本形成されて構成されている。この凸部と凹部とからなる列は、1本や2本形成されていても構わないし、4本以上形成されていても構わない。しかし、本発明のように内部を気密に減圧状態に保持するにはこの凸部と凹部とからなる列は3本以上あることが望ましい。
一方、ファスナー嵌合部59の両端は、前記凸部と凹部の列の両端をあらかじめ互いに嵌合させておき、これらの凸部と凹部の列の全てを互いに嵌合させたときにファスナー嵌合部59の両端を含む前記列の全てが気密に嵌合できるように留部61が形成されている。この留部は、ファスナー嵌合部59とバリア袋58の開口の両端とを気密に結合させる機能をも有している。
ファスナー嵌合部59は、いずれかの留部61の設けられているところから順番に前記凸部と凹部の列を嵌合させていくことによって気密に閉じることが可能となる。しかし、この作業を人の手で行うと手間がかかったり、一様に閉じられない場合が生じたりするなどの課題が生じる。このような課題を解決するためにスライダー60が取り付けられている。このスライダー60は、ファスナー嵌合部59上をバリア袋58の外側から馬乗り状にまたぐようにして取りつけられている。このスライダー59を指で挟んで押し潰すように力を加えながら、一方の留部61から他方の留部61に滑らせて移動することによって、簡単に前記凸部と凹部の列を気密に嵌合することが可能となる。
バリア袋58の内部を減圧することにより、ファスナー嵌合部59には大気圧との差圧が作用して、よりしっかりとバリア袋58の開口を閉じることができる。
また、ファスナー嵌合部59を開く場合は、開口の中心部を手で強く引くことによって開くことができる。
また、ファスナー嵌合部59を開く場合は、開口の中心部を手で強く引くことによって開くことができる。
次に、ファスナー嵌合部の構造についてより詳しく説明する。図10に示すように、ファスナー嵌合部は互いに対向した凸部66と凹部69とから構成されている。図10に示す実施形態では、凸部66と凹部69とは互いに隣接して、一列に密に配列して形成されている。図9に示す実施形態では、この凸部66と凹部69とからなる列が3列形成されていることになる。
本実施形態では、第一側部62と第二側部63とからなるバリア袋の開口を閉じる力がより均一になるように凸部66と凹部69とは互いに隣接して配したが、例えば第一側部62側には凸部66のみを、第二側部63には凹部のみを形成するようにしても良いことは言うまでもない。
図10(a)に示すように、凸部66は、凸部支柱64と凸部頭部65とから構成されている。また、凹部69は凹部頭部67と凹部支柱68とから構成されている。凹部支柱68は、袋状になっており内部に凹部空間71を形成する。また、凹部頭部67は凹部挿入口70を有している。
図10(b)に示すように、凸部支柱64は、凸部66を第一側部に連結させるとともに凹部頭部67に設けられた凹部挿入口70と協働して第一側部62と第二側部63とを気密に封止する作用を有する。凹部支柱64は凸部頭部67を、凹部挿入口70を介して凹部空間67に挿入することにより凸部頭部67と協働して第一側部62と第二側部63とを接合する作用を有している。
そのため、凸部支柱64の長さは凹部頭部67の長さよりも長く形成されており、凸部支柱64の太さは凹部挿入口70の大きさよりも太く形成されている。凸部頭部65の大きさは、凹部挿入口70の大きさよりも大きく形成されており、凹部空間71の大きさと同じかそれよりも小さく形成されている。ファスナーは弾性のある樹脂材料で形成されているために、凸部頭部65の大きさが凹部挿入口70よりも大きくても、スライダーで強制的に押し込むことにより一時的に凹部挿入口70の口が大きく開き、凸部頭部65を、凹部挿入口70を介して凹部空間71の中に挿入することができる。
生鮮物の梱包については、ファスナーは閉じやすく開きにくいのが好ましい。図11にファスナー嵌合部の別の実施形態を示す。図11に示すファスナー嵌合部が図10に示すファスナー嵌合部と異なっている点は、凸部頭部65の形状と凹部空間71の形状に関する点である。すなわち、図10に示す凸部頭部の形状は球状であったが、図11に示す凸部頭部の形状は先端が尖った雁首状の面対称体形状をしている。また、凹部空間71の形状は、凸部頭部67の形状と相似体をしており、凸部頭部67と同じかまたはそれよりも大きくなっている。
このように凸部頭部67の先端形状を尖った形状とすることによって、凸部頭部67を凹部挿入口70に押し込むときに、凸部頭部67が凹部挿入口70を押し開く方向に力を作用させることが可能となり、小さな力で押しこむことが可能となる。
一方、凹部空間71の形状を、凸部頭部67の形状と相似体にすることにより、凸部66と凹部69との表面の密着面積を増やすことができ、第一側部62と第二側部63との密着力を向上させることが可能となる。
次に、逆止弁について説明する。逆止弁は、一般に良く知られているように、一方向の流体の流れは許すが、他方向の流体の流れ許さない非対称特性を有する弁である。
