JP2017226078A - サーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体 - Google Patents

サーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体 Download PDF

Info

Publication number
JP2017226078A
JP2017226078A JP2016121552A JP2016121552A JP2017226078A JP 2017226078 A JP2017226078 A JP 2017226078A JP 2016121552 A JP2016121552 A JP 2016121552A JP 2016121552 A JP2016121552 A JP 2016121552A JP 2017226078 A JP2017226078 A JP 2017226078A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermochromic
compound
thermochromic film
optical functional
functional layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016121552A
Other languages
English (en)
Inventor
▲高▼ 友香子
友香子 ▲高▼
Yukako Ko
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2016121552A priority Critical patent/JP2017226078A/ja
Publication of JP2017226078A publication Critical patent/JP2017226078A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、長期間の湿熱耐性に優れたサーモクロミックフィルムを提供することである。【解決手段】本発明のサーモクロミックフィルム(1)は、基材(2)上に、少なくともサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム含有粒子(VOS、VOM)を含む光学機能層を有し、光学機能層(3)には、アミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体に関し、より詳しくは、長期間の湿熱耐性に優れたサーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体に関する。
近年、車窓から入り込む太陽光の影響による人肌で感じる暑さを低減するため、高い断熱性又は遮熱性を備えた合わせガラスが市場に流通している。最近では、電気自動車等の普及に伴い、車内の冷房効率を高める観点から、合わせガラスに適用する近赤外光(熱線)遮蔽フィルムの開発が盛んに行われている。
近赤外光遮蔽フィルムは、車体や建物の窓ガラスに適用することにより、車内のエア・コンディショナー等の冷房設備への負荷を低減することができ、省エネルギー対策として有効な手段である。
このような近赤外光遮蔽フィルムとしては、赤外線吸収性物質としてITO(インジウム・スズ酸化物)などの導電体を含む光学フィルムが知られている。また、特許文献1には、赤外線反射層と赤外線吸収層とを有する機能性プラスチックフィルムを含む近赤外光遮蔽フィルムが開示されている。
さらに、特許文献2では、低屈折率層と高屈折率層とを交互に多数積層させた反射層積層体を有し、各屈折率層の厚さを調整することにより、近赤外光を選択的に反射する近赤外光遮蔽フィルムが提案されている。
近赤外光遮蔽フィルムは、太陽光の照度が高い赤道近傍の低緯度地帯では、その高い近赤外光遮蔽効果により、好ましく利用されている。しかしながら、中緯度〜高緯度地帯の冬場においては、逆に、太陽光をできるだけ車内や室内に取り込みたい場合にも、一律に入射光線を遮蔽してしまうことがある。
このような問題に対し、近赤外光の遮蔽や透過の光学的性質を温度により制御するサーモクロミック材料を適用する方法の検討がなされている。その代表的な材料として、二酸化バナジウム(以下、「VO」ともいう。)が挙げられる。二酸化バナジウムは、50〜60℃前後の温度領域で相転移を起こし、サーモクロミック性を示すことが知られている。
しかし、二酸化バナジウムは、大気中の水分と酸素とによって二酸化バナジウムの酸化や結晶構造の変化が促進されることが知られており、二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミックフィルムでは、時間経過とともにサーモクロミック性が大幅に低下することが問題となっている。
そこで、例えば、特許文献3ではシランカップリング剤及び長鎖アルキル樹脂で二酸化バナジウム粒子を保護することが報告されており、特許文献4ではポリカルボン酸で二酸化バナジウム粒子を保護することが報告されている。
しかし、発明者がこれらの保護された二酸化バナジウム粒子を含有するサーモクロミックフィルムを作製し、湿熱耐性についての耐久性試験、特に長期間の耐久性試験を行ったところ、その耐久性が不十分であることがわかった。
特開2010−222233号公報 国際公開第2013/065679号 特表2015−513508号公報 特開2012−25629号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、長期間の湿熱耐性に優れたサーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、光学機能層にアミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることにより、長期間の湿熱耐性に優れたサーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基材上に、少なくともサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム含有粒子を含む光学機能層を有するサーモクロミックフィルムであって、
前記光学機能層には、アミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることを特徴とするサーモクロミックフィルム。
2.前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物が2種類以上含有されていることを特徴とする第1項に記載のサーモクロミックフィルム。
3.前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物としてエポキシ化合物が含有されていることを特徴とする第1項又は第2項に記載のサーモクロミックフィルム。
4.前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物として光架橋性樹脂が含有されていることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
5.前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物としてヒドラジン誘導体が含有されていることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
6.前記アミド基を有するバインダー樹脂が、ポリビニルアセトアミドであることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
7.前記光学機能層には、更にシランカップリング剤に由来する化合物が含有されていることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
8.前記シランカップリング剤に由来する化合物が、アミノ基を有することを特徴とする第7項に記載のサーモクロミックフィルム。
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムを備えたことを特徴とするサーモクロミック複合体。
本発明の上記手段により、長期間の湿熱耐性に優れたサーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
本発明のサーモクロミックフィルムは、光学機能層に二酸化バナジウム含有粒子に加え、アミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることを特徴とする。これにより、二酸化バナジウム含有粒子表面に架橋基を有する化合物を吸着させ、更にアミド基を有するバインダー樹脂で保護することにより、長期的な湿熱耐性が向上するものと考えられる。
本発明のサーモクロミックフィルムの一例としての概略構成を示す断面図 本発明のサーモクロミックフィルムの他の一例としての概略構成を示す断面図 調色層を有する、本発明のサーモクロミックフィルムの他の一例としての概略構成を示す断面図 本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子の製造に適用可能な水熱反応部を具備する流通式反応装置の一例を示す概略図
本発明のサーモクロミックフィルムは、基材上に、少なくともサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム含有粒子を含む光学機能層を有し、光学機能層にはアミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、湿熱耐性の観点から、光学機能層に架橋基を有する化合物に由来する化合物が2種類以上含有されていることが好ましく、光学機能層に架橋基を有する化合物に由来する化合物としてエポキシ化合物が1種以上含まれていることがより好ましい。
さらには、光学機能層に架橋基を有する化合物に由来する化合物として光架橋性樹脂又はヒドラジン誘導体が含有されていることが、湿熱耐性を向上させる点から好ましい。
また、アミド基を有するバインダー樹脂がポリビニルアセトアミドであることが、ヘイズを低減できることから好ましい。
また、高温高湿環境下における保存前後でのヘイズの変化量(Δヘイズ)を改善する観点から、光学機能層に更にシランカップリング剤に由来する化合物が含有されていることが好ましく、当該シランカップリング剤に由来する化合物がアミノ基を有することがより好ましい。
本発明のサーモクロミックフィルムは、サーモクロミック複合体に好適に用いることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
《サーモクロミックフィルム》
本発明のサーモクロミックフィルムは、基材上に、少なくともサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム含有粒子を含む光学機能層を有し、光学機能層にはアミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることを特徴とする。
以下、本発明のサーモクロミックフィルムの代表的な構成例について、図を参照して説明する。
本発明のサーモクロミックフィルムの好ましい態様の一つは、透明基材上に、光学機能層が形成されている構成である。
図1に示すように、サーモクロミックフィルム1は、透明基材2上に、光学機能層3が積層されて構成されている。
光学機能層3は、バインダー樹脂B中に、二酸化バナジウム含有粒子が分散された状態となっている。この二酸化バナジウム含有粒子の形態としては、二酸化バナジウム含有粒子が独立して存在している1次粒子VOと、2個以上の二酸化バナジウム含有粒子の集合体(凝集体ともいう。)として構成されている2次粒子VOとがある。2次粒子VOは、2次粒子凝集体あるいは2次凝集粒子とも称される。
図2は、本発明のサーモクロミックフィルム1の基本的な構成の他の一例を示す概略断面図であり、透明基材2上に光学機能層3が積層され、更に透明基材2の光学機能層3が積層された側とは反対側の面に粘着層(UVカット層)4が積層されて構成されている。本発明のサーモクロミックフィルム1は、粘着層4を介してガラスG等と貼合され使用され得る。また、光学機能層3上には、ハードコート層5を設けることもできる。
また、粘着層4は、光学機能層3上に設けてもよい。この場合、ハードコート層5は、透明基板2の光学機能層3が積層された側とは反対側の面上に設けられる。
また、サーモクロミックフィルム1は、光学機能層3とハードコート層5間に、更にPET基材や、染料又は顔料が含有された調色層を設けることもできる。
図3(a)〜(c)には、調色層を有する場合のサーモクロミックフィルムの代表的な構成を示している。
図3(a)に示すサーモクロミックフィルム11は、透明基材12の一方の面に、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子を含む光学機能層13、粘着層14がこの順に積層され、透明基材12の他方の面に、光波長350〜750nmの範囲内に極大吸収波長を持つ染料又は顔料を含有するハードコート層15が積層されている。図3(a)に示すサーモクロミックフィルム11では、ハードコート層15が調色層を兼ねた構成となっている。なお、本態様では、光学機能層13を透明基材12の粘着層14側に設ける構成としたが、透明基材12のハードコート層15側に設ける構成としてもよい(図2参照。)。
図3(b)に示すサーモクロミックフィルム11は、透明基材12の一方の面に、粘着層14が積層され、透明基材12の他方の面に、光学機能層13、染料又は顔料を含有する粘着層14、透明基材12、ハードコート層15がこの順に積層されている。図3(b)に示すサーモクロミックフィルム11では、染料又は顔料を含有する粘着層14が調色層を兼ねた構成となっている。
本態様における各透明基材12は、同一の構成(材料)としてもよいし、異なるものとしてもよい。
図3(c)に示すサーモクロミックフィルム11は、透明基材12の一方の面に、二酸化バナジウム含有粒子とともに染料又は顔料を含有する光学機能層13、粘着層14がこの順に積層され、透明基材12の他方の面に、ハードコート層15が積層されている。図3(c)に示すサーモクロミックフィルム11では、光学機能層13が調色層を兼ねた構成となっている。なお、本態様においても、図3(a)同様に、光学機能層13を透明基材12のハードコート層15側に設ける構成としてもよい。
本発明のサーモクロミックフィルムの光学特性としては、JIS R 3106:1998で測定される可視光透過率が、好ましくは20%以上であり、より好ましくは40%以上である。なお、可視光透過率は、用途により異なる場合が多い。
以下、本発明のサーモクロミックフィルムを構成する各部材について説明する。
〈光学機能層〉
本発明に係る光学機能層には、二酸化バナジウム含有粒子と、アミド基を有するバインダー樹脂と、架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることを特徴とする。
(架橋基を有する化合物に由来する化合物)
本発明において、『架橋基を有する化合物に由来する化合物』とは、架橋基を有する化合物そのもの又は当該化合物から導出される化合物を含む。
架橋基を有する化合物としては、架橋基を有するものであれば特に制限されないが、光で架橋する架橋基を有する化合物又は熱で架橋する架橋基を有する化合物のいずれかであることが好ましい。
架橋基を有する化合物は、二酸化バナジウム含有粒子に吸着し得るものであれば特に限定されない。例えば、多官能エポキシ化合物、多官能メラミン化合物、多官能イソシアネート化合物、金属架橋剤、アジリジン化合物等の、ヒドロキシ基又はカルボキシ基と反応し得る官能基を有する化合物が好ましく挙げられ、中でも多官能エポキシ化合物を用いることが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、1分子当たりエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型エポキシ樹脂、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン等が挙げられる。