図12は、本発明に用いた逆止弁の1実施形態の構造を示す模式的断面図である。図12(a)は開状態を示す模式的断面図であり、図12(b)は閉状態を示す模式的断面図である。図12において、72は外枠、73はツバ、74は内側受け、75は弁、76は外側受け、77は逃し突起、78は空気流である。
図12から分かるように、外枠72、内側受け74、および外側受け76とで形成される隙間に弁75が挿入されており、弁75は流体圧の差によって上下に動くことができる。
図12(a)の開状態では、逆止弁の上側の流体圧が下側の流体圧よりも低い状態を示している。このとき弁75は、下側から上側と下側の圧力差による力を受けて上側に持ち上がっている。外側受け76の弁側周縁には複数の逃し突起77が離散的に形成されており、前記上側に持ち上がった弁75を支持している。したがって、流体は逃し突起77の隙間を通って矢印78で示されるように、下側から上側に流れ出る。
図12(a)に示した状態は、上側から吸引装置で外バリア袋の空気を吸っている状態に対応する。このとき、吸引装置側が減圧になるため、弁75は吸引装置側に持ち上がり、外バリア袋内部の空気が矢印78の経路で吸引装置に吸い出される。
一方、図12(b)の閉状態では、逆止弁の上側の流体圧が下側の流体圧よりも高い状態を示している。このとき弁75は、上側から上側と下側の圧力差による力を受けて下側に押し付けられている。その結果、内側受け74は、このようにして下側に押し付けられた弁75を支持することになる。内側受け74は、平坦な面で弁75を受け、弁75の下側面も平坦に構成されている。したがってこのとき、弁75と内側受け74との間には、流体を通す隙間が形成されず、流体は上側から下側に流れ込まない。すなわち、弁75の上側と下側では流体圧を保ったまま保持されることになる。
図12(b)に示した状態は、吸引装置で外バリア袋内部の空気を減圧した後、吸引装置を取り外した後の状態に対応する。このとき、外バリア袋の外側は大気圧であるのに対し、外バリア袋の内側は減圧状態にあるために、弁75が内側受け74に押し付けられた状態となる。そのため、外バリア袋の内部には外から空気が流れ込まず、外バリア袋の内部は減圧状態に保たれたままとなる。なお、外枠72の外周にはツバ73が形成されている。このツバ73は、外バリア袋に開けられた穴に外枠72をはめ込んだ後、ツバ73に外バリア袋を融着または接着剤で接着する接合部となる。このように、ツバ73を外バリア袋に接合することによって、外バリア袋のファスナーを気密に閉じた後は、外バリア袋の内部と外部とを逆止弁のみを介して連通することができる。
図12に示した逆止弁は、樹脂材料で軽量に作製されているものを使用するのが好ましい。
ここでは、図12に示すような逆止弁の実施形態を説明したが、ここに示したような逆止弁以外の一般に良く知られている逆止弁を用いても良いことは言うまでもない。
つぎに、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段における内部環境保持特性について説明する。
つぎに、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段における内部環境保持特性について説明する。
まず、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段の内部環境を計測するために、図1に示す本発明の鮮度保持が可能な評価用梱包手段と、比較用に前記評価用梱包手段と同じ寸法を有する段ボール箱を比較用梱包手段として準備した。前記評価用梱包手段と比較用梱包手段の外形寸法は、450mm×400mm×300mmである。なお、比較用段ボールは気密性を確保するために、12辺近傍をテープで塞いだ。
比較用梱包手段に用いた段ボール箱は、波板状に加工された中心厚紙を両側からライナで被覆した構造を1つ有する厚み10mmのものを用いた。また、評価用梱包手段に用いた断熱スペーサとしては、比較用梱包手段で用いた段ボール箱の6面それぞれに直径60mmの貫通穴を4個開けたものを用いた。
このようにして準備した評価用梱包手段と比較用梱包手段の中に、青鮮物としてトマトを32個入れて内部の温度と湿度の変化を評価した。なお、温度と湿度の評価を行うために、評価用梱包手段と比較用梱包手段の中には、生鮮物と一緒に温度センサと湿度センサを内蔵したデータロガーを入れ、計測終了後にこれらデータロガーを取り出して内部に蓄積されている温度データと湿度データとをコンピュータに取り込み解析した。
さらに、評価用梱包手段は、逆止弁を介して減圧装置によって1分間吸引してから2時間後に評価を行った。吸引後の内部圧力は定量的には不明であるが、外バリア袋はその下の断熱スペーサとしての段ボール箱に密着した状態を保った状態であった。