多官能メラミン化合物としては、1分子当たりメチロール基、アルコキシメチル基、イミノ基のうちいずれかの官能基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサプロポキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、ヘキサペンチルオキシメチルメラミン等が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、1分子当たりイソシアネート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、スミジュールN(住化バイエルウレタン社製)等のビュレットポリイソシアネート化合物、デスモジュールIL、HL(バイエルA.G.社製)、コロネートEH(東ソー社製)等の、イソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物、スミジュールL(住化バイエルウレタン社製)、コロネートL(東ソー社製)等のアダクトポリイソシアネート化合物等が挙げられる。また、これら多価イソシアネート化合物のイソシアネート基が活性水素を有するマスク剤と反応して不活性化したブロックイソシアネートも用いることもできる。
金属架橋剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、スズ等の金属にアセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル等が配位した金属キレート化合物等が挙げられる。
アジリジン化合物としては、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフォンオキサイド、N,N′−ジフェニルエタン−4,4′−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)等が挙げられる。
さらに、上記とは異なる構造式の架橋基を有する化合物を用いることもでき、光で架橋する樹脂(光架橋性樹脂)あるいはヒドラジン誘導体を用いることが好ましい。
光架橋性樹脂とは、紫外線のような活性エネルギー線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。光架橋性樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化性樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリレート系樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂等が好ましく用いられる。中でも、紫外線硬化性アクリレート系樹脂が好ましい。
光架橋性樹脂としては、水溶性であれば、例えば、中京油脂(株)製の光架橋型水溶性ポリマー(O−106、O−391)が挙げられる。
ヒドラジン誘導体としては、大塚化学(株)製のヒドラジン塩類、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)等があげられる。
本発明において、架橋基を有する化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。2種類以上を併用する場合には、多官能エポキシ化合物と、光架橋性樹脂あるいはヒドラジン誘導体とを併用することが好ましい。
架橋基を有する化合物に由来する化合物の含有量は、二酸化バナジウム含有粒子の固形分に対して、好ましくは50〜170質量%の範囲内であり、より好ましくは60〜150質量%の範囲内である。50質量%以上であれば、架橋基を有する化合物が二酸化バナジウム含有粒子に十分に吸着し、粒子の凝集を抑制することができ、170質量%以下であれば、良好なヘイズを得ることができる。
(二酸化バナジウム)
二酸化バナジウムは、酸化バナジウムの一態様である。酸化バナジウムは、自然界において様々な形態をとり、例えば、V、H 、HVO 、HVO 2−、VO 3−、VO2+、VO、V3+、V、V2+、V、V等の構造が挙げられる。環境雰囲気によってその形態が変化し、一般的には酸性環境下であればV、還元環境下であればVが形成される。そのため、VOは比較的酸化・還元しやすく、周囲の環境によって結晶構造が変化する。
(二酸化バナジウム含有粒子)
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子の結晶形は、サーモクロミック性を効率よく発現させる観点から、ルチル型の二酸化バナジウム含有粒子(以下、単に、VO含有粒子ともいう。)を用いることが好ましい。
ルチル型の二酸化バナジウム含有粒子は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M型とも呼ばれる。本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子においては、目的を損なわない範囲で、A型又はB型などの他の結晶型の二酸化バナジウム含有粒子を含んでもよい。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、光学機能層中において、1次粒子(VO)及び2次粒子(VO)の数平均粒子径が500nm未満で分散されて存在していることが好ましい。
粒子径の測定方法としては、種々の測定法を適用することができるが、動的光散乱法に従って測定することが好ましい。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子における1次粒子及び2次粒子の好ましい数平均粒子径は500nm未満であるが、より好ましくは1〜200nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜100nmの範囲内であり、最も好ましくは5〜60nmの範囲内である。
また、二酸化バナジウム含有粒子のアスペクト比としては、1.0〜3.0の範囲内であることが好ましい。
このような特徴をもつ二酸化バナジウム含有粒子では、アスペクト比が十分に小さく、形状が等方的であるので、溶液に添加した場合の分散性が良好である。加えて、単結晶の粒子径が十分に小さいので、従来の粒子に比べて、良好なサーモクロミック性を発揮することができる。
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子では、二酸化バナジウムの他に、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)及びリン(P)からなる群から選択された少なくとも一つの元素を含んでいてもよい。このような元素の添加により、二酸化バナジウム含有粒子の相転移温度を制御することが可能となる。なお、最終的に得られる二酸化バナジウム含有粒子に対する上記元素の総量は、バナジウム(V)原子に対して、0.1〜10.0原子%程度で十分である。
(二酸化バナジウム含有粒子の分散液の調製方法)
一般に、二酸化バナジウム含有粒子の合成方法は、固相法により合成された二酸化バナジウム焼結体を粉砕する方法と、五酸化二バナジウム(V)を原料として、液相で二酸化バナジウムを合成しながら粒子成長させる水系合成法が挙げられる。
本発明においては、いずれの方法で作製された二酸化バナジウムでも適用することができる。いずれかの方法で作製した二酸化バナジウム含有粒子に分散剤を添加し、水系又は溶剤系にて分散液として調製する。
水系の場合の分散剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルセルロース、シランカップリング剤等が挙げられ、特に、ポリビニルピロリドン又はセルロース樹脂であることが好ましい。
有機溶剤系の分散剤としては、アルキルアミン、シランカップリング剤、リン酸系等一般的に使用されている有機系分散剤を用いることができる。
分散剤の添加量は、水系の場合は1〜50質量%の範囲内であることが好ましく、溶剤系の場合は50〜300質量%の範囲内であることが好ましい。
そして、これらの分散剤を用いれば分散液中の二酸化バナジウム含有粒子を乾燥させることなく、光学機能層形成用塗布液を調製することができる。この光学機能層形成用塗布液を用いて光学機能層を形成することにより、1次粒子及び2次粒子の数平均粒子径が500nm未満である二酸化バナジウム含有粒子が含有された光学機能層を形成することができる。
また、二酸化バナジウム含有粒子の製造方法として、必要に応じて、粒子成長の核となる微小なTiO等の粒子を核粒子として添加し、その核粒子を成長させることにより二酸化バナジウム含有粒子を製造することもできる。
なお、バインダー樹脂として水溶性バインダー樹脂を使用する場合、上述の二酸化バナジウム含有粒子を含む水系分散液として調製したあと、水系分散液中の二酸化バナジウム含有粒子を乾燥させることなく、二酸化バナジウム含有粒子が離間している分散状態で水溶性バインダー樹脂溶液と混合して、光学機能層形成用塗布液を調製することが好ましい。
次いで、本発明に好適な水熱法による二酸化バナジウム含有粒子の製造方法について、詳細に説明する。
以下に、代表的な水熱法による二酸化バナジウム含有粒子の製造工程を示す。
(1)工程1
バナジウム(V)を含む物質(I)と、ヒドラジン(N)又はその水和物(N・nHO)と、水とを混ぜて溶液(A)を調製する。この溶液(A)は、物質(I)が水中に溶解した水溶液であってもよいし、物質(I)が水中に分散した懸濁液であってもよい。
物質(I)としては、例えば、五酸化二バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム(NHVO)、三塩化酸化バナジウム(VOCl)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)等が挙げられるが、五価のバナジウム(V)を含む化合物であれば特に限定されない。
ヒドラジン(N)及びその水和物(N・nHO)は、物質(I)の還元剤として機能するものであって、水に容易に溶解する性質を有する。
溶液(A)は、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)の単結晶粒子に元素を添加するため、添加する元素を含む物質(II)を更に含有していてもよい。添加する元素としては、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)又はリン(P)が挙げられる。
これらの元素を、最終的に得られる二酸化バナジウム(VO)の単結晶粒子に添加することにより、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性、特に、転移温度を制御することができる。
また、この溶液(A)は、酸化性又は還元性を有する物質(III)を更に含有していてもよい。物質(III)としては、例えば、過酸化水素(H)が挙げられる。酸化性又は還元性を有する物質(III)を添加することにより、溶液のpHを調整したり、物質(I)であるバナジウム(V)を含む物質を均一に溶解させたりすることができる。
(2)工程2
次に、調製した溶液(A)を用いて、水熱反応処理を行う。ここで、「水熱反応」とは、温度と圧力が、水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低い熱水(亜臨界水)中において生じる化学反応を意味する。水熱反応処理は、例えば、オートクレーブ装置内で行われる。水熱反応処理により、二酸化バナジウム(VO)含有の単結晶粒子が得られる。
水熱反応処理の条件(例えば、反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間等)は、適宜設定されるが、水熱反応処理の温度は、例えば、250〜350℃の範囲内であり、好ましくは250〜300℃の範囲内であり、より好ましくは250〜280℃の範囲内である。温度を低くすることにより、得られる単結晶粒子の粒子径を小さくすることができるが、過度に粒子径が小さいと、結晶性が低くなる。また、水熱反応処理の時間は、例えば1時間〜5日の範囲内であることが好ましい。時間を長くすることにより、得られる単結晶粒子の粒子径等を制御することができるが、過度に長い処理時間では、エネルギー消費量が多くなる。
以上の反応の方式としては、バッチ式(回分式)、セミバッチ式(半回分式)で行うことができるが、好ましくは耐圧性の管型又は槽型などのフロー型リアクター(流通型反応器)を用いて亜臨界又は超臨界状態にある高温高圧水と混合して合成する連続法も使用でき、特には管型のリアクターを利用する連続法を好適に利用できる。
(3)工程3
必要に応じて、得られた二酸化バナジウム含有粒子の表面に、樹脂によるコーティング処理又は表面改質処理を行ってもよい。これにより、二酸化バナジウム含有粒子の表面が保護され、表面改質された単結晶粒子を得ることができる。本発明では、その中でも、二酸化バナジウム含有粒子の表面をガラス転移温度が65℃以下である、本発明に係るバインダー樹脂で被覆されていることが好ましい態様である。
なお、本発明でいう「被覆」とは、二酸化バナジウム含有粒子に対し、当該樹脂により粒子全面が完全に覆われている状態であってもよいし、粒子表面の一部が樹脂により覆われている状態であってもよいが、当該粒子表面の全面積の50%以上が被覆されている状態が好ましく、80%以上被覆されている状態がより好ましい。
以上の工程1〜工程3を経て、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有の単結晶粒子を含む分散液が得られる。
(二酸化バナジウム含有粒子の粉砕方法)
二酸化バナジウム含有粒子を微粒子化する方法として種々の方法があるが、ビーズミル、超音波破砕、高圧ホモジナイザー等種々の方法があり、いずれの方法を用いても二酸化バナジウム含有粒子をより微粒子化することができる。
(二酸化バナジウム含有粒子水系分散液中の不純物の除去処理)
上記水系合成法により作製・調製された二酸化バナジウム含有粒子の分散液中には、合成過程で生じた残渣などの不純物が含まれている。光学機能層を形成する際に、これらの不純物が2次凝集粒子発生のきっかけとなり、光学機能層の長期保存での劣化要因となることがあるため、分散液の段階で不純物を除去することが好ましい。
二酸化バナジウム含有粒子水系分散液中の不純物を除去する方法としては、従来公知の異物や不純物を分離する手段を適用することができ、例えば、二酸化バナジウム含有粒子水系分散液に遠心分離を施し、二酸化バナジウム含有粒子を沈殿させ、上澄み中の不純物を除去し、再び分散媒を添加、分散する方法でもよいし、限外濾過膜などの交換膜を用いて不純物を系外へ除去する方法でもよいが、二酸化バナジウム含有粒子の凝集を防止する観点からは、限外濾過膜を用いる方法が最も好ましい。
限外ろ過膜の材質としては、セルロース系、ポリエーテルスルホン系、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などを挙げることができ、その中でも、ポリエーテルスルホン系、PTFEを用いることが好ましい。
(バインダー樹脂)
本発明に係る光学機能層に用いられるバインダー樹脂は、アミド基を有していることを特徴とする。
アミド基を有するバインダー樹脂としては、例えば、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリアクリルアミドやアミド基を有するモノマーが挙げられ、中でもポリビニルアセトアミドが好ましい。他種類のモノマーとの共重合したものも使用可能で、アクリル酸やポリビニルアルコール(PVA)等のモノマーと共重合することも可能である。
ポリビニルアセトアミド及びポリアクリルアミドの分子量は、分子量が高いほうが膜の伸びや破断物性が良好であり、乾燥時の吹かれに対する耐性が高いことから、10万〜100万の範囲内であることが好ましい。好適な例としては、GE191−103(昭和電工社製)が挙げられる。
アミド基を有するモノマーとしては、アミド基を含んでいれば特に制限なく使用することができるが、例として、N−ビニルアセトアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミドスルホン酸、N−t−ブチルアクリルアミドスルホン酸等が挙げられる。