そして、外部環境温度が変化したときの梱包手段の内部環境の変化を調べるために、各々に生鮮物を梱包した状態で評価用梱包手段と比較用梱包手段とを大型冷蔵庫の中に3時間入れた後、外の部屋に取り出して内部の温度と湿度の変化を評価した。大型冷蔵庫の設定温度は4℃とした。なお、大型冷蔵庫内部の湿度は制御することができなかった。また、大型冷蔵庫の外の部屋の温度は30℃に設定した。この外の部屋の湿度も制御できていない。なお、大型冷蔵庫に入れる前には、これらの梱包手段は20℃の部屋に置かれていた。
なお、大型冷蔵庫の温度を4℃に保持するための制御系によって、実際の温度は4℃±0.5℃の範囲で変動する。また、温度や湿度の変化は揺らぎがあるため波打っている。しかし、本発明の作用を説明するためには、これらの変動的動作は本質的でないために、温度と湿度の平均的な変化を表すグラフによってその説明を行った。
最初に、比較用梱包手段内部の温度と湿度の変化を評価した結果を説明する。図13は比較用梱包手段内部の温度変化の1例を示すグラフであり、図14は比較用梱包手段内部の湿度変化の1例を示すグラフである。
図13から分かるように、比較用梱包手段内部の温度は、比較用梱包手段を大型冷蔵庫に入れると直線的におよそ15分で4℃まで冷却され、そのまま3時間維持される。そして、3時間後に比較用梱包手段を大型冷蔵庫から取り出すと直線的に30℃まで内部温度が上昇して維持される。
図14に示す湿度変化は、図13に示す温度変化に対応して変化している。すなわち、比較用梱包手段を大型冷蔵庫に入れると、温度の低下に伴って湿度は直線的に上昇する。そして、比較用梱包手段内部の温度が4℃で安定すると湿度も安定する。このとき、比較用梱包手段内部の湿度は飽和状態にまでは至らず76Rh%までにしかならない。これは、比較用梱包手段内部の水蒸気が段ボールを通して、より湿度の低い外部に逃げるためと考えられる。比較用梱包手段を大型冷蔵庫から外の部屋に取り出すと、温度の上昇に伴って内部の湿度も直線的に65Rh%まで低下してそのまま維持される。
このような温度と湿度の変化を受けたトマトは、水分量が少なくなり6%の重量減少となった。
次に、評価用梱包手段の温度と湿度の変化を評価した結果を説明する。図15は評価用梱包手段内部の温度変化の1例を示すグラフであり、図16は評価用梱包手段内部の湿度変化の1例を示すグラフである。
図15から分かるように、評価用梱包手段を大型冷蔵庫に入れると内部温度は指数関数的に減少していきおよそ2時間後に4℃に到達する。このように指数関数的な温度変化となったのは、比較用梱包手段に比べて断熱性が高い上に水蒸気などの熱エネルギーを持った物質交換が少ないためと考えられる。また、大型冷蔵庫に評価用梱包手段を入れた3時間後に外の部屋に取り出した場合は、およそ1時間20分後に指数関数的に30℃に到達することが分かった。
図16に示す湿度変化も、図15に示す温度変化に対応して変化している。すなわち、評価用梱包手段を大型冷蔵庫に入れると、温度の低下に伴って湿度は指数関数的に上昇する。そして、評価用梱包手段内部の温度が4℃で安定すると湿度も安定する。しかしながら評価用梱包手段の場合は比較用梱包手段の場合と異なり、内部温度が4℃になると内部湿度は95%と高くなることである。これは、評価用梱包手段の場合は、生鮮物が内バリア袋に包まれているために温度が低下しても青鮮物の周りの水蒸気が外に抜けないためと考えられる。また、大型冷蔵庫に入れてから3時間後に評価用梱包手段を外の部屋に取り出すと、評価用梱包手段内部の湿度は指数関数的に低下しておよそ1時間20分後に48Rh%まで低下した。
このような温度と湿度の変化を受けたトマトの水分量の変化はほとんど見られなかった。
次に、評価用梱包手段の断熱スペーサとして図7に示す発泡断熱剤を用いた場合について説明する。この評価用梱包手段の外形寸法は、上に説明した評価用梱包手段と同じ450mm×400mm×300mmとした。また、この評価用梱包手段もまた、逆止弁を介して減圧装置によって1分間吸引してから2時間後に評価を行った。吸引後の内部圧力は定量的には不明であるが、外バリア袋はその下の断熱スペーサとしての段ボール箱に密着した状態を保った状態とした。
図17は評価用梱包手段内部の温度変化の1例を示すグラフであり、図18は評価用梱包手段内部の湿度変化の1例を示すグラフである。
図17と図18とから分かるように、断熱スペーサとして発泡断熱材を用いた評価用梱包手段と断熱スペーサとして段ボール箱を用いた場合の評価用梱包手段とでは、外部温度が変化した場合の内部温度と内部湿度の変化は類似しており、どちらも指数関数的な変化をすることが分かる。しかし、その変化の程度は、断熱スペーサとして断熱発泡剤を用いた場合の方がゆっくりで、一定になるのに2時間程度必要であることが分かる。これは、断熱スペーサとして、段ボール箱を用いた場合よりも発泡断熱剤を用いた方がより高い断熱効果が得られることを示している。
またこの場合も、トマトの水分量の変化はほとんど見られなかった。