(シランカップリング剤に由来する化合物)
本発明に係る光学機能層には、シランカップリング剤に由来する化合物が含有されていることが好ましい。なお、ここでいう『シランカップリング剤に由来する化合物』とは、シランカップリング剤そのもの又は当該シランカップリング剤から導出される化合物を含む。
本発明に適用可能なシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩及びアミノシラン配合物などが挙げられるが、より良好な湿熱耐性を得る観点からアミノ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤に由来する化合物の含有量は、全固形分に対して、1〜6質量%の範囲内であることが好ましい。
(光学機能層のその他の添加剤)
本発明に係る光学機能層に、本発明の目的とする効果を損なわない範囲で適用可能な各種の添加剤を、以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、特開昭57−87988号公報、特開昭62−261476号公報等に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、特開昭57−87989号公報、特開昭60−72785号公報、特開昭61−146591号公報、特開平1−95091号公報、特開平3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオン又はノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、特開昭59−52689号公報、特開昭62−280069号公報、特開昭61−242871号公報、特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、防黴剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
(光学機能層の形成方法)
本発明に係る光学機能層の形成方法としては特に制限されないが、湿式塗布方式、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、スライド型カーテン塗布法、米国特許第2761419号明細書、米国特許第2761791号明細書などに記載のスライドホッパー塗布法、エクストルージョンコート法などが挙げられる。
〈基材〉
本発明に適用可能な基材(透明基材)としては、透明であれば特に制限はなく、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができるが、可撓性の付与及び生産適性(製造工程適性)の観点からは、透明樹脂フィルムであることが好ましい。
なお、本発明でいう「透明」とは、可視光領域における平均光線透過率が50%以上であることをいい、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。
基材の厚さは、30〜200μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは30〜100μmの範囲内であり、更に好ましくは35〜70μmの範囲内である。基材の厚さが30μm以上であれば、取り扱い中にシワ等が発生しにくくなり、200μm以下であれば、例えば合わせガラスを作製する場合、ガラス基材と貼り合わせる際のガラス曲面への追従性がよくなる。
基材は、二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましいが、未延伸又は少なくとも一方に延伸されたポリエステルフィルムを用いることもできる。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。特に、本発明のサーモクロミックフィルムを具備した合わせガラスを自動車のフロントガラスとして用いる場合には、延伸フィルムがより好ましい。
基材は、サーモクロミックフィルムのシワの生成や割れを防止する観点から、温度150℃において、熱収縮率が0.1〜3.0%の範囲内であることが好ましく、1.5〜3.0%の範囲内であることがより好ましい。
本発明のサーモクロミックフィルムに適用可能な基材としては、透明であれば特に制限されることはないが、種々の樹脂フィルムを用いることが好ましく、例えば、ポリオレフィンフィルム(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニルフィルム、トリアセチルセルロースフィルム等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムである。
ポリエステルフィルム(以降、単にポリエステルと称す。)としては、特に限定されるものではないが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステルの2種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
基材として透明樹脂フィルムを用いる場合、取り扱いを容易にするために、透明性を損なわない範囲内で粒子を含有させてもよい。本発明で用いる粒子の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、シリカ、カオリン、タルク、二酸化チタン、アルミナ、硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト、硫化モリブデン等の無機粒子や、架橋高分子粒子、シュウ酸カルシウム等の有機粒子を挙げることができる。
また、透明樹脂フィルムは、寸法安定性の点で弛緩処理、オフライン熱処理を行ってもよい。弛緩処理は、ポリエステルフィルムの延伸成膜工程中の熱固定した後、横延伸のテンター内、又はテンターを出た後の巻き取りまでの工程で行われることが好ましい。弛緩処理は、処理温度が80〜200℃の範囲内で行われることが好ましく、より好ましくは100〜180℃の範囲内である。また、長手方向、幅手方向ともに、弛緩率が0.1〜10%の範囲内で行われることが好ましく、より好ましくは2〜6%の範囲内で処理されることである。弛緩処理された基材は、オフライン熱処理を施すことにより耐熱性が向上し、更に寸法安定性が良好になる。
透明樹脂フィルムは、成膜過程で片面又は両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明においては、成膜工程中での下引塗布をインライン下引という。
〈粘着層〉
粘着層は、本発明のサーモクロミックフィルムを他の基材等に粘着させるための層である。本発明のサーモクロミックフィルムをウインドウフィルムとして用いる場合には、窓ガラスに粘着させるための層である。
粘着層に用いる粘着剤は、ゴム系、アクリル系、シリコン系、ウレタン系等の粘着剤から選ばれる。経時での黄変がないことから、アクリル系、シリコン系が好ましく、汎用離型シートが使用できる点でアクリル系が最も好ましい。
粘着層の厚さは、5〜30μmの範囲内が好ましい。5μm以上であれば粘着性が安定し、30μm以下であれば粘着剤がフィルムのわきからはみ出すことがなく取扱いやすい。
粘着層に貼り合わせるセパレーター(剥離シート)の種類については、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、紙等の基材にシリコンコート、ポリアルキレンコート、フッ素樹脂コートしたものが使用できるが、寸法安定性、平滑性、剥離安定性の点からポリエステルフィルムにシリコンコートしたものが特に好ましい。
セパレーターの厚さは、10〜100μmの範囲内が好ましく、より好ましくは20〜60μmの範囲内である。10μm以上であれば塗布、乾燥時の熱によりフィルムに搬送じわが生じることがないため好ましく、100μm以下であれば経済性の観点から好ましい。
〈ハードコート層〉
本発明のサーモクロミックフィルムには、フィルムの耐久性を向上させるためにハードコート層(HC層ともいう。)を設けてもよい。
ハードコート層のハードコート材としては、ポリシロキサンに代表される無機系材料、活性エネルギー線硬化樹脂等を使用することができる。
無機系材料は、湿気硬化(常温〜加温)が必要であり、硬化温度、硬化時間、コストの観点から、活性エネルギー線硬化樹脂を使用することが好ましい。活性エネルギー線樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。
活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又はプレポリマーを反応させて得られた生成物にさらに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載の、ユニディック17−806(DIC(株)製)100部とコロネートL(東ソー日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステル末端のヒドロキシ基やカルボキシ基に2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸のようなモノマーを反応させることによって容易に得ることができる(例えば、特開昭59−151112号公報)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂は、エポキシ樹脂の末端のヒドロキシ基にアクリル酸、アクリル酸クロライド、グリシジルアクリレートのようなモノマーを反応させて得られる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
〈調色層〉
本発明においては、サーモクロミックフィルムの色味を調整するために、350〜750nmの範囲内に極大吸収波長を持つ染料又は顔料を含有する調色層を設けてもよい。
「染料」とは、着色する色材として利用され、水や有機溶媒などのいずれかの溶媒に溶解するものをいう。「顔料」とは、着色する色材として利用され、水や有機溶媒などに溶解しない色素が微粉末状になったものをいう。
本発明において使用できる光波長350〜750nmの範囲内に極大吸収波長を持つ染料としては、具体的には、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリールメタン系色素、インジゴ系色素などが挙げられる。
顔料としては、カラーインデックス(C.I.;TheSocietyofDyersandColourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物を用いることができ、中でも、フタロシアニン系のC.I.ピグメントブルー15:3(極大吸収波長630nm、720nm)、C.I.ピグメントブルー15:4(極大吸収波長640nm、740nm)、C.I.ピグメントブルー16(極大吸収波長620nm、690nm)などを好ましく用いることができる。
《サーモクロミック複合体》
本発明のサーモクロミックフィルムの用途としては、サーモクロミックフィルムを備えて構成されるサーモクロミック複合体が挙げられる。例えば、本発明のサーモクロミックフィルムをガラスに後貼りして使用することができる。サーモクロミックフィルムを貼合したガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶、建築物等に使用できるが、特にこれに制限されない。具体的には、建築用の窓ガラスあるいは車両用のリアガラス、ルーフガラス等に使用できる。
また、ガラス以外にも適用することができ、ガラスを含めたサーモクロミックフィルムの支持体全般とサーモクロミックフィルムから構成されているサーモクロミック複合体とすることもできる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《サーモクロミックフィルムの作製》
以下のようにして、サーモクロミックフィルム101〜113を作製した。
〈サーモクロミックフィルム101の作製〉
(二酸化バナジウム含有粒子水系分散液1の調製)
図4に記載の水熱反応部116を有する流通式反応装置101を用い、下記の方法に従って、二酸化バナジウム含有粒子を含む分散液を調製した。
まず、原料液容器105に、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO)19.0gをイオン交換水(溶存酸素量:8.1mg/L)に溶解して300mlとし、この液を撹拌しながら、アルカリとして3.0mol/LのNH水溶液を68ml添加して、pHが8.0(液温25℃)の原料液1を調製した。
一方、原料液容器102にはイオン交換水(溶存酸素量:8.1mg/L)を原料液2として収納した。
酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1は、原料液容器105から流路106内をポンプ107により送液し、加熱媒体115で、25℃で、30MPaの条件となるように加圧した。
一方、原料液2であるイオン交換水は、原料液容器102から流路103内をポンプ104により送液し、加熱媒体113で、440℃で、30MPaの条件で加熱加圧して、超臨界水を得た。
次いで、合流点MPで酸化硫酸バナジウム(IV)とアルカリを含む原料液1と、超臨界水である原料液2とを、体積比として原料液1:原料液2=1:4となる条件で混合して、反応液1を調製し、水熱反応部116に送液した。水熱反応部116では、反応液1を加熱媒体114内に配置されている加熱部配管117に送液した。加熱配管部117における水熱反応条件としては、400℃、30MPaの条件で、処理時間(通過時間)を2秒となる条件で行い、二酸化バナジウム(VO)含有粒子を形成した。次いで、冷却部108にて反応液1を冷却し、二酸化バナジウム含有粒子及び水を含有する分散液を調製した。
反応後、得られた生成物について限外ろ過を用いて洗浄を行い、仕上がりの二酸化バナジウム含有粒子の濃度を3.0質量%に調整し、更に二酸化バナジウム含有粒子100質量部に対して5質量部の割合でマリアリムSC−0505K(日油(株)製)を加え、粒径30μmのジルコニアビーズを用いて寿社製スーパーアペックスミルにより1時間分散し、二酸化バナジウム含有粒子の水系分散液1を調製した。
(光学機能層形成用塗布液の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解し、固形分4質量%になるように水で希釈し、水系の光学機能層形成用塗布液を調製した。
二酸化バナジウム含有粒子水系分散液1(溶媒:水) 10質量部
バインダー樹脂(ポリビニルアセトアミド(PNVA)、GE191−103、昭和電工社製) 81.5質量部
エポキシ樹脂(デナコールEX−810、ナガセケムテックス社製) 8質量部
ノイゲンXL−100(第一工業製薬社製) 0.5質量部
(光学機能層の形成)
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布量を調整して湿式塗布を行い、90℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させて光学機能層を形成し、サーモクロミックフィルム101を作製した。
〈サーモクロミックフィルム102の作製〉
サーモクロミックフィルム101の作製において、バインダー樹脂5質量部をアジピン酸ジヒドラジド(ADH)5質量部に置き換えて添加した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム102を作製した。
〈サーモクロミックフィルム103の作製〉
サーモクロミックフィルム101の作製において、バインダー樹脂5質量部を光架橋型ポリマー(O−391:中京油脂社製)5質量部に置き換えて添加した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム103を作製した。
〈サーモクロミックフィルム104の作製〉
サーモクロミックフィルム102の作製において、バインダー樹脂(GE191−103、昭和電工社製)をポリストロン117(ポリアクリルアミド、荒川化学工業社製)に変更した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム104を作製した。
〈サーモクロミックフィルム105の作製〉
サーモクロミックフィルム102の作製において、光学機能層形成用塗布液を以下のようにして調製した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム105を作製した。
(光学機能層形成用塗布液の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解し、固形分4質量%になるように水で希釈し、水系の光学機能層形成用塗布液を調製した。
二酸化バナジウム含有粒子水系分散液1(溶媒:水) 10質量部
バインダー樹脂(GE191−103、昭和電工社製) 84.5質量部
アジピン酸ジヒドラジド 5質量部
ノイゲンXL−100(第一工業製薬社製) 0.5質量部
〈サーモクロミックフィルム106の作製〉
サーモクロミックフィルム105の作製において、アジピン酸ジヒドラジドをアジリジン(PZ−33:日本触媒社製)に変更した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム106を作製した。
〈サーモクロミックフィルム107の作製〉
サーモクロミックフィルム102の作製において、バインダー樹脂5質量部をアミノシランカップリング剤(KBE−903:信越シリコーン社製)5質量部に置き換えて添加した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム107を作製した。
〈サーモクロミックフィルム108の作製〉
サーモクロミックフィルム103の作製において、バインダー樹脂5質量部をアミノシランカップリング剤(KBE−903:信越シリコーン社製)5質量部に置き換えて添加した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム108を作製した。
〈サーモクロミックフィルム109の作製〉
サーモクロミックフィルム107の作製において、アミノシランカップリング剤をエポキシシランカップリング剤(KBE−403:信越シリコーン社製)に変更した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム109を作製した。
〈サーモクロミックフィルム110の作製〉
サーモクロミックフィルム107の作製において、アミノシランカップリング剤をイソシアネート系シランカップリング剤(KBM−9659:信越シリコーン社製)に変更した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム110を作製した。
〈サーモクロミックフィルム111の作製〉
(二酸化バナジウム含有粒子溶剤分散液2の調製)
二酸化バナジウム含有粒子(VO、新興化学工業社製)10質量部、分散剤としてフィラノールPA−075F(日油社製)5質量部をメチルイソブチルケトン85質量部中に添加し、ジルコニアビーズを用いてスーパーアペックスミル(寿工業社製)で混合して、二酸化バナジウム含有粒子溶剤分散液2を得た。
(光学機能層形成用塗布液の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解し、固形分4質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈し、溶剤系の光学機能層形成用塗布液を調製した。
二酸化バナジウム含有粒子溶剤分散液2 10質量部
ダイアセトンアクリルアミド(日本化成株式会社製) 80質量部
Irgacure127(BASF株式会社製) 1質量部
メガファックF−552(メチルエチルケトン希釈液(1質量%)、DIC株式会社製) 0.5質量部
アジピン酸ジヒドラジド 8.5質量部
(光学機能層の形成)
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)上に、ダイコーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布量を調整して湿式塗布を行い、90℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させた。次に、紫外線ランプを用いて、照度100mW/cm、照射量0.2J/cm、酸素濃度200ppmの条件下で紫外線を照射することにより塗膜を硬化させて、サーモクロミックフィルム111を作製した。
〈サーモクロミックフィルム112の作製〉
サーモクロミックフィルム101の作製において、光学機能層形成用塗布液を以下のようにして調製した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム112を作製した。
(光学機能層形成用塗布液の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解し、固形分4質量%になるように水で希釈し、水系の光学機能層形成用塗布液を調製した。
二酸化バナジウム含有粒子水系分散液1(溶媒:水) 10質量部
バインダー樹脂(ポリビニルアルコール(PVA)、日本合成化学社製)
81.5質量部
エポキシ樹脂(デナコールEX−810、ナガセケムテックス社製) 8質量部
ノイゲンXL−100(第一工業製薬社製) 0.5質量部
〈サーモクロミックフィルム113の作製〉
サーモクロミックフィルム101の作製において、光学機能層形成用塗布液を以下のようにして調製した以外は同様にして、サーモクロミックフィルム113を作製した。
(光学機能層形成用塗布液の調製)
下記の各構成材料を順次添加、混合及び溶解し、固形分4質量%になるように水で希釈し、水系の光学機能層形成用塗布液を調製した。
二酸化バナジウム含有粒子水系分散液1(溶媒:水) 10質量部
バインダー樹脂(GE191−103、昭和電工社製) 89.5質量部
ノイゲンXL−100(第一工業製薬社製) 0.5質量部
(光学機能層の形成)
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡製A4300、両面易接着層)上に、押出コーターを用いて、上記調製した光学機能層形成用塗布液を乾燥後の厚さが1.5μmとなるように塗布量を調整して湿式塗布を行い、90℃の温風を1分間吹きつけて乾燥させて光学機能層を形成し、サーモクロミックフィルム113を作製した。
《評価》
作製したサーモクロミックフィルム101〜113について、下記評価を行った。
評価結果を表1に示す。
〈サーモクロミック性(TC性)〉
作製した各サーモクロミックフィルムについて、温度25℃及び70℃の条件で分光光度計(日本分光製、V−670)を用いて、透過スペクトル及び反射スペクトルを測定した。次に、JIS R 3106:1998に記載の方法に従い、該測定値と日射反射重価係数との演算処理を行って日射反射率、日射透過率、可視光透過率を求め、日射熱取得率(TTS(%))を算出した。さらに、温度違いでのΔTTS(=TTS(25℃)―TTS(70℃))を算出し、下記評価基準に従って評価した。
○:8%≦ΔTTS
△:5%≦ΔTTS<8%
×:ΔTTS<5%
〈ヘイズ〉
作製した各サーモクロミックフィルムについて、ヘイズメーター(NDH2000、日本電色工業製)を用いて、ヘイズ(%)を測定し、下記評価基準に従って評価した。
○:ヘイズ≦5%
△:5%<ヘイズ<10%
×:10%≦ヘイズ
〈湿熱耐性〉
作製した各サーモクロミックフィルムについて、分光光度計(日本分光製、V−670)を用いて、保存前と、温度85℃・湿度85%RHの高温高湿環境下に300時間保存後との透過スペクトルを測定してΔL、Δa、Δbを算出して色差(ΔE)を計算した。
また、ヘイズ(%)についても、ヘイズメーター(NDH2000、日本電色工業製)を用いて測定し、保存前後のΔヘイズ(=ヘイズ(保存後)−ヘイズ(保存前))を算出し、下記評価基準に従って評価した。
◎:ΔE≦2
○:2<ΔE≦3
△:3<ΔE<4
×:4≦ΔE
○:Δヘイズ≦2%
△:2%<Δヘイズ<4%
×:4%≦Δヘイズ
Figure 2017226078
〈まとめ〉
表1から明らかなように、本発明のサーモクロミックフィルムは、比較例のサーモクロミックフィルムと比較して、高温高湿下での保存前後における色差及びヘイズの変化幅を有効に抑制していることが確認された。
以上から、光学機能層にアミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることが、長期間の湿熱耐性に優れたサーモクロミックフィルムを提供することに有用であることがわかる。
また、作製した各サーモクロミックフィルムを厚さ1.3mmのガラス板(松浪硝子工業社製、「スライドガラス白縁磨」)のサイズ15cm×20cmに透明粘着シート(日東電工社製、LUCIACS CS9621T)を用いて貼り合わせてサーモクロミックフィルム−ガラス複合体を作製したところ、同様の効果を確認することができた。
1、11 サーモクロミックフィルム
2、12 基材
3、13 光学機能層
4、14 粘着層
5、15 ハードコート層
101 流通式反応装置
102、105 原料液容器
103、106、111、118 流路(配管)
104、107、112 ポンプ
108 冷却部
109、110 タンク
113、114、115 加熱媒体
116 水熱反応部
117 加熱部配管
119 制御弁
B バインダー樹脂
G ガラス
VO 1次粒子
VO 2次粒子
C 冷媒
IN 加熱媒体の入口
OUT 加熱媒体の出口
L 加熱部配管のライン長
MP 合流点
TC 温度センサー

Claims (9)

  1. 基材上に、少なくともサーモクロミック性を示す二酸化バナジウム含有粒子を含む光学機能層を有するサーモクロミックフィルムであって、
    前記光学機能層には、アミド基を有するバインダー樹脂と架橋基を有する化合物に由来する化合物とが含有されていることを特徴とするサーモクロミックフィルム。
  2. 前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物が2種類以上含有されていることを特徴とする請求項1に記載のサーモクロミックフィルム。
  3. 前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物としてエポキシ化合物が含有されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のサーモクロミックフィルム。
  4. 前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物として光架橋性樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
  5. 前記光学機能層に、前記架橋基を有する化合物に由来する化合物としてヒドラジン誘導体が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
  6. 前記アミド基を有するバインダー樹脂が、ポリビニルアセトアミドであることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
  7. 前記光学機能層には、更にシランカップリング剤に由来する化合物が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルム。
  8. 前記シランカップリング剤に由来する化合物が、アミノ基を有することを特徴とする請求項7に記載のサーモクロミックフィルム。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のサーモクロミックフィルムを備えたことを特徴とするサーモクロミック複合体。
JP2016121552A 2016-06-20 2016-06-20 サーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体 Pending JP2017226078A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016121552A JP2017226078A (ja) 2016-06-20 2016-06-20 サーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016121552A JP2017226078A (ja) 2016-06-20 2016-06-20 サーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017226078A true JP2017226078A (ja) 2017-12-28

Family

ID=60890857

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016121552A Pending JP2017226078A (ja) 2016-06-20 2016-06-20 サーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017226078A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6443341B2 (ja) 光反射フィルムおよびこれを用いた光反射体
WO2016052740A1 (ja) 光学フィルム及び光学フィルムの製造方法
TWI409171B (zh) 太陽能電池用易接著性聚酯薄膜
WO2017010280A1 (ja) 熱線遮蔽フィルム
WO2017068948A1 (ja) サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体
JP4655476B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP6465117B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP6747450B2 (ja) サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体
WO2005014270A9 (ja) 近赤外線吸収フィルムおよびその製造方法、近赤外線吸収フィルムロールおよびその製造方法、並びに近赤外線吸収フィルター
JP4882199B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP2005189742A (ja) 近赤外線吸収フィルター
WO2017033533A1 (ja) サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体
JP2017226078A (ja) サーモクロミックフィルム及びこれを備えたサーモクロミック複合体
WO2017006767A1 (ja) 二酸化バナジウム粒子水系分散液、二酸化バナジウム粒子水系分散液の製造方法、サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体
JP6638570B2 (ja) サーモクロミックフィルムの製造方法
JP2017226075A (ja) サーモクロミックフィルム、サーモクロミック複合体及びサーモクロミックフィルムの製造方法
JP3736556B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
WO2017056897A1 (ja) サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体
WO2018061600A1 (ja) 光学機能膜、サーモクロミックフィルム、サーモクロミック積層体及びサーモクロミックフィルムの製造方法
WO2018163809A1 (ja) サーモクロミックフィルム及びサーモクロミックフィルム複合体
JPWO2015037514A1 (ja) 誘電体多層膜フィルムの製造方法
JP3736557B2 (ja) 近赤外線吸収フィルター
JP2018086815A (ja) サーモクロミックフィルム及びサーモクロミック複合体
WO2017187715A1 (ja) サーモクロミックフィルム、その製造方法及びサーモクロミックフィルム-ガラス複合体
WO2017138435A1 (ja) ウィンドウフィルム