以上説明したように、本発明の鮮度保持が可能な梱包手段は、内側から順に、内バリア袋、空隙を有する断熱スペーサ、外バリア袋という構成とし、これら内バリア袋と外バリア袋とは各々ファスナーで気密に閉じることが可能とし、外バリア袋は表面を反射率の高い金属層で覆うと同時に逆止弁を設け前記断熱スペーサの空隙を減圧保持することを可能とすることで、内バリア袋内部に梱包した生鮮物の鮮度を長期間保つための環境条件を保持することが可能となる。
1 内バリア袋
2 外バリア袋
3 空隙
4 断熱スペーサ
5 第一ファスナー
6 第二ファスナー
7 逆止弁
8 バリア層
9 金属層
10 保持パレット
11 収納トレイ
12 生鮮物
2 外バリア袋
3 空隙
4 断熱スペーサ
5 第一ファスナー
6 第二ファスナー
7 逆止弁
8 バリア層
9 金属層
10 保持パレット
11 収納トレイ
12 生鮮物
Claims (7)
- 樹脂製の外バリア袋と、生鮮物を内部に収納するための樹脂製の内バリア袋と、前記内バリア袋と前記外バリア袋との間にあって空隙を有する断熱スペーサとからなり、前記外バリア袋と内バリア袋には内部を気密に閉じるためのファスナーが形成されており、前記樹脂製の外バリア袋は少なくとも表面側に反射率の高い金属層が形成されており、前記外バリア袋は逆止弁を有しており、前記逆止弁は前記外バリア袋の内部の気体が外に出る方向で開き、前記外バリア袋の内部に気体が入る方向で閉じる作用を有していることを特徴とする鮮度保持が可能な梱包手段。
- 前記外バリア袋は、前記ファスナーを閉じた状態で平行な上面と底面とを有した立方体または直方体形状をしていることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持が可能な梱包手段。
- 前記断熱スペーサは、段ボール箱製または発泡プラスチック製であることを特徴とする請求項1または2に記載の鮮度保持が可能な梱包手段。
- 前記断熱スペーサは、前記逆止弁の位置から連通した通気孔を有しており、当該連通孔は前記逆止弁の位置から前記断熱スペーサの側壁内部に設けられた複数の貫通穴を介して前記断熱スペーサの底部にまで連通していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の鮮度保持が可能な梱包手段。
- 前記断熱スペーサは、複数の貫通穴を有する段ボール箱であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の鮮度保持が可能な梱包手段。
- 前記ファスナーは、互いに嵌合して接合する連続した凸部と連続した凹部とからなる複数の嵌合部から形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の鮮度保持が可能な梱包手段。
- 前記内バリア袋内部に、弾性フィルムと当該弾性フィルムを保持する保持枠とからなる保持体を有しており、前記生鮮物を前記弾性フィルムで狭持することによって浮揚させて維持することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の鮮度保持が可能な梱包手段。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016124798A JP2017226461A (ja) | 2016-06-23 | 2016-06-23 | 鮮度保持が可能な梱包手段 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2017226461A true JP2017226461A (ja) | 2017-12-28 |
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017226461A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021528638A (ja) * | 2018-06-27 | 2021-10-21 | エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッドMks Instruments,Incorporated | 高温圧力センサーの断熱のための装置及び方法 |
CN114476375A (zh) * | 2022-02-25 | 2022-05-13 | 陈招远 | 一种食物保鲜装置及其使用方法 |
CN114655545A (zh) * | 2022-04-26 | 2022-06-24 | 海东市万牧农牧业发展有限公司 | 一种运输过程中牛肉消毒抑菌装置及其使用方法 |
-
2016
- 2016-06-23 JP JP2016124798A patent/JP2017226461A/ja active Pending
